説明

パウチ容器

【課題】液体内容物の注出作業性に優れ、しかも、液体内容物を完全に注出することができるパウチ容器を提供する。
【解決手段】自立性を有するボトムガセットタイプのパウチ本体10と、このパウチ本体10における一方の側縁に装着されるスパウト20とから構成されている。パウチ本体10は、表裏一対の外装シート11と、外装シート11の下端部において両者の間に折り込まれるガセットシート12とから構成されており、外装シート11の上縁部及び両側縁部が相互にヒートシールされることによって胴部が形成されると共に、外装シート11間に折り込まれたガセットシート12の周縁が外装シート11の内面にヒートシールされることによってボトムガセット部が形成されている。スパウト20が装着される一方のサイドシールSSaの内縁は、スパウト20の装着位置からボトムガセット部に向かって、他方のサイドシールSSb側に徐々に近づいている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、トイレ洗浄剤、洗剤、シャンプー等の液体商品が充填されるパウチ容器、特に、左右一対のサイドシールを有するボトムガセットタイプのパウチ本体の一方の前記サイドシール部分に注出口部が設けられた、自立性を備えたパウチ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ洗浄剤、洗剤、シャンプー等の液体商品は、ボトル容器等に充填された状態で販売されていたが、ボトル容器等の有効利用を図るために、近年では、シャンプー等の液体商品を簡易なパウチ容器に充填した詰替用の液体商品が販売されている。
【0003】
従って、消費者は、最初はボトル容器等に充填された液体商品を購入することになるが、この液体商品を使い切った場合は、ボトル容器等に充填された液体商品を新たに購入するのではなく、簡易なパウチ容器に充填された同じ商品である詰替用の液体商品を購入し、空になったボトル容器等に液体商品だけを詰め替えるようになってきている。
【0004】
こういった詰替用の液体商品を充填するパウチ容器としては、例えば、図7に示すようなものがある。このパウチ容器50は、同図に示すように、表裏一対の外装シート52、52の下端部からガセットシート53が内側に折り込まれ、そのガセットシート53の周縁部が外装シート52、52にヒートシールされると共に、ガセットシート53に重なっていない外装シート52、52の周縁部が相互にヒートシールされることによって袋状に形成されたパウチ本体51と、このパウチ本体51の上縁部に装着された、スクリューキャップによって開閉可能なスパウト54とを備えている。
【0005】
ところで、こういったパウチ容器50に充填された液体商品をボトル容器等に詰め替える場合は、図8に示すように、スパウト54をボトル容器の口部に嵌入した状態で、パウチ容器50を上下反転させなければならず、作業性が悪いといった問題があるので、近年では、図9(a)、(b)に示すように、スパウト54をパウチ本体51の上縁シール部分ではなく、サイドシール部分に装着したパウチ容器50Aが望まれている。なお、同図(b)における網掛け表示領域がヒートシール領域を示している。
【0006】
【特許文献1】特許第3261543号公報(図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、サイドシール部分にスパウト54が装着されたパウチ容器50Aでは、充填された液体商品をボトル容器等に詰め替える際、上下反転させる必要がなく、横に傾けるだけでよいので、注出作業性はよいが、パウチ容器50A内に充填された液体商品が一部パウチ本体51内に残ってしまい、液体商品を完全に注出することができないといった問題がある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、液体内容物の注出作業性に優れ、しかも、液体内容物を完全に注出することができるパウチ容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、左右一対のサイドシールを有するボトムガセットタイプのパウチ本体の一方の前記サイドシール部分に注出口部が設けられた、自立性を備えたパウチ容器において、前記パウチ本体における一方の前記サイドシールの内縁は、前記注出口部から前記パウチ本体の底部側に向かって、他方の前記サイドシール側に徐々に近づいていることを特徴とするパウチ容器を提供するものである。
【0010】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明のパウチ容器において、前記パウチ本体における左右一対のサイドシールの外縁を内側に湾曲させることによって、前記パウチ本体の胴部にくびれを設けたのである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、請求項1にかかる発明のパウチ容器では、パウチ本体における注出口部が設けられている一方のサイドシールの内縁が、その注出口部からパウチ本体の底部側に向かって、他方のサイドシール側に徐々に近づいているので、注出口部が下を向くように、このパウチ容器を真横に傾けると、注出口部が設けられている一方のサイドシールの内縁が、その注出口部からパウチ本体の底部側に向かって徐々に高くなっている。従って、このパウチ容器に充填された液体内容物を他の容器等に移し替える際、このパウチ容器では、底部側を必要以上に持ち上げなくても、真横に傾けるだけで、充填された液体内容物を完全に注出することができる。
【0012】
また、請求項2にかかる発明のパウチ容器では、パウチ本体における左右一対のサイドシールの外縁を内側に湾曲させることによって、パウチ本体の胴部にくびれを設けてあるので、パウチ容器の胴部を手で掴み易くなり、パウチ容器の取扱性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1〜図3に示すように、このパウチ容器1は、トイレ洗浄剤、洗剤、シャンプー等の液体や流動体の内容物を充填するものであり、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等の熱接着性を有するシーラントフィルムの外面に、ポリアミドフィルム及びポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した厚さ100〜150μm程度の柔軟性シートによって形成された、自立性を有するボトムガセットタイプのパウチ本体10と、このパウチ本体10における一方の側縁に装着される熱接着性樹脂によって形成された、スクリューキャップ21によって開閉可能なスパウト20とから構成されている。
【0014】
前記パウチ本体10は、図2及び図3に示すように、略長方形状の表裏一対の外装シート11、11と、この外装シート11、11の下端部において両者の間に折り込まれるガセットシート12とから構成されており、外装シート11、11の上縁部及び両側縁部が相互にヒートシールされることによって胴部が形成されると共に、外装シート11、11間に折り込まれたガセットシート12の周縁が外装シート11、11の内面にヒートシールされることによってボトムガセット部が形成されている。また、ガセットシート12の両側縁には、二つ折りした状態で相互に一致する切欠部12aがそれぞれ形成されており、この切欠部12aを介して、外装シート11、11の両側縁における下端部同士が部分的にヒートシールされている。なお、図3における網掛け表示領域がヒートシール領域を示している。
【0015】
外装シート11は、パウチ本体10の胴部にくびれが形成されるように、両側縁の高さ方向の中央部を内側に湾曲させてあるが、両湾曲部11a、11bは対称形ではなく、パウチ本体10の胴部を手で掴んだときに手にフィットするように、非対称に形成されている。
【0016】
また、パウチ本体10におけるスパウト20が装着される一方のサイドシールSSaの内縁は、スパウト20の装着位置からパウチ本体10のボトムガセット部に向かって、他方のサイドシールSSb側に徐々に近づいており、図4に示すように、スパウト20の注出口が下を向くように、このパウチ容器1を真横(パウチ本体10の底側外縁が垂直方向を向く状態)に傾けると、パウチ本体10におけるスパウト20が装着されている一方のサイドシールSSaの内縁は、そのボトムガセット側がスパウト装着位置に対して、Δh(=約5mm)だけ高くなっている。
【0017】
また、サイドシールSSaの外縁は、図3に示すように、湾曲部11aを除いて、スパウト20の装着位置とボトムガセット部の形成位置とが同一の垂直線L上にあり、外装シート11の幅が、上部と下部で同一であるので、図5(a)に示すように、ボトムガセット部におけるサイドシールSSaのシール幅が広く形成されており、このパウチ容器1に内容物を充填したときのパウチ本体10における底部の横幅W1と、同図(b)に示すように、サイドシールSSaのシール幅が上下で同一になるように、外装シート11の下部の幅を狭めたパウチ容器に内容物を充填したときのパウチ本体10aにおける底部の横幅W2とを比較すると、W1>W2となり、自立安定性が低下することもない。
【0018】
以上のように、このパウチ容器1では、スパウト20の注出口が下を向くように、このパウチ容器1を真横に傾けると、パウチ本体10におけるスパウト20が装着されている一方のサイドシールSSaの内縁は、そのボトムガセット側がスパウト装着位置に対して、Δh(=約5mm)だけ高くなっているので、このパウチ容器1に充填された液体内容物を他の容器等に移し替える際、このパウチ容器1では、底部側を必要以上に持ち上げなくても、真横に傾けるだけで、充填された液体内容物を完全に注出することができ、液体内容物の注出作業性がよい。
【0019】
また、このパウチ容器1では、パウチ本体10の胴部を手で掴んだときに手にフィットするように、パウチ本体10における左右一対のサイドシールSSa、SSbの外縁を内側に湾曲させることによって、パウチ本体10の胴部に非対称のくびれを設けてあるので、パウチ本体10の胴部を手で掴み易くなり、パウチ容器1の取扱性もよい。しかも、底部の横幅W1が狭くならないため、自立安定性が低下することもない。
【0020】
なお、上述した実施形態では、パウチ本体10の胴部を手で掴み易くするために、パウチ本体10の両側縁に非対称の湾曲部11a、11bを設けているが、これに限定されるものではなく、両湾曲部は対称であってもよく、図6に示すパウチ容器1Aのように、必ずしも、湾曲部を設ける必要はない。このように、湾曲部を設けない場合であっても、液体内容物の良好な注出作業性を確保するためには、パウチ本体10Aにおけるスパウト20が装着される一方のサイドシールSSaの内縁が、スパウト20の装着位置からパウチ本体10Aのボトムガセット部に向かって、他方のサイドシールSSb側に徐々に近づくようにしておく必要があることはいうまでもない。
【0021】
また、上述した実施形態では、注出口部として、スクリューキャップ21によって開閉可能なスパウト20を採用しているが、これに限定されるものではなく、鋏等によって切除することで開封するノズル状の注出口部を採用することも可能である。
【0022】
また、上述した各実施形態では、パウチ本体10、10a、10Aを形成する際に使用する2枚の外装シート11、11及びガセットシート12が、それぞれ分離されている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、2枚の外装シートとその間に位置するガセットシートとが相互に繋がった状態の1枚のシートを使用することも可能である。
【0023】
また、上述した実施形態では、詰替用のパウチ容器について説明したが、これに限定されるものではなく、本発明は、様々な用途に使用されるパウチ容器について適用することができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明にかかるパウチ容器の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】(a)は同上のパウチ容器を示す平面図、(b)は同上のパウチ容器を示す側面図である。
【図3】同上のパウチ容器を扁平に折り畳んだ状態を示す正面図である。
【図4】同上のパウチ容器の注出作業性を説明するための説明図である。
【図5】(a)、(b)は同上のパウチ容器の自立安定性を説明するための説明図である。
【図6】他の実施形態であるパウチ容器を扁平に折り畳んだ状態を示す正面図である。
【図7】背景技術としての一般的なパウチ容器を示す斜視図である。
【図8】同上のパウチ容器の使用方法を説明するための説明図である。
【図9】(a)は従来のパウチ容器を示す斜視図、(b)は同上のパウチ容器を扁平に折り畳んだ状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0025】
1、1A パウチ容器
10、10a、10A パウチ本体
11 外装シート
11a、11b 湾曲部
12 ガセットシート
12a 切欠部
20 スパウト
21 スクリューキャップ
SSa、SSb サイドシール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のサイドシールを有するボトムガセットタイプのパウチ本体の一方の前記サイドシール部分に注出口部が設けられた、自立性を備えたパウチ容器において、
前記パウチ本体における一方の前記サイドシールの内縁は、前記注出口部から前記パウチ本体の底部側に向かって、他方の前記サイドシール側に徐々に近づいていることを特徴とするパウチ容器。
【請求項2】
前記パウチ本体は、左右一対のサイドシールの外縁が内側に湾曲することによって、その胴部がくびれている請求項1に記載のパウチ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−206111(P2006−206111A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−21265(P2005−21265)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】