説明

バルコニーの排水構造

【課題】側溝を介することなく、排水勾配のみによってドレン部に向けて表面水を流下させることが可能な床面を、バルコニ−に容易に設けることのできるバルコニーの排水構造を提供する。
【解決手段】バルコニー14の床面15にドレン部16に直接向かう排水勾配を形成するための排水構造10であって、下部構造材18に支持させて水平に設置される床下地用面材19と、床下地用面材19の上面に設置される水下用勾配根太21及び配根太22と、これらの根太21,22によって支持されて排水勾配を備えるように敷設される勾配形成用面材23とからなる。水下用勾配根太21は、上面がドレン部16に向って下り勾配となるように設置される。勾配根太22は、上面が水下用勾配根太21に向かって下り勾配となるように設置される。勾配根太22の下り側端部22aと水下用勾配根太21との間には、勾配形成用面材23のひずみ吸収用間隔部24が保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルコニーの排水構造に関し、特に、バルコニーの床面に、ドレン部に向かう排水勾配を形成するためのバルコニーの排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば住宅建築物等の建物に設けられたバルコニ−は、例えば居室部の延長として屋根のない手摺で囲まれた突出部分として設けられて、風雨に曝される領域となっていることから、これらの床面に排水勾配を設けて、雨水等による表面水をスムーズに排出できるようにすることが望ましい。例えば、手摺を構成する袖壁等によるバルコニ−の外周立上り部に沿った縁部分に側溝を設けると共に、例えば1〜2度程度の緩傾斜で側溝に向かう排水勾配を床面に形成することで表面水を側溝に流下させ、さらに、側溝の排水勾配を介して排水ドレンに向けて流下させることによって、バルコニ−の表面水を排水することが可能である。
【0003】
また、例えば木造の住宅建築物等の建物の場合、バルコニーの床面にモルタル仕上げ等によって排水勾配を形成することが困難なことから、床梁等の下部構造材に支持させて水平に設置した床下地用面材の上面に、勾配を備えるように厚さを変化させて加工形成した断熱材等による中間敷設材を敷設すると共に、この中間敷設材を覆って防火遮音材や床仕上材を取り付けることによって、排水勾配を形成したバルコニーの床構造も開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−92188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、バルコニーの外周立上り部の内側に沿って側溝を設けた場合、側溝は相当の幅を有しているため、バルコニーの床面よりも一段低くなった当該側溝によって美観が損われると共に、側溝を設けた分だけバルコニ−の床面の面積が狭くなって、床面全体を有効に活用し難くなる。このようなことから、近年、側溝を介することなく、床面の排水勾配のみによって、例えばバルコニ−の角部分に設けられたドレン部に向けて表面水を直接流下させるようにする技術の開発が望まれている。
【0006】
床面の排水勾配のみによって、例えばバルコニ−の角部分に設けられたドレン部に向けて表面水を流下させる場合、バルコニーの外周立上り部の内側に向う排水勾配の他に、これと直交する方向の、ドレン部に向う排水勾配も必要になることから、特許文献1の技術では、このような3次元的な排水勾配を備えるように厚さを変化させて中間敷設材を加工形成することが困難である。
【0007】
本発明は、側溝を介することなく、排水勾配のみによってドレン部に向けて表面水を流下させることが可能な床面を、バルコニ−に容易に設けることのできるバルコニーの排水構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、バルコニーの床面に、ドレン部に向かう排水勾配を形成するためのバルコニーの排水構造であって、下部構造材に支持されて水平に設置される床下地用面材と、該床下地用面材の上面に設置される、バルコニーの外周立上り部に沿ってこれの内側に取り付けられる水下用勾配根太、及び該水下用勾配根太と垂直又は略垂直な方向に延設して所定の間隔をおいて複数本取り付けられる勾配根太と、これらの水下用勾配根太及び勾配根太によって支持されて排水勾配を備えるように前記床下地用面材を覆って敷設される勾配形成用面材とを含み、前記水下用勾配根太は、その上面が前記ドレン部に向って下り勾配となるように取り付けられており、前記勾配根太は、その上面が前記水下用勾配根太に向かって下り勾配となるように取り付けられており、且つ前記勾配根太の下り側端部と前記水下用勾配根太との間には、前記勾配形成用面材のひずみ吸収用間隔部が保持されているバルコニーの排水構造を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0009】
そして、本発明のバルコニーの排水構造は、前記水下用勾配根太が、バルコニーの前記外周立上り部の内側に沿って、通気用間隔部を保持した状態で複数本取り付けられていることが好ましい。
【0010】
また、本発明のバルコニーの排水構造は、前記床下地用面材と前記勾配形成用面材との間の中空部が、前記水下用勾配根太の間の通気用間隔部を介して前記外周立上り部に設けられた通気層と連通していることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明のバルコニーの排水構造は、前記勾配根太の上り側端部は、バルコニーの居室側立上り部との間に通気用間隔部を保持した状態で取り付けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のバルコニーの排水構造によれば、側溝を介することなく、排水勾配のみによってドレン部に向けて表面水を流下させることが可能な床面を、バルコニ−に容易に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係る排水構造を備えるバルコニーが設けられた住宅建築物の部分断面図である。
【図2】本発明の好ましい一実施形態に係るバルコニーの排水構造の構成を説明する要部断面図である。
【図3】本発明の好ましい一実施形態に係るバルコニーの排水構造の構成を説明する、勾配形成用面材を設置する前の状態の略示平面図である。
【図4】図3のA−Aに沿った、勾配形成用面材を設置する前の状態の要部略示断面図である。
【図5】水下用勾配根太の斜視図である。
【図6】勾配根太の斜視図である。
【図7】(a)〜(c)は、本発明の排水構造が設けられるバルコニーの他の形態を例示する、勾配形成用面材を設置する前の状態の略示平面図である。
【図8】(a)〜(f)は、勾配根太の他の形態を例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好ましい一実施形態に係るバルコニーの排水構造10は、図1に示すように、建物として例えば木造の2階建ての住宅建築物11において、2階の居室部12の延長部分として屋外側に突出させて、1階の居室部13の上方にバルコニー14を形成する際に、バルコニー14の床面15上に存在する表面水を、側溝を介することなく、床面15の排水勾配のみによってドレン部16(図3参照)に向けて流下させて排水できるようにするために設けられたものである。本実施形態では、バルコニー14は、その上方の一部のみが屋根17によって覆われて、雨水が浸入しやすくなっており、また清掃用の水等を排水する必要もあることから、こられの表面水をドレン部16に向けて直接流下させて排除できるようにするための構造として、本実施形態のバルコニーの排水構造10が採用されたものである。
【0015】
そして、本実施形態のバルコニーの排水構造10は、バルコニー14の床面15に、ドレン部16に向かう排水勾配を形成するための排水構造であって、図2〜図4にも示すように、下部構造材18として、例えば床梁や床根太等によって支持されて水平に設置される床下地用面材19と、この床下地用面材19の上面に設置される、バルコニー14の外周立上り部20である手摺用の袖壁20に沿ってこれの内側に取り付けられる水下用勾配根太21、及びこの水下用勾配根太21と垂直又は略垂直な方向に延設して所定の間隔をおいて複数本取り付けられる勾配根太22と、これらの水下用勾配根太21及び勾配根太22によって支持されて排水勾配を備えるように床下地用面材19を覆って敷設される勾配形成用面材23とを含んで構成される。また、水下用勾配根太21は、その上面がバルコニー14の角部分に設けられたドレン部16に向って下り勾配となるように取り付けられており、勾配根太22は、その上面が水下用勾配根太21に向かって下り勾配となるように取り付けられており、且つ勾配根太22の下り側端部22aと水下用勾配根太21との間には、勾配形成用面材23のひずみ吸収用間隔部24が保持されている。
【0016】
本実施形態では、バルコニー14は、例えば住宅建築物11の2階部分において、居室部12の外壁12aとコの字平面形状を有する袖壁20とによって周囲を区画されることにより、例えば突出幅B(出幅)が900〜1800mm程度、長さLが1800〜3600mm程度の大きさの(図3参照)、横長矩形の平面形状を備えるように設けられている。
【0017】
また、本実施形態では、排水構造10を構成する床下地用面材19は、例えば厚さが24mm程度の構造用合板からなり、床梁や床根太等の下部構造材18に支持されてこれの上面に敷設されることにより、2階の居室部12の床部分から、バルコニー14の外周部分の袖壁20の下方に至る領域まで、水平に連続して設置される。この床下地用面材19のバルコニー14に配設される部分の上面には、水下用勾配根太21及び勾配根太22が、勾配形成用面材23を敷設するための基台として設置される。
【0018】
水下用勾配根太21は、図5にも示すように、好ましくはLVL(単板積層材)からなる矩形断面形状を備える木製の棒状部材であって、例えば1820〜2730mm程度の長さを有している。水下用勾配根太21の矩形断面形状は、例えば30〜50mm程度の幅bを有すると共に、その高さhが下り勾配の下り側端部21aで例えば20〜30mm程度、下り勾配の上り側端部21bで例えば40〜50mm程度となっていて、これらの間の高低差が例えば10〜20mm程度となっている。これによって、水下用勾配根太21は、床下地用面材19の上面に接着剤、固定ビス、固定釘等を介して取り付けられた際に、その上面による勾配形成用面材23の取り付け面が、上り側端部21bから下り側端部21aに向って緩い角度で傾斜する下り勾配となる。
【0019】
また、本実施形態では、水下用勾配根太21は、図3に示すように、バルコニー14の長辺部分の袖壁20の立上り基端部の内側に沿って、通気用間隔部25を保持した状態で複数本(2本)取り付けられる。これらの2本の水下用勾配根太21は、バルコニー14の長辺方向中央部分に例えば100mm程度の幅の通気用間隔部25を保持した状態で、上り側端部21bを当該長辺方向中央部分に配置すると共に、バルコニー14の袖壁20の両端角部内側に設けられたドレン部16に向けて、その上面が下り勾配となるように各々設置される。また、2本の水下用勾配根太21は、その下り側端部21aと、ドレン部16の外側にL字状に設置されたドレン部根太26との間にも、通気用間隔部27を保持した状態で、バルコニー14の袖壁20の内側に沿って各々設置される。
【0020】
勾配根太22は、図2、図3、図4、図6に示すように、好ましくはLVL(単板積層材)からなる矩形断面形状を備える木製の棒状部材であって、例えば出幅が910mmのバルコニー14の床面15の、短辺の長さの65%程度の長さとして、例えば450mm程度の長さを有している。勾配根太22の矩形断面形状は、例えば30〜50mm程度の幅bを有すると共に、その高さhが下り勾配の下り側端部22aで例えば43mm程度、下り勾配の上り側端部22bで例えば47.5mm程度となっていて、これらの間の高低差が例えば4.5mm程度となっている。これによって、勾配根太22は、床下地用面材19の上面に接着剤、固定ビス、固定釘等を介して取り付けられた際に、その上面による勾配形成用面材23の取り付け面が、上り側端部22bから下り側端部22aに向って緩い角度で傾斜する下り勾配となる。なお、勾配根太22の長さや上面の勾配は、勾配形成用面材23のひずみを効果的に吸収できる範囲で、バルコニー14の出幅等に応じて適宜設計することができる。
【0021】
また、本実施形態では、勾配根太22は、例えばバルコニー14の床面15の短辺と平行又は略平行に配置されると共に、バルコニー14の長辺部分の袖壁20に沿って配設された水下用勾配根太21に対して垂直又は略垂直な方向に延設して、バルコニー14の長辺方向に例えば227〜455mm程度の所定の間隔をおいて複数本設置される(図3参照)。各勾配根太22は、上り側端部22bを2階の居室部12の外壁12bに近接配置して取り付けられることで、これらの上面が、水下用勾配根太21に向かって下り勾配となるように設置される。設置された各勾配根太22の下り側端部22aと水下用勾配根太21との間には、例えば220〜250mm程度の間隔の勾配形成用面材23のひずみ吸収用間隔部24が保持されることになる。なお、これらの勾配根太22の設置間隔やひずみ吸収用間隔部24の間隔もまた、勾配形成用面材23のひずみを効果的に吸収できる範囲で、バルコニー14の出幅等に応じて適宜設計することができる。
【0022】
さらに、本実施形態では、各勾配根太22は、これらの上り側端部22bと、居室部12の外壁12aの立上り基端部との間に、例えば12〜30mm程度の幅の通気用間隔部28を保持した状態で、床下地用面材19の上面に取り付けられる。
【0023】
さらにまた、本実施形態では、ドレン部16を囲うドレン部根太26は、好ましくはLVL(単板積層材)からなる矩形断面形状の木製の棒状部材を用いて、勾配根太22の下り側端部22aの高さよりも低い、水下用勾配根太21の下り側端部21aの高さと同様の、例えば20〜30mm程度の高さで設置されている。
【0024】
水下用勾配根太21及び勾配根太22によって支持されて床下地用面材19の上方に敷設される勾配形成用面材23は、本実施形態では、図2に示すように、例えば厚さが9〜12mm程度の構造用合板からなる。勾配形成用面材23は、所定の形状に加工形成した複数の構造用合板を連設配置して、全体として、袖壁20の立上り基端部及び外壁12aの立上り基端部によって周囲を囲まれるバルコニー14の床面15の形状と略同様の、ドレン部16と対応する部分が切欠れた略横長矩形の平面形状を備えるように設置される。勾配形成用面材23は、床下地用面材19の上面に取り付けられた勾配根太22や水下用勾配根太21の上面に、構造用合板を好ましくは密着させた状態で、接着剤、固定ビス、固定釘等を介してこれらの根太22,23に固定することにより、上面にドレン部16に向う所望の排水勾配を備えた状態で、バルコニー14の床面15の構成部材として容易に設置されることになる。
【0025】
ここで、勾配形成用面材23を構成する構造用合板は、その平板形状を強固に保持する一方で、反ったり撓んだりすることで、ある程度のひずみ変形が可能な物性を備えている。したがって、ドレン部16に向けて下り勾配を有する水下用勾配根太21の上面と、これと垂直又は略垂直な方向に下り勾配を有する勾配根太22の上面とが、同一の面上に配置されていなくても、このような同一の面上に配置されていないことによる誤差を、水下用勾配根太21と勾配根太22との間のひずみ吸収用間隔部24において勾配形成用面材23を変形させることで、吸収することが可能になる。したがって、勾配形成用面材23は、勾配根太22や水下用勾配根太21の上面に密着させるようにしながら構造用合板をこれらの上面に沿わせて固定することにより、勾配根太22や水下用勾配根太21の上面をガイドとして、これらの勾配に倣った状態で取り付けられることになる。これによって、設置された勾配形成用面材23の上面は、ドレン部16に向かう水下用勾配根太21の上面の下り勾配と、これと垂直又は略垂直な方向の水下用勾配根太21に向う勾配根太22の上面の下り勾配とが複合した、ドレン部16に向かう3次元的な排水勾配を備えることになる。
【0026】
そして、本実施形態では、図3に示すように、敷設された勾配形成用面材23の上面を覆って、さらにスラグ石膏板等の床仕上材29や床面保護材30が取り付けられて、バルコニー14の床面15が形成されることになる。
【0027】
また、本実施形態では、袖壁(外周立上り部)20の内壁面に沿った内部には、通気可能な通気パネルによる通気層31が設けられている。また床下地用面材19と勾配形成用面材23との間の中空部は、2本の水下用勾配根太21の間の通気用間隔部25や水下用勾配根太21とドレン部根太26との間の通気用間隔部27と、袖壁20の内壁面の下端部に設けられた通気用切欠き32とを介して、通気層31と連通するようになっている。
【0028】
なお、通気層31を形成する通気パネルとしては、例えば特開2000−160732号公報に記載の、間隔をおいて平行に配置された複数の表側帯状小幅板と、間隔をおいて平行に配置された複数の裏側帯状小幅板とを、互いに交差させた状態で接合一体化してなる壁下地パネルを好ましく用いることができる。また、例えば袖壁20の内壁面に防水シート等を取り付ける必要がない場合には、通気用切欠き32を袖壁20の中空内部まで貫通させて、当該袖壁20の中空内部を通気層31として、床下地用面材19と勾配形成用面材23との間の中空部と連通させることもできる。
【0029】
そして、上述の構成を備える本実施形態のバルコニーの排水構造10によれば、側溝を介することなく、排水勾配のみによってドレン部16に向けて表面水を流下させることが可能な床面15を、バルコニ−14に容易に設けることができる。
【0030】
すなわち、本実施形態によれば、排水構造10は、水平に設置される床下地用面材19と、これの上面に設置される水下用勾配根太21及び勾配根太22と、水下用勾配根太21及び勾配根太22によって支持されて床下地用面材19を覆って敷設される勾配形成用面材23とからなり、且つ勾配根太22の下り側端部22aと水下用勾配根太21との間には、勾配形成用面材23のひずみ吸収用間隔部24が保持されているので、ひずみ吸収用間隔部24でひずみ変形させつつ勾配形成用面材23を水下用勾配根太21及び勾配根太22の上面に沿って取り付けることで、ドレン部16に向かう水下用勾配根太21の上面の下り勾配と、これと垂直又は略垂直な方向の勾配根太22の上面の下り勾配とが複合した、側溝を介することなくドレン部16に直接向かう3次元的な排水勾配を、多くの手間を要することなくバルコニー14の床面15に容易に形成することが可能になる。
【0031】
また、本実施形態によれば、床下地用面材19と勾配形成用面材23との間の中空部は、通気用間隔部25,27を介して外周立上り部20に設けられた通気層31と連通しているので、床下地用面材19と勾配形成用面材23との間の中空部を効率良く換気して、結露の発生等によって排水構造10の構成部材が劣化しやすくなるの効果的に回避することが可能になる。さらに、勾配根太22の上り側端部22bは、バルコニー14の居室側立上り部である外壁12aの立上り基端部との間に通気用間隔部28を保持しているので、床下地用面材19と勾配形成用面材23との間の中空部の換気をさらに効率良く図ることが可能になる。
【0032】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、本発明の排水構造は、横長矩形の平面形状のバルコニーに限定されることなく、例えば図7(a)〜(c)に示すように、奥行きが途中で変化する平面形状のバルコニー(図7(a))や、L字形の平面形状のバルコニー(図7(b))や、奥行きが異なるL字形の平面形状のバルコニー(図7(c))等の、その他の種々の形状のバルコニーにも採用することができる。また、例えば図8(a)〜(e)に示すように、高さや長さの異なる複数種類のものから適宜選択して勾配根太や水下用勾配根太を用いたり、これらを適宜組み合わせて、勾配根太や水下用勾配根太をバルコニーの床下地用面材の上面に設置すこともできる。図8(f)に示すようなパッキン用の根太を用いて、勾配根太や水下用勾配根太の高さを調整するようにしても良い。さらに、床下地用面材と勾配形成用面材との間の中空部は、居室側立上り部に設けた通気層と連通させて換気を行うようにすることもできる。
【符号の説明】
【0033】
10 バルコニーの排水構造
12 2階の居室部
12a 2階の居室部の外壁
14 バルコニー
15 バルコニーの床面
16 ドレン部
18 下部構造材
19 床下地用面材
20 外周立上り部(袖壁)
21 水下用勾配根太
21a 水下用勾配根太の下り側端部
21b 水下用勾配根太の上り側端部
22 勾配根太
22a 勾配根太の下り側端部
22b 勾配根太の上り側端部
23 勾配形成用面材
24 ひずみ吸収用間隔部
25,27,28 通気用間隔部
26 ドレン部根太
31 通気層
32 通気用切欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルコニーの床面に、ドレン部に向かう排水勾配を形成するためのバルコニーの排水構造であって、
下部構造材に支持されて水平に設置される床下地用面材と、該床下地用面材の上面に設置される、バルコニーの外周立上り部に沿ってこれの内側に取り付けられる水下用勾配根太、及び該水下用勾配根太と垂直又は略垂直な方向に延設して所定の間隔をおいて複数本取り付けられる勾配根太と、これらの水下用勾配根太及び勾配根太によって支持されて排水勾配を備えるように前記床下地用面材を覆って敷設される勾配形成用面材とを含み、
前記水下用勾配根太は、その上面が前記ドレン部に向って下り勾配となるように取り付けられており、前記勾配根太は、その上面が前記水下用勾配根太に向かって下り勾配となるように取り付けられており、且つ前記勾配根太の下り側端部と前記水下用勾配根太との間には、前記勾配形成用面材のひずみ吸収用間隔部が保持されているバルコニーの排水構造。
【請求項2】
前記水下用勾配根太は、バルコニーの前記外周立上り部の内側に沿って、通気用間隔部を保持した状態で複数本取り付けられている請求項1記載のバルコニーの排水構造。
【請求項3】
前記床下地用面材と前記勾配形成用面材との間の中空部は、前記水下用勾配根太の間の通気用間隔部を介して前記外周立上り部に設けられた通気層と連通している請求項2記載のバルコニーの排水構造。
【請求項4】
前記勾配根太の上り側端部は、バルコニーの居室側立上り部との間に通気用間隔部を保持した状態で取り付けられている請求項1〜3のいずれかに記載のバルコニーの排水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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