説明

バルブを有するアクセス装置

シースは、シース本体とシースハブとを含むことができる。シース本体は、全体的に柔軟な管状構造体と、基端と、先端とを有することができる。シース本体は長手方向軸を更に規定できる。シースハブは、シース本体の基端に取り付くことができるとともに、シース本体の軸とほぼ位置合わせされる長手方向軸を規定できる。また、シース本体およびシースハブは、それらのそれぞれの軸の周りに中心腔を形成することもできる。シースハブは、2つのプレート、すなわち、柔軟プレートと硬質プレートとを含むことができる。硬質プレートは、シース本体の軸にほぼ中心付けられる逃げ部を有することができる。柔軟プレートと硬質プレートとが重なり合って中心腔をほぼシールできることが有益である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般に、医療品(例えば、カテーテル、カニューレ、シースなど)を例えば動脈、静脈、血管、体腔、または、排液部位などの身体空間内へ導入する/送出するためのアクセス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルまたは血管シースを血管内へ挿入するための好ましい非外科的方法は、患者の血管内へ挿入されるアクセスニードルを含むセルジンガー技術または改良セルジンガー技術の使用を伴う。ガイドワイヤがニードルを通じて血管内に挿入される。ニードルが除去され、その後、ダイレータおよびシースが組み合わされて或いは個別にガイドワイヤ上にわたって挿入される。その後、ダイレータおよびシースは、一緒に或いは別々に、短い距離にわたって組織を通じて血管内へ挿入され、その後、ダイレータおよびガイドワイヤが除去されて廃棄される。その後、カテーテルまたは他の医療品がシースを通じて血管内へと所望の位置まで挿入される場合があり、あるいは、シースだけが血管内に残される場合がある。カテーテルまたは他の医療品が血管内に挿入されると、多くの場合、その後にシースが除去される。この除去を容易にするために、シースが時として分割可能なシースである。
【0003】
シースを通じたこの医療品の挿入前に、シースを通じた血管からの逆流の可能性が存在し得る。これは、場合により、血液などの逆流流体によりシースの周囲の領域を汚染する可能性がある。したがって、一部の血管アクセス装置は、止血バルブを含むことで知られている。幾つかの状況では、前記バルブも分割可能シースと共に分割可能にされる。これらの構造は、しばしば、製造し、組み付け、パッケージングすることが困難となる可能性があり、あるいは、一般に効果がない。したがって、改良された血管アクセス装置、特に経済的で、有効な、効率的な分割可能バルブを含む血管アクセス装置の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
記載される実施形態は、カテーテルまたはシースを例えば血管や排液部位などの患者の体内の空間内へ送出するのに役立つアクセス装置のための幾つかの特徴を伴う。この発明の範囲を限定することなく、その更にすぐれた特徴について簡単に説明する。この説明を考慮した後、特に以下の好ましい実施形態の詳細な説明の節をこの節と併せて読み取った後、これらの実施形態の特徴および態様がどのように従来のアクセス装置を上回る幾つかの利点を与えるのかを理解できる。
【0005】
一実施形態では、シースがシース本体とシースハブとを含むことができる。シース本体は、全体的に柔軟な管状構造体と、基端と、先端とを有することができる。また、シース本体は管状構造を貫く長手方向軸を規定できる。シースハブは、シース本体の基端から延びることができるとともに、シース本体の軸とほぼ位置合わせされる長手方向軸を規定できる。また、シース本体およびシースハブは、それらのそれぞれの軸に沿って中心腔を形成することもできる。シースハブは、腔内に、2つのプレート体、すなわち、柔軟プレート体と硬質プレート体とを含むことができる。硬質プレートは、シース本体の軸にほぼ中心付けられる逃げ部を有することができる。柔軟プレートと硬質プレートとが重なり合って中心腔をほぼシールできることが有益である。
【0006】
他の実施形態において、アクセス装置は、ニードルと、ダイレータと、シースとを含むことができる。ダイレータをニードルに同軸的に取り付けることができ、また、ダイレータはダイレータシャフトとダイレータハブとを含むことができる。シースをダイレータに同軸的に取り付けることができ、また、シースはシース本体とシースハブとを含むことができる。シース本体が基端と先端とを有することができ、また、シースハブの先端がシース本体の基端から延びることができる。また、シースハブは、シースハブの基端でダイレータハブに可逆的に取り付くことができる。シース本体およびシースハブが中心腔を形成することができる。また、シースハブが柔軟プレート体と硬質プレート体とを含むことができ、この場合、柔軟プレート体および硬質プレート体により、ニードルおよびダイレータが中心腔を通じて延びることができ、また、ニードルおよびダイレータが中心腔から除去されるときにプレート体同士が重なり合って中心腔をほぼシールする。
【0007】
更なる他の実施形態において、パッケージは、ニードルと、ダイレータと、シースとを含むことができる。シースは、シース本体とシースハブとを含むことができる。シース本体は、基端と先端とを含むことができる。シースハブは、シースハブの先端でシース本体の基端から延びることができる。また、シースハブは、柔軟プレート体と、硬質プレート体と、ダイレータハブの取付部に取り付くように構成される基端の取付部とを含むことができる。シース本体およびシースハブがニードルおよびダイレータを受ける中心腔を形成でき、また、ニードルおよびダイレータが除去されるときに柔軟プレート体と硬質プレート体とが重なり合って中心腔をほぼシールできることが有益である。ニードル、ダイレータ、および、シースを一緒に予めパッケージングすることができる。
【0008】
更なる他の実施形態では、分割可能なシースハブが軸方向の腔と2つのプレート体とを備える。一方のプレート体は、腔内に位置される硬質プレート体であってもよい。硬質プレート体は逃げ部を形成できる。第2のプレート体は、同様に腔内に位置される柔軟プレート体であってもよい。柔軟プレート体は、逃げ部を塞ぐために硬質プレート体の先端面と接触した状態で載置するように構成することができる。
【0009】
本発明のこれらの態様および他の態様は、添付図面を参照する好ましい実施形態の以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかとなる。しかしながら、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下、例示であって本発明を限定しようとするものではない好ましい実施形態の図面を参照して、本明細書中に開示されるアクセス装置のこれらのおよび他の特徴、態様並びに利点について説明する。また、図面の全体にわたって、同じ参照符号は、図示の実施形態の同じ構成要素を示すために使用されている。図示の実施形態間の同様の構成要素は、他の実施形態を示すために文字添え字を伴う同じ参照符号として同様に言及される。以下は、図面のそれぞれの簡単な説明である。
【0011】
図1Aは、本発明にしたがって構成されるアクセス装置の好ましい実施形態の斜視図であり、ニードル、ダイレータ、および、医療品と同軸に位置合わせされる予め負荷が掛けられたガイドワイヤ部を示している。
【0012】
図1Bは、図1Aに描かれる実施形態の平面図である。
【0013】
図2Aは、図1Aのニードルの平面図であり、先端近傍の開窓を示している。
【0014】
図2Bは、図1Aのニードルの側面図であり、基端近傍のフィンを示している。
【0015】
図2Cは、図2Aの線2C−2Cに沿う断面図である。
【0016】
図2Dは、図2Aのニードルの一部の拡大平面図であり、開窓を示している。
【0017】
図2Eは、図2Aのニードルのニードルハブの拡大平面図である。
【0018】
図2Fは、図2Aのニードルのニードルハブの拡大側面図である。
【0019】
図2Gは、図2Aのニードルのニードルハブの拡大基端図である。
【0020】
図3Aは、図1Aのダイレータの平面図であり、先端近傍の開窓を示している。また、図3Aは、ダイレータとシースとの間から空気を抜くためにルアー面に長手方向に配置される溝も示している。
【0021】
図3Bは、図3Aの線3B−3Bに沿う断面図を示している。
【0022】
図3Cは、図3Aのダイレータの一部の拡大平面図であり、開窓および長手方向チャンネルを示している。
【0023】
図3Dは、図3Aのダイレータハブの拡大端面図である。
【0024】
図3Eは、対応するネジを有するシースに固定するように構成されるロックスピンナットを含むダイレータハブの他の実施形態の斜視図である。
【0025】
図3Fは、図3Aの線3F−3Fに沿う断面図であり、ルアー面の外周周りに等間隔に離間される溝を示している。
【0026】
図4Aは、図1Aのシースの平面図であり、シースの基端に接続されるシースハブを示している。
【0027】
図4Bは、図4Aの線4B−4Bに沿う断面図である。
【0028】
図4Cは、図4Aのシースの拡大端面図である。
【0029】
図4Dは、図4Aのシースの基端部の拡大斜視図である。
【0030】
図5Aは、図1Aのガイドワイヤ部の斜視図であり、ガイドワイヤの基端に接続されるガイドワイヤハブを示している。
【0031】
図5Bは、図5Aに描かれる実施形態のガイドワイヤ部の平面図である。
【0032】
図6Aは、図1Aのトラックの斜視図である。
【0033】
図6Bは、図6Aのトラックの平面図であり、ニードルをダイレータに対してロックするためのロック機構を示している。
【0034】
図6Cは、図6Bのトラックの側面図である。
【0035】
図6Dは、図6Bのロック機構の拡大図である。
【0036】
図6Eは、ガイドワイヤ部を予め負荷が掛けられた状態でロックする他のロック機構の拡大図である。
【0037】
図7Aは、図1Aのアクセス装置の平面図であり、ガイドワイヤ部が予め負荷が掛けられた状態でトラックにロックされた図6Eのロック機構を示している。
【0038】
図7Bは、図7Aのロック機構およびアクセス装置の側面図である。
【0039】
図7Cは、図7Aのアクセス装置の断面図であり、トラックのストッパと要素との間に配置されるガイドワイヤハブを示している。
【0040】
図7Dは、図7Bのアクセス装置の拡大端面図であり、ガイドワイヤハブの少なくとも一部の周囲でトラックから延びる2つのアームを示している。
【0041】
図8Aは、患者内へのアクセス装置の先端の挿入を示す図1Aに描かれる実施形態の平面図である。
【0042】
図8Bは、患者に隣接するアクセス装置の領域に焦点を合わせる図8Aに描かれる実施形態の拡大図である。
【0043】
図8Cは、図8Bに描かれる実施形態の一部の拡大図であり、ダイレータの開口または開窓と位置合わせされるニードルの開口または開窓を隠れ線で示している。
【0044】
図8Dは、図8Cに描かれる実施形態の一部の拡大断面図であり、流体がニードルの内側からシースとダイレータとの間に形成されるチャンネルへと流れることができるようにダイレータの開口または開窓と位置合わせされるニードルの開口または開窓を示している。
【0045】
図8Eは、0.002インチの隙間高さ幅を有するチャンネルを上って流体が引き上げられる速度を示すグラフである。
【0046】
図8Fは、0.001インチの隙間高さ幅を有するチャンネルを上って流体が引き上げられる速度を示すグラフである。
【0047】
図8Gは、0.0005インチの隙間高さ幅を有するチャンネルを上って流体が引き上げられる速度を示すグラフである。
【0048】
図8Hは、ダイレータのチャンネルの先端側領域を破断した図8Cに描かれる実施形態の一部の拡大断面図である。
【0049】
図8Iは、ニードルハブが第1の位置にあるときにニードルハブがダイレータハブにロックされる領域に焦点を合わせた図8Aに描かれる実施形態の拡大図である。
【0050】
図8Jは、図8Iに描かれる実施形態の断面図である。
【0051】
図9Aは、ニードルチップから先端方向に押し進められたガイドワイヤを示す図1Aに描かれる実施形態の側面図である。
【0052】
図9Bは、ニードルハブが第1の位置にあるときにガイドワイヤハブがニードルハブにロックされる領域に焦点を合わせた図9Aに描かれる実施形態の拡大図である。
【0053】
図9Cは、図9Bに描かれる実施形態の断面図である。
【0054】
図10Aは、ダイレータおよびシースが図9Aに示される位置からニードル本体に対して先端側に押し進められているのを示す図1Aに描かれる実施形態の側面図である。
【0055】
図10Bは、ニードルハブが第2の位置にあるときにニードルハブがトラックにロックされる領域に焦点を合わせた図10Aに描かれる実施形態の拡大背面図である。
【0056】
図11Aは、ガイドワイヤ、ニードル本体、および、ダイレータのシースからの除去を示す図1Aに描かれる実施形態の側面図である。
【0057】
図11Bは、ガイドワイヤ、ニードル本体、および、ダイレータのシースからの除去中にダイレータによって覆われるニードルチップを示す図11Aに示される実施形態の一部の拡大図である。
【0058】
図12Aは、ニードルおよびダイレータの位置合わせされた開口または開窓の他の実施形態を示す拡大平面図である。
【0059】
図12Bは、図12Aの線13B−13Bに沿う拡大断面図であり、流体がニードルの内側からシースとダイレータとの間に形成されるチャンネルへと流れることができるようにダイレータの開口または開窓と位置合わせされるニードルの開口または開窓を示している。
【0060】
図13Aは、ニードルおよびダイレータの位置合わせされた開口または開窓の他の実施形態を示す拡大平面図である。
【0061】
図13Bは、図13Aの線13B−13Bに沿う拡大断面図であり、流体がニードルの内側からシースとダイレータとの間に形成されるチャンネルへと流れることができるようにダイレータの開口または開窓と位置合わせされるニードルの開口または開窓を示している。
【0062】
図14Aは、ダイレータとシースとの間に形成されるチャンネルの他の実施形態を示す拡大平面図である。
【0063】
図14Bは、図14Aの線14B−14Bに沿う断面図であり、シースへと延びるチャンネルの厚さを示している。
【0064】
図15Aは、ダイレータとシースとの間に形成されるチャンネルの他の実施形態を示す拡大平面図である。
【0065】
図15Bは、図15Aの線15B−15Bに沿う断面図であり、ダイレータおよびシースの両方へと延びるチャンネルの厚さを示している。
【0066】
図16Aは、ダイレータとシースとの間に形成されるチャンネルの他の実施形態を示す拡大平面図である。
【0067】
図16Bは、図15Aの線16B−16Bに沿う断面図であり、ダイレータへと延びるスプラインの形態を成す複数の等間隔のチャンネルを示している。
【0068】
図17は、アクセス装置の他の実施形態の拡大断面図であり、異なる形状を有するシースとダイレータとの間に形成されるチャンネルを示している。
【0069】
図18Aは、アクセス装置の他の実施形態の一部の拡大平面図であり、今回はニードルとダイレータとの間に形成されるチャンネルの他の実施形態を示している。
【0070】
図18Bは、図18Aの実施形態の18B−18Bに沿う拡大断面図である。
【0071】
図18Cは、図18Aの実施形態の18C−18Cに沿う拡大断面図である。
【0072】
図18Dは、図18Aに描かれるニードルの一部を形成するように構成されるニードルハブの拡大斜視図である。
【0073】
図18Eは図18Aのダイレータ平面図である。
【0074】
図19Aは、ダイレータの他の実施形態の先端部の平面図である。
【0075】
図19Bは、開窓が仮想状態にある図19Aのダイレータの先端部の断面図である。
【0076】
図19Cは、図19Bのダイレータの19C−19Cの部分の拡大図である。
【0077】
図19Dは、図19Bのダイレータの19D−19Dの部分の拡大図である。
【0078】
図19Eは、内部の特徴が仮想状態にある図19Aのダイレータの側面図である。
【0079】
図20Aは、ニードルの他の実施形態の側面図である。
【0080】
図20Bは、図20Aのニードルの先端の拡大図である。
【0081】
図21Aは、トラックの他の実施形態の斜視図である。
【0082】
図21Bは、図21Aのトラックの平面図である。
【0083】
図21Cは、図21Aのトラックの側面図である。
【0084】
図21Dは、図21Aのトラックの21D−21Dの部分の拡大図である。
【0085】
図22Aは、ガイドワイヤハブの他の実施形態の斜視図である。
【0086】
図22Bは、図22Aのガイドワイヤハブの下面図である。
【0087】
図23Aは、シースの他の実施形態の基端図である。
【0088】
図23Bは、図23Aのシースの平面図である。
【0089】
図24Aは、シースの他の実施形態の分解斜視図である。
【0090】
図24Bは、図24Aのシースの分解平面図である。
【0091】
図25Aは、シースハブの他の実施形態の斜視平面図である。
【0092】
図25Bは、図25Aのシースハブの平面図である。
【0093】
図25Cは、図25Aのシースハブの25C−25Cにおける断面図である。
【0094】
図25Dは、図25Aのシースハブの2つのプレート本体の斜視図である。
【0095】
図25Eは、図25Dのプレート本体のうちの1つの斜視図である。
【0096】
図25Fは、図25Dの他のプレート本体の斜視図である。
【0097】
図25Gは、2つのプレート本体の他の実施形態の側面図である。
【0098】
図25Hは、図25Gのプレート本体のうちの1つの斜視図である。
【0099】
図25Iは、2つの他の実施形態のプレート本体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0100】
本開示は、医療品(例えば、カテーテルまたはシース)を血管または排液部位へ供給するためのアクセス装置を提供する。図1Aは、本発明の好ましい実施形態にしたがって血管(例えば、静脈または動脈)内に挿入されるように構成されるアクセス装置20を示している。この文脈において以下ではアクセス装置について(すなわち、血管アクセスに関して)説明するが、アクセス装置は、医療品(例えば、カテーテルまたはシース)にアクセスして該医療品を患者の身体内の他の場所(例えば、排液部位)へと他の目的で(例えば、膿瘍を排出するために)配置するために使用することもできる。
【0101】
アクセス装置の本実施形態は、典型的な単一品、すなわち、管状医療品を患者内の身体空間内へ配置するという状況で開示される。管状品が配置されると、該管状品を使用して、他の医療品(例えば、カテーテル、ガイドワイヤ等)を受け、身体空間にアクセスすることができ、および/または、管状品を使用して、通路を形成し、流体を身体空間内に導入することができ、あるいは、流体を身体空間から除去する(例えば、排出する)ことができる。図示の実施形態において、管状医療品は、主に静脈内への流体通路を設けるように構成されるシースまたはカテーテルである。しかしながら、本発明の原理は、単一品であるシースまたはカテーテルの配置に限定されず、あるいは、シースまたはカテーテルを介した医療品のその後の挿入に限定されない。代わりに、本開示に照らして当業者が分かるように、本明細書中に開示されるアクセス装置は、他のタイプのシース、流体ドレナージ、送出チューブを含む1つ以上の他のタイプの医療品、および、シングルルーメンまたはマルチルーメンのカテーテルを直接に患者内に或いは他の医療品を介して間接的に配置することに関してうまく利用することもできる。
【0102】
例えば、本明細書中に開示されるアクセス装置は、中心静脈カテーテル、末梢から中心静脈まで挿入したカテーテル、血液透析カテーテル、外科用ドレナージチューブ、引き離しシース、多部品シース、スコープ、および、外部または埋め込み電子デバイスあるいはセンサに接続される配線またはケーブルのための電線用導管を直接的に或いは間接的に配置するように構成することもできるが、これに限定されない。前述したように、先に挙げられた医療品は、アクセス装置のダイレータ、ニードル、および、ガイドワイヤを介して患者内に直接的に配置されてもよく、あるいは、その後に、アクセス装置のダイレータ、ニードル、および、ガイドワイヤを介して患者内に配置された医療品を介して患者内に配置されてもよい。
【0103】
また、本明細書中に開示される実施形態は、単一の医療品の同軸挿入に限定されない。例えば、挿入されたシースを介して2つのカテーテルが患者内に挿入されてもよく、あるいは、挿入された第1のカテーテルを介して第2のカテーテルが患者内に挿入されてもよい。また、血管または他の身体空間内へと向かう導管を設けることに加えて、ダイレータ、ニードル、および、ガイドワイヤを介して挿入される医療品は、その後に挿入された医療品のルーメンに加えてルーメンを形成することができる。当業者は、本明細書中に開示される装置およびシステムのための更なる用途を見出すこともできる。したがって、シースに関連する(例えば微小穿刺用途における)アクセス装置の例示および説明は、アクセス装置の1つの想定し得る用途の単なる典型例にすぎない。
【0104】
図1Aおよび図1Bはアクセス装置20の好ましい実施形態を示している。アクセス装置20は、ニードル22と、ダイレータ24と、シース26とを備える。図示の実施形態において、アクセス装置はガイドワイヤ部28およびトラック30も含む。図1Bに最も良く見られるように、ダイレータ24がニードル22に好ましくは同軸に取り付けられ、また、シース26がダイレータ24に同軸に取り付けられる。アクセス装置の構成要素の伸縮性は、該構成要素をそれらの軸が同軸ではなく略平行に配置される状態で配置することにより達成することもできる(例えば、モノレール型構造)。
【0105】
これらの構成要素のそれぞれは、末端または移行部(すなわち、ハブ)のルーメン取付具を含むとともに、取付具から延びる長尺構造体を含む。したがって、図示の実施形態において、ニードル22は、ニードルハブ34から先端側に延びるニードル本体32を含み、ダイレータ24は、ダイレータハブ38から先端側に延びるダイレータシャフト36を含み、また、シース26は、シースハブ42から先端側へ延びるシース本体40を含む。ガイドワイヤ部28は、ガイドワイヤ44と、好ましくはガイドワイヤハブまたはキャップ46とを備える。図示の実施形態では、ガイドワイヤハブ46がガイドワイヤ44の基端に配置されるが、他の用途では、ハブ46をガイドワイヤ44の端部間の位置に配置することができる。
【0106】
図2A〜2Gは、アクセス装置20の他の構成要素から分離した状態におけるアクセス装置の好ましい実施形態にしたがって構成されるニードル22のニードル本体32およびニードルハブ34を示している。図2Aおよび図2Bにおいて最も良く分かるように、ニードルハブ34は、ニードル本体32の基端に配置される。ニードル本体32は、先端がニードル22の先端50の近傍で終端し、また、ニードルハブ34はニードル22の基端52に位置する。
【0107】
ニードル本体32は、直径が一定の円形の内孔と直径が一定の円形の外面とを有する長尺な管形状を有することが好ましい。しかしながら、他の実施形態において、ニードル本体32は、他の孔および外形(例えば楕円断面形状などであるが、それに限定されない)を有することができる。ニードルの内側または外側が溝またはチャンネルを含むこともできる。溝またはチャンネルは、ニードル22の特定の構造体の周囲で或いは特定の構造体へとニードル孔内で流体を案内し、または、ニードル22内(例えば、ガイドワイヤの周囲)で流体を案内してもよい。幾つかの実施形態において、溝またはチャンネルは、ダイレータに対するニードル22の望ましい方向を維持するのに役立ってもよい。
【0108】
ニードル本体32は、目標の皮下の身体空間にアクセスするのに十分長い長さを有するとともに、過度の外傷を引き起こすことなく身体空間にアクセスする際の挿入力に耐え得る十分なゲージサイズを有する。多くの用途において、ニードル本体は、3〜20cm、より好ましくは3〜10cmの長さを有することができる。例えば、成人の胸部における身体空間(例えば血管)にアクセスするために、ニードル本体32は、好ましくは7cm以上の長さを有し、より好ましくは9cm以上の長さを有し、最も好ましくは9〜10cmの長さを有する。ニードルのサイズは、微小穿刺用途(末梢静脈)においては、好ましくは18ゲージ以下であり、より好ましくは18〜28ゲージであり、最も好ましくは18〜26ゲージである。新生児の用途において、ニードル本体32の長さ及びゲージは、かなり短くて小さくなければならず、例えば好ましくは3〜4cmおよび26〜28ゲージである。
【0109】
図2Aおよび図2Dから最も良く分かるように、ニードル本体32は、ニードル本体32の先端近傍に少なくとも1つの開窓または開口56を含む。以下で詳しく説明するように、開窓56は、ニードル本体32の壁を貫通して延びており、ニードル本体32上で様々な形状および方向を有することができる。また、ニードル本体32は、先端部50に配置される斜面チップ54を有することができる。
【0110】
図2Aおよび図2Bに示されるように、ニードルチップの斜面の外周位置とニードルの開口または開窓56とに位置合わせされるニードルハブ34の周囲の外周位置にフィン58が配置されるのが好ましい。すなわち、フィン58は、斜面および開窓によって指標付けられる。使用中、医師またはヘルスケア提供者は、斜面が血管内にあり且つ開窓がシース及び/又はダイレータによって覆われているにもかかわらず、露出されたフィン58の方向に留意することにより斜面状ニードルチップ(および開窓56)の方向を決定できる。例えば、図示の実施形態において、患者から離れたフィン58の方向は、血管内のニードルチップの斜面アップ方向と一致する。図2Cに見られるように、開窓56もフィン58と同じ側にある。
【0111】
フィン58は、ニードルハブ34を操作するための把持領域も与える。例えば、医師またはヘルスケア提供者は、人差し指および親指をフィン58の側面上に配置して、ダイレータ24及び/又はシース26に対してニードルハブ34を安定させることができる。図示の実施形態では、ダイレータ/シースがニードル上にわたって先端側にスライドすると、第1の位置121と第2の位置123(図6Aに示される事例位置)との間でニードルハブ34がトラック30に沿って相対的にスライドする。挿入ステップ(後述する)を行なうときにフィン58を保持できる。また、フィン58を使用して、ダイレータハブ38を回転させている間にニードルハブ34を安定させることができる。更に、フィン58は、ニードルハブ34がトラック30に沿う任意の位置に配置されるときにアクセス装置20を把持するための補助として医師またはヘルスケア提供者によって使用され得る。
【0112】
図2Dは、ニードル本体32の側口または開窓56の拡大図である。1つ以上の開窓56がニードル本体32の側面を貫通する経路を形成する。図2Dに示される開窓56は楕円形状を有する。しかしながら、側口56の形状は、図示の実施形態に限定されず、円形、楕円形、正方形、または、他の形状であってもよい。
【0113】
ここで、特に図2E〜2Gを参照すると、ニードルハブ34は、ニードルハブ34の基端および先端にロック構造を含むことが好ましい。これらのロック構造は、ルアー・ネジ型または他のタイプの接続部であってもよい。
【0114】
ニードルハブ34の基端部52のロック構造は、医師またはヘルスケア提供者が他の医療品をニードルハブ34の基端に固定できるようにする。例えば、図示の実施形態のニードルハブ34は環状フランジまたはリップ63を含む。リップ63は、ニードルハブ34が対応するルアー・ナットロック機能を有する他の医療品に取り付くことができるように螺合される。また、医師またはヘルスケア提供者は、シリンジまたは監視器具を基端のロック構造に取り付けて、所望通りに他の処置を行なってもよい。ニードルハブ34は、その基端のセプタム及び/又はサイドポートを、これらの特徴が特定の用途にとって望ましい場合には含むこともできる。
【0115】
ニードルハブ34の先端部のロック構造は、ニードルハブ34が第1の位置121にあるときに例えば医師またはヘルスケア提供者がニードルハブ34をダイレータハブ38に対してロックできるようにする。図示の実施形態において、ロック構造は、ニードルハブ34にラッチ要素66を含む。ラッチ要素66は、ニードルハブ34をダイレータハブ38に対して解放可能にロックする。ロック構造は、ヘルスケア提供者がニードルハブ34、ダイレータハブ38、または、これらの両方を把持しつつニードルを患者内へ押し進めることができるようにする。
【0116】
以下で更に詳しく説明するように、ガイドワイヤ44は、ニードルハブ34の中空部62およびニードル本体32を通じて穿刺された血管内へ導入される。ガイドワイヤ44は、ヘルスケア提供者がダイレータ24およびシース26を血管内へと案内できるようにする。
【0117】
ニードルハブ34は、ニードルハブ34が第1の位置121と第2の位置123との間をトラック30に沿ってスライドできるようにする2つの中子68を備えてもよい。好ましい実施形態では、ニードルハブ34の2つの中子68が第1の位置121と第2の位置123との間でトラック30と係合されるが、他の実施形態では、ニードルハブ34が第1の位置121と第2の位置123との間でトラック30の長さの一部にわたってのみトラック30と係合される。トラック30とニードルハブ34との間の摺動相互接続は、他の協働構造(例えば、蟻継ぎ接続の対応するピンおよび尾部)を使用して達成することもできる。
【0118】
図3Aは、図1Aに描かれる実施形態のダイレータ24の平面図である。図3Bは、図3Aに描かれる実施形態のダイレータ24の線3B−3Bに沿う断面図である。図3Aおよび図3Bに示されるように、図示のダイレータ24は、ダイレータシャフト36と、ダイレータハブ38と、先端領域70と、基端領域72とを備える。図示の実施形態では、ダイレータシャフト36が1つの側口または開窓74を含むが、他の実施形態では、ダイレータシャフト36が更に少ない或いは更に多い数の開窓74を含むことができる。例えば、ダイレータシャフト36は、血液フラッシュチャンバがダイレータ内に配置される場合(以下で更に詳しく説明する)には、開窓74を含まなくてもよい。
【0119】
ダイレータハブ38が1つ以上の通気孔を備えてもよい。図示の実施形態では、ダイレータハブ38の通気孔が溝75によって形成される。また、ダイレータシャフト36は、ダイレータシャフト36の外面に形成される1つ以上の長手方向チャンネルを備えてもよい。図示の実施形態では、チャンネルが開放チャンネルである。開放チャンネルの側壁は隆起部76によって形成される。図示の実施形態では、隆起部76がシース26と相互作用する全体的に滑らかな弓形の外面を形成するが、他の実施形態では、隆起部が他の形状を有することができる(例えば、より際立った頂部を形成できる)。シース本体40内に組み付けられると、ダイレータシャフト36の開放チャンネルは、シース本体40の内径によって閉じられる。
【0120】
図3Cは、図3Aに示される実施形態の一部の拡大平面図である。前述したように、図示のダイレータシャフト36は、1つ以上の側口74と、隆起部76間に形成される1つ以上のチャンネルとを備える。側口または開窓74は、ダイレータシャフト36の側面を貫通する流体経路を与える。側口74の形状は、図示の実施形態に限定されず、円形、楕円形、正方形であってもよく、または、他の形状を有してもよい。図3Cに示される開口または開窓74は楕円形状を有する。
【0121】
図示の実施形態において、ダイレータシャフト36の開口74は、その主軸がニードル22の楕円開口56の主軸に対して平行ではない楕円形状を有する。例えば、ニードル開口56が長手方向に延びてもよく、また、ダイレータ開口74が周方向に延びてもよく、あるいは、逆もまた同様である。すなわち、ダイレータ開口74の長軸は、ニードル開口56の長軸に対して略垂直に配置される。以下の更なる実施形態に関連して説明するように、これらの開口56,74は、製造公差および回転方向のずれに対応するためにかなりの度合いの重なり合いを得ることが好ましい他の形状、サイズ、および、方向を有することができる。このため、開窓のうちの1つが少なくとも一方向で同じ方向の開窓の他の1つよりも大きい寸法を有することが好ましい。したがって、図示の実施形態において、ニードルの開窓56は、ダイレータの開窓74の長手方向寸法よりも長い長手方向寸法を有する。
【0122】
隆起部76間に形成されるチャンネルは、開口74よりも先端側のポイントから基端方向に延びる。図示の実施形態の隆起部76は、シース内でダイレータシャフト36を釣り合わせるためにダイレータシャフト36の両側にダイレータシャフト36に沿って配置される。図示の実施形態において、隆起部76はそれらの間に2つのチャンネルを形成する。シース内でダイレータを釣り合わせることにより、ダイレータはシースの内周に対して等しい圧力を加えることができる。
【0123】
ダイレータハブ38は、ダイレータ24の基端領域72および先端領域にロック構造を含んでもよい。それぞれのロック構造は、ルアータイプまたは他のタイプの接続部であってもよい。図示の実施形態において、ダイレータハブ38は、第1のルアー接続部78と、第2のルアー接続部80と、リップ77と、ベース79とを備える。第1のルアー接続部78は、図2Eに示されるニードル22のニードルハブ34に係合する。第2のルアー接続部80は第1のルアー接続部78よりも先端側に配置される。幾つかの実施形態において、第2のルアー接続部80(例えば、雄ルアースリップコネクタ)は、図1Aに示されるシース26のシースハブ42(例えば、雌ルアースリップコネクタ)に係合するように構成され得る。また、これらの構成要素の雄−雌ルアースリップコネクタを逆にすることができる。
【0124】
図3Dは、図3Aのダイレータ24の拡大基端図である。図3Dに最も明確に示されるように、ダイレータハブ38は、ニードルハブ34が第1の位置121にあるときにニードルハブ34に対してダイレータハブ38を固定するために、図2E〜2Fに示されるニードルハブ34のラッチ要素66と解放可能に係合する開口82を備える。先と同様に、他の実施形態では、ダイレータハブおよびニードルハブ34の雄−雌ルアースリップコネクタを逆にすることもできる。
【0125】
ダイレータ24の色は、血液または他の流体とダイレータ24との間のコントラストを高めるように選択されてもよい。例えば血液フラッシュ中、血管内におけるニードルの適切な配置を裏付けるように血液がダイレータ24とシースとの間で流れるのが観察される。シースとダイレータ24との間で流体が流れる際の流体の視認性を高めるために、シースがクリアな或いは透明な材料から製造され、ダイレータ24が流体の色に対してコントラストを成す色を有することが好ましい。例えば、ダイレータ24は、赤い血液とのそのコントラストを高めるために白色を有してもよい。望まれるコントラスト度合および流体の色に応じて、ダイレータ24の他の色を使用することができる。また、血液フラッシュの領域にあるダイレータの部分だけがコントラストのある色を有することができ、残りの部分が異なる色を有することができる。チャンネルがニードルとダイレータ24との間に形成される実施形態においては、医師がシースおよびダイレータ24の両方を通じた血液フラッシュを観察できるように、ダイレータ24がシースと同様にクリアな或いは透明な材料から製造されてもよい。
【0126】
図3Eは、ダイレータハブ38Aの他の実施形態の拡大斜視図である。ダイレータハブ38Aは、ダイレータハブ38Aがスピンナットまたはカラー84を更に含む点を除き、図3Aに示されるダイレータハブ38と同様である。スピンナット84の基端は、ダイレータハブ38の環状溝73(図3A参照)周りに回転する。スピンナット84は、環状溝73内に配置されると、先端方向の移動が妨げられるが、ダイレータハブ38A周りで自由に回転する。スピンナット84は、シース26の対応する相互係合要素に対してロックする相互係合要素を有することができる。図示の実施形態において、スピンナット84は、図1Aに示されるシース26のシースハブ42上の雄ネジと螺合する雌ネジを含む。
【0127】
ダイレータ24またはシース26は、別個に或いは一緒に、空気またはガスがダイレータ24とシース26との間及び/又はニードルとダイレータとの間から逃げる或いは抜け出ることができるようにするための1つ以上の通路を形成してもよい。1つ以上の通路は、空気が流通できるようにしつつ、血液などの液体の流れを妨げるように更に寸法付けられてもよい。1つ以上の通路は、シース26の壁、シースハブ、ダイレータハブ38、ダイレータシャフトの露出部にあってもよく、及び/又は、ダイレータ24およびシース26の隣接する面同士の間に形成されてもよい。例えば、図3Aは、ダイレータ24およびシース26の隣接する面同士の間に形成される長手方向に配置される溝75を示している。そのような通気通路を迷路にすることもできる。隣接する面は、シース26とダイレータ24との間にルアースリップ接続部を形成する。
【0128】
図3Fは、図3Aの線3F−3Fに沿う断面図であり、ルアースリップ面の外周周りに等間隔に離間される溝75を示しているが、等間隔に離間される必要はない。溝75は、血液フラッシュが行なわれる際にシースなどの医療品とダイレータとの間から空気が逃げることができるように寸法付けられる。前述したように、1つ以上の通路は、表面溝75の形態を成す必要がなく、代わりに、開口または通路の形態を成してもよい。
【0129】
図示の実施形態では、1つ以上の通路により、空気がシースとダイレータハブとの間のルアー接続部を通過できる。図示の実施形態では、通路75の先端がルアー接続部の先端側に位置され、通路75の基端がルアー接続部の基端側に位置される。
【0130】
1つ以上の通路は、血液または他の液体を濾過するように寸法付けられてもよく、あるいは、空気の通過を許容しつつ液体の通過を妨げるフィルタまたは他の構造を含んでもよい。例えば、シース自体は、小さい開口、孔、または、多孔質材料の形態で1つ以上の通路を含んでもよい。1つ以上の通路のサイズと流体分子および形成される要素(例えば、赤血球)の予期されるサイズとに応じて、シースの1つ以上の小さい開口、孔、または、多孔質材料は、空気が通過できるようにするが血液を保持する多孔質通気孔を形成できる。
【0131】
ここで、隆起部のあるダイレータを製造する方法について説明する。最初に、ダイレータのその外径(OD)に或いは材料中に1つ以上の長手方向溝またはチャンネルを有する長い管状体を形成するために、押し出しプロセスが使用される。長い管状体は、単一のダイレータの所要の長さを超え、また、単一のダイレータの長さよりも何倍も大きい長さを有することが好ましい。押し出しプロセスでは、ダイレータの内外径にとって望ましい形状と、長手方向溝またはチャンネル或いは内部チャンネルの厚さおよび外周長さとを反映する形状を有する製造金型が使用される。図1〜11に示される実施形態では、シース内でのダイレータのバランスを高めるために、長い管状体が2つの長手方向ODチャンネルを本体の両側に含む。しかしながら、単一のチャンネルは、血液フラッシュのための目に見える指標を与えることができる。2つのチャンネルは、押し出された管状体の長さに沿って延びることが好ましい。図示の実施形態は、ダイレータとシースとの間に配置される1つ以上のチャンネルを含むが、それに加えて或いはそれに代えて、ニードルとダイレータとの間に、ダイレータ内に、及び/又は、シース内に、1つ以上のチャンネルを形成できる。したがって、幾つかの実施形態では、チャンネル内の流体フラッシュを目に見えるようにするため、ダイレータ24の一部または全てがクリアな材料、半透明な材料、透明な材料、または、半不透明な材料から形成される。
【0132】
図示の実施形態に戻って参照すると、押し出された管状体は、単一のダイレータにとって適した長さにカットされる。好ましい方法では、2つのOD溝が、カットされたダイレータの全長にわたって延びる。
【0133】
その後、チップを再形成するために、カットされたダイレータの端部でチッピングプロセスが使用される。カットされたダイレータの端部は、仕上がったダイレータのチップの所望の形状と適合する形状を有する金型/マンドレルへと押し進められる。所望の形状は、例えばシースの内径に応じて選択される。シースおよびダイレータがチップの近傍に密な嵌合またはシールを形成して、溝付きダイレータとシースとの間に形成されるチャンネルを基端方向に上る血流を促進させることが望ましい。チップ領域でのダイレータのODは先端方向に先細ることが好ましい。
【0134】
金型/マンドレルにあるときには、金型/マンドレルと適合するようにチップを再形成するために、熱エネルギがチップに加えられる。熱エネルギは、赤外線熱源またはRF熱源からの放射加熱を使用することを含む任意の既知の技術によって加えられてもよい。チッピングプロセスの一環として、チップ領域のダイレータは、溝が実質的に除去されるように再形成される。溝が除去された状態で、ダイレータは、チップの近傍でシースと密な嵌合またはシールを形成できる。溝は、シース26のチップがダイレータに当接する場所の基端側でダイレータの残りの部分に沿って維持される。金型/マンドレルからの除去後、任意の製造残留物を除去するために、ダイレータのチップ端が洗浄されて必要に応じてカットされてもよい。
【0135】
ダイレータの1つ以上の開窓がチップ領域の近傍で或いは溝の近傍でダイレータを貫通してカットされる。各開窓は、ドリルまたはレーザを含む任意の既知の手段でカットされてもよい。また、開窓のための楕円形状または他の形状を得るために、切断装置がダイレータに対して移動されてもよく、あるいは、逆もまた同様である。
【0136】
ダイレータに対するダイレータハブのオーバーモールディングを容易にするために、チップ端とは反対側のダイレータの端部の口を広げることができる。
【0137】
図4Aは、図1Aに描かれる実施形態のシース26の平面図である。図4Bは、図4Aに描かれる実施形態のシース26の線4B−4Bに沿う断面図である。図4Cは、図4Aのシース26の拡大基端図である。図4Dは、図4Aのシース26のシースハブ42の拡大斜視図である。図4A〜4Dに示されるように、シース26は、シース本体40と、シースハブ42と、先端部90と、基端領域92とを備えてもよい。シース本体40の一部または全体は、クリアな材料、半透明な材料、透明な材料、または、半不透明な材料から形成されてもよい。シース本体40は、例えば硫酸バリウムストライプなどの1つ以上の放射線不透過性マーカを含むこともできる。好ましい実施形態において、シースは、本体40の全く正反対の側に配置される2つのそのような放射線不透過性ストライプを含む。
【0138】
シース本体40は一体成形のシースであってもよく、該シースを通じてカテーテルまたは他の医療品(例えば、ガイドワイヤ)が血管内へと挿入される。そのような実施形態において、シース本体40は、カテーテルまたは他の医療品(例えば、ガイドワイヤ)の挿入のための導管を形成する。導管を形成することに加えて、シースまたはシースの一部は、カテーテルのルーメンに加えてルーメンを形成できる。例えば、シース本体40自体が第3のルーメンを形成する状態で2ルーメンカテーテルをシース本体40に挿通することにより、3ルーメンカテーテルと同等のものを形成できる。
【0139】
アクセス装置20を使用した後に血管内に挿入されるようになっているカテーテルまたは医療品のタイプに応じてシース本体40の一部または全体を取り除くことが有益な場合がある。例えば、カテーテルまたは他の医療品が血管内に挿入された後、シース本体40の一部を分離し或いは剥離して除去することができる。剥離シースは、穿孔、鋸歯状部、裂け部、または、他の構造を含むことができ、あるいは、他の材料(例えば、ビスマスを有するPTFE)を含むことができ、それにより、医師またはヘルスケア提供者は、シース本体40の一部または全体を容易に除去できる。
【0140】
シースハブ42は、ルアースリップ接続部およびロック部材94を含んでもよい。ロック部材94は、対応する構造体と嵌め合う或いは係合するロック構造または取り付け構造を備えてもよい。例えば、ロック部材94は、ダイレータハブ38の第2のルアー接続部80と係合するように構成され得るルアー接続部94となることができる。
【0141】
図4Cおよび図4Dにおいて最も良く見られるように、シースハブ42は、ダイレータハブ38のロック機構または第2のルアー接続部80がシースハブ42内にほぼ妨げられずに入ることができるように形成されるのが好ましい。しかしながら、使用時、シースハブ53がダイレータシャフト36上の所望の位置に配置されると、医師またはヘルスケア提供者は、シースハブ42を押し、引き、あるいは、ねじることができ、場合によりロック部材94を他の医療品の対応するコネクタに対して係脱できる。ロック部材94は、例えば、ダイレータハブ38とシースハブ42とが解放可能に連結されるように機械的な嵌合をもたらすルアー接続部、突出バンプ、くぼみ等であってもよい。図示の実施形態では、シースハブ42のロック部材94がルアー接続部を備える。シースハブ42は、ダイレータハブ38の対応する第2のルアー接続部80と係合するのが好ましい。ロックされた位置は、ダイレータハブ38をシースハブ42に対して引き、圧搾し、押し、あるいは、ねじることにより係脱できることが好ましい。
【0142】
幾つかの実施形態では、シースハブ42がリップ95を備えることができる。リップ95は、シースハブ42が対応するロック機能を有する他の医療品に取り付くことができるように螺合され得る。
【0143】
シースハブ42は、医師またはヘルスケア提供者がシース26及び/又はアクセス装置20を容易に把持し或いは操作できるようにするための1つ以上の表面特徴を備えることが好ましい。図示の実施形態では、シースハブ42が正方形状のグリップ96および隆起部98を含む。
【0144】
更なる実施形態において、シースハブ42は、シース本体40をアクセス装置20の他の部分から容易に解放して取り外すことができるように径方向に延びる翼部またはハンドル構造を備えてもよい。幾つかの用途において、翼部は、シースハブ42を分断するためのてこの作用をヘルスケア提供者に与えるように寸法付けられる。例えば、シースハブ42は、シースハブ42の半体同士を接続する薄膜を備えてもよい。膜は、ヘルスケア提供者がシースハブ42をアクセス装置から取り外すことを決定するまでシースハブ42の半体同士を一体に維持するように寸法付けられる。ヘルスケア提供者は、膜を破壊してシースハブ42を取り外し可能な半体へと分離するために翼部を操作する。
【0145】
図5Aは、図1Aに描かれる実施形態のガイドワイヤ部28の斜視図である。図5Bは、ガイドワイヤハブ46を含むことが好ましい図5Aに描かれるガイドワイヤ部28の平面図である。ガイドワイヤハブ46は、医師またはヘルスケア提供者がガイドワイヤハブ46及び/又はアクセス装置20を容易に把持し或いは操作できるようにするための1つ以上の表面特徴を備えることができる。図示の実施形態では、ガイドワイヤハブ46が1つ以上の隆起部110を備える。予め負荷が掛けられた状態では、ガイドワイヤハブ46が第3の位置125(例えば、図6Aに示される第3の位置)にあるときにガイドワイヤハブ46の外面がトラック30のロック機構130と係合する。
【0146】
幾つかの実施形態において、ガイドワイヤ44は、引き込まれる際に自動吸引機能を与えるようにニードル本体の内径と密嵌合を形成してもよい。例えば、ガイドワイヤ44の外径は、ガイドワイヤの長さに沿って或いはガイドワイヤ44の一部のみに沿ってニードルと密嵌合を形成するように選択されてもよい。
【0147】
幾つかの実施形態において、ガイドワイヤの先端部は、ガイドワイヤの他の部分と比べて小さい直径を有することができる。そのような小さい直径部分のサイズは、ガイドワイヤがニードルの先端を越えて押し進められたときであっても流体がニードル本体の開窓56へと移動できるように選択することができる。
【0148】
図6Aは、図1Aに描かれる実施形態のトラック30の斜視図である。図6Bは、図6Aに示されるトラック30の平面図である。図6Cは、図6Aに示されるトラック30の側面図である。図6A〜6Cに示されるように、図示の実施形態のトラック30は、先端部120と、基端部122と、トラックをダイレータハブ38に接続する先端ロック部材124と、ニードルハブ34がトラック30に沿って第1の位置121から第2の位置123へスライドされるとニードルハブ34の更なる基端側および先端側への移動を妨げるロック機構128と、ガイドワイヤハブが予め負荷が掛けられた状態にあるとき或いは第3の位置125にあるときにガイドワイヤハブ46がトラック30に取り付くことができるようにするロック機構130とを備える。トラックはポリカーボネート材料から形成されるのが好ましいが、後述するように、他の材料を使用できる。
【0149】
図6Aおよび図6Bに最も明確に示されるように、トラック30は、小さい幅を有するトラック部132を更に含んでもよい。小さい幅は、トラック30に対するニードルハブの組み付けを容易にする。図示の実施形態は、トラック30の先端部120にリブ133を含む。リブ133は、先端ロック部材124とトラック30の残りの部分との間に更なる構造的な補強を行なう。
【0150】
図1Aに示されるように、先端ロック部材124は、ダイレータ24に接続して、トラック30がダイレータ24から基端側に延びることができるようにする。例えば、ロック部材124は、ダイレータハブリップ77とダイレータハブベース79との間でダイレータハブ38に接続する2つの湾曲アーム124を備えることができる。ロック部材124は、ダイレータハブ38に対するトラック30の先端方向または基端方向の移動を制限するが、トラック30がダイレータハブ38の周りで自由に回転できるようにする。
【0151】
図6Dは、図6Bに描かれる実施形態の一部の拡大図である。図示のように、ロック機構128は、第2の位置123の領域でトラックの幅を変えることによって形成される。例えば、図示の実施形態は、先端方向で幅を増大するトラック部134と、幅が増大するトラック部134よりも先端側で幅が減少するトラック部136と、2つのフィンガ要素138とを含む。2つのフィンガ要素138は、トラック部136の先端からトラック30の基端へ向けて突出して、トラック30の長手方向軸から離れるように広がる。
【0152】
図6Eは、図6Bに描かれる実施形態の一部の拡大図である。ロック機構130は、ガイドワイヤハブが第3の位置にあるときにガイドワイヤハブの一部またはトラック30の一部と係合するクリップ、留め金、または、他の構造によって形成される。係合構造の一部または全ては、トラック30の一部であってもよく、ガイドワイヤハブの一部であってもよく、あるいは、トラック30とガイドワイヤハブとの間で分割されてもよい。図示の実施形態において、ロック機構130は、トラック30から延びて、ガイドワイヤハブと係合する。ロック機構130は、トラック30から突出する長方形要素140と、長方形要素140よりも先端側のトラック30から突出する2つのトラックアーム142と、トラックアーム142よりも先端側のトラック30から突出するストッパ144とを備える。
【0153】
図示の実施形態では、ニードルハブとダイレータとの間のロック機構がダイレータハブの基端側に存在する。しかしながら、他の実施形態では、ロック機構を他の位置に配置することもできる。例えば、ロック機構がロックヒンジにより結合される2つの回動レバーを含む場合には、ロック機構をニードルハブに対して径方向に配置することができる。そのような実施形態では、一方のレバーがダイレータに回動可能に結合され、他方のレバーがニードルに回動可能に結合される。ニードルハブがダイレータハブから離間されると、レバーは、ヒンジがロックする程度まで真っ直ぐになる。同様の効果は、ダイレータに対するニードルハブの特定のポイントを越える基端側への移動を制限し、それにより、構成要素を互いにロックするテザーによって得ることができる。更なる実施形態では、長尺構造体がダイレータ内でニードルハブからニードル本体と平行に延びることができる。ニードルハブがダイレータから離れて十分な距離にわたって移動されると、ロック機構の更なる構造体(例えば、戻り止め)が長尺構造体と係合し、それにより、ダイレータに対するニードルの更なる移動が抑制される。したがって、これらの更なる実施形態によって示されるように、ニードルとダイレータとの間で作用するロック機構をダイレータハブに対して様々な位置に配置することができる。
【0154】
図7Aは、ガイドワイヤにより予め負荷が掛けられた図1Aに描かれる実施形態のアクセス装置の拡大平面図である。図7Bは、図7Aに描かれる実施形態の側面図である。図7Cは、図7Aに描かれる実施形態の線7C−7Cに沿う断面図である。図7Dは、図7Aのアクセス装置20の基端図である。この予め負荷が掛けられた状態では、ガイドワイヤハブ46が第3の位置125に位置されると、ガイドワイヤハブ46がトラック30に対してロックされる。この位置では、ガイドワイヤハブ46を長方形要素140とストッパ144との間でトラック30に固定できる。例えば、ガイドワイヤハブ46は、長方形要素140とストッパ144との間で解放可能にロックできる。また、トラックアーム142は、ガイドワイヤハブ46をトラック30に対して更に固定できる。このロック機構は、ガイドワイヤハブ46が第3の位置125にあるときに、ガイドワイヤ44の意図しない回転および軸方向移動を少なくとも先端方向で止めることができる。無論、ヘルスケア提供者は、ガイドワイヤハブ46をトラック30から離脱させて、アクセス装置20を通じたガイドワイヤの先端側への移動を可能にしてもよい。
【0155】
図7A〜7Cに示される予め負荷が掛けられた状態では、ニードルハブ34が第1の位置121にあるときに、ニードルハブ34がダイレータハブ38にロックされる。ロック位置では、ニードルおよびダイレータの開口または開窓が互いに位置決めされ或いは位置合わせされるのが好ましい。ニードル22およびダイレータ24は、ロックされると、少なくとも互いに対する意図しない回転および軸方向移動が抑制される。ニードル34に対するダイレータハブの意図しない回転を防止することにより、開窓または開口がそれらの全体的なアライメントを維持する。
【0156】
予め負荷が掛けられた状態では、ダイレータハブ38がシースハブ42に固定される。これは、少なくともダイレータ24とシース26との間の意図しない回転および軸方向移動を抑制できる。シースハブ42およびダイレータ24がルアースリップ接続部のみを有する実施形態では、ダイレータ24およびシースハブ42が互いに対して回転してもよい。
【0157】
図8Aは、アクセス装置20を使用する1つの方法の作動ステップを示す図1Aに描かれる実施形態の平面図である。図8Aは、静脈などの血管148内に挿入されるアクセス装置20のニードル本体32を描いている。説明する方法は脈管アクセスに言及するが、アクセス装置20を使用して、カテーテルまたはシースにアクセスしてこれらを患者の身体内の他の場所へと(例えば、膿瘍を排出するために)他の目的で配置することもできる。
【0158】
図8Bは、図8Aに示される実施形態の線8B−8Bによって囲まれる部分の拡大平面図である。図8Cは、図8Bに示される実施形態の線8C−8Cによって囲まれる部分の拡大平面図である。図8Dは、図8Cに描かれる実施形態の線8D−8Dに沿う拡大断面図である。
【0159】
前述したように、ニードル本体32は1つ以上の側口56をその側壁に備える。ダイレータシャフト36は1つ以上の側口74を備える。側口56,74は、同じ或いは異なる形状およびアスペクト比を有してもよい。図示の実施形態において、ニードル本体32の側口56は、ダイレータシャフト36の側口74とは異なるアスペクト比を有する。ニードル本体32の側口56は一方向に(例えば、ニードル本体32の長手方向軸と略平行に)延在される。ダイレータシャフト36の側口74は異なる方向に(例えば、ダイレータシャフト36の外周に沿って)延在される。ニードル本体32およびダイレータシャフト36のオフセットした細長い開口56,74を有すると、血液がニードルの側口56およびダイレータの側口74を通じて流れるようにニードル本体32およびダイレータシャフト36の開口56,74が十分に位置合わせされる可能性が高まる。図8A〜Dは、一組の対応する側口だけの間の位置合わせを示している。ニードル本体32およびダイレータシャフト36の相対的な方向に応じて、他の組の側口を位置合わせすることもでき或いは位置をずらすこともできる。
【0160】
図示の実施形態において、ダイレータシャフト36は、ニードル本体32とダイレータシャフト36との間の環状空間150を最小限に抑えるように同軸に位置決めされる。ダイレータシャフト36の内面152は、それが可能であるが、ニードル本体32の外面154に直接に接触して位置する必要はない。この実施形態では、ニードル本体32の外面154とダイレータシャフト36の内面152との間の環状空間150は、ダイレータシャフト36とニードル本体32との間の環状空間150内への血液またはその成分(または、他の体液)の流入を抑制するように最小限に抑えられることが好ましい。この特徴は、血液が複数の外面に晒されるのを最小限に抑えるとともに、汚染、感染、および、凝固を減少させ、有益である。
【0161】
図8Aに示されるように、ダイレータシャフト36は、ニードル本体32に配置される1つの側口56の少なくとも一部がダイレータシャフト36の1つの側口74の少なくとも一部と回転方向で位置合わせされるようにニードル本体32に対して同軸に取り付けられる。ニードル本体32およびダイレータシャフト36は、血液がニードルの側口56およびダイレータの側口74を通じて流れるように回転方向の位置合わせを維持するのが好ましい。
【0162】
前述したように、シース本体40の一部または全体は、クリアな材料、半不透明な材料、半透明な材料、または、透明な材料から形成され、それにより、血液が、ニードル本体32内に流入して、(1)ニードルの側口56を通じて、(2)ダイレータの側口74を通じて、(3)チャンネル156内へと流れる際に、医師またはヘルスケア提供者が血液を見ることができるようになっていることが好ましい。幾つかの形態では、チャンネル156は、ダイレータシャフト36とシース本体40との間に形成され、ダイレータシャフト36の1つ以上の隆起部76によって画定される。幾つかの形態では、チャンネル156がダイレータシャフト36の壁中に形成され、この場合、ダイレータシャフト36は透明材料を備えることが好ましい。血液は、ニードル本体32の斜面チップ54が血管148を穿刺したことを医師またはヘルスケア提供者に知らせる。
【0163】
幾つかの実施形態において、ニードル本体32およびダイレータシャフト36は(いずれも)、複数の側口を有してもよい。この場合、これらの側口の一部または全てを回転方向で位置合わせすることができる。
【0164】
チャンネル156は、シース26の長さとほぼ同一の広がりを持つ軸方向長さを有することができる。他の実施形態では、チャンネル156を前記長尺チャンネル156よりもかなり小さくすることができる。例えば、チャンネル156をシース26の先端部、中間部、及び/又は、基端部内に配置することができるが、これらに限定されない。あるいは、チャンネル156は、シース26の軸方向長さに沿って直線形状、湾曲形状、または、螺旋形状を有することができ、あるいは、複数のそのような形状によって形成することができる。チャンネル156は、様々な厚さおよび角度範囲を有することができる。チャンネル156の厚さは、0にほぼ近い値から0.010インチへと及ぶことができる。チャンネル156は、約0.0005〜約0.003インチの厚さを有することが好ましい。より好ましくは、チャンネル156は、約0.001インチ〜約0.002インチの厚さを有することができる。チャンネル156は、ダイレータ24の軸周りで約30°〜約210°以上の角度範囲φを有することができるが、好ましくは360°未満の角度範囲を有することができる。より好ましくは、チャンネル156は、約60〜150°の角度範囲φを有することができる。図示の実施形態では、チャンネル156が120°の範囲にわたる。厚さ及び角度範囲φは、流体(例えば、全血)がチャンネル156内に入るときにチャンネル156内で起こる毛細管作用を最適化するように選択することができ、更には、予期される体腔内圧および液体の粘性に基づいて選択されてもよい。
【0165】
図8E〜8Gは、角度範囲が120°、接触角(θ)が5°、および、周長(H)が60°で0.64mmのときに流体がどの程度急速にチャンネル156の表面を上って引き上げられるのかを示す試験データのグラフである。それぞれのグラフでは、充填長さ(mm)がy軸上にプロットされ、時間(秒)がx軸上にプロットされる。試験は、末梢血管内で受ける圧力と同様の動圧で行なわれた。図8Eは、0.002インチの隙間高さ幅を有するチャンネル156を上って流体が引き上げられる速度を示している。図8Fは、0.001インチの隙間高さ幅を有するチャンネル156を上って流体が引き上げられる速度を示している。図8Gは、0.0005インチの隙間高さ幅を有するチャンネル156を上って流体が引き上げられる速度を示している。図8E〜Gに示されるように、流体は、0.0005インチの隙間高さ幅を有するチャンネル内を最も速く上って引き上げられ、続いて0.001インチの隙間高さ幅を有するチャンネルを上り、その後、0.002インチの隙間高さ幅を有するチャンネルを上って引き上げられる。
【0166】
前述したチャンネル156の形状およびそれに伴う毛細管作用は、全血とは異なる粘性を有する他の流体(例えば、白血球、膿、尿、血漿)とは対照的に、全血と共に使用するために最適化された。しかしながら、チャンネル156の形状は、開示された形状に限定されず、膿などの他の液体を排出するために最適化されてもよい。また、前述したチャンネル156の形状は、血管内の圧力が毛細管作用およびそれに伴う血液フラッシュを促進させる末梢に位置される血管のため、および、圧力が低い場合がある領域に位置される血管のために最適化された。例えば、身体の胸部領域において、静脈内の予期される圧力は、患者が呼吸する場合、末梢に位置される静脈内の圧力よりも低い場合がある。身体の他の領域内でアクセス装置20を使用する場合のチャンネルの異なるサイズは、血管または体腔内の予期される圧力を考慮に入れて使用されてもよい。
【0167】
また、ダイレータシャフト36の外面160及び/又はシース本体40の内面158に、チャンネル156内での毛細管作用を促進する或いは高めるための物質をコーティングすることができる。例えば、親水性物質を使用して、ダイレータシャフト36の外面160及び/又はシース本体40の内面158をコーティングすることにより、毛細管作用を高めることができる。他の例として、界面活性剤を使用して、ダイレータシャフト36の外面160およびシース本体40の内面158をコーティングすることができる。使用できる界面活性剤の一例は、BASFTMから市販されている Lutrol 68TMであり、他の界面活性剤を使用することもできる。コーティングされ得る他の表面としては、ニードル本体32の内面、ニードル本体32の外面154、ダイレータシャフト36の内面152、および、ガイドワイヤ44が挙げられる。ダイレータシャフト36の外面160およびシース本体40の内面158を含むこれらの表面には、界面活性剤を個別に或いは組み合わせてコーティングすることができる。前述した実施形態では、チャンネル156を通じた体液の進行を促進させる或いは高めるためにダイレータシャフト36の外面160およびシース本体40の内面158の両方をコーティングすることが好ましい場合がある。しかしながら、幾つかの実施形態では、これらの2つの表面のうちの一方だけに界面活性剤をコーティングすることが好ましい場合がある。
【0168】
界面活性剤の使用は、ニードル、ダイレータ、または、シースを通じた血液の進行を加速させて円滑にすることができる。したがって、より小さいニードル、ダイレータ、および、シースを使用することができる一方で、依然として、ニードルが血管または排液部位に入ったことをオペレータに示すのに十分な速度で前記部品を通じて血液を移動させることができる。とりわけ、殆どの実施形態では、体液がニードルを通過し、したがって、殆どの実施形態では、ニードルの内面に界面活性剤を塗布することが望ましい。
【0169】
同様に、これらの構成要素のうちの1つ以上を親水性材料から形成することができる。また、患者内へのシース26の挿入を容易にするための潤滑剤として作用するように親水性物質をシース26の外面にも塗布することができる。シース26の外側に他の潤滑剤または潤滑コーティングを使用することができ、あるいは、シースの少なくとも外面を潤滑材料から形成することができる。また、アクセス装置20の臨床的な適用を容易にするために、シースから溶出する物質(例えば、ヘパリン)をシース26にコーティングすることができ或いは前記物質でシース26を形成することができる。一例において、シース26の外面は、Dow Corningから市販されているDow Corning 360 Medical Fluid, 12,5000 CSTTMなどのシリコーンのコーティングを含むことができる。同様に、幾つかの実施形態では、シースに界面活性剤をコーティングすることができる。
【0170】
図8Hは、図8Cに描かれる実施形態の線8H−8Hに沿う断面図である。図示のアクセス装置20のこの領域において、シース本体40は、シース本体40とダイレータシャフト36との相対的な動きを依然として許容しつつシース本体40とダイレータシャフト36との間の環状空間157を最小限に抑えるように同軸に位置される。シース本体40の内面158は、それが可能であるが、ダイレータシャフト36の外面160と直接に接触して位置する必要はない。ダイレータシャフト36の外面160とシース本体40の内面158との間の環状界面157は、この領域では、ダイレータシャフト36の開口74からの血液またはその成分(または、他の体液)の先端側への流れを抑制するように減少されてもよい。
【0171】
図8Iは、図8Aに示される実施形態の線8I−8Iによって囲まれる部分の拡大平面図である。図8Jは、図8Iに描かれる実施形態の断面図である。図8Iおよび図8Jは、ニードルハブが第1の位置121にあるときのダイレータハブ38にロックされるニードルハブ34を示している。ダイレータシャフト36は、ダイレータシャフト36の中空部84をニードル本体32上にわたって滑らせてダイレータハブ38をニードルハブ34に対して解放可能に固定することにより、ニードル本体32に同軸に取り付けられてもよい。ダイレータハブ38の基端86は、ニードルハブ34と機械的に嵌合して連結するように構成される。
【0172】
ダイレータシャフト36は、ニードル本体32に対する同軸位置からダイレータシャフト36を取り付けて解放することができるように或いは逆もまた同様となるようにニードル本体32に解放可能に取り付けられてもよい。このロック機構は、ニードルハブ34が第1の位置にあるときにニードル22とダイレータ24との間の少なくとも何らかの意図しない回転動作および軸方向動作を抑制することができる。図示のように、ニードルハブ34は、ダイレータハブ38のルアー接続部78にロックするルアー接続部64を有してもよい。また、ニードルハブ34は、ダイレータハブ38の開口82にロックするラッチ要素66を有してもよい。
【0173】
また、図8Iおよび図8Jは、アクセス装置20が血管148内に挿入されるときにシースハブ42と係合されるダイレータハブ38を示している。シースハブ42の基端86は、ダイレータハブ38と機械的に嵌合して解放可能に係合するように構成されるのが好ましい。図示のように、ダイレータハブ38のルアー接続部80は、シースハブのロック部材94と係合できる。それに伴う摩擦嵌合は、アクセス装置20が血管148内に挿入されるときにダイレータ24とシース26との間の少なくとも何らかの意図しない回転動作および軸方向動作を抑制できる。
【0174】
図9Aは、アクセス装置20の更なる作動ステップを示す図1Aに描かれる実施形態の側面図である。図9Aは、血管148内へと先端方向に押し進められるアクセス装置20のガイドワイヤ44を描いている。これは、ガイドワイヤハブ46を第3の位置125から先端方向に押し進めることによって達成できる。その後、ニードルハブ34が第1の位置121にあるときにガイドワイヤハブ46がニードルハブ34にロックされる。
【0175】
図9Bは、図9Aに示される実施形態の線9B−9Bによって囲まれる部分の拡大側面図である。図9Cは、図9Bに描かれる実施形態の断面図である。図9Cは、ガイドワイヤハブ46とニードルハブ34との間のロック機構を示している。ガイドワイヤハブ46は、ニードルハブ34と機械的に嵌合して解放可能に或いは不可逆的に連結するように構成されるのが好ましい。図示のように、ガイドワイヤハブ46は、ガイドワイヤハブ46の内面に突起162を含む。ガイドワイヤハブの突起162は、突起162がニードルハブ46のリップ上のネジ溝内に固定されるまでガイドワイヤハブ46を先端方向に押し進めることによりニードルハブ34に対してロックできる。他の実施形態において、ガイドワイヤハブ46は、対応するネジ付き要素によりニードルハブ34に対してロックできる。
【0176】
図10Aは、アクセス装置20の他の作動ステップを示す図1Aに描かれる実施形態の側面図である。図10Aは、血管148内へと先端方向に押し進められるシース本体40およびダイレータシャフト36を描いている。これは、ニードルハブ34からダイレータハブ38を解放してダイレータ24およびシース26をガイドワイヤおよびニードルに沿ってニードルハブ34に対して先端方向に押し進めることにより達成できる。図10Aは、ダイレータ24およびシース26に対するニードル22およびガイドワイヤ部28の基端側の動作を更に示している。ニードルハブ34は、ニードルハブ36が第2の位置123に達するときにトラック30に対してロックする。
【0177】
図10Bは、図10Aに示される実施形態の線10B−10Bによって囲まれる部分の拡大背面図である。図10Bに描かれるように、ニードルハブ34は、ロック機構128により第2の位置123でトラック30に対してロックする。ニードルハブ中子68はトラックフィンガ138を越えて基端方向にスライドし、また、中子68は、トラックフィンガ138と増大する幅のトラック部134との間の所定位置にロックできる。これは、ニードルハブ34が第2の位置123にあるときにニードル本体32の軸方向の動きを少なくとも先端方向で止め、より好ましくはほぼ不可逆的に防止する。図示の実施形態において、ロック機構128は、ニードルハブ34が係合時に基端方向または先端方向のいずれかに移動するのを不可逆的に防止する。また、ニードル22の先端チップ54は、ニードルハブ34が第2の位置123にあるときにダイレータ24内に引き込まれ、それにより先端チップ54が収容される。したがって、このロック機構128は、ダイレータシャフト36が使用中にニードル本体32上にわたって押し進められると、ニードル本体32の先端部50に配置される斜面チップ54がダイレータシャフト36の先端を越えて押し進められるのを抑制する。したがって、ダイレータシャフト36は、ニードル本体32の鋭利な斜面チップ54を収容して、不測のニードル穿刺が起こるのを抑制する。
【0178】
図11Aは、アクセス装置20の最後の作動ステップを示す図1Aに描かれる実施形態の側面図である。図11Aは、シース本体40が血管148内に適切に挿入されたままの状態でのガイドワイヤ44およびダイレータシャフト36の血管からの除去を示している。図11Bは、図11Aに示される実施形態の線11B−11Bにより囲まれる部分の拡大平面図である。図11Bに明確に示されるように、ダイレータシャフト36の先端およびガイドワイヤ44は、不測のニードル穿刺が起こるのを抑制するために、ニードル本体32の鋭利な斜面チップ54を越えて延びている。
【0179】
前述したように、異なるアスペクト比をもってニードル本体32およびダイレータシャフト36に開口56,74を有すると、血液が実質的に妨げられることなくニードルの側口56およびダイレータの側口74を通じて流れるようにニードル本体32およびダイレータシャフト36の開口56,74が位置合わせされる可能性が高まる。
【0180】
以下の実施形態では、他の実施形態の構造に類似する1つの実施形態の構造が、固有の添え字を含む同じ根源の参照符号(32,32A,32Bなど)をそれぞれの実施形態で共有する。図12Aは、図8B,8Cに示されるニードル本体32およびダイレータシャフト36の開口56,74の他の実施形態の平面図である。図12Bは、図12Aに描かれる実施形態の線12B−12Bに沿う拡大断面図である。図12Aおよび図12Bは、楕円開口56Aを有するニードル本体32Aと、円形開口74Aを有するダイレータシャフト36Aとを描いている。他の実施形態では、ニードルが円形開口を有することができ、ダイレータが楕円開口を有することができる。これらの実施形態は、ニードルの側口56Aおよびダイレータの側口74Aを通じて血液が流れるように開口56A,74Aが少なくとも実質的に位置合わせされる可能性を高めることができる。
【0181】
図13Aは、図8Bおよび図8Cに示されるニードル本体32およびダイレータシャフト36の開口56,74の他の実施形態の平面図である。図13Bは、図13Aに描かれる実施形態の線13B−13Bに沿う拡大断面図である。図13Aおよび図13Bは、円形開口56Bを有するニードル本体32Bと、ニードル本体32Bの円形開口56Bよりも大きい円形開口74Bを有するダイレータシャフト36Bとを描いている。他の実施形態では、ダイレータの開口をニードルの開口よりも小さくすることができる。また、これらの実施形態は、ニードルの側口56Bおよびダイレータの側口74Bを通じて血液が流れるように開口56B,74Bが少なくとも実質的に位置合わせされる可能性を高めることもできる。
【0182】
前述したように、シース本体40とダイレータシャフト36との間に導管または流路を形成するためにダイレータシャフト36には1つ以上のチャンネル156が隆起部76間に形成されてもよく、それにより、医師またはヘルスケア提供者は、ニードル本体32の斜面チップ54が適切に血管を穿刺した後に血液を見ることができ、あるいは、チャンネルは、隆起部を伴うことなく、様々な想定し得る形態の軸方向窪みを押し出すことによって或いはダイレータシャフト内またはダイレータ本体内に完全に取り囲まれたチャンネルを形成することによって形成されてもよい。
【0183】
図14Aは、図8Cに描かれる隆起部76の他の実施形態の平面図である。図14Bは、図8Dに描かれる隆起部76の他の実施形態の拡大断面図である。図14Aおよび図14Bは、シース本体40Cとダイレータシャフト36Cとの間に少なくとも1つのチャンネル156Cを形成するシース本体40Cの内面158C上の2つの隆起部76Cを描いている。
【0184】
図15Aは、図8Cに描かれる隆起部76の他の実施形態の平面図である。図15Bは、図8Dに描かれる隆起部76の他の実施形態の拡大断面図である。図15Aおよび図15Bは、シース本体40Dの内面158D上の2つの隆起部76Dと、ダイレータシャフト36Dの外面160D上の2つの隆起部76Eとを描いており、これらの隆起部は、シース本体40Dとダイレータシャフト36Dとの間にチャンネル156Dを形成するために組み合わさる。例えば、所望のチャンネル厚さが約0.001インチである場合、シース本体40Dの内面158D上の2つの隆起部76Dはそれぞれ約0.0005インチ厚となることができ、また、ダイレータシャフト36Dの外面160D上の2つの隆起部76Eはそれぞれ約0.0005インチ厚となることができる。
【0185】
図16Aは、図8Cに描かれる隆起部76の他の実施形態の平面図である。図16Bは、図8Dに描かれる隆起部76の他の実施形態の拡大断面図である。図16Aおよび図16Bは、ダイレータシャフト36Eの外面160E上の多くの隆起部を描いている。隣り合う隆起部間にはスプライン76Fがある。スプライン76Fは、シース本体40Eとダイレータシャフト36Eとの間に複数のチャンネル156Eを形成する。チャンネル156Eのうちの1つ以上が同じ角度範囲φまたは異なる角度範囲φを有することができる。図示の実施形態では、チャンネル156Eが120°および23°の角度範囲を有する。他の実施形態では、単一の隆起部76がその長さに沿ってダイレータの外周で螺旋状に延びることができる。
【0186】
図17は、アクセス装置の他の実施形態の拡大断面図であり、医療品またはシース本体40Fと異なる形状を有するダイレータシャフト36Fとの間に形成されるチャンネル156Fを示している。図示の実施形態では、ダイレータシャフト36Fの外面が楕円形状を有し、一方、シース本体40Fの内面が円形状を有する。楕円のダイレータシャフト36Fおよび隣接する円形のシース本体40Fは、シース本体40Fとダイレータシャフト36Fとの間に1つ以上のチャンネルまたは隙間156Fを形成する。無論、シース本体40Fおよびダイレータシャフト36Fの形状は、円形および楕円に限定されず、シース本体40Fおよびダイレータシャフト36Fの隣接する領域で異なる形状の任意の他の組み合わせを含んでもよい。幾つかの形態では、ダイレータシャフト36Fの外面が楕円であり、シース本体または医療品40Fの内面が円形である。幾つかの形態では、ダイレータシャフト36Fの外面が円形であり、医療品40Fの内面が正方形である。隙間またはチャンネル156Fは、長手方向軸を辿ることができ、長手方向軸に沿う螺旋経路を辿ることができ、長手方向軸に沿う直線経路を辿ることができ、あるいは、アクセス装置に沿う他の経路を辿ることができる。幾つかの形態では、直線経路が長手方向軸に対して平行である。隙間またはチャンネル156Fの厚さは、隙間またはチャンネル156Fの長さの少なくとも一部に沿って変化し得る。
【0187】
他の形態において、アクセス装置は、ニードルのシャフトとダイレータのシャフトとの間に画定される血液フラッシュバック空間を含む。この形態において、フラッシュバック空間は、好ましくは大気へ通気し、より好ましくはシースと無関係に通気する。特に、後述するように、ダイレータを貫通して、ニードルを貫通して、あるいは、ダイレータとニードルとの間に、通気通路が形成される。
【0188】
図18A〜18Eはアクセス装置のこの形態の一実施形態を示しており、この実施形態では、通気チャンネルがニードルとダイレータとの間に形成される。図18A〜18Cにおいて最も良く見られるように、ニードル本体32Gは、1つ以上の開窓56と、1つ以上の隆起部176(例えば、図示の実施形態では、2つの隆起部176が示される)とを含む。隆起部176は、ニードル本体32Gの長さに沿って延びる少なくとも1つのチャンネル256の側面を形成する。幾つかの実施形態では、更なるチャンネル256を更なる隆起部によって形成できる。他の実施形態では、突出隆起部を伴って、あるいは、窪みを伴う又は同心隙間を伴うなど、突出隆起部を伴うことなく、チャンネル256を形成することができる。同様に、チャンネル256は、ダイレータシャフト36Gの内面上の突出隆起部または非突出隆起部によって形成することができる(ニードル本体32G上の特徴の代わりに或いは該特徴に加えて)。チャンネル256が直線として描かれているが、該チャンネルは、アクセス装置の周囲で巻回する螺旋形状または他の形状などの他のパターンを形成することもできる。また、複数のチャンネルが存在する場合には、それらのチャンネルは、交差螺旋、平行螺旋、または、他のパターンを形成することができる。他の実施形態において、ニードル本体32Gとダイレータシャフト36Gとの間の距離(例えば、ダイレータシャフトの内径がニードル本体の外径を超える場合)は、全体的に、チャンネル256によって形成される空間と同様の空間または略環状の空間を画定することができる。
【0189】
図18Dに最も良く示されるように、ニードルハブ34Gは1つ以上の通気溝175を含むことができる。図示のように、通気溝175はルアー接続部64上にあるが、他の実施形態において、それらの通気溝は、ニードル本体32G上、ダイレータシャフト36G上に位置させることができ、ニードルハブ34Gを貫通することができ、ダイレータハブ38を貫通することができ、あるいは、何らかの他の経路をとることができる。通気溝175は、チャンネル256(または同様の空間)と環境大気との間を連通させることができる。ルアー接続部64は、物質が通気溝175を通じてのみ逃げることができるようにダイレータハブ38Gと協働してほぼ液密なシールを形成するように構成することができる。通気溝175が径方向に延びない実施形態では、ニードルハブ34Gのほぼ径方向に延びる面180をダイレータハブ38Gの対応する面200から十分に離れて位置するように構成することができ、それにより、通気溝175から空気がそれらの面同士の間を通ることができるようにする。
【0190】
幾つかの実施形態において、通気溝175は断面積が十分に小さい通路を形成することができ、それにより、大きい分子サイズ、粘性、または、界面張力を有する体液(例えば、赤血球)が環境大気へ逃げるのを妨げつつ、ガス(例えば空気)を環境大気へと逃がすことができる。また、幾つかの実施形態において、複数のそのような通路は、小さい断面通路にもかかわらず適切な換気を可能にするように設けることができる。
【0191】
他の実施形態では、小さい断面積の通路をダイレータハブ38Gおよびニードルハブ34Gの2つの対向する面同士の間に設けることができる。例えば、ニードルハブ34Gの通気溝175の少なくとも一部を、通気溝を完全に塞ぐことなくダイレータハブ38Gにほぼ対応して成形される通気面を受けるように構成することができる。したがって、それに伴って得られるニードルハブ34Gの表面とダイレータハブ38Gの表面との間の通路は、少なくとも、空気の流れを許容するが体液の流れを制限するための比較的小さい断面積の領域を形成する。
【0192】
図示の実施形態では、通気構造が溝175として描かれているが、他の構造が同様の機能を果たすことができる。例えば、ニードル本体32Gとダイレータ本体34Gとの間の単一の小さい空間場所は、この小さい空間場所を越えて基端側へ血液が流れるのを抑制しつつ空気の逃げを許容できる。同様に、環境大気とフラッシュバック空間(ニードルとダイレータとの間の空間)との間に迷路通路を配置することができる。
【0193】
他の実施形態では、通気溝175のうちの1つ以上の少なくとも一部を、ガスの流通を許容するが体液(例えば、血液)の通過を抑制する多孔質材料によって満たすことができる。そのような材料は、該材料とハブとが一体となるように、ニードルハブ34Gまたはダイレータハブ38Gへと一体形成できる。この場合、材料は、通気溝175の長さの任意の部分を構成することができる。他の実施形態では、材料を通気溝175内に或いは該溝と連通するレセプタクル内に配置できる。材料が溝175内に配置されると、溝は、多孔質材料を受けるように構成される溝切り欠き185などの受け入れ部を含むことができる。他の実施形態では、1つ以上の通気通路の全体をそのような多孔質材料によって形成できる。適した多孔質材料としては、孔径が約2.5ミクロンのHDPE,UHMWPE,PP,PTFE,PVDF,EVA,PE,ナイロン,およびPUなどの多孔質高分子が挙げられるが、これらに限定されない。更なる実施形態では、ガス(空気など)の通過を許容するが体液(血液など)の通過を抑制するべく孔容積と孔径との組み合わせを選択できる。
【0194】
更なる実施形態において、通気通路は、ニードルハブ34Gまたはダイレータハブ38Gのいずれかによってのみ形成されるチューブであってもよい。例えば、チャンネル256がニードルハブ34Gの開口に通じることができる。この開口は、ガスおよび流体の通過を制御するための前述した特徴のうちのいずれかを含むことができる。したがって、開口は、体液(例えば血液)の通過を抑制しつつ、ニードルハブ34Gを通じた環境大気へのガス(例えば空気)の逃げを許容できる。他の実施形態では、同様の通気通路がダイレータハブ38Gによってのみ形成されるチューブであってもよい。本明細書中の開示から明らかなように、様々な通路(例えば、通気溝175、チューブ、多孔質材料など)を使用して、体液(例えば血液)の逃げを抑制しつつ環境大気へのガス(例えば空気)の逃げを許容することができる。
【0195】
他の実施形態では、通気通路がダイレータシャフト36G内およびシース本体40内にあってもよい。例えば、ダイレータシャフト36Gおよびシース本体40のそれぞれに通気穴または通気材料のパッチを設けることができる。幾つかの実施形態において、これらの通気構造は、ガスが一方から他方へと直接に通過できるように重なり合うことができる。他の実施形態において、これらの通気構造を互いから幾らか離して位置させることができ、その場合、図18Dにおけるそれらと同様のチャンネルまたは溝をダイレータシャフト36Gとシース本体40との間に設けて、通気構造を連通状態に至らせることができる。これらの通気構造をニードル本体32Gの開窓56よりも基端側に設けることができる。
【0196】
図示のように、この実施形態のダイレータシャフト36Gは、開窓を有することができず、全体的に途切れなくすることができる。したがって、ダイレータシャフト36Gはチャンネル256(または同様の空間)を径方向で閉じることができる。同様の実施形態では、開窓56を含む、さもなければ全体的に連続するニードル32Gと協働するダイレータシャフト36Gの隆起部によって、同じ機能性を達成できる。ダイレータシャフト36Gは、全体を半透明材料から形成することができ、あるいは、少なくともチャンネル256に隣接する領域を半透明にすることができる。同様に、シース本体40を半透明材料から形成することができる。他の実施形態では、材料を半透明ではなく透明にすることができる。更なる実施形態では、材料の一部だけを空間的に及び時間的に半透明にすることができる。空間的には、ダイレータシャフト36G及び/又はシース本体40をチャンネル246の近傍で半透明にすることができ、それにより、例えば血液フラッシュバックの視覚的な確認を行なうことができる。時間的には、材料の視覚的特徴が体液の進入時に(例えば、温度変化または分子間相互作用に起因して)変化し得る。したがって、材料は、体液の進入時に半透明になることができ、あるいは、他の実施形態では色を変えることができ或いは何らかの他の視覚的表示を与えることができる。
【0197】
さらに、図18A〜18Eに描かれるアクセス装置は、前述したように、界面活性剤及び/又は潤滑コーティングを含むことができる。例えば、幾つかの実施形態では、界面活性剤をダイレータシャフト36Gの内面、ニードル32Gの外面、及び/又は、ニードルの内面に塗布することができる。界面活性剤は、所望の効果に応じて、これらの表面の任意の組み合わせに対して塗布することができる。例えば、界面活性剤は、ニードルの外面にだけ、ダイレータの内面にだけ、または、ニードルの内面にだけ塗布することができる。他の例として、界面活性剤は、これらの面の組み合わせに対して、例えばダイレータの内面およびニードルの外面の両方に対して塗布することができる。界面活性剤は、アクセス装置内の空間を通じた体液の通過を容易にして、フラッシュバックを加速させることができる。他の例として、幾つかの実施形態では、同様のチャンネルをダイレータシャフトとシース本体との間に設けることができ、また、界面活性剤をシースの内面とダイレータの外面とに供給することができる。更にまた、幾つかの実施形態では、チャンネルをダイレータとニードルとの間およびダイレータとシースとの間の両方に設けることができ、その場合、チャンネル同士は、本明細書中に記載されるようにダイレータの開窓を介して連通する。また、前述したように、シースの外面に界面活性剤や潤滑材料等をコーティングすることができる。
【0198】
他の実施形態において、チャンネル156は、シースの内面に1つの完全な隆起部を有し且つダイレータの外面に1つの完全な隆起部を有することにより形成することができる。他の実施形態において、シースの内面は、チャンネル156の長さの50%に及ぶ2つの隆起部を有することができ、また、ダイレータの外面は、チャンネル156の残りの50%に及ぶ2つの隆起部を有することができる。
【0199】
図19A〜19Eは、アクセス装置20の流体フラッシュバック機能を高めるための更なる要素を含むダイレータ24Hの他の実施形態を描いている。1つの更なる要素は、ニードル(例えば、先の図1〜7に示される実施形態と関連して説明したニードル22)と相互に作用する少なくとも1つのワイパまたはシールを伴い、ニードルの周囲には、ニードル外面(例えば、図8Dのニードル外面154)とダイレータ内面(例えば、図8Dのダイレータ内面152)との間に生じる空間を通じた流体取り込みを抑制するようにダイレータ24Hが同軸に配置される。シール機能は、アクセス装置20の前述した実施形態のうちのいずれかに組み込むことができる。図示の実施形態は、この更なる要素を単一のシールに関連して説明するが、ダイレータは、ダイレータの長さに沿って位置される複数のシールを含むことができる。そのようなシールは、ダイレータの開窓及び/又はニードルの開窓の基端側に直列に位置させることができる。幾つかの実施形態では、更なるシールをそのような開窓の先端側にも同様に位置させることができるが、図示の実施形態では、シールがダイレータおよびニードルの開窓の基端側に描かれている。
【0200】
図19Bおよび図19Cを参照すると、ダイレータ24Hは、ダイレータ24Hの開窓74Hよりも僅かに基端側に位置するシール部250を含む。シール部250は、ダイレータ24Hの内部に狭い領域を形成する内方突起として描かれている。このシール部250で、ダイレータ24Hがニードル(図示せず)と共にシールを形成でき、それにより、ダイレータ24Hとニードルとの間の空間をそれぞれがシールの一方側に位置する基端部と先端部とに分割できる。1つの起こり得る結果は、流体がニードル孔からダイレータ24Hとシース(例えば、先の図1〜7に示される実施形態に関連して説明したシース26)との間の空間へと押し進むようになっている実施形態では、体液がシール部250を越えて基端側に通ることが抑制されるため、ダイレータ24Hとニードルとの間の基端側空間への流体漏れが減少されるという結果である。また、幾つかの実施形態において、シール部250は、ニードルの先端部がダイレータ24Hに引き込まれるときに流体(例えば、血液)をニードルの先端部の表面から除去するワイパとしての機能を果たすことができる。
【0201】
シール部250は、三角形(図19Cに示される例)、円形、または、長方形を含む様々な断面形状をとることができる。図19Cに描かれる例示的な実施形態において、シール部250は、好ましくは基端方向で内側に傾斜するテーパ面252によって一部が形成される略三角形の断面形状を有する。テーパ面252は、シール部250の出っ張り251と交わる。出っ張り251はダイレータ24Hの長手方向軸に対して略垂直に位置するが、他の実施形態では、テーパ面252と出っ張り251との間に形成される角度が鋭角、直角、または、鈍角となり得るように出っ張り251が長手方向軸に対して様々な角度で位置することができる。シール部250のテーパ面252は、ダイレータ24Hを通じたニードルの基端方向の移動を助けることができ有益である。出っ張り251は、ニードルが通過しているときにシール部250が基端側に偏向できるようにする。シール部250の内方突起の寸法は、好ましくは開窓のポイントでのニードルの外面とダイレータの内面との間の直径の差の半分よりも著しく小さくなく、より好ましくは前記直径の差の半分よりも大きい。
【0202】
図19Bに更に描かれるように、幾つかの実施形態において、ダイレータ24Hは、シール部250の基端側にテーパ262が形成される拡張部260を含むことができる。拡張部260は、ダイレータ24Hとダイレータ24Hを通過するニードル(あるいは、さらに他の物品)との間の接触および摩擦を減らすことができる。シール部250が体液の基端側への通過を抑制する場合、拡張部260内の基端側空間は、シール部250によって形成されるシールを横切る体液を全く受けないとまではいかなくとも、殆ど受けない。また、幾つかの実施形態において、ダイレータ24Hを通過するニードルまたは他の物品は、テーパと係合して物品の更なる前進を抑制するために軸方向外側に延びるストッパ部を含むことができる。したがって、拡張部260およびその一致するテーパは、ダイレータ24Hと対応するニードルまたは他の物品との間で軸方向動作の制限を成す。
【0203】
ニードルがダイレータ内へ引き込まれてそこでロックされると、ニードルの先端は、幾つかの実施形態ではシール部250の基端側に位置することができ、また、他の実施形態ではシール部250の先端側に位置することができる。いずれの位置においても、シールの基端側の流体の欠如または減少は、ダイレータが患者の身体から引き抜かれたときにダイレータハブを通じて流れる体液の量を減少させる。
【0204】
当業者に容易に知られる多種多様な方法のうちのいずれかでシール部250をダイレータに形成することができる。例えば、幾つかの実施形態では、ダイレータが押し出された後、ダイレータチッピングプロセス中にシール部250を形成できる。シール部250の逆の像を有する環状溝を伴って内部マンドレルをカットすることができる。その後、マンドレルがダイレータ内に配置される。ダイレータの先端の材料がチッピングプロセス中に加熱された後に所望の外形へと押圧されると、材料がマンドレルの環状溝へも押し込まれて、シール部250が形成される。十分な冷却後に、ダイレータを引き出すことができる。
【0205】
他の実施形態では、シール部が異なる形態をとることができる。例えば、ニードルは、図19A〜19Cに描かれる実施形態の拡張部260の拡大された内径と同様の拡大された外径をその開窓の基端側に形成する拡張外側部分を有することができる。したがって、ニードルは、先端部に小さい外径を有し、先端部に大きい外径を有することができる。拡径部は、前述したシール部と同様のシール部を形成するために、ダイレータの内面(例えば、テーパ262)と係合し或いは当接することができる。幾つかの実施形態において、シール部を形成するニードルとダイレータとの間の接触は、ダイレータ24Hのテーパ262などの適合テーパとニードルの同様の外側テーパとの間で成すことができる。他の実施形態において、ニードルとダイレータとの間の接触は、ニードルおよびダイレータの長手方向軸と略平行な表面などの他の表面上にあることができる。
【0206】
図19A,19Bに更に示されるように、ダイレータ24Hは、開窓74Hよりも先端側の部分に内径d1を有することができる。また、図20Bに(更に後述する)示されるように、ニードル(例えばニードル22J、または、ニードル22などの他のニードル)は外径d2を有することができる。幾つかの実施形態において、d1はd2よりも小さくすることができ、これは多くの利点を与えることができる。例えば、ニードルに対するダイレータ24Hの締まり嵌めは、ダイレータ24Hを径方向負荷またはフープ負荷の下に置くことができる。この負荷は、ダイレータ24Hの強度を軸方向で高めることができる。高い強度は、ダイレータを組織(例えば、皮膚、筋肉、及び/又は、血管壁)に挿通する際にダイレータの先端チップでの材料の広がり、圧着、または、座屈を減少させる傾向がある。例えば、ニードルおよびダイレータ24Hが(皮膚切れ目を使用することなく)皮膚を貫通すると、ダイレータは、さもなければダイレータの先端チップを変形させる場合がある軸力に耐えることができる。幾つかの実施形態では、これにより、ダイレータがふくれ、折れ曲がり、あるいは、それ自体カールする可能性があり、それにより、前記ふくらみ或いは折れ曲がりでその断面積が増大し、ダイレータとしてのその機能性が抑制される。すなわち、変形されたダイレータは、患者内に挿入することが非常に困難になる。小さい内径d1を有するダイレータを設けると、ダイレータの強度を高めることができ、それにより、そのような変形の発生が抑制される。
【0207】
幾つかの実施形態では、ダイレータ24Hの内径d1をそれが取り付くニードルの外径d2よりも約15%以下だけ小さくすることができる。すなわち、ニードルの外径d2をダイレータ24Hの内径d1よりも約15%大きくすることができる。より好ましい実施形態では、ダイレータ24Hの内径d1が外径d2よりも約10%以下だけ小さい。更に好ましい実施形態では、内径d1が外径d2の約2%〜4%だけ外径d2よりも小さい。特に好ましい実施形態では、ダイレータ24Hの内径d1をそれが取り付くニードルの外径d2の約97%にすることができる。
【0208】
また、図19Bに描かれるように、より滑らかな拡張を行なってダイレータチップが患者の身体内への進入時に変形しないようにするために、ダイレータチップを傾斜状に面取りすることができる。図示のように、チップは、角度φを成すテーパまたは斜面を両側に有することができる(なお、図示の角度φの対角はφに等しく、したがって、本明細書中では、これらの角度が同じとして扱われる)。傾斜状チップは、組織(例えば、皮膚)を貫通する際にダイレータ24Hに作用する軸力を減少させることができる。幾つかの実施形態では、角度φを約30°にすることができる。他の実施形態では、角度φを約40°〜20°にすることができる。この初期の斜面の後、ダイレータチップは、図19Dに描かれるように、更に浅い角度で先細ることができる。例えば、幾つかの実施形態では、その後にダイレータが約3°で或いは約3°よりも小さい角度で先細ることができる。
【0209】
また、図19Eに描かれるように、ダイレータ24Hは、開窓74Hが挿通する隆起部または突起264を含むことができる。したがって、隆起部264は、ダイレータに重なるシースを分離することができ、それにより、ダイレータ24Hと前記シースとの間の空間内への開窓74Hを通じた任意の流れが円滑になる。また、図示のように、隆起部264を全体的に開窓74Hよりも細くすることができる。したがって、隆起部264は、流体が隆起部の周囲で流れる空間も残しつつ、シースと接触して該シースを分離できる。図示のように、隆起部264を全体的に軸方向の基端−先端方向に向けることができる。しかしながら、他の実施形態では、隆起部264を周方向あるいは他の方向に向けることができる。
【0210】
図20Aおよび図20Bは、ニードル22などの本明細書中に記載される他のニードルと同様の態様で使用され得るニードル22Jの更なる実施形態を描いている。ニードル22Jは、音波発生部270を先端チップに備えることができる。音波発生部は、撮像で使用される波を散乱する材料を備えることができ、したがって、超音波下でニードルの視覚化を容易にする。X線または蛍光透視下で視覚化を容易にする放射線不透過部を有するニードルを使用するなど、他の撮像技術を使用することもできる。音波発生部270をサンドブラストで磨いて表面を粗くすることにより、エコー輝度を増大させることができる。サンドブラスト後にチップを鋭利にすることができ、それにより、ニードルのチップが音波を発生できるようにすることができる。また、エコー輝度は、ニードル自体の内部材料を改質することによって、例えば粒状不純物を加えることによって増大させることもできる。しかしながら、ある場合には、内部材料の改質は、ニードルの構造的な完全性を受け入れ難いほど損なう場合がある。エコー輝度または同様の撮像適合性は、超音波などの走査技術を使用して操作者が体内のニードルチップを容易に見ることができるようにし、有益である。
【0211】
幾つかの実施形態において、音波発生部270を有するニードルは、開窓56,74、溝75、及び/又は、界面活性剤を更に欠くこともできる。また、音波発生部270を伴う幾つかの実施形態では、アクセス装置がフラッシュバック空間またはフラッシュチャンバを欠くことができる。
【0212】
他の実施形態において、ニードル22Jは、音波発生部270および開窓56の両方を有することができる(前述した他の随意的な特徴に加えて)。また、他の実施形態において、ニードル22Jはコントラスト部280を含むことができる。コントラスト部280は、コントラスト部を取り囲む流体の視認性を高める光学特性を有することができる。例えば、前述したように、幾つかの実施形態では、体液が開窓56を通じてフラッシュバック空間内へ流れ込むことができる。この場合、コントラスト部280をフラッシュバック空間にほぼ隣接して位置させることができ、また、コントラスト部が体液に対してコントラストを成す光学特性を有することができる。したがって、フラッシュバック空間内への体液の進入が直ちに明らかとなり得る。
【0213】
例えば、フラッシュバック空間内に入る流体が血液などの体液である実施形態において、コントラスト部280は、血液の色に対してコントラストを成す色、例えば白色、緑色、青色などを有することができる。更なる実施形態では、例えば反射仕上げ或いはつや消し仕上げの間で選択することにより他の光学特性を変えることができる。他の実施形態において、コントラスト部280は、ストリップ状、チェック状、ドット状を成すことができ、あるいは、光学特性が変化する何らかの他のパターンを有することができる。例えば、コントラスト部280は、ニードルに沿って軸方向に及び/又は周方向に向けられる白黒のストライプを有することができる。異なる光学特性を有するパターンが利用される場合、コントラスト部280は、コントラスト部280の1つの領域から区別できるが他の領域から区別できない異なる流体に対して更に一般的となり得る。
【0214】
変化する光学特性を様々な方法で適用できる。例えば、幾つかの実施形態では、特定の色、仕上げ、パターン等を有するようにコントラスト部280を塗布することができる。他の実施形態では、コントラスト部280の反射特性をもたらすようにニードルの一部を研磨し或いは粗面化することができる。更なる実施形態において、コントラスト部280は、異なる光学特性をもたらすために、異なる材料から形成することができ、あるいは、その表面に異なる材料が塗布される。更にまた、幾つかの実施形態では、前述した音波発生部270の場合のようにコントラスト部280を音波が発生できるようにすることができる。
【0215】
図20Aに描かれるように、コントラスト部280は、開窓56よりも基端側に位置させることができるとともに、ニードル22Jの距離全体よりも短い距離にわたって延びることができる。この位置は、一般に、開窓56の基端側にあってもよいフラッシュバック空間の初めに対応し得る。しかしながら、他の実施形態では、フラッシュバック空間およびコントラスト部280のいずれか或いは両方の位置を変えることができる。例えば、幾つかの実施形態において、コントラスト部280は、開窓56を横切って延びることができ、あるいは、そこからある距離だけオフセットできる。更なる実施形態において、コントラスト部280は、ニードルハブにまで及ぶことができ、あるいは、ニードル本体全体に及ぶことができる。図示のように、コントラスト部280は、ニードル全体の周囲にわたって及ぶことができる。しかしながら、幾つかの実施形態において、コントラスト部280は、ニードル本体の角度減少部のみ、例えば開窓56の角度範囲に対応する角度範囲を有する角度部のみに沿って位置させることができる。
【0216】
フラッシュバック空間がダイレータとシースとの間に生じる実施形態(前述した)では、ダイレータは、クリアな、半透明な、透明な、あるいは、半不透明な対応する部分を有することができ、それにより、コントラスト部280をアクセス装置の外側から見ることができる。この場合、体液などの流体がフラッシュバック空間に入ると、観察者は、流体がフラッシュバック空間に入ってコントラスト部280を塞ぐときにコントラスト部280および体液の両方を見ることができる。このとき、流体とコントラスト部280との間の光学特性のコントラストは、流体の進入の視覚的検出を容易にできる。
【0217】
また、フラッシュバック空間がダイレータとシースとの間に生じるそのような実施形態では、ニードル本体とダイレータ本体との間の空間からの空気の流れを封じる或いは制限することによりフラッシュバックを促進させ或いは加速させることができる。好ましい実施形態では、ワッシャなどのシール部品をニードルとダイレータハブとの間に配置することにより、ダイレータとシースとの間の流体漏れ(例えば、空気が出る)を減らすことができる。ワッシャは、ダイレータとニードルとの間のそれらの当接するハブで生じ得る任意の流体流れを減少させる。したがって、ニードルとダイレータとの間の空間内への体液(例えば血液)の流れを抑制する封入気柱がダイレータとニードルとの間に生じ得る。したがって、体液流れを例えばダイレータの開窓74Hへ及びダイレータとシースとの間の空間へとそらすことができる。幾つかの実施形態では、ワッシャがシリコーン等の弾性材料であってもよい。ワッシャは、ニードルに取り付くことができるとともに、平坦形状またはOリング状の形状を有する。
【0218】
この概念は他の実施形態にも適用できる。例えば、幾つかの実施形態では、フラッシュバック空間をニードルとダイレータとの間に設けることができる。前述したダイレータとシースとの間のように、血液または他の流体をニードルの開窓56を通じて受けることができるチャンネルをニードルとダイレータとの間に形成することができる。そのようなフラッシュバック空間の一例は、図18B〜18Dおよび参照することによりその全体が本願に組み入れられる2009年3月13日に提出された出願PCT/US2009/037204の添付の文書に記載される。
【0219】
したがって、幾つかの実施形態において、予め組み付けられたアクセス装置には、随意的に、ガイドワイヤ、ダイレータ、シース、および、関連するハブと共に、開窓を何ら含まず且つ音波を発生する(しかし、その必要はない)ことができるニードル22J(図20A,20Bに描かれる)を設けることができる。また、予め組み付けられたアクセス装置をその予め組み付けられた状態でパッケージ内に挿入することができる。操作者は、アクセス装置を患者内に挿入できるとともに、超音波、X線、または、何らかの他の撮像技術によって体外から見られるように、ニードルが目標の身体空間に入るとニードルの前進を停止することができる。この場合、予め負荷が掛けられたガイドワイヤを身体空間内へ向けてニードルに挿通することができる。ダイレータを身体空間内へとニードル上にわたって押し進めることができる。他の実施形態に関して前述したように、ニードルを患者から引き抜くことができ、また、シースをダイレータ上にわたって挿入するために更なる処置をとることができる。
【0220】
幾つかの実施形態において、アクセス装置は、図21A〜22Bに描かれるように、変更されたトラック30Kおよびガイドワイヤハブ46Kを含むこともできる。図示のように、トラック30Kおよびガイドワイヤハブ46Kは、前述したトラックおよびハブとほぼ同様となることができ、同様の態様で動作させることができるとともに、本明細書中で説明したニードル、ダイレータ、および、シースなどの他の要素と共に同様に使用することができる。例えば、トラック30Kは、全体的に、前述した第3の位置125と何らかの類似性を伴って第3の位置125Kを規定できる。図示のように、第3の位置125Kは、ガイドワイヤハブ46Kなどの対応する部品を伴うガイドワイヤハブと係合できる解放可能な結合機構130Kを含むことができる。結合機構130Kは、トラック30Kから延びるT形状の突起から形成される結合部290を含むことができる。T形状の突起は、そのベースの両側に、全体的に結合部290の先端へと向かう2つの係止凹部を更に含むことができる。
【0221】
対応するガイドワイヤハブ46Kは、結合部290に対して解放可能に接続するために結合部290と対応する構造を有することができる。図示のように、ガイドワイヤハブ46Kは、凹部の形態を成すことができる受け入れ部296を含むことができる。凹部は、図22Aに最も良く描かれるように、結合部290と適合するためにT形状断面を基端に有することができる。また、受け入れ部296の凹部内で、受け入れ部は、係止突起298で終端できる2つの爪に沿って結合部290のベースを受けることができる。係止突起298は、結合部290の係止凹部292と相互に作用して、トラック30Kとガイドワイヤハブ46Kとの間で可逆的なスナップ嵌合を成すことができる。幾つかの実施形態において、爪は、屈曲部302(例えば、スナップ嵌合を容易にするために薄い材料から形成される)を含むことができる。また、受け入れ部296は、爪間に結合部290のために設けられた経路と一直線を成す端凹部300を含むことができ、そのため、係止凹部292と突起298とが互いに係合すると、結合部290も端凹部300に入ることができる。したがって、トラック30Kとハブ46Kとの間の接続を更に安定させることができる。
【0222】
また、トラック30Kの図示の実施形態では、トラックがグリップ突起294を含むことができる。グリップ突起294は、結合部290とは反対側でトラック30Kから下方へ延びることができる。図示のように、グリップ突起294は把持隆起部を伴う略円形となることができるが、他の構造および形状が可能である。グリップ突起294により、アクセス装置の操作者は、ピストル型の把持状態でトラック30Kの基端を保持することができ有益である。例えば、薬指または中指をグリップ突起294の周囲に位置させてグリップ突起を先端側で触れることができる。このとき、同じ手の親指を、第3の位置125Kで結合されるガイドワイヤハブ46Kの基端に配置することができる。親指は、ハブ46Kを結合部290から第3の位置125Kを離れて移動させるために圧力を容易に加えることができる。同様のグリップ突起を前述したトラック30などの他のトラックに適用できる。また、同様のグリップ突起をニードルなどの他の要素に適用することができる。例えば、グリップ突起をニードルに適用すると、ニードルを容易に把持して本明細書に記載されるようにトラックに沿って移動させることができる。
【0223】
幾つかの更なる実施形態では、前述した先のシースと何らかの類似性を伴う変更されたシース26Lを本明細書中に記載される他の要素と組み合わせることができる。図23Aおよび図23Bに描かれるように、シース26Lは分割可能なシースとなることができる。図示のように、シース26Lは、分離線330に沿って2つの半体を有することができるが、他の実施形態では、シースが3つ以上の部品へと分かれることができる。更に後述するように、幾つかの実施形態において、2つの半体は、左右対称となることができ、一体に形成することができ、また、取り外し可能である。しかしながら、他の実施形態では、半体を非対称にすることができ、別個に形成することができ、あるいは、他の形態を成すことができる。また、幾つかの実施形態において、半体は、内在することができ、取り外し不能となることができ、また、更なる実施形態では、任意の明確な半分の、第3の、または、更に小さい部分を示す任意の特徴を欠いてもよい(対称または他の形態)。図示の実施形態において、2つの半体は、シース本体40Lとシースハブ42Lとを形成することができる。シース本体40Lは、略長尺な形態を成すことができ、身体空間内へと延びるように構成することができる。シースハブ42Lは、シース26の基端に位置できるとともに、シース本体40Lの基端に取り付くことができる。
【0224】
シース本体40Lおよびシースハブ42Lはいずれも分割可能であり、それにより、シース26Lの2つの半体を分離できる。幾つかの実施形態において、シース本体40L及び/又はシースハブ42Lは、分離線330を規定する僅かな穿孔を備えることができ、分離線330に沿ってシース本体40Lとシースハブ42Lとが分離できる。他の実施形態において、これらは、予め決定された位置での分割を促すことができる溝、一連の窪み、薄い/脆弱な材料の領域、または、他の特徴を備えることができる。また、図示のように、シース26Lは、シースの長手方向軸と略平行な線330に沿って分離するように構成することができるが、他の実施形態では、この線が異なってもよい。また、図23Aに描かれるように、シース26Lは、シースが完全に2つの半体へと分離できるようにする2つの分離線330を有することができる。他の実施形態では、シース26Lが1つの分離線330だけを有することができ、また、シースは、折り曲げ線に沿って折れ曲がり開放するように構成することができる。この場合、第2の分離線を他の形態にすることができる。同様の分離線330は、3つ以上の部分を有するシースの実施形態に適用することができる。分離線330に沿う分離は、引き裂き、破壊、亀裂、ファスナの引き開け等によって達成できる。
【0225】
幾つかの実施形態では、シース本体40Lが全体的に柔軟な材料を備えることができる一方で、シースハブ42Lを全体的に硬質にすることができる。シースハブ42Lの基端で、シースハブは、前述したダイレータハブおよびニードルハブなどの他のハブまたは装置に対する接続を容易にするための特徴を備えることができる。例えば、シース26Lは、ダイレータ24などの前述した他の要素との係合をシース26と同様の態様で可能にするリップ95Lを有することもできる。また、シースハブ42は、タブ320に沿う把持面などの様々な他の特徴を備えることができる。
【0226】
シースハブ42Lから横方向外側に延びる2つ以上のタブ320。好ましい分割可能な実施形態において、それぞれのタブは、最終的に分離するシースハブ42の部分にほぼ中心付けられる。したがって、図示のように、2つのタブ320がシースハブ42Lのそれぞれの半体に中心付けられる。タブ320を操作者の手で把持して、シースハブ42Lの半体を分離することができる。シースハブ42Lの半体がシース本体40Lのそれぞれの半体に接続すると、タブ320の分離により、シース26L全体を2つの半体へと分離できる。とりわけ、分割不能な実施形態では、タブ320を設けて機器の取り扱いを容易にすることが依然として望ましい場合がある。
【0227】
シースハブ42Lは、ハブの先端へと向かう隆起部325を更に含むことができる。隆起部325はハブ42Lの把持を容易にすることができる。また、幾つかの実施形態において、隆起部325は、チップを保護するためにシース、ダイレータ、および、ニードルの先端部を越えて延びるとともに隆起部325に対して押し付くことができる管状または円筒状のカバーを受けることができる。したがって、隆起部325はカバーを所定位置に保持できる。
【0228】
図24A、24Bは、シース26Lとの特定の類似性を伴うシース26Mを描いている。シース26Mの内部は、シース26Mの長手方向軸に沿って延びる中心腔342を形成できる。中心腔342は、ニードル、ダイレータ、または、身体空間内へと中心腔を通過することが望まれる任意の他の物品を受けるように構成することができる。更なる詳細な例については本明細書に記載される。また、中心腔342は、前述したように体液が流通できる空間を含むことができる。中心腔342は、2つ以上のプレート体204,206(円形ディスクとして描かれる)から成るバルブを更に含むことができ、該バルブは前記空間を通じた体液の流れを停止させることができる。同様のバルブをシース26Lまたは本明細書中に記載される他のシースと共に含めることができる。
【0229】
バルブの1つのプレートは、柔軟なプレート体344となることができ、あるいは、シース26Mの半体のうちの一方に接続することができる。柔軟プレート体344は半体から中心腔342内へと延びることができる。幾つかの実施形態において、柔軟プレート体344は、ポリイソプレン、シリコーン、ポリウレタン、他の弾性高分子、または、他の適した生体適合性材料を備えることができる。幾つかの実施形態では、低温硬化しない材料を利用することが好ましい場合があり、それにより、バルブ機能を損なうことなく、ニードル、ダイレータ、カテーテル、または、他の医療品を一緒にシース26M内にパッケージングすることができる。また、幾つかの実施形態において、柔軟プレート体344は、シリコーン処理された面を有することができ、それにより、その面に沿った様々な要素の低摩擦摺動が円滑になされる。
【0230】
また、図示のように、柔軟プレート体344は、実質的に中実であってもよく、穴、スリット、または、他の不連続部を何ら含まない。また、図示のように、柔軟プレート体は円形状を有することができる。しかしながら、他の実施形態において、柔軟プレート体は、スリット、穴、または、他の不連続部を含むことができ、及び/又は、必ずしもその外縁の周囲に円弧を規定するとは限らない他の形状を有することができる。
【0231】
他のプレート体は、シース26Mの他方の半体上の硬質プレート体346となることができる。硬質プレート体346は、半円となることができ、略円形の逃げ部347をその中心端に含むことができる。逃げ部347をシース26Mの長手方向軸に沿ってほぼ中心付けることができる。図示のように、逃げ部347は約270°にわたることができるが、他の実施形態では、逃げ部が更に大きい角度または更に小さい角度にわたることができる。幾つかの実施形態では、逃げ部347が180°にわたることができ、そのため、逃げ部を半円にすることができる。他の実施形態において、逃げ部347は、一般に挿通されるべき対応する医療品と適合するように選択される他の形状を有することができる(以下で更に説明する)。硬質プレート体は、外縁に沿って円弧を規定しない様々な異なる形状を有することもできる。また、略平坦として描かれているが、幾つかの実施形態において、硬質プレート346は、垂直幅が変化する形状を有することができる。例えば、幾つかの実施形態において、硬質プレート346は、その中心へ向けて挿入される物品を案内する漏斗形状(随意的に、逃げ部347を伴う)を成すことができる。更なる実施形態において、逃げ部347は、受けられるようになっている物品の幅よりも僅かに大きく寸法付けることができる。したがって、物品が依然として硬質プレート346を挿通している状態でシース26Mが分割される場合、物品は、逃げ部347を通過することにより硬質プレートから抜け出ることができる。最小サイズの逃げ部347は、設けられるシールの質をかなり向上させることができる。
【0232】
2つのプレート体344,346は協働して多くの利点を与えることができる。例えば、幾つかの実施形態では、プレート体344,346が重なり合うことができ、それにより、それらが共に中心腔342に沿ってシールを形成する。このため、柔軟プレート体344は、その対応するシースハブ半体の残りの部分を越えて延びて、少なくとも逃げ部347と重なり合うことができる。しかしながら、他の実施形態において、硬質プレート体346は、その対応するシースハブ半体を越えて同様の態様で延びることができ、あるいは、両方のプレートがそれらのハブを越えて延びることができる。他の実施形態では、ハブ半体が重なり合うことができ、また、場合により、いずれのプレート体344,346もそれらの対応するハブを越えて延びることができない。
【0233】
プレート体344,346の重なり合いを容易にするため、一般にそれらのプレートを長手方向軸に沿って互いからオフセットできる。好ましい実施形態では、柔軟プレート体344を基端側のプレート体346に対して先端側にすることができる。したがって、硬質プレート体346は、柔軟プレート体344の基端側の曲げを防止することができ、そのため、シールよりも先端側の大きい圧力に起因する亀裂に抵抗できる。また、この構成は、ニードルまたはダイレータなどの様々な物品の挿入を可能にすることができ有益である。逃げ部347により物品をシース26Mの中心へと案内することができ、また、幾つかの実施形態では、これを漏斗形状の逃げ部により円滑にできる。幾つかの実施形態では、逃げ部347が物品とほぼ適合でき、そのため、逃げ部が物品と共に部分シールを形成できる。とりわけ、幾つかの実施形態では、2つの半円の硬質プレート体344をシース26Mのそれぞれの半体に1つずつ設け、それにより、2つの半円逃げ部347を通過する医療品の周囲で360°全体に及ぶ完全なシールを形成することができる。
【0234】
また、幾つかの実施形態において、柔軟プレート体344は、その弾力性を高める更なる構造を備えることができる。例えば、幾つかの実施形態において、柔軟プレート体344は、硬質プレート体346に抗して付勢され或いは予め応力が掛けられる形状記憶構造を含むことができる。幾つかの実施形態では、形状記憶構造がニチノールなどの合金であってもよい。また、幾つかの実施形態において、結果として得られるシールは、約20cm以上の水のクラッキング圧を先端方向に有することができる。とりわけ、付勢、予応力、クラッキング圧、および、本明細書中に記載される他の結果は、更なる構造がなくても生じ得る。
【0235】
図示の実施形態では、物品が切り欠き347を通過すると、物品が柔軟プレート体344を押圧することができる。これにより、柔軟プレート体344が曲がることができ、そのため、物品のためのクリアランスが形成される。その後、物品が除去されると、柔軟プレート体344は、その元の初期位置へと待避することができ、それにより、それが切り欠き347を覆う際に硬質プレート体346と共にシールを回復させる。幾つかの実施形態では、柔軟プレート体344を弾性材料から形成することができ、それにより、元の初期位置への待避が円滑になされる。
【0236】
柔軟プレート体344の曲げを多くの方法で促すことができる。例えば、幾つかの実施形態では、柔軟プレート体344の材料特性により、プレートが曲がることができる。他の実施形態では、柔軟プレート体344が折り曲げ線349を有することができ、該折り曲げ線に沿って柔軟プレート体が曲がることができる。この折り曲げ線は、図2に描かれるようにシースハブ半体の一端から他端へと延びるシースハブ半体の縁部と対応することが好ましい場合がある。他の実施形態において、柔軟プレート体344は、所望の場所でプレートが曲がることができる(しかし、破壊しない)ようにするより薄い/より脆弱な材料の領域を有することができる。例えば、幾つかの実施形態において、柔軟プレート体344は、弾性的に柔軟な定められた折り曲げ領域を除く全てが全体的に硬質となることができる。折り曲げ線または折り曲げ領域は、より薄い/より脆弱な材料、穿孔、溝、または、何らかの他の構造から形成することができる。幾つかの実施形態では、更なる形状記憶構造が曲げ部位または曲げ領域を形成できる。
【0237】
柔軟プレート体344は様々な手段によってシース26Mに取り付くことができる。幾つかの実施形態では、柔軟プレート体をシース26Mに接着し或いは結合することができる。他の実施形態では、柔軟プレート体344がモールドまたはオーバーモールドによりシース26Mに取り付くことができる。更なる実施形態では、柔軟プレート344をシース26M(または、その一部、例えばシースハブ半体)と一体に成形することができる。一体に形成される場合には、柔軟プレート体344よりもかなり大きい厚さをハブ42Mに対して与え、それにより、ハブがより高い剛性を保つようにすることが望ましい場合がある。他の実施形態では、例えばシースハブ42Mがプレートを受けてプレートを所定位置に圧入できるようにする溝を含む場合には、柔軟プレート体344が機械的な圧縮によりシース26Mに取り付くことができる。硬質プレート体346を同様のメカニズムにより形成してシース26Mに取り付けることができる。1つの好ましい実施形態では、硬質プレート346をシースハブ半体と一体化できる。また、柔軟プレート体344をシース26Mにオーバーモールドすることができる。
【0238】
分割可能なシースハブ42Nの別の実施形態が図25A〜25Iに描かれている。図25A〜25Iの実施形態は、後述する随意的な差異を伴うが、前述した実施形態とほぼ同様となり得る。言うまでもなく、非排他的にシース26L,26Mを含む前述したシースは、本明細書中に記載されるバルブ要素を含むように変更することができる。同様に、シースハブ42Nは、前述したシースに関して説明した要素を含むことができる。例えば、幾つかの実施形態において、シースハブ42Nは、他の要素に対する取り付けを容易にするためにリップ95,95Lと同様のリップを含むことができる。
【0239】
図25A〜25Iに描かれる実施形態において、基端の腔342は、腔を通して見て中心膨出部を伴う三角形状を有することができる。図示のように、シースハブ42Nは全体的に2つの半体を形成することができ、各半体は対応するタブ320を有する。一対の溝352を対向させてシースハブ42Nに沿って中心付けることができる。他の実施形態に関して説明したように、操作時、タブ320を引くことにより、シースハブ42Nを溝352に沿って分離することができる。
【0240】
腔342は図25A〜25Cに最も良く描かれている。図示のように、シースハブ42Nの上側の基端部で、腔が前述した三角形状を有することができる。この基端部で、腔342を溝352に対して略垂直な方向に延ばすことができる。シースハブ42の先端部で、腔342が略円形断面へと狭くなることができる。幾つかの実施形態において、腔342の先端部のサイズは、シースハブ42を通過するようになっている物品の最大サイズにほぼ対応することができ、また、腔の基端部のサイズは、その部位から挿入され得るプレート体344,346にほぼ対応することができる。他の実施形態において、腔342は、プレート体が反対側から挿入されるときにほぼ逆の形状などの他の形状を成すことができる。
【0241】
また、図25Cに最も良く描かれるように、腔342が1つ以上の受け入れ部を形成することができる。図示のように、受け入れ部は、腔342の縁部の近傍にあり、プレート本体のアンカー350,351を受ける(更に後述する)。図示の実施形態では、腔342が3つの受け入れ部を含むことができ、1つの受け入れ部は硬質プレート体346のアンカー351に対応し、一対の受け入れ部は柔軟プレート体344のアンカー350に対応する。図示のように、受け入れ部(および同様にアンカー)は、腔342の内側で互いにほぼ対向する。しかしながら、他の実施形態では、これらの受け入れ部を他の形態で配置させることができる。例えば、幾つかの実施形態において、柔軟プレート体344の両方のアンカー350は、単一の拡大した受け入れ部に入ることができる。他の実施形態では、対応する数の受け入れ部と共に、異なる数のアンカーを設けることができる。また、幾つかの実施形態では、受け入れ部を1つの環状溝にすることができ、それにより、アンカー/プレートをモジュール形態で任意に配置することができる(例えば、それぞれが単一のシースハブ内に嵌合できる想定し得るプレート体のグループからプレート体を選択することができる)。
【0242】
プレート体344,346が図25D〜25Fに最も良く描かれている。図7に描かれるように、柔軟プレート体344は、該プレート体の第1の端部に2つのアンカー350を有することができる。アンカー350は、略平坦部から延びることができ、円形部で終端できる。図示のように、平坦部は、それがアンカー350から延びるときに狭くなることができ、その後、外側へ膨出して円形状を形成し、それにより、より全体的には図示の実施形態では鍵穴形状を形成することができる(他の実施形態に関連して前述したように、他の形状も可能である)。円形部は全体的に柔軟となることができ、そのため、物品が円形部に押し付くと、円形部は曲がることができる。また、柔軟プレート体344は、アンカー350と反対側の平坦部上に楔部205を含むことができる。楔部205は、アンカー350において最も厚く、円形部の方向で下方に向けて先細ることができる。この形態は、全体的に、柔軟プレート体344の上方への曲げ(したがって、この曲げは楔部205を圧縮する)に抵抗できるが、柔軟プレート体の下方への曲げ(楔部205を延ばす)を実質的に許容する。
【0243】
図25Fに最も良く描かれるように、硬質プレート体346は、柔軟プレート体344のアンカー350と同様の単一のアンカー351を有することができる。硬質プレート体346は平坦部を更に含むことができる。平坦部は、その平坦部でアンカー351とほぼ合致することができ、その後、それが部分円を規定する円形部へと延びるように広がることができる。図25Dに描かれるように、部分円は、柔軟プレート体344の円形部の半径にほぼ等しい半径を規定することができるとともに、組み付けられた際にその円形部とほぼ位置合わせするように形成され得る。図25Dに更に描かれるように、切り欠き347が楔部345とほぼ位置合わせでき、それにより、組み付け時に楔部が切り欠きに入る。したがって、楔部345と切り欠き347との間の相互作用がプレート体344,346間の相対的な回転をほぼ妨げることができる。切り欠き347の内部で、切り欠きが半円を規定できる。半円の半径は、挿通されるようになっている物品の半径とほぼ適合するように設定できる。同様に、切り欠き347は、(他の実施形態に関して前述したような)その意図される使用に応じて他の形状をとることができる。
【0244】
図25G,25Hは、前述したシースおよびシースハブと共に使用することもできる柔軟プレート体344の別の実施形態を描いている。図示のように、柔軟プレート体344は2つの平坦部344A,344Bを含むことができる。平坦部344A,344Bは、図示のように同じ形状および材料を有することができるが、他の実施形態では異なる特性を有することができる。特定の実施形態では、平坦部344A,344Bの両方が硬質プレート体346の逃げ部347を覆うことができる。組み付けられると、平坦部344A,344Bが硬質プレート体346の両側に載置でき、それにより、硬質プレート体が平坦部間に受けられる。この構成では、結果として得られるバルブは、アセンブリの先端(下端)での小さい圧力に対して弾力的となることができ及び逆も可能であり、有益である。操作時、ユーザは、さもなければ前述したように、物品をアセンブリに挿通する前に上側平坦部344Aを持ち上げることができる。
【0245】
図25Iは、柔軟プレート体344C,344Dの更なる別の実施形態を描いている。図示のように、2つの柔軟プレート体344C,344Dを設けることができる。プレート体はそれぞれ、物品が挿通できるスリットを含むことができ、それにより、物品が通過する際にシールが保たれる。図示のように、スリットは互いに角度を成すことができるが、他の実施形態では、スリットを平行にできる。また、図示のように、2つのプレート体344C,344Dを別個の挿入体にすることができる。しかしながら、図25Gおよび図25Hの実施形態と同様、他の実施形態では、これらのプレート体を一体品にすることもできる。また、平坦部344C,344Dを硬質プレート体346(前述した)と併せて使用することができる。幾つかの実施形態において、平坦部344C,344D,346はそれぞれ、図示のように、アンカー350C,350D,351と対応する受け入れ部とを有する挿入体の形態を成すことができる。しかしながら、他の実施形態では、これらの要素の一部または全てを残りのアセンブリと一体にする或いは残りのアセンブリに対してオーバーモールドすることができる。
【0246】
好ましい実施形態では、図25A〜25Cに描かれるシースハブを段階的に組み付けることができる(同様の組み付け方法を本明細書中に記載される他の実施形態に適用でき、例えば、前記シースハブを別のプレート体と組み合わせることができる)。最初に、ハブを成形し、カットし、あるいは、さもなければ図示の形状へと形成できる。形成体は、アンカー350,351と共に圧入を成すように構成される受け入れ部(前述した)を腔342に含むことができる。したがって、プレート体344,346を基端位置から先端側へ挿入できる。好ましい実施形態では、柔軟プレート体344が最初に入ることができ、その後に引き続いて硬質プレート体346が入ることができる。他の実施形態では、これらの要素のうちの1つ以上をシースハブと一体化することができ或いはシースハブに対してオーバーモールドできる。他の実施形態において、プレート体は、シースハブの構造に応じて、異なる部位から或いは異なる順序で挿入できる。その後、シースハブをシース本体に取り付けることができ(既にそのようにしていない場合)、任意の残りの組み付けステップを行なうことができる。
【0247】
使用時、操作者は、例えばニードル、ダイレータ、カテーテルなどの医療品をシースハブを通じて挿入できる。物品は基端から腔342内に入ることができる。その後、物品は、硬質プレート体346の逃げ部347を通過して、柔軟プレート体344に押し付き、それにより、シースハブへと更に進むことができる。他の物品を同様の態様で挿入して除去することができる。
【0248】
シースハブが分割できる場合には、医療品を内側に伴った状態で、医療品に支障を来すことなく、シースハブを分割できることが有益である。操作者がタブ320を作動させてシースを分割する際、シースハブは、プレート体344,346が対向する半体と共に残存するように壊れることができ、有益である。医療品は、切り欠き347を通じて硬質プレート体346から抜け出ることができる。したがって、内側の医療品に支障を来すことなくシースハブおよび対応するシールを分割することができる。本開示から明らかなように、シースハブの他の実施形態に関して同様の手順を行なうことができる。
【0249】
本明細書中に記載される実施形態は、従来の生体適合性材料から成る。例えば、ニードルは、セラミック、硬質高分子、または、ステンレススチールやニチノール等の金属から成ることが好ましい。他の要素は、適した高分子材料、例えば、ポリカーボネート、ナイロン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素重合体、および、共重合体、例えば、ペルフルオロ(エチレン−プロピレン)共重合体、ポリウレタン高分子または共重合体から形成することができる。例えば、幾つかの実施形態では、ダイレータをナイロンから形成できる。
【0250】
前述したように、本アクセス装置を使用して、患者の体内の他の場所にカテーテルを配置できる。したがって、例えば、アクセス装置を様々なカテーテルとして使用し或いは様々なカテーテルと共に使用して、流体を膿瘍から排出することができ、空気を気胸から排出することができ、腹膜腔にアクセスできるが、これに限定されない。そのような用途において、体液は、ニードルが適切に配置された時期を知らせるために観察空間へと流れる。
【0251】
特定の好ましい実施形態および実施例との関連でこの発明を開示してきたが、当業者であれば分かるように、本発明は、具体的に開示される実施形態を越えて、他の別の実施形態及び/又は本発明の使用および明らかな変形並びにその等価物にまで及ぶ。また、本発明の多くの変形例を示して詳しく説明してきたが、この発明の範囲内に入る他の変更もこの開示に基づいて当業者に容易に明らかである。また、実施形態の特定の特徴および態様の様々な組み合わせ或いは部分的組み合わせを行なってもよく、それらも依然として本発明の範囲内に入ると考えられる。したがって、言うまでもなく、開示された発明の様々な形態を形成するために、開示された実施形態の様々な特徴および態様を互いに組み合わせることができ或いは互いに置き換えることができる。例えば、図18Dに描かれるニードルハブの一般的な形状は、更なる方法で、図2Fに描かれるニードルハブとは異なる。しかしながら、これらの一般的なニードルハブ形状を前述した描かれた実施形態間で置き換えることができる。したがって、ここに開示される本発明の範囲は、前述した特定の開示された実施形態によって限定されるべきではなく、開示の適正な読み取り及び以下の特許請求の範囲によってのみ決定されるべきである。
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図2D】

【図2E】

【図2F】

【図2G】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図3D】

【図3E】

【図3F】

【図4A】

【図4B】

【図4C】

【図4D】

【図5A】

【図5B】

【図6A】

【図6B】

【図6C】

【図6D】

【図6E】

【図7A】

【図7B】

【図7C】

【図7D】

【図8A】

【図8B】

【図8C】

【図8D】

【図8E】

【図8F】

【図8G】

【図8H】

【図8I】

【図8J】

【図9A】

【図9B】

【図9C】

【図10A】

【図10B】

【図11A】

【図11B】

【図12A】

【図12B】

【図13A】

【図13B】

【図14A】

【図14B】

【図15A】

【図15B】

【図16A】

【図16B】

【図17】

【図18A】

【図18B】

【図18C】

【図18D】

【図18E】

【図19A】

【図19B】

【図19C】

【図19D】

【図19E】

【図20A】

【図20B】

【図21A】

【図21B】

【図21C】

【図21D】

【図22A】

【図22B】

【図23A】

【図23B】

【図24A】

【図24B】

【図25A】

【図25B】

【図25C】

【図25D】

【図25E】

【図25F】

【図25G】

【図25H】

【図25I】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体的に柔軟な管状構造体と、基端と、先端とを備える分割可能なシース本体であって、長手方向軸を規定するとともに、長手方向軸と略平行な所定のラインに沿って2つの半体へと分割できる分割可能なシース本体と、シース本体の軸とほぼ位置合わせされる長手方向軸を規定するシース本体の基端から延びるシースハブであって、シース本体およびシースハブがそれらのそれぞれの軸に沿って中心腔を形成するシースハブとを備え、シースハブが柔軟プレートと硬質プレートとを更に備え、硬質プレートが長手方向軸にほぼ中心付けられる逃げ部を備え、柔軟プレートおよび硬質プレートが重なり合って中心腔をほぼシールする、分割可能シース。
【請求項2】
柔軟プレートが中実である請求項1または請求項2のシース。
【請求項3】
柔軟プレートが略円形である請求項1または請求項2のシース。
【請求項4】
硬質プレートがその外縁に沿って円弧を規定する請求項1ないし請求項3のいずれか1項のシース。
【請求項5】
硬質プレートがその内縁に沿って円弧を規定する請求項1ないし請求項4のいずれか1項のシース。
【請求項6】
柔軟プレートが折り曲げ線を形成する脆弱部を有する請求項1ないし請求項5のいずれか1項のシース。
【請求項7】
折り曲げ線がシースの分割可能な半体の縁部から延びる請求項6のシース。
【請求項8】
柔軟プレートおよび硬質プレートの少なくとも一方または両方がシースハブ内に個別に挿入される請求項1ないし請求項7のいずれか1項のシース。
【請求項9】
柔軟プレートが低温硬化しない材料を備える請求項1ないし請求項8のいずれか1項のシース。
【請求項10】
プレート体がシースハブに圧入される請求項1ないし請求項9のいずれか1項のシース。
【請求項11】
プレート体がアンカーを備える請求項1ないし請求項10のいずれか1項のシース。
【請求項12】
ニードルと、ニードルに同軸に取り付けられ、ダイレータシャフトとダイレータハブとを備えるダイレータと、ダイレータに同軸に取り付けられる分割可能なシースとを備え、該シースは、基端と先端とを備えるシース本体と、その先端でシース本体の基端から延び且つその基端でダイレータハブに可逆的に取り付けられるシースハブとを備え、シース本体およびシースハブが中心腔を形成し、シースハブが略中実の柔軟プレートと硬質プレートとを備え、柔軟プレート体および硬質プレート体によりニードルおよびダイレータが中心腔を通過でき、ニードルおよびダイレータが中心腔から除去されるときに柔軟プレート体と硬質プレート体とが重なり合って中心腔をほぼシールする、アクセス装置。
【請求項13】
柔軟プレート体が中実である請求項12のシース。
【請求項14】
柔軟プレート体が略円形である請求項12または請求項13のシース。
【請求項15】
硬質プレート体がその外縁に沿って円弧を規定する請求項12ないし請求項14のいずれか1項のシース。
【請求項16】
硬質プレート体がその内縁に沿って円弧を規定する請求項12ないし請求項15のいずれか1項のシース。
【請求項17】
柔軟プレートが折り曲げ線を形成する脆弱部を有する請求項12ないし請求項16のいずれか1項のシース。
【請求項18】
折り曲げ線がシースの分割可能な半体の縁部から延びる請求項17のシース。
【請求項19】
柔軟プレート体および硬質プレート体の少なくとも一方または両方がシースハブ内に個別に挿入される請求項12ないし請求項18のいずれか1項のシース。
【請求項20】
柔軟プレート体が低温硬化しない材料を備える請求項12ないし請求項19のいずれか1項のシース。
【請求項21】
プレート体がシースハブに圧入される請求項12ないし請求項20のいずれか1項のシース。
【請求項22】
プレート体がアンカーを備える請求項12ないし請求項21のいずれか1項のシース。
【請求項23】
ニードルと、ダイレータと、分割可能なシースとを備え、該シースは、基端と先端とを備えるシース本体と、その先端でシース本体の基端から延びるシースハブとを備え、シースハブは、略中実の柔軟プレート体と、硬質プレート体と、ダイレータハブの取付部に取り付くように構成される基端の取付部とを備え、シース本体およびシースハブは、ダイレータおよびニードルを受ける中心腔を形成し、ダイレータおよびニードルが除去されるときに柔軟プレート体と硬質プレート体とが重なり合って中心腔をほぼシールし、ニードル、ダイレータ、および、シースが一緒にパッケージングされる、パッケージ。
【請求項24】
シースがダイレータ上に摺動可能に配置される請求項23のパッケージ。
【請求項25】
ダイレータがニードル上に摺動可能に配置される請求項23または請求項24のパッケージ。
【請求項26】
シースハブが2つの外側に突出するサイドタブを更に備える請求項23ないし請求項25のいずれか1項のパッケージ。
【請求項27】
柔軟プレート体が中実である請求項23ないし請求項26のいずれか1項のパッケージ。
【請求項28】
柔軟プレートが略円形である請求項23ないし請求項27のいずれか1項のパッケージ。
【請求項29】
硬質プレート体がその外縁に沿って円弧を規定する請求項23ないし請求項28のいずれか1項のパッケージ。
【請求項30】
硬質プレート体がその内縁に沿って円弧を規定する請求項23ないし請求項29のいずれか1項のパッケージ。
【請求項31】
柔軟プレート体が折り曲げ線を形成する脆弱部を有する請求項23ないし請求項30のいずれか1項のパッケージ。
【請求項32】
折り曲げ線がシースの分割可能な半体の縁部から延びる請求項31のパッケージ。
【請求項33】
柔軟プレート体および硬質プレート体の少なくとも一方または両方がシースハブ内に個別に挿入される請求項23ないし請求項32のいずれか1項のパッケージ。
【請求項34】
柔軟プレート体が低温硬化しない材料を備える請求項23ないし請求項33のいずれか1項のパッケージ。
【請求項35】
プレート体がシースハブに圧入される請求項23ないし請求項34のいずれか1項のパッケージ。
【請求項36】
プレート体がアンカーを備える請求項23ないし請求項35のいずれか1項のパッケージ。
【請求項37】
軸方向の腔と、逃げ部を形成する腔内の硬質プレート体と、逃げ部を塞ぐために硬質プレート体の先端面と接触した状態で載置するように構成される腔内の柔軟プレート体とを備える分割可能なシースハブ。
【請求項38】
硬質プレート体および柔軟プレート体がシースハブに圧入される請求項37のシースハブ。
【請求項39】
シースハブは、分割時に硬質プレート体および柔軟プレート体が分離するように分かれるべく構成される請求項37または請求項38のシースハブ。
【請求項40】
柔軟プレート体は、載置時に逃げ部と接触して該逃げ部を塞ぐ円形部を備える請求項37ないし請求項39のいずれか1項のシースハブ。
【請求項41】
柔軟プレート体が2つの円形部を備え、載置時に一方の円形部が逃げ部と接触して該逃げ部を塞ぐ請求項37ないし請求項40のいずれか1項のシースハブ。
【請求項42】
プレート体は、基端方向の流れを実質的に妨げ且つ先端方向の流れを僅かに妨げるシールを形成する請求項37ないし請求項41のいずれか1項のシースハブ。
【請求項43】
シールは、20cmの水のクラッキング圧を先端方向に有する請求項42のシールハブ。
【請求項44】
柔軟プレート体が硬質プレート体に押し付けられる請求項37ないし請求項43のいずれか1項のシースハブ。
【請求項45】
柔軟プレート体が形状記憶合金を備える更なる構造を備える請求項37ないし請求項44のいずれか1項のシースハブ。
【請求項46】
形状記憶合金がニチノールである請求項45のシースハブ。
【請求項47】
柔軟プレート体および硬質プレート体の少なくとも一方または両方がシースハブ内に個別に挿入される請求項37ないし請求項46のいずれか1項のシースハブ。
【請求項48】
柔軟プレート体が低温硬化しない材料を備える請求項37ないし請求項47のいずれか1項のシースハブ。
【請求項49】
シースハブの先端から延びるシースを更に備える請求項37の分割可能なシースハブを備えるアクセス装置。
【請求項50】
シースおよびシースハブを通じて同軸的に延びるダイレータを更に備える請求項49のアクセス装置。
【請求項51】
シースおよびシースハブを通じて同軸的に延びるニードルを更に備える請求項49または請求項50のアクセス装置。
【請求項52】
アクセス装置が保護容器内に一緒にパッケージングされる請求項49ないし請求項51のいずれか1項のアクセス装置。
【請求項53】
柔軟プレート体および硬質プレート体の少なくとも一方または両方がシースハブ内に個別に挿入される請求項49ないし請求項52のいずれか1項のアクセス装置。
【請求項54】
柔軟プレートが低温硬化しない材料を備える請求項49ないし請求項53のいずれか1項のアクセス装置。

【公表番号】特表2012−526632(P2012−526632A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510992(P2012−510992)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/034609
【国際公開番号】WO2010/132608
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(507324142)アクセス サイエンティフィック、インク. (7)
【Fターム(参考)】