説明

パチンコ遊技機

【課題】パチンコ球通過領域を前方を透明体ユニット側で被覆する際にパチンコ球を透明体(ガラス板等)に衝突させることなく透明体ユニットを配置することが可能なパチンコ遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ遊技機は遊技面27aと、発射されたパチンコ球を上方に導くとともに遊技領域を区画する内外レール51,52とが配設された遊技盤とを備えている。内外レール51,52によってパチンコ球通過領域49が形成されている。遊技盤の前面に扉枠が装着されている。扉枠の背面側にはガラスユニットが配設されている。同ガラスユニットのガラスフレーム76には遮蔽部92が形成されている。扉枠を遊技盤に対して閉鎖状態とした遮蔽部92はパチンコ球通過領域49に沿って延出されてパチンコ球通過領域49の前方を帯状に遮蔽する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技釘等の障害物に干渉されながらパチンコ球が落下する遊技面を有し、パ
チンコ球発射機構から発射されるパチンコ球を上方に導くレール部材が同遊技面表面に配
設されたパチンコ遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基本的にパチンコ遊技機における遊技では遊技者の能動的なハンドル操作によってパチ
ンコ球発射機構を駆動させてパチンコ球を発射させる。パチンコ球発射機構から発射され
たパチンコ球は与えられた推進力によって遊技領域の下方の助走部を斜めに横切り、レー
ル部材としての外レールに達すると遊技領域外周に沿って弧を描きながら上方に導かれ遊
技領域内に放出されるようになっている。ここに、遊技領域とは遊技面に形成された内・
外レールによって包囲された目視可能な領域を言う。
【0003】
遊技面の前方は扉枠に覆われており、窓部には背面側からガラス板が装着されている。
遊技者は扉枠に形成された窓部からガラス板越しに遊技領域を目視し、遊技領域を遊技
釘等の障害物に干渉されながら落下するパチンコ球を確認することとなる。つまり扉枠に
は遊技者が遊技面に直接手で触ることを防止するためのガラス板による一種のショーウィ
ンドーが設けられることとなる。
更に、従来ではガラス板は遊技領域からレールのパチンコ球が通過する通路部分、つま
りパチンコ球通過領域前方位置にまで拡張されており、レールを滑走するパチンコ球が脱
落して機内に落下しないような押さえ蓋の役割も果たしている。
例えば特許文献1のパチンコ遊技機に基づいてガラス板の押さえ蓋としての機能につい
て簡単に説明する。特許文献1ではその図6に示すように、ガラスフレーム161に対し
て2枚のガラス板165,166を所定間隔を空けて平行に取り付けてガラスユニット1
60が構成されている。そしてこのようなガラスユニット160を図5に示すように前扉
枠13の背面に取り付けるようにしている。この時、同図に示すように二点鎖線で示す視
認領域Raよりも外方はちょうどレール部のパチンコ球通過領域(内レール51と外レー
ル52とで挟まれる領域)に対応して膨出しておりこの間におけるパチンコ球の前方側の
押さえ蓋とされている。これによって発射されたパチンコ球は両レール51,52から前
方にこぼれることなく遊技領域に導かれることとなる。
【特許文献1】特開2004−321715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来からこのようにガラス板でレールのパチンコ球通過領域の前方を被覆し
た場合にパチンコ球とガラス板(上記特許文献1では遊技面側のガラス板)との衝突が問
題となっていた。つまり、パチンコ球通過領域の上部領域ではパチンコ球の勢いはかなり
減殺されいているためあまり問題は生じないが、パチンコ球の勢いが減殺されていないパ
チンコ球通過領域の下部領域では経験上パチンコ球がレールから逸れて当たったり、パチ
ンコ球通過領域内でのパチンコ球同士が衝突した際においてパチンコ球が跳ねてガラス板
に当たりひびが入ってしまう(割れてしまう)不具合が生じることがごくまれにあった。
そのために、ガラス板を交換する必要が生じる場合があった。また、実際にひびが入らな
いまでもパチンコ球通過領域に面したガラス板部分にひび割れの原因となるような小傷が
多くなれば点検の際にひび割れに至らないように交換する必要も生じる。
従来ではこのような不具合を解消するためにレール側に別部材で押さえ蓋を装着してガ
ラス板にパチンコ球が当たらないように対処することもあったが、別部材となる押さえ蓋
をレールに装着することは構成部材の増加と組立工程が多くなることからコストアップに
つながることと、パチンコ球がパチンコ球通過領域内の押さえ蓋位置で詰まってしまうと
押さえ蓋を取り外さなければならないという不具合が発生する可能性があるため根本的な
解決にはなっていなかった。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。そ
の目的とするところは、パチンコ球通過領域の前方を透明体ユニット側で被覆する際にパ
チンコ球を透明体(ガラス板等)に衝突させることなく透明体ユニットを配置することが
可能なパチンコ遊技機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために請求項1の発明では、遊技釘等の障害物に干渉されながら
パチンコ球が落下する遊技領域を有する遊技面を備えるとともに、同遊技面の表面に配置
されパチンコ球が滑走するパチンコ球滑走部と前記遊技領域を外周から包囲して画定する
遊技領域画定部とを備え、同遊技領域画定部が同パチンコ球滑走部に略沿ってその内側を
周回することで両者間にパチンコ球通過通路が形成される弧状に形成されたレール部材を
備えた遊技体と、同遊技体の前面に対し開閉可能に装着され、同遊技体に対して閉鎖され
た状態で前記遊技面を目視させるための窓部を有する扉体と、板状透明体と同透明体を保
持する保持枠体を有し、前記扉体の背面側に配設されて前記窓部を封塞する透明体ユニッ
トとを備え、前記透明体は前記レール部材によって画定される遊技領域と略相似の外形形
状に構成され、前記扉体を前記遊技体に対して閉鎖状態とした際に同透明体は前記遊技領
域前方位置において近接して対峙させられるとともに、前記保持枠体には遮蔽部が設けら
れ、同遮蔽部は同遊技領域に隣接する前記レール部材のパチンコ球通過領域に沿って延出
され同パチンコ球通過領域の前方を帯状に遮蔽することをその要旨とする。
【0006】
上記のような構成では、遊技体は遊技釘等の障害物に干渉されながらパチンコ球が落下
する遊技面を有し、更にその遊技面の表面にはレール部材を備えている。レール部材は弧
状に形成されパチンコ球が上方に導かれるパチンコ球滑走部と、遊技領域を外周から包囲
して画定する遊技領域画定部とを備えており、遊技領域画定部が同パチンコ球滑走部に略
沿ってその内側を周回する(つまり部分的にレールが内外で重複する)ことで両者間にパ
チンコ球通過通路が形成される。このような構成の遊技体の前面には遊技面を目視させる
ための窓部を有する扉体が装着されており、扉体の背面側には窓部を封塞する透明体ユニ
ットが配設されている。透明体ユニットは板状の透明体と透明体を保持する保持枠体を有
している。
このような構成において、透明体はレール部材によって画定される遊技領域と略相似の
外形形状に構成されている。そして、扉体を前記遊技体に対して閉鎖状態とした際に透明
体は前記遊技領域前方位置において近接して対峙させられるようになっている。更に、保
持枠体には遮蔽部が設けられ、扉体を前記遊技体に対して閉鎖状態とした際に遮蔽部はパ
チンコ球通過領域に沿って延出されてパチンコ球通過領域の前方を帯状に遮蔽するように
なっている。
【0007】
このような構成のパチンコ遊技機においては、パチンコ球発射装置によってパチンコ球
が打ち出されるとパチンコ球はパチンコ球滑走部を滑走して周回しながら上昇し遊技面に
達した後、重力に従って落下することとなる。この時、パチンコ球はパチンコ球滑走部と
遊技領域画定部とによって挟まれたパチンコ球通過通路を通過するが、すべての発射され
たパチンコ球が常に同じ軌跡で滑走するわけではない。パチンコ球発射装置から発射され
る際の微妙な飛び出し方向のずれによって滑走軌跡はパチンコ球毎に微妙に異なる。更に
、初速が遅かったために遊技面に至らずパチンコ球通過通路を逆戻りするパチンコ球もあ
るため、パチンコ球同士が衝突することもある。これらの理由から、パチンコ球はパチン
コ球通過通路を通過する際に周囲の壁面に接触したり衝突したりすることとなる。特にパ
チンコ球の発射時の勢いが衰えていないパチンコ球通過通路の通路入り口から通路全体の
前半部分ではパチンコ球は特に強く周囲の壁面に接触(衝突)する。
この際に透明体は遊技領域と略相似の外形形状に構成されているため遊技者が遊技のた
めに目視する遊技領域が保持枠体によって隠れてしまうこともなく、遊技者は遊技領域を
良好に目視できる。一方、透明体は遊技領域と略相似の外形形状に構成されることから扉
体の閉鎖状態においてパチンコ球通過領域前方を遮蔽することはできないが、透明体ユニ
ットの保持枠体の一部をなす遮蔽部が透明体に代わってパチンコ球通過領域の前方を帯状
に遮蔽することとなる。そのため、パチンコ球が透明体と接触したり衝突したりすること
はなく、透明体にひびや傷が入ることもない。
パチンコ球通過領域の前方を遮蔽する遮蔽部は通路入り口からパチンコ球通過領域の長
手方向に沿って延出され、少なくともパチンコ球の発射時の勢い(推進力)が衰えていな
い通路前半部分において帯状に遮蔽されることが必要である。そして、発射時の勢いが衰
えた通路中半〜後半部分にかけて延長されることがより好ましい。また、パチンコ球通過
領域は最終的には遊技領域に接続されるが、この遊技領域との接続部付近は一般に透明体
に傷が入るほどにはパチンコ球に勢いはないので必ずしも遮蔽される必要はない。
【0008】
ここに、遊技体とはパチンコ遊技機の本体となるべきパネル部分を構成する。遊技面を
備える他にパチンコ球発射機構や遊技に関する各種制御機構やパチンコ球を貯留するタン
ク等をそなえており、狭義には一般にパチンコ遊技機で遊技機本体(本体枠)と呼称され
る構成部分が相当する。遊技体は複数のパネルの複合体であっても構わない。
板状の透明体とは遊技面に接触できないようにその前面を遮蔽して保護するとともに遊
技面の目視を可能とする素材であれば限定はされない。一般にガラスやプラスチックから
構成される。ガラスは強化ガラスや合わせガラスと使用することが好ましい。また、一枚
のみで構成しても複数枚数を前後方向に重複状に配置するようにしても構わない。
レール部材は完全に遊技領域を包囲する必要はない。従って、レール部材単独で遊技領
域を区画しなくとも他の部材と協同して遊技領域が画定されれば足る。レール部材の材質
は一般的にパチンコ遊技機に使用されるものであれば限定されることはない。
【0009】
また、上記の目的を達成するために発明2では請求項1に記載の発明の構成に
加え、前記透明体ユニットは所定間隔離間した複数枚数の前記透明体の外周部を前記保持
枠体によって包囲することで隔離された内部空間を形成するとともに、前記遮蔽部の一部
には収納部が形成され同収納部内には乾燥剤が収納されるとともに、同収納部と前記内部
空間とが連通することをその要旨とする。
透明体ユニットは遊技領域と略相似の外形形状に構成されているため収納部を遊技領域
内に配置する余裕はない。そのため遮蔽部の一部に収納部を形成し、その収納部と内部空
間とを連通させることで内部空間の乾燥化を可能としている。これによって遮蔽部はパチ
ンコ球通過領域を遮蔽すると同時に乾燥剤を収納する収納部を兼ねることとなって、別途
収納部を遮蔽部以外の保持枠体に形成しなくてもよくなり、スペース的な余裕のない扉体
背面位置での省スペース化に貢献する。
【0010】
また、上記の目的を達成するために発明3では請求項1に記載の発明又は発明2の構成
に加え、前記遮蔽部の前面には前記収納部が露出され、同収納部は側方に張り出し形成さ
れた前記透明体の張り出し部によって覆われていることをその要旨とする。
このような構成とすることによって、収納部の押さえ蓋を別途用意する必要がなく、な
おかつ透明体を通して目視できるため乾燥剤の吸湿状況を確認することが容易となる。
【0011】
また、上記の目的を達成するために発明4では請求項1に記載の発明又は発明2、3の
いずれかの構成に加え、前記透明体は前記パチンコ球通過領域側にわずかに張り出して形
成されるとともに、同パチンコ球通過領域を通過するパチンコ球は同透明体の張り出し部
分に接触しないことをその要旨とする。
パチンコ球は球体であるためコーナー部分に対して接触できず必ず若干の隙間を有して
周囲の壁面と接することとなる。そのため、透明体がパチンコ球通過領域に張り出してい
てもパチンコ球の径と張り出し量の関係からパチンコ球が透明体に当接させないようにす
ることは可能である。そして、このように透明体がパチンコ球通過領域まで張り出すこと
によって、より扉体の窓部を大きく構成することができ、視認性を向上させることができ
るとともにパチンコ通過領域を通過するパチンコ球を透明体を通して目視することも可能
となり、遊技の興趣が増すこととなる。
【0012】
また、上記の目的を達成するために発明5では請求項1に記載の発明又は発明2,3,
4のいずれかの構成に加え、前記遮蔽部には振動吸収手段が併設されていることをその要
旨とする。
上記のようにパチンコ球通過領域を通過するパチンコ球は周囲の壁面と(衝突)接触す
る可能性がある。特に、遮蔽部は透明体ユニットの保持枠体に一部であって、扉体に装着
されているため、遮蔽部と(衝突)接触するとその振動が扉体前方に伝わってハンドル等
を操作する遊技者が感じるところとなって遊技に集中できない可能性がある。そのため、
め遮蔽部に振動吸収手段を併設することで極力遮蔽部への(衝突)接触した際の振動や音
を抑制するものである。
ここに、振動吸収手段としては振動吸収用のシート体を遮蔽部背面に接着することが考
えられる。
【発明の効果】
【0013】
上記各請求項に記載された発明では、透明体は遊技領域と略相似の外形形状に構成され
ているため遊技者が遊技のために目視する遊技領域が保持枠体によって隠れてしまうこと
もなく、遊技者は遊技領域を良好に目視できるとともに、扉体の閉鎖状態において透明体
ユニットの保持枠体の一部をなす遮蔽部がパチンコ球通過領域の前方を帯状に遮蔽するこ
ととなるため、パチンコ球が透明体と衝突することはなく、従って透明体にひびや傷が入
ることもない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を応用した実施の形態のパチンコ遊技機の正面図。
【図2】同じパチンコ遊技機の側面図。
【図3】同じパチンコ遊技機の扉枠を開放した状態の平面図。
【図4】同じパチンコ遊技機の分解斜視図。
【図5】同じパチンコ遊技機において扉枠と遊技盤を除いた状態の正面図。
【図6】同じパチンコ遊技機において扉枠を除いた状態の正面図。
【図7】図6において扉枠側のガラスフレームとの重複関係を説明する説明図。
【図8】同じパチンコ遊技機の扉枠の背面図。
【図9】図8の背面図からガラスユニットを取り外した状態の背面図。
【図10】ガラスフレームの背面図。
【図11】ガラスユニットの正面図。
【図12】図10のE−E線における断面図。
【図13】図10のF−F線における一部省略断面。
【図14】ガラスフレームの背面からの斜視図。
【図15】図12のR3に包囲された部分の拡大図。
【図16】図11のG−G線における断面図。
【図17】(a)は前面側、(b)は後面側のガラス板の正面図。
【図18】ガラスフレームをクランプレバーによって固定する状態を説明する部分拡大側面図であって(a)は固定前、(b)は固定状態。。
【図19】ガラスフレームをクランプレバーによって固定する状態を説明する部分拡大背面図。
【図20】ガラスフレームをクランプユニットによって固定する状態を説明する部分拡大側面図であって(a)は固定前、(b)は固定状態。
【図21】図7のA−A線における図6及び図7を合成した図面の断面図。
【図22】図7のB−B線における図6及び図7を合成した図面の断面図。
【図23】図7のC−C線における図6及び図7を合成した図面の断面図。
【図24】図7のD−D線における図6及び図7を合成した図面の断面図。
【図25】ガラスフレームの遮蔽部とパチンコ球発射通路との重複関係を説明する説明図。
【図26】図25のG−G線における断面図。
【図27】他の実施の形態のガラスユニットの正面図。
【図28】他の実施の形態におけるガラスユニットと起毛テープの使用方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の各実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1〜図6に示すように、パチンコ遊技機11は支持枠体としての外枠12を備えてい
る。外枠12は、遊技ホールへの設置の際にいわゆる島設備に取り付けられる。外枠12
は上下左右の各枠板12a〜12dによって四角形に枠組みされた木製の枠体とされてい
る。下部枠板12d上面には幕板13が配設されている。
外枠12内には本体枠14が装着されている。遊技体の一部をなす本体枠14はパチン
コ遊技機の構造的な中核を形成するパネル状の構成部材であって、外枠12内において幕
板13上に配置されている。図4及び図5に示すように、本体枠14は正面視において略
長方形の外郭を備えたABS製のパネルとされている。本体枠14は正面から見て左方寄
りにおいて上下に配設された開閉金具15の開閉軸線P(図4参照)を軸心として外枠1
2に対して前方側に開放可能とされている。
【0016】
図5及び図6に示すように、本体枠14の下部領域には本体枠側機構部16が形成され
ている。本体枠側機構部16を正面から見て右方にはパチンコ球発射ユニット17が配設
されている。パチンコ球発射ユニット17はソレノイド等から構成された発射部18と、
発射部18にパチンコ球を順に送出する送球部19及び補助レール20から構成されてい
る。本体枠側機構部16の正面から見て左方には上部パチンコ球流入路21と下部パチン
コ球流入路22がそれぞれ配設されている。両パチンコ球流入路21,22間にはバイパ
ス通路23が形成されている。下部パチンコ球流入路22の上方にはファール球通路24
が形成されている。バイパス通路23及びファール球通路24はユニット化されている。
本体枠側機構部16の裏面側にはすべての遊技球を回収して一旦機外に放出させるための
遊技球回収通路26が形成されている(図4参照)。
【0017】
本体枠側機構部16の上方には遊技盤取り付けスペース25が形成され、遊技盤27が
同スペース25内に配設されている。同スペース25は遊技盤27が載置される棚部28
(図4参照)と、略楕円形状に切り欠き形成された窓孔29を有している。窓孔29の周
囲は棚部28に載置された遊技盤27の前面周縁が当接する前板部30とされている。図
4に示すように、木製の遊技盤27の外郭は略正方形形状とされ、棚部28に載置された
状態で図示しない係止手段によって前板部30に対して圧着固定される。図6に示すよう
に、遊技盤27は同スペース25に配設された状態で前面に形成された遊技面27aが窓
孔29から前方に露出される。窓孔29を包囲する壁面31の一部は後述する遊技領域の
一部を画定する。
【0018】
遊技体の一部をなす遊技盤27には遊技面27aから裏面に貫通する大小複数の開口部
が形成され、各開口部にはそれぞれ目的に応じた各種装飾パネルが併設されている。遊技
盤27の略中央には可変表示ユニット35が配設されている。可変表示ユニット35は大
型の液晶ディスプレイ36を備えている。図4に示すように可変表示ユニット35は遊技
盤27背面に配置される表示制御装置37を備えている。可変表示ユニット35の直下に
は始動口38が配置されており、さらにその下方にいわゆる大入賞口と呼称される可変入
賞装置39が配置されている。可変表示ユニット35の左右両側にスルーゲート40が配
置され、始動口38の左右両側方向には一般入賞口41がそれぞれ複数配置されている。
遊技盤27の最下部位置にはアウト口42が設けられており、各種入賞口等に入らなかっ
た遊技球はアウト口42を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになってい
る。遊技盤27の表面には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の遊技
釘が植設されている。また、風車43等の各種部材(役物)が配設されている。
【0019】
遊技盤27の遊技面27a上には、レール部材としての外レール51と内レール52が
装着されている。遊技盤27が本体枠14の遊技盤取り付けスペース25に配設された状
態で両レール51,52及び前記本体枠14側の窓孔29を包囲する壁面31の一部によ
って遊技面27aに遊技領域が画定されている。
図6に示すように、外レール51は前記パチンコ球発射ユニット17の補助レール20
の正面から見て左斜め上方であって、同補助レール20の延長方向にファール球通路24
上方の空間を隔てた位置にその基端が配置されている。外レール51は円弧状に形成され
基端から時計回り方向に上方に向かって延出され遊技面27aの頂点から若干進んだ位置
(遊技面27aを時計のダイヤルと見立てた場合の略2時方向位置)にその先端が配置さ
れている。
【0020】
内レール52は遊技面27aを時計のダイヤルと見立てた場合の略4時方向に基端が配
置されている。内レール52は円弧状に形成され、基端から時計回り方向に下方に向かっ
て延出され、前記アウト口42前面を略水平に横切った後、外レール51の内周側を上方
に向かって延出され、遊技面27aの頂点の手前位置(遊技面27aを時計のダイヤルと
見立てた場合の略10時方向位置)にその先端が配置されている。内レール52の先端に
は遊技面27aに打ち出された遊技球(パチンコ球)の逆進を防止するための片持ちの舌
片が形成された逆進防止部材55が装着されている。円弧状の内レール52の最下方位置
はアウト口42と交差する位置とされている。両レール51,52は正面から見てアウト
口42の左方位置から逆進防止部材55位置(つまり内レール52の先端)にかけて隣接
して配置されパチンコ球発射通路49が形成されている。
【0021】
図7に示すように、パチンコ球発射通路49はその入り口49aから外側方に拡がると
ともに同時に上昇していくような(上昇と側方への両方向へのベクトルを合成して構成さ
れる方向)円弧状のカーブを描く前半部Pと、側方へのベクトルはほとんど消失して上昇
方向のみのベクトルから構成される中半部Qと、逆に内側方に戻るとともに同時に上昇し
ていくような円弧状のカーブを描く後半部Rとの大きく分けて3つの通過領域を備えてい
る。パチンコ球は前半部Pにおいては発射の勢いは減衰していくものの比較的強い推進力
を維持したまま通過することとなる。しかし、中半部Qではパチンコ球はほとんど上昇方
向のみの進行となるため急激に推進力は減衰する。そして、後半部Rでは更に勢いは衰え
遊技領域への飛び出しと同時に放物線を描いて落下に転ずることとなる。もちろん、ハン
ドル73の操作によってパチンコ球の推進力は調節可能であるが、いずれにしてもパチン
コ球発射通路49を通過するすべてのパチンコ球の勢いは前半部P>中半部Q>後半部R
で徐々に弱まっていく。
【0022】
外レール51及び内レール52は帯状の同幅に形成されたステンレス製薄板条体から構
成されている。図6に示すように、両レール51,52の一側には適度な間隔を開けて釘
53が突設されている。両レール51,52は遊技面27a側縁部に対して釘53を食い
込ませて固定されている。両レール51,52は遊技面27aに対して前方に向かって略
垂直に立設されている。本実施の形態では両レール51,52の幅は16.5mmとされ
ている。
外レール51の先端と内レール52の基端との間には両レール51,52は配設されて
おらず、窓孔29の壁面31の一部となる内周壁56によって遊技領域が画定されている
。内側壁56は両レール51,52の曲率に略応答した曲率で弧状の壁面として構成され
ている。
【0023】
遊技球(パチンコ球)はパチンコ球発射ユニット17によって打ち出されると補助レー
ル20を滑走した後、外レール51に乗り移り外レール51を更に滑走しながら外レール
51と内レール52との間のパチンコ球発射通路49を上方に向かって進み遊技面27a
に飛び出す。この時、パチンコ球発射ユニット17による打ち出し力が弱く補助レール2
0から外レール51に乗り移ることができなかったり、外レール51に乗り移っても遊技
領域まで至らなかったパチンコ球は落下してファール球通路24に導かれる。
遊技領域に放出された遊技球は落下しながら遊技釘、装飾パネルあるいは各種役物等と
干渉して弾かれながら降下し、途中始動口38、可変入賞装置39及び一般入賞口41に
入賞する球以外はすべて内レール52上に落下し、同内レール52を伝わって最下部位置
のアウト口42に導かれる。入賞した入賞球、アウト口42に導かれたアウト球は遊技盤
27背面の遊技球回収通路26に集合し、機外に一旦放出される。
【0024】
本体枠14の前面には扉体としての扉枠61が配設されている。図1、図2、図8及び
図9に示すように、扉枠61は本体枠14の正面から見た外郭と略一致した長方形形状の
外郭の正面形状を有している。扉枠61は本体枠14に対して開閉可能に取り付けられて
いる。扉枠61は本体枠14と同様前記開閉金具15の開閉軸線Pと同軸に取り付けられ
た開閉金具54を軸心として前方側に開放可能とされている。そのため、本体枠14は外
枠12に対して開閉可能とされるとともに、扉枠17は外枠12と本体枠14のそれぞれ
に対して独立して開閉可能とされている。扉枠61はABS樹脂製のパネル体であって、
内部に縦横に配設された図示しない合金製の補強リブによって補強されている。
【0025】
図1、図8及び図9に示すように、扉枠61には遊技者が遊技面27aを目視するため
の窓部としての目視用窓孔62が形成されている。目視用窓孔62は略楕円形状に形成さ
れ、扉枠61が本体枠14に対して閉鎖された状態で同本体枠14側の窓孔29と対峙す
る。図9に示すように、扉枠61の裏面側であって目視用窓孔62の周囲には後述するガ
ラスユニット75の位置決め用の取り付けスペース57が形成されている。取り付けスペ
ース57の周囲には所定の位置(本実施の形態では3箇所)にガラスユニット75固定用
のクランプレバー58が配設されている。クランプレバー58周辺の構造については後述
する。扉枠61の裏面側であって目視用窓孔62の上部には横長の収容部59が形成され
ている。収容部59内にはクランプユニット60が吊り下げ支持されている。収容部59
及びクランプユニット60周辺の構造については後述する。
【0026】
扉枠61の前面側であって、目視用窓孔62の左右及び上方には前方に膨出した装飾用
パネル63が配設されている。装飾用パネル63内にはスピーカ装置65(図8及び図9
参照)や図示しない装飾ランプが配設されている。目視用窓孔62の下方位置には、前側
へ膨出した第1の膨出部66が設けられ、その第1の膨出部66内側が上受け皿67とさ
れている。上受け皿67は後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列
に整列させながらパチンコ球発射ユニット17に導くための球貯留部である。上受け皿6
7内部の上流位置には裏面に連通する通路68が形成されている(図8及び図9参照)。
同通路68は前記本体枠14側の上部パチンコ球流入路21と接続され後述する遊技球供
給装置121から供給されるパチンコ球を上受け皿67に導入させる。
【0027】
第1の膨出部66の下方位置には、前側へ膨出した第2の膨出部70が設けられ、その
第2の膨出部70内側が下受け皿71とされている。下受け皿71はバイパス通路23及
びファール球通路24から流下するパチンコ球を貯留したり、遊技者の能動的な操作に基
づいて上受け皿67から流下させたパチンコ球を貯留するための補助的な球貯留部である

装飾用パネル63、第1の膨出部66及び第2の膨出部70は全体としてデザイン的な
統一が図られている。
正面から見て下受け皿71の左方には灰皿72が配設されている。下受け皿71の右方
にはパチンコ球発射ユニット17と連動する遊技球打ち出し用ハンドル73が前方に突出
形成されている。
【0028】
図8に示すように、扉枠61の裏面には透明体ユニットとしてのガラスユニット75が
配設されている。ガラスユニット75は扉枠61に形成された前記取り付けスペース57
内に配置されている。図10〜図20に基づいてガラスユニット75について説明する。
ガラスユニット75は、モールド成形によって一体的に製造されたABS樹脂製のガラ
スフレーム76を備えている。ガラスフレーム76には前後二枚のガラス板77,78が
所定間隔を開けて平行に装着されている。本実施の形態では、ガラスフレーム76が保持
枠体に相当し、ガラス板77,78が透明板に相当する。
ガラスフレーム76は楕円環状の外形形状を有し、細枠部79と細枠部79の一部が外
方に拡張された膨出部80とから基本形状が構成されている。
細枠部79は周方向に延出された平板部81と平板部81内周において径方向に突起し
た凸条82を備えている。凸条82はガラスフレーム76の全周に渡って延出され、同凸
条82に包囲された内周は楕円形状をなしている。図15に示すように、ガラスフレーム
76には平板部81の凸条82によって分割された内周面81a,81bと凸条82の両
側面82a,82bとによって前後にガラス板支持部83a,83bが構成されている。
図15に示すように、平板部81の前面81Aと後面81Bとの間がガラスフレーム7
6の厚みLとされている。
【0029】
膨出部80はガラスフレーム76の扉枠61への装着状態で正面からみて細枠部79の
左斜め下方向の側部(背面からの目視となる図8では右斜め下方向の側部)から外方に向
かって膨出状に形成されている。膨出部80の厚み(幅)は細枠部79の平板部81と同
幅に形成されている。つまり膨出部80も平板部81の前面81A及び後面81Bとによ
って画定される厚みLに構成されている。
膨出部80は頂点が丸く面取りされた略二等辺三角形の外形形状とされている。膨出部
80の表面側(図11で示される面)には凹部84が形成されている。図11及び図16
に示すように、凹部84内においてリブ85で区画された収容領域Sには乾燥剤86が収
容されている。乾燥剤86は例えばゼオライトやシリカゲル等の周知の乾燥剤を使用する
ことが可能である。
図10に示すように、膨出部80の表面側においては細枠部79から膨出部80方向に
延設された平板部81は膨出部80の外郭に沿って凹部84を包囲するように配置されて
いる。また、膨出部80の表面側においては凸条82の側面82aは細枠部79から膨出
部80方向に延設され平板部81に沿って凹部84を包囲するように配置されている。
一方、膨出部80の脊面側(図10で示される面)では平板部81及び凸条82の側面
82bは膨出部80方向に延設されず楕円環状を構成する。
【0030】
ガラスフレーム76には扉枠61への装着状態における正面側からの目視状態において
(図11の状態)左側上部位置に上部ブラケット88が形成されている。上部ブラケット
88先端には下方に向かって突起した回動軸89が形成されている。膨出部80の外方に
は下部ブラケット90が形成されている。下部ブラケット90先端には下方に向かって突
起した回動軸91が形成されている。両回動軸89,91の軸心は同一直線上に存在する

ガラスフレーム76の上部ブラケット88と膨出部80の間には側部耳板部93が張り
出し形成されている。膨出部80の下方位置には下部耳板部94が外方に向かって張り出
し形成されている。
【0031】
図10に示すように、扉枠61への装着状態側からの目視状態において、上部ブラケッ
ト88、膨出部80、側部耳板部93及び下部耳板部94はそれぞれ隣接する部分と一体
的に連結されガラスフレーム76裏面の側方位置にガラスフレーム76の湾曲に沿った、
つまり内レール52の湾曲に略沿った帯状の遮蔽部92を形成する。遮蔽部92の裏面は
平板部81の後面81Bと同一平面上にある。
細枠部79の上部には左右一対のフック95が形成されている。ガラスフレーム76の
扉枠61への装着状態で正面からみて右側の上下寄りには位置決め用の位置決め板96が
併設された2つの押さえ板97が外方に向かって張り出し形成されている。細枠部79の
下部には押さえ板98が外方に向かって張り出し形成されている。これらフック95及び
押さえ板97,98も平板部81の厚み内に収まっている。
【0032】
図10、図12〜図15に示すように、ガラスフレーム76において平板部81の後面
81Bから後方に向かって突出部としての庇部99が突設されている。図12、図17等
に示すように、庇部99の内周面(図10において上方)は平板部81の内周面81bと
面一とされ、膨出部80から下部側の押さえ板97の間にかけて配設されている。図11
及び図12に示すように、庇部99は左右両サイド寄りを除いて同幅(本実施の形態では
5mm)に形成され、左右両サイド寄りでは端方向ほど突出量が少なくなるよう先細りに
構成されている。
平板部81の後面81Bは庇部99を除いてガラスフレーム76の裏面側における本体
枠14への最接近位置とされ、図12〜図14に示すように、平板部81の裏面側端面、
上部ブラケット88の裏面、膨出部80の裏面、側部耳板部93の裏面及び下部耳板部9
4の裏面の各面はそれぞれ平板部81の後面81Bと同一平面上に存在する。つまり、ガ
ラスフレーム76は庇部99以外に後面81Bが属する平面F(図12及び図13参照)
よりも後方側に突出することはない。
【0033】
図17に示すように、前記ガラス板77,78はそれぞれ装着されるガラスフレーム7
6のガラス板支持部83a,83bの形状(平板部81の内周面81a,81b形状と考
えてもよい)に対応した外形形状を備えている。前面側ガラス板77は膨出部80に対応
して異形に構成され、後面側ガラス板78は楕円形状に構成されている。本実施の形態で
は前面側ガラス板77は強化ガラス製とされ厚みは3.2mmとされている。また、後面
側ガラス板78は間にフィルムを介在させた二枚合わせの合わせガラス製とされ厚みは4
.2mmとされている。前面側ガラス板77を強化ガラス製としたのは主として防犯上の
観点からであり、後面側ガラス板78を合わせガラス製としたのは主として遊技領域を落
下するパチンコ球の同ガラス板78に衝突する音や衝撃を緩和するためである。
【0034】
ガラス板77,78はガラスフレーム76に対して凸条82を挟んでそれぞれガラス板
支持部83a,83bに嵌合されている。両ガラス板77,78によって挟持された内部
空間は密閉状態で、かつ上記乾燥剤86によって乾燥状態に保持されている。前面側ガラ
ス板77は膨出部80の前面を覆い、同前面側ガラス板77を通して乾燥剤86を目視す
ることが可能である。このように乾燥剤86を前面側ガラス板77を通して目視できるこ
とから乾燥剤86の吸湿に伴う変色を実見して確認して交換することも可能となる。尚、
ガラスフレーム76にはガラス板77,78は取り付けの際に内部の圧縮空気を外部に逃
がすための逃がし穴(図示は省略する)が設けられており、両ガラス板77,78を接着
剤で固着したのち、同逃がし穴が目張りされて内部が気密状態とされる。
図15に示すように、両ガラス板77,78は外周縁を平板部81の内周面81a,8
1bに当接させた状態で接着剤としてのグルー剤(図示せず)によって凸条82の両側面
82aに対して貼着されている。図21〜図24に図示されるようにガラス板77,78
の外表面位置はそれぞれ平板部81の前後面81A,81Bと面一ではなくわずかに前後
面81A,81Bより内方に後退した位置(約1mm程度の後退量)とされている。
【0035】
図8及び図9に示すように、ガラスユニット75の前記回動軸89,91は扉枠61の
裏面に配設された上下の軸受け金具100に軸支されている。ガラスユニット75は回動
軸89,91を軸心として扉枠61に対して後方側に開放可能とされている。ガラスユニ
ット75は扉枠61の裏面に対して密着させられた状態で前記フック95及び押さえ板9
7,98において固定部材によって固定されている。図18〜図20に基づいて2点鎖線
で包囲された領域R1及び領域R2における固定状態について説明する。
【0036】
まず、領域R1について説明する。図8、図9及び図20に示すように、収容部59内
にはクランプユニット60が吊り下げ支持されている。本実施の形態ではクランプユニッ
ト60の基本的な構造のみを説明する。クランプユニット60のケース105内中央には
レバー106が回動軸104によって回動可能に軸支されている。ケース105内におい
てレバー106を挟んだ左右位置であって、かつ前後方向にずれた位置にクランプピン1
07,108がそれぞれ配設されている。両クランプピン107,108は同形状に構成
された部材をそれぞれ左右方向に先端が向くように逆向きに対向配置したものであって、
両クランプピン107,108の基部寄りはレバー106の回動軸104を挟んで対向す
る部位に軸支されている。その結果、両クランプピン107,108とレバー106との
間にリンク機構が形成される。両クランプピン107,108はレバー106の回動に伴
って長孔110に案内されてケース105を左右にスライド移動する。
【0037】
レバー106が図20(a)に示す前方へ突出した位置にある場合には両クランプピン
107,108はケース105内に退避されている。そして、レバー106を図20(b
)のケース105の厚み内に収容される位置に回動させることで両クランプピン107,
108はそれぞれ先端がケース105から左右方向に突出する。
このような構成において、図20(a)に示すような両クランプピン107,108を
ケース105内に退避させた状態、つまり両クランプピン107,108がフック95と
干渉しない状態でフック95を収容部59内に収容させる。つまり、クランプユニット6
0のケース105が左右のフック95間に配置されることとなる。そして、図20(b)
に示すようにレバー106を回動させることで両クランプピン107,108をケース1
05から突出させ左右のフック95の前方位置まで進出させる。これによって、フック9
5は両クランプピン107,108によって押さえられ扉枠61側に固定されることとな
る(図8の状態)。
【0038】
次に領域R2について説明する。尚、本実施の形態ではクランプレバー58は3箇所に
配設されているが、説明の重複を避けるため詳しい説明は領域R2で代表させることとす
る。
ガラスユニット75は前記取り付けスペース57内に配置されている。図19に示すよ
うに、位置決め板96に形成された位置決め孔110内には扉枠61裏面に形成された位
置決めピン111が配置されている。クランプレバー58は回動軸112と押圧アーム1
13を備えている。クランプレバー58の押圧アーム113は図8に示す使用時において
図18(b)及び図19の実線で示す位置で押さえ板97を固定している。
一方、扉枠61裏面上のクランプレバー58に隣接する位置にはストッパ115及び押
圧丘116が形成されている。押圧丘116はなだらかに湾曲した丘状の突起体であって
、押圧アーム113の裏面と干渉してクランプレバー58の遊動を防止する。従って、ク
ランプレバー58は非使用時には押圧アーム113がストッパ115に当接するとともに
押圧丘116に保持されて図18(a)及び図19の仮想線で示す位置で保持される。
【0039】
図2、図3及び図4に示すように、本体枠14(遊技盤27)の背面には各種制御装置
が重複状に配置されている。制御装置は大きく3つにユニット化されており、タンク12
0や遊技球を供給するための遊技球供給装置121、保護カバー123等を備えた第1ユ
ニット124、主制御装置や音声ランプ制御装置を備えた第2ユニット125、払出制御
装置、発射制御装置及び電源装置を備えた第3ユニット126から構成されている。
【0040】
次に、このように構成されたパチンコ遊技機11において、パチンコ球発射通路49と
ガラスユニット75との関係について主として図7図25及び図26に基づいて説明する

図25に示すように、本体枠14に対して扉枠61を閉鎖した状態においては、遮蔽部
92はパチンコ球発射通路49の斜線で表す領域を前面から遮蔽することとなる。同図及
び図7に示すように、遮蔽部92は最もパチンコ球の勢いのよいパチンコ球発射通路49
の前半部Pにおいてこれを前方から遮蔽している。(図25のpで示す帯状部分)。また
、パチンコ球の勢いの弱まる中半部Qについてはこれも図25のqで示す帯状部分によっ
て前方から遮蔽している。パチンコ球の勢いの最も弱まる後半部Rについては遮蔽の必要
性があまりなく、むしろパチンコ球発射通路49から遊技領域へのパチンコ球の飛び出し
状況を遊技の一環として遊技者に目視させるために遮蔽部92は後半部Rにはほとんどか
かっていない。
【0041】
図25及び図26に示すように、遮蔽部92が形成されている位置においては両ガラス
板77,78はわずかではあるがパチンコ球発射通路49の前方位置に存在することとな
っている。つまり、本実施の形態では後面側ガラス板78は内レール52よりも外側のパ
チンコ球発射通路49側にはみ出すこととなっている。しかし、パチンコ球が球体である
ことから後面側ガラス板78がこのようにパチンコ球発射通路49側にはみ出したとして
も図26に示すように、最もパチンコ球が後面側ガラス板78に接近した位置にあっても
パチンコ球の径とガラス板78のパチンコ球発射通路49側へのはみ出し量の関係からパ
チンコ球は後面側ガラス板78に接触することはない。
【0042】
さて、パチンコ球発射ユニット17によって打ち出された遊技球(パチンコ球)は補助
レール20を滑走した後、外レール51に乗り移りパチンコ球発射通路49を通過する。
この際に発射されたパチンコ球は常に同じ軌跡で外レール51を滑走するわけではない。
更に、打ち出されたすべてのパチンコ球が遊技領域に至るわけではない。中には十分な推
進力を与えられずにパチンコ球発射通路49を逆進するパチンコ球もある。そのため、パ
チンコ球発射通路49内では周囲の壁面にパチンコ球が接触したり逆進するパチンコ球と
衝突したパチンコ球が跳ねて周囲の壁面に強く当たってしまうこととなる。従来であれば
パチンコ球発射通路49の前方は後面側ガラス板が遮蔽していたため、このようなパチン
コ球の挙動によってガラス板に傷やひびが入りやすかった。
ところが、本実施の形態では最もパチンコ球の勢いのよいパチンコ球発射通路49の前
半部P及び未だ勢いの強い中半部Qにおいて完全にガラスフレーム76の遮蔽部92によ
って遮蔽されるためパチンコ球は後面側ガラス板78には当たることがない。
【0043】
次に、このように構成されたパチンコ遊技機11において、扉枠61の裏面に配設され
たガラスユニット75と本体枠14側の遊技盤27との関係について主として図6、図7
及び図21〜図24に基づいて説明する。図7は図6を補填する図であって、本体枠14
側について遊技面27a以外の部分を省略し、ガラスフレーム76について膨出部80に
おける凹部84の構造を省略して重ね合わせたものである。パチンコ遊技機11では前後
方向に重複する部材の相互の部材の線図が交錯して分かりにくくなるため、単一の図面で
部材の重複状態を図示するのは困難である。そのため、本発明の要部以外の従属的な部材
について省略して図7を表したものである。
【0044】
図6及び図7に示すように、本体枠14に対して扉枠61を閉鎖した状態においては、
ガラスフレーム76の凸条82によって包囲された内側領域は略遊技領域と略一致する。
このとき、本実施の形態ではガラスフレーム76(平板部81)の後面81Bと遊技面2
7aとの間隔は19.5mmに設定され、同じく後面81Bと内レール52前端との間隔
は3mmに設定されている。このようなガラスフレーム76と遊技面27aとの間隔はパ
チンコ球の大きさや遊技面27aに配置された各種部材(液晶ディスプレイ36や風車4
3等)の突出量や遊技釘の突出量を考慮して設定されたものである。これによって遊技面
27aに前面は遊技面27aに接触することなく、扉枠61背面に配設されたガラスユニ
ット75が配置されることとなり、なおかつ遊技領域を落下してくる遊技球(パチンコ球
)が内レール52とガラスユニット75との隙間から本体枠14と扉枠61の間にこぼれ
落ちてしまうこともない。
【0045】
図7に示すように、凸条82によって画定されるガラスフレーム76の内周は本体枠1
4に対して扉枠61を閉鎖した状態において内レール52近傍であって内レール52のわ
すかに外側に配置されている。上記のようにガラスフレーム76の後面81Bと内レール
52前端との間隔は3mmとされているが、後面81Bから後方に最長5mmの庇部99
が突出されているため、図22〜図24に示すように、内レール52と庇部99とは重複
配置されることとなる。図7における、内レール52の最下部位置となるA−A位置にお
いては庇部99は後面81Bから後方に5mm突出するため、図21に示すように内レー
ル52前端と2mmの重複となる。また、A−A位置から若干左右方向に振った位置、例
えばB−B位置でも庇部99は後面81Bから後方に5mm突出するため、図22に示す
ように内レール52前端と2mmの重複となる。
【0046】
しかし、最下部位置から離間して内レール52に縦成分が増えてくる位置(ここでは湾
曲した内レール52の両サイド寄り)では扉枠61開放時に内レール52と庇部99の干
渉を防止する必要がある。本実施の形態では例えば図12等に示すように庇部99は縦成
分が大きくなるにつれて左右両サイド寄りでは端方向ほど突出量が少なくなるよう先細り
に構成されている。従って、例えばC−C位置では図23に示すように内レール52前端
との重複量は上記位置よりも少なくなっている(ここでは半分程度)。
このように庇部99は内レール52の下部の比較的広い範囲において内レール52の下
側に重複配置されることとなる。
また、受け皿67裏面の通路68から比較的離間したD−D位置には内レール52は配
置されていない。但し、この位置では遊技領域を画定する窓孔29の一部壁面31が若干
遊技領域側にオフセットしており、図24に示すようにガラスフレーム76が前板部30
と重複されている。
【0047】
このような庇部99が形成されていなければ、ガラスフレーム76と内レール52前端
との間には隙間が形成されることとなり、不正を試みる者は図7に示すように通路68の
壁面裏面に連通する透孔を形成して、ワイヤのような細長い道具を差し入れてこの隙間か
らワイヤを遊技面27aに導くことが可能である。
しかし、本実施の形態では本体枠14に扉枠61を閉鎖させた状態では内レール52に
対して庇部99は同内レール52の下部位置に重複状に配置されることとなるため、ワイ
ヤを差し入れようとしてもこれらの重複関係によって隙間が遮蔽されるため、ワイヤを遊
技面27aに導くことが困難になる。また、例え導くことが可能であっても操作に非常に
時間がかかる傾向となるため抑止効果が大きい。結果として、遊技釘の間隔を拡げるよう
な不正行為が行いにくくなる。
【0048】
また、庇部99は内レール52の下側位置で重複しているため、遊技領域に何らの構造
上の変化はなく、遊技者は庇部99の有無によって遊技内容に影響を受けることはない。
また、庇部99は扉枠61の開放に伴って扉枠61とともに内レール52と重複した位
置から移動して離間するため、本体枠14側の点検のために扉枠61を開放した際に庇部
99が点検作業の邪魔になることはない。
更に、内レール52は円弧状に形成されているため、左右両サイド寄りでは縦成分が発
生する。その際に庇部99が後方にあまり長く突出していると扉枠61の回動に伴って一
緒に回動し、庇部99が内レール52と干渉して扉枠61を開放できない可能性が生じる

しかし、本実施の形態では庇部99は縦成分が大きくなる左右両サイド寄りでは縦成分
の増大に伴って突出量を減少させているため、扉枠61の開放に伴う部材干渉が生じない
ようになっている。
【0049】
以上のように構成することによって上記実施の形態では次のような効果を奏する。
(1)パチンコ球発射通路49では前方側が遮蔽部92によって遮蔽され、後面側ガラス
板78が面することがないので、パチンコ球発射通路49を通過するパチンコ球が後面側
ガラス板78に当接してガラス面に傷がついたり割れたりするといった不具合が生じるこ
とはない。特に、パチンコ球の勢いが強い前半部Pと中半部Qとを完全にカバーしている
ため、最も傷がついたり割れやすいこの間においてそのようなおそれがなくなる。
(2)後面側ガラス板78は若干パチンコ球発射通路49前方位置まではみ出して形成さ
れ、遊技者において目視用窓孔62を通して遊技面27aを見た場合に非常に広く感じら
れる。
ところで、理論的には後面側ガラス板78を内レール52きりきりの位置に配置し、同
ガラス板78がパチンコ球発射通路49前方位置まではみ出していないとしても遊技領域
全域は目視できるかもしれない。しかし、実際にはガラス77,78を支持している凸条
82が邪魔となってり斜め方向から見ないと遊技領域の隅寄りは実際には目視できないこ
ととなる。更に2枚のガラス77,78を斜め方向から目視するとガラスの厚みが増すこ
ととなって透過率が下がるのでガラス77,78に正対した場合に比べて非常に見えにく
くなる。ところが、本実施の形態では比較的ガラス77,78に正対した位置で遊技領域
の隅寄りを目視できるのでそのような不具合はない。
(3)後面側ガラス板78は若干パチンコ球発射通路49前方位置まではみ出して形成さ
れている。そのため、わずかな隙間ではあるがこのはみ出した部分を通してパチンコ球発
射通路49を目視できることとなって遊技の興趣が増すこととなる。更に、パチンコ球発
射通路49内で万一パチンコ球が詰まってもパチンコ球発射通路49内のパチンコ球の動
きを確認できるためわざわざ扉枠61を開放しなくとも不具合状況を把握することが可能
となる。
(4)乾燥剤86が収容を収容する膨出部80が同時に遮蔽部92の一部を構成すること
となり、別途乾燥剤86を収容するスペースをガラスフレーム76に形成する必要がなく
なる。
【0050】
本発明は以下のような態様に変更して実施することが可能である。
・上記実施の形態では膨出部80内の凹部84内に収容領域Sを設けここに乾燥剤86
を収容するようにしていたが、両ガラス板77,78によって内部に密閉された内部空間
を設けない場合には図27に示すように乾燥剤86のための収容領域Sを設けなくとも構
わない。また、スペースの余裕があればガラスフレーム76に現状の膨出部80以外の収
容領域Sを形成して乾燥剤86を配設するようにしてもよい。
【0051】
図28に示すように、遮蔽部92の裏面にちょうどパチンコ球発射通路49の形状に略
沿った振動吸収手段としての起毛テープ121を貼着するようにしてもよい。起毛テープ
121は公知の静電植毛工程(テープ本体への接着剤の塗布→静電植毛→余剰パイル除去
→乾燥)によって形成される。起毛テープ121は非常に薄手であるので遮蔽部92の裏
面に貼着しても遮蔽部92の配置スペースに影響はない。このような起毛テープ121を
貼着することによってガラスフレーム76に対するパチンコ球の接触や衝突による振動が
緩和される。また、パチンコ球の接触や衝突による騒音も軽減されることとなる。その他
振動吸収手段としては起毛テープ121以外に弾性のある防振ゴム製のテープ体としても
よい。
【0052】
・上記ガラスフレーム76の構成は一例であって、これに限定されるものではない。例
えば、上記実施の形態ではガラスユニット75は扉枠61に対して回動して開閉可能とさ
れていたが、開閉できなくとも構わない。また、扉枠61へのガラスユニット75の装着
方法は特に限定はされない。つまり、上記のようにクランプユニット60やクランプレバ
ー58を使用せず他の固定手段を使用することも自由である。
・上記実施の形態のパチンコ遊技機11では扉枠61に上受け皿67、下受け皿71、
遊技球打ち出し用ハンドル73が配設されていたが、本発明は扉枠61とは別体のパネル
体に下受け皿や、遊技球打ち出し用ハンドルを配設するようにしたパチンコ遊技機に応用
することも自由である。
・上記実施の形態においてはいわゆる第1種始動口付きパチンコ遊技機に応用したが、
レール部材と扉体側に形成させた突出部との関係で不正防止が可能なパチンコ遊技機であ
れば機種は問わない。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない態様で実施することは自由である。
【0053】
上記請求項に適宜追加可能な上記実施の形態から把握できる本発明のその他の技術的思
想について下記に付記として説明する。
(1) 前記遮蔽部の背面と前記透明体の背面とは略面一に構成されていることを特徴
とする請求項1〜5のいずれかに記載のパチンコ遊技機。
(2)前記振動吸収手段とは前記遮蔽部の裏面に貼着された振動吸収用のシート体であ
ることを特徴とする請求項1〜5若しくは付記1のいずれかに記載のパチンコ遊技機。。
これによって透明体フレームに対するパチンコ球の接触や衝突による振動が緩和される
。また、パチンコ球の接触や衝突による騒音も軽減される。
(3)前記振動吸収用のシート体とは起毛処理された起毛テープであることを特徴とす
る付記2に記載のパチンコ遊技機。。
これによって透明体フレームに対するパチンコ球の接触や衝突による振動が緩和される
。また、パチンコ球の接触や衝突による騒音も軽減される。
【符号の説明】
【0054】
11…パチンコ遊技機、14…遊技体としての本体枠、27…遊技体の一部をなす遊技
盤、49…パチンコ球通過領域、51…レール部材としての外レール、52…レール部材
としての内レール、61…扉体としての扉枠、62…窓部、67…パチンコ球用受け皿と
しての上受け皿、68…通路、77,78…透明体としてのガラス板、75…透明体ユニ
ットとしてのガラスユニット、76…保持枠体としてのガラスフレーム、92…遮蔽部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技釘等の障害物に干渉されながらパチンコ球が落下する遊技領域を有する遊技面を備
えるとともに、同遊技面の表面に配置されパチンコ球が滑走するパチンコ球滑走部と前記
遊技領域を外周から包囲して画定する遊技領域画定部とを備え、同遊技領域画定部が同パ
チンコ球滑走部に略沿ってその内側を周回することで両者間にパチンコ球通過通路が形成
される弧状に形成されたレール部材を備えた遊技体と、
同遊技体の前面に対し開閉可能に装着され、同遊技体に対して閉鎖された状態で前記遊
技面を目視させるための窓部を有する扉体と、
板状透明体と同透明体を保持する保持枠体を有し、前記扉体の背面側に配設されて前記
窓部を封塞する透明体ユニットとを備え、
前記透明体は前記レール部材によって画定される遊技領域と略相似の外形形状に構成さ
れ、前記扉体を前記遊技体に対して閉鎖状態とした際に同透明体は前記遊技領域前方位置
において近接して対峙させられるとともに、前記保持枠体には遮蔽部が設けられ、同遮蔽
部は同遊技領域に隣接する前記レール部材のパチンコ球通過領域に沿って延出され同パチ
ンコ球通過領域の前方を帯状に遮蔽することを特徴とするパチンコ遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2013−56182(P2013−56182A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−248376(P2012−248376)
【出願日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【分割の表示】特願2012−18254(P2012−18254)の分割
【原出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】