説明

パッケージの殺菌方法

本発明は、包装機械において少なくとも一部を成形されているパッケージ(10)を殺菌する方法に関するものである。この方法は、少なくともパッケージ(10)の内面を、殺菌すべき少なくとも2つの面積部分に分割する段階と、2つの面積部分の各々にそれぞれの面積部分の特徴に適合する1つの電子ビーム殺菌装置(18)を備え、また、パッケージ(10)と2つの電子ビーム殺菌装置(18)の各々との間には、前記殺菌装置(18)によって2つの面積部分のそれぞれ関係する1つを殺菌するのに適合したそれぞれ相対的な動きを与えて、少なくとも2つの面積部分の2つを殺菌する段階とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装機械において少なくとも一部を成形されているパッケージを殺菌する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品包装工業分野では、異なる紙層または板紙層と、例えばポリマーの液体バリヤと、例えばアルミニュウム薄膜の気体バリヤとを含む包装材料ブランクから形成されたパッケージが長年にわたり使用されてきた。ブランクは予め材料ウェブから形成されており、パッケージの成形および折曲げを容易にする折目パターンをしばしば備えている。ウェブは、1つのパッケージを作る寸法形状を個々に有する部片に切断される。切断後、各部片は長手方向の縁部を互いに重ねられた平たいチューブ状のブランクとなるように折曲げられる。次に、例えば熱シール加工のような何れかの適当な通常シール加工技術によって長手方向縁部がシールされる。こうして出来上がったものが平たいチューブ状ブランクである。ウェブからのブランク形成自体は良く知られており、これ以上は詳細に説明しない。
【0003】
包装機械において、ブランクは立上げられてチューブに成形され、チューブはパッケージの形式に応じて通常は正方形または長方形の横断面を有する。その後、チューブの一端を横方向にシールされてパッケージの底部(または頂部)を形成することができ、また、そのパッケージは例えば飲料のような食品の充填準備がなされる。この種のパッケージは本出願人によりテトラ・レックス(登録商標)の名称で販売されている。
【0004】
上述したような包装材料のチューブ状スリーブと、このスリーブに密着取付けされたプラスチック製頂部とにより作られたカートン・ボトルパッケージもある。この頂部は包装機械の外部で事前に作られるか、包装機械の内部でスリーブ上に直接に射出モールド成形される。頂部は蓋装置を備えている。これらの形式のパッケージは、スリーブの底端部が横方向にシールされ、最終折曲げ加工されて底部が形成される前に、充填を行うことができる。それらのパッケージは、蓋装置の注ぎ口を通して充填することもできる。これに似たパッケージは、テトラ・アプティバ(登録商標)およびテトラ・トップ(登録商標)の名称で本出願人から販売されている。
【0005】
充填用に一端に開口が備えられているが、他端はシールされて底部または頂部が形成されている一部成形済みのパッケージは一般に充填準備済みパッケージ(RTFパッケージ)と表される。以下、この充填準備済みパッケージは「パッケージ」という言葉で表される。
【0006】
包装された製品の寿命を延長するために、充填作業前にパッケージを殺菌することが従来知られている。どれほど長い寿命が望まれるかにより、また、搬送および保存が冷蔵温度または大気温度で行われるかにより、異なる殺菌レベルが選ばれる。しかしながら殺菌という言葉は、本明細書では清浄作業および微生物死滅作業のあらゆるレベルを含む。
【0007】
1つの殺菌方法は、電子ビーム・ユニットから放射される電子でパッケージ内部を照射することである。この方法は、また、この方法を実施する装置は、本出願人による国際特許公報WO2005/002973に記載されており、その記載内容を本明細書の記載として援用する。
【0008】
電子ビーム技術によりパッケージを殺菌する典型的なシステムは、ビーム路に沿って電子ビームを放射する電子ビーム殺菌装置を含んでいる。この装置は、電子ビーム発生器に連結され、発生器は高電圧電源およびフィラメント電流供給源に接続される。後者は高電圧電源からの電力を発生器のフィラメントに適当な入力電圧に変換する。フィラメントは真空室内に収容できる。作動において、フィラメントからの電子eが目標Aに向けて電子ビーム路に沿って放出される。フィラメントの周囲のグリッドは、電子ビームを拡散させて一層均一なビームにするため、また、電子ビームを目標に向けて集中させるために使用される。電子ビームの形状を整えるためにビーム吸収装置および磁界も使用できる。電子は電子出口窓を通して殺菌装置から放出される。
【0009】
しかしながらパッケージの殺菌時に、1つの電子ビーム殺菌装置でパッケージ全体にわたり均一な電子ビーム照射量を達成することは困難であることが見出された。この理由は、パッケージの物理的な各部の形状が異なることにある。隅部、開口部、蓋装置部分、ボトル状頂部、底部、平たい壁部分などは十分な殺菌を必要とするが、照射に対して過剰に露出されないことが好ましい。コストの問題もある。必要以上の過剰エネルギーを使用しないことが好ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって本発明の1つの目的は、包装機械内部でパッケージの全ての部分に実質的に均一な照射量を可能にする電子ビーム照射、すなわち予め定められた電子ビーム照射量に露出されるべきパッケージの全ての部分で予め定められた殺菌レベルを達成できる電子ビーム照射によって、少なくとも一部を成形されたパッケージを殺菌する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、少なくともパッケージ内面を、殺菌すべき少なくとも2つの面積部分に分割する段階と、2つの面積部分の各々にそれぞれの面積部分の特徴に適合する1つの電子ビーム殺菌装置を備え、また、パッケージと2つの電子ビーム殺菌装置の各々との間には、前記殺菌装置によって2つの面積部分のそれぞれ関係する1つを殺菌するのに適合したそれぞれ相対的な動きを与えて、少なくとも2つの面積部分の2つを殺菌する段階と、パッケージに開口を通して製品を充填する充填ステーションへパッケージを移送した後、前記パッケージをシール加工する段階とを含む方法によって達成された。
【0012】
この方法では、殺菌する各々の面積部分に対して1つの適当な殺菌装置を選ぶことができる。換言すれば、対応する面部分の形状、寸法などの特徴に各殺菌装置の形状を適合させることができ、殺菌を最適状態で行うことができる。殺菌装置の形状に適合させるとともに、パッケージと殺菌装置との間の相対的な動きも適合される。殺菌装置が或る面積部分に適合されたとしても、幾つかの面積部分は他の面積部分が十分に殺菌されるよりも長い露出時間、または電子ビームの遅い移動を必要とするかもしれない。適合された殺菌装置と適合された相対的な動きとの組合わせによって、エネルギー消費および消費時間に関してパッケージの殺菌を非常に有効に行うことができる。この組合わせは、コスト効率のよい殺菌システムの達成も可能にする。
【0013】
本発明の現在好ましいとする実施例で、この方法は、それぞれ1つの面積部分の特徴に適合された電子ビーム殺菌装置を各面積部分に備えることにより、付随する面積部分を殺菌する段階をさらに含む。パッケージは幾つかの面積部分に分割でき、包装機械は同じ個数の殺菌装置を備えることになる。この方法では、非常に注意の行き届いたパッケージ照射を遂行することができる。
【0014】
本発明の他の実施例で、この方法は、形成される面積部分が少なくとも互いに僅かに重なるように少なくともパッケージ内面を分割する段階を含む。これを行うことにより、パッケージの少なくとも一部分でも殺菌されずに残されることのないことを保証できる。幾つかの場合、1つの面積部分は多少とも完全に互いに重なることになる。
【0015】
他の実施例は、1つの面積部分を殺菌するために、電子ビーム発生器に連結された1つの殺菌装置を備える段階を含む。この電子ビーム発生器は、移動および取扱いの容易な小型ユニットを形成するために殺菌装置内に収容できる。
【0016】
さらに他の実施例は、複数の面積部分を殺菌するために複数の殺菌装置を備える段階を含み、それらの殺菌装置の幾つかは同一の電子ビーム発生器に連結される。適当であるならば、多数の殺菌装置が同一の電子ビーム発生器に連結される。これは空間を節約し、また、殺菌装置ごとに1つの電子ビーム発生器を備えるよりもさらにコスト効率が良くなる。
【0017】
さらに他の実施例で、この方法は、複数の面積部分を殺菌するために、全て同一の電子ビーム発生器に連結された複数の殺菌装置を備える段階を含む。
【0018】
付随的な実施例で、この方法は、少なくとも1つの電子ビーム発生器により発生された電子ビームの少なくとも一部を放出するための少なくとも1つの電子出口窓を各々備えている複数の殺菌装置によって、複数の面積部分の殺菌が行われる段階を含む。電子ビーム出口窓は電子を放出するために使用され、また、殺菌装置を面積部分に適合させるための重要なパラメータである。さまざまに異なる窓形状が異なる照射の特徴を与える。
【0019】
さらに他の実施例で、この方法は、各々少なくとも1つの電子ビーム殺菌装置を配置された少なくとも第1および第2処理ステーションを殺菌室内に備える段階と、第1ステーションにパッケージを配置して、前記第1ステーション内の電子ビーム殺菌装置で前記パッケージの内部の少なくとも第1面積部分を殺菌する段階と、第2ステーションにパッケージを配置して、前記第2ステーション内の電子ビーム殺菌装置で前記パッケージの内部の少なくとも第2面積部分を殺菌する段階とを含む。
【0020】
一実施例は、殺菌室内に配置されるとともに少なくとも1つの電子ビーム殺菌装置を備えた少なくとも1つの追加ステーションにパッケージを配置する段階と、開口付近のパッケージ外面の一部を含む少なくとも1つの面積部分を殺菌する段階とをさらに含む。この方法では、パッケージの外部からパッケージの内部への再汚染を防止できる。
【0021】
付随的な実施例は、各ステーションにおいて2つ以上のパッケージを殺菌する段階を含む。この方法では、包装機械の能力を高めることができる。
【0022】
以下に、本発明の現在好ましいとする実施例が添付図面を参照して非常に詳細に説明され、図面で同じ符号は同じ部材を示すために使用されている。
【0023】
簡略化のため、さまざまな実施例における似た造作は同じ符号で示される。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の方法で殺菌する符号10で示された一部成形済みの2個のパッケージの実施例を示している。冒頭に説明したように、一部成形済みパッケージは、通常、一端12を閉じられ、他端に開口14を有する。閉端部12は底部または頂部として形成され、また、開口14はパッケージ・スリーブの開端部を形成することができ、開口14はその後にシールされるか、または、蓋装置のネックで囲まれた注ぎ口とされることができ、注ぎ口にはその後にキャップなどが備えられる。図中右側のパッケージ実施例はシールした底部と、蓋装置のねじ付きネックで囲まれた注ぎ口の形状をした頂部開口とを有している。左側のパッケージ実施例は開口(底部)を有し、他端には頂部とシール状態の蓋装置とを備えられている。
【0025】
以下において、また、図2を参照して、電子ビーム発生器16、電子ビーム殺菌装置18、および電子ビーム殺菌装置の概念が簡単に説明される。電子ビーム発生器16は放射路に沿って電子ビーム20を放出する手段を含み、この手段はパッケージ10へ向けてビーム20を分散する殺菌装置18に連結される。
【0026】
通常、電子ビーム発生器16は、望まれる適用例の電子ビーム発生器16を駆動するために十分な電圧を与えることに適した高電圧電源22に接続される。電子ビーム発生器16はフィラメント電流供給源24にも接続されており、フィラメント電流供給源は高電圧電源22からの電圧を発生器16のフィラメント26に適当な入力電圧へと変換する。さらに、高電圧電源22は電子ビーム発生器16のグリッド30を制御するグリッド制御装置28を含んでいる。
【0027】
パッケージの殺菌に使用される電子ビーム発生器は一般に底電圧電子ビーム・ユニットを意味しており、このユニットは通常は300kV未満の電圧を有する。開示する設計では、加速電圧は70〜90kV内である。この電圧は各電子に関して大体70〜90keVの運動(移動)エネルギーを生じる。
【0028】
フィラメント26はタングステンで作ることができ、また、真空室32内に収容できる。典型例では、真空室は機密にできる。作動において、電流がフィラメント26を通して流され、そのフィラメントの電気抵抗がフィラメントを大体2000℃の温度にまで加熱する。この加熱はフィラメント26に電子eの雲を放出させる。それらの電子は電子ビーム路に沿って目標面積部分、この例ではパッケージ10内部の1つの面積部分へ向けて放出される。フィラメントと電子ビーム出口窓との間に配置されたグリッド30は、多数の開口を備え、また、電子ビーム20を一層均一なビームとするように拡散させて、その電子ビーム20を目標面積部分に向けて集中させるために使用されている。
【0029】
図示実施例において、電子ビーム発生手段は電子ビーム殺菌装置18内に収容されている。殺菌装置18は真空室を含み、この真空室は、この例では電子ビーム発生器16の真空室32と同じである。殺菌装置18は電子出口窓34をさらに備えている。窓34は例えばチタンのような金属箔で作ることができ、大体4〜12μmの厚さを有する。アルミニュウムまたは銅で形成された支持ネットが電子ビーム発生器16の内側から箔を支持している。電子は出口窓34を通して真空室32から放出される。
【0030】
この実施例では、内部に電子ビーム発生器16を備えた殺菌装置18は、実質的に円形横断面のシリンダ形状を有し、出口窓34はそのシリンダの第1端部内に位置している。
【0031】
図3に示される他の実施例では、電子ビーム発生器16および殺菌装置18は勿論のことながら連結されるが、殺菌装置18だけがパッケージ10と協働し、すなわち照射の間に殺菌装置18は少なくとも一部がパッケージ10の内部または周囲に位置決めされるか移動される。真空室(外側から見えない)は互いに連絡され、また、殺菌装置18は電子ビーム発生器16延長部またはノズルとして機能する、すなわち殺菌するパッケージ部分に届かせるために使用される。
【0032】
目標すなわちパッケージ10を目標面積部分の範囲内に支持するために支持部(図示せず)が備えられる。この支持部は、例えば殺菌室を通してパッケージ10を移送するコンベヤの通常のキャリヤとすることができる。図1の左側のパッケージと似たパッケージ10を殺菌する間、パッケージ10は支持部に上下逆にして置かれる(頂部が下側に位置される)。
【0033】
さらに、殺菌中はパッケージ10と殺菌装置18との間に相対的な動きが与えられる。殺菌装置18がパッケージ10の内側または周囲へ降下されるか、パッケージ10が殺菌装置18の周囲へ上昇され、またはそれぞれが互いへ向けて移動される。これを達成するために、支持部は静止されるか、または殺菌装置18に対して接近および離反方向へ移動できるようになされる。
【0034】
殺菌装置18の電子ビーム発生器16と組合う第2端部内には、周辺の好ましい部材に対して取付けるための手段(図示せず)が備えられている。例えば、そのような手段は、パッケージ10へ向かって下方に向いた電子ビーム出口窓34を備えた殺菌室の内側頂壁から、殺菌装置または電子ビーム発生器を吊下げる手段とすることができる。これに替えて第2端部は、パッケージ10と電子ビーム発生器16との間に相対的な動き(矢印を参照)を与える手段を備え(図示せず)、前記装置18がパッケージ処理のために少なくとも部分的にパッケージ10の内側または周囲に位置するように、位置決めするか動きを与えるようになされる。
【0035】
相対的な動きは多くの異なる方法で与えることができる。例えば、パッケージ内へ殺菌装置を緩やかに降下させた後、短時間停止し、そして急速に上昇させてパッケージから取出すことを含むことができる。これに替えて相対的な動きは、降下させ、停止させることなく上昇させることを含むことができる。さらに他の代替例では、降下および上昇を非常に急速であるが、その途中で多数回にわたり短時間停止されて行われる。
【0036】
図4は殺菌室36を示しており、それを通して水平矢印の方向へパッケージ10が移送されて殺菌される。包装される製品の寿命を延長するために、充填作業の前にパッケージを殺菌することが従来知られている。どれほど長い寿命が望まれるのか、および配送および保存が冷蔵温度または大気温度で行われるのかに応じて、異なる殺菌レベルを選ぶことができる。大気温度に関しては、商業上の見地による殺菌として表されるレベルが好ましい。しかしながら、殺菌という言葉は、本明細書では清浄処理および微生物死滅のあらゆるレベルを含んでいる。
【0037】
この図は、充填装置38も示している。パッケージ10は殺菌室36で殺菌された後に充填装置38へ送られる。充填装置38は、パッケージ10の開口を通して製品を充填するための少なくとも1つの充填ステーション40を備えている。既に説明したように、この開口はパッケージの未だ開口している端部とされるか、例えばネックで囲まれた注ぎ口のような未だシールされていない蓋装置の部分とすることができる。
【0038】
前記充填ステーション40は何れかの適当な形式のパッケージ充填システムの一部をなすことができる。例えば、直線式充填システムまたは回転式充填システムを使用できる。充填システムはこれ以上詳細に説明しない。
【0039】
本発明による殺菌方法は、少なくともパッケージ10の内面を、殺菌すべき少なくとも2つの面積部分に分割する段階を含む。各々の面積部分はそれぞれの殺菌装置18によって殺菌される。多数の殺菌装置18を使用し、また、一回にパッケージ10の1つの面積部分を処理することで、殺菌する面積部分の形状寸法のような特徴に各殺菌装置18を適合させることができる。これは、各殺菌装置18が照射される面積部分に実質的に最適化できる、すなわち殺菌する特定の面積部分に適当とされるビーム路に電子ビーム20またはその一部を形成するように適合されることを意味する。このために、殺菌室36は少なくとも2つの面積部分に対して少なくとも2つの電子ビーム殺菌装置18を備えるのである。
【0040】
1つの面積部分は、本明細書において殺菌装置が適合される1つまたは複数のパッケージ面と定義される。複数の面積部分への分割は、何れかの適当な方法で行われる。例えば、1つの面積部分はパッケージの底部分の形状とされることができる。他の面積部分は、パッケージの筒体内面の形状とすることができる。さらに他の面積部分は、蓋装置またはパッケージ頂部の形状とされることができる。しかしながらこの分割は、パッケージの物理的な部分によって境界される必要はない。例えば、1つの面積部分を底部の一部分および筒体内面の下部の一部分で形成できる。他の面積部分を、例えば蓋装置およびパッケージの頂部で形成できる。さらに他の部分を、例えば筒面およびパッケージの底部で形成できる。1つの面積部分に含まれるパッケージの部分および面は連続または連結されている必要はなく、互いに完全に離隔されることもできる。必要とされる異なる殺菌装置の個数は、パッケージに存在する異なる面積部分の個数に応じる。
【0041】
これらの面積部分は、互いに少なくとも僅かに重ねられて、パッケージのどの部分も電子ビーム照射量が過少とならないことを保証する。幾つかの例で、1つの面積部分は多少ながら互いに完全に重ねられる。パッケージの頂部の面積部分を殺菌するように適合された殺菌装置が後述される。しかしながら頂部における蓋装置の面積部分を覆う照射量は、十分な殺菌が行われるように他の殺菌装置によって増強されることが必要である。したがって第2面積部分は第1面積部分に完全に重ねられる。
【0042】
各々の殺菌装置18は照射するように割当てられた面積部分の最適照射を行えるように形状を定められる。異なる面積部分に対して必要とされる異なる照射特性を得るために変更可能な電子ビーム殺菌装置18の特徴は、例えば殺菌装置18の形状および寸法、電子出口窓34の個数およびそれらの配置および形状である。電子ビーム20の性質をさらに変化させるために、フィラメント26および制御グリッド30を変更できる。
【0043】
さらに、パッケージ10と殺菌装置18との間の相対的な動きは、図4で垂直方向に向いた矢印で概略的に示されているが、殺菌装置18とともに最適照射が行われるように定められる。
【0044】
図4に示した典型的な実施例では、殺菌室36は第1および第2処理ステーションI,IIを備えている。この後、追加の、この場合は第3のステーションIIIも殺菌室36内に備えられる。
【0045】
第1ステーションIはパッケージ10の第1面積部分を殺菌するステーションであり、第2ステーションIIはパッケージ10の第2面積部分を殺菌するステーションである。前記ステーションI,IIは各々がそれぞれの面積部分を殺菌するための1つの電子ビーム殺菌装置18を含んでいる。
【0046】
図4のステーションにおける殺菌装置18は、それぞれ電子ビーム発生器に連結された別々の殺菌装置とすることができる。したがって電子ビーム発生器16は殺菌装置18の真空室32内に収容できる。これに替えて殺菌装置18は図3に示されるように、共通の電子ビーム発生器16に連結される。しかしながら、明瞭にするために、図3のステーションは図4に示される殺菌装置以外の他の殺菌装置を備えるように示されていることに注意しなければならない。
【0047】
図4の実施例で第1ステーションIは、頂部内面および閉じた蓋装置の内面を含む面積部分の殺菌に使用される。第2ステーションIIは、パッケージ筒体内面の形状をした面積部分の殺菌に使用される。
【0048】
第1ステーションIの殺菌装置18が図6aを参照してこの後さらに詳細に説明される。この殺菌装置は、例えばドーム状パッケージ頂部の形状をした面積部分の照射に適した広い円形ビームを形成する平たい出口窓を含んでいる。図6bを参照してこの後さらに詳細に説明される第2ステーションIIの殺菌装置18は、例えばパッケージ10の円形筒面の照射に使用することが適当な円形ビームを形成するために配置された多数の電子ビーム出口窓を備えている。
【0049】
既に述べたように、殺菌室36は、パッケージ10の充填前に開口付近のパッケージ内面の少なくとも一部を殺菌する追加の第3ステーションIIIも含んでいる。この殺菌装置18は図6fを参照してこの後さらに詳細に説明される。
【0050】
上下逆に配置されたパッケージ10が図4の左側の殺菌室36に進入し、また、第1ステーションIへ送られる。第1ステーションI内において、第1殺菌装置18は図示された上昇位置からパッケージ10内へ適当距離を降下され、パッケージ10の第1面積部分を照射する。この面積部分は予め定められた時間にわたり照射ビームに露出される。この時間は、パッケージ10と殺菌装置18との間の相対的な動きによって調整される。所定時間の経過後、殺菌装置18は再び上昇され、パッケージ10は第2ステーションIIへ送られて、そのステーションにおいて第2面積部分が前記ステーションII内の殺菌装置18によって照射される。殺菌装置18は同じように降下および上昇される。相対的な動きは、したがって照射露出時間は、第1ステーションの場合と同じか、異なることができる。
【0051】
第2ステーションIIの後でパッケージは第3ステーションIIIへ送られ、そのステーションで開口端付近のパッケージ10の外面の少なくとも一部の形状をした面積部分が殺菌されて、パッケージ内面の再汚染を防止する。同様に、殺菌装置18がパッケージ10の開口端12の周囲を降下され、予め定められた時間にわたって殺菌される。殺菌装置18はその後上昇され、パッケージ10の殺菌が終了される。これによってパッケージ10は次室、すなわち充填のための充填装置38へ進める準備がなされる。充填後にパッケージ10はシールされる。この例では、パッケージ・スリーブの開口端12が圧搾され、パッケージ10は通常の方法で熱により横方向にシールされる。
【0052】
図1の右側のパッケージを参照し、パッケージ頂部の注ぎ口を通してパッケージの殺菌および充填が行われる他の実施例において、シール加工工程は、注ぎ口周辺のネックに膜、および(または)例えばねじキャップのようなキャップを備えることを含む。
【0053】
図5は、図4の殺菌室36の第2実施例を示している。この第2実施例には、複数の処理ステーションが備えられ、各々の処理ステーションは1つ以上の同種の電子ビーム殺菌装置18を含んでいる。この方法では、各ステーションにおいて同時に1つ以上のパッケージを殺菌することが可能である。殺菌装置18は、図3に示したような共通の電子発生器に連結できることが好ましい。この包装機械は、パッケージの2度割出し、すなわち第1ステーションIの第1殺菌装置18に位置するパッケージ10が第2ステーションIIの第1殺菌装置18へ直接送られることを必要とする。
【0054】
以下に、例えばさまざまな形状および窓構造を有することで電子ビーム特性の異なる多数の殺菌装置18が説明される。
【0055】
図6aに示される第1殺菌装置18は、円形横断面を有するパッケージの寸法に対応した寸法の円形筒体42を有する。筒体42は電子ビーム発生器44を取囲み、また、発生器のフィラメントおよびグリッドが同図に概略的に示されている。筒体の軸線方向の一端内部に電子ビーム出口窓46が備えられている。この実施例で、窓46は平たい円形をしており、寸法は筒体42の円形端部に実質的に等しい寸法である。フィラメントはリング形状とされるか、直線形状とされる。グリッドは、電子ビーム20を拡散させて一層均一なビームとするように、また、電子が実質的に窓の全面を通して、または選ばれた部分を通して放出されるように電子ビーム20を出口窓46へ向けて集中させるようになされている。この構造は、例えばパッケージの平たい底部の形状をした面積部分を照射するための使用に適している。その後殺菌装置18はパッケージの開口頂部からパッケージ内へ降下されるか、パッケージが殺菌装置の周囲へ上昇される。これに替えて、殺菌装置18は円筒対称形またはドーム状のパッケージ頂部の形状をした面積部分の照射に使用できる。その後殺菌装置18はパッケージの開口底端からパッケージ内へ降下されるか、パッケージが殺菌装置18の周囲へ上昇される。これに替えて、パッケージの底部および筒体内面の両方で面積部分が形成される。このようにして相対的な動きは、殺菌装置の緩やかな降下と、パッケージ底部付近での短時間の停止との両方を含む。
【0056】
図6bに示される第2殺菌装置18は実質的に第1殺菌装置に似ているが、筒体42が細い円形ノズル50を備えている。電子ビーム出口窓46は軸線方向の一方の端部内に配置され、平たい円形をしている。殺菌装置18は細い開口端部を有するボトルのようなパッケージの照射に使用でき、パッケージの開口端部を通して殺菌装置を降下および上昇させることが必要となる。これに似た形状は、例えば開口装置や蓋装置および他の不規則形状をした小さな面積部分のような特定の面積部分における電子ビーム20の増強にも使用できる。このノズル形状は円形以外の形状にすることができ、例えば正方形、長方形、三角形、楕円形、または他のあらゆる異なる形状にできることを理解しなければならない。
【0057】
図6cに示される第3殺菌装置18は基本設計が第1殺菌装置に実質的に似ているが、各出口窓46へ向けて照射量を増強されて広い円形ビーム20を形成するように円錐形状に配置された多数の出口窓46を備えている。図示のように4つの窓46が配置されるならば、殺菌装置18は隅部のある対称的な正方形パッケージの照射に適している。パッケージ内面に均等な照射量を与えるために、窓は隅部に面するように配置されることが好ましい。この形状はまた、円形筒体内面の照射にも適している。第1殺菌装置の形状に比較して、この形状は円筒形パッケージの筒面を殺菌する場合は速くできることになる。何故なら、電子移動路の平均長さが短くなるからである。
【0058】
図6dに示される第4殺菌装置18は、これまでの殺菌装置と実質的に似ており、複数の窓も備えている。窓46は円形の筒体42の筒面に配置されている。窓46は本体端部に備えることができる。形成される電子ビーム20は下方且つ側方に広がり、また、殺菌装置18は実質的に平たいパッケージ底部とパッケージの内筒面とを含む面積部分の照射に使用することが適している。
【0059】
図6eに示される第5殺菌装置18は、第1殺菌装置と実質的に似ているが、軸線方向の正方形で平たい電子ビーム出口窓46を備えている。出口窓46の寸法は円形本体42の横断面よりも大きい。したがって、出口窓46の備えられた端部はフランジ52を備えている。円形筒体42に連結されるフランジ52の端部は円形であり、出口窓46を備えた端部は正方形である。グリッドは、電子ビーム20が出口窓46の実質的に全面または選ばれた部分を通して放出されるように、電子ビーム20を出口窓46へ向けて集中させるようになされている。この構造は、パッケージの正方形の底部またはパッケージの正方形の内面のような面積部分の照射に使用することが適している。これに替えて、窓46は他の形状、例えば楕円形や、パッケージ形状の照射のために相応しい横断面形状を有する。
【0060】
図6fに示される第6殺菌装置18は、これまでの殺菌装置と実質的に似ているが、平たくない形状の照射に好適に使用できるという相違点を有している。円形筒体42の一端に漏斗形状部分54が備えられている。漏斗形状部分54の幅は筒体42から離れる方向に向かって大きくなる。漏斗形状部分54の内側には複数の電子出口窓46が円錐形56に配置されている。これにより、表面が膨らんだ形状を有する、または突出する蓋装置を備えている場合であっても、出口窓46はパッケージ表面の近くへ移動することができる。パッケージのボトル状頂部の外面の面積部分は、この装置によって照射することができる。さらに、カップも照射することができる。
【0061】
本発明の方法では、例えば少なくとも第1および第2殺菌装置が図1の左側のパッケージに似たパッケージの殺菌に使用できる。第1殺菌装置はおよび頂部面を含む面積部分を殺菌するのに対して、第2殺菌装置は蓋装置の内面の形状をした面積部分に対する付加的な増強を行う。第6殺菌装置は、開口14付近のパッケージ外面の一部を含む面積部分を殺菌するために追加できる。相対的な動きは各面積部分に対して適用される。
【0062】
本発明を現在好ましいとする実施例に関して説明したが、特許請求の範囲に記載された本発明の目的および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更および変化をなし得ることは理解しなければならない。
【0063】
付随的な実施例では、2つの処理ステーションが組合わされる。例えば、第1および第2のステーションは、最初は第1ステーションの電子ビーム殺菌装置で、その後第2ステーションの電子ビーム殺菌装置でパッケージを殺菌するために、同じ位置に備えられる。パッケージは両照射の間は何処へも送られず、その代わりに両殺菌装置はパッケージの停止中に1回シフトされるか、一緒にして備えられる。図4の実施例で、実際に2つのステーションを形成するために、例えば第1ステーションに2つの殺菌装置を備えることができる。第1殺菌装置は蓋装置の内面の形状をした面積部分を殺菌するように、また、第2殺菌装置は頂部の形状をした面積部分、すなわち蓋装置の周辺の面積部分を殺菌するようになされる。同様に、例えば、第2ステーションおよび追加の第3ステーションを組合わせることができる。そこで殺菌装置は、例えば一方の殺菌装置の周囲に他方を配置するようにすることができる。
【0064】
さらに、パッケージは内筒面を有するものとして説明され、また、図面ではパッケージが円形横断面を有することを示した。しかしながら、パッケージ内筒面という言葉は、パッケージの断面形状に関係なく内壁面またはパッケージの複数壁面と解釈されるべきであることを理解しなければならない。パッケージ横断面は、円形、正方形、長方形、楕円形、三角形、矩形、または他の形状のようなほとんど全ての形状を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の方法で殺菌する一部成形済みの2個のパッケージを概略的に示す。
【図2】この方法を遂行する典型的なシステムを模式的に示す。
【図3】共通の電子ビーム発生器に連結された多数の殺菌装置の外観を概略的に示す。
【図4】各々1つの殺菌装置を備えた3つの処理ステーションを含む殺菌室および充填室の一部断面とした外観を概略的に示す。
【図5】図4に似ているが、各処理ステーションに2つの殺菌装置を備えた外観を概略的に示す。
【図6】図6a〜図6fは異なる殺菌装置の実施例を概略的に示しており、各殺菌装置は外部から見た視図、一部断面とした視図、および出口窓構造を備えた軸線方向端部から見た視図で概略的に示されている。
【符号の説明】
【0066】
10 パッケージ
12 閉端部
14 開口
16 電子ビーム発生器
18 電子ビーム殺菌装置
20 電子ビーム
22 高電圧電源
24 フィラメント電流供給源
26 フィラメント
28 グリッド制御装置
30 グリッド
34 電子出口窓
36 殺菌室
38 充填装置
40 充填ステーション
42 筒体
44 電子ビーム発生器
46 出口窓
50 ノズル
52 フランジ
54 漏斗形状部分
56 円錐形


【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装機械において少なくとも一部を設計されたパッケージ(10)を電子ビーム照射により殺菌する方法であって、
少なくともパッケージ(10)の内面を、殺菌すべき少なくとも2つの面積部分に分割する段階と、
2つの面積部分の各々にそれぞれの面積部分の特徴に適合する1つの電子ビーム殺菌装置(18)を備え、また、パッケージ(10)と2つの電子ビーム殺菌装置(18)の各々との間には、前記殺菌装置(18)によって2つの面積部分のそれぞれ関係する1つを殺菌するのに適合したそれぞれ相対的な動きを与えて、少なくとも2つの面積部分の2つを殺菌する段階と、
パッケージ(10)に開口(14)を通して製品を充填する充填ステーション(40)へパッケージ(10)を移送した後、前記パッケージ(10)をシール加工する段階とを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
追加の面積部分に対して、その各々の面積部分の特徴に適合された1つの電子ビーム殺菌装置(18)を各々の面積部分に備えることで、その面積部分を殺菌する段階を含む請求項1に記載された方法。
【請求項3】
形成された面積部分が少なくとも互いに部分的に重なるように、パッケージ(10)の少なくとも内面を分割する段階を含む請求項1および請求項2に記載された方法。
【請求項4】
面積部分の殺菌のために、1つの電子ビーム発生器(16)に連結された殺菌装置(18)を備える段階を含む請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載された方法。
【請求項5】
面積部分の殺菌のために、同一の電子ビーム発生器(16)に連結された幾つかの殺菌装置(18)を備える段階を含む請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載された方法。
【請求項6】
面積部分の殺菌のために、同一の電子ビーム発生器(16)に全てが連結された複数の殺菌装置(18)を備える段階を含む請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載された方法。
【請求項7】
面積部分の殺菌が、少なくとも1つの電子ビーム発生器(16)で発生された電子ビーム(20)の少なくとも一部を放出する少なくとも1つの電子出口窓46をそれぞれ備えている殺菌装置(18)によって行われる請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載された方法。
【請求項8】
各々少なくとも1つの電子ビーム殺菌装置(18)を配置された少なくとも第1および第2処理ステーション(I,II)を殺菌室(36)内に備える段階と、
第1ステーション(I)にパッケージ(10)を配置して、前記第1ステーション(I)内の電子ビーム殺菌装置(18)で前記パッケージ(10)の内部の少なくとも第1面積部分を殺菌する段階と、
第2ステーション(II)にパッケージ(10)を配置して、前記第2ステーション(II)内の電子ビーム殺菌装置(18)で前記パッケージ(10)の内部の少なくとも第2面積部分を殺菌する段階とをさらに含む請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載された方法。
【請求項9】
殺菌室(36)内に配置されるとともに少なくとも1つの電子ビーム殺菌装置(18)を備えた少なくとも1つの追加のステーション(III)にパッケージ(10)を配置する段階と、開口(14)付近のパッケージ(10)の外面の一部を含む少なくとも1つの面積部分を殺菌する段階とをさらに含む請求項8に記載された方法。
【請求項10】
各ステーションで2つ以上のパッケージ(10)を殺菌する段階をさらに含む請求項8および請求項9に記載された方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図6e】
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【図6f】
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【公表番号】特表2009−539718(P2009−539718A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515340(P2009−515340)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【国際出願番号】PCT/SE2007/000445
【国際公開番号】WO2007/145561
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(591007424)テトラ ラバル ホールデイングス エ フイナンス ソシエテ アノニム (190)
【Fターム(参考)】