説明

バッテリー管理装置及びバッテリー管理方法

【課題】個体識別ができない充電式のバッテリーに対して、充放電動作や交換時期等を適切に管理することができ、ユーザにとっての取り扱いを便利にし、実用に適し得るようにしたバッテリー管理装置及びバッテリー管理方法を提供すること。
【解決手段】実施の形態によれば、バッテリー管理装置は、計時手段と判定手段とを備える。計時手段は、バッテリーの出力電圧が、当該バッテリーが供給する直流電圧で機器を駆動することが要求されてから、当該バッテリーが放電を停止すべき電圧である放電停止電圧に下がるまでの放電時間を計時する。判定手段は、計時手段で計時された放電時間が、バッテリーを新品と判断するために設定された所定時間以上である場合、当該バッテリーを新品と判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施の形態は、個体識別ができない充電式のバッテリーを管理するバッテリー管理装置及びバッテリー管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、近年では、携帯用に限らず据置型の電子機器にも充電式のバッテリーを搭載し、電力需要に余裕のある時間帯にバッテリーを充電しておき、電力消費量のピークとなる時間帯にバッテリーの電力で電子機器を駆動することにより、電力消費量の多い時間帯をシフトして電力需要の分散化を図ることが考えられている。
【0003】
ところで、バッテリーには、固有の識別情報が付与されて個体識別が可能となされたものと、個体識別ができないものとがある。このうち、個体識別が可能なバッテリーは、識別情報に対応させて充放電に関する履歴情報の保存が可能なため、バッテリーの性能の劣化具合から交換時期等を決定することができる。
【0004】
これに対し、個体識別ができないバッテリーでは、充放電に関する履歴情報を保存することができないため、性能の劣化具合を把握して交換時期を決定することが困難になっている。現状では、ユーザが、例えば充放電の周期が短くなってきたことを感じて、バッテリーの交換時期を決定しているのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−134847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
個体識別ができない充電式のバッテリーに対して、充放電動作や交換時期等を適切に管理することができ、ユーザにとっての取り扱いを便利にし、実用に適し得るようにしたバッテリー管理装置及びバッテリー管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態によれば、バッテリー管理装置は、計時手段と判定手段とを備える。計時手段は、バッテリーの出力電圧が、当該バッテリーが供給する直流電圧で機器を駆動することが要求されてから、当該バッテリーが放電を停止すべき電圧である放電停止電圧に下がるまでの放電時間を計時する。判定手段は、計時手段で計時された放電時間が、バッテリーを新品と判断するために設定された所定時間以上である場合、当該バッテリーを新品と判断する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置の一例を説明するために示す外観図。
【図2】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置の信号処理系の一例を概略的に説明するために示すブロック構成図。
【図3】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置に備えられた電源部の一例を説明するために示すブロック構成図。
【図4】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置に使用されるバッテリーの放電特性の一例を説明するために示す特性図。
【図5】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置が行なうバッテリーの放電時間を計時する処理動作の一例の一部を説明するために示すフローチャート。
【図6】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置が行なうバッテリーの放電時間を計時する処理動作の一例の残部を説明するために示すフローチャート。
【図7】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置が行なうバッテリーの軽負荷時の放電時間を計時する処理動作の一例の一部を説明するために示すフローチャート。
【図8】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置が行なうバッテリーの軽負荷時の放電時間を計時する処理動作の一例の残部を説明するために示すフローチャート。
【図9】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置が行なう主要な処理動作の一例の一部を説明するために示すフローチャート。
【図10】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置が行なう主要な処理動作の一例の他の一部を説明するために示すフローチャート。
【図11】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置が行なう主要な処理動作の一例の残部を説明するために示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1(a)は、この実施の形態で説明するデジタルテレビジョン放送受信装置11を正面側から見た一例を示している。このデジタルテレビジョン放送受信装置11は、薄型のキャビネット12と、このキャビネット12を起立させて支持する支持台13とから構成されている。
【0010】
そして、上記キャビネット12には、その正面中央部に映像表示部としての映像表示パネル14が配置されている。また、このキャビネット12には、その正面下部に、一対のスピーカ15,15と、主電源スイッチ16aを含む操作部16と、リモートコントローラ17から送信される操作情報を受信するための受光部18とが配置されている。
【0011】
図1(b)は、上記デジタルテレビジョン放送受信装置11を背面側から見た一例を示している。この場合、上記キャビネット12には、その背面側の下部にバッテリー装着部19が設けられている。このバッテリー装着部19には、充電可能なバッテリー(図示せず)が着脱自在に装着されるようになっている。
【0012】
そして、上記デジタルテレビジョン放送受信装置11は、このバッテリー装着部19に装着されたバッテリーに対して充電を行なうことができる。また、上記デジタルテレビジョン放送受信装置11は、このバッテリー装着部19に装着されたバッテリーからの供給電力を受けて駆動される。
【0013】
図2は、上記デジタルテレビジョン放送受信装置11の信号処理系の一例を概略的に示している。すなわち、アンテナ20で受信したデジタルテレビジョン放送信号は、入力端子21を介してチューナ部22に供給されることにより、所望のチャンネルの放送信号が選局される。
【0014】
このチューナ部22で選局された放送信号は、復調復号部23に供給されてデジタルの映像信号及び音声信号等に復元された後、信号処理部24に出力される。この信号処理部24は、復調復号部23から供給されたデジタルの映像信号及び音声信号に対してそれぞれ所定のデジタル信号処理を施している。
【0015】
そして、この信号処理部24は、デジタルの映像信号を合成処理部25に出力し、デジタルの音声信号を音声処理部26に出力している。このうち、合成処理部25は、信号処理部24から供給されるデジタルの映像信号に、OSD(on screen display)信号を重畳して出力している。
【0016】
この合成処理部25から出力されたデジタルの映像信号は、映像処理部27に供給されて所定のフォーマットのアナログ映像信号に変換された後、例えば液晶等で構成された上記映像表示パネル14上での映像形成に供される。そして、この映像表示パネル14に、LED等を光源とするバックライト28からの照明光が照射されることにより、映像の表示が行なわれる。
【0017】
また、上記音声処理部26は、入力されたデジタルの音声信号を、後段の上記スピーカ15で再生可能なフォーマットのアナログ音声信号に変換している。そして、この音声処理部26から出力されたアナログ音声信号が、スピーカ15に供給されることにより音声再生に供される。
【0018】
ここで、このデジタルテレビジョン放送受信装置11は、上記した各種の受信動作を含むその全ての動作を制御部29によって統括的に制御されている。この制御部29は、CPU(central processing unit)29aを内蔵しており、上記操作部16からの操作情報を受けて、または、上記リモートコントローラ17から送出され受光部18で受信した操作情報を受けて、その操作内容が反映されるように各部をそれぞれ制御している。
【0019】
この場合、制御部29は、メモリ部29bを利用している。このメモリ部29bは、主として、CPU29aが実行する制御プログラムを格納したROM(read only memory)と、該CPU29aに作業エリアを提供するためのRAM(random access memory)と、各種の設定情報及び制御情報等が格納される不揮発性メモリとを有している。
【0020】
また、この制御部29には、HDD(hard disk drive)30が接続されている。この制御部29は、ユーザによる操作部16やリモートコントローラ17の操作に基づいて、上記復調復号部23から得られるデジタルの映像信号及び音声信号を、記録再生処理部31によって暗号化し所定の記録フォーマットに変換した後、HDD30に供給してハードディスク30aに記録させるように制御することができる。
【0021】
さらに、この制御部29は、ユーザによる操作部16やリモートコントローラ17の操作に基づいて、HDD30によりハードディスク30aからデジタルの映像信号及び音声信号を読み出させ、上記記録再生処理部31によって復号化した後、信号処理部24に供給することによって、以後、上記した映像表示及び音声再生に供させるように制御することができる。
【0022】
また、上記記録再生処理部31には、入力端子32が接続されている。この入力端子32は、デジタルテレビジョン放送受信装置11の外部からデジタルの映像信号及び音声信号を直接入力するためのものである。この入力端子32を介して入力されたデジタルの映像信号及び音声信号は、制御部29の制御に基づいて、記録再生処理部31を介した後、信号処理部24に供給されて、以後、上記した映像表示及び音声再生に供される。
【0023】
さらに、この入力端子32を介して入力されたデジタルの映像信号及び音声信号は、制御部29の制御に基づいて、記録再生処理部31を介した後、HDD30によるハードディスク30aに対しての記録再生に供される。
【0024】
また、上記制御部29には、ネットワークインターフェース33が接続されている。このネットワークインターフェース33は、外部のネットワーク回線網34に接続されている。そして、このネットワーク回線網34には、当該ネットワーク回線網34を介した通信機能を利用して各種のサービスを提供するためのネットワークサーバ35が接続されている。
【0025】
このため、制御部29は、ユーザによる操作部16やリモートコントローラ17の操作に基づき、ネットワークインターフェース33及びネットワーク回線網34を介して、ネットワークサーバ35にアクセスして情報通信を行なうことにより、そこで提供しているサービスを利用することができるようになっている。
【0026】
また、上記制御部29には、電源部36が接続されている。この電源部36には、電力会社が家庭向けに配給している商用AC(交流)電力が、電源端子37を介して供給されている。そして、この電源部36は、制御部29の制御に基づいて、電源端子37に供給されたAC電力を元として、デジタルテレビジョン放送受信装置11を構成している各部14〜16,18,22〜31,33等に必要な電力を供給するように機能している。
【0027】
この場合、上記電源部36は、上記したバッテリー装着部19を含んでいる。そして、この電源部36は、制御部29の制御に基づいて、電源端子37を介して供給されるAC電力により、バッテリー装着部19に装着されたバッテリー38を充電したり、このバッテリー38の充電電力を電源端子37に供給されたAC電力に代えて各部に供給したりすることができる。この場合、バッテリー38としては、例えばリチウムイオンバッテリー等が用いられ、個体識別のできないものが想定される。
【0028】
また、上記制御部29は、タイマ29c,29d及び電源制御部29eを備えている。このうち、タイマ29c,29dは、それぞれ、現在時刻の取得や時間経過を計測する計時動作のために利用される。さらに、電源制御部29eは、詳細は後述するが、上記電源部36の動作を制御している。
【0029】
図3は、上記電源部36の一例を示している。この電源部36は、上記電源端子37を介してAC電力が供給される入力端子39を備えている。この入力端子39に供給されたAC電力は、AC(alternating current)−DC(direct current)変換部40に供給される。
【0030】
このAC−DC変換部40は、入力されたAC電力を所定レベルのDC(直流)電力に変換して、バッテリー駆動制御部41に出力している。また、このAC−DC変換部40は、入力端子39にAC電力が供給されている状態か、例えば停電等により入力端子39にAC電力が供給されていない状態かを検出し、その検出結果を示すAC検出信号を生成して、上記バッテリー駆動制御部41に出力している。
【0031】
このバッテリー駆動制御部41は、セレクタ41aにより、AC−DC変換部40から供給されるDC電力と、バッテリー38から供給されるDC電力とを、選択的に出力端子42に導くように機能する。そして、この出力端子42から取り出されたDC電力は、デジタルテレビジョン放送受信装置11を構成している上記制御部29に供給されるとともに、その他の各部14〜16,18,22〜28,30,31,33に供給される。
【0032】
この場合、バッテリー駆動制御部41は、AC−DC変換部40から供給されたAC検出信号を、出力端子43から制御部29に出力している。制御部29の電源制御部29eは、入力されたAC検出信号が、入力端子39にAC電力が供給されていない旨を示すものであれば、バッテリー38から出力されるDC電力を出力端子42に導くようにセレクタ41aを切り替えるセレクタ制御信号を出力する。このセレクタ制御信号は、入力端子44を介してバッテリー駆動制御部41のセレクタ制御部41bに供給され、セレクタ41aの切り替えに供される。
【0033】
このように、バッテリー38から出力されるDC電力でデジタルテレビジョン放送受信装置11を駆動している状態では、その駆動時間、つまり、バッテリー38の放電時間が制御部29のタイマ29cによって計時される。
【0034】
また、制御部29の上記電源制御部29eは、入力されたAC検出信号が、入力端子39にAC電力が供給されている旨を示すものであれば、AC−DC変換部40から出力されるDC電力を出力端子42に導くようにセレクタ41aを切り替えるセレクタ制御信号を出力する。このセレクタ制御信号は、入力端子44を介してバッテリー駆動制御部41のセレクタ制御部41bに供給され、セレクタ41aの切り替えに供される。
【0035】
なお、このように、AC−DC変換部40から出力されるDC電力でデジタルテレビジョン放送受信装置11を駆動している状態においても、バッテリー38のDC電力は、後述するバッテリー電圧検出部41cや充電制御部41dでの電圧検出等に利用されることにより消費されている。そして、このような軽負荷時におけるバッテリー38の放電時間が、制御部29のタイマ29dによって計時される。
【0036】
さらに、上記バッテリー駆動制御部41は、バッテリー電圧検出部41cによりバッテリー38の出力DC電圧を検出し、その検出結果を示すバッテリー電圧検出信号を出力端子45から制御部29に出力している。制御部29の電源制御部29eは、入力されたバッテリー電圧検出信号を解析し、バッテリー38に対して充電が必要であると判断すれば、充電開始信号を出力する。
【0037】
この充電開始信号が、入力端子46を介してバッテリー駆動制御部41の充電制御部41dに供給されると、充電制御部41dは、AC−DC変換部40から出力されるDC電力をバッテリー38に供給し、バッテリー38に対する充電を開始する。この場合、AC−DC変換部40の電力供給能力が十分に高ければ、AC−DC変換部40から出力されるDC電力を、デジタルテレビジョン放送受信装置11の駆動とバッテリー38の充電とに同時に利用することができるが、一般的には、安全性を考慮して、デジタルテレビジョン放送受信装置11の非駆動時、つまり、テレビジョン放送番組を視聴していない待機時に、バッテリー38に対する充電を行なうようにしている。
【0038】
なお、上記充電制御部41dは、バッテリー38が満充電状態になったことを検出した場合、充電完了信号を出力する。この充電完了信号が出力端子47を介して制御部29に供給されると、制御部29の電源制御部29eは、充電開始信号の出力を停止して充電を停止させるように機能する。
【0039】
また、上記バッテリー駆動制御部41は、バッテリー装着検出部41eを備えている。このバッテリー装着検出部41eは、バッテリー38が上記バッテリー装着部19に装着されたことを検出してバッテリー装着信号を出力する。このバッテリー装着信号が出力端子48を介して制御部29に供給されることにより、制御部29の電源制御部29eがバッテリー38の装着を認識する。
【0040】
図4は、上記バッテリー38から出力されるDC電力でデジタルテレビジョン放送受信装置11を駆動した場合におけるバッテリー38の放電特性の一例を示している。なお、図4に実線で示す特性Aは、バッテリーとしての性能が劣化していない新品のバッテリー38の放電特性を示し、一点鎖線で示す特性Bは、バッテリーとしての性能が劣化して新品への交換が望まれるバッテリー38の放電特性を示している。
【0041】
まず、満充電電圧Vmaxまで充電された新品のバッテリー38に対し、時刻T1で放電を開始すると、当該バッテリー38の出力電圧V0は、時刻T4で充電を行なうべき充電開始電圧Vsまで降下し、その後、時刻T5で放電を停止すべき放電停止電圧Vminに達する。ここで、放電停止電圧Vminとは、充電式のバッテリー38にとって、その充放電特性をできるだけ劣化させないように維持するために、これ以上放電すべきでないとして設定される電圧を意味している。
【0042】
これに対し、満充電電圧Vmaxまで充電された交換直前のバッテリー38に対し、時刻T1で放電を開始すると、当該バッテリー38の出力電圧V0は、時刻T4よりも早い時刻T2で充電を行なうべき充電開始電圧Vsまで降下し、その後、時刻T5よりも早い時刻T3で放電を停止すべき放電停止電圧Vminに達する。
【0043】
すなわち、バッテリー38は、同じ満充電電圧Vmaxから放電を開始した場合、性能が劣化しているほど、充電開始電圧Vsや放電停止電圧Vminに達するまでの時間が短くなる。また、このことは、先に述べた軽負荷時についても同様である。
【0044】
このため、バッテリー38の放電時間を計時し、その計時された放電時間を、新品のバッテリー38と判断するために予め設定された所定の放電時間や、バッテリー38を交換すべきと判断するために予め設定された所定の放電時間等と比較することにより、そのバッテリー38が新品であるか否か、または、交換時期に達したか否か等を判断することができ、バッテリー38の管理を行なうことが可能となる。
【0045】
そこで、図5及び図6は、バッテリー38から出力されるDC電力でデジタルテレビジョン放送受信装置11を駆動した場合において、上記制御部29の電源制御部29eがタイマ29cを用いてバッテリー38の放電時間を計時する処理動作をまとめたフローチャートを示している。
【0046】
すなわち、処理が開始(ステップS5a)されると、電源制御部29eは、ステップS5bで、バッテリー38がバッテリー装着部19に装着されているか否かを判別し、装着されていないと判断された場合(NO)、処理を終了(ステップS6i)する。
【0047】
また、上記ステップS5bでバッテリー38がバッテリー装着部19に装着されていると判断された場合(YES)、電源制御部29eは、ステップS5cで、電源部36に外部からのAC電力が供給されているか否かを判別し、供給されていると判断された場合(YES)、処理を終了(ステップS6i)する。
【0048】
一方、上記ステップS5cで電源部36に外部からのAC電力が供給されていないと判断された場合(NO)、電源制御部29eは、ステップS5dで、バッテリー38のDC電力でデジタルテレビジョン放送受信装置11を駆動するように、つまり、デジタルテレビジョン放送受信装置11をDC駆動させるように制御する。
【0049】
その後、電源制御部29eは、ステップS5eで、上記タイマ29cに計時動作を開始させ、ステップS5fで、電源部36に外部からのAC電力が供給されているか否かを判別する。
【0050】
そして、AC電力が供給されていないと判断された場合(NO)、電源制御部29eは、ステップS5gで、バッテリー38の出力電圧V0が放電停止電圧Vmin以上であるか否かを判別し、V0≧Vminであると判断された場合(YES)、ステップS5fの処理に戻される。
【0051】
また、上記ステップS5gでV0≧Vminでないと判断された場合(NO)、電源制御部29eは、ステップS6aで、上記タイマ29cの計時動作を停止させ、ステップS6bで、タイマ29cの計時結果α1を、バッテリー38の放電時間T1として加算する。
【0052】
一方、上記ステップS5fで電源部36に外部からのAC電力が供給されていると判断された場合(YES)、電源制御部29eは、ステップS5hで、外部からのAC電力でデジタルテレビジョン放送受信装置11を駆動するように、つまり、デジタルテレビジョン放送受信装置11をAC駆動させるように制御する。
【0053】
そして、電源制御部29eは、ステップS6cで、上記タイマ29cの計時動作を停止させ、ステップS6dで、タイマ29cの計時結果α1を、バッテリー38の放電時間T1として加算する。その後、電源制御部29eは、ステップS6eで、バッテリー38の出力電圧V0が充電開始電圧Vs以下であるか否かを判別し、V0≦Vsでないと判断された場合(NO)、ステップS5bの処理に戻される。
【0054】
また、上記ステップS6bの後、または、上記ステップS6eでV0≦Vsであると判断された場合(YES)、電源制御部29eは、ステップS6fで、デジタルテレビジョン放送受信装置11をDC駆動したときのバッテリー38の放電時間T1と、デジタルテレビジョン放送受信装置11をAC駆動したときの、つまり、軽負荷時のバッテリー38の放電時間T3(図7及び図8で説明)とを合わせたトータルの放電時間T0=T1+T3を算出する。
【0055】
その後、電源制御部29eは、ステップS6gで、トータルのバッテリー38の放電時間T0を1回前の放電時間Tn−1として集計し、ステップS6hで、バッテリー38の放電時間T1を初期化して、処理を終了(ステップS6i)する。
【0056】
また、図7及び図8は、外部から供給されるAC電力でデジタルテレビジョン放送受信装置11を駆動している状態、つまり、バッテリー38に対する軽負荷時において、制御部29の電源制御部29eがタイマ29dを用いてバッテリー38の放電時間を計時する処理動作をまとめたフローチャートを示している。
【0057】
すなわち、処理が開始(ステップS7a)されると、電源制御部29eは、ステップS7bで、バッテリー38がバッテリー装着部19に装着されているか否かを判別し、装着されていないと判断された場合(NO)、処理を終了(ステップS8g)する。
【0058】
また、上記ステップS7bでバッテリー38がバッテリー装着部19に装着されていると判断された場合(YES)、電源制御部29eは、ステップS7cで、電源部36に外部からのAC電力が供給されているか否かを判別し、供給されていないと判断された場合(NO)、処理を終了(ステップS8g)する。
【0059】
一方、上記ステップS7cで電源部36に外部からのAC電力が供給されていると判断された場合(YES)、電源制御部29eは、ステップS7dで、外部から供給されるAC電力でデジタルテレビジョン放送受信装置11を駆動するように、つまり、デジタルテレビジョン放送受信装置11をAC駆動させるように制御する。
【0060】
その後、電源制御部29eは、ステップS7eで、上記タイマ29dに計時動作を開始させ、ステップS7fで、電源部36に外部からのAC電力が供給されているか否かを判別する。
【0061】
そして、AC電力が供給されていると判断された場合(YES)、電源制御部29eは、ステップS7gで、バッテリー38の出力電圧V0が放電停止電圧Vmin以上であるか否かを判別し、V0≧Vminであると判断された場合(YES)、ステップS7fの処理に戻される。
【0062】
また、上記ステップS7fでAC電力が供給されていないと判断された場合(NO)、電源制御部29eは、ステップS7hで、バッテリー38のDC電力でデジタルテレビジョン放送受信装置11を駆動するように、つまり、デジタルテレビジョン放送受信装置11をDC駆動させるように制御する。
【0063】
そして、このステップS7hの後、または、上記ステップS7gでV0≧Vminでないと判断された場合(NO)、電源制御部29eは、ステップS8aで、上記タイマ29dの計時動作を停止させ、ステップS8bで、タイマ29dの計時結果α2を、バッテリー38の軽負荷時の放電時間T2として加算する。
【0064】
その後、電源制御部29eは、ステップS8cで、軽負荷時の放電時間T2をDC駆動時の放電時間に換算するように補正した放電時間T3を算出する。この放電時間T3は、DC駆動時における放電電圧及び放電時間の測定値と、軽負荷時における放電電圧と放電時間の測定値とに基づいて予め計算された補正値βによって、軽負荷時に掲示された放電時間T2を除算することによって得られる。
【0065】
そして、電源制御部29eは、ステップS8dで、デジタルテレビジョン放送受信装置11をDC駆動したときのバッテリー38の放電時間T1と、デジタルテレビジョン放送受信装置11をAC駆動したときの、つまり、軽負荷時のバッテリー38の放電時間T3とを合わせたトータルの放電時間T0=T1+T3を算出する。
【0066】
その後、電源制御部29eは、ステップ8eで、トータルのバッテリー38の放電時間T0を1回前の放電時間Tn−1として集計し、ステップS8fで、軽負荷時のバッテリー38の放電時間T2を初期化して、処理を終了(ステップS8g)する。
【0067】
次に、図9乃至図11は、上記のようにして得られたバッテリー38の放電時間T0を用いて、制御部29の電源制御部29eが、AC駆動時にバッテリー38の管理を行なう処理動作をまとめたフローチャートを示している。
【0068】
すなわち、処理が開始(ステップS9a)されると、電源制御部29eは、ステップS9bで、バッテリー38の放電時間の最大値Tmaxと最小値Tminとを設定する。このうち、最大値Tmaxは、新品のバッテリー38が満充電電圧Vmaxから放電停止電圧Vminに達するまでの放電時間に対応して設定される。また、最小値Tminは、性能が劣化し交換時期に達したバッテリー38が満充電電圧Vmaxから放電停止電圧Vminに達するまでの放電時間に対応して設定される。
【0069】
次に、電源制御部29eは、ステップS9cで、バッテリー38の充電回数の最大値Fmaxを設定する。この最大値Fmaxは、バッテリー38の交換をユーザに促す充電回数に対応して設定される。
【0070】
そして、電源制御部29eは、ステップS9dで、バッテリー38のDC電力でデジタルテレビジョン放送受信装置11を駆動する、つまり、デジタルテレビジョン放送受信装置11のDC駆動状態か否かを判別し、DC駆動状態であると判断された場合(YES)、処理を終了(ステップS11g)する。このDC駆動状態か否かの判別は、電源制御部29cが、上記AC−DC変換部40で生成されバッテリー駆動制御部41を介して供給されるAC検出信号を解析することにより行なわれる。
【0071】
また、上記ステップS9dでDC駆動状態でないと判断された場合(NO)、電源制御部29eは、ステップS9eで、装着されているバッテリー38について、その出力電圧V0,放電時間T0及び充電回数F0についてのモニタを開始する。
【0072】
このうち、バッテリー38の出力電圧V0については、電源制御部29eがバッテリー駆動制御部41のバッテリー電圧検出部41cら出力されるバッテリー電鬱検出信号を解析することにより得ることができる。また、バッテリー38の放電時間T0については、図5及び図6に示したフローチャートや、図7及び図8に示したフローチャート等で説明した手法により得ることができる。さらに、バッテリー38の充電回数F0については、後述する充電開始処理の行なわれた回数から得ることができる。
【0073】
その後、電源制御部29eは、ステップS9fで、バッテリー38の出力電圧V0が充電開始電圧Vs以下であるか否かを判別し、V0≦Vsでないと判断された場合(NO)、V0≦Vsになるまで待ち、V0≦Vsであると判断された場合(YES)、ステップS10aで、バッテリー38の1回前までの放電時間Tn−1が放電時間の最小値Tmin以下であるか否かを判別する。
【0074】
そして、Tmin≧Tn−1であると判断された場合(YES)、電源制御部29eは、ステップS10bで、バッテリー38の放電時間T0が放電時間の最大値Tmax以上であるか否かを判別し、Tmax≦T0であると判断された場合(YES)、バッテリー38が新品であると判断し、ステップS10cで、バッテリー38の充電回数F0を初期値に設定する。
【0075】
また、上記ステップS10bでTmax≦T0でないと判断された場合(NO)、電源制御部29eは、ステップS10dで、バッテリー38の放電時間T0が放電時間の最小値Tmin以下であるか否かを判別し、Tmin≧T0でないと判断された場合(NO)、ステップS10eで、バッテリー38の充電回数F0が最大値Fmaxに達したか否かを判別する。
【0076】
そして、上記ステップS10dでTmin≧T0であると判断された場合(YES)、または、上記ステップS10eでFmax=F0であると判断された場合(YES)、電源制御部29eは、ステップS11aで、ユーザにバッテリー38の交換を促すメッセージを映像表示パネル14に表示させて、処理を終了(ステップS11g)する。
【0077】
一方、上記ステップS10aTmin≧Tn−1でないと判断された場合(NO)、上記ステップS10eでFmax=F0でないと判断された場合(NO)、または、上記ステップS10cの後、電源制御部29eは、ステップS11bで、バッテリー38の充電を開始し、ステップS11cで、バッテリー38の電圧V0が満充電電圧Vmaxに達したか否かを判別する。
【0078】
そして、Vmax=V0でないと判断された場合(NO)、Vmax=V0になるまで待ち、Vmax=V0になったと判断された場合(YES)、電源制御部29eは、ステップS11dで、バッテリー38の充電を停止し、ステップS11eで、放電時間T0を初期化した後、ステップS11fで、バッテリー38の充電回数F0を+1して、処理を終了(ステップS11g)する。
【0079】
上記した実施の形態によれば、バッテリー38の放電時間T0を実測し、その放電時間T0が新品のバッテリー38の放電時間に対応して予め設定された最大値Tmax以上である場合に、新品のバッテリー38と判断するようにしているので、個体識別ができないバッテリー38に対しても、新品に交換したことを判別することができるようになる。
【0080】
また、バッテリー38が新品と判断された場合、当該バッテリー38に対する充電回数F0を初期化して、以後、充電が行なわれる毎に充電回数をカウントするようにしているので、個体識別ができないバッテリー38に対しても、新品に交換した後に、その充電回数F0を管理することができるようになる。
【0081】
さらに、上記のようにカウントされた充電回数F0が、バッテリー38を交換すべき充電回数として予め設定された最大値Fmaxに達した場合、または、実測されたバッテリー38の放電時間T0が、バッテリー38を交換すべき放電時間として予め設定された最小値Tmin以下になった場合に、ユーザにバッテリー38の交換を促すメッセージを表示させるようにしている。このため、個体識別ができないバッテリー38に対しても、交換時期を容易に管理することができる。
【0082】
また、バッテリー38に対して交換すべきとの判断が与えられた場合には、強制的にバッテリー38からの電力供給を遮断して、バッテリー38による駆動を停止させるようにすることもできる。これにより、寿命に達したバッテリー38から異常な電力が供給されることによる、機器の破損や誤作動の発生を未然に防止することができる。
【0083】
ここで、上記した実施の形態では、バッテリー38が新品であるか否か、または、交換すべきか否かを判断するための放電時間T0として、DC駆動時の放電時間T1と軽負荷時(AC駆動時)の放電時間T3とを合わせたものを用いているため、バッテリー38の管理を正確に行なうことができる。
【0084】
しかしながら、バッテリー38の管理の精度によっては、放電時間T0としてDC駆動時の放電時間T1のみを用いるようにしても良いものである。また、DC駆動時の放電時間T1とAC駆動時の放電時間T3とを合わせずに、それぞれを予め設定された別の基準値と比較して、新品の判断や交換時期の判断を行なうことにより、バッテリー38の管理をより正確に行なうことができる。
【0085】
なお、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することができる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【符号の説明】
【0086】
11…デジタルテレビジョン放送受信装置、12…キャビネット、13…支持台、14…映像表示パネル、15…スピーカ、16…操作部、16a…主電源スイッチ、17…リモートコントローラ、18…受光部、19…バッテリー装着部、20…アンテナ、21…入力端子、22…チューナ部、23…復調復号部、24…信号処理部、25…合成処理部、26…音声処理部、27…映像処理部、28…バックライト、29…制御部、29a…CPU、29b…メモリ部、29c,29d…タイマ、29e…電源制御部、30…HDD、30a…ハードディスク、31…記録再生処理部、32…入力端子、33…ネットワークインターフェース、34…ネットワーク回線網、35…ネットワークサーバ、36…電源部、37…電源端子、38…バッテリー、39…入力端子、40…AC−DC変換部、41…バッテリー駆動制御部、41a…セレクタ、41b…セレクタ制御部、41c…バッテリー電圧検出部、41d…充電制御部、41e…バッテリー装着検出部、42,43…出力端子、44…入力端子、45…出力端子、46…入力端子、47,48…出力端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーの出力電圧が、当該バッテリーが供給する直流電圧で機器を駆動することが要求されてから、当該バッテリーが放電を停止すべき電圧である放電停止電圧に下がるまでの放電時間を計時する計時手段と、
前記計時手段で計時された放電時間が、前記バッテリーを新品と判断するために設定された所定時間以上である場合、当該バッテリーを新品と判断する判定手段とを具備するバッテリー管理装置。
【請求項2】
バッテリーの出力電圧が、外部から供給される交流電圧で機器を駆動することが要求されてから放電停止電圧に下がるまでの放電時間を計時する軽負荷時計時手段を具備する請求項1記載のバッテリー管理装置。
【請求項3】
前記軽負荷時計時手段は、計時された放電時間を、前記バッテリーが供給する直流電圧で機器を駆動することが要求された場合の放電時間に換算して出力する請求項2記載のバッテリー管理装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記計時手段で計時された放電時間と、前記軽負荷時計時手段から出力される換算後の放電時間とを合わせた放電時間が、前記バッテリーを新品と判断するために設定された所定時間以上である場合、当該バッテリーを新品と判断する請求項3記載のバッテリー管理装置。
【請求項5】
前記判定手段により前記バッテリーが新品と判断された場合、そのバッテリーについての充電回数を初期値に設定し、以後、当該バッテリーに対して充電が行なわれる毎に充電回数をカウントする係数手段を具備する請求項4記載のバッテリー管理装置。
【請求項6】
前記係数手段でカウントされた充電回数が、前記バッテリーの交換時期を判断するために設定された所定回数以上である場合、当該バッテリーを交換することを通知する通知手段を具備する請求項5記載のバッテリー管理装置。
【請求項7】
前記係数手段により充電回数が初期値に設定されたバッテリーに対し、その出力電圧が充電開始電圧に下がった状態で充電を行なう充電手段を具備する請求項5記載のバッテリー管理装置。
【請求項8】
前記計時手段で計時された放電時間と、前記軽負荷時計時手段から出力される換算後の放電時間とを合わせた放電時間が、前記バッテリーの交換時期を判断するために設定された所定時間以下である場合、当該バッテリーを交換することを通知する通知手段を具備する請求項3記載のバッテリー管理装置。
【請求項9】
バッテリーの出力電圧が、当該バッテリーが供給する直流電圧で機器を駆動することが要求されてから、当該バッテリーが放電を停止すべき電圧である放電停止電圧に下がるまでの放電時間を計時する工程と、
計時された放電時間が、前記バッテリーを新品と判断するために設定された所定時間以上である場合、当該バッテリーを新品と判断する工程とを有するバッテリー管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−113813(P2013−113813A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262863(P2011−262863)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【特許番号】特許第5143273号(P5143273)
【特許公報発行日】平成25年2月13日(2013.2.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】