説明

パネルの製造装置

【課題】不良箇所のチェック補修作業を迅速に行なえて生産性が極めて高く、作業者が自然な姿勢で楽に作業できることから、作業能率が高いとともに労働疾病が生じにくいパネルの製造装置を提供する。
【解決手段】上面にパネル2の搬送部を有し、2以上の独立搬送台5と、パネル2の幅方向にのびる長尺腕状をなし、水平に支持される横臥姿勢、及び縦方向の一方の側部に配された回転中心24を芯として上方に起き上がる起立姿勢の間を起倒可能に形成された可動支持体6とを具える。可動支持体6は、その上面に載置されるパネルを着脱自在に固定する挟着手段7を有し、この挟着手段7で可動支持体6上に固定したパネル2を載せた状態で起立して、横通路上の作業者Mにパネル2下面を向けてパネルを引き起こす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の構築に用いる外壁パネル、屋根パネル、床パネルなどを工場で生産する際に用いるパネルの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工期短縮、品質安定化などのため、建築用の部材として、壁、屋根、床などの構造体をパネルとして予め工場で生産し、建築現地ではこれらパネルを組み立てることにより迅速、かつ高品質に建築する、所謂パネル方式の建築工法が汎用されている。
【0003】
そしてこれらパネルの多くは、工場内に設備されたロールコンベア、ベルトコンベア、チェーンコンベアなどのコンベアラインを用いて製造している。このようなコンベアライン上のパネルは、コンベア上に伏せた状態で搬送されるため、各加工作業を始め、ビス、釘などの固着状態のチェック、接着不良の確認、或いはメッキ仕上げ状態などを点検し、これらに不良箇所がある場合にはその不良内容の補修作業などを、コンベアの下に潜るとともに、コンベアの隙間などから覗き込んで行なっている。従って、これら各種確認チェック作業、及び補修作業が非常にやり難く、しかも作業者は無理な姿勢を強いられることから、作業に長時間を要するとともに、仕上げ状態及び点検の精度等を含む作業品質が劣るという問題があった。更には無理な姿勢での作業が続くと腰痛など労働疾病が発生する可能性が高いという問題もあった。
【0004】
そこで、コンベアラインの中間に反転工程を設けることにより、製造途中のパネルをライン上で裏向けに反転して、裏側の製造加工、及び点検補修などを行ない、その後で再び180度反転することによりパネルを完成する製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2000−135637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、反転の際パネルに対し衝撃力が発生するため、極めてゆくっりとした回転速度で動作する必要があることから、前記のようにパネルを二度に亘り反転すると製造タクトがかなり長くなり、生産性が低下するという問題がある。更には相当遅く回転させたとしても、例えば塗装面など化粧仕上げされた面を下にしてコンベアに載置すると、この仕上げ面に細かいキズが付き易く、パネルの品質が低下しがちである。
【0007】
本発明は、可動支持体にパネルを着脱自在に固定する挟着手段を設け、この挟着手段で可動支持体上に固定したパネルを載せた状態で起立させることによって、横通路上の作業者にパネル下面を向けてパネルを引き起こすことを基本とし、不良箇所のチェック補修作業を迅速に行なえて生産性が極めて高く、しかも作業者が自然な姿勢で楽に作業できることから、作業能率が高いとともに労働疾病が生じにくいパネルの製造装置の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、請求項1に係る発明では、上面にパネルの搬送部を有し、縦方向の間隙を隔てるとともに同じ高さに形成され、前記間隙によってパネル製造作業に使用する横方向の横通路を形成する2以上の独立搬送台と、パネルの幅方向にのびる長尺腕状をなし、前記高さと略同高さで水平に支持される横臥姿勢、及び前記縦方向の一方の側部に配された回転中心を芯として上方に起き上がる起立姿勢の間を起倒可能に形成された可動支持体とを具えたパネルの製造装置であって、前記可動支持体は、その上面に載置されるパネルを着脱自在に固定する挟着手段を有し、この挟着手段で可動支持体上に固定したパネルを載せた状態で起立して、前記横通路上の作業者にパネル下面を向けてパネルを引き起こすことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明において、前記各々の独立搬送台は、パネル製造作業に通路として使用される途切れ部を挟んで分割して形成され、請求項3に係る発明において、各々の独立搬送台の途切れ部は、縦方向に並んで連続する位置に配置されて、この連続する途切れ部によって、前記横通路に交差してのびる縦通路が形成されることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明において、前記可動支持体は、パネルの幅方向にのびる長尺腕状をなし、一方の側部が前記回転中心において枢支されるとともに駆動手段によって駆動されて起倒する支持基部と、この支持基部の上部に設けられるとともに前記挟着手段を具えた受け部とからなり、前記受け部は、支持基部に対して受け部を上下動させる昇降手段を介して、支持基部に取付けられることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明において、前記挟着手段は、少なくともパネルの幅方向の両側部に配されるクランプ具を有し、前記クランプ具は、パネルの側面に向けてスライド移動可能なクランプ片と、このクランプ片を前記スライド移動させるクランプ駆動部とを具えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明においては、回転中心を芯として可動支持体が上方に起き上がった起立姿勢において、この可動支持体の上に挟着手段によって固定されたパネルが、その裏面を横通路上に作業者に向けて引き起こされる。従って製造ライン上では、見え辛く作業が大変やり難いパネルの下面における釘の食み出し、メッキ塗料の不良箇所のチェック及びその補修などの点検、補修作業を簡単、確実に行なうことができることから、作業能率を向上して、生産ラインのタクト時間を短縮できる。しかも、作業者は横通路を通って移動することによって、パネル全面を素早くチェック、補修できることから、作業性に優れるとともに、確実なチェック、補修ができるためパネル製品の品質を向上でき、しかも楽な作業姿勢によって作業できるため、腰痛などの労働疾病を抑制できる。
【0013】
請求項2に係る発明のように、各々の独立搬送台を、パネル製造作業に通路として使用する途切れ部を挟んで分割して形成すると、前記横通路間を短い動線で移動できることから、生産性が向上できるともに、作業疲労を低減できる。
【0014】
請求項3に係る発明のように、各々の独立搬送台の途切れ部を、縦方向に並んで連続する位置に配置し、この連続する途切れ部によって、前記横通路に交差してのびる縦通路を形成すると、縦通路、及び横通路を通ってパネル裏面全面に対し隈なく迅速に移動できることから、作業性を向上できるとともに、パネル裏面の隅々まで丁寧にチェック、補修できるため製品品質を向上できる。
【0015】
請求項4に係る発明のように、パネルを受ける受け部を、昇降手段を介して支持基部に取付けると、受け部の上昇により独立搬送台上のパネルを受け部に支持させることができ、また受け部の下降により、受け部上のパネルを独立搬送台に迅速に戻すことができる。
【0016】
請求項5に係る発明のように、スライド移動可能なクランプ片と、このクランプ片を前記スライド移動させるクランプ駆動部とを具えたクランプ具を、少なくとも横方向の両側部に配して構成した挟着手段を設けると、受け部の上に迅速、かつ確実にパネルを固定し、またその固定を解除できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。図1に示すように、パネルの製造装置1は、壁パネル、屋根パネル、床パネルなど建築用部材として用いられる各種パネル2を製造するために用いるパネル製造コンベアラインの中に組み込まれる装置であって、主としてパネル裏面の点検作業工程、補修作業工程などに配置される。更に本発明のパネルの製造装置1は図1に示すように、上面にパネル2の搬送部3を有する2基以上の独立搬送台5と、可動支持体6とを具えている。
【0018】
パネルの製造装置1で製造されるパネル2としては、フレーム材を矩形状に枠組みした外周枠の内側に補強桟を架け渡し形成されたパネルフレームの片面に表面板を貼着したフレームドパネル2Fが代表的である。これらフレームドパネル2Fには、さらに各種の外形形状、フレーム構成のものが含まれる。例えば図10(A)に示すように、縦方向に向く長い縦フレーム材F1と、これを繋ぐ横フレーム材F2と、縦フレーム材の略真中に設けられる中間フレーム材F3とからなる長矩形フレームに面材を添設したパネル2を製造できる。これ以外にも、図10(B)に示した中間フレーム材F3を有する台形状フレーム構成のパネル2、図10(C)に示した中間フレーム材F3を有する直角三角形状フレーム構成のパネル2、及び図10(D)に示した中間フレーム材F3を含まない小幅の台形状フレーム構成のパネル2などがある。なお本明細書において、パネル2の搬送方向を縦方向とし、これに直行する方向を横方向とする。
【0019】
前記フレームドパネル2F以外にも、ハニカムコアを芯材とした補強鋼製パネル、ALCなどの軽量気泡コンクリートパネル、或いはケイ酸カルシウム板、フレキシブルボードなどの窯業系、発泡樹脂層を鋼板、アルミ板でサンドイッチした金属系、合板、木毛セメント板、木片セメント板に防水被覆した木質系の各種のボード単体のものもパネル2に含まれ、本発明のパネルの製造装置1上で製造加工することができる。
【0020】
前記独立搬送台5は、図1、3に示すように、鉄鋼フレーム材をテーブル状に組み立てて構成した基枠部21と、この基枠部21の上面に設けた搬送部3とから構成される。基枠部21は、作業足場面22上に載置固定され、この作業足場面22はアジャスター23を介し、床上に水平に支持されている。前記搬送部3は本形態では、ローラコンベア3Rを用いて構成される。このローラコンベア3Rは、上に載置されるパネル2を支持し、かつ図示されない駆動装置によって回動することによりパネル2を搬送できる。
【0021】
前記独立搬送台5は図2に示すように、縦方向に空いた間隙を隔てて2台以上、本形態では4台が隔設される。前記間隙は、例えば500〜1000mm程度の幅に形成され、パネル製造作業において作業者が移動したり、その位置で留まって作業することのできる横通路4を構成している。なお前記各独立搬送台5は、全てが同じ高さに形成され、従って上面の搬送部3のレベルは整一に揃う。また本形態の独立搬送台5は図2に示すように、前記縦方向の長さが、長短異なるものが配列されている。
【0022】
更に本形態では図1、3に示すように、各独立搬送台5は、途切れ部8を挟んで横に分割され、一方の側部(図3における右側)に配されるとともにパネル2の幅方向の寸法が長いメインの独立搬送台5Mと、他方の側部(図3における左側)に配されるとともにパネル2の幅方向の寸法が短いサブの独立搬送台5Sとで構成される。このように構成された途切れ部8は、前記独立搬送台5で画された横通路4、4間を行き来する通路として使用できることから、前記横通路4、4間を短い動線で移動でき、そのため生産性が向上するとともに作業疲労を低減しうる。
【0023】
更に本形態では図1に示すように、各々の独立搬送台5における途切れ部8が縦方向に並んで連続する位置に配置される。従ってこれら直線上に並ぶ途切れ部8によって、前記横通路4に直角に交差してのびる連続した縦通路9が形成される。
【0024】
前記可動支持体6は図4に示すように、横方向にのびる長尺腕状をなし、前記一方の側部に配された回転中心において枢支された支持基部10と、この支持基部10の上部に重ねて設けられた受け部11とからなる。また可動支持体6は、図1、2に示すように、前記各々の独立搬送台5のローラコンベア3Rを構成するローラ間に配置され、独立搬送台5の中に組み込んで構成される。
【0025】
前記支持基部10は、一方の側部側の端部が前記回転中心に設けた軸受具24によって枢支され、かつ他方の側部側が、駆動手段16を構成する電動直線運動器16Aの先端に枢支され、この電動直線運動器16Aの伸縮によって、図4の横臥状態と図3の傾斜状態との間を起倒するように構成されている。尚前記電動直線運動器16Aとしては、電動機を含む本体部、及びボールネジ機構を用いて電動機の正転、逆転により本体部から伸び縮み自在に構成されたロッドを具えた電動式シリンダを採用している。
【0026】
前記受け部11は、前記支持基部10と略同じ長さの長尺腕状をなし、前記支持基部10の上方に平行に配置され、かつ支持基部10との間が、スライド支承部25を介して相互距離を拡縮可能に連結されている。前記スライド支承部25は図5、6に示すように、受け部11の下面から垂下する縦軸25Aと、支持基部10に設けられ、前記縦軸25Aに外挿してこれをスライド可能に支持するスリーブ25Bとで構成され、本形態では可動支持体6の一方の側部寄りに2箇所、他方の側部寄りに1箇所設けられる。
【0027】
更に支持基部10と受け部11との間には、受け部11を昇降させる昇降手段12が取付けられる。本形態の昇降手段12は、エアシリンダ12Aを用いて構成され、このエアシリンダ12Aは、一方の側部、他方の側部に一対が設けられる。従ってエアシリンダ12Aの伸縮動作により、受け部11が支持基部10に対して平行姿勢を維持しつつ昇降することができる。
【0028】
前記の如く、昇降手段12によってローラコンベア3Rのローラ間に配置される可動支持体6が昇降可能に支持されることから、図5、6に実線で示した降下した状態の受け部11の上面は、ローラコンベア3Rの上面よりも下に位置し、同じく鎖線で示した上昇した時の受け部11の上面は、ローラコンベア3Rの上面よりも上に突出する。従って受け部11が上昇することによって独立搬送台5上に支持されているパネル2を受け部11に支持させることができ、また逆に受け部11の下降により、受け部11上に支持されているパネル2を独立搬送台5に戻すことができる。
【0029】
更に前記受け部11には、上昇することで、ローラコンベア3Rから載り移って、上面に載置されるパネル2を着脱可能に固定する挟着手段7を設けている。この挟着手段7は、少なくとも横方向の両側部に配される一対のクランプ具13によって形成される。更に本形態のクランプ具13は図4に示すように、受け部11の他方の側部に基準側のクランプ具13S、一方の側部に押さえ側のクランプ具13P、及びその間の略中央に配される中間のクランプ具13Mを含み構成される。ここで前記基準側とは、製造ラインに仕掛かり品を搬送し、各工程において同一線上に真直ぐ連続する基準線Lに仕掛かり品を位置決めして製造加工するのが常である。このときに前記基準線Lとして採用される側を基準側をいい、本形態では前記他方の側部(図4における左側)に基準線Lが設定される。
【0030】
基準側のクランプ具13Sは図5に示すように、受け部11にそのロッドを外側に向けて固着したエアシリンダ15Aからなるクランプ駆動部15と、このエアシリンダ15Aのロッド先端から立ち上がるクランプ片14とを具える。このクランプ片14は、前記エアシリンダ15Aのロッドの伸縮により、パネル2の側面に向いて横方向にスライドし、パネル2の側面に当接して、このパネル2を挟着することができる。
【0031】
押さえ側のクランプ具13Pは図6に示すように、受け部11にそのロッドを外側に向けて固着したガイド付きツインロッドシリンダ15Bからなるクランプ駆動部15と、このガイド付きツインロッドシリンダ15Bのロッド先端に固着された上下動ユニット26と、この上下動ユニット26の上部に取り付けたクランプ片14とを具える。前記上下動ユニット26は、ガイド付きツインロッドシリンダ15Bのロッド先端に固着したユニット基部26Aと、このユニット基部26Aに固着されてクランプ片14を上下動自在に支持するガイド部26Bと、ユニット基部26Aに固着されてクランプ片14を上下駆動する上下動用エアシリンダ26Dとからなる。更に前記ガイド部26Bは、ユニット基部26Aに固着されたスリーブ27とこのスリーブ27に内挿して上下スライドできるとともに、上端部でクランプ片14を支持する上下可動軸28とからなる。このようにして構成された押さえ側のクランプ具13Pは、上下動用エアシリンダ26Dが動作することによりクランプ片14が受け部11から上に出没可能に形成され、かつ上昇した状態のクランプ片14は、前記ガイド付きツインロッドシリンダ15Bのロッドの伸縮により、パネル2の側面に向いて横方向にスライドし、パネル2側面に当接し、前記基準側のクランプ具13Sのクランプ片14とでパネル2を両側から挟着してこれを保持することができる。
【0032】
前記中間のクランプ具13Mは図4に示すように、押さえ側のクランプ具13Pと同様に構成される。そして図10(C)に示す直角三角形状フレーム構成のパネル2に対し、クランプ片14がパネル2の中間フレーム材F3に当接することにより、基準側のクランプ具13Sのクランプ片14とでパネル2を挟着してこれを保持することができる。また図10(D)に示す小幅の台形状フレーム構成のパネル2に対しては、押さえ側のクランプ具13Pを用いることなく、基準側のクランプ具13Sと中間のクランプ具13Mとでパネル2の両側を挟着することができる。
【0033】
このように受け部11の少なくとも横方向の両側部に、横方向にスライド移動可能なクランプ片14、およびこのクランプ片14を前記スライド移動させるクランプ駆動部15からなるクランプ具13を各々取付けることにより、双方のクランプ片14の間でパネル2を着脱可能に固定できる挟着手段7を設けると、パネル2を受け部11の上に、迅速かつ確実に固定し、また逆に固定を解除でき、その結果生産タクトを短縮して生産性を向上することができる。
【0034】
更には受け部11の上に挟着手段7によってパネル2を固定した状態で、図3に示すように電動直線運動器16Aのロッドを伸張すると、前記軸受具24に枢支された可動支持体6の他方の側部である基準側が上昇して起き上がり、パネル2も一緒に一方の側部を下にして起き上がる。このように前記横通路4、縦通路9上の作業者Mに下面を向けてパネル2が引き起こすことができることから、パネル2下面に対して点検、補修作業を行なう作業者Mは、不自然な姿勢でパネル2の下に潜り込むことなく、自然な楽な姿勢で作業を実施でき、その結果作業能率が高まるとともに作業精度も向上する。
【0035】
即ち従来のように、製造ライン上で水平な搬送姿勢のパネル2に対しては、作業箇所が見え辛く、作業が大変やり難いパネル2下面の釘の食み出し、メッキ塗料の不良箇所のチェック及びその補修などの点検、補修作業を、パネル2裏面が良く見えて、作業し易い位置になるよう傾斜状態に引き起こして行なうことができることから、作業能率を向上して、生産ラインのタクト時間を短縮できる。しかも作業者Mは縦通路9、及び横通路4を自在に移動して、パネル2の裏面全面に対し隈なく迅速に移動できることから、作業性が極めて高く、パネル2の裏面の隅々まで丁寧にチェック、補修できるため製品品質を向上でき、しかも楽な作業姿勢によって作業できるため、腰痛などの労働疾病を抑制できる。
【0036】
以下本形態のパネルの製造装置1を用いた作業工程を順に説明する。先ず図7(A)に示すように、前工程から仕掛かりのパネル2が基準線Lに沿って搬入され、ストッパーに当接するなど制御されて所定位置で停止する。次いで図7(B)に示すように、搬入されたパネル2が昇降手段12によって上昇する受け部11上に載置され、持上げられる。次いで図7(C)に示すように、押さえ側のクランプ具13Pが上昇し、そのクランプ片14が受け部11の上面よりも上方に突出する。次いで図7(D)に示すように、基準側のクランプ具13Sのクランプ片14が押さえ側のクランプ具13P側に向けてスライドすることによってパネル2が双方のクランプ片14、14に挟着され、その結果パネル2が受け部11上に固定される。
【0037】
この状態で図8(A)に示すように、電動式シリンダのロッドがスライドして伸張することにより、パネル2を載置固定した可動支持体6が軸受具24の回転中心を軸として起き上がり、その結果パネル2が約60度程度の傾きに引き起こされて支持される。図3に示すように、縦通路9、及び横通路4を自在に移動することができる作業者Mが、傾斜姿勢で支持されたパネル2の裏面を目視で隈なく検査し、パネル2下面の釘の食み出し、メッキ塗料の不良箇所などの点検を実施し、更に不具合箇所に対しての補修作業を行なう。
【0038】
このようにパネル2下面側からの効率的な作業の終了後、図8(B)に示すように、再び電動式シリンダのロッドを短縮することによって、パネル2を載置固定した可動支持体6が回転中心を軸として傾きを漸減し、図9(A)に示すように水平姿勢に戻る。次いで前記基準側のクランプ具13Sが後退して、そのクランプ片14が基準線Lまで戻る。次いで図9(B)に示すように、押さえ側のクランプ具13Pが前進してパネル2を基準側のクランプ具13Sの基準線L位置まで押し戻すことにより、パネル2をライン上の基準位置に位置合わせする。次いで図9(C)に示すように、基準側のクランプ具13Sが更に後退し、他方押さえ側のクランプ具13Pは、後退するとともに下降して受け部11の上面よりも下のスペースに収容される。次いで図9(D)に示すように、受け部11が昇降手段12によって下降し、その結果受け部11上のパネル2が独立搬送台5のローラコンベア3R上に戻される。その後、ローラコンベア3Rが回転駆動してパネル2が次工程に向けて搬出される。
【0039】
尚、叙上の説明は本発明の実施の形態を例示したものである。従って本発明の技術的範囲はこれに何ら限定されるものではなく、前記した実施の形態の他にも、各種の変形例が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施の形態を例示する平面図である。
【図2】その正面図である。
【図3】その使用状態を説明する側面図である。
【図4】異なる使用状態を説明する側面図である。
【図5】その要部拡大図である。
【図6】ことなる箇所の要部拡大図である。
【図7】(A)〜(D)は前半の動作を説明する略側面図である。
【図8】(A)(B)は中間の動作を説明する略側面図である。
【図9】(A)〜(D)は後半の動作を説明する略側面図である。
【図10】(A)〜(D)は本発明のパネルの製造装置によって製造される、各種パネル2のフレーム構成を説明する略図である。
【符号の説明】
【0041】
1 パネルの製造装置
2 パネル
3 搬送部
4 横通路
5 独立搬送台
6 可動支持体
7 挟着手段
8 途切れ部
9 縦通路
10 支持基部
11 受け部
12 昇降手段
13 クランプ具
14 クランプ片
15 クランプ駆動部
16 駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面にパネルの搬送部を有し、縦方向の間隙を隔てるとともに同じ高さに形成され、前記間隙によってパネル製造作業に使用する横方向の横通路を形成する2以上の独立搬送台と、
パネルの幅方向にのびる長尺腕状をなし、前記高さと略同高さで水平に支持される横臥姿勢、及び前記縦方向の一方の側部に配された回転中心を芯として上方に起き上がる起立姿勢の間を起倒可能に形成された可動支持体とを具えたパネルの製造装置であって、
前記可動支持体は、その上面に載置されるパネルを着脱自在に固定する挟着手段を有し、この挟着手段で可動支持体上に固定したパネルを載せた状態で起立して、前記横通路上の作業者にパネル下面を向けてパネルを引き起こすことを特徴とするパネルの製造装置。
【請求項2】
前記各々の独立搬送台は、パネル製造作業に通路として使用される途切れ部を挟んで分割して形成されることを特徴とする請求項1記載のパネルの製造装置。
【請求項3】
各々の独立搬送台の途切れ部は、縦方向に並んで連続する位置に配置されて、この連続する途切れ部によって、前記横通路に交差してのびる縦通路が形成されることを特徴とする請求項1又は2記載のパネルの製造装置。
【請求項4】
前記可動支持体は、パネルの幅方向にのびる長尺腕状をなし、一方の側部が前記回転中心において枢支されるとともに駆動手段によって駆動されて起倒する支持基部と、この支持基部の上部に設けられるとともに前記挟着手段を具えた受け部とからなり、
前記受け部は、支持基部に対して受け部を上下動させる昇降手段を介して、支持基部に取付けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパネルの製造装置。
【請求項5】
前記挟着手段は、少なくともパネルの幅方向の両側部に配されるクランプ具を有し、
前記クランプ具は、パネルの側面に向けてスライド移動可能なクランプ片と、このクランプ片を前記スライド移動させるクランプ駆動部とを具えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパネルの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−168366(P2008−168366A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−1589(P2007−1589)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
【Fターム(参考)】