説明

パッキン、カシメ組付品の製造方法、電池ケース蓋の製造方法、電池の製造方法

【課題】筒状部が拡径変形されても裂けたり、ひびが入ったりする不具合が生じにくい筒状部を有するパッキン及びこのパッキンを用いたカシメ組付品の製造方法を提供する。また、このカシメ組付品の製造方法を用いた電池ケース蓋の製造方法及び電池の製造方法を提供する。
【解決手段】パッキン14は可塑性材質からなり、軸線AX方向に延びる筒状の筒状部14sを備える。さらにこのパッキン14の筒状部14sは、その軸線AX方向に直交する断面が蛇行する形態のヒダ状部14hを有する。パッキン14及の筒状部14sに挿通した端子部材13の軸状部13kの先端側を膨出、拡径させると、パッキン14の筒状部14sも拡径変形するが、ヒダ状部14hにより、この部分が裂ける等の不具合が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カシメ組付品に使用されるパッキンに関する。また、これを用いたカシメ組付品の製造方法、電池ケース蓋の製造方法及び電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
組付対象物にカシメ部材をカシメ加工によって、組付けてカシメ組付品とする場合、組付対象物とカシメ部材との間の隙間について気密あるいは液密とするため、パッキンを介在させる場合がある。このようなカシメ組付品の例としては、例えば、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池など密閉型二次電池及びその電池ケース蓋が挙げられる。密閉型二次電池は、電気自動車やハイブリッド車に搭載され、その電源や補助電源としても用途が拡大しており、高出力容量化など性能の向上と共に、過酷な条件でも液漏れしないなど信頼性の向上についても市場の要求が高まっている。
【0003】
例えば、特許文献1で開示されている密閉型の電池は、一方に開口する有底で中空角柱形状の電池ケース本体と、電池ケース本体の開口部を塞ぎ、自身に挿通孔を有する電池ケース蓋を備える。さらに、この電池は、起電力を発生する複数の電極板と、これらの各電極板に接続する集電ワッシャと、この集極板に接続する端子部材とを含む。このうち、端子部材は、四角柱状の本体部と、中空筒状の円筒部とを含む。また、端子部材の本体部は、電池ケース蓋の外側に配置される。さらに、端子部材の円筒部は、その一端が本体部に固着され、他端が電池ケース蓋の挿通孔に挿通されている。このうち端子部材と電池ケース蓋の間には、パッキンが介在している。このパッキンは、樹脂部材を成型してなり、端子部材の本体部のうち電池ケース蓋に対向する面と、円筒部のうち挿通孔の内周面に対向する面を覆う形状とされている。このパッキンは、端子部材と電池ケースの間を気密に封止するシール材として機能するほか、電池ケース蓋と端子部材の絶縁材としても機能している。
なお、端子部材のうち、円筒部の先端部分は、電池ケース蓋の内側のパッキン及び集極板を挟んでカシメ加工される。
【0004】
【特許文献1】特開平8−77999号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で開示される密閉型の電池では、端子部材は、端子部材の下端部を除いて中実軸を用いているので重量が大きい。また、この電池では、電池ケース蓋の内側と端子部材のカシメ加工部との間で、パッキンを単純に圧縮して電解液のシールを行っている。このため、そのシール性能にばらつきを生じ、長期間に亘って信頼性の高い気密性・液密性を保持するのが困難であった。
【0006】
そこで、発明者らは、先に特願2003−163749において、密閉式電池の構造とその製造方法を提案している。
【0007】
この発明による密閉式電池は、一方の極性の接続端子を構成する金属製の電池ケース蓋と、電池ケース蓋に絶縁状態で装着されて他方の極性の接続端子を構成する端子部材とを備えている。この密閉式電池では、一端が閉じられた中空筒状の端子部材と、電池ケース蓋に設けられた端子部材の貫通穴との間に、電気絶縁性を有するパッキンが介在している。さらに、この密閉式電池では、端子部材の一端部の径方向に膨出された圧縮変形部にてパッキンを圧縮して密封性を発揮させるとともに端子部材を固定している。
【0008】
この構成によると、一端が閉じられた中空筒状の端子部材を用い、かつその一端部分を変形して形成した圧縮変形部によりパッキンに密封性を発揮させるとともに端子部材の固定を行っている。このため、重量の小さい中空筒状の端子部材のみで構成できて重量軽減とコスト低下を図ることができると共に、信頼性の高いシール性を確保することができる。
【0009】
また、この発明による密閉式電池の製造方法は、まず、電池ケース蓋に設けられた貫通穴に、一端が閉じられた中空筒状の端子部材を、その一端側から、電気絶縁性と可塑性を有する円筒状の筒状部と、この一端に位置し径方向外側に拡がるフランジ部とを有するパッキンを介して挿通する。次に、端子部材の一端部のうち電池ケース蓋よりも突出した部分をバルジ加工により径方向外側に膨出させ、次いで、軸方向に圧縮変形させ、パッキンの密封性を発揮させると共に、端子部材を固定する。さらに、電池ケース本体内に極板群を収容し、電池ケース本体に電池ケース蓋を接合する。また、端子部材の中空部を通して端子部材の一端壁と極板群の一方の極性の端面を接合し、極板群の他方の極性の端面と電池ケース本体の底壁を接合することによって密閉式電池を製造する。
【0010】
しかしながら、この密閉式電池では、端子部材を固定する際、端子部材の一端部を径方向に膨出させ、さらに軸方向に圧縮変形させている。それと共に、端子部材と電池ケース蓋の貫通穴との間に介在するパッキンの筒状部についても、そのうち電池ケース蓋より突出している部分については、径方向に拡径される。そうすると、パッキンの筒状部のうち拡径部分には、周方向に強い引張り応力が掛かることになる。このため、この部分が裂けたり、ひびが入ったりする不具合が生じる虞がある。このような破損が生じると、その部分からガス漏れや液漏れなどが発生して、気密性・液密性における信頼性が低くなる虞がある。
【0011】
本発明ではかかる問題点に鑑みてなされたものであって、筒状部が拡径変形されても裂けたり、ひびが入ったりする不具合が生じにくい筒状部を有するパッキン及びこのパッキンを用いたカシメ組付品の製造方法の提供を目的とする。また、このカシメ組付品の製造方法を用いた、電池ケース蓋の製造方法及び電池の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
その方法は、可塑性材質からなり、軸線方向に延びる筒状の筒状部、を備えるパッキンであって、上記筒状部は、その軸線方向に直交する断面が蛇行する形態のヒダ状部を有するパッキンである。
【0013】
本発明のパッキンでは、可塑性材質からなると共に、パッキンの筒状部は、その軸線方向に直交する断面が蛇行する形態のヒダ状部を有する。パッキンの筒状部のうち、ヒダ状部を含む領域では、その周長がヒダ状部の存在により、その領域にヒダ状部がないとした場合に比して、長くされている。
そこで、例えば、第1面と第2面及び、この間を貫通する挿通孔を有する組付対象物に、このパッキンを組付ける場合を想定する。
まず、組付対象物の挿通孔に第2面からこのパッキンを挿通する。次いで、パッキンの筒状部のうち、組付対象物の第1面から突出している部分を、拡径させ、組付対象物の第1面と略平行の形態(第2フランジ加工部)に変形させて、略L字または略コ字状の、少なくとも組付対象物の第1面の挿通孔の周縁を全周に亘って覆ってなる形状にする。
このように、筒状部を、径方向に拡張・変形させて第2フランジ加工部を形成させる際、筒状部が周方向に伸ばされるので、パッキンには第2フランジ加工部の亀裂発生の原因となる周方向への引張応力が発生しがちである。ところが、本発明のパッキンでは筒状部にヒダ状部を有しているため、少なくとも、この第2フランジ加工部のうち、ヒダ状部を変形させて形成した部分については、周方向への引張応力は、パッキンの筒状部にヒダ状部を有さない場合に比して軽減することができる。従って、本発明のパッキンを用いれば、第2フランジ加工部のうち、少なくともヒダ状部が変形して成形された部分において、裂けたり、ひびが入ったりする不具合が発生しにくくなり、信頼性の高いカシメ組付品を構成し得る。
【0014】
さらに、上記に記載のパッキンであって、前記筒状部は、前記ヒダ状部が、上記筒状部のうち、このパッキンの使用時に拡径される拡径側の端縁まで届く形態を有してなるパッキンとすると良い。
【0015】
筒状部を拡径して第2フランジ加工部とすると、筒状部のうち、拡径される拡径側の端縁の部分は、引張応力が最大になるため、この端縁の部分から裂けたり、ひびが入ったりする不具合が発生しやすい。
【0016】
これに対し、本発明のパッキンでは、筒状部がこの端縁の部分まで届く形態を有しているので、この端縁の部分についても、ヒダ状部により周長が長くされているため、拡径後の引張応力が軽減されている。即ち、本発明のパッキンでは、最も不具合が発生しやすい部分についてヒダ状部を設け、裂けたり、ひびが入ったりする不具合を防止しているので、さらに信頼性の高いパッキンとなし得る。
【0017】
さらに、上記いずれかに記載のパッキンであって、表面と裏面とを有し、前記筒状部のうち、このパッキンの使用時に拡径されない非拡径側の端縁から、前記軸線方向に直交する径方向に拡がる平板リング状のフランジ部を備えるパッキンとすると良い。
【0018】
本発明のパッキンでは、組付対象物の第2面から突出している部分を拡径させ、組付対象物の第2面と略平行の形態に変形させて形成する第1フランジ加工部を形成する必要がないので、カシメ組付を容易に行うことができる。また、第1フランジ加工部の形成の際に、フランジ形状の他部材を取り付けるなど、2部材を用いる場合もあったが、本発明のパッキンでは、上述のように第1フランジ加工部の形成する必要がないので、1部材で済ませることができる。
【0019】
さらに、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のパッキンであって、前記筒状部は、前記軸線方向に直交する断面の周長のうち、前記ヒダ状部に属する部分の長さが、このパッキンの使用時に拡径されない非拡径側の端縁から離れるほど大きくなる形態を有するパッキンであると良い。
【0020】
上述したタイプのパッキンでは、パッキン使用時に拡径される拡径側の引張応力は、径方向で端縁に向かうほど大きくなる。本発明のパッキンでは、筒状部の拡径側に相当する部分は、径方向で端縁に向かうほど、ヒダ状部に属する部分の周長が大きくなるように形成されている。従って、本発明のパッキンでは、筒状部の拡径側に相当する部分がそのようになっていないパッキンに比して、引張応力が軽減されている。従って、本発明のパッキンは、そのようなパッキンに比して、裂けたり、ひびが入ったりする不具合が起こりにくいので、さらに信頼性の高いパッキンとなし得る。
なお、このような形態のヒダ状部として、具体的には、例えば、筒状部のうち、拡径側端縁に近づくほど折り返しの幅が大きくなる形態のヒダ状部、筒状部のうち、拡径側端縁に近づくほどヒダの数が増える形態のヒダ状部が挙げられる。
【0021】
さらに、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のパッキンであって、前記筒状部は、前記軸線を中心とし、前記軸線方向に直交する平面において、上記筒状部に外接する仮想円の径が、このパッキンの使用時に拡径されない非拡径側の端縁からの距離に拘わらず等しいか、上記非拡径側の端から離れるほど小さくなる形態を有するパッキンであると良い。
【0022】
本発明のパッキンでは、パッキンの筒状部に外接する仮想円の径が、非拡径側の端縁から離れるほど小さくなる形態を有しているため、パッキンを組付対象物の挿通孔に挿入するにあたり挿入容易で、容易に組付できる。
【0023】
また、ほかの方法は、第1面、第2面及び上記第1面と第2面との間を貫通する挿通孔を有する組付対象物と、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のパッキンと、上記挿通孔及び前記筒状部に挿通可能な軸状部、及び上記軸状部の一端に設けられ上記挿通孔よりも径大の鍔部を有するカシメ部材と、を一体に組み付けたカシメ組付品の製造方法であって、上記組付対象物、上記パッキン、及び上記カシメ部材を、上記組付対象物の挿通孔に上記パッキンの筒状部を挿通し、上記組付対象物の挿通孔及び上記パッキンの筒状部に上記カシメ部材の軸状部を挿通し、上記組付対象物の第2面に上記カシメ部材の鍔部が当接するか、もしくは、上記組付対象物の第2面と上記カシメ部材の鍔部との間に上記パッキンのフランジ部及び介在部材の少なくともいずれかが介在する形態に配置する配置工程と、上記カシメ部材の軸状部のうち上記組付対象物の第1面より突出している部分を、拡径させ、上記組付対象物の第1面と略平行で、上記挿通孔より径大の形態のカシメ加工部に変形させると共に、上記パッキンの筒状部のうち上記組付対象物の第1面より突出している部分を拡径させ、上記組付対象物の第1面と略平行で、上記挿通孔より径大の形態の第2フランジ加工部に変形させて、上記パッキンで上記挿通孔の内周端を全周に亘って覆い、上記カシメ部材の上記鍔部と上記カシメ加工部との間で、上記パッキンの第2フランジ加工部を、上記パッキンのフランジ部と第2フランジ加工部とを、または上記介在部材と上記パッキンの第2フランジ加工部とを、介して、上記組付対象物を挟み、上記カシメ組付品を形成するカシメ工程と、を含むカシメ組付品の製造方法である。
【0024】
本発明のカシメ組付品の製造方法のカシメ工程では、カシメ部材の軸状部のうち、組付対象物の第1面より突出している部分を拡径させることによって、組付対象物の第1面と略平行で、組付対象物の挿通孔より径大であるカシメ加工部に変形させている。このとき、組付対象物の挿通孔とカシメ部材との間に介在しているパッキンについても、パッキンの筒状部のうち組付対象物の第1面より突出している部分を拡径させ、組付対象物の第1面と略平行で、挿通孔より径大の形態の第2フランジ加工部に変形させている。
【0025】
しかしながら、本発明のカシメ組付品の製造方法では、前述した筒状部にヒダ状部を有するパッキンを用いるため、このようにパッキンの筒状部のうち組付対象物の第1面より突出している部分を拡径し、第2フランジ加工部としても、裂けたり、ひびが入ったりする不具合が起こりにくい。従って、本発明のカシメ組付品の製造方法によれば、信頼性の高いカシメ組付品を適切に製造することができる。
【0026】
なお、本発明のカシメ組付品の製造方法で用いられる介在部材としては、例えば、具体的には、円板リング状の形態としたものが挙げられる。
【0027】
また、本発明におけるカシメ工程では、カシメ部材のうち、組付対象物の第1面より突出している部分を拡径させる。このとき用いるカシメ部材の軸状部の形状としては、中実棒状、先端が開放された底部のない中空筒状、有底筒状のいずれの形態とすることもできる。なお、カシメ工程において、カシメ部材の軸状部が中実棒状の場合には、例えば、公知のリベットと同様の方法で棒状部を拡径してフランジ状とすることができる。また、カシメ部材の棒状部が先端が開放された底部のない中空筒状の場合には、例えばリベットと同様の方法により、もしくは公知のフランジ加工により棒状部を拡径してフランジ状とすることができる。また、カシメ部材の棒状部が有底筒状の場合には、例えば、公知のバルジ加工により閉塞部を球状に拡径し、さらに圧縮してフランジ状とする手法をとることができる。
【0028】
また、上記に記載のカシメ組付品の製造方法において、前記組付対象物は、前記第1面、第2面及び挿通孔を有する電池ケース蓋本体であり、前記カシメ部材は、前記軸状部が、前上記鍔部と反対側の端部が閉塞した有底円筒形状とされてなる端子部材であり、前記パッキンは、絶縁性材料からなり、前記カシメ工程は、上記端子部材の軸状部のうち、上記電池ケース蓋本体の第1面より突出している部分を、バルジ加工により膨出させて膨出部を形成すると共に、上記パッキンの筒状部のうち上記組付対象物の第1面より突出している部分を拡径させて拡径部とするバルジ加工工程と、上記端子部材の膨出部を、前記軸線方向に沿い上記電池ケース蓋本体の第1面に向けて圧潰して、上記膨出部を前記カシメ加工部に変形させると共に、上記パッキンの拡径部を前記第2フランジ加工部に変形させる圧潰工程と、を含む電池ケース蓋の製造方法。であると良い。
【0029】
本発明の電池ケース蓋の製造方法のうちバルジ加工工程では、端子部材の軸状部のうち、電池ケース蓋本体の第1面より突出している部分をバルジ加工により膨出させて膨出部を形成する。このとき、電池ケース蓋本体の挿通孔と端子部材との間に介在しているパッキンについても、パッキンの筒状部のうち電池ケース蓋本体の第1面より突出している部分を拡径して、パッキンの拡径部を形成する。また、本発明の電池ケース蓋の製造方法のうち圧潰工程では、端子部材の膨出部を、軸線方向で電池ケース蓋本体の第1面に向けて圧潰して、カシメ加工部としている。この圧潰工程では、電池ケース蓋本体の第1面とこのカシメ加工部に介在しているパッキンの拡径部も同時に変形して、電池ケース蓋本体の第1面と略平行で、挿通孔より径大の形態の第2フランジ加工部を形成する。
【0030】
しかしながら、本発明の電池ケース蓋の製造方法では、前述した筒状部にヒダ状部を有し、絶縁性材料からなるパッキンを用いる。従って、このようにパッキンの筒状部のうち電池ケース蓋本体の第1面より突出している部分を拡径し、圧潰して第2フランジ加工部としても、裂けたり、ひびが入ったりする不具合が起こりにくい。このため、端子部材と電池ケース蓋との間の絶縁を保つこと及び気密性を保持をすることが確実にできる。したがって、本発明の電池ケース蓋の製造方法では、信頼性の高い電池ケース蓋を適切に製造することができる。
【0031】
また、電池ケース本体と、電池ケース蓋とを有する電池の製造方法であって、請求項7に記載の電池ケース蓋の製造方法による電池ケース蓋の製造工程を含む電池の製造方法であると良い。
【0032】
本発明の電池の製造方法によれば、上述した電池ケース蓋の製造方法を含んでいるため、信頼性の高い電池ケース蓋を適切に製造することができ、ひいては、信頼性の高い電池を適切に製造する。
【0033】
他の方法は、第1面、第2面及び上記第1面と第2面との間を貫通する挿通孔を有する組付対象物と、貫通孔を含む平板リング状の平板部を有するパッキンと、上記挿通孔及び上記貫通孔に挿通可能な軸状部、及び上記軸状部の一端に設けられ上記挿通孔よりも径大の鍔部を有するカシメ部材と、を一体に組み付けたカシメ組付品の製造方法であって、上記組付対象物、上記パッキン、及び上記カシメ部材を、上記組付対象物の挿通孔及び上記パッキンの貫通孔に上記カシメ部材の軸状部が挿通され、上記組付対象物の第1面に上記パッキンの平板部が当接し、上記組付対象物の第2面に上記カシメ部材の鍔部が当接するか、または、上記組付対象物の第2面と上記カシメ部材の鍔部との間に介在部材が介在する形態に配置する配置工程と、上記カシメ部材の軸状部のうち上記組付対象物の第1面より突出している部分を、拡径させ、上記組付対象物の第1面と略平行で、上記挿通孔より径大の形態のカシメ加工部に変形させて、上記カシメ部材の上記鍔部と上記カシメ加工部との間で、上記パッキンの平板部を、または、上記パッキンの平板部と上記介在部材とを、介して、上記組付対象物を挟み、上記カシメ組付品を形成するカシメ工程と、を含むカシメ組付品の製造方法である。
【0034】
本発明のカシメ組付品の製造方法では、カシメ工程において、カシメ部材の軸状部のうち、組付対象物の第1面より突出している部分を拡径させることによって、組付対象物の第1面と略平行で、組付対象物の挿通孔より径大の形態のカシメ加工部に変形させている。このとき、組付対象物の挿通孔とカシメ部材との間に介在しているパッキンは、平板リング状の平板部を有した形状であるため、このカシメ工程によっても、このパッキンの平板部が拡径されるなどの応力を受けることはない。従って、裂けたり、ひびが入ったりする不具合が起こりにくいから、本発明のカシメ組付品の製造方法によれば、信頼性の高いカシメ組付品を適切に製造することができる。
【0035】
なお、本発明のカシメ組付品の製造方法で介在部材を用いる場合、介在部材としては、例えば、具体的には、円板リング状の形態、もしくは、筒の長さが組付対象物の厚み以下の筒状部と、筒状部の一方の先端に上述したような円板リング状のフランジ部を含む形態を有する介在部材が挙げられる。
【0036】
また、本発明において、カシメ工程では、カシメ部材のうち、組付対象物の第1面より突出している部分を拡径させる。このとき用いるカシメ部材の軸状部の形状としては、中実棒状、先端が開放された底部のない中空筒状、有底筒状のいずれの形態とすることもできる。なお、カシメ工程において、カシメ部材の軸状部が中実棒状の場合には、例えば、公知のリベットと同様の方法で棒状部を拡径してフランジ状とすることができる。また、カシメ部材の棒状部が先端が開放された底部のない中空筒状の場合には、例えばリベットと同様の方法により、もしくは公知のフランジ加工により棒状部を拡径してフランジ状とすることができる。また、カシメ部材の棒状部が有底筒状の場合には、例えば、公知のバルジ加工により閉塞部を球状に拡径し、さらに圧縮してフランジ状とする手法をとることができる。
【0037】
また、上記に記載のカシメ組付品の製造方法において、前記組付対象物は、前記第1面、第2面及び挿通孔を有する電池ケース蓋本体であり、前記カシメ部材は、前記軸状部が、前記鍔部と反対側の端部が閉塞した有底円筒形状とされてなる端子部材であり、前記パッキンは、絶縁性材料からなり、前記カシメ工程は、上記端子部材の軸状部のうち、上記電池ケース蓋本体の第1面より突出している部分を、バルジ加工により膨出させて膨出部を形成するバルジ加工工程と、上記端子部材の膨出部を、前記軸線方向で上記電池ケース蓋本体の第1面に向けて圧潰して、上記膨出部を前記カシメ加工部に変形させる圧潰工程と、を含む電池ケース蓋の製造方法であると良い。
【0038】
本発明の電池ケース蓋の製造方法では、バルジ加工工程において、端子部材の軸状部のうち、電池ケース蓋本体の第1面より突出している部分をバルジ加工により膨出させて膨出部を形成する。また、圧潰工程では、端子部材の膨出部を、軸線方向で電池ケース蓋本体の第1面に向けて圧潰して、カシメ加工部としている。電池ケース蓋本体の挿通孔及び第1面とこのカシメ加工部に介在しているパッキンは、平板リング状の平板部を有した形状であるため、このようなバルジ加工工程及び圧潰工程によっても、このパッキンの平板部が拡径されるなどの応力を受けることはない。従って、裂けたり、ひびが入ったりする不具合が起こりにくいから、本発明の電池ケース蓋の製造方法によれば、信頼性の高い電池ケース蓋を適切に製造することができる。
【0039】
さらに、電池ケース本体と、電池ケース蓋とを有する電池の製造方法であって、請求項10に記載の電池ケース蓋の製造方法による電池ケース蓋の製造工程を含む電池の製造方法とすると良い。
【0040】
本発明の電池の製造方法によれば、上述した電池ケース蓋の製造方法を含んでいるため、信頼性の高い電池ケース蓋を適切に製造することができ、ひいては、信頼性の高い電池を適切に製造する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明の実施にかかる密閉型電池を、図1〜図8を参照して説明する。
【実施例1】
【0042】
図1は、実施例1にかかる密閉型電池10の外観を示す説明図、図2(a)は、密閉型電池10の要部拡大図、図2(b)は、BB矢視断面図である。図1に示すように、密閉型電池10は、金属製の有底四角柱状の電池ケース本体11と、この電池ケース本体11の開口側を閉塞する電池ケース蓋12とを含む。電池ケース本体11と電池ケース蓋12とは、レーザ溶接により本体側溶接部16で固着されている。なお、図示しないが、電池ケース本体11の底部外側には、負極の外部接続端子が溶接により固着されている。
【0043】
図2に示すように、電池ケース蓋本体12xには、第1面12b(密閉型電池10の内側面)と第2面12c(密閉型電池10の外側面)との間を貫通する挿通孔15が一対設けられている。各々の挿通孔15内には、それぞれ正極の外部接続端子としての端子部材13が、気密性・液密性・絶縁性を保持するためのパッキン14を介在して組付けられている。
【0044】
図3は、端子部材13及びパッキン14を、電池ケース蓋本体12xの挿通孔15へ組付けた状態を示す縦断面図である。このうち端子部材13は、パッキン14を介在して挿通孔15の内側に位置する筒状の内筒部13jと、内筒部13jの一端側(図3中上方)に設けられ、挿通孔15よりも径大なリング状の鍔部13bと、内筒部13jの他端側(図3中下方)に設けられ、電池ケース蓋本体12xの第1面12bに略平行で、上記挿通孔15より径大で円板状のカシメ加工部13gとを含む。なお、カシメ加工部13gは、円板状の底面部13tと、その外周端から折り返して内筒部13jに繋がる折り返し部13hを含む。また、端子部材13の鍔部13bと電池ケース蓋本体12xの第2面12cとの間には、パッキン14のフランジ部14bが介在する。さらに、端子部材13のカシメ加工部13gと電池ケース蓋本体12xの第1面12bとの間には、パッキン14の第2フランジ加工部14cが介在する。
【0045】
また、カシメ加工により端子部材13は、鍔部13b及びカシメ加工部13gとの間で、パッキン14のフランジ部14bと第2フランジ加工部14cとを介して、電池ケース蓋本体12xを挟持している。これにより、端子部材13は、鍔部13bとカシメ加工部13gとで、自身を挿通孔15内に固定すると共に、パッキン14のフランジ部14b及び第2フランジ加工部14cを圧縮して、端子部材13とパッキン14、電池ケース蓋12とパッキン14を密着させ気密性・液密性を保っている。
さらに、本実施例では、端子部材13の鍔部13bのうち、鍔部13bの径方向中央付近に環状に環状屈曲部13cが形成され、環状凸面13eがパッキン14のフランジ部14bに向いて突き出た形態とされている。したがって、パッキン14のフランジ部14bのうち、この環状凸面13eで押圧される部分では、気密性・液密性がより高く保持される。
【0046】
なお、この端子部材13は、リング状の鍔部13bの略周縁の径方向外側に、鍔部13bを挟んで配置され、略矩形板形状を有する一対の接続部13dを有する。密閉型電池10において、この接続部13dは、他の密閉型電池などとの接続を行う部分となる。
また、パッキン14は、リング状のフランジ部14bの接続部13dよりも若干大ききく、周縁の径方向外側に、フランジ部14bを挟んで配置され、接続部13dと略相似形状で、平面視、接続部13dの周囲からはみ出すように配置された外側部14dを有する。この外側部14dは、端子部材13の接続部13dと電池ケース蓋本体12xの第2面12cの間に介在し、接続部13dと第2面12cとの絶縁を保っている。
さらに、密閉型電池10は、その内部に、起電力を発生する複数の正負極板およびセパレータからなる極板群17および電解液と、各極板と接続したリード部18と、リード部18の一方端と接続した集電板19とを収容してなる。また、集電板19の溶接部20において、端子部材13の一端をなす底面部13tと、レーザ溶接により固着されている。
【0047】
次に、実施例1にかかる密閉型電池10の電池ケース蓋12の製造方法について、図4〜図7を参照して説明する。
【0048】
最初に、端子部材13及びパッキン14の電池ケース蓋本体12xへの組付けに用いる、端子部材13及びパッキン14(加工前の形態)について説明する。
【0049】
図4は、組付けに用いるパッキン14の形状を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は縦断面図、(c)は斜視図である。ナイロンを含む樹脂製からなり、可塑性を有するこのパッキン14は、軸線AX方向に延びる筒状の筒状部14sと、筒状部14sの一方の端縁から、軸線方向に直交する径方向に拡がる平板リング状のフランジ部14bとを含む。このフランジ部14bで、電池ケース蓋本体12xと、端子部材13との絶縁を行う。本実施例1のパッキン14では、フランジ部14bを一体に有しているので、取り扱い容易で、容易に電池ケース蓋12を製造することができる。
また、パッキン14は、フランジ部14bの略周縁の径方向外側に、フランジ部14bを挟んで配置された一対の外側部14dを有する。
【0050】
また、このパッキン14の筒状部14sは、軸線AX方向に直交する断面が蛇行する形状のヒダ状部14hを有する。このヒダ状部14hは、筒状部14sのうち、フランジ部14bのある端縁14s1(図4(c)中、下端)から、筒状部14sの先端方向の端縁14s2(図4(c)中、上端)まで形成されている。また、このヒダ状部14hは、フランジ部14bの端縁14s1から離れるほどヒダの深さが、従って、軸線方向に直交する断面の周長が、大きくなる形態になっている。しかも、筒状部14sは、軸線方向に直交する断面において、筒状部14sに外接する仮想円の径Gが、図4(b)中に破線で示すように、軸線AX方向の高さ全体に亘って等しくなるよう形成されている。
【0051】
図5は、組付けに用いる端子部材13の形状を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は縦断面図、(c)は斜視図である。この金属製の端子部材13は、軸線方向に延びる有底筒状の軸状部13kと、この軸状部13kの先端である先端部13sと、軸状部13kの一端(図5(c)中、下端)に設けられた円板リング状の鍔部13bとを備える。このうち軸状部13kは、電池ケース蓋本体12xの挿通孔15に挿通可能な外径を有し、鍔部13bは挿通孔15よりもその外周径が大きくされている。円筒状の円筒部13mと軸状部13kは、その先端に位置する半球状の先端部13sとを有している。さらに、鍔部13bの略周縁の径方向外側には、一対の矩形板状の鍔部13bについて接続部13dが互いに逆側に配置されている。
【0052】
次に、端子部材13及びパッキン14の電池ケース蓋本体12xへの組付け方法について、図6〜図7を参照して説明する。
【0053】
図6(a)、(b)は、各部材を所定の位置にセッティングする配置工程を示している。
まず、図6(a)のように、第2面12cが上向きになるように配置した電池ケース蓋本体12xの挿通孔15内に、パッキン14を挿入して、パッキン14のフランジ部14bを、電池ケース蓋本体12xの第2面12cに当接させる。ここで、筒状部14sは、前述したように、軸線AX方向に直交する断面において、筒状部14sに外接する仮想円の径Gが、挿通孔15の内径より小さくかつ、軸線AX方向に等しい形状とされている。従って、パッキン14を電池ケース蓋本体12xの挿通孔15に挿入する際、容易に挿入できる。
【0054】
次いで、図6(b)のように、電池ケース蓋本体12xの第2面12c側(図6(b)中、上方)から軸線AXに沿って、パッキン14の筒状部14s内に、ヒダ状部14hを押し拡げつつ端子部材13の軸状部13kを挿入して、パッキン14のフランジ部14bに、端子部材13の鍔部13bを当接させる。これにより、端子部材13の軸状部13kのうち、先端部13s及び円筒部13mの一部が電池ケース蓋本体12xの第1面12bから突出した状態となる。
【0055】
次いでバルジ工程を行う。まず、図7(a)、(b)に示すようにして、部材のセッティングなどを行う。
このバルジ工程では、軸線AXに直交する方向(図7(a)中、左右方向、図7(b)中、左右方向)に直線的に移動可能とされた一対の割型31、31、及び軸線AX方向に直線的(図7(a)中、上下方向)に移動可能とされた一対の上型32、下型33を用いる。
まず、膨出により挿通孔15等の変形を防止すべく割型31、31をセットする。この割型31、31は、両者を合わせると円筒部13mにパッキン14の筒状部14sの厚み分を加えた径の円孔を含む略板状となるものを対称に半割した割型であり、上述の円孔をなす内側端部31rは、その内周端面31sが円筒部13mにパッキン14の筒状部14sの厚みの2倍を加えたのと略同じ曲率の半円弧形状を有している。当接面31tを電池ケース蓋本体12xの第1面12bに当接させた状態で、割型31、31を互いに合わせる。すると、図7(b)に示す通り、割型31、31の内周端面31s、31sで、パッキン14の筒状部14sのうち、挿通孔15近傍部分を包囲することができる。
【0056】
次いで、端子部材13の先端部13s側に当接して押圧する下型33をセットする。この下型33は、端子部材13の先端部13sよりも曲率が小さい球面状の押圧面33sを有する。端子部材13の先端部13sを、この下型33の押圧面33sに当接させる。
次いで、端子部材13の軸状部13k内に油LQを充填する。この油LQは、後述するように、軸状部13kにその内側から圧力を加えるための流体として用いられる。
さらに、後述するように端子部材13の開口部13n側(図7(a)中、上側)を閉塞しつつ押圧する上型32を、端子部材13の開口部13nより上方に配置する。この上型32には、端子部材13の軸状部13k内部に充填された油LQを加圧するため、軸状部13k内部に挿入される中実円柱形状の凸部32tが設けられている。なお、油LQの軸状部13kと凸部32tの隙間からの漏出を防止するため、この凸部32tは、端子部材13の軸状部13kの内径と略同じ径を有する。
【0057】
次いで、図8(a)に示すように、油LQを加圧して軸状部13kの一部を内側から拡張するバルジ加工を行う。
まず、軸線AXに沿って移動可能とされた一対の上型32、下型33を互いに接近させる。すると、端子部材13の軸状部13kは、軸方向に圧縮される。上型32の凸部32tが、この軸状部13k内に挿入されることにより、油LQを加圧する。すると、油LQの圧力の上昇のため、端子部材13の軸状部13k及びパッキン14の筒状部14sのうち、割型31、31よりも軸線AX方向先端側の部分が外方に膨出される。なお、筒状部14sのうち、割型31、31の内周端面31s、31sが当接している部分、及び軸状部13kのうちその内側の部分は、割型31、31により外方への膨出が制限される。従って、挿通孔15は、端子部材13の軸状部13k及びパッキン14の筒状部14sの一部の外方への膨出により、変形する虞がない。
【0058】
また、下型33については、端子部材13の軸状部13kの先端部13sよりも曲率が小さい球面状の押圧面33sを有しているので、端子部材13の軸状部13kが膨出され変形されても、端子部材13の先端を平らに潰してしまうことなく、適切に下型33で押圧することができる。
このようにして、端子部材13の軸状部13kを、軸線AXの周りに略均等に外方へ膨出した形態に変形させられる。
【0059】
さらに、図8(b)に示す圧潰工程により、バルジ工程で膨出させた部分を扁平なフランジ形状に変形させる。
まず、端子部材13の軸状部13k内の油LQを排出すると共に、割型31、31をそれぞれ挿通孔15近傍から離間させる。次いで、下型33の代わりに平坦な押圧面34sを有する下型34を用いて、上型32との間でさらに端子部材13の軸状部13kを軸線AX方向に圧縮する。すると、この軸状部13kのうち、電池ケース蓋本体12xの第1面12bより突出する部分は、扁平に押しつぶされ、図8(b)に示すように電池ケース蓋本体12xと略平行なカシメ加工部13gに変形される。かくして、端子部材13は、鍔部13bとこのカシメ加工部13gとで、電池ケース蓋本体12xのうち挿通孔15の周縁部分を把持して、自身を電池ケース蓋本体12xに固定してなる。それと共に、端子部材13は、パッキン14のフランジ部14b及び第2フランジ加工部14cを押圧しているので、電池ケース蓋本体12xの第1面12bとパッキン14の第2フランジ加工部14cとが密着し、電池ケース蓋本体12xの第2面12cとパッキン14のフランジ部14bとが密着する。このため、電池ケース蓋12に、気密性・液密性を保持した状態で端子部材13が設けられることになる。
【0060】
ところで、パッキン14の筒状部14sのうち、電池ケース蓋本体12xの第1面12bより軸線AX方向先端側に位置する部分は、軸状部13kの拡径と共に拡径・変形されて、電池ケース蓋本体12xと端子部材13との間に介在する第2フランジ加工部14cに成形される。この第2フランジ加工部14cについては、その周方向に発生する引張応力により、裂けたり、ひびが入ったりすることが懸念される。
【0061】
しかしながら、図4に示す通り、本実施例1のパッキン14は、筒状部14sにヒダ状部14hを有する。従って、パッキン14の筒状部14sにヒダ状部14hを有さない場合に比して、このパッキン14では、少なくとも、この第2フランジ加工部14cのうち、ヒダ状部14hを変形させて形成した部分について、もともとの周方向の長さが長くされていた分周方向への引張応力を軽減することができる。即ち、本実施例1のパッキン14では、第2フランジ加工部14cのうち、少なくともヒダ状部14hが変形して形成された部分において、裂けたり、ひびが入ったりする不具合を防止することができる。
【0062】
特に、本実施例1のパッキン14は、図4に示したように、ヒダ状部14hが筒状部14sのうち先端方向の端縁14s2まで届く形態を有している。この端縁14s2の部分においても、ヒダ状部14hにより周長が長くされているため、拡径後の引張応力を軽減することができる。即ち、本実施例1のパッキン14では、最も不具合が発生しやすい先端方向の端縁14s2の近傍についてもヒダ状部14hを設けているので、この部分から裂けたり、ひびが入ったりする不具合を防止することができる。
【0063】
さらに、本実施例1のパッキン14では、ヒダ状部14hが、先端(図4(c)中、上方)に向かうほどヒダの折り返し幅が大きくなる形態としている。筒状部14sにおける拡径による変形の大きさは、先端ほど大きくなるから、このパッキン14では、このようになっていないパッキンに比して、筒状部14sの各所での拡径後の引張応力を均等にすることができる。従って、本実施例1のパッキン14では、第2フランジ加工部14cの各所において、裂けたり、ひびが入ったりする不具合を適切に防止することができる。
【0064】
上述の通り、本実施例1の電池ケース蓋本体12xの製造方法によれば、パッキン14について、裂けたり、ひびが入ったりする不具合を防止することができるので、信頼性の高い電池ケース蓋本体12xを適切に製造することができる。
【0065】
引き続き、本実施例1の密閉型電池10の製造方法について説明する。ただし、上述した端子部材13及びパッキン14の電池ケース蓋本体12xへの組付け方法以外は、公知の手法によれば良いので、簡略に説明する。
【0066】
まず、極板群17、リード部18及び集電板19を公知の方法で組付ける。次いで、上述の方法で製造された電池ケース蓋本体12xのうち端子部材13の底面部13tに、極板群17及びリード部18と共に組付けられた−極側集電板19とをレーザ溶接し、溶接部20により互いに固着する。次いで、この一体化された電池ケース蓋本体12xと電池ケース本体11とをレーザ溶接し、本体側溶接部16により互いに固着する。さらに、図示しない他極側集電板を電池ケース本体11の底部にレーザ溶接して固着する。最後に、図示しない電解液注入口から電解液を注入して、密閉型電池10が製造される。
【0067】
本実施例1の密閉型電池10の製造方法では、パッキン14を使用した電池ケース蓋12の製造方法を含んでいる。従って、信頼性の高い電池ケース蓋12を適切に製造することができ、ひいては、信頼性の高い密閉型電池10を適切に製造することができる。
【実施例2】
【0068】
本実施例2にかかる、密閉型電池110及びその電池ケース蓋112の製造方法について、図1〜図3、図9〜図12を参照して説明する。ただし、実施例1におけるパッキン14に代えて、2部材の第1パッキン114、第2パッキン214を用いる他は実施例1と同様である。従って、異なる部分を中心に説明し、同様な部分は、説明を省略あるいは簡略化する。
【0069】
本例では、最初に本例に用いる第1パッキン114、第2パッキン214について説明する。
図9は、電池ケース蓋112の製造に用いられる第1パッキン114、第2パッキン214の説明図であり、(a)は第1パッキン114の上面図、(b)は第2パッキン214の上面図、(c)は第1パッキン114、第2パッキン214のFF矢視断面図、(d)は第1パッキン114、第2パッキン214の斜視分解図である。
第1パッキン114、第2パッキン214はどちらも可塑性を有する樹脂からなる。このうち、第1パッキン114は、軸線方向に延びる筒状の筒状部114sと、筒状部114sの一方の端縁から、軸線方向に直交する径方向に拡がる平板リング状のフランジ部114bを含む。さらに、第1パッキン114は、フランジ部114bの略周縁の径方向外側に、フランジ部114bを挟んで配置された一対の外側部114dを有する。
また、第2パッキン214は、軸線方向に延びる筒状の筒状部214sと、筒状部214sの一方の端縁から、軸線方向に直交する径方向に拡がる平板リング状の平板部214bを含む。
【0070】
次に、端子部材13及び第1パッキン114、第2パッキン214の電池ケース蓋本体12xへの組付け方法について図10〜図12を参照して説明する。
【0071】
図10(a)は、部材を所定の位置にセッティングする配置工程を示している。
まず、一対の第1パッキン114、第2パッキン214のうち、一方の第1パッキン114の筒状部114sを、第2面12cが上向きになるよう配置した電池ケース蓋本体12xの挿通孔15内に挿入して、第1パッキン114のフランジ部114bを、電池ケース蓋本体12xの第2面12cに当接させる。
次に、端子部材13の軸状部13kを、電池ケース蓋本体12xの第2面12c側(図10(a)中、上方)から第1パッキン114の筒状部114s内部に挿入して、端子部材13の鍔部13bを、第1パッキン114のフランジ部114bに当接させる。
さらに、電池ケース蓋本体12xの第1面12b側から、他方の第2パッキン214を、端子部材13に嵌入しつつ、第2パッキン214の筒状部214sを挿通孔15に挿入して、第2パッキン214の平板部214bを、電池ケース蓋本体12xの第1面12bに当接させる。
【0072】
次いで、バルジ工程を行う。図10(b)に示すように、まず、部材のセッティングなどを行う。
この工程では、実施例1と同様の一対の割型231、231及び一対の上型32、下型33を用いる。
まず、端子部材13の軸状部13kのうち、挿通孔15及び第2パッキン214の平板部214bよりも先端側(図10(b)中、下方)に突出した部分の基端部を包囲するように割型231、231をセットする。この割型231、231は、実施例1で用いた割型31、31と同様であるが、両者を合わせたときに出来る円孔の径が開口部13nの径と略同じとされている点で異なる。具体的には、この割型231、231の当接面231tを第2パッキン214の平板部214bに当接させた状態で、割型231、231の先端部231r、231rを互いに合わせる。すると、図11(a)に示すように、割型231、231の内周端面231s、231sで、端子部材13の軸状部13k(開口部13n)のうち、挿通孔15近傍部分を包囲することができる。
【0073】
次いで、実施例1と同様に端子部材13の先端側を押圧する下型33をセットする。さらに、端子部材13の軸状部13k内に油LQにを充填する。その後、実施例1と同じく端子部材13の開口部13nを押圧する上型32を、端子部材13の開口側上方に配置する。
【0074】
次いで、図11(b)に示すように、油LQを加圧して、その圧力で軸状部13kの一部を内側から拡張するバルジ加工を行う。
まず、軸線AXに沿って移動可能とされた一対の上型32、下型33を互いに接近させる。すると、端子部材13の軸状部13kは、軸方向に圧縮され、一方、上型32の凸部32tが、この軸状部13k内に挿入されることにより、油LQが加圧される。そうすると、油LQの圧力の上昇のため、端子部材13の軸状部13kのうち割型231よりも軸線AX方向先端側の部が、外方に膨出される。しかしながら、この軸状部13kのうち、割型231、231が当接している部分については、外方への拡張が制限される。電池ケース蓋本体12xの挿通孔15及び第2パッキン214の平板部214bは、この割型231、231よりも先端側とは逆側にあるため、端子部材13の軸状部13kの外周側への拡張による変形が発生する虞がない。
【0075】
本実施例2でも、端子部材13の軸状部13kを、軸線AX周りに略均等に外方へ膨出した形態に変形させることが出来る。
【0076】
次いで、図12に示すように、バルジ工程で膨出させた部分を圧潰工程により、扁平なフランジ形状に変形させる。
まず、端子部材13から油LQを排出し、割型231、231を離間させる。次いで、平坦な押圧面34sを有する下型34を用いて、上型32との間でさらに端子部材13の軸状部13kを軸線AX方向に圧縮する。すると、この軸状部13kは、扁平に押しつぶされて電池ケース蓋本体12xと略平行なカシメ加工部13gにカシメ加工される。この実施例2の電池ケース蓋112の製造方法では、端子部材13は、鍔部13bとこのカシメ加工部13gとで、電池ケース蓋本体12xのうち挿通孔15の周縁部分を把持して、自身を電池ケース蓋本体12xに固定してなる。それと共に、端子部材13は、第1パッキン114のフランジ部114b及び平板部214bを押圧しているので、電池ケース蓋本体12xの第1面12bと第2パッキン214の平板部214bとが密着し、平板部214bと端子部材13の折り返し部13hとが密着する。このため、電池ケース蓋112に、気密性・液密性を保持した状態で端子部材13が設けられることになる。
【0077】
本実施例2の電池ケース蓋112の製造方法のうち、バルジ加工工程では、端子部材13の軸状部13kのうち、電池ケース蓋本体12xの第1面12bより突出している部分を、さらに具体的には第2パッキン214の平板部214bより先端側に突出する部分をバルジ加工により膨出させて膨出部を形成する。また、圧潰工程では、端子部材13の膨出部を、軸線方向で電池ケース蓋本体12xの第1面12bに向けて圧潰して、カシメ加工部13gとしている。電池ケース蓋本体12xの挿通孔15及び第1面12bとこのカシメ加工部13gに介在している第2パッキン214は、平板リング状の平板部214bを有した形状であるため、このようなバルジ加工工程及び圧潰工程によっても、このパッキンの平板部214bが拡径されるなどの応力を受けることはない。従って、この部分が裂けたり、ひびが入ったりする不具合が起こりにくいから、本発明の電池ケース蓋112の製造方法では、信頼性の高い電池ケース蓋112を適切に製造することができる。
【0078】
続いて、本実施例2の電池ケース蓋112を用いて密閉型電池110を製造するが、密閉型電池110を製造するには、実施例1と同様にすればよいから説明を省略する。
【0079】
かくして、本実施例2の密閉型電池110が完成する。密閉型電池110は、図1〜図3に示されるように、パッキン14に代えて2部材の第1パッキン114、第2パッキン214を用いる他は、実施例1と同様である。
図3は、端子部材13及び第1パッキン114、第2パッキン214の電池ケース蓋本体12xの挿通孔15への組付けの状態を示す縦断面図である。
このうち端子部材13は、第1パッキン114、第2パッキン214を介在して挿通孔15の内側に位置する筒状の内筒部13jと、内筒部13jの一端側(図3中上方)に設けられ、挿通孔15よりも径大なリング状の鍔部13bと、内筒部13jの他端側(図3中下方)に設けられ、電池ケース蓋本体12xの第1面12bと略平行で、上記挿通孔15より径大で円板状のカシメ加工部13gを含む。なお、カシメ加工部13gは、外周端から折り返して内筒部13jに繋がる折り返し部13hを含む。また、端子部材13の鍔部13bと電池ケース蓋本体12xの第2面12cとの間には、第1パッキン114のフランジ部114bが介在する。さらに、端子部材13のカシメ加工部13gと電池ケース蓋本体12xの第1面12bとの間には、第2パッキン214の平板部214bが介在する。
【0080】
本実施例2の密閉型電池110の製造方法では、第1パッキン114、第2パッキン214を使用して適切に製造する電池ケース蓋112の製造方法を含んでいる。従って、信頼性の高い電池ケース蓋112を適切に製造することができ、ひいては、信頼性の高い密閉型電池110を適切に製造することができる。
【0081】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施例1及び実施例2にかかる電池ケース蓋12、112の製造方法について、カシメ加工の方法としてバルジ加工を用いているが、中実の軸状部を用いてリベットのようにして拡径する方法を採用することもできる。
また、本発明では、フランジ部を有さないパッキンであっても良いが、本実施例1、2のようにフランジ部14b、114bを有したパッキン14、114の方がより好ましい。
さらに、本実施例1、2では、密閉型電池に用いるパッキンを例示したが、このパッキンの適用は、密閉型電池に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】実施例1にかかる密閉型電池の外観を示す説明図である。
【図2】図1の要部拡大図である。(a)は上面図、(b)はBB矢視断面図である。
【図3】端子部材及びパッキンを、電池ケース蓋本体の挿通孔へ組付けた状態を示す縦断面図である。
【図4】実施例1にかかる密閉型電池の製造に用いられるパッキンの説明図である。(a)は上面図、(b)はCC矢視断面図、(c)は斜視図である。
【図5】実施例1にかかる密閉型電池の製造に用いられる端子部材の説明図である。(a)は上面図、(b)はDD矢視断面図、(c)は斜視図である。
【図6】実施例1にかかる密閉型電池の製造方法の説明図である。(a)、(b)は配置工程を示す縦断面図である。
【図7】実施例1にかかる密閉型電池の製造方法の説明図である。(a)はバルジ工程を示す縦断面図、(b)は(a)のEE矢視断面図である。
【図8】実施例1にかかる密閉型電池の製造方法の説明図である。(a)はバルジ工程を示す縦断面図、(b)は圧潰工程を示す縦断面図である。
【図9】実施例2にかかる密閉型電池の製造に用いられるパッキンの説明図である。(a)は上面図、(b)はFF矢視断面図、(c)は斜視図である。
【図10】実施例2にかかる密閉型電池の製造方法の説明図である。(a)は配置工程を示す縦断面図、(b)はバルジ工程を示す縦断面図である。
【図11】実施例2にかかる密閉型電池の製造方法の説明図である。(a)は図10(b)のGG矢視断面図、(b)はバルジ工程を示す縦断面図である。
【図12】実施例2にかかる密閉型電池の製造方法のうち圧潰工程を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0083】
10,110 密閉型電池
11 電池ケース本体
12、112 電池ケース蓋
12x 電池ケース蓋本体
13 端子部材
14 パッキン
114 第1パッキン
214 第2パッキン
14b、114b フランジ部
14c 第2フランジ加工部
14h ヒダ状部
14s、114s、214s 筒状部
15 挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可塑性材質からなり、
軸線方向に延びる筒状の筒状部、を備える
パッキンであって、
上記筒状部は、その軸線方向に直交する断面が蛇行する形態のヒダ状部を有するパッキン。
【請求項2】
請求項1に記載のパッキンであって、
前記筒状部は、
前記ヒダ状部が、上記筒状部のうち、このパッキンの使用時に拡径される拡径側の端縁まで届く形態を有してなる
パッキン。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のパッキンであって、
表面と裏面とを有し、前記筒状部のうち、このパッキンの使用時に拡径されない非拡径側の端縁から、前記軸線方向に直交する径方向に拡がる平板リング状のフランジ部を備える
パッキン。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のパッキンであって、
前記筒状部は、
前記軸線方向に直交する断面の周長のうち、前記ヒダ状部に属する部分の長さが、このパッキンの使用時に拡径されない非拡径側の端縁から離れるほど大きくなる形態を有するパッキン。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のパッキンであって、
前記筒状部は、
前記軸線を中心とし、前記軸線方向に直交する平面において、上記筒状部に外接する仮想円の径が、このパッキンの使用時に拡径されない非拡径側の端縁からの距離に拘わらず等しいか、上記非拡径側の端から離れるほど小さくなる形態を有するパッキン。
【請求項6】
第1面、第2面及び上記第1面と第2面との間を貫通する挿通孔を有する組付対象物と、
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のパッキンと、
上記挿通孔及び前記筒状部に挿通可能な軸状部、及び上記軸状部の一端に設けられ上記挿通孔よりも径大の鍔部を有するカシメ部材と、を一体に組み付けた
カシメ組付品の製造方法であって、
上記組付対象物、上記パッキン、及び上記カシメ部材を、
上記組付対象物の挿通孔に上記パッキンの筒状部を挿通し、
上記組付対象物の挿通孔及び上記パッキンの筒状部に上記カシメ部材の軸状部を挿通し、
上記組付対象物の第2面に上記カシメ部材の鍔部が当接するか、もしくは、
上記組付対象物の第2面と上記カシメ部材の鍔部との間に上記パッキンのフランジ部及び介在部材の少なくともいずれかが介在する
形態に配置する配置工程と、
上記カシメ部材の軸状部のうち上記組付対象物の第1面より突出している部分を、拡径させ、上記組付対象物の第1面と略平行で、上記挿通孔より径大の形態のカシメ加工部に変形させると共に、
上記パッキンの筒状部のうち上記組付対象物の第1面より突出している部分を拡径させ、上記組付対象物の第1面と略平行で、上記挿通孔より径大の形態の第2フランジ加工部に変形させて、上記パッキンで上記挿通孔の内周端を全周に亘って覆い、
上記カシメ部材の上記鍔部と上記カシメ加工部との間で、
上記パッキンの第2フランジ加工部を、
上記パッキンのフランジ部と第2フランジ加工部とを、または
上記介在部材と上記パッキンの第2フランジ加工部とを、介して、
上記組付対象物を挟み、
上記カシメ組付品を形成するカシメ工程と、を含む
カシメ組付品の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載のカシメ組付品の製造方法において、
前記組付対象物は、
前記第1面、第2面及び挿通孔を有する電池ケース蓋本体であり、
前記カシメ部材は、
前記軸状部が、前上記鍔部と反対側の端部が閉塞した有底円筒形状とされてなる
端子部材であり、
前記パッキンは、絶縁性材料からなり、
前記カシメ工程は、
上記端子部材の軸状部のうち、上記電池ケース蓋本体の第1面より突出している部分を、バルジ加工により膨出させて膨出部を形成すると共に、上記パッキンの筒状部のうち上記組付対象物の第1面より突出している部分を拡径させて拡径部とするバルジ加工工程と、
上記端子部材の膨出部を、前記軸線方向に沿い上記電池ケース蓋本体の第1面に向けて圧潰して、上記膨出部を前記カシメ加工部に変形させると共に、上記パッキンの拡径部を前記第2フランジ加工部に変形させる圧潰工程と、を含む
電池ケース蓋の製造方法。
【請求項8】
電池ケース本体と、電池ケース蓋とを有する電池の製造方法であって、
請求項7に記載の電池ケース蓋の製造方法による電池ケース蓋の製造工程を含む
電池の製造方法。
【請求項9】
第1面、第2面及び上記第1面と第2面との間を貫通する挿通孔を有する組付対象物と、
貫通孔を含む平板リング状の平板部を有するパッキンと、
上記挿通孔及び上記貫通孔に挿通可能な軸状部、及び上記軸状部の一端に設けられ上記挿通孔よりも径大の鍔部を有するカシメ部材と、を一体に組み付けた
カシメ組付品の製造方法であって、
上記組付対象物、上記パッキン、及び上記カシメ部材を、
上記組付対象物の挿通孔及び上記パッキンの貫通孔に上記カシメ部材の軸状部が挿通され、
上記組付対象物の第1面に上記パッキンの平板部が当接し、
上記組付対象物の第2面に上記カシメ部材の鍔部が当接するか、または、上記組付対象物の第2面と上記カシメ部材の鍔部との間に介在部材が介在する
形態に配置する配置工程と、
上記カシメ部材の軸状部のうち上記組付対象物の第1面より突出している部分を、拡径させ、上記組付対象物の第1面と略平行で、上記挿通孔より径大の形態のカシメ加工部に変形させて、
上記カシメ部材の上記鍔部と上記カシメ加工部との間で、
上記パッキンの平板部を、または、
上記パッキンの平板部と上記介在部材とを、介して、
上記組付対象物を挟み、
上記カシメ組付品を形成するカシメ工程と、を含む
カシメ組付品の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載のカシメ組付品の製造方法において、
前記組付対象物は、
前記第1面、第2面及び挿通孔を有する電池ケース蓋本体であり、
前記カシメ部材は、
前記軸状部が、前記鍔部と反対側の端部が閉塞した有底円筒形状とされてなる
端子部材であり、
前記パッキンは、絶縁性材料からなり、
前記カシメ工程は、
上記端子部材の軸状部のうち、上記電池ケース蓋本体の第1面より突出している部分を、バルジ加工により膨出させて膨出部を形成するバルジ加工工程と、
上記端子部材の膨出部を、前記軸線方向で上記電池ケース蓋本体の第1面に向けて圧潰して、上記膨出部を前記カシメ加工部に変形させる圧潰工程と、を含む
電池ケース蓋の製造方法。
【請求項11】
電池ケース本体と、電池ケース蓋とを有する電池の製造方法であって、
請求項10に記載の電池ケース蓋の製造方法による電池ケース蓋の製造工程を含む
電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−4778(P2006−4778A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−180213(P2004−180213)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】