説明

パネルスイッチ

【課題】
操作面にPETフィルム等の合成樹脂フィルムを用いているものは、衝撃等によりパネルスイッチの表面の合成樹脂フィルムが変形したりして、接点回路に異状を来たしてトラブルや誤作動を起こしていた。
【解決手段】
基板1と、基板1に積層させた基板側ITO成膜用透明PETフィルム2の上面に形成した酸化インジウム錫の固定接点回路2aと、操作側ITO成膜用透明PETフィルム3の下面に形成した酸化インジウム錫の可動接点回路3aと、可動接点回路3aと固定接点回路2aの間に設けたスペース4とを備えたパネルスイッチにおいて、スペース4を介装させた状態で可動接点回路3aに酸化インジウム錫の微粒子を分散させた操作側有機コーティング層3bを積層させ、固定接点回路2aに酸化インジウム錫の微粒子を分散させた基板側有機コーティング層2bを積層させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルスイッチに関するものであり、更に詳細には、耐久性を飛躍的に向上させたITO成膜透明電導PETフィルムを用いたパネルスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、パネルスイッチは多種多様に開発され夫々役に立っているが、耐久性が求められる場合は操作面に板ガラスを用いていたが、板ガラスは重くて衝撃により板ガラスそのものが破壊することがあり、携帯電話や玩具等のように頻繁に移動させる機器に用いるパネルスイッチには適さないものであり、その為、操作面にPETフィルム等の合成樹脂フィルムを用いているものが使用されているが、衝撃等によりパネルスイッチの表面の合成樹脂フィルムが変形したりして、接点回路に異状を来たしてトラブルや誤作動を起こしていた。
【0003】
また、酸化インジウム錫の接点回路は耐久性に乏しく、携帯電話や玩具等のような頻度で短期間しか使用しない場合では使用に充分に耐えうるものであるが、もっと頻繁に長期間にわたって使用する場合には接点回路同士の接触で劣化を起こして、トラブルや誤作動を起こす要因となっていた。
【0004】
例えば、先に開示された、酸化インジウム錫の針状結晶粉を含む光透過性導電粉を分散した光透過性樹脂を、吸湿性の小さなフェノキシ樹脂またはフェノキシ樹脂とエポキシ樹脂の混合樹脂、或いはポリフッ化ビニリデンを含有するフッ素ゴムとし、これを用いて光透過性電極層12を絶縁フィルム11に印刷形成し、この上に発光体層3や誘電体層4等を順次重ねて印刷形成することによって、防湿加工が不要で、湿気による光透過性電極層の抵抗値変化の少ない、安価なEL素子を得ることができるもの(特許文献1参照)や、基体11と、導電層12と、フッ素化合物を含む層13と、を備え、フッ素化合物を含む層13が、導電層12に対し基体11と反対側に設けられている透明導電体(特許文献2参照)が開示されている。
【特許文献1】特開平11−273874号公報
【特許文献2】特開2006−185867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
つまり、特許文献1に記載のものは、 酸化インジウム錫の針状結晶粉を含む光透過性導電粉を分散した光透過性樹脂を光透過性電極層12として用いているものであるが、EL素子を安価に得るためのもので接点回路して用いているものでなく、特許文献2に記載のものは、導電層12に導電粉12aを含有させているものであるが、その上にフッ素化合物を含む層13を設けており、電気抵抗値が変化するもので、PETフィルムによる廉価で耐久性のあるパネルスイッチは具現していない現状である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題に鑑み、鋭意研鑽の結果、支持基板又はガラス基板又はプラスチック基板と、支持基板又はガラス基板又はプラスチック基板に積層させた基板側ITO成膜用透明PETフィルムと、基板側ITO成膜用透明PETフィルムの上面にコーティング技術で形成した酸化インジウム錫の固定接点回路と、操作側ITO成膜用透明PETフィルムと、操作側ITO成膜用透明PETフィルムの下面にコーティング技術で形成した酸化インジウム錫の可動接点回路と、可動接点回路と固定接点回路とを相対させた間に設けたスペースとを備えたパネルスイッチにおいて、スペースを介装させた状態で可動接点回路に酸化インジウム錫の微粒子を分散させた操作側有機コーティング層を積層させ、固定接点回路に酸化インジウム錫の微粒子を分散させた基板側有機コーティング層を積層させたものであり、更に、前記パネルスイッチにおいて、スペースを介装させた状態で可動接点回路に酸化インジウム錫の微粒子を分散させた操作側有機コーティング層を積層させものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のパネルスイッチは、スペースを介装させた状態で、可動接点回路に酸化インジウム錫の微粒子を分散させた操作側有機コーティング層を積層させ、固定接点回路に酸化インジウム錫の微粒子を分散させた基板側有機コーティング層を積層させたことにより、又は、可動接点回路に酸化インジウム錫の微粒子を分散させた操作側有機コーティング層を積層させたことにより、可動接点回路と固定接点回路との接触は酸化インジウム錫の微粒子を分散させた有機コーティング層を介して行われるために接点の劣化が皆無なものとなり、トラブルや誤作動を起こすことなく、頻繁に使用しても長期間にわたって安定したスイッチングを行われるもので、画期的で極めて有効的で実用性の高い発明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明のパネルスイッチの実施例の図面を用いて詳細に説明すると、図1は本発明のパネルスイッチの実施例の説明のための断面図であり、図2は本発明のパネルスイッチの次実施例の説明のための断面図である。
【0009】
本発明は、パネルスイッチに関するものであり、更に詳細には、耐久性を飛躍的に向上させたITO成膜透明電導PETフィルムを用いたパネルスイッチに関するものであり、請求項1に記載のパネルスイッチは、支持基板又はガラス基板又はプラスチック基板1と、該支持基板又はガラス基板又はプラスチック基板1に積層させた基板側ITO成膜用透明PETフィルム2と、該基板側ITO成膜用透明PETフィルム2の上面にコーティング技術で形成した酸化インジウム錫の固定接点回路2aと、操作側ITO成膜用透明PETフィルム3と、該操作側ITO成膜用透明PETフィルム3の下面にコーティング技術で形成した酸化インジウム錫の可動接点回路3aと、該可動接点回路3aと前記固定接点回路2aとを相対させた間に設けたスペース4とを備えたパネルスイッチにおいて、前記スペース4を介装させた状態で前記可動接点回路3aに酸化インジウム錫の微粒子を分散させた操作側有機コーティング層3bを積層させ、前記固定接点回路2aに酸化インジウム錫の微粒子を分散させた基板側有機コーティング層2bを積層させたことを特徴とするものである。
【0010】
更に、請求項2に記載のパネルスイッチは、支持基板又はガラス基板又はプラスチック基板1と、該支持基板又はガラス基板又はプラスチック基板1に積層させた基板側ITO成膜用透明PETフィルム2と、該基板側ITO成膜用透明PETフィルム2の上面にコーティング技術で形成した酸化インジウム錫の固定接点回路2aと、操作側ITO成膜用透明PETフィルム3と、該操作側ITO成膜用透明PETフィルム3の下面にコーティング技術で形成した酸化インジウム錫の可動接点回路3aと、該可動接点回路3aと前記固定接点回路2aとを相対させた間に設けたスペース4とを備えたパネルスイッチにおいて、前記スペース4を介装させた状態で前記可動接点回路3aに酸化インジウム錫の微粒子を分散させた操作側有機コーティング層3bを積層させたことを特徴とするものである。
【実施例】
【0011】
即ち、本発明のパネルスイッチは、透明若しくは半透明の矩形状のもので、その外周に枠体を設けて後述する操作側ITO成膜用透明PETフィルム3と基板側ITO成膜用透明PETフィルム2との間にスペース4を維持させると共に、枠体はその一部から夫々の接点回路の給配電のための回路を外方に延設させているものである。
【0012】
そして、支持基板又はガラス基板又はプラスチック基板1は、下面を使用機器に固着される透明若しくは半透明で且つ絶縁性のもので、シート状の支持基板でも、透明石英で形成されたガラス基板でも、アクリル樹脂等の透明性に優れたプラスチック基板でも良く、上面には外周辺に枠体を形成すると共に、後述する基板側ITO成膜用透明PETフィルム2を積層されるものである。
【0013】
次に、基板側ITO成膜用透明PETフィルム2は、絶縁性のもので支持基板又はガラス基板又はプラスチック基板1の上面に積層させているもので、上面には後述する酸化インジウム錫の固定接点回路2aを積層させるものである。
【0014】
次いで、固定接点回路2aは、透明の酸化インジウム錫であり、印刷等のコーティング技術により基板側ITO成膜用透明PETフィルム2の上面に積層させるもので、その一部の端部は枠体を貫通させた給配電のための回路に接続させているものである。
【0015】
更に、操作側ITO成膜用透明PETフィルム3は、可撓性を有しておりパネルスイッチの操作部材となるもので、表面の任意な箇所を指先や物品で押圧することによりスイッチングを行うものである。
【0016】
更には、可動接点回路3aは、操作側ITO成膜用透明PETフィルム3の下面に印刷等のコーティング技術で積層させた透明な酸化インジウム錫であり、操作側ITO成膜用透明PETフィルム3の可撓性の撓みに伴って可動するものである。
【0017】
次に、スペース4は、可動接点回路3aと固定接点回路2aとを相対させた間に設けているもので、つまり、下面に可動接点回路3aをコーティング技術で形成した操作側ITO成膜用透明PETフィルムと上面に固定接点回路2aをコーティング技術で形成した基板側ITO成膜用透明PETフィルムとの間に支持基板又はガラス基板又はプラスチック基板1に設けた枠体により間隔を設けて固定するもので、スペース4にはドットスペーサーを適宜設けているものである。
【0018】
そして、操作側有機コーティング層3bと基板側有機コーティング層2bとは同一のもので良く、酸化インジウム錫の微粒子を分散させているもので、可動接点回路3aと固定接点回路2aとに夫々積層させており、操作側有機コーティング層3bと基板側有機コーティング層2bとをスペース4を介装させた状態で相対させているある。
【0019】
前述のように構成したパネルスイッチは、可動接点回路3aに積層した操作側有機コーティング層3bと固定接点回路2aに積層した基板側有機コーティング層2bとは、スペース4を介して相対しており、操作側ITO成膜用透明PETフィルム3を押圧することにより可動接点回路3aと操作側有機コーティング層3bとは下方に撓み、下方の基板側有機コーティング層2bに接触することによりオン状態と成るものである。
【0020】
本発明のパネルスイッチは、操作側有機コーティング層3bと基板側有機コーティング層2bとに酸化インジウム錫の微粒子を分散させており、操作側ITO成膜用透明PETフィルム3を押圧することにより上下方向が圧縮され酸化インジウム錫の微粒子により通電されるものである。
【0021】
つまり、操作側ITO成膜用透明PETフィルム3の任意位置を押圧することにより、スペース4を介して相対している操作側有機コーティング層3bと基板側有機コーティング層2bの任意位置が上下方向に圧縮され圧縮方向のみに通電されるものであり、操作側ITO成膜用透明PETフィルム3の押圧を解放することにより操作側有機コーティング層3bと基板側有機コーティング層2bは絶縁状態に有るものである。
【0022】
更に、次実施例では、基板側有機コーティング層2bを排除したもので、多少の耐久性は劣るものの実施例のものと同様なので詳述は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明のパネルスイッチは、スペースを介装させた状態で可動接点回路と固定接点回路とに夫々酸化インジウム錫の微粒子を分散させた有機コーティング層を積層させことにより、可動接点と固定接点との接触は酸化インジウム錫の微粒子を分散させた有機コーティング層を介して行われるために接点の劣化が皆無なものとなり、トラブルや誤作動を起こすことなく、頻繁に使用しても長期間にわたって安定したスイッチングを行われパネルスイッチを提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は本発明のパネルスイッチの実施例の説明のための断面図である。
【図2】図2は本発明のパネルスイッチの次実施例の説明のための断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 支持基板又はガラス基板又はプラスチック基板
2 基板側ITO成膜用透明PETフィルム
2a 固定接点回路
2b 基板側有機コーティング層
3 操作側ITO成膜用透明PETフィルム
3a 可動接点回路
3b 操作側有機コーティング層
4 スペース



【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板又はガラス基板又はプラスチック基板と、該支持基板又はガラス基板又はプラスチック基板に積層させた基板側ITO成膜用透明PETフィルムと、該基板側ITO成膜用透明PETフィルムの上面にコーティングで形成した酸化インジウム錫の固定接点回路と、操作側ITO成膜用透明PETフィルムと、該操作側ITO成膜用透明PETフィルムの下面にコーティング技術で形成した酸化インジウム錫の可動接点回路と、該可動接点回路と前記固定接点回路とを相対させた間に設けたスペースとを備えたパネルスイッチにおいて、前記スペースを介装させた状態で前記可動接点回路に酸化インジウム錫の微粒子を分散させた操作側有機コーティング層を積層させ、前記固定接点回路に酸化インジウム錫の微粒子を分散させた基板側有機コーティング層を積層させたことを特徴とするパネルスイッチ。
【請求項2】
支持基板又はガラス基板又はプラスチック基板と、該支持基板又はガラス基板又はプラスチック基板に積層させた基板側ITO成膜用透明PETフィルムと、該基板側ITO成膜用透明PETフィルムの上面にコーティング技術で形成した酸化インジウム錫の固定接点回路と、操作側ITO成膜用透明PETフィルムと、該操作側ITO成膜用透明PETフィルムの下面にコーティング技術で形成した酸化インジウム錫の可動接点回路と、該可動接点回路と前記固定接点回路とを相対させた間に設けたスペースとを備えたパネルスイッチにおいて、前記スペースを介装させた状態で前記可動接点回路に酸化インジウム錫の微粒子を分散させた操作側有機コーティング層を積層させたことを特徴とするパネルスイッチ。




【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−15817(P2010−15817A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174603(P2008−174603)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(390001982)株式会社緑マーク (4)
【Fターム(参考)】