説明

バリュードキュメントのための認証装置

[0034] ドキュメントが均一の速度を有する光源を通過する蛍光体励起光限によって照らされるバリュードキュメント上の同じ場所で測定されることができる一つ以上の波長の赤外線を発する一つ以上の蛍光体の均一の分布を有するバリュードキュメント基板を含むバリュードキュメント認証装置およびシステム。バリュードキュメント上の測定場所と照明は、オフセットされ得る。バリュードキュメントの予め選択されたトラックに沿った一連のオーバラップした測定値として測定された赤外線は強度プロファイルを表し、大きな変動を取り除いた後に正規化されることができる。テストバリュードキュメントの正規化された強度プロファイルは、テストバリュードキュメントを認証するために有効なリファレンスドキュメントから正規化された強度プロファイルと比較され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001] 本出願は、2009年9月22日に出願された米国仮出願第61/244,583号(現在係属中)を基礎とする優先権を主張し、全体的に本願明細書にリファレンスとして組み入れられる。
【0002】
[0002] 本技術は、バリュードキュメント(value document)を認証するために利用することができる確認装置に関する。本技術は、繰り返すのが困難で、検出区別方法を含むバリュードキュメントおよびバリュードキュメントを偽造するかまたは鍛造する可能性を予防するかまたは減らすのに十分複雑である特徴および/または上のセキュリティ機構を組み込む検証システムにも関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] バリュードキュメントを確認するための方法は、簡単なものから複雑なものまで多くある。いくつかの方法は、例えばクレジットカード上のホログラム、紙幣(bank note)のエンボス加工されたイメージまたはウォーター・マーク、セキュリティホイル、セキュリティ・リボン、紙幣(bank note)の着色したスレッドまたは着色した繊維、若しくは、パスポートのフローティング(floating)および/またはシンキングイメージ(sinking image)のようなドキュメント内に組み込まれ、または、その上の可視(すなわち明白な)フィーチャーを含む。これらの特徴が目で検出するのが容易で、認証のための器材を必要としないとき、これらの明白な特徴は自称の偽造者および/または偽造者によって容易に識別される。このように、明白な特徴に加えて、隠された(すなわち隠れた)機能は、バリュードキュメントに取り入れられることができる。隠れたフィーチャーは、バリュードキュメントの基板内に組み込まれる見えない蛍光繊維、化学的感光性ステイン、蛍光顔料または染料を含む。隠れたフィーチャーはまた、バリュードキュメントの基板上へまたは積層バリュードキュメントにおいて使われるフィルムを作るために用いる樹脂の範囲内で印刷されるインクに含まれることができる。隠れたフィーチャーが人間の目によって検出可能でないので、これらの隠れたフィーチャーを検出するように構成される探知器はバリュードキュメントを認証するために必要である。
【0004】
[0004] たとえば、紙幣を認証するのに用いられるある検証システム(例えば、隠れたフィーチャーおよび対応する探知器)が多数ある。例えば、Kaule等による米国特許第4,446,204号は、添加されたまたは印加されたカラーエージェントの形で認証可能なフィーチャーを備えたセキュリティペーパーを開示し、該カラーエージェントは、セキュリティペーパーのIR透過特性をチェックすることが可能であるとする一方、適切な場合であっても、印刷されたイメージにおいて、他方では、磁気特性を有し、IR透過特性および磁気特性の双方は、互いによって影響を受けてないが、セキュリティペーパーの同じ位置に実装されることが出来る。周知の検出装置は、次いで、確認のための認証可能なフィーチャーの異なる偽りのスペクトル領域に探知器を合わせるのに用いられる。更に、ナガセの米国特許第5,679,959号は、紙幣(bill)の表面に刺激光を投影するための光源を包含する紙幣識別装置と、刺激光を備えた放射に応じて紙幣表面から発せられる光を光電子的に検出し、検出された光の量に応じて検出されたデータを生成する光電子増倍管と、リファレンスデータをストアするためのROMと、ROMにストアされたリファレンスデータと、光電子増倍管によって生成された検出されたデータとを比較するためのの中央演算装置(CPU)とを開示する。
【0005】
[0005] 多くの周知の検証システムは、隠れた証明可能なフィーチャーを検出し、その発光スペクトル(例えばフィーチャーだけの発光、または、減衰時間などの関数としての発光)を評価することを含む。発光だけが検出される場合、バリュードキュメントは認証されると考えられ、さもなければ、それは偽物として拒絶される。証明可能なフィーチャーが基板上の印刷インクに、完全に含まれるとき、それが衣服および摩擦損失に従属するので、この種の既存の検証システムに関する1つの課題が生じる。その結果、証明可能なフィーチャーの発光スペクトル振幅の予測不可能な悪化があり、このように、認証装置は誤って認証ドキュメントを偽物と認証することがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006] この本技術は、少なくとも1つの明確な赤外線波長を備えた赤外線放射を発光することができる少なくとも1つの蛍光外の均一な分布と、前記赤外線放射の強度に影響を及ぼすことができる1以上の予め選択されたパターンとを備えたバリュードキュメントを認証するためのバリュードキュメント認証装置であって、ドキュメント認証装置が、
a.少なくとも1つの蛍光体から発光を励起するのに十分なエネルギーを備えた少なくとも1つの蛍光体励起光源と、
b.蛍光体励起光源によって励起されたバリュードキュメントの予め選択されたトラック内でバリュードキュメントから発光された赤外線放射をスペクトル分解能で検出するようにアレンジされた少なくとも1つのセンサであって、
前記予め選択されたトラックが、赤外線放射の強度に影響を及ぼすことができる少なくとも1つの予め選択されたパターンからなり、
前記センサが、前記予め選択されたトラックの一連の予め選択された部分的にオーバーラップする領域内の少なくとも1つの場所から発光される少なくとも1つの波長の赤外線放射の強度を検出し、前記バリュードキュメントが予め選択された均一の速度でセンサに晒されるとき、強度データを生成する
ことを特徴とする少なくとも1つのセンサと、
c.少なくとも1つの処理ユニットが、
(i)予め選択された位置で真の強度データを検出すること、および、認証されたリファレンスバリュードキュメントの予め選択された数の真の強度データを正規化することから得られた正規化された真の強度データをストアする正規化された真の強度データ格納ユニットと、
(ii)認証されたリファレンスバリュードキュメントと同じ予め選択された位置でテストバリュードキュメントの強度データを検出し、テスト強度データを正規化することから得られた正規化されたテスト強度データをストアする正規化されたテスト強度データ格納ユニットと、
(iii)前記正規化された真の強度データを前記正規化されたテスト強度データと比較し、テストバリュードキュメントを認証又は拒否する比較ユニットと、
を備えることを特徴とする、少なくとも1つの処理ユニットと、
を有することを特徴とする。
【0007】
[0007] 本発明はまた、蛍光体励起光を吸収し、0.1ミリ秒以上10ミリ秒以下の放射減衰時間を備えた2以上の明確な波長を備えた正規凱旋放射を発光する1以上の蛍光体の均一な分布を備えたバリュードキュメントを認証するためにバリュードキュメント認証装置であって、前記バリュードキュメントがまた、1以上の蛍光体を励起し、発光された赤外線放射を吸収するようにできる蛍光体励起光を低減することができる1以上の予め選択されたパターンを包含し、ドキュメント認証装置が、
a.予め選択された均一な速度で1以上の蛍光体励起光源にバリュードキュメントを曝す移動デバイスであって、前記1以上の蛍光体励起光源が励起位置で前記バリュードキュメントの予め選択されたトラックを照射し、前記予め選択されたトラックが、予め選択されたトラック幅を備え、少なくとも1つの予め選択されたパターンを包含することを特徴とする、移動デバイスと、
b.放射検出位置の1以上のセンサであって、前記1以上のセンサが、幅が一連の部分的にオーバーラップする領域の予め選択されたトラック幅よりも小さい領域からの赤外線放射を測定するように構成され、それによって、バリュードキュメントが1以上のセンサに曝されるとき、部分的にオーバーラップする領域の各々内に強度データを生成することを特徴とする、1以上のセンサと、
c.(i)統計的に著しい変動を除去するために100パーセントになるように強度データ曲線の下の領域を調整することにより強度データを正規化し、(ii)認証されたリファレンスバリュードキュメントの予め選択された量の1以上のバリュードキュメントの方位に関して正規化された真の強度データをストアし、(iii)1以上のバリュードキュメント方位の各々に関して正規化された真の強度データを平均化し、(iv)認証されたリファレンスバリュードキュメントと同じ一連の部分的にオーバーラップする領域の同じ予め選択されたトラックに沿って同じ予め選択された速度で生成されたテストバリュードキュメントの正規化されたテスト強度データをストアし、(v)1以上のバリュードキュメント方位の各々に関して平均化された正規化された真の強度データと正規化されたテスト強度データを比較し、(vi)テストバリュードキュメントを認証して有効にする、1以上の処理ユニットと、を有することを特徴とする。
【0008】
[0008] 具体例は例示および説明のために選択されて、添付の図面に示され、明細書の一部を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】[0009] 図1は、認証装置の1つの実施形態のブロック図を例示し、バリュードキュメントが、蛍光励起光源の下を移動し、(印刷パターンによって減衰した)バリュードキュメント基板の一つ以上の蛍光体の均一の分布からの放射された赤外線は、2つ以上の波長で2つのセンサで測定される。
【図2】[0010] 図2aおよび2bは、それらのそれぞれの赤外線の波長発光を示している2つの適切な蛍光体の赤外線の発光スペクトルを例示する。
【図3】[0011] 図3aは、予め選択されたパターンおよび、ドキュメント端と関連して選ばれる予め選択されたトラックを有するバリュードキュメントの1つの実施形態を例示し、図3bは、図3aのバリュードキュメントの予め選択されたトラックの中で、放射された赤外線の正規化された強度データの探知器出力を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0012] バリュードキュメントは、一つ以上の隠れた証明可能なフィーチャーによって設計されることができ、または、一般大衆によって認識できるバリュードキュメントを作る明白なフィーチャーに加えて、ドキュメントの基板に組み込まれることができる。隠れたフィーチャーはマイクロプリント、多数のインク、UV吸収可視発光材料、アップコンバータ、複合の印刷プロフィル、クリアインク、赤外線吸収材料、磁性インキ、蛍光体およびニスを含むが、これらに限定されるものではない。時間とともに、偽造者がより精巧になって、バリュードキュメントのこれらの特徴の編入を検出することができる科学的な器材により大きなアクセスを有するので、隠れたフィーチャーの使用はより安全ではならなくなった。
【0011】
[0013] バリュードキュメントの安全を改善する1つの方法は、製造するのが難しく、および/または、ドキュメントの範囲内で識別するのが困難である証明可能なフィーチャー(例えば蛍光体)を使用することができる。バリュードキュメントの安全を改善する他の方法は、証明可能なフィーチャーだけの存在を検出することに依存するドキュメントの成功/失敗パラメータを有するよりはむしろ、探知器の能力を増やすことであってよく、探知器が、たとえば、発光スペクトルの予め選択された領域において検出するように、または、証明可能なフィーチャーの量に依存し、或いは、証明可能なフィーチャー間の相互作用に依存するように構成されることができる。更に、作るのが困難である、および/または、模倣するのが非常に困難であるスペクトル及び時間的特徴を呈する材料を用いて、高性能な探知器と結合されて、バリュードキュメントの安全は、強化されることができる。
【0012】
[0014] 概して、バリュードキュメントの生産において、フィーチャーを印刷し、より大きいシートからドキュメントを個々のバリュードキュメントに切るための詳細な仕様がある。これらの仕様は、リファレンスエッジ(例えばバリュードキュメントの長い辺)に関して、受け入れられるエラーを考慮に入れる。真のバリュードキュメントの測定された信号とテストドキュメントの測定された信号とを比較するとき、カットおよび印刷する際に許容されるエラーはチャレンジを提示する。従来の認証システムが、バリュードキュメントの全ての幅を測定することになっている場合、予め定められた間隔で長手方向の予め定められた部分測定をし、CPUは低い識別システムに結果としてなるこれらのフィーチャーを差別化するよりはむしろ、証明可能なフィーチャーの全てを統合する。
【0013】
[0015] 現在の技術のシステムにおいて、バリュードキュメント全体の予め選択された一貫した幅(すなわち平行線)を有する予め選択されたトラックは、バリュードキュメントのリファレンスエッジからの所定の距離であるように選ばれることができる。例えば、それの幅より長い長さを有するバリュードキュメントが矩形のとき、バリュードキュメントのリファレンスエッジはドキュメントの長さにわたるエッジでありえる。予め選択されたトラックが、一旦それらが励起されるならば、検出アパーチャが蛍光体を検出するバリュードキュメント上の領域であるので、予め選択されたトラックは、検出アパーチャと同じ幅である予め選択されたトラック幅を有する。リファレンスデータ・ポイントを選んで、得る多数の方法があると共に、ある実施形態は、約1mm乃至約10mmまでの、好ましくは約2mm乃至約8mm、より好ましくは、約3mm乃至約5mmの予め選択されたトラック幅を有する予め選択されたトラックを選ぶことを含む。これらの好適な範囲の中の予め選択されたトラック幅によって、強度データが高速度(例えば7乃至10メートル/秒)で測定することができる。
【0014】
[0016] 本技術のバリュードキュメント認証装置は、予め選択された部分的にオーバーラップする領域のバリュードキュメント上の予め選択されたトラックを照らす少なくとも一つの光源を含むことができ、それにより、バリュードキュメントの基板の範囲内で、一様に配布される蛍光体を発光する同じであるか異なる赤外線を励起する。重複は、バリュードキュメントの長さに沿って、予め選択されたトラックで起こるのが好ましい。例えば、検出アパーチャは、4mmの直径を有するのに選ばれることができ、それによって4mmの予め選択されたトラック幅を有する予め選択されたトラックをつくり、探知器が少なくとも一つの光源によって励起された蛍光体を検出するように機能するたびに、バリュードキュメントの長さの4mmが検出される。例えば、この種の探知器がバリュードキュメントに沿って2mmごと一度に検出するように選択される場合、探知器が検出するように機能するたびに、それがすでに検出した少なくとも一部の予め選択されたトラックを探知器は検出するので、予め選択された部分のオーバーラップする領域は、それによってつくられる。他方、この種の探知器がバリュードキュメントに沿って8mmごとに一度に検出するように選択される場合、探知器はそれが検出するように機能するたびに、それがすでに検出した予め選択されたトラックのいかなる部分も感知しないので、予め選択された別々の領域がつくられることができる。
【0015】
[0017] それらが、例えば、フラッシュランプ、LED、レーザーなどのような蛍光体励起光源である、蛍光体からの発光を励起するのに充分なエネルギーを有するように、一つ以上の光源は選ばれることができる。一つ以上の蛍光体は、約0.1ミリ秒乃至約10ミリ秒より大きい減衰時間を有することができる。かかる減衰時間を有する蛍光体によって、励起場所および発光検出位置が、互いにオフセットされることができる。励起場所は少なくとも一つの光源が認証装置に置かれる場所であり、発光検出位置は、検出アパーチャが認証装置に配置される場所である。フィルタだけで、光源からの潜在的発光寄与を分離するようにすることができないので、例えば、LEDおよびフラッシュランプのような長い発光トレイルを有する光源を用いるとき、励起場所と発光検出位置との間のオフセットは使用されることができる。たとえば、しかしながら、レーザーが蛍光体励起光源として用いられるとき、オフセット距離は、レーザー光のスペクトル鮮明度のためにほぼゼロである。レーザーからのいかなる発光もフィルタリングされるのに十分狭く、その結果、これらの発光は蛍光体によって一般に発光される赤外線の発光波長を妨げない。認証装置内のフィルタのタイプ、量および使用は、当業者で決定されることができる。フィルタを使用することに加えて、又は、別の実施形態では、発光検出位置から励起場所をオフセットすることによって、光源からの光の干渉は、最小化されることがで、または全体的に防止されることができる。
【0016】
[0018] 一つ以上蛍光体の1つ以上の赤外線の発光の減衰時間は、リバース・エンジニアリングをよりむずかしくするために空間的および時間的な特徴において変化を生成するように当業者によってある程度に修正されることができる。好ましくは、バリュードキュメントが、可動基板または可動光源に基づいて入射照明光から距離の関数として、強度の減少を伴った赤外線において放射されるように、減衰時間は十分に長い。このように、基板において使用される蛍光体の2つ以上の減衰定数未満である時間を表すオフセット距離によって、センサは励起場所から更に離れた場所を感知することができ、その結果、光を励起している入射蛍光体の波長配布は、確認装置の感度を強化し、センサによって検出される赤外線と干渉しない。
【0017】
[0019] バリュードキュメントが、例えば、約3〜10m/sより大きな予め選択された均一の速度で認証装置を通過することができる。あるいは、認証装置は、例えば約0.1〜1m/sより大きな予め選択された均一の速度で、バリュードキュメントの上を動くことができる。いずれにせよ、光源は予め選択されたトラックの中に分布した蛍光体を均一に照らす。上記したように、励起領域(すなわち予め選択されたトラック)は、センサ(すなわち検出アパーチャ)のスポットサイズで測定され、少なくとも検出窓と同程度広い。励起的な領域を少なくとも検出窓と同程度広くなるように選ぶことによって、認証装置が励起データを最大にするが、しかし、登録(すなわちエッジに関する印刷または紙幣(bank note)がカットされる方法)、機械エラーによる移動、および、印刷および/またはカットのためのエラーのような変動性によるエラーを最小化する。
【0018】
[0020] 検出窓において、一つ以上のセンサは、予め選択されたトラックの予め選択された数の部分的にオーバーラップする領域の中で、一つ以上の場所で一つ以上の波長でバリュードキュメントから発される赤外線強度をスペクトル分解能で測定および/または感知し、それによって、バリュードキュメントが予め選択された均一の速度で少なくとも一つのセンサにさらされるとき、各々の一つ以上波長に関する強度データを生成する。適切なセンサは、例えば、シリコン、InGaAs、PbS、Geおよび、当業者によって判断されるようにスペクトル検出領域に必須のスペクトル反応、許容ノイズ・パラメータ、バンド幅および/または、短絡インピーダンスを有するその他の材料を含む。これらのセンサは、それらが処理のためのデジタル値に変わることができるように、充分なレベルに低いノイズ・エレクトロニクスによって拡大されることができる信号を生成する。一つ以上センサから出る出力は、予め選択されたトラックの中で赤外線の強度データを表す。
【0019】
[0021] ある実施形態では、強度データは、予め選択されたトラックの中でバリュードキュメントの同じ空間場所で、一つ以上、好ましくは2以上による予め選択された赤外線の波長、一つ以上好ましくは2以上、センサに関して生成することができる。好ましい実施形態において、2つ以上のセンサは、2つ以上の識別可能な(すなわち、検出能力ないずれの時間またはスペクトルにおいて分離可能な)赤外線の波長を検出するのに用いることができ、センサ出力は、バリュードキュメントの同じ空間位置で、各々の赤外線の波長に関して強度データを表す。2つ以上の異なったセンサによる2つ以上の予め選択された赤外線の波長の認証は、セグメントベース(segment basis)によってセグメントで認証するために強度スペクトルを提供する。
【0020】
[0022] 少なくとも一つの蛍光体の均一の分布から成る印字されないドキュメント基板が現在の認証装置に通され、蛍光体励起光限によって照らされ、発された赤外線放射に関して測定される場合、センサは、観測可能なパターンなしで均一の強度発光データを生成する。しかしながら、基板が、予め選択されたパターン(例えば、追加的な隠れた顔料および/または染料、ホログラム、セキュリティホイルまたはスレッドを有する、または有しない印刷またはエンボス加工したインク)をその上またはその中に有するとき、励起した蛍光体の発された赤外線放射は影響を受ける。その構成物によって、予め選択されたパターンは、光源からの光をフィルタリングすることによって蛍光体の励起を調整および/または減らすことができ、および/または、パターンの吸収特徴のために、蛍光体によって発される赤外線の強度を調整および/または減らすことができる。予め選択されたパターンはまた、完全にまたは部分的に蛍光体の発された赤外線をマスキングすることができる。一つ以上のセンサで測定されるとき、追加的なセキュリティ機構を有するパターンを含んでいる予め選択されたパターンの影響は、バリュードキュメントに沿って時間または距離の関数として、赤外線発光蛍光体から、強度の測定できる配布に関してバリュードキュメントの特徴を生成する。ある実施形態では、確認パラメータを設計するとき、バリュードキュメントの安全は、予め選択されたパターンを有する赤外線発光蛍光体の相互作用を用いて増大させることができる。
【0021】
[0023] 受け入れられるドキュメント基板は、その上に印刷またはプラスチック層の有無にかかわらず、紙、プラスチック、ラミネートなどを含む。基板は、入射光を吸収する少なくとも一つの蛍光体の均一の分布を有し、1以上の赤外線の波長、好ましくは2以上の赤外線の波長の赤外線を発する。一旦、基板がバリュードキュメント内に作られ、セキュリティ機構の全てがあると、成功/失敗パラメータは、バリュードキュメントに関する認証装置のために決定されることができる。これらの成功/失敗パラメータは、蛍光体のための励起光源、蛍光体の赤外線発光、蛍光体の時間的サイン、および/または、基板の中または上に存在する他のセキュリティ機構を不具にすることができる。
【0022】
[0024] たとえば、バリュードキュメントが紙幣(bank note)であるとき、前方側に関する2つの可能な方位および後方側に関する2つの可能な方位がある。ある実施形態では、これらの4つの可能な方位のための真の強度データは新しく、正式なリファレンスバリュードキュメントの予め選択された数に関して記録され、真の強度データは、次いで、各々の一つ以上センサに関して、各々の方位に関して正規化される。各々の予め選択された認証されたリファレンスバリュードキュメントに関する真の強度データを正規化するために、1つの方位に関する記録データが選択され、たとえば、ホログラム、偽造防止糸などのような特徴の存在のために、統計分析に基づいて高い変動の領域は、真の強度データプロファイルから取り除かれる。次いで、残りの強度プロファイルの下の領域は、各々の1つ以上のスペクトル・センサ波長で、バリュードキュメントの長さに沿って各時間または対応する距離で残りの強度を線形に調整することによって100%の値にセットされる。各々の予め選択された認証されたリファレンスバリュードキュメントに関して正規化されたデータは、次いで平均化される。このプロセスは、各々の4つの方位に関して実行される。各々の1つ以上のスペクトル・センサ波長の紙幣(bank note)の4つの方位に関して正規化された真の強度データは、次いで、認証装置の一つ以上のコンピュータ内で、一つ以上のCPUで正規化された真の強度データとして格納される。
【0023】
[0025] 一旦正規化された真の強度データが生成されると、テストバリュードキュメントは、認証されたリファレンスバリュードキュメントと同じ均一の速度で、同じ予め選択された部分的にオーバーラップする領域の中の同じ予め選択されたトラックに、同じ一つ以上の波長で正規化されたテスト強度データを生成するために認証装置に通される。テスト強度データは、認証されたリファレンスバリュードキュメントによって使用するのと、同じパラメータによって正規化される(すなわち、同じ高い変動領域が取り除かれ、強度データ曲線の下の領域が、100%にセットされる)。正規化されたテスト強度データは、各々の4つの正規化された真の強度データセットと比較される。比較の際に、正規化されたテスト強度データは、予め定められた受理または拒否パラメータに基づいて受け入れられ、または、拒絶される。たとえば、予め定められたパーセントが、受理または拒否パラメータとして使われることができる。このように、例えば、正規化されたテスト強度データの51%が、1つの方位で正規化された真の強度データにマッチする場合、テストドキュメントは認証される。次に、正規化されたテスト強度データの51%未満が、正規化された真の強度データにマッチする場合、テストドキュメントは偽物として拒絶される。
【0024】
[0026] 一つ以上の処理ユニット(例えばコンピュータ)は、正規化された真のおよび/またはテストデータを格納するのに用いることができる。上述したように、正規化された真のおよび/またはテストデータは、予め選択されたトラックの中の真のおよび/またはテスト強度データを検出し、それを正規化することから得られる。加えて、少なくとも一つの処理ユニットは、正規化された真の強度データを正規化されたテスト強度データと比較し、予め定められた成功/失敗パラメータに基づいて、テストバリュードキュメントを認証または拒絶する。
【0025】
[0027] 蛍光体の均一の分布を含んでいる汚れたパターンのないドキュメントが、測定された強度データを統計的に著しく変えないことが分かっている。損耗(wear)が、赤外線の発光の強度のより高いレベルを提供することで、バリュードキュメントのいくつかの領域の印刷物を除去するので、パターンを有するバリュードキュメントの損耗は、センサによって測定される赤外線の発光の強度により重要な影響を及ぼす。従来のシステムにおいて、この損耗を説明せずに、テストドキュメントが特定のいくつかの領域に極めて損耗されるとき、バリュードキュメントは、妥当性確認基準を満たさないとして拒絶されることができる。ある実施形態では、成功/失敗パラメータをセッティングするとき、現在の認証装置は、関連したエラー用語を考慮に入れることによってかかる損耗を説明することができる。たとえば、予め選択されたトラックは、例えば3以上、好ましくは5以上の同等または等しくない、別々または部分的にオーバーラップするようなバリュードキュメントの長さに沿って多くの部分に分けられることができ、各々の部分は、バリュードキュメントの全長の一部であり、トータル的に、その部分は、少なくとも一回バリュードキュメントの長さに沿ってあらゆる場所をカバーする。テストおよび認証されたバリュードキュメントの両方の正規化された強度データの比較は、各々の部分の範囲内でなされる。成功(pass)パラメータが、バリュードキュメントの領域の50%を超えてカバーしている大多数の部分に関して満たされるとき、テストバリュードキュメントは認証される。認証を不具にするが、ドキュメントを損耗するように正規化された真の強度データを生成するとき、たとえば、予め選択されたトラックを部分に分割することにより、変動の範囲は測定されることができる。この変動は、バリュードキュメントの各々の方位に関して発生し得る。
【0026】
[0028] 本願明細書において用いられる蛍光体は、光で励起される際にIR放射を発することができるいかなる化合物であってもよい。蛍光体の適切な実施形態は、Ti-, Fe-, Ni-, Co-および Cr-イオンを包含する遷移金属イオン、並びに、Dy-, Nd-, Er-, Pr-, Tm-, Ho-, Yb- および Sm-イオンを包含するランタニド・イオンのような一つ以上の波長でIR放射を発することができる一つ以上のイオンからなる蛍光体を含むが、これに限定されるものではない。励起光は、IR放射イオンによって、直接吸収されることができる。
許容できる蛍光体もまた、励起光の吸収されたエネルギを、吸収(例えば、移行金属イオンおよびランタニド・イオン)に関して増感剤と成る蛍光体のような一つ以上のIR発光イオンに変換するようにエネルギ遷移を使用し、若しくは、チャージ遷移吸収を使用するそれらを含む。許容可能な赤外線発光蛍光体は、Erドーピングしたイットリウム・アルミニウム・ガーネット、Ndドーピングしたイットリウム・アルミニウム・ガーネットまたはCrドーピングしたイットリウム・アルミニウム・ガーネットを含む。
【0027】
[0029] 一つ以上、好ましくは2以上の赤外線の発光を備えた一つ以上の蛍光体が、基板製造プロセス中に、基板に加えられることができる。大部分のエミッタは、多くのスペクトルラインを有するので、2以上の発光を有することは複合スペクトル・スペースを提供し、個々の発光の振幅は、結晶ホスト、温度、イオン・ドーピング・レベル、ドーピングした不純物などのような異なる考慮の関数である。偽造者が基板の蛍光体を決定することが可能である一方、偽造者が、発光のどのスペクトル線が認証装置の成功/失敗パラメータとして使われるかについて決定することは可能ではない。
【0028】
[0030] 図1は、認証装置100のブロック図を例示する。バリュードキュメント102は、認証装置100の下を通過し、最初に励起場所に励起ウインドウ104だけ移動する。励起光源106は、バリュードキュメント102に含まれる蛍光体を励起するために励起ウインドウ104を通過する蛍光体励起光を提供し、それによってバリュードキュメント上の予め選択されたトラックの一部を照らす。バリュードキュメント102は、次いで、発光検出位置で検出アパーチャ108の下を通過し、発光が検出アパーチャ108の上を通過するにつれて、2つの赤外線放射センサ122、124は、移動バリュードキュメント102から、2つの赤外線の発光を検出する。赤外線の光信号は、レンズ118または120と組み合わせてレンズ110によってざっと視準される。エネルギスプリッタ112は、第1の赤外線フィルタ114に、若干の光信号を通過し、次いで、レンズ120によってセンサ122上へ焦点合わせされる。エネルギスプリッタ112の反射された光信号は、第2の赤外線フィルタ116によってフィルタリングされ、次いで、レンズ118によってセンサ124上へ焦点合わせされる。CPU 128は、強度データを生成しているセンサ122および124からの信号を集め、強度データを正規化し、テストバリュードキュメントを認証されたリファレンスバリュードキュメントに関してストアされたそれと比較し、それによってテストバリュードキュメントを認証する。
【0029】
[0031] 図2aはNd:YAGの赤外線の発光スペクトルを例示し、図2bは、Er:YAGの赤外線の発光スペクトルを例示し、各々は、多数の波長で赤外線の発光を示している。
[0032] 図3aは、バリュードキュメントのイメージを例示しているドキュメント端に対して配置された予め選択されたトラック130を有するバリュードキュメント102の描写である。図3aのバリュードキュメント102から取り出される代表的な測定された赤外線のスペクトル132を図3bに示す。
【0030】
[0033] 上記のことから、具体例が説明のために本願明細書において記載されているにもかかわらず、さまざまな変更態様が趣旨またはこの開示の範囲から逸脱することなくなされることができると認められる。したがって、制限するというよりはむしろ図示する様に、前述の詳細な説明が注意されることを意図し、それが理解され、それは、特に特許請求の範囲を示し、明確に請求することを目的とする全ての均等の範囲を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの明確な赤外線波長を備えた赤外線放射を発光することができる少なくとも1つの蛍光外の均一な分布と、前記赤外線放射の強度に影響を及ぼすことができる1以上の予め選択されたパターンとを備えたバリュードキュメントを認証するためのバリュードキュメント認証装置であって、ドキュメント認証装置が、
a.少なくとも1つの蛍光体から発光を励起するのに十分なエネルギーを備えた少なくとも1つの蛍光体励起光源と、
b.蛍光体励起光源によって励起されたバリュードキュメントの予め選択されたトラック内でバリュードキュメントから発光された赤外線放射をスペクトル分解能で検出するようにアレンジされた少なくとも1つのセンサであって、
前記予め選択されたトラックが、赤外線放射の強度に影響を及ぼすことができる少なくとも1つの予め選択されたパターンからなり、
前記センサが、前記予め選択されたトラックの一連の予め選択された部分的にオーバーラップする領域内の少なくとも1つの場所から発光される少なくとも1つの波長の赤外線放射の強度を検出し、前記バリュードキュメントが予め選択された均一の速度でセンサに晒されるとき、強度データを生成する
ことを特徴とする少なくとも1つのセンサと、
c.少なくとも1つの処理ユニットが、
(i)予め選択された位置で真の強度データを検出すること、および、認証されたリファレンスバリュードキュメントの予め選択された数の真の強度データを正規化することから得られた正規化された真の強度データをストアする正規化された真の強度データ格納ユニットと、
(ii)認証されたリファレンスバリュードキュメントと同じ予め選択された位置でテストバリュードキュメントの強度データを検出し、テスト強度データを正規化することから得られた正規化されたテスト強度データをストアする正規化されたテスト強度データ格納ユニットと、
(iii)前記正規化された真の強度データを前記正規化されたテスト強度データと比較し、テストバリュードキュメントを認証又は拒否する比較ユニットと、
を備えることを特徴とする、少なくとも1つの処理ユニットと、
を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記蛍光体励起光源が、高エネルギー光源からなるグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記高エネルギー光源が、フラッシュランプ、LED光、レーザ、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記予め選択されたトラックが、5以上の予め選択された別々または部分的にオーバーラップする部分に分割され、各予め選択された別々または部分的にオーバーラップする部分が、バリュードキュメントの全長の一部であり、予め選択された別々または部分的にオーバーラップする部分が、少なくとも一旦、予め選択されたトラック内でバリュードキュメントの長さに沿ってあらゆる位置をトータルでカバーする、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記処理ユニットが、前記バリュードキュメントの長さを50%よりも大きくカバーする予め選択された別々または部分的にオーバーラップする部分の少なくとも過半数に基づいてバリュードキュメントを認証することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
少なくとも1つの蛍光体の均一な分布により、少なくとも2つの明確な赤外線波長を備えた赤外線放射を発光することができることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも1つの蛍光体の均一な分布が、0.1ミリ秒よりも大きく、10ミリ秒よりも小さい放射減衰時間を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記予め選択された均一の速度が、3メートル/秒よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
正規化された真の強度データ格納ユニットが、認証リファレンスバリュードキュメントの予め選択された数に関して平均化された正規化された真の強度データをストアすることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
蛍光体励起光を吸収し、0.1ミリ秒以上10ミリ秒以下の放射減衰時間を備えた2以上の明確な波長を備えた正規凱旋放射を発光する1以上の蛍光体の均一な分布を備えたバリュードキュメントを認証するためにバリュードキュメント認証装置であって、前記バリュードキュメントがまた、1以上の蛍光体を励起し、発光された赤外線放射を吸収するようにできる蛍光体励起光を低減することができる1以上の予め選択されたパターンを包含し、ドキュメント認証装置が、
a.予め選択された均一な速度で1以上の蛍光体励起光源にバリュードキュメントを曝す移動デバイスであって、前記1以上の蛍光体励起光源が励起位置で前記バリュードキュメントの予め選択されたトラックを照射し、前記予め選択されたトラックが、予め選択されたトラック幅を備え、少なくとも1つの予め選択されたパターンを包含することを特徴とする、移動デバイスと、
b.放射検出位置の1以上のセンサであって、前記1以上のセンサが、幅が一連の部分的にオーバーラップする領域の予め選択されたトラック幅よりも小さい領域からの赤外線放射を測定するように構成され、それによって、バリュードキュメントが1以上のセンサに曝されるとき、部分的にオーバーラップする領域の各々内に強度データを生成することを特徴とする、1以上のセンサと、
c.(i)統計的に著しい変動を除去するために100パーセントになるように強度データ曲線の下の領域を調整することにより強度データを正規化し、(ii)認証されたリファレンスバリュードキュメントの予め選択された量の1以上のバリュードキュメントの方位に関して正規化された真の強度データをストアし、(iii)1以上のバリュードキュメント方位の各々に関して正規化された真の強度データを平均化し、(iv)認証されたリファレンスバリュードキュメントと同じ一連の部分的にオーバーラップする領域の同じ予め選択されたトラックに沿って同じ予め選択された速度で生成されたテストバリュードキュメントの正規化されたテスト強度データをストアし、(v)1以上のバリュードキュメント方位の各々に関して平均化された正規化された真の強度データと正規化されたテスト強度データを比較し、(vi)テストバリュードキュメントを認証して有効にする、1以上の処理ユニットと、
を有することを特徴とする装置。
【請求項11】
前記励起位置および放射検出位置が距離によってオフセットされることを特徴とする請求項10に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−505516(P2013−505516A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530919(P2012−530919)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/048203
【国際公開番号】WO2011/037750
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】