パイプ締結用補助具とパイプ締結方法
【課題】 締結作業が円滑に且つ容易におこなえるパイプ締結用補助具等を提供することを目的とする。
【解決手段】 テーパ面31gを有するフランジ部31kと、当接面31cに締結ボルト挿通用凹部31rとを有し、被締結用金具31の締結端部間を、断面コ形の凹部の対峙する各内面に前記テーパ面31gに対応するテーパ面32fを有し、締結ボルト用貫通穴32hを有する締結用金具32で、締結ボルト10とナット12を介して締結するパイプ締結具で二つのパイプを締結するためのパイプ締結用補助具1であり、全体が、前記被締結用金具31の外周形と略等しい内周形を有する筒状体の形態を有し、被締結用金具31から取り外せるように、周方向の2箇所で分割線1bで分割可能に構成され該分割の部分に分割可能となる接続具2,3が配置され、周壁部1Rに、締結ボルト用挿通穴4とそれに連接してナット挿通穴5とを有する。
【解決手段】 テーパ面31gを有するフランジ部31kと、当接面31cに締結ボルト挿通用凹部31rとを有し、被締結用金具31の締結端部間を、断面コ形の凹部の対峙する各内面に前記テーパ面31gに対応するテーパ面32fを有し、締結ボルト用貫通穴32hを有する締結用金具32で、締結ボルト10とナット12を介して締結するパイプ締結具で二つのパイプを締結するためのパイプ締結用補助具1であり、全体が、前記被締結用金具31の外周形と略等しい内周形を有する筒状体の形態を有し、被締結用金具31から取り外せるように、周方向の2箇所で分割線1bで分割可能に構成され該分割の部分に分割可能となる接続具2,3が配置され、周壁部1Rに、締結ボルト用挿通穴4とそれに連接してナット挿通穴5とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、建築・土木分野において、建屋等の上部構造体下の地中に配設されるパイル等(この明細書および特許請求の範囲において、土中埋設用以外のものをも含めて、またパイル以外にパイル状のものも含めて、単に土中埋設用パイルともいう)を形成するべく、所定寸法のパイプ同士を長手方向に締結する際に補助具として用いられる、パイプ締結用補助具と、この補助具を使用したパイプ締結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場、あるいは土木現場では、地盤の強化等のため、建屋等の上部構造体が作られる地盤に、所定長さの鋼管あるいはコンクリート管(この明細書および特許請求の範囲において「パイプ」ともいう)を順次所定本数だけ締結した土中用のパイルが複数適宜間隔で打設される。
【0003】
前記パイプ間の締結は、従来溶接によって専らおこなわれていたが、締結部分の信頼性と作業性等に鑑みて、本出願人等によって、被締結用金具とこれら被締結用金具同士を締結する締結用金具とを用いて機械的におこなう手法が提供されている(特許文献1参照)。
【0004】
前記被締結用金具と締結用金具とを用いてパイプ同士を締結する場合、具体的には、締結しようとするパイプの各端部に、被締結用金具を工場等において溶接しておき、パイルを打設等しようとする現場において、既に打設したパイプの上端の被締結用金具に、新たに締結しようとするパイプの下端の被締結用金具を対峙させた状態で、各端部の被締結用金具間を、締結用金具によって締結することによっておこなわれる。
具体的には、図17に図示するように、既に大部分が地中に打設されたパイプ30Aの上端に溶接されている被締結用金具31と、締結しようとするパイプ30Bの下端に溶接されている被締結用金具31とを間に空間を空けた状態で上下に対峙(対面)させ、かかる状態で、平面視が図8に、側面視が図9に図示される締結用金具32を、図8に図示するように、周方向に適宜間隔で前記下方の被締結用金具31の内周方に挟着するテーパ面32fが向いた状態で配置し、この際、前記締結用金具32の中央に形成されている締結ボルト用貫通穴32hに図10に図示する締結ボルト10を、ボルト頭10aが内径方に位置するような状態で配置するとともに、締結ボルト10の先端には座金14を介して、ナット12を配置する。そして、前記締結ボルト10の中央部が、図17に図示する前記被締結用金具31の上端面に形成された半円柱状の締結ボルト挿通用凹部31rに位置するような状態で配置しておく。
かかる状態において、上方に位置するパイプ30Bを、その被締結用金具31の締結ボルト挿通用凹部31rが前記締結ボルト挿通用凹部31rに一致するよう、つまり、前記締結ボルト10が上下に対峙する両方の締結ボルト挿通用凹部31rで形成される円柱状の空間に位置するような状態で、パイプ30A側に接触させる。
このように接触させた状態において、前記締結ボルト10の先端に螺着されているナット14を締めてつけて行けば、上下の前記被締結用金具31同士が、締結用金具32の前記テーパ面32fによって挟着される。つまり、図8に図示する締結用金具32のコ形に対峙するよう形成されたテーパ面32fが、図17に図示する上下の被締結用金具31の各テーパ面31gを挟着することによって、「くさび作用」で、挟着される。
【特許文献1】特開2002−194735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記締結作業において、それぞれに締結ボルト10を挿通した複数の締結用金具32を、下方のパイプ30Aの被締結用金具31に保持させておくことは、極めて難しい作業となる。つまり、振動や、何かが僅かに接触することによって、締結用金具32は簡単に被締結用金具31から落下してしまうことになる。
【0006】
本願発明は、上述のような現況に鑑みおこなわれたもので、締結作業が円滑に且つ容易におこなえる、パイプ締結用補助具と、この補助具を使用したパイプ締結方法を提供することを目的とする。
【0007】
なお、本明細書で、締結用金具,被締結用金具は、便宜上「・・金具」と表現しているが、材質的には金属製に限定されるものでなく、セメント、プラスティックあるいはセラミック等の他の材質のものを含む広い概念で使用している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかるパイプ締結用補助具は、(a).締結に際して対峙且つ当接する締結端部において内方に突設し、端面である当接面から離間した側の面が、内周端側で薄肉になるテーパ状に形成されたフランジ部を、該締結端部に有するとともに、前記当接面に肉厚方向に貫通する締結ボルト挿通用凹部を有し、土中埋設用等のパイルを構成する締結しようとする二つのパイプ間の対峙する各締結端部に一体的に形成されるリング状の被締結用金具と、(b).断面コ形の凹部の対峙する各内面に、前記フランジ部のテーパ状の面に対応するテーパ面を有するとともに、肉厚方向に貫通する締結ボルト用貫通穴を有し、二つの前記被締結用金具をそれらの当接面同士を対峙且つ当接させた状態においてそれらのフランジ部を前記コ形の凹部によって接合方向に挟着する、部分リング状の締結用金具と、(c).前記挟着を実行するべく前記締結用金具に一端が係止されて該締結用金具を被締結用金具側に引き寄せる締結ボルトとの、前記(a)〜(c)の構成を具備したパイプ締結具を介して、前記二つのパイプを長手方向に締結する際に、該締結を補助するべく用いられるパイプ締結用補助具であって、
この締結用補助具は、全体の概略の形態が、締結しようとする前記被締結用金具の外周形と略等しい内周形を有する筒状体の形態を有し、
前記筒状体が内方に位置する被締結用金具から取り外せるべく、該筒状体が、その周方向における少なくとも2箇所でパイプの長手方向に延びる分割線で分割可能に構成されるとともに、その分割部分に、該筒状体が分割及び組立て可能となるように、接続具が配置され、
前記筒状体の周壁部に、前記締結ボルトの軸径に対応した穴径の締結ボルト用挿通穴と、該周壁部に対して前記締結ボルトが周方向に相対的に移動可能となるべく前記締結ボルト用挿通穴に一部が重なるように且つ締結ボルトに螺合したナットが挿通可能な径のナット挿通穴とを周方向に連設したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかるパイプ締結方法は、前記のパイプ締結用補助具を用いて、前記二つのパイプを前記パイプ締結具で締結して所望長さの土中埋設用等のパイルを構成するためのパイプ締結方法であって、以下の(A)〜(F)の一連の工程を有することを特徴とするパイプ締結方法。
(A).前記パイプ締結用補助具の締結ボルト用挿通穴に、基端部に前記締結用金具を挿通し且つ係止した前記締結ボルトの先端部を挿通し、挿通した締結ボルトの先端にナットを螺着して、該パイプ締結用補助具に締結用金具と締結ボルトを、該パイプ締結用補助具の周壁部の内周と前記締結用金具の外周面との間に隙間が形成されるような状態で、一体になるようセットする。
(B).前記締結用金具と締結ボルトとがセットされた前記パイプ締結用補助具を、そこにセットされた該締結ボルトが、打設したパイプ上端の前記被締結用金具の締結ボルト挿通用凹部上に位置する状態で、且つ当該パイプ締結用補助具の周壁部の内周方に該締結用金具が位置し且つ前記被締結用金具が該周壁部の内周と締結用金具との間に位置する状態で、前記被締結用金具上にセットする。
(C).次に、上方から、もう一方の被締結用金具を下端に具備したパイプを、その被締結用金具が、前記(B)の工程でセットされたパイプ締結用補助具の周壁部の内周方と前記締結用金具との間に且つ締結しようとする下方の前記被締結金具と上下に対峙するように、且つこの被締結用金具の締結ボルト挿通用凹部が前記セットされた締結ボルト上に位置するように、該被締結用金具を前記打設したパイプの被締結用金具に接合させる。
(D).前記(C)の工程において接合した状態で、前記締結用金具が外径方へ移動して被締結用金具に対して所定状態に近接または当接するまで前記締結ボルトに螺合するナットを前記パイプ締結用補助具の外方から締め付ける。
(E).次に、前記パイプ締結用補助具をパイプに対して、前記ナットが前記ナット挿通穴に一致するまで、所定角度だけ回転させる。
(F).この状態で、前記接続具を接続解除状態にして、前記パイプ締結用補助具をパイプの長手方向に延びる分割線に沿って周方向に分割して、パイプの締結部分から、パイプ締結用補助具を取り外す。
【0010】
しかして、前記した本発明にかかるパイプ締結用補助具によれば、前述したパイプ締結方法を実施することが可能となる。
【0011】
そして、これらパイプ締結用補助具とパイプ締結方法によれば、打設等されたパイプ上の被締結用金具上に、締結用金具及び緊締するための締結ボルトをセットしたこのパイプ締結用補助具を載置した状態で、上方から、下端に締結しようとする被締結用金具を具備したパイプを接近させて当接させる際にも、その間、パイプ締結用補助具によって、前記締結用金具及び締結ボルトが所定の状態で下方のパイプの被締結用金具上に保持されている。このため、この状態でナットを締結ボルトに対して締め付ければ、熟練者でなくとも、簡単に且つ確実に、しかも迅速に、締結作業をおこなうことが可能となる。なお、前記締結作業がおこなわれた後には、前記接続具を接続解除状態にして、このパイプ締結用補助具を、締結したパイプから取り外せばよい。
また、本パイプ締結用補助具は、前記締結作業に際して、前記下端に被締結用金具を具備したパイプを上方から接近させるときに、このパイプ締結用補助具は、下方に位置するもう一方のパイプに対して、円滑に所定の状態に接近させ且つ当接させるためのガイド機能をも奏する。
さらには、このパイプ締結用補助具の場合、締結部位から離れた平坦な部位(机上等の上)で、該パイプ締結用補助具内に所定の状態に締結用金具をセットすることができ、かかる締結用金具を内部にセットした状態のパイプ締結用補助具を、一方(既に打設されている等)の被締結用金具にセットする(かぶせる)だけでよいため、容易にセットすることが可能となる。
【0012】
また、前記パイプ締結用補助具において、前記接続具が少なくとも2種類の形態のものから構成されており、該接続具の一つが枢支軸を中心に開閉可能な蝶番であり、他の一つが係止且つ解除可能なフック金具であると、保管及び持ち運び等に便利であり、また、締結作業も簡単に行える好ましいパイプ締結用補助具となる。
【0013】
また、前記パイプ締結用補助具において、前記締結用金具が複数個あり、前記パイプ締結用補助具が、前記複数個の締結用金具同士を前記被締結用金具の周壁部の内方側で略リング状に保持するリング状になった弾性バンドを、さらに具備していると、締結用金具が複数存在する場合においても、簡単にこれらの締結用金具をリング状に保持することが可能となる。
【0014】
また、パイプ締結方法において、前記締結用金具を複数設けて締結する場合、前記(A)の工程における前記パイプ締結用補助具へのセットの際に、各締結用金具を弾性バントによってリング状に保持するよう構成されていると、複数の締結用金具を簡単に且つ迅速に保持することが、安価に実施することができ、締結完了後に、前記弾性バントが締結部分内に残留したとしても、何等悪影響を与えるようなことはない。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかるパイプ締結用補助具及びパイプ締結方法によれば、パイプ締結具を用いた、パイル形成のためのパイプ間の締結作業が、円滑に且つ容易に、しかも迅速におこなうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本願発明の実施形態にかかるパイプ締結用補助具と当該補助具を使用したパイプ締結方法について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0017】
図1は本実施形態にかかるパイプ締結用補助具の構成を示す平面図、図2は同じく図1のII−II矢視からの側面図、図3は同じく図III−III矢視からの側面図、図4は同じく図1のIV−IV矢視からの側面図である。
【0018】
図1〜図4に図示するように、本実施形態にかかるパイプ締結用補助具1は、全体の形態が、前記締結しようとする図17に示す被締結用金具31の外周形と略等しい内周形を有する筒状体の形態を有する。つまり、この実施形態の場合、このパイプ締結用補助具1は、全体の概略の形態が、所定長さ(高さ)と所定の肉厚を有する円筒状体の形状を有する。
また、このパイプ締結用補助具1は、前記円筒状体の周方向の二箇所、具体的には、180度隔たった2箇所にパイプの長手方向(図2〜図4において上下方向)に延びる分割線1a,1bが形成され、この分割線1a,1bの箇所で、2分割できるよう構成されている。つまり、この実施形態では、パイプ締結用補助具1は、2つの半円筒状体1A,1Bに分割できるよう構成されている。前記分割線1a,1bは、この実施形態では、上下方向に垂直に形成されているが、これに限定されることなく、該分割線は、上下に斜めになっていても、また、非直線的な線であってもよい。
そして、前記半円筒状体1A,1Bの周方向の前記分割線1aで分割された端部同士は、接続具により、具体的には、この実施形態の場合には図1,図3,図4に図示する接続具たる蝶番2により、この蝶番2の枢支軸2aを中心に開閉自在に接続されている。このため、これらの2つの半円筒状体1A,1Bは、図1〜図4に図示する円筒状体の状態から、前記蝶番2の枢支軸2a(図1,図3,図4参照)を中心にしてもう一方の分割線1bの端が接合した状態から大きな角度(360度近い角度)まで拡がることが可能になっている。しかし、前記拡がる角度は、360度に限定されるものでなく、60度以上拡がればよい。
そして、もう一方の前記分割線1bで分割された端部同士は、前記接続具とは異なる種類の接続具により、つまり、この実施形態の場合には図1,図2,図4に図示するようなフック金具3により、分割可能に構成されている。このフック金具3は、図2に図示するように、下端にストッパー部3sと、他方の端部に係止部3bとを有する概略「7」形の係止棒3aと、前記係止部3bを収容可能で細径の半円筒状体1Aに取着されている係止パイプ3cと、さらに、前記係止棒3aを回動自在に支持する、半円筒状体1Bに取着されている支持パイプ3dと、図2に図示する、この係止棒3aを支持パイプ3dに対して下方に押圧するスプリング3eとを有する。そして、このフック金具3は、外力が作用しない状態では、前記係止棒3aは前記スプリング3eにより、図2に図示する如く、下方に引張られた状態を形成し、従って、この係止棒3aの係止部3bが前記係止パイプ3cに収容されているときには、その状態(係止状態)を維持することができ、かかる場合には、前記半円筒状体1A,1B相互は接合した状態を維持することができるように構成されている。また、前記係止棒3aの係止部3bが前記係止パイプ3cに非収容状態となっているときには、その状態(非係止状態)を維持することができるように構成されている。
【0019】
また、このパイプ締結用補助具1の周壁部1Rには、周方向において120度の間隔をおいて3個の締結ボルト用挿通穴4が形成されている。この締結ボルト用挿通穴4は、後述する締結ボルト10の軸径に対応した穴径、この実施形態の場合には、締結ボルト10の軸径よりやや大きめの穴径に構成されている。そして、この締結ボルト用挿通穴4は、図5に穴正面視の形態が示される如くパイプ締結用補助具1の周方向に延びる長穴に形成されている。そして、この締結ボルト用挿通穴4のうち、前記分割線1bで分割されている締結ボルト用挿通穴4A(図2,図7参照)を除いた2つの締結ボルト用挿通穴4B,4C(図3〜図6参照)の各端部は、より大径、つまり、ナット12(図5〜図6,図10参照)の径、この実施形態の場合には、図6に図示するように、ナット12より大径の丸形座金14の外径よりやや大きい径からなるナット挿通穴5と一部が重なるように連設されている。前記締結ボルト用挿通穴4Aの周方向の長さと、前記ナット挿通穴5を含む前記締結ボルト用挿通穴4B,4Cの周方向の長さは、それぞれ等しく構成されている。つまり、これらの周方向の長さは、このパイプ締結用補助具1をパイプ(被締結用金具31)に対して所定角度だけ回動させるための長さとなる。
また、前記締結ボルト用挿通穴4Aの一方の端は、前記分割線1bで分割されている部分(端)に開口している。
【0020】
ところで、前記締結ボルト用挿通穴4は、後述する締結ボルト10の数及び配置位置に合わせて設けられている。さらに言えば、使用する被締結金具31とこれに対応した締結用金具32の構成に従って、決定される。つまり、本実施形態の場合には、締結ボルト10が平面視において120度の間隔を隔てて配置されたパイプ締結具Aのためのパイプ締結用補助具1、つまり、図17に図示する被締結用金具31と図8に図示する締結用金具32のためのパイプ締結用補助具1であることから、前述のように120度の間隔をおいて3個の締結ボルト用挿通穴4が形成されている。従って、締結ボルトの数と配置位置が異なる場合には、その実施形態に合わせてその数と位置が変更されることになる。
【0021】
また、このパイプ締結用補助具1の周壁部1Rの外周面の上端部には、作業者が手で把持するための平面視コの字形の把持部6が該周壁部1Rに一体に形成されている。また、この把持部6は、図1に図示するように、この実施形態の場合、前記半円筒状体1A,1Bの周方向における中央位置に設けられている。
【0022】
ところで、前述したパイプ締結用補助具1が使用されるパイプ締結具Aについて説明する。以下、パイプ締結具Aの要部を構成する、被締結用金具31と締結用金具32と締結ボルト10およびナット12の各構成とについて、このパイプ締結用補助具1の構成との関係において説明すると、以下のとおりである。つまり、
図17、図18に図示するように、既に大部分が地中に打設された下方のパイプ30Aの上端に溶接されている被締結用金具31と、締結しようとする上方のパイプ30Bの下端に溶接されている被締結用金具31とは、物理的に同じもので構成されており、これらの被締結用金具31は、全体の概略の形態がリング状の形態を有し、このリング状の締結端部31の内周壁31iには、内方に突設されたフランジ部31kが設けられている。このフランジ部31kの当接面31cから離間した側の面は、内周端側で薄肉になったテーパ面31gで構成されている。また、前記当接面31cは、被締結用金具31の長手方向(図17、図18において上下方向)に直交する平面で構成されている。また、前記当接面31cには、リング状の中心O1(図18参照)から放射方向(径方向)に向いた締結ボルト挿通用凹部31rが120度の間隔で3箇所に形成されている。これらの締結ボルト挿通用凹部31rは、この実施形態の場合、凹部断面が半円柱状になっており、これらの当接面32cが当接することにより、前記締結ボルト挿通用凹部31rが上下に合わさって、前記締結ボルト10を挿通するための断面が円の穴を形成するよう構成されている。そして、図18に図示するように、この被締結用金具31の、前記当接面31cと反対側の面31mは、土中埋設用パイルを形成するパイプ30A,30Bの端面30fに溶接できるよう略平面に形成されている。正確には、該平面の角部が切除された、溶接のための切り欠き(隅肉取り)がおこなわれている。また、前記パイプ30A,30Bの端面30fの内周面には、補強用のリング部材33がそれぞれ配設(溶接)されている。
【0023】
また、前記被締結用金具31の、前記パイプ30A,30Bの端面30fと溶接される箇所の肉厚は、該パイプ30A,30Bの肉厚より少し厚めに構成されている。また、被締結用金具31の、前記パイプ30A,30Bの端面30fと溶接される箇所の内径は、前記パイプ30A,30Bの内径とほぼ等しく構成されるとともに、前記フランジ部31kの下端まで同じ内径を有する。従って、前記フランジ部31kのみが内方へ突出した状態となっている。
また、この実施形態の場合には、前記フランジ部31kの外周面の前記締結ボルト挿通用凹部31hの位置する箇所は、前記座金14(あるいは座金14とナット12の一部)が収容される寸法だけ、座ぐり15がなされている。
【0024】
一方、前記締結用金具32は、斜視図である図9に図示するように、断面視においてコ形(正確には、コ形の奥方にゆくに従って溝高さが狭くなったコ形)の形態を有し、且つ、図8に図示するように、平面視において、1つの締結用金具32の全体の平面視における形状が部分リング状(リング状のものを周方向に所定長さを有するよう切断したような外形)の形態を有する。
そして、この締結用金具32の周方向(図8参照)及び長手方向(図9において上下方向)における中央部位には、締結ボルト10が貫通する締結ボルト用貫通穴32hを有する。また、この締結ボルト用貫通穴32hは、上下一対の前記被締結用金具31がこの締結用金具32によって締結された状態(あるいは締結される状態)において、前記合わさった締結ボルト挿通用凹部31rからなる断面が円の穴に、一致した位置に形成されている。
そして、前記コ形の対峙する各内面には、前述した前記フランジ部31kのテーパ面31gに対応するテーパ角からなるテーパ面32fを相互に対峙するように有する。つまり、このテーパ面32fは、図9に図示するように、外径端方で互いのテーパ面が広がり勝手に内径端側で狭まり勝手になるようなテーパ面となっている。換言すれば、この締結用金具32は、断面形状が略「チャンネル鋼」状
に形成されている。そして、前記テーパ面32f間の隙間32sは、前記上下に配置された各被締結用金具31のフランジ部31kが上下に合わさった状態の形態と略等しい形態(形状)に構成されている。
従って、被締結用金具31同士を締結する際、図16(b),(c)に図示するように、このコ形の部分、つまりコ形の上側のテーパ面32fが上側のパイプ30Bの下端に配設されている被締結用金具31のテーパ面31gと当接し、且つ、コ形の下側のテーパ面32fが下側のパイプ30Aの上端に配設されている被締結用金具31のテーパ面31gと当接して、上下方向から、上下に対峙する二つの被締結用金具31を挟着し固定することができるように構成されている。
【0025】
また、この実施形態の場合、前記被締結用金具31及び締結用金具32は、いずれも鍛造された金属製のもので構成されている。しかし、使用用途や必要とする強度によっては、必ずしも金属製のものに限定されるものでなく、他の材質、例えば、強化樹脂あるいはセラミック等であってもよい。また、金属製である場合においても、鍛造以外の方法により製造されたものであってもよい。
【0026】
また、前記締結ボルト10は、図10に図示するように、頭付きのボルトが使用されている。頭の形態については、この図10に図示するようなマッシュルーム状のものに限定されるものでなく、通常の六角頭の形態やその他の形態であってもよい。また、前記ナット12と同じように、前記頭に代えてナットを螺着して代用することも考えられる。
この実施形態にかかる締結ボルト10の場合には、図10に図示するように、該締結ボルト10の先端部、つまり、ナット12が螺着完了した時点でナット12を通過した側の端部に、締結に際して一定のトルクが作用して螺着が完了するよう、所定の締結が完了した際脱落するようにトルクリミターと呼ばれる、細径で且つ接続部にノッチ10nを有し、端部に回転を付与する係合溝10mが形成されたものが使用されている。しかし、勿論、このトルクリミターの形態を有するもの以外の、つまり、通常のボルトが使用されてもよいことは言うまでもない。
【0027】
また、ナット12には六角ナットが使用され、また、座金14には平座金タイプの所謂丸座金が使用されている。
【0028】
しかして、前述のように構成された被締結用金具31は、締結しようとする各パイプ30A,30Bの対峙する両端に取着され、これら被締結用金具31同士を前記締結用金具32と締結ボルト10とによって締結しようとする際、前記パイプ締結用補助具1を使用して、以下のように簡単且つ容易に、しかも迅速に、締結をすることができる。以下、本実施形態にかかるパイプ締結方法について説明する。
【0029】
まず、
(I).前記パイプ締結用補助具1のフック金具3の係止部3bを、前記係止パイプ3cに係止して、該パイプ締結用補助具1がリング状の形態になった状態(図1の状態参照)で、その締結ボルト用挿通穴4に、前記締結ボルト10の先端部を挿通する。その際、この締結ボルト10は、基端部を前記締結用金具32の締結ボルト用貫通穴32hに挿通し且つボルト頭部分で該締結用金具32を係止しておく。そして、前記締結ボルト用挿通穴4に挿通した締結ボルト10の先端に座金14を介して前記ナット12を螺着して、該パイプ締結用補助具1に締結用金具32と締結ボルト10を、該パイプ締結用補助具1の周壁部1Rの内周1rと前記締結用金具32の外周面32nとの間に隙間45が形成されるような状態で、一体になるようセットする。このように、パイプ締結用補助具1に、締結用金具32と締結ボルト10及び座金14とナット12をセットした状態を示すと、図13のようになる。なお、この実施形態では、各締結用金具32間を太めのリング状のゴムバンド(弾性バンド)15で拘束している。このため、このようにリング状に配置されたこれら締結用金具32を該リング状の状態に容易に維持することができる。
【0030】
(II).次に、前記のようにセットされた前記パイプ締結用補助具1を、該セットされた該締結ボルト10が、既に打設したパイプ30A上の前記被締結用金具31の締結ボルト挿通用凹部31r上に位置する状態で、且つ当該パイプ締結用補助具1の周壁部1Rの内周方に該締結用金具32が位置し、さらに前記被締結用金具31が該周壁部1Rの内周と前記締結用金具32との間のリング状の隙間45に位置する状態で、前記被締結用金具31上にセットする(図14参照)。
【0031】
(III).次に、図16(a)に図示するように、上方から、もう一方の被締結用金具31を下端に具備したパイプ30Bを、その被締結用金具31が、前記(II)の工程でセットされたパイプ締結用補助具1の周壁部1Rの内周と前記締結用金具32との間のリング状の隙間45に、締結しようとする下方の前記被締結金具31と上下に対峙するように、且つこの被締結用金具31の締結ボルト挿通用凹部31rが、前記パイプ締結用補助具1にセットされた締結ボルト10上に位置するように、該被締結用金具31を前記打設したパイプ30Aの被締結用金具31に接合させる。このように前記被締結用金具31が上下に接合した状態を図示すると、図16(b)の如くなる。
【0032】
(IV).前記(III)工程が終了した状態において、前記ナット12を、前記パイプ締結用補助具1が被締結用金具31に対して回転できる程度に、軽く締め付け、締結用金具32を被締結用金具31に当接させる(図15あるいは図16(c)参照)。この状態において、上下に対峙する被締結用金具31とこれらを締結する締結用金具32との位置決めが完了した状態となる。
【0033】
(V).前述の操作が完了すると、次に、前記パイプ締結用補助具1をパイプ30A,30Bに対して、換言すると前記パイプ締結用補助具1を前記被締結用金具31及び締結用金具32に対して、前記ナット12が前記ナット挿通穴5に一致するまで、所定角度(この実施形態の場合、約10度〜15度程度)だけ回転させる(図6参照)。具体的には、図15に示すように矢印で示す方向R(反時計方向)に、前記パイプ締結用補助具1をパイプ30A,30Bに対して前記所定角度だけ回転させる。
【0034】
(VI).前記(V)の工程が終了した状態で、前記接続具である前記フック金具3を解除状態、つまり、前記係止棒3aを前記スプリング3eのばね力に抗して、上方に持ち上げて、該係止棒3aの係止部3bを前記係止パイプ3cから引き抜き、しかる状態で、パイプ締結用補助具1の分割線1b部分で、両側の半円筒状体1A,1Bを前記蝶番2の枢支軸2aを中心に開く。このように開く際に、前記ナット12及び座金14は、前記ナット挿通穴5あるいは前記分割線1bで開口した部分を通過するため、なんら支障なく開くことが可能となる。このように、両側の半円筒状体1A,1Bを前記蝶番2の枢支軸2aを中心に開き終えると、このパイプ締結用補助具1を、パイプ30A,30B(換言すると前記被締結用金具31及び締結用金具32)から、取り外すことができることになる。
【0035】
(VII).前述のようにパイプ締結用補助具1を取り外した後は、前記ナット12を、所定のトルクにセットされたトルクレンチを使用して、つまり所定のトルクを付与して締め付けることによって、前記締結用金具32によって二つの被締結用金具31を強固に挟着させることができる。つまり、二つのパイプ30Aとパイプ30Bとの締結が完了する。
【0036】
以上の(I)〜(VII)の工程を経て、上下に対峙する二つのパイプを簡単に且つ迅速に締結することが可能となる。
【0037】
ところで、前記実施形態では、パイプ締結用補助具1を半円筒状体1A,1Bに周方向に2分割するよう構成しているが、周方向に3分割するよう構成してもよく、あるいは4分割またはそれ以上の数に分割するよう構成してもよい。このように、3分割あるいは4分割またはそれ以上に分割する場合には、図19に図示するように、前記接続具としては、各端部に上下に合わさって直列する穴50を形成することができるパイプ状の係止穴50A,50Bを形成しておき、これらの係止穴50A,50Bからなる穴50に係止ピン51を挿通することによって、筒状体に組立て、この係止ピン51を抜くことによって、部分筒状体に分割できるように構成してもよい。
【0038】
また、前記実施形態の場合、上下に対峙する被締結用金具が物理的に同じ形態のものであったが、本発明にかかるパイプ締結用補助具やパイプ締結方法は、締結しようとする上下の被締結用金具が異なる形態からなるものであっても、基本的に同じように使用することができることは、当業者にとって自明である。
【0039】
さらに、前記実施形態では、専ら、土中埋設用パイルを形成する際のパイプ間の締結の場合について説明したが、土中埋設用パイル以外のパイルやパイル状の構造物にも適用できることは言うまでもない。
【0040】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものでなく、当業者が自明の範囲において、適宜変更した形態で実施することができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本願発明にかかるパイプ締結用補助具と当該補助具を使用したパイプ締結方法によれば、作業性の点で優れ、且つ締結強度の点、特に当接面でのねじり強度の点で優れ、また剪断強度の点で優れ、さらに、経済性の点でも優れた、パイル締結構造の締結に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施形態にかかるパイプ締結用補助具の構成を示す平面図である。
【図2】本実施形態にかかるパイプ締結用補助具の構成を示す図1のII−II矢視方向からの側面図である。
【図3】本実施形態にかかるパイプ締結用補助具の構成を示す図III−III矢視方向からの側面図である。
【図4】本実施形態にかかるパイプ締結用補助具の構成を示す図1のIV−IV矢視方向からの側面図である。
【図5】図1〜図4に示す周壁部に形成された締結ボルト用挿通穴とこれに連接されたナット挿通穴の構成を示す部分拡大側面図である。
【図6】図5に示す状態からパイプに対してパイプ締結用補助具を所定角度回転させて、二点鎖線で示すナット挿通穴からナット及び座金が露呈している状態を示す部分拡大側面図である。
【図7】図1の分割線部分に設けられた締結ボルト用挿通穴の形態を示す部分拡大側面図である。
【図8】図1等に示すパイプ締結用補助具が使用される締結用金具の構成を示す、該締結用金具がリング状に配設された状態の平面図である。
【図9】図8に示す締結用金具の構成を示す斜め背面方向からの斜視図である。
【図10】被締結用金具と締結用金具とを接合するための締結ボルトを、ナット及び座金を装着した状態で示す側面図である。
【図11】図10に示す座金の構成を示す図9と90度異なる方向から見た図である。
【図12】締結ボルト先端部のトルクリミッタ部分の正面から見た構成を示す、図10のXII−XII矢視図である。
【図13】図1に示すパイプ締結用補助具に締結用金具とナット等を螺着したボルトとをセットした状態を示す平面図である。
【図14】図13に示す状態のパイプ締結用補助具を打設されたパイプ上の被締結用金具にセットした状態を示す平面図である。
【図15】図14に示す状態からナットを締め付けて被締結用金具同士を締結用金具で挟着した状態を示す平面図である。
【図16】打設したパイプ上の被締結用金具に、下端に対応する被締結用金具を具備したパイプを締結する際の各工程を示す図で、(a)は被締結用金具同士を接近させる状態を示す側断面図、(b)は被締結用金具同士の当接面を当接させた状態を示す側断面図、(c)はナットを締め付けて被締結用金具を締結用金具で挟着した状態を示す側断面図である。
【図17】締結しようとする、両方の端部に被締結用金具を設けた二つのパイプが、上下に対峙した状態を示す斜視図である。
【図18】図17に示す状態を中心線上を長手方向に沿って断面して表した側断面図である。
【図19】図2,図3に図示する実施形態と別の実施形態にかかる接続具の構成を示す部分側面図である。
【符号の説明】
【0043】
1…パイプ締結用補助具
1R…周壁部
2…蝶番(接続具)
3…フック金具(接続具)
4…締結ボルト用挿通穴
5…ナット挿通穴
10…締結ボルト
12…ナット
31…被締結用金具
31k…フランジ部
31g…テーパ面
31c…当接面
31r…締結ボルト挿通用凹部
32…締結用金具
32f…テーパ面
32h…締結ボルト用貫通穴
【技術分野】
【0001】
本願発明は、建築・土木分野において、建屋等の上部構造体下の地中に配設されるパイル等(この明細書および特許請求の範囲において、土中埋設用以外のものをも含めて、またパイル以外にパイル状のものも含めて、単に土中埋設用パイルともいう)を形成するべく、所定寸法のパイプ同士を長手方向に締結する際に補助具として用いられる、パイプ締結用補助具と、この補助具を使用したパイプ締結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場、あるいは土木現場では、地盤の強化等のため、建屋等の上部構造体が作られる地盤に、所定長さの鋼管あるいはコンクリート管(この明細書および特許請求の範囲において「パイプ」ともいう)を順次所定本数だけ締結した土中用のパイルが複数適宜間隔で打設される。
【0003】
前記パイプ間の締結は、従来溶接によって専らおこなわれていたが、締結部分の信頼性と作業性等に鑑みて、本出願人等によって、被締結用金具とこれら被締結用金具同士を締結する締結用金具とを用いて機械的におこなう手法が提供されている(特許文献1参照)。
【0004】
前記被締結用金具と締結用金具とを用いてパイプ同士を締結する場合、具体的には、締結しようとするパイプの各端部に、被締結用金具を工場等において溶接しておき、パイルを打設等しようとする現場において、既に打設したパイプの上端の被締結用金具に、新たに締結しようとするパイプの下端の被締結用金具を対峙させた状態で、各端部の被締結用金具間を、締結用金具によって締結することによっておこなわれる。
具体的には、図17に図示するように、既に大部分が地中に打設されたパイプ30Aの上端に溶接されている被締結用金具31と、締結しようとするパイプ30Bの下端に溶接されている被締結用金具31とを間に空間を空けた状態で上下に対峙(対面)させ、かかる状態で、平面視が図8に、側面視が図9に図示される締結用金具32を、図8に図示するように、周方向に適宜間隔で前記下方の被締結用金具31の内周方に挟着するテーパ面32fが向いた状態で配置し、この際、前記締結用金具32の中央に形成されている締結ボルト用貫通穴32hに図10に図示する締結ボルト10を、ボルト頭10aが内径方に位置するような状態で配置するとともに、締結ボルト10の先端には座金14を介して、ナット12を配置する。そして、前記締結ボルト10の中央部が、図17に図示する前記被締結用金具31の上端面に形成された半円柱状の締結ボルト挿通用凹部31rに位置するような状態で配置しておく。
かかる状態において、上方に位置するパイプ30Bを、その被締結用金具31の締結ボルト挿通用凹部31rが前記締結ボルト挿通用凹部31rに一致するよう、つまり、前記締結ボルト10が上下に対峙する両方の締結ボルト挿通用凹部31rで形成される円柱状の空間に位置するような状態で、パイプ30A側に接触させる。
このように接触させた状態において、前記締結ボルト10の先端に螺着されているナット14を締めてつけて行けば、上下の前記被締結用金具31同士が、締結用金具32の前記テーパ面32fによって挟着される。つまり、図8に図示する締結用金具32のコ形に対峙するよう形成されたテーパ面32fが、図17に図示する上下の被締結用金具31の各テーパ面31gを挟着することによって、「くさび作用」で、挟着される。
【特許文献1】特開2002−194735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記締結作業において、それぞれに締結ボルト10を挿通した複数の締結用金具32を、下方のパイプ30Aの被締結用金具31に保持させておくことは、極めて難しい作業となる。つまり、振動や、何かが僅かに接触することによって、締結用金具32は簡単に被締結用金具31から落下してしまうことになる。
【0006】
本願発明は、上述のような現況に鑑みおこなわれたもので、締結作業が円滑に且つ容易におこなえる、パイプ締結用補助具と、この補助具を使用したパイプ締結方法を提供することを目的とする。
【0007】
なお、本明細書で、締結用金具,被締結用金具は、便宜上「・・金具」と表現しているが、材質的には金属製に限定されるものでなく、セメント、プラスティックあるいはセラミック等の他の材質のものを含む広い概念で使用している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかるパイプ締結用補助具は、(a).締結に際して対峙且つ当接する締結端部において内方に突設し、端面である当接面から離間した側の面が、内周端側で薄肉になるテーパ状に形成されたフランジ部を、該締結端部に有するとともに、前記当接面に肉厚方向に貫通する締結ボルト挿通用凹部を有し、土中埋設用等のパイルを構成する締結しようとする二つのパイプ間の対峙する各締結端部に一体的に形成されるリング状の被締結用金具と、(b).断面コ形の凹部の対峙する各内面に、前記フランジ部のテーパ状の面に対応するテーパ面を有するとともに、肉厚方向に貫通する締結ボルト用貫通穴を有し、二つの前記被締結用金具をそれらの当接面同士を対峙且つ当接させた状態においてそれらのフランジ部を前記コ形の凹部によって接合方向に挟着する、部分リング状の締結用金具と、(c).前記挟着を実行するべく前記締結用金具に一端が係止されて該締結用金具を被締結用金具側に引き寄せる締結ボルトとの、前記(a)〜(c)の構成を具備したパイプ締結具を介して、前記二つのパイプを長手方向に締結する際に、該締結を補助するべく用いられるパイプ締結用補助具であって、
この締結用補助具は、全体の概略の形態が、締結しようとする前記被締結用金具の外周形と略等しい内周形を有する筒状体の形態を有し、
前記筒状体が内方に位置する被締結用金具から取り外せるべく、該筒状体が、その周方向における少なくとも2箇所でパイプの長手方向に延びる分割線で分割可能に構成されるとともに、その分割部分に、該筒状体が分割及び組立て可能となるように、接続具が配置され、
前記筒状体の周壁部に、前記締結ボルトの軸径に対応した穴径の締結ボルト用挿通穴と、該周壁部に対して前記締結ボルトが周方向に相対的に移動可能となるべく前記締結ボルト用挿通穴に一部が重なるように且つ締結ボルトに螺合したナットが挿通可能な径のナット挿通穴とを周方向に連設したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかるパイプ締結方法は、前記のパイプ締結用補助具を用いて、前記二つのパイプを前記パイプ締結具で締結して所望長さの土中埋設用等のパイルを構成するためのパイプ締結方法であって、以下の(A)〜(F)の一連の工程を有することを特徴とするパイプ締結方法。
(A).前記パイプ締結用補助具の締結ボルト用挿通穴に、基端部に前記締結用金具を挿通し且つ係止した前記締結ボルトの先端部を挿通し、挿通した締結ボルトの先端にナットを螺着して、該パイプ締結用補助具に締結用金具と締結ボルトを、該パイプ締結用補助具の周壁部の内周と前記締結用金具の外周面との間に隙間が形成されるような状態で、一体になるようセットする。
(B).前記締結用金具と締結ボルトとがセットされた前記パイプ締結用補助具を、そこにセットされた該締結ボルトが、打設したパイプ上端の前記被締結用金具の締結ボルト挿通用凹部上に位置する状態で、且つ当該パイプ締結用補助具の周壁部の内周方に該締結用金具が位置し且つ前記被締結用金具が該周壁部の内周と締結用金具との間に位置する状態で、前記被締結用金具上にセットする。
(C).次に、上方から、もう一方の被締結用金具を下端に具備したパイプを、その被締結用金具が、前記(B)の工程でセットされたパイプ締結用補助具の周壁部の内周方と前記締結用金具との間に且つ締結しようとする下方の前記被締結金具と上下に対峙するように、且つこの被締結用金具の締結ボルト挿通用凹部が前記セットされた締結ボルト上に位置するように、該被締結用金具を前記打設したパイプの被締結用金具に接合させる。
(D).前記(C)の工程において接合した状態で、前記締結用金具が外径方へ移動して被締結用金具に対して所定状態に近接または当接するまで前記締結ボルトに螺合するナットを前記パイプ締結用補助具の外方から締め付ける。
(E).次に、前記パイプ締結用補助具をパイプに対して、前記ナットが前記ナット挿通穴に一致するまで、所定角度だけ回転させる。
(F).この状態で、前記接続具を接続解除状態にして、前記パイプ締結用補助具をパイプの長手方向に延びる分割線に沿って周方向に分割して、パイプの締結部分から、パイプ締結用補助具を取り外す。
【0010】
しかして、前記した本発明にかかるパイプ締結用補助具によれば、前述したパイプ締結方法を実施することが可能となる。
【0011】
そして、これらパイプ締結用補助具とパイプ締結方法によれば、打設等されたパイプ上の被締結用金具上に、締結用金具及び緊締するための締結ボルトをセットしたこのパイプ締結用補助具を載置した状態で、上方から、下端に締結しようとする被締結用金具を具備したパイプを接近させて当接させる際にも、その間、パイプ締結用補助具によって、前記締結用金具及び締結ボルトが所定の状態で下方のパイプの被締結用金具上に保持されている。このため、この状態でナットを締結ボルトに対して締め付ければ、熟練者でなくとも、簡単に且つ確実に、しかも迅速に、締結作業をおこなうことが可能となる。なお、前記締結作業がおこなわれた後には、前記接続具を接続解除状態にして、このパイプ締結用補助具を、締結したパイプから取り外せばよい。
また、本パイプ締結用補助具は、前記締結作業に際して、前記下端に被締結用金具を具備したパイプを上方から接近させるときに、このパイプ締結用補助具は、下方に位置するもう一方のパイプに対して、円滑に所定の状態に接近させ且つ当接させるためのガイド機能をも奏する。
さらには、このパイプ締結用補助具の場合、締結部位から離れた平坦な部位(机上等の上)で、該パイプ締結用補助具内に所定の状態に締結用金具をセットすることができ、かかる締結用金具を内部にセットした状態のパイプ締結用補助具を、一方(既に打設されている等)の被締結用金具にセットする(かぶせる)だけでよいため、容易にセットすることが可能となる。
【0012】
また、前記パイプ締結用補助具において、前記接続具が少なくとも2種類の形態のものから構成されており、該接続具の一つが枢支軸を中心に開閉可能な蝶番であり、他の一つが係止且つ解除可能なフック金具であると、保管及び持ち運び等に便利であり、また、締結作業も簡単に行える好ましいパイプ締結用補助具となる。
【0013】
また、前記パイプ締結用補助具において、前記締結用金具が複数個あり、前記パイプ締結用補助具が、前記複数個の締結用金具同士を前記被締結用金具の周壁部の内方側で略リング状に保持するリング状になった弾性バンドを、さらに具備していると、締結用金具が複数存在する場合においても、簡単にこれらの締結用金具をリング状に保持することが可能となる。
【0014】
また、パイプ締結方法において、前記締結用金具を複数設けて締結する場合、前記(A)の工程における前記パイプ締結用補助具へのセットの際に、各締結用金具を弾性バントによってリング状に保持するよう構成されていると、複数の締結用金具を簡単に且つ迅速に保持することが、安価に実施することができ、締結完了後に、前記弾性バントが締結部分内に残留したとしても、何等悪影響を与えるようなことはない。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかるパイプ締結用補助具及びパイプ締結方法によれば、パイプ締結具を用いた、パイル形成のためのパイプ間の締結作業が、円滑に且つ容易に、しかも迅速におこなうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本願発明の実施形態にかかるパイプ締結用補助具と当該補助具を使用したパイプ締結方法について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0017】
図1は本実施形態にかかるパイプ締結用補助具の構成を示す平面図、図2は同じく図1のII−II矢視からの側面図、図3は同じく図III−III矢視からの側面図、図4は同じく図1のIV−IV矢視からの側面図である。
【0018】
図1〜図4に図示するように、本実施形態にかかるパイプ締結用補助具1は、全体の形態が、前記締結しようとする図17に示す被締結用金具31の外周形と略等しい内周形を有する筒状体の形態を有する。つまり、この実施形態の場合、このパイプ締結用補助具1は、全体の概略の形態が、所定長さ(高さ)と所定の肉厚を有する円筒状体の形状を有する。
また、このパイプ締結用補助具1は、前記円筒状体の周方向の二箇所、具体的には、180度隔たった2箇所にパイプの長手方向(図2〜図4において上下方向)に延びる分割線1a,1bが形成され、この分割線1a,1bの箇所で、2分割できるよう構成されている。つまり、この実施形態では、パイプ締結用補助具1は、2つの半円筒状体1A,1Bに分割できるよう構成されている。前記分割線1a,1bは、この実施形態では、上下方向に垂直に形成されているが、これに限定されることなく、該分割線は、上下に斜めになっていても、また、非直線的な線であってもよい。
そして、前記半円筒状体1A,1Bの周方向の前記分割線1aで分割された端部同士は、接続具により、具体的には、この実施形態の場合には図1,図3,図4に図示する接続具たる蝶番2により、この蝶番2の枢支軸2aを中心に開閉自在に接続されている。このため、これらの2つの半円筒状体1A,1Bは、図1〜図4に図示する円筒状体の状態から、前記蝶番2の枢支軸2a(図1,図3,図4参照)を中心にしてもう一方の分割線1bの端が接合した状態から大きな角度(360度近い角度)まで拡がることが可能になっている。しかし、前記拡がる角度は、360度に限定されるものでなく、60度以上拡がればよい。
そして、もう一方の前記分割線1bで分割された端部同士は、前記接続具とは異なる種類の接続具により、つまり、この実施形態の場合には図1,図2,図4に図示するようなフック金具3により、分割可能に構成されている。このフック金具3は、図2に図示するように、下端にストッパー部3sと、他方の端部に係止部3bとを有する概略「7」形の係止棒3aと、前記係止部3bを収容可能で細径の半円筒状体1Aに取着されている係止パイプ3cと、さらに、前記係止棒3aを回動自在に支持する、半円筒状体1Bに取着されている支持パイプ3dと、図2に図示する、この係止棒3aを支持パイプ3dに対して下方に押圧するスプリング3eとを有する。そして、このフック金具3は、外力が作用しない状態では、前記係止棒3aは前記スプリング3eにより、図2に図示する如く、下方に引張られた状態を形成し、従って、この係止棒3aの係止部3bが前記係止パイプ3cに収容されているときには、その状態(係止状態)を維持することができ、かかる場合には、前記半円筒状体1A,1B相互は接合した状態を維持することができるように構成されている。また、前記係止棒3aの係止部3bが前記係止パイプ3cに非収容状態となっているときには、その状態(非係止状態)を維持することができるように構成されている。
【0019】
また、このパイプ締結用補助具1の周壁部1Rには、周方向において120度の間隔をおいて3個の締結ボルト用挿通穴4が形成されている。この締結ボルト用挿通穴4は、後述する締結ボルト10の軸径に対応した穴径、この実施形態の場合には、締結ボルト10の軸径よりやや大きめの穴径に構成されている。そして、この締結ボルト用挿通穴4は、図5に穴正面視の形態が示される如くパイプ締結用補助具1の周方向に延びる長穴に形成されている。そして、この締結ボルト用挿通穴4のうち、前記分割線1bで分割されている締結ボルト用挿通穴4A(図2,図7参照)を除いた2つの締結ボルト用挿通穴4B,4C(図3〜図6参照)の各端部は、より大径、つまり、ナット12(図5〜図6,図10参照)の径、この実施形態の場合には、図6に図示するように、ナット12より大径の丸形座金14の外径よりやや大きい径からなるナット挿通穴5と一部が重なるように連設されている。前記締結ボルト用挿通穴4Aの周方向の長さと、前記ナット挿通穴5を含む前記締結ボルト用挿通穴4B,4Cの周方向の長さは、それぞれ等しく構成されている。つまり、これらの周方向の長さは、このパイプ締結用補助具1をパイプ(被締結用金具31)に対して所定角度だけ回動させるための長さとなる。
また、前記締結ボルト用挿通穴4Aの一方の端は、前記分割線1bで分割されている部分(端)に開口している。
【0020】
ところで、前記締結ボルト用挿通穴4は、後述する締結ボルト10の数及び配置位置に合わせて設けられている。さらに言えば、使用する被締結金具31とこれに対応した締結用金具32の構成に従って、決定される。つまり、本実施形態の場合には、締結ボルト10が平面視において120度の間隔を隔てて配置されたパイプ締結具Aのためのパイプ締結用補助具1、つまり、図17に図示する被締結用金具31と図8に図示する締結用金具32のためのパイプ締結用補助具1であることから、前述のように120度の間隔をおいて3個の締結ボルト用挿通穴4が形成されている。従って、締結ボルトの数と配置位置が異なる場合には、その実施形態に合わせてその数と位置が変更されることになる。
【0021】
また、このパイプ締結用補助具1の周壁部1Rの外周面の上端部には、作業者が手で把持するための平面視コの字形の把持部6が該周壁部1Rに一体に形成されている。また、この把持部6は、図1に図示するように、この実施形態の場合、前記半円筒状体1A,1Bの周方向における中央位置に設けられている。
【0022】
ところで、前述したパイプ締結用補助具1が使用されるパイプ締結具Aについて説明する。以下、パイプ締結具Aの要部を構成する、被締結用金具31と締結用金具32と締結ボルト10およびナット12の各構成とについて、このパイプ締結用補助具1の構成との関係において説明すると、以下のとおりである。つまり、
図17、図18に図示するように、既に大部分が地中に打設された下方のパイプ30Aの上端に溶接されている被締結用金具31と、締結しようとする上方のパイプ30Bの下端に溶接されている被締結用金具31とは、物理的に同じもので構成されており、これらの被締結用金具31は、全体の概略の形態がリング状の形態を有し、このリング状の締結端部31の内周壁31iには、内方に突設されたフランジ部31kが設けられている。このフランジ部31kの当接面31cから離間した側の面は、内周端側で薄肉になったテーパ面31gで構成されている。また、前記当接面31cは、被締結用金具31の長手方向(図17、図18において上下方向)に直交する平面で構成されている。また、前記当接面31cには、リング状の中心O1(図18参照)から放射方向(径方向)に向いた締結ボルト挿通用凹部31rが120度の間隔で3箇所に形成されている。これらの締結ボルト挿通用凹部31rは、この実施形態の場合、凹部断面が半円柱状になっており、これらの当接面32cが当接することにより、前記締結ボルト挿通用凹部31rが上下に合わさって、前記締結ボルト10を挿通するための断面が円の穴を形成するよう構成されている。そして、図18に図示するように、この被締結用金具31の、前記当接面31cと反対側の面31mは、土中埋設用パイルを形成するパイプ30A,30Bの端面30fに溶接できるよう略平面に形成されている。正確には、該平面の角部が切除された、溶接のための切り欠き(隅肉取り)がおこなわれている。また、前記パイプ30A,30Bの端面30fの内周面には、補強用のリング部材33がそれぞれ配設(溶接)されている。
【0023】
また、前記被締結用金具31の、前記パイプ30A,30Bの端面30fと溶接される箇所の肉厚は、該パイプ30A,30Bの肉厚より少し厚めに構成されている。また、被締結用金具31の、前記パイプ30A,30Bの端面30fと溶接される箇所の内径は、前記パイプ30A,30Bの内径とほぼ等しく構成されるとともに、前記フランジ部31kの下端まで同じ内径を有する。従って、前記フランジ部31kのみが内方へ突出した状態となっている。
また、この実施形態の場合には、前記フランジ部31kの外周面の前記締結ボルト挿通用凹部31hの位置する箇所は、前記座金14(あるいは座金14とナット12の一部)が収容される寸法だけ、座ぐり15がなされている。
【0024】
一方、前記締結用金具32は、斜視図である図9に図示するように、断面視においてコ形(正確には、コ形の奥方にゆくに従って溝高さが狭くなったコ形)の形態を有し、且つ、図8に図示するように、平面視において、1つの締結用金具32の全体の平面視における形状が部分リング状(リング状のものを周方向に所定長さを有するよう切断したような外形)の形態を有する。
そして、この締結用金具32の周方向(図8参照)及び長手方向(図9において上下方向)における中央部位には、締結ボルト10が貫通する締結ボルト用貫通穴32hを有する。また、この締結ボルト用貫通穴32hは、上下一対の前記被締結用金具31がこの締結用金具32によって締結された状態(あるいは締結される状態)において、前記合わさった締結ボルト挿通用凹部31rからなる断面が円の穴に、一致した位置に形成されている。
そして、前記コ形の対峙する各内面には、前述した前記フランジ部31kのテーパ面31gに対応するテーパ角からなるテーパ面32fを相互に対峙するように有する。つまり、このテーパ面32fは、図9に図示するように、外径端方で互いのテーパ面が広がり勝手に内径端側で狭まり勝手になるようなテーパ面となっている。換言すれば、この締結用金具32は、断面形状が略「チャンネル鋼」状
に形成されている。そして、前記テーパ面32f間の隙間32sは、前記上下に配置された各被締結用金具31のフランジ部31kが上下に合わさった状態の形態と略等しい形態(形状)に構成されている。
従って、被締結用金具31同士を締結する際、図16(b),(c)に図示するように、このコ形の部分、つまりコ形の上側のテーパ面32fが上側のパイプ30Bの下端に配設されている被締結用金具31のテーパ面31gと当接し、且つ、コ形の下側のテーパ面32fが下側のパイプ30Aの上端に配設されている被締結用金具31のテーパ面31gと当接して、上下方向から、上下に対峙する二つの被締結用金具31を挟着し固定することができるように構成されている。
【0025】
また、この実施形態の場合、前記被締結用金具31及び締結用金具32は、いずれも鍛造された金属製のもので構成されている。しかし、使用用途や必要とする強度によっては、必ずしも金属製のものに限定されるものでなく、他の材質、例えば、強化樹脂あるいはセラミック等であってもよい。また、金属製である場合においても、鍛造以外の方法により製造されたものであってもよい。
【0026】
また、前記締結ボルト10は、図10に図示するように、頭付きのボルトが使用されている。頭の形態については、この図10に図示するようなマッシュルーム状のものに限定されるものでなく、通常の六角頭の形態やその他の形態であってもよい。また、前記ナット12と同じように、前記頭に代えてナットを螺着して代用することも考えられる。
この実施形態にかかる締結ボルト10の場合には、図10に図示するように、該締結ボルト10の先端部、つまり、ナット12が螺着完了した時点でナット12を通過した側の端部に、締結に際して一定のトルクが作用して螺着が完了するよう、所定の締結が完了した際脱落するようにトルクリミターと呼ばれる、細径で且つ接続部にノッチ10nを有し、端部に回転を付与する係合溝10mが形成されたものが使用されている。しかし、勿論、このトルクリミターの形態を有するもの以外の、つまり、通常のボルトが使用されてもよいことは言うまでもない。
【0027】
また、ナット12には六角ナットが使用され、また、座金14には平座金タイプの所謂丸座金が使用されている。
【0028】
しかして、前述のように構成された被締結用金具31は、締結しようとする各パイプ30A,30Bの対峙する両端に取着され、これら被締結用金具31同士を前記締結用金具32と締結ボルト10とによって締結しようとする際、前記パイプ締結用補助具1を使用して、以下のように簡単且つ容易に、しかも迅速に、締結をすることができる。以下、本実施形態にかかるパイプ締結方法について説明する。
【0029】
まず、
(I).前記パイプ締結用補助具1のフック金具3の係止部3bを、前記係止パイプ3cに係止して、該パイプ締結用補助具1がリング状の形態になった状態(図1の状態参照)で、その締結ボルト用挿通穴4に、前記締結ボルト10の先端部を挿通する。その際、この締結ボルト10は、基端部を前記締結用金具32の締結ボルト用貫通穴32hに挿通し且つボルト頭部分で該締結用金具32を係止しておく。そして、前記締結ボルト用挿通穴4に挿通した締結ボルト10の先端に座金14を介して前記ナット12を螺着して、該パイプ締結用補助具1に締結用金具32と締結ボルト10を、該パイプ締結用補助具1の周壁部1Rの内周1rと前記締結用金具32の外周面32nとの間に隙間45が形成されるような状態で、一体になるようセットする。このように、パイプ締結用補助具1に、締結用金具32と締結ボルト10及び座金14とナット12をセットした状態を示すと、図13のようになる。なお、この実施形態では、各締結用金具32間を太めのリング状のゴムバンド(弾性バンド)15で拘束している。このため、このようにリング状に配置されたこれら締結用金具32を該リング状の状態に容易に維持することができる。
【0030】
(II).次に、前記のようにセットされた前記パイプ締結用補助具1を、該セットされた該締結ボルト10が、既に打設したパイプ30A上の前記被締結用金具31の締結ボルト挿通用凹部31r上に位置する状態で、且つ当該パイプ締結用補助具1の周壁部1Rの内周方に該締結用金具32が位置し、さらに前記被締結用金具31が該周壁部1Rの内周と前記締結用金具32との間のリング状の隙間45に位置する状態で、前記被締結用金具31上にセットする(図14参照)。
【0031】
(III).次に、図16(a)に図示するように、上方から、もう一方の被締結用金具31を下端に具備したパイプ30Bを、その被締結用金具31が、前記(II)の工程でセットされたパイプ締結用補助具1の周壁部1Rの内周と前記締結用金具32との間のリング状の隙間45に、締結しようとする下方の前記被締結金具31と上下に対峙するように、且つこの被締結用金具31の締結ボルト挿通用凹部31rが、前記パイプ締結用補助具1にセットされた締結ボルト10上に位置するように、該被締結用金具31を前記打設したパイプ30Aの被締結用金具31に接合させる。このように前記被締結用金具31が上下に接合した状態を図示すると、図16(b)の如くなる。
【0032】
(IV).前記(III)工程が終了した状態において、前記ナット12を、前記パイプ締結用補助具1が被締結用金具31に対して回転できる程度に、軽く締め付け、締結用金具32を被締結用金具31に当接させる(図15あるいは図16(c)参照)。この状態において、上下に対峙する被締結用金具31とこれらを締結する締結用金具32との位置決めが完了した状態となる。
【0033】
(V).前述の操作が完了すると、次に、前記パイプ締結用補助具1をパイプ30A,30Bに対して、換言すると前記パイプ締結用補助具1を前記被締結用金具31及び締結用金具32に対して、前記ナット12が前記ナット挿通穴5に一致するまで、所定角度(この実施形態の場合、約10度〜15度程度)だけ回転させる(図6参照)。具体的には、図15に示すように矢印で示す方向R(反時計方向)に、前記パイプ締結用補助具1をパイプ30A,30Bに対して前記所定角度だけ回転させる。
【0034】
(VI).前記(V)の工程が終了した状態で、前記接続具である前記フック金具3を解除状態、つまり、前記係止棒3aを前記スプリング3eのばね力に抗して、上方に持ち上げて、該係止棒3aの係止部3bを前記係止パイプ3cから引き抜き、しかる状態で、パイプ締結用補助具1の分割線1b部分で、両側の半円筒状体1A,1Bを前記蝶番2の枢支軸2aを中心に開く。このように開く際に、前記ナット12及び座金14は、前記ナット挿通穴5あるいは前記分割線1bで開口した部分を通過するため、なんら支障なく開くことが可能となる。このように、両側の半円筒状体1A,1Bを前記蝶番2の枢支軸2aを中心に開き終えると、このパイプ締結用補助具1を、パイプ30A,30B(換言すると前記被締結用金具31及び締結用金具32)から、取り外すことができることになる。
【0035】
(VII).前述のようにパイプ締結用補助具1を取り外した後は、前記ナット12を、所定のトルクにセットされたトルクレンチを使用して、つまり所定のトルクを付与して締め付けることによって、前記締結用金具32によって二つの被締結用金具31を強固に挟着させることができる。つまり、二つのパイプ30Aとパイプ30Bとの締結が完了する。
【0036】
以上の(I)〜(VII)の工程を経て、上下に対峙する二つのパイプを簡単に且つ迅速に締結することが可能となる。
【0037】
ところで、前記実施形態では、パイプ締結用補助具1を半円筒状体1A,1Bに周方向に2分割するよう構成しているが、周方向に3分割するよう構成してもよく、あるいは4分割またはそれ以上の数に分割するよう構成してもよい。このように、3分割あるいは4分割またはそれ以上に分割する場合には、図19に図示するように、前記接続具としては、各端部に上下に合わさって直列する穴50を形成することができるパイプ状の係止穴50A,50Bを形成しておき、これらの係止穴50A,50Bからなる穴50に係止ピン51を挿通することによって、筒状体に組立て、この係止ピン51を抜くことによって、部分筒状体に分割できるように構成してもよい。
【0038】
また、前記実施形態の場合、上下に対峙する被締結用金具が物理的に同じ形態のものであったが、本発明にかかるパイプ締結用補助具やパイプ締結方法は、締結しようとする上下の被締結用金具が異なる形態からなるものであっても、基本的に同じように使用することができることは、当業者にとって自明である。
【0039】
さらに、前記実施形態では、専ら、土中埋設用パイルを形成する際のパイプ間の締結の場合について説明したが、土中埋設用パイル以外のパイルやパイル状の構造物にも適用できることは言うまでもない。
【0040】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものでなく、当業者が自明の範囲において、適宜変更した形態で実施することができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本願発明にかかるパイプ締結用補助具と当該補助具を使用したパイプ締結方法によれば、作業性の点で優れ、且つ締結強度の点、特に当接面でのねじり強度の点で優れ、また剪断強度の点で優れ、さらに、経済性の点でも優れた、パイル締結構造の締結に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施形態にかかるパイプ締結用補助具の構成を示す平面図である。
【図2】本実施形態にかかるパイプ締結用補助具の構成を示す図1のII−II矢視方向からの側面図である。
【図3】本実施形態にかかるパイプ締結用補助具の構成を示す図III−III矢視方向からの側面図である。
【図4】本実施形態にかかるパイプ締結用補助具の構成を示す図1のIV−IV矢視方向からの側面図である。
【図5】図1〜図4に示す周壁部に形成された締結ボルト用挿通穴とこれに連接されたナット挿通穴の構成を示す部分拡大側面図である。
【図6】図5に示す状態からパイプに対してパイプ締結用補助具を所定角度回転させて、二点鎖線で示すナット挿通穴からナット及び座金が露呈している状態を示す部分拡大側面図である。
【図7】図1の分割線部分に設けられた締結ボルト用挿通穴の形態を示す部分拡大側面図である。
【図8】図1等に示すパイプ締結用補助具が使用される締結用金具の構成を示す、該締結用金具がリング状に配設された状態の平面図である。
【図9】図8に示す締結用金具の構成を示す斜め背面方向からの斜視図である。
【図10】被締結用金具と締結用金具とを接合するための締結ボルトを、ナット及び座金を装着した状態で示す側面図である。
【図11】図10に示す座金の構成を示す図9と90度異なる方向から見た図である。
【図12】締結ボルト先端部のトルクリミッタ部分の正面から見た構成を示す、図10のXII−XII矢視図である。
【図13】図1に示すパイプ締結用補助具に締結用金具とナット等を螺着したボルトとをセットした状態を示す平面図である。
【図14】図13に示す状態のパイプ締結用補助具を打設されたパイプ上の被締結用金具にセットした状態を示す平面図である。
【図15】図14に示す状態からナットを締め付けて被締結用金具同士を締結用金具で挟着した状態を示す平面図である。
【図16】打設したパイプ上の被締結用金具に、下端に対応する被締結用金具を具備したパイプを締結する際の各工程を示す図で、(a)は被締結用金具同士を接近させる状態を示す側断面図、(b)は被締結用金具同士の当接面を当接させた状態を示す側断面図、(c)はナットを締め付けて被締結用金具を締結用金具で挟着した状態を示す側断面図である。
【図17】締結しようとする、両方の端部に被締結用金具を設けた二つのパイプが、上下に対峙した状態を示す斜視図である。
【図18】図17に示す状態を中心線上を長手方向に沿って断面して表した側断面図である。
【図19】図2,図3に図示する実施形態と別の実施形態にかかる接続具の構成を示す部分側面図である。
【符号の説明】
【0043】
1…パイプ締結用補助具
1R…周壁部
2…蝶番(接続具)
3…フック金具(接続具)
4…締結ボルト用挿通穴
5…ナット挿通穴
10…締結ボルト
12…ナット
31…被締結用金具
31k…フランジ部
31g…テーパ面
31c…当接面
31r…締結ボルト挿通用凹部
32…締結用金具
32f…テーパ面
32h…締結ボルト用貫通穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a).締結に際して対峙且つ当接する締結端部において内方に突設し、端面である当接面から離間した側の面が、内周端側で薄肉になるテーパ状に形成されたフランジ部を、該締結端部に有するとともに、前記当接面に肉厚方向に貫通する締結ボルト挿通用凹部を有し、土中埋設用等のパイルを構成する締結しようとする二つのパイプ間の対峙する各締結端部に一体的に形成されるリング状の被締結用金具と、(b).断面コ形の凹部の対峙する各内面に、前記フランジ部のテーパ状の面に対応するテーパ面を有するとともに、肉厚方向に貫通する締結ボルト用貫通穴を有し、二つの前記被締結用金具をそれらの当接面同士を対峙且つ当接させた状態においてそれらのフランジ部を前記コ形の凹部によって接合方向に挟着する、部分リング状の締結用金具と、(c).前記挟着を実行するべく前記締結用金具に一端が係止されて該締結用金具を被締結用金具側に引き寄せる締結ボルトとの、前記(a)〜(c)の構成を具備したパイプ締結具を介して、前記二つのパイプを長手方向に締結する際に、該締結を補助するべく用いられるパイプ締結用補助具であって、
この締結用補助具は、全体の概略の形態が、締結しようとする前記被締結用金具の外周形と略等しい内周形を有する筒状体の形態を有し、
前記筒状体が内方に位置する被締結用金具から取り外せるべく、該筒状体が、その周方向における少なくとも2箇所でパイプの長手方向に延びる分割線で分割可能に構成されるとともに、その分割部分に、該筒状体が分割及び組立て可能となるように、接続具が配置され、
前記筒状体の周壁部に、前記締結ボルトの軸径に対応した穴径の締結ボルト用挿通穴と、該周壁部に対して前記締結ボルトが周方向に相対的に移動可能となるべく前記締結ボルト用挿通穴に一部が重なるように且つ締結ボルトに螺合したナットが挿通可能な径のナット挿通穴とを周方向に連設したことを特徴とするパイプ締結用補助具。
【請求項2】
前記接続具が少なくとも2種類の形態のものから構成されており、該接続具の一つが枢支軸を中心に開閉可能な蝶番であり、他の一つが係止且つ解除可能なフック金具であることを特徴とする請求項1記載のパイプ締結用補助具。
【請求項3】
前記締結用金具が複数個あり、前記複数個の締結用金具同士を前記被締結用金具の周壁部の内方側で略リング状に保持するリング状になった弾性バンドを、さらに前記パイプ締結用補助具が具備していることを特徴とする請求項1又は2記載のパイプ締結用補助具。
【請求項4】
前記請求項1〜3のいずれか1の項に記載のパイプ締結用補助具を用いて、前記二つのパイプを前記パイプ締結具で締結して所望長さの土中埋設用等のパイルを構成するためのパイプ締結方法であって、以下の(A)〜(F)の一連の工程を有することを特徴とするパイプ締結方法。
(A).前記パイプ締結用補助具の締結ボルト用挿通穴に、基端部に前記締結用金具を挿通し且つ係止した前記締結ボルトの先端部を挿通し、挿通した締結ボルトの先端にナットを螺着して、該パイプ締結用補助具に締結用金具と締結ボルトを、該パイプ締結用補助具の周壁部の内周と前記締結用金具の外周面との間に隙間が形成されるような状態で、一体になるようセットする。
(B).前記締結用金具と締結ボルトとがセットされた前記パイプ締結用補助具を、そこにセットされた該締結ボルトが、打設したパイプ上端の前記被締結用金具の締結ボルト挿通用凹部上に位置する状態で、且つ当該パイプ締結用補助具の周壁部の内周方に該締結用金具が位置し且つ前記被締結用金具が該周壁部の内周と締結用金具との間に位置する状態で、前記被締結用金具上にセットする。
(C).次に、上方から、もう一方の被締結用金具を下端に具備したパイプを、その被締結用金具が、前記(B)の工程でセットされたパイプ締結用補助具の周壁部の内周方と前記締結用金具との間に且つ締結しようとする下方の前記被締結金具と上下に対峙するように、且つこの被締結用金具の締結ボルト挿通用凹部が前記セットされた締結ボルト上に位置するように、該被締結用金具を前記打設したパイプの被締結用金具に接合させる。
(D).前記(C)の工程において接合した状態で、前記締結用金具が外径方へ移動して被締結用金具に対して所定状態に近接または当接するまで前記締結ボルトに螺合するナットを前記パイプ締結用補助具の外方から締め付ける。
(E).次に、前記パイプ締結用補助具をパイプに対して、前記ナットが前記ナット挿通穴に一致するまで、所定角度だけ回転させる。
(F).この状態で、前記接続具を接続解除状態にして、前記パイプ締結用補助具をパイプの長手方向に延びる分割線に沿って周方向に分割して、パイプの締結部分から、パイプ締結用補助具を取り外す。
【請求項5】
前記締結用金具を複数設けて締結する場合、前記(A)の工程における前記パイプ締結用補助具へのセットの際に、各締結用金具を弾性バントによってリング状に保持することを特徴とする請求項4記載のパイプの締結方法。
【請求項1】
(a).締結に際して対峙且つ当接する締結端部において内方に突設し、端面である当接面から離間した側の面が、内周端側で薄肉になるテーパ状に形成されたフランジ部を、該締結端部に有するとともに、前記当接面に肉厚方向に貫通する締結ボルト挿通用凹部を有し、土中埋設用等のパイルを構成する締結しようとする二つのパイプ間の対峙する各締結端部に一体的に形成されるリング状の被締結用金具と、(b).断面コ形の凹部の対峙する各内面に、前記フランジ部のテーパ状の面に対応するテーパ面を有するとともに、肉厚方向に貫通する締結ボルト用貫通穴を有し、二つの前記被締結用金具をそれらの当接面同士を対峙且つ当接させた状態においてそれらのフランジ部を前記コ形の凹部によって接合方向に挟着する、部分リング状の締結用金具と、(c).前記挟着を実行するべく前記締結用金具に一端が係止されて該締結用金具を被締結用金具側に引き寄せる締結ボルトとの、前記(a)〜(c)の構成を具備したパイプ締結具を介して、前記二つのパイプを長手方向に締結する際に、該締結を補助するべく用いられるパイプ締結用補助具であって、
この締結用補助具は、全体の概略の形態が、締結しようとする前記被締結用金具の外周形と略等しい内周形を有する筒状体の形態を有し、
前記筒状体が内方に位置する被締結用金具から取り外せるべく、該筒状体が、その周方向における少なくとも2箇所でパイプの長手方向に延びる分割線で分割可能に構成されるとともに、その分割部分に、該筒状体が分割及び組立て可能となるように、接続具が配置され、
前記筒状体の周壁部に、前記締結ボルトの軸径に対応した穴径の締結ボルト用挿通穴と、該周壁部に対して前記締結ボルトが周方向に相対的に移動可能となるべく前記締結ボルト用挿通穴に一部が重なるように且つ締結ボルトに螺合したナットが挿通可能な径のナット挿通穴とを周方向に連設したことを特徴とするパイプ締結用補助具。
【請求項2】
前記接続具が少なくとも2種類の形態のものから構成されており、該接続具の一つが枢支軸を中心に開閉可能な蝶番であり、他の一つが係止且つ解除可能なフック金具であることを特徴とする請求項1記載のパイプ締結用補助具。
【請求項3】
前記締結用金具が複数個あり、前記複数個の締結用金具同士を前記被締結用金具の周壁部の内方側で略リング状に保持するリング状になった弾性バンドを、さらに前記パイプ締結用補助具が具備していることを特徴とする請求項1又は2記載のパイプ締結用補助具。
【請求項4】
前記請求項1〜3のいずれか1の項に記載のパイプ締結用補助具を用いて、前記二つのパイプを前記パイプ締結具で締結して所望長さの土中埋設用等のパイルを構成するためのパイプ締結方法であって、以下の(A)〜(F)の一連の工程を有することを特徴とするパイプ締結方法。
(A).前記パイプ締結用補助具の締結ボルト用挿通穴に、基端部に前記締結用金具を挿通し且つ係止した前記締結ボルトの先端部を挿通し、挿通した締結ボルトの先端にナットを螺着して、該パイプ締結用補助具に締結用金具と締結ボルトを、該パイプ締結用補助具の周壁部の内周と前記締結用金具の外周面との間に隙間が形成されるような状態で、一体になるようセットする。
(B).前記締結用金具と締結ボルトとがセットされた前記パイプ締結用補助具を、そこにセットされた該締結ボルトが、打設したパイプ上端の前記被締結用金具の締結ボルト挿通用凹部上に位置する状態で、且つ当該パイプ締結用補助具の周壁部の内周方に該締結用金具が位置し且つ前記被締結用金具が該周壁部の内周と締結用金具との間に位置する状態で、前記被締結用金具上にセットする。
(C).次に、上方から、もう一方の被締結用金具を下端に具備したパイプを、その被締結用金具が、前記(B)の工程でセットされたパイプ締結用補助具の周壁部の内周方と前記締結用金具との間に且つ締結しようとする下方の前記被締結金具と上下に対峙するように、且つこの被締結用金具の締結ボルト挿通用凹部が前記セットされた締結ボルト上に位置するように、該被締結用金具を前記打設したパイプの被締結用金具に接合させる。
(D).前記(C)の工程において接合した状態で、前記締結用金具が外径方へ移動して被締結用金具に対して所定状態に近接または当接するまで前記締結ボルトに螺合するナットを前記パイプ締結用補助具の外方から締め付ける。
(E).次に、前記パイプ締結用補助具をパイプに対して、前記ナットが前記ナット挿通穴に一致するまで、所定角度だけ回転させる。
(F).この状態で、前記接続具を接続解除状態にして、前記パイプ締結用補助具をパイプの長手方向に延びる分割線に沿って周方向に分割して、パイプの締結部分から、パイプ締結用補助具を取り外す。
【請求項5】
前記締結用金具を複数設けて締結する場合、前記(A)の工程における前記パイプ締結用補助具へのセットの際に、各締結用金具を弾性バントによってリング状に保持することを特徴とする請求項4記載のパイプの締結方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−255596(P2008−255596A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−96763(P2007−96763)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【出願人】(592155832)ユニタイト株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【出願人】(592155832)ユニタイト株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
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