説明

バリなし柔軟性トラックドリルシステム及びカウンターウェイトツール調整システムを有する方法

カウンターウェイトツール調整サブシステムを採用したバリなし柔軟性トラックドリルシステムである。カウンターウェイトツール調整サブシステムにより、ドリルと電磁石を取り付けたシステムの加工サブアセンブリに本質的に「無重量」の感覚が付与される。これによりオペレータが非常に小さい力を必要とするのみで加工サブアセンブリを垂直に動かすことが可能になる。加工サブアセンブリはまた、ユーザーが、ドリル作業がその上で行われる一対のパネルから離れるように及び一対のパネルに向かって電磁石を持上げ及び下降させるのを助ける複数の持上げサブアセンブリも含んでいる。これにより、オペレータの疲労を大幅に軽減し、高い人間工学性のシステムを提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置及び方法に関し、さらに具体的には、カウンターウェイトツール調整システムを組み入れたバリなしドリルシステム及び方法に関するものである。カウンターウェイトツール調整システムは、加工されるある区域上に手動で位置づけされる必要がある加工サブアセンブリが実際上無重量に感じるようにし、これによりオペレータによるシステムの使用を人間工学的に改善する。
【背景技術】
【0002】
この部分の記載は、本発明に関連する背景情報を提供するのみであって、従来技術を含まない可能性がある。
【0003】
バリなしドリルシステムは、航空機の機体部品及び他の多数の構造体に対するバリなしドリル作業を行うために、ボーイング・カンパニーによって開発されてきた。バリなしドリルシステムは通常、一対の柔軟なトラックを含み、このトラックは航空機の機体部分の外板パネルの外側表面に固定することができる。通常、トラックは吸着カップによって外板パネルの外側表面に固定される。トラックは接合部が形成される一区域に隣接して固定され、接合部では例えば2つの隣接する外板パネルをともに接合させるためにストリンガーが配置される。柔軟なトラックは、ドリル又は他の加工ツールを受けることができる、あるいはドリル又は他の加工ツールが取り付けられた加工サブアセンブリを支持する。ドリル加工又は別の形態の加工作業が行われる前に、加工される部品を共に固定するのに使用される電磁石もまた加工サブアセンブリに固定されている。電磁石は電圧が印加されると、反対の面(すなわち、機体の内部表面)に配置された裏板を電磁石側に引き寄せて、ドリル加工または他の形態の加工作業を始める前に、機体部品を共に固定する。上記システムは米国特許第7148776号明細書及び米国特許第6905291号明細書に開示されている。
【0004】
当然のことながら、加工サブアセンブリに取り付けられた電磁石は比較的重いものであり、通常30〜50lbs(13.63kg〜22.73kg)の重さがある。ドリル(手動あるいは自動)もしばしば加工サブアセンブリに取り付けられている。ドリルモーターの重量はしばしば5〜10lb(2.27kg〜4.55kg)である。垂直方向の接合部を形成する場合、ユーザーは電磁石に電圧を印加して共に加工される部品を固定する前に、加工サブアセンブリを所望の位置に上昇又は下降させなくてはならない。当然ながら、これはオペレータ側のかなりの労力を必要とすることである。航空機の機体建造への応用では、通常機体の外板パネルの外側表面全体に置かれた予め位置づけされたテンプレートにしたがって、放射状(すなわち垂直方向)の接合線に沿ってドリルで何百もの穴を開ける必要がある。したがって、平均的な就業時間にわたってサブアセンブリを必要な位置に正確に位置づけするために、加工サブアセンブリを繰り返し上昇及び/又は下降させたりすることは、労働者にとって肉体的に厳しいものになり得る。
【0005】
最初に、ドリル加工又は加工作業を始める直前に、オペレータのほんの少しの肉体的努力を要するのみで、ユーザーが電磁石を下降させて外板パネルの外側表面に接触させることができるようにすることが可能であることが好ましい。ドリル作業が一旦完了したときに、オペレータの大変な肉体的努力を必要とせずに、加工サブアセンブリの電磁石を外板パネルから引き離すことが可能であることもまた好ましい。
【発明の概要】
【0006】
カウンターウェイト調整システムを採用したバリなし柔軟性ドリルシステムと、上記システムを実行するための方法が開示されている。一実施形態においては、一対の柔軟なトラックがパネルの外面に取り外し可能に固定されている。本明細書に開示されている一実施例においては、パネルは可動のプラットフォームの本体部分の形成に使用される外板パネルであり、ある特定の実施例では、民間又は軍用航空機あるいは回転翼航空機の機体に使用される。
【0007】
ある実施例においては、システムはシステムの加工サブアセンブリを吊るすのに使用されるカウンターウェイトツール調整システムを含み、このシステムでは柔軟なトラックに沿って動くように加工サブアセンブリが支持されている。加工サブアセンブリは電磁石を含み、したがって、カウンターウェイトツール調整システムなしでは、垂直のトラックに沿って動かすのに大変な肉体的努力が必要になる。このカウンターウェイトツール調整システムを調節して、加工サブアセンブリの重量を概算することにより、オペレータには加工サブアセンブリがほぼ無重量に感じる。したがって、オペレータは非常にわずかな肉体的努力で、加工サブアセンブリを垂直のトラックに沿って再配置させることが可能である。
【0008】
一実施形態においては、加工サブアセンブリはまた、電圧を印加してユーザーが電磁石を、加工される外板パネルの外側表面に接触するように動かすのを助けることができる複数の持上げサブアセンブリも含んでいる。持上げサブアセンブリの電源が切られると、各持上げサブアセンブリに接続したバイアス部材により電磁石が外板パネルの外側表面から引き離される。したがって、再度外板パネルに電磁石を当接させて配置したり、また加工作業が完了した後に外板パネルから電磁石を引き離したりするために、ユーザー側において再度非常にわずかな肉体的努力が必要となる。
更なる応用分野は、本明細書に記載された説明から明示される。当然ながら、説明及び特定の実施例は図示目的のみで、本開示の範囲を限定するように意図されたものではない。
本明細書に記載された図面は図示目的のみで、いかなる場合においても本開示の範囲を限定するように意図されたものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、システムによって使用される裏板を図示するために機体の一部を切り欠いた、機体に沿ってドリルで穴を開けるのに使用される本開示のシステムの一実施形態の斜視図であると共に、航空機の機体部分の斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す加工サブアセンブリの正面図である。
【図3】図3は、図2の方向矢印3と一致するシステムの側面図である。
【図4】図4は、図2の点線4−4に沿った部分的側面断面図であり、外板パネルの外側表面に電磁石を近づける及び遠ざけるように動かすのに使用される持上げサブシステムの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
下記の説明は事実上単なる例示であり、本開示、応用、又は使用を限定するように意図されたものではない。
図1を参照すると、ここではカウンターウェイトツール調整サブシステムを組み入れたバリなしドリルシステム10が示されている。このシステム10は様々な種類の生産用途に使用することができるが、例えば民間航空機等の可動プラットフォーム用機体の建造を伴う組立作業に特に有用である。ただし当然のことながら、システム10は様々な形態の可動プラットフォームの本体部分を建造するための使用に対して実行可能である。システム10は基本的に、垂直軸に沿って正確な加工作業を行う必要があるいずれの用途においても使用可能である。便宜上、システム10の用途は本開示においては、民間航空機の機体の組立と関連して説明される。
【0011】
図1をさらに参照すると、システム10は民間航空機の機体20の外板パネル16及び18にそれぞれ固定された一対の従来の柔軟性トラックアセンブリ12及び14を含んでいる。この実施例においては、柔軟性トラックアセンブリ12及び14は吸着カップ19によって外板パネル16及び18に固定されている。外板パネル16及び18はまた、外板パネル16及び18の反対側の面、パネル16及び18の縁が互いに接触する接合線20の下部に位置づけされたフレーム部材(図では見えない)にも支持されている。
【0012】
システム10は、フック26及びアイボルト28を介してフレーム部材24から吊るされたカウンターウェイトツール調整デバイス22を含んでいる。ツール調整デバイス22を単に、それ自体がトラックアセンブリ12及び14に取り付けられていないフレーム状のデバイスから吊るすことも可能であるが、フレーム部材24は、柔軟性トラックアセンブリ12及び14に固定されている。ツール調整デバイス22は、フック32を介して加工サブアセンブリ34のアイボルト36に固定されている伸縮可能な格納式ケーブル30を含む。
【0013】
一形態のカウンターウェイトツール調整デバイス22は、マックマスターカーサプライカンパニーから部品番号6644A11で市販されているツール平衡器を備えている。この部品は、加工サブアセンブリ34の全重量を支持して、オペレータの手や腕が加工サブアセンブリ34の位置づけのために疲労することを実質的になくす又は大幅に軽減するように設計されている。カウンターウェイトツール調整デバイス22により、加工サブアセンブリ34が本質的に「無重量」に感じ、オペレータによる最小限の努力のみで加工サブアセンブリ34を垂直方向に再配置することが可能になる。ケーブル30(図1)により、加工サブアセンブリ34の所定の範囲、通常少なくとも約6〜7フィート(182.88cm〜213.36cm)の垂直移動が可能になる。
【0014】
加工サブアセンブリ34は一対のフレーム部材38及び40を含み、各フレーム部材は各端部に複数の4つのガイド車輪42を有している。各複数の4つのガイド車輪42は、トラックアセンブリ12及び14のうちの1つの一部の反対側の縁表面と係合する。したがって、加工サブアセンブリ34全体は、4つある複数のガイド車輪42によって柔軟なトラックアセンブリ12及び14上で支持され、柔軟なトラックアセンブリ12及び14に沿って転がすことができる。
【0015】
フレーム部材38及び40はレール44及び46にそれぞれ固定されている。レール44及び46は柔軟なトラックアセンブリ12及び14に対しておおむね直交方向に延びている。レール44により、電磁石50を支えているフレーム板48をトラックアセンブリ12及び14の縦軸に対して垂直に直線的に動かすことができる。図1においては、裏板52を確認することもでき、この裏板52は加工作業が行われる前に、外板パネル16及び18をフレーム部材、例えばストリンガー又はダブラーに固定するために電磁石と関連して使用される。
【0016】
図1及び2を参照すると、加工サブアセンブリ34はまた、フレーム板48の4つの角に複数の持上げサブアセンブリ54も含んでいる。持上げサブアセンブリ54はそれぞれ空気圧源60(図1)と接続している圧力調節装置58を介して圧縮空気を受ける圧縮エアシリンダー56を含んでいる。フレーム板48はまた、真空源66につながっているホース64を有する真空抽出システム62を組み込むのにも使用される。真空抽出システム62はドリル加工中に発生する小片及びドリルの削りくずを真空源66によって生成される真空を利用して抽出するのに使われる。この特徴は2007年2月15日付けの米国特許出願公開第2007/0036618号明細書にさらに説明及び図示されている。
【0017】
オペレータが加工サブアセンブリ34をトラックアセンブリ12及び14に沿って垂直方向に動かすと共にレール44及び46に沿って縦方向に動かしやすくするために、一対の取っ手68がフレーム板48に固定されている。空気加速装置69は電磁石50を冷却しやすいように圧縮空気を突発的に発生させるのに使用される。この空気加速装置69もマックマスターカーサプライカンパニーから市販されており、それぞれ適切な導管(図示せず)を介して圧縮空気源に取り付けられている。
【0018】
図1〜3をさらに参照すると、図2の点線で示すドリルをフレーム板48に取り付けるために取付板70が使用される。ドリル72は手動ドリル又は「自動送り」式であってよく、自動送り式ドリルは、ドリル作業中に所定の送り速度で自動的に前進する。ただし当然のことながら、実際はドリル以外の全ての種類の加工ツールを取付板70から容易に支持することができる。
【0019】
図3では裏板52を確認することもでき、裏板52には少なくとも1つの取っ手52a、及び好ましくは一対の取っ手が含まれていることが分かる。取っ手52aにより作業者が電磁石50に電圧を加える前に所望の位置に裏板52を位置づけすることができ、これにより裏板52と電磁石50が外板パネル18とフレーム部品86を共に固定することが可能になる。
【0020】
図3及び4を参照すると、フレーム板48は各持上げサブアセンブリ54に関連の延長ボルト74によって支持されている。コイルバネ76は各延長ボルト74を囲み、フレーム板48と関連の取付板78a又は78bの間に位置づけされている。各取付板78a、78bは、柔軟なトラックアセンブリ12及び14に対しておおむね直角に延びているため、図2の上方の2つの持上げサブアセンブリ54は取付板78aに固定される一方で、図2の下方の2つの持上げサブアセンブリ54は取付板78bによって支持される。各取付板78a、78bはそれぞれ、延長ボルト74のねじ切られた止り穴74a(図4)と係合する一対のネジ切りされたショルダーボルト80によってフレーム板48に固定されている。したがって、コイルバネ76は取付板78a、78b及びフレーム板48の間に挟まれている。各コイルバネ76の長さと堅さは、加工サブアセンブリ34の全重量を支持し、エアシリンダー56が延長ボルト74を引き込むのに使用されていない時に、機体のパネル16及び18の表面から所定の距離に電磁石50を配置することができるように、選択される。
【0021】
エアシリンダー56は、様々なデザインの空気圧シリンダーを含むことができるが、好適な一形態の、マックマスターカーサプライカンパニーの市販の部品番号1691T13のパンケーキ型タイ・ロッドエアシリンダーが使用される。上記「パンケーキ」タイプのエアシリンダーにより、タイ・ロッドシリンダーの電力とストロークが得られるが、要するスペースは通常従来のタイ・ロッドシリンダーの半分に満たない。上記エアシリンダーは、圧力がかかったときに関連の延長ボルト74を内向きにエアシリンダー56のハウジング56aの中へ引き込むエア・ポートを有している。複動式のパンケーキ型エアシリンダーが使用される場合は、第1ポートが設けられ、これは「押出し」ポートと呼ばれ、第2ポートも設けられ、これは「引寄せ」ポートと呼ばれる。「引寄せ」ポートに加圧するとエアシリンダー56の延長ボルト74が引き込まれ、「押出し」ポートに加圧することでコイルバネ76により延長ボルト74が延ばされる。
【0022】
加圧された空気がエアシリンダー56に供給されると、各延長ボルト74の長さ部分が各エアシリンダーのハウジング56aの中に引き込まれる。これにより各コイルバネ76が圧縮され、電磁石を動かして外板パネル16及び18のうちの1つ又は両方の外側表面に接触させる。空気圧が除去されると、電磁石50が外板パネル16及び18の外側表面から離れるようにバネ76によってバイアスがかけられる。上述したように、複動式のパンケーキ型エアシリンダーが使用される場合、「押出し」ポートに加圧してコイルバネ76が電磁石50を持ち上げるようにすることができる。したがって、オペレータが電磁石50に電圧をかける前に、取っ手68を無理やり押して手動で電磁石50を動かして外板パネル16及び18に接触させる必要がない。電磁石を動かして外板パネル16又は18に接触させるのに、オペレータがコイルバネ76のバイアス力に打ち勝つ必要がないため、オペレータの疲労が大幅に軽減される。当然のことながら、サブアセンブリ54を持上げないと、電磁石50に電圧を印加する前に、オペレータが取っ手68を介して加工サブアセンブリ34を下方向に繰り返し移動させて外板パネル16又は18に接触させなければならなくなる。航空機製造用途においては、単一の垂直方向の接続線に沿って何百もの穴をドリルで開ける必要が出てくる可能性があり、上記のようなバネ76のバイアス力に反する電磁石の手動による移動はオペレータをひどく疲労させることになる。持上げサブアセンブリ54によりこの疲労は事実上完全に解消することができる。オペレータ制御機器92をドリル72(図2)に近接して配置し、オペレータが各エアシリンダー56への圧縮空気の供給を容易に制御できるようにすることが可能であり、これにより予荷重力を加えて電磁石50の重量との釣合いを取ることができるため、実質的に全く力を加えずに、機体のパネル16及び18に向かって及びパネル16及び18から離れるように電磁石50を動かすことが可能になる。実際に、空気圧を調節して、電磁石50を機体のパネル16及び18に向かってまたはパネル16及び18から離れるように移動させる際にオペレータにとって電磁石50が事実上無重量に感じるようになる。
【0023】
さらに図3を参照すると、取付板78a、78bはねじ切りされた締結部材83によってそれぞれガイド部材82a、82bに固定されている。各ガイド部材82a、82bは、関連するレール42又は44のうちの1つと係合するチャネル85を含む。したがって、ガイド部材82a、82bにより、フレーム板48をレール44及46に沿って縦方向に滑動させることが可能になる。
【0024】
図4を参照すると、各持上げサブアセンブリ54はまた、関連のショルダーボルト80の一部周囲に配置された市販の球面軸受け88も含んでいる。この球面軸受け88は基本的に「ボールソケット」軸受けを形成するもので、マックマスターカーサプライカンパニーからも市販されている。この球面軸受け88により、矢印の方向90に従った一定の弓形運動が可能になり、航空機の機体の一部を形成する外板パネル16及び18の湾曲に適合する。
【0025】
作業中は、オペレータはまず加工サブアセンブリ34を、穴がドリルで開けられる所望の区域上に垂直に配置する。穴はドリル用テンプレート(図示せず)によって区切られ、ドリル用テンプレートは機体のパネル16及び18の外側表面上に位置づけされる。オペレータは次に、フレーム板48を縦方向(図2の左又は右)に動かして、ドリル72の錐先をドリル処理を行う区域上に正確に位置調整する。オペレータは次に、電磁石50を動かして機体のパネル16及び18に接触させ、そして電磁石50を作動させる。ドリル作業はオペレータが行うことができる。材料の小片及び削りくずは、ドリル作業が行われている間に真空抽出サブシステム62を介して真空源66によって取り除くことができる。ドリル作業が完了すると、オペレータは次に電磁石50の動作を停止させる。そしてコイルバネ76によって延長ボルト74がそれぞれのエアシリンダーのハウジング56aから偏り出やすくなり、オペレータが電磁石50を機体のパネル16及び18から離すように持上げやすくなる。それから加工サブアセンブリ34全体を再配置してドリルで別の穴を開けられるようにする。
【0026】
このシステム10はしたがって、加工サブアセンブリ34全体をオペレータにとって事実上無重量にすることによって、オペレータの疲労を大幅に軽減する。カウンターウェイトツール調整システム22によって加工サブアセンブリ34が垂直方向に実際上無重量となり、一方でエアシリンダー56及びコイルバネ76によって加工サブアセンブリ34がドリルの錐先の軸に沿って本質的に無重量となる。オペレータの疲労が大幅に軽減されることにより、オペレータの生産性を向上させるだけでなく、電磁石を使った締め付け機構を使用するときに正確なドリル作業が行いやすくなる可能性がある。
【0027】
様々な実施形態を説明してきたが、当業者であれば本開示から逸脱せずに実行可能な変形例を考案することが可能である。実施例により様々な実施形態が図示され、これらは本開示を限定するものではない。したがって、本明細書及び請求項は関連の従来技術の視点から必要となる限定のみを含み、偏見なく解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非平坦な表面上で、隣接して配置された一対の部品にバリなしドリル加工を人間工学的に行う方法であって、
加工作業が行われる区域に隣接する前記部品のうちの1つに少なくとも1つのトラックを固定するステップと、
加工サブアセンブリを前記トラックに固定することにより、前記加工サブアセンブリが前記トラックに沿って動くことを可能にするステップと、
カウンターウェイトサブシステムを使用して前記加工サブアセンブリを支持し、前記加工サブアセンブリを少なくともほぼ重量ゼロ状態に維持することにより、1人の人間の低度の肉体的努力で前記加工サブアセンブリを前記トラックに沿って動かすことを可能にするステップと、
前記加工サブアセンブリを使用して、前記加工作業を始める前に前記部品を共に固定するステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記加工サブアセンブリの電動ツールを支持し、前記電動ツールを使用して前記加工作業を行うステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
電磁石アセンブリを使用して前記加工作業を始める前に前記部品をともに固定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記トラックに対して直角の軸に沿って直線的に動かすために前記加工サブアセンブリを支持するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数の持上げサブアセンブリを前記加工サブアセンブリと共に使用して、前記加工アセンブリの電磁石を、前記部品を共に固定する前に、隣接する前記部品のうちの1つからある間隔離して支持するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
複数の持上げサブアセンブリを使用するステップが、複数のコイルバネを使用して前記加工サブアセンブリの重量の一部を支持するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記加工サブアセンブリに接続した複数の空気圧シリンダーを使用して、予荷重力をかけて前記電磁石サブアセンブリを平衡にすることで、前記電磁石サブアセンブリを前記部品の1つに向かって及び前記部品の1つから離れるように動かすときに、1人の人間にとって前記電磁石サブアセンブリが実質的に無重量に感じることができるようにするステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記加工サブアセンブリを使用するステップが、前記部品の1つに隣接して配置され、前記加工サブアセンブリによって発生した磁場に応じて可動である裏板を使用して、前記加工サブアセンブリの一部と協働して前記加工作業を始める前に、前記部品を共に固定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記可動プラットフォームの本体部分を形成するのに使用される、隣接して配置された一対の部品にバリなしドリル加工を人間工学的に行う方法であって、
少なくとも1つのトラックを加工作業が行われる区域に隣接する前記部品のうちの1つに垂直方向に固定するステップと、
電磁石を有する加工サブアセンブリを前記トラックに固定することにより、1人の人間が前記加工サブアセンブリを前記トラックに沿って動かすことを可能にするステップと、
カウンターウェイトサブシステムを使用して前記加工サブアセンブリを支持し、前記加工サブアセンブリを少なくともほぼ重量ゼロの状態に維持することにより、1人の人間が低度の肉体的努力で前記加工サブアセンブリを前記トラックに沿って動かすことを可能にするステップと、
前記トラックが固定された面の反対側に対向した前記部品のうちの1つの表面に隣接して動かすために、裏板を配置するステップと、
前記加工サブアセンブリを所望の位置に配置するステップと、
前記電磁石に電圧をかけることによって、前記裏板と前記電磁石が前記部品をともに固定するステップと、
前記加工サブアセンブリによって支持されるドリルを使用して、前記部品にバリなし穴開け加工を行うステップ
を含む方法。
【請求項10】
カウンターウェイトシステムを使用するステップが、前記加工サブアセンブリを重力に逆らって前記部品に隣接して吊るすように構成されたカウンターウェイトシステムを使用するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記トラックに対して直角の軸に沿って直線的に動くように前記加工サブシステムを支持するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
一対のトラックを取り外し可能に前記部品の1つに固定して、前記トラックが相互に平行になるようにするステップ、及び
前記一対のトラックを使用して前記加工サブアセンブリを支持するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記加工サブアセンブリを使用して前記加工サブアセンブリ上でドリルを支持するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記加工サブアセンブリを使用して前記加工サブアセンブリ上で自動ドリルを支持するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
複数のバイアス部材を使用して前記加工サブアセンブリの前記電磁石を、前記加工サブアセンブリがその上に配置される前記部品の1つからある間隔離して支持するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
複数の空気圧シリンダーを前記加工サブアセンブリ上に配置するステップと、
前記空気圧シリンダーを使用し前記電磁石の重量を支持し、前記ドリルでドリル作業を始める前に、前記電磁石を重力に逆らって動かして前記部品の1つの近傍に隣接させて配置するステップ
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記加工サブアセンブリに少なくとも1つの取っ手を付与して、人が前記加工サブアセンブリを所望の位置に配置することを可能にするステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記カウンターウェイトシステムを、ケーブルを介して支持部材と前記加工サブアセンブリの間に配置するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
一対のレールを互いに平行に前記トラックに対して直角に固定して前記トラックに対して直角の軸に沿って動かすために、前記加工サブアセンブリを前記レールから支持するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項20】
前記可動プラットフォームの本体部分を形成するのに使用される、隣接して配置された一対の部品にバリなしドリル加工を人間工学的に行うシステムであって、
加工作業が行われる区域に隣接する前記部品のうちの1つに垂直方向に配置される少なくとも1つのトラックと、
前記トラックに支持された電磁石を有することにより、1人の人間が前記加工サブアセンブリを前記トラックに沿って動かすことが可能になる加工サブアセンブリと、
前記加工サブアセンブリを支持し少なくともほぼ重量ゼロの状態に維持することにより、1人の人間が低度の肉体的努力で前記加工サブアセンブリを前記トラックに沿って動かすことを可能にするカウンターウェイトツール調整サブシステムと、
前記トラックが固定された面の反対側に対向した前記部品のうちの1つの表面に隣接して配置された裏板と、
ドリル作業を始める前に前記裏板を使用して前記部品をともに磁気的に固定するのに使用可能な電磁石と、
前記部品にドリル作業を行うために前記加工サブアセンブリに配置されるドリル
を備えるシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−516486(P2010−516486A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547216(P2009−547216)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/023454
【国際公開番号】WO2008/091314
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】