説明

パイプコンベヤ

【課題】ベルト支持装置の支持ローラと、コンベヤベルトにおけるパイプ状部分と、の当接を維持し易くすること。
【解決手段】一部分がパイプ状に丸められた無端帯状のコンベヤベルト2と、該コンベヤベルト2のうち、パイプ状に丸められたパイプ状部分2Aを支持するベルト支持装置10と、を備え、該ベルト支持装置10は、パイプ状部分2Aに対してその径方向の外側に、該パイプ状部分2Aの周方向に複数配置された支持ローラ13を備えるとともに、これらの支持ローラ13がパイプ状部分2Aに前記径方向の外側から当接することにより、該パイプ状部分2Aを支持し、支持ローラ13は、前記径方向に移動可能に支持されるとともに、付勢手段22により前記径方向の内側に付勢されているパイプコンベヤ1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、一部分がパイプ状に丸められた無端帯状のコンベヤベルトと、該コンベヤベルトのうち、パイプ状に丸められたパイプ状部分を支持するベルト支持装置と、を備えるパイプコンベヤが知られている。前記ベルト支持装置は、前記パイプ状部分を囲むべく環状に配置された複数の支持ローラを備えており、これらの支持ローラが、前記パイプ状部分に径方向の外側から当接することにより、該パイプ状部分を支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭57−147808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種のパイプコンベヤでは、同一のコンベヤベルトを長期間にわたって使用するとコンベヤベルトの横剛性が徐々に弱まり、前記パイプ状部分が縮径する。そのため、前記従来のパイプコンベヤでは、コンベヤベルトの使用を開始した初期段階で、複数の支持ローラの全てが前記パイプ状部分に当接していても、経年変化により前記パイプ状部分が縮径すると、複数の支持ローラのうちの一部が前記パイプ状部分に当接しなくなることがある。なおこの場合、前記パイプ状部分を安定して支持することが難しくなり、例えば前記パイプ状部分がパイプ軸回りに捩れる等のおそれがある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ベルト支持装置の支持ローラと、コンベヤベルトにおけるパイプ状部分と、の当接を維持し易くすることができるパイプコンベヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るパイプコンベヤは、一部分がパイプ状に丸められた無端帯状のコンベヤベルトと、該コンベヤベルトのうち、パイプ状に丸められたパイプ状部分を支持するベルト支持装置と、を備え、該ベルト支持装置は、前記パイプ状部分に対してその径方向の外側に、該パイプ状部分の周方向に複数配置された支持ローラを備えるとともに、これらの支持ローラが前記パイプ状部分に前記径方向の外側から当接することにより、該パイプ状部分を支持するパイプコンベヤであって、前記支持ローラは、前記径方向に移動可能に支持されるとともに、付勢手段により前記径方向の内側に付勢されていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、支持ローラが、前記径方向に移動可能に支持されるとともに、付勢手段により前記径方向の内側に付勢されているので、前記パイプ状部分が経年変化により縮径したとしても、支持ローラが、該パイプ状部分の縮径に追従して前記径方向の内側に移動することとなり、支持ローラと前記パイプ状部分との当接を維持し易くすることができる。
【0008】
また、前記ベルト支持装置は、パイプ軸に直交する直交面に対する前記支持ローラの回転軸の傾斜角度を調整する調整手段を備えていてもよい。
【0009】
この場合、前記パイプ状部分がパイプ軸回りに捩れようとした場合、前記調整手段により支持ローラの回転軸の前記傾斜角度を調整し、支持ローラにおける前記パイプ状部分との当接部分から該パイプ状部分に、該パイプ状部分が捩れようとする方向とは反対側に向かう矯正力を付与することにより、該パイプ状部分の捩れを矯正することができる。
ここで前述のように、当該パイプコンベヤでは、支持ローラと前記パイプ状部分との当接を維持し易くすることができるので、支持ローラから前記パイプ状部分に前記矯正力を確実に付与することが可能になり、前記パイプ状部分が経年変化により縮径したとしても、該パイプ状部分の捩れを効果的に矯正することができる。
【0010】
このように、前記パイプ状部分の捩れを矯正することができるので、該パイプ状部分において互い重ね合わされたコンベヤベルトの側端部同士の重ね合わせを維持し易くすることが可能になり、前記パイプ状部分の内部が解放されるのを抑制することができる。
また前述のように、前記パイプ状部分の捩れを矯正することができるので、該パイプ状部分においてコンベヤベルトの側端部同士が重ね合わされてなる耳部分のベルト支持装置に対する前記周方向の位置を安定させることができる。これにより、前記パイプ状部分をベルト幅方向に展開して平らにするときに、例えば該パイプ状部分が完全には展開されずにコンベヤベルトの側端部がベルト幅方向の内側に折り曲げられる等して、コンベヤベルトが予期せぬ形状になることを規制し、前記パイプ状部分を平らにし易くすることができる。
【0011】
なお前記パイプ状部分が、湾曲しながら走行する場合には捩れ易いため、前述の作用効果が顕著に奏功されることとなる。
【0012】
また、前記ベルト支持装置は、前記パイプ状部分が通過する通過孔がパイプ軸方向に貫設されるとともに、前記支持ローラを前記径方向に移動可能に支持する支持板を備え、前記周方向に隣り合う前記支持ローラはそれぞれ、前記支持板を間に挟んでパイプ軸方向に互い違いに配置されていてもよい。
【0013】
この場合、前記周方向に隣り合う支持ローラがそれぞれ、支持板を間に挟んでパイプ軸方向に互い違いに配置されているので、前記周方向に隣り合う支持ローラ同士が、前記パイプ状部分の縮径に追従して前記径方向の内側に向けて移動しても、互いの移動を緩衝し合うことがない。したがって、これらの支持ローラ同士を前記周方向に近づけて配置することができる。
【0014】
このように、前記周方向に隣り合う支持ローラ同士を前記周方向に近づけて配置することができるので、コンベヤベルトの走行を安定させることができる。すなわち、これらの支持ローラ同士の間の間隔が広くなると、前記パイプ状部分において互いに重ね合わされたコンベヤベルトの側端部が前記間隔に入り込み易くなり、コンベヤベルトの走行に影響を与えるおそれがある。
また、前記周方向に隣り合う支持ローラがそれぞれ、支持板を間に挟んでパイプ軸方向に互い違いに配置されているので、前記周方向に隣り合う支持ローラ同士を、互いの前記周方向の端部同士が前記周方向に重なるように配置することができる。この場合、前述の作用効果を顕著に奏功させることが可能になり、コンベヤベルトの走行を一層安定させることができる。
【0015】
また前述のように、前記周方向に隣り合う支持ローラ同士を、互いの前記周方向の端部同士が前記周方向に重なるように配置することができるので、例えば支持ローラとして前記周方向に長い構成を採用すること等が可能になり、当該ベルト支持装置の設計の自由度を確保し易くすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るパイプコンベヤによれば、ベルト支持装置の支持ローラと、コンベヤベルトにおけるパイプ状部分と、の当接を維持し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るパイプコンベヤの全体図である。
【図2】図1に示すパイプコンベヤの従動ドラム側の上面図である。
【図3】図1に示すパイプコンベヤに備えられたベルト支持装置の要部の正面図である。
【図4】図3に示すベルト支持装置の要部の側面図である。
【図5】図1に示すパイプコンベヤに備えられたベルト支持装置の要部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るパイプコンベヤを説明する。
図1に示すように、パイプコンベヤ1は、互いに平行な軸線回りに回転する駆動ドラム3および従動ドラム4と、これらの駆動ドラム3および従動ドラム4の間に巻回され、一部分がパイプ状に丸められた無端帯状のコンベヤベルト2と、該コンベヤベルト2のうち、パイプ状に丸められたパイプ状部分2Aを支持するベルト支持装置10と、を備えている。
【0019】
駆動ドラム3および従動ドラム4の各軸線は、コンベヤベルト2のベルト幅方向に延在するとともに、互いに水平方向にずらされている。
該コンベヤベルト2は、従動ドラム4から駆動ドラム3に向けて走行するとともに表面が鉛直上側を向くキャリア側、および駆動ドラム3から従動ドラム4に向けて走行するとともに表面が鉛直下側を向くリターン側の両方で丸められており、キャリア側のコンベヤベルト2におけるパイプ状部分2A、およびリターン側のコンベヤベルト2におけるパイプ状部分2Aの各パイプ軸O1は、互いに平行になっている。また該コンベヤベルト2は、駆動ドラム3および従動ドラム4それぞれの手前で平らに展開されて各ドラム3、4に巻回されている。
【0020】
ベルト支持装置10は、駆動ドラム3と従動ドラム4との間に、前記パイプ状部分2Aのパイプ軸O1方向に間隔をあけて複数配置されており、本実施形態では、全てのベルト支持装置10が、パイプ軸O1方向に延在する連結部材5を介して互いに連結されている。ベルト支持装置10は、内部が上室11aおよび下室11bに区画された支持枠11を備えており、各支持枠11の上室11aを、キャリア側のコンベヤベルト2におけるパイプ状部分2Aが通過するとともに、下室11bを、リターン側のコンベヤベルト2におけるパイプ状部分2Aが通過する。
【0021】
ここで図2に示すように、複数のベルト支持装置10のうち、最も従動ドラム4側に位置するベルト支持装置10と、従動ドラム4と、の間には、平らに展開されたコンベヤベルト2を丸めるベルト丸め装置6が配設されている。ベルト丸め装置6は、コンベヤベルト2が従動ドラム4からベルト支持装置10側に向かうに従い漸次、コンベヤベルト2の両側端部2bをベルト幅方向の内側に向けて湾曲させてコンベヤベルト2を丸め、該コンベヤベルト2をベルト支持装置10の前記上室11aに案内する。
【0022】
また従動ドラム4の上方には、例えば粉粒体などの被搬送物Aをコンベヤベルト2の表面上に投下するホッパ7が設けられている。本実施形態では、ホッパ7は、ベルト丸め装置6により丸められるキャリア側のコンベヤベルト2の表面上に、該コンベヤベルト2が完全に丸められる前に被搬送物Aを投下する。該被搬送物Aは、コンベヤベルト2がベルト丸め装置6により丸められることで、コンベヤベルト2に包み込まれることとなる。
【0023】
また図1に示すように、複数のベルト支持装置10のうち、最も駆動ドラム3側に位置するベルト支持装置10と、駆動ドラム3と、の間には、丸められたコンベヤベルト2を平らに展開する図示しないベルト展開装置が配設されている。該ベルト展開装置は、最も駆動ドラム3側に位置するベルト支持装置10における支持枠11の上室11aを通過したキャリア側のコンベヤベルト2を、ベルト支持装置10側から従動ドラム4に向けて漸次、平らに展開する。
また駆動ドラム3側には、キャリア側のコンベヤベルト2により搬送された被搬送物Aが投入される荷受箱8が設けられている。
【0024】
ここで、パイプコンベヤ1におけるコンベヤベルト2の循環走行について説明する。
まず、平らに展開され従動ドラム4を下側から上側に通過したコンベヤベルト2は、図2に示すように、ベルト丸め装置6によりベルト支持装置10側に向かうに従い漸次、丸められる。このとき、コンベヤベルト2が完全に丸まらないうちに、コンベヤベルト2の表面上にホッパ7から被搬送物Aが投下される。
【0025】
次いでコンベヤベルト2は、複数のベルト支持装置10のうち、最も従動ドラム4側に位置するベルト支持装置10における支持枠11の上室11aに進入し、コンベヤベルト2の両側端部2b同士が上方において重ね合わされてパイプ状に丸められる。これにより、コンベヤベルト2の内部に被搬送物Aが包み込まれ、その後、内部に被搬送物Aを包み込んだパイプ状のコンベヤベルト2は、ベルト支持装置10の上室11aを、パイプ状を保ったまま通過する。
【0026】
そして図1に示すように、ベルト支持装置10のうち、最も駆動ドラム3側に位置するベルト支持装置10における支持枠11の上室11aを通過したコンベヤベルト2は、前記ベルト展開装置により駆動ドラム3側に向かうに従い漸次、展開された後、荷受箱8に被搬送物Aを投入する。
なお駆動ドラム3を上側から下側に通過したリターン側のコンベヤベルト2は、パイプ状に丸められて、各ベルト支持装置10における支持枠11の下室11bを通過し、平らに展開されて従動ドラム4に戻って循環走行する。ここで、リターン側のコンベヤベルト2においても、前記ベルト丸め装置6および前記ベルト展開装置と同様の構成を採用して、コンベヤベルト2を丸めた後、平らに展開することができる。
【0027】
次に図3に示すように、ベルト支持装置10の上室11aについて説明する。
なお本実施形態では、ベルト支持装置10の下室11bは、上室11aと同様の構成となっているので、下室11bについての説明を省略する。
【0028】
上室11aには、コンベヤベルト2のパイプ状部分2Aに対してその径方向の外側に、該パイプ状部分2Aの周方向に複数配置された支持ローラ13と、パイプ状部分2Aが通過する通過孔12aがパイプ軸O1方向に貫設されるとともに、支持ローラ13を径方向に移動可能に支持する支持板12と、が設けられている。
【0029】
ここで通過孔12aは、コンベヤベルト2のパイプ状部分2Aと同軸となっている。以下では、パイプ軸O1に直交する方向を径方向、パイプ軸O1回りに周回する方向を周方向という。
支持板12の表裏面はパイプ軸O1方向に交差するとともに、支持板12の外周縁は支持枠11に固定されている。
【0030】
当該ベルト支持装置10をパイプ軸O1方向から見た正面視において、支持ローラ13は、前記通過孔12aの内側にかつ同一円周上に配置され、支持ローラ13の回転軸O2は周方向に延在している。また本実施形態では、支持ローラ13は、前記正面視において、パイプ軸O1を通り水平方向に延在する基準線Lを基準として線対称に配置されている。
【0031】
そして、周方向に隣り合う支持ローラ13はそれぞれ、支持板12を間に挟んでパイプ軸O1方向に互い違いに配置されている。また、周方向に隣り合う支持ローラ13同士は、互いの周方向の端部同士が周方向に重なるように配置されている。
【0032】
ここで図4に示すように、支持ローラ13はブラケット部材14により回転可能に支持されており、該ブラケット部材14は、径方向にスライド移動するスライド部材15に、固定ボルト16を介して固定されている。
図3に示すように、ブラケット部材14は、周方向に間隔をあけて設けられ、径方向の内側の端部が支持ローラ13の軸部材13aを両端側から支持する一対のローラ支持部17と、これらのローラ支持部17の径方向の外側の端部同士を連結する連結部18と、を備えている。
【0033】
図4に示すように、スライド部材15は、支持板12との間にパイプ軸O1方向に間隔をあけて配置され、表裏面がパイプ軸O1方向に交差するとともに径方向に延在する板状に形成されており、スライド部材15の径方向の内側の端部上には、ブラケット部材14の連結部18が配置されている。また、スライド部材15の径方向の外側の端部は、支持板12に向けて屈曲されるとともに、支持板12に設けられたガイド部材19により径方向にスライド移動可能に支持されている。
【0034】
図3および図4に示すように、固定ボルト16の頭部16aは、該固定ボルト16に螺着されたナット20との間に、ブラケット部材14の連結部18、およびスライド部材15の径方向の内側の端部を、パイプ軸O1方向に挟み込むことにより、ブラケット部材14とスライド部材15とを固定している。固定ボルト16は、1つのブラケット部材14の連結部18に、周方向に間隔をあけて2つ配置されている。
【0035】
ここで図4に示すように、当該ベルト支持装置10には、パイプ軸O1に直交する直交面Sに対する支持ローラ13の回転軸O2の傾斜角度を調整する調整手段21が備えられている。調整手段21は、支持ローラ13におけるパイプ状部分2Aとの当接部分から該パイプ状部分2Aに、該パイプ状部分2Aが捩れようとする方向とは反対側に向かう矯正力を付与するように、支持ローラ13の回転軸O2の前記傾斜角度を調整する。
【0036】
本実施形態では、調整手段21は、ブラケット部材14の連結部18と、スライド部材15の径方向の内側の端部と、の間に介装されたテーパーワッシャからなる。そして例えば、該テーパーワッシャが、1つのブラケット部材14の連結部18に設けられた2つの固定ボルト16のうちの一方側に設けられることにより、支持ローラ13の回転軸O2の前記傾斜角度が調整されている。
なお調整手段21により、全ての支持ローラ13の回転軸O2の前記傾斜角度を調整してもよく、一部の支持ローラ13の回転軸O2の前記傾斜角度を調整してもよい。
【0037】
そして本実施形態では、全ての支持ローラ13は、付勢手段22により径方向の内側に付勢されている。付勢手段22は、スライド部材15の径方向の外側の端部を、径方向の内側に向けて付勢しており、図示の例では、支持板12に設けられロッドが径方向に進退するシリンダ機構により構成されている。該付勢手段22は、スライド部材15に所定の力を継続的に付与しており、これにより支持ローラ13が前記パイプ状部分2Aを押圧し、支持ローラ13から前記パイプ状部分2Aに径方向の内側に向けた押圧力が付与されている。
以上のように構成されたベルト支持装置10は、複数の支持ローラ13が前記パイプ状部分2Aに径方向の外側から当接することにより、該パイプ状部分2Aを支持している。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係るパイプコンベヤ1によれば、支持ローラ13が、径方向に移動可能に支持されるとともに、付勢手段22により径方向の内側に付勢されているので、図5に示すように、前記パイプ状部分2Aが経年変化により縮径したとしても、支持ローラ13が、該パイプ状部分2Aの縮径に追従して径方向の内側に移動することとなり、支持ローラ13と前記パイプ状部分2Aとの当接を維持し易くすることができる。
【0039】
また、前記パイプ状部分2Aがパイプ軸O1回りに捩れようとした場合、前記調整手段21により支持ローラ13の回転軸O2の前記傾斜角度を調整し、支持ローラ13における前記パイプ状部分2Aとの当接部分から該パイプ状部分2Aに前記矯正力を付与することにより、該パイプ状部分2Aの捩れを矯正することができる。
ここで前述のように、当該パイプコンベヤ1では、支持ローラ13と前記パイプ状部分2Aとの当接を維持し易くすることができるので、支持ローラ13から前記パイプ状部分2Aに前記矯正力を確実に付与することが可能になり、前記パイプ状部分2Aが経年変化により縮径したとしても、該パイプ状部分2Aの捩れを効果的に矯正することができる。
【0040】
そしてこのように、前記パイプ状部分2Aの捩れを矯正することができるので、該パイプ状部分2Aにおいて互いに重ね合わされたコンベヤベルト2の側端部2b同士の重ね合わせを維持し易くすることが可能になり、前記パイプ状部分2Aの内部が解放されるのを抑制することができる。
さらに前述のように、前記パイプ状部分2Aの捩れを矯正することができるので、該パイプ状部分2Aにおいてコンベヤベルト2の側端部2b同士が重ね合わされてなる耳部分2cのベルト支持装置10に対する周方向の位置を安定させることができる。これにより、前記パイプ状部分2Aをベルト幅方向に展開して平らにするときに、例えば該パイプ状部分2Aが完全には展開されずにコンベヤベルト2の側端部2bがベルト幅方向の内側に折り曲げられる等して、コンベヤベルト2が予期せぬ形状になることを規制し、前記パイプ状部分2Aを平らにし易くすることができる。
【0041】
なお前記パイプ状部分2Aが、湾曲しながら走行する場合には捩れ易いため、前述の作用効果が顕著に奏功されることとなる。
【0042】
また、周方向に隣り合う支持ローラ13がそれぞれ、支持板12を間に挟んでパイプ軸O1方向に互い違いに配置されているので、周方向に隣り合う支持ローラ13同士が、前記パイプ状部分2Aの縮径に追従して径方向の内側に向けて移動しても、互いの移動を緩衝し合うことがない。したがって、これらの支持ローラ13同士を周方向に近づけて配置することができる。
【0043】
このように、周方向に隣り合う支持ローラ13同士を周方向に近づけて配置することができるので、コンベヤベルト2の走行を安定させることができる。すなわち、これらの支持ローラ13同士の間の間隔が広くなると、前記パイプ状部分2Aにおいて互いに重ね合わされたコンベヤベルト2の側端部2bが前記間隔に入り込み易くなり、コンベヤベルト2の走行に影響を与えるおそれがある。
【0044】
また、周方向に隣り合う支持ローラ13がそれぞれ、支持板12を間に挟んでパイプ軸O1方向に互い違いに配置されているので、本実施形態のように、周方向に隣り合う支持ローラ13同士を、互いの周方向の端部同士が周方向に重なるように配置することができる。この場合、前述の作用効果を顕著に奏功させることが可能になり、コンベヤベルト2の循環走行を一層安定させることができる。
【0045】
また前述のように、周方向に隣り合う支持ローラ13同士を、互いの周方向の端部同士が周方向に重なるように配置することができるので、例えば支持ローラ13として周方向に長い構成を採用すること等が可能になり、当該ベルト支持装置10の設計の自由度を確保し易くすることができる。
【0046】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、周方向に隣り合う支持ローラ13がそれぞれ、支持板12を間に挟んでパイプ軸O1方向に互い違いに配置されているものとしたが、これに限られるものではない。
【0047】
また前記実施形態では、全ての支持ローラ13に前記付勢手段22が設けられているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、複数の支持ローラ13のうち、前記パイプ状部分2Aが縮径したときに該パイプ状部分2Aから離間する支持ローラ13に設けられていたり、前記基準線Lよりも鉛直上側に位置する支持ローラ13に設けられていたり、また、任意の支持ローラ13に設けられていたりしてもよい。なお、付勢手段22は、前記パイプ状部分2Aが縮径したときに該パイプ状部分2Aに全ての支持ローラ13が当接するように設けられていることが好ましい。
【0048】
また前記実施形態では、付勢手段22としてシリンダ機構を採用したが、該シリンダ機構は、例えば油圧や空気圧などを動力としてもよく、さらに支持ローラ13を径方向の内側に付勢するものであれば、適宜構成を変更することが可能である。例えば、付勢手段22として、バネ等の弾性体の弾性力や、重力を利用して支持ローラ13を付勢するような構成を採用してもよい。
【0049】
また前記実施形態では、調整手段21が、テーパーワッシャにより構成されているものとしたが、前記傾斜角度を調整する構成であれば、これに限られるものではない。例えば、調整手段は、支持板をコンベヤベルトのパイプ軸方向に直交する回動軸回りに回動させることにより、支持ローラの回転軸の前記傾斜角度を調整する構成であってもよい。
さらに、前記調整手段21はなくてもよい。
【0050】
また前記実施形態では、支持板12を備えるものとしたが、支持ローラが、径方向に移動可能に支持されるとともに、付勢手段により径方向の内側に付勢されていれば、支持板12はなくてもよい。例えば、付勢手段が、支持枠に固定されロッドが径方向に進退するシリンダ機構とされ、該付勢手段のロッドの先端にブラケット部材を介して支持ローラが固定された構成などであってもよい。
【0051】
また前記実施形態では、コンベヤベルト2は、キャリア側およびリターン側の両側で丸められた構成であるものとしたが、一部分がパイプ状に丸められていれば、これに限られるものではなく、例えば、キャリア側で平らまたは樋状に展開されており、リターン側でパイプ状に丸められていてもよい。
【0052】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 パイプコンベヤ
2 コンベヤベルト
2A パイプ状部分
10 ベルト支持装置
12 支持板
12a 通過孔
13 支持ローラ
21 調整手段
22 付勢手段
O1 パイプ軸
O2 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部分がパイプ状に丸められた無端帯状のコンベヤベルトと、
該コンベヤベルトのうち、パイプ状に丸められたパイプ状部分を支持するベルト支持装置と、を備え、
該ベルト支持装置は、前記パイプ状部分に対してその径方向の外側に、該パイプ状部分の周方向に複数配置された支持ローラを備えるとともに、これらの支持ローラが前記パイプ状部分に前記径方向の外側から当接することにより、該パイプ状部分を支持するパイプコンベヤであって、
前記支持ローラは、前記径方向に移動可能に支持されるとともに、付勢手段により前記径方向の内側に付勢されていることを特徴とするパイプコンベヤ。
【請求項2】
請求項1記載のパイプコンベヤであって、
前記ベルト支持装置は、パイプ軸に直交する直交面に対する前記支持ローラの回転軸の傾斜角度を調整する調整手段を備えていることを特徴とするパイプコンベヤ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパイプコンベヤであって、
前記ベルト支持装置は、前記パイプ状部分が通過する通過孔がパイプ軸方向に貫設されるとともに、前記支持ローラを前記径方向に移動可能に支持する支持板を備え、
前記周方向に隣り合う前記支持ローラはそれぞれ、前記支持板を間に挟んでパイプ軸方向に互い違いに配置されていることを特徴とするパイプコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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