説明

パウダーフリーゴム手袋のオンライン作製

パウダーフリー凝固剤の第一表面と、装着を容易にするポリマーコーティングの第二表面を有するパウダーフリーの医療用手袋。第一表面上のパウダーフリー凝固剤は、ミクロ化高密度ポリエチレン、アミノシリコーンのミクロエマルジョン、ジメチコンエマルジョン、カルシウム塩、エトキシル化アセチレンジオール界面活性剤、及びセルロース増粘剤を含む。本医療用手袋は、手形状の型を凝固剤へ浸漬する工程の後でそれらをラテックスへ浸漬する工程を含む、ラテックス製品を作製するオンライン法で作製する。その後で、手袋は、装着可能性を高めるためにポリマーでコートしてから、型より取り出す。本発明の新規凝固製剤は、製品の型からの容易な取り出しを可能にし、手袋の二重装着を容易にして、オフライン加工処理の必要性をなくす。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、医療用手袋とパウダーフリーの合成及び天然ゴムラテックス手袋を浸漬によって作製するオンライン方法に、そしてこれらの手袋を製造するのに使用する方法及び材料に関する。特に本発明は、製造の間にパウダーフリー凝固剤を利用する、合成及び天然ラテックス医療用手袋と他のラテックス製品に関する。
【0002】
背景技術
天然ゴムラテックス及び合成ラテックスのようなエラストマー材料より製造する手袋は、多様な問題に直面してきた。医療用手袋の重要な判定基準は、それらが着用者の手へしっかり付くことである。天然ゴムでは、その本来の高い摩擦係数のために、手袋装着が困難である。この問題を解決するために、慣用の医療用手袋は、潤滑剤を内側の表面に使用して、手袋装着を容易にする。この潤滑剤は、製造時に使用する手形状の型からの手袋の除去を容易にすることにも役立つ。一般に、潤滑剤はパウダー(粉末)形態であり、概して吸着性がある。例えば、デンプンパウダーが通常使用される。しかしながら、医学界には、外科手技に使用する手袋において非付着性の(loose)打ち粉を使用することについての疑問がある。結果として、装着特性を改善するための様々なパウダーフリー法を開発することによって、医療用手袋の装着を容易にするための非付着性パウダーの使用を減らすか又はなくそうとする多くの努力がなされてきた。
【0003】
合成ラテックス及び天然ゴムの手袋は、通常、初めに手形状の型、又はマンドレルを粉末化凝固剤の浴へ浸し、この型をラテックス又は天然ゴムの浴へ浸し、そして浸出及び乾燥の方法で終了するという方法により製造される。しばしば、この方法によって作製される手袋は、乾燥の後で型へくっつく傾向がある手袋をもたらす。この手袋を型から外すとすぐに、この方法により製作した手袋は、しばしば裂けて、一緒にくっついてしまう。
【0004】
商業的に作製される手袋では、凝固剤浴に、型表面に抗ブロッキング特性を提供する、鉱物起源のパウダーが含まれる。抗ブロッキングパウダーは、手袋の2層が互いにくっつくことを妨げる。このパウダーは、通常、炭酸カルシウム又はタルクであるが、これらのパウダーは、ラテックス手袋製造に使用する高温(100〜130℃)に耐えることができる。外側表面では、硬化ラテックス手袋の型をデンプンスラリー浴へ浸漬することによって、デンプンや他のパウダーの層を塗布する。あるいは、硬化ラテックス手袋は、抗ブロッキング特性を付与するために合成ポリマーコーティング剤でコートしてよい。
【0005】
また、パウダーフリー医療用手袋を作製するためのオフライン塩素処理、洗浄、及びシリコーン処理の方法に関しても開示がある。これらの方法は、タルクやコーンスターチパウダー残渣を除去し、粘着性を抑制して、手袋装着可能性を改善する。しかしながら、これらの方法は、通常、労働集約的であり、多量の水を使用して、きわめて高価な方法にしてしまう。さらに、塩素処理は、手袋の物理強度の低下、脱色、寿命特性の低下をもたらす場合がある。ある状況では、塩素処理により保存及び環境上の危害がもたらされる場合がる。
【0006】
塩素処理法、ポリマーコーティング法、又はこれらの組合せを使用するパウダーフリー医療用手袋の作製が、米国特許第6,195,805;5,674,818;5,612,083;5,570,475;5,284,607;5,088,125;4,597,108及び4,143,109号に開示されている。しかしながら、塩素処理、洗浄及び/又はシリコーン処理のような事後加工処理、又はオフラインの工程なしにパウダーフリー手袋を作製することを記載する開示はほとんどない。このごくわずかな開示の中には、米国特許第6,075,081;5,534,350及び4,310,928号がある。
【0007】
Nileへの米国特許第6,075,081号は、ポリクロロプレンゴムと無機金属塩の塩安定分散液を含んでなる、ラテックス浸漬法に使用のパウダーフリー凝固剤を開示する。この開示の凝固剤は、浸漬した製品の型からの放出に役立つ、ポリプロピレンワックスエマルジョンとカチオン界面活性剤を含んでなる、パウダーフリー放出剤も含有してよい。
【0008】
Liouへの米国特許第5,534,350号は、手袋をセラミックの型から外すことを容易にする防水潤滑層として作用するポリウレタンポリマーを凝固剤において使用してパウダーフリー医療用手袋を作製するオンライン法を開示する。手袋の内側にあるポリウレタンポリマーのコートにより、装着が改善される。
【0009】
Joungへの米国特許第4,310,928号は、リポ化合物と界面活性剤を分散液に含有する凝固剤で手袋の型をコートすることを開示する。これらの材料は、型から外した後でも手袋に留まり、それにより手袋にリリース表面を提供する。
【0010】
追加的に、Hassanら、への米国特許第6,378,137号は、ミクロ化高密度ポリエチレン材料及びワックスと混合したポリマー又はコポリマーの抗ブロッキング組成物を使用するパウダーフリー医療用手袋の作製を開示する。この組成物により、手袋はより容易に装着される。しかしながら、この手袋は、最終製品において、かろうじて実質的にパウダーを含まない状態にあるので、オフライン加工処理においてシリコーンエマルジョン/ワックス混合物での処理を必要とする。Hassanら、への米国特許第6,019,922号は、手袋の外側表面のシリコーン処理物と手袋の内側表面の抗ブロッキング組成物が含まれるパウダーフリー医療用手袋を作製する追加の方法を開示する。この参照例の抗ブロッキング組成物は、ポリマー又はコポリマー、ミクロ化高密度ポリエチレン材料、及びワックスを含む。この参照例の手袋を製造するには、しかしながら、製造業者は、仕上がった手袋を濯いで、残存する凝固剤パウダーを除去しなければならない。この濯ぎプロセスが完全ではないので、完全にパウダーを含まないのではなく、かろうじて実質的にパウダーを含まない手袋をもたらす。この開示の手袋の方法も、最終製品を生産するために手袋をシリコーン溶液で処理することが含まれる、オフライン加工処理を必要とする。
【0011】
故に、製造後に手袋の型より容易に外すことができる、優れた装着特性のある、パウダーフリーで非粘着性の手袋を得ることが望ましい。また、このパウダーフリー手袋が最少数の加工工程しか必要とせず、最も好ましくは、オフライン加工処理を必要としないことが望ましい。故に、オフライン加工処理の上記問題を解決する、パウダーフリー合成ラテックス又は天然ゴム浸漬手袋を生産する新規なやり方を提供することが望ましい。本発明の態様は、炭酸カルシウムを使用しないのでオフライン加工処理をなくす、そして結果として、オフライン塩素処理、洗浄、及びシリコーン処理もなくしてしまう、新規の凝固組成物を提供する。もたらされる方法は、生産コストを下げて、完全にパウダーフリーの手袋を産出する。
【0012】
発明の要約
本発明の1つの態様によれば、パウダーフリーであり、どんなオフライン加工処理も必要としない、手袋を作製するオンライン法において、パウダーフリー凝固組成物を合成ポリクロロプレンラテックスとともに使用する。特に、これらの手袋を作製するために使用する方法には、1つの態様において、天然ゴム又は合成ラテックス組成物へ手形状の型を浸漬する前に、ミクロ化高密度ポリエチレン、アミノシリコーンのミクロエマルジョン、ジメチコンエマルジョン、カルシウム塩、界面活性剤、及びセルロース増粘剤を含んでなる新規の凝固組成物へその型を浸漬することが含まれる。
【0013】
1つの態様において、本発明の製品を製造する方法には、ある形状の予熱した型を、ミクロ化高密度ポリエチレンの塩安定水溶液、アミノシリコーンのミクロエマルジョン、ジメチコンエマルジョン、アセチレンジオール界面活性剤、及び無機金属塩を含んでなるパウダーフリー水溶液へ浸漬する工程;前記型をポリクロロプレンラテックスの分散液に浸漬してゲル化ラテックス膜を生成して、製品のために粘性フリー表面を創出する工程;ゲル化ラテックス膜を浸出させる工程;ゲル化ラテックス膜に低塩溶液を充填する工程;ゲル化ラテックス膜をポリマーコーティング剤へ浸漬する工程;ポリマーコーティング剤を乾燥させる工程;生成したゴム製品を型上で硬化させる工程;並びに、硬化した粘性フリー製品を型より外す工程が含まれる。
【0014】
手袋の内側のポリマーコーティングは、アクリル酸ベースでもポリウレタンベースでもよく、硬化の前に塗布すべきである。このコーティングは、硬化した手袋を型より取り出す前に、その型をシリコーン浸液へ浸漬することによってさらに増強してよい。この任意選択のシリコーン浸液でのポリマーコーティングは、手袋の装着を容易にするのに役立つものである。
【0015】
本発明の原理に従って、パウダーフリーのゴム又はラテックス製品、特に、医療用及び外科用手袋、コンドーム及びカテーテルのような、慣用の浸漬法により生産される製品を生産する方法を提供する。
【0016】
発明の詳細な説明
本発明の態様は、組成量のジメチコンエマルジョンを新規の凝固製剤へ取り込むことによって、合成ラテックス又は天然ゴムの製品、特に医療用手袋のグリップ(握り)特性を変化させる能力を提供する。1つの態様において、新規の凝固製剤は、製造プロセスの最後で、手袋の外側表面にあって滑り表面を創出して、それが手袋を二重装着するか又は2対の手袋を(一方を他方の上に)装用する能力を改善する。
【0017】
本発明の態様に従って生産される製品、特に医療用手袋は、加熱した手形状の型(無地、縞柄、織地)を新規の凝固組成物へ浸漬することによって生成される。この新規の凝固組成物には、ミクロ化高密度ポリエチレン、アミノシリコーンのミクロエマルジョン、ジメチコンエマルジョン、カルシウム塩、エトキシル化アセチレンジオール界面活性剤、及びセルロース増粘剤が含まれる。次いで、凝固剤でコートした型を凝固剤タンクより取り出し、合成又は天然のエラストマーラテックス分散液へ浸漬して、ゲル化ラテックス膜を生成する。好ましくは、ラテックスは、ポリクロロプレンラテックスである。次いで、ゲル化ラテックス膜を浸出して、ポリマーコーティング剤へ浸漬する。
【0018】
本発明の1つの態様によれば、ゲル化ラテックス手袋は、次に型で硬化させた後で、硬化した粘性フリー製品を型より外す。本発明の別の態様において、ゲル化ラテックス手袋は、型で硬化させてからシリコーン浸液へ浸漬した後で、その手袋を型より取り出す。本発明のこの態様において記載されるように、シリコーン浸液でのポリマーコーティングは、手袋を装着をさらに容易にするものである。
【0019】
好ましくは、ジメチコンベースのシリコーンエマルジョンは、25℃で約10,000〜約100,000センチストークスに及ぶ粘度と、約62,700と約116,5000の間の平均分子量を有するポリジメチルシロキサン液より調製する。
【0020】
上記の粘度範囲内にあるジメチコン液より調製されるエマルジョンは、新規の凝固製剤へ取り込まれるとき、広い温度範囲にわたり比較的小さい粘度変動をもたらすものである。このエマルジョンは、良好な熱/酸化安定性、化学的な不活性、機械剪断下での分解への抵抗性を提供する。それらはまた、新規の凝固剤と接触した手袋の曝露されたエラストマー表面に対して良好な抗摩擦特性を提示して、製造の間に手袋を型から取り出すことを容易にする。
【0021】
ジメチコン液より調製されるいくつかのエマルジョン及び液体が市販されている。例えば、約10,000センチストークスの粘度のジメチコン液より調製されるエマルジョンが、GE Silicones(アメリカ)によりSM 2140の商品名で販売されている。同じ基本材料より調製される液体が、GE Silicones(アメリカ)によりVISCASIL 10Mの商品名で販売されている。約100,000センチストークスの粘度のジメチコン液より調製されるエマルジョンが、GE Toshiba Silicones Co. Ltd(日本)によりXS65−135891の商品名で販売されている。同じ基本材料より調製される液体が、GE Toshiba Silicones Co. Ltd(日本)によりTSF 451−10Mの商品名で販売されている。約10,000〜約100,000センチストークスに及ぶジメチコン液は、高粘度液として分類され、Dow Corning Corporation により200 FLUIDの商品名で販売されている。エマルジョンは、ジメチコンとシクロメチコンの混合物より調製してもよく、そのようなエマルジョンの例が、Dow Corning Corporation によりDOW CORNING Q2−1803の商品名で販売されている。
【0022】
アミノシリコーンのミクロエマルジョンの使用は、手袋表面に絹のようなテクスチャーをもたらして、手袋の柔軟性を高めるために設計される。アミノシリコーンのミクロエマルジョンは、Kao Industrial(タイ)Company LtdによりSOFTEX 5850の商品名で提供されている。
【0023】
ミクロ化高密度ポリエチレンの使用は、凝固剤フィルムのカバレッジを高めるためだけでなく、手袋を手形状の型より外すことを容易にするためのアンカーとして作用する可能性がある。ミクロ化高密度ポリエチレンはまた、手袋の外側表面(浸漬法の間に凝固剤と接触している手袋の面)に抗摩擦及び抗ブロッキング特性を提供する。高密度ポリエチレンの有効融点の範囲は、典型的には、約100℃と約130℃の間である。ミクロ化高密度ポリエチレンの平均粒径は、典型的には、約3ミクロンと約12ミクロンの間である。
【0024】
非イオン性アセチレンジオール界面活性剤は、通常、凝固剤の湿潤剤として使用して、セルロース増粘剤は、凝固剤を濃厚化することが好ましい。
以下に、本発明の態様を以下の実施例においてさらに記載して、本発明の態様に従ってそのような製品を生産するためのフローチャート(図1)を添える。
【0025】
実施例1
セラミック陶器の型を60〜70℃へ加熱してから、25〜35℃の抗ブロッキング凝固分散液へほぼ5〜10秒間浸漬した。この凝固分散液は:
【0026】
【表1】

【0027】
を含有した。
実施例1の製剤では、ミクロ化HDPEを20%分散液として加えて、アミノシリコーンのミクロエマルジョンを20〜22%エマルジョンとして供給し、セルロース増粘剤は1%溶液へ希釈し、アセチレンジオール界面活性剤は供給量通りに加えた。凝固分散液へ浸漬した後で、セラミック型を凝固分散液よりゆっくり引き出して、回転させて、この凝固剤を型表面全体に均質に分布させた。次いで、この型を90℃へ加熱したオーブンへ約90秒間移して、凝固剤を乾燥させた。乾燥後、セラミック型をポリクロロプレンラテックス分散液へ約20〜30秒間浸漬した。このポリクロロプレンラテックス分散液は、40%の乾燥ポリマーを含有し、25℃で維持した。ポリクロロプレンラテックス分散液を型に沈積させた後で、それをひっくり返して持ち上げてから、オーブン中に75℃で約60秒間加熱した。次に、このゲル化ポリクロロプレンラテックスを40℃と60℃の間で約180秒間浸出した。次いで、セラミック型上のポリクロロプレンポリマーゲルを1〜2%の塩溶液プライマーへ浸漬した後で、ポリウレタン又はアクリル酸のいずれかのコーティング溶液へ浸漬した。次いで、セラミック型を110℃と140℃の間で35分間、徐々に乾燥させた。次いで、この型を冷やしてから、手袋をそれから外した。型は、酸に次いで水でそれを濯ぐことによって、さらなる生産サイクルで再使用してよい。型は、手袋浸漬に使用する標準の洗浄剤でも容易に洗浄された。
【0028】
実施例1のパウダーフリー凝固製剤を使用して浸漬した手袋には薄パッチ(thin patches)がなく、セラミック型より容易に外せた。手袋のグリップは満足のゆくものであり、同じタイプ及びサイズの手袋での二重装着も満足のゆくものであった。このポリクロロプレン手袋は、手袋あたり2mg未満のパウダーレベルというパウダーフリー属性を有する。
【0029】
実施例2
実施例1に従って、抗ブロッキング凝固剤の組成以外は同様の手順で手袋を生産した。本実施例での抗ブロッキング凝固分散液は:
【0030】
【表2】

【0031】
を含有した。
本実施例では、加えるジメチコン/シクロメチコン混和物エマルジョンは、60%エマルジョンとして供給した。本実施例において生産した手袋は、薄パッチなしに十分浸漬され、セラミック型より容易に外せた。この手袋のグリップは、実施例1において生産した手袋ほど強くはなく、同じタイプ及びサイズの手袋を使用する二重装着は良好であった。このポリクロロプレン手袋は、手袋あたり2mg未満のパウダーレベルというパウダーフリー属性を有する。
【0032】
実施例3
実施例1に従って、抗ブロッキング凝固剤の組成以外は同様の手順で手袋を生産した。本実施例での抗ブロッキング凝固分散液は:
【0033】
【表3】

【0034】
を含有した。
本実施例では、供給するジメチコン/シクロメチコン混和物エマルジョンは、25℃で測定して100,000センチストークスの粘度のポリジメチルシロキサン液より製造した。この手袋は、薄パッチなしに十分浸漬され、セラミック型より容易に外せた。この手袋のグリップは、先の実施例のどれよりも滑りやすく、同じタイプ及びサイズの手袋を使用する二重装着に優れていた。このポリクロロプレン手袋は、手袋あたり2mg未満のパウダーレベルというパウダーフリー属性を有する。
【0035】
実施例4
実施例1に従って、抗ブロッキング凝固剤の組成以外は同様の手順で手袋を生産した。本実施例での抗ブロッキング凝固分散液は:
【0036】
【表4】

【0037】
を含有した。
本実施例では、供給するジメチコンエマルジョンは、25℃で測定して10,000センチストークスの粘度のポリジメチルシロキサン液より製造した。手袋は、薄パッチなしに十分浸漬され、セラミック型より容易に外せた。この手袋のグリップは、実施例3において生産した手袋のそれほどは滑らなかったが、実施例1及び2の手袋のそれほどは強くなかった。同じタイプ及びサイズの手袋を使用する二重装着は、優れていた。このポリクロロプレン手袋は、手袋あたり2mg未満のパウダーレベルというパウダーフリー属性を有する。
【0038】
実施例5
実施例1に従って、抗ブロッキング凝固剤の組成以外は同様の手順で手袋を生産した。本実施例での抗ブロッキング凝固分散液は:
【0039】
【表5】

【0040】
を含有した。
実施例6
実施例1に従って、抗ブロッキング凝固剤の組成以外は同様の手順で手袋を生産した。本実施例での抗ブロッキング凝固分散液は:
【0041】
【表6】

【0042】
を含有した。
実施例7
実施例1に従って、抗ブロッキング凝固剤の組成以外は同様の手順で手袋を生産した。本実施例での抗ブロッキング凝固分散液は:
【0043】
【表7】

【0044】
を含有した。
実施例5〜7において異なるレベルのジメチコンを使用することによってもたらされるグリップ特性を表1に作表する。グリップ特性は、RJ Harvey Instrument Corporation(アメリカ)により作製される摩擦係数テスターで定量した。
【0045】
表1
【0046】
【表8】

【0047】
表1に見られるように、凝固剤のジメチコンレベルを変化させることによって、ポリクロロプレンゴム表面の凝固剤側の摩擦特性をグリップ特性要件に従って変化させることができる。実施例5〜7のポリクロロプレン手袋は、いずれも手袋あたり2mg未満のパウダーレベルというパウダーフリー属性を有する。
【0048】
実施例8
実施例1に従って、抗ブロッキング凝固剤の組成と、実施例1のポリクロロプレンラテックス分散液を天然ゴムラテックスで代用すること以外は、同様の手順で手袋を生産した。本実施例での抗ブロッキング凝固分散液は、実施例4に使用したものと同じであった。
【0049】
天然ゴム手袋は、薄パッチなしに十分浸漬され、セラミック型より容易に外せた。この手袋のグリップは、実施例1〜7のどの手袋よりも強かった。RJ Harvey Instrument を使用して測定されるゴム摩擦特性は、概ね259gmfのゴム対金属(MR)値を示し、1.26のCOF値に相関する。この天然ゴム手袋は、手袋あたり2mg未満のパウダーレベルというパウダーフリー属性を有する。
【0050】
実施例9
凝固剤の調製と手袋の生産の手順は、凝固剤の組成以外は実施例8と同様であった。本実施例での抗ブロッキング凝固分散液は:
【0051】
【表9】

【0052】
を含有した。
本実施例の製剤より生産した天然ゴム手袋は、薄パッチなしに十分浸漬され、セラミック型より容易に外せた。この手袋のグリップは、実施例7の製剤を使用して生産した手袋に見られるものほど強くなかった。同じタイプ及びサイズの手袋の二重装着は、満足のゆくものであった。RJ Harvey Instrument を使用して測定されるゴム摩擦特性は、概ね135gmfのMR値、又は0.68のCOF値を示す。本実施例からの天然ゴム手袋は、手袋あたり2mg未満のパウダーレベルというパウダーフリー属性を有する。
【0053】
本発明をその具体的な態様に関連して記載してきたが、上記の記載に照らして種々の代替品、修飾、及び変更が当業者に明らかであることは明白である。故に、そのような代替品、修飾、及び変更は、いずれも本発明の精神と付帯の特許請求項の広い範囲に含まれるとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、本発明の態様に従ってパウダーフリー手袋をオンライン作製するための浸漬法のフローチャートを例示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウダーフリーエラストマー製品(elastomeric article)であって:
第一表面及び第二表面を有するエラストマー材料を含んでなり;
エラストマー材料の第一表面は、パウダーフリー凝固コーティング剤でコートされ;
前記パウダーフリー凝固剤は:
ミクロ化高密度ポリエチレン;
アミノシリコーンのミクロエマルジョン;
ジメチコンエマルジョン;
エトキシル化アセチレンジオール界面活性剤;及び
セルロース増粘剤を含んでなり;
エラストマー材料の第二表面は、ポリマーコーティング剤でコートされる、前記製品。
【請求項2】
手袋である、請求項1の製品。
【請求項3】
エラストマー材料がポリクロロプレン、天然ゴム、合成ポリイソプレン、カルボキシル化アクリロニトリルブタジエン、及びポリウレタンからなる群より選択される、請求項2の製品。
【請求項4】
エラストマー材料が標準の硬化剤(curatives)と複合される、請求項3の製品。
【請求項5】
第二表面がハロゲン化される、請求項4の製品。
【請求項6】
パウダーフリーエラストマー製品の作製に使用する抗ブロッキング凝固組成物であって:
ミクロ化高密度ポリエチレン;
アミノシリコーンのミクロエマルジョン;
ジメチコンエマルジョン;
カルシウム塩;
エトキシル化アセチレンジオール界面活性剤;及び
セルロース増粘剤を含んでなる、前記凝固組成物。
【請求項7】
ミクロ化高密度ポリエチレンが約100℃と約130℃の間の平均融点と約2ミクロンと約12ミクロンの間の平均粒径を有する、請求項6の抗ブロッキング凝固組成物。
【請求項8】
アミノシリコーンのミクロエマルジョンに約1〜約100ミクロンのサイズ範囲の混合粒子が含まれる、請求項6の抗ブロッキング凝固組成物。
【請求項9】
ジメチコンが約10,000〜約100,000センチストークスの粘度範囲のポリジメチルシロキサン液源より乳化される、請求項6の抗ブロッキング凝固組成物。
【請求項10】
シクロメチコンをさらに含んでなる、請求項6の抗ブロッキング凝固組成物。
【請求項11】
シクロメチコンと組み合わせたジメチコンが約10,000〜約100,000センチストークスの粘度範囲のポリジメチルシロキサン液源より乳化される、請求項10の抗ブロッキング凝固組成物。
【請求項12】
以下:
約10%と約30%の間のカルシウム塩;
約0.1%と約3%の間のミクロ化HDPE;
約0.1%と約3%の間のアミノシリコーンのミクロエマルジョン;
約0%と約1%の間のジメチコンエマルジョン;
約0%と約0.5%の間のセルロース増粘剤;及び
約0.1%と約0.5%の間の非イオン性アセチレンジオール界面活性剤
の全固体含量をさらに含んでなる、請求項6の抗ブロッキング凝固組成物。
【請求項13】
パウダーフリー製品を作製するための方法であって:
型(former)を請求項6の抗ブロッキング凝固剤の浴へ浸漬することによって前記製品の第一層を形成する工程;
前記型を修飾エラストマー材料へ浸漬することによって第一層の上に第二層を形成する工程;
第二層をゲル化させる工程;
前記ゲル化層を浸出させて、可溶性の非ゴム又は非ラテックス構成成分を取り除く工程;
第二層に、低濃度の塩を有する溶液を充填する工程;
前記型をポリマーコーティング剤へ浸漬することによって第二層の上に第三層を形成する工程;
第三層を乾燥させる工程;
形成した諸層を約120℃と約160℃の間の加熱へ処す工程;及び
硬化した形成層を事後浸出させる工程を含んでなる、前記方法。
【請求項14】
型を抗ブロッキング凝固剤へ約20℃と約40℃の間の温度で浸漬する、請求項13の方法。
【請求項15】
請求項13の方法により作製されるパウダーフリーエラストマー製品。
【請求項16】
手袋である、請求項15の製品。

【図1】
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【公表番号】特表2007−532794(P2007−532794A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508318(P2007−508318)
【出願日】平成16年4月16日(2004.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/011799
【国際公開番号】WO2005/110749
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(598165943)アンセル・ヘルスケア・プロダクツ・エルエルシー (15)
【氏名又は名称原語表記】Ansell Healthcare Products LLC
【Fターム(参考)】