説明

パイプコネクタ

【課題】パイプコネクタの小型化設計を可能すること。
【解決手段】ロック部材60に形成された当接部68がパイプ端部100の外周部102A直接に押し付けられることにより、ロック部材60の一対の脚片部62が互いに離れる方向に弾性変形する構造にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプコネクタに関し、特に、パイプ同士の連結やパイプを機器に連結することに用いられるツールレス型のパイプコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ツールを用いることなくパイプを連結対象物に分離可能に連結するツールレス型のパイプコネクタとして、パイプ端部を抜き差し可能に挿入されるパイプ挿入孔を形成されたコネクタ本体と、コネクタ本体にパイプ挿入孔の径方向に移動可能に設けられたロック部材(保持器)とを有し、径方向移動によってロック部材がパイプ挿入孔に挿入されているパイプ端部をコネクタ本体に係脱可能に抜け止め係止するものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このパイプコネクタは、ロック部材に形成されている一対の脚片部によってパイプ挿入孔に挿入されたパイプ端部を径方向両側から挟むことによりパイプ端部をコネクタ本体に抜け止め係止し、ロック部材に形成されている傾斜部がコネクタ本体の壁部に押し付けられることにより前記一対の脚片部が互いに離れる方向に弾性変形し、抜け止め係止を解除する構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3760251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このパイプコネクタは、一対の脚片部を互いに離れる方向に弾性変形させるためにロック部材に形成された傾斜部が当接する壁部がコネクタ本体に設けられているため、その分、コネクタ本体がスケールアップし、パイプコネクタの小型化設計を阻害する要因なる。
【0006】
また、コネクタ本体に抜け止め係止されているパイプ端部に大きい抜き出し力が作用すると、その抜き出し力によって一対の脚片部が互いに離れる方向に弾性変形し、抜け止め係止が解除される虞がある。このことを回避するには、脚片部のパイプ端部に対する抜け止め係合代を大きくする必要があり、このこともパイプコネクタの小型化設計を阻害する要因となる。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、パイプコネクタの小型化設計を可能にし、更には、コネクタ本体に抜け止め係止されているパイプ端部に大きい抜き出し力が作用しても、抜け止め係止が解除されることがなく、信頼性の高いロック状態を確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるパイプコネクタは、パイプ端部(100)を抜き差し可能に挿入されるパイプ挿入孔(14)を形成されたコネクタ本体(12)と、前記コネクタ本体(12)に取り付けられたロック部材(60)とを有し、前記ロック部材(60)は、前記パイプ挿入孔(14)内に臨む一対の脚片部(62)と、当該一対の脚片部(62)の一端を互いに連結する連結部(64)と、前記一対の脚片部(62)の前記一端近傍に設けられて前記パイプ挿入孔(14)内に臨む当接部(68)とを含む門形形状をしており、当該ロック部材(60)は、前記パイプ挿入孔(14)に挿入された前記パイプ端部(100)を前記一対の脚片部(62)によって径方向両側から挟むことにより当該パイプ端部(100)を前記コネクタ本体(12)に抜け止め係止するロック位置と、前記連結部(64)をもって前記パイプ挿入孔(14)の側に押されることにより前記当接部(68)が前記パイプ端部(100)の外周部(102A)に押し付けられ、当該押し付けにより前記一対の脚片部(62)が互いに離れる方向に弾性変形し、当該一対の脚片部(62)が前記パイプ端部(100)より離間して抜け止め係止を解除するロック解除位置との間に変位可能に設けられられている。
【0009】
この構成によれば、一対の脚片部(62)を互いに離れる方向に弾性変形させるためにロック部材(60)に形成された当接部(68)が当接する壁部をコネクタ本体(12)に設ける必要がなくなり、その分、コネクタ本体(12)を小型化できる。これにより、パイプコネクタ(10)の小型化設計の自由度が高くなる。
【0010】
本発明によるパイプコネクタは、好ましくは、更に、前記ロック部材(60)は前記コネクタ本体(12)に対して前記パイプ端部(100)の抜き差し方向と同方向に所定量のみ変位可能に設けらており、前記ロック部材(60)と前記コネクタ本体(12)には、前記ロック部材(60)が前記ロック位置にあって前記パイプ端部(100)の前記パイプ挿入孔(14)よりの抜き出し方向と同方向に変位したオフセット位置に位置することにより、互いに当接して前記一対の脚片部(62)が互いに離れる方向に弾性変形することによる係止解除を阻止する係止解除阻止部(62D、16A)が設けられている。
【0011】
この構成によれば、コネクタ本体(12)に抜け止め係止されているパイプ端部(100)に大きい抜き出し力が作用しても、抜け止め係止が解除されることがなく、信頼性の高いロック状態を確保することができる。
【0012】
本発明によるパイプコネクタは、好ましくは、更に、前記ロック部材(60)と前記コネクタ本体(12)には、前記ロック部材(60)が前記オフセット位置に位置している場合に、互いに当接し、前記連結部(64)が前記パイプ挿入孔(14)の側に押されることにより、前記ロック部材(60)を前記パイプ端部(100)の前記パイプ挿入孔よりの抜き出し方向と逆方向に変位させるカム形状部(74、40)が設けられている。
【0013】
この構成によれば、連結部(64)がパイプ挿入孔(14)の側に押されるだけで、ロック解除が行われ、操作性に優れたものになる。
【0014】
本発明によるパイプコネクタは、好ましくは、前記一対の脚片部(62)は、前記パイプ端部(100)の外周に突出形成されたフランジ部(102)の差し込み方向背面側のスラスト面(102A)に対向するスラスト面(62B)を含み、前記ロック部材(60)が前記ロック位置にある時に前記スラスト面同士の当接を伴って前記パイプ端部を径方向両側から挟み、前記パイプ端部の抜け止め係止を行う。この場合、前記当接部は前記フランジ部の外周部に当接する構造にすればよい。
【0015】
この構成によれば、スラスト面当たりによってパイプ端部(100)の抜け止め係止が高い強度をもって行われるようになる。
【0016】
本発明によるパイプコネクタは、好ましくは、前記一対の脚片部(62)は、前記フランジ部(102)の差し込み方向前側のスラスト面(102B)と当接し、前記パイプ端部(100)が前記パイプ挿入孔(14)に挿入されることに伴って互いに離れる方向に弾性変形して前記フランジ部(102)が乗り越える傾斜面(62A)を有する。
【0017】
この構成によれば、パイプ端部(100)のパイプコネクタ(10)に対する連結が、ワンタッチで、操作性よく行われるようになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるパイプコネクタは、、一対の脚片部を互いに離れる方向に弾性変形させるためにロック部材に形成された当接部が当接する壁部をコネクタ本体に設ける必要がなくなる。これにより、コネクタ本体を小型化でき、パイプコネクタの小型化設計の自由度が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明によるパイプコネクタの一つの実施形態を示す斜視図。
【図2】本実施形態によるパイプコネクタの分解斜視図。
【図3】本実施形態によるパイプコネクタの平面図。
【図4】図3の線IV−IV断面図。
【図5】(A)は本実施形態によるパイプコネクタの弾性変形阻止状態での縦断面斜視図、(B)は同じく平断面斜視図。
【図6】(A)は本実施形態によるパイプコネクタの弾性変形許容状態での縦断面斜視図、(B)は同じく平断面斜視図。
【図7】(A)は本実施形態によるパイプコネクタのロック解除状態での縦断面斜視図、(B)は同じく正断面図。
【図8】(A)は本実施形態によるパイプコネクタのパイプ抜き取り状態での縦断面斜視図、(B)は同じく正断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明によるパイプコネクタの一つの実施形態を、図1〜図10を参照して説明する。なお、パイプコネクタの各構成部品は、特に、ことわりがない限り、ポリアミド等による射出成形品である。また、以下の説明では、各図に矢印で示されているように、上下、左右、前後を定義する。
【0021】
図1〜図4に示されているように、パイプコネクタは全体を符号10により示されている。パイプコネクタ10はコネクタ本体12とを有する。コネクタ本体12は、エルボ型のものであり、パイプ端部100を抜き差し可能に挿入されるパイプ挿入孔14を形成したパイプ接続筒部16と、通路18を画定し、燃料タンク等のパイプを接続される機器に形成された接続ポート(図示省略)に差し込まれるポート接続筒部20とを有する。パイプ挿入孔14と通路18とはコネクタ本体12内で連通している。ポート接続筒部20の先端側外周にはゴム状弾性材製のOリング22が装着されている。
【0022】
ここで、パイプ端部100について説明する。パイプ端部100は、パイプコネクタ10を雌側コネクタとして、雄型コネクタをなすものであり、軸線方向の中間部に外周に突出形成された環状のフランジ部(バルジ部)102を有する。パイプ端部100はフランジ部102より前側がパイプ挿入孔14に挿入される挿入パイプ部104になっている。フランジ部102より後側は、配管用パイプやホース(図示省略)を接続される接続部106になっている。なお、本実施形態でのパイプ端部100は、横断面形状が円形の円筒パイプによるものである。
【0023】
パイプコネクタ10の説明に戻り、パイプ挿入孔14内には、ゴム状弾性材製の第1Oリング24と、ディスタンスリング26と、ゴム状弾性材製の第2Oリング28と、円筒状のブッシュ30とが順に挿入されている。ブッシュ30は凹凸係合部32(図4参照)によってコネクタ本体12に固定されている。これにより、第1Oリング24とディスタンスリング26と第2Oリング28はパイプ挿入孔14の奥部の段差部34(図4参照)とブッシュ30とに挟まれてコネクタ本体12に装着される。
【0024】
パイプ接続筒部16には、パイプ挿入孔14の入口側を左右両側を径方向外方に拡大してなる側部拡大部36と、パイプ挿入孔14の入口側の上部にあって左右両側が各々左右の側部拡大部36に連通した上部収納凹部38とが形成されている。
【0025】
左右の側部拡大部36と上部収納凹部38との部分にはロック部材60が上下方向に移動可能に取り付けられている。ロック部材60は、左右一対の脚片部62と、左右の脚片部62の一端(上端)を互いに連結する連結部64と、左右の脚片部62の一端近傍(上端近傍)に設けられた左右の当接部68とを含んで門形形状をしている。
【0026】
換言すると、左右の脚片部62は、各々、下端が自由端で、左右方向に弾性変形可能なばね片状をなしている。左右の当接部68は、各々、底面が傾斜面68A(図7(B)、図8(B)参照)による三角形状をしており、傾斜面68Aをもってパイプ端部100のフランジ部102の外周面102Cに摺動可能に当接する。
【0027】
連結部64は上部収納凹部38に上下移動可能に収納されている。左右の脚片部62と当接部68は、左右の側部拡大部36に配置されてパイプ挿入孔14内に臨んでいる。ロック部材60は、脚片部62の弾性変形の復元力によって脚片部62の先端の傾斜面62Bがパイプ挿入孔14内に形成された傾斜面14A(図7(B)、図8(B)参照)に当接することにより、上方へ付勢され、当接部68に形成された突起70がパイプ挿入孔14の入口上縁14B(図7(A)、図8(A)参照)に当接することにより最上昇位置を定められている。
【0028】
ロック部材60は、パイプ挿入孔14に挿入されたパイプ端部100の挿入パイプ部104の外周部104Aを左右の脚片部62によって径方向両側(左右両側)から挟むことによりパイプ端部100をコネクタ本体10に抜け止め係止するロック位置(上昇位置)と、図7(B)に示されているように、左右の脚片部62が互いに離れる方向(左右外側)に弾性変形し、左右の脚片部62が互いに挿入パイプ部104の外周部104Aより離間して抜け止め係止を解除するロック解除位置(降下位置)との間に変位可能になっている。
【0029】
左右の脚片部62が互いに離れる方向に弾性変形することは、連結部64をもってロック部材60がパイプ挿入孔14の側に押し下げられることにより、当接部68の傾斜面68Aがパイプ端部100のフランジ部102の外周面102Cに直接押し付けられ、この押し付けによって当接部68の傾斜面68Aが外周面102Cを下方に滑るように変位することにより、左右の脚片部62が押し広げられるようにして行われる。
【0030】
この構造により、一対の脚片部62を互いに離れる方向に弾性変形させるためにロック部材60に形成された当接部68が当接する壁部をコネクタ本体12に設ける必要がなくなり、その分、コネクタ本体12を小型化できる。これにより、パイプコネクタ10の小型化設計の自由度が高くなる。
【0031】
左右の脚片部62によるパイプ端部100の抜け止め係止は、より詳細には、左右の脚片部62がパイプ端部100のフランジ部102の差し込み方向背面側のスラスト面102Aに対向するスラスト面62C(図5(B)、図6(B)参照)を含んでいて、スラスト面62Cがフランジ部102のスラスト面102Aに当接した状態で挿入パイプ部104を径方向両側(左右両側)から挟み込むことにより行われる。
【0032】
左右の脚片部62は、パイプ挿入孔14の入口側に位置する面が傾斜面62Aになっている。左右の脚片部62は、傾斜面62Aがフランジ部102の差し込み方向前側のスラスト面102Bと当接することにより、挿入パイプ部104がパイプ挿入孔14に挿入されることに伴って互いに離れる方向に弾性変形する。これにより、パイプ端部100のフランジ部102が左右の脚片部62を乗り越える。この乗り越えによって脚片部62のスラスト面62Cがフランジ部102のスラスト面102Aに当接することになる。
【0033】
ロック部材60はコネクタ本体12に対してパイプ端部100の抜き差し方向と同方向、つまり、前後方向に所定量のみ変位可能に設けられている。この変位は、連結部64が上部収納凹部38の前後の壁部42、44に当接することにより制限される。
【0034】
ロック部材60とパイプ接続筒部16には、ロック部材60がロック位置にあってパイプ端部100のパイプ挿入孔14よりの抜き出し方向と同方向(後方)に変位したオフセット位置(図5参照)に位置することにより、互いに当接する係止解除阻止部62D、16A(図5(B)、図6(B)参照)を形成されている。ロック部材60の係止解除阻止部62Dとパイプ接続筒部16の係止解除阻止部16Aとは、左右方向に互いに当接することにより、左右の脚片部62が互いに離れる方向に弾性変形することによる係止解除を阻止する。
【0035】
ロック部材60は、図6に示されているように、オフセット位置より前側に変位したノーマル位置に位置することにより、ロック部材60の係止解除阻止部62Dがパイプ接続筒部16の係止解除阻止部16Aとの当接より離間し、左右の脚片部62が互いに離れる方向に弾性変形することを自由に許す。
【0036】
ロック部材60とパイプ接続筒部16には、ロック部材60が上述のオフセット位置に位置している場合に、互いに当接し、連結部64がパイプ挿入孔14の側に押し下げられることにより、ロック部材60をパイプ接続筒部16に対してパイプ端部100のパイプ挿入孔14よりの抜き出し方向と逆方向(前方)に変位させるカム形状部74、40が形成されている。
【0037】
ロック部材60のカム形状部74は連結部64の前縁底部に形成され、パイプ接続筒部16のカム形状部40は上部収納凹部38の壁部42に上下に延在するリブ状に形成されている。カム形状部74、40の互いの当接面は、連結部64の降下移動を前方への移動に変換するよう、円弧面あるいは傾斜面になっていることが好ましい。
【0038】
パイプ端部100のパイプコネクタ10に対する連結は、図8に示されている状態において、パイプ端部100の挿入パイプ部104をパイプ挿入孔14に挿入されることにより行われる。この挿入過程で、パイプ端部100のフランジ部102のスラスト面102Bが左右の脚片部62の傾斜面62Aに当接することにより、左右の脚片部62は互いに離れる方向に弾性変形し、この弾性変形のもとにパイプ端部100のフランジ部102が左右の脚片部62を乗り越える。
【0039】
この乗り越えが完了すると、図6に示されているように、左右の脚片部62の弾性変形が解除されて復元し、脚片部62のスラスト面62Cがフランジ部102のスラスト面102Aに対向することになる。これにより、パイプ端部100のパイプコネクタ10に対する連結が、ワンタッチで操作性よく、しかも高い抜け止め強度をもって行われるようになる。
【0040】
パイプコネクタ10よりパイプ端部100を取り外すことは、ロック部材60の連結部64を押し下げることにより行われる。連結部64が押し下げられると、ロック部材60の当接部68の傾斜面68Aがパイプ端部100のフランジ部102の外周面102Cに直接押し付けられ、この押し付けによって当接部68の傾斜面68Aが外周面102Cを下方に滑るように変位することにより、図7に示されているように、左右の脚片部62が押し広げられようにして、互いに離れる方向に弾性変形し、左右の脚片部62が互いに挿入パイプ部104の外周部104Aより離間する。これにより抜け止め係止が解除され、パイプ端部100の挿入パイプ部104をパイプ挿入孔14より抜き出すことができるようになる。
【0041】
挿入パイプ部104のパイプ挿入孔14より抜き出しが完了すると、左右の脚片部62の弾性変形が元に戻っていて、図8に示されているように、脚片部脚片部62の弾性変形の復元力によって脚片部62の先端の傾斜面62Bがパイプ挿入孔14内に形成された傾斜面14Aに当接することにより、ロック部材60は上方の元の位置に戻る。
【0042】
パイプコネクタ10に抜け止め係止されている状態で、パイプ端部100に抜き出し方向の力が作用すると、図5に示されているように、パイプ端部100のパイプ挿入孔14よりの抜き出し方向と同方向にロック部材60が変位してロック部材60がオフセット位置に位置する。ロック部材60がオフセット位置に位置すると、ロック部材60の係止解除阻止部62Dとパイプ接続筒部16の係止解除阻止部16Aとが互いに当接する。この当接によって左右の脚片部62が互いに離れる方向に弾性変形することによる係止解除が阻止される。、
【0043】
これにより、コネクタ本体12に抜け止め係止されているパイプ端部100に大きい抜き出し力が作用しても、抜け止め係止が解除されることがなく、信頼性の高いロック状態が確保される。
【0044】
このオフセット状態で、パイプコネクタ10よりパイプ端部100を取り外す場合も、ロック部材60の連結部64を押し下げることにより行われる。連結部64が押し下げられると、まず、ロック部材60のカム形状部74がコネクタ本体12のカム形状部40に当接することにより、図6に示されているように、ロック部材60が、パイプ接続筒部16に対してパイプ端部100のパイプ挿入孔14よりの抜き出し方向と逆方向に変位し、ノーマル位置に位置することになる。これにより、ロック部材60の係止解除阻止部62Dがパイプ接続筒部16の係止解除阻止部16Aとの当接より離間し、左右の脚片部62が互いに離れる方向に弾性変形することを自由に許すようになる。引き続き、連結部64が押し下げられることにより、前述と同様に、抜け止め係止が解除され、パイプ端部100の挿入パイプ部104をパイプ挿入孔14より抜き出すことができるようになる。
【0045】
上述の実施形態では、パイプ端部100のフランジ部102が形成されていて、脚片部62のスラスト面62Cがフランジ部102のスラスト面102Aに当接する構造になっているが、パイプ端部100の外周に周溝が形成されていて、周溝にロック部材の脚片部が嵌り込む構造にすることもできる。また、係止解除阻止部16A、62Dの構成も、図示の実施形態のものに限られるものでなく、脚片部62とコネクタ本体12との当たりによって左右の脚片部62が互いに離れる方向に弾性変形することを阻止するものでなればよい。
【符号の説明】
【0046】
10 パイプコネクタ
12 コネクタ本体
14 パイプ挿入孔
16 パイプ接続筒部
16A 係止解除阻止部
36 側部拡大部
38 上部収納凹部
40 カム形状部
60 ロック部材
62 脚片部
62A 傾斜面
62C スラスト面
62D 係止解除阻止部
64 連結部
68 当接部
74 カム形状部
100 パイプ端部
102 フランジ部
102A、102B スラスト面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ端部を抜き差し可能に挿入されるパイプ挿入孔を形成されたコネクタ本体と、
前記コネクタ本体に取り付けられたロック部材とを有し、
前記ロック部材は、前記パイプ挿入孔内に臨む一対の脚片部と、当該一対の脚片部の一端を互いに連結する連結部と、前記一対の脚片部の前記一端近傍に設けられて前記パイプ挿入孔内に臨む当接部とを含む門形形状をしており、
当該ロック部材は、前記パイプ挿入孔に挿入された前記パイプ端部を前記一対の脚片部によって径方向両側から挟むことにより当該パイプ端部を前記コネクタ本体に抜け止め係止するロック位置と、前記連結部をもって前記パイプ挿入孔の側に押されることにより前記当接部が前記パイプ端部の外周部に押し付けられ、当該押し付けにより前記一対の脚片部が互いに離れる方向に弾性変形し、当該一対の脚片部が前記パイプ端部より離間して抜け止め係止を解除するロック解除位置との間に変位可能に設けられられているパイプコネクタ。
【請求項2】
前記ロック部材は前記コネクタ本体に対して前記パイプ端部の抜き差し方向と同方向に所定量のみ変位可能に設けらており、
前記ロック部材と前記コネクタ本体には、前記ロック部材が前記ロック位置にあって前記パイプ端部の前記パイプ挿入孔よりの抜き出し方向と同方向に変位したオフセット位置に位置することにより、互いに当接して前記一対の脚片部が互いに離れる方向に弾性変形することによる係止解除を阻止する係止解除阻止部が設けられている請求項1に記載のパイプコネクタ。
【請求項3】
前記ロック部材と前記コネクタ本体には、前記ロック部材が前記オフセット位置に位置している場合に、互いに当接し、前記連結部が前記パイプ挿入孔の側に押されることにより、前記ロック部材を前記パイプ端部の前記パイプ挿入孔よりの抜き出し方向と逆方向に変位させるカム形状部が設けられている請求項2に記載のパイプコネクタ。
【請求項4】
前記一対の脚片部は、前記パイプ端部の外周に突出形成されたフランジ部の差し込み方向背面側のスラスト面に対向するスラスト面を含み、前記ロック部材が前記ロック位置にある時に前記スラスト面同士の当接を伴って前記パイプ端部を径方向両側から挟み、前記パイプ端部の抜け止め係止を行う請求項1〜3の何れか一項に記載のパイプコネクタ。
【請求項5】
前記当接部は前記フランジ部の外周部に当接する請求項4に記載のパイプコネクタ。
【請求項6】
前記一対の脚片部は、前記フランジ部の差し込み方向前側のスラスト面と当接し、前記パイプ端部が前記パイプ挿入孔に挿入されることに伴って互いに離れる方向に弾性変形して前記フランジ部が乗り越える傾斜面を有する請求項4または5に記載のパイプコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−145185(P2012−145185A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5060(P2011−5060)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】