説明

パッケージ構造及び収容方法

【課題】収容作業の煩雑化を招くことなく、横断面円形状の収容物の不用意な回転を防止することができるパッケージ構造及び収容方法を提供する。
【解決手段】収容物2の正面部81を収容部92の表面93側へ向けて表面構成部材11の後方開口部95から収容部92内に収容した後、挿入板151の挿入部161を収容物2の底面43と収容部92の下端面112間に挿入すると同時に、挿入部161に設けられた凸部201を収容物2底面43の凹部53に挿入して係合する。表面構成部材11の裏面94に裏面構成部材12を取り付けて後方開口部95を閉鎖し、収容物2を表面構成部材11の収容部92内に保持する。このとき、収容部92の後方開口部95側に配置された挿入板151の対向部241及び対向片162が裏面構成部材12に沿って延在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容物を収容するパッケージ構造及び収容方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品を収容する際には、パッケージが使用されている。
【0003】
製品が円筒形の場合、製品の輸送の際や外部からの衝撃により製品が回転してしまい、製品に表示された商標等の表示がさまざまな方向を向いてしまい、商品の見栄えが悪いばかりか、消費者の商品選択の際適切な情報を見せることができないといった問題があった。
【0004】
一方、収容された製品の不用意な回転を防止するパッケージも知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【0005】
特許文献1のパッケージは、乾電池を収納するブリスターカバーと、該ブリスターカバーの裏面に設けられた台紙とによって構成されており、前記ブリスターカバーには、前記乾電池を収納する収容部が形成されている。
【0006】
該収容部には、収納されている乾電池の中心よりも開口側の部位に、収納される乾電池の直径よりも当該収容部の内径を幅狭にする突起が設けられており、前記収容部からの乾電池の不用意な離脱を防止するとともに、乾電池を前記収容部の表面側に押さえ付けて保持することによって、不用意な回転を防止できるように構成されている。
【0007】
また、特許文献2のパッケージは、表面側を構成するブリスターケースと、該ブリスターケースの裏面に設けられた台紙とで構成されており、前記ブリスターケースには、容器本体を収容する収容部が膨出形成されている。
【0008】
前記容器本体の裏面には、切り欠き部が形成されており、前記台紙には、折り曲げ部が形成されている。
【0009】
これにより、前記折り曲げ部を表面側に折り曲げて切り起こすとともに、当該折り曲げ部を前記容器本体に形成された前記切り欠き部に挿入することによって、前記台紙に直交する回転軸を中心とした縦断面円形状の前記容器本体の不要な回転を防止できるように構成されている。
【特許文献1】特開2000−281129号公報
【特許文献2】特開2004−292042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前者のパッケージ構造にあっては、収容物である乾電池を収容部の表面側に押さえ付けて回転を防止しているため、収容物が重かったり、強い衝撃に対しては、回転防止効果が不十分であった。
【0011】
また、後者のパッケージ構造にあっては、台紙に直交する回転軸を中心とした容器本体の回転は防止できるが、台紙に平行する回転軸を中心とした回転を防止することはできず、横断面円形の例えば円筒状の製品をブリスターケースの収容部に収容する場合、この製品の回転を防止することはできなかった。
【0012】
また、板状の台紙から折り曲げ部を切り起こさなければならず、切り起こし作業に苦労を要した。
【0013】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、収容作業の煩雑化を招くことなく、横断面円形状の収容物の不用意な回転を防止することができるパッケージ構造及び収容方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために本発明の請求項1のパッケージ構造においては、横断面円形状の収容物を収容する収容部が膨出形成された表面構成部材と、該表面構成部材の裏側に設けられ前記収容部の後方開口部を閉鎖する裏面構成部材とを備えたパッケージのパッケージ構造であって、前記収容物の底面に係合部を設ける一方、前記後方開口部から前記収容物の前記底面と該底面が対向する前記収容部の端面との間に挿入される挿入板を備え、該挿入板に、前記収容物に設けられた前記係合部と係合する被係合部、及び該被係合部を前記係合部に係合した状態で前記後方開口部側に配置され前記裏面構成部材に沿って延在する対向部を設けた。
【0015】
すなわち、表面構成部材の収容部に収容された収容物は、横断面円形状に形成されており、当該収容物には、前記表面構成部材の裏側に設けられた裏面構成部材に平行する回転軸を中心とした回転方向に回転が生じ得る。
【0016】
このとき、前記収容物の底面と、該底面が対向する前記収容部の端面との間には、挿入板が挿入されており、該挿入板に設けられた被係合部は、前記収容物の底面に設けられた係合部と係合する。この係合状態において、前記収容部の後方開口部側に配置された前記挿入板の対向部が前記裏面構成部材に沿って延在する。
【0017】
このため、前記後方開口部を前記裏面構成部材で閉鎖した状態において、前記収容物の回転に伴って前記挿入板に回転力が生じた際には、前記裏面構成部材に沿って延在する前記対向部が前記裏面構成部材に干渉することで、前記挿入板の回転が防止され、該挿入板と係合した前記収容物の前記回転軸を中心とした回動が防止される。
【0018】
また、請求項2のパッケージ構造においては、前記係合部を前記底面の中心部から離れた位置に設定した。
【0019】
これにより、前記挿入板の回転の防止に伴って、該挿入板と係合した前記収容物の前記回転軸を中心とした回動が防止される。
【0020】
さらに、請求項3のパッケージ構造では、前記収容物に設けられた前記係合部を前記底面に凹設された凹部で構成するとともに、前記挿入板に設けられた前記被係合部を前記凹部に挿入される凸部で構成した。
【0021】
すなわち、前記収容物の底面に凹設された凹部に、前記挿入板に設けられた凸部が挿入された状態で、該凸部と前記凹部とが係合する。
【0022】
このとき、前記収容物に設けられた底面側の係合部が凹部で構成されている。このため、底面の係合部を凸部で構成する場合のように底面を大きく後退させて凸部を形成するといった構成の複雑化を招くこと無く、前記係合部を構成することができる。
【0023】
加えて、請求項4のパッケージ構造にあっては、前記凹部は、前記収容物の向きを整列させる為に使用した位置決め部であり、前記収容物の正面を前記収容部の表面側へ向けて配置した状態で前記凹部に係合する位置に前記凸部を配置した。
【0024】
すなわち、前記収容物の底面には、当該収容物の向きを整列させる為の位置決め部である凹部が形成されており、この凹部と係合する凸部を前記挿入板に設けることによって、前記凹部で前記係合部を構成するができる。
【0025】
そして、この凸部で前記被係合部を構成することによって、整列時の位置決め用の前記凹部が、前記係合部として利用される。
【0026】
そして、請求項5の収容方法にあっては、横断面円形状の収容物を収容する収容部が膨出形成された表面構成部材と、前記収容部の後方開口部から前記収容物の前記底面及び該底面が対向する前記収容部の端面間に挿入される挿入板と、前記表面構成部材の裏側に設けられ前記後方開口部を閉鎖する裏面構成部材と、を備え、前記収容物の底面に係合部が設けられる一方、前記挿入板に、前記収容物の前記係合部と係合する被係合部、及び該被係合部を前記係合部に係合した状態で前記後方開口部側に配置され前記裏面構成部材に沿って延在する対向部が設けられたパッケージにおける収容方法であって、前記表面構成部材の前記後方開口部から前記収容部に前記収容物を収容する収容工程と、前記後方開口部から前記収容物の前記底面及び該底面が対向する前記収容部の端面間に前記挿入板を挿入するとともに、該挿入板の前記被係合部を前記収容物の前記係合部に係合する挿入板セット工程と、前記表面構成部材の裏側に前記裏面構成部材を設けて前記後方開口部を閉鎖する閉鎖工程と、を備えている。
【0027】
すなわち、横断面円形状の収容物をパッケージに収容する際には、表面構成部材に膨出形成された収容部の後方開口部から前記収容部を前記収容物内に収容した後、前記後方開口部から前記収容物の前記底面と該底面が対向する前記収容部の端面との間に、前記挿入板を挿入し、該挿入板に設けられた被係合部を前記収容物の底面に設けられた係合部に係合する。
【0028】
そして、前記表面構成部材の裏側に裏面構成部材を設け、当該裏面構成部材で前記後方開口部を閉鎖して、前記収容物を前記表面構成部材の前記収容部内に収容する。
【0029】
このとき、前記収容部に収容された前記収容物は、横断面円形状に形成されており、当該収容物には、前記裏面構成部材に平行する回転軸を中心とした回転方向に回転が生じ得る。
【0030】
しかし、前記挿入板には、前記被係合部を前記収容物の前記係合部に係合した状態で前記後方開口部側に配置される対向部が設けられており、該対向部は、前記裏面構成部材に沿って延在するように構成されている。
【0031】
このため、前記後方開口部を前記裏面構成部材で閉鎖した状態において、前記収容物の回転に伴って前記挿入板に回転力が生じた際には、前記裏面構成部材に沿って延在する前記対向部が前記裏面構成部材に干渉することで、前記挿入板の回転が防止され、該挿入板と係合した前記収容物の前記回転軸を中心とした回動が防止される。
【0032】
また、請求項6の収容方法においては、前記収容物に設けられた前記係合部を前記底面に凹設された凹部で構成するとともに、前記挿入板に設けられた前記被係合部を前記凹部に挿入される凸部で構成し、前記挿入板セット工程では、前記挿入板の前記凸部を、前記収容物の前記凹部に挿入する。
【0033】
すなわち、前記収容物に設けられた前記係合部は、前記底面に凹設された凹部で構成されており、前記挿入板に設けられた前記被係合部は、前記凹部に挿入される凸部で構成されている。
【0034】
このため、前記収容物の前記底面と該底面が対向する前記収容部の端面との間に前記挿入板を挿入する際には、該挿入板に突設された前記凸部が、前記収容物に凹設された前記凹部に挿入され、前記凸部と前記凹部との係合状態が形成される。
【0035】
さらに、請求項7の収容方法では、前記凹部は、前記収容物の向きを整列させる為に使用した位置決め部であり、前記収容工程では、前記収容物の正面部を前記収容部の表面側へ向けて配置するとともに、前記挿入板セット工程では、前記正面部が前記表面側に配置された状態で前記凸部を前記凹部に係合する。
【0036】
すなわち、前記収容物の向きを整列させる為に当該収容物の底面に形成された位置決め部としての凹部が前記係合部として有効利用される。
【0037】
そして、前記表面構成部材の前記収容部に前記収容物を収容する際には、前記収容物の正面部を前記収容部の表面側へ向けて配置し、この正面部が前記表面側に配置された状態において、前記収容物の前記底面と該底面が対向する前記収容部の端面との間に前記挿入板を挿入し、該挿入板に設けられた前記凸部を前記収容物の底面に設けられた前記凹部に挿入して係合する。
【0038】
これにより、前記後方開口部を前記裏面構成部材で閉鎖した状態において、前記収容物の回転に伴って前記挿入板に回転力が生じた際には、前記裏面構成部材に沿って延在する前記対向部が前記裏面構成部材に干渉することで、前記挿入板の回転が防止され、該挿入板と係合した前記収容物の前記回転軸を中心とした回動が防止される。
【0039】
このとき、前記収容物は、その正面部が前記収容部の表面側に向いた状態で回転が防止される。
【発明の効果】
【0040】
以上説明したように本発明の請求項1のパッケージ構造にあっては、表面構成部材の収容部に収容された収容物の底面と該底面が対向する前記収容部の端面との間に挿入板を挿入して、前記収容物の底面に設けられた係合部と前記挿入板に設けられた被係合部とを係合するとともに、前記表面構成部材の裏側に裏面構成部材を設けて前記収容部の後方開口部を閉鎖するだけで、前記裏面構成部材に平行する回転軸を中心とした回転方向への前記収容物の回転を防止することができる。
【0041】
したがって、横断面円形の収容物の回転を防止することができず、かつ回転を防止する為に板状の台紙から折り曲げ部を切り起こさなければならなかった従来と比較して、収容作業の繁雑化を招くことなく、横断面円形状の収容物の不用意な回転を防止することができる。
【0042】
また、請求項2のパッケージ構造においては、前記係合部を前記底面の中心部から離れた位置に設定することで、前記挿入板の回転の防止に伴って、該挿入板と係合した前記収容物の前記回転軸を中心とした回動を防止することができる。
【0043】
これにより、前記係合部及び被係合部を中央部に設定する場合のように、例えば係合部及び被係合部を回転不能な四角形状などにすることなく、前記収容物の不用意な回転を防止することができる。
【0044】
さらに、請求項3のパッケージ構造では、前記収容物に設けられた底面側の係合部を凹部で構成したため、底面の係合部を凸部で構成する場合のように底面を大きく後退させて凸部を形成するといった構成の複雑化を招くこと無く、前記係合部を構成することができる。
【0045】
加えて、請求項4のパッケージ構造では、収容物整列時の位置決め用に収容物の底面に凹設された凹部を前記係合部として有効利用することができる。
【0046】
また、前記収容物の正面部を前記収容部の表面側へ向けた状態で不用意な回転を防止することができる。
【0047】
このため、搬送時や陳列時において、前記収容物が回転し正面部が裏面側を向いてしまうといった不具合を確実に防止することができる。
【0048】
そして、請求項5の収容方法においては、表面構成部材の収容部に収容された収容物の底面と該底面が対向する前記収容部の端面との間に挿入板を挿入して前記収容物の底面に設けられた係合部と前記挿入板に設けられた被係合部とを係合するとともに、前記表面構成部材の裏側に裏面構成部材を設けて前記収容部の後方開口部を閉鎖するだけで、前記裏面構成部材に平行する回転軸を中心とした回転方向への前記収容物の回転を防止することができる。
【0049】
したがって、横断面円形の収容物の回転を防止することができず、かつ回転を防止する為に板状の台紙から折り曲げ部を切り起こさなければならなかった従来と比較して、収容作業の繁雑化を招くことなく、横断面円形状の収容物の不用意な回転を防止することができる。
【0050】
また、請求項6の収容方法にあっては、前記収容物に設けられた前記係合部を、前記底面に凹設された凹部で構成するとともに、前記挿入板に設けられた前記被係合部を、前記凹部に挿入される凸部で構成することによって、前記収容物の前記底面と該底面が対向する前記収容部の端面との間に前記挿入板を挿入するだけで、該挿入板に突設された前記凸部を前記収容物に凹設された前記凹部に挿入し、前記凸部と前記凹部とを係合することができる。
【0051】
そして、前記収容物に設けられた底面側の係合部を凹部で構成したため、底面の係合部を凸部で構成する場合のように底面を大きく後退させて凸部を形成するといった構成の複雑化を招くこと無く、前記係合部を構成することができる。
【0052】
さらに、請求項7の収容方法では、整列時の位置決め用に収容物の底面に凹設された凹部を前記係合部として有効利用することができる。
【0053】
このとき、前記収容物の正面部を前記収容部の表面側へ向けた状態で不用意な回転を防止することができる。
【0054】
これにより、搬送時や陳列時において、前記収容物が回転し正面部が裏面側を向いてしまうといった不具合を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
(第一の実施の形態)
【0056】
以下、本発明の第一の実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかるパッケージ構造を備えたパッケージ1を示す図であり、該パッケージ1は、製品である収容物2を収容して陳列する際に使用するものである。
【0057】
このパッケージ1は、図2にも示すように、表面側を構成する表面構成部材11と、裏面側を構成する裏面構成部材12とによって構成されている。
【0058】
前記収容物2としては、例えば洗浄剤等が挙げられ、該洗浄剤は、液状薬剤が収容された容器体21によって構成されている。この容器体21は、瓢箪形状に形成されており、上部の上方球形部22と下部の下方球形部23との間には、括れ部24が形成されている。
【0059】
前記両球形部22,23は、やや縦長の球形状に形成されており、前記上方球形部22の側面は球面状の上方球面部31を構成するとともに、前記下方球形部23の側面は球面状の下方球面部32を構成している。前記下方球形部23は、前記上方球形部22より大径に形成されており、当該収容物2は、前記下方球形部23における直径が最大となるように構成されている。
【0060】
前記容器体21は、薬剤を噴出する為のノズルを上部に備えており、該ノズルは、有底円筒状のキャップ41によって覆われている。これにより、瓢箪形状の前記容器体21と有底円筒状の前記キャップ41からなる前記収容物2は、横断面が円形状に形成されている。また、前記キャップ41の上面が当該収容物2の天面42を構成しており、前記容器体21の下面が当該収容物2の底面43を構成している。
【0061】
この底面43は、図3に示すように、円形状に形成されており、該底面43は、中心部へ向かうに従って内側へ構成する窪み部51が形成されている。前記底面43には、その底面中心52から離れた位置に係合部としての凹部53が凹設されており、該凹部53の凹部底面54は、矩形状に形成されている。
【0062】
ここで、本実施の形態では、係合部としての凹部53を前記底面中心52から離れた位置に設けた場合に付いて説明するが、これに限定されるものではなく、例えば係合部及び該係合部と係合する被係合部を回転不能な四角形状などにすれば、前記底面中心52に設けても、前記収容物2の回転防止効果を得ることができる。
【0063】
この凹部底面54は、三方が壁面で包囲されており、当該凹部53の周方向先端の凹部先端面61は、前記凹部底面54に対してほぼ垂直に起立している。該凹部底面54の基端側には、前記凹部先端面61と逆側へ向けて傾斜した凹部基端側傾斜面62が形成されており、前記凹部53の前記底面中心52側に位置する凹部内側壁面63は、前記凹部底面54に対してほぼ垂直に起立している。前記底面中心52から離れた外側の凹部外側壁面64は、外側へ向けて傾斜しており、この凹部外側壁面64は、異なる角度の凹部斜面65,65を介して前記凹部基端側傾斜面62に連設されている。
【0064】
これにより、前記収容物2を製造する工場において、当該収容物2を回転させながら位置決め治具上を通過させることによって、該位置決め治具が前記凹部基端側傾斜面62に沿って前記凹部53に案内され、当該位置決め治具と前記凹部53とが係合するように構成されており、この係合状態において、前記収容物2の回転を防止して、向きを整列させるように構成されている。
【0065】
このとき、前記収容物2の正面部81と前記凹部53の位置は、常に同じ位置関係になるように構成されている。
【0066】
前記パッケージ1の前記表面構成部材11は、図1に示したように、無色透明の板状に形成されており、当該表面構成部材11の平坦部91の左寄りの部位には、図2の(a)に示したように、前記収容物2の形状に適合した当該収容物2を収容する為の収容部92が表面93側へ膨出形成さている。これにより、前記収容部92は、当該表面構成部材11の表面93側へ膨出するとともに、裏面94側へ向けて開口しており、この後方開口部95から前記収容物2を前記収容部92内に収容した状態で、当該収容物2を位置決めできるように構成されている。
【0067】
この収容部92は、図1に示したように、前記容器体21が配置される部位が瓢箪形状に形成されており、この部位には、前記下方球形部23が配置される大径の大径部101と、前記上方球形部22が配置される小径の小径部102とが形成されている。また、前記収容部92には、前記キャップ41が配置されるキャップ収容部103が形成されており、該キャップ収容部103は、前記小径部102の上部に設けられている。
【0068】
前記収容部92の前記大径部101は、図2に示したように、膨出方向の表面93が前記容器体21の前記下方球形部23に応じた球面状に形成されており、前記小径部102及び前記キャップ収容部103は、前記表面93が円柱面状に形成されている。また、前記収容部92の上端面111と下端面112は、図2の(a)に示したように、前記平坦部91より膨出方向へ向けて起立しており、図2の(b)に示したように、前記収容部92の左側面113と右側面114は、前記平坦部91より膨出方向へ向けて起立するとともに、膨出方向へ向かうに従って対向する側面113,114へ向けて傾斜するように構成されている。
【0069】
この表面構成部材11には、図1に示したように、前記収容部92の上部に円形の吊り下げ穴121が形成されており、該吊り下げ穴121は、前記裏面構成部材12を貫通している。また、前記平坦部91の左縁部及び右縁部には、裏面側に折り返された折返し部122,123が形成されており、前記平坦部91の下縁には、下方へ延出する舌片124が連設されている。該舌片124の先端からは、係止部125,125が横方向に延出している。
【0070】
これにより、前記表面構成部材11の前記平坦部91に適合した長方形状のボール紙で形成された前記裏面構成部材12を、前記表面構成部材11の裏面94に沿って配置した状態で、当該裏面構成部材12の左縁部及び右縁部を、図2の(b)に示したように、前記折返し部122,123で挟持できるように構成されている。この状態において、前記舌片124を上方へ折り返すとともに、前記裏面構成部材12に設けられた図外の切り欠きに前記舌片124の前記係止部125,125を挿入することによって、当該裏面構成部材12を前記表面構成部材11の裏面94に固定できるように構成されており、この固定状態において、前記収容部92の前記後方開口部95を前記裏面構成部材12で閉鎖できるように構成されている。
【0071】
このパッケージ1は、図2に示したように、前記後方開口部95から前記収容物2の前記底面43と、該底面43が対向する前記収容部92の前記下端面112との間に挿入される挿入板151を備えている。
【0072】
該挿入板151は、図2及び図4に示すように、無色透明のプラスチック板で構成されており、当該挿入板151の基端部は、垂直に折曲されている。これにより、前記挿入板151には、前記収容物2の前記底面43と前記収容部92の前記下端面112との間に介挿される挿入部161と、該挿入部161の基端部に起立する対向片162とが形成されている。
【0073】
前記挿入部161は、先端が円弧状に形成されており、前記収容部92の前記大径部101の内側面に適合した形状に形成されている。該挿入部161には、円形部171が形成されており、該円形部171の中央には、円形の天頂部172が形成されている。前記円形部171は、周縁から前記天頂部172へ向かうに従って突出する傾斜面で構成されており、前記天頂部172は、平坦面で構成されている。これにより、前記円形部171は、前記収容物2の前記底面43に設けられた前記窪み部51内に配置できるように構成されている。
【0074】
前記円形部171の円形部中心181から離れた部位には、前記収容物2の前記底面43に設けられた係合部である前記凹部53と係合する被係合部としての凸部201が前記円形部171の突出方向へ突設されている。
【0075】
前記凸部201は、前記収容物2の正面部81が前記収容部92の表面93側向くように前記収容物2を前記収容部92内に配置した状態において当該挿入板151を前記収容物2の前記底面43と該底面43が対向する前記収容部92の下端面112との間に挿入した際に、前記凹部53と係合する位置に配置されている。
【0076】
この凸部201の凸部天面211は、前記凹部53の前記凹部底面54に適合した矩形状に形成されており、この凸部201の周方向の先端の縁と前記円形部171との間には、前記凹部53の前記凹部先端面61に適合する凸部先端面212が当該挿入部161に対してほぼ垂直に形成されている。
【0077】
前記凸部天面211の基端側には、前記凸部先端面212と逆側へ向かうに従って前記円形部171へ向けて傾斜した凸部基端側傾斜面221が形成されており、該凸部基端側傾斜面221は、前記凹部53の前記凹部基端側傾斜面62に適合するように構成されている。前記凸部201の前記円形部中心181側に位置する内側の縁と前記円形部171との間には、前記凹部53の前記凹部内側壁面63に適合した凸部内側壁面222が設けられており、該凸部内側壁面222は、当該挿入部161に対してほぼ垂直に起立している。
【0078】
前記円形部中心181から離れた外側の縁と前記円形部171との間には、前記凹部53の前記凹部外側壁面64に適合した凸部外側壁面231が形成されており、該凸部外側壁面231は、外側へ向かうに従って前記円形部171へ向けて傾斜している。そして、この凸部外側壁面231は、異なる角度の凸部斜面232を介して前記凸部基端側傾斜面221に連設されている。
【0079】
この挿入部161の基端は、直線状に形成されており、当該挿入板151に設けられた前記凸部201を、前記収容部92に収容された前記収容物2底面43の前記凹部53に係合した状態で前記後方開口部95側に配置されるとともに、前記裏面構成部材12に沿って延在するように構成されている。これにより、前記挿入部161の基端によって、前記裏面構成部材12に対向する対向部241が構成されている。
【0080】
前記挿入板151の前記対向片162は、当該挿入板151の一部が折曲されることによって形成されている。この対向片162は、長方形状に形成されており、その角部は丸められている。当該対向片162は、当該挿入板151を前記収容部92に収容された前記収容物2の前記底面43と前記収容部92の前記下端面112との間に挿入した挿入状態で、前記裏面構成部材12に沿って延在するとともに、該裏面構成部材12に面接するように構成されている。
【0081】
これにより、前記挿入板151は、前記挿入部161基端の前記対向部241が前記裏面構成部材12に線接触するとともに、前記対向片162が前記裏面構成部材12に面接することによって回動が防止されるように構成されている。
【0082】
図5は、横断面円形状の収容物2をパッケージ1に収容する工程を示す図であり、前記収容物2を前記パッケージ1に収容する際には、収容工程(S1)において、前記表面構成部材11の裏面94を上方に配置するとともに、前記収容物2の正面部81を下側にした状態で、当該収容物2を前記表面構成部材11の前記後方開口部95から前記収容部92内に収容する。これにより、前記収容物2は、前記正面部81が前記収容部92の表面93側へ向けて配置される。
【0083】
そして、挿入板セット工程(S2)において、前記挿入板151を前記後方開口部95から前記収容部92へ挿入し、当該挿入板151の前記挿入部161を、前記収容物2の前記底面43と該底面43が対向する前記収容部92の前記下端面112との間に挿入すると同時に、当該挿入板151の前記挿入部161に設けられた前記凸部201を前記収容物2の底面43に設けられた凹部53に挿入して係合する。
【0084】
このとき、前記収容物2の底面43には、内側へ後退する窪み部51が形成されており、前記挿入板151の前記挿入部161には、円形部171が突出形成されている。このため、この円形部171が前記窪み部51に収容されることによって、前記凸部201を前記凹部53に案内することができる。
【0085】
次に、閉鎖工程(S3)において、前記表面構成部材11の裏面94に沿って前記裏面構成部材12をスライドして、該裏面構成部材12の両縁部を前記表面構成部材11に設けられた前記折返し部122,123内に差し込み、前記裏面構成部材12の左縁部及び右縁部を前記折返し部122,123で挟持する。これにより、この裏面構成部材12によって前記後方開口部95を閉鎖し、前記収容物2を前記表面構成部材11の前記収容部92内に保持する。
【0086】
そして、係止工程(S4)において、前記表面構成部材11の下縁より延出した舌片124を上方へ折り返すとともに、該舌片124に設けられた係止部125,125を、前記裏面構成部材12に設けられた図外の切り欠きに挿入することによって、当該裏面構成部材12を前記表面構成部材11の裏面94に固定する。これにより、前記収容部92からの前記収容物2の不用意な離脱を防止する。
【0087】
以上の構成にかかる本実施の形態において、前記パッケージ1の表面構成部材11の収容部92に収容された収容物2は、横断面円形状に形成されており、当該収容物2には、前記表面構成部材11の裏側に設けられた裏面構成部材12に平行する回転軸301を中心とした回転方向に回転が生じ得る(図2参照)。
【0088】
このとき、前記収容物2の底面43と、該底面43が対向する前記収容部92の下端面112との間には、挿入板151の挿入部161が挿入されており、当該挿入板151に設けられた凸部201は、前記収容物2の底面43に設けられた凹部53に挿入された状態で係合している。この係合状態において、前記収容部92の後方開口部95側に配置された前記挿入板151の対向部241及び対向片162が前記裏面構成部材12に沿って延在する。
【0089】
このため、前記後方開口部95を前記裏面構成部材12で閉鎖した状態において、前記収容物2の回転に伴って前記挿入板151に回転力が生じた際には、前記裏面構成部材12に沿って延在する前記対向部241及び前記対向片162が前記裏面構成部材12に干渉することで、前記挿入板151の回転が阻止され、該挿入板151と係合した前記収容物2の前記回転軸301を中心とした回動が防止される。
【0090】
このように、前記収容物2の底面43と前記収容部92の下端面112との間に前記挿入板151の挿入部161を挿入して、前記収容物2の底面43に設けられた前記凹部53と前記挿入板151に設けられた前記凸部201とを係合するとともに、前記表面構成部材11の裏側に裏面構成部材12を設けて前記収容部92の後方開口部95を閉鎖するだけで、前記裏面構成部材12に平行する前記回転軸301を中心とした回転方向への前記収容物2の回転を防止することができる。
【0091】
したがって、横断面円形の収容物2の回転を防止することができず、かつ回転を防止する為に板状の台紙から折り曲げ部を切り起こさなければならなかった従来と比較して、収容作業の繁雑化を招くことなく、横断面円形状の収容物2の不用意な回転を防止することができる。
【0092】
このとき、前記収容物2の底面43側の係合部は、前記凹部53で構成されている。このため、前記底面43の係合部を凸部で構成する場合のように底面43を大きく後退させて凸部を形成するといった構成の複雑化を招くこと無く、回転防止用の係合部を構成することができる。
【0093】
そして、前記収容物2の底面43には、製造段階において収容物2整列時の位置決め用の凹部53が設けられており、この凹部53と係合する凸部201を前記挿入板151に設けることによって、前記凹部53で回転防止用の係合部を構成するができる。
【0094】
また、この凸部201で回転防止用の被係合部を構成することによって、収容物2の向き整列用の前記凹部53を回転防止用の係合部として有効利用することができる。
【0095】
これにより、搬送時や陳列時において、前記収容物2が回転し正面部81が裏面94側を向いてしまうといった不具合を確実に防止することができる。
【0096】
なお、本実施の形態にあっては、前記収容物2の底面43に一つの凹部53を設けるとともに、前記挿入板151に一つの凸部201を設けた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものでは無い。
【0097】
(第二の実施の形態)
【0098】
すなわち、図6に示すように、前記収容物2の底面43に二つの凹部53,53を設けるとともに、図7に示すように、前記挿入板151に二つの凸部201,201を設け、前記各凹部53,53と対を成す前記凸部201,201を、互いに係合可能な位置に配置する。
【0099】
これによっても、第一の実施の形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0100】
なお、前記収容物2の底面43には、複数の凹部53,・・・を設け、前記挿入板151には、前記凹部53,・・・の数より少ない凸部201を設けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示す図である。
【図2】(a)は同実施の形態を示す側面図であり、(b)は同実施の形態の底面図である。
【図3】同実施の形態の収容物を示す底面図である。
【図4】(a)は同実施の形態の挿入板を示す平面図であり、(b)は同実施の形態の挿入板の側面図である。
【図5】同実施の形態の製造工程を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第二の実施の形態の収容物を示す底面図である。
【図7】(a)は同実施の形態の挿入板を示す平面図であり、(b)は同実施の形態の挿入板の側面図である。
【符号の説明】
【0102】
1 パッケージ
2 収容物
11 表面構成部材
12 裏面構成部材
43 底面
52 底面中心
53 凹部
81 正面部
92 収容部
93 表面
94 裏面
95 後方開口部
112 下端面
151 挿入板
162 対向片
201 凸部
241 対向部
S1 収容工程
S2 挿入板セット工程
S3 閉鎖工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断面円形状の収容物を収容する収容部が膨出形成された表面構成部材と、該表面構成部材の裏側に設けられ前記収容部の後方開口部を閉鎖する裏面構成部材とを備えたパッケージのパッケージ構造であって、
前記収容物の底面に係合部を設ける一方、
前記後方開口部から前記収容物の前記底面と該底面が対向する前記収容部の端面との間に挿入される挿入板を備え、該挿入板に、前記収容物に設けられた前記係合部と係合する被係合部、及び該被係合部を前記係合部に係合した状態で前記後方開口部側に配置され前記裏面構成部材に沿って延在する対向部を設けたことを特徴とするパッケージ構造。
【請求項2】
前記係合部を前記底面の中心部から離れた位置に設定したことを特徴とする請求項1記載のパッケージ構造。
【請求項3】
前記収容物に設けられた前記係合部を前記底面に凹設された凹部で構成するとともに、前記挿入板に設けられた前記被係合部を前記凹部に挿入される凸部で構成したことを特徴とする請求項1及び2記載のパッケージ構造。
【請求項4】
前記凹部は、前記収容物の向きを整列させる為に使用した位置決め部であり、前記収容物の正面を前記収容部の表面側へ向けて配置した状態で前記凹部に係合する位置に前記凸部を配置したことを特徴とする請求項3記載のパッケージ構造。
【請求項5】
横断面円形状の収容物を収容する収容部が膨出形成された表面構成部材と、
前記収容部の後方開口部から前記収容物の前記底面及び該底面が対向する前記収容部の端面間に挿入される挿入板と、
前記表面構成部材の裏側に設けられ前記後方開口部を閉鎖する裏面構成部材と、を備え、
前記収容物の底面に係合部が設けられる一方、
前記挿入板に、前記収容物の前記係合部と係合する被係合部、及び該被係合部を前記係合部に係合した状態で前記後方開口部側に配置され前記裏面構成部材に沿って延在する対向部が設けられたパッケージにおける収容方法であって、
前記表面構成部材の前記後方開口部から前記収容部に前記収容物を収容する収容工程と、
前記後方開口部から前記収容物の前記底面及び該底面が対向する前記収容部の端面間に前記挿入板を挿入するとともに、該挿入板の前記被係合部を前記収容物の前記係合部に係合する挿入板セット工程と、
前記表面構成部材の裏側に前記裏面構成部材を設けて前記後方開口部を閉鎖する閉鎖工程と、
を備えたことを特徴とする収容方法。
【請求項6】
前記収容物に設けられた前記係合部を前記底面に凹設された凹部で構成するとともに、前記挿入板に設けられた前記被係合部を前記凹部に挿入される凸部で構成し、
前記挿入板セット工程では、前記挿入板の前記凸部を、前記収容物の前記凹部に挿入することを特徴とする請求項5記載の収容方法。
【請求項7】
前記凹部は、前記収容物の向きを整列させる為に使用した位置決め部であり、
前記収容工程では、前記収容物の正面部を前記収容部の表面側へ向けて配置するとともに、
前記挿入板セット工程では、前記正面部が前記表面側に配置された状態で前記凸部を前記凹部に係合することを特徴とした請求項6記載の収容方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−113816(P2009−113816A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285638(P2007−285638)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(000102544)エステー株式会社 (127)
【Fターム(参考)】