パッケージトレイの組付構造
【課題】パッケージトレイの組み付け性をより高くすることができるパッケージトレイの組付構造を提供する。
【解決手段】デッキサイドトリムに設けられたヒンジピン32及び棚部34と、パッケージトレイ20に設けられ、ヒンジピン32が取り付けられる収容溝42と、ヒンジピン32を収容溝42まで案内可能な案内溝43と、パッケージトレイ20に設けられた突出部47と、棚部34に設けられた切欠部35と、を備え、突出部47が棚部34に当接された状態及びパッケージトレイ20の車両前方にヒンジピン32が配されている状態から、パッケージトレイ20を棚部34に沿って車両前方に移動させることで、突出部47が切欠部35に挿入され、パッケージトレイ20が下方に変位する結果、ヒンジピン32が案内溝43に対して下方から進入し、収容溝42まで案内される構成であることを特徴とする。
【解決手段】デッキサイドトリムに設けられたヒンジピン32及び棚部34と、パッケージトレイ20に設けられ、ヒンジピン32が取り付けられる収容溝42と、ヒンジピン32を収容溝42まで案内可能な案内溝43と、パッケージトレイ20に設けられた突出部47と、棚部34に設けられた切欠部35と、を備え、突出部47が棚部34に当接された状態及びパッケージトレイ20の車両前方にヒンジピン32が配されている状態から、パッケージトレイ20を棚部34に沿って車両前方に移動させることで、突出部47が切欠部35に挿入され、パッケージトレイ20が下方に変位する結果、ヒンジピン32が案内溝43に対して下方から進入し、収容溝42まで案内される構成であることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージトレイの組付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の荷室に設けられるパッケージトレイの組付構造として、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。下記特許文献1においては、パッケージトレイが取り付けられる車体側には、パッケージトレイの回動軸となる軸部(ヒンジピン)が設けられており、パッケージトレイの車両前部には、軸部が組み付けられる軸受け部(ヒンジカラーに形成された保持部)が設けられている。これにより、パッケージトレイは、軸部(車体側)に対して回動可能に支持される構成となっている。また、このようなパッケージトレイは、軸部に対して着脱が可能となっている。これにより、車両使用者は、荷室の使用状況に応じて、パッケージトレイを軸部から取り外すことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−210030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような軸部に対してパッケージトレイが着脱可能な構成においては、パッケージトレイを軸部に組み付ける際に、軸部と軸受け部の相対位置を確認しつつ組み付ける必要があり、その組み付け性において改善の余地があった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、パッケージトレイの組み付け性をより高くすることができるパッケージトレイの組付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、車両の荷室に設けられたパッケージトレイを車体側に対して回動可能に組み付けるパッケージトレイの組付構造であって、前記車体側に設けられ、前記パッケージトレイの前記車体側に対する回動軸に沿って延びる軸部と、前記車体側において車両前後方向に延設され、前記パッケージトレイを下方から支持する支持部と、前記パッケージトレイに設けられ、前記軸部が取り付けられる軸受け部と、前記パッケージトレイに設けられ、前記軸部を前記軸受け部まで案内可能な案内路と、前記支持部又は前記パッケージトレイのうち、いずれか一方に設けられ、他方に向かって突き出す突出部と、前記他方に設けられ、前記突出部を挿入することが可能な被挿入部と、を備え、前記突出部が前記他方に当接された状態及び前記パッケージトレイの車両前方に前記軸部が配されている状態から、前記パッケージトレイを前記支持部に沿って車両前方に移動させることで、前記突出部が前記被挿入部に挿入され、前記パッケージトレイが下方に変位する結果、前記軸部が前記案内路に対して下方から進入し、前記軸受け部まで案内される構成であることに特徴を有する。
【0007】
本発明によれば、パッケージトレイの車両前方に軸部が配されている状態から、パッケージトレイを支持部に沿って車両前方に移動させることで、軸部を軸受け部まで案内することができる。これにより、パッケージトレイの組み付け性をより高くすることができる。
【0008】
上記構成において、前記軸受け部は、前記軸部を収容可能な収容溝を有し、前記案内路は、前記収容溝に連通される案内溝とされ、前記突出部は、前記パッケージトレイにおいて前記軸受け部の下方に設けられているものとすることができる。
【0009】
突出部を軸受け部の下方に設けることで、突出部と軸受け部の距離をより小さくすることができる。これにより、突出部が他方に当接された状態において、突出部と他方との当接箇所を中心とした軸受け部の揺動を抑制することができる。このため、パッケージトレイの組付時において、軸受け部の揺動を抑制でき、軸部を軸受け部に対して、より確実に案内することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パッケージトレイの組み付け性をより高くすることができるパッケージトレイの組付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態1におけるパッケージトレイの組付構造を示す斜視図
【図2】図1におけるヒンジピン周辺を拡大して示す斜視図
【図3】パッケージトレイにおいてヒンジカラー周辺を拡大して示す斜視図
【図4】パッケージトレイに対するヒンジカラーの取付構造を示す断面図(図6のA−A線で切断した図に対応)
【図5】パッケージトレイの前方にヒンジピンが配された状態を示す側面図
【図6】パッケージトレイの組付過程において、突出部が切欠部に達した状態を示す側面図
【図7】パッケージトレイの組付過程において、突出部が切欠部に挿通される過程を示す側面図
【図8】パッケージトレイの組付過程において、ヒンジピンが案内溝に進入した状態を示す側面図
【図9】ヒンジピンに組み付けられた状態のパッケージトレイを示す側面図
【図10】本発明の実施形態2に係るパッケージトレイの組付構造を示す側面図
【図11】実施形態2においてヒンジピンに組み付けられたパッケージトレイを示す側面図
【図12】本発明の実施形態3に係るパッケージトレイの組付構造を示す側面図
【図13】実施形態3においてヒンジピンに組み付けられたパッケージトレイを示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図9によって説明する。図1は、本実施形態におけるパッケージトレイ20の組付構造を示す斜視図である。パッケージトレイ20は、車両における荷室30の上方に設けられている。また、荷室30の後方には、後部開口15が設けられており、車体側には、バックドア(図示せず)が回動可能に取り付けられ、後部開口15を開閉可能な構成となっている。
【0013】
パッケージトレイ20は、リアシート12のシートバックとバックドアとの隙間を塞ぐことにより、荷室30内の荷物を外部から遮蔽する目的で使用される。パッケージトレイ20は、板状のトレイ本体部21と、トレイ本体部21に取り付けられた一対のヒンジカラー40と、を備えている。
【0014】
トレイ本体部21は、例えば、繊維に熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン)を含浸させることで構成されたボードをプレス成形することで成形されている。なお、トレイ本体部21に用いられる繊維としては、例えば、木材等を解織して得た木質繊維やケナフ等の靭皮植物繊維などが用いられるが、繊維の種類はこれに限定されない。なお、図1においては、パッケージトレイ20におけるトレイ本体部21を概略的に図示してある。
【0015】
パッケージトレイ20は、その前端部を回動中心として、車体側に対して回動可能に支持されている。これにより、パッケージトレイ20は、水平姿勢と前傾姿勢との間で回動可能とされる。なお、図1においては、水平姿勢のパッケージトレイ20を示している。
【0016】
また、トレイ本体部21の後部は、サスペンダー(図示せず)を介して、例えば、不図示のバックドアトリムのサイドガーニッシュなどに連結されており、バックドアの開閉動作に連動してパッケージトレイ20が上下方向に回動する構成となっている。具体的には、バックドアを開けると、パッケージトレイ20が水平姿勢から前傾姿勢に回動し、バックドアを閉じると、パッケージトレイ20が前傾姿勢から水平姿勢に回動する。
【0017】
荷室30の幅方向両側を構成するデッキサイドトリム31(車体側)の各々には、図1及び図2に示すように、ヒンジピン32(軸部)がそれぞれ設けられている。両ヒンジピン32は、両デッキサイドトリム31の上部に一体成形されており、例えば、デッキサイドトリム31とともにポリプロピレンなどの合成樹脂材料によって構成されている。
【0018】
ヒンジピン32は、図1に示すように、リアシート12のシートバック上部の後方付近に配置されている。両ヒンジピン32は丸棒状をなし、それぞれ荷室内側に突出されている。両ヒンジピン32は、パッケージトレイ20の車体側に対する回動軸L1を構成している。言い換えると、ヒンジピン32は、パッケージトレイ20の車体側に対する回動軸L1(図2参照)に沿って延びる形状をなしている。また、両ヒンジピン32は、互いに同軸上に配され、各突出端が対向する形で配されている。
【0019】
デッキサイドトリム31には、水平姿勢にあるトレイ本体部21の幅方向側縁部を下方から支持する棚部34(支持部)が設けられている。棚部34は、デッキサイドトリム31から荷室内側に突き出す形で設けられるともに、車両前後方向に延設されている。なお、棚部34は、車両前後方向において、ヒンジピン32の下方からパッケージトレイ20の後端側に至る範囲に形成されている。
【0020】
一対のヒンジカラー40は、合成樹脂材料からなり、トレイ本体部21の前端部における幅方向の両側にそれぞれ取り付けられている。つまり、各ヒンジカラー40は、各ヒンジピン32に対応する箇所に設けられている。各ヒンジカラー40が、各ヒンジピン32によって、それぞれ軸支されることで、パッケージトレイ20が水平姿勢と前傾姿勢との間を回動可能となっている。なお、図1においては、車両進行方向に対して左側のヒンジピン32を図示省略してある。また、図5〜図9においては、車両進行方向に対して左側のヒンジピン32と、これに対応したヒンジカラー40を図示している。
【0021】
ヒンジカラー40は、図3及び図4に示すように、略板状をなすベース部40Aと、裏当て部40Bと、ベース部40Aおよび裏当て部40Bを連結する連結部61と、を備えている。裏当て部40Bは略板状をなし、図4に示すように、ベース部40Aの裏面(車室内側の面、図4の左側の面)に対して、連結部61を介して一体的に形成されている。連結部61は、屈曲可能な厚さで設定されており、裏当て部40Bは、ベース部40Aに対して、連結部61(ヒンジ部)を中心として回動可能となっている。
【0022】
ベース部40Aの裏面には、図4に示すように、略円柱状をなすロック突部62が突出されている。このロック突部62の側面には、係止爪62A(図4の破線)が突出して設けられている。一方、裏当て部40Bには、ロック突部62と嵌合可能なロック孔60Aが貫通形成されている。さらに、トレイ本体部21の側部22には、挿通孔22Aが貫通形成されている。
【0023】
本実施形態においては、ロック孔60Aと挿通孔22Aを同軸で配した状態で、連結部61を回動中心として、ベース部40Aと裏当て部40Bを重ね合わせるようにすると、ロック突部62が挿通孔22A、ロック孔60Aの双方に嵌合(挿通)され、係止爪62Aがロック孔60Aの孔縁部に車室内側から引っ掛かって係止する構成となっている(図4の状態)。
【0024】
これにより、ベース部40Aと裏当て部40Bとの間にトレイ本体部21の側部22が挟まれた状態となり、ヒンジカラー40がトレイ本体部21に取り付けられる構成となっている。なお、トレイ本体部21に対するヒンジカラー40の取付構造は、この構成に限定されず適宜変更可能であり、例えばビス止めなどでヒンジカラー40をトレイ本体部21に取り付けてもよい。
【0025】
図3及び図5に示すように、ヒンジカラー40のベース部40Aには、パッケージトレイ20の幅方向(車幅方向、図5における紙面貫通方向)における内側に凹んだ形状をなす凹部41が設けられている。凹部41は、対向するデッキサイドトリム31側に開口する形で形成されており、デッキサイドトリム31から突出されたヒンジピン32を収容可能となっている。凹部41は、図6に示す側面視において、下方に開口した略V字状をなす形で延びている。略V字状をなす凹部41において車両前後方向の中央部は、ヒンジピン32が収容される収容溝42(軸受け部を構成)とされる。
【0026】
図6に示すように、ベース部40A(支持部又はパッケージトレイのうち、いずれか一方)は、下方(支持部又はパッケージトレイのうち、他方)に向かって突き出す突出部47を備えている。突出部47は側面視にて略台形状をなしており、その上面47Aは、収容溝42を構成している。言い換えると、突出部47は、収容溝42と近接する形で、その下方に設けられている。
【0027】
また、突出部47の突出端(下端)は、図5に示すように、トレイ本体部21の下面21Aよりも下方に位置しており、突出部47の大部分は、トレイ本体部21の下面21Aよりも下方に配されている。言い換えると、突出部47は、トレイ本体部21の下面21Aから突き出す形状をなしている。
【0028】
また、凹部41の下面41B(凹部を構成する面のうち下方を向く面)には、前側撓み突出部50及び後側突出部51がそれぞれ設けられている。ヒンジピン32は、収容溝42内において、突出部47、前側撓み突出部50、後側突出部51によって保持されている(図6参照)。
【0029】
つまり、突出部47、前側撓み突出部50、後側突出部51は、ヒンジピン32が取り付けられる軸受け部を構成している。なお、以下の説明では、ヒンジピン32が収容溝42に収容され、突出部47、前側撓み突出部50、後側突出部51によって保持された状態(図9の状態)を、正規取付状態と呼ぶものとする。また、図8においては、正規取付状態のヒンジピン32を2点鎖線で図示してある。
【0030】
前側撓み突出部50は、図6に示すように、突出部47の上面47Aに対して、斜め前方(図6の左上側)に設けられている。前側撓み突出部50は、凹部41の下面41Bに対して両持ち状に形成されている。これにより、前側撓み突出部50は、その中央部(自由端)が、突出部47から離れる方向に弾性的に撓み変形可能とされる。また、前側撓み突出部50の中央部は突出部47側に突き出しており、凹部41内におけるヒンジピン32の移動経路上に配置されている。
【0031】
後側突出部51は、図6に示すように、突出部47の上面47Aに対して、斜め後方(図6の右上側)に設けられている。後側突出部51は、突出部47側に突き出しており、凹部41内におけるヒンジピン32の移動経路上に配置されている。
【0032】
また、突出部47の上面47Aには、図6に示すように、細長い形状をなす接触突部47Bが設けられている。また、接触突部47Bと上下方向に対向する位置(前側撓み突出部50と後側突出部51との間)には、対向突部48Bが設けられている。正規取付状態にあるヒンジピン32は、接触突部47Bと当接している。
【0033】
また、ベース部40Aにおいて凹部41の上方には、対向するデッキサイドトリム31に向かって突出された位置決めビード49(位置決め突部)が設けられている。この位置決めビード49は、デッキサイドトリム31に当接することで、パッケージトレイ20の車幅方向の位置決めを行うとともに、ヒンジピン32に対するパッケージトレイ20のガタ付きを押さえる機能を担っている。
【0034】
位置決めビード49によって、パッケージトレイ20の車幅方向の位置決めがされることで、ヒンジピン32の突出端(先端)が凹部41の奥面41Aに当接する事態を防止している。これにより、ヒンジピン32に対してパッケージトレイ20が滑らかに回動可能な構成となっている。
【0035】
なお、ヒンジピン32に対するパッケージトレイ20のガタ付きをより効果的に抑制するためには、位置決めビード49と、ヒンジピン32(ひいては収容溝42)との距離を小さくすることが好ましい。このため、位置決めビード49は、側面視において、凹部41の形状に沿って延びる形状(下方に開口する略V字状)をなし、ヒンジピン32に近接する形で延設されている。
【0036】
凹部41のうち、収容溝42の後方の部分は、車両後方に向かって下降傾斜する形で延びる延設溝45とされる。なお、延設溝45は、凹部41の下面41Bと、突出部47における車両後側の面47Dの間に形成されている。また、この延設溝45は、車両後方及び下方(斜め方向)に開口されており、ヒンジピン32の外径よりも大きい溝幅を有している。また、延設溝45の溝幅は開口側に向かうにつれて大きくなる構成とされる。
【0037】
延設溝45は、正規取付状態におけるヒンジピン32が、弾性限界を超えない所定量の負荷を受けた際に、ヒンジピン32にかかる負荷が軽減する方向へ、ヒンジピン32を逃がす構成となっている。つまり、この延設溝45は、ヒンジピン32を逃がすための逃がし溝とされる。具体的には、正規取付状態において、パッケージトレイ20が車両前方に押圧されると、ヒンジピン32は、突出部47を下方(凹部41の下面41Bから遠ざかる方向)に撓ませることで、延設溝45に移動可能な構成となっている。
【0038】
また、延設溝45は、車両後方に向かって下降傾斜する形で延びているから、パッケージトレイ20が前傾姿勢になった際には、車両後方に向かって開口する形となる。このため、前傾姿勢におけるパッケージトレイ20がバックドアによって車両前方に押圧された場合には、より確実にヒンジピン32を逃がすことができる。
【0039】
本実施形態においては、パッケージトレイ20の車両前方にヒンジピン32を配置した状態(図5の状態)で、パッケージトレイ20を車両前方に変位させることで、ヒンジピン32が収容溝42に案内される結果、ヒンジピン32に対して、パッケージトレイ20が組み付けられる構成となっている。次に、この構成について詳しく説明をする。
【0040】
凹部41のうち、収容溝42の前方の部分は、ヒンジピン32を収容溝42に案内するための案内溝43(案内路)とされる。この案内溝43は、ヒンジピン32の直径よりも大きい溝幅を有し、図6に示すように、車両前方かつ下方に開口されている。なお、案内溝43は、凹部41の下面41Bと、突出部47における車両前側の面47Fの間に形成されている。
【0041】
案内溝43は、車両後方に向かって上昇傾斜する形で延設されており、その後端において、収容溝42と連通されている。なお、案内溝43の延設方向は、水平方向に対して、例えば、45度の角度をなしているが、この傾斜角度に限定されず適宜変更可能である。
【0042】
棚部34の上面34A(トレイ本体部21を支持する面)における前端は、下方に切り欠かれた切欠部35(凹部、被挿入部)とされる。この切欠部35は、パッケージトレイ20の突出部47が挿入可能(嵌合可能)とされる。このような切欠部35を構成することで、棚部34の上面34Aは、その前端において段差状に低くなっている。
【0043】
また、この切欠部35の内面35Aは、パッケージトレイ20がヒンジピン32を中心として回動した際の突出部47の突出端面47E(下面)の回動軌跡に沿った曲面形状とされ、突出部47が棚部34と干渉せずに回動可能な構成となっている。なお、突出部47の突出端面47Eは、前方に向かってわずかに上昇傾斜する曲面とされ、パッケージトレイ20の回動時に棚部34と干渉する事態をより確実に回避可能な形状となっている。
【0044】
また、棚部34の前端面34Bは、車両前方に向かって下降傾斜する傾斜面とされる。この前端面34Bには、例えば、ヒンジピン32から取り外したパッケージトレイ20を立て掛けることができる。これによって、リアシート12と棚部34との間にパッケージトレイ20を起立姿勢で配置することができる。
【0045】
次に、本実施形態におけるパッケージトレイ20の組み付け手順について説明する。作業者は、まず、パッケージトレイ20の突出部47(突出端面47E)を棚部34の上面34Aに載置(当接)させ、パッケージトレイ20の前方にヒンジピン32が配されている状態(図5の状態)とする。
【0046】
なお、突出部47が棚部34の上面34Aに載置された状態では、図5に示すように、パッケージトレイ20の下面における前端部20A(突出部47よりも前方の部分、トレイ本体部21の下面とヒンジカラー40の下面から構成)が、ヒンジピン32よりも上方に配されており、案内溝43の開口端とヒンジピン32とが、ほぼ同じ高さに配されている。
【0047】
この状態から、パッケージトレイ20を棚部34に沿って車両前方に移動させる。すると、パッケージトレイ20の突出部47は、棚部34の上面34Aに対して車両前方に摺動される。やがて、突出部47が棚部34の前端部に形成された切欠部35に達する(図6参照)。この状態では、案内溝43における開口端の前方にヒンジピン32が近接した状態で配されている。
【0048】
突出部47が切欠部35に達した以降、パッケージトレイ20をさらに前方に移動させると、突出部47が切欠部35に挿入される(図7参照)。突出部47が、棚部34の上面34Aにおいて低い箇所である切欠部35に挿入されることで、パッケージトレイ20が下方へ変位する。これにより、パッケージトレイ20の下面における前端部20A(ヒンジカラー32の下面)がヒンジピン32に当接する。
【0049】
パッケージトレイ20を前方に移動させるとともに、突出部47が切欠部35に挿入されることで、パッケージトレイ20は、前方に移動するとともに下方に変位する(斜め方向に変位する)。つまり、ヒンジピン32は、パッケージトレイ20に対して、後方及び上方へ相対移動する。これによって、案内溝43の前方に配されるヒンジピン32は、案内溝43に対して、前方及び下方から進入することとなる(図8参照)。
【0050】
このように、本実施形態においては、パッケージトレイ20が前方に移動する過程において、突出部47を切欠部35に挿入させることで、パッケージトレイ20を水平姿勢のまま斜め方向に変位させることができる。この結果、斜め方向に延設された案内溝43に沿ってヒンジピン32を相対的に移動させることができる。つまり、切欠部35は、パッケージトレイ20の下方への変位を許容する変位許容部と言うこともできる。
【0051】
ヒンジピン32が、案内溝43に進入した後、さらにパッケージトレイ20を前方に押圧すると、ヒンジピン32は、案内溝43の下面43B(凹部41の下面41Bの一部)に摺動しつつ、収容溝42まで案内される。なお、ヒンジピン32が案内溝43に案内される過程においては、ヒンジピン32が必ずしも案内溝43の下面43Bに当接されていなくてもよい。例えば、ヒンジピン32が、案内溝43を構成する突出部47の車両前側の面47Fに当接してもよい。
【0052】
収容溝42に向かうヒンジピン32が、収容溝42に進入する際には、前側撓み突出部50を撓ませつつ、前側撓み突出部50を乗り越える。前側撓み突出部50を乗り越えたヒンジピン32は、図9に示すように、収容溝42に収容されるとともに、突出部47(より正確には、上面47Aの接触突部47B)、前側撓み突出部50、後側突出部51によって保持される。これにより、ヒンジピン32に対して、パッケージトレイ20が回動可能に組み付けられる。
【0053】
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態におけるパッケージトレイ20の組付構造によれば、パッケージトレイ20の車両前方にヒンジピン32が配されている状態から、パッケージトレイ20を棚部34に沿って車両前方に移動させることで、ヒンジピン32を収容溝42まで案内することができる。これにより、パッケージトレイ20の組み付け性をより高くすることができる。
【0054】
また、上記構成において、軸受け部は、ヒンジピン32を収容可能な収容溝42を有し、案内路は、収容溝42に連通される案内溝43とされ、突出部47は、パッケージトレイ20において収容溝42の下方に設けられている。
【0055】
突出部47を収容溝42の下方に設けることで、例えば、突出部47が収容溝42に対して車両前後方向にシフトする形で配される構成と比較して、突出部47と収容溝42の距離をより小さくすることができる。これにより、突出部47が棚部34に当接された状態において、突出部47と棚部34との当接箇所を中心としたヒンジカラー40(ひいては収容溝42)の揺動を抑制することができる。このため、パッケージトレイ20の組付時において、ヒンジカラー40の揺動を抑制できる結果、ヒンジピン32を収容溝42に対して、より確実に案内することができる。
【0056】
また、本実施形態では、パッケージトレイ20の組付過程において、突出部47が切欠部35に挿入されることで、パッケージトレイ20が下方に変位する。つまり、組付完了時には、パッケージトレイ20の高さ位置が組付開始時(図5の状態)と比較して低くなる。このため、パッケージトレイ20の高さ位置の変化を確認することで、パッケージトレイ20がヒンジピン32に正しく取り付けられていることを容易に確認することができる。
【0057】
なお、仮に、突出部47が切欠部35に挿入されていない状態(図5及び図6の状態)で、組み付け作業を中断してしまった場合、パッケージトレイ20は、突出部47が棚部34の上面34Aに載置される結果、後傾姿勢となる(水平姿勢とはならない)。これによって、組み付け作業者は、パッケージトレイ20がヒンジピン32に正しく取り付けられていない状態であることを容易に確認できる。
【0058】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図10ないし図11によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態のパッケージトレイ120の組付構造においては、突出部及び被挿入部の構成が上記実施形態と相違する。
【0059】
上記実施形態では、突出部をヒンジカラー40に設ける構成とした。これに対して、本実施形態においては、図10及び図11に示すように、突出部147がトレイ本体部21に設けられている。突出部147は、トレイ本体部21における側部22の下面21Aから突出する形で形成されている。一方、棚部34の上面34Aには、突出部147を挿入(嵌合)可能な棚部側凹部135(被挿入部)が形成されている。
【0060】
このような構成とすれば、パッケージトレイ120の組付過程において、棚部34の上面34Aに突出部147の突出端面147Eが当接した状態(図10の状態)から、パッケージトレイ120を前方に移動させることで、突出部147を棚部側凹部135に挿入することできる。これにより、パッケージトレイ120を下方に変位させることができ、ヒンジピン32を案内溝143に斜め下方から進入させることができる結果、ヒンジピン32を収容溝42まで案内することができる(図11の状態)。
【0061】
上記実施形態及び本実施形態で説明したように、突出部をパッケージトレイに設ける場合、ヒンジカラー40又はトレイ本体部21のどちらかを選択して突出部を設けることができる。ところで、パッケージトレイの組付過程においては、突出部は、棚部34に対して当接し、パッケージトレイの自重を支える箇所となる。
【0062】
このような事情から、突出部の剛性は高い方が好ましい。このため、仮に、トレイ本体部21の剛性より、ヒンジカラー40の剛性が高い場合は、ヒンジカラー40に突出部47を形成することがより好ましい。例えば、トレイ本体部21が繊維と熱可塑性樹脂を含浸させることで構成され、ヒンジカラー40が単一の合成樹脂材料で構成される場合、ヒンジカラー40の方が剛性が高い場合が多い。この場合、ヒンジカラー40に突出部47を形成することが好ましい。
【0063】
また、仮に、トレイ本体部21をプレス成形によって成形し、ヒンジカラー40を射出成形で成形する場合には、ヒンジカラー40に突出部を形成することが好ましい。なぜなら、プレス成形によって成形されるトレイ本体部21に突出部を一体的に設けるためには、プレス前のボードから突出部の周囲を除去してやる必要があるため、歩留りが低下する。これに対して、射出成形によって成形されるヒンジカラー40に突出部を設ける場合は、歩留りが低下することがないためである。
【0064】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図12ないし図13によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態のパッケージトレイ220の組付構造においては、突出部及び被挿入部の構成が上記実施形態と相違する。
【0065】
本実施形態においては、図12及び図13に示すように、突出部235が棚部34に設けられている。これに対応して、トレイ本体部21における側部22の下面21Aを凹ませる形で、本体部側凹部247(被挿入部)が設けられている。突出部235は、棚部34の上面34Aから上方(パッケージトレイ220側)に突出されている。これに対して、本体部側凹部247は、下方に開口されており、突出部235を挿入(嵌合)可能な形状をなしている。
【0066】
また、突出部235における車両後側は、後方に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面235Bとされる。これにより、突出部235の後方からパッケージトレイ220を前方に移動させる際には、突出部235の突出端面235A(上面)にパッケージトレイ220の前端部を乗り上げさせることが可能となっている。
【0067】
本実施形態では、パッケージトレイ220の組付過程において、突出部235の突出端面235Aに、ヒンジカラー40の下面240Dが支持(当接)された状態(図12の状態)から、パッケージトレイ220を前方に移動させることで、突出部235を本体部側凹部247に挿入することできる。これにより、パッケージトレイ220を下方に変位させることができ、ヒンジピン32を案内溝143に斜め下方から進入させることができる結果、ヒンジピン32を収容溝42まで案内することができる(図13の状態)。
【0068】
本実施形態によれば、パッケージトレイ220側に突出部を設ける必要がない。つまり、パッケージトレイ220の下面に突出部を設けることがないため、ヒンジピン32から取り外したパッケージトレイ220を、例えば荷室30の床面などに載置させやすい。
【0069】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0070】
(1)被挿入部は、突出部が挿入される(差し入れられる)ことで、パッケージトレイを下方に変位可能とする構成であればよい。被挿入部として、上記各実施形態で例示したものの他、例えば、棚部34を上下方向に貫通することで形成された貫通孔などを例示することができる。また、棚部34における前端部(ヒンジピン32の下方、例えば、図6において範囲P1で示す部分)を除去することで被挿入部を形成してもよい。
【0071】
(2)上記各実施形態において、ヒンジカラー40を備えていなくてもよい。軸受け部(突出部47、前側撓み突出部50、後側突出部51)や案内溝43は、トレイ本体部21と一体的に形成されていてもよい。
【0072】
(3)パッケージトレイ20(トレイ本体部21及びヒンジカラー40)やヒンジピン32の材質は上述したものに限定されず適宜変更可能である。例えば、トレイ本体部21として、発泡シートや木質ボードなどを成形してなるものを例示することができる。
【0073】
(4)上記各実施形態において、延設溝45を備えていなくてもよい。
【0074】
(5)上記実施形態においては、保持突部47、前側撓み突出部50、後側突出部51によってヒンジピン32を収容溝42内で保持する構成を例示したが、ヒンジピン32を保持する構成(軸受け部の構成)は、これに限定されない。例えば、3つの撓み突出部(撓み片)によってヒンジピン32を保持する構成としてもよい。また、ヒンジピン32の保持点数も適宜変更可能である。また、突出部47においては、接触突部47Bが設けられていなくてもよく、ヒンジピン32が、突出部47に直接接触する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
20,120,220…パッケージトレイ、30…荷室、31…デッキサイドトリム(車体側)、32…ヒンジピン(軸部)、34…棚部(支持部)、35…切欠部(被挿入部)、42…収容溝(軸受け部)、43,143…案内溝(案内路)、47,147,235…突出部、50…前側撓み突出部(軸受け部)、51…後側突出部(軸受け部)、135…棚部側凹部(被挿入部)、247…本体部側凹部(被挿入部)、L1…回動軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージトレイの組付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の荷室に設けられるパッケージトレイの組付構造として、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。下記特許文献1においては、パッケージトレイが取り付けられる車体側には、パッケージトレイの回動軸となる軸部(ヒンジピン)が設けられており、パッケージトレイの車両前部には、軸部が組み付けられる軸受け部(ヒンジカラーに形成された保持部)が設けられている。これにより、パッケージトレイは、軸部(車体側)に対して回動可能に支持される構成となっている。また、このようなパッケージトレイは、軸部に対して着脱が可能となっている。これにより、車両使用者は、荷室の使用状況に応じて、パッケージトレイを軸部から取り外すことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−210030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような軸部に対してパッケージトレイが着脱可能な構成においては、パッケージトレイを軸部に組み付ける際に、軸部と軸受け部の相対位置を確認しつつ組み付ける必要があり、その組み付け性において改善の余地があった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、パッケージトレイの組み付け性をより高くすることができるパッケージトレイの組付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、車両の荷室に設けられたパッケージトレイを車体側に対して回動可能に組み付けるパッケージトレイの組付構造であって、前記車体側に設けられ、前記パッケージトレイの前記車体側に対する回動軸に沿って延びる軸部と、前記車体側において車両前後方向に延設され、前記パッケージトレイを下方から支持する支持部と、前記パッケージトレイに設けられ、前記軸部が取り付けられる軸受け部と、前記パッケージトレイに設けられ、前記軸部を前記軸受け部まで案内可能な案内路と、前記支持部又は前記パッケージトレイのうち、いずれか一方に設けられ、他方に向かって突き出す突出部と、前記他方に設けられ、前記突出部を挿入することが可能な被挿入部と、を備え、前記突出部が前記他方に当接された状態及び前記パッケージトレイの車両前方に前記軸部が配されている状態から、前記パッケージトレイを前記支持部に沿って車両前方に移動させることで、前記突出部が前記被挿入部に挿入され、前記パッケージトレイが下方に変位する結果、前記軸部が前記案内路に対して下方から進入し、前記軸受け部まで案内される構成であることに特徴を有する。
【0007】
本発明によれば、パッケージトレイの車両前方に軸部が配されている状態から、パッケージトレイを支持部に沿って車両前方に移動させることで、軸部を軸受け部まで案内することができる。これにより、パッケージトレイの組み付け性をより高くすることができる。
【0008】
上記構成において、前記軸受け部は、前記軸部を収容可能な収容溝を有し、前記案内路は、前記収容溝に連通される案内溝とされ、前記突出部は、前記パッケージトレイにおいて前記軸受け部の下方に設けられているものとすることができる。
【0009】
突出部を軸受け部の下方に設けることで、突出部と軸受け部の距離をより小さくすることができる。これにより、突出部が他方に当接された状態において、突出部と他方との当接箇所を中心とした軸受け部の揺動を抑制することができる。このため、パッケージトレイの組付時において、軸受け部の揺動を抑制でき、軸部を軸受け部に対して、より確実に案内することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パッケージトレイの組み付け性をより高くすることができるパッケージトレイの組付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態1におけるパッケージトレイの組付構造を示す斜視図
【図2】図1におけるヒンジピン周辺を拡大して示す斜視図
【図3】パッケージトレイにおいてヒンジカラー周辺を拡大して示す斜視図
【図4】パッケージトレイに対するヒンジカラーの取付構造を示す断面図(図6のA−A線で切断した図に対応)
【図5】パッケージトレイの前方にヒンジピンが配された状態を示す側面図
【図6】パッケージトレイの組付過程において、突出部が切欠部に達した状態を示す側面図
【図7】パッケージトレイの組付過程において、突出部が切欠部に挿通される過程を示す側面図
【図8】パッケージトレイの組付過程において、ヒンジピンが案内溝に進入した状態を示す側面図
【図9】ヒンジピンに組み付けられた状態のパッケージトレイを示す側面図
【図10】本発明の実施形態2に係るパッケージトレイの組付構造を示す側面図
【図11】実施形態2においてヒンジピンに組み付けられたパッケージトレイを示す側面図
【図12】本発明の実施形態3に係るパッケージトレイの組付構造を示す側面図
【図13】実施形態3においてヒンジピンに組み付けられたパッケージトレイを示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図9によって説明する。図1は、本実施形態におけるパッケージトレイ20の組付構造を示す斜視図である。パッケージトレイ20は、車両における荷室30の上方に設けられている。また、荷室30の後方には、後部開口15が設けられており、車体側には、バックドア(図示せず)が回動可能に取り付けられ、後部開口15を開閉可能な構成となっている。
【0013】
パッケージトレイ20は、リアシート12のシートバックとバックドアとの隙間を塞ぐことにより、荷室30内の荷物を外部から遮蔽する目的で使用される。パッケージトレイ20は、板状のトレイ本体部21と、トレイ本体部21に取り付けられた一対のヒンジカラー40と、を備えている。
【0014】
トレイ本体部21は、例えば、繊維に熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン)を含浸させることで構成されたボードをプレス成形することで成形されている。なお、トレイ本体部21に用いられる繊維としては、例えば、木材等を解織して得た木質繊維やケナフ等の靭皮植物繊維などが用いられるが、繊維の種類はこれに限定されない。なお、図1においては、パッケージトレイ20におけるトレイ本体部21を概略的に図示してある。
【0015】
パッケージトレイ20は、その前端部を回動中心として、車体側に対して回動可能に支持されている。これにより、パッケージトレイ20は、水平姿勢と前傾姿勢との間で回動可能とされる。なお、図1においては、水平姿勢のパッケージトレイ20を示している。
【0016】
また、トレイ本体部21の後部は、サスペンダー(図示せず)を介して、例えば、不図示のバックドアトリムのサイドガーニッシュなどに連結されており、バックドアの開閉動作に連動してパッケージトレイ20が上下方向に回動する構成となっている。具体的には、バックドアを開けると、パッケージトレイ20が水平姿勢から前傾姿勢に回動し、バックドアを閉じると、パッケージトレイ20が前傾姿勢から水平姿勢に回動する。
【0017】
荷室30の幅方向両側を構成するデッキサイドトリム31(車体側)の各々には、図1及び図2に示すように、ヒンジピン32(軸部)がそれぞれ設けられている。両ヒンジピン32は、両デッキサイドトリム31の上部に一体成形されており、例えば、デッキサイドトリム31とともにポリプロピレンなどの合成樹脂材料によって構成されている。
【0018】
ヒンジピン32は、図1に示すように、リアシート12のシートバック上部の後方付近に配置されている。両ヒンジピン32は丸棒状をなし、それぞれ荷室内側に突出されている。両ヒンジピン32は、パッケージトレイ20の車体側に対する回動軸L1を構成している。言い換えると、ヒンジピン32は、パッケージトレイ20の車体側に対する回動軸L1(図2参照)に沿って延びる形状をなしている。また、両ヒンジピン32は、互いに同軸上に配され、各突出端が対向する形で配されている。
【0019】
デッキサイドトリム31には、水平姿勢にあるトレイ本体部21の幅方向側縁部を下方から支持する棚部34(支持部)が設けられている。棚部34は、デッキサイドトリム31から荷室内側に突き出す形で設けられるともに、車両前後方向に延設されている。なお、棚部34は、車両前後方向において、ヒンジピン32の下方からパッケージトレイ20の後端側に至る範囲に形成されている。
【0020】
一対のヒンジカラー40は、合成樹脂材料からなり、トレイ本体部21の前端部における幅方向の両側にそれぞれ取り付けられている。つまり、各ヒンジカラー40は、各ヒンジピン32に対応する箇所に設けられている。各ヒンジカラー40が、各ヒンジピン32によって、それぞれ軸支されることで、パッケージトレイ20が水平姿勢と前傾姿勢との間を回動可能となっている。なお、図1においては、車両進行方向に対して左側のヒンジピン32を図示省略してある。また、図5〜図9においては、車両進行方向に対して左側のヒンジピン32と、これに対応したヒンジカラー40を図示している。
【0021】
ヒンジカラー40は、図3及び図4に示すように、略板状をなすベース部40Aと、裏当て部40Bと、ベース部40Aおよび裏当て部40Bを連結する連結部61と、を備えている。裏当て部40Bは略板状をなし、図4に示すように、ベース部40Aの裏面(車室内側の面、図4の左側の面)に対して、連結部61を介して一体的に形成されている。連結部61は、屈曲可能な厚さで設定されており、裏当て部40Bは、ベース部40Aに対して、連結部61(ヒンジ部)を中心として回動可能となっている。
【0022】
ベース部40Aの裏面には、図4に示すように、略円柱状をなすロック突部62が突出されている。このロック突部62の側面には、係止爪62A(図4の破線)が突出して設けられている。一方、裏当て部40Bには、ロック突部62と嵌合可能なロック孔60Aが貫通形成されている。さらに、トレイ本体部21の側部22には、挿通孔22Aが貫通形成されている。
【0023】
本実施形態においては、ロック孔60Aと挿通孔22Aを同軸で配した状態で、連結部61を回動中心として、ベース部40Aと裏当て部40Bを重ね合わせるようにすると、ロック突部62が挿通孔22A、ロック孔60Aの双方に嵌合(挿通)され、係止爪62Aがロック孔60Aの孔縁部に車室内側から引っ掛かって係止する構成となっている(図4の状態)。
【0024】
これにより、ベース部40Aと裏当て部40Bとの間にトレイ本体部21の側部22が挟まれた状態となり、ヒンジカラー40がトレイ本体部21に取り付けられる構成となっている。なお、トレイ本体部21に対するヒンジカラー40の取付構造は、この構成に限定されず適宜変更可能であり、例えばビス止めなどでヒンジカラー40をトレイ本体部21に取り付けてもよい。
【0025】
図3及び図5に示すように、ヒンジカラー40のベース部40Aには、パッケージトレイ20の幅方向(車幅方向、図5における紙面貫通方向)における内側に凹んだ形状をなす凹部41が設けられている。凹部41は、対向するデッキサイドトリム31側に開口する形で形成されており、デッキサイドトリム31から突出されたヒンジピン32を収容可能となっている。凹部41は、図6に示す側面視において、下方に開口した略V字状をなす形で延びている。略V字状をなす凹部41において車両前後方向の中央部は、ヒンジピン32が収容される収容溝42(軸受け部を構成)とされる。
【0026】
図6に示すように、ベース部40A(支持部又はパッケージトレイのうち、いずれか一方)は、下方(支持部又はパッケージトレイのうち、他方)に向かって突き出す突出部47を備えている。突出部47は側面視にて略台形状をなしており、その上面47Aは、収容溝42を構成している。言い換えると、突出部47は、収容溝42と近接する形で、その下方に設けられている。
【0027】
また、突出部47の突出端(下端)は、図5に示すように、トレイ本体部21の下面21Aよりも下方に位置しており、突出部47の大部分は、トレイ本体部21の下面21Aよりも下方に配されている。言い換えると、突出部47は、トレイ本体部21の下面21Aから突き出す形状をなしている。
【0028】
また、凹部41の下面41B(凹部を構成する面のうち下方を向く面)には、前側撓み突出部50及び後側突出部51がそれぞれ設けられている。ヒンジピン32は、収容溝42内において、突出部47、前側撓み突出部50、後側突出部51によって保持されている(図6参照)。
【0029】
つまり、突出部47、前側撓み突出部50、後側突出部51は、ヒンジピン32が取り付けられる軸受け部を構成している。なお、以下の説明では、ヒンジピン32が収容溝42に収容され、突出部47、前側撓み突出部50、後側突出部51によって保持された状態(図9の状態)を、正規取付状態と呼ぶものとする。また、図8においては、正規取付状態のヒンジピン32を2点鎖線で図示してある。
【0030】
前側撓み突出部50は、図6に示すように、突出部47の上面47Aに対して、斜め前方(図6の左上側)に設けられている。前側撓み突出部50は、凹部41の下面41Bに対して両持ち状に形成されている。これにより、前側撓み突出部50は、その中央部(自由端)が、突出部47から離れる方向に弾性的に撓み変形可能とされる。また、前側撓み突出部50の中央部は突出部47側に突き出しており、凹部41内におけるヒンジピン32の移動経路上に配置されている。
【0031】
後側突出部51は、図6に示すように、突出部47の上面47Aに対して、斜め後方(図6の右上側)に設けられている。後側突出部51は、突出部47側に突き出しており、凹部41内におけるヒンジピン32の移動経路上に配置されている。
【0032】
また、突出部47の上面47Aには、図6に示すように、細長い形状をなす接触突部47Bが設けられている。また、接触突部47Bと上下方向に対向する位置(前側撓み突出部50と後側突出部51との間)には、対向突部48Bが設けられている。正規取付状態にあるヒンジピン32は、接触突部47Bと当接している。
【0033】
また、ベース部40Aにおいて凹部41の上方には、対向するデッキサイドトリム31に向かって突出された位置決めビード49(位置決め突部)が設けられている。この位置決めビード49は、デッキサイドトリム31に当接することで、パッケージトレイ20の車幅方向の位置決めを行うとともに、ヒンジピン32に対するパッケージトレイ20のガタ付きを押さえる機能を担っている。
【0034】
位置決めビード49によって、パッケージトレイ20の車幅方向の位置決めがされることで、ヒンジピン32の突出端(先端)が凹部41の奥面41Aに当接する事態を防止している。これにより、ヒンジピン32に対してパッケージトレイ20が滑らかに回動可能な構成となっている。
【0035】
なお、ヒンジピン32に対するパッケージトレイ20のガタ付きをより効果的に抑制するためには、位置決めビード49と、ヒンジピン32(ひいては収容溝42)との距離を小さくすることが好ましい。このため、位置決めビード49は、側面視において、凹部41の形状に沿って延びる形状(下方に開口する略V字状)をなし、ヒンジピン32に近接する形で延設されている。
【0036】
凹部41のうち、収容溝42の後方の部分は、車両後方に向かって下降傾斜する形で延びる延設溝45とされる。なお、延設溝45は、凹部41の下面41Bと、突出部47における車両後側の面47Dの間に形成されている。また、この延設溝45は、車両後方及び下方(斜め方向)に開口されており、ヒンジピン32の外径よりも大きい溝幅を有している。また、延設溝45の溝幅は開口側に向かうにつれて大きくなる構成とされる。
【0037】
延設溝45は、正規取付状態におけるヒンジピン32が、弾性限界を超えない所定量の負荷を受けた際に、ヒンジピン32にかかる負荷が軽減する方向へ、ヒンジピン32を逃がす構成となっている。つまり、この延設溝45は、ヒンジピン32を逃がすための逃がし溝とされる。具体的には、正規取付状態において、パッケージトレイ20が車両前方に押圧されると、ヒンジピン32は、突出部47を下方(凹部41の下面41Bから遠ざかる方向)に撓ませることで、延設溝45に移動可能な構成となっている。
【0038】
また、延設溝45は、車両後方に向かって下降傾斜する形で延びているから、パッケージトレイ20が前傾姿勢になった際には、車両後方に向かって開口する形となる。このため、前傾姿勢におけるパッケージトレイ20がバックドアによって車両前方に押圧された場合には、より確実にヒンジピン32を逃がすことができる。
【0039】
本実施形態においては、パッケージトレイ20の車両前方にヒンジピン32を配置した状態(図5の状態)で、パッケージトレイ20を車両前方に変位させることで、ヒンジピン32が収容溝42に案内される結果、ヒンジピン32に対して、パッケージトレイ20が組み付けられる構成となっている。次に、この構成について詳しく説明をする。
【0040】
凹部41のうち、収容溝42の前方の部分は、ヒンジピン32を収容溝42に案内するための案内溝43(案内路)とされる。この案内溝43は、ヒンジピン32の直径よりも大きい溝幅を有し、図6に示すように、車両前方かつ下方に開口されている。なお、案内溝43は、凹部41の下面41Bと、突出部47における車両前側の面47Fの間に形成されている。
【0041】
案内溝43は、車両後方に向かって上昇傾斜する形で延設されており、その後端において、収容溝42と連通されている。なお、案内溝43の延設方向は、水平方向に対して、例えば、45度の角度をなしているが、この傾斜角度に限定されず適宜変更可能である。
【0042】
棚部34の上面34A(トレイ本体部21を支持する面)における前端は、下方に切り欠かれた切欠部35(凹部、被挿入部)とされる。この切欠部35は、パッケージトレイ20の突出部47が挿入可能(嵌合可能)とされる。このような切欠部35を構成することで、棚部34の上面34Aは、その前端において段差状に低くなっている。
【0043】
また、この切欠部35の内面35Aは、パッケージトレイ20がヒンジピン32を中心として回動した際の突出部47の突出端面47E(下面)の回動軌跡に沿った曲面形状とされ、突出部47が棚部34と干渉せずに回動可能な構成となっている。なお、突出部47の突出端面47Eは、前方に向かってわずかに上昇傾斜する曲面とされ、パッケージトレイ20の回動時に棚部34と干渉する事態をより確実に回避可能な形状となっている。
【0044】
また、棚部34の前端面34Bは、車両前方に向かって下降傾斜する傾斜面とされる。この前端面34Bには、例えば、ヒンジピン32から取り外したパッケージトレイ20を立て掛けることができる。これによって、リアシート12と棚部34との間にパッケージトレイ20を起立姿勢で配置することができる。
【0045】
次に、本実施形態におけるパッケージトレイ20の組み付け手順について説明する。作業者は、まず、パッケージトレイ20の突出部47(突出端面47E)を棚部34の上面34Aに載置(当接)させ、パッケージトレイ20の前方にヒンジピン32が配されている状態(図5の状態)とする。
【0046】
なお、突出部47が棚部34の上面34Aに載置された状態では、図5に示すように、パッケージトレイ20の下面における前端部20A(突出部47よりも前方の部分、トレイ本体部21の下面とヒンジカラー40の下面から構成)が、ヒンジピン32よりも上方に配されており、案内溝43の開口端とヒンジピン32とが、ほぼ同じ高さに配されている。
【0047】
この状態から、パッケージトレイ20を棚部34に沿って車両前方に移動させる。すると、パッケージトレイ20の突出部47は、棚部34の上面34Aに対して車両前方に摺動される。やがて、突出部47が棚部34の前端部に形成された切欠部35に達する(図6参照)。この状態では、案内溝43における開口端の前方にヒンジピン32が近接した状態で配されている。
【0048】
突出部47が切欠部35に達した以降、パッケージトレイ20をさらに前方に移動させると、突出部47が切欠部35に挿入される(図7参照)。突出部47が、棚部34の上面34Aにおいて低い箇所である切欠部35に挿入されることで、パッケージトレイ20が下方へ変位する。これにより、パッケージトレイ20の下面における前端部20A(ヒンジカラー32の下面)がヒンジピン32に当接する。
【0049】
パッケージトレイ20を前方に移動させるとともに、突出部47が切欠部35に挿入されることで、パッケージトレイ20は、前方に移動するとともに下方に変位する(斜め方向に変位する)。つまり、ヒンジピン32は、パッケージトレイ20に対して、後方及び上方へ相対移動する。これによって、案内溝43の前方に配されるヒンジピン32は、案内溝43に対して、前方及び下方から進入することとなる(図8参照)。
【0050】
このように、本実施形態においては、パッケージトレイ20が前方に移動する過程において、突出部47を切欠部35に挿入させることで、パッケージトレイ20を水平姿勢のまま斜め方向に変位させることができる。この結果、斜め方向に延設された案内溝43に沿ってヒンジピン32を相対的に移動させることができる。つまり、切欠部35は、パッケージトレイ20の下方への変位を許容する変位許容部と言うこともできる。
【0051】
ヒンジピン32が、案内溝43に進入した後、さらにパッケージトレイ20を前方に押圧すると、ヒンジピン32は、案内溝43の下面43B(凹部41の下面41Bの一部)に摺動しつつ、収容溝42まで案内される。なお、ヒンジピン32が案内溝43に案内される過程においては、ヒンジピン32が必ずしも案内溝43の下面43Bに当接されていなくてもよい。例えば、ヒンジピン32が、案内溝43を構成する突出部47の車両前側の面47Fに当接してもよい。
【0052】
収容溝42に向かうヒンジピン32が、収容溝42に進入する際には、前側撓み突出部50を撓ませつつ、前側撓み突出部50を乗り越える。前側撓み突出部50を乗り越えたヒンジピン32は、図9に示すように、収容溝42に収容されるとともに、突出部47(より正確には、上面47Aの接触突部47B)、前側撓み突出部50、後側突出部51によって保持される。これにより、ヒンジピン32に対して、パッケージトレイ20が回動可能に組み付けられる。
【0053】
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態におけるパッケージトレイ20の組付構造によれば、パッケージトレイ20の車両前方にヒンジピン32が配されている状態から、パッケージトレイ20を棚部34に沿って車両前方に移動させることで、ヒンジピン32を収容溝42まで案内することができる。これにより、パッケージトレイ20の組み付け性をより高くすることができる。
【0054】
また、上記構成において、軸受け部は、ヒンジピン32を収容可能な収容溝42を有し、案内路は、収容溝42に連通される案内溝43とされ、突出部47は、パッケージトレイ20において収容溝42の下方に設けられている。
【0055】
突出部47を収容溝42の下方に設けることで、例えば、突出部47が収容溝42に対して車両前後方向にシフトする形で配される構成と比較して、突出部47と収容溝42の距離をより小さくすることができる。これにより、突出部47が棚部34に当接された状態において、突出部47と棚部34との当接箇所を中心としたヒンジカラー40(ひいては収容溝42)の揺動を抑制することができる。このため、パッケージトレイ20の組付時において、ヒンジカラー40の揺動を抑制できる結果、ヒンジピン32を収容溝42に対して、より確実に案内することができる。
【0056】
また、本実施形態では、パッケージトレイ20の組付過程において、突出部47が切欠部35に挿入されることで、パッケージトレイ20が下方に変位する。つまり、組付完了時には、パッケージトレイ20の高さ位置が組付開始時(図5の状態)と比較して低くなる。このため、パッケージトレイ20の高さ位置の変化を確認することで、パッケージトレイ20がヒンジピン32に正しく取り付けられていることを容易に確認することができる。
【0057】
なお、仮に、突出部47が切欠部35に挿入されていない状態(図5及び図6の状態)で、組み付け作業を中断してしまった場合、パッケージトレイ20は、突出部47が棚部34の上面34Aに載置される結果、後傾姿勢となる(水平姿勢とはならない)。これによって、組み付け作業者は、パッケージトレイ20がヒンジピン32に正しく取り付けられていない状態であることを容易に確認できる。
【0058】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図10ないし図11によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態のパッケージトレイ120の組付構造においては、突出部及び被挿入部の構成が上記実施形態と相違する。
【0059】
上記実施形態では、突出部をヒンジカラー40に設ける構成とした。これに対して、本実施形態においては、図10及び図11に示すように、突出部147がトレイ本体部21に設けられている。突出部147は、トレイ本体部21における側部22の下面21Aから突出する形で形成されている。一方、棚部34の上面34Aには、突出部147を挿入(嵌合)可能な棚部側凹部135(被挿入部)が形成されている。
【0060】
このような構成とすれば、パッケージトレイ120の組付過程において、棚部34の上面34Aに突出部147の突出端面147Eが当接した状態(図10の状態)から、パッケージトレイ120を前方に移動させることで、突出部147を棚部側凹部135に挿入することできる。これにより、パッケージトレイ120を下方に変位させることができ、ヒンジピン32を案内溝143に斜め下方から進入させることができる結果、ヒンジピン32を収容溝42まで案内することができる(図11の状態)。
【0061】
上記実施形態及び本実施形態で説明したように、突出部をパッケージトレイに設ける場合、ヒンジカラー40又はトレイ本体部21のどちらかを選択して突出部を設けることができる。ところで、パッケージトレイの組付過程においては、突出部は、棚部34に対して当接し、パッケージトレイの自重を支える箇所となる。
【0062】
このような事情から、突出部の剛性は高い方が好ましい。このため、仮に、トレイ本体部21の剛性より、ヒンジカラー40の剛性が高い場合は、ヒンジカラー40に突出部47を形成することがより好ましい。例えば、トレイ本体部21が繊維と熱可塑性樹脂を含浸させることで構成され、ヒンジカラー40が単一の合成樹脂材料で構成される場合、ヒンジカラー40の方が剛性が高い場合が多い。この場合、ヒンジカラー40に突出部47を形成することが好ましい。
【0063】
また、仮に、トレイ本体部21をプレス成形によって成形し、ヒンジカラー40を射出成形で成形する場合には、ヒンジカラー40に突出部を形成することが好ましい。なぜなら、プレス成形によって成形されるトレイ本体部21に突出部を一体的に設けるためには、プレス前のボードから突出部の周囲を除去してやる必要があるため、歩留りが低下する。これに対して、射出成形によって成形されるヒンジカラー40に突出部を設ける場合は、歩留りが低下することがないためである。
【0064】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図12ないし図13によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態のパッケージトレイ220の組付構造においては、突出部及び被挿入部の構成が上記実施形態と相違する。
【0065】
本実施形態においては、図12及び図13に示すように、突出部235が棚部34に設けられている。これに対応して、トレイ本体部21における側部22の下面21Aを凹ませる形で、本体部側凹部247(被挿入部)が設けられている。突出部235は、棚部34の上面34Aから上方(パッケージトレイ220側)に突出されている。これに対して、本体部側凹部247は、下方に開口されており、突出部235を挿入(嵌合)可能な形状をなしている。
【0066】
また、突出部235における車両後側は、後方に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面235Bとされる。これにより、突出部235の後方からパッケージトレイ220を前方に移動させる際には、突出部235の突出端面235A(上面)にパッケージトレイ220の前端部を乗り上げさせることが可能となっている。
【0067】
本実施形態では、パッケージトレイ220の組付過程において、突出部235の突出端面235Aに、ヒンジカラー40の下面240Dが支持(当接)された状態(図12の状態)から、パッケージトレイ220を前方に移動させることで、突出部235を本体部側凹部247に挿入することできる。これにより、パッケージトレイ220を下方に変位させることができ、ヒンジピン32を案内溝143に斜め下方から進入させることができる結果、ヒンジピン32を収容溝42まで案内することができる(図13の状態)。
【0068】
本実施形態によれば、パッケージトレイ220側に突出部を設ける必要がない。つまり、パッケージトレイ220の下面に突出部を設けることがないため、ヒンジピン32から取り外したパッケージトレイ220を、例えば荷室30の床面などに載置させやすい。
【0069】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0070】
(1)被挿入部は、突出部が挿入される(差し入れられる)ことで、パッケージトレイを下方に変位可能とする構成であればよい。被挿入部として、上記各実施形態で例示したものの他、例えば、棚部34を上下方向に貫通することで形成された貫通孔などを例示することができる。また、棚部34における前端部(ヒンジピン32の下方、例えば、図6において範囲P1で示す部分)を除去することで被挿入部を形成してもよい。
【0071】
(2)上記各実施形態において、ヒンジカラー40を備えていなくてもよい。軸受け部(突出部47、前側撓み突出部50、後側突出部51)や案内溝43は、トレイ本体部21と一体的に形成されていてもよい。
【0072】
(3)パッケージトレイ20(トレイ本体部21及びヒンジカラー40)やヒンジピン32の材質は上述したものに限定されず適宜変更可能である。例えば、トレイ本体部21として、発泡シートや木質ボードなどを成形してなるものを例示することができる。
【0073】
(4)上記各実施形態において、延設溝45を備えていなくてもよい。
【0074】
(5)上記実施形態においては、保持突部47、前側撓み突出部50、後側突出部51によってヒンジピン32を収容溝42内で保持する構成を例示したが、ヒンジピン32を保持する構成(軸受け部の構成)は、これに限定されない。例えば、3つの撓み突出部(撓み片)によってヒンジピン32を保持する構成としてもよい。また、ヒンジピン32の保持点数も適宜変更可能である。また、突出部47においては、接触突部47Bが設けられていなくてもよく、ヒンジピン32が、突出部47に直接接触する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
20,120,220…パッケージトレイ、30…荷室、31…デッキサイドトリム(車体側)、32…ヒンジピン(軸部)、34…棚部(支持部)、35…切欠部(被挿入部)、42…収容溝(軸受け部)、43,143…案内溝(案内路)、47,147,235…突出部、50…前側撓み突出部(軸受け部)、51…後側突出部(軸受け部)、135…棚部側凹部(被挿入部)、247…本体部側凹部(被挿入部)、L1…回動軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷室に設けられたパッケージトレイを車体側に対して回動可能に組み付けるパッケージトレイの組付構造であって、
前記車体側に設けられ、前記パッケージトレイの前記車体側に対する回動軸に沿って延びる軸部と、
前記車体側において車両前後方向に延設され、前記パッケージトレイを下方から支持する支持部と、
前記パッケージトレイに設けられ、前記軸部が取り付けられる軸受け部と、
前記パッケージトレイに設けられ、前記軸部を前記軸受け部まで案内可能な案内路と、
前記支持部又は前記パッケージトレイのうち、いずれか一方に設けられ、他方に向かって突き出す突出部と、
前記他方に設けられ、前記突出部を挿入することが可能な被挿入部と、を備え、
前記突出部が前記他方に当接された状態及び前記パッケージトレイの車両前方に前記軸部が配されている状態から、前記パッケージトレイを前記支持部に沿って車両前方に移動させることで、前記突出部が前記被挿入部に挿入され、前記パッケージトレイが下方に変位する結果、前記軸部が前記案内路に対して下方から進入し、前記軸受け部まで案内される構成であることを特徴とするパッケージトレイの組付構造。
【請求項2】
前記軸受け部は、前記軸部を収容可能な収容溝を有し、
前記案内路は、前記収容溝に連通される案内溝とされ、
前記突出部は、前記パッケージトレイにおいて前記軸受け部の下方に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のパッケージトレイの組付構造。
【請求項1】
車両の荷室に設けられたパッケージトレイを車体側に対して回動可能に組み付けるパッケージトレイの組付構造であって、
前記車体側に設けられ、前記パッケージトレイの前記車体側に対する回動軸に沿って延びる軸部と、
前記車体側において車両前後方向に延設され、前記パッケージトレイを下方から支持する支持部と、
前記パッケージトレイに設けられ、前記軸部が取り付けられる軸受け部と、
前記パッケージトレイに設けられ、前記軸部を前記軸受け部まで案内可能な案内路と、
前記支持部又は前記パッケージトレイのうち、いずれか一方に設けられ、他方に向かって突き出す突出部と、
前記他方に設けられ、前記突出部を挿入することが可能な被挿入部と、を備え、
前記突出部が前記他方に当接された状態及び前記パッケージトレイの車両前方に前記軸部が配されている状態から、前記パッケージトレイを前記支持部に沿って車両前方に移動させることで、前記突出部が前記被挿入部に挿入され、前記パッケージトレイが下方に変位する結果、前記軸部が前記案内路に対して下方から進入し、前記軸受け部まで案内される構成であることを特徴とするパッケージトレイの組付構造。
【請求項2】
前記軸受け部は、前記軸部を収容可能な収容溝を有し、
前記案内路は、前記収容溝に連通される案内溝とされ、
前記突出部は、前記パッケージトレイにおいて前記軸受け部の下方に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のパッケージトレイの組付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−107443(P2013−107443A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252603(P2011−252603)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
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