パターン修正方法およびパターン修正装置
【課題】欠陥部の周囲への修正液のはみ出しを抑え、欠陥部に塗布された修正液の厚みを均一にすることが可能なパターン修正方法を提供する。
【解決手段】このパターン修正方法では、液晶カラーフィルタ基板1の画素6の白欠陥6aに修正インク7を塗布した後、修正インク7の厚みが均一になるように、溶媒16の蒸気を含む気体を修正インク7に噴霧し、修正インク7の粘度を低下させる。したがって、白欠陥6aに塗布した修正インク7の周囲へのはみ出しを抑えることができる。
【解決手段】このパターン修正方法では、液晶カラーフィルタ基板1の画素6の白欠陥6aに修正インク7を塗布した後、修正インク7の厚みが均一になるように、溶媒16の蒸気を含む気体を修正インク7に噴霧し、修正インク7の粘度を低下させる。したがって、白欠陥6aに塗布した修正インク7の周囲へのはみ出しを抑えることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パターン修正方法およびパターン修正装置に関し、特に、基板上に形成されたパターンの欠陥部を修正するパターン修正方法およびパターン修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイの代表例として、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイなどが知られている。これらのディスプレイでは、画面の大型化、高精細化が進められ、画素数が増大する傾向にある。このため、製造過程において画素に欠陥が発生する確率が高くなっており、歩留まりを高めるために画素に発生した欠陥を修正する技術が求められている。
【0003】
たとえば、液晶カラーフィルタの着色層(画素)の一部が色抜けした白欠陥を修正する方法として、塗布針の先端部に修正液(修正インク)を付着させた後、その塗布針の先端を白欠陥に接触させて修正液を塗布する方法がある(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
また、着色層に発生した異物欠陥や白欠陥にレーザ光を照射して矩形の白欠陥を形成し、マイクロディスペンサを用いて矩形の白欠陥に修正液を流し込む方法がある(たとえば、特許文献2参照)。
【0005】
また、矩形の白欠陥に修正液を塗布した場合、白欠陥の角部に修正液が充填されなかったり、修正液の中央部が膨らんで高くなったり、白欠陥の縁に修正液が引かれて修正液の中央部が窪むなどして、修正液の厚みが不均一になり易い。白欠陥に塗布された修正液の厚みを均一にする方法として、白欠陥に塗布した修正液に上方から気体を噴射する方法がある(たとえば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平9−236933号公報
【特許文献2】特開2006−145786号公報
【特許文献3】特開2008−3287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献3の方法では、高粘度の修正液を使用した場合や、低粘度であっても、乾燥が速くて粘度が高くなる傾向のある修正液を使用した場合は、修正液の厚みを均一にするためには、修正液に噴射する気体の圧力を高くする必要がある。しかし、噴射する気体の圧力が高過ぎると、修正液が白欠陥の周囲にはみ出す場合がある。
【0007】
また、最近では、液晶テレビの大画面化に伴ってカラーフィルタの画素サイズが大型化しており、欠陥サイズも大きくなっている。修正液の塗布面積が大きくなると、修正液の厚みの不均一さがより大きくなる場合があり、修正液の盛り上がり方によっては、上方から気体を噴射すると修正液が欠陥画素の周りに押し出される場合がある。
【0008】
それゆえに、この発明の主たる目的は、欠陥部に塗布された修正液の周囲へのはみ出しを抑え、修正液の厚みを均一にすることが可能なパターン修正方法およびパターン修正装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るパターン修正方法は、基板上に形成されたパターンの欠陥部を修正するパターン修正方法であって、欠陥部に修正液を塗布する第1のステップと、欠陥部に塗布された修正液の厚みが均一になるように、修正液に溶媒の蒸気を吸収させて修正液の粘度を低下させる第2のステップとを含む。
【0010】
好ましくは、溶媒は、修正液に含有された溶媒と同じものである。
また好ましくは、修正液に溶媒の蒸気を吸収させて修正液の厚みを均一にするために必要な時間を予め求めておき、第2のステップでは、予め求めた時間だけ修正液の溶媒を修正液に吸収させる。
【0011】
また好ましくは、第2のステップでは、欠陥部に塗布された修正液を観察しながら修正液に溶媒を吸収させ、修正液の表面が平坦化したことに応じて第2のステップを終了する。
【0012】
また好ましくは、第2のステップでは、欠陥部に塗布された修正液にノズルの先端を対峙させ、ノズルから溶媒の蒸気を含む気体を修正液に噴霧して、修正液に溶媒の蒸気を吸収させる。
【0013】
また好ましくは、ノズルは、基板に対して略垂直または斜めに配置される。
また好ましくは、ノズルは白欠陥の周囲に複数配置される。
【0014】
また好ましくは、第2のステップでは、溶媒が注入された容器内に気体を供給して、溶媒の蒸気を含む気体を生成する。
【0015】
また好ましくは、容器内の溶媒中に気体を供給して泡を発生させ、溶媒の蒸気の発生量を増やす。
【0016】
また好ましくは、容器内をヒータで加熱して溶媒の蒸気の発生量を増やす。
また好ましくは、第2のステップでは、欠陥部に塗布された修正液に対して、溶媒を吸収させたシートを近接させ、シートから溶媒の蒸気を修正液に供給する。
【0017】
また好ましくは、基板は透明基板であり、パターンは複数の着色層を含むカラーフィルタであり、欠陥部は着色層の白欠陥である。
【0018】
また、この発明に係るパターン修正装置は、基板上に形成されたパターンの欠陥部を修正するパターン修正装置であって、欠陥部に修正液を塗布する塗布手段と、欠陥部に塗布された修正液の厚みが均一になるように、修正液に溶媒の蒸気を吸収させて修正液の粘度を低下させる均一化手段とを備えたものである。
【0019】
好ましくは、均一化手段は、溶媒が注入された容器と、容器内に気体を供給して溶媒の蒸気を含む気体を生成する気体供給手段と、容器に接続され、溶媒の蒸気を含む気体を欠陥部に塗布された修正液に噴霧するノズルとを含む。
【0020】
また好ましくは、均一化手段は、溶媒を吸収したシートと、欠陥部に塗布された修正液にシートを対峙させる保持部材とを含む。
【発明の効果】
【0021】
この発明に係るパターン修正方法およびパターン修正装置では、欠陥部に塗布された修正液の厚みが均一になるように、修正液に溶媒の蒸気を吸収させて修正液の粘度を低下させる。したがって、欠陥部の周囲への修正液のはみ出しを抑え、欠陥部に塗布された修正液の厚みを均一にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、この発明の一実施の形態によるパターン修正方法の修正対象である液晶カラーフィルタ基板1の要部を示す図であり、図2は、その一部の断面図である。図1および図2において、液晶カラーフィルタ基板1は、ガラス基板2を含む。ガラス基板2の表面には、格子状のブラックマトリックス3が形成され、ブラックマトリックス3で囲まれた複数の領域にR画素4、G画素5、およびB画素6が一定の周期で形成されている。R画素4、G画素5、およびB画素6は、それぞれ赤色、緑色、および青色の着色層で構成されている。図1および図2では、B画素6の一部に矩形の白欠陥6aが存在する状態が示されている。この矩形の白欠陥6aは、そのB画素6に発生した任意形状の白欠陥あるいは異物欠陥を含む矩形の領域にレーザ光を照射して形成したものである。
【0023】
図3(a)は、白欠陥6aに修正インク7を塗布する工程を示す図である。図3(a)において、塗布針8の先端部に修正インク7を付着させ、塗布針8の先端を白欠陥6aに接触させて白欠陥6aに修正インク7を塗布する。修正インク7は、白欠陥が存在する部分(ここでは、B画素6)の色の顔料と樹脂と分散剤を溶媒に添加したものである。溶媒としては、高沸点系の溶媒、たとえばPGMEA(プロピレン・グリコール・モノメチル・エーテル・アセテート)が使用される。PGMEAの沸点は146℃である。
【0024】
なお、塗布針8の先端部には、先端に向かって断面積が徐々に小さくなるテーパ部が形成され、塗布針8の先端には、円形の平坦面が形成されている。また、図3(b)に示すように、マイクロディスペンサ9を用いて白欠陥6aに修正インク7を塗布してもよい。また、白欠陥6aに対して塗布形状が小さい場合には、塗布位置を変えて複数回塗布が行なわれる。
【0025】
図4は、白欠陥6aに修正インク7が塗布された状態を示す図である。図4では、白欠陥6aに塗布された修正インク7は、白欠陥6aの全域に充填されず、白欠陥6aの角部には修正インク7の未充填部が残っている。
【0026】
図5は、白欠陥6aに塗布された修正インク7の厚みを均一にする工程を示す図である。図5において、白欠陥6aに塗布された修正インク7は、たとえば中央が膨らみ、塗布厚みが不均一な状態にある。このパターン修正方法では、気体供給源(G)10と、溶媒蒸気発生装置11と、ノズル20とが使用される。気体供給源10は、所定の圧力の気体を供給する。気体としては、たとえば窒素ガスが用いられるが、使用する修正インク7の劣化がなければ圧縮空気でもよい。
【0027】
溶媒蒸気発生装置11は、気体供給源10から供給される気体の圧力を調整するレギュレータ(R)12と、レギュレータ12と容器15の入口との間に接続された電磁バルブ(V)13と、電磁バルブ13の開閉を制御するタイマ(T)14と、修正インク7の溶媒と同じ溶媒16(たとえば、PGMEA)が注入された容器15とを含む。
【0028】
なお、溶媒16が注入された容器15が欠陥修正に伴って移動する場合、溶媒16の液面が揺れてノズル20側に溶媒16が流れる場合が想定される。溶媒16がノズル20側に流れるのを防止するため、容器15の気体出口部にフィルタ17を設けてもよいし、溶媒16をゲル状にしてよいし、溶媒16を吸収させたシート18を容器15内に入れてもよい。
【0029】
容器15の出口とノズル20の基端とは、配管19によって接続される。ノズル20は、修正対象の液晶カラーフィルタ基板1に対して略垂直に設けられ、その先端の開口部は白欠陥6aに対して所定の隙間を開けて対峙される。ノズル20の先端と液晶カラーフィルタ基板1との隙間は1mm〜10mm程度とされる。また、ノズル20から噴霧される領域は、白欠陥6aを含む範囲であればよく、ノズル20の内径は、たとえば、0.1mmから5mm程度とされる。
【0030】
レギュレータ12によって気体の圧力を最適値に調整した後、電磁バルブ13をタイマ14で設定した時間だけ開放して、気体を容器15内に流入させる。これにより、気体と溶媒16の蒸気が混合される。溶媒16の蒸気を含む気体は、ノズル20を介して、白欠陥6aの上方から白欠陥6aを含む範囲に噴霧される。
【0031】
図6は、白欠陥6aに塗布された修正インク7に溶媒16の蒸気を含む気体を噴霧した後の状態を示す図である。修正インク7が気体中に含まれる溶媒16の蒸気を吸収すると、修正インク7の粘度が低下して流動性が高まり、修正インク7の表面が平坦化される。また、修正インク7の流動性が高まると、白欠陥6aに塗布された修正インク7に塗りむら、たとえば、修正インク7が塗布されない領域があっても、白欠陥6aの全域に修正インク7が流れて塗りむらが修復され、修正インク7の厚みが均一になる。なお、修正インク7の厚みを均一化するために必要な噴霧時間は予め予備実験などで求められ、求められた噴霧時間はタイマ14に設定される。
【0032】
この実施の形態では、白欠陥6aに塗布された修正インク7に溶媒16の蒸気を含む気体を噴霧して修正インク7の粘度を低下させ、修正インク7の流動性を高めて修正インク7の厚みを均一にする。したがって、修正インク7の粘度が高い場合でも、気体の圧力を高める必要はないので、修正インク7が白欠陥6aの周囲にはみ出すのを抑えることができる。
【0033】
以下、この実施の形態の種々の変更例について説明する。図7の変更例では、観察光学系(図示せず)の対物レンズ21が白欠陥6aの真上に配置され、ノズル20は白欠陥6aに向けて斜めに配置される。この変更例では、白欠陥6aに塗布された修正インク7の状態を観察しながら、ノズル20から溶媒16の蒸気を含む気体を噴霧することができる。したがって、修正インク7の表面の平坦化が完了したのを確認した後に電磁バルブ13を閉じることにより、修正インク7の表面の平坦化を確実に行なうことが可能となる。
【0034】
図8の変更例では、観察光学系(図示せず)の対物レンズ21が白欠陥6aの真上に配置され、複数(図では2個)のノズル20が等角度間隔で白欠陥6aの周りに配置され、各ノズル20は白欠陥6aに向けて斜めに配置される。図7の変更例では、白欠陥6aの一方側から溶媒16の蒸気を含む気体が噴霧されるので、溶媒16の蒸気の密度が白欠陥6a内で不均一になり、修正インク7の流動性が不均一になって平坦化の妨げになる場合が想定される。これに対して図8のの変更例では、溶媒16の蒸気を含む気体が白欠陥6aに塗布された修正インク7に均一に噴霧されるので、修正インク7の厚みをより均一にすることができる。
【0035】
また、液晶カラーフィルタ基板1の白欠陥6aの修正においては、白欠陥6aの周囲の正常な部分との色相を合わせたり、また、修正インク7の厚みを厚くするために、製造用のインクよりも高粘度の修正インク7を用いる場合が多い。また、白欠陥6aに塗布される修正インク7の液量は微少であり、微量の修正インク17は多量の修正インク17よりも乾燥し易い。修正インク7の流動性を早く回復するためには、溶媒16の蒸気量を増やす(濃度を高める)ことが効果的である。
【0036】
そこで、図9の変更例では、容器15に流入する気体を一旦、溶媒16の液中に入れて泡を発生させ、溶媒16の蒸発を促進する。また、図10の変更例では、容器15にヒータ22を配置し、溶媒16を温めて溶媒16の蒸発を促進する。これにより、溶媒16の蒸気濃度を高めることができ、単位時間当たりに修正インク7に吸収される溶媒量を増やすことが可能となる。また、溶媒16の蒸気を含む気体の噴霧時間の短縮化が可能となる。
【0037】
また、溶媒16の蒸気量と噴霧時間は相対関係にあり、白欠陥6aに塗布された修正インク7の液量と、溶媒16の蒸気量が分かれば、平坦化に必要な各種条件はある程度予測ができる。また、予め実験により最適な修正条件を把握し、欠陥に応じて条件を変えるようにしてもよい。なお、欠陥修正を行なう部屋の環境、たとえば室温や湿度によっても塗布された修正インク7の乾燥性や流動性は異なるため、その環境に応じて、溶媒16の蒸気量や噴霧時間を設定することが望ましい。
【0038】
また、図11の変更例では、1つのB画素6全体が白欠陥6aになっている。インクジェット方式で製造された液晶カラーフィルタ基板1では、混色が数画素にまたがる場合がある。このような場合、ブラックマトリックス3を残して画素全体にレーザ光を照射して画素全体を白欠陥6aに変換してから修正インク7を塗布する。
【0039】
また、最近のカラーフィルタ基板1では、画面サイズの大型化に伴って1画素のサイズが大きくなっている。大きな画素6の一部のみに白欠陥6aがある場合、その白欠陥6aに修正インク7を塗布すると、画素6内に色むらが発生する場合がある。そこで、画素6内の色むらを防止するため、画素6全体にレーザ光を照射して画素6全体を白欠陥6aに変換してから修正インク7を塗布する。このように大きな白欠陥6aに修正インク7を塗布する場合、白欠陥6a内で塗布位置を変えながら複数回に分けて修正インク7を塗布する。
【0040】
図12では、塗布針8の先端に修正インク7を付着させ、塗布針8の位置をずらしながら複数回に渡って白欠陥6aに修正インク7を塗布する状態が示されている。この場合、塗布形状が重なるように複数回塗布するので、修正インク7の厚みは、欠陥サイズが小さな場合に比べて不均一になり、色むらを生じ易くなる。
【0041】
図13は、図12で示した方法で修正インク7が塗布された白欠陥6aを示す断面図である。図13において、白欠陥6aに塗布された修正インク7は、均一な厚みとならず、その表面は凹凸状となる。特に、塗布回数が多くなった場合には修正インク7の厚みが不均一になる傾向が強い。
【0042】
図14では、図13で示した白欠陥6aを含む領域に図5で示した方法で溶媒16の蒸気を含む気体を噴射して、修正インク7の厚みを均一化した状態が示されている。白欠陥6aの面積が大きくても、白欠陥6a内に塗布された修正インク7の溶媒16を吸収させることにより、修正インク7の粘度を低下させ、その流動性を高め、修正インク7の表面を平坦化することができる。修正インク7が紫外線硬化タイプであれば、その後紫外線を照射して修正インク7を硬化させる。また、必要があればその後焼成まで行なう。最近では、修正時間短縮のため、焼成工程を省略できるものがあり、紫外線硬化のみで十分な密着性が確保される。この変更例でも、実施の形態と同じ効果が得られる。
【0043】
なお、溶媒16の蒸気を含む気体の噴霧は、白欠陥6aに塗布された修正インク7が平坦化するまで行なわれる。噴霧時間は、溶媒16の蒸気の濃度、白欠陥6aの形状、塗布された修正インク7の液量、修正インク7の粘度によってことなる。噴霧時間は、たとえば数秒に設定される。また、溶媒16の蒸気を含む気体は、連続して噴霧してもよいし、噴霧と停止を繰り返し、間欠的に噴霧してもよい。
【0044】
図15の変更例では、白欠陥6aに塗布された修正インク7に溶媒16の蒸気を噴霧する代わりに、溶媒16を吸収させたシートを修正インク7に近接させて、修正インク7の平坦化を行なう。すなわち、溶媒蒸気発生装置25は、支持棒26と、その先端に固着されたシート27とを含む。シート27には、溶媒16を吸収させておく。白欠陥6aに修正インク7を塗布した後に、シート27を白欠陥6aに近接して対峙させる。シート27から溶媒16が蒸発し、その蒸気が白欠陥6aに塗布された修正インク7に吸収され、修正インク7が平坦化される。シート27は、たとえば円筒状のスポンジ、不織布、または多孔質材料である。溶媒16の蒸発濃度は、カラーフィルタ基板1に対向するシート27の面積や体積、溶媒16の吸収量、対峙させる隙間によって異なる。
【0045】
また、図16は、図1〜図14で示したパターン修正方法を実行するためのパターン修正装置30の全体構成を示す斜視図である。図16において、このパターン修正装置30では、定盤31の中央部にチャック32が設けられている。チャック32には、修正対象の液晶カラーフィルタ基板1が固定される。
【0046】
また、定盤31には、ガントリ型のXYステージ33が搭載されている。XYステージ33は、X軸ステージ33aと門型のY軸ステージ33bとを含む。Y軸ステージ33bは、チャック32を跨ぐように設けられ、図中のY軸方向に移動する。X軸ステージ33aは、Y軸ステージ33bに搭載され、図中のX方向に移動する。
【0047】
X軸ステージ33aには、上下方向に移動可能なZ軸ステージ34が搭載される。Z軸ステージ34には、観察光学系35、レーザ36、塗布ユニット37、および溶媒蒸気発生装置11が固定される。X軸ステージ33a、Y軸ステージ33b、およびZ軸ステージ34を制御することにより、観察光学系35、レーザ36、塗布ユニット37、および溶媒蒸気発生装置11の各々を基板1表面の所望の位置の上方に移動させることが可能となっている。
【0048】
観察光学系35は、対物レンズ21を含み、修正前後の白欠陥6aなどの観察に用いられる。レーザ36は、観察光学系35を介して基板1上の欠陥にレーザ光を照射し、レーザアブレーションによってその欠陥を矩形の白欠陥6aに変換する。塗布ユニット37は、XYZステージ、インクタンク、塗布針8などを含み、塗布針8の先端部に修正インク7を付着させ、塗布針8の先端を白欠陥6aに接触させて白欠陥6aに修正インク7を塗布する。溶媒蒸気発生装置11は、溶媒16の蒸気を含む気体をノズル20を介して、白欠陥6aに塗布された修正インク7に噴射し、修正インク7の粘度を低下させて修正インク7の厚みを均一化させる。
【0049】
このパターン修正装置30によれば、液晶カラーフィルタ基板1の画素6に発生した白欠陥6aにレーザ光を照射して矩形に整形し、その白欠陥6aに修正インク7を塗布し、その修正インク7に溶媒16の蒸気を含む気体を噴射してその厚みを均一にすることができる。したがって、塗りむらや色むらを生じることなく、白欠陥6aを修正することができ、修正部の品位の向上を図ることができる。
【0050】
なお、ノズル20と溶媒蒸気発生装置11の代わりに、図15で示した溶媒蒸気発生装置25を搭載してもよい。
【0051】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】この発明の一実施の形態によるパターン修正方法の修正対象である液晶カラーフィルタ基板の要部を示す図である。
【図2】図1に示した白欠陥を含む画素の断面図である。
【図3】図2に示した白欠陥に修正インクを塗布する工程を示す断面図である。
【図4】図1に示した白欠陥に修正インクを塗布した状態を示す図である。
【図5】白欠陥に塗布された修正インクの厚みを均一化させる工程を示す断面図である。
【図6】図5で示した工程によって厚みが均一化された修正インクを示す断面図である。
【図7】実施の形態の変更例を示す断面図である。
【図8】実施の形態の他の変更例を示す断面図である。
【図9】実施の形態のさらに他の変更例を示す断面図である。
【図10】実施の形態のさらに他の変更例を示す断面図である。
【図11】実施の形態のさらに他の変更例の修正対象である液晶カラーフィルタ基板の要部を示す図である。
【図12】図11で示した白欠陥に修正インクを塗布する方法を示す図である。
【図13】図12で示した方法で塗布した修正インクを示す断面図である。
【図14】厚みが均一化された修正インクを示す断面図である。
【図15】実施の形態のさらに他の変更例を示す断面図である。
【図16】図1〜図14で示したパターン修正方法を行なうためのパターン修正装置の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1 液晶カラーフィルタ基板、2 ガラス基板、3 ブラックマトリックス、4 R画素、5 G画素、6 B画素、6a 白欠陥、7 修正インク、8 塗布針、9 マイクロディスペンサ、10 気体供給源、11,25 溶媒蒸気発生装置、12 レギュレータ、13 電磁バルブ、14 タイマ、15 容器、16 溶媒、17 フィルタ、18,27 シート、19 配管、20 ノズル、21 対物レンズ、22 ヒータ、26 支持棒、30 パターン修正装置、31 定盤、32 チャック、33 XYステージ、33a X軸ステージ、33b Y軸ステージ、34 Z軸ステージ、35 観察光学系、36 レーザ、37 塗布ユニット。
【技術分野】
【0001】
この発明は、パターン修正方法およびパターン修正装置に関し、特に、基板上に形成されたパターンの欠陥部を修正するパターン修正方法およびパターン修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイの代表例として、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイなどが知られている。これらのディスプレイでは、画面の大型化、高精細化が進められ、画素数が増大する傾向にある。このため、製造過程において画素に欠陥が発生する確率が高くなっており、歩留まりを高めるために画素に発生した欠陥を修正する技術が求められている。
【0003】
たとえば、液晶カラーフィルタの着色層(画素)の一部が色抜けした白欠陥を修正する方法として、塗布針の先端部に修正液(修正インク)を付着させた後、その塗布針の先端を白欠陥に接触させて修正液を塗布する方法がある(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
また、着色層に発生した異物欠陥や白欠陥にレーザ光を照射して矩形の白欠陥を形成し、マイクロディスペンサを用いて矩形の白欠陥に修正液を流し込む方法がある(たとえば、特許文献2参照)。
【0005】
また、矩形の白欠陥に修正液を塗布した場合、白欠陥の角部に修正液が充填されなかったり、修正液の中央部が膨らんで高くなったり、白欠陥の縁に修正液が引かれて修正液の中央部が窪むなどして、修正液の厚みが不均一になり易い。白欠陥に塗布された修正液の厚みを均一にする方法として、白欠陥に塗布した修正液に上方から気体を噴射する方法がある(たとえば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平9−236933号公報
【特許文献2】特開2006−145786号公報
【特許文献3】特開2008−3287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献3の方法では、高粘度の修正液を使用した場合や、低粘度であっても、乾燥が速くて粘度が高くなる傾向のある修正液を使用した場合は、修正液の厚みを均一にするためには、修正液に噴射する気体の圧力を高くする必要がある。しかし、噴射する気体の圧力が高過ぎると、修正液が白欠陥の周囲にはみ出す場合がある。
【0007】
また、最近では、液晶テレビの大画面化に伴ってカラーフィルタの画素サイズが大型化しており、欠陥サイズも大きくなっている。修正液の塗布面積が大きくなると、修正液の厚みの不均一さがより大きくなる場合があり、修正液の盛り上がり方によっては、上方から気体を噴射すると修正液が欠陥画素の周りに押し出される場合がある。
【0008】
それゆえに、この発明の主たる目的は、欠陥部に塗布された修正液の周囲へのはみ出しを抑え、修正液の厚みを均一にすることが可能なパターン修正方法およびパターン修正装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るパターン修正方法は、基板上に形成されたパターンの欠陥部を修正するパターン修正方法であって、欠陥部に修正液を塗布する第1のステップと、欠陥部に塗布された修正液の厚みが均一になるように、修正液に溶媒の蒸気を吸収させて修正液の粘度を低下させる第2のステップとを含む。
【0010】
好ましくは、溶媒は、修正液に含有された溶媒と同じものである。
また好ましくは、修正液に溶媒の蒸気を吸収させて修正液の厚みを均一にするために必要な時間を予め求めておき、第2のステップでは、予め求めた時間だけ修正液の溶媒を修正液に吸収させる。
【0011】
また好ましくは、第2のステップでは、欠陥部に塗布された修正液を観察しながら修正液に溶媒を吸収させ、修正液の表面が平坦化したことに応じて第2のステップを終了する。
【0012】
また好ましくは、第2のステップでは、欠陥部に塗布された修正液にノズルの先端を対峙させ、ノズルから溶媒の蒸気を含む気体を修正液に噴霧して、修正液に溶媒の蒸気を吸収させる。
【0013】
また好ましくは、ノズルは、基板に対して略垂直または斜めに配置される。
また好ましくは、ノズルは白欠陥の周囲に複数配置される。
【0014】
また好ましくは、第2のステップでは、溶媒が注入された容器内に気体を供給して、溶媒の蒸気を含む気体を生成する。
【0015】
また好ましくは、容器内の溶媒中に気体を供給して泡を発生させ、溶媒の蒸気の発生量を増やす。
【0016】
また好ましくは、容器内をヒータで加熱して溶媒の蒸気の発生量を増やす。
また好ましくは、第2のステップでは、欠陥部に塗布された修正液に対して、溶媒を吸収させたシートを近接させ、シートから溶媒の蒸気を修正液に供給する。
【0017】
また好ましくは、基板は透明基板であり、パターンは複数の着色層を含むカラーフィルタであり、欠陥部は着色層の白欠陥である。
【0018】
また、この発明に係るパターン修正装置は、基板上に形成されたパターンの欠陥部を修正するパターン修正装置であって、欠陥部に修正液を塗布する塗布手段と、欠陥部に塗布された修正液の厚みが均一になるように、修正液に溶媒の蒸気を吸収させて修正液の粘度を低下させる均一化手段とを備えたものである。
【0019】
好ましくは、均一化手段は、溶媒が注入された容器と、容器内に気体を供給して溶媒の蒸気を含む気体を生成する気体供給手段と、容器に接続され、溶媒の蒸気を含む気体を欠陥部に塗布された修正液に噴霧するノズルとを含む。
【0020】
また好ましくは、均一化手段は、溶媒を吸収したシートと、欠陥部に塗布された修正液にシートを対峙させる保持部材とを含む。
【発明の効果】
【0021】
この発明に係るパターン修正方法およびパターン修正装置では、欠陥部に塗布された修正液の厚みが均一になるように、修正液に溶媒の蒸気を吸収させて修正液の粘度を低下させる。したがって、欠陥部の周囲への修正液のはみ出しを抑え、欠陥部に塗布された修正液の厚みを均一にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、この発明の一実施の形態によるパターン修正方法の修正対象である液晶カラーフィルタ基板1の要部を示す図であり、図2は、その一部の断面図である。図1および図2において、液晶カラーフィルタ基板1は、ガラス基板2を含む。ガラス基板2の表面には、格子状のブラックマトリックス3が形成され、ブラックマトリックス3で囲まれた複数の領域にR画素4、G画素5、およびB画素6が一定の周期で形成されている。R画素4、G画素5、およびB画素6は、それぞれ赤色、緑色、および青色の着色層で構成されている。図1および図2では、B画素6の一部に矩形の白欠陥6aが存在する状態が示されている。この矩形の白欠陥6aは、そのB画素6に発生した任意形状の白欠陥あるいは異物欠陥を含む矩形の領域にレーザ光を照射して形成したものである。
【0023】
図3(a)は、白欠陥6aに修正インク7を塗布する工程を示す図である。図3(a)において、塗布針8の先端部に修正インク7を付着させ、塗布針8の先端を白欠陥6aに接触させて白欠陥6aに修正インク7を塗布する。修正インク7は、白欠陥が存在する部分(ここでは、B画素6)の色の顔料と樹脂と分散剤を溶媒に添加したものである。溶媒としては、高沸点系の溶媒、たとえばPGMEA(プロピレン・グリコール・モノメチル・エーテル・アセテート)が使用される。PGMEAの沸点は146℃である。
【0024】
なお、塗布針8の先端部には、先端に向かって断面積が徐々に小さくなるテーパ部が形成され、塗布針8の先端には、円形の平坦面が形成されている。また、図3(b)に示すように、マイクロディスペンサ9を用いて白欠陥6aに修正インク7を塗布してもよい。また、白欠陥6aに対して塗布形状が小さい場合には、塗布位置を変えて複数回塗布が行なわれる。
【0025】
図4は、白欠陥6aに修正インク7が塗布された状態を示す図である。図4では、白欠陥6aに塗布された修正インク7は、白欠陥6aの全域に充填されず、白欠陥6aの角部には修正インク7の未充填部が残っている。
【0026】
図5は、白欠陥6aに塗布された修正インク7の厚みを均一にする工程を示す図である。図5において、白欠陥6aに塗布された修正インク7は、たとえば中央が膨らみ、塗布厚みが不均一な状態にある。このパターン修正方法では、気体供給源(G)10と、溶媒蒸気発生装置11と、ノズル20とが使用される。気体供給源10は、所定の圧力の気体を供給する。気体としては、たとえば窒素ガスが用いられるが、使用する修正インク7の劣化がなければ圧縮空気でもよい。
【0027】
溶媒蒸気発生装置11は、気体供給源10から供給される気体の圧力を調整するレギュレータ(R)12と、レギュレータ12と容器15の入口との間に接続された電磁バルブ(V)13と、電磁バルブ13の開閉を制御するタイマ(T)14と、修正インク7の溶媒と同じ溶媒16(たとえば、PGMEA)が注入された容器15とを含む。
【0028】
なお、溶媒16が注入された容器15が欠陥修正に伴って移動する場合、溶媒16の液面が揺れてノズル20側に溶媒16が流れる場合が想定される。溶媒16がノズル20側に流れるのを防止するため、容器15の気体出口部にフィルタ17を設けてもよいし、溶媒16をゲル状にしてよいし、溶媒16を吸収させたシート18を容器15内に入れてもよい。
【0029】
容器15の出口とノズル20の基端とは、配管19によって接続される。ノズル20は、修正対象の液晶カラーフィルタ基板1に対して略垂直に設けられ、その先端の開口部は白欠陥6aに対して所定の隙間を開けて対峙される。ノズル20の先端と液晶カラーフィルタ基板1との隙間は1mm〜10mm程度とされる。また、ノズル20から噴霧される領域は、白欠陥6aを含む範囲であればよく、ノズル20の内径は、たとえば、0.1mmから5mm程度とされる。
【0030】
レギュレータ12によって気体の圧力を最適値に調整した後、電磁バルブ13をタイマ14で設定した時間だけ開放して、気体を容器15内に流入させる。これにより、気体と溶媒16の蒸気が混合される。溶媒16の蒸気を含む気体は、ノズル20を介して、白欠陥6aの上方から白欠陥6aを含む範囲に噴霧される。
【0031】
図6は、白欠陥6aに塗布された修正インク7に溶媒16の蒸気を含む気体を噴霧した後の状態を示す図である。修正インク7が気体中に含まれる溶媒16の蒸気を吸収すると、修正インク7の粘度が低下して流動性が高まり、修正インク7の表面が平坦化される。また、修正インク7の流動性が高まると、白欠陥6aに塗布された修正インク7に塗りむら、たとえば、修正インク7が塗布されない領域があっても、白欠陥6aの全域に修正インク7が流れて塗りむらが修復され、修正インク7の厚みが均一になる。なお、修正インク7の厚みを均一化するために必要な噴霧時間は予め予備実験などで求められ、求められた噴霧時間はタイマ14に設定される。
【0032】
この実施の形態では、白欠陥6aに塗布された修正インク7に溶媒16の蒸気を含む気体を噴霧して修正インク7の粘度を低下させ、修正インク7の流動性を高めて修正インク7の厚みを均一にする。したがって、修正インク7の粘度が高い場合でも、気体の圧力を高める必要はないので、修正インク7が白欠陥6aの周囲にはみ出すのを抑えることができる。
【0033】
以下、この実施の形態の種々の変更例について説明する。図7の変更例では、観察光学系(図示せず)の対物レンズ21が白欠陥6aの真上に配置され、ノズル20は白欠陥6aに向けて斜めに配置される。この変更例では、白欠陥6aに塗布された修正インク7の状態を観察しながら、ノズル20から溶媒16の蒸気を含む気体を噴霧することができる。したがって、修正インク7の表面の平坦化が完了したのを確認した後に電磁バルブ13を閉じることにより、修正インク7の表面の平坦化を確実に行なうことが可能となる。
【0034】
図8の変更例では、観察光学系(図示せず)の対物レンズ21が白欠陥6aの真上に配置され、複数(図では2個)のノズル20が等角度間隔で白欠陥6aの周りに配置され、各ノズル20は白欠陥6aに向けて斜めに配置される。図7の変更例では、白欠陥6aの一方側から溶媒16の蒸気を含む気体が噴霧されるので、溶媒16の蒸気の密度が白欠陥6a内で不均一になり、修正インク7の流動性が不均一になって平坦化の妨げになる場合が想定される。これに対して図8のの変更例では、溶媒16の蒸気を含む気体が白欠陥6aに塗布された修正インク7に均一に噴霧されるので、修正インク7の厚みをより均一にすることができる。
【0035】
また、液晶カラーフィルタ基板1の白欠陥6aの修正においては、白欠陥6aの周囲の正常な部分との色相を合わせたり、また、修正インク7の厚みを厚くするために、製造用のインクよりも高粘度の修正インク7を用いる場合が多い。また、白欠陥6aに塗布される修正インク7の液量は微少であり、微量の修正インク17は多量の修正インク17よりも乾燥し易い。修正インク7の流動性を早く回復するためには、溶媒16の蒸気量を増やす(濃度を高める)ことが効果的である。
【0036】
そこで、図9の変更例では、容器15に流入する気体を一旦、溶媒16の液中に入れて泡を発生させ、溶媒16の蒸発を促進する。また、図10の変更例では、容器15にヒータ22を配置し、溶媒16を温めて溶媒16の蒸発を促進する。これにより、溶媒16の蒸気濃度を高めることができ、単位時間当たりに修正インク7に吸収される溶媒量を増やすことが可能となる。また、溶媒16の蒸気を含む気体の噴霧時間の短縮化が可能となる。
【0037】
また、溶媒16の蒸気量と噴霧時間は相対関係にあり、白欠陥6aに塗布された修正インク7の液量と、溶媒16の蒸気量が分かれば、平坦化に必要な各種条件はある程度予測ができる。また、予め実験により最適な修正条件を把握し、欠陥に応じて条件を変えるようにしてもよい。なお、欠陥修正を行なう部屋の環境、たとえば室温や湿度によっても塗布された修正インク7の乾燥性や流動性は異なるため、その環境に応じて、溶媒16の蒸気量や噴霧時間を設定することが望ましい。
【0038】
また、図11の変更例では、1つのB画素6全体が白欠陥6aになっている。インクジェット方式で製造された液晶カラーフィルタ基板1では、混色が数画素にまたがる場合がある。このような場合、ブラックマトリックス3を残して画素全体にレーザ光を照射して画素全体を白欠陥6aに変換してから修正インク7を塗布する。
【0039】
また、最近のカラーフィルタ基板1では、画面サイズの大型化に伴って1画素のサイズが大きくなっている。大きな画素6の一部のみに白欠陥6aがある場合、その白欠陥6aに修正インク7を塗布すると、画素6内に色むらが発生する場合がある。そこで、画素6内の色むらを防止するため、画素6全体にレーザ光を照射して画素6全体を白欠陥6aに変換してから修正インク7を塗布する。このように大きな白欠陥6aに修正インク7を塗布する場合、白欠陥6a内で塗布位置を変えながら複数回に分けて修正インク7を塗布する。
【0040】
図12では、塗布針8の先端に修正インク7を付着させ、塗布針8の位置をずらしながら複数回に渡って白欠陥6aに修正インク7を塗布する状態が示されている。この場合、塗布形状が重なるように複数回塗布するので、修正インク7の厚みは、欠陥サイズが小さな場合に比べて不均一になり、色むらを生じ易くなる。
【0041】
図13は、図12で示した方法で修正インク7が塗布された白欠陥6aを示す断面図である。図13において、白欠陥6aに塗布された修正インク7は、均一な厚みとならず、その表面は凹凸状となる。特に、塗布回数が多くなった場合には修正インク7の厚みが不均一になる傾向が強い。
【0042】
図14では、図13で示した白欠陥6aを含む領域に図5で示した方法で溶媒16の蒸気を含む気体を噴射して、修正インク7の厚みを均一化した状態が示されている。白欠陥6aの面積が大きくても、白欠陥6a内に塗布された修正インク7の溶媒16を吸収させることにより、修正インク7の粘度を低下させ、その流動性を高め、修正インク7の表面を平坦化することができる。修正インク7が紫外線硬化タイプであれば、その後紫外線を照射して修正インク7を硬化させる。また、必要があればその後焼成まで行なう。最近では、修正時間短縮のため、焼成工程を省略できるものがあり、紫外線硬化のみで十分な密着性が確保される。この変更例でも、実施の形態と同じ効果が得られる。
【0043】
なお、溶媒16の蒸気を含む気体の噴霧は、白欠陥6aに塗布された修正インク7が平坦化するまで行なわれる。噴霧時間は、溶媒16の蒸気の濃度、白欠陥6aの形状、塗布された修正インク7の液量、修正インク7の粘度によってことなる。噴霧時間は、たとえば数秒に設定される。また、溶媒16の蒸気を含む気体は、連続して噴霧してもよいし、噴霧と停止を繰り返し、間欠的に噴霧してもよい。
【0044】
図15の変更例では、白欠陥6aに塗布された修正インク7に溶媒16の蒸気を噴霧する代わりに、溶媒16を吸収させたシートを修正インク7に近接させて、修正インク7の平坦化を行なう。すなわち、溶媒蒸気発生装置25は、支持棒26と、その先端に固着されたシート27とを含む。シート27には、溶媒16を吸収させておく。白欠陥6aに修正インク7を塗布した後に、シート27を白欠陥6aに近接して対峙させる。シート27から溶媒16が蒸発し、その蒸気が白欠陥6aに塗布された修正インク7に吸収され、修正インク7が平坦化される。シート27は、たとえば円筒状のスポンジ、不織布、または多孔質材料である。溶媒16の蒸発濃度は、カラーフィルタ基板1に対向するシート27の面積や体積、溶媒16の吸収量、対峙させる隙間によって異なる。
【0045】
また、図16は、図1〜図14で示したパターン修正方法を実行するためのパターン修正装置30の全体構成を示す斜視図である。図16において、このパターン修正装置30では、定盤31の中央部にチャック32が設けられている。チャック32には、修正対象の液晶カラーフィルタ基板1が固定される。
【0046】
また、定盤31には、ガントリ型のXYステージ33が搭載されている。XYステージ33は、X軸ステージ33aと門型のY軸ステージ33bとを含む。Y軸ステージ33bは、チャック32を跨ぐように設けられ、図中のY軸方向に移動する。X軸ステージ33aは、Y軸ステージ33bに搭載され、図中のX方向に移動する。
【0047】
X軸ステージ33aには、上下方向に移動可能なZ軸ステージ34が搭載される。Z軸ステージ34には、観察光学系35、レーザ36、塗布ユニット37、および溶媒蒸気発生装置11が固定される。X軸ステージ33a、Y軸ステージ33b、およびZ軸ステージ34を制御することにより、観察光学系35、レーザ36、塗布ユニット37、および溶媒蒸気発生装置11の各々を基板1表面の所望の位置の上方に移動させることが可能となっている。
【0048】
観察光学系35は、対物レンズ21を含み、修正前後の白欠陥6aなどの観察に用いられる。レーザ36は、観察光学系35を介して基板1上の欠陥にレーザ光を照射し、レーザアブレーションによってその欠陥を矩形の白欠陥6aに変換する。塗布ユニット37は、XYZステージ、インクタンク、塗布針8などを含み、塗布針8の先端部に修正インク7を付着させ、塗布針8の先端を白欠陥6aに接触させて白欠陥6aに修正インク7を塗布する。溶媒蒸気発生装置11は、溶媒16の蒸気を含む気体をノズル20を介して、白欠陥6aに塗布された修正インク7に噴射し、修正インク7の粘度を低下させて修正インク7の厚みを均一化させる。
【0049】
このパターン修正装置30によれば、液晶カラーフィルタ基板1の画素6に発生した白欠陥6aにレーザ光を照射して矩形に整形し、その白欠陥6aに修正インク7を塗布し、その修正インク7に溶媒16の蒸気を含む気体を噴射してその厚みを均一にすることができる。したがって、塗りむらや色むらを生じることなく、白欠陥6aを修正することができ、修正部の品位の向上を図ることができる。
【0050】
なお、ノズル20と溶媒蒸気発生装置11の代わりに、図15で示した溶媒蒸気発生装置25を搭載してもよい。
【0051】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】この発明の一実施の形態によるパターン修正方法の修正対象である液晶カラーフィルタ基板の要部を示す図である。
【図2】図1に示した白欠陥を含む画素の断面図である。
【図3】図2に示した白欠陥に修正インクを塗布する工程を示す断面図である。
【図4】図1に示した白欠陥に修正インクを塗布した状態を示す図である。
【図5】白欠陥に塗布された修正インクの厚みを均一化させる工程を示す断面図である。
【図6】図5で示した工程によって厚みが均一化された修正インクを示す断面図である。
【図7】実施の形態の変更例を示す断面図である。
【図8】実施の形態の他の変更例を示す断面図である。
【図9】実施の形態のさらに他の変更例を示す断面図である。
【図10】実施の形態のさらに他の変更例を示す断面図である。
【図11】実施の形態のさらに他の変更例の修正対象である液晶カラーフィルタ基板の要部を示す図である。
【図12】図11で示した白欠陥に修正インクを塗布する方法を示す図である。
【図13】図12で示した方法で塗布した修正インクを示す断面図である。
【図14】厚みが均一化された修正インクを示す断面図である。
【図15】実施の形態のさらに他の変更例を示す断面図である。
【図16】図1〜図14で示したパターン修正方法を行なうためのパターン修正装置の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1 液晶カラーフィルタ基板、2 ガラス基板、3 ブラックマトリックス、4 R画素、5 G画素、6 B画素、6a 白欠陥、7 修正インク、8 塗布針、9 マイクロディスペンサ、10 気体供給源、11,25 溶媒蒸気発生装置、12 レギュレータ、13 電磁バルブ、14 タイマ、15 容器、16 溶媒、17 フィルタ、18,27 シート、19 配管、20 ノズル、21 対物レンズ、22 ヒータ、26 支持棒、30 パターン修正装置、31 定盤、32 チャック、33 XYステージ、33a X軸ステージ、33b Y軸ステージ、34 Z軸ステージ、35 観察光学系、36 レーザ、37 塗布ユニット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成されたパターンの欠陥部を修正するパターン修正方法であって、
前記欠陥部に修正液を塗布する第1のステップと、
前記欠陥部に塗布された前記修正液の厚みが均一になるように、前記修正液に溶媒の蒸気を吸収させて前記修正液の粘度を低下させる第2のステップとを含む、パターン修正方法。
【請求項2】
前記溶媒は、前記修正液に含有された溶媒と同じものである、請求項1に記載のパターン修正方法。
【請求項3】
前記修正液に前記溶媒の蒸気を吸収させて前記修正液の厚みを均一にするために必要な時間を予め求めておき、
前記第2のステップでは、予め求めた時間だけ前記修正液の溶媒を前記修正液に吸収させる、請求項1または請求項2に記載のパターン修正方法。
【請求項4】
前記第2のステップでは、前記欠陥部に塗布された前記修正液を観察しながら前記修正液に前記溶媒を吸収させ、前記修正液の表面が平坦化したことに応じて前記第2のステップを終了する、請求項1または請求項2に記載のパターン修正方法。
【請求項5】
前記第2のステップでは、前記欠陥部に塗布された前記修正液にノズルの先端を対峙させ、前記ノズルから前記溶媒の蒸気を含む気体を前記修正液に噴霧して、前記修正液に前記溶媒の蒸気を吸収させる、請求項1から請求項4までのいずれかに記載のパターン修正方法。
【請求項6】
前記ノズルは、前記基板に対して略垂直または斜めに配置される、請求項5に記載のパターン修正方法。
【請求項7】
前記ノズルは前記白欠陥の周囲に複数配置される、請求項5または請求項6に記載のパターン修正方法。
【請求項8】
前記第2のステップでは、前記溶媒が注入された容器内に気体を供給して、前記溶媒の蒸気を含む前記気体を生成する、請求項5から請求項7までのいずれかに記載のパターン修正方法。
【請求項9】
前記容器内の前記溶媒中に気体を供給して泡を発生させ、前記溶媒の蒸気の発生量を増やす、請求項8に記載のパターン修正方法。
【請求項10】
前記容器内をヒータで加熱して前記溶媒の蒸気の発生量を増やす、請求項8または請求項9に記載のパターン修正方法。
【請求項11】
前記第2のステップでは、前記欠陥部に塗布された前記修正液に対して、前記溶媒を吸収させたシートを近接させ、前記シートから前記溶媒の蒸気を前記修正液に供給する、請求項1から請求項4までのいずれかに記載のパターン修正方法。
【請求項12】
前記基板は透明基板であり、
前記パターンは複数の着色層を含むカラーフィルタであり、
前記欠陥部は前記着色層の白欠陥である、請求項1から請求項11までのいずれかに記載のパターン修正方法。
【請求項13】
基板上に形成されたパターンの欠陥部を修正するパターン修正装置であって、
前記欠陥部に修正液を塗布する塗布手段と、
前記欠陥部に塗布された前記修正液の厚みが均一になるように、前記修正液に溶媒の蒸気を吸収させて前記修正液の粘度を低下させる均一化手段とを備える、パターン修正装置。
【請求項14】
前記均一化手段は、
前記溶媒が注入された容器と、
前記容器内に気体を供給して前記溶媒の蒸気を含む前記気体を生成する気体供給手段と、
前記容器に接続され、前記溶媒の蒸気を含む前記気体を前記欠陥部に塗布された前記修正液に噴霧するノズルとを含む、請求項13に記載のパターン修正装置。
【請求項15】
前記均一化手段は、
前記溶媒を吸収したシートと、
前記欠陥部に塗布された前記修正液に前記シートを対峙させる保持部材とを含む、請求項13に記載のパターン修正装置。
【請求項1】
基板上に形成されたパターンの欠陥部を修正するパターン修正方法であって、
前記欠陥部に修正液を塗布する第1のステップと、
前記欠陥部に塗布された前記修正液の厚みが均一になるように、前記修正液に溶媒の蒸気を吸収させて前記修正液の粘度を低下させる第2のステップとを含む、パターン修正方法。
【請求項2】
前記溶媒は、前記修正液に含有された溶媒と同じものである、請求項1に記載のパターン修正方法。
【請求項3】
前記修正液に前記溶媒の蒸気を吸収させて前記修正液の厚みを均一にするために必要な時間を予め求めておき、
前記第2のステップでは、予め求めた時間だけ前記修正液の溶媒を前記修正液に吸収させる、請求項1または請求項2に記載のパターン修正方法。
【請求項4】
前記第2のステップでは、前記欠陥部に塗布された前記修正液を観察しながら前記修正液に前記溶媒を吸収させ、前記修正液の表面が平坦化したことに応じて前記第2のステップを終了する、請求項1または請求項2に記載のパターン修正方法。
【請求項5】
前記第2のステップでは、前記欠陥部に塗布された前記修正液にノズルの先端を対峙させ、前記ノズルから前記溶媒の蒸気を含む気体を前記修正液に噴霧して、前記修正液に前記溶媒の蒸気を吸収させる、請求項1から請求項4までのいずれかに記載のパターン修正方法。
【請求項6】
前記ノズルは、前記基板に対して略垂直または斜めに配置される、請求項5に記載のパターン修正方法。
【請求項7】
前記ノズルは前記白欠陥の周囲に複数配置される、請求項5または請求項6に記載のパターン修正方法。
【請求項8】
前記第2のステップでは、前記溶媒が注入された容器内に気体を供給して、前記溶媒の蒸気を含む前記気体を生成する、請求項5から請求項7までのいずれかに記載のパターン修正方法。
【請求項9】
前記容器内の前記溶媒中に気体を供給して泡を発生させ、前記溶媒の蒸気の発生量を増やす、請求項8に記載のパターン修正方法。
【請求項10】
前記容器内をヒータで加熱して前記溶媒の蒸気の発生量を増やす、請求項8または請求項9に記載のパターン修正方法。
【請求項11】
前記第2のステップでは、前記欠陥部に塗布された前記修正液に対して、前記溶媒を吸収させたシートを近接させ、前記シートから前記溶媒の蒸気を前記修正液に供給する、請求項1から請求項4までのいずれかに記載のパターン修正方法。
【請求項12】
前記基板は透明基板であり、
前記パターンは複数の着色層を含むカラーフィルタであり、
前記欠陥部は前記着色層の白欠陥である、請求項1から請求項11までのいずれかに記載のパターン修正方法。
【請求項13】
基板上に形成されたパターンの欠陥部を修正するパターン修正装置であって、
前記欠陥部に修正液を塗布する塗布手段と、
前記欠陥部に塗布された前記修正液の厚みが均一になるように、前記修正液に溶媒の蒸気を吸収させて前記修正液の粘度を低下させる均一化手段とを備える、パターン修正装置。
【請求項14】
前記均一化手段は、
前記溶媒が注入された容器と、
前記容器内に気体を供給して前記溶媒の蒸気を含む前記気体を生成する気体供給手段と、
前記容器に接続され、前記溶媒の蒸気を含む前記気体を前記欠陥部に塗布された前記修正液に噴霧するノズルとを含む、請求項13に記載のパターン修正装置。
【請求項15】
前記均一化手段は、
前記溶媒を吸収したシートと、
前記欠陥部に塗布された前記修正液に前記シートを対峙させる保持部材とを含む、請求項13に記載のパターン修正装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−113065(P2010−113065A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−284214(P2008−284214)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
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