説明

パターン構造物の製造方法、パターン構造物付き基板及び液晶表示装置

【課題】高さの異なるパターン構造物を簡易な方法で効率よく作製できるパターン構造物の製造方法を提供する。
【解決手段】基板10上の下地膜12上に、感光性樹脂層を形成し、パターン露光し、現像して、基板表面から頂点までの高さが異なる2種以上のパターン構造物14A及び14Bを形成し、下記式1及び下記式2を満たす。
1.0≧((h1+H1)−(h2+H2))/(H1−H2)≧0.8 … 式1
1.2μm≧H1−H2≧0.2μm … 式2
〔H1;膜厚が厚い領域Aにおける下地膜の膜厚(μm):H2;膜厚が薄い領域Bにおける下地膜の膜厚(μm):h1;膜厚が厚い領域Aにおける下地膜表面からパターン構造物14Aの頂点までの距離(μm):h2;膜厚が薄い領域Bにおける下地膜表面からパターン構造物14Bの頂点までの距離(μm)〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン構造物の製造方法、パターン構造物付き基板及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に用いられる液晶表示装置用基板(カラーフィルタ基板やCOA方式のアクティブマトリクス基板)は、基板上に、着色パターン、樹脂ブラックマトリクス、配向制御用突起等のパターン構造物が形成された構成となっている。これらのパターン構造物は、感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィーにより形成する方法が主流である。
【0003】
また、液晶表示装置のセル厚を画定するスペーサーは、従来はビーズ散布により形成されていたが、近年では、感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィーにより、位置精度の高いスペーサーが、パターン構造物として形成されるようになってきている。このような感光性樹脂組成物を用いて形成されたスペーサーは、フォトスペーサーと呼ばれている。
【0004】
近年では、高さの異なる複数種のパターン構造物を形成することが要求されている。
例えば、フォトスペーサーには、液晶パネルに圧力が加わって一旦圧縮された場合、圧力除去後に、もとの高さに復帰する「弾性回復率」と、液晶体積の温度変化にその高さが追随して変形できる「柔軟さ」の2つが合わせて要求される。上記要求に対し、高さが異なる2種類のスペーサーを設けることが検討されている。ここで、「柔軟さ」は高いスペーサーに、一定圧力以上での「弾性回復率」は、高いスペーサーと低いスペーサーの両方に負わせることにより「柔軟さ」と「弾性回復率」の双方を有効に発揮させる試みがなされている。
【0005】
異なる高さのスペーサーを設ける方法としては、最初にどちらかの高さのスペーサーをフォトリソ工程により設置したのち、別のフォトリソ工程により別の高さのスペーサーを設置するという、フォトリソ工程を複数回行う方法が容易である。
【0006】
また、露光に際しハーフトーンマスクやグレイトーンマスクを用い、感光性樹脂層のスペーサー形成部分に対する露光量に差をつけて、スペーサーの高さを調整する方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、カラーフィルター側と対向するTFT基板の、スペーサーに対応する部分の一部に突起物を設け、同じ高さのスペーサーでも、スペーサー(カラーフィルタ側)及び突起物(TFT基板側)からなる実質的に「高さの高い」スペーサーと、スペーサー単独(カラーフィルタ側)からなる実質的に「高さの低い」スペーサーと、を作る方法も提案されている。
【特許文献1】特開2007−279192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記フォトリソ工程を複数回行う方法は生産性に問題がある。また、上記ハーフトーンマスクやグレートーンマスクを用いる方法では1回のフォトリソ工程で済むものの、マスク自体のコストが高い問題がある。また、TFT上に突起物を設ける技術では、TFT工程が複雑化し、結果的に生産性を落とす問題がある。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、基板表面から頂点までの高さが異なる2種以上のパターン構造物を、簡易な方法で効率よく製造できるパターン構造物の製造方法、表示ムラが抑制され、表示均一性に優れた液晶表示装置、該液晶表示装置の作製に好適なパターン構造物付き基板を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである
<1> 2種以上の膜厚の下地膜を有する基板の該下地膜上に、感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、形成された感光性樹脂層をパターン露光する露光工程と、パターン露光された感光性樹脂層を現像して、基板表面から頂点までの高さが異なる2種以上のパターン構造物を形成するパターン構造物形成工程と、を有し、下記式1及び下記式2を満たすパターン構造物の製造方法。
【0010】
1.0≧((h1+H1)−(h2+H2))/(H1−H2)≧0.8 … 式1
1.2μm≧((h1+H1)−(h2+H2))≧0.2μm … 式2
【0011】
H1 下地膜の膜厚が厚い領域Aにおける該下地膜の膜厚(μm)
H2 下地膜の膜厚が薄い領域Bにおける該下地膜の膜厚(μm)
h1 前記領域Aにおける下地膜表面から、該領域A上に設けられたパターン構造物Aの頂点までの基板法線方向についての距離(μm)
h2 前記領域Bにおける下地膜表面から、該領域B上に設けられたパターン構造物Bの頂点までの基板法線方向についての距離(μm)
【0012】
<2> 下記式3及び下記式4を満たす<1>に記載のパターン構造物の製造方法である。
【0013】
1.0≧((h1+H1)−(h2+H2))/(H1−H2)≧0.9 … 式3
1.0μm≧((h1+H1)−(h2+H2))≧0.3μm … 式4
【0014】
H1 下地膜の膜厚が厚い領域Aにおける該下地膜の膜厚(μm)
H2 下地膜の膜厚が薄い領域Bにおける該下地膜の膜厚(μm)
h1 前記領域Aにおける下地膜表面から、該領域A上に設けられたパターン構造物Aの頂点までの基板法線方向についての距離(μm)
h2 前記領域Bにおける下地膜表面から、該領域B上に設けられたパターン構造物Bの頂点までの基板法線方向についての距離(μm)
【0015】
<3> 下記式5及び下記式6を満たす<1>又は<2>に記載のパターン構造物の製造方法である。
【0016】
1.0≧((h1+H1)−(h2+H2))/(H1−H2)≧0.95 … 式5
0.8μm≧((h1+H1)−(h2+H2))≧0.4μm … 式6
【0017】
H1 下地膜の膜厚が厚い領域Aにおける該下地膜の膜厚(μm)
H2 下地膜の膜厚が薄い領域Bにおける該下地膜の膜厚(μm)
h1 前記領域Aにおける下地膜表面から、該領域A上に設けられたパターン構造物Aの頂点までの基板法線方向についての距離(μm)
h2 前記領域Bにおける下地膜表面から、該領域B上に設けられたパターン構造物Bの頂点までの基板法線方向についての距離(μm)
【0018】
<4> 前記感光性樹脂層形成工程は、仮支持体上に感光性樹脂層を有する転写材料の該感光性樹脂層を転写することにより、前記基板の前記下地膜上に感光性樹脂層を形成する<1>〜<3>のいずれか1つに記載のパターン構造物の製造方法である。
<5> 前記転写材料が、前記仮支持体と前記感光性樹脂層との間に熱可塑性樹脂層を有する<4>に記載のパターン構造物の製造方法である。
【0019】
<6> 前記下地膜が、赤色パターン、緑色パターン、青色パターン、及びブラックマトリクスの少なくとも1種である<1>〜<5>のいずれか1つに記載のパターン構造物の製造方法である。
<7> 前記パターン構造物が、フォトスペーサー及び/又は配向制御用突起である<1>〜<6>のいずれか1つに記載のパターン構造物の製造方法である。
【0020】
<8> 基板上に、2種以上の膜厚の下地膜と、該基板表面から頂点までの高さが異なる少なくとも2種のパターン構造物と、を該基板側からみてこの順に有し、下記式1及び下記式2を満たすパターン構造物付き基板である。
【0021】
1.0≧((h1+H1)−(h2+H2))/(H1−H2)≧0.8 … 式1
1.2μm≧((h1+H1)−(h2+H2))≧0.2μm … 式2
【0022】
H1 下地膜の膜厚が厚い領域Aにおける該下地膜の膜厚(μm)
H2 下地膜の膜厚が薄い領域Bにおける該下地膜の膜厚(μm)
h1 前記領域Aにおける下地膜表面から、該領域A上に設けられたパターン構造物Aの頂点までの基板法線方向についての距離(μm)
h2 前記領域Bにおける下地膜表面から、該領域B上に設けられたパターン構造物Bの頂点までの基板法線方向についての距離(μm)
である。
【0023】
<9> 前記下地膜が、赤色パターン、緑色パターン、青色パターン、及びブラックマトリクスの少なくとも1種である<8>に記載のパターン構造物付き基板である。
<10> 前記パターン構造物が、フォトスペーサー及び/又は配向制御用突起である<8>又は<9>に記載のパターン構造物付き基板である。
<11> <1>〜<7>のいずれか1つに記載のパターン構造物の製造方法により製造されたパターン構造物付き基板、又は、<8>〜<10>のいずれか1つに記載のパターン構造物付き基板を備えた液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、基板表面から頂点までの高さが異なる2種以上のパターン構造物を、簡易な方法で効率よく製造できるパターン構造物の製造方法、表示ムラが抑制され、表示均一性に優れた液晶表示装置、該液晶表示装置の作製に好適なパターン構造物付き基板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
≪パターン構造物の製造方法≫
本発明のパターン構造物の製造方法は、2種以上の膜厚の下地膜を有する基板の該下地膜上に、感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、形成された感光性樹脂層をパターン露光する露光工程と、パターン露光された感光性樹脂層を現像して、基板表面から頂点までの高さが異なる2種以上のパターン構造物を形成するパターン構造物形成工程と、を有し、下記式1及び下記式2を満たす。
【0026】
1.0≧((h1+H1)−(h2+H2))/(H1−H2)≧0.8 … 式1
1.2μm≧((h1+H1)−(h2+H2))≧0.2μm … 式2
【0027】
式1及び式2中、H1は、下地膜の膜厚が厚い領域Aにおける該下地膜の膜厚(μm)を表し、H2は、下地膜の膜厚が薄い領域Bにおける該下地膜の膜厚(μm)を表し、h1は、前記領域Aにおける下地膜表面から、該領域A上に設けられたパターン構造物Aの頂点までの基板法線方向についての距離(μm)を表し、h2は、前記領域Bにおける下地膜表面から、該領域B上に設けられたパターン構造物Bの頂点までの基板法線方向についての距離(μm)を表す。
【0028】
上記式1中、「H1−H2」は、パターン構造物Aが形成される下地膜の膜厚と、パターン構造物Bが形成される下地膜の膜厚と、の差である。以下、「H1−H2」を「下地膜の膜厚差」ともいう。
一方、上記式1及び式2中、「(h1+H1)−(h2+H2)」は、基板表面からパターン構造物Aの頂点までの高さ(h1+H1)と、基板表面からパターン構造物Bの頂点までの高さ(h2+H2)と、の差である。以下、「(h1+H1)−(h2+H2)」を「パターン構造物の高さの差」ともいう。また、本発明では、単に「パターン構造物(又はフォトスペーサー)の高さ」というときは、基板表面からパターン構造物(又はフォトスペーサー)の頂点までの高さ(即ち、距離)を指す。
この「(h1+H1)−(h2+H2)」は、露光・現像後におけるパターン構造物高さの差であるが、その大小は、露光前の感光性樹脂層表面の凹凸の大小に強く影響される。従って、「((h1+H1)−(h2+H2))/(H1−H2)」は、実質的には、感光性樹脂層が形成される下地の凹凸の形状に対し、感光性樹脂層表面に生じる凹凸の形状がどの程度追随するか(追随性)を示している。以下、「((h1+H1)−(h2+H2))/(H1−H2)」を、単に「追随性」ということがある。この値が1.0に近づく程、追随性に優れていることを示す。
【0029】
一般に、凹凸を有する基板上に、フォトレジスト等の液体の光硬化性組成物を塗布して感光性樹脂層を形成する場合、形成された感光性樹脂層表面は、下地の凹凸を反映せず、凹凸が緩和される(平坦化される)傾向が強い。この場合、追随性は0.4〜0.6程度であり、基板表面から頂点までの高さが異なる2種以上のパターン構造物を形成することは困難である。また、形成できたとしても、パターン構造物の高さの面内均一性が悪化する傾向がある。
【0030】
これに対し、上記本発明のパターン構造物の製造方法は、追随性が高いので、形成される感光性樹脂層表面形状は下地の凹凸形状を反映する傾向が強くなる。
従って、本発明によれば、基板表面からの高さの異なる2種以上のパターン構造物を簡易な方法で効率よく好適に作製できる。更に、本発明の製造方法によって作製されたパターン構造物は、面内均一性に優れる等、良好な特性を有する。
【0031】
また、本発明のパターン構造物の製造方法により作製されたパターン構造物付き基板を液晶表示装置用基板として用いることで、高さが異なる少なくとも2種のパターン構造物によって液晶表示装置のセル厚が好適に制御されるため、表示ムラが抑制され、表示均一性に優れた液晶表示装置を得ることができる。
【0032】
本発明においては、特に、高さが異なる少なくとも2種のパターン構造物が、高さが異なる少なくとも2種のフォトスペーサーである場合には、フォトスペーサーとして要求される柔軟性と変形回復性(弾性回復率)とを備えることができる。
前記フォトスペーサーの柔軟性により、液晶表示装置としたときの「コールドバブル」を抑制できる。ここで、コールドバブルとは、液晶表示装置を低温で放置したときに生じる真空気泡を指す。
前記フォトスペーサーの変形回復性により、圧縮時の表示ムラを抑制できる。ここで、「圧縮時の表示ムラ」とは、液晶表示装置の表示面を圧縮してセル厚を変動させた場合であって、変動したセル厚が元の厚みに復帰する度合いが不十分であるときに生じる表示ムラを指す。
【0033】
本発明におけるパターン構造物としては、液晶表示装置用の部材として用いられる限り特に限定はなく、例えば、フォトスペーサー、配向制御用突起、着色パターン、ブラックマトリクス、オーバーコート膜等が挙げられる。
中でも、フォトスペーサー及び/又は配向制御用突起が好ましい。
具体的には、高さが異なる少なくとも2種のパターン構造物が、少なくとも2種のフォトスペーサーである形態、少なくとも2種の配向制御用突起である形態、又は、少なくとも1種のフォトスペーサーと少なくとも1種の配向制御用突起との組み合わせである形態が、好ましい。
【0034】
<追随性(((h1+H1)−(h2+H2))/(H1−H2))>
本発明において、追随性(((h1+H1)−(h2+H2))/(H1−H2))は、0.8以上1.0以下、即ち、前記式1の範囲であることが必要である。
追随性が0.8未満であると、形成されるパターン構造物の高さの面内均一性が悪化することがある。この傾向は、下地膜の膜厚差が大きい場合に、特に顕著である。
【0035】
前記追随性は、本発明による効果をより効果的に得る観点からは、0.9以上1.0以下であることが好ましい。即ち、下記式3を満たすことが好ましい。
1.0≧((h1+H1)−(h2+H2))/(H1−H2)≧0.9 … 式3
ここで、H1、H2、h1、及びh2は、式1におけるH1、H2、h1、及びh2と同義である。
【0036】
前記追随性は、本発明による効果を更に効果的に得る観点からは、0.95以上1.0以下であることが好ましい。即ち、下記式5を満たすことが好ましい。
1.0≧((h1+H1)−(h2+H2))/(H1−H2)≧0.95 … 式5
ここで、H1、H2、h1、及びh2は、式1におけるH1、H2、h1、及びh2と同義である。
【0037】
<パターン構造物の高さの差((h1+H1)−(h2+H2))>
本発明において、パターン構造物の高さの差((h1+H1)−(h2+H2))は、0.2以上1.2以下、即ち、前記式2の範囲であることが必要である。
パターン構造物の高さの差が0.2未満であると、高さの差が異なるパターン構造物を形成する要請を本質的に満たさない。形成されるパターン構造物がフォトスペーサーである場合には、フォトスペーサーの柔軟性が悪化し、液晶表示装置としたときにコールドバブルが悪化する傾向がある。
パターン構造物の高さの差が1.2を超えると、パターン構造物がフォトスペーサーである場合に変形回復率が低下する傾向がある。この傾向は、追随性が高い場合により顕著である。
【0038】
パターン構造物の高さの差((h1+H1)−(h2+H2))は、本発明による効果をより効果的に得る観点からは、0.3μm以上1.0μm以下であることが好ましい。即ち、下記式4を満たすことが好ましい。
1.0μm≧((h1+H1)−(h2+H2))≧0.3μm … 式4
ここで、H1、H2、h1、及びh2は、式1におけるH1、H2、h1、及びh2と同義である。
【0039】
パターン構造物の高さの差((h1+H1)−(h2+H2))は、本発明による効果を更に効果的に得る観点からは、0.4μm以上0.8μm以下であることが好ましい。即ち、下記式6を満たすことが好ましい。
0.8μm≧((h1+H1)−(h2+H2))≧0.4μm … 式6
ここで、H1、H2、h1、及びh2は、式1におけるH1、H2、h1、及びh2と同義である。
【0040】
以上で説明した、追随性(((h1+H1)−(h2+H2))/(H1−H2))と、パターン構造物の高さの差((h1+H1)−(h2+H2))との好ましい組み合わせとしては、フォトスペーサーを形成したときの柔軟性及び変形回復性の観点からは、式3と式4とを満たす組み合わせが好ましく、式5と式6とを満たす組み合わせがより好ましい。
【0041】
<パターン構造物の製造方法の具体例>
次に、本発明のパターン構造物の製造方法の具体例について、図1〜図3を参照して説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
図1は、本発明における感光性層形成工程後、露光工程前の感光性樹脂層付き基板20の一例を概念的に示した断面図である。
図1に示すように、感光性樹脂層付き基板20では、2種以上の膜厚の下地膜12を有する基板10の該下地膜上に、感光性樹脂層13が形成されている。図1では、下地膜12のうち、膜厚が厚い領域を領域Aで、膜厚が薄い領域を領域Bで、それぞれ表している。
図1において、感光性樹脂層13表面は、下地膜12表面の凹凸をよく反映した状態、即ち、追随性に優れた状態となっている。これにより、後述する現像後において、基板表面から頂点までの高さの差が異なるパターン構造物を得ることができる。感光性樹脂層13の形成法としては、後述の塗布法及び転写法のいずれであってもよいが、追随性の観点等からは、転写法が好ましい。
次に、露光工程では、感光性樹脂層13のうち、領域A上の一部及び領域B上の一部がパターン露光される。
【0042】
図2は、本発明におけるパターン構造物形成工程後のパターン構造物付き基板31の一例を概念的に示した断面図である。
図2に示すように、パターン構造物付き基板31では、図1中の感光性樹脂層13のうち、領域A上の一部及び領域B上の一部がパターン露光され、現像されて、基板表面から頂点までの高さが異なる2種以上のパターン構造物(パターン構造物Aとしてのパターン構造物14A、及び、パターン構造物Bとしてのパターン構造物14B)が形成されている。
図2中、下地膜の膜厚が厚い領域Aにおける該下地膜の膜厚H1、下地膜の膜厚が薄い領域Bにおける該下地膜の膜厚H2、前記領域Aにおける下地膜表面から、該領域A上に設けられたパターン構造物Aの頂点までの基板法線方向についての距離h1、及び、前記領域Bにおける下地膜表面から、該領域B上に設けられたパターン構造物Bの頂点までの基板法線方向についての距離h2の間には、前述の式1及び式2の関係が成り立っている。
このため、このようなパターン構造物付き基板31を用いて液晶表示装置を作製することにより、セル厚が良好に制御され、表示ムラが抑制され、表示均一性に優れた液晶表示装置を作製することができる。
【0043】
図1及び図2では、下地膜12が2種以上の膜厚を有する単層構造の場合について説明したが、本発明において下地膜は単層構造に限定されることはなく、一部が2層以上の構成となっていてもよい。
以下、下地膜の一部が2層構成となっている例について、図3を参照して説明する。
【0044】
図3は、基板表面から頂点までの高さが異なる2種以上のパターン構造物として、高さが高いフォトスペーサー24A(パターン構造物Aに相当)及び高さが低いフォトスペーサー24B(パターン構造物Bに相当)が設けられた、フォトスペーサー付き基板32を示した断面図である。
フォトスペーサー付き基板32では、基板10上に、2種以上の膜厚を有する下地膜として、ブラックマトリクス21及び着色パターン22が設けられている。即ち、カラーフィルタ基板の構成となっている。着色パターン22としては、赤色画素、青色画素、及び緑色画素の少なくとも1種を用いることができる。
【0045】
図3におけるフォトスペーサー付き基板32では、下地膜の膜厚が厚い領域Aとしては、ブラックマトリクス21及び着色パターン22が重なった領域Aが相当する。この場合、下地膜の膜厚はブラックマトリクス21及び着色パターン22の合計の膜厚に相当する。ここで、図示しないが、着色パターン上に、更に、ITO等のその他の膜が形成され、該その他の膜も含めて下地膜を構成していてもよい。
一方、下地膜の膜厚が薄い領域Bとしては、ブラックマトリクス21の単層構造の領域Bが相当する。ここで、図示しないが、ブラックマトリクス21上に、更に、ITO等のその他の膜が形成され、該その他の膜も含めて下地膜を構成していてもよい。
図3における下地膜の領域A上には、高さの高いフォトスペーサー24Aが備えられている。図3における下地膜の領域B上には、高さの低いフォトスペーサー24Bが備えられている。
【0046】
図3中、下地膜の膜厚が厚い領域Aにおける該下地膜の膜厚H1、下地膜の膜厚が薄い領域Bにおける該下地膜の膜厚H2、前記領域Aにおける下地膜表面から、該領域A上に設けられたパターン構造物Aの頂点までの基板法線方向についての距離h1、及び、前記領域Bにおける下地膜表面から、該領域B上に設けられたパターン構造物Bの頂点までの基板法線方向についての距離h2の間には、前述の式1及び式2の関係が成り立っている。
このため、このようなフォトスペーサー付き基板32を用いて液晶表示装置を作製することにより、セル厚が良好に制御され、表示ムラが抑制され、表示均一性に優れた液晶表示装置を作製することができる。
更に、フォトスペーサー付き基板32では、高さの高いフォトスペーサー24Aと高さの低いフォトスペーサー24Bとの組み合わせにより、フォトスペーサーとして要求される柔軟性と変形回復性とが備えられる。このため、このようなフォトスペーサー付き基板32を用いて液晶表示装置を作製することにより、液晶表示装置としたときの「コールドバブル」及び「圧縮時の表示ムラ」を低減できる。
【0047】
以上、図1〜図3を用いて、本発明のパターン構造物の製造方法の例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されることはない。
例えば、上記では、本発明のパターン構造物の製造方法の例として、フォトスペーサーを形成する例を中心に説明したが、本発明はフォトスペーサーの形成に限定されるものではない。
例えば、配向制御用突起、着色パターン、ブラックマトリクス、オーバーコート膜等の形成に好適に適用できる。
次に、本発明のパターン構造物の製造方法の各工程について説明する。
【0048】
<感光性樹脂層形成工程>
本発明における感光性樹脂層形成工程は、2種以上の膜厚の下地膜を有する基板の該下地膜上に、感光性樹脂層を形成する工程である。
【0049】
ここで、2種以上の膜厚の下地膜としては、膜厚の厚い領域A及び膜厚の薄い領域Bを有する膜であれば特に限定はない。
また、2種以上の膜厚の下地膜は、単一の材料による膜に限定されることはなく、複数の材料による膜(例えば、一部が積層されている膜、等)であってもよい。前記下地膜は、フォトリソグラフィー等の公知の方法によって基板上に形成できる膜が好適である。
本発明における2種以上の膜厚の下地膜としては特に限定はなく、例えば、カラーフィルタに備えられる部材(例えば、着色パターン、ブラックマトリクス、オーバーコート膜、配向制御用突起、フォトスペーサー、など)や、TFT(Thin Film Transistor)基板に備えられる部材(例えば、TFT、各種配線膜、保護膜等)が挙げられる。
中でも、2種以上の膜厚の下地膜としては、着色パターン(例えば、赤色パターン、緑色パターン、青色パターン)及びブラックマトリクスの少なくとも1種であることが好ましく、赤色パターン、緑色パターン、青色パターン、及びブラックマトリクスの少なくとも1種であることがより好ましい。
2種以上の膜厚の下地膜の特に好ましい形態としては、ブラックマトリクス及び着色パターンの積層膜として膜厚の厚い領域Aを構成し、ブラックマトリクス単層膜により膜厚の薄い領域Bを構成する形態が好適である。
【0050】
基板上(下地膜上)に、感光性樹脂層を形成する方法としては特に限定はないが、(a)感光性樹脂組成物を公知の塗布法により塗布して感光性樹脂層を形成する方法、及び(b)感光性樹脂転写材料(以下、単に「転写材料」ともいう)を用いた転写法によりラミネートして感光性樹脂層を形成する方法が好適に挙げられる。特に、追随性の観点からは、転写法が好ましい。
【0051】
(a)塗布法
感光性樹脂組成物の塗布は、公知の塗布法、例えば、スピンコート法、カーテンコート法、スリットコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、あるいは米国特許第2681294号明細書に記載のポッパーを使用するエクストルージョンコート法等により行なうことができる。中でも、特開2004−89851号公報、特開2004−17043号公報、特開2003−170098号公報、特開2003−164787号公報、特開2003−10767号公報、特開2002−79163号公報、特開2001−310147号公報等に記載のスリットノズルあるいはスリットコーターによる方法が好適である。
【0052】
(b)転写法
転写法による場合、仮支持体上に感光性樹脂層(好ましくは感光性樹脂組成物を用いて形成された感光性樹脂層)を有する転写材料の該感光性樹脂層を転写することにより、前記基板の前記下地膜上に感光性樹脂層を形成する方法が好適である。
具体的には、仮支持体上に膜状に形成された感光性樹脂層(以下、「感光性樹脂組成物層」ともいう)を支持体面(基板面)にローラー又は平板で加熱及び/又は加圧して圧着又は加熱圧着することによって貼り合せた後、仮支持体の剥離により感光性樹脂層を支持体上に転写することができる。具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネーター及びラミネート方法が挙げられ、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。
【0053】
感光性樹脂層を形成する場合、感光性樹脂層と仮支持体との間には更に、中間層(酸素遮断層)及び/又は熱可塑性樹脂層を設けることができる。
熱可塑性樹脂層を設けることにより転写性及び追随性がより向上する。
中間層により露光感度をアップすることができる。
該感光性樹脂転写材料を構成する仮支持体、中間層、熱可塑性樹脂層、その他の層や該感光性樹脂転写材料の作製方法については、特開2006−23696号公報の段落番号[0024]〜[0030]に記載の構成、作製方法と同様である。
【0054】
追随性の観点などからは、感光性樹脂転写材料の好ましい形態は、仮支持体/熱可塑性樹脂層/感光性樹脂層の積層構造を有する形態、又は、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性樹脂層の積層構造を有する形態、であり、特に好ましい形態は、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性樹脂層の積層構造を有する形態である。
【0055】
感光性樹脂転写材料において、感光性樹脂層の膜厚には特に限定はないが、パネル設計上の理由などからは、2.5〜4.5μmが好ましく、3.0〜4.0μmがより好ましい。
また、必要に応じて用いられる熱可塑性樹脂層の膜厚には特に限定はないが、追随性等の観点からは、7〜20μmが好ましく、14〜20μmがより好ましい。
また、必要に応じて用いられる中間層の膜厚には特に限定はないが、追随性等の観点からは、0.8〜2.4μmが好ましく、1.2〜2.0μmがより好ましい。
【0056】
なお、感光性樹脂層の上には、感光性樹脂転写材料の貯蔵の際の汚染や損傷から保護するために薄い保護フイルム(カバーフィルム)を設けることが好ましい。保護フイルムは仮支持体と同じか又は類似の材料からなってもよいが、感光性樹脂組成物層から容易に分離されねばならない。保護フイルム材料としては例えばシリコーン紙、ポリオレフィン若しくはポリテトラフルオロエチレンシートが適当である。尚、保護フイルムの厚さは、4〜40μmが一般的であり、5〜30μmが好ましく、10〜25μmが特に好ましい。
【0057】
(a)塗布法、(b)転写法共に、感光性樹脂層を形成する場合、その層厚は0.5〜10.0μmが好ましく、1〜6μmがより好ましい。層厚が前記範囲であると、製造時における層形成の際のピンホールの発生が防止され、未露光部の現像除去を、長時間を要することなく行なうことができる。
【0058】
本発明において、感光性樹脂層及び下地膜を形成する基板(支持体)としては、例えば、透明基板(例えばガラス基板やプラスチックス基板)、透明導電膜(例えばITO膜)付基板、カラーフィルタ付きの基板(カラーフィルタ基板ともいう。)、駆動素子(例えば薄膜トランジスタ[TFT])付駆動基板、などが挙げられる。支持体の厚みとしては、700〜1200μmが一般に好ましい。
【0059】
〜感光性樹脂組成物〜
上記塗布法においては、基板上に感光性樹脂組成物を塗布する。
また、上記転写法においては、仮支持体上に、感光性樹脂組成物を用いて形成された感光性樹脂層を有する転写材料を用いる。
以下、これらの感光性樹脂組成物の好ましい形態について説明する。
本発明における感光性樹脂組成物としては、分岐及び/又は脂環構造を有する基、酸性基、及びエチレン性不飽和結合を有する基を側鎖に有する樹脂(B)、重合性化合物(C)及び光重合開始剤(D)を少なくとも含有する感光性樹脂組成物が、フォトスペーサーを作製する上では好ましい。更に、含フッ素化合物(A)を含むことがより好ましい。
前記感光性樹脂組成物をフォトスペーサー以外の用途に用いる場合は、上述した所定の樹脂(B)である必要はなく酸性基を側鎖に有する以外に樹脂についての制約はない。また、必要に応じて、着色剤などのその他の成分を用いて構成することができる。又、感光性樹脂転写材料とするときは加熱圧着転写時に感光性樹脂組成物層の厚みが変化しないように感光性樹脂組成物層中に微粒子(E)を導入することが好ましい。
【0060】
−含フッ素化合物(A)−
本発明において好ましく用いられる含フッ素化合物は、パーフルオロアルキル基を側鎖に含む化合物であれば特に限定されるものではない。
【0061】
前記含フッ素化合物は一種単独で用いてもよいし二種以上を併用することもできる。また、前記含フッ素化合物は適宜合成したものであってもよいし、市販品を用いてもよい。 市販品として、例えば、メガファックF443、F444、F445、F446、F470、F471、F474、F475、F780(以上大日本インキ化学工業製)、フタージェント250、251、222F、208G(以上株式会社ネオス製)等を使用することができる。
【0062】
−樹脂(B)−
樹脂(B)は分岐及び/又は脂環構造を有する基:X(xモル%)と、酸性基:Y(yモル%)と、エチレン性不飽和結合を有する基:Z(zモル%)とを側鎖に含有してなり、必要に応じてその他の基(L)(lモル%)を有していてもよい。分岐及び/又は脂環構造を有する基、酸性基、エチレン性不飽和結合を有する基は、それぞれが異なる側鎖中に含まれていてもよいし、一部が組み合わされて同じ側鎖中に含まれていてもよいし、全てが同じ側鎖中に含まれていてもよい。
【0063】
−分岐及び/又は脂環構造を有する基:X−
前記「分岐及び/又は脂環構造を有する基」について説明する。
まず、分岐を有する基としては、炭素原子数3〜12個の分岐状のアルキル基を示し、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、i−アミル基、t−アミル基、3−オクチル基、t−オクチル基等が挙げられる。これらの中でも、i−プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基等が好ましく、さらにi−プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が好ましい。
【0064】
次に脂環構造を有する基としては、炭素原子数5〜20個の脂環式炭化水素基を示し、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基、トリシクロペンテニル基、及びトリシクロペンタニル基等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、トリシクロペンテニル基、トリシクロペンタニル基等が好ましく、更にシクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロペンテニル基等が好ましい。
【0065】
前記分岐及び/又は脂環構造を有する基を含有する単量体としては、スチレン類、(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類などが挙げられ、(メタ)アクリレート類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類が好ましく、さらに好ましくは(メタ)アクリレート類である。
【0066】
前記分岐構造を有する基を含有する単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸t−アミル、(メタ)アクリル酸sec−iso−アミル、(メタ)アクリル酸2−オクチル、(メタ)アクリル酸3−オクチル、(メタ)アクリル酸t−オクチル等が挙げられ、その中でも、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル等が好ましく、さらに好ましくは、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸t−ブチル等である。
【0067】
次に、前記脂環構造を有する基を含有する単量体の具体例としては、炭素原子数5〜20個の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルである。具体的な例としては、(メタ)アクリル酸(ビシクロ〔2.2.1]ヘプチル−2)、(メタ)アクリル酸−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−3−メチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−3,5−ジメチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−3−エチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸−3−メチル−5−エチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−3,5,8−トリエチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−3,5−ジメチル−8−エチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸 2−メチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸 2−エチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸 3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ−4,7−メンタノインデン−5−イル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ−4,7−メンタノインデン−1−イルメチル、(メタ)アクリル酸−1−メンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシ−2,6,6−トリメチル−ビシクロ〔3.1.1〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸−3,7,7−トリメチル−4−ヒドロキシ−ビシクロ〔4.1.0〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フエンチル、(メタ)アクリル酸−2,2,5−トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、などが挙げられる。これら(メタ)アクリル酸エステルの中でも、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸フエンチル、(メタ)アクリル酸1−メンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシルなどが好ましく、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸−2−アダマンチルが特に好ましい。
【0068】
更に、前記脂環構造を有する基を含有する単量体の具体例としては、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物が挙げられる。ここで、一般式(1)、(2)において、xは1又は2を表し、Rは水素又はメチル基を表す。m及びnはそれぞれ独立に0〜15を表す。一般式(1)、(2)の中でも、x=1又は2、m=0〜8、n=0〜4が好ましく、m=1〜4、n=0〜2がより好ましい。一般式(1)又は(2)で表される化合物の好ましい具体例として、下記化合物D−1〜D−5、T−1〜T−8が挙げられる。
【0069】
【化1】



【0070】
【化2】



【0071】
【化3】



【0072】
前記脂環構造を有する基を含有する単量体は適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、日立化成工業(株)製:FA−511A、FA−512A(S)、FA−512M、FA−513A、FA−513M、TCPD−A、TCPD−M、H−TCPD−A、H−TCPD−M、TOE−A、TOE−M、H−TOE−A、H−TOE−M等が挙げられる。これらの中でも現像性に優れ、変形回復率に優れる点で、FA−512A(S),512Mが好ましい。
【0073】
−酸性基:Y−
前記酸性基としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホンアミド基、リン酸基、フェノール性水酸基等が挙げられる。これらの中でも、現像性、及び硬化膜の耐水性が優れる点から、カルボキシ基、フェノール性水酸基であることが好ましい。
【0074】
前記酸性基を有する単量体としては、特に制限はなく、スチレン類、(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類などが挙げられ、(メタ)アクリレート類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類が好ましく、さらに好ましくは(メタ)アクリレート類である。
【0075】
前記酸性基を有する単量体の具体例としては、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、α−シアノ桂皮酸、アクリル酸ダイマー、水酸基を有する単量体と環状酸無水物との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0076】
前記水酸基を有する単量体と環状酸無水物との付加反応物に用いられる水酸基を有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。前記環状酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0077】
前記市販品としては、東亜合成化学工業(株)製:アロニックスM−5300、アロニックスM−5400、アロニックスM−5500、アロニックスM−5600、新中村化学工業(株)製:NKエステルCB−1、NKエステルCBX−1、共栄社油脂化学工業(株)製:HOA−MP、HOA−MS、大阪有機化学工業(株)製:ビスコート#2100等が挙げられる。これらの中でも現像性に優れ、低コストである点で(メタ)アクリル酸等が好ましい。
【0078】
−エチレン性不飽和結合を有する基:Z−
前記「エチレン性不飽和結合を有する基」としては、特に制限はなく、(メタ)アクリロイル基が好ましい。エチレン性不飽和結合を有する基は、エステル基、アミド基、カルバモイル基などの2価の連結基を介して樹脂(A)の側鎖に導入されるが、該2価の連結基に特に制限はない。樹脂(B)の側鎖にエチレン性不飽和結合を有する基を導入する方法は公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、酸性基を持つ繰り返し単位にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法、ヒドロキシル基を持つ繰り返し単位にイソシアネート基を持つ(メタ)アクリレートを付加した付加する方法、イソシアネート基を持つ基にヒドロキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法などが挙げられる。
その中でも、酸性基を持つ繰り返し単位にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法が最も製造が容易であり、低コストである点で好ましい。
【0079】
前記エポキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては特に制限はないが、例えば、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物が好ましい。
【0080】
【化4】



【0081】
ただし、前記構造式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Lは有機基を表す。
【0082】
【化5】




【0083】
ただし、前記構造式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Lは有機基を表す。Wは4〜7員環の脂肪族炭化水素基を表す。
【0084】
前記構造式(1)で表される化合物及び構造式(2)で表される化合物の中でも、構造式(1)で表される化合物が構造式(2)よりも好ましい。前記構造式(1)及び(2)においては、L及びLがそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキレン基のものがより好ましい。
【0085】
前記構造式(1)で表される化合物又は構造式(2)で表される化合物としては、特に制限はないが、例えば、以下の例示化合物(1)〜(10)が挙げられる。
【0086】
【化6】



【0087】
−その他の基:L−
樹脂(A)は、必要に応じてその他の基を有していてもよく、該その他の基を樹脂(A)に導入するための単量体としては、特に制限はなく、例えば分岐及び/又は脂環構造をもたない(メタ)アクリル酸エステル;スチレン;ビニルエーテル基、二塩基酸無水物基、ビニルエステル基又は炭化水素アルケニル基等を有する単量体などが挙げられる。
前記ビニルエーテル基としては、特に制限はなく、例えば、ブチルビニルエーテル基などが挙げられる。
【0088】
前記二塩基酸無水物基としては、特に制限はなく、例えば、無水マレイン酸基、無水イタコン酸基などが挙げられる。
前記ビニルエステル基としては、特に制限はなく、例えば、酢酸ビニル基などが挙げられる。
前記炭化水素アルケニル基としては、特に制限はなく、例えば、ブタジエン基、イソプレン基などが挙げられる。
【0089】
前記樹脂(B)におけるその他の単量体の含有率としては、モル組成比が、0〜30mol%であることが好ましく、0〜20mol%であることがより好ましい。
【0090】
樹脂(B)の具体例としては、例えば、下記化合物P−1〜P−56で表される化合物が挙げられる。
また、例示化合物中のx、y、z、l及びStは、各繰り返し単位の組成比を表し、後述の好ましい範囲で構成する形態が好適である。また、各例示化合物の重量平均分子量も、後述の好ましい範囲で構成する形態が好適である。
【0091】
【化7】

【0092】
【化8】

【0093】
【化9】

【0094】
【化10】

【0095】
【化11】

【0096】
【化12】

【0097】
【化13】

【0098】
【化14】

【0099】
【化15】

【0100】
【化16】

【0101】
【化17】

【0102】
−製造法について−
樹脂(B)は、単量体を(共)重合反応させて(共)重合体を得る工程及びエチレン性不飽和基を該(共)重合体に導入する工程の二段階の工程を経て製造することができる。
まず、(共)重合反応は種々の単量体を用いて実施され、特に制限はなく公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、重合の活性種については、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合などを適宜選択することができる。これらの中でも合成が容易であり、低コストである点からラジカル重合であることが好ましい。また、重合方法についても特に制限はなく公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、バルク重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法などを適宜選択することができる。これらの中でも、溶液重合法であることがより望ましい。
【0103】
−分子量−
樹脂(B)として好適な前記共重合体の重量平均分子量は、10,000〜10万が好ましく、12,000〜6万が更に好ましく、15,000〜4.5万が特に好ましい。重量平均分子量が前記範囲内であると、共重合体の製造適性、現像性の点で望ましい。また、溶融粘度の低下により形成された形状が潰れ難い点で、また、架橋不良となり難い点、現像でのスペーサー形状の残渣がない点で好ましい。
【0104】
−ガラス転移温度−
樹脂(B)として好適なガラス転移温度(Tg)は、40〜180℃であることが好ましく、45〜140℃であることはより好ましく、50〜130℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が前記好ましい範囲内であると、良好な現像性、力学強度を有するフォトスペーサーが得られる。
【0105】
−酸価−
樹脂(B)として好適な酸価はとりうる分子構造により好ましい範囲は変動するが、一般には20mgKOH/g以上であることが好ましく、50mgKOH/g以上であることはより好ましく、70〜130mgKOH/gであることが特に好ましい。酸価が前記好ましい範囲内であると、良好な現像性、力学強度を有するフォトスペーサーが得られる。
【0106】
前記樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)が40〜180℃であり、かつ重量平均分子量が10,000〜100,000であることが良好な現像性、力学強度を有するフォトスペーサーが得られる点で好ましい。
更に、前記樹脂(B)の好ましい例は、好ましい前記分子量、ガラス転移温度(Tg)、及び酸価のそれぞれの組合せがより好ましい。
【0107】
本発明における樹脂(B)は、分岐及び/又は脂環構造を有する基:X(xモル%)と、酸性基:Y(yモル%)と、エチレン性不飽和結合を有する基:Z(zモル%)とをそれぞれ別の共重合単位に有する少なくとも3元共重合以上の共重合体であることが変形回復率、現像残渣、レチキュレーションの観点から好ましい。具体的には、前記X,Y,Zを構成する各々の単量体を少なくとも1つ共重合させてなる共重合体が好ましい。
前記樹脂(B)の前記各成分の共重合組成比については、ガラス転移温度と酸価を勘案して決定され、一概に言えないが、「分岐及び/又は脂環構造を有する基」は10〜70モル%が好ましく、15〜65モル%が更に好ましく、20〜60モル%が特に好ましい。分岐及び/又は脂環構造を有する基が前記範囲内であると、良好な現像性が得られると共に、画像部の現像液耐性も良好である。
また、「酸性基」は5〜70モル%が好ましく、10〜60モル%が更に好ましく、20〜50モル%が特に好ましい。酸性基が前記範囲内であると、良好な硬化性、現像性が得られる。
また、「エチレン性不飽和結合を有する基」は10〜70モル%が好ましく、20〜70モル%が更に好ましく、30〜70モル%が特に好ましい。エチレン性不飽和結合を有する基が前記範囲内であると、顔料分散性に優れると共に、現像性及び硬化性も良好である。
【0108】
前記樹脂(B)の含有量としては、前記感光性樹脂組成物全固形分に対して、5〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。樹脂(B)は後述のその他の樹脂を含有することができるが、樹脂(B)のみが好ましい。
【0109】
−その他の樹脂−
前記樹脂(B)と併用することができる樹脂としては、アルカリ性水溶液に対して膨潤性を示す化合物が好ましく、アルカリ性水溶液に対して可溶性である化合物がより好ましい。
アルカリ性水溶液に対して膨潤性又は溶解性を示す樹脂としては、例えば、酸性基を有するものが好適に挙げられ、具体的には、エポキシ化合物にエチレン性不飽和二重結合と酸性基とを導入した化合物(エポキシアクリレート化合物)、側鎖に(メタ)アクリロイル基、及び酸性基を有するビニル共重合体、エポキシアクリレート化合物と、側鎖に(メタ)アクリロイル基、及び酸性基を有するビニル共重合体との混合物、マレアミド酸系共重合体、などが好ましい。
前記酸性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、などが挙げられ、これらの中でも、原料の入手性などの観点から、カルボキシル基が好ましく挙げられる。
【0110】
−樹脂(B)とその他の樹脂の比率−
前記樹脂(B)と併用することができる樹脂との合計の含有量としては、前記感光性樹脂組成物全固形分に対して、5〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。該固形分含有量が、5質量%未満であると、感光性樹脂組成物層の膜強度が弱くなりやすく、該感光性樹脂組成物層の表面のタック性が悪化することがあり、70質量%を超えると、露光感度が低下することがある。
【0111】
−重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)、その他の成分−
本発明において、重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)、その他の成分として公知の組成物を構成する成分を好適に用いることができ、例えば、特開2006−23696号公報の段落番号[0010]〜[0020]に記載の成分や、特開2006−64921号公報の段落番号[0027]〜[0053]に記載の成分が挙げられる。
【0112】
前記樹脂(B)との関係において、重合性化合物(C)の樹脂(B)に対する質量比率((C)/(B)比)が0.5〜2.0であることが好ましく、0.6〜1.4であることはより好ましく、0.7〜1.2であることが特に好ましい。(C)/(B)比が前記好ましい範囲内であると、良好な現像性、力学強度を有するフォトスペーサーが得られる。
前記光重合開始剤(D)の含有量としては、樹脂(B)に対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
【0113】
−微粒子(E)−
前記感光性樹脂組成物において、微粒子を添加することが好ましい。前記微粒子(E)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特開2003−302639号公報[0035]〜[0041]に記載の体質顔料が好ましく、中でも良好な現像性、力学強度を有するフォトスペーサーが得られるという観点からコロイダルシリカが好ましい。又、カーボンブラックや有機顔料等を用いることもできるがコロイダルシリカの方が上記の観点からより好ましい。
【0114】
前記微粒子(E)の平均粒子径は、高い力学強度を有するフォトスペーサーが得られるという観点から、5〜50nmであることが好ましく、10〜40nmであることがより好ましく、15〜30nmであることが特に好ましい。
【0115】
また、前記微粒子(E)の含有量は、高い力学強度を有するフォトスペーサーが得られるという観点から、本発明における感光性樹脂組成物中の全固形分に対する質量比率が5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることが特に好ましい。
【0116】
−溶媒−
本発明の感光性樹脂組成物においては、上記成分の他に、更に溶媒を含有してもよい。溶媒の例としては、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、乳酸メチル、カプロラクタム等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。本発明の感光性樹脂組成物を液体として用いる際の溶媒の含有量は粘度等を勘案して適宜調整することができ、例えば、感光性樹脂組成物中に50質量%以上含まれることが好ましく、70質量%以上含まれることが更に好ましい。
【0117】
<露光工程>
本発明における露光工程は、上記のようにして形成された感光性樹脂層を、パターン露光する工程である。
パターン露光は、フォトマスク(以下、単に「マスク」ともいう)を介した露光により、下地膜の膜厚が厚い領域A上の感光性樹脂層のうち、パターン構造物Aを形成しようとする領域を露光し、下地膜の膜厚が薄い領域B上の感光性樹脂層のうち、パターン構造物Bを形成しようとする領域を露光することが好ましい。
【0118】
具体的には、上記基板上に形成された感光性樹脂層の上方に所定のマスクを配置し、その後該マスク(及び、必要に応じて設けられる中間層及び/又は熱可塑性樹脂層)を介してマスク上方から露光する形態が好適である。また、基板とマスクとを垂直に立てた状態で露光を行っても良い。
【0119】
ここで、前記露光の光源としては、感光性樹脂層を硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できるものであれば適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。露光量としては、通常5〜200mJ/cm程度であり、好ましくは10〜100mJ/cm程度である。
【0120】
<パターン構造物形成工程>
本発明におけるパターン構造物形成工程は、パターン露光された感光性樹脂層を現像して、前記下地膜の膜厚が厚い領域A上及び膜厚が薄い領域B上に、基板表面から頂点までの高さが異なる2種以上のパターン構造物を形成する工程である。
【0121】
前記現像は現像液をもちいて行うことができる。
現像液としては、特に制約はなく、特開平5−72724号公報に記載のものなど、公知の現像液を使用することができる。尚、現像液は感光性樹脂層が溶解型の現像挙動をするものが好ましく、例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05〜5mol/Lの濃度で含むものが好ましいが、更に水と混和性を有する有機溶剤を少量添加してもよい。
水と混和性を有する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。該有機溶剤の濃度は0.1質量%〜30質量%が好ましい。
また、上記現像液には、更に公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01質量%〜10質量%が好ましい。
【0122】
現像の方式としては、パドル現像、シャワー現像、シャワー&スピン現像、ディプ現像等のいずれでもよい。
ここで、上記シャワー現像について説明すると、露光後の感光性樹脂層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、未硬化部分を除去することができる。尚、現像の前に感光性樹脂層の溶解性が低いアルカリ性の液(例えば、トリエタノールアミン系現像液等)をシャワーなどにより吹き付け、熱可塑性樹脂層、中間層などを除去しておくことが好ましい。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。
現像液の液温度は20℃〜40℃が好ましく、また、現像液のpHは8〜13が好ましい。
【0123】
<その他の工程>
本発明のパターン構造物の製造方法は、ポスト露光工程、ベーク工程等、上記以外のその他の工程を有していてもよい。
前記ポスト露光は現像後に行う露光である。例えば、該樹脂層(パターン構造物)の側から超高圧水銀灯で500mJ/cm2程度の露光量にて露光される。両面から実施してもよく、また100〜800mJ/cm2の範囲で選択してもよい。ポスト露光の実施により、その後のベークでの重合効果が高まる他、ポスト露光の量により、画素のベーク後の断面形状を調整することができる。
【0124】
現像後又はポスト露光後にベーク(ポストベーク)を行うことで、モノマー又はオリゴマーを反応させてより硬い膜とすることができる。
ベークの条件としては特に限定はないが、200〜240℃で30〜180分である条件が好適である。これらの温度と時間は、ベークにより黄ばみの発生が少なく、かつ、生産タクトを落さないよう、高めの温度で、かつ短めの時間に設定される。
【0125】
パターン露光、現像等のパターニング工程の具体例としては、特開2006−64921号公報の段落番号[0071]〜[0077]に記載の形成例や、特開2006−23696号公報の段落番号[0040]〜[0051]に記載の工程などが、本発明においても好適な例として挙げられる。
【0126】
本発明において、パターン構造物としてフォトスペーサーを形成する場合、該フォトスペーサーは、ブラックマトリクス及び着色パターン(着色画素)を含むカラーフィルタを形成した後に形成することができる。
前記ブラックマトリクス及び着色パターンとフォトスペーサーとは、感光性樹脂組成物を塗布する塗布法と感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を有する転写材料を用いる転写法と、を任意に組合せて形成することが可能である。
前記ブラックマトリクス及び着色パターン並びに前記フォトスペーサーはそれぞれ感光性樹脂組成物から形成でき、具体的には、例えば、基板に液体の前記感光性樹脂組成物を直接塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成した後に、露光・現像を行い、 前記ブラックマトリクス及び着色パターンをパターン状に形成し、(更に必要に応じ、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極膜を形成し)、その後、別の液体の前記感光性樹脂組成物を前記基板とは異なる別の基板(仮支持体)上に塗布して感光性樹脂組成物層を形成することにより作製された転写材料を用い、この転写材料を前記ブラックマトリクス及び着色パターンが形成された前記基板に密着させて感光性樹脂組成物層を転写した後に、露光・現像を行うことによりフォトスペーサーをパターン状に形成することができる。
このようにして、フォトスペーサーが設けられたカラーフィルタを作製することができる。
また、配向制御用突起もフォトスペーサーと同様の方法により作製できる。
【0127】
≪パターン構造物付き基板≫
本発明のパターン構造物付き基板は、基板上に、2種以上の膜厚の下地膜と、該基板表面から頂点までの高さが異なる少なくとも2種のパターン構造物と、を該基板側からみてこの順に有し、下記式1及び下記式2を満たすように構成される。
【0128】
1.0≧((h1+H1)−(h2+H2))/(H1−H2)≧0.8 … 式1
1.2μm≧((h1+H1)−(h2+H2))≧0.2μm … 式2
【0129】
H1 下地膜の膜厚が厚い領域Aにおける該下地膜の膜厚(μm)
H2 下地膜の膜厚が薄い領域Bにおける該下地膜の膜厚(μm)
h1 前記領域Aにおける下地膜表面から、該領域A上に設けられたパターン構造物Aの頂点までの基板法線方向についての距離(μm)
h2 前記領域Bにおける下地膜表面から、該領域B上に設けられたパターン構造物Bの頂点までの基板法線方向についての距離(μm)
【0130】
本発明のパターン構造物付き基板を作製する方法については特に限定はないが、前述の本発明のパターン構造物の製造方法を好適に用いることができる。
式1、式2、パターン構造物、下地膜、及び基板等の各要素や、パターン構造物の好ましい範囲については、前述の本発明のパターン構造物の製造方法についての説明で述べたとおりである。
【0131】
また、前述の本発明のパターン構造物の製造方法についての説明で述べたとおり、本発明のパターン構造物付き基板を液晶表示装置用基板として用いることで、表示ムラが抑制され、表示均一性に優れた液晶表示装置を得ることができる。
また、液晶表示装置としたときの「コールドバブル」や「圧縮時の表示ムラ」を抑制できる。
【0132】
フォトスペーサーは、支持体上に形成されたブラックマトリクス等の表示用遮光部の上やTFT等の駆動素子上に形成されることが好ましい。また、ブラックマトリクス等の表示用遮光部やTFT等の駆動素子とフォトスペーサーとの間にITO等の透明導電層(透明電極)やポリイミド等の液晶配向膜が存在していてもよい。
【0133】
例えば、フォトスペーサーが表示用遮光部や駆動素子の上に設けられる場合、該支持体に予め配設された表示用遮光部(ブラックマトリクスなど)や駆動素子を覆うようにして、例えば感光性樹脂転写材料の感光性樹脂組成物層を支持体面にラミネートし、剥離転写して感光性樹脂組成物層を形成した後、これに露光、現像、加熱処理等を施してフォトスペーサーを形成することによって、本発明の表示装置用基板を作製することができる。
本発明の表示装置用基板には更に、必要に応じて赤色(R)、青色(B)、緑色(G)3色等の着色画素が設けられていてもよい。
【0134】
≪表示素子≫
前記本発明のパターン構造物付き基板を設けて表示素子を構成することができる。
表示素子の1つとして、少なくとも一方が光透過性の一対の支持体(本発明の表示装置用基板を含む。)間に液晶層と液晶駆動手段(単純マトリクス駆動方式及びアクティブマトリクス駆動方式を含む。)を少なくとも備えたものが挙げられる。
【0135】
この場合、本発明のパターン構造物付き基板は、複数のRGB画素群を有し、該画素群を構成する各画素が互いにブラックマトリクスで離画されているカラーフィルタ基板として構成できる。このカラーフィルタ基板には、高さ均一で変形回復性に優れたフォトスペーサーが設けられるため、該カラーフィルタ基板を備えた表示素子は、カラーフィルタ基板と対向基板との間にセルギャップムラ(セル厚変動)の発生が抑えられ、色ムラ等の表示ムラの発生を効果的に防止することができる。これにより、作製された表示素子は鮮やかな画像を表示できる。
【0136】
また、表示素子の別の態様として、少なくとも一方が光透過性の一対の支持体(本発明の表示装置用基板を含む。)間に液晶層と液晶駆動手段とを少なくとも備え、前記液晶駆動手段がアクティブ素子(例えばTFT)を有し、かつ一対の基板間が、高さが均一で変形回復性に優れたフォトスペーサーにより所定幅に規制して構成されたものである。
この場合も、本発明の表示装置用基板は、複数のRGB画素群を有し、該画素群を構成する各画素が互いにブラックマトリクスで離画されたカラーフィルタ基板として構成されている。
【0137】
本発明において使用可能な液晶としては、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶、強誘電液晶が挙げられる。
また、前記カラーフィルタ基板の前記画素群は、互いに異なる色を呈する2色の画素からなるものでも、3色の画素、4色以上の画素からなるものであってもよい。例えば3色の場合、赤(R)、緑(G)及び青(B)の3つの色相で構成される。RGB3色の画素群を配置する場合には、モザイク型、トライアングル型等の配置が好ましく、4色以上の画素群を配置する場合にはどのような配置であってもよい。カラーフィルタ基板の作製は、例えば2色以上の画素群を形成した後既述のようにブラックマトリクスを形成してもよいし、逆にブラックマトリクスを形成した後に画素群を形成するようにしてもよい。RGB画素の形成については、基板上にRGBに着色された感光性樹脂組成物を直接塗布乾燥しフォトリソグラフィー法により画素を形成する方法と、支持体上に少なくともRGBの着色剤を含む感光性樹脂組成物層を設けた感光性樹脂転写材料を用いて基板上に感光性樹脂組成物層を転写しフォトリソグラフィー法により画素を形成する方法、RGBのインクを用いたインクジェット法などにより作製することができる。特開2004−347831号公報等を参考にすることができる。
【0138】
≪液晶表示装置≫
本発明の液晶表示装置は、本発明のパターン構造物付き基板を備えるものである。
本発明の表示装置は、膜厚(高さ)均一性が良好なパターン構造物(例えば、フォトスペーサ)が設けられた本発明のパターン構造物付き基板を備えるため、表示ムラが抑制され、表示均一性に優れる。
【0139】
表示装置としては、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置などが挙げられる。表示装置の定義や各表示装置の説明については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。
【0140】
表示装置の中でも液晶表示装置が好ましい。
液晶表示装置は、例えば、互いに向き合うように対向配置された一対の基板間をフォトスペーサで所定幅に規制し、規制された間隙に液晶材料を封入(封入部位を液晶層と称する。)して構成されており、液晶層の厚さ(セル厚)が所望の均一厚に保持されるようになっている。
【0141】
液晶表示装置における液晶表示モードとしては、STN型、TN型、GH型、ECB型、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、VA型、IPS型、OCB型、ASM型、その他種々のものが好適に挙げられる。中でも、本発明の液晶表示装置においては、最も効果的に本発明の効果を奏する観点から、液晶セルのセル厚の変動により表示ムラを起こし易い表示モードが望ましく、セル厚が2〜4μmであるVA型表示モード、IPS型表示モード、OCB型表示モードに構成されるのが好ましい。
【0142】
液晶表示装置の基本的な構成態様としては、(a)薄膜トランジスタ(TFT)等の駆動素子と画素電極(導電層)とが配列形成された駆動側基板と、対向電極(導電層)を備えた対向基板とをフォトスペーサーを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成したもの、(b)駆動基板と、対向電極(導電層)を備えた対向基板とをフォトスペーサーを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成したもの、等が挙げられ、本発明の液晶表示装置は、各種液晶表示機器に好適に適用することができる。
【0143】
液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男編集、側工業調査会、1994年発行)」に記載がある。液晶表示装置には、本発明の表示装置用基板を備える以外に特に制限はなく、例えば前記「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載された種々の方式の液晶表示装置に構成することができる。中でも特に、カラーTFT方式の液晶表示装置を構成するのに有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)、1996年発行)」に記載がある。
【0144】
本発明の液晶表示装置は、既述の本発明のパターン構造物付き基板を備える以外は、電極基板、偏光フイルム、位相差フイルム、バックライト、視野角補償フイルム、反射防止フイルム、光拡散フイルム、防眩フイルムなどの様々な部材を用いて一般的に構成できる。これら部材については、例えば「’94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島健太郎、(株)シーエムシー、1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表良吉、(株)富士キメラ総研、2003等発行)」に記載されている。
【実施例】
【0145】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はその主旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0146】
〔実施例1〕
≪スペーサー用感光性樹脂転写材料の作製≫
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体(PET仮支持体)上に、下記処方Aからなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させ熱可塑性樹脂層を形成した。熱可塑性樹脂層の乾燥後の膜厚は表1のようにした。
【0147】
<熱可塑性樹脂層用塗布液の処方A>
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 … 25.0部
(=55/11.7/4.5/28.8[モル比]、重量平均分子量90,000)
・スチレン/アクリル酸共重合体 … 58.4部
(=63/37[モル比]、重量平均分子量8,000)
・2,2−ビス〔4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン
… 39.0部
・界面活性剤1 … 10.0部
・メタノール … 90.0部
・1−メトキシ−2−プロパノール … 51.0部
・メチルエチルケトン … 700部
【0148】
*界面活性剤1
・下記構造物1 ・・・30%
・メチルエチルケトン ・・・70%
【0149】
【化18】



【0150】
次に、形成した熱可塑性樹脂層上に、下記処方Bからなる中間層用塗布液を塗布、乾燥させて、乾燥層厚1.6μmの中間層を積層した。
【0151】
<中間層用塗布液の処方B>
・ポリビニルアルコール … 3.22部
(PVA−205、鹸化率88%、(株)クラレ製)
・ポリビニルピロリドン … 1.49部
(PVP K−30、アイエスピー・ジャパン株式会社製)
・メタノール … 42.3部
・蒸留水 … 524部
【0152】
次に、形成した中間層上に更に、下記に示す処方1からなる感光性樹脂組成物層用塗布液を塗布、乾燥させて、乾燥層厚の感光性樹脂組成物層を積層した。感光性樹脂層の乾燥後の膜厚は表1のようにした。
【0153】
−処方1−
1−メトキシ−2プロピルアセテート 467.6部
コロイダルシリカ分散物(日産化学工業製,MIBKst) 208.6部
ソルスパース20000 4.20部
DPHA液(DPHA76部、1−メトキシ−2プロピルアセテート24部)
86.03部
樹脂B(前記P−25の樹脂の45%溶液※) 159.6部
※樹脂:1−メトキシ−2プロパノール:1−メトキシ−2プロピルアセテート=45部:40部:15部
2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノ)−3’−ブロモフェニル]−S−トリアジン
2.144部
前記構造物1 1.13部
ビクトリアピュアブルー−NAPS(保土谷化学工業製)の5%溶液※ 70.06部
※ビクトリアピュアブルー:MEK:メタノール=5部:70部:25部
【0154】
以上のようにして、PET仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性樹脂組成物層の積層構造に構成した後、感光性樹脂組成物層の表面に更に、カバーフィルムとして厚み12μmのポリプロピレン製フィルムを加熱・加圧して貼り付け、スペーサー用感光性樹脂転写材料(1)を得た。
【0155】
≪カラーフィルタ基板の作製≫
<1.感光性濃色組成物の調製>
−カーボンブラック分散液(K−1)の調製−
下記処方でカーボンブラック分散液(K−1)を調製した。
・カーボンブラック(デグッサ社製 カラーブラックFW2) ・・26.7部
・分散剤(楠本化成製ディスパロンDA7500 酸価26 アミン価40)
・・・3.3部
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=72/28[モル比])共重合体
(分子量30,000、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの50質量%溶液) ・・・10部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・60部
【0156】
上記各成分を3000rpmの条件でホモジナイザーを用いて1時間撹拌した。得られた混合溶液を、0.3mmジルコニアビーズを用いたビーズ分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMANN社製)にて8時間微分散処理を施し、カーボンブラック分散液(K−1)を得た。
【0157】
得られたカーボンブラック分散液(K−1)を用いて、下記処方の感光性濃色組成物塗布液CK−1を調製した。
【0158】
カーボンブラック分散液(K−1) 31.0部
樹脂溶液C−2 3.0部
UV硬化性樹脂C−3 2.0部
重合性化合物C−5 2.2部
開始剤C−7 0.8部
重合禁止剤(メトキシフェノール) 0.0002部
界面活性剤C−8 0.001部
PGMEA 46.0部
EEP 15.0部
【0159】
なお、各成分の詳細は下記のとおりである。
・樹脂溶液C−2:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=85/15モル比)共重合体、(Mw10000、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの50%溶液)
・UV硬化性樹脂C−3:商品名サイクロマーP ACA−250 ダイセル化学工業(株)製〔側鎖に脂環、COOH基、及びアクリロイル基のあるアクリル系共重合体、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%)〕
・重合性化合物C−5:商品名 TO−1382 東亞合成(株)製
(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートの末端OH基の一部をCOOH基に置換した5官能のアクリロイル基を有するモノマーが主成分。)
・開始剤C−7:商品名「OXE−02」 チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社製
・界面活性剤C−8:商品名「メガファックR30」 大日本インキ化学工業(株)製
・溶剤:PGMEA=プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
EEP=3−エトキシエチルプロピオネート
【0160】
<2.塗布によるブラックマトリクスの形成>
−感光性濃色組成物層形成工程−
得られた感光性濃色組成物CK−1を、ガラス基板(コーニング社製ミレニアム 0.7mm厚)にスリットコーター(型番HC6000、平田機工株式会社製)を用いて、ポストベーク後の膜厚が1.7μmとなるようにスリットとガラス基板間の間隔、吐出量を調節して、塗布速度120mm/秒で塗布した。
【0161】
−プリベーク工程、露光工程−
次いで、ホットプレートを用いて、90℃で120秒間加熱(プリベーク処理)を行なった後、ミラープロジェクション方式露光機(型番MPA−8000、キヤノン株式会社社製)を用いて、100mJ/cmで露光した。
【0162】
−現像工程−
その後、水酸化カリウム系現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1.0%現像液(CDK−1を1質量部、純水を99質量部の希釈した液、25℃)でシャワー圧を0.20MPaに設定して、60秒現像し、純水で洗浄して、現像後のブラックマトリクスを得た。
【0163】
−ベーク工程−
次いで220℃のクリーンオーブンで40分間ポストベーク処理し、着色画素形成領域の開口が90μm×200μmで、ブラックマトリクスの厚みが1.7μmで、ブラックマトリクスの線幅が約50μmの格子状ブラックマトリクス基板を形成した。
X-Rite 361T(V)(サカタインクスエンジニアリング(株)製)を用いて、
出来上がったブラックマトリクスの光学濃度(OD)を測定したところ、4.2であった。
【0164】
<3.感光性着色組成物の調製>
− 3−1.赤色(R)用感光性着色組成物塗布液CR−1の調製−
下記処方で赤色(R)用分散液(R−1)を調製した。
・Pigment Red 254(SEM観察での平均粒子径43nm) ・・・11部
・Pigment Red 177(SEM観察での平均粒子径58nm) ・・・4部
・下記分散樹脂A−3 ・・・5部
・分散剤(商品名:Disperbyk−161、ビックケミー社製)
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの30%溶液)・・・3部
・アルカリ可溶性樹脂:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(=75/25[モル比]共重合体、分子量30,000、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%)) ・・・9部
・溶剤B:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・68部
【0165】
上記各成分を、3000rpmの条件でホモジナイザーを用いて1時間撹拌した。得られた混合溶液を、0.3mmジルコニアビーズを用いてビーズ分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施し赤色(R)用分散液(R−1)を得た。
【0166】
得られた赤色(R)用分散液(R−1)を用いて、下記処方で赤色(R)用感光性着色組成物塗布液CR−1を調製した。
・赤色(R)用分散液(R−1) ・・・100部
・エポキシ樹脂:(商品名EHPE3150 ダイセル化学工業社製 ・・・2部
・重合性化合物:ジペンタエリスリトールペンタ・ヘキサアクリレート・・・8部
・重合開始剤:4−(o−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノ−フェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン ・・・1部
・重合開始剤:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1 ・・・1部
・重合開始剤:ジエチルチオキサントン ・・・0.5部
・重合禁止剤:p−メトキシフェノール ・・・0.001部
・フッ素系界面活性剤(商品名:Megafac R30 大日本インキ化学工業社製)
・・・0.01部
・ノニオン系界面活性剤(商品名:テトロニックR150 ADEKA社製)
・・・0.2部
・溶剤:プロピレングリコールn−ブチルエーテルアセテート ・・・30部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・100部
上記成分を混合撹拌し、赤色(R)用感光性着色組成物塗布液CR−1を得た。
【0167】
− 3−2.緑色(G)用感光性着色組成物塗布液CG−1の調製−
下記処方で緑色(G)用分散液(G−1)を調製した。
・Pigment Green 36(SEM観察での平均粒子径47nm) ・・・11部
・Pigment Yellow150(SEM観察での平均粒子径39nm) ・・・7部
・下記分散樹脂A−3 ・・・5部
・分散剤(商品名:Disperbyk−161、ビックケミー社製 30%溶液)
・・・3部
・アルカリ可溶性樹脂:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(=85/15[モル比]共重合体、分子量30,000、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%)) ・・・11部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・70部
【0168】
上記各成分を3000rpmの条件でホモジナイザーを用いて1時間撹拌した。得られた混合溶液を、0.3mmジルコニアビーズを用いたビーズ分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMANN社製)にて8時間微分散処理を施し、緑色(G)用分散液(G−1)を得た。
【0169】
得られた緑色(G)用分散液(G−1)を用いて、下記処方で緑色(G)用感光性着色組成物塗布液CG−1を調製した。
・緑色(G)用分散液(G−1) ・・・100部
・エポキシ樹脂:(商品名EHPE3150 ダイセル化学工業社製) ・・・2部
・重合性化合物:ジペンタエリスリトールペンタ・ヘキサアクリレート ・・・8部
・重合性化合物:ペンタエリスリトールのテトラ(エトキシアクリレート)・・・2部
・重合開始剤:1,3−ビストリハロメチル−5−ベンゾオキソラントリアジン
・・・2部
・重合開始剤:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1 ・・・1部
・重合開始剤:ジエチルチオキサントン ・・・0.5部
・重合禁止剤:p−メトキシフェノール ・・・0.001部
・フッ素系界面活性剤(商品名:Megafac R08 大日本インキ化学工業社製)
・・・0.02部
・ノニオン系界面活性剤(商品名:エマルゲンA−60 花王社製) ・・・0.5部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・120部
・溶剤:プロピレングリコールn−プロピルエーテルアセテート ・・・30部
上記組成を混合撹拌し、緑色(G)用感光性着色組成物塗布液CG−1を得た。
【0170】
− 3−3.青色(B)用感光性着色組成物塗布液CB−1の調製−
下記処方で青色(B)用分散液(B−1)を調製した。
・Pigment Blue 15:6(SEM観察での平均粒子径55nm) ・・・14部
・Pigment Violet 23(SEM観察での平均粒子径61nm) ・・・1部
・下記分散樹脂A−3 ・・・5部
・分散剤(商品名:Disperbyk−161、ビックケミー社製 30%溶液)
・・・3部
・アルカリ可溶性樹脂:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(=80/20[モル比]共重合体、分子量30,000、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%)) ・・・4部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・73部
【0171】
上記各成分を、3000rpmの条件でホモジナイザーを用いて1時間撹拌した。得られた混合溶液を、0.3mmジルコニアビーズを用いてビーズ分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施し、青色(B)用分散液(B−1)を得た。
【0172】
得られた青色(B)用分散液(B−1)を用いて、下記処方で青色(B)用感光性着色組成物塗布液CB−1を調製した。
・青色(B)用分散液(B−1) ・・・100部
・アルカリ可溶性樹脂:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(=80/20[モル比]共重合体、分子量30,000)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%)) ・・・7部
・エポキシ樹脂:(商品名セロキサイド2080 ダイセル化学工業社製)・・・2部
・UV硬化性樹脂:(商品名サイクロマーP ACA−250 ダイセル化学工業社製)
(側鎖に脂環、COOH基、及びアクリロイル基のあるアクリル系共重合体、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%) ・・・4部
・重合性化合物:ジペンタエリスリトールペンタ・ヘキサアクリレート ・・・12部
・重合開始剤:1−(9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル)−1−(o−アセチルオキシム)エタノン ・・・3部
・重合禁止剤: p−メトキシフェノール ・・・0.001部
・フッ素系界面活性剤(商品名:Megafac R08 大日本インキ化学工業社製)
・・・0.02部
・ノニオン系界面活性剤(商品名:エマルゲンA−60 花王社製) ・・・1.0部
・溶剤:3−エトキシプロピオン酸エチル ・・・20部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・150部
上記成分を混合撹拌し、青色(B)用感光性着色組成物塗布液CB−1を得た。
【0173】
<4.分散樹脂A−3の合成>
(1.連鎖移動剤A3の合成)
ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)〔DPMP;堺化学工業(株)製〕(下記化合物(33))7.83部、及び吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する下記化合物(m−6)4.55部を、プロピレングリコールモノメチルエーテル28.90部に溶解させ、窒素気流下、70℃に加熱した。これに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔V−65、和光純薬工業(株)製〕0.04部を加えて3時間加熱した。更に、V−65を0.04部加え、窒素気流下、70℃で3時間反応させた。室温まで冷却することで、以下に示すメルカプタン化合物(連鎖移動剤A3)の30%溶液を得た。
【0174】
【化19】



【0175】
(2.分散樹脂A−3の合成)
前記のようにして得られた連鎖移動剤A3の30%溶液4.99部、メタクリル酸メチル19.0部、及びメタクリル酸1.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテル4.66部の混合溶液を、窒素気流下、90℃に加熱した。この混合溶液を攪拌しながら、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル〔V−601、和光純薬工業(株)製〕0.139部、プロピレングリコールモノメチルエーテル5.36部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート9.40部の混合溶液を2.5時間かけて滴下した。滴下終了してから、90℃で2.5時間反応させた後、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル0.046部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4.00部の混合溶液を投入し、更に2時間反応させた。反応液にプロピレングリコールモノメチルエーテル1.52部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート21.7部を加え、室温まで冷却することで特定分散樹脂A−3(ポリスチレン換算の重量平均分子量24000)の溶液(特定分散樹脂30質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル21質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート49質量%)を得た。
この特定分散樹脂A−3の酸価は48mg/gであった。分散樹脂A−3の構造を以下に示す。
【0176】
【化20】



【0177】
<カラーフィルタの作製>
−感光性着色組成物層形成工程−
得られた赤色(R)用感光性着色組成物塗布液CR−1を、前記ブラックマトリクス基板のブラックマトリクス形成面側に、塗布した。具体的には、感光性濃色組成物層形成の場合と同様に、ポストベーク後の感光性着色組成物層の層厚が約3.0μmとなるようにスリットとブラックマトリクス基板間の間隔、吐出量を調節して、塗布速度120mm/秒で塗布した。
【0178】
−着色層プリベーク工程、着色層露光工程−
次いで、ホットプレートを用いて、100℃で120秒間加熱(プリベーク処理)を行なった後、ミラープロジェクション方式露光機(型番MPA−8000、キヤノン株式会社製)を用いて、90mJ/cmで露光した。
また、露光パターンと、ブラックマトリクスとの重なり(露光重なり量)が8μmとなるようにマスクパターンと露光機を設定した。
【0179】
−着色層現像工程、着色層ベーク工程−
その後、水酸化カリウム系現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1.0%現像液(CDK−1を1質量部、純水を99質量部の希釈した液、25℃)でシャワー圧を0.2MPaに設定して、45秒現像し、純水で洗浄した。
次いで220℃のクリーンオーブンで30分間ポストベーク処理し、熱処理済みの赤色画素を形成した。
【0180】
次いで、上記感光性着色組成物層形成工程、着色層プリベーク工程、着色層露光工程、着色層現像工程、及び着色層ベーク工程において、赤色(R)用感光性着色組成物塗布液CR−1を、緑色(G)用感光性着色組成物塗布液CG−1に代えた他は同様にして、緑色画素を形成した。さらにその後、赤色(R)用感光性着色組成物塗布液CR−1を、青色(B)用感光性着色組成物塗布液CB−1に代えた他は同様にして、青色画素を形成してカラーフィルタを得た。ただし、青色画素のみは露光パターンと、ブラックマトリクスとの重なり(露光重なり量)が図4のように幅25μmの部分と幅8μmとなる部分が存在するようにして画素を形成した。
【0181】
上記より得たカラーフィルタのR画素、G画素、及びB画素並びにブラックマトリクスの上に更に、ITO(Indium Tin Oxide)透明電極を、スパッタリングにより形成した。別途、対向基板としてガラス基板を用意し、同様にITO透明電極をスパッタリングにより形成した。
ブラックマトリクスの部分と、ブラックマトリクスと青色画素とが重なる部分と、の高さの差(図5のH1−H2)は1.8μmであった。H1、H2の値は作製したブラックマトリクスや青色画素の一部を削りガラス面との段差を測定することにより得た。又、測定は三次元表面構造解析顕微鏡(メーカー:ZYGO Corporation、型式:New View 5022)を用いて行った。
【0182】
−フォトスペーサーの作製−
得られたスペーサー用感光性樹脂転写材料(1)を用いてその感光性樹脂組成物層をラミネーターLamicII型〔(株)日立インダストリイズ製〕により、上記で作製したITO膜がスパッタ形成されたカラーフィルタ基板のITO膜上へと転写した。ラミネーターLamicII型には、カバーフイルムの自動剥離機構がついており、カバーフィルム剥離後の露出した感光性樹脂組成物層の表面を、上記基板に重ね合わせて線圧100N/cm、130℃の加圧・加熱条件下で搬送速度2m/分にて貼り合わせた。その後、PET仮支持体を熱可塑性樹脂層との界面で剥離除去し、感光性樹脂組成物層を熱可塑性樹脂層及び中間層と共に転写した(層形成工程)。
【0183】
次に、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)を用いて、マスク(画像パターンを有する石英露光マスク)と、該マスクと熱可塑性樹脂層とが向き合うように配置したカラーフィルタ基板とを略平行に垂直に立てた状態で、マスク面と感光性樹脂組成物層の中間層に接する側の表面との間の距離を100μmとし、マスクを介して熱可塑性樹脂層側から露光量90mJ/cmにてプロキシミティー露光した。図6に示すように露光のパターンは、ブラックマトリクス上およびブラックマトリクス上に重なった青色画素上のそれぞれにフォトスペーサーを形成するようにした。
【0184】
次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30%含有、商品名:T−PD2(富士フイルム(株)製)を純水で12倍(T−PD2を1部と純水11部の割合で混合)に希釈した液)を30℃で50秒間、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し、熱可塑性樹脂層と中間層とを除去した。引き続き、このガラス基板の上面にエアを吹きかけて液切りした後、純水をシャワーにより10秒間吹き付け、純水シャワー洗浄し、エアを吹きかけて基板上の液だまりを減らした。
引き続き、炭酸Na系現像液(0.38モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、0.47モル/リットルの炭酸ナトリウム、5%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、及び安定剤含有;商品名:T−CD1(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を用いて29℃で50秒間、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し、スペーサーのパターン像を得た。
引き続き、洗浄剤(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有;商品名:T−SD3(富士フイルム(株)製))を純水で10倍に希釈した液を用いて33℃で20秒間、コーン型ノズル圧力0.02MPaにてシャワーで吹きかけ、形成されたパターン像の周辺の残渣除去を行ない、所望のスペーサーパターンを得た(パターニング工程)。
【0185】
次に、スペーサーパターンが設けられたカラーフィルタ基板を、240℃下で50分間加熱処理を行ない(熱処理工程)、フォトスペーサー付きカラーフィルタ基板を作製した。
得られたスペーサーパターンは、直径15μmの円柱状であった。又、スペーサーの高さは感光性樹脂層の塗布する厚みを調整し表1のスペーサー高さとなった。尚、スペーサー高さh1及びh2(図7)は、全て三次元表面構造解析顕微鏡(メーカー:ZYGO Corporation、型式:New View 5022)を用い測定した。
【0186】
<液晶表示装置の作製>
別途、対向基板としてTFT基板を用意し、上記で得られたフォトスペーサー付きカラーフィルタ基板の透明電極上及び対向基板上にそれぞれPVAモード用にパターニングを施し、その上に更にポリイミドよりなる配向膜を設けた。
【0187】
その後、カラーフィルタの画素群を取り囲むように周囲に設けられたブラックマトリクス外枠に相当する位置に紫外線硬化樹脂のシール剤をディスペンサ方式により塗布し、PVAモード用液晶を滴下し、対向基板と貼り合わせた後、貼り合わされた基板をUV照射した後、熱処理してシール剤を硬化させた。このようにして得た液晶セルの両面に、(株)サンリッツ製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。
【0188】
次いで、赤色(R)LEDとしてFR1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)、緑色(G)LEDとしてDG1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)、青色(B)LEDとしてDB1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)を用いてサイドライト方式のバックライトを構成し、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し、液晶表示装置とした。
【0189】
〔実施例2〜実施例18〕
実施例1中、転写材料作製時において、感光性樹脂層、熱可塑性樹脂層の塗布膜厚を表1に示すように調製し、ブラックマトリクス上に重なった青色画素を研磨しH1−H2の大きさを表1のように調整する以外は、上記実施例1に記載と同様の方法により、フォトスペーサー付きカラーフィルタ基板を形成し、液晶表示装置を作製した。又、ブラックマトリクス上に重なった青色画素の研磨は液晶カラーフィルター研磨装置(SANSHIN(株)製PL−201−TL)により行ったが、特開2003−185826号公報などの公知の方法で行うことができる。
【0190】
〔比較例1〜6〕
まず、実施例1と同様の方法により、ITO膜形成前までのカラーフィルタ基板を作製した。次に、ブラックマトリクス上に重なった青色画素を研磨しH1−H2の大きさを表1のように調整した。
次に、カラーフィルタのR画素、G画素、及びB画素並びにブラックマトリクスの上に実施例1と同様の方法によりITO膜をスパッタ形成した。
【0191】
−フォトスペーサーの作製−
次に実施例1と同様の方法にて、スペーサー用感光性樹脂転写材料を用いてその感光性樹脂組成物層を、上記で作製したITO膜がスパッタ形成されたカラーフィルタ基板のITO膜上へと転写した。ただし、感光性樹脂層、熱可塑性樹脂層の厚みは表1のようにした。
【0192】
続いて、上記実施例1と同様のパターニング工程及び熱処理工程により、カラーフィルタ基板上にフォトスペーサーを作製した。但し、露光量は300mJ/cm、商品名:T−CD1(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液を用いて29℃で50秒間、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し、スペーサーのパターン像を得た。得られたスペーサーパターンは、直径15μmの円柱状であった。
【0193】
フォトスペーサーの作製後、このカラーフィルタ基板を用い、実施例1と同様にして液晶表示装置を得た。
【0194】
≪評価≫
上記実施例及び比較例の液晶表示装置について、以下の評価を行った。
<コールドバブル>
作製した液晶表示装置を点灯しながら−20℃の条件化で60hr放置し、表示画面内に真空気泡が発生するかを観察した。
採点は官能評価により、下記採点基準にて0点〜3点の点数を付けることにより行った。
〜採点基準〜
0点: 気泡が多くNG。
1点: 気泡は見られるが許容範囲内でありOK。
2点: 気泡がわずかに見られるが比較的良好。
3点: 気泡の発生がなくOK。
【0195】
<圧縮時の表示ムラ>
作製した液晶表示装置を点灯しながら直径2cmの円柱状金属棒の先を画面に押し当て、3Kgの荷重を30分間かけ続けた。
その後、金属棒を取り除き、その部分の表示ムラを評価した。
採点は官能評価により下記採点基準にて0点〜3点の点数を付けることにより行った。
〜採点基準〜
0点: ムラが強く残りNG。
1点: ムラが残るが許容範囲内でありOK。
2点: ムラがわずかに見られるが比較的良好でOK。
3点: ムラが残らずOK。
【0196】
<表示均一性(表示ムラ)>
作製した液晶表示装置を点灯し画面全体での表示ムラを評価した。画面の上下、左右と中央をそれぞれ比較して画面の表示に場所による差があるかを評価した。採点は官能評価により行った。概ね、 追随性 =((h1+H1)−(h2+H2))/(H1−H2)が悪化すると画面内のムラが大きくなった。
採点は官能評価により下記採点基準にて0点〜3点の点数を付けることにより行った。
〜採点基準〜
0点: 表示ムラが強くNG。
1点: 表示ムラがあるが許容範囲内でありOK。
2点: 表示ムラがわずかに見られるが比較的良好でOK。
3点: 表示ムラがなくOK。
【0197】
総合得点は、上記評価項目の点数のうち最も低い点数をもって総合得点とした。これは製品とした時に、ひとつでも悪い性能があれば全体としての性能はそこで決まってしまうからである。この総合得点にもとづいて判定を決めた。
【0198】
以上の評価結果を下記表1に示す。
【0199】
【表1】

【0200】
表1に示すように、実施例1〜比較例18の液晶表示装置は、コールドバブル、圧縮時の表示ムラ、及び表示均一性の全ての評価項目において、良好ないし実用上許容範囲内の結果であった。即ち、実施例1〜実施例18では、柔軟性、弾性回復率、及び面内均一性に優れたフォトスペーサーを簡易な方法で効率よく作製することができた。
一方、比較例1〜比較例4の液晶表示装置は、評価項目の少なくとも1つ以上において実用上の許容範囲を超えていた。
【0201】
以上の実施例では、2種のフォトスペーサーを形成したが、上記実施例と同様の方法により、2種以上のフォトスペーサー、2種以上の配向制御用突起、又は、1種以上のフォトスペーサー及び1種以上の配向制御用突起など、高さの異なる2種以上のパターン構造物を簡易な方法で効率よく形成できることはもちろんである。そして、形成されたパターン構造付き基板を用い、表示ムラが抑制され、表示均一性に優れた液晶表示装置を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0202】
【図1】本発明における感光性層形成工程後、露光工程前の感光性樹脂層付き基板の一例を示す断面図である。
【図2】本発明におけるパターン構造物形成工程後のパターン構造物付き基板の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の一形態であるフォトスペーサー付き基板を示す断面図である。
【図4】本実施例におけるブラックマトリクス及び青色画素形成領域を示す平面図である。
【図5】本実施例におけるカラーフィルタ基板を示す断面図である。
【図6】本実施例におけるフォトスペーサー付き基板を示す断面図である。
【図7】本実施例におけるフォトスペーサー付き基板の測定箇所を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0203】
10 基板
12 下地膜
13 感光性樹脂層
20 感光性樹脂層付き基板
21 ブラックマトリクス
22 着色パターン(着色画素)
24A、24B フォトスペーサー
31 パターン構造物付き基板
H1 下地膜の膜厚が厚い領域Aにおける該下地膜の膜厚(μm)
H2 下地膜の膜厚が薄い領域Bにおける該下地膜の膜厚(μm)
h1 前記領域Aにおける下地膜表面から、該領域A上に設けられたパターン構造物Aの頂点までの基板法線方向についての距離(μm)
h2 前記領域Bにおける下地膜表面から、該領域B上に設けられたパターン構造物Bの頂点までの基板法線方向についての距離(μm)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種以上の膜厚の下地膜を有する基板の該下地膜上に、感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、
形成された感光性樹脂層をパターン露光する露光工程と、
パターン露光された感光性樹脂層を現像して、基板表面から頂点までの高さが異なる2種以上のパターン構造物を形成するパターン構造物形成工程と、
を有し、下記式1及び下記式2を満たすパターン構造物の製造方法。
1.0≧((h1+H1)−(h2+H2))/(H1−H2)≧0.8 … 式1
1.2μm≧((h1+H1)−(h2+H2))≧0.2μm … 式2
H1 下地膜の膜厚が厚い領域Aにおける該下地膜の膜厚(μm)
H2 下地膜の膜厚が薄い領域Bにおける該下地膜の膜厚(μm)
h1 前記領域Aにおける下地膜表面から、該領域A上に設けられたパターン構造物Aの頂点までの基板法線方向についての距離(μm)
h2 前記領域Bにおける下地膜表面から、該領域B上に設けられたパターン構造物Bの頂点までの基板法線方向についての距離(μm)
【請求項2】
下記式3及び下記式4を満たす請求項1に記載のパターン構造物の製造方法。
1.0≧((h1+H1)−(h2+H2))/(H1−H2)≧0.9 … 式3
1.0μm≧((h1+H1)−(h2+H2))≧0.3μm … 式4
H1 下地膜の膜厚が厚い領域Aにおける該下地膜の膜厚(μm)
H2 下地膜の膜厚が薄い領域Bにおける該下地膜の膜厚(μm)
h1 前記領域Aにおける下地膜表面から、該領域A上に設けられたパターン構造物Aの頂点までの基板法線方向についての距離(μm)
h2 前記領域Bにおける下地膜表面から、該領域B上に設けられたパターン構造物Bの頂点までの基板法線方向についての距離(μm)
【請求項3】
下記式5及び下記式6を満たす請求項1又は請求項2に記載のパターン構造物の製造方法。
1.0≧((h1+H1)−(h2+H2))/(H1−H2)≧0.95 … 式5
0.8μm≧((h1+H1)−(h2+H2))≧0.4μm … 式6
H1 下地膜の膜厚が厚い領域Aにおける該下地膜の膜厚(μm)
H2 下地膜の膜厚が薄い領域Bにおける該下地膜の膜厚(μm)
h1 前記領域Aにおける下地膜表面から、該領域A上に設けられたパターン構造物Aの頂点までの基板法線方向についての距離(μm)
h2 前記領域Bにおける下地膜表面から、該領域B上に設けられたパターン構造物Bの頂点までの基板法線方向についての距離(μm)
【請求項4】
前記感光性樹脂層形成工程は、仮支持体上に感光性樹脂層を有する転写材料の該感光性樹脂層を転写することにより、前記基板の前記下地膜上に感光性樹脂層を形成する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のパターン構造物の製造方法。
【請求項5】
前記転写材料が、前記仮支持体と前記感光性樹脂層との間に、熱可塑性樹脂層を有する請求項4に記載のパターン構造物の製造方法。
【請求項6】
前記下地膜が、赤色パターン、緑色パターン、青色パターン、及びブラックマトリクスの少なくとも1種である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のパターン構造物の製造方法。
【請求項7】
前記パターン構造物が、フォトスペーサー及び/又は配向制御用突起である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のパターン構造物の製造方法。
【請求項8】
基板上に、
2種以上の膜厚の下地膜と、
該基板表面から頂点までの高さが異なる少なくとも2種のパターン構造物と、
を該基板側からみてこの順に有し、下記式1及び下記式2を満たすパターン構造物付き基板。
1.0≧((h1+H1)−(h2+H2))/(H1−H2)≧0.8 … 式1
1.2μm≧((h1+H1)−(h2+H2))≧0.2μm … 式2
H1 下地膜の膜厚が厚い領域Aにおける該下地膜の膜厚(μm)
H2 下地膜の膜厚が薄い領域Bにおける該下地膜の膜厚(μm)
h1 前記領域Aにおける下地膜表面から、該領域A上に設けられたパターン構造物Aの頂点までの基板法線方向についての距離(μm)
h2 前記領域Bにおける下地膜表面から、該領域B上に設けられたパターン構造物Bの頂点までの基板法線方向についての距離(μm)
【請求項9】
前記下地膜が、赤色パターン、緑色パターン、青色パターン、及びブラックマトリクスの少なくとも1種である請求項8に記載のパターン構造物付き基板。
【請求項10】
前記パターン構造物が、フォトスペーサー及び/又は配向制御用突起である請求項8又は請求項9に記載のパターン構造物付き基板。
【請求項11】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のパターン構造物の製造方法により製造されたパターン構造物付き基板、又は、請求項8〜請求項10のいずれか1項に記載のパターン構造物付き基板を備えた液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−39022(P2010−39022A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199242(P2008−199242)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】