説明

バーコード付ラベル

【課題】 臨床検体を収容したラベルに貼付するのに好適なバーコード付ラベルであって、バーコードの下に記載された文字や記号が視認可能であり、それによってバーコード付ラベルの貼り間違いの防止に有効な、バーコード付ラベルを提供すること。
【解決手段】 バーコード付ラベルは、半透明の領域上にバーコードが印刷された領域を少なくとも含む。
【効果】 このバーコード付ラベルでは、半透明の領域にバーコードが印刷されているため、バーコードの下の文字等を読むことができ、それでいてバーコード自体はバーコードリーダーにより正確に読み取ることができる。従って、このラベルを臨床検査センターの検体ラベルに適用し、病院等で貼付されたラベルの上から本発明のバーコード付ラベルを貼付することにより、臨床検査センターのラベルの貼り間違いを防止又は低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードが印刷されたラベルに関し、特に、血液等の臨床検体が収容された試験管等の容器に貼付するのに好適なバーコード付ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
臨床試験を専門に行なっている臨床検査センターには、病院、健康診断センター、人間ドック等(以下、「病院等」)から、血液等の臨床検体が送られて来る。臨床検査センターでは、それらの検体について臨床試験を行い、その試験結果を、病院等に報告している。大きな臨床検査センターには、全国の病院等から1日に約10万個もの検体が送られて来る。臨床検体は、通常、試験管のような容器に収容されている。病院等では、通常、各検体を識別するために、患者名、検体採取日、病院内の診療科名、識別番号等を記載したラベルを貼付している。一方、臨床検査センターでも、検体の識別のための情報をコード化したバーコード及びその他の情報を記載した独自のラベルを貼付し、バーコードをバーコードリーダーにより読み取ると共に、試験結果をコンピューター処理している。臨床検査センターのラベルの貼付は、人手により行なわれるので、ラベルを貼り間違える可能性がある。ラベルを貼り間違えれば、他の患者の検体の試験結果が報告されてしまう恐れがあり、あってはならないことである。
【0003】
従来、臨床検体を収容した容器に貼付する検体ラベルとしては、容器内部の検体の状態を見ることができるようにするために、透明な窓を設けたもの(特許文献1)等が知られている。しかしながら、これらの検体ラベルでは、バーコードを印刷する場合には、バーコードは紙等の不透明な基体上に印刷される。従って、少なくともバーコードの下は、バーコードを印刷した基体によって隠されてしまい、容器内を見ることはできない。バーコードの下を見ることができるようにするために、バーコードを透明なフィルムに印刷すると共に、バーコードを印刷するインクとして透明な赤外線発光蛍光塗料を採用したラベルも知られている(特許文献2)。しかしながら、このような特殊なインクを用いてバーコードを印刷することは、市販の通常の汎用プリンターでは困難であり、赤外線発光蛍光を読み取る特殊なバーコードリーダーが必要になり、また、インクのコストも高い。
【0004】
【特許文献1】特開平11-85024号公報
【特許文献2】特開平9-34361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、臨床検体を収容したラベルに貼付するのに好適なバーコード付ラベルであって、バーコードの下に記載された文字や記号が視認可能であり、それによってバーコード付ラベルの貼り間違いの防止に有効な、バーコード付ラベルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは、臨床検査センターにおける、ラベルの貼り間違いを防止するためには、病院等により貼付されたラベルを剥離することなく、その上に臨床検査センターのラベルを貼付し、かつ、臨床検査センターのラベルが貼付された後でも、病院等が貼付したラベルに記載されている情報が目視により読み取れることが有効であることに想到した。なぜなら、病院等が貼付したラベルには患者名等の識別情報が記載されており、それを読むことができれば、それを確認しながら臨床検査センターのバーコード付ラベルを貼付する作業を行うことができ、さらに、臨床検査センターのラベルを貼付した後においても貼り間違いがないかどうかを再確認できるからである。
【0007】
バーコードの下に記載された文字等を見ることができるようにする技術としては、上記した特許文献2に記載されているように、透明なフィルム上に赤外線発光蛍光塗料でバーコードを印刷する方法が知られている。しかし、これは上記したとおり、特殊な装置を必要とし、コストも高い。透明なフィルム上に通常のインクでバーコードを印刷することも考えられるが、これではバーコードの下に文字等が記載されている場合、その文字等もバーコードリーダーにより読み取られてしまうために、バーコードを正確に読み取ることができなくなる。
【0008】
本願発明者らは、鋭意研究の結果、バーコードを半透明の基体上に印刷することにより、バーコードの下の文字等が目視により視認可能であり、それでいて、バーコードリーダーによるバーコードの読み取りが正確に行なわれることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、第1の半透明の領域上にバーコードが印刷された領域を少なくとも含む、バーコード付ラベルを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のバーコード付ラベルでは、半透明の領域にバーコードが印刷されているため、バーコードの下の文字等を読むことができ、それでいてバーコード自体はバーコードリーダーにより正確に読み取ることができる。従って、本発明のラベルを臨床検査センターの検体ラベルに適用し、病院等で貼付されたラベルの上から本発明のバーコード付ラベルを貼付することにより、臨床検査センターのラベルの貼り間違いを防止又は低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
上記の通り、本発明のバーコード付ラベルでは、バーコードが半透明の領域上に印刷されている。ここで、「半透明」とは、バーコードの下にある文字や記号等が目視により視認可能で、かつ、バーコードの下に文字等が記載されている場合であっても通常のバーコードリーダーによりバーコードが正確に読み取れる程度の半透明を意味する。半透明の領域としては、濃度を適宜調整して白印刷した白インク層や、半透明フィルムを利用でき、バーコードは通常の黒のインクで印刷することができる。半透明フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートのような本来透明のフィルムに、炭酸カルシウム等の無機粒子を配合して半透明にしたものや、フィルムの表面をマット化処理して半透明にしたもの等が利用可能であり、市販品を利用可能である。
【0012】
本発明のラベルは、バーコードを印刷した上記半透明領域(第1の半透明領域)のみから成っていてもよいが、バーコード以外の情報を記載するための第2の半透明領域を有していることが好ましい。第2の半透明領域には、患者の氏名等、バーコード以外の各種情報を記載することができる。バーコード以外の情報は、透明領域に記載することも可能であるが、半透明領域に記載することにより、ラベルの下に記載されている文字等と一目で識別できるので、バーコード以外の文字等も半透明領域に記載することが好ましい。
【0013】
第2の半透明領域が存在する場合、第1の半透明領域と第2の半透明領域が連続していると、単一の半透明フィルムで両半透明領域を形成できるので好都合である。また、検体を収容する容器は多くの場合試験管であるので、バーコードの長手方向は、試験管の長手方向に沿って配置し、一方、第2の半透明領域は、バーコードの長手方向と直行する方向に延びていることが便利である。すなわち、第1の半透明領域と第2の半透明領域は、L字形又はT字形の形状を有することが好ましい。なお、「T字形」のTの字の縦棒は必ずしも横棒の中心に接している必要はなく、どちらかに偏った位置に接触していてもよい。
【0014】
ラベルの全体形状は、略長方形(正方形を包含する)であることが、貼付し易いので好ましく、この場合、上記第1の半透明領域及び第2の半透明領域以外の領域は、透明であることが、ラベルの下の部分の視認性を高める観点から好ましい。なお、透明領域には、文字等を記載することを意図していないが、必要に応じ、透明領域に文字等を記載することも可能である。
【0015】
半透明領域と透明領域とを有するラベルは、透明フィルムの上に部分的に通常の白印刷を濃度調整して施して半透明領域を作ったり、透明なフィルム上に、半透明領域を形成する半透明フィルムを積層すること等により容易に製造することができる。透明フィルムの裏面には接着剤が塗布され、台紙上に貼着されていることが好ましい。バーコード等を印刷後、貼付時に台紙から剥離して容器に貼付することができる。
【0016】
本発明のラベルは、臨床検査センターで貼付する検体ラベルである場合に特に効果を発揮する。すなわち、検体容器上に病院等で貼付されたラベルの上から、本発明のラベルを貼付することにより、本発明のラベル上のバーコードを通常のバーコードリーダーで正確に読み取ることができ、それでいて、バーコードによって被覆されてしまった、病院等で貼付されたラベルを読むこともできる。これにより、臨床検査センターにおけるバーコード付ラベルの貼り間違いを防止又は少なくとも低減できる。なお、検体ラベルの場合、少なくともバーコードが印刷される大きさがあればラベルのサイズは何ら限定されないが、通常、縦が3cm〜8 cm程度、好ましくは3cm〜4cm程度、横が試験管を1週ないし1週半、好ましくは1週ないし1週強程度のサイズ、汎用の試験管であれば好ましくは5cm〜7cm程度、を有する。
【0017】
なお、本発明のバーコード付ラベルは、検体ラベルに適用するときに特に効果を発揮するが、必ずしも検体ラベルに限定されるものではなく、バーコードにより被覆されてしまう部分に記載された文字等を見ることが望まれる、他のいずれのラベルとしても使用可能である。
【実施例】
【0018】
以下、図面に基づき本発明の好ましい実施例を具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0019】
図1に、本発明のラベルの好ましい1実施例を模式的に示す。ラベル10は、略長方形状(四隅が丸めてあることを除けば長方形)であり、第1の半透明領域にバーコードとその下の数字が記載されている。バーコードは、通常の黒インクで印刷され、市販の汎用プリンターで印刷される。バーコードには、例えば、患者氏名、検査種目、検査日、依頼施設名等の各種識別情報が特定できる識別子をコード化することができる。第2の半透明領域14が、第1の半透明領域12と連続して設けられ、第1及び第2の半透明領域がL字形を形成している。第2の半透明領域には、「ヒノ タロウ」という患者氏名が記載されている。もちろん、他の情報を記載することが可能であることは言うまでもない。L字形の半透明領域以外の領域16は、透明領域である。ラベルの裏側には接着剤によって台紙が貼られており、ラベルを貼る際には、台紙から剥離して貼る。試験管に貼付するラベルの好ましいサイズは、例えば3cm x 6 cmである。
【0020】
図1に示すラベルは、例えば、透明なフィルム上に適宜濃度調整した白印刷を施して上記第1及び第2の半透明領域を形成することにより製造できる。
【0021】
使用時には、ラベルを台紙から剥離し、容器に貼付する。試験管に貼付される検体ラベルとして用いる場合には、バーコードの長手方向が試験管の長手方向に沿う向きにラベルを貼付し、ラベルで試験管を巻く。
【0022】
上記のラベルを、病院等が貼付したラベルの上から貼付した場合、病院等が貼付したラベルに記載された文字等は、バーコードに被覆される部分に記載されたものであっても目視により読み取ることができ、一方、バーコードは、通常のバーコードリーダーにより正確に読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のラベルの好ましい1実施例を模式的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の半透明の領域上にバーコードが印刷された領域を少なくとも含む、バーコード付ラベル。
【請求項2】
前記第1の半透明領域の他に、文字及び/又は記号を記載した第2の半透明領域をさらに含む請求項1記載のラベル。
【請求項3】
透明領域をさらに含み、該透明領域及び前記第1の半透明領域並びに存在する場合にはさらに前記第2の半透明領域から成るラベルの全体形状が略長方形である請求項1又は2記載のラベル。
【請求項4】
前記第1及び第2の半透明領域が連続している請求項2又は3記載のラベル。
【請求項5】
前記第1及び第2の半透明領域が、L字形又はT字形の形状を有する請求項4記載のラベル。
【請求項6】
文字及び/又は記号が記載されている部分の上に貼付される請求項1ないし5のいずれか1項に記載のラベル。
【請求項7】
検体を収容した容器に添付される検体ラベルである請求項1ないし6のいずれか1項に記載のラベル。


【図1】
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【公開番号】特開2006−106455(P2006−106455A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−294498(P2004−294498)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(390037006)株式会社エスアールエル (29)
【Fターム(参考)】