説明

バーコードシール

【課題】ロールボックスパレットの枠柱の周方向のどこからでもバーコードリーダをバーコードに近接させて読み取ることができ、厳密な位置合わせが不要で、読み取り操作を簡素化できるバーコードシールを提供する。
【解決手段】ロールボックスパレット5の枠柱6の外周に巻き付けて、固着可能に形成した粘着裏面を有するバーコードシール1において、シールをロールボックスパレット5の枠柱の外周に巻き付けた状態でバーコード2の高さがロールボックスパレットの枠柱の外周を充分に覆うように、バーコード自身の高さ方向Hを長尺に構成したバーコードを、天地方向Wに配列して表記するとともに、その上または下に目視情報部3を配置し、その目視情報部には少なくとも、バーコードが表す情報と同じ情報4を表記した構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールボックスパレット(「かご台車」とも呼ばれる)を用いた物流システムにおいて、ロールボックスパレットの枠柱の外周に貼り付けて使用するバーコードシールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロールボックスパレットは外周の3面を格子枠で構成し、残りの1面が開口になっているキャスタ付きの有底かご台車である。台車機能とパレット機能を併せ持っているので、倉庫では荷物を積み込んだまま保管し、搬送時においては、そのままトラックに積み込んで運搬し、配送先ではそのまま荷下ろしができるので、たいへん便利で汎用性も高く、近年各種物流において多用されている。しかしながら、ロールボックスパレットをレンタルする業務や、あるいはこれを利用して各種の物品を運搬する物流業務などにおいては、その出庫や入庫、あるいは所在地に関する情報を的確に把握して管理することが求められている。
【0003】
ロールボックスパレットの従来例としては、例えば特許文献1(特開平8−188158号公報)や特許文献2(特開2006−256488号公報)あるいは特許文献3(特開2006−290440号公報)に記載のものがある。これらいずれの例においても、コンピュータによる管理を容易にするための手段を備えていないので、従来においては、例えば管理対象のロールボックスパレットのそれぞれに管理番号等を付け、管理台帳に出庫や入庫情報を記帳する等して管理していた。
【特許文献1】特開平8−188158号公報
【特許文献2】特開2006−256488号公報
【特許文献3】特開2006−290440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、従来のロールボックスパレットにおいては、管理台帳の記帳等に手間がかかるうえ、記帳ミスが発生しやすく、さらにはロールボックスパレットをレンタルにて利用する場合等において、紛失事故が発生する等の課題があった。本発明はこのような課題を解決し、ロールボックスパレットのコンピュータによる管理を容易にして、管理の信頼性を高めるとともに省力化を計り、ロールボックスパレットの利用をさらに促進することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために,本発明では、ロールボックスパレットの枠柱の外周に巻き付けて、固着可能に形成した粘着裏面を有するシールにおいて、このシールをロールボックスパレットの枠柱の外周に巻き付けた状態で、バーコードの高さがロールボックスパレットの枠柱の外周を充分に覆うように、バーコード自身の高さ方向を長尺に構成したバーコードを、天地方向に配列して表記するとともに、その上または下に目視情報部を配置し、その目視情報部には少なくとも、バーコードが表す情報と同じ情報を表記したバーコードシールを提案する。
【0006】
そして、本発明は上記構成において、バーコードが表す情報には、ロールボックスパレットを識別するための情報を含むバーコードシールを提案する。
【0007】
さらに、本発明は上記構成において、目視情報部には、バーコードが表す情報と同じ情報に加えて、顧客情報を表記したバーコードシールを提案する。
【0008】
そして、本発明は上記構成において、目視情報部には、バーコードが表す情報と同じ情報に加えて、日付情報を表記したバーコードシールを提案する。
【発明の効果】
【0009】
まず、本発明のバーコードシールは、ロールボックスパレットの枠柱の外周に巻き付けて、固着可能に形成した粘着裏面を有しているので、このシールをロールボックスパレットの枠柱の外周に巻き付けて、その裏面をロールボックスパレットの枠柱の外周に貼り付けることができる。この状態で、シールの表面には、バーコードを表記しているので、バーコードリーダによりワンタッチでこのバーコードを読み取って、その情報をコンピュータに入力することができる。したがって、手入力による入力ミスや記帳ミスなどの発生が無く、しかも手間がかからずに、ロールボックスパレットのコンピュータによる管理を容易にして、管理の信頼性を高める効果がある。
【0010】
さらに本発明のバーコードシールは、前記のように、その裏面をロールボックスパレットの枠柱の外周に貼り付けた状態で、バーコードの高さがロールボックスパレットの枠柱の外周を充分に覆うように、バーコード自身の高さ方向を長尺に構成しているので、高さ方向が短尺な従来のバーコードに比べ、ロールボックスパレットの枠柱の周方向における、バーコードの存在領域を長く形成させることができ、したがってロールボックスパレットの枠柱の周方向のどこからでもバーコードリーダをバーコードに近接させて読み取ることができるので、厳密な位置合わせが不要であり、読み取り操作を簡素化しうるという効果がある。
【0011】
また、本発明のバーコードシールは、バーコードの上または下に目視情報部を配置し、その目視情報部には少なくとも、バーコードが表す情報と同じ情報を表記したので、バーコードが表す情報を目視によって確認することができる。
【0012】
さらに、本発明のバーコードシールに表記するバーコードが表す情報には、ロールボックスパレットを識別するための情報、例えば識別コード等を含むので、これをバーコードリーダで読み取って、コンピュータに入力すれば、データベース等の検索キーとして利用することができるので、その識別情報を有するロールボックスパレットに関するさまざまデータ処理を効率良く行うことができる。
【0013】
また、本発明のバーコードシールの目視情報部には、顧客情報や日付情報を表記したので、ロールボックスパレットの引渡し先顧客に関する情報、例えば顧客名等を目視によって確認することができるし、またロールボックスパレットの出荷日等の日付情報も目視確認することができる。
【実施例】
【0014】
次に本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。
図1〜図4は本発明に係る実施例を示すもので、図1(a)は本発明のバーコードシール1の表面説明図で、バーコード2自信の高さ方向Hを長尺に構成したバーコード2を天地方向Wに配列して表記するとともに、その上または下に目視情報部3を配置し、その目視情報部3には少なくとも、バーコード2が表す情報と同じ情報4を表記している。なお、バーコードシール1は粘着裏面(図示せず)を有している。
【0015】
また、図5の従来のバーコード200がバーコード200自信の高さ方向hにおいて短尺であるのに比べ、本発明のバーコードシール1は充分長尺な構成としている。これは、本発明のバーコードシール1の使用状態の斜視図的説明図である図1(b)に示すように、本発明のバーコードシール1をロールボックスパレット5の適宜な枠柱、例えば枠柱6aの外周に、その粘着裏面を巻き付けて固着させた状態で、バーコード2の高さHがロールボックスパレット5の枠柱6aの外周を充分に覆うようにするためであり、例えばバーコード2の高さと、ロールボックスパレット5の枠柱6aの外周長を同じにすれば、枠柱6aの全周において、バーコード2が存在することになり、したがってロールボックスパレット5の枠柱6aの周方向のどこからでもバーコードリーダ(図示せず)をバーコード2に近接させて読み取ることができる。図2は図1(b)の要部Aを拡大した説明図である。
【0016】
本実施例においては、バーコードシール1をロールボックスパレット5の枠柱6aに貼り付けたが、枠柱ならば6bでも6cでも都合の良いところに貼って良く、また人の目の高さであれば、バーコードシール1を見つけやすいし、しかもバーコードリーダも操作しやすく、また目視情報部3の内容を目で見て確認しやすい。
【0017】
図3は、本発明のバーコードシール1の運用説明図である。バーコードシール1の発給者(図示せず)はインターネット7等に接続したサーバ8と端末機器(パソコン)9とプリンタ10により、バーコードシール1の発行処理を行う。サーバ8は管理対象のロールボックスパレット5に関するデータベースを有し、ロールボックスパレット5を識別するための情報、例えば識別コード等に対応させて、その所在地に関するデータや、顧客情報、出荷日付情報等を蓄積しているので、例えば識別コードを検索キーとして利用することにより、ロールボックスパレット5に関するさまざまデータ処理を行うことができる。
【0018】
端末機器(パソコン)9はサーバ8の端末機器として、サーバ8に対してデータ検索や更新処理の実行を指示するとともに、インターネット7を介して、利用者側の端末機器(パソコン)11と電子メール等のデータ通信を行い、そしてプリンタ10により、バーコードシール1の発行処理を行う。プリンタ10による印刷処理においては、例えば図4に示すように、A4版の台紙12に粘着紙13を貼り付けるとともに、粘着紙13にはバーコードシール1の形状にあらかじめ切り目14を入れて、複数枚(本実施例では8枚)の無地シール15を形成した用紙を用い、無地シール15のそれぞれに、バーコードシール1の1枚分のデータを印刷し、そしてバーコードシール1を一枚一枚切り目14からはがして使用する。
【0019】
利用者側では端末機器(パソコン)11と、バーコードリーダ機能と端末機器(パソコン)11との通信機能を備えた可搬端末機器(ハンディターミナル)16により、例えば以下のように運用する。
【0020】
まず、バーコードシール1の発給者側において、ロールボックスパレット5の出庫にさいし、識別コードと顧客情報、出荷日付情報を、端末機器(パソコン)9からサーバ8上のデータベースに対し登録するとともに、その情報をバーコードシール1に印刷し、そしてこれをロールボックスパレット5に貼り付けて出庫する。そのさい、利用者側に対し、バーコードシール1の情報と、その情報を有するロールボックスパレット5を出庫した旨を、インターネット7を経由して電子メールにより利用者側の端末機器(パソコン)11に通知する。
【0021】
利用者側ではロールボックスパレット5の入荷時に、可搬端末機器(ハンディターミナル)16により、バーコードシール1のバーコードを読み取って、そのデータを端末機器(パソコン)11に転送する。さらに、端末機器(パソコン)11はそのデータを、インターネット7を経由して電子メールにより発給者側の端末機器(パソコン)9に送信して、入荷したことを通知する。
【0022】
発給者側は利用者側から送信された入荷情報に基づいて、サーバ8上のデータベースの内容を更新する。つまり、利用者側から送信された入荷情報に含まれる識別コードを有するロールボックスパレット5の所在地情報を、例えば「顧客への搬送中」から「顧客入荷」へ変更する。
【産業上の利用可能性】
【0023】
以上のように、本発明のバーコードシールは、ロールボックスパレットの枠柱の外周に貼り付けるだけのきわめて簡単な操作で、識別コード等の管理情報をバーコードと目視情報の双方により、ロールボックスパレットの一つ一つに対し与えることができ、しかも誤りの多い手入力によらず、バーコードリーダによりそのバーコードを読み込んで、パソコン等のコンピュータによるデータ処理が可能であるうえ、そのバーコードリーダによる読み取り操作において、従来のような厳密な位置合わせが不要なので、読み取り操作を簡素化でき、したがってロールボックスパレットのコンピュータによる管理を容易にして、しかも管理の信頼性を高めることができることから、ロールボックスパレットの利用をさらに促進するので、その産業上の利用可能性はきわめて甚大である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)は本発明のバーコードシール1の表面説明図、 (b)は本発明のバーコードシール1の使用状態の斜視図的説明図。
【図2】図1における要部の拡大図的説明図。
【図3】本発明のバーコードシール1の運用説明図。
【図4】本発明のバーコードシール1の印刷状態説明図。
【図5】従来のバーコードの説明図。
【符号の説明】
【0025】
1 本発明のバーコードシール
2 バーコード
3 目視情報部
3a 目視情報部における顧客情報
3b 目視情報部における日付情報
3c 目視情報部におけるバーコードシールの発給者名等の情報
4 目視情報部3における、バーコード2が表す情報と同じ情報
5 ロールボックスパレット
6(6a、6b、6c、…) 枠柱
7 インターネット
8 サーバ
9 端末機器(パソコン)
10 プリンタ
11 利用者側の端末機器(パソコン)
12 台紙
13 粘着紙
14 切り目
15 無地シール
16 可搬端末機器(ハンディターミナル)
H バーコード2の高さ方向
W バーコード2の天地方向
200 従来のバーコード
h 従来のバーコード200の高さ方向
w 従来のバーコード200の天地方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールボックスパレットの枠柱の外周に巻き付けて、固着可能に形成した粘着裏面を有するシールにおいて、このシールをロールボックスパレットの枠柱の外周に巻き付けた状態で、バーコードの高さがロールボックスパレットの枠柱の外周を充分に覆うように、バーコード自身の高さ方向を長尺に構成したバーコードを、天地方向に配列して表記するとともに、その上または下に目視情報部を配置し、その目視情報部には少なくとも、バーコードが表す情報と同じ情報を表記したことを特徴とするバーコードシール。
【請求項2】
バーコードが表す情報には、ロールボックスパレットを識別するための情報を含むことを特徴とする請求項1に記載のバーコードシール。
【請求項3】
目視情報部には、バーコードが表す情報と同じ情報に加えて、顧客情報を表記したことを特徴とする請求項1に記載のバーコードシール。
【請求項4】
目視情報部には、バーコードが表す情報と同じ情報に加えて、日付情報を表記したことを特徴とする請求項1に記載のバーコードシール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−53368(P2009−53368A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218933(P2007−218933)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(592192907)日建リース工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】