説明

バンド巻付け装置

【課題】バンドを引き伸ばすスペースを可及的に小さくし、しかも乱積み等の荷姿に関わらずバンドの張力を維持しながら巻付け作業を可能とするバンド巻付け装置を提供する。
【解決手段】初期展開時にはバックテンションをかけながらバンドを所定量巻き出して展開し、荷物進入時にはバックテンションを受けながら巻き出され、巻き出されたバンドが荷物の前方部分から側方にかけて展開し、全開時には、テンション部材をバンドの中途部に引っ掛けて引き伸ばす方向に移動させることにより、前記バックテンションをかけながら第1のチャックをさらに回転させてバンドの巻き芯側の端部が露出するまで引き切って全開とし、バックテンションを解除する構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばパレット上に段積みされた定形,不定形の段ボール箱,麻袋等の荷物の荷崩れを防止するために荷物外周にバンドを巻付けるバンド巻付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、既に、繰り返し使用できるバンドを用いて省資源化に資するバンド巻付け装置を提案している(特許文献1参照)。
この装置は、搬送路を横切るようにバンドを配置し、バンドにテンションをかけて全展開してから巻付けるものであった。
しかし、巻付け初期にバンドを大きく引き伸ばすスペースが必要で、作業場所によってはスペース的に設置できない場合がある。
また、従来は前面から左右側面に巻付けた後、緩まないように左右側面を押さえ、その後締付け固定するようになっていたが、乱積みのような場合には、左右側面を押さえることができず、バンドが緩む場合もある。
【特許文献1】特開2006−76628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記した要請に応えるべくなされたもので、その目的とするところは、バンドを引き伸ばすスペースを可及的に小さくし、しかも乱積み等の荷姿に関わらずバンドの張力を維持しながら巻付け作業を可能とするバンド巻付け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、繰り返し使用可能な可撓性のバンドであって、一方の端部を巻き芯にして巻いた形態を初期形態とするバンドと、バンドの巻き芯となる端部を回転自在に保持する第1のチャックと、バンドの他方の端部を保持する第2チャックと、第1のチャックに対して巻き戻し方向のバックテンションを作用させるトルク発生手段と、バンドの中間部分に引っ掛けてバンドを引き伸ばす方向に移動させるテンション部材と、を備え、初期展開時には、前記第1のチャックと第2のチャックを搬送路を隔てて反対側に位置するように移動させ、トルク発生手段によるバックテンションをかけながら第1のチャックを回転させてバンドを所定量巻き出し、巻き出したバンド部分が荷物の搬送路を横切るように展開し、荷物進入時には、搬送路上を搬送されてくる荷物が待機中のバンド部分に進入し、前記バックテンションを受けながらバンド部分が押されることによって第1のチャックが回転してバンドがさらに巻き出され、巻き出されたバンドが荷物の前方部分から側方にかけて展開し、全開時には、テンション部材をバンドの中途部に引っ掛けて引き伸ばす方向に移動させることにより、前記バックテンションをかけながら第1のチャックをさらに回転させてバンドの巻き芯側の端部が露出するまで引き切って全開とし、バックテンションを解除する構成となっていることを特徴とする。
【0005】
請求項2に係る発明は、バンドの一方の端部には枠を構成するアウタ部材が設けられ、バンドの他方の端部には枠に挿通可能なインナ部材が設けられ、インナ部材をアウタ部材の枠にくぐらせて折り返して締付け固定する構成となっていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、インナ部材をアウタ部材の枠に通して折り返した後、インナ部材の下端を支点にして上側をさらに引っ張って傾ける構成となっていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、インナー部材を引っ張る力の方向は、水平方向成分と垂直下向き成分の合力の方向であり、インナー部材を斜め下向きに引っ張る構成となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、初期展開時から荷物進入段階まではトルク発生手段によるバックテンションを付与しているので、引き出されるバンドの長さは必要最小限でよく、設置スペースが小さくてすむ。
また、常時バンドにテンションを作用させているので、荷物の形が悪い場合では対応可能である。
止め軸を止め枠に対してくぐらせる構成を採用することにより、バンドの固定を自動化することができる。
また、インナ部材をアウタ部材の枠に通して折り返した後、インナ部材の下端を支点にして上側をさらに引っ張って傾けるようにすれば、上部の嵩が小さく荷物で対応可能である。
さらに、インナー部材を引っ張る力の方向は、水平方向成分と垂直下向き成分の合力の方向とし、インナー部材を斜め下向きに引っ張る構成とすれば、乱積みで上部が一部欠落しているような荷物にも対応可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態に係るバンド巻付け装置を示すもので、パレットに段積みされた段ボールの箱体を搬送する搬送ライン上に配置されるもので、搬送路Fに沿って搬送される段積みされた箱体群Bに、バンドを巻付けるようになっている。
【0008】
まず、本実施例で使用されるバンドについて、図5,図6を参照して簡単に説明する。
このバンドは、図5に示すように、繰り返し使用可能な可撓性の長尺帯であって、バンドの一方の端部には枠を構成するアウタ部材としてのアウタプレートが設けられ、バンドの他方の端部には枠に挿通可能なインナ部材としてのインナプレートが設けられ、インナプレートをアウタプレートの枠にくぐらせて折り返し締付け固定する構成となっている。
アウタプレートは、バンド本体10の一端に一対のつなぎ部材としてのつなぎバンド20を介して連結され、このアウタプレート30を介して折り返された折り返し部が重ね合わされる領域には、バンド本体10の剛性を部分的に高めた高剛性部Hがバンド本体10の幅方向に複数設けられ、バンド本体10に作用する張力を各高剛性部Hを起点にして作用させるようになっている。
【0009】
バンド本体10の折り返し部が重ね合わされる領域には、固定手段としての面状ファスナ40が設けられている。面状ファスナ40は互いに着脱自在に接着される接着側テープ41と被接着側テープ42によって構成される。この実施例の説明では、折り返される側に設けられるテープを接着側テープ41とし、折り返し部が重ねられる部分に設けられるテープを被接着側テープ42というものとする。
これら接着側テープ41及び被接着側テープ42はバンド本体10に縫いつけ等によって固定される。このテープ貼り付け部は部分的に高剛性となるので、この実施例では、面状ファスナを構成する被接着テープ42をバンド本体10の幅方向に配列して高剛性部Hを構成している。巻付け時にバンド本体10に作用する張力は、面状ファスナ40の被接着側テープを起点にして作用することになる。
【0010】
バンド本体10は、ナイロン,ポリエステル等の高強度繊維の織布で構成される長尺の平バンドで、全長に亘って一定の幅に成形されている。バンド本体10は、長手方向に若干の伸縮はするものの、基本的には伸縮性は無い。しかし、曲げ方向に対しては自由に変形し、荷物の形状に倣って巻付け可能である。
つなぎバンド20も、バンド本体10と同様、ナイロン,ポリエステルなどの高強度繊維の織布によって構成される。このつなぎバンド20も若干の伸縮はするものの基本的には伸縮性は無い。このつなぎバンド20の幅は狭小で、バンド本体10のアウター側端部を部分的に2点で支持することになる。
【0011】
アウタープレート30は、ポリアセタール等の硬質の樹脂材、あるいはアルミ材等の高剛性の部材によって構成される。アウタープレート30は棒状部材でもよいが、この実施例では、バンド本体10より若干厚肉の平板構成で、バンド本体10の一端の端辺に対して所定間隔を隔てて平行に配置され、両端につなぎバンド20が取り付けられる。アウタープレート30のバンド本体10が引っ掛けられる側の側辺には、図5(C),に示すように、高剛性部Hを構成する面状ファスナ40の被接着側テープ42が係合して幅方向の移動を規制する凹凸形状のウェイブ部70が設けられている。
また、このバンド本体10のアウター端部には、幅方向に芯材としての芯金60が挿入され、半固定されている。
【0012】
芯金60も、ポリアセタール等の硬質の樹脂材、あるいはアルミ材等の高剛性の部材によって構成され、アウター側端部に袋状に縫いつけられている。芯金60の長さは、バンド本体10の全幅よりぬい代分だけ少し短くなっている。
芯金60の両端はつなぎバンド20とは分離している。つなぎバンド10の縫いつけ固定部21は、バンド本体10のアウター側端部から芯金60の分だけ入り込んだ部分にあり、芯金60はつなぎバンド20内ではフリー状態である。
つなぎバンド20は柔軟性があるので、不規則な張力に対してねじれ・ゆがみ・ななめ等に変形して張力を各つなぎバンド20に分散し、一方向へ張力がかかってしまうことを防ぐことができる。
もう一つの働きとして、芯金60は固定されていないため、不規則な張力に対してバンド本体10のねじれ,ゆがみ,斜めなどの動きを妨げず、バンド本体10の動きに関わらず、張力のみを受け止めることができる。
【0013】
インナプレート50についても、ポリアセタール等の硬質の樹脂材、あるいはアルミ材等の高剛性の部材によって構成される。高剛性の部材であれば棒状部材でもよいが、この実施例では、図5(E)に示すように、2箇所の長穴51を持つ平板状のプレートで、アウタープレート30側の枠空間Sをくぐり抜けることができる高さ,幅に設定されている。幅については、つなぎバンド20の長さで調整可能である。
面状ファスナ40は、図1,図2に示すように、バンド本体10のインナー端部付近に設けられる接着側テープ41と、接着側テープ41の領域に続いて折り返し部が重なる範囲の全長に設けられる被接着側テープ42とによって構成される。
【0014】
接着側テープ41は、インナー端部から所定長さ分の第1領域に取り付けられる第1テープ41aと、インナープレート50を連結する一対の連結帯部11に取り付けられる第2テープ41bとを備えている。
また、第3テープ41cが、第2テープ41bと同様にバンド本体10の二本の連結帯11上に縫いつけられているが、この第3テープ41cは、図5(B),図6(B)等に示すように、背面側に取り付けられ、図6(C),(D)に示すように、締付けバンド1の巻取り収納時の結束に用いられる。巻取りは、アウタープレートを芯にして巻取り、最終的に接着側の第3テープ41cを被接着テープ42に接着することによって結束される。
【0015】
被接着側テープ42は、第1領域に続く第2領域に取り付けられる。
第1領域と第2領域の境界部には、図1(F)に示すように、折り返し部12が設けられ、剛性が高められている。折り返し部12は、所定長さだけZ字形状に折り畳んで構成され、バンド本体10の強化補強を行いねじれを防止する。
被接着側テープ42は、バンド本体10の長手方向と平行に複数列、この実施例では3列のテープ42a,42b,42cが所定間隔を隔てて取り付けられている。この3本の被接着側テープ42a,42b,42cの長さは、アウタープレート30から折り返されたバンドの接着に必要な長さに設定される。被接着側テープ42の本数は任意であり、図6(B)に示すように3本以上としてもよい。特に奇数が好ましく、中心に1本設置することが好ましい。各被接着側テープ42の間には隙間gを必ず作る。本数が多い場合には、テープ幅を狭くして対応する。このように、全体として、折り返し部12よりインナー端部側の第1領域は、作業中の変形,ズレなどが無いような強い構造として作業効率を上げている。
【0016】
次に、図1乃至図4を参照して、バンド巻付け装置の装置構成について説明する。
図1は装置構成を上方から見た平面図である。上部ガイドフレーム101越しに各構成部分が見えている。上部ガイドフレーム101はたとえばローラレーンとなっている搬送路F上方に搬送路Fに対して直交方向に延びている。図示例では、上部ガイドフレーム101は搬送路Fの左右両側に配置されたサイドフレーム102,102間に架設されているが、天井に配置するようにしてもよい。
この上部ガイド101には、バンドの一方の端部であるアウタプレート30を回転自在に保持する第1のチャック110が組み付けられた第1チャック機構104と、他方の端部であるインナープレート50を保持する第2チャック120が組み付けられた第2チャック機構105とが移動自在に支持されている。
【0017】
図2には、第1のチャック機構104を示している。
すなわち、第1のチャック110は、バンドのアウタープレート30の上下端部を支持するように、上下方向に所定距離だけ離間して上下一対設けられ、チャック支持台111から突出する上下一対のブラケット112に回転自在に支持されている。チャック支持台111は、上下方向に延びるZ軸案内台113に対して上下方向に移動自在に支持され、Z軸案内台113は搬送方向に沿ってY軸方向に案内するY軸案内台114に支持され、さらにY軸案内台114が上ガイドフレーム101に対してX軸方向に移動自在に支持されている。これにより、第1のチャック110は、X、Y、Z軸方向と、Z軸回りの回転方向の自由度を有する。
そして、チャック支持台111には、中央にトルク発生手段としてのサーボモータ130が取り付けられ、サーボモータ130の回転駆動力が、ベルト等の動力伝達機構131を介して上下の第1のチャック110に伝達されるようになっている。
【0018】
図3及び図4には、第2のチャック機構105を示している。
第2のチャック120は、インナープレート50の上下端部を支持するように、上下方向に所定距離だけ離間させて上下一対設けられ、チャック支持台121から突設される上下一対のブラケット122に回転自在に支持されている。チャック支持台121は、下端を支点として受け台123に対して揺動に支持されており、チャック支持台121の上端部と受け台123上端部間には、トグルリンク124によって連結され、トグルリンク124の連結部と受け台の下端部との間に、トグルリンク124を駆動して支持台を受け台に対して斜めに揺動させる空気圧あるいは油圧等の流体圧シリンダ125が介装されている。
この受け台123は上下方向に延びるZ軸案内台126に対して上下方向に移動自在に支持されている。また、Z軸案内台126は搬送方向に沿ってY軸方向に案内するY軸案内台127に支持され、さらにY軸案内台127は上ガイドフレーム101に対してX軸方向に移動自在に支持されている。これにより、第2のチャック120も、X、Y、Z軸方向と、Z軸回りの回転方向の自由度を有する。
また、図1には、バンド1の中間部分に引っ掛けてバンド1を引き伸ばす方向に移動させるテンション部材としてのテンションロール140を支持するテンションロール支持機構106についても記載されている。
このテンションロール140については、上下方向のZ軸方向と搬送方向と直交するX軸方向に移動自在に支持されている。バンド1の中間部分に上方から引っ掛けてバンド1を引き伸ばす方向、この例では搬送方向に直交し荷物から離れる方向に移動させる構成となっている。
【0019】
次に、上記バンド巻付け装置による巻付け作業について説明する。
(1)初期状態(図7(A)参照)
初期状態では、荷物の進行方向に対して片側、この実施例では進行方向に向かって左側に(図中右側)、アウタプレート30に巻いた状態のバンド1と、テンションロール140と、固定ロール150が配置されている。もちろん、アウタプレート30は第1チャック110によって保持され、インナープレート50は第2チャック機構の第2チャック120によって保持され、テンションロール140はテンショロール支持機構106によって保持されているが、図示するといたずらに複雑になるので、バンド1,テンションロール140及び固定ロール150のみを図示している。以下同様とする。
テンションロール140は初期状態(作業していない時)は、図7(C)に示すように、正面から見て上部フレーム101側に水平状態に跳ね上げ状態となっている。すなわち、テンションロール140の上端は上部フレーム101に取り付けられており、作業時には垂直状態、初期状態では水平状態に保持される。図示例では上部フレーム101に沿って内側(搬送レーン側)に跳ね上げ状態となっている。天井が高い場合には、跳ね上げタイプではなく上下に移動する方式としてもよい。
【0020】
(2)初期展開(図7(B)参照)
次に、バンドが初期展開される。
アウタープレート30は、第1のチャック110よりバックテンションを受けながら、回転しつつ左側の設定位置で停止する。この停止制御は、搬送路のローラレーンを停止してもよいし、強制的にストッパ等によって停止させてもよい。
バックテンションはアウターチャック30のサーボモータ130によって、アウタープレート30が左回転とすれば、右回転に回転させようと駆動力が作用する。
インナープレート50とテンションロール140及び固定ロール150は停止している。
すなわち、初期展開時には、第1のチャック110と第2のチャック120を搬送路Fを隔てて反対側に位置するように移動させ、トルクを発生させるサーボモータ130によるバックテンションをかけながら第1のチャック110を回転させてバンド1を所定量巻き出し、巻き出したバンド部分が荷物の搬送路Fを横切るように展開する。
【0021】
(3)荷物により3/4展開(図8(A)参照)
搬入される荷物の慣性力によって、バンド2が荷物の周長の3/4程度、展開される。
(3)−1)荷物Bが侵入し、荷物Bがバンド1を押して行き、設定位置で停止する。
(3)−2)アウタープレート30が、第1のチャック110によりバックテンションを受けつつ、図上左回転しながらバンド1を展開していく。
インナープレート50は固定ロール150よりやや右側にあり、バンド1は固定ロール150に接触しながら展開していく。
すべての装置、第1のチャック110(バックテンションは駆動)、第2のチャック120、テンションロール140,固定ロール150は固定している。
すなわち、荷物進入時には、搬送路F上を搬送されてくる荷物Bが待機中のバンド部分に進入し、前記バックテンションを受けながらバンド部分が押されることによって第1のチャック110が回転してバンド1がさらに巻き出され、巻き出されたバンド1が荷物Bの前方部分から側方にかけて展開する。
【0022】
(4)テンションロール140移動(図8(B),(C)参照)
テンションロール140が、所定位置まで移動する。
(4)−1)テンションロール140は跳ね上げた状態で、進行方向に向かって左側(搬送レーン内側)へ移動し、荷物よりやや内側に停止する。
(5)テンションロール90°転回(図8(D),(E)参照)
テンションロール140が、跳ね上げ状態から90°転回して垂直の作業状態になる。
(6)テンションロール作動(図9(A)参照)
(6)−1)テンションロール140が進行方向に対して右側へ移動し、インナープレート50より右側(搬送レーンに対して外側)の所定位置で停止する。これにより、テンションローラ140がバンド1に当接して、所定量だけバンド1を押し出してテンションを付与する。
(6)−2)インナープレート50が180°転回する(図9(B)参照)。
インナープレート50の向きを、バンド1の長さ方向先端がアウタープレート30と対向する側に向ける。
(6)−3)このテンションローラ140とインナープレート50の動作に追従するように、アウタープレート30はサーボモータ130からバックテンションを受けながら回転しつつバンド1を転回していく。
【0023】
(7)インナープレート50移動(図9(B)参照)
インタープレート50をアウタープレート30に向かって移動させる。
(7)−1)インナープレート50を図中左側へ移動し、停止させる。
停止位置はアウタープレート30通し位置より少し右側とする。
(7)−2)上記インナープレート50の動作に追従するように、アウタープレート30はバックテンションを受けながら回転しつつバンド1を転回していく。
この行程では、テンションローラ140は停止のままである。
(8)バンド全展開(図9(C)参照)
(8)−1)テンションロール140が図中右側へ移動する(バンドを引き切る)
テンションロール140はずっと引いた状態を保つ。バンド1をテンションを与える。
(8)−2)上記テンションロール140の動作に追従するように、アウタープレート30はバックテンションを受けながら回転しつつバンド1を展開し、引き切られた状態で(バンドと一直線)となる。
その後、アウターチャック30のサーボモータ130をOFFし、回転フリーとする。回転フリーとなった時点で、バンド1のテンションによってバンド1と一直線となる。
この時点で、テンションはテンションロール140にて保ち続ける。
すなわち、全開時には、テンションロール140をバンド1の中途部に引っ掛けて引き伸ばす方向に移動させることにより、バックテンションをかけながら第1のチャック110をさらに回転させてバンド1の巻き芯側の端部であるアウタープレート30が露出するまで引き切って全開とし、バックテンションを解除する。
【0024】
(9)アウタープレート30移動(図9(D)参照)
アウタープレート30を移動させる。
(9)−1)アウタープレート30が図中右側へ移動・停止
アウタープレート30通し設定位置で停止する。
(9)−2)アウタープレート30は回転フリーの状態であり、(9)−1の移動によるバンド1の傾きと同じ角度なる。
(9)−3)上記アウタープレート30の動作に追従するように、テンションロールは140左右に移動しテンションを保つ。
テンションロール140は常に右側に引かれている。
上記動作終了後、アウタープレート30をロックする(回転しない)
テンションロール140はテンションをかけ続ける。
【0025】
(10)アウタープレート30通し(図9(E)参照)
アウタープレート30にインナープレート50を通す。
(10)−1)図に示すように、常にバックテンションを受けながら通していく。
インナープレートは引かれている状態である。
すなわち、図3(A),(B)に示すように、第2のチャック120の側方には受け渡し用の把持具170が配置されている。この把持具170は、第2のチャック120に保持されているインナープレート50に向かって進退可能で、アウタープレート30がインナープレート50と受け渡し用把持具170の間に進入すると、受け渡し用把持具170を前進させてインナープレート50を把持し、第2のチャック120を外し、第2のチャック120をX軸方向に移動するとバンド1がアウタープレート30に引っ掛かる。その後、把持具170を再度前進させインナープレート50を第2のチャック120に把持し、受け渡し用把持具170を外す。
(10)−2)テンションロール140が上記動作に対してバンド1がゆるまないように、左右に移動しつつ右側へ移動し、テンションをかけ続ける。
(11)インナープレート50反転(図9(F))
【0026】
(11)−1)インナープレート50はそのままであるが、インナープレート50に対するひもの位置が180°変化する。インナープレート50のバンド連結部が反対になるので、不安定となって自動的に反転し、安定する。
(11)−2)インナープレート50の反転動作の時、バンド1が緩まないように、テンションロールを140左右に移動してテンションが保持される。
【0027】
(12)テンションロール140抜き<1>(図10(A)参照)
(12)−1)インナープレート50を右側へ移動し、バンド1全体を引く。
(12)−2)テンションロール140が引かれて左側へ移動する。
荷物の右端より少し内側に入る。
この時点でテンションロール140が停止し、設定位置に停止する。
この行程で、テンションはインナープレート50によって付与され続ける。
【0028】
(13)テンションロール140抜き<2>(図10(B),(C)参照)
(13)−1)テンションロール140が上方へ90°転回し、バンド1より抜き取られる。
(13)−2)この時インナープレート50は常に右側に引かれ、テンションロール140を抜いている間、抜いた後も引き続け、バンド1を張り続けている。
(14)アウタープレート30接近(図10(D),(E)参照)
(14)−1)アウタープレート30は前進しながら右側へ移動し、荷物に接近して設定位置で停止する。角の位置がずれないようにしている。このとき、第2のチャック120はフリーなので、バンド1の動きに追従する。
(14)−2)上記動きに対応してインナープレート50はテンションをかけ続けている。
(14)−3)テンションロール140がさらに右側の初期位置に移動する。
(15)インナープレート50接近(図11(A),(B)参照)
インナープレート50が荷物Bの前面に接近する。
(15)−1)インナープレート50が右側へ移動しつつ、バンド1を引きながら(図中1−1方向)、荷物に接近し(図中1−2方向)、設置位置で停止する。右側へは引き続ける。
(15)−2)インナープレート50停止後、第1のチャック110を解放する。これでアウタープレート30はフリーになる。この行程でも、インナープレート50は図中右側へバンド1を引き続けてテンションをかけ続けている。
【0029】
(16)締め込み<1>(図11(C),(D)参照)
(16)−1)インナープレート50が垂直の状態でバンド1を引き続ける。
(17)締め込み<2>(図11(E)参照)
(17)−1)インナープレート50下側の支点(転回中心点)を中心に、上側をシリンダ,バネ等によって転回し、バンド1上側をさらに引っ張るようにする。
(18)接着<1>(図12(A),(B)参照)
(18)−1 第1のチャック110上の接着ロール180を前進させ、バンド1と荷物Bを共に押す。
これにより、バンド表面と折り返し部との重なり部の面状ファスナ40が接着される。
(18)−2 インナープレート50は締め込み<2>の状態で、バンドを引きつけている。
【0030】
(19)接着<2>(図12(C)参照)参照)
(19)−1)接着ロールを押し続けながら、図中右側へ移動する。
第1のチャック110と第2のチャック120が接触寸前まで第1のチャックを移動する。
(19)−2)インナープレート50は引き続ける。
上記動作後、インナープレート50を第2のチャック120より開放する。
(20)終了(図12(D)参照)
(20)−1)接着ロール170,インナープレート50開放後も、さらに右側へ移動し、完全に接着する。このとき、第2のチャック120も第1のチャック110の接着ロール170と同調して右側へ移動する。
乱積みの場合
【0031】
混載等により乱積みの場合について説明する。
図12(E)のような荷物の欠けなどの荷姿に対応するバンド1の締め込みについて説明する。
(1)〜(17)はすべて同じ動作である。
(17)′締め込み<3>(図12(E)参照)
(17)′−2)インナープレート50は常にバンド1を引き続けている。
(17)′−1 (17)締め込み<2>の状態のまま、インナープレート50(インナー側の第2のチャック120)を下へ下げる(設定位置で停止)。
このとき、1,2の動きは連動して斜め下に向けて引っ張られる。
また、インナープレート50の左方向(バンドを引く方向)への動きを停止し、下への動きのみとして設定位置にて停止し(1の動作)、停止後、左方向への動きをさせるようにしてもよい。
その後、上記(18)〜(20)の行程に進み、完了する。
以上、乱積み時は、上記した(17)と(18)の動作の間に、(17)′の動作を追加すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は本発明の実施の形態1に係るバンド巻付け装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図2は図1の第1チャック機構を示すもので、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は平面図である。
【図3】図3は図1の第2チャック機構を示すもので、同図(A)は第2のチャックと受け渡し用把持具が離れている状態を示す図、同図(B)は第2のチャックと受け渡し用把持具が重なった状態を示す図である。
【図4】図4は第2チャック機構の正面断面図である。
【図5】図5は図1のバンド巻付け装置に用いられるバンドを示すもので、(A)は一部省略正面図、(B)は面状ファスナの構成を示す図、(C)は芯金を示す図である。
【図6】図6は図5のバンドの使用例を示すもので、(A)は巻付けた状態を示す概略斜視図、(B)はバンドを巻付けた状態を中身を省略して示した図、(C),(D)はアウタープレートを巻き芯として巻いたバンドの初期形態を示す斜視図である。
【図7】図7乃至図12は本発明のバンド巻付け装置の使用方法を説明するもので、図7(A)は初期状態の説明図、(B)は初期展開状態の説明図、(C)はテンションロールを跳ね上げた状態の説明図である。
【図8】図8(A)はバンドの3/4展開状態の説明図、(B)はテンションロール移動状態の説明図、(C)は(B)のA−A′線矢視図、(D)はテンションロールを90°転回した説明図、(E)は(D)のB−B′線矢視図である。
【図9】図9(A)はテンションロール作動状態の説明図、(B)はインナープレート移動状態の説明図、(C)はバンド全展開状態の説明図、(D)はアウタープレート移動状態の説明図、(E)はアウタープレート通し状態の説明図、(F)はインナープレート反転状態の説明図である。
【図10】図10(A),(B)はテンションロール抜き取り状態の説明図、(C)は(B)のC−C′矢視図、(D)はアウタープレート接近状態の説明図、(E)はアウタープレートの移動方向のベクトル図である。
【図11】図11(A)はインナープレート接近状態の説明図、(B)はインナープレートの移動方向のベクトル図、(C)は締め込み工程の説明図、(D)は(C)のG−G′線矢視図、(E)は(D)のインナープレートの傾きの説明図である。
【図12】図12(A),(B),(C)は接着工程の説明図、(D)は終了状態の説明図、(E)は乱積み状態の荷姿を示す図、(F)は他の締め込み状態を説明する図である。
【符号の説明】
【0033】
B 物品 箱体
1 締付けバンド
10 バンド本体
20 つなぎベルト(つなぎ部材)
30 アウタープレート
H 高剛性部
40 面状ファスナ(固定手段)
41 接着側テープ
41a 第1テープ
41b 第2テープ
41c 第3テープ
42 被接着側テープ
50 インナープレート
60 芯金(心材)
70 ウェイブ部
101 上部ガイドフレーム
F 搬送路
102 サイドフレーム
110 第1のチャック
104 第1チャック機構
120 第2チャック
111 チャック支持台
112 ブラケット
113 Z軸案内台
114 Y軸案内台
130 サーボモータ(トルク発生手段)
131 動力伝達機構
121 チャック支持台
122 ブラケット
123 受け台
124 トグルリンク
125 流体圧シリンダ
126 Z軸案内台1
127 Y軸案内台
140 テンションロール
106 テンションロール支持機構
150 固定ロール


【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り返し使用可能な可撓性のバンドであって、一方の端部を巻き芯にして巻いた形態を初期形態とするバンドと、
前記バンドの巻き芯となる端部を回転自在に保持する第1のチャックと、
前記バンドの他方の端部を保持する第2チャックと、
第1のチャックに対して巻き戻し方向のバックテンションを作用させるトルク発生手段と、
バンドの中間部分に引っ掛けてバンドを引き伸ばす方向に移動させるテンション部材と、を備え、
初期展開時には、前記第1のチャックと第2のチャックを搬送路を隔てて反対側に位置するように移動させ、トルク発生手段によるバックテンションをかけながら第1のチャックを回転させてバンドを所定量巻き出し、巻き出したバンド部分が荷物の搬送路を横切るように展開し、
荷物進入時には、搬送路上を搬送されてくる荷物が待機中のバンド部分に進入し、前記バックテンションを受けながらバンド部分が押されることによって第1のチャックが回転してバンドがさらに巻き出され、巻き出されたバンドが荷物の前方部分から側方にかけて展開し、
全開時には、テンション部材をバンドの中途部に引っ掛けて引き伸ばす方向に移動させることにより、前記バックテンションをかけながら第1のチャックをさらに回転させてバンドの巻き芯側の端部が露出するまで引き切って全開とし、バックテンションを解除する構成となっていることを特徴とするバンド巻付け装置。
【請求項2】
バンドの一方の端部には枠を構成するアウタ部材が設けられ、バンドの他方の端部には枠に挿通可能なインナ部材が設けられ、インナ部材をアウタ部材の枠にくぐらせて折り返して締付け固定する構成となっている請求項1に記載のバンド巻付け装置。
【請求項3】
インナ部材をアウタ部材の枠に通して折り返した後、インナ部材の下端を支点にして上側をさらに引っ張って傾ける構成となっている請求項2に記載のバンド巻付け装置。
【請求項4】
インナー部材を引っ張る力の方向は、水平方向成分と垂直下向き成分の合力の方向であり、インナー部材を斜め下向きに引っ張る構成となっている請求項3に記載のバンド巻付け装置。
【請求項5】
バンドのインナ部材をアウタ部材の枠を通して折り返した折り返し部を巻き付けたバンド部分に重ね、重なった部分に設けられた面状ファスナを固定する押圧手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のバンド巻き付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−68872(P2008−68872A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246190(P2006−246190)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(504345148)株式会社ゼロテクノス (9)
【出願人】(502022896)株式会社エコシステム (4)
【Fターム(参考)】