説明

パターン形成方法

【課題】
基板上にパターンを高精度で形成することができるパターンの形成方法の提供にある。
【解決手段】
基板面に感光性樹脂層を設けた後、露光及び現像して基板面上に凹部を形成する工程(1)、
非接触ロール(R)を、基板面に対して水平にかつ(R)の回転軸に対して垂直方向に移動速度(i)(mm/秒)で直線移動させながら、(R)の回転軸より基板側の部分の回転方向が移動方向と逆となるようにして移動速度(i)よりも大きい周速度(v)(mm/秒)で回転させて、ペースト(P)を基板面に設けられた凹部に充填する工程(2)、並びに
充填したペースト(P)を硬化させる工程(3)
を含むことを特徴とするパターン形成方法を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパターン形成方法に関する。更に詳しくは回路基板やディスプレーパネルの製造において基板上にペーストを用いてパターンを形成するのに好適なパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上にパターンを形成する方法としては、スクリーン印刷を用いる方法(特許文献1)やオフセット印刷法を用いる方法(特許文献2)等が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−172169号公報
【特許文献2】特開2000−174485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のパターン形成方法であるスクリーン印刷法やオフセット印刷法はスクリーンメッシュ版や凹版ロールを介してペーストを印刷するため、基板上への転写量のばらつきや、硬化時のダレにより基板上に形成されるペーストの高さの精度が低く、特に高さ(t)と幅(d)の比(t/d)が1より大きいパターンを高精度で形成することが困難であった。本発明の目的は基板上にパターンを高精度で形成することができるパターンの形成方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果本発明に達した。すなわち本発明のパターン形成方法は、基板面に感光性樹脂層を設けた後、露光及び現像して基板面上に凹部を形成する工程(1)、
非接触ロール(R)を、基板面に対して水平方向にかつ(R)の回転軸に対して垂直方向に移動速度(i)(mm/秒)で直線移動させながら、(R)の回転軸より基板側の部分の回転方向が移動方向と逆となるようにして移動速度(i)よりも大きい周速度(v)(mm/秒)で(R)を回転させて、ペースト(P)を基板面に設けられた凹部に充填する工程(2)、並びに
充填したペースト(P)を硬化させる工程(3)
を含む点を要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のパターン形成方法は、基板上にパターンを高精度で形成することができる。すなわち、本発明のパターン形成方法は、基板へのペーストの転写量のばらつきや硬化時のダレが無く、パターン高さ(t)と幅(d)の比(t/d)が大きな(1を超える)場合であっても高精度でパターンを形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
<工程(1)について>
工程(1)は、公知の方法を適宜組み合わせて達成できる。たとえば、以下の通りである。
基板としてはパターンを形成するための基材であれば特に限定なく、プリント配線板用積層板{ガラス布基材エポキシ樹脂、ガラス布基材ポリイミド樹脂、ガラス布基材ビスマレイミド/トリアジン/エポキシ樹脂等(JIS C6480−1994「プリント配線板用銅張積層板通則」に準拠される基板等が含まれる)}、セラミック基板、ガラス基板、シリコンウェハー及びプラスチックシート等が適用できる。なお、基板には、貫通孔や有底孔が形成されていてもよい。
【0008】
基板面に感光性樹脂層を設けるために、感光性樹脂が用いられる。
この感光性樹脂としては、露光及び現像できる感光性樹脂であれば特に限定なく、溶剤現像型フォトレジスト{(メタ)アクリレートと光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物等}、アルカリ現像型液状フォトレジスト{カルボキシ基等を有する(メタ)アクリレートと光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物等}及びアルカリ現像型フィルム状フォトレジスト{アルカリ可溶性バインダー、(メタ)アクリレート及び光重合開始剤を含む感光性樹脂をフィルム状に成形したドライフィルム等}{たとえば、「フォトポリマーハンドブック」(フォトポリマー懇話会編1989年6月26日発行)等に記載されている。}等が使用できる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリ・・」とは、「アクリ・・」、「メタクリ・・」を意味する。
【0009】
基板面に感光性樹脂層を設けるには、感光性樹脂が液状である場合、ロールコート法、ディップ法、スピンコート法、スクリーン印刷法及びスプレーコート法{たとえば、「図解フォトファブリケーション」(総合電子出版社1986年7月10日発行)等に記載されている。}等が適用できる。
一方、感光性樹脂がフィルム状である場合、ラミネート法{たとえば、「多層プリント配線板製造方法」(日刊工業新聞社1993年5月31日発行)等に記載されている。}等が適用できる。
感光性樹脂に溶剤(水及び有機溶媒等)を含む場合、塗布、印刷又はラミネート等の後、溶剤を除去することが好ましい。
感光性樹脂層の厚みは、形成する目的のパターンの厚みと同じか、この厚みを超えることが好ましく、さらに好ましくは目的のパターンの厚みがt(mm)のとき1.0t〜1.2t程度、特に好ましくは1.0t〜1.1t程度である。
【0010】
感光性樹脂層の露光は、感光性樹脂がネガ型(露光した箇所が硬化する)の場合、感光性樹脂層上に目的のパターンの箇所が遮光されるようにしたフォトマスクを置き(接触又は非接触)、活性エネルギー線を照射することにより行われてもよいし{たとえば、「フォトポリマーハンドブック」(フォトポリマー懇話会編1989年6月26日発行)等に記載されている。}、または目的のパターンの箇所以外を活性エネルギー線で直接描写して露光してもよい(特許第3030102号公報等に記載された直描法)。
【0011】
一方、感光性樹脂がポジ型(露光した箇所が現像除去される)の場合、感光性樹脂層上に目的のパターンの箇所以外が遮光されるようにしたフォトマスクを置き(接触又は非接触)、活性エネルギー線を照射することにより行われてもよいし{「フォトポリマーハンドブック」(フォトポリマー懇話会編1989年6月26日発行)等に記載されている。}、目的のパターンの箇所を活性エネルギー線で直接描写して露光してもよい{たとえば、特開2000−56458号公報等に記載されている。}。
なお、活性エネルギー線としては、紫外線(波長14〜400nm)、可視光(波長400〜800nm)及び電子線等が使用される。
【0012】
現像は、通常の方法、たとえば、未露光部分(ネガ型の場合)又は露光部分(ポジ型の場合)の感光性樹脂を現像液により溶解除去(スプレー及び/又は浸漬等)することにより達成される。
現像液は特に限定されないが、炭化水素溶剤(トルエン及びキシレン等)、グリコールエーテル溶剤(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及びトリエチレングリコールジメチルエーテル等)、ケトン溶剤(メチルエチルケトン及びメチルイゾブチルケトン等)及び水溶液(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化アンモニウム等のアルカリ水溶液等)等が使用できる。
現像の後に水洗や乾燥することが好ましい。
【0013】
工程(1)で形成される凹部に、パターンが形成されることとなるため、この凹部の大きさは、パターンの大きさ(幅、厚み、長さ)によって決定される。
また、工程(1)の凹部の形成精度が、そのままパターンの形成精度に影響されるため、感光性樹脂層を精度良く設けることがパターンの精度を向上させることとなる。
また、感光性樹脂層(凹部を含む)は、パターンの形成後に除去してもよいし、そのまま残してもよい。
【0014】
<工程(2)について>
工程(2)は、非接触ロール(R)を、基板面に対して水平方向にかつ(R)の回転軸に対して垂直方向に移動速度(i)(mm/秒)で直線移動させながら、(R)の回転軸より基板側の部分の回転方向が移動方向と逆となるようにして移動速度(i)よりも大きい周速度(v)(mm/秒)で(R)を回転させて、ペースト(P)を基板面に設けられた凹部に充填する工程を含み、移動速度(i)と周速度(v)とが式(1)で表される関係であることが好ましく、さらに好ましくは式(2)を満たすことである。
ここで、非接触ロール(R)の直線移動は、非接触ロール(R)と基板とが相対的に直線移動すればよい。従って、停止している基板に対して非接触ロール(R)が移動してもよく、停止している(回転運動は行っている)非接触ロール(R)に対して基板が移動してもよい。
【0015】
【数1】

なお、tはの形成するパターンの厚み(mm)を表し、通常0.001〜1程度であり、好ましくは0.005〜0.5程度、さらに好ましくは0.01〜0.1程度である。
また、dは形成するパターンの最小幅(mm)を表し、通常0.1t〜10t程度であり、好ましくは0.2t〜5t程度、さらに好ましくは0.3t〜2t程度である。
【0016】
移動速度(i)と周速度(v)との関係が上記であると、ペースト(P)の未充填やボイドの巻き込み等がさらに抑制され、さらに高精度のパターンを形成することができる。すなわち、パターンの厚み(t)とパターンの最小幅(d)との比(t/d)が大きくなるほど、凹部に充填されにくくなるため、周速度(v)を大きくして充填力を高めることが好ましい。一方、周速度(v)を大きくしすぎると、未充填やボイドの巻き込み等の原因となりやすいため、周速度(v)を小さくすることが好ましい。この相反する事項を解決するため、移動速度(i)と周速度(v)との関係は、周速度(v)が移動速度(i)よりも大きいことが好ましく、さらに好ましくは式(1)を満たすこと、特に好ましくは式(2)を満たすこととなる。
【0017】
非接触ロール(R)は、非接触ロール(R)の回転軸を基板面に対して水平方向に保ちつつ直線移動できればその速度に制限はないが、非接触ロール(R)の直線移動速度(i)(mm/秒)は、5〜100が好ましく、さらに好ましくは10〜70、特に好ましくは20〜50である。この範囲であると、未充填やボイドの巻き込みの発生がさらに抑制できる。
【0018】
非接触ロール(R)の移動方向は、(R)の回転軸に対して垂直方向であるが、移動方向と回転軸との角度は、厳密に90°だけではなく、60〜120°を含むものである。
非接触ロール(R)の回転方向は、回転軸より基板側の部分の回転方向が移動方向と逆となる方向、すなわち、直線移動方向に非接触ロール(R)が転がるように回転する方向である。この反対方向(回転軸より基板側の部分の回転方向が移動方向と同じとなる方向、すなわち、非接触ロール(R)が、直線移動方向と逆方向に非接触ロール(R)が転がるように回転する方向)に回転すると、本発明の目的を達成し得ない。
【0019】
非接触ロール(R)の周速度(v)(mm/秒)は、{ロールの角速度(ω)}×{(ロールの半径(r)}で表され、式(1)を満たす範囲が好ましく、さらに好ましくは式(2)を満たす範囲である。なお、直径50mmのロールが毎秒1回転する場合の周速度は25mm×6.28rad/秒=157mm/秒となる。
【0020】
非接触ロール(R)には、ドクター{ペースト(P)掻き取り用スキージー}を配していることが好ましい。ドクターは、非接触ロール(R)の移動方向とは反対側に、非接触ロール(R)と近接又は接触するように配され、非接触ロール(R)と共に直線移動するものである。また、ドクターの先端部分の移動方向側には、基板に対して10〜30°の角度をもつ平面を有することが好ましく、この角度は約15°であることがさらに好ましい(図1及び2参照)。
ドクターの存在により、凹部の未充填やボイドの巻き込みがさらに減少する。すなわち、ドクターは非接触ロール(R)の回転により集められるペースト(P)を(R)と共に移動方向に移動させる働きがある{基板面にペースト(P)を残さない}。さらに、ドクターと非接触ロール(R)と基板との間に掻き集められるペースト(P)に加圧状態にする働きがある{非接触ロール(R)の回転により加圧され、この加圧状態により、ペースト(P)を凹部に押し込む作用が発生する}。ドクターを配する場合、ドクターと非接触ロール(R)と基板との間に密閉空間が形成されるように、「ドクターと非接触ロール(R)と基板と」の両末端に、ガード(堰板)(たとえば、図9及び10)を配することが好ましい。このガードは、非接触ロール(R)及びドクターと共に直線移動する。
【0021】
感光性樹脂層と非接触回転ロール表面との最短間隔(mm)は、充填性の観点等から、0.1〜5が好ましく、さらに好ましくは0.3〜3、特に好ましくは0.5〜1.5である。この範囲であると、未充填やボイドの巻き込みの発生がさらに抑制され、さらに高精度のパターンが形成できる。
【0022】
工程(2)は、充填性の観点等から、10〜10000Paの圧力下で充填する工程(21)、及び工程(21)の後に実施され大気圧下で充填する工程(22)を含んで構成されることが好ましく、さらに好ましくは工程(21)と工程(22)との間に、ペースト(P)の仮硬化工程(23)を含むことである。
充填工程(21)の雰囲気圧力(Pa)は、充填性の観点等から、10〜10000が好ましく、さらに好ましくは50〜5000、特に好ましくは100〜1000である。この範囲であると、未充填やボイドの巻き込みの発生がさらに抑制される。また、充填工程(21)で充填された樹脂ペーストは大気圧に戻した際に、体積減少により凹みが発生する場合があり、この凹み部分を充填するために、大気圧下で充填する工程(22)を設けることが好ましいのである。また、仮硬化工程(23)は硬化収縮による凹みの発生をさらに防止できるため好ましいのである。
なお、ペースト(P)が溶剤等の揮発成分の含有量がペースト(P)の重量に基づいて10重量%を超える場合、工程(2)を大気圧下で行うことが好ましい。
仮硬化工程(23)は、ペースト(P)が熱硬化性樹脂の場合は加熱処理、活性エネルギー線硬化型樹脂の場合は紫外線等の活性エネルギー線の照射処理、熱可塑性樹脂の場合は冷却処理及び/又は乾燥処理を行えばよい。
【0023】
工程(21)及び(22)は未充填や充填不足を防止するため、複数回繰り返してもよい。例えば150Paの雰囲気下で2回の充填工程(21)を実施した後に、大気圧に戻してから、工程(22)を1回実施してもよい。
【0024】
ペースト(P)としてはパターンを形成するためのペーストであれば制限がなく、導電性ペースト、誘電体ペースト及び絶縁ペースト等が含まれる。
ペースト(P)の貯蔵弾性率(G’)(単位:Pa)は、充填性(充填しやすさ)の観点等から、10〜10000が好ましく、さらに好ましくは20〜5000、特に好ましくは50〜3000である。
この範囲であると、未充填やボイドの巻き込みの発生がさらに抑制でき、さらに高精度のパターンが形成できる。
【0025】
貯蔵弾性率(G’)(単位:Pa)は、「レオロジー工学とその応用技術」(株)フジ・テクノシステム、2001年1月12日 初版第1刷発行、第204〜206頁に記載の応力制御方式で測定可能な粘弾性測定装置(例えば、HAAKE社製レオストレスRS75)を用いて充填時と同じ温度で測定した値であり、次のようにして求められる。
測定治具{上部コーン型円盤と下部平面円盤(図3参照、図3中の矢印は正弦振動の方向を示す)との間}に測定サンプルを挟み込み、上部コーン型円盤の上面に対して垂直な中心軸を軸として角速度(ω)(単位:rad/秒)を変化させながら正弦振動させることにより、測定サンプルに応力(σ)(単位:Pa)をかけて、その結果発生するひずみ(ε)(単位:rad)と位相角(δ)(単位:rad)とを測定する。
そして、JIS K7244−1−1998「プラスチック−動的機械特性の試験方法 第1部:通則」に準拠して、応力(σ)とひずみ(ε)との比(σ/ε)から複素弾性率(G*=σ/ε)(単位:Pa)を算出した後、複素弾性率(G*)の実数部分として、式{G’=G*×cosδ}から貯蔵弾性率(G’)を算出する。
算出結果をプロットして得られる「角速度−貯蔵弾性率曲線」から、充填時に使用する非接触ロール(R)の周速度(v)に対応する角速度(ω)での貯蔵弾性率を読み取る。なお、周速度(v)と角速度(ω)は次の式により変換する。
角速度(ω)=周速度(v)/ロール(R)の半径(r)
【0026】
以下に測定条件を示す。
測定装置:動的粘弾性測定装置(たとえば、HAAKE社製レオストレスRS75)
測定治具:直径20mmアルミニウム製円盤(上部コーン型円盤角度2度)
サンプル量:0.5mL
回転ずり応力:10Pa
測定温度:充填時と同じ温度(通常20〜30℃)
角速度:0.628〜628rad/秒
【0027】
ペースト(P)は、フィラー(F)と硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂との混合物等が使用される。
フィラー(F)としては、公知の無機フィラー及び有機フィラーが使用できる。
無機フィラーとしては、酸化物{シリカ(酸化ケイ素)、チタニア(酸化チタン)、アルミナ(酸化アルミニウム)、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、チタン酸バリウム、ガラス等}、炭酸塩{炭酸カルシウム等}、金属{銅、銀、金、タングステン、はんだ、鉄、ニッケル及びこれらの複合体(これらの混合成形体及び固溶体等を含む)等}が挙げられる。これらのうちシリカ、アルミナ、ガラス、銅及び銀が好ましい。
有機フィラーとしては、アクリル樹脂粉、エポキシ樹脂粉、フッ素樹脂粉、ポリエーテルスルフォン樹脂粉、シリコーン樹脂粉及びナイロン樹脂粉等が挙げられる。これらのうち、アクリル樹脂粉が好ましい。
【0028】
フィラー(F)の含有量(重量%)は、熱膨張係数やパターンの性能(抵抗率や誘電率等)の観点等から、フィラー(F)、硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の合計重量に基づいて、30〜95が好ましく、さらに好ましくは50〜90、特に好ましくは60〜85である。この範囲であると、凹部の未充填やボイドの発生がさらに抑制される。
フィラー(F)の体積平均粒子径(μm)は、0.1〜30が好ましく、さらに好ましくは0.5〜20、特に好ましくは1.0〜10である。この範囲であると、凹部の未充填やボイドの発生がさらに抑制される。
なお、体積平均粒子径は、JIS Z8825−1−2001「粒子径解析−レーザー回折法」に準拠した測定原理を有するレーザー回折式粒度分布測定装置(例えば島津製作所製 商品名SALD−1100型等)で測定される。
【0029】
フィラー(F)の形状は、球状、涙滴状、角状、樹枝状、片状、粒状、不規則形状、針状、繊維状(JIS Z2500:2000「粉末や金用語」4.用語および定義、4)粉末の粒子形状)等のいずれでもよいが、凹部の充填性の観点等から、球状、涙滴状、片状及び粒状が好ましく、さらに好ましくは球状である。
【0030】
フィラー(F)は単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。例えば、球状のシリカと球状の銅粉と粒状の炭酸カルシウムとの組み合わせ等である。
【0031】
硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂及び活性エネルギー線硬化性樹脂等が含まれる。
熱硬化性樹脂としては、特開2004−149758号公報に記載されたエポキシ樹脂やポリイミド樹脂等が使用できる。
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、特開2004−149758号公報に記載のエポキシ樹脂や、2001−330951号公報に記載された重合性二重結合を有する化合物及び光ラジカル発生剤からなる組成物等が使用できる。
【0032】
熱硬化性樹脂のうち、液状エポキシ樹脂(液状エポキシド及びび硬化剤から構成される)が好ましい。
液状エポキシドは25℃で液状であるエポキシドを意味するが、25℃で固状であるエポキシドを液状であるエポキシドと共に用いて全体として液状となるものも含まれる。液状エポキシドのうち、ビスフェノールF型エポキシド、ビスフェノールA型エポキシド及びグリシジルアミン型エポキシドが好ましく、さらに好ましくはビスフェノールF型エポキシド及びビスフェノールA型エポキシド、特に好ましくはビスフェノールF型エポキシドである。これらの液状エポキシドは1種又は2種以上の混合物でもよい。
硬化剤のうち、フェノール化合物、有機酸無水物及びアミン化合物、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物、有機酸ヒドラジド化合物及び固体分散型アミンアダクト(潜在性硬化剤)が好ましく、さらに好ましくはフェノール化合物、有機酸無水物、イミダゾール化合物である。これら硬化剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
活性エネルギー線硬化性樹脂としては重合性二重結合を有する化合物及び光ラジカル発生剤からなる組成物が好ましい。
重合性二重結合を有する化合物のうち、多価アルコール又は多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と(メタ)アクリル酸とのエステル{ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等}、ウレタン(メタ)アクリレート{多価イソシアネートと活性水素基(ヒドロキシ基、カルボキシ基及びアミノ基等)を有する(メタ)アクリレートとの反応物}及びエポキシ(メタ)アクリレート{多官能エポキシドと(メタ)アクリル酸との反応物:ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート及びフェノールノボラック(メタ)アクリレート等}が好ましく、さらに好ましくは多価アルコール又は多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と(メタ)アクリル酸とのエステルである。
これらの重合性二重結合を有する化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0034】
光ラジカル発生剤としては、ジフェニル−(2,4,6−トリエチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ジメチルヒドロキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン及び2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン等が好ましい。これらの光ラジカル発生剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0035】
これら硬化性樹脂は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
硬化性樹脂を用いる場合、硬化性樹脂の含有量(重量%)は、フィラー(F)の重量に基づいて、5〜233が好ましく、さらに好ましくは11〜100、特に好ましくは18〜67である。この範囲であると、凹部の未充填やボイドの発生がさらに抑制される。
【0036】
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチルセルロース、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート及びロジン等が使用できる。
熱可塑性樹脂は溶剤に溶解して液状として使用するか、あるいは充填の際に、その融点以上の温度で溶融液状化し、充填後に室温(25℃程度)に戻すことにより、固状とするものである。
したがって、後者の場合、この融点が高すぎると樹脂の劣化や装置の耐熱性等の問題が懸念されるため、熱可塑性樹脂の融点(℃)は、100〜250が好ましく、さらに好ましくは120〜200、特に好ましくは140〜180である。一方、前者の場合、熱可塑性樹脂の融点に制限はなく、高融点のものも使用できる。なお、前者の場合、熱可塑性樹脂を溶剤に溶解して液状化して、凹部に充填後、溶剤を留去することにより硬化(固化)させる。
【0037】
熱可塑性樹脂を用いる場合、熱可塑性樹脂の含有量(重量%)は、フィラー(F)の重量に基づいて、5〜233が好ましく、さらに好ましくは11〜100、特に好ましくは18〜67である。この範囲であると、凹部の未充填やボイドの発生がさらに抑制される。
【0038】
硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂を用いる場合、硬化性樹脂の含有量(重量%)は、硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の合計重量に基づいて、40〜99が好ましく、さらに好ましくは50〜95、特に好ましくは60〜90である。この範囲であると、凹部の未充填やボイドの発生がさらに抑制される。また、この場合、熱可塑性樹脂の含有量(重量%)は、硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の合計重量に基づいて、1〜60が好ましく、さらに好ましくは5〜50、特に好ましくは10〜40である。この範囲であると、凹部の未充填やボイドの発生がさらに抑制される。
【0039】
ペースト(P)には、さらに通常使用される添加剤{消泡剤、分散剤、有機・無機着色剤、難燃剤及び/又は揺変剤}を添加してもよい。消泡剤を添加する場合、この含有量(重量%)は、フィラー(F)、硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の合計重量に基づいて、0.05〜5が好ましく、さらに好ましくは0.5〜3、特に好ましくは1〜2である。分散剤を添加する場合、この含有量(重量%)はフィラー(F)、硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の合計重量に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.03〜2、特に好ましくは0.05〜1である。有機・無機着色剤を添加する場合、この含有量(重量%)は、フィラー(F)、硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の合計重量に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.03〜2、特に好ましくは0.05〜1である。難燃剤を添加する場合、この含有量(重量%)は、フィラー(F)、硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の合計重量に基づいて、0.5〜10が好ましく、さらに好ましくは0.8〜8、特に好ましくは1〜5である。揺変剤を添加する場合、この含有量(重量%)は、フィラー(F)、硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の合計重量に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.03〜2、特に好ましくは0.05〜1である。
【0040】
ペースト(P)には溶剤を含んでもよいが、充填時に真空にする場合はボイド発生を防ぐために充填時の真空度及び温度における(P)に含まれる揮発成分(溶剤等)は10重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは5重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。なお、揮発成分はJIS K0067−1992「化学製品の減量及び残分試験方法」4.1.4(1)第1法 大気圧下で加熱乾燥する方法(105±2℃、2時間)に準拠して測定される。このような溶剤としては、水及び有機溶剤等が含まれる。
有機溶剤としては、炭化水素溶剤(トルエン及びキシレン等)、グリコールエーテル溶剤(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及びトリエチレングリコールジメチルエーテル等)及びケトン溶剤(メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)等が使用できる。
溶剤を含有させる場合、溶剤の含有量(重量%)は、フィラー(F)、硬化性樹脂及び可塑性樹脂の合計重量に基づいて、0.1〜10が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5、特に好ましくは0.1〜1である。
【0041】
ペースト(P)の貯蔵弾性率(G’)は、フィラー(F)の含有量、体積平均粒子径及び/又は形状等で調整できるが、硬化性樹脂、添加剤(特に揺変剤)及び/又は溶剤の種類や含有量等によっても調整できる。
【0042】
ペースト(P)は市場から入手でき、サンノプコ株式会社製のノプコキュアSVC−710(熱硬化性穴埋め樹脂ペースト)、ノプコキュアSVC−720(熱硬化性銅ペースト);有限会社ワイズテクノインク製のYSM2002(穴埋め兼ソルダーレジスト);タツタシステムエレクトロニクス社製AE1650(熱硬化性導電性ペースト);旭硝子社製のYPT340(誘電体ガラスペースト);株式会社ノリタケ社製NP−4732(焼成型導電性銀ペースト);及びタムラ化研社製LF101−15(はんだペースト)等が挙げられる。
【0043】
<充填したペースト(P)を硬化させる工程(3)について>
工程(3)は、加熱処理工程(31){ペースト(P)が熱硬化性樹脂の場合}、活性エネルギー線の照射処理工程(32){活性エネルギー線硬化型樹脂の場合}、及び冷却処理又は溶剤乾燥の工程(33){熱可塑性樹脂の場合}等により達成される。なお、基板が耐熱性の高い材料でできている場合{さらにペースト(P)中に金属や金属酸化物等を含む場合}、焼成処理{焼成工程(34)}してもよい。
【0044】
加熱処理工程(31)では、循風式加熱炉、遠赤外線加熱炉又はホットプレート等で80〜300℃で処理して、熱硬化性樹脂を硬化させることができる。
照射処理工程(32)では、活性エネルギー線として、紫外線(波長14〜400nm)、可視光(波長400〜800nm)又は電子線等を照射して、活性エネルギー硬化型樹脂を硬化させることができる。
冷却処理又は溶剤乾燥の工程(33)では、溶融状態にある熱可塑性樹脂を融点以下の温度まで冷却して固形化させるか、溶剤に溶解して液状状態にあるペースト中の溶剤を50〜150℃の温度で揮発させて、固形状態(固化)にすることができる。
焼成工程(34)では、200〜1000℃の高温でペースト中の樹脂成分を揮発または分解させるとともに無機フィラーを融着させて、硬化させることができる。
これらの工程(31)〜(34)は必要に応じて組み合わせて実施してもよい。
【0045】
工程(3)の後、感光性樹脂表面上に残った硬化済み樹脂の薄膜状残渣を研磨して取り除いて平坦化する平坦化工程を設けてもよい。研磨工程は不繊布ロールバフ等を用いて行うことができる。
工程(3)の後、再度工程(2)を行い、凹部にペーストの充填を行ってもよい。第1回目の工程(2)で感光性樹脂で形成した凹部の深さに対して完全に充填されない場合、第2回目以降で完全に充填できるため、好ましい場合がある。第2回目の工程(2)は第1回目に使用したのとは別種類のペーストを用いて充填してもよい。
【0046】
<感光性樹脂を除去する工程(4)について>
本発明のパターン形成方法には、工程(3)の後に、感光性樹脂を除去する工程(4)を含むことが好ましい。
なお、工程(3)に焼成工程(34)を含む場合、工程(4)は不必要である。すなわち、本発明のパターン形成方法には、工程(3)の後に、感光性樹脂を除去する工程(4)を含む、又は工程(3)に焼成工程(34)を含むことが好ましい。
感光性樹脂の除去は、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−プチロラクトン、水酸化ナトリウム水溶液又はジエタノールアミン水溶液等の剥離液への浸漬やスプレー法により行うことができ、又は基板が不燃性である場合は焼成より除去してもよい。
感光性樹脂が基板上に残っても問題がない場合、あるいはそのまま保護膜として使用する場合、工程(4)は必要ない。
工程(4)の後に、ペーストを完全硬化される必要がある場合は更に、後硬化工程(5)を実施してもよい。工程(4)を実施しない場合、工程(5)は工程(3)の後、あるいは平坦化工程後に実施すればよい。
【0047】
本発明のパターン形成方法を適用することにより、ペースト(P)として導電性ペーストを用い、基板にパターン(導電回路パターン)を形成して、回路基板等を製造できる。
また、ペースト(P)として導電性ペーストを用い、基板に電極や電磁波シールドを形成して、ディスプレーパネル等を製造できる。
また、ペースト(P)としてガラスペーストを用い、パターン(リブ又は隔壁パターン)を形成してディスプイレーパネルを製造できる。
さらに、本発明のパターン形成方法を用いて製造された回路基板及び/又はディスプレーパネルを内蔵させて、電子機器(携帯電話、ラジオ、テレビ、パーソナルコンピューター、汎用コンピューター、ファクシミリ、複写機、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゲーム機、電話交換機及びカーナビゲーションシステム等)を製造できる。
【実施例】
【0048】
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
実施例では、以下に示す充填装置、ペースト及び基板を用いた。
<充填装置(図4〜6を参照)>
充填装置は、真空チャンバー(3)内に、基板固定台(4)、ドクター(6)、非接触ロール(7)及びガード(14)を配している。ドクター(6)、非接触ロール(7)及びガード(14)は一体になって、基板面に対して水平方向にかつ非接触ロール(7)の回転軸に対して垂直方向に移動速度(i)(mm/秒)で直線移動できるようになっている。
ドクター(6)は、基板の凹部にペースト(8)が充填された後に基板上に残る過剰のペーストをかきとることができるようになっている。真空チャンバー内は、減圧にすることができる。
また、非接触ロール(7)は、非接触ロール(7)の回転軸より基板側の部分の回転方向がドクター(6)及び非接触ロール(7)の移動方向とは逆となるようにして、周速度(v)(mm/秒)で回転できるようになっている。また、非接触ロール(7)と感光性樹脂層表面との間隔は、任意に設定出来るようになっている。
なお、非接触ロール(7)の表面材質はステンレス製であり、この大きさは直径50mm、長さ550mmである。また、ドクター(6)は硬度70度のウレタン樹脂製であり、幅70mm、厚み20mm、長さ510mmであり、この先端は図1の形状を持つ。
ガード(14)は、ドクター(6)及び非接触ロール(7)の両末端部からペースト(P)がはみ出すの防止できるようになっている。ガード(14)は、ポリアセタール製板(高さ80mm、幅100mm、厚さ20mm)の中央部に直径51mmの貫通孔を設けたものである{貫通孔は非接触ロール(7)と基板固定台(4)との間が0.1mmとなる位置に存在する}。そして、この穴に、非接触ロール(7)の末端部がはめ込まれるようになっている。また、ガード(14)は、基板固定台(4)の上面、及びドクター(6)の両末端部と接するようになっている。
【0049】
<ペースト>
表1に示した組成及び使用量(重量部)で、プラネタリーミキサー(商品名「PLM−50」、株式会社井上製作所製、公転回転数:20rpm、温度:22℃、時間:20分間)でプレミックスした後、3本ロール(商品名「HHC−178X356」、株式会社井上製作所製、ロール間の圧力:3MPa、温度:22℃、パス回数:2回)で混練することにより、ペーストP1〜P8を得た。
ペーストP1〜P8の貯蔵弾性率(G’)を粘弾性測定装置(HAAKE社製レオストレスRS75)を用いて、摂氏23度(充填作業温度)で測定して、「角速度−貯蔵弾性率曲線」を得た。次いで、充填時に使用する非接触ロール(7)の周速度に対応する角速度(表3〜6:0.628、3.14、6.28、31.4、62.8)における貯蔵弾性率を読みとり、表1に示した。
【0050】
【表1】

【0051】
ガラス粉A:旭硝子(株)製 ASF110(体積平均粒子径6μm)
ガラス粉B:旭硝子(株)製 ASF1340(体積平均粒子径1.2μm)
銅粉 :福田金属箔粉(株)製 SRC−Cu15(体積平均粒子径12μm球状銅粉)
銀粉 :福田金属箔粉(株)製 体積平均粒子径4μmの球状銀粉(50重量%)と体積平均粒子径3μmのフレーク状銀粉(50重量%)との混合物
エピコート807:ビスフェノールF型エポキシド{ジャパンエポキシレジン(株)製 エピコート807}
硬化剤:四国化成(株)製イミダゾール 2MZ−A(2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン)
DPE−6:ジペンタエリストールヘキサアクリレート{共栄社(株)製 DPE−6A}
光ラジカル発生剤:チバスペシャリティーケミカルス(株)製 イルガキュア184
消泡剤:信越化学(株)製 KF6001(カルビノール変性シリコーン)
揺変剤:楠本化成(株)製 ディスパロン3900(ポリアマイド)
熱可塑性樹脂:エチルセルロースの酢酸ブチルセロソルブ溶液(40重量%)
【0052】
<基板>
使用した基板の材質、大きさ、厚みを表2に示した。
【0053】
【表2】

【0054】
<実施例1>
図4〜7を参照して実施例を説明する。
工程(1)
(a)感光性樹脂層形成[図7(a)]
基板(5){基板K1}に、感光性樹脂{膜厚40μmのドライフィルム型フォトレジスト「ノプコキュアF−1540(サンノプコ株式会社製)」}をラミネートし、感光性樹脂層を形成した。
(b)露光[図7(b)、矢印は紫外線の照射方向を示す。]
パターン形成部分を遮光したフォトマスク(12)を介し紫外線(3kwの超高圧水銀灯)を照射(500mJ)した。
(c)現像{図7(c)}
30℃に温度調整したグリコールエーテル系現像液「SNソルバー861(サンノプコ株式会社製)」を圧力0.2MPaで90秒間、スプレーして未露光部分を現像(溶出処理)して、基板上の感光性樹脂層に凹部(11)を形成した。この時の凹部の高さは40μm、最小幅は20μmであった{この値を他の実施例と併せて表3に示した。}。
【0055】
工程(2)
(d)充填{図4〜6、7(d)}
23±2℃の温度調整された室内で、以下の操作を行った。
凹部(11)を形成した基板(5)を充填装置の基板固定台(4){基板固定台(4)の窪みは基板厚みと感光性樹脂層厚み合計と同じ深さを有する。}にはめ込むことにより固定した。次いで、ペーストP1を基板の端部に載せ、真空チャンバー(3)内を150Paまで減圧にした後、非接触ロール(7)の移動速度を20.0mm/秒、同じく周速度を78.5mm/秒、非接触ロールと感光性樹脂層との間隔0.5mm、ドクターと感光性樹脂層との角度15度とし、凹部(11)にペーストP1を充填した。
充填終了後、真空チャンバー(3)内の圧力を大気圧に戻した後、大気圧下としてこと及びドクターと感光性樹脂層との角度15度を40度に変更したこと以外、上記と同じ条件(移動速度、周速度、非接触ロールと感光性樹脂層との間隔)で、充填工程を行い充填基板を得た。
【0056】
工程(3)
(e)硬化{図7(e)}
充填基板を130℃の循風式乾燥機で30分間加熱することにより、硬化基板を得た。
【0057】
工程(4)
(f)感光性樹脂層除去{図7(f)}
硬化基板に40℃のN−メチルピロリドンを圧力0.3MPaで3分間スプレーすることにより感光性樹脂層を剥離した後、20℃の脱イオン水を圧力0.1MPaで1分間スプレーして水洗し、循風式乾燥機で80℃で30分乾燥してパターン形成基板1を得た。
そして、形成されたパターンについて、無作為に各100箇所を選択し、次のようにして不良発生数を評価した。
【0058】
<充填不良発生数>
卓上ハンドカッター(商品名「ハンドカッターPC−300」サンハヤト株式会社製)を用いてパターン形成基板を基板面に対して垂直に切断し、研磨/琢磨機(商品名「Struers Planopol−3」、丸本工業株式会社製)を用いて切断面を研磨してパターン断面を整面した。そして、このパターン断面を顕微鏡(倍率100倍)で観察し、パターン高さ、パターン幅、パターン中のボイド数を計測した。そして、次の基準により精度を評価した。これらの結果を表3に示した。
○ 精度良好(パターン高さ及びパターン幅の設計値に対するズレが5%未満であった。)
× 精度不良(パターン高さ及びパターン幅の設計値に対するズレが5%以上であった。
【0059】
<実施例2〜45>
基板K1、ペーストP1、真空チャンバー内の圧力150Pa及び大気圧、移動速度20.0mm/秒、周速度78.5mm/秒、非接触ロールと基板との間隔0.5mmを、表3に記載した内容に変更した以外は実施例1と同様にして、樹脂充填基板2〜45(パターン形成基板2〜45)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した精度及びボイド数を表3に示した。
【0060】
【表3】

【0061】
<実施例46〜57>
基板K1、ペーストP1、真空チャンバー内の圧力150Pa及び大気圧、移動速度20.0mm/秒、周速度78.5mm/秒、非接触ロールと基板との間隔0.5mmを、表4に記載した内容に変更し、工程(3)を次のように変更した以外は実施例1と同様にして、樹脂充填基板46〜57(パターン形成基板46〜57)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した精度及びボイド数を表4に示した。
工程(3)
(e)硬化{図7(e)}
充填基板(ペーストP1を充填した面)に1J/cm2の紫外線(160wメタルハライドランプ)を照射することにより、硬化基板を得た。
【0062】
【表4】

【0063】
<実施例58〜63>
基板K1、ペーストP1、真空チャンバー内の圧力150Pa及び大気圧、移動速度20.0mm/秒、周速度78.5mm/秒、非接触ロールと基板との間隔0.5mmを、表5に記載した内容に変更し、工程(3)を次のように変更した以外は実施例1と同様にして、樹脂充填基板58〜63(パターン形成基板58〜63)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した精度及びボイド数を表4に示した。
工程(3)
(e)硬化{図7(e)}及び(f)感光性樹脂層除去{図7(f)}
充填基板を、80℃の循風式乾燥機で30分間加熱した後、550℃の電気炉中で焼成して、樹脂ペーストを硬化するとともに、感光性樹脂層を除去して、硬化基板を得た。
【0064】
【表5】

【0065】
<比較例1〜7>
基板K1、ペーストP1、真空チャンバー内の圧力150Pa及び大気圧、移動速度20.0mm/秒、周速度78.5mm/秒、非接触ロールと基板との間隔0.5mmを、表6に記載した内容に変更した以外は実施例1と同様にして、比較樹脂充填基板1〜7を得た。なお、移動速度(i)と周速度(v)とは、表6の通り等しい値である。
【0066】
【表6】

【0067】
<比較例8−19>
スクリーン印刷装置{東海精機株式会社製スクリーン印刷装置「SSA−PC660」}を用い、スキージーの移動速度20mm/秒、スキージー印圧3MPa、スキージ角度15度で、表7に示す厚み(ターン高さtに相当)及び最小幅(パターン幅dに相当)の開口部を有するメタルマスク版を通してスクリーン印刷によりペーストを充填して、比較樹脂充填基板8〜19を得た。
そして、実施例1と同様にして評価した精度及びボイド数を表7に示した。
【0068】
【表7】

【0069】
本発明のパターン形成方法は、比較例に比較して、パターンの精度及びボイド数の点で著しく優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明のパターン形成法は回路基板やディスプレーのパターン形成に使用できる。これ以外に、金属、ガラス、プラスチック等で製造された板状の表面にパターンを形成する方法に使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】ドクターの先端の先端形状の一例を模式的に示した断面図である。
【図2】ドクターの先端の先端形状の一例を模式的に示した断面図である。
【図3】貯蔵弾性率(G’)を測定するための粘弾性測定装置のうち、上部コーン型円盤及び下部平面円盤の構成部分を模式的に示した断面図である。
【図4】実施例において、本発明のパターン形成方法を適用している様子のうち、充填工程(2)の開始時の状態を模式的に示した垂直断面図である。
【図5】実施例において、本発明のパターン形成方法を適用している様子のうち、充填工程(2)の充填中の状態を模式的に示した垂直断面図である。
【図6】実施例において、本発明のパターン形成方法を適用している様子のうち、充填工程(2)の充填終了時の状態を模式的に示した垂直断面図である。
【図7】実施例の各工程において、パターンが形成されていく様子を模式的に示した垂直断面図である。
【図8】実施例において得たパターン形成基板を模式的に示した斜視図である。
【図9】ガード(14)を模式的に示した斜視図である。
【図10】ドクター(6)、非接触ロール(7)及びガード(14)の位置関係を概念的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0072】
1.上部コーン型円盤
2.下部平面円盤
3.真空チャンバー
4.基板固定台
5.基板
6.ドクター
7.非接触ロール(R)
8.ペースト(P)
9.非接触ロール(R)の回転軸
10.感光性樹脂層
11.感光性樹脂層に形成された凹部
12.フォトマスク
13.パターン
14.ガード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板面に感光性樹脂層を設けた後、露光及び現像して基板面上に凹部を形成する工程(1)、
非接触ロール(R)を、基板面に対して水平方向にかつ(R)の回転軸に対して垂直方向に移動速度(i)(mm/秒)で直線移動させながら、(R)の回転軸より基板側の部分の回転方向が移動方向と逆となるようにして移動速度(i)よりも大きい周速度(v)(mm/秒)で(R)を回転させて、ペースト(P)を基板面に設けられた凹部に充填する工程(2)、並びに
充填したペースト(P)を硬化させる工程(3)
を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
移動速度(i)と周速度(v)が式1に表される関係にある請求項1に記載のパターン形成方法。
【数1】

tはの形成するパターン高さ(mm)、dは形成するパターン最小幅(mm)を表す。
【請求項3】
感光性樹脂層と非接触ロール(R)との最短間隔が0.1〜5mmである請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
工程(3)の後に、感光性樹脂を除去する工程(4)を含む、又は工程(3)に焼成工程(34)を含む請求項1〜3のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項5】
ペースト(P)の貯蔵弾性率(G’)が10〜10000Paである請求項1〜4いずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のパターン形成方法を用いることを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載のパターン形成方法を用いることを特徴とするディスプレーパネルの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載のパターン形成方法を用いて製造された回路基板及び/又はディスプレーパネルを内蔵する電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−303450(P2006−303450A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−44355(P2006−44355)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】