説明

バーコード読取方法及びバーコード読取装置

【課題】凹凸状のバーコードの読取精度の向上を図る。
【解決手段】バーコード読取方法は、レーザ変位計を用いて、レーザ変位計による測定位置及び当該測定位置における高さ方向の値を含む表面高さデータを取得する工程と、表面高さデータのうちから、バーコードの表面の凸形状に対応する凸形状データを複数識別する工程と、各凸形状データのうちから、高さ方向の値が最大となる最大点をそれぞれ抽出する工程と、高さ方向の値が最大点の高さ方向の値よりも所定の値だけ小さい点のうち、最大点よりも前方及び後方に表面高さデータをそれぞれ探索したときに最初に現れる各初出点を、全ての前記最大点について抽出する工程と、バーコードの読取方向における隣り合う初出点同士の間隔を初出点間隔として取得する工程と、全ての初出点間隔について、初出点間隔が所定の範囲内の大きさであるか否かを判定する工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の突条が互いに平行となるように表面上に配置されることで表面が凹凸面とされた凹凸状のバーコードを読み取るためのバーコード読取方法及びバーコード読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の突条が互いに平行となるように物体(タイヤのサイドウォール部)の表面上に配置されることで表面が凹凸面とされた凹凸状のバーコードを読み取るための方法が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。このバーコード読取方法は、凹凸状のバーコードを変位センサで走査してその波形Hを検出するステップと、波形Hにおける読取単位時間t内での最大値Hmax及び最小値Hminを求め、その中心値Hmを演算するステップと、波形HのうちHm以下の値を示す部分を切り捨てて整形波形Hsとするステップと、整形波形Hsのうち一定値を超える部分について切り捨てて、整形波形Hsを上限値Lが設けられた波形Hrとするステップと、波形Hrのうち上限値L以下の部分の面積を算出し、各部分の面積の値と予め記憶されている値とを比較することにより、太いバーコードであるか細いバーコードであるかを判定するステップとを備える(図7参照)。このバーコード読取方法では、読取単位時間t内における最大値Hmax及び最小値Hminから求められた中心値Hmを用いて、波形Hのうち中心値Hm以下の値を示す部分を切り捨てているので、波形Hの測定対象物の表面が曲面状であってもその傾きの影響を少なくすることができるようになっている。
【特許文献1】特開昭61−131074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このような凹凸状のバーコードは、電子部品の製造工程においても利用されている。具体的には、グリーンチップが載置されるさやの表面や、バレルめっき装置のバレルの表面等に凹凸状のバーコードを設け、ロットの管理等を行っている。
【0004】
ところで、凹凸状のバーコードを電子部品の製造工程に利用する場合、凹凸状のバーコードの凹部に異物が溜まったり、凹凸状のバーコードの凸部に異物が堆積しやすい。そのため、このように凹凸状のバーコードの凹部や凸部に異物が堆積した場合、上記のような従来のバーコード読取方法では、中心値Hmが異物の影響を受けてしまうことが起こりうる。そうすると、所望の整形波形Hsが得られず、結果的に、バーコードを正しく読み取れなくなってしまう虞があった。
【0005】
そこで、本発明は、凹凸状のバーコードの読取精度の向上を図ることが可能なバーコード読取方法及びバーコード読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るバーコード読取方法は、複数の突条の延在方向が互いに平行となるように表面上に配置されることで表面が凹凸面とされた凹凸状のバーコードを読み取るためのバーコード読取方法であって、バーコードの表面高さを測定する測定手段及びバーコードのどちらか一方を突条の延在方向と交差する方向に移動させて、バーコードの表面高さを測定することで、測定手段による測定位置及び当該測定位置における高さ方向の値を含む表面高さデータを取得する工程と、表面高さデータのうちから、バーコードの表面の凸形状に対応する凸形状データを複数識別する工程と、各凸形状データのうちから、高さ方向の値が最大となる最大点をそれぞれ抽出する工程と、高さ方向の値が最大点の高さ方向の値よりも所定の値だけ小さい点のうち、最大点よりもバーコードの読取方向における前方に向かって表面高さデータを探索したときに最初に現れる点である一の初出点、及び、最大点よりもバーコードの読取方向における後方に向かって表面高さデータを探索したときに最初に現れる点である他の初出点を、全ての前記最大点について抽出する工程と、バーコードの読取方向における隣り合う初出点同士の間隔を初出点間隔として取得する工程と、全ての初出点間隔について、初出点間隔が所定の範囲内の大きさであるか否かを判定する工程とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るバーコード読取方法では、高さ方向の値が最大点の高さ方向の値よりも所定の値だけ小さい初出点を探索している。そのため、バーコードの凸部(突条)上に異物が堆積した場合でも、異物の影響を受けることなく凸部として識別可能であり、また、バーコードの凹部に異物が溜まった場合でも、異物の高さが略均一な高さであれば異物の影響を受けることなく凹部として識別可能となっている。その結果、従来のように中心値によらずにバーコードの凹凸を識別することができるようになるので、異物がバーコードの凹凸部分に存在していても凹凸状のバーコードの読取精度の向上を図ることが可能となる。
【0008】
好ましくは、初出点間隔が所定の範囲内の大きさであるか否かを判定する工程において、初出点間隔のうち少なくとも一つが所定の範囲を超えていると判定された場合には、バーコードの読み取りができないと判定する工程を更に備える。
【0009】
より好ましくは、初出点間隔が所定の範囲内の大きさであるか否かを判定する工程において、初出点間隔のうち、凸形状データを間に置く一対の初出点によって規定される初出点間隔が所定の範囲未満であると判定された場合には、当該一対の初出点を除外したうえで隣り合う初出点同士の読取方向における間隔を初出点間隔として取得する工程を更に備える。バーコードの凹部に所定の高さの凸形状の異物が存在している場合には、バーコードの凹部の実際の幅よりも初出点間隔が狭くなることとなるが、前述の形態とすれば、バーコードの凹部に存在している凸形状の異物によって認識された初出点を除外して初出点間隔を取得することができるようになる。その結果、凹凸状のバーコードの読取精度のより一層の向上を図ることが可能となる。
【0010】
一方、本発明に係るバーコード読取装置は、複数の突条の延在方向が互いに平行となるように表面上に配置されることで表面が凹凸面とされた凹凸状のバーコードを読み取るためのバーコード読取装置であって、バーコードの表面高さを測定する測定手段及びバーコードのどちらか一方を突条の延在方向と交差する方向に移動させて、バーコードの表面高さを測定することで、測定手段による測定位置及び当該測定位置における高さ方向の値を含む表面高さデータを取得する手段と、表面高さデータのうちから、バーコードの表面の凸形状に対応する凸形状データを複数識別する手段と、各凸形状データのうちから、高さ方向の値が最大となる最大点をそれぞれ抽出する手段と、高さ方向の値が最大点の高さ方向の値よりも所定の値だけ小さい点のうち、最大点よりもバーコードの読取方向における前方に向かって表面高さデータを探索したときに最初に現れる点である一の初出点、及び、最大点よりもバーコードの読取方向における後方に向かって表面高さデータを探索したときに最初に現れる点である他の初出点を、全ての最大点について抽出する手段と、バーコードの読取方向における隣り合う初出点同士の間隔を初出点間隔として取得する手段と、全ての初出点間隔について、初出点間隔が所定の範囲内の大きさであるか否かを判定する手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るバーコード読取装置では、高さ方向の値が最大点の高さ方向の値よりも所定の値だけ小さい初出点を探索している。そのため、バーコードの凸部(突条)上に異物が堆積した場合でも、異物の影響を受けることなく凸部として識別可能であり、また、バーコードの凹部に異物が溜まった場合でも、異物の高さが略均一な高さであれば異物の影響を受けることなく凹部として識別可能となっている。その結果、従来のように中心値によらずにバーコードの凹凸を識別することができるようになるので、異物がバーコードの凹凸部分に存在していても凹凸状のバーコードの読取精度の向上を図ることが可能となる。
【0012】
好ましくは、初出点間隔が所定の範囲内の大きさであるか否かを判定する手段が、初出点間隔のうち少なくとも一つが所定の範囲を超えていると判定した場合に、バーコードの読み取りができないと判定する手段を更に備える。
【0013】
より好ましくは、初出点間隔が所定の範囲内の大きさであるか否かを判定する手段が、初出点間隔のうち、凸形状データを間に置く一対の初出点によって規定される初出点間隔が所定の範囲未満であると判定した場合に、当該一対の初出点を除外したうえで隣り合う初出点同士の読取方向における間隔を初出点間隔として取得する手段を更に備える。バーコードの凹部に所定の高さの凸形状の異物が存在している場合には、バーコードの凹部の実際の幅よりも初出点間隔が狭くなることとなるが、前述の形態とすれば、バーコードの凹部に存在している凸形状の異物によって認識された初出点を除外して初出点間隔を取得することができるようになる。その結果、凹凸状のバーコードの読取精度のより一層の向上を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、凹凸状のバーコードの読取精度の向上を図ることが可能なバーコード読取方法及びバーコード読取装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係るバーコード読取装置10の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0016】
まず、図1を参照して、バーコード読取装置10の構成について説明する。バーコード読取装置10は、後述する凹凸状のバーコード34を読み取るための装置である。そのため、バーコード読取装置10は、制御部12と、記憶部14と、I/Oポート16とを備える。
【0017】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含む図示しないECU(ElectronicControl Unit)等を有しており、バーコード読取装置10の動作を制御すると共に、I/Oポート16を介して後述するレーザ変位計20や載置台30の動作を制御する。
【0018】
記憶部14は、例えばハードディスクドライブ(HDD:HardDisk Drive)やフラッシュメモリであり、各種データを記憶する。
【0019】
I/Oポート16は、レーザ変位計20及び載置台30と接続されている。I/Oポート16を介して、制御部12からの制御信号がレーザ変位計20や載置台30に送信され、レーザ変位計20や載置台30からのデータがデータ記憶部12に送信される。
【0020】
レーザ変位計20は、図示しない半導体レーザと受光素子とを有している。レーザ変位計20は、半導体レーザから発せられるレーザ光Lの反射光を受光素子によって受光することで、レーザ変位計20と測定対象物との距離を測定する。
【0021】
載置台30は、複数の突条34aの延在方向が互いに平行となるように表面上に配置されることで表面が凹凸面とされた凹凸状のバーコード34が設けられた物体32を支持する。載置台30には、図示しない駆動機構が設けられており、制御部12から制御信号が送信されると、載置台30は、載置されている物体32を図1の矢印A方向又は矢印B方向、すなわち、バーコード34の突条34aの延在方向と交差(略直交)する方向に一定の速度で移動させる。そのため、図1の矢印A方向又は矢印B方向がバーコード34の読取方向となる。
【0022】
続いて、図1〜図5を参照して、バーコード読取装置10を用いたバーコード34の読取方法の一例について説明する。なお、図2では、ステップをSと略記している。
【0023】
まず、バーコード読取装置10がバーコード34の読取処理を開始すると、制御部12がI/Oポート16を介してレーザ変位計20を制御して、バーコード34に向けてレーザLを照射させると共に、制御部12がI/Oポート16を介して載置台30を制御して、物体32が載置されている載置台30を所定の方向(矢印A方向又は矢印B方向)に一定の速度で移動させて、バーコード34の表面高さを測定する(ステップ100)。これにより、載置台30からI/Oポート16及び制御部12を介して記憶部14に送信された、レーザ変位計20による測定位置のデータと、レーザ変位計20からI/Oポート16及び制御部12を介して記憶部14に送信された、当該操作位置における高さ方向の値のデータとを含むバーコード34の表面高さデータが記憶部14に記憶される。
【0024】
表面高さデータの一例を図3に示す。図3では、実線が、レーザ変位計20によって読み取られた表面高さデータHを示しており、破線が、突条34aに割れや欠けがなく凹凸部に異物が存在しない理想的なバーコード34の表面高さを示している。
【0025】
次に、制御部12は、記憶部14に記憶された表面高さデータに基づいて、表面高さデータのうちから、バーコード34の表面の凸形状に対応する凸形状データを識別する(ステップ102)。なお、通常、バーコード34の表面には複数の凸部が存在しており、異物が存在していることもあるので、凸形状データも複数識別される。図3においては、8個の凸形状データD1〜D8が識別されることとなる。
【0026】
次に、ステップ102で識別した複数の凸形状データのうちから、高さ方向の値が最大となる最大点をそれぞれ抽出する(ステップ104)。図3においては、凸形状データD1〜D8についてそれぞれ最大点M1〜M8が抽出される。
【0027】
次に、ステップ104で抽出した最大点に基づいて、その最大点の高さ方向の値よりも所定の値だけ小さい点を抽出する(ステップ106)。具体的には、高さ方向の値が最大点の高さ方向の値よりも所定の値だけ小さい点のうち、最大点におけるレーザ変位計20による測定位置からバーコード34の読取方向における前方に向かって表面高さデータを探索したときに最初に現れる初出点、及び、最大点におけるレーザ変位計20による測定位置からバーコード34の読取方向における後方に向かって表面高さデータを探索したときに最初に現れる初出点を抽出する。
【0028】
図3においては、最大点M1の前方の初出点として初出点S1aが抽出され、最大点M8の後方の初出点として初出点S8bが抽出される。なお、凸形状データD1は表面高さデータHのうち左端に位置するため、最大点M1の後方の初出点は存在せず、凸形状データD8は表面高さデータHのうち右端に位置するため、最大点M8の前方の初出点は存在しない。
【0029】
また、図3においては、最大点M2〜M6の前方の初出点として初出点S2a〜S6aがそれぞれ抽出され、最大点M2〜M6の後方の初出点として初出点S2b〜S6bがそれぞれ抽出される。なお、最大点M7については、凸形状データD7のうち高さ方向の値が最大点M7の高さ方向の値よりも所定の値だけ小さい点が存在しないため、初出点は抽出されない。
【0030】
次に、バーコード34の読取方向における隣り合う初出点同士の間隔を初出点間隔として取得する(ステップ108)。図4においては、隣り合う初出点S1a,S2b同士の初出点間隔W1、隣り合う初出点S2b,S2a同士の初出点間隔W2、隣り合う初出点S2a,S3b同士の初出点間隔W3、隣り合う初出点S3b,S3a同士の初出点間隔W4、隣り合う初出点S3a,S4b同士の初出点間隔W5a、隣り合う初出点S4b,S4a同士の初出点間隔W5b、隣り合う初出点S4a,S5b同士の初出点間隔W5c、隣り合う初出点S5b,S5a同士の初出点間隔W6、隣り合う初出点S5a,S6b同士の初出点間隔W7、隣り合う初出点S6b,S6a同士の初出点間隔W8、隣り合う初出点S6a,S8b同士の初出点間隔W9を取得する。
【0031】
次に、取得した全ての初出点間隔について、各初出点間隔が所定の範囲の上限を超えていないかを判定する(ステップ110)。具体的には、図3において、バーコード34の凹部及び凸部の幅の大きさとして二種類(a1,a2(ただし、a1<a2である。))規定されているので、初出点間隔W1〜W4,W5a〜W5c,W6〜W9が例えばa1×0.9〜a2×1.1の範囲の上限を超えていないかを判定する。図4に示される例では、いずれの初出点間隔もa2×1.1を超えていないと判定されることとなる。
【0032】
ステップ110において、全ての初出点間隔について、各初出点間隔が所定の範囲の上限を超えていないと判定されると、初出点間隔のうち、所定の範囲の下限未満のものがあるか否かを判定する(ステップ112)。具体的には、初出点間隔W1〜W4,W5a〜W5c,W6〜W6が例えばa1×0.9〜a2×1.1の範囲の下限未満であるか否か判定する。図4に示される例では、初出点間隔W5a〜W5cがいずれもa1×0.9未満であると判定されることとなる。
【0033】
ステップ112において、初出点間隔のうち、所定の範囲の下限未満のものがあると判定されると、所定の範囲の下限未満の初出点間隔を画定する初出点のうち凸形状データを間に置く一対の初出点を初出点から除外する(ステップ114)。図4においては、a1×0.9未満の初出点間隔W5a〜W5cが初出点S3a,S4b,S4a,S5bによってそれぞれ画定されているが、このうち初出点S4b,S4aが凸形状データM4を間に置いていることから、これらの初出点S4b,S4aが初出点から除外されることとなる。
【0034】
次に、ステップ108に戻って、バーコード34の読取方向における隣り合う初出点同士の間隔を初出点間隔として取得する。図5においては、隣り合う初出点S1a,S2b同士の初出点間隔W1、隣り合う初出点S2b,S2a同士の初出点間隔W2、隣り合う初出点S2a,S3b同士の初出点間隔W3、隣り合う初出点S3b,S3a同士の初出点間隔W4、隣り合う初出点S3a,S5b同士の初出点間隔W5、隣り合う初出点S5b,S5a同士の初出点間隔W6、隣り合う初出点S5a,S6b同士の初出点間隔W7、隣り合う初出点S6b,S6a同士の初出点間隔W8、隣り合う初出点S6a,S8b同士の初出点間隔W9を取得する。
【0035】
次に、再び、取得した全ての初出点間隔について、各初出点間隔が所定の範囲の上限を超えていないかを判定する(ステップ110)。図5に示される例では、いずれの初出点間隔もa2×1.1を超えていないと判定されることとなる。
【0036】
ステップ110において、全ての初出点間隔について、各初出点間隔が所定の範囲の上限を超えていないと判定されると、初出点間隔のうち、所定の範囲の下限未満のものがあるか否かを判定する(ステップ112)。図5に示される例では、いずれの初出点間隔もa1×0.9未満でないと判定されることとなる。
【0037】
ステップ112において、初出点間隔のうち、所定の範囲の下限未満のものがないと判定されると、各初出点間隔をバーコードパターンとして認識して、バーコードの読取処理を終了する。図5においては、初出点間隔W1〜W9がバーコードパターンとして認識されることとなる。
【0038】
続いて、図1、図2及び図6を参照して、バーコード読取装置10を用いたバーコード34の読取方法の他の例について説明する。なお、ステップ100〜108までの処理は上述した例と同じであるから、その説明を省略する。
【0039】
ステップ108の後、取得した全ての初出点間隔について、各初出点間隔が所定の範囲の上限を超えていないかを判定する(ステップ110)。具体的には、初出点間隔W1〜W4,W5a〜W5c,W6〜W9が例えばa1×0.9〜a2×1.1の範囲の上限を超えていないかを判定する。図6に示される例では、初出点間隔W7がa2×1.1を超えている判定されることとなる。
【0040】
ステップ110において、全ての初出点間隔について、各初出点間隔が所定の範囲の上限を超えていると判定されると、制御部12はそのバーコード34がバーコードパターンとして識別することができないものであると判断して、バーコードの読取処理を終了する。
【0041】
以上のような本実施形態においては、高さ方向の値が最大点の高さ方向の値よりも所定の値だけ小さい初出点を探索している。そのため、バーコード34の凸部(突条34a)上に異物が堆積した場合でも、異物の影響を受けることなく凸部として識別可能であり、また、バーコード34の凹部に異物が溜まった場合でも、異物の高さが略均一な高さであれば異物の影響を受けることなく凹部として識別可能となっている。その結果、従来のように中心値によらずにバーコード34の凹凸を識別することができるようになるので、異物がバーコード34の凹凸部分に存在していても凹凸状のバーコード34の読取精度の向上を図ることが可能となる。
【0042】
また、本実施形態においては、初出点間隔が所定の範囲内の大きさであるか否かを判定する工程において、初出点間隔のうち、凸形状データを間に置く一対の初出点によって規定される初出点間隔が所定の範囲未満であると判定された場合には、当該一対の初出点を除外したうえで隣り合う初出点同士の読取方向における間隔を初出点間隔として取得している。バーコード34の凹部に所定の高さの凸形状の異物が存在している場合には、バーコード34の凹部の実際の幅よりも初出点間隔が狭くなることとなるが、このようにすると、バーコード34の凹部に存在している凸形状の異物によって認識された初出点を除外して初出点間隔を取得することができるようになる。その結果、凹凸状のバーコード34の読取精度のより一層の向上を図ることが可能となる。
【0043】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、バーコード34の表面高さを測定できるものであれば、レーザ変位計12に限らず用いることができる。
【0044】
また、載置台30によって物体32(バーコード34)を移動させていたが、物体32(バーコード34)を固定して、レーザ変位計20を移動させるようにしてもよい。つまり、レーザ変位計20及びバーコード34のどちらか一方を矢印A又は矢印B方向に移動させるようにすればよい。
【0045】
また、バーコード34の凹部及び凸部の幅の大きさが三種類以上あってもよい。
【0046】
また、本実施形態では、初出点間隔W1〜W4,W5a〜W5c,W6〜W9の大きさがa1×0.9〜a2×1.1の範囲内にあるか否かを判定していたが、これ以外の範囲も当然に用いることができる。例えば、a1±10%、a2±10%といったように、バーコード34の凹部及び凸部の種類毎に範囲を設定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、本実施形態に係るバーコード読取装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、本実施形態に係るバーコード読取装置によるバーコードの読取処理を説明するためのフローチャートである。
【図3】図3は、表面高さデータの一例を示す図である。
【図4】図4は、表面高さデータの一例を示す図である。
【図5】図5は、表面高さデータの一例を示す図である。
【図6】図6は、表面高さデータの他の例を示す図である。
【図7】図7は、従来のバーコード読取方法を説明するための図であり、図7の(a)は、変位センサによって読み取られた凹凸状のバーコードの波形を示す波形図であり、図7の(b)は、図7の(a)の波形を整形して得られた波形を示す波形図である。
【符号の説明】
【0048】
10…バーコード読取装置、12…制御部、14…記憶部、20…レーザ変位計、30…載置台、34…バーコード、34a…突条、D1〜D8…凸形状データ、H…表面高さデータ、M1〜M8…最大点、S1a,S2a,S2b,S3a,S3b,S4a,S4b,S5a,S5b,S6a,S6b,S7a,S7b,S8b…初出点、W1〜W9,W5a〜W5c…初出点間隔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の突条の延在方向が互いに平行となるように表面上に配置されることで表面が凹凸面とされた凹凸状のバーコードを読み取るためのバーコード読取方法であって、
前記バーコードの表面高さを測定する測定手段及び前記バーコードのどちらか一方を前記突条の延在方向と交差する方向に移動させて、前記バーコードの表面高さを測定することで、前記測定手段による測定位置及び当該測定位置における高さ方向の値を含む表面高さデータを取得する工程と、
前記表面高さデータのうちから、前記バーコードの表面の凸形状に対応する凸形状データを複数識別する工程と、
前記各凸形状データのうちから、高さ方向の値が最大となる最大点をそれぞれ抽出する工程と、
高さ方向の値が前記最大点の高さ方向の値よりも所定の値だけ小さい点のうち、前記最大点よりも前記バーコードの読取方向における前方に向かって前記表面高さデータを探索したときに最初に現れる点である一の初出点、及び、前記最大点よりも前記バーコードの読取方向における後方に向かって前記表面高さデータを探索したときに最初に現れる点である他の初出点を、全ての前記最大点について抽出する工程と、
前記バーコードの読取方向における隣り合う前記初出点同士の間隔を初出点間隔として取得する工程と、
全ての前記初出点間隔について、前記初出点間隔が所定の範囲内の大きさであるか否かを判定する工程とを備えることを特徴とするバーコード読取方法。
【請求項2】
前記初出点間隔が所定の範囲内の大きさであるか否かを判定する工程において、前記初出点間隔のうち少なくとも一つが所定の範囲を超えていると判定された場合には、前記バーコードの読み取りができないと判定する工程を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載されたバーコード読取方法。
【請求項3】
前記初出点間隔が所定の範囲内の大きさであるか否かを判定する工程において、前記初出点間隔のうち、前記凸形状データを間に置く一対の初出点によって規定される初出点間隔が所定の範囲未満であると判定された場合には、当該一対の初出点を除外したうえで隣り合う前記初出点同士の前記読取方向における間隔を初出点間隔として取得する工程を更に備えることを特徴とする、請求項2に記載されたバーコード読取方法。
【請求項4】
複数の突条の延在方向が互いに平行となるように表面上に配置されることで表面が凹凸面とされた凹凸状のバーコードを読み取るためのバーコード読取装置であって、
前記バーコードの表面高さを測定する測定手段及び前記バーコードのどちらか一方を前記突条の延在方向と交差する方向に移動させて、前記バーコードの表面高さを測定することで、前記測定手段による測定位置及び当該測定位置における高さ方向の値を含む表面高さデータを取得する手段と、
前記表面高さデータのうちから、前記バーコードの表面の凸形状に対応する凸形状データを複数識別する手段と、
前記各凸形状データのうちから、高さ方向の値が最大となる最大点をそれぞれ抽出する手段と、
高さ方向の値が前記最大点の高さ方向の値よりも所定の値だけ小さい点のうち、前記最大点よりも前記バーコードの読取方向における前方に向かって前記表面高さデータを探索したときに最初に現れる点である一の初出点、及び、前記最大点よりも前記バーコードの読取方向における後方に向かって前記表面高さデータを探索したときに最初に現れる点である他の初出点を、全ての前記最大点について抽出する手段と、
前記バーコードの読取方向における隣り合う前記初出点同士の間隔を初出点間隔として取得する手段と、
全ての前記初出点間隔について、前記初出点間隔が所定の範囲内の大きさであるか否かを判定する手段とを備えることを特徴とするバーコード読取装置。
【請求項5】
前記初出点間隔が所定の範囲内の大きさであるか否かを判定する手段が、前記初出点間隔のうち少なくとも一つが所定の範囲を超えていると判定した場合に、前記バーコードの読み取りができないと判定する手段を更に備えることを特徴とする、請求項4に記載されたバーコード読取装置。
【請求項6】
前記初出点間隔が所定の範囲内の大きさであるか否かを判定する手段が、前記初出点間隔のうち、前記凸形状データを間に置く一対の初出点によって規定される初出点間隔が所定の範囲未満であると判定した場合に、当該一対の初出点を除外したうえで隣り合う前記初出点同士の前記読取方向における間隔を初出点間隔として取得する手段を更に備えることを特徴とする、請求項5に記載されたバーコード読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−301423(P2009−301423A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156967(P2008−156967)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】