説明

バッテリロック機構及び電子機器

【課題】バッテリの取外しを容易にするとともに、バッテリ取付け部を小型化等できるようにする。
【解決手段】バッテリ取付け面111aに平行にバッテリ20を移動させたときに、バッテリ20を引っ掛けて固定するための係止片111cと、バッテリ取付け面111aに直交する方向に移動可能に設けられ、バッテリ取付け面111aから飛び出す方向に移動したときに、係止片111cに対するバッテリ20の引っ掛かりの外れを阻止するロック片113と、ロック片113をバッテリ取付け面111aから飛び出す方向に付勢する板バネ115と、バッテリ取付け面111aに平行な方向に移動可能に設けられ、ロック片113に当接する方向に移動したときに、バッテリ取付け面111aから飛び出したロック片113を引っ込める方向に移動させるロック解除スイッチ112とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動電源であるバッテリを筐体に着脱可能に取り付けるためのバッテリロック機構及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ビデオカメラ等の電子機器の筐体にバッテリを取り付けてロックするとともに、そのロックを解除するためのロック解除スイッチを備えたバッテリロック機構が知られている。例えば、ユーザが片手で持つことができる程度の大きさの小型のビデオカメラには、筐体の後部にバッテリを装着するためのバッテリ取付け部材が設けられている。そして、バッテリに形成されたツメをバッテリ取付け部材の係止片に引っ掛けてロックするとともに、ロック解除スイッチによってツメと係止片との引っ掛かりを解除できるようにした技術がある。
【0003】
図27は、従来例のバッテリロック機構310の構造を示す側面図であり、バッテリ20のロック状態を示している。
図28は、従来例のバッテリロック機構310の構造を示す平面図であり、バッテリ20のロック状態を示している。
【0004】
図27及び図28に示すように、従来のバッテリロック機構310は、バッテリ20を取り付けるためのバッテリ取付け部材311を備えている。そして、バッテリ取付け部材311の上側には、係止壁311aが突設されており、左右両側には、係止壁311bが突設されている。
【0005】
また、バッテリ取付け部材311の上部には、バネ(図示せず)によって上向きに付勢されたプッシュ式のロック解除スイッチ312が設置されている。さらにまた、バッテリ取付け部材311には、ロック解除スイッチ312の上下動に連動して上下する上向きの連動係止片313と、バッテリ取付け部材311に固定された固定係止片314とが設けられている。
【0006】
一方、バッテリ20には、連動係止片313及び固定係止片314に対応する下向きのツメ20aが設けられている。そして、バッテリ20の上面20bがバッテリ取付け部材311の係止壁311aの下側に挿入され、ツメ20aが連動係止片313及び固定係止片314に引っ掛かることで、バッテリ20のロック状態となる。
【0007】
ここで、バッテリ20の落下方向(底面20cに向かう方向)及びバッテリ20の引抜き方向(背面20eに向かう方向)の動きは、ツメ20aと連動係止片313及び固定係止片314との引っ掛かりによって規制される。また、バッテリ20の持上げ方向(上面20bに向かう方向)の動きは、係止壁311aによって規制される。さらにまた、バッテリ20の左右方向(側面20dに向かう方向)の動きは、係止壁311bによって規制される。したがって、バッテリ20は、バッテリ取付け部材311に固定されることとなる。
次に、従来例のバッテリロック機構310におけるバッテリ20の取外しについて説明する。
【0008】
図29は、従来例のバッテリロック機構310の構造を示す側面図であり、バッテリ20のロック解除状態を示している。
図30は、従来例のバッテリロック機構310の構造を示す側面図であり、バッテリ20の取外し状態を示している。
【0009】
バッテリ取付け部材311からバッテリ20を取り外すには、最初に、図29に示すように、ロック解除スイッチ312を押し込んで連動係止片313を下に向けて移動させ、ツメ20aと連動係止片313との引っ掛かりを解除する。
なお、図29に示すロック解除状態では、依然としてツメ20aが固定係止片314に引っ掛かっており、バッテリ20が自然に落下することはない。
【0010】
次に、ロック解除スイッチ312を押し込んだ状態のまま、図30に示すように、バッテリ20を仮想回転軸の回りに回転させるようにする。これにより、ツメ20aが連動係止片313をさらに下に向けて移動させるように作用し、バッテリ取付け部材311からバッテリ20を取り外せるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−173179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上記の特許文献1の技術では、バッテリ20の取外しが非常に難しいという問題がある。具体的には、バッテリ20の持上げ方向(上面20bに向かう方向)の動きが係止壁311aによって規制されているので、バッテリ20を直線的に移動させて取り外すことができない。そのため、バッテリ20を仮想回転軸の回りに回転させなければならないが、バッテリ20の取外し方向となる回転軌跡には、定まったガイドがない。その結果、バッテリ20の取外しが困難になってしまうのである。
【0013】
また、複数の連動係止片313をすべて移動させる必要があるため、構造が大掛かりになってしまう。さらにまた、バッテリ20を固定するために、係止壁311a及び係止壁311b(図28参照)を設けなければならないため、全体として構造が大きくなるという問題がある(特に、係止壁311a及び係止壁311bの方向)。さらに、バッテリ20の取外し方向に対して大きな外力が加わった際に、外力からの逃げ構造を備えることができないため、バッテリ20が強制的に取り外され、部品が破壊されてしまうおそれもある。
【0014】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、バッテリの取外しを容易にするとともに、バッテリ取付け部を小型化等できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、以下の解決手段により、上述の課題を解決する。
請求項1に記載の発明は、バッテリを取り付けるためのバッテリ取付け部材と、前記バッテリ取付け部材に設けられ、前記バッテリ取付け部材のバッテリ取付け面に平行に前記バッテリを移動させたときに、前記バッテリを引っ掛けて固定するための係止片と、前記バッテリ取付け面に直交する方向に移動可能に設けられ、前記バッテリ取付け面から飛び出す方向に移動したときに、前記係止片に対する前記バッテリの引っ掛かりの外れを阻止するロック片と、前記ロック片を前記バッテリ取付け面から飛び出す方向に付勢するロック用弾性体と、前記バッテリ取付け面に平行な方向に移動可能に設けられ、前記ロック片に当接する方向に移動したときに、前記ロック用弾性体の付勢力に反して、前記バッテリ取付け面から飛び出した前記ロック片を引っ込める方向に移動させるロック解除スイッチとを備えるバッテリロック機構である。
また、請求項5に記載の発明は、このようなバッテリロック機構を備える電子機器である。
【0016】
(作用)
上記の請求項1及び請求項5に記載の発明は、バッテリ取付け部材のバッテリ取付け面に平行にバッテリを移動させたときに、バッテリを引っ掛けて固定するための係止片を備えている。そのため、バッテリは、バッテリ取付け面に平行に、直線的に移動させることにより、取付け及び取外しできる。
【0017】
また、バッテリは、バッテリ取付け面から飛び出す方向に移動するロック片によってロックされる。そして、飛び出したロック片を引っ込める方向に移動させるロック解除スイッチは、バッテリ取付け面に平行な方向に移動可能に設けられている。そのため、移動量の大きいロック解除スイッチの移動スペースをバッテリ取付け面に沿った配置にすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、バッテリを直線的に移動させて取付け及び取外しできるので、バッテリの取付け及び取外しが容易になる。また、移動量の大きいロック解除スイッチの移動スペースをバッテリ取付け面に沿った配置にすることができるので、スペース効率を向上させることが可能となり、バッテリ取付け部を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の電子機器の一実施形態としての、ビデオカメラのバッテリ側を示す斜視図である。
【図2】本発明のバッテリロック機構の一実施形態としての、ビデオカメラ用のバッテリロック機構の外観を示す斜視図である。
【図3】本発明のバッテリロック機構の一実施形態としての、ビデオカメラ用のバッテリロック機構の外観を示す斜視図である。
【図4】本発明のバッテリロック機構の一実施形態としての、ビデオカメラ用のバッテリロック機構に取り付けられるバッテリを示す斜視図である。
【図5】本発明のバッテリロック機構の一実施形態としての、ビデオカメラ用のバッテリロック機構におけるバッテリ取付け部分を示す斜視図である。
【図6】本発明のバッテリロック機構の一実施形態としての、ビデオカメラ用のバッテリロック機構におけるバッテリ取付け部分を示す斜視図である。
【図7】本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ用のバッテリロック機構の構造を示す側面図であり、バッテリのロック状態を示している。
【図8】本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ用のバッテリロック機構の構造を示す平面図であり、バッテリのロック状態を示している。
【図9】本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ用のバッテリロック機構を構成するバッテリ取付け部材を示す斜視図である。
【図10】本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ用のバッテリロック機構を構成するロック解除スイッチを示す斜視図である。
【図11】本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ用のバッテリロック機構を構成するロック片を示す斜視図である。
【図12】本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ用のバッテリロック機構において、図9に示すバッテリ取付け部材に、図10に示すロック解除スイッチ、及び図11に示すロック片を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図13】本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ用のバッテリロック機構において、図12に示す状態に、さらに板バネを取り付けてバッテリロック機構とした状態を示す斜視図である。
【図14】本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ用のバッテリロック機構の主要部を示す側面図であり、バッテリのロック状態を示している。
【図15】本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ用のバッテリロック機構の構造を示す側面図であり、バッテリのロック解除状態を示している。
【図16】本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ用のバッテリロック機構の主要部を示す側面図であり、バッテリのロック解除状態を示している。
【図17】本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ用のバッテリロック機構の構造を示す側面図であり、バッテリの取外し状態を示している。
【図18】本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ用のバッテリロック機構の主要部を示す側面図であり、バッテリの取外し状態を示している。
【図19】本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ用のバッテリロック機構におけるバッテリの取外し手順を示すフローチャートである。
【図20】本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第2の実施の形態)としての、ビデオカメラ用のバッテリロック機構の主要部を示す側面図であり、バッテリのロック状態、バッテリのロック解除状態、及びバッテリの取外し状態を示している。
【図21】本発明のバッテリロック機構の一実施形態としての、ビデオカメラ用のバッテリロック機構の主要部を示す側面図であり、第3の実施の形態、第4の実施の形態、及び第5の実施の形態を示している。
【図22】本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第6の実施の形態)としての、ビデオカメラ用のバッテリロック機構の主要部を示す側面図である。
【図23】本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第6の実施の形態)としての、ビデオカメラ用のバッテリロック機構におけるバッテリの取外し手順を示すフローチャートである。
【図24】比較例のバッテリロック機構の構造を示す側面図であり、バッテリのロック状態を示している。
【図25】比較例のバッテリロック機構の構造を示す側面図であり、バッテリのロック解除状態を示している。
【図26】比較例のバッテリロック機構の構造を示す側面図であり、バッテリの取外し状態を示している。
【図27】従来例のバッテリロック機構の構造を示す側面図であり、バッテリのロック状態を示している。
【図28】従来例のバッテリロック機構の構造を示す平面図であり、バッテリのロック状態を示している。
【図29】従来例のバッテリロック機構の構造を示す側面図であり、バッテリのロック解除状態を示している。
【図30】従来例のバッテリロック機構の構造を示す側面図であり、バッテリの取外し状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。
ここで、本発明における電子機器は、以下の実施の形態では、ビデオカメラ10であるとする。また、本発明におけるバッテリロック機構は、以下の実施の形態では、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構110,120,130,140,150,160であるとする。
なお、説明は、以下の順序で行う

1.第1の実施の形態(バッテリロック機構:ロック片の構成例)
2.第2の実施の形態(バッテリロック機構:ロック片の構成例)
3.第3の実施の形態(バッテリロック機構:解除スイッチとロック片との組合せ例)
4.第4の実施の形態(バッテリロック機構:解除スイッチとロック片との組合せ例)
5.第5の実施の形態(バッテリロック機構:解除スイッチとロック片との組合せ例)
6.第6の実施の形態(バッテリロック機構:解除スイッチとロック片との組合せ例)

【0021】
[電子機器の構成例]

図1は、本発明の電子機器の一実施形態としての、ビデオカメラ10のバッテリ側を示す斜視図である。
図2は、本発明のバッテリロック機構の一実施形態としての、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構110の外観を示す斜視図である。
図3は、本発明のバッテリロック機構の一実施形態としての、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構110の外観を示す斜視図である。
【0022】
図1に示すように、ビデオカメラ10は、電子部品を内部に配置した筐体11を備えており、筐体11の前部には、複数のレンズを備える円筒状のレンズ鏡筒12が取り付けられている。そして、筐体11の内部であって、レンズ鏡筒12の各レンズの光軸上には、撮影を行うための電子部品として、CCD(Charge Coupled Device Image Sensor)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )イメージセンサ等の撮像素子が配置されている。そのため、レンズ鏡筒12を介して入力される被写体の光学的な画像は、撮像素子で電気信号に変換され、メモリカード等に記憶される。
【0023】
また、筐体11の一方の側面には、表示装置13が筐体11に対して開閉可能に取り付けられている。この表示装置13は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等から構成されており、開いた状態で、撮影中の画像やメモリカードに記憶された画像等を表示できる。
なお、表示装置13は、表示されている機能やその他の操作を実行できるように、タッチパネル機能を有している。
【0024】
さらにまた、筐体11の上部には、レンズ鏡筒12内のレンズを移動させてズーム動作を可能とするためのズームレバー14と、静止画を撮影するための静止画撮影ボタン15とが配置されている。一方、動画を撮影するための動画撮影ボタン16は、筐体11の後部に配置されており、筐体11の後部には、ビデオカメラ10の駆動電源となるバッテリ20が着脱可能に取り付けられている。
【0025】
したがって、ビデオカメラ10は、バッテリ20から撮像素子や表示装置13等に電源が供給され、レンズ鏡筒12を介して入力された被写体の光学的な画像が撮像素子で電気信号に変換されて、表示装置13に表示される。そして、ズームレバー14を操作して被写体を所望の大きさとし、動画撮影ボタン16や静止画撮影ボタン15を操作して撮影を行う。
【0026】
また、電気を消耗したバッテリ20は、図1に示すように、指でつまんで筐体11から取り外し、充電することができる。具体的には、筐体11の後部には、図2及び図3に示すバッテリロック機構110が設けられている。このバッテリロック機構110は、バッテリ取付け部材111及びロック解除スイッチ112を備えており、バッテリ取付け部材111にバッテリ20が取り付けられ、ロックされる。そして、ロック解除スイッチ112によってロックを解除すれば、バッテリ20を指でつまんでバッテリ取付け部材111から取り外せるようになる。
なお、バッテリ取付け部材111は、筐体11に取り付ける別部材として構成することも、筐体11の一部として筐体11と一体的に構成することもできる。
【0027】
図4は、本発明のバッテリロック機構の一実施形態としての、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構110に取り付けられるバッテリ20を示す斜視図である。
図5は、本発明のバッテリロック機構の一実施形態としての、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構110におけるバッテリ取付け部分を示す斜視図である。
図6は、本発明のバッテリロック機構の一実施形態としての、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構110におけるバッテリ取付け部分を示す斜視図である。
【0028】
図4に示すように、バッテリ20の取付け側には、両端部にそれぞれ3つ(合計6つ)のツメ20aが予め備わっている。一方、図5及び図6に示すように、バッテリ取付け部材111には、バッテリ取付け面111aの両端部に係止壁111bが設けられている。そして、各係止壁111bには、バッテリ20の各ツメ20aに対応するように、それぞれ3つ(合計6つ)の係止片111cが設けられている。そのため、各係止片111cの横の開口部に各ツメ20aを挿入し、各係止片111cに向けてバッテリ20をバッテリ取付け面111aに平行に移動させれば、各ツメ20aが各係止片111cに引っ掛かり、バッテリ20が固定される。
【0029】
ここで、バッテリ取付け部材111に固定されたバッテリ20(係止片111cに引っ掛かったツメ20a)が撮影者の意図に反して外れないように、ロック片113が設けられている。このロック片113は、バッテリ取付け面111aから突出し、ツメ20aの動きを規制する。そのため、バッテリ20の固定状態が保持されるようにツメ20aがロックされることとなる。また、ロック片113は、ロック解除スイッチ112の操作によって引っ込むようになっている。したがって、ロック解除スイッチ112を操作すれば、バッテリ20のロックを解除できる。
【0030】
<1.第1の実施の形態>
[バッテリロック機構の構成例]

図7は、本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構110の構造を示す側面図であり、バッテリ20のロック状態を示している。
図8は、本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構110の構造を示す平面図であり、バッテリ20のロック状態を示している。
【0031】
図7に示すように、第1の実施の形態のバッテリロック機構110は、バッテリ20を取り付けるためのバッテリ取付け部材111を備えている。そして、バッテリ取付け部材111には、3つの係止片111cが設けられている。さらに、図8に示すように、バッテリ20の側面20dの両側は、係止壁111bによって囲まれるようになっている。
【0032】
また、バッテリ取付け部材111の一端部には、バッテリ取付け面111aに平行な方向(図7では上下方向)に移動可能なロック解除スイッチ112が設置されている。さらにまた、ロック解除スイッチ112の上部には、バッテリ取付け面111aに直交する方向(図7では左右方向)に移動可能なロック片113が設置されている。
【0033】
このロック解除スイッチ112は、コイルバネ114(本発明におけるロック解除用弾性体に相当)により、ロック片113に当接させない方向(図7では下向き)に付勢されている。また、ロック片113は、ロック解除スイッチ112の上下動に連動して左右に移動し、バッテリ取付け面111aにリブ113a(本発明におけるロック部に相当)を出し入れできるようになっている。さらにまた、ロック片113は、板バネ115(本発明におけるロック用弾性体に相当)により、バッテリ取付け面111aからリブ113aが飛び出す方向に付勢されている。
【0034】
一方、バッテリ20には、下向きの係止片111cに対応する上向きのツメ20aが設けられている。そして、係止片111cにツメ20aが引っ掛かった状態で、リブ113aがツメ20aの下に飛び出すことで、バッテリ20のロック状態となる。具体的には、最初に、ツメ20aをリブ113aに当接させ、板バネ115の付勢に反してリブ113aを押し込む。その後、リブ113aを押し込んだ状態で、バッテリ20を上向きに移動させ、係止片111cにツメ20aを引っ掛ける。係止片111cとツメ20aとが完全に引っ掛かった状態になると、板バネ115の付勢によってリブ113aがツメ20aの下に飛び出し、バッテリ20がロックされる。
【0035】
ここで、バッテリ20の落下方向(底面20cに向かう方向)の動きは、リブ113aによるツメ20aの下支えによって規制される。また、バッテリ20の引抜き方向(背面20eに向かう方向)及びバッテリ20の持上げ方向(上面20bに向かう方向)の動きは、ツメ20aと係止片111cとの引っ掛かりによって規制される。そのため、ツメ20aは、2方向を規制する役割を担う。さらにまた、バッテリ20の左右方向(側面20dに向かう方向)の動きは、係止壁111bによって規制される。これにより、バッテリ20は、バッテリ取付け部材111に固定されることとなる。
なお、リブ113aによって下支えされるツメ20aは、バッテリ20に予め備わっていればどれでもよい(第1の実施の形態のバッテリロック機構110では中段のツメ20aを採用)。
【0036】
図9は、本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構110を構成するバッテリ取付け部材111を示す斜視図である。
図10は、本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構110を構成するロック解除スイッチ112を示す斜視図である。
図11は、本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構110を構成するロック片113を示す斜視図である。
【0037】
図9に示すように、バッテリ取付け部材111には、形状の異なる4つのガイドリブ111d,111e,111f,111gが設けられている。そして、ガイドリブ111dとガイドリブ111eとの間は、コイルバネ114(図7参照)を配置するためのスペースとなっている。さらに、ガイドリブ111f,111gに囲まれた範囲には、ガイドリブ111gに沿って、ロック用開口111hが形成されている。
【0038】
また、図10に示すように、ロック解除スイッチ112には、長さの異なる2つのガイド溝112a,112bが設けられている。そして、ガイド溝112aとガイド溝112bの間には、ボス112cが設けられており、ボス112cの反対側には、スイッチ部112dが形成されている。さらに、ガイド溝112aの先には、傾斜面112eが形成されている。
【0039】
さらにまた、図11に示すように、ロック片113には、リブ113aが設けられており、リブ113aの長さ方向の端面は、曲面113b(本発明における曲面部に相当)となっている。さらに、ロック片113には、向きの異なる2つのガイド穴113c,113dが形成されており、ガイド穴113dの先は、傾斜面113eとなっている。
【0040】
図12は、本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構110において、図9に示すバッテリ取付け部材111に、図10に示すロック解除スイッチ112、及び図11に示すロック片113を取り付けた状態を示す斜視図である。
図13は、本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構110において、図12に示す状態に、さらに板バネ115を取り付けてバッテリロック機構110とした状態を示す斜視図である。
図14は、本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構110の主要部を示す側面図であり、バッテリ20のロック状態を示している。
【0041】
図12に示すように、バッテリ取付け部材111にロック解除スイッチ112を取り付けるには、バッテリ取付け部材111のガイドリブ111d,111e(図9参照)にロック解除スイッチ112のガイド溝112a,112b(図10参照)を嵌め込む。そして、ボス112c(図10参照)にコイルバネ114の一端部を挿入して取り付ける。そのため、ロック解除スイッチ112は、スイッチ部112d(図10参照)がバッテリ取付け部材111から飛び出すように付勢されるとともに、ガイドリブ111d,111eに沿って一定の範囲内を移動できるようになる。これにより、ロック解除スイッチ112は、プッシュ式のスイッチとして機能する。
【0042】
また、バッテリ取付け部材111にロック片113を取り付けるには、バッテリ取付け部材111のガイドリブ111f,111gにロック片113のガイド穴112c,112d(図11参照)を嵌め込む。同時に、バッテリ取付け部材111のロック用開口111h(図9参照)にロック片113のリブ113a(図11参照)を挿入する。そして、図14の下図に示すように、ロック解除スイッチ112の傾斜面112eの上にロック片113の傾斜面113eを重ね合わせる。
【0043】
したがって、ロック片113は、ガイドリブ111f,111g(図12参照)に沿って、ロック解除スイッチ112の移動方向と直交する方向に移動できるようになる。具体的には、コイルバネ114(図12参照)の付勢力に反して、ロック解除スイッチ112をバッテリ取付け部材111の内部に向けて押し込む。これにより、ロック解除スイッチ112の傾斜面112e(図14参照)がロック片113の傾斜面113e(図14参照)を押し上げるように作用する。その結果、ロック片113は、バッテリ20(図14参照)から離れる方向に移動することとなる。
【0044】
ここで、図13に示すように、バッテリ取付け部材111には、さらに板バネ115が取り付けられる。板バネ115は、バッテリ取付け部材111にフレーム部115aを固定することによって取り付けられる。このフレーム部115aは、構造上の補強や電気的なGND接続用途で必要であり、例えば、フレーム部115aにネジ穴を設けてバッテリ取付け部材111側からネジ止めされる。
なお、フレーム部115aの固定は、逆に、バッテリ取付け部材111にネジ穴を設けてフレーム部115a側からネジ止めしてもよく、お互いに嵌まり合うツメ等の嵌合構造を用いてもよい。
【0045】
また、フレーム部115aの固定によって板バネ115がロック片113に当接し、ガイドリブ111f,111gからロック片113が不用意に外れることが防止される。さらにまた、板バネ115は、バッテリ取付け部材111のロック用開口111h(図9参照)からリブ113a(図14参照)が飛び出すようにロック片113を付勢する。さらに、カバー部115bにより、ロック解除スイッチ112及びコイルバネ114(図12参照)が外れることが防止される。
【0046】
このように、第1の実施の形態のバッテリロック機構110は、バッテリ取付け部材111、ロック解除スイッチ112、ロック片113、コイルバネ114、及び板バネ115によって構成されている。そして、図14に示すように、ロック片113により、係止片111cに対するバッテリ20の引っ掛かりの外れが阻止される。言いかえれば、バッテリ取付け部材111の係止片111cとロック片113のリブ113aとによってバッテリ20のツメ20aを挟み込むことで、バッテリ20がロックされた状態となる。
【0047】
また、ロック片113は、板バネ115によって常にバッテリ20に向けて付勢されている。そのため、ロック片113が静止位置で止まる前にツメ20aに当接するようにすれば、図14に示すバッテリ20のロック状態において、バッテリ20の引抜き方向(図14では左右方向)のがたつきを抑制できる。
なお、ロックされたバッテリ20は、ロック解除スイッチ112の操作によって簡単に取り外すことができる。
【0048】
図15は、本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構110の構造を示す側面図であり、バッテリ20のロック解除状態を示している。
図16は、本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構110の主要部を示す側面図であり、バッテリ20のロック解除状態を示している。
【0049】
バッテリ20のロック状態を解除するには、図15に示すように、バッテリ取付け部材111のバッテリ取付け面111aに平行に(図15及び図16では上方に)ロック解除スイッチ112を押し込む。この際、ロック解除スイッチ112は、コイルバネ114の付勢力及び板バネ115の付勢力に反して押し込む必要がある。これにより、ロック解除スイッチ112の傾斜面112e(図16下図参照)がロック片113の傾斜面113e(図16下図参照)を押すように作用する。
【0050】
ここで、ロック解除スイッチ112を押した力のベクトルは、ロック片113の傾斜面113eによって分散される。そのため、ロック片113は、ロック解除スイッチ112の移動方向(バッテリ取付け面111aに平行な方向、図15及び図16では上方向)と直交する方向(バッテリ取付け面111aに直交する方向、図15及び図16では左方向)に移動する。その結果、バッテリ20のツメ20aが係止片111cから抜け出さないように飛び出ていたリブ113aが引っ込むようになる。
【0051】
ただし、このロック解除状態では、リブ113aは、完全には引っ込まない。具体的には、ロック解除スイッチ112の傾斜面112e(図16下図参照)がロック片113の傾斜面113e(図16下図参照)を押し切ると、ロック片113の下に傾斜面112eが潜り込むようになる。そして、バッテリ取付け部材111のバッテリ取付け面111aからロック片113のリブ113aの曲面113b(図16上図参照)だけが飛び出した状態となる。その結果、バッテリ20のツメ20aとリブ113aの曲面113bとが当接するようになる。
【0052】
このように、バッテリロック機構110は、ロック解除スイッチ112を最後まで押し込み、バッテリ取付け面111aから飛び出したロック片113を引っ込める方向に移動させたときに、リブ113aをバッテリ取付け面111aから引っ込ませる。そして、曲面113b(図16上図参照)だけをバッテリ取付け面111aから飛び出させた状態で残す。
【0053】
したがって、リブ113aによるバッテリ20の完全なロックは解除されるが、ツメ20aとロック片113との間には、依然として曲面113bの分だけ引っ掛け量が残っている。そのため、バッテリ20のツメ20aがバッテリ取付け部材111の係止片111cに引っ掛かった状態で維持される。これにより、バッテリ20の自然落下が防止され、バッテリ20が不用意に外れてしまうことがなくなる。その結果、安全性に優れたバッテリロック機構110が実現されることとなる。また、このような自然落下防止機能は、ロック片113の形状調整だけで実現されているため、1つのロック片113だけの少ない部品点数及び組立て工数で、ロック機能と自然落下防止機能とを兼用できるようになっている。
【0054】
図17は、本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構110の構造を示す側面図であり、バッテリ20の取外し状態を示している。
図18は、本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構110の主要部を示す側面図であり、バッテリ20の取外し状態を示している。
【0055】
バッテリ20を取り外すには、図17に示すように、ロック解除スイッチ112を押した状態を保ったままでバッテリ20に外力を加え、バッテリ取付け部材111のバッテリ取付け面111aに平行に(図17及び図18では下方に)バッテリ20を移動させる。これにより、バッテリ20のツメ20aがロック片113のリブ113aの曲面113b(図18上図参照)を押し、この力の作用点における力のベクトルの分散によってリブ113aが押し込まれる。具体的には、力のベクトルがツメ20aと曲面113bとの接点における接線の法線方向となり、その分散された力がリブ113aを押し込む方向に作用する。その結果、リブ113aは、バッテリ取付け面111aの内側にさらに引っ込むこととなる。そして、この状態では、バッテリ20を係止するものが何もなくなる。したがって、ロック状態が完全に解消され、バッテリ取付け部材111からバッテリ20を完全に取り外すことができるようになる。
【0056】
逆に、バッテリ20の取付けに際しては、バッテリ取付け面111aから突出していたリブ113aをバッテリ20のツメ20aで押し込んで図17及び図18に示す状態とする。その後、バッテリ取付け面111aに平行に(図17及び図18では上方に)バッテリ20を移動させ、ツメ20aを係止片111cに突き当てる。これにより、板バネ115によって付勢されているロック片113がバッテリ取付け面111aから飛び出して図7及び図14に示す状態に自然に復帰し、ロックが自動的に完了する。
なお、ロック片113がバッテリ取付け面111aから飛び出すときの力は、ロック解除スイッチ112に伝わらない。そのため、バッテリ20の取付け動作によってロック解除スイッチ112が動くことはない。
【0057】
図19は、本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第1の実施の形態)としての、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構110におけるバッテリ20の取外し手順を示すフローチャートである。
【0058】
図19に示すように、バッテリ20の取外し手順の最初のステップS11では、ロック解除スイッチ112を押す。このロック解除スイッチ112は、一定の範囲内を移動できるように設けられており、バッテリ20を取り外すには、最後までロック解除スイッチ112が押し込まれる必要がある。したがって、次のステップS12においては、ロック解除スイッチ112が行き止まりまで押された状態にならなければ、その次のステップS13に進まない。
【0059】
ロック解除スイッチ112が行き止まりまで押されると、ステップS13において、ロック片113によるバッテリ20のロックが解除される。ただし、ステップS13の段階では、図18に示すように、バッテリ20のツメ20aとリブ113aの曲面113bとが当接している。そのため、バッテリ20の自重による自然落下が防止されることとなる。そして、次のステップS14で、バッテリ20を手で持って移動させることにより、リブ113aがバッテリ取付け面111aの内側に引っ込む。したがって、ステップS15では、ロック片113によるバッテリ20のロックが完全に外れ、最後のステップS16において、バッテリ20が安全に取り外されることとなる。
【0060】
また、本発明のバッテリロック機構110は、図17に示すように、ロック解除スイッチ112の動作方向とロック片113の動作方向とが直交するように構成されているので、ロック解除スイッチ112の動作領域が狭くなり、ビデオカメラ10を小型化できる。
次に、ビデオカメラ10の小型化が可能である点に関し、本発明のバッテリロック機構110に対する比較例に基づいて説明する。
【0061】
図24は、比較例のバッテリロック機構210の構造を示す側面図であり、バッテリ20のロック状態を示している。
図25は、比較例のバッテリロック機構210の構造を示す側面図であり、バッテリ20のロック解除状態を示している。
図26は、比較例のバッテリロック機構210の構造を示す側面図であり、バッテリ20の取外し状態を示している。
【0062】
図24に示すように、比較例のバッテリロック機構210のバッテリ取付け部材211には、複数の固定係止片211aが設けられている。そして、バッテリ20の各ツメ20aを各固定係止片211aに引っ掛けるとともに、バッテリ20の底面20cをロックスイッチ212で下支えすることによってバッテリ20をロックする。
なお、ロックスイッチ212は、ロックバネ213により、バッテリ20の底面20c側に飛び出すように付勢されている。また、バッテリ取付け部材211には、ロック状態のツメ20aに当接する可動係止片214も設けられている。
【0063】
このような比較例のバッテリロック機構210において、ロックバネ213の付勢に反してロックスイッチ212を押し込むと、図25に示すロック解除状態となる。ロック解除状態のバッテリ20では、係止バネ215によって付勢された可動係止片214により、最下段のツメ20aのみが支えられる。そのため、ロックを解除しても、バッテリ20の自然落下が防止されている。
【0064】
続いて、このロック解除状態(ロックスイッチ212を押し込んだ状態)からバッテリ20を取り外すには、バッテリ20を取外し方向(図25では下方)に、バッテリ20の自重よりも大きい力で移動させる。これにより、図26に示すように、可動係止片214がバッテリ取付け部材211の内部に押し込まれ、バッテリ20の取外し状態となる。したがって、図26等に示す比較例のバッテリロック機構210によれば、図30等に示す従来例のバッテリロック機構310のように、バッテリ20を回転させることなく取り外すことができる。
【0065】
しかし、比較例のバッテリロック機構210は、ロックスイッチ212を押し込んだときの逃げ構造やロックバネ213の存在により、バッテリ取付け部材211と直交する方向の必要領域が広くなってしまう。そのため、スペース効率が悪く、小型化にも不向きな構造となる。
【0066】
一方、図17等に示す本発明のバッテリロック機構110は、ロック解除スイッチ112の動作方向がバッテリ取付け部材211と平行する方向であるので、スペース効率が向上し、小型化にも有利な構造となっている。また、図30等に示す従来例のバッテリロック機構310のように、複数の連動係止片313を動作させて係止する場合と比較しても、構成が簡略化され、小型化を促進できる。
【0067】
<2.第2の実施の形態>
[バッテリロック機構の構成例]

図20は、本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第2の実施の形態)としての、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構120の主要部を示す側面図であり、バッテリ20のロック状態、バッテリ20のロック解除状態、及びバッテリ20の取外し状態を示している。
【0068】
図20に示すように、第2の実施の形態のバッテリロック機構120は、ロック片123のリブ123aの先端側に傾斜面123bが形成され、傾斜面123bの先端側にさらに急傾斜の傾斜面123c(本発明における傾斜部に相当)が形成されている。ここで、傾斜面123cは、図20の中図に示すように、バッテリ20のロック解除状態でツメ20aに当接する。そのため、図15に示す第1の実施の形態のバッテリロック機構110におけるバッテリ20のロック解除状態と同様に、バッテリ20の自然落下を防止する。そして、バッテリ20に外力を加え、バッテリ取付け部材121に平行に(図20では下方に)バッテリ20を移動させれば、図20の下図に示すように、ツメ20aによってロック片123がバッテリ取付け部材121の内部に押し込まれ、バッテリ20の取外し状態となる。
【0069】
このように、第2の実施の形態のバッテリロック機構120は、バッテリ20のロック解除状態から取外し状態にかけては、第1の実施の形態のバッテリロック機構110(図15参照)と同様に機能し、曲面113b(図16参照)を傾斜面123cに変えて形状を簡略化している。
【0070】
しかし、第2の実施の形態のバッテリロック機構120では、傾斜面123bも形成されている。この傾斜面123bは、バッテリ20に大きな外力が作用した際に、ツメ20aやリブ123aの破壊を防止する。具体的には、バッテリ20に大きな外力が加わり、図20の上図に示す状態にあるツメ20aによって傾斜面123bが押されると、傾斜面123bの傾斜分だけ力のベクトルが分散され、リブ123aがバッテリ取付け部材121の内部に押し込まれる。そのため、ロック状態が強制的に解除され、図20の中図に示す状態となる。その結果、大きい荷重や衝撃による破壊から逃れることができるようになるのである。
なお、傾斜面123bの傾斜角やロック片123を付勢するロック解除用弾性体(図7に示す第1の実施の形態のバッテリロック機構110におけるコイルバネ114に相当)の付勢力は、バッテリ20をロックするための本来の機能を十分果たし、かつツメ20aやリブ123aの破壊を防止できるように調整されている。
【0071】
<3.第3〜5の実施の形態>
[バッテリロック機構の構成例]

図21は、本発明のバッテリロック機構の一実施形態としての、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構130,140,150の主要部を示す側面図であり、第3の実施の形態、第4の実施の形態、及び第5の実施の形態を示している。
【0072】
図21に示すように、第3の実施の形態のバッテリロック機構130は、ロック解除スイッチ132のロック片133との当接箇所を曲面132aとし、ロック片133のロック解除スイッチ132との当接箇所を傾斜面133aとしている。
また、第4の実施の形態のバッテリロック機構140は、ロック解除スイッチ142のロック片143との当接箇所を曲面142aとし、ロック片143のロック解除スイッチ142との当接箇所も曲面143aとしている。
さらにまた、第5の実施の形態のバッテリロック機構150は、ロック解除スイッチ152のロック片153との当接箇所を傾斜面152aとし、ロック片153のロック解除スイッチ152との当接箇所を曲面153aとしている。
【0073】
このように、ロック解除スイッチ132,142,152とロック片133,143,153との当接箇所は、ロック片133等の移動方向をロック解除スイッチ132等の移動方向と直交する方向に変換できれば、各種の形状を組み合わせることができる。
なお、第1の実施の形態のバッテリロック機構110(図7参照)では、傾斜面同士の当接としている。
【0074】
<4.第6の実施の形態>
[バッテリロック機構の構成例]

図22は、本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第6の実施の形態)としての、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構160の主要部を示す側面図である。
図23は、本発明のバッテリロック機構の一実施形態(第6の実施の形態)としての、ビデオカメラ10用のバッテリロック機構160におけるバッテリ20の取外し手順を示すフローチャートである。
【0075】
図22及び図23に示す第6の実施の形態のバッテリロック機構160は、バッテリ20の取外し動作を容易した構造である。具体的には、近年のビデオカメラ10(図1参照)の小型化に伴い、ロック解除スイッチ162も小型化され、配置される位置も制約を受けるようになっている。そのため、ロック解除スイッチ162に指を掛けた状態でバッテリ20の取外し動作を行うと、その指が邪魔になってバッテリ20の取外しが困難になる傾向がある。
【0076】
そこで、第6の実施の形態のバッテリロック機構160では、ロック解除スイッチ162を行き止まりまで押し込むと、その位置でロック解除スイッチ162が静止する構造となっている。具体的には、第6の実施の形態のバッテリロック機構160は、ロック解除スイッチ162をロック片163に当接させない方向(図22では下向き)に付勢するロック解除用弾性体(図7に示す第1の実施の形態のバッテリロック機構110におけるコイルバネ114に相当)を備えている。また、ロック解除用弾性体の付勢力に反して、ロック解除スイッチ162を移動させ、バッテリ取付け面から飛び出したロック片163を引っ込める方向に移動させたときに、ロック解除スイッチ162をその移動位置に保持するスイッチ保持部を備えている。
【0077】
このスイッチ保持部は、ロック片163の曲面部(図18に示す第1の実施の形態のバッテリロック機構110における曲面113bに相当)をバッテリ取付け面から引っ込ませたときに、ロック解除スイッチ162の保持を解除するように設けられている。具体的には、スイッチ保持部は、図22に示すように、ロック解除スイッチ162の山部162b及び谷部162c、ロック片163の山部163b及び谷部163cによって構成されている。そのため、山部162bと谷部163c、谷部162cと山部163bとが嵌まり合うことにより(図22下図参照)、ロック解除スイッチ162から指を離した状態でバッテリ20の取外し動作ができるようになる。
【0078】
バッテリ20の取外し手順としては、図23に示すように、最初のステップS21でロック解除スイッチ162を押す。このロック解除スイッチ162は、一定の範囲内を移動できるように設けられており、バッテリ20を取り外すには、最後までロック解除スイッチ162が押し込まれる必要がある。したがって、次のステップS22においては、ロック解除スイッチ162が行き止まりまで押された状態にならなければ、その次のステップS23に進まない。
【0079】
このようなステップS21及びS22を図22に基づいて説明すると、ステップS21でロック解除スイッチ162を押せば(図22上図の上向き矢印参照)、ロック解除スイッチ162の傾斜面162aとロック片163の傾斜面162aとの作用により、ロック片163が持ち上げられながら移動する(図22上図の左向き矢印参照)。ここで、ロック片163は、ロック用弾性体(図7に示す第1の実施の形態のバッテリロック機構110における板バネ115に相当)によってロック解除スイッチ162に向かう方向に付勢されている(図22中図の右向き矢印参照)。そのため、図22上図の状態から図22中図を経て図22下図の状態に至り、山部162bと谷部163c、谷部162cと山部163bとが嵌まり合ってロック解除スイッチ162が行き止まりまで押された状態となる(ステップS22)。
【0080】
ロック解除スイッチ162が行き止まりまで押されると、ステップS23において、ロック片163によるバッテリ20のロックが解除される。また、ロック用弾性体の付勢力(図22中図の右向き矢印の大きさ)は、ロック片163の山部163bの傾斜面から山部162bの傾斜面を通してロック解除スイッチ162を上向きに付勢する力に変換される。そして、この上向きの付勢力は、ロック解除用弾性体の付勢力(図22下図の下向き矢印の大きさ)よりも強く設定されている。そのため、ロック解除スイッチ162を押していた指を離しても、ロック解除スイッチ162は、押される前の位置に戻らない。
なお、ロック用弾性体の付勢力とロック解除用弾性体の付勢力との関係は、両者の付勢力の調整の他、山部162bや山部163bの形状によっても調整できる。
【0081】
したがって、ステップS24では、ロック解除スイッチ162から指を離した状態で、バッテリ20を手で持って移動させることができる。これにより、ロック片163は、バッテリ20によってバッテリ取付け面の内側に引っ込む方向に押され(図22下図の左向き矢印参照)、距離Lよりも大きく移動する。その結果、ステップS25では、ロック片163によるバッテリ20のロックが完全に外れ、ステップS26において、バッテリ20が安全に取り外されることとなる。
【0082】
また、バッテリ取付け面の内側に引っ込むロック片163は、距離Lよりも大きく移動するように設定されているので、山部162bと谷部163c、谷部162cと山部163bとの嵌合が外れる。その結果、ステップS27において、ロック解除用弾性体(図7に示す第1の実施の形態のバッテリロック機構110におけるコイルバネ114に相当)によって付勢されたロック解除スイッチ162が元の位置(図22上図の状態)に戻ることとなる。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、以下のような種々の変形が可能である。例えば、
(1)実施形態では、電子機器として、ビデオカメラ10を例に挙げて説明したが、これに限らず、デジタルカメラ、携帯電話、ノート型パソコン、携帯型のゲーム機等の各種の電子機器にも適用できる。
【0084】
(2)実施形態では、ロック用弾性体を板バネ115としているが、コイルバネを使用したり、バッテリ取付け部材に一体的に形成した梁等の弾性体を利用するようにしてもよい。また、実施形態では、ロック解除スイッチ112及びロック片113をバッテリ取付け部材111に嵌め込んで移動方向を規制しているが、両者の移動方向は、別部材を設ける等して規制してもよい。
【符号の説明】
【0085】
10 ビデオカメラ(電子機器)
20 バッテリ
110 バッテリロック機構
111 バッテリ取付け部材
111a バッテリ取付け面
111c 係止片
112 ロック解除スイッチ
113 ロック片
113a リブ(ロック部)
113b 曲面(曲面部)
114 コイルバネ(ロック解除用弾性体)
115 板バネ(ロック用弾性体)
120 バッテリロック機構
121 バッテリ取付け部材
123 ロック片
123a リブ(ロック部)
123c 傾斜面(傾斜面部)
130 バッテリロック機構
132 ロック解除スイッチ
132a 曲面
133 ロック片
133a 傾斜面
140 バッテリロック機構
142 ロック解除スイッチ
142a 曲面
143 ロック片
143a 曲面
150 バッテリロック機構
152 ロック解除スイッチ
152a 傾斜面
153 ロック片
153a 曲面
160 バッテリロック機構
162 ロック解除スイッチ
162b 山部(スイッチ保持部)
162c 谷部(スイッチ保持部)
163 ロック片
163b 山部(スイッチ保持部)
163c 谷部(スイッチ保持部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを取り付けるためのバッテリ取付け部材と、
前記バッテリ取付け部材に設けられ、前記バッテリ取付け部材のバッテリ取付け面に平行に前記バッテリを移動させたときに、前記バッテリを引っ掛けて固定するための係止片と、
前記バッテリ取付け面に直交する方向に移動可能に設けられ、前記バッテリ取付け面から飛び出す方向に移動したときに、前記係止片に対する前記バッテリの引っ掛かりの外れを阻止するロック片と、
前記ロック片を前記バッテリ取付け面から飛び出す方向に付勢するロック用弾性体と、
前記バッテリ取付け面に平行な方向に移動可能に設けられ、前記ロック片に当接する方向に移動したときに、前記ロック用弾性体の付勢力に反して、前記バッテリ取付け面から飛び出した前記ロック片を引っ込める方向に移動させるロック解除スイッチと
を備える
バッテリロック機構。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリロック機構において、
前記ロック片は、
前記バッテリ取付け面から飛び出す方向に移動したときに、前記係止片に対する前記バッテリの引っ掛かりの外れを阻止するロック部と、
前記ロック部の飛出し方向の先端に設けられた曲面部又は傾斜面部と
を備え、
前記ロック解除スイッチは、前記バッテリ取付け面から飛び出した前記ロック片を引っ込める方向に移動させたときに、前記ロック部を前記バッテリ取付け面から引っ込ませ、前記曲面部又は前記傾斜面部を前記バッテリ取付け面から飛び出した状態で残すように設けられている
バッテリロック機構。
【請求項3】
請求項2に記載のバッテリロック機構において、
前記ロック解除スイッチを前記ロック片に当接させない方向に付勢するロック解除用弾性体と、
前記ロック解除用弾性体の付勢力に反して、前記ロック解除スイッチを移動させ、前記バッテリ取付け面から飛び出した前記ロック片を引っ込める方向に移動させたときに、前記ロック解除スイッチをその移動位置に保持するスイッチ保持部と
を備え、
前記スイッチ保持部は、前記ロック片の前記曲面部又は前記傾斜面部を前記バッテリ取付け面から引っ込ませたときに、前記ロック解除スイッチの保持を解除するように設けられている
バッテリロック機構。
【請求項4】
請求項1に記載のバッテリロック機構において、
前記ロック片の前記ロック解除スイッチとの当接箇所は、曲面又は傾斜面に形成されており、
前記ロック解除スイッチの前記ロック片との当接箇所は、曲面又は傾斜面に形成されいる
バッテリロック機構。
【請求項5】
電子部品を内部に配置した筐体と、
前記筐体にバッテリを取り付けるためのバッテリ取付け部材と、
前記バッテリ取付け部材に設けられ、前記バッテリ取付け部材のバッテリ取付け面に平行に前記バッテリを移動させたときに、前記バッテリを引っ掛けて固定するための係止片と、
前記バッテリ取付け面に直交する方向に移動可能に設けられ、前記バッテリ取付け面から飛び出す方向に移動したときに、前記係止片に対する前記バッテリの引っ掛かりの外れを阻止するロック片と、
前記ロック片を前記バッテリ取付け面から飛び出す方向に付勢するロック用弾性体と、
前記バッテリ取付け面に平行な方向に移動可能に設けられ、前記ロック片に当接する方向に移動したときに、前記ロック用弾性体の付勢力に反して、前記バッテリ取付け面から飛び出した前記ロック片を引っ込める方向に移動させるロック解除スイッチと
を備える
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2011−258444(P2011−258444A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132931(P2010−132931)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】