説明

パネルおよび表示装置

【課題】本発明は、タッチパネルの大型化が可能であり、タッチパネル同士の継ぎ目を目立ちにくくすることが可能な、タッチパネルおよび表示パネルを備えるパネルおよびこのパネルが複数個配置された表示装置を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、複数個のパネルが、当該パネルの一部が互いに重なるように配置された表示装置であって、上記各パネルが、表示パネルと、上記表示パネル上に配置されたタッチパネルとを備え、隣接する上記パネルが、観察側に位置する上記パネルの上記表示パネルの表示領域と、観察側とは反対側に位置する上記パネルの上記タッチパネルの配線領域とが重なるように、配置されていることを特徴とする表示装置を提供することにより、上記目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルおよびタッチパネルを備えるパネルを複数個配置した表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー等のディスプレイの画面上に装着された入力装置として使用されている。タッチパネルの方式は、入力位置の検出方法により、抵抗膜方式、静電容量方式、光学方式、電磁誘導方式、超音波方式等が提案されている。
【0003】
近年、ディスプレイの大画面化に伴いタッチパネルの大型化の要請が高まっている。しかしながら、現状ではタッチパネルの大型化は技術的に困難であるとされている。例えば、従来の抵抗膜方式や静電容量方式のタッチパネルは、主に20インチ以下のサイズが多い。
【0004】
静電容量方式のタッチパネルは、人間の指等の外部導体がタッチパネルに接触もしくは接近するときに発生する静電容量の変化を利用して、タッチパネル上における人間の指等の外部導体の位置を検出するものである。このような静電容量方式のタッチパネルでは、サイズが大きくなると透明電極や配線等による静電容量が増大するため、人間の指等の外部導体の接触もしくは接近による静電容量の変化が相対的に小さくなり、さらにはノイズ等の影響を受けやすくなるという問題がある。
また、抵抗膜方式や静電容量方式のタッチパネルには、通常、透明電極が形成されている。従来、タッチパネルの透明電極には、ITO等の金属酸化物が用いられているが、ITO等の金属酸化物は一般に表面抵抗値が高いため、タッチパネルのサイズが大きくなると、精度良く静電容量の変化を検出することが困難になり、信頼性に劣るという問題がある。
このように、タッチパネルの大型化には限界がある。
【0005】
また、タッチパネルを大型化すると、タッチパネルの検出力を維持するために、検出用の電極の数を増やす必要があり、それに伴って配線の数も増える傾向にある。したがって、タッチパネルの大型化については、タッチパネルの外周の額縁部の幅を狭くすることが困難であるという問題もある。
【0006】
ところで、有機ELディスプレイにおいては、有機ELパネルを継ぎ合わせて大型の有機ELディスプレイを構成することが提案されており、さらには有機ELパネル同士の継ぎ目を目立たなくする手法が検討されている(例えば特許文献1〜6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−302087号公報
【特許文献2】特開2004−177891号公報
【特許文献3】特開2005−123153号公報
【特許文献4】特開2008−83701号公報
【特許文献5】特開2010−62011号公報
【特許文献6】特開2010−80271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
タッチパネルにおいても、タッチパネルを継ぎ合わせて大型のタッチパネルを構成することが考えられる。しかしながら、タッチパネルの外周には配線が形成されている配線領域が存在するため、タッチパネル同士の継ぎ目は画像を観察できない領域となり得るので、視認性に劣るという問題がある。さらには、タッチパネル同士の継ぎ目はタッチパネルの操作が不可能な領域となり得るため、操作性が低下する場合がある。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、タッチパネルの大型化が可能であり、タッチパネル同士の継ぎ目を目立ちにくくすることが可能な、タッチパネルおよび表示パネルを備えるパネルおよびこのパネルが複数個配置された表示装置を提供することを主目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、複数個のパネルが、当該パネルの一部が互いに重なるように配置された表示装置であって、上記各パネルが、表示パネルと、上記表示パネル上に配置されたタッチパネルとを備え、隣接する上記パネルが、観察側に位置する上記パネルの上記表示パネルの表示領域と、観察側とは反対側に位置する上記パネルの上記タッチパネルの配線領域とが重なるように、配置されていることを特徴とする表示装置を提供する。
【0011】
本発明によれば、複数個のパネルがパネルの一部が互いに重なるように配置されており、隣接するパネルが、観察側に位置するパネルの表示パネルの表示領域と観察側とは反対側に位置するパネルのタッチパネルの配線領域とが重なるように配置されているので、タッチパネル同士の継ぎ目を目立たせることなく、タッチパネルの大型化が可能となる。
【0012】
上記発明においては、隣接する上記パネルのうち、観察側に位置する上記パネルでは、観察側とは反対側に位置する上記パネルの一部に重なるパネル重複領域にて、上記タッチパネルの操作領域が上記表示パネルの表示領域よりも広くなるように形成されていることが好ましい。パネルの一部が互いに重なるパネル重複領域において、隣接するパネルのうち、観察側とは反対側に位置するパネルの表示パネルについて、観察側に位置するパネルのタッチパネルによって操作することが可能となるからである。
【0013】
また本発明においては、隣接する上記パネルのうち、観察側に位置する上記パネルでは、観察側とは反対側に位置する上記パネルの一部に重なるパネル重複領域にて、上記タッチパネルの操作領域が上記パネルの端部まで形成されていることが好ましい。パネルの一部が互いに重なるパネル重複領域において、隣接するパネルのうち、観察側とは反対側に位置するパネルの表示パネルについては、観察側に位置するパネルのタッチパネルによって確実に操作することが可能となるからである。
【0014】
また本発明は、表示パネルと、上記表示パネル上に配置されたタッチパネルとを備えるパネルであって、少なくとも一つのパネル辺に沿ったパネル周縁領域にて、上記タッチパネルの操作領域が上記表示パネルの表示領域よりも広くなるように形成されていることを特徴とするパネルを提供する。
【0015】
本発明によれば、少なくとも一つのパネル辺に沿ったパネル周縁領域にて、タッチパネルの操作領域が表示パネルの表示領域よりも広くなるように形成されていることにより、パネルを複数個配置した場合に、隣接するパネルを、観察側に位置するパネルの表示パネルの表示領域と観察側とは反対側に位置するパネルのタッチパネルの配線領域とが重なるように配置することができ、タッチパネル同士の継ぎ目を目立たせることなく、タッチパネルの大型化を図ることが可能となる。また、少なくとも一つのパネル辺に沿ったパネル周縁領域にて、タッチパネルの操作領域が表示パネルの表示領域よりも広くなるように形成されていることにより、パネルを複数個配置した場合に、パネルの一部が互いに重なるパネル重複領域において、隣接するパネルのうち、観察側とは反対側に位置するパネルの表示パネルについて、観察側に位置するパネルのタッチパネルによって操作することが可能となる。
【0016】
上記発明においては、上記タッチパネルの操作領域が上記パネルの端部まで形成されていることが好ましい。パネルを複数個配置した場合に、パネルの一部が互いに重なるパネル重複領域において、隣接するパネルのうち、観察側とは反対側に位置するパネルの表示パネルについては、観察側に位置するパネルのタッチパネルによって確実に操作することが可能となるからである。
【発明の効果】
【0017】
本発明においては、タッチパネル同士の継ぎ目を目立たせることなく、タッチパネルの大型化が可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明のパネルにおけるタッチパネルの一例を示す概略平面図である。
【図3】本発明のパネルにおけるタッチパネルの他の例を示す概略平面図である。
【図4】本発明の表示装置の他の例を示す概略平面図である。
【図5】本発明のパネルの一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の表示装置およびパネルについて詳細に説明する。
【0020】
A.表示装置
まず、本発明の表示装置について説明する。
本発明の表示装置は、複数個のパネルが、当該パネルの一部が互いに重なるように配置された表示装置であって、上記各パネルが、表示パネルと、上記表示パネル上に配置されたタッチパネルとを備え、隣接する上記パネルが、観察側に位置する上記パネルの上記表示パネルの表示領域と、観察側とは反対側に位置する上記パネルの上記タッチパネルの配線領域とが重なるように、配置されていることを特徴とするものである。
【0021】
本発明の表示装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の表示装置の一例を示す概略断面図であり、表示パネルとして有機ELパネルを備え、タッチパネルとして静電容量方式のタッチパネルを備える例である。
図1に例示する表示装置30においては、表示パネル10と、表示パネル10上に粘着層29を介して配置されたタッチパネル20とを有するパネル1A、1Bが、パネル1A、1Bの一部が互いに重なるように配置されている。
【0022】
図1に示すように、パネル1A、1Bを構成する表示パネル10は、透明基板2と、透明基板2上にストライプ状に形成された透明電極層3と、透明電極層3の端部を覆い、副画素(サブピクセル)RGBを画定するように形成された絶縁層4と、透明電極層3および絶縁層4上に形成された発光層6(赤色発光層6R、緑色発光層6G、青色発光層6B)と、発光層6上に形成された背面電極層7と、背面電極層7から透明電極層3までを覆うように形成された樹脂層8と、樹脂層8上に形成された封止基板9とを備える有機ELパネルとなっている。透明基板2、透明電極層3、絶縁層4、樹脂層8および封止基板9はいずれも光透過性を有している。一方、背面電極層7は光不透過性を有している。表示パネル10においては、3つの副画素(サブピクセル)RGBで1つの画素(ピクセル)が構成されている。透明基板2および封止基板9は樹脂層8を介して隙間なく貼り合わされており、固体封止構造となっている。有機ELパネルである表示パネル10は、透明基板2側から光が出射するボトムエミッション型である。
【0023】
図2(a)〜(c)は本発明の表示装置に用いられるパネルを構成するタッチパネルの一例を示す概略平面図である。
図1および図2(a)〜(c)に示すように、パネル1A、1Bを構成するタッチパネル20は、透明基板21と、透明基板21の一方の面にストライプ状に形成された第1透明電極22aと、透明基板21の第1透明電極22a側の面に形成され、第1透明電極22aに接続された第1透明電極用配線23aと、第1透明電極22aおよび第1透明電極用配線23aを覆うように形成された第1オーバーコート層24aと、透明基板21の他方の面に、第1透明電極22aのストライプパターンと直交するようにストライプ状に形成された第2透明電極22bと、透明基板21の第2透明電極22b側の面に形成され、第2透明電極22bに接続された第2透明電極用配線23bと、第2透明電極22bおよび第2透明電極用配線23bを覆うように形成された第2オーバーコート層24bとを有している。このタッチパネル20は、第1透明電極用配線23aが形成されている第1配線領32aと、第2透明電極用配線23bが形成されている第2配線領域32bとを有している。
なお、図2(a)は透明基板21の第1透明電極22a側の面から見た平面図であり、第1オーバーコート層が省略され、図2(b)は透明基板21の第2透明電極22b側の面から見た平面図であり、第2オーバーコート層が省略されている。図2(c)は透明基板21の第1透明電極22a側の面から見た平面図であり、第1オーバーコート層および第2オーバーコート層が省略され、第2透明電極22bおよび第2透明電極用配線23bは破線で示されている。
【0024】
図1に示すように、隣接するパネル1A、1Bは、観察側に位置するパネル1Aの表示パネル10の表示領域11と、観察側とは反対側に位置するパネル1Bのタッチパネル20の第1配線領域32aとが重なるように配置されている。また、隣接するパネル1A、1Bのうち、観察側に位置するパネル1Aでは、観察側とは反対側に位置するパネル1Bの一部に重なるパネル重複領域35にて、タッチパネル20を操作可能な操作領域33が、表示パネル10の表示領域11よりも広くなるように形成されている。そして、隣接するパネル1A、1Bのうち、観察側に位置するパネル1Aでは、観察側とは反対側に位置するパネルの1Bの一部に重なるパネル重複領域35にて、タッチパネル20の操作領域33がパネル1Aの端部まで形成されている。
【0025】
図1に示す表示装置30においては、複数個のパネル1A、1Bがパネル1A、1Bの一部が互いに重なるように配置されていることにより、タッチパネル20の大型化を図ることが可能となる。
【0026】
また、図1に示す表示装置30においては、隣接するパネル1A、1Bが上述したような位置関係で重なるように配置されていることにより、パネル1A、1Bの一部が互いに重なるパネル重複領域35において、観察側に位置するパネル1Aの表示パネル10の表示領域11で、観察側とは反対側に位置するパネル1Bのタッチパネル20の第1配線領域32aを隠すことができる。したがって、パネル1A、1Bのタッチパネル20同士の継ぎ目を目立たなくさせることが可能である。
【0027】
さらに、図1に示す表示装置30において、パネル1A、1Bのタッチパネル20同士の継ぎ目を目立たなくするには、隣接するパネル1A、1Bを上述したような位置関係で重なるように配置すればよく、パネル1Bのタッチパネル20の第1配線領域32aを狭くしなくともよい。すなわち、タッチパネルの配線領域の大きさは任意に設定することができる。そのため、配線の数が多い場合であっても、配線を形成するための十分な領域を確保することが可能となる。
【0028】
また、図1に示す表示装置30において、パネル1A、1Bの一部が互いに重なるパネル重複領域35では、観察側とは反対側に位置するパネル1Bのタッチパネル20は操作不可能となるが、観察側に位置するパネル1Aのタッチパネル20は操作可能である。図1に示す例においては、観察側に位置するパネル1Aでは、観察側とは反対側に位置するパネル1Bの一部に重なるパネル重複領域35にて、タッチパネル20を操作可能な操作領域33が、表示パネル10の画像表示可能な表示領域11よりも広くなるように形成されており、さらにタッチパネル20の操作領域33がパネル1Aの端部まで形成されている。パネル1Aのタッチパネル20の操作領域33が上述したような位置関係で形成されていることにより、パネル1A、1Bの一部が互いに重なるパネル重複領域35において、観察側とは反対側に位置するパネル1Bの表示パネル10については、観察側に位置するパネル1Aのタッチパネル20によって操作することが可能となる。
【0029】
なお、図1に示す例においては、表示パネルが有機ELパネルである場合について説明しているが、これに限定されるものではなく、表示パネルが液晶パネル、電子ペーパー、プラズマディスプレイ等である場合においても同様とすることができる。
また、図1に示す例においては、タッチパネルが静電容量方式のタッチパネルである場合について説明しているが、これに限定されるものではなく、タッチパネルが抵抗膜方式等である場合においても同様とすることができる。
【0030】
このように本発明においては、複数個のパネルがパネルの一部が互いに重なるように配置されており、隣接するパネルが、観察側に位置するパネルの表示パネルの表示領域と観察側とは反対側に位置するパネルのタッチパネルの配線領域とが重なるように配置されていることにより、タッチパネル同士の継ぎ目を目立たなくさせることができ、視認性を改善することが可能となる。したがって、タッチパネル同士の継ぎ目を目立たせることなく、タッチパネルの大型化を図ることが可能である。
さらに、上述のようにタッチパネル同士の継ぎ目を目立たなくさせることができるので、タッチパネルの配線領域を任意に設定することができ、配線数が多い場合においても、配線を形成するための十分な領域を確保することが可能となる。
【0031】
また本発明においては、隣接するパネルのうち、観察側に位置するパネルのタッチパネルの操作領域が、表示パネルの表示領域よりも広くなるように形成され、さらにパネルの端部まで形成されていることにより、隣接するパネルの一部が互いに重なるパネル重複領域において、観察側とは反対側に位置するパネルの表示パネルについても、観察側に位置するパネルのタッチパネルによって操作することが可能となる。
【0032】
ここで、本願明細書において、「表示パネルの表示領域」とは、表示パネルにおいて画像が表示され得る領域をいう。
「タッチパネルの配線領域」とは、タッチパネルにおいて配線が形成されている領域をいう。
「タッチパネルの操作領域」とは、タッチパネルにおいて操作可能な領域であり、入力位置を検知可能な領域をいう。
【0033】
以下、本発明の表示装置における各構成について説明する。
【0034】
1.パネル
本発明におけるパネルは、表示パネルと、上記表示パネル上に配置されたタッチパネルとを備えるものである。
以下、パネルにおける各構成について説明する。
【0035】
(1)タッチパネル
本発明におけるタッチパネルは、表示パネル上に配置されるものであり、配線領域を有するものである。
【0036】
タッチパネルにおいては、通常、パネル辺の近傍に配線領域が形成されている。近傍に配線領域が形成されているパネル辺は、少なくとも一つであればよい。中でも、二つのパネル辺近傍に配線領域が形成され、他の二つのパネル辺近傍には配線領域が形成されていないことが好ましい。
静電容量方式や抵抗膜方式のタッチパネルの場合、図2(a)〜(c)および図3(a)〜(c)に例示するように、タッチパネル20において、一つのパネル辺p3近傍に第1透明電極22aに接続された第1透明電極用配線23aが形成され、すなわち第1配線領域32aが形成され、他の一つのパネル辺p4近傍に第2透明電極22bに接続された第2透明電極用配線23bが形成され、すなわち第2配線領域32bが形成され得る。
二つのパネル辺近傍に配線領域が形成されていないことにより、配線領域が形成されていないパネル辺近傍では額縁部の幅を狭くすることができる。
【0037】
本発明においては、図1に例示するように、隣接するパネル1A,1Bのうち、観察側に位置するパネル1Aでは、観察側とは反対側に位置するパネル1Bの一部に重なるパネル重複領域35にて、タッチパネル20の操作領域33が表示パネル10の表示領域11よりも広くなるように形成されていることが好ましい。通常、タッチパネルにおいては、タッチパネルの操作領域は表示パネルの表示領域に合うように設計されるため、表示パネルの表示領域と同程度の大きさとされる。これに対し本発明においては、パネル重複領域では、タッチパネルの操作領域が表示パネルの表示領域よりも広いことが好ましい。パネルの一部が互いに重なるパネル重複領域においては、観察側に位置するパネルが存在するため、観察側とは反対側に位置するパネルのタッチパネルは操作できない。一方、観察側に位置するパネルのタッチパネルは操作できるため、パネル重複領域にて、タッチパネルの操作領域が表示パネルの表示領域よりも広く形成されていることにより、観察側に位置するパネルのタッチパネルによって、観察側とは反対側に位置するパネルの表示パネルについても操作することが可能となる。
【0038】
パネル重複領域にて、タッチパネルの操作領域が表示パネルの表示領域よりも広くなるように形成されている場合、表示パネルの表示領域の端部からタッチパネルの操作領域の端部までの距離としては、表示パネルの外周の額縁部の幅に応じて適宜調整されるものであり、例えば50μm〜20mmの範囲内とすることができる。
ここで、表示パネル10の表示領域11の端部からタッチパネル20の操作領域33の端部までの距離とは、図1に例示するような距離d1をいう。
【0039】
さらに本発明においては、図1に例示するように、隣接するパネル1A、1Bのうち、観察側に位置するパネル1Aでは、観察側とは反対側に位置するパネル1Bの一部に重なるパネル重複領域35にて、タッチパネル20の操作領域33がパネル1Aの端部まで形成されていることが好ましい。上述したように、通常、タッチパネルにおいては、タッチパネルの操作領域は表示パネルの表示領域に合うように設計されるため、表示パネルの表示領域と同程度の大きさとされる。そのため、タッチパネルの操作領域がパネルの端部まで形成されることはない。これに対し本発明においては、パネル重複領域では、タッチパネルの操作領域がパネルの端部まで形成されていることが好ましい。これにより、隣接するパネルの一部が互いに重なるパネル重複領域において、観察側に位置するパネルのタッチパネルによって、観察側とは反対側に位置するパネルの表示パネルについても確実に操作することが可能となる。
【0040】
なお、「タッチパネルの操作領域がパネルの端部まで形成されている」とは、タッチパネルの操作領域の端部からパネルの端部までの距離が20mm以下であることをいう。タッチパネルの操作領域の端部からパネルの端部までの距離は、中でも1mm〜20mmの範囲内であることが好ましく、特に1mm〜10mmの範囲内であることが好ましい。タッチパネルの操作領域の端部からパネルの端部までの距離が短すぎると、第1透明電極および第2透明電極の形成が困難となる。
ここで、タッチパネル20の操作領域33の端部からパネル1Aの端部までの距離とは、図1に例示するような距離d2をいう。
【0041】
タッチパネルの操作領域が表示パネルの表示領域よりも広くなるように形成され、さらにはタッチパネルの操作領域がパネルの端部まで形成されているパネル重複領域は、少なくとも一つのパネル辺側に配置されていればよく、中でも二つのパネル辺側に配置されていることが好ましい。
静電容量方式や抵抗膜方式のタッチパネルの場合、図2(a)〜(c)および図3(a)〜(c)に例示するように、タッチパネルにおいて、一つのパネル辺p3近傍に第1透明電極22aに接続された第1透明電極用配線23aが形成され、他の一つのパネル辺p4近傍に第2透明電極22bに接続された第2透明電極用配線23bが形成されることがある。第1透明電極用配線23aまたは第2透明電極用配線23bが形成されている、すなわち第1配線領域32aまたは第2配線領域32bが形成されているパネル辺p3、p4側では、タッチパネルの操作領域を表示パネルの表示領域よりも広くなるように形成したり、さらにはタッチパネルの操作領域をパネルの端部まで形成したりすることは困難である。一方、第1透明電極用配線23aおよび第2透明電極用配線23bが形成されていない、すなわち第1配線領域32aまたは第2配線領域32bが形成されていないパネル辺p1、p2側では、タッチパネルの操作領域を表示パネルの表示領域よりも広くなるように形成したり、さらにはタッチパネルの操作領域をパネルの端部まで形成したりすることが可能である。したがって、第1透明電極用配線23aおよび第2透明電極用配線23bが形成されていない、すなわち第1配線領域32aまたは第2配線領域32bが形成されていない二つのパネル辺p1、p2側に、パネル重複領域が配置され、このパネル重複領域では、タッチパネルの操作領域が表示パネルの表示領域よりも広くなるように形成され、さらにはタッチパネルの操作領域がパネルの端部まで形成されていることが好ましい。
【0042】
特に、図2(a)〜(c)および図3(a)〜(c)に例示するように、近傍に第1透明電極用配線23aおよび第2透明電極用配線23bが形成されていない、すなわち近傍に第1配線領域32aまたは第2配線領域32bが形成されていない二つのパネル辺p1、p2が隣接していることが好ましい。また、図2(a)〜(c)および図3(a)〜(c)に例示するように、近傍に第1透明電極用配線23aおよび第2透明電極用配線23bが形成されていない、すなわち近傍に第1配線領域32aまたは第2配線領域32bが形成されていない二つのパネル辺p1、p2が隣接しており、この二つのパネル辺p1、p2側にパネル重複領域が配置され、このパネル重複領域では、タッチパネルの操作領域が表示パネルの表示領域よりも広くなるように形成され、さらにはタッチパネルの操作領域がパネルの端部まで形成されていることが好ましい。このような構成とすることにより、図4に例示するように、横方向に隣接するパネルのうち、一方のパネルのパネル辺p1側が他方のパネルのパネル辺p3側の上側に重なるように複数個のパネルを配置し、また縦方向に隣接するパネルのうち、一方のパネルのパネル辺p2側が他方のパネルのパネル辺p4側の上側に重なるように複数個のパネルを配置して、タッチパネル20同士の継ぎ目を目立たなくし、表示装置30の視認性を改善することができる。すなわち、タッチパネル同士の継ぎ目を目立たせることなく、横方向にも縦方向にも複数個のパネルを配置することができ、容易に大型化が可能となる。
【0043】
なお、図3(a)〜(c)は本発明の表示装置に用いられるパネルを構成するタッチパネルの他の例を示す概略平面図である。図3(a)〜(c)に示すように、タッチパネル20は、透明基板21と、透明基板21上にパターン状に形成された第1透明電極22aと、透明基板21上に形成され、第1透明電極22aに接続された第1透明電極用配線23aと、第1透明電極22aおよび第1透明電極用配線23aを覆うように形成された電極間絶縁層25と、電極間絶縁層25上に、第1透明電極22aのパターンと重ならないようにパターン状に形成された第2透明電極22bと、電極間絶縁層25に形成され、第2透明電極22bに接続された第2透明電極用配線23bと、第2透明電極22bおよび第2透明電極用配線23bを覆うように形成されたオーバーコート層24とを有している。このタッチパネル20は、第1透明電極用配線23aが形成されている第1配線領32aと、第2透明電極用配線23bが形成されている第2配線領域32bとを有している。
図3(a)は透明基板21上に形成された第1透明電極22aおよび第1透明電極用配線23aを示す平面図であり、図3(b)は電極間絶縁層25上に形成された第2透明電極22bおよび第2透明電極用配線23bを示す平面図であり、図3(c)は第2透明電極22bおよび第2透明電極用配線23bを覆うように形成されたオーバーコート層24を示す平面図である。図3(c)においては、第1透明電極22aおよび第1透明電極用配線23aは一点鎖線で示され、第2透明電極22bおよび第2透明電極用配線23bは破線で示されている。
【0044】
また、図4は本発明の表示装置の他の例を示す概略平面図であり、図2に示すタッチパネルを4枚重ねた図である。図4においては、タッチパネル20以外の構成は省略されている。
【0045】
タッチパネルの方式としては、各種の方式を適用することができるが、中でも、静電容量方式、抵抗膜方式が好ましく、特に投影型静電容量方式、デジタル抵抗膜方式が好ましい。
【0046】
タッチパネルの構成としては、一般的なタッチパネルと同様とすることができる。
例えば、静電容量方式や抵抗膜方式のタッチパネルの場合、透明基板と、透明基板上に形成された第1透明電極と、透明基板上に形成され第1透明電極に接続された第1透明電極用配線と、第1透明電極および第1透明電極用配線上に形成された電極間絶縁層と、電極間絶縁層上に形成された第2透明電極と、電極間絶縁層上に形成され第2透明電極に接続された第2透明電極用配線と、第2透明電極および第2透明電極用配線上に形成されたオーバーコート層とを有するもの、透明基板と、透明基板の一方の面に形成された第1透明電極と、透明基板の一方の面に形成され第1透明電極に接続された第1透明電極用配線と、第1透明電極および第1透明電極用配線上に形成された第1オーバーコート層と、透明基板の他方の面に形成された第2透明電極と、透明基板の他方の面に形成され第2透明電極に接続された第2透明電極用配線と、第2透明電極および第2透明電極用配線上に形成された第2オーバーコート層とを有するもの、第1透明基板上に第1透明電極および第1透明電極に接続された第1透明電極用配線が形成された第1透明電極基板と、第2透明基板上に第2透明電極および第2透明電極に接続された第2透明電極用配線が形成された第2透明電極基板とが、第1透明基板および第2透明基板が対向するように積層されたもの等を挙げることができる。
【0047】
これらの構成のうち、透明基板と、透明基板上に形成された第1透明電極と、透明基板上に形成され第1透明電極に接続された第1透明電極用配線と、第1透明電極および第1透明電極用配線上に形成された電極間絶縁層と、電極間絶縁層上に形成された第2透明電極と、電極間絶縁層上に形成され第2透明電極に接続された第2透明電極用配線と、第2透明電極および第2透明電極用配線上に形成されたオーバーコート層とを有するタッチパネルや、透明基板と、透明基板の一方の面に形成された第1透明電極と、透明基板の一方の面に形成され第1透明電極に接続された第1透明電極用配線と、第1透明電極および第1透明電極用配線上に形成された第1オーバーコート層と、透明基板の他方の面に形成された第2透明電極と、透明基板の他方の面に形成され第2透明電極に接続された第2透明電極用配線と、第2透明電極および第2透明電極用配線上に形成された第2オーバーコート層とを有するタッチパネルでは、透明基板を1つしか有さないため、タッチパネルをより薄くすることができる。
【0048】
透明基板、第1透明電極、第1透明電極用配線、第2透明電極、第2透明電極用配線、電極間絶縁層およびオーバーコート層としては、一般的なタッチパネルに用いられるものと同様とすることができる。
【0049】
透明基板としては、例えば、ガラス板等の可撓性のないリジット材あるいは樹脂フィルム、薄板ガラス等の可撓性を有するフレキシブル材を挙げることができる。薄板ガラスの表面には、必要に応じて、薄板ガラスの割れや欠け等を防ぐために保護層が形成されていてもよい。樹脂フィルムは、加工性に優れており、コスト低減や軽量化、割れにくいタッチパネルの実現において有用であり、曲面への適用等、種々のアプリケーションへの適用可能性が広がるという利点を有する。
透明基板としては、中でも、樹脂フィルム、薄板ガラス等の可撓性を有するフレキシブル材が好ましく用いられる。タッチパネルの薄型化が可能となり、複数個のパネルを一部が互いに重なるように配置した場合にタッチパネルの一部が互いに重なる部分での段差を低減することができ、タッチパネル同士の継ぎ目をより目立たなくして視認性を向上させることができるからである。
【0050】
透明基板の厚みとしては、タッチパネルにおける透明基板の一般的な厚みであれば特に限定されるものではないが、10μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。透明基板の厚みが上記範囲であれば、上述したように複数個のパネルを一部が互いに重なるように配置した場合に段差を低減することができ、視認性を向上させることができるからである。透明基板の厚みが薄いほどタッチパネルの厚みが薄くなりさらにはパネルの厚みが薄くなるので好ましい。
【0051】
第1透明電極および第2透明電極に用いられる導電性材料としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、カリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛や、酸化亜鉛−酸化錫系、酸化インジウム−酸化錫系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などの金属酸化物を挙げることができる。これらの導電性材料は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、第1透明電極および第2透明電極の表面には、UVオゾンや酸素プラズマ等の表面処理等が施されていてもよい。
【0052】
第1透明電極用配線および第2透明電極用配線に用いられる導電性材料としては、上記の第1透明電極および第2透明電極に用いられる導電性材料よりも高い電気伝導率を有する材料であってもよい。例えば、アルミニウム、モリブデン、パラジウム、銀、クロム、銅等の金属およびそれらを主成分とする合金、あるいはそれら合金を含む積層体が挙げられる。
【0053】
タッチパネルを表示パネル上に配置する方法としては、特に限定されるものではない。
例えば、タッチパネルは粘着層を用いて表示パネルに貼り合わせることができる。
粘着層に用いられる粘着材としては、所望の強度でタッチパネルおよび表示パネルを接着させることができ、かつ、光透過性を有するものであればよく、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等を挙げることができ、中でも、アクリル系樹脂が好ましい。
また、粘着層の膜厚としては、タッチパネルが剥離しないように貼り合わせることができれば特に限定されるものではなく、具体的には、5μm〜50μmの範囲内で設定することができる。
【0054】
また、透明基板の一方の面にタッチパネルが形成され、透明基板の他方の面に表示パネルが形成されていてもよい。この場合、タッチパネルを構成する透明基板が、表示パネルを構成する透明基板を兼ねることになる。
さらに、透明基板上にタッチパネルが形成され、タッチパネル上に表示パネルが形成されていてもよい。この場合、インセル型のタッチパネルとすることができる。
【0055】
(2)表示パネル
本発明における表示パネルは、観察側の面にタッチパネルが配置されるものである。
【0056】
表示パネルにおいても、上記タッチパネルと同様に、通常、パネル辺の近傍には配線領域が形成されている。本発明においては、タッチパネルの配線領域が形成されているパネル辺近傍に、表示パネルの配線領域も形成されていることが好ましい。タッチパネル同士の継ぎ目だけでなく、表示パネル同士の継ぎ目も目立ちにくくすることができるからである。
ここで、「表示パネルの配線領域」とは、表示パネルにおいて配線が形成されている領域をいう。
【0057】
近傍に表示パネルの配線領域が形成されているパネル辺は、少なくとも一つであればよい。中でも、二つのパネル辺近傍に配線領域が形成され、他の二つのパネル辺近傍には配線領域が形成されていないことが好ましい。
パッシブマトリクス駆動方式の表示パネルの場合、表示パネルにおいて、一つのパネル辺近傍に透明電極層に接続された透明電極層用配線が形成され、他の一つのパネル辺近傍に背面電極層に接続された背面電極層用配線が形成され得る。また、アクティブマトリクス駆動方式の表示パネルの場合、表示パネルにおいて、一つのパネル辺近傍にゲート線に接続されたゲート用配線が形成され、他の一つのパネル辺近傍にソース線に接続されたソース用配線が形成され得る。
二つのパネル辺近傍に配線領域が形成されていないことにより、配線領域が形成されていないパネル辺近傍では額縁部の幅を狭くすることができる。
【0058】
特に、近傍に配線領域が形成されていない二つのパネル辺が隣接していることが好ましい。タッチパネル同士の継ぎ目および表示パネル同士の継ぎ目を目立たせることなく、横方向にも縦方向にも複数個のパネルを配置することができ、容易に大型化が可能となるからである。
【0059】
表示パネルの厚みとしては、表示パネルに種類によって異なるが、比較的薄いことが好ましく、具体的には8mm以下であることが好ましく、中でも6mm以下、特に4mm以下であることが好ましい。表示パネルの厚みが上記範囲であれば、複数個のパネルを一部が互いに重なるように配置した場合に表示パネルの一部が互いに重なる部分での段差を低減することができ、表示パネル同士の継ぎ目を目立たなくして視認性を向上させることができるからである。表示パネルの厚みは薄いほど好ましく、表示パネルの厚みの下限は特に限定されるものではなく、表示パネルに種類によって異なるが、例えば有機ELパネルの場合には有機ELパネルを構成する各層の厚みを考慮すると100μm程度である。
【0060】
表示パネルとしては、タッチパネルを適用可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、有機ELパネル、液晶パネル、電子ペーパー等のフラットパネルディスプレイが挙げられる。中でも、薄型化が可能であることから、有機ELパネル、液晶パネル、電子ペーパーが好ましい。
【0061】
有機ELパネルとしては、一般的な有機ELパネルと同様とすることができ、例えば、透明基板と、透明基板上に形成された透明電極層と、透明電極層上に形成され、少なくとも発光層を含む有機EL層と、有機EL層上に形成された背面電極層と、背面電極層上に配置された封止基板とを有するもの等を挙げることができる。また、有機ELパネルには、絶縁層、隔壁、TFT等が形成されていてもよい。有機EL素子を固体封止する場合には、透明基板および封止基板の間に樹脂層が充填されていてもよい。
透明基板、透明電極層、有機EL層、背面電極層、封止基板、絶縁層、隔壁、TFT等としては、一般的な有機ELパネルに用いられるものと同様とすることができる。
【0062】
液晶パネルとしては、一般的な液晶パネルと同様とすることができ、例えば、透明基板上にカラーフィルタ層、透明電極層および配向膜が順に形成された前面基板と、基板上に背面電極層、配向膜が順に形成された背面基板との間に液晶層が配置されたもの等を挙げることができる。また、液晶パネルには、TFT、バックライト等が形成されていてもよい。
透明基板、カラーフィルタ層、透明電極層、配向膜、背面電極層、液晶層、TFT、バックライト等としては、一般的な液晶パネルに用いられるものと同様とすることができる。
液晶パネルは、例えば、透過型液晶パネル、反射型液晶パネル、半透過半反射型液晶パネル等のいずれであってもよい。
液晶パネルがバックライトを有する場合には、上述のように液晶パネルの厚みは比較的薄いことが好ましいことから、バックライトの厚みも比較的薄いことが好ましい。例えば、有機EL素子を用いたバックライトは薄型とすることができる。
【0063】
電子ペーパーとしては、一般的な電子ペーパーと同様とすることができ、例えば、透明基板上に透明電極層が形成された前面基板と、基板上に背面電極層が形成された背面基板との間に表示媒体層が配置されたもの等を挙げることができる。
透明基板、透明電極層、背面電極層、表示媒体層等としては、一般的な電子ペーパーに用いられるものと同様とすることができる。
電子ペーパーの表示方式としては、公知のものを適用することができ、例えば、電気泳動方式、ツイストボール方式、粉体移動方式(電子粉流体方式、帯電トナー型方式)、液晶表示方式、サーマル方式(発色方式、光散乱方式)、エレクトロクロミック方式、エレクトロウェッティング方式、磁気泳動方式等が挙げられる。
【0064】
2.パネルの配置
本発明においては、複数個のパネルがパネルの一部が互いに重なるように配置され、かつ、隣接するパネルが、観察側に位置するパネルの表示パネルの表示領域と観察側とは反対側に位置するパネルのタッチパネルの配線領域とが重なるように配置されている。
【0065】
パネルの配置としては、隣接するパネルのうち、観察側に位置するパネルの表示パネルの表示領域と観察側とは反対側に位置するパネルのタッチパネルの配線領域とが重なっており、表示装置の観察側から見たときに、観察側に位置するパネルの表示パネルの表示領域によって観察側とは反対側に位置するパネルのタッチパネルの配線領域が隠されていれば特に限定されるものではない。例えば、観察側とは反対側に位置するパネルのタッチパネルの配線領域の一部が観察側に位置するパネルの表示パネルの表示領域と重なっていてもよく、観察側とは反対側に位置するパネルのタッチパネルの配線領域の全部が観察側に位置するパネルの表示パネルの表示領域と重なっていてもよい。
【0066】
中でも、複数個のパネルが、表示パネルの画素が互いに重ならないように配置されていることが好ましい。混色等を防ぎ、表示パネル同士の継ぎ目を目立たなくすることができるからである。
ここで、「画素」とは、単色表示の場合には単色画像を形成する1つの画素(ピクセル)をいい、フルカラー表示の場合にはフルカラー画像を形成する単位となる1つの画素(ピクセル)であって複数の副画素(サブピクセル)から構成される1つの画素(ピクセル)をいう。
図1に示す例においては、表示パネル10では、3つの副画素(サブピクセル)RGBで1つの画素(ピクセル)が構成されている。そして、観察側に位置するパネル1Aの表示パネル10の画素と観察側とは反対側に位置するパネル1Bの表示パネル10の画素とが互いに重ならないように、パネル1A、1Bが配置されている。この場合であって、表示パネル10の背面電極層7が光不透過性を有する場合には、通常、観察側に位置するパネル1Aの表示パネル10の光不透過性を有する背面電極層7が、観察側とは反対側に位置するパネル1Bの表示パネル10の画素を隠さないように、パネル1A、1Bが配置される。
【0067】
また、複数個のパネルが、隣接するパネルのうち、観察側に位置するパネルの表示パネルの最外周の画素および観察側とは反対側に位置するパネルの表示パネルの最外周の画素間の距離と、画素間隔とが略同一になるように、配置されていることが好ましい。表示パネル同士の継ぎ目をより目立ちにくくすることができるからである。
ここで、隣接するパネルのうち、観察側に位置するパネルの表示パネルの最外周の画素および観察側とは反対側に位置するパネルの表示パネルの最外周の画素間の距離と、画素間隔とが略同一であるとは、画素間隔を1としたとき、観察側に位置するパネルの表示パネルの画素および観察側とは反対側に位置するパネルの表示パネルの画素間の距離が0.7〜1.3の範囲内であることをいう。
図1に示す例においては、隣接するパネル1A、1Bのうち、観察側に位置するパネル1Aの表示パネル10の最外周の画素および観察側とは反対側に位置するパネル1Bの最外周の画素間の距離x2と、画素間隔x1とが略同一になるように、パネル1A、1Bが配置されている。
【0068】
パネルの配置の一例について説明する。図2(a)、(b)および図3(a)、(b)に例示するように、近傍に第1透明電極用配線23aおよび第2透明電極用配線23bが形成されていない、すなわち近傍に第1配線領域32aおよび第2配線領域32bが形成されていない二つのパネル辺p1、p2が隣接している場合、図4に例示するように、横方向に隣接するパネルのうち、一方のパネルのパネル辺p1側が他方のパネルのパネル辺p3側の上側に重なるように複数個のパネルを配置し、また縦方向に隣接するパネルのうち、一方のパネルのパネル辺p2側が他方のパネルのパネル辺p4側の上側に重なるように複数個のパネルを配置することができる。このようなパネルの配置の場合、タッチパネル同士の継ぎ目を目立たせることなく、横方向にも縦方向にも複数個のパネルを配置することができ、容易に大型化が可能となる。
【0069】
パネルの数としては、2個以上であればよく、特に限定されるものではない。本発明の表示装置は、例えば数百個のパネルが配置されたものであってもよい。
【0070】
B.パネル
次に、本発明のパネルについて説明する。
本発明のパネルは、表示パネルと、上記表示パネル上に配置されたタッチパネルとを備えるパネルであって、少なくとも一つのパネル辺に沿ったパネル周縁領域にて、上記タッチパネルの操作領域が上記表示パネルの表示領域よりも広くなるように形成されていることを特徴とするものである。
【0071】
本発明のパネルについて、図面を参照しながら説明する。
図5は、本発明のパネルの一例を示す概略断面図であり、表示パネルとして有機ELパネルを備え、タッチパネルとして静電容量方式のタッチパネルを備える例である。
図5に例示するパネル1は、表示パネル10と、表示パネル10上に配置されたタッチパネル20とを備えている。
【0072】
図5に示すように、パネル1を構成する表示パネル10は、透明基板2と、透明基板2上にストライプ状に形成された透明電極層3と、透明電極層3の端部を覆い、副画素(サブピクセル)RGBを画定するように形成された絶縁層4と、透明電極層3および絶縁層4上に形成された発光層6(赤色発光層6R、緑色発光層6G、青色発光層6B)と、発光層6上に形成された背面電極層7と、背面電極層7から透明電極層3までを覆うように形成された樹脂層8と、樹脂層8上に形成された封止基板9とを備える有機ELパネルとなっている。透明基板2、透明電極層3、絶縁層4、樹脂層8および封止基板9はいずれも光透過性を有している。一方、背面電極層7は光不透過性を有している。表示パネル10においては、3つの副画素(サブピクセル)RGBで1つの画素(ピクセル)が構成されている。透明基板2および封止基板9は樹脂層8を介して隙間なく貼り合わされており、固体封止構造となっている。有機ELパネルである表示パネル10は、透明基板2側から光が出射するボトムエミッション型である。
【0073】
図2(a)〜(c)は本発明のパネルを構成するタッチパネルの一例を示す概略平面図である。
図5および図2(a)〜(c)に示すように、パネル1を構成するタッチパネル20は、透明基板21と、透明基板21の一方の面にストライプ状に形成された第1透明電極22aと、透明基板21の第1透明電極22a側の面に形成され、第1透明電極22aに接続された第1透明電極用配線23aと、第1透明電極22aおよび第1透明電極用配線23aを覆うように形成された第1オーバーコート層24aと、透明基板21の他方の面に、第1透明電極22aのストライプパターンと直交するようにストライプ状に形成された第2透明電極22bと、透明基板21の第2透明電極22b側の面に形成され、第2透明電極22bに接続された第2透明電極用配線23bと、第2透明電極22bおよび第2透明電極用配線23bを覆うように形成された第2オーバーコート層24bとを有している。このタッチパネル20は、第1透明電極用配線23aが形成されている第1配線領32aと、第2透明電極用配線23bが形成されている第2配線領域32bとを有している。
なお、図2(a)は透明基板21の第1透明電極22a側の面から見た平面図であり、第1オーバーコート層が省略され、図2(b)は透明基板21の第2透明電極22b側の面から見た平面図であり、第2オーバーコート層が省略されている。図2(c)は透明基板21の第1透明電極22a側の面から見た平面図であり、第1オーバーコート層および第2オーバーコート層が省略され、第2透明電極22bおよび第2透明電極用配線23bは破線で示されている。
【0074】
図5に示すように、パネル1のパネル辺p1に沿ったパネル周縁領域36では、タッチパネル20を操作可能な操作領域33が、表示パネル10の表示領域11よりも広くなるように形成されている。さらに、このパネル周縁領域36では、タッチパネル20の操作領域33がパネル1の端部まで形成されている。
【0075】
図1は、図5に例示するパネルが複数個配置された表示装置の一例を示す概略断面図である。
図1に示すように、複数個のパネル1A、1Bは、パネル1A、1Bの一部が互いに重なるように配置されている。隣接するパネル1A、1Bのうち、観察側に位置するパネル1Aでは、パネル1Aのパネル辺p1に沿ったパネル周縁領域にて、すなわち観察側とは反対側に位置するパネル1Bの一部に重なるパネル重複領域35にて、タッチパネル20を操作可能な操作領域33が、表示パネル10の表示領域11よりも広くなるように形成されている。さらに、隣接するパネル1A、1Bのうち、観察側に位置するパネル1Aでは、パネル1Aのパネル辺p1に沿ったパネル周縁領域にて、すなわち観察側とは反対側に位置するパネルの1Bの一部に重なるパネル重複領域35にて、タッチパネル20の操作領域33がパネル1Aの端部まで形成されている。そのため、隣接するパネル1A、1Bを、観察側に位置するパネル1Aの表示パネル10の表示領域11と、観察側とは反対側に位置するパネル1Bのタッチパネル20の第1配線領域32aとが重なるように配置することができる。それにより、パネル1A、1Bの一部が互いに重なるパネル重複領域35において、観察側に位置するパネル1Aの表示パネル10の表示領域11で、観察側とは反対側に位置するパネル1Bのタッチパネル20の第1配線領域32aを隠すことができる。したがって、パネル1A、1Bのタッチパネル20同士の継ぎ目を目立たなくさせることが可能である。
【0076】
また、図1に示す表示装置30において、パネル1A、1Bの一部が互いに重なるパネル重複領域35では、観察側とは反対側に位置するパネル1Bのタッチパネル20は操作不可能となるが、観察側に位置するパネル1Aのタッチパネル20は操作可能である。図1に示す例においては、観察側に位置するパネル1Aでは、パネル1Aのパネル辺p1に沿ったパネル周縁領域にて、すなわち観察側とは反対側に位置するパネル1Bの一部に重なるパネル重複領域35にて、タッチパネル20を操作可能な操作領域33が、表示パネル10の画像表示可能な表示領域11よりも広くなるように形成されている。パネル1Aのタッチパネル20の操作領域33が上述したような位置関係で形成されていることにより、パネル1A、1Bの一部が互いに重なるパネル重複領域35において、観察側とは反対側に位置するパネル1Bの表示パネル10については、観察側に位置するパネル1Aのタッチパネル20によって操作することが可能となる。
【0077】
なお、図1に示す例においては、表示パネルが有機ELパネルである場合について説明しているが、これに限定されるものではなく、表示パネルが液晶パネル、電子ペーパー、プラズマディスプレイ等である場合においても同様とすることができる。
また、図1に示す例においては、タッチパネルが静電容量方式のタッチパネルである場合について説明しているが、これに限定されるものではなく、タッチパネルが抵抗膜方式等である場合においても同様とすることができる。
【0078】
このように本発明においては、少なくとも一つのパネル辺に沿ったパネル周縁領域にて、タッチパネルの操作領域が、表示パネルの表示領域よりも広くなるように形成されていることにより、パネルを複数個配置した場合に、隣接するパネルを、観察側に位置するパネルの表示パネルの表示領域と観察側とは反対側に位置するパネルのタッチパネルの配線領域とが重なるように配置することができ、タッチパネル同士の継ぎ目を目立たせることなく、タッチパネルの大型化を図ることが可能である。
【0079】
また本発明においては、少なくとも一つのパネル辺に沿ったパネル周縁領域にて、タッチパネルの操作領域が、表示パネルの表示領域よりも広くなるように形成されていることにより、パネルを複数個配置した場合に、隣接するパネルの一部が互いに重なるパネル重複領域において、観察側とは反対側に位置するパネルの表示パネルについても、観察側に位置するパネルのタッチパネルによって操作することが可能となる。
【0080】
なお、表示パネルについては、上記「A.表示装置 1.パネル (2)表示パネル」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。以下、本発明のパネルにおける他の構成について説明する。
【0081】
(タッチパネル)
本発明におけるタッチパネルは、表示パネル上に配置されるものであり、操作領域および配線領域を有するものである。
【0082】
本発明のパネルにおいて、パネル辺に沿って配置され、タッチパネルの操作領域が表示パネルの表示領域よりも広くなるように形成されているパネル周縁領域は、複数個のパネルをパネルの一部が互いに重なるように配置した場合に、上記「A.表示装置 1.パネル (1)タッチパネル」の項に記載した、タッチパネルの操作領域が表示パネルの表示領域よりも広くなるように形成されているパネル重複領域となる領域である。
【0083】
タッチパネルの操作領域が表示パネルの表示領域よりも広くなるように形成されているパネル周縁領域において、表示パネルの表示領域の端部からタッチパネルの操作領域の端部までの距離としては、表示パネルの外周の額縁部の幅に応じて適宜調整されるものであり、例えば50μm〜20mmの範囲内とすることができる。
ここで、表示パネル10の表示領域11の端部からタッチパネル20の操作領域33の端部までの距離とは、図5に例示するような距離d1をいう。
【0084】
さらに本発明においては、図5に例示するように、パネル周縁領域36にて、タッチパネル20の操作領域33がパネル1の端部まで形成されていることが好ましい。上述したように、通常、タッチパネルにおいては、タッチパネルの操作領域は表示パネルの表示領域に合うように設計されるため、表示パネルの表示領域と同程度の大きさとされる。そのため、タッチパネルの操作領域がパネルの端部まで形成されることはない。これに対し本発明においては、パネル周縁領域では、タッチパネルの操作領域がパネルの端部まで形成されていることが好ましい。これにより、パネルを複数個配置した場合に、隣接するパネルの一部が互いに重なるパネル重複領域において、観察側に位置するパネルのタッチパネルによって、観察側とは反対側に位置するパネルの表示パネルについても確実に操作することが可能となる。
【0085】
タッチパネルの操作領域が表示パネルの表示領域よりも広くなるように形成されているパネル周縁領域は、上記「A.表示装置 1.パネル (1)タッチパネル」の項に記載したように、上述のタッチパネルの操作領域が表示パネルの表示領域よりも広くなるように形成されているパネル重複領域と同様に、少なくとも一つのパネル辺に沿って配置されていればよく、中でも二つのパネル辺に沿って配置されていることが好ましい。
【0086】
なお、タッチパネルのその他の点については、上記「A.表示装置 1.パネル (1)タッチパネル」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
【0087】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0088】
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
(タッチパネルの作製)
まず、光透過性基材として、300mm×400mm、厚み100μmのPET基材(東レ(株)製、ルミラーT60)を準備し、表面を清浄となるよう水洗処理した。
次いで、アクリレート化合物(4官能アクリレート)(東亞合成株式会社製、アロニックスM405)100重量部、イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5重量部をイソブチルアルコールに溶解させたアンダーコート層形成用塗工液を準備した。上記アンダーコート層形成用塗工液をバーコート法(松尾産業株式会社製、K303マルチコーター)により上記光透過性基材の一方の面上に塗布して塗布膜を形成し、塗布膜に紫外線(波長365nm、照射エネルギー300mJ/m)を照射して、塗布膜を硬化させることにより、アンダーコート層(厚さ1μm)を形成した。アンダーコート層は、光透過性基材の片面側に形成した後、反対面側についても同様にして形成した。
【0089】
次に、光透過性基材の両面にアンダーコート層を形成した積層体を用い、その積層体の両面に二酸化ケイ素(SiO)をスパッタリング(株式会社アルバック製、小型スパッタ装置)して二酸化ケイ素膜を形成し、これを密着性向上層とした。二酸化ケイ素膜からなる密着性向上層は、積層体の両面のいずれに形成されているものについても、厚みが30nmの層であった。
【0090】
なお、上記光透過性基材にタッチパネルが2面取りできるよう設計して以下のとおりタッチパネルを作製し、そのうちの任意の1つを実施例1に用いるタッチパネルとした。タッチパネルにおける透明電極および配線のパターンは、図2(a)〜(c)に示すパターンと同様とした。
【0091】
次に、第1透明電極および第2透明電極を形成する導電性材料として、ITOを準備した。上記光透過性基材の一方の面を第一面とし、他方の面を第二面とし、第一面および第二面の略全面に、導電性材料を用い、スパッタにより30nmの厚みの導電膜を製膜した。続いて、上記導電膜の上面に、ポジ感光性材料(AZマテリアルズ社製)を塗布して、1μmの厚みの感光性膜を形成した。そして、第一面側では第1透明電極のパターンに対応した露光マスクを感光性膜上に配置し、一方、第二面側では第2透明電極のパターンに対応した露光マスクを感光性膜上に配置し、光透過性基材の両面側から上記ポジ感光性材料に露光光を照射し、第一面および第二面において同時にパターン露光した。その後、露光マスクを取り外し、感光性膜を現像し、次いで、導電性膜をエッチングし、最後に第一面および第二面に残る感光性膜を除去することにより、第一面の第1透明電極と第二面の第2透明電極とが、所望のパターンで形成された透明電極積層体を作製した。なお、第1透明電極および第2透明電極のパターンは、図2(a)〜(c)に示すようにストライプ状のパターンがX方向およびY方向に伸長し、平面視上、第1透明電極と第2透明電極とが略直交するパターンとした。
【0092】
スクリーン印刷機を準備し、該印刷機のスクリーン版には、第1透明電極用配線のパターンがパターニングされているものを用いた。そして、配線形成用のインキとして、粒子径2μmの銀粒子と樹脂バインダとが溶剤のジエチレングリコールエチルエーテルアセテートで調合された銀ペーストを用い、第一面において、第1透明電極の端部と電気的に接続される第1透明電極用配線を、厚み10μm、線幅80μm、配線間の距離80μmとなるよう作製した。なお、銀ペーストを印刷した後、オーブンで130℃の条件で、加熱乾燥した。
第2透明電極用配線の形成も同様に実施した。
【0093】
(表示パネルの作製)
まず、ガラス基板(厚み0.1mm)に対して、イオンプレーティング法により膜厚200nmの酸化インジウムスズ(ITO)電極膜を形成し、このITO電極膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、ITO電極膜のエッチングを行って、幅124μmのストライプ状の透明電極層を154μmピッチで450本形成した。
【0094】
次に、上記透明電極層が形成されたガラス基板に、洗浄処理と紫外線プラズマ洗浄を施し、その後、ポリイミド前駆体を主成分とするポジ型感光性レジストをスピンコート法で塗布し、フォトリソグラフィープロセスでパターニングして、各透明電極層上に100μm×408μmの発光領域(開口部)が、透明電極層のストライプと直交方向に154μmピッチ、平行方向に462μmピッチで存在するように絶縁層(厚み1.5μm)を形成した。絶縁層により画定される画素間隔は54μmであった。
【0095】
次に、上記絶縁層が形成されたガラス基板に、洗浄処理と紫外線プラズマ洗浄を施し、その後、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂からなるネガ型感光性レジストをスピンコート法で塗布し、フォトリソグラフィープロセスでパターニングして、絶縁層上に透明電極層のストライプと直交するように、ストライプ状で断面形状が逆テーパー状の隔壁を形成した。隔壁は、幅が20μm、高さが4μm、逆テーパーの角度は45°であった。
【0096】
真空蒸着法によりN,N´−ジフェニル−N,N´−ビス(3メチルフェニル)−1,1´−ビフェニル−4,4´−ジアミン(TPD)を80mm×80mmの開口部を有するメタルマスクを用いて蒸着(蒸着速度=0.1nm/秒)した。これにより、透明電極層上に、TPDからなる80mm×80mmの正孔輸送層(厚み80nm)を形成した。
【0097】
真空蒸着法によりホスト材料とゲスト材料との混合層を120μm×428μmの開口部がマトリックス状に462μmピッチで多数形成されているメタルマスクを用いて、開口部の中央部が副画素の中央部に合うように蒸着(蒸着速度=0.1nm/秒)した。ゲスト材料には赤色発光(R)、緑色発光(G)、青色発光(B)の材料をそれぞれ使用し、RGBの副画素から構成される画素を形成した。これにより、正孔輸送層上に、ホスト材料とゲスト材料との混合層からなる各発光層(厚み40nm)を形成した。
【0098】
真空蒸着法によりトリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)を正孔輸送層の形成時と同様にメタルマスクを設置して蒸着(蒸着速度=0.1nm/秒)した。これにより、各発光層上に、Alqからなる80mm×80mmの電子輸送層(厚み20nm)を形成した。
【0099】
真空蒸着法によりフッ化リチウムを正孔輸送層の形成時と同様にメタルマスクを設置して蒸着(蒸着速度=0.1nm/秒)した。これにより、電子輸送層上に、フッ化リチウムからなる90mm×80mmの電子注入層(厚み2nm)を形成した。
【0100】
次に、電子注入層の形成に用いたメタルマスクをそのまま使用して、真空蒸着法によりアルミニウムを蒸着(蒸着速度=0.4nm/秒)した。これにより、電子注入層上に、アルミニウムからなる90mm×80mmの背面電極層(厚み300nm)を形成した。
【0101】
最後に、背面電極層を形成した面側に、100mm×100mmの封止板を有機EL層および背面電極層を覆うように設置し、紫外線硬化型接着剤を介して貼り合わせた。これにより、2辺に取出し電極が形成され、他の2辺に背面電極層除去部が形成された有機ELパネルを得た。
【0102】
(パネルの作製)
タッチパネルおよび有機ELパネルを、タッチパネルの配線と有機ELパネルの取出し電極とが同一方向になるように配置し、光学透明接着剤(OCA)を使用して貼り合わせた。
【0103】
(評価)
タッチパネルの2辺近傍の第1透明電極用配線および第2用明電極用配線、ならびに、有機ELパネルの2辺近傍の取出し電極を隠すように、パネルを重ねていくことでタッチパネル同士の継ぎ目および有機ELパネル同士の継ぎ目を目立ちにくくすることが可能となった。
【符号の説明】
【0104】
1、1A、1B … パネル
2 … 透明基板
3 … 透明電極層
4 … 絶縁層
6 … 発光層
6R … 赤色発光層
6G … 緑色発光層
6B … 青色発光層
7 … 背面電極層
8 … 樹脂層
9 … 封止基板
10 … 表示パネル
11 … 表示領域
20 … タッチパネル
21 … 透明基板
22a … 第1透明電極
22b … 第2透明電極
23a … 第1透明電極用配線
23b … 第2透明電極用配線
24 … オーバーコート層
24a … 第1オーバーコート層
24b … 第2オーバーコート層
25 … 電極間絶縁層
29 … 粘着層
30 … 表示装置
32a … 第1配線領域
32b … 第2配線領域
33 … 操作領域
35 … パネル重複領域
36 … パネル周縁領域
d1 … 表示パネルの表示領域の端部からタッチパネルの操作領域の端部までの距離
d2 … タッチパネルの操作領域の端部からパネルの端部までの距離
p1、p2、p3、p4 … パネル辺

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のパネルが、当該パネルの一部が互いに重なるように配置された表示装置であって、
前記各パネルが、表示パネルと、前記表示パネル上に配置されたタッチパネルとを備え、
隣接する前記パネルが、観察側に位置する前記パネルの前記表示パネルの表示領域と、観察側とは反対側に位置する前記パネルの前記タッチパネルの配線領域とが重なるように、配置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
隣接する前記パネルのうち、観察側に位置する前記パネルでは、観察側とは反対側に位置する前記パネルの一部に重なるパネル重複領域にて、前記タッチパネルの操作領域が前記表示パネルの表示領域よりも広くなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
隣接する前記パネルのうち、観察側に位置する前記パネルでは、観察側とは反対側に位置する前記パネルの一部に重なるパネル重複領域にて、前記タッチパネルの操作領域が前記パネルの端部まで形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
表示パネルと、前記表示パネル上に配置されたタッチパネルとを備えるパネルであって、
少なくとも一つのパネル辺に沿ったパネル周縁領域にて、前記タッチパネルの操作領域が前記表示パネルの表示領域よりも広くなるように形成されていることを特徴とするパネル。
【請求項5】
前記タッチパネルの操作領域が前記パネルの端部まで形成されていることを特徴とする請求項4に記載のパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−45150(P2013−45150A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180529(P2011−180529)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】