説明

バベシア・ミクロチ(Babesiamicroti)に対する抗体を検出するための組成物及びその使用の方法

本発明は、B.ミクロチ(B.microti)に対する抗体の存在について試験するために使用され得る1以上のペプチドに関する。これらのペプチドは、B.ミクロチに対するヒト抗体反応の強度及び特異性に基づき選択される。これらのペプチドは、単独で又は組み合わせて、例えば診断アッセイ又はキットの構成成分として様々な用途がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寄生生物バベシア・ミクロチ(B.ミクロチ(B.microti))に対する抗体の存在を同定するための組成物及びこれを診断するアッセイ及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
B.ミクロチ(B.microti)は、バベシア症と呼ばれるマラリア様疾患を引き起こす、感染個体の赤血球細胞に存在するダニ媒介性寄生生物である(Homerら、Clin.Microbiol.Rev.13(3):451−469(2000))。B.ミクロチは、感染したダニの咬傷によりヒトに伝染し得るが、報告数が急増している(Krauseら、Am.J.Trop.Med Hyg.68(4):431−436(2003);Herwaldtら、Am.J.Trop感染している血液供給者から血液又は血液製剤の受容者への輸血によっても伝染し得るので、血液供給に対する潜在的リスクである。(Settyら、Am.J.Clin.Pathol.120:554−559(2003))。B.ミクロチによる感染は、野生動物及び家畜及びヒトの間で世界的に最もよく見られる寄生虫感染症の1つである(Homerら、前出)。米国で、特に北東海岸の州及び中西部の北部で、B.ミクロチ感染の症例の.Med Hyg.53(2):146−51(1995))。血液供給者の間でのB.ミクロチの血清陽性率の推定値は、ウィスコンシンの供給者の0.3%からニューヨークのシェルターアイランドの4.3%である(Cableら、Current Opinion in Hermatology 10(6):405−411(2003))。
【0003】
B.ミクロチによる感染は、ライム病との同時感染を含むことが多く(Krauseら、Clinical Infectious Diseases 34:1184−1191(2002))、長期間、未検出のままであることも多い。バベシア症は、特に高齢者及び、免疫系が抑制されている患者において、致死となる可能性がある(Kjemtrupら、Int.J.Parasitol 30:1323−1337(2000))。バベシア症及び/又はライム病に感染した患者は、筋肉痛、発熱、頭痛及び倦怠感という同じ症状を共有し(Homerら)、従って診断が困難である。キニーネ及びクリンダマイシンなどの抗マラリア薬は、バベシア症の治療において最も有効である(Med.Lett.Drugs Ther.34(865):17−26(1992))。従って、B.ミクロチ感染の正確な早期診断は重要な意味を持つ。
【0004】
顕微鏡、PCR、間接的免疫蛍光アッセイ、核酸試験及びELISAに基づく試験は、B.ミクロチ感染の診断において使用されることが多い。(Loaら、Current Microbiology 49:385−389(2004))。血液試料の顕微鏡及びPCR分析により、患者が病院を最初に訪れた際、偽陰性の結果がもたらされ得る。B.ミクロチに対するヒトからの血清試料のハイスループット試験は、核酸試験に対して適切ではない。B.ミクロチの免疫原性エピトープの多くはマラリアなどのその他の抗体と交差反応するので(Houghtonら、Transfusion 42(11):1488−96(2002))、B.ミクロチの抗体を検出するためのELISAは、特にB.ミクロチに対する抗体が低力価である場合、感度及び特異性が容認できないものであるため、有効ではない可能性がある。従って、B.ミクロチに対する抗体を検出するために、組成物を開発することが現在も非常に必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Homer他、Clin.Microbiol.Rev.13(3)、2000年、p.451−469
【非特許文献2】Setty他、Am.J.Clin.Pathol.120、2003年、p.554−559
【非特許文献3】Krause他、Am.J.Trop.Med Hyg.68(4)、2003年、p.431−436
【非特許文献4】Herwaldt他、Am.J.Trop.Med Hyg.53(2)、1995年、p.146−51
【非特許文献5】Cable他、Current Opinion in Hermatology 10(6)、2003年、p.405−411
【非特許文献6】Krause他、Clinical Infectious Diseases 34、2002年、p.1184−1191
【非特許文献7】Kjemtrup他、Int.J.Parasitol 30、2000年、p.1323−1337
【非特許文献8】Med.Lett.Drugs Ther.34(865)、1992年、p.17−26
【非特許文献9】Loa他、Current Microbiology 49、2004年、p.385−389
【非特許文献10】Houghton他、Transfusion 42(11)、2002年、p.1488−96
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書中で、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)(B.ミクロチ(B.microti))に対する抗体の存在を同定するために使用され得る作用物質が提供される。この作用物質は、ペプチドの第一の群及びペプチドの任意の第二の群を含む複数のペプチドを含み得る。第一の群の各ペプチドは、BMN1−17−4、BMN1−17−11、BMN1−17−12、MN10−3、MN10−5、MN10−6、MN10−8又はそれと少なくとも70%同一である配列からなる群から選択されるペプチド配列を含み得る。第一の群の各ペプチドはまた、配列番号5−11で記載される各配列又はそれと少なくとも70%同一である配列も含み得る。
【0007】
この作用物質は、第一の群及び場合によっては第二の群からの複数のペプチドを含むキメラタンパク質であり得る。本キメラタンパク質は、配列番号2で記載のとおりの配列を含み得る。この作用物質はまた、第一の部分及び第二の部分を含む融合タンパク質でもあり得、第一の部分は、第一の群からの複数のペプチドを含むキメラタンパク質であり、第二の部分は結合メンバーである。融合タンパク質は、配列番号4で記載されるとおりの配列を含み得る。本融合タンパク質は、第三の部分をさらに含み得、この第三の部分は、複数のペプチドを含むキメラタンパク質を含む。
【0008】
本明細書中で、複数のペプチド又はこれらのペプチドの1以上をコードする核酸もまた提供される。この複数のペプチドは、ペプチドの第一の群及び任意のペプチドの第二の群を含み得る。第一の群の各ペプチドは、BMN1−17−4、BMN1−17−11、BMN1−17−12、MN10−3、MN10−5、MN10−6、MN10−8又はそれと少なくとも70%同一である配列からなる群から選択されるペプチド配列を含み得る。本核酸は、配列番号5−11で記載されるとおりの配列又はそれと少なくとも70%同一である配列を含む第一の群の1以上のペプチドをコードし得る。
【0009】
核酸はまた、ペプチドの第一の群からの複数のペプチドを同様に含み得るキメラタンパク質もコードし得る。キメラタンパク質をコードする核酸は、配列番号1で記載されるとおりの配列を含み得る。核酸はまた、第一の部分及び第二の部分を含む融合タンパク質もコードし得、ここで、第一の部分は、第一の群からの複数のペプチドを含むキメラタンパク質であり、第二の部分は結合メンバーである。融合タンパク質をコードする核酸は、配列番号3で記載されるとおりの配列を含み得る。
【0010】
核酸を含むベクター及び宿主細胞もまた本明細書中で提供される。発現ベクターは、上記の核酸の1以上を含み得、発現又は制御調節配列(例えばプロモーター)に操作可能に連結され得る。
【0011】
試験試料中でB.ミクロチに対する抗体を検出する方法もまた本明細書中に記載される。本方法は、作用物質/抗体複合体を形成させるのに十分な時間にわたり、及び十分な条件下で、上述のような作用物質と試料を接触させ、複合体の存在を検出する(複合体の存在は、試験試料中でのB.ミクロチに対する抗体の存在を示す。)ことを含み得る。本方法は、血液、血清、血漿、唾液、脳脊髄液及び尿からなる群から選択される試料を使用することを含み得る。さらに、本方法はまた、本明細書中で記載のような作用物質を使用することも含み得るが、この作用物質は固体支持体に連結され、この固体支持体は、ニトロセルロース、ナイロン、プラスチック及び紙からなる群から選択される。
【0012】
本発明はまた、試験試料中でB.ミクロチに対する抗体を検出する別の方法も包含する。この方法は、作用物質/抗体複合体を形成させるのに十分な時間にわたり、及び十分な条件下で、上記のような作用物質と試験試料を接触させ;結合抗体にコンジュゲートが結合できるようになるために十分な時間にわたり、及び十分な条件下で、得られた作用物質/抗体複合体にコンジュゲートを添加し(コンジュゲートは、検出可能なシグナルを生成させることができるシグナル生成化合物に連結される抗−抗体を含む。);シグナル生成化合物により生成されるシグナルを検出することによって試料中に存在し得る抗体の存在を検出する、段階を含む。コンジュゲートは、例えば、抗−ヒトIgG抗体又は、作用物質−抗ミクロチ複合体に結合することができる化合物を含み得る。シグナル生成化合物は標識であり得る。
【0013】
本明細書中で、本明細書中の方法で記載されるように、B.ミクロチ抗体の存在を検出し;抗ミクロチ抗体の量を対照と比較することを含む、対象におけるB.ミクロチ感染を診断する方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】図1は、B.ミクロチ感染後のヒト抗体反応の強度及び特異性に基づく、2つの異なるB.ミクロチタンパク質からの7種類のペプチド(即ち、BMN1−17−4(配列番号5)、BMN1−17−11(配列番号6)、BMN1−17−12(配列番号7)、MN10−3(配列番号8)、MN10−5(配列番号9)、MN10−6(配列番号10)及びMN10−8(配列番号11))を含有する単一のキメラコンストラクト挿入物を示す(配列番号3として開示される全長ヌクレオチド;配列番号4として開示される全長タンパク質コンストラクト)。ボックスにより囲まれるアミノ酸配列はB.ミクロチペプチドセグメントである。5’末端から、Bab−1配列の配列は、BMN1−17−4と続いてBMN1−17−11のアミノ酸配列をコードし、BMN1−17−11の最後の5つのアミノ酸(GNLNK)(配列番号14)は、BMN1−17−12の最初の5つのアミノ酸と重複する。B.ミクロチアミノ酸配列MN10−3がBMN1−17−12に続き、MN10−5がMN10−3続く。MN10−5の最後の5つのアミノ酸(即ちTESGG)(配列番号15)は、MN10−6の最初の5つのアミノ酸と重複する。B.ミクロチアミノ酸配列MN10−8がMN10−6に続く。Hisタグ配列は、キメラタンパク質の3’末端に位置する。
【図1B】図1は、B.ミクロチ感染後のヒト抗体反応の強度及び特異性に基づく、2つの異なるB.ミクロチタンパク質からの7種類のペプチド(即ち、BMN1−17−4(配列番号5)、BMN1−17−11(配列番号6)、BMN1−17−12(配列番号7)、MN10−3(配列番号8)、MN10−5(配列番号9)、MN10−6(配列番号10)及びMN10−8(配列番号11))を含有する単一のキメラコンストラクト挿入物を示す(配列番号3として開示される全長ヌクレオチド;配列番号4として開示される全長タンパク質コンストラクト)。ボックスにより囲まれるアミノ酸配列はB.ミクロチペプチドセグメントである。5’末端から、Bab−1配列の配列は、BMN1−17−4と続いてBMN1−17−11のアミノ酸配列をコードし、BMN1−17−11の最後の5つのアミノ酸(GNLNK)(配列番号14)は、BMN1−17−12の最初の5つのアミノ酸と重複する。B.ミクロチアミノ酸配列MN10−3がBMN1−17−12に続き、MN10−5がMN10−3続く。MN10−5の最後の5つのアミノ酸(即ちTESGG)(配列番号15)は、MN10−6の最初の5つのアミノ酸と重複する。B.ミクロチアミノ酸配列MN10−8がMN10−6に続く。Hisタグ配列は、キメラタンパク質の3’末端に位置する。
【図2】図2は、免疫ブロットストリップを示す。B.ミクロチに対する抗体を検出するための試験バンドとして、BMN1−17−4、BMN1−17−11、BMN1−17−12、MN10−3、MN10−5、MN10−6及びMN10−8の7つのペプチド領域を含むB.ミクロチ組み換えキメラタンパク質を使用する。3種類の対照バンド、ヤギ抗ヒトIgG((「抗−hIgG」)、hIgG−low(「MgG−L」)及びhIgG−hign(「hIgG−H」)を示す。ストリップ1は、B.ミクロチに対して非特異的なヒト血漿抗体の陰性対照であり、99800と呼ばれ、対照セクションにおいて3つのバンドを示す。ストリップ2は陰性対照であり、このストリップは、B.ミクロチ組み換えタンパク質を含有しないが、バベシア・ミクロチ抗体を有するヒト試料で調べる。ストリップ3−6は、配列番号5−11で記載されるアミノ酸配列を含むB.ミクロチ組み換えキメラタンパク質に対して特異的な1つの試験バンドを示す4種類の異なるヒト試料である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
B.ミクロチに対する抗体の存在について試験するために、ある種のペプチドが使用され得ることが分かった。これらのペプチドは、B.ミクロチに反応するヒト抗体の強度及び特異性に基づき選択される。これらのペプチドは、単独で又は組み合わせて、例えば、診断アッセイの構成要素として、様々な用途がある。
【0016】
1.定義
本明細書中で使用される術語は、単に特定の実施形態を記載するためのものであり、限定を意図しない。
【0017】
本明細書中で使用される場合、文脈内で別段の明らかな指示がない限り、単数形「a」、「an」及び「the」には、複数形の対象が含まれる。本明細書中での数の範囲の引用に対して、同じ精度で、その間にある各数字が、明らかに企図される。例えば、範囲6−9の場合、6及び9に加えて、7及び8という数が企図され、6.0−7.0の場合、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9及び7.0という数が明確に企図される。
【0018】
a.対立遺伝子
「対立遺伝子」は、ヌクレオチドの欠失、付加及び/又は置換などの1以上の突然変異の結果改変され得る内在性遺伝子である。
【0019】
b.抗体
「抗体」は、本明細書中で使用される場合、Fab、F(ab’)2、Fd及び1本鎖抗体、ダイアボディー、二特異性抗体、二機能性抗体及びその誘導体を含む、クラスIgG、IgM、IgA、IgDもしくはIgEの抗体又はその断片もしくは誘導体を意味し得る。ペプシンなどの酵素により抗体を処理することにより、F(ab)及びF(ab’)断片が生成され得る。軽鎖は、κ又はλの何れかとして分類される。抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、アフィニティー精製抗体又はその断片/混合物であり得、これらは、所望のエピトープ又はそれら由来の配列に対する十分な結合特異性を示す。抗体はまたキメラ抗体であり得る。抗体は、当技術分野で公知の1以上の化学、ペプチド又はポリペプチド部分の連結により誘導体化され得る。抗体は化学部分と結合され得る。
【0020】
c.生体試料
「生体試料」又は「試験試料」又は「対照試料」は、本明細書中で使用される場合、全血、血清、血漿、滑液、脳脊髄液、気管支肺胞洗浄液、腹水、骨髄穿刺液、胸膜滲出液、尿ならびに腫瘍組織又は何らかのその他の生体成分又は何らかの組織培養上清などの体液由来の試料を意味し得る。
【0021】
d.エピトープタグ
「エピトープタグ」は、融合タンパク質の文脈で使用される場合、タンパク質を同定、単離又は精製するために使用され得る何らかの部分を意味し得る。エピトープタグは、ヒト癌原遺伝子c−myc、ヒトインフルエンザヘマグルチニンタンパク質(HA)、ヒスチジンタグ(His)(配列番号13)、GFP(緑色蛍光タンパク質)、ディゴキシゲニン(DIG)、ビオチン又は蛍光色素(FITC、Cy3、Cy5)であり得る。
【0022】
e.高ストリンジェンシー(非常に厳しい)条件下でのハイブリッド形成
「高ストリンジェンシー条件下でのハイブリッド形成」は、本明細書中で使用される場合、核酸の複合混合物中などで、第一の核酸配列(例えばプローブ)が第二の核酸配列(例えば標的)とハイブリッド形成する条件を意味し得る。高ストリンジェンシー条件は、配列依存的であり、状況によって異なる。高ストリンジェンシー条件は、規定されるイオン強度pHでの特異的配列に対する熱融点(Tm)よりも約5−10℃低いものが選択され得る。Tmは、平衡状態で標的と相補的なプローブの50%が標的配列とハイブリッド形成する(規定のイオン強度、pH及び核濃度下での)温度であり得る(標的配列が過剰に存在する場合、Tmで、平衡状態でプローブの50%が占有される。)。高ストリンジェンシー条件は、pH7.0から8.3で約0.01−1.0Mナトリウムイオン濃度(又はその他の塩)など、塩濃度が約1.0Mナトリウムイオンより低いものであり得、温度は短いプローブ(例えば、約10−50ヌクレオチド)の場合は少なくとも約30℃であり、長いプローブ(例えば、約50ヌクレオチドより長いもの)の場合は少なくとも約60℃である。高ストリンジェンシー条件はまた、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加によっても達成され得る。選択的又は特異的ハイブリッド形成に対して、陽性シグナルは、バックグラウンドハイブリッド形成の少なくとも2から10倍であり得る。典型的な高ストリンジェンシーハイブリッド形成条件には、次のものが含まれる:50%ホルムアミド、5xSSC及び1%SDS、42℃で温置又は5xSSC、1%SDS、65℃で温置し、65℃にて0.2xSSC及び0.1%SDSで洗浄。
【0023】
f.低ストリンジェンシー条件下でのハイブリッド形成
「低ストリンジェンシー条件下でのハイブリッド形成」は、本明細書中で使用される場合、50−55℃での2−5xSSCの溶液中での洗浄を意味し得る。低ストリンジェンシー条件はまた、50−55℃での2xSSC、0.1%SDS中での洗浄又は、2.5xデンハルト溶液、0.1%SDS及び0.1mg/mL変性サケ精子DNAを含有し得る5xSSPE(0.2M NaHPO、pH7.4、3M NaCl、20mM EDTA)中、50℃で、それぞれ、4及び12時間の予備洗浄及びハイブリッド形成も含み得る。
【0024】
g.中程度のストリンジェンシー条件下でのハイブリッド形成
「中程度のストリンジェンシー条件下でのハイブリッド形成」は、本明細書中で使用される場合、5xSSC、0.5%SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の溶液中での予備洗浄;50℃又は65℃、5xSSC、一晩でのハイブリッド形成;次いで、0.1%SDSを含有する2x、0.5x及び0.2xSSCのそれぞれでの65℃で20分間の2回の洗浄を意味し得る。ハイブリッド形成技術は、分子生物学の技術分野で周知である。
【0025】
h.同一配列
「同一」とは、本明細書中で使用される場合、一致する部分が最大となるように並べた場合に同じになる核酸又はアミノ酸の2つの配列を意味し得る。
【0026】
i.リンカー配列
「リンカー配列」とは、本明細書中で使用される場合、関心のある2つのペプチドを連結するペプチド配列が、酵素切断部位として作用するか又はポリペプチドの単離又は精製において使用され得る物理的及び/又は化学的特性を有することを意味し得る。
【0027】
j.核酸断片
「核酸断片」は、核酸に関して、本明細書中で使用される場合、全長が意図される組み換えDNAプロトコールでの調製及び使用の容易さにより制限される何らかの長さで、使用され得る。実例となる核酸セグメントは、約10,000、約5,000、約3,000、約2,000、約1,000、約500、約200、約100、約50塩基対の長さなどの全長で有用であり得る。
【0028】
k.操作可能に連結
「操作可能に連結される」とは、本明細書中で使用される場合、遺伝子の発現が、それが空間的に連結されるプロモーターの調節下にあることを意味し得る。プロモーターは、その調節下の遺伝子の5’(上流)又は3’(下流)に位置し得る。プロモーターと遺伝子との間の距離は、そのプロモーターと、プロモーターが由来する遺伝子においてそれが調節する遺伝子との間の距離とほぼ同じであり得る。当技術分野で公知のように、この距離の変化は、プロモーター機能の喪失なく調整され得る。このプロモーターは、T7、TP1、ラクターゼ又はメタロチオネインプロモーターを含み得る。
【0029】
l.ペプチド
「ペプチド」とは、本明細書中で使用される場合、一緒に共有結合する少なくとも2つのアミノ酸を意味し得る。当業者にとって当然のことながら、アミノ酸配列の表現はまた、1本鎖核酸コード配列及び相補鎖も定義する。
【0030】
m.特異的結合
「特異的結合」とは、本明細書中で使用される場合、非特異的標的分子(例えば、特異的認識部位を欠く無作為生成分子)よりも少なくとも2倍、5倍、10倍又は20倍の結合選択性のある特異的部位での、結合パートナーの互いに対する(例えば、2つのポリペプチド、ポリペプチド及び核酸分子又は2つの核酸分子)選択的結合を意味し得る。
【0031】
n.実質的に相補的
本明細書中で使用される「実質的に相補的」とは、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350以上のヌクレオチド又はアミノ酸ヌクレオチド又はアミノ酸の領域にわたる第二の配列相補体に対して、第一の配列が、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であることを意味する。中間の長さは、200−500;500−1,000などを通じた全ての整数を含む、16、17、18、19など;21、22、23など;30、31、32など;50、51、52、53など;100、101、102、103など;150、151、152、153などの引用値の間の何らかの長さを意味し得る。実質的な相補体はまた、2つのヌクレオチド配列が、本明細書中に記載の方法を用いてストリンジェントなハイブリッド形成条件下でハイブリッド形成することも意味し得る。(例えば、下記のような、標準的パラメーターを用いたBLAST分析)。
【0032】
o.実質的に同一
本明細書中で使用される「実質的に同一」とは、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350以上のヌクレオチド又はアミノ酸の領域にわたり、第一及び第二のヌクレオチド又はアミノ酸配列が少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であることを意味し得る。中間の長さは、200−500;500−1,000などを通じた全ての整数を含む、16、17、18、19など;21、22、23など;30、31、32など;50、51、52、53など;100、101、102、103など;150、151、152、153などの引用値の間の何らかの長さを意味し得る。実質的に同一とはまた、第一の配列ヌクレオチド又はアミノ酸配列が第二の配列の相補体と実質的に相補的であることも意味し得る。
【0033】
p.変異体
「変異体」とは、核酸の文脈において本明細書中で使用される場合、実質的に同一であるか又は実質的に相補的である配列を意味し得る。核酸に関する変異体は、1以上の置換、付加、欠失、挿入を含有し得る核酸をさらに意味し得るか又はその断片であり得る。変異体はまた、中程度のストリンジェンシー条件下でハイブリッド形成し、作用物質をコードする核酸に特異的に結合することができる核酸でもあり得る。ハイブリッド形成技術は当技術分野で周知であり、中程度のストリンジェンシー条件下で行われ得る。
【0034】
ペプチドに関する変異体は、1以上の置換、欠失、付加及び/又は挿入においてネイティブペプチドとは異なること又はネイティブペプチド配列と実質的に同一である配列とは異なることをさらに意味し得る。抗原特異的抗血清と反応する変異体の能力は、ネイティブタンパク質に対して、促進されているかもしくは不変であり得るか、又はネイティブペプチドに対して、50%未満又は20%未満の低下であり得る。このような変異体は、一般に、作用物質をコードするペプチド配列の1つを修飾し、本明細書中に記載のように抗原特異的抗体又は抗血清との修飾ペプチドの反応性を評価することにより、同定され得る。変異体には、N末端リーダー配列又は膜貫通ドメインなど1以上の部分が除去されているものが含まれ得る。その他の変異体には、小さな部分(例えば、1−30アミノ酸又は5−15アミノ酸)が成熟タンパク質のN及び/又C末端から除去されている変異体が含まれ得る。
【0035】
ペプチドに関する変異体は保存的置換を含有し得る。「保存的置換」は、ペプチド化学の分野の熟練者がポリペプチドの二次構造及びハイドロパシック特性が実質的に不変であると予想するように、アミノ酸が、同様の特性を有する別のアミノ酸に対して置換されているものである。アミノ酸置換は、一般に、残基の、極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性及び/又は両親媒性の類似性に基づき為され得る。例えば、負電荷アミノ酸にはアスパラギン酸及びグルタミン酸が含まれ;正電荷アミノ酸には、リジン及びアルギニンが含まれ;同様の親水性値を有する非荷電極性頭部基のあるアミノ酸には、ロイシン、イソロイシン及びバリン;グリシン及びアラニン;アスパラギン及びグルタミン;ならびにセリン、スレオニン、フェニルアラニン及びチロシンが含まれる。保存的電荷を与え得るアミノ酸のその他の基には、(1)ala、pro、gly、glu、asp、gin、asn、ser、thr;(2)cys、ser、tyr、thr;(3)val、ile、leu、met、ala、phe;(4)lys、arg、his;及び(5)phe、tyr、trp、hisが含まれる。変異体はまた、非保存的変化も含有する。変異体ペプチドは、5以下のアミノ酸の置換、欠失又は付加によりネイティブ配列とは異なる。変異体はまた、ポリペプチドの、免疫原性、二次構造及びハイドロパシック特性への影響が最小限であるアミノ酸の欠失又は付加によっても修飾され得る。
【0036】
q.ベクター
「ベクター」とは、本明細書中で使用される場合、それが連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を意味し得る。ベクターは、プラスミド、コスミド、バクテリオファージ又はウイルスベクターであり得る。ベクターは、エピソームなど、染色体外複製可能であり得る。ベクターは、発現ベクターなど、それが操作可能に連結される核酸の発現を支配可能であり得る。多数の適切なベクター及びプロモーターは、当業者にとって公知であり、市販されている。次のベクターを例として提供する:細菌性:pINCY(Incyte Pharmaceuticals Inc.、Palo Alto、Calif.)、pSPORT1(Life Technologies、Gaithersburg、Md.)、pQE70、pQE60、pQE−9(Qiagen)pBs、phagescript、psiX174、pBluescript SK、pBsKS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratagene);pTrc99A、pKK223 3、pKK233 3、pDR540、pRIT5(Pharmacia);及び真核性:pWLneo、pSV2cat、pOG44、pXT1、pSG(Stratagene)pSVK3、pBPV、pMSG、pSVL(Pharmacia)。
【0037】
2.作用物質
B.ミクロチに対する抗体の存在について試験するために使用され得る作用物質が提供される。本作用物質はペプチドを含み得る。また、本作用物質は、複数のペプチドも含み得る。このペプチドは、合成又は本明細書中に記載の核酸を用いて発現(インビトロ又はインビボ)され得る。
【0038】
このペプチドは、下記表で記載されるとおりのアミノ酸配列を含み得、BMN1−17−4、BMN1−17−11、BMN1−17−12、MN10−3、MN10−5、MN10−6、MN10−8及びBMN−MN又はその変異体からなる群から選択される。このペプチドは、配列番号2、4、5−11の何れかに記載されるとおりのアミノ酸配列又はその変異体を含み得る。このペプチドは、赤痢アメーバ(エントアメーバ・ヒストリチカ、Entamoeba histolytica)、ジアルジア・ランブリア(Giardia lamblia)、トリパノソーマ・ブルセイ(Trypanosoma brucei)、トキソプラズマ・ゴンディイ(Toxoplasma gondii)及びプラスモディウム(Plasmodium)などのその他の病原生物から単離されるアミノ酸配列を含み得る。このペプチドは、20−50アミノ酸長であり得る。
【0039】
複数のペプチドは、上述のように、同じペプチドの複数又は異なるペプチドの複数を含み得る。この複数のペプチドは、ペプチドの、第一の群及び任意の第二の群を含み得る。ペプチドの第一の群は、下記表に記載のとおりのアミノ酸配列を含み得、BMN1−17−4、BMN1−17−11、BMN1−17−12、MN10−3、MN10−5、MN10−6、MN10−8及びBMN−MN又はその変異体からなる群から選択される。ペプチドの第一の群は、配列番号2、4、5−11の何れかに記載のとおりのアミノ酸配列又はその変異体を含み得る。ペプチドの第一の群は、赤痢アメーバ(エントアメーバ・ヒストリチカ、Entamoeba histolytica)、ジアルジア・ランブリア(Giardia lamblia)、トリパノソーマ・ブルセイ(Trypanosoma brucei)、トキソプラズマ・ゴンディイ(Toxoplasma gondii)及びプラスモディウム(Plasmodium)などのその他の病原生物から単離されるアミノ酸配列を含み得る。ペプチドの任意の第二の群は、下記表で記載のとおりのアミノ酸配列を含み得、BMN1−17−4、BMN1−17−11、BMN1−17−12、MN10−3、MN10−5、MN10−6、MN10−8及びBMN−MN又はその変異体からなる群から選択される。ペプチドの第二の群は、配列番号2、4、5−11の何れかに記載のとおりのアミノ酸配列又はその変異体を含み得る。ペプチドの第二の群は、赤痢アメーバ(エントアメーバ・ヒストリチカ、Entamoeba histolytica)、ジアルジア・ランブリア(Giardia lamblia)、トリパノソーマ・ブルセイ(Trypanosoma brucei)、トキソプラズマ・ゴンディイ(Toxoplasma gondii)及びプラスモディウム(Plasmodium)などのその他の病原生物から単離されるアミノ酸配列を含み得る。
【0040】
【表1】

【0041】
本作用物質はまた、少なくとも1つのペプチド又は複数のペプチドを含み得るキメラタンパク質も含み得る。キメラポリペプチドはまた、複数のペプチドの1以上を分離するリンカー配列も含み得る。キメラポリペプチドは、結合メンバーも含み得る。結合メンバーはエピトープタグであり得る。
【0042】
本作用物質はまた、キメラポリペプチド、ペプチド(上述のとおり)、ペプチド変異体又はその複数を含み得る融合タンパク質も含み得る。融合タンパク質はまた、キメラペプチド又はポリペプチドからペプチドを分離するリンカー配列も含み得る。融合タンパク質は、結合メンバーも含み得る。結合メンバーは、上述のようなエピトープタグであり得る。
【0043】
3.核酸
本明細書中で、本作用物質又はその変異体をコードする核酸もまた提供される。この核酸は、内在性配列などのネイティブ配列を含み得る。この核酸はまた、配列番号1又は3も含み得る。この核酸は、1本鎖(コード又はアンチセンス)又は2本鎖であり得、DNA(ゲノム、cDNAもしくは合成)又はRNA分子であり得る。
【0044】
この核酸は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、ポリヒスチジンシグナルさらなる制限酵素部位、多重クローニング部位、その他のコードセグメントなどのその他のDNA配列と組み合わせられ得る。核酸はまた、中程度のストリンジェシー条件下でハイブリッド形成し、病原体の核に特異的に結合することも可能であり得る。ハイブリッド形成技術は分子生物学の分野で周知である。その他の核酸との核酸のハイブリッド形成を試験するための適切な中程度のストリンジェシー条件は、5xSSC、0.5%SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の溶液中での予備洗浄;50℃又は65℃で一晩、5xSSC中でのハイブリッド形成;次いで、0.1%SDSを含有する2x、0.5x及び0.2xSSCのそれぞれでの65℃にて20分間にわたる2回の洗浄を含み得る。
【0045】
遺伝子コードの縮重、アミノ酸類似性、読み枠の位置などの結果として、本作用物質をコードし得る多くの核酸配列がある。これらの核酸の一部は、何らかのネイティブB.ミクロチ遺伝子の核酸配列とのホモロジーが最小限であり得る。本作用物質の核酸は、コドン使用の相違により変化し得る。さらに、本発明の範囲内の本作用物質の核酸配列を含む遺伝子の対立遺伝子。得られたmRNA及びタンパク質は、構造又は機能が変化している可能性があるが、必ずしもそうではない。対立遺伝子は、標準的技術を用いて同定され得る(ハイブリッド形成、増幅及び/又はデータベース配列比較など)。
【0046】
この核酸は、本作用物質を(インビトロ又はインビボ)合成又は発現させるために使用され得る。この核酸は、下記で記載されるように組み換え発現のためにベクターにクローニングされ得る。
【0047】
4.ベクター
本明細書中で、この核酸を含むベクターもまた提供される。本ベクターは発現ベクターであり得る。このベクターは、配列番号1又は3を含み得る。本ベクターは、配列番号5−11で記載されるとおりのアミノ酸配列をコードする核酸配列又はその複数を含み得る。
【0048】
本発現ベクターはまた、本作用物質の発現に影響を与え及び/又は促進することができる1以上の調節配列も含み得る。原核生物における発現で適切である調節配列には、例えば、プロモーター配列、オペレーター配列及びリボソーム結合部位が含まれる。真核細胞での発現に対する調節配列には、プロモーター、エンハンサー及び転写終結配列(即ちポリアデニル化シグナル)が含まれ得る。
【0049】
本発現ベクターにはまた、例えば、シグナル配列又は増幅可能遺伝子をコードする核酸配列などのその他の配列も含まれ得る。シグナル配列は、そのタンパク質を発現する細胞からの、シグナル配列に融合されるポリペプチドの分泌を支配し得る。この発現ベクターにおいて、シグナル配列をコードする核酸は、ポリペプチドコード配列の読み枠を保存するように、ポリペプチドコード配列に連結され得る。選択された宿主細胞における栄養要求性欠損を補完する遺伝子をベクターに含有させることにより、このベクターで形質転換される宿主細胞の選択が可能になり得る。
【0050】
5.作用物質の宿主細胞/発現
本明細書中で、このベクターを含む宿主細胞もまた提供される。ベクターの増殖及び/又は発現に対して、多岐にわたる宿主細胞が利用可能である。例としては、ウイルス(ファージ、DNA、RNA)、原核細胞(E.コリ及びバチルス、シュードモナス及びその他の細菌の株など)、酵母又はその他の真菌細胞(S.セレビシエ(S.cerevesiae)及びP.パストリス(P.pastoris)を含む。)、昆虫細胞、植物細胞ならびに、高等真核細胞(ヒト胚腎臓細胞及びその他の哺乳動物細胞など)が挙げられる。
【0051】
何らかの従来法によって作用物質を発現するベクターを宿主細胞に導入し得るが、この方法は、使用されるベクター−宿主系に依存して変化し得る。一般に、ベクターを担うウイルス(例えばファージ)による、形質転換又は感染(「遺伝子移入」とも呼ばれる。)によって、宿主細胞にベクターを導入し得る。宿主細胞が原核細胞(又は細胞壁を有するその他の細胞)である場合、好都合な形質転換法には、Cohenら(1972)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、69:2110−14により記載されるカルシウム処理法が含まれ得る。原核細胞が宿主細胞として使用され、ベクターがファージミドベクターである場合、ベクターは、遺伝子移入により宿主細胞に導入され得る。
【0052】
例えば、Hinnen(1978)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、75:1929−33により教示されるように、ポリエチレングリコールを用いて酵母細胞を形質転換し得る。哺乳動物細胞は、好都合に、Grahamら(1978)Virology、52:546及びGorman、ら(1990)DNA and Prot.Eng.Tech.、2:3−10により記載のリン酸カルシウム沈殿法を用いて形質転換される。しかし、核注入、エレクトロポレーション、原形質融合及びその他の手段などの、宿主細胞にDNAを導入するためのその他の公知の方法もまた、本発明での使用に対して許容可能である。
【0053】
形質転換宿主細胞からの作用物質の発現は、細胞増殖及び発現に適切な条件下で宿主細胞を培養し、発現されたポリペプチドを細胞溶解物から回収するか、又はそのポリペプチドが分泌される場合、培地から回収することを必要とし得る。特に、培地は、使用される宿主細胞にとって適切な栄養素及び増殖因子を含有し得る。栄養素及び増殖因子は、多くの場合周知であるか又は当業者により容易に経験(実験)的に判断され得る。哺乳動物宿主細胞に対する適切な培養条件は、例えば、Mammarian Cell Culture(Mather編、Plenum Press 1984)及びBarnes及びSato(1980)Cell 22:649で記載されている。
【0054】
さらに、この培養条件により、転写、翻訳及び細胞区画間のタンパク質輸送が可能となり得る。これらのプロセスに影響を与え得る因子は周知であり、これには、例えば、DNA/RNAコピー数;DNAを安定化させる因子;培地中に存在する、栄養素、栄養補助剤及び転写誘発因子又はリプレッサー;培養の、温度、pH及び浸透圧;及び細胞密度が含まれる。特定のベクター−宿主細胞系での発現を促進するためのこれらの因子の調整は、当技術分野の技術レベルの範囲内である。インビトロ哺乳動物細胞培養の生産性を最大化するための原理及び実践的技術は、例えば、Mammarian Cell Biotechnology:a Practical Approach(Butler編、IRL Press)(1991)で見出され得る。
【0055】
作用物質の発現において、タンパク質の大規模又は小規模産生のための多くの周知の技術の何れかを使用し得る。これらには、振盪フラスコ、流動層バイオリアクター、ローラーボトル培養系及び撹拌槽バイオリアクター系の使用が含まれ得る。回分培養で、流加培養で又は連続形式で、細胞培養を行い得る。
【0056】
本作用物質の回収のための方法は周知であり、使用される発現系に依存して変化する。シグナル配列を含む作用物質は、培地又はぺリプラズムから回収され得る。本作用物質はまた、細胞内で発現され、細胞溶解物から回収され得る。
【0057】
発現された作用物質は、宿主細胞又は培地の1以上の成分からポリペプチドを分離することができる何らかの方法によって、培地又は細胞培養物から精製され得る。ポリペプチドの意図される使用を妨害する宿主細胞及び/又は培地成分から、作用物質を分離し得る。第一段階として、細胞残屑を除去するために、培地又は細胞溶解物を遠心するか又はろ過し得る。次に、通常、上清を所望の体積に濃縮もしくは希釈するか又はさらなる精製のために調製物を適切な状態にするために適切な緩衝液に透析し得る。
【0058】
次に、周知の技術を用いて作用物質をさらに精製し得る。選択される技術は、作用物質の特性に依存して変化する。例えば、作用物質の結合メンバーの同種結合パートナーを含有するアフィニティーカラムを用いて作用物質を精製し得る。例えば、アフィニティーカラムでの分別によって、緑色蛍光タンパク質、ヘマグルチニン又はFLAGエピトープタグと融合された又はヘキサヒスチジン(配列番号13)もしくは類似の金属アフィニティータグと融合された作用物質を精製し得る。
【0059】
6.B.ミクロチに対する抗体を検出する方法
本明細書中で、試験試料中で抗ミクロチ抗体を検出するための方法が提供される。本方法は、試験試料と作用物質を接触させ、抗ミクロチ抗体の量を測定して、対照試料と比較することを含み得る。
【0060】
作用物質は固体支持体上に固定化され得る。また、作用物質をブロッキング剤に接触させ得る。さらに、抗ミクロチ抗体を含み得る対照試料又は試験試料に本作用物質を接触させ得る。本作用物質は、抗B.ミクロチ抗体と抗原−抗体複合体を形成し得るが、これを検出試薬と接触させ得る。検出試薬は、検出可能な標識を含み得る。検出方法は、検出系に含まれ得る。
【0061】
a.B.ミクロチ抗体を同定するためのアッセイの成分
(1)固体支持体
B.ミクロチ抗体の存在を同定するために、診断アッセイにおいて固体支持体が使用され得る。固体支持体は、本作用物質が連結され得る当業者にとって公知の何らかの物質であり得る。使用され得る固体支持体の例は、マイクロタイタープレート中の試験ウェル、ニトロセルロース、ナイロン、ビーズ又はディスク(ガラス、グラスファイバー、ラテックス、プラスチック又は紙材料製であり得る。)、ゲル(例えば、ポリペプチドが流され、次いで乾燥させられるゲル)又はストリップ、ディスク又はシート(ニトロセルロース、ナイロン、プラスチック又は紙製であり得る。)である。支持層は、プラスチック、厚紙製などであり得、例えば、ニトロセルロースストリップ又はディスクは、感圧プラスチックフィルム上に積層され得る。ストリップディスク又はシートは、さらにオンボード対照又は試験バンド、スポット又はドットの場所に対して使用される何らかの不連続領域に対して、場合によっては、その他の試料とそれが差別化され得るように、試料を標識化するために使用される識別領域を含む(例えば、名称、番号、英数字番号、バーコード又はその他の適切な手段)。
【0062】
本作用物質は、当業者にとって公知の何らかの技術を用いて、固体支持体上に結合又は固定化され得る(例えば、ウエスタンブロット技術、当業者にとって周知である方法を用いて)。さらに、1以上の対照もまた、固体支持体上に固定化され得る。「結合」又は「固定化」という用語は、交換可能に使用される場合、吸着などの非共有結合及び共有結合(組み換えタンパク質と固体支持体上の官能基との間の直接連結であり得るか又は架橋剤によりなされる連結であり得る。)の両方を指し得る。ストリップ、ディスク又はシートへの吸着は、適切な時間にわたり、ストリップ、ディスク又はシートと、適切な緩衝液中の組み換えポリペプチドのそれぞれ及び何らかの対照の溶液を接触させることによって達成され得る。この接触時間は、温度に依存して様々であるが、約1時間から約24時間の間である。
【0063】
本作用物質は、前述のストリップ、ディスク又はシート上に固定化され得る。本作用物質は、ストリップ、ディスク又はシート上の個々の平行するバンド、スポット又はドットとして並べられ得る(これらのそれぞれは、「試験」バンド(band)、スポット(spot)又はドット(dot)、まとめて「試験」バンド(bands)、スポット(spots)又はドット(dots)と呼ばれ得る。)。本作用物質は、(Bio−Dot、Irvine、CA(AJQ3000 Air Jet Quanti又はRR4200−Dip Tankなど)から得入手可能なものなどの噴射装置を用いて)組み換えタンパク質を前述のストリップ、ディスク又はシート上に噴射することによるなどの自動化技術、又は前述のストリップ、ディスク又はシート上に組み換えタンパク質をピペットで添加することによるなどの手動技術など、当技術分野で公知の通常の技術を用いて、前述のストリップ、ディスク又はシート上に固定化され得る。シートを使用する場合、組み換えタンパク質全てをシート上に固定化したら、アッセイで使用するためのストリップになるように、当技術分野で公知の通常の技術を用いて、このシートを切ることができる。ストリップ、ディスク又はシート上の本作用物質(及び場合によっては何らかの対照)の位置は重要ではない。さらに、このストリップ、ディスク又はシートは、糊付け、積層などの当技術分野で公知の通常の技術を用いて、支持層にさらに固定化され得る。
【0064】
必要に応じて、固体支持体への本作用物質(及び場合によっては何らかの対照)の共有結合は、最初に、支持体及び組み換えポリペプチドにおけるヒドロキシル又はアミノ基などの官能基の両方と反応する二官能性試薬と固体支持体を反応させることにより達成される。例えば、ベンゾキノンを用いて、又はポリペプチド上のアミン及び活性水素と支持体上のアルデヒド基の縮合により、適切なポリマーコーティングを有する支持体にポリペプチドを結合させ得る。
【0065】
(2)ブロッキング試薬
本作用物質(及び場合によっては何らかの対照)を支持体上に固定化したら、支持体上で本作用物質の残りの結合部位をブロッキング処理し得る。当業者にとって公知の何らかの適切なブロッキング試薬を使用し得る。例えば、ウシ血清アルブミン(「BSA」)、リン酸緩衝食塩水(「PBS」)PBS中のカゼイン溶液、Tween20TM(Sigma Chemical Company、St.Louis、MO)、ならびにその他のブロッキング試薬が使用され得る。その後に乾燥させるゲルを含む支持体を使用する場合、支持体をブロッキング処理する必要がない場合がある。ブロッキング処理を完了した後、PBSなどにより支持体を洗浄し、(風乾などにより)適切な時間にわたり乾燥させ得る。乾燥時間は温度に依存して変動するが、約30分から約24時間の間である。
【0066】
次いで、固定化された作用物質(及び場合によっては1以上の対照)を試験試料と温置する。この温置前に、PBSなどの適切な希釈剤で試験試料を希釈し得る。この温置中、何らかの抗体が試験試料中に存在する場合、これらの抗体は、固体支持体上の組み換えポリペプチドの1以上に結合する。一般に、温置時間は、試験試料内でのB.ミクロチ抗体の存在の検出を可能にするのに十分である時間である。温置時間は、約15分から約6時間の間であり得る。好ましくは、温置時間は、約1時間から約4時間の間であり得る。
【0067】
(3)試験試料
固体支持体上の本作用物質を試験試料と接触させ得る。この試験試料は、B.ミクロチに対する抗体を含有し得る。この試験試料は、ヒト、家畜哺乳動物、例えばイヌ、ネコ及びハムスターなど、又は野生の哺乳動物を含む哺乳動物から単離され得る。この試験試料は、血液、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、尿又はその他の適切な試料であり得る。試験試料は、緩衝液中で連続希釈され得る。例えば、試験試料の連続希釈には、1:64、1:128、1:256、1:512及び1:1024の比率が含まれ得る。
【0068】
(4)対照試料
固体支持体上の作用物質を対照試料と接触させ得る。この対照試料は、B.ミクロチに対する抗体を含有することにより陽性対照であり得る。この対照試料は、B.ミクロチに対する抗体を欠くことにより、陰性対照であり得る。例えば、陰性対照試料は、トリパノソーマ・クルジ(Trypanosoma cruzi)に対する抗体又は指定されたChangas SDBを含有し得る。T.クルジ抗体は、JL8、TCR27、JL7、TCR39、PEP−2、Ag36、JL9、TCNA、TcLo1.2、TS、TcD、FcaBP、Tc−28、Tc−40、FL−160、CEA、CRP、TcP2βN−C29、SA85−1.1、FP3、FP6、FP10及びTcFからなる群から選択される組み換えポリペプチドに対して反応性を有し得る。陰性対照はまた、B.ミクロチに対するペプチドに結合しない抗体も含み得る。本作用物質と接触させる対照試料は、ヒト、家畜動物、例えば、イヌ、ネコ及びハムスターなど、又は野生動物を含む哺乳動物から単離され得る。哺乳動物からの対照試料は、血液、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、尿又はその他の適切な試料であり得る。対照試料は、B.ミクロチに対して非特異的な、ヒト血漿タンパク質又は免疫グロブリンであり得る。対照試料は、緩衝液中で連続希釈され得る。例えば、対照試料の連続希釈は、1:64、1:128、1:256、1:512及び1:1024の比率であり得る。
【0069】
(5)検出試薬
本作用物質をブロッキング処理した後、本作用物質を接触させ、検出試薬を用いて検出し得る。PBS又はトリス緩衝液(20mM Tris、0.15%Tween20TM及び0.1%アジ化ナトリウムを含有するトリス緩衝液など)などの適切な緩衝液で固体支持体を洗浄することによって、未結合試験試料を除去し得る。固体支持体に検出可能試薬を添加し得る。適切な検出可能試薬は、固定化された作用物質−抗体複合体(及び場合によっては何らかの固定化対照)に結合し、当業者にとって公知の様々な手段の何れかにより検出され得る何らかの化合物である。検出可能試薬は、検出可能な標識に結合される、例えば、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリン、レクチン又は遊離抗原)などの結合試薬を含有し得る。検出可能標識への結合試薬の結合は、当業者にとって公知の標準方法を用いて達成され得る。一般的な結合試薬は、Zymed Laboratories(San Francisco、CA)及びPierce(Rockford、IL)などの多くの市販業者から、様々な検出可能標識に結合されたものを購入することができる。
【0070】
検出試薬は、結合抗体(antibody or antibodies)(及び場合によっては1以上の対照)を検出するために十分な時間にわたり、固定化されたポリペプチド−抗体複合体(及び場合によっては1以上の対照)とともに温置され得る。適切な温置時間は、一般に、製造者の説明書から、又はある時間にわたり起こる結合のレベルをアッセイすることにより、決定され得る。次に、未結合検出試薬を除去し、検出可能標識を用いて結合検出試薬を検出する。検出可能な標識を検出するために使用される方法は、アッセイで使用される検出可能標識の性質に依存する。例えば、放射性標識の場合、シンチレーションカウント又はオートラジオグラフィー法を使用し得る。化学発光又は蛍光標識の場合、分光学的方法を使用し得る。酵素標識は、通常、基質を添加し(通常、特定の時間にわたり)、次いで反応産物の分光学的又はその他の分析により検出され得る。
【0071】
(6)検出標識
検出試薬は、検出標識を含み得る。検出可能標識は、放射性標識(例えば、H、125I、35S、14C、32P及び33Pなど)、酵素免疫アッセイのために使用される酵素標識(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリペルオキシダーゼ、グルコース6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ルシフェラーゼなど)、化学発光標識(例えば、アクリジニウムエステル、ルミナール、イソルミノール、チオエステル、スルホンアミド、フェナントリジニウムエステルなど)、蛍光標識(例えば、フルオレセイン(例えば、5−フルオレセイン、6−カルボキシフルオレセイン、3’6−カルボキシフルオレセイン、5(6)−カルボキシフルオレセイン、6−ヘキサクロロ−フルオレセイン、6−テトラクロロフルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネートなど))、ローダミン、フィコビリタンパク質、R−フィコエリトリン、量子ドット(例えば、硫化亜鉛被覆セレン化カドミウム)、温度標識(thermometric label)又は免疫−ポリメラーゼ連鎖反応標識であり得る。標識に対する導入、標識手段及び標識の検出は、Polak及びVan Noorden、Introduction to Immunocytochemistry、第2版、Springer Verlag、N.Y.(1997)及びHaugland、Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(1996)(これは、Molecular Probes、Inc.、Eugene、Oregonにより刊行されたハンドブック兼カタログである。)で見出される。
【0072】
検出可能標識は、放射性、比色又は蛍光イメージング又はその他の視覚的手段により測定され得る。例えば、検出標識は、蛍光画像装置により相対光単位で測定され得る。
【0073】
b.検出系
(1)B.ミクロチ抗体の検出に対する一般的方法
本明細書中に記載される検出法は、試験又は対照試料中でのB.ミクロチに対する抗体の存在を判定するために、様々な周知の検出系により実行される。一般に、この検出系は、試験試料中でのB.ミクロチ抗体の有無を判定するための、作用物質に結合する検出標識から生成されるシグナルと所定値との間での、蛍光又はその他の比較手段を含み得る。所定値は、対照試料から測定されたシグナルに対する試験試料から測定されたシグナルの比率であり得る。一般に、B.ミクロチ抗体を含有しない対照試料から測定された平均シグナルを3標準偏差上回るシグナルを生成する試験試料は、B.ミクロチ抗体及びB.ミクロチ感染について陽性であると見なされ得る。
【0074】
あるいは、検出可能標識の数値を測定するために、密度計などの装置を使用し得る。所定値は、Sackettら、Clinical Epidemiology:A Basic Science for Clinical Medicine、p.106−107(Little Brownら、1985)の方法を使用して、Receive Operator Curve(「ROC」)を用いて決定され得る。所定値は、蛍光画像装置又は上述のようなその他の手段による、相対光単位に基づき得る。簡潔に述べると、所定値は、診断試験結果に対するそれぞれの可能な値に相当する真陽性比率(即ち感度)及び偽陽性比率(即ち100%特異性)のペアのプロットから決定され得る。左上角に最も近いプロットにおける所定値(即ち、最大領域を囲む値)は、最も正確な所定値であり、この方法により決定される所定値よりも高いシグナルを生成する試料は陽性と見なされ得る。あるいは、所定値は、偽陽性比率を最小限にするために、プロットに沿って左に移動させ得る。
【0075】
(2)免疫ブロット
検出法は、抗ミクロチ抗体を検出するために、免疫ブロット検出系において使用され得る。免疫ブロットにおいて、本作用物質を固定化するために固体支持体が使用され得る。
【0076】
免疫ブロットは、2つの個別の対照試料(即ち、第一の対照及び第二の対照)を使用し得、これらは、固体支持体上に固定化され得る。免疫ブロットは、3つの個別の別個の対照試料(即ち、第一の対照、第二の対照及び第三の対照)を使用し得る。複数の対照試料が存在する場合、対照は互いに同一であり得るか又は互いに異なり得る。対照試料の2つが同一であり得る(例えば第一の対照及び第二の対照など)。対照試料の2つが同一である場合、これらの対照試料のうち1つの濃度(第一の対照もしくは第二の対照の何れか又は3つの対照が存在する場合、第一の対照もしくは第三の対照又は第二の対照もしくは第三の対照のレベル)はその他の対照よりも高い(又は大きい)ことがある。本対照試料は、その他の対照よりも高濃度であり得、これは、「高濃度対照」と呼ばれ得る。高濃度対照よりも低濃度でストリップ、ディスク又はシート上に固定化された対照は、「低濃度対照」と呼ばれ得る。高濃度対照に対する低濃度対照の濃度比は、約1:2から約1:10、好ましくは、約1:5から約1:6であり得る。例えば、第一の対照は低濃度対照であり得、第二の対照は高濃度対照であり得る。あるいは、第一の対照は高濃度対照であり得、第二の対照は低濃度対照であり得る。別の例として、3つの対照検出系は、低濃度対照及び高濃度対照ならびに第三の対照を含み得る(例えば試料添加を確認するために使用され得る。)。低濃度対照及び高濃度対照はヒト血漿(高濃度対照に対する低濃度対照の比が約1:2から約1:10である。)であり得、第三の対照は、SDB Chagas又はヒト血漿であり得る。
【0077】
フロースルー方式において、試験試料を含有する溶液に、固体支持体上に固定化された作用物質を浸漬し得る。あるいは、希釈剤とともに反応トレイ中に固体支持体を置き、次いで試験試料を反応トレイに添加し得る。本明細書中で既に記載の同じ時間及び技術を用いて、十分な時間にわたり、試験試料及び作用物質を温置する。本明細書中で既に記載の技術を用いて、未結合試験試料を除去し得る。この方式において、試験試料内の抗ミクロチ抗体は、試験試料が膜を通過するとき、固定化された作用物質(及び少なくとも1つの対照)に結合し得る。少なくとも1つの検出試薬(検出可能標識を含有する本明細書中で既に記載の検出試薬など)を添加し得る。少なくとも1つの検出試薬は、検出試薬を含有する溶液がストリップを流れるときに形成される作用物質−抗体複合体のそれぞれに結合し得る。試験試料中のB.ミクロチ抗体の有無を調べるために、カットオフを使用して、又は下記で詳細に考察されるように1以上の対照により生成される1以上のシグナルの強度を比較することによって、結合した検出試薬の検出を上述のように行い得る。
【0078】
上述のような低濃度対照及び高濃度対照がフロースルー方式で使用され得る場合、本作用物質に対する試験バンド(又はスポット又はドット)のそれぞれにおいて、検出可能標識からのシグナルの存在を同定することによって、試験試料中のB.ミクロチ抗体の有無が判定され得る。本作用物質に対する試験バンドにおいてシグナルが同定される場合、0から4+のスケールを用いて、低濃度対照バンド(又はスポット又はドット)及び高濃度対照バンド(又はスポット又はドット)からのシグナルの強度と、この検出されるシグナルの強度を比較する。バンドが見られない場合、読み取りは0である。低濃度対照バンド及び高濃度対照バンドの強度は、それぞれ1+(低濃度対照)及び3+(高濃度対照)として定義され得る。低濃度対照の強度に匹敵する強度の試験バンドは、1+と評価される。低濃度対照と高濃度対照バンドとの間の強度のバンドは2+と評価される。高濃度対照の強度に匹敵する強度のバンドは、3+と評価される。高濃度対照の強度よりも高いバンド強度は4+と評価される。低濃度対照の強度よりも強度が弱い微弱なバンドは、+/−と評価される(表2参照)。米国特許出願第11/583,203(参照により完全に組み込まれる。)の図2に記載の典型的アルゴリズムを示されるように、免疫ブロットアッセイは、試験試料が抗B.ミクロチ抗体に対して陽性であるか又は陰性であるかの視覚的指標を提供し得る。
【0079】
【表2】

【0080】
(3)競合アッセイ
本検出方法は、B.ミクロチに特異的な抗体を用いて試験試料を同定するために、競合検出系において使用され得る。本作用物質は、上述のように、固体支持体上に固定化され得る。次に、固定化された作用物質は、本作用物質に結合し、試験試料中の抗B.ミクロチ抗体と競合することが知られている、検出可能標識される競合抗体と接触させられ得る。固定化された作用物質を試験試料とも接触させる。抗体の両セットが固定化された作用物質に対して競合しているので、検出可能に標識される抗体からのシグナルは、B.ミクロチに特異的な抗体を含有する試験試料中で、より低くなり得る。
【0081】
言うまでもなく、本明細書中の代表的方式の何れか及び本発明による何らかのアッセイ又はキットが、例えば米国特許第5,089,424号及び同第5,006,309号で記載のような、及び例えば、以下に限定されないが、AbbottのARCHITECT(R)、AxSYM、IMX、PRISM及びQuantum IIプラットフォームならびにその他のプラットフォームを含む、Abbott Laboratories(Abbott Park、IL)により市販されているような、自動又は半自動システム(微小粒子を含む固相があるものを含む。)での使用に対して適応させられ得るか又は最適化され得ることは当然である。
【0082】
さらに、本発明のアッセイ及びキットは、場合によっては、AbbottのPoint of Care(i−STATTM)電気化学的免疫アッセイシステムを含む、ポイントオブケアアッセイ系に対して適応させられ得るか又は最適化され得る。免疫センサー及び使い捨て試験装置でそれらを製造し操作する方法は、例えば米国特許第5,063,081号及び米国特許出願公開第20030170881号、同第20040018577号、同第20050054078号及び同第20060160164号(上記のものに関するそれらの教示のために本明細書中で参照により組み込まれる。)で記載されている。
【0083】
7.診断キット
本発明はまた、B.ミクロチに対する抗体について試料をアッセイするための試験キットも提供する。本発明による試験キットには、本発明による1以上の免疫アッセイを実施するために有用な本作用物質などの1以上の試薬が含まれる。試験キットには、通常、1以上の個別の組成物として又は場合によっては、試薬の適合性が許す場合、混合物として試薬を保持する1以上の容器での包装が含まれる。この試験キットにはまた、緩衝液、希釈剤、標準物質及び/又は試料処理、洗浄又はアッセイの何らかのその他の段階を行うのに有用な何らかのその他の材料など、使用者の立場から所望され得るその他の材料も含まれる。
【0084】
ある一定の実施形態において、試験キットにはヒト化モノクローナル抗体が含まれ、このヒト化モノクローナル抗体は本作用物質に特異的である。この成分は、本発明による免疫アッセイにおける陽性対照として使用され得る。必要に応じて、この成分は、試験試料中で検出されるシグナルが比較され得る標準曲線の作成を容易にするために複数濃度で試験キットに含まれ得る。あるいは、キット中で提供される単一ヒト化モノクローナル抗体溶液の希釈液を調製することによって、標準曲線を作成し得る。
【0085】
本発明によるキットには、固相及び固体支持体に固定された作用物質が含まれ得る。サンドイッチ免疫アッセイを行うためにキットを使用し得、キットには、標識された検出抗体が含まれる。標識化される検出抗体は、抗ヒトIgG標識化抗体であり得る。本キットは検出可能標識をさらに含み得る。
【0086】
ある実施形態において、試験キットには、アクリジニウム−9−カルボキサミドなどの少なくとも1つの直接的標識が含まれ得る。本発明による試験キットにはまた、少なくとも1つの間接的標識も含まれ得る。使用される標識が一般に検出可能なシグナルを生成させる指標試薬を必要とする場合、本試験キットには、1以上の適切な指標試薬が含まれ得る。
【0087】
本キットには固相が含まれ得る。本発明による試験キットには、本発明の免疫アッセイの1以上を行うための説明書が含まれ得る。本発明のキットに含まれる説明書は、包装材料に固定され得るか又は添付文書として含まれ得る。説明書は、典型的には、書かれているか又は印刷物であるが、一方でこれらはそのようには限定されない。このような説明書を保管し、エンドユーザーにそれらを伝えることができる何らかの媒体が本発明により企図される。このような媒体には、以下に限定されないが、電子記憶装置媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学媒体(例えばCD ROM)などが含まれる。本明細書中で使用される場合、「説明書」という用語は、説明を提供するインターネットサイトのアドレスを含み得る。
【実施例1】
【0088】
ペプチド被覆微小粒子
次の結果から、バベシア血清反応性が、微小粒子に結合されたバベシア抗原を用いてバベシア感染対象の血清から測定され得ることが示される。ペプチド−被覆微小粒子を作製するために、Houghton RLら、Transfusion、2002;42:1488−96(この内容は、参照により本明細書中に組み込まれる。)に記載のものなど、当技術分野で周知の方法に従い、Fmoc(即ち、9−フルオレニルメチルカルバメート)化学を用いて、バベシア抗原MN−10−8(配列番号11)及びBMN1−17−4(配列番号5)を合成した。組み合わせられたMN−10−8及びBMN1−17−4抗原、BMN−MN(配列番号12)からなるペプチドを同様に作製した。米国公開第20040023865号(この内容は、参照により本明細書中に組み込まれる。)に記載のものなど、当技術分野で周知の方法に従い、バベシア抗原を微小粒子上に固定化した。
【0089】
バベシアペプチド−被覆微小粒子(0.05%固体)をブロッキング処理し、次いで既知のB.ミクロチに感染している対象からの5種類の異なる血清試料の1つ又はヒト血漿陰性対照(NC)と温置した。陰性対照は、4つ組試験で行った。温置後、微小粒子を洗浄した。次に、洗浄し、次いで生物発光を惹起することができる基質と温置される、生体発光酵素に結合されたマウス−抗−ヒトIgG25ng/mLを添加し、洗浄し、生物発光を惹起することができる基質と温置した。次に、生体発光画像装置を用いて、相対光単位(RLU)で発光量を測定した。4つの陰性対照の平均RLU値により各バベシア−感染試料に対するRLU測定を割ることによって、陽性対陰性対照(P/N)比を測定した。表3で結果を示す。
【0090】
【表3】

【0091】
2.5μg/Lの濃度のバベシア抗原MN−10−8、BMN1−17−4及びBMN−MNで被覆された微小粒子をまた、次のようにEIA中のバベシア感染血清に対する血清反応性について試験した。この微小粒子をブロッキング処理し、洗浄し、次いで5種類のバベシア感染血清試料(2つ組試験での各試料)、陰性対照(99800)又はマラリア感染血清(SDB)のうち1つとともに温置した。次に、微小粒子を洗浄した後、製造者のプロトコールに従い、HCV EIA2.0(Abbott Laboratories、Abbott Park、Illinois)からの試薬を用いて、血清反応性を測定した。結果を表4で示す。
【0092】
【表4】

【0093】
これらの結果から、対象からの血清中のバベシア抗体に対する血清反応性を測定するために、バベシア抗原で被覆された微小粒子を使用することができることが示される。
【実施例2】
【0094】
血清反応抗体を検出するためのキメラタンパク質
次に、それらの比較的強い血清反応性及び特異性により選択された7種類のバベシアペプチドを含む合成キメラ組み換えタンパク質(「キメラタンパク質」)を説明する。次の選択基準を使用した:平均OD450≧0.1、マラリア感染血清に対する平均OD450、バベシア感染血清に対しておよそ≦60%及び陰性対照に対する平均OD450、バベシア感染血清に対しておよそ≦60%。それぞれ5’−及び3’−末端にEcoRI及びBamHI部位とともにこのキメラタンパク質をコードするDNA配列(「キメラ配列」、図1)を設計した。発現ベクターpKRR826(非融合産物を生成するpLに基づくベクター)において同じ部位にクローニングするために、これらの部位を使用し、同様に、pJO200へのクローニングのために使用することができた(CKS−融合産物を生成するベクター)。このDNA配列は、その他の内部EcoRI又はBamHI部位を含有しない。
【0095】
発現コンストラクトを作製するために、ベクターシャインダルガノ配列の開始から下流の最適な距離(一般に12から14塩基)に開始コドンが位置するように、キメラ配列のすぐ上流に開始コドンをインフレームで挿入した。キメラ配列は、E.コリでの発現に対して可能な限りコドン−最適化した。稀少コドンは使用しなかった。Henaut及びDanchin:Analysis and Predictions from Escherichia coli Sequences、Escherichia and Salmonella、Vol.2、Ch.114:2047−2066、1996、Neidhardt FC編、ASM Press、Washington、D.C.からのE.コリコドン使用表をコドン選択のために使用した。結果として望ましくないリボソーム負荷が起こり、キメラタンパク質の発現が低下し得る、潜在的なShine Dalgarnoコンセンサス配列(即ち、5’UAAGAG)についてセンス鎖を調べた。あらゆる強力なコンセンサスマッチを代替コドンに変更した。最も保存された4塩基コア配列(AGGA)との完全な合致はなかった。いくつかの部位が7つの位置のうち5つで合致し、両方ではない場合、少なくとも1つのミスマッチがより保存性が高い位置にあった。
【0096】
結果として短縮型産物が発現され得る潜在的転写終結部位(即ち、GCリッチステムの前の2塩基上流内にCがあり、その後にすぐ下流にTリッチストレッチが続く、センス鎖における軽度のステムループ構造)についてもキメラ配列を調べた。全く見付からなかった。
【0097】
代替コドン使用を通じて、特にパリンドロームが、発現コンストラクトを組み立てることにおいて使用しようとする合成オリゴヌクレオチドの末端又はその付近に存在する場合、大きな影響を与えるパリンドロームを破壊した。代替コドン使用を通じて、組み立て中の正しくないプライミングの可能性を低下させるために、コンストラクト内の不要な配列に対してキメラ配列の合成オリゴヌクレオチドの5’又は3’末端の間の相補性が最小限になるようにした。クローニング前に、キメラ配列の伸長/PCRアセンブリを促進するために、隣接するオリゴヌクレオチドが20塩基末端重複を含有した。酸に不安定なペプチド対Asp−Proの存在についてもキメラ配列を調べた。全く見付からなかった。
【0098】
フレキシブルスペーサーとして機能させるために、キメラタンパク質のペプチドセグメント間にAla及び/又はGlyからなるジペプチドを挿入した。ペプチドが正常に重複する隣接配列由来であった場合又はこのタイプのスペーサーが既に存在した場合は、これを行わなかった。
【0099】
停止コドンは、翻訳停止のためのキメラORFの末端に位置し、キメラ配列の最後尾の後及び停止コドンの前に、Hisタグペプチド配列を付加した。キメラ配列発現コンストラクトからこのキメラタンパク質を首尾よく発現させ、次いで、精製し、血清学的同定において使用した。キメラ配列及びキメラタンパク質の略図を図1で示す。
【実施例3】
【0100】
キメラタンパク質に対する血清反応性
次の結果から、実施例2のキメラタンパク質がバベシア感染対象からの血清に対して血清反応性を示すことが明らかとなる。ストリップ試験により、下記のように測定した場合の結果を図2で示す。
【0101】
ヒトIgG−高濃度(25μg/mL)、ヒトIgG−低濃度(2.5μg/mL)及びヤギ抗ヒトIgG(100μg/mL)ならびにキメラタンパク質(100μg/mL)の対照溶液を用いて、免疫ストリップを調製した。具体的に、pH7、50mMナトリウム3−(N−モルホリノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホネート緩衝液中で各タンパク質を溶解した。Bio−Dot(Irvine、CA)からの、マイクロプロセッサー制御XYZ3050分配装置を用いて、図2で示される相対位置で並行線で、ニトロセルロース膜シート(0.45ミクロン、2x3インチ;Whatman Schleicher&Schell、Keene、NH)上に各タンパク質試料100μLを噴射し、室温(RT)にて1時間、温置した。噴射溶液の濃度は上述のとおりであった。温置後、100mLリン酸緩衝食塩水(PBS)で膜を洗浄し、RTで30分間、PBS中5%脱脂粉乳でブロッキング処理し、100mL PBS中で5分間洗浄し、風乾した。最後の段階として、この膜シートに感圧プラスチックフィルムを積層し、3mm幅のストリップになるように切った。
【0102】
次のように、上記免疫ストリップを介して、陰性対照及び5検体のバベシア感染標本の両方を試験した。陰性対照(99800、図2)は、B型肝炎表面抗原(「HBsAg」)に対する及びB型肝炎ウイルスのコアタンパク質(「HBcore」)、C型肝炎ウイルス(「HCV」))、ヒト免疫不全ウイルス(「HIV」)及びヒトT細胞リンパ向性ウイルス(「HTLV」)に対する抗体についてのアッセイで試験した場合に陰性となったカルシウム再沈着正常ヒト血漿であった。バベシア感染が確認されたドナーから採血した血液から、バベシア抗体陽性標本(試料1−5、図2)を分離した。
【0103】
粒状物質を除去するために試験前に、1.5mLエッペンドルフチューブ中で、以前に凍結した血清又は血漿試料を微量遠心し(14,000rpm、5分);未凍結試料は遠心しなかった。希釈剤3mL及び免疫ストリップを免疫ブロット反応トレイ(Bio−Rad、Hercules、CA)の各底に入れ、RTで5分間温置した。各温置段階中、振盪器上で底部の内容物を穏やかに混合した。希釈剤中にストリップを含有する各ウェルに50μL試料を添加し、RTで2時間温置し、次いで吸引し、TNT緩衝液中ですすぎ(pH8.0、20mM Tris、0.5M NaCl、0.3%Tween−20)、RTにて5mL TNT緩衝液で3回洗浄した。次に、0.2μg/mLアルカリホスファターゼ結合ヤギ抗−hIgG溶液3mLを各底部に添加し、RTにて1時間温置した。ウェルを吸引し、RTにて5分間、5mL TNT緩衝液でストリップを3回洗浄した。この次に、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート/ニトロブルーテトラゾリウム(「BCIP/NBT」;20mLの蒸留水中錠剤1錠;Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)の基質溶液2mLを各ウェルに添加し、発色のためにRTにて10分間、周囲温度で温置した。この後、吸引し、発色を停止させるために蒸留水で3回洗浄した。続いて、ストリップを底部から除去し、AlphaImager Systemを介して読み取るために風乾させた。総アッセイ時間は約4時間であった。
【0104】
図2から、陰性対照がキメラタンパク質に対して反応を示さなかった一方で、試料2−5は、キメラタンパク質に対して血清反応性を示したことが示される。それゆえに、バベシアに感染した対象の血液中の抗体の存在を測定するために、キメラタンパク質を使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のものからなる群から選択される作用物質:
(a)ペプチドの第一の群及びペプチドの任意の第二の群を含む複数のペプチド
((i)第一の群の各ペプチドは、配列番号5−11で記載されるとおりの配列又はそれと少なくとも70%同一である配列を含み、
(ii)第一の群の各ペプチドは、50以下のアミノ酸を含む。);
(b)(a)の複数のペプチドを含むキメラタンパク質;及び
(c)第一の部分及び第二の部分を含む融合タンパク質(第一の部分は、(b)に従うタンパク質であり、第二の部分は、結合メンバーである。)。
【請求項2】
ペプチドの第一の群が配列番号5−11で記載される各配列を含む、請求項1に記載の作用物質。
【請求項3】
配列番号2の配列を含む、請求項1に記載のキメラタンパク質。
【請求項4】
配列番号4の配列を含む、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項5】
請求項1(b)に記載のタンパク質である第三の部分をさらに含む、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項6】
請求項1に記載の(a)の前記複数のペプチド、請求項1に記載の(b)の前記キメラタンパク質又は請求項1に記載の(c)の前記融合タンパク質の少なくとも1つをコードする、単離核酸。
【請求項7】
配列番号1に記載の配列を含む、請求項6に記載の単離核酸。
【請求項8】
配列番号3の配列を含む、請求項6に記載の単離核酸。
【請求項9】
発現調節配列に操作可能に連結される請求項6に記載の核酸を含む、発現ベクター。
【請求項10】
前記発現調節配列がプロモーターである、請求項9に記載の発現ベクター。
【請求項11】
請求項9に記載の発現ベクターを含む、単離宿主細胞。
【請求項12】
請求項1に記載の作用物質を含む、固体支持体。
【請求項13】
ニトロセルロース、ナイロン、プラスチック及び紙からなる群から選択される、請求項12に記載の固体支持体。
【請求項14】
請求項1に記載の作用物質を含む、診断キット。
【請求項15】
(a)作用物質/抗体複合体を形成するのに十分な時間にわたり、及び十分な条件下で、請求項1に記載の作用物質と前記試験試料を接触させ;
(b)該作用物質/抗体複合体の存在を検出する(該複合体の存在は、該試験試料中でのB.ミクロチ(B.microti)に対する抗体の存在を示す。)、
段階を含む、試験試料中のB.ミクロチに対する抗体の存在を検出する方法。
【請求項16】
前記試験試料が、血液、血清、血漿、唾液、脳脊髄液及び尿からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
作用物質が固体支持体に連結される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
(a)請求項15に記載の方法に従い、試験試料中でのB.ミクロチに対する抗体の存在を検出し;
(b)抗ミクロチ抗体の量を対照と比較する(対照を上回る抗B.ミクロチ抗体のレベルはB.ミクロチ感染の指標である。)、
段階を含む、対象においてB.ミクロチ導入を診断する方法。
【請求項19】
(a)作用物質/抗体複合体を形成するのに十分な時間にわたり、及び十分な条件下で、請求項1に記載の作用物質と試験試料を接触させ;
(b)結合抗体にコンジュゲートが結合できるようにするのに十分な時間にわたり、及び十分な条件下で、得られた作用物質/抗体複合体にコンジュゲートを添加し(該コンジュゲートは、検出可能なシグナルを生成させることができるシグナル生成化合物に連結される抗−抗体を含む。);
(c)該シグナル生成化合物により生成されるシグナルを検出することによって該試料中に存在し得る抗体の存在を検出する(該シグナルの存在は、該試験試料中でのB.ミクロチ抗体の存在を示す。)、
段階を含む、試験試料中のB.ミクロチに対する抗体を検出する方法。
【請求項20】
前記試験試料が血液、血清、血漿、唾液、脳脊髄液及び尿からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
作用物質が固体支持体に連結される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
(a)請求項19に記載の方法に従い、試験試料中でのB.ミクロチに対する抗体の存在を検出し;
(b)抗ミクロチ抗体の量を対照と比較する(対照を上回る抗ミクロチ抗体のレベルは該対象におけるB.ミクロチ感染の指標である。)、
段階を含む、対象におけるB.ミクロチ感染を診断する方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−500088(P2011−500088A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531191(P2010−531191)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/080700
【国際公開番号】WO2009/055417
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】