説明

パチンコ機の入賞装置

【課題】入賞口とともに小入賞口を設けても、構造の簡単なパチンコ機の入賞装置とする。
【解決手段】パチンコ盤に取付ける取付ベース1に入賞口10を開口する。入賞口10を開閉する開閉扉4を横軸周りに回動可能に設ける。取付ベース1の前面には、前面カバー2を設ける。開閉扉4に閉状態においても入賞可能に開口する小入賞口44を設ける。小入賞口44から入賞したパチンコ球は、取付ベース1の背面側に流れ込み、そして、底板34上を流下して通過口35からカウンタ7を通過して下方に流下する。開閉扉4が開状態となり入賞口10から入賞したパチンコ球も、底板34上を流下して通過口35からカウンタ7を通過して下方に流下し、開閉扉4が開閉いずれの状態にあっても、入賞したパチンコ球は同じ流出経路を通過して排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パチンコ盤に取付けられる取付ベースに入賞口を形成し、入賞口を開閉する開閉扉を横軸周りに回動可能に設けたパチンコ機の入賞装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からパチンコ機の遊戯面に取付ベースを取付け、その取付ベースの中央に開口する入賞口に開閉する開閉扉を設けたパチンコ機の入賞装置は、知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、入賞口内の上部左右で球受板を回動可能に軸着して、内側に回動した際には、この球受板がパチンコ球を受けて、入賞口内に誘導する入賞装置を開示している。
【0004】
特許文献2には、入賞口内の下部左右で球受板を回動可能に軸着して、起立すると入賞口を閉鎖してパチンコ球の入賞を防ぎ、また外側に回動して、球受板がパチンコ球を受け、入賞口内に誘導するようにしている。そして、この入賞口の左右に小入賞口を別個設けた入賞装置を開示している。
【0005】
また、特許文献3には、入賞口内の上部左右で球受け板を回動可能に軸着して、球受板が起立して入賞口を覆ってパチンコ球の入賞を防ぎ、また、外側に回動した際には、この球受板がパチンコ球を受けて、入賞口内に誘導している。そして、入賞口の上部には、予め決められている条件で開閉する上小入賞口を設けた入賞装置を開示している。なお、この入賞口の左右にも、左右小入賞口を別個設けている。
【0006】
【特許文献1】特開平05−309161号公報
【特許文献2】特開平11−156010号公報
【特許文献3】特開2001−178900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示された入賞装置では、入賞口が開閉するに止まっている。また、入賞口とともに小入賞口を設けた特許文献2や特許文献3に示された入賞装置では、これらの小入賞口はいずれも入賞口とは別個独立に設けられていて、その開閉動作も、また入賞したパチンコ機の流路も別個に形成されている。このため、入賞装置の構造が複雑になるとともに、機裏の構造も複雑になっている。
そこで、この発明では、入賞口とともに小入賞口を設けても、構造が簡単なパチンコ機の入賞装置とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、請求項1の発明では、パチンコ盤に取付けられる取付ベースに入賞口を形成し、入賞口を開閉する開閉扉を横軸周りに回動可能に設けたパチンコ機の入賞装置において、取付ベースの前面には、前面カバーが設けられるとともに、開閉扉には、閉状態においても入賞可能に開口する小入賞口が設けられている。そして、開閉扉が開閉いずれの状態にあっても、この入賞装置に入賞したパチンコ球は、同じ流出経路を通過して排出される。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、パチンコ盤に取付けられる取付ベースに入賞口を形成し、入賞口を開閉する開閉扉を横軸周りに回動可能に設けたパチンコ機の入賞装置において、取付ベースの前面には、前面カバーが設けられるとともに、開閉扉には、閉状態においても入賞可能に開口する小入賞口が設けられているために、開閉扉が開閉いずれの状態にあっても、この入賞装置に入賞したパチンコ球は、同じ流出経路を通過して排出される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
パチンコ球の入賞装置の構造を簡単にするという目的を、開閉扉に小入賞口を設けて、入賞したパチンコ球が、開閉扉が開放・閉鎖のいずれの状態にあるときも同じ経路を流下していく構造にすることによって実現した。
以下、この発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0011】
図1に示すように、一般にパチンコ機の盤面には、図示を省略した板材に発射装置により発射されたパチンコ球をガイドするガイドレールaが環状に設けられ、この環状に囲まれた盤面の中央にアタッカーと称せられる普通電動役物b、この下方に特別図柄入賞装置cなどが配置されている。そして中央には液晶表示部dが設けられて、普通電動役物bにパチンコ球が入賞すると、液晶表示部dに表示される図柄が所定時間変動するようになっている。そして液晶表示部dに表示される図柄が特定の、いわゆる大当たり状態になると特別図柄入賞装置cが駆動する構成とされている。
【0012】
この実施例では、普通電動役物bとして使用された場合について説明する。入賞装置は、図2,図3に示すように、遊戯盤面に取付けられる取付ベース1には、前面カバー2が前面に、また、背面側に裏箱3が取付けられている。そして、取付ベース1の中央には、横長長方形の入賞口10が開口しており、この入賞口10を開閉可能に開閉扉4が設けられている。
【0013】
取付ベース1の左右には、ベース孔11が形成され、図示しないパチンコ盤面に取付け可能とされている。取付ベース1の中央上部には、小入賞口枠12が取付ベース1の上部で前方に突出して枠状に形成されている。また、入賞口10の左右下部に対応する取付ベース1の前面には、後述する開閉扉4の開閉ピン40を収容する取付溝14が形成されている。また、取付ベース1の背面には、後方に突出して取付枠15が設けられている。
【0014】
開閉扉4は、ピン孔41が形成されていて、開閉ピン40のそれぞれ外側に突出して挿入されている。この突出した部位が取付ベース1の取付溝14に収容されて開閉扉4を取付ベース1に開閉可能に取付けられている。開閉扉4の背面の一端(図3において左端)には、作動突起42が背面に突出して形成され、その下部には後述する作動杆62の先端が挿入される杆挿入凹部43が形成されている(図8、図9参照)。この杆挿入凹部43に挿入された作動杆62が上下動すると、開閉扉4は開閉ピン40を回転中心にして回動して、起立した姿勢で入賞口10を閉じる閉鎖状態と、前方に傾倒して入賞口10を開口する開放状態のいずれかに保持される。
【0015】
また、開閉扉4の中央には、小入賞口枠12の下部位置に対応して、小入賞口44が開口されている。小入賞口44の両側に区画突起45が設けられて、開閉扉4が閉鎖状態であっても小入賞枠12を通過したパチンコ球のみがこの小入賞口44を通過可能とされている。
【0016】
前面カバー2には、図3に示すようにカバー本体20の両袖から後方に延びる取付片21が形成されている。取付片21は、その先端にねじ孔が形成されていて、取付ベース1に形成した取付孔13の部位に当接した上で、裏箱3の背面から図示しない取付ねじにより取付ベース1に取付けられている。これにより、取付ベース1との間に間隔を保持して固定されている。また、前面カバー2の下端中央の背面には、取付ベース1側に傾斜して、パチンコ球を小入賞口44へ誘導する三条の球受片22が突出形成され、また、両側の球受片22の外側にガイド片23が立設されている。これにより小入賞口枠12から落下してくるパチンコ球は球受片22により受け止められて、開閉扉4の小入賞口44を通過し、入賞口10から取付ベース1の背面側に流入するようにされている。
【0017】
裏箱3は、箱板30と、背面板31によって箱板30に取付けられる駆動ソレノイド5と、駆動ソレノイド5の動きを開閉板に伝達する回転板6により形成されている。
【0018】
箱板30には、その上縁に沿って取付縁32が横方向に突出して形成されていて、この取付縁32の前端を取付枠15の背面に密着した状態で、箱板30の上部両側に形成された箱板取付孔33の背面から図示しない取付ねじにより前面カバー2とともに取付ベース1にねじ止めされている。また、箱板30の下端縁には、横向きに底板34が前面へ突出している。
【0019】
この底板34は、図3において、パチンコ球が右側へ誘導される傾斜面とされ、入賞口10から流入したパチンコ球が右側へ転動するようにされている。そして、箱板30の右端に通過孔35が形成されていて、底板34上に流れ込んだパチンコ球は、通過口35から箱板30の背面へ流下していく。そして、箱板30の背面に設けられている近接スイッチ7により、流下するパチンコ球の球数が検出される(図6参照)。
【0020】
裏箱3の背面には、駆動ソレノイド5を固定する背面板31が図示しない固定ねじによって固定されている。なお、駆動ソレノイド5は図示しない制御装置からの励磁信号によって励磁駆動し、駆動ソレノイド5内に図示しない圧縮バネを介してプランジャ50の基端が外側に突出した状態で配設されている。これにより、駆動ソレノイドが消磁している際には、プランジャ50は押し出された状態に配置され、また励磁すると、プランジャ50がコイルスプリングの付勢力に抗して駆動ソレノイド5内に引き寄せられた状態に配置される。
【0021】
回転板6は、図3または図6に示すように、その一側臥は箱板30に開口された軸孔36に固定された回転軸60により回転可能に取付けられている。そして、図7に示すように、プランジャ50の基端に設けられたフランジ部51が回転板6に設けられた係合突起61に係合して、プランジャ50の進退に応じて回転板6が回転可能とされている。
【0022】
また、回転板6には、回転軸60から偏心した他端に作動杆62が突出して形成されている。この作動杆62の先端は、箱板30に設けられた作動杆37を通じて前述した開閉扉4に設けられている杆挿入凹部43内に挿入されている。これにより、この杆挿入凹部43に挿入された作動杆62が上下動すると、開閉扉4は開閉ピン40を回転中心として回動して、起立した姿勢で入賞口10を閉じる閉鎖状態と、前方に傾倒して入賞口10を開口する開放状態のいずれかに保持される。
【0023】
次に、この実施例をいわゆるアタッカーと呼ばれている入賞装置としてパチンコ機の盤面に取付けられて、図示しない制御装置により制御される場合の作用について説明する。
【0024】
パチンコ遊戯中に、駆動ソレノイド5が消磁状態にある際には、図示しない圧縮バネによりプランジャ50が押し出された状態に配置される。これにより、杆挿入凹部43内に挿入されている回転板6の作動突起62が開閉扉4を起立した閉位置に保持して、図4,図5の状態とされる。小入賞口枠12にパチンコ球が入賞すると、そのパチンコ球は、前面板2に設けられた球受片22に受け止められて小入賞口44から取付ベース1の背面側に流れ込み、そして、底板34上を流下して通過口35からカウンタ7を通過して下方に流下していく。このカウンタ7によりパチンコ球が検出されると、図示しない制御装置にその通過信号が伝達される。
【0025】
図示しない制御装置による駆動信号により駆動ソレノイド5が励磁すると、プランジャ50がコイルスプリングの付勢力に抗して内に引き寄せられる。これにより、フランジ部51に係合している回転板6が回転軸60を中心として回転し、作動杆62によって開閉扉4が前方に傾倒して開放状態に保持される。これにより、傾倒している開閉扉4上に落下するパチンコ球は入賞口10から取付ベース1の背面側に流入する。そして、底板34上から通過口35を通ってカウンタ7により通過球がカウントされ、下方に流下していく。
【0026】
このように、開閉扉4が開放・閉鎖のいずれの状態にあるときも、入賞したパチンコ球は、ともに底板34上を流下して通過口35からカウンタ7を通過して下方に流下するため、従来の入賞装置のように開放・閉鎖状態のそれぞれに流下構造を設ける必要が無く、構造の簡単な入賞装置とすることができる。
【0027】
図10は本入賞装置を、特別図柄入賞装置cに適用した実施例を示し、普通電動役物bにパチンコ球が入賞して、液晶表示部dに表示される図柄が所定時間変動し、いわゆる大当たり状態になると、図示しない制御装置により制御が行われる構成とされている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】パチンコ盤面の概略図
【図2】斜視図
【図3】分離斜視図
【図4】中央縦断面図
【図5】図6A−A線断面図
【図6】横断面図
【図7】背面図
【図8】開閉扉を開いた状態の中央縦断面図
【図9】開閉扉を開いた状態で示す図6A−A線断面図
【図10】他の実施例のパチンコ盤面の概略図
【符号の説明】
【0029】
1…取付ベース
2…前面カバー
3…裏箱
4…開閉扉
10…入賞口
12…小入賞口枠
22…球受片
34…底板
44…小入賞口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ盤に取付けられる取付ベースに入賞口を形成し、該入賞口を開閉する開閉扉を横軸周りに回動可能に設けたパチンコ機の入賞装置において、
前記取付ベースの前面には、前面カバーが設けられるとともに、前記開閉扉には、閉状態においても入賞可能に開口する小入賞口が設けられていることを特徴とするパチンコ機の入賞装置。
【請求項2】
前面カバーには、小入賞口内にパチンコ球を誘導する球受片が設けられていることを特徴とする請求項1記載のパチンコ機の入賞装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−87479(P2006−87479A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−273327(P2004−273327)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(595112915)株式会社ヤマダ (10)
【Fターム(参考)】