説明

バルク材料を容器に装入するための不活性ガス封止装置

【課題】 気密な形態でガス封止ができ、封止部を通過するバルク材料の流れ方向に沿って不活性ガス流が形成されるようにしたガス封止装置を提供する。
【解決手段】 バルク材料を装入すべき容器(1)の開口に固定され、容器(1)の開口断面に実質的に合致する断面形状の筒状本体(3)と、ガス供給部(10)と、該ガス供給部に接続された少なくとも一つのガス出口(8)とを有するガス封止装置(2)。このガス封止装置(2)は、筒状本体(3)の下部開口において容器開口をほぼ気密に封止する手段(5、11、12)を備え、該手段は、容器に導入されるバルク材料及び不活性ガスの流量を制御でき、不活性ガス流が容器に流入するバルク材料と同じ方向に流れるように構成されている。この手段は例えば封止コーン(5)で構成可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状本体と、ガス供給部と、該ガス供給部に連通された少なくとも一つのガス出口と、筒状本体の下部開口を気密に封止し、また少なくとも部分的に開放する開閉シール手段とを有するガス封止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化学工業の分野では、例えば反応器や混合器等、内部を不活性雰囲気に維持する必要のある容器を用いることは一般的なことである。これは、例えば不所望の酸化反応を回避するために必要な処置である。この場合、各プロセスでは不活性にすべき容積を完全且つ恒久的にシールすることが必ずしも可能であるとは限らない。例えば、容器へ原材料を装入する際、或いは特に添加物等を導入する際には、原材料や添加物等と共に周囲空気も容器内に侵入する可能性がある。
【0003】
容器内の雰囲気酸素を酸化や爆発に対する保護措置として不活性ガスで置き換えることは既に知られている。この目的で例えば容器開口部に貫通開口を有する封止機構(ガス封止装置)を取り付け、この封止装置の貫通開口に不活性ガスを導入して不活性バッファ層を形成する。この種のガス封止装置は、化学工業分野では既に公知である。
【0004】
特許文献1には固形原材料を反応容器内に供給するための方法と装置が開示されており、この場合の供給装置は、本質的にディフューザ形式の落下管を出口に連結した漏斗からなっている。漏斗と落下管との間の遷移領域には複数のノズルが指向配置され、各ノズルには不活性ガス膨張器が取り付けられている。これらのノズルと不活性ガス膨張器は、少なくとも一つのノズルからの噴射が反応容器内へ向かう方向成分を持ち、別の少なくとも一つのノズルからの噴射が逆方向の成分を持つように配置される。反応容器には吸引ノズルを有する換気系が接続されている。
【0005】
特許文献2には、不活性化された反応容器の原材料供給開口を介して外部の異質ガスが容器内へ侵入するのを阻止するための装置が開示されている。この文献に開示されているガス封止装置は供給開口に対応配置されて隙間を形成するジャケット外管と内管とからなり、この隙間には不活性ガスを導くためのノズルが指向されている。隙間の流出横断面前方には偏向バッフルが配置されており、このバッフルによって不活性ガス流が外管の軸線へ向かって導かれる。これは、異質ガスの侵入に対するバリアを形成するための措置である。
【0006】
特許文献3に開示されている不活性ガス封止装置では、ガス出口から出てくる不活性ガスに対する自由流れの流路断面積を変更可能とする調整可能な封止ノズルが設けられている。この文献に開示されているガス封止装置は、本質的には原材料装入用の貫通開口を画定する環状の封止装置本体によって構成され、封止装置本体に調整可能に結合されたL字断面リングにより封止ノズルが形成されている。L字断面リングの垂直リムは封止装置本体の外側に取り付けられているのに対し、L字断面リングの水平リムは封止装置本体の下側に位置している。水平リムはこの状態から水平リムを封止装置本体側へ軸心方向に引き上げることができ、封止装置本体の下面に設けられている不活性ガス出口開口に被さっている。それによりL字断面リングがガス出口開口から出てくる不活性ガス流を貫通開口内で径方向内側に向けて偏向させ、この場合、L字断面リングと封止装置本体との間のギャップ寸法を大きくしたり小さくしたりすることによって、ガス出口開口から出てくる不活性ガスの流量を調整することができるようになっている。
【0007】
特許文献3にはまた、係るガス封止装置の変形態様も開示されている。この変形態様では原材料装入用貫通開口の中央部に互いに上下に間隔を空けて同軸配置された二つのコーン間の間隙から不活性ガスが放射状に供給される。この場合、中央部とは、原材料装入用貫通開口の断面積の30%未満の領域を指す。この文献に記載された発明における係る変形態様では、二つのコーン間の間隙寸法を変化させることによって不活性ガスの流量を調整することもできる。
【0008】
このように、当該技術分野で知られている従来のガス封止装置では、不活性ガスは本質的にバルク材料装入用貫通開口内へ水平な向きで導入される。また当該技術分野におけるガス封止装置を配置したバルク材料装入用貫通開口の殆どの断面積部分はバルク材料のために開放状態のままである。ここに挙げた特許文献に記載されているガス封止装置は、いずれもバルク材料装入用貫通開口を気密封止するための手段を備えておらず、また容器内に装入されるバルク材料の単位時間当たりの量を制御する手段も備えていない。容器の不活性化は、本質的にバルク材料装入用貫通開口の通路内で封止装置によって形成される不活性ガスのバリア層によって維持されている。従って、バルク材料がこの不活性ガスのバリア層を通過する際には必然的に不活性ガスのバリア層に乱流が生じ、その封止機能が損なわれる虞がつきまとうのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許第2613310号明細書
【特許文献2】独国特許第3914783号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102004008395号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って本発明の課題は、気密な形態でガス封止ができ、封止部を通過するバルク材料の流れ方向に沿って不活性ガス流が形成されるようにしたガス封止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、本発明によれば、冒頭に述べたタイプのガス封止装置において、筒状本体の開閉シール手段にガス供給部とガス出口との間の流路接続継手を設けることによって達成される。
【0012】
本発明によるガス封止装置は、筒状本体の下部開口を気密に封止する開閉シール手段を備えている。これにより、バルク材料が装入される前に、即ち容器が依然として封止されている間に、ガス封止装置の内部容積の殆どを不活性化することが可能になる。筒状本体を開放しまた気密に封止するための開閉シール手段はガス供給部とガス出口との間に流路接続継手を備えているので、ガス封止装置を開放状態にすればバルク材料を不活性ガスと共に容器内へ導入可能である。
【0013】
実際には、筒状本体の開閉シール手段は、バルク材料と不活性ガスが共に該開閉シール手段上で同じ方向に沿って流れ、容器内へ導入されるように構成される。この開閉シール手段には、容器内に導入される不活性ガスの流量並びにバルク材料の流量を制御する役目を担わせることも可能である。
【0014】
本発明によれば、容器内への不活性ガス及びバルク材料の同時且つ並行流れによる導入により容器内の不活性状態の維持を著しく改善することができる。即ち、不活性ガスバリア層を形成するのではなく、それに代えて容器内への不活性ガスの流入を確立するので、従来のように容器に流入するバルク材料によって乱流を生じるような不活性ガスバリア層はそもそも存在せず、その代わりに容器内の不活性ガス雰囲気がバルク材料と共に容器内に流入する不活性ガスによって良好に維持される。本発明によるガス封止装置は、筒状本体を気密に封止しまた開放するための開閉シール手段を備えているので、原材料の装入頻度が変わりがちな容器の不活性ガス封止に適用するのに特に好適である。この場合、筒状本体の外径はバルク材料を装入すべき容器の供給開口の内径に対応している。
【0015】
筒状本体の上には、逆裁頭円錐形の外形を有する円錐部材を配置することが有利である。このような筒状本体と円錐部材との組み合わせにより、多種多様なバルク材料を容易に装入可能な漏斗が形成される。
【0016】
本発明の好適な一実施形態によれば、筒状本体を開放し、また気密封止するための開閉シール手段は、筒状本体の直径と同等以上の直径を有する円錐又は裁頭円錐形状のコーンとノズルチューブ及びスプリングとを有しており、このノズルチューブがコーンに連結されてガス供給部とガス出口との間の前記流路接続継手を形成している。この場合、前記スプリングは筒状本体の上面部又は前記円錐部材の上面部に連結されていることが好ましい。
【0017】
本発明のこの実施形態においては、筒状本体の下部開口は円錐又は裁頭円錐形状のコーン(封止コーン)によって気密封止される。円錐又は裁頭円錐形状のコーンは、ノズルチューブとスプリングとによって筒状本体の上面部又は円錐部材の上面部に固定される。スプリングは、予め或る程度の圧縮を与えたプレストレス状態でコーンの周縁部を筒状本体の下部開口縁に全周で着座させるためのものである。コーンの外径は少なくとも筒状本体の下部開口径以上であり、従って閉鎖時にはコーンと筒状本体の下部開口との間には隙間が形成されることはなく、容器の供給開口は殆ど気密状態に封止されることになる。
【0018】
容器内へバルク材料を装入するために封止コーンを手動、流体圧又は電気操作で下方に押し下げると、筒状本体と封止コーンとの間に隙間が形成される。上方から投入されたバルク材料は封止コーンの斜面に沿って流下する不活性ガスと共に上記隙間を介して容器内に導入される。ガス封止装置の気密シール部をコーンで構成したことにより、封止コーンと筒状本体との間には単に環状の隙間が形成される。この場合、封止コーンの傘状の上面に沿って不活性ガス流とバルク材料が同時並行的に容器内に導入される。本発明によるこの実施形態では、環状の隙間の寸法を変化させることによって単位時間当たりに容器内へ流入するバルク材料の量と不活性ガスの量を制御することが可能である。勿論、予圧縮されているスプリングは筒状本体内のバルク材料が空になると封止コーンを容器を自動的に復帰させて再び気密封止状態を維持する。
【0019】
容器への連続的な装入のためには、コーンと筒状本体との間に永続的な隙間を調整された開度で形成する必要がある。これは、例えば環状の隙間にスペーサをクランプしてスプリング又は封止部材の変位を阻止することにより実現可能である。
【0020】
ノズルチューブは下端部に拡径部を有することが好ましい。この拡径部は、有利には封止コーンの頂点の直上に正確に位置決め配置される。拡径部は、不活性ガス流の全周で均一な放射状分布を保証し、ノズルチューブから拡径部を介して出てくる不活性ガス流をコーン上面の傘状の傾斜面に沿って下方へ向ける機能を果たす。このような構成により、不活性ガスはバルク材料と同じ方向に同時並行的に流下し、バルク材料と共に容器内へ導入される。この場合、ノズルチューブから出てくる不活性ガスの流量を制御するための手段として、例えばノズルチューブ先端の拡径部出口とコーン上面との間の隙間の高さ寸法を調整するワッシャ等の介装物を拡径部出口に装着してもよい。ノズルチューブ先端の拡径部とコーンとの組み合わせにより、コーン上面の傘状の斜面全体に沿ったガス流を保証する360°のファンノズルが形成される。
【0021】
本発明の別の好適な実施形態によれば、筒状本体を開放し、また気密に封止するための開閉シール手段は、互いに共通の軸心上で相対的に回動可能な二つの同軸面及びこれら同軸面の少なくとも一方を回動させるための回動操作手段を備えており、これら相対回動可能な同軸面はそれぞれ筒状本体と同等以上の直径を有すると共に複数の凹部を備え、これら凹部は前記同軸面同士が相対的に回動したときに各同軸面の凹部同士の重なりが非オーバーラップ位置と完全オーバーラップ位置との間で調整されるように配置されている。
部を有する。
【0022】
同軸面の回動操作手段は好ましくは内管とジャケット型外管とからなり、この場合、内管は前記同軸面の一方に連結され、ジャケット型外管が前記ガス供給部とガス出口との間の流路接続継手を形成する。
【0023】
各凹部は、二つの径方向直線部分と円弧部分とによって画定された扇形の形状を有していることが好ましい。
【0024】
上述のような筒状本体の下部開口の開放と気密封止は、それぞれ凹部を有する二つの同軸面同士を相対的に回動させることによって実現される。各同軸面は一つの共通軸心を有し、ガス封止装置の筒状本体の下部開口縁上に配置される。一方又は両方の同軸面を相対回動させることにより各同軸面の凹部同士の重なりを最大の完全オーバーラップ位置と零の非オーバーラップ位置との範囲内で調整できる。凹部同士の重なり量を調整することにより、容器とガス封止装置との間の複数の開口の開度が調整され、これらの開口を介してバルク材料を容器へ導入可能である。凹部同士を非オーバーラップ位置に回動すれば容器のバルク材料装入用開口をほぼ気密状態で封止することができる。この場合、最も単純で好適な実施形態では、両同軸面の外形は筒状本体の断面に対応する円形とされ、円の一部に相当する複数の扇形(パイ片状)の凹部が設けられる。両同軸面の凹部同士の相対位置は、単に一方の同軸面を回転させるだけで完全オーバーラップ位置と非オーバーラップ位置との範囲内で調整可能である。この場合の一方の同軸面は、例えば筒状本体又はそれに装着された円錐部材の上方で前記内管に固定した操作ロッドにより回動させればよい。
【0025】
本発明の特に好適な実施形態によれば、二つの同軸面のうち上方に位置するほうの同軸面が成形された凹凸面からなり、この場合、該凹凸面の中心から扇形の非凹部の円弧中央部に達する直線部分は当該扇形の非凹部を画定している二つの径方向直線部分よりも高くなっている。本発明のこの実施形態では、一方の同軸円の扇形の非凹部の中央部は傘の頂上のように高くなっており、それによりバルク材料は扇形の非凹部に溜まることができず、傾斜した面を重力により凹部へ向かって自然に滑り落ちるようになっている。この場合、同軸面の軸心から扇形の非凹部の円弧中央部に至る直線部分を軸心から離れるほど高くすることが特に好ましい。
【0026】
本発明の別の好適な一実施形態によれば、ガス出口が前記上方に位置するほうの回動可能な同軸面の中心部直上に配置されている。このようにガス出口を配置することにより、不活性ガスが放射状に均一に分配され、バルク材料の装入流れに沿って下方へと導かれる。この場合、ガス供給部は同軸面を回動させるための内管を囲むジャケット型外管によって形成される。不活性ガスの流量を制御するための手段としては、例えば同軸面とジャケット型外管との間に隙間が形成されるように内管に位置決め調整可能に装着されたディスクを配置することができる。この隙間を介して不活性ガスがガス封止装置内に供給される。隙間の寸法を調整することによって不活性ガスの供給流量を変化させることができる。
【0027】
本発明の別の好適な実施形態によれば、ジャケット型外管は少なくとも二つの径方向分配管に接続されており、各分配管は下側に少なくとも二つのガス通路開口を有している。分配管は好ましくは三角形の断面形状を有するものとし、その頂角部が残りの二つの底辺角隅部の上方に位置する向きで配置される。このようなガス出口のための分配管は、同軸面の軸心部と扇形の非凹部の円弧中央部との間の高くなった直線部分の直上に位置決め配置される。各分配管は丸味を有する三角形の断面形状のものでもよい。いずれにせよ断面形状が三角形であることにより、扇形の非凹部を画定する二つの直線部分に形成される傾斜面に沿って良好且つ均一な不活性ガスの流下が保証される。従って本発明によるこの実施形態でも、不活性ガスはバルク材料と同じ方向へ同時並行的に流れることになる。
【0028】
幾つかの適用例において、ガス封止装置の筒状本体と容器の供給開口との間に必然的に形成される環状の隙間を完全に閉じることなく、この環状の隙間を不活性ガスの供給又は排出手段のために残しておくことが実用的に有利であることが確認されている。本発明によるこの実施形態によれば、容器内の雰囲気の簡単な制御を実現することが可能になる。この場合に追加の不活性ガスを容器に導入するか、或いは容器の過大圧力を軽減するかは、それぞれの要求に応じて選択することができる。
【0029】
本発明は、容器の供給開口が主に円形の場合のガス封止装置に関して説明されている。但し、本発明の基本理念は、当業者であれば任意の形状の供給開口に適応できることは述べるまでもない。即ち、容器の供給開口が例えば長方形の場合、対応するガス封止装置は立方体形状の本体を備え、それに組み合わされるコーンは長方形の基部を有する角錐状のもので構成される。本発明によるガス封止装置は、当業者に知られているあらゆる不活性ガス、例えば、窒素、アルゴン、二酸化炭素、又はそれぞれの用途に適合した同様の不活性ガスによる気密封止に好適である。
【0030】
特に本発明によれば、バルク材料を装入する容器のための操作の容易なガス封止装置を提供することが可能である。筒状本体の下部開口を気密封止し、また開放する開閉シール手段を備えていることにより、本発明によるガス封止装置は容器の供給開口に恒久的に取り付けておくこともできる。容器には任意の間隔で殆ど問題なく連続的又は断続的にバルク材料を装入することが可能である。筒状本体の下部開口では容器内へ向かう不活性ガス流を確実に形成することができる。容器内への不活性ガスとバルク材料の同時並行的な導入により、容器内の不活性状態の保持性能は著しく改善可能である。
【0031】
添付図面に示す二つの実施形態を参照して本発明を詳述すれば以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】封止コーンを備えた本発明の一実施形態を示す構成図である。
【図2】ガス封止装置の気密封止を実現する相対回動可能な二つの同軸面を備えた本発明の別の実施形態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
この実施形態によるガス封止装置(2)は、容器(1)の開口部に挿入されてねじ止めされる。これに代えてクランプ装置によって容器にガス封止装置(2)を取り付けることも可能である。このガス封止装置は、筒状本体(3)と、その上に配置された円錐部材(4)とからなる。筒状本体の下部開口には封止コーン(5)が配置されている。封止コーンはノズルチューブ(9)によって円錐部材の上面部に連結されている。このような連結構造は、例えば円錐部材(4)の上面部に溶接された三箇所の径方向ブレースで形成することができる。ガス出口(8)はノズルチューブ(9)の下端部に設けられた拡径部(9a)により封止コーンの頂部の直上位置に配置されている。ガス封止装置(2)の気密封止を形成するため、予圧縮されたスプリング(6)が封止コーン(5)を上方に引き上げる方向に作用している。従って、手動操作ハンドル(7)を用いてスプリングを更に圧縮させれば封止コーン(5)を強制的に下方に押し下げることができる。容器(1)へバルク材料を断続的に装入する場合、先ず筒状本体(3)と円錐部材(4)とで形成される漏斗内にバルク材料が供給される。これと同時にガス供給部(10)からガス出口(8)を介して不活性ガスが漏斗内に導入される。この間、容器(1)は封止コーン(5)によって依然としてほぼ気密に封止されており、この場合、本実施形態による封止コーン(5)は筒状本体(3)よりも大径の外周基部を有している。ハンドル(7)を押し下げると封止コーン(5)が容器本体に対して下方に移動する。これにより、封止コーン(5)と筒状本体(3)との間に環状の隙間が形成される。するとバルク材料は封止コーン(5)の傘状の傾斜面に沿って放射状に流下する不活性ガスと共に上記隙間から容器内へと導入される。このときの不活性ガス流が破線の矢印で図中に示されている。漏斗(3、4)内が空になった後、ハンドルへの押し下げ力を開放すればスプリングの復帰ばね力により封止コーンが筒状本体(3)の下部開口へ向けて自動的に引き上げられ、封止コーン(5)と筒状本体(3)との間の環状の隙間が閉じられて、容器が再び気密に封止される。この状態で次の装入サイクルを開始できる。尚、連続的な装入を実現するには、筒状本体(2)の下部開口と封止コーン(5)との間に例えば木製ブロック状のスペーサをそれぞれ介装又は楔止めしておくだけでよい。
【0034】
図2は、2A図の縦断面図と、2B図の平面図に部分矢視断面図を添画した形態で本発明の別の実施形態を示している。この場合、共通の軸心を有する相対回動可能な二つの同軸面(11、12)を形成する二枚のディスクが筒状本体(3)の下部開口を塞ぐように配置され、これら同軸面によりガス封止装置(2)の気密封止を達成している。これら同軸面(11、12)のそれぞれには平面形状が扇形の複数の凹部(15a)が設けられている。両同軸面の凹部同士は、上端に操作ハンドル(13)を固定した内管(18b)の回動により二つの同軸面を相対的に回動させることにより、互いに全面で重なり合う完全オーバーラップ位置から互いに全く重ならない非オーバーラップ位置までの範囲内で相対的に任意の度合いで重なり合う相対位置をとることができる。容器へバルク材料を装入する場合、先ず漏斗(3、4)内にバルク材料が装入され、これと同時に不活性ガスもガス供給部(10)からジャケット型外管(18a)のジャケット内流路を介して漏斗(3、4)内に導入される。この場合、漏斗内には四つの径方向分配管(14)によって不活性ガスが分配されながら供給される。各分配管はジャケット型外管(18a)のジャケット内流路に接続されている。ハンドル(13)が操作されて二つの同軸面の凹部(15a)同士が重なり合うように内管(18b)を介して二つの同軸面が相対回動される。扇形の非凹部(15b)が各凹部の間に設けられている。同軸面の軸心と、扇形の非凹部(15b)の円弧中央部との間を結ぶ直線部分(16)は、各扇形非凹部を画定している二つの径方向直線部(17)よりも上方の高い位置に形成されている。この高さは同軸面の軸心から外方へ離れるにつれた増加している。不活性ガスを導入するための四つの径方向分配管(14)は、それぞれ直線部分(16)に沿って同軸面の軸心と各非凹部の扇形の円弧中央部との間に延在している。各分配管(14)は、不活性ガスが扇形非凹部(15b)の直線部分(16)の両側の表面に沿って均一に流れるように三角形の断面形状を有している。このような扇形非凹部(15b)の両側斜面形状により、容器(1)へのバルク材料の流下が問題なく保証される。漏斗(3、4)内が空になった後、ハンドル(13)を回動操作することによりガス封止装置(2)を再び気密封止状態に復帰させることができる。本発明のこの実施形態は長時間に亘る連続的な装入プロセスに特に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状本体(3)と、ガス供給部(10)と、該ガス供給部に連通された少なくとも一つのガス出口(8、14)と、筒状本体(3)の下部開口を気密に封止し、また少なくとも部分的に開放する開閉シール手段(5、9、11、12、13、15a、15b、18)とを有するガス封止装置(2)において、筒状本体の前記開閉シール手段が前記ガス供給部と前記ガス出口との間に流路接続継手(9、18)を備えていることを特徴とするガス封止装置。
【請求項2】
筒状本体(3)の上に逆裁頭円錐形の外形を有する円錐部材(4)が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のガス封止装置。
【請求項3】
筒状本体(3)の前記開閉シール手段が該筒状本体の直径と同等以上の直径を有する円錐又は裁頭円錐形状のコーン(5)とノズルチューブ(9)及びスプリング(6)とを有し、ノズルチューブ(9)がコーン(5)に連結されてガス供給部(10)とガス出口(8)との間の前記流路接続継手を形成していることを特徴とする請求項1又は2に記載のガス封止装置。
【請求項4】
スプリング(6)が筒状本体(3)の上面部又は前記円錐部材(4)の上面部に連結されていることを特徴とする請求項3に記載のガス封止装置。
【請求項5】
ノズルチューブ(9)が下端部に拡径部(9a)を有することを特徴とする請求項3又は4のいずれか1項に記載のガス封止装置。
【請求項6】
筒状本体(3)の前記開閉シール手段(18、13、11、12、15a、15b)が互いに共通の軸心上で相対的に回動可能な二つの同軸面(11、12)及びこれら同軸面の少なくとも一方を回動させるための回動操作手段(13、18)を備え、これら相対回動可能な同軸面(11、12)がそれぞれ筒状本体(3)と同等以上の直径を有すると共に複数の凹部(15a)を備え、これら凹部は前記同軸面同士が相対的に回動したときに各同軸面の凹部同士の重なりが非オーバーラップ位置と完全オーバーラップ位置との間で調整されるように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガス封止装置。
【請求項7】
前記同軸面の回動操作手段(18)が内管(18b)とジャケット型外管(18a)とからなり、前記内管が前記同軸面(11、12)の一方に連結され、前記ジャケット型外管がガス供給部(10)とガス出口(14)との間の前記流路接続継手を形成していることを特徴とする請求項6に記載のガス封止装置。
【請求項8】
前記凹部(15a)が二つの径方向直線部分(17)と円弧部分とによって画定された扇形の形状を有していることを特徴とする請求項7に記載のガス封止装置。
【請求項9】
前記同軸面のうち上方に位置するほうの同軸面(11)が成形された凹凸面からなり、該凹凸面の中心から扇形の非凹部(15b)の円弧中央部に達する直線部分(16)が当該扇形の非凹部(15b)を画定している二つの径方向直線部分(17)よりも高くなっていることを特徴とする請求項8に記載のガス封止装置。
【請求項10】
前記ガス出口が前記上方に位置するほうの同軸面(11)の中心部直上に配置されていることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載のガス封止装置。
【請求項11】
前記ジャケット型外管が少なくとも二つの径方向分配管(14)に接続され、該分配管が下側に少なくとも二つのガス通路開口を有していることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載のガス封止装置。
【請求項12】
分配管(14)が三角形の断面形状を有していることを特徴とする請求項11に記載のガス封止装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−179399(P2009−179399A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−17437(P2009−17437)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(391009659)リンデ アクチエンゲゼルシヤフト (106)
【氏名又は名称原語表記】LINDE AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】Klosterhofstrasse 1, 80331 Munchen, Bundesrepublik Deutschland
【Fターム(参考)】