パネル体の傾動機構およびこれを備えた画像記録装置
【課題】パネル体の保持解除動作を簡単且つ誤りなく行うことができる。
【解決手段】装置本体に対し操作パネル121を、収納位置と使用位置との間で傾動自在に支持するスライド支持部141と、操作パネル121を背面側から使用位置に保持するストッパー部材153と、ストッパー部材153の移動をガイドするスライドガイド部171、操作パネル121が使用位置に傾動した状態でストッパー部材153が係止されるストッパー係止部172を有するストッパーガイド143と、ストッパー部材153を、ストッパー係止部172に係止されるように回動付勢する付勢バネと、操作パネル121を上動させたときに、ストッパー部材153をストッパー係止部172からスライドガイド部171側に回動させる支点突起145と、を備えた。
【解決手段】装置本体に対し操作パネル121を、収納位置と使用位置との間で傾動自在に支持するスライド支持部141と、操作パネル121を背面側から使用位置に保持するストッパー部材153と、ストッパー部材153の移動をガイドするスライドガイド部171、操作パネル121が使用位置に傾動した状態でストッパー部材153が係止されるストッパー係止部172を有するストッパーガイド143と、ストッパー部材153を、ストッパー係止部172に係止されるように回動付勢する付勢バネと、操作パネル121を上動させたときに、ストッパー部材153をストッパー係止部172からスライドガイド部171側に回動させる支点突起145と、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、装置本体に対しパネル体を、収納位置と前方に迫り出した使用位置との間で移動させるパネル体の傾動機構およびこれを備えた画像記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のパネル体の傾動機構として、プリンターの上面に設けた表示パネルを、手前に設けたヒンジを中心に、プリンターの上面に沿う閉じ位置(収納位置)と、閉じ位置から斜めに起立させた開き位置(使用位置)との間で回動させる表示パネルの回動機構が知られている(特許文献1参照)。
この回動機構は、基端部を表示パネルの背面中央に回動自在に連結されたスタンドと、プリンターの上面に凹設したパネル収納凹部に設けられ、スタンドの先端部が係止される複数の保持溝を有する保持部と、パネル収納凹部の両サイドに設けられ、保持部と間隙を存して対峙する一対の庇壁と、を備えている。スタンドは、ばね性を有し、基端側で表示パネルの付勢力付与部によりその回動端が位置規制されている。また、スタンドの先端部には、上側から保持溝に係止され且つ下側から庇壁に係合する摺動係合部が設けられている。
表示パネルを閉じ位置から引き起こしてゆくと、スタンドの摺動係合部が保持部と庇壁との間に入り込む。続いて、任意の位置で表示パネルの引き起こしを停止させると、摺動係合部が保持溝に係止され、表示パネルが所望の角度に保持される(開き位置)。この状態から、さらに表示パネルを引き起こすと、摺動係合部が庇壁の端部に達したところで、スタンドの回動が基部側で規制され、さらなる引き起こしによりスタンドが撓み、摺動係合部が庇壁から外れて、庇壁の上側に跳ね上げられる(係止解除)。この状態で、こんどは表示パネルを押し倒してゆくと、摺動係合部が庇壁の上面を滑るようにしてスタンドが回動し、表示パネルが閉じ位置に達する。このように、表示パネルの開き方向の回動動作により、スタンドの保持部に対する係止状態が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−163951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の回動機構(傾動機構)では、解除レバー等を必要とすることなく、表示パネル(パネル体)の保持状態を解除することができるが、表示パネルを所望の角度に引き起す保持のための動作と、保持解除のための動作とが連続する開き動作となるため、表示パネルを大きく引き起こして保持するときに、保持解除となる操作ミスが頻発する問題があった。もっとも、スタンドのばね性を強くすれば、保持解除となる直前を感覚的に把握することができる。しかし、このようにすると、保持解除動作に大きな力を要し、保持解除の操作性が悪化する問題が生ずる。
【0005】
本発明は、パネル体の保持解除動作を簡単且つ誤りなく行うことができるパネル体の傾動機構およびこれを備えた画像記録装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のパネル体の傾動機構は、上下方向に延在する支持ガイド部と支持ガイド部にスライド自在に且つ回動自在に係合する回動軸とを有し、装置本体に対しパネル体を、収納位置と収納位置から前方に迫り出した使用位置との間で傾動自在に支持するスライド支持部と、基端部をパネル体に回動自在に連結され、パネル体を背面側から使用位置に保持するストッパー部材と、パネル体の傾動に伴うストッパー部材の移動をカイドするスライドガイド部、および段部を存してスライドガイド部に連なり、パネル体が使用位置に傾動した状態でストッパー部材が係止されるストッパー係止部を有するストッパーガイドと、ストッパー部材を、ストッパー係止部に係止されるように回動付勢する付勢手段と、使用位置に移動したパネル体を支持ガイド部に沿って上動させたときに、ストッパー部材をストッパー係止部からスライドガイド部側に回動させる支点部材と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、パネル体を収納位置から使用位置に傾動させてゆくと、ストッパー部材がスライドガイド部に案内されて移動してゆく。傾動がすすみパネル体が使用位置に達すると、付勢手段に回動付勢されているストッパー部材が、スライドガイド部からストッパー係止部に入り込む。この状態で、パネル体に収納する方向の力が加わっても、ストッパー部材を介してストッパー係止部によりパネル体が支持(保持)され、使用位置におけるパネル体の姿勢が強固に維持される。一方、この状態から、パネル体を支持ガイド部に沿って上動させると、支点部材により、ストッパー部材がシーソー様に回動してストッパー係止部から離脱する。続いて、パネル体を収納位置に傾動させてゆくと、ストッパー部材はスライドガイド部上をスライドし、やがてパネル体は収納位置に達する。このように、パネル体を上動させるだけで、使用位置におけるパネル体の保持状態を簡単に解除することができる。また、この解除動作は、上動(平行移動)であって、傾動動作ではないため、解除動作を意識して行うことができる。
【0008】
この場合、パネル体の幅方向に離間してストッパーガイドが一対設けられ、一対のストッパーガイドに対応して、ストッパー部材が一対設けられていることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、パネル体を幅方向の離間した2箇所で受けることができ、パネル体を使用位置に確実且つ安定に保持することができる。この場合、一対のストッパー部材によりパネル体が背面側から支持されるため、パネル体の剛性が補強され、使用時に加わる力によりパネル体が撓むことがない。これにより、パネル体の使用感が損なわれることがない。
【0010】
この場合、一対のストッパー部材は、中間連結部を存して一体に形成されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、パネル体を使用位置に確実且つ安定に保持することができると共に、パネル体における収納位置と使用位置との間の傾動動作を円滑に行うことができる。
【0012】
また、段部を含むスライドガイド部とストッパー係止部との相互の移行部分が、面取り形状に形成されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、ストッパー部材の係止動作と解除動作を円滑に行うことができると共に、ストッパー部材の磨耗を抑制することができる。
【0014】
さらに、ストッパー係止部は、ストッパー部材の係止端が当接する度当り面と、付勢手段に抗してストッパー部材を位置規制する位置規制面と、を有し、度当り面は、ストッパー部材を介してパネル体から受ける力に、ストッパー部材を位置規制面に押圧する方向の分力を生じさせる傾斜面で構成されていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、度当り面により、パネル体から受ける力によって、ストッパー部材を位置規制面に押圧する分力を生じさせる。すなわち、パネル体に力が加わると、ストッパー係止部に係止されたストッパー部材は、スライドガイド部とは逆側に移動しようとする。このため、パネル体に力が加わっても、ストッパー部材がストッパー係止部からスライドガイド部側に離脱することがなく、パネル体を使用位置に確実に保持することができる。
【0016】
一方、ストッパーガイドは、装置本体の装置フレームに設けられていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、パネル体を使用位置に強固に保持することができると共に、ストッパーガイドとストッパー部材とを高い精度で係合させることができ、パネル体の傾動動作を円滑に行うことができる。
【0018】
この場合、装置フレームは、樹脂で構成され、ストッパーガイドは、装置フレームに一体に形成されていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、ストッパーガイドを簡単且つ精度良く形成することができ、装置コストを抑制することができる。
【0020】
また、回動軸は、パネル体に設けられ、支持ガイド部は、装置フレームに設けられていることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、パネル体を精度良く且つ強固に支持することができ、パネル体の傾動動作を円滑に行うことができる。
【0022】
同様に、支点部材は、装置フレームに設けられた突起部で構成されていることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、支点部材を簡単且つ強固に形成することができる。
【0024】
また、装置フレームに設けられ、パネル体を収納位置に位置規制する収納規制部を、更に備えることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、収納位置におけるパネル体を安定に保持することができる。
【0026】
さらに、パネル体が、装置本体の操作パネルであることが好ましい。
【0027】
この構成によれば、使用位置における操作パネルを安定に保持することができるため、移動式の操作パネルであってもその操作性を損なうことがない。
【0028】
本発明の画像記録装置は、上記したパネル体の傾動機構と、記録媒体に画像の記録を行う記録部をハウジングで覆うと共に、ハウジングの1の面に形成した開口部にパネル体を設けた装置本体と、を備えたことを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、使用位置にパネル体(操作パネル)を傾動させることにより、パネル体の操作を違和感なく行うことができ、且つ収容位置にパネル体を傾動させることにより、装置本体の大型化が抑制される。これにより、小型で操作性の良い画像記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態に係る複合機を示した外観斜視図である。
【図2】スキャナーユニットを開放状態とした際の複合機を示した斜視図である。
【図3】複合機を示した側面視断面図である。
【図4】スキャナーユニットの内部構造を示した斜視図である。
【図5】プリンターユニットの内部構造を示した側面視断面図である。
【図6】装置フレームを示した斜視図である。
【図7】操作パネルを使用位置に傾動した際の複合機を示した斜視図である。
【図8】収納時の操作部を示した裏面斜視図である。
【図9】使用時の操作部を示した裏面斜視図である。
【図10】使用時における操作部の構造を示した側面模式図である。
【図11】ストッパーフレームを示した斜視図である。
【図12】(a)は、フロントフレーム部を示した斜視図である。(b)は、フロントフレーム部を示した側面図である。
【図13】収納位置から使用位置に傾動させる引出し動作を示した遷移図である。
【図14】使用位置から収納位置に傾動させる押戻し動作を示した遷移図((a)〜(c))である。
【図15】使用位置から収納位置に傾動させる押戻し動作を示した遷移図((d)、(e))である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態に係るパネル体の傾動機構を適用した複合機1について説明する。図1は、複合機1を示した外観斜視図である。図1に示すように、複合機1は、プリンターユニット(画像記録装置)2と、プリンターユニット2の上部に配設されたアッパーユニットであるスキャナーユニット3と、を一体に備えている。なお、以下、図1においての前後方向をX軸方向とし、左右方向をY軸方向として説明する。
【0032】
図2は、スキャナーユニット3を開放状態とした複合機1を示した斜視図である。図1および図2に示すように、スキャナーユニット3は、ヒンジ部4を介してプリンターユニット2に回動自在に支持されており、プリンターユニット2の上部を開閉自在に覆っている。すなわち、スキャナーユニット3を回動方向に引き上げることで、プリンターユニット2の上面開口部10を露出させ、当該上面開口部10を介して、プリンターユニット2の内部が露出させる(開放状態:図2参照)。一方、スキャナーユニット3を回動方向に引き降ろしプリンターユニット2上に載置することで、スキャナーユニット3によって上面開口部10を閉塞する(閉塞状態:図1参照)。このように、スキャナーユニット3を開放することで、インクカートリッジ84の交換や紙詰まりの解消等が可能な構成となっている。
【0033】
図3は、複合機1を示した側面視断面図である。図2および図3に示すように、スキャナーユニット3は、筐体であるアッパーフレーム11と、アッパーフレーム11に収容された画像読取部12(図4参照)と、アッパーフレーム11の上部に回動自在に支持された上蓋13と、を備えている。
【0034】
図4は、スキャナーユニット3の内部構造を示した斜視図である。図3および図4に示すように、アッパーフレーム11は、画像読取部12を収容する箱型の下ケース16と、下ケース16の天面を覆う上ケース17と、を備えている。上ケース17には、ガラス製の原稿載置板(原稿台)21が広く配設されており、読取面を下にした読取媒体をこれに載置する。一方、下ケース16は、上面を開放した浅い箱状に形成されている。下ケース16の前部底面には、後述のセンサーキャリッジ32の移動スペースとなる許容凹部23が凹設され、後部底面には、一端が後述のセンサーユニット31に接続されたケーブル(図示省略)を収容する収容凹部25が凹設されている。
【0035】
図4に示すように、画像読取部12は、ラインセンサー方式のセンサーユニット31と、センサーユニット31を搭載したセンサーキャリッジ32と、Y軸方向に延在し、センサーキャリッジ32をスライド自在に支持するガイド軸33と、センサーキャリッジ32をガイド軸33に沿って移動する自走式のセンサー移動機構34と、を備えている。センサーユニット31は、X軸方向に延在したCCD(Charge Coupled Device)ラインセンサーであるイメージセンサー(センサー部)41を有し、モーター駆動のセンサー移動機構34により、ガイド軸33に沿ってY軸方向に往復動する。これにより、原稿載置板21上の読取部材(原稿)の画像を読み取るようになっている。
【0036】
一方、図2に示すように、プリンターユニット2は、枚葉の記録媒体(印刷用紙や単票紙)を送り経路Rに沿って送る搬送部61と、送り経路Rの上方に配設され、記録媒体にインクジェット方式で印刷処理を行う印刷部(記録部)62と、前面に配設されたパネル形式の操作部63と、搬送部61、印刷部62および操作部63を搭載した装置フレーム64と、これらを覆う装置ハウジング(ハウジング)65と、を備えている。また、図示省略するが、後面下部には、USBポートおよび電源ポートが配設されている。すなわち、複合機1は、USBポートを介してコンピューター等に接続可能に構成されている。なお、請求項にいう装置本体は、操作部63を除く、搬送部61、印刷部62、装置フレーム64および装置ハウジング65により、構成されている。
【0037】
図5は、プリンターユニット2の内部構造を示した側面視断面図である。図2および図5に示すように、印刷部62は、装置フレーム64に支持されると共にY軸方向に幅一杯に延在する板金製のガイドフレーム71と、ガイドフレーム71に往復動自在に支持されたキャリッジユニット72と、キャリッジユニット72をガイドフレーム71に沿って往復動させるキャリッジ移動機構73(図2参照)と、を備えている。そして、このキャリッジユニット72に、インクジェットヘッド83が搭載されている。
【0038】
ガイドフレーム71は、断面「C」字状に形成されており、その上下でキャリッジユニット72の係合スライダー部81aが係合する。これにより、キャリッジユニット72は、ガイドフレーム71に掛け止めされるようにして片持ちで且つ延在方向(Y軸方向)に往復動自在に、すなわちスライド自在に支持されている。キャリッジ移動機構73は、ガイドフレーム71に沿って延在するタイミングベルト76と、タイミングベルト76を架け渡した主動プーリ(図示省略)および従動プーリ78と、タイミングベルト76とキャリッジユニット72(キャリッジ81)とを連結する連結固定部(図示省略)と、主動プーリを駆動するキャリッジモーター(図示省略)と、を備えている。キャリッジモーターが正逆回転すると、タイミングベルト76を介してキャリッジユニット72がY軸方向(左右方向)に往復動する。この往復動に伴って、キャリッジユニット72のインクジェットヘッド83が吐出駆動することにより、いわゆる主走査が行われる。
【0039】
図5に示すように、キャリッジユニット72は、係合スライダー部81aを介してガイドフレーム71に往復動自在に支持された箱状のキャリッジ81と、キャリッジ81の下面に一体に組み込まれたインクジェットヘッド83と、キャリッジ81に着脱自在に収納された4個のインクカートリッジ84と、を備えている。インクジェットヘッド83は、4色のインク滴を吐出する4連のノズル列(図示省略)を有しており、4色のインクを貯留する4個のインクカートリッジ84をキャリッジ81に装着することで、インクジェットヘッド83に上側から直接接続される。インクジェットヘッド83の4つのノズル列は、相互に並行に且つX軸方向に延在し、送られる記録媒体に対し所定のペーパーギャップを存して下向きに配設されている。
【0040】
搬送部61は、記録媒体を右揃えでセットする可動式の用紙トレイ91と、用紙トレイ91から記録媒体を1枚ずつ分離して送り出す分離ローラー92と、分離ローラー92の下流側に位置し、記録媒体を送り経路Rに沿って印刷部62に送り込む給紙ローラー93と、給紙ローラー93の下流側に位置し、インクジェットヘッド83に対面する媒体規制部材(プラテンに相当する)95と、媒体規制部材95の下流側に位置する鋸歯状のガイドローラー97と、ガイドローラー97の下流側に位置し、排出口100(図2参照)から記録媒体を送り出す排紙ローラー96と、を備えている。
【0041】
給紙ローラー93は、下側の給紙駆動ローラー93aと上側の給紙従動ローラー93bとから成るニップローラーで構成され、同様に排紙ローラー96は、下側の排紙駆動ローラー96aと上側の排紙従動ローラー96bとから成るニップローラーで構成されている。また、ガイドローラー97および排紙従動ローラー96bは、装置フレーム64とは独立のローラーフレーム113に支持されて、ローラーアッセンブリー99を構成している。そして、給紙ローラー93は、記録媒体の送り(副走査)を制御するメインローラーとして機能し、排紙ローラー96は、媒体規制部材95の上側に位置する記録媒体に張力(tension)を付与するテンションローラーとして機能する。
【0042】
分離ローラー92により、用紙トレイ91から送り込まれた記録媒体は、給紙ローラー93により、媒体規制部材95上を排紙ローラー96に向かってX軸方向に間欠送りされる(副走査)。この間欠送りに同期して、キャリッジユニット72がX軸方向に往復動しながらインクを選択的に吐出して(主走査)、所望の印刷が行われる。一方、媒体規制部材95を越えてガイドローラー97に達した記録媒体の先端は、ガイドローラー97により上反り状態を矯正されるようにして、排紙ローラー96に送り込まれる。このようにして、印刷が完了した記録媒体は、排紙ローラー96により、排出口100から前方に送り出される。
【0043】
図6は、装置フレーム64を示した斜視図である。図6に示すように、装置フレーム64は、プリンターユニット2の各部を支持するフレームであり、一体成形された樹脂で構成されている。具体的には、装置フレーム64は、ベースフレーム部64aと、ベースフレーム部64aに立設され、搬送部61の各構成部材およびガイドフレーム71を両側で支持する左右一対のサイドフレーム部64bと、ベースフレーム部64aの前部において、スキャナーユニット3の前部の支持を補強すると共に操作部63を支持する左右一対のフロントフレーム部64cと、ベースフレーム部64aの後部において、ヒンジ部4を介してプリンターユニット2を開閉自在に支持する左右一対のリアフレーム部64dと、を備えている。
【0044】
一対のフロントフレーム部64cは、スキャナーユニット3の前部を支持した装置ハウジング65の上プレートを下側から受けると共に、操作部63を両持ちで支持する。そして、一対のフロントフレーム部64cには、操作部63を構成する操作パネル121(後述する)が、傾動自在に支持されている。
【0045】
次に図1、図7ないし図15を参照して、操作部63について詳細に説明する。図7は、操作パネル121を使用位置に傾動した際の複合機1を示した斜視図である。図8は、収納時の操作部63を示した裏面斜視図である。図9は、使用時の操作部63を示した裏面斜視図である。図1、図7ないし図9に示すように、操作部63は、装置ハウジング65の前面に形成した開口部110に配設されており、操作パネル(パネル体)121と、操作パネル121を、装置ハウジング65と面一となる収納位置(図1参照)と、収納位置から前方に迫り出すように傾動した使用位置(図7参照)との間で傾動自在に支持するチルト機構(傾動機構)122と、を備えている。ユーザーが、操作パネル121を把持し収納位置から引き出すと、操作パネル121がチルト機構122にガイドされて、使用位置に傾動する。使用位置では、チルト機構122により、操作パネル121の使用姿勢が維持される。一方、操作パネル121を使用位置から使用姿勢を解除しつつ押し戻すと、操作パネル121がチルト機構122にガイドされて、収納位置に傾動する。
【0046】
図1および図7に示すように、操作パネル121は、表面に、起動ボタン、リセットボタンおよび選択ボタン等のボタン群123と、設定情報等を表示する液晶表示部124と、を配したパネル体で構成されており、プリンターユニット2のみならず、スキャナーユニット3も操作可能に構成されている。なお、液晶表示部124は、必ずしも必要としない。
【0047】
図10は、使用時における操作部63の構造を示した側面模式図である。図8ないし図10に示すように、チルト機構122は、上記の両フロントフレーム部64cに一体に形成した部材と、操作パネル121に一体に形成され、或いは取り付けられた部材で構成されている。すなわち、チルト機構122は、操作パネル121を、その上部において両持ちで且つ傾動自在に支持するスライド支持部141と、基端部を操作パネル121に回動自在に連結され、操作パネル121を背面側から使用位置に保持するストッパーフレーム142と、両フロントフレーム部64cに形成され、ストッパーフレーム142がガイド・係止される一対のストッパーガイド143と、ストッパーフレーム142を、その基端部で上方に回動付勢する付勢バネ(付勢手段)144と、一対のフロントフレーム部64cに形成され、ストッパーフレーム142に上側から接触してシーソー様に回動させる一対の支点突起(支点部材)145と、操作パネル121の収納時にクリック感を出すクリック部146と、を備えている。
【0048】
スライド支持部141は、操作パネル121の傾動支部となる部分であり、操作パネル121の上部から左右に突出して取り付けられた一対の回動軸151と、両フロントフレーム部64cに形成され、一対の回動軸151をそれぞれスライド自在且つ回転自在に支持する一対のトラック孔(支持ガイド部)152と、を備えている。各トラック孔152は、若干前下がりに傾いて上下方向に延在する長孔で形成されている。すなわち、各トラック孔152は、複合機1の上後方から下前方に各回動軸151を回転自在且つスライド自在にガイドする。これにより、操作パネル121は、収納位置における起立姿勢と、前方の使用位置における傾斜姿勢をとることとなる。
【0049】
図11は、ストッパーフレーム142を示した斜視図である。図11に示すように、ストッパーフレーム142は、操作パネル121の幅方向に離間し、各ストッパーガイド143に対応して係合する左右一対のストッパー部材153と、一対のストッパー部材153を連結する中間連結部材(中間連結部)156と、を有し、一体に形成されている。一対のストッパー部材153および中間連結部材156の基端部には、幅方向に並列した複数の回動連結部154が形成されている。各回動連結部154は、軸部154aを有し、当該軸部154aを、操作パネル121の背面に形成された「C」字状の各係合部121a(図8参照)に係合させることで、ストッパーフレーム142が操作パネル121に回動自在に連結される。また、一対のストッパー部材153および中間連結部材156には、縦横に延在する複数の補強リブ155が形成されている。
【0050】
各ストッパー部材153には、その側端面に突出し、ストッパーガイド143に係合するスライド突起161と、その先端部において下方に突出した抜止め突起162と、が形成されている。各スライド突起161の先端部には、上面側に形成され且つスライド突起161の長手方向に延在すると共に、後述の位置規制面182に当接する被規制面163と、スライド突起161の先端面で且つ被規制面163に対し鋭角を成す傾斜面であり、後述の度当り面181に当接する被度当り面(係止端)164と、を有している。被規制面163は、上側(位置規制面182側)で第1に突き当たるよう、他の部分から突出して形成されている。また、スライド突起161の後端部下面側には、被規制面163に対し並行に延在し、後述の下ガイド面185が摺接する被ガイド面165が形成されている。そして、スライド突起161は、ストッパーガイド143に対しスライド自在に係合する一方、抜止め突起162は、操作パネル121が最大傾動姿勢に傾動した状態で後述の規制突起173に当接する。
【0051】
図10に示すように、付勢バネ144は、ストッパーフレーム142を、その基端部において、上方、すなわち、後述のストッパーガイド143の位置規制面182側に常時回動付勢している。具体的には、幅方向両端に配設された2つの回動連結部154に配設した2つのねじりバネ158で構成されており、一端を操作パネル121に、他端をストッパーフレーム142に係止されている。
【0052】
図12(a)は、フロントフレーム部64cを示した斜視図である。図12(b)は、フロントフレーム部64cを示した側面図である。図12に示すように、各ストッパーガイド143は、各フロントフレーム部64cの内側に突出して一体に形成されている。各ストッパーガイド143は、若干前下がり傾いて前後方向に延在し、スライド突起161と係合するスライドガイド部171と、上方への段部170を存してスライドガイド部171に連なると共に、操作パネル121が使用位置に移動した際にスライド突起161を係止するストッパー係止部172と、スライドガイド部171およびストッパー係止部172の下方に配設され、最大傾動状態において抜止め突起162が突き当たる規制突起173と、を備えている。スライドガイド部171により、各スライド突起161を介して、各ストッパー部材153をガイドすると共に、操作パネル121の使用時に、ストッパー係止部172により、各スライド突起161を介して、各ストッパー部材153を係止する。
【0053】
ストッパー係止部172は、スライド突起161の被度当り面164が当接する度当り面181と、スライド突起161の被規制面163が当接し、付勢バネ144に抗してスライド突起161(ストッパー部材153)を位置規制する位置規制面182と、を有している。度当り面181は、ストッパー部材153を介して操作パネル121から受ける力(スライド突起161の先端方向への力)に対し、ストッパー部材153を位置規制面182側に押圧する方向の分力を生じさせる傾斜面で構成されている。すなわち、度当り面181は、位置規制面182に対し鋭角を成している。操作パネル121が使用位置に位置した際、スライド突起161の被度当り面164および被規制面163が、ストッパー係止部172の度当り面181および位置規制面182に当接することで、ストッパー部材153を介して、操作パネル121の使用姿勢(傾動姿勢)が維持される。すなわち、ストッパー部材153およびストッパー係止部172により、操作パネル121の使用姿勢を保持する。なお、被度当り面164および被規制面163は、度当り面181および位置規制面182に倣う角度に形成されている。
【0054】
スライドガイド部171は、後端部に位置し、スライド突起161の被度当り面164が当接する傾斜面である度当り面183と、スライド突起161の被規制面163を当接させて上面をガイドする上ガイド面184と、スライド突起161の被ガイド面165を当接させて下面をガイドする下ガイド面185と、を有している。スライドガイド部171の度当り面183および上ガイド面184は、ストッパー係止部172の度当り面181および位置規制面182に倣う角度で形成されている。
【0055】
また、段部170を含むスライドガイド部171とストッパー係止部172との相互の移行部分は、面取り形状に形成されている。すなわち、スライド突起161が、スライドガイド部171とストッパー係止部172との間を円滑に移動するように形成されている。
【0056】
図10に示すように、クリック部146は、操作パネル121の左右端から後方に延在し、それぞれ一対のクリック突起191aを有するクリック板191と、一対のフロントフレーム部64cに形成され、一対のクリック突起191aが軽くクリック係合するクリック穴(位置規制部)192と、クリック穴192からクリック突起191aの移動軌跡に倣って延在して形成され、クリック突起191aが摺接する摺接溝193と、を備えている。クリック突起191aが、クリック穴192に落ち込むように嵌合することで、クリック感を奏すると共に操作パネル121を収納位置に位置規制している。なお、クリック穴192の位置規制を越えて、操作パネル121が押される場合には、スライド突起161がスライドガイド部171の度当り面183に当接して、操作パネル121が位置規制される。
【0057】
図10および図12に示すように、各支点突起145は、各フロントフレーム部64cの内側に突出した突起部で構成されており、操作パネル121とストッパーガイド143との間で且つスライド突起161の上側に形成されている。各支点突起145は、スライド突起161側(下側)に突出すると共に、スライド突起161が下側から当接する支点当接部194を有している。すなわち、スライド支持部141にガイドさせて、操作パネル121が上方に移動させると、これに伴って、ストッパー部材153が基端側から上動するが、この際、スライド突起161の前後中間位置が支点当接部194に下側から当接する。そして、さらにストッパー部材153の基端側が上動すると、スライド突起161(ストッパー部材153)を、支点当接部194を支点にシーソー様(梃子状)に回動させる。詳細は後述するが、この回動によって、各スライド突起161の先端部が下方に移動し、各ストッパー係止部172から外れ、解除される。
【0058】
ここで図13ないし図15を参照して傾動動作について説明する。図13は、収納位置から使用位置に傾動させる引出し動作を示した遷移図である。図14および図15は、使用位置から収納位置に傾動させる押戻し動作を示した遷移図である。まず、図13を参照して、引出し動作について説明する。図13に示すように、操作パネル121が収納位置に位置する際には、各回動軸151が各トラック孔152の上端位置に位置し、各スライド突起161が各スライドガイド部171の後端部に位置している(図13(a)参照)。この状態から、ユーザーが操作パネル121を把持し引き出し始めると、各回動軸151がトラック孔152にガイドされて、下前方に移動する。これに伴って、操作パネル121の上部が下前方に移動する。加えて、各スライド突起161が各スライドガイド部171にガイドされて、各ストッパー部材153が前方に移動する。これに伴って、操作パネル121が背面から押され、各回動軸151を中心に回動する(図13(b)参照)。
【0059】
ユーザーによる引き出しが進むと、各回動軸151が各トラック孔152の下端部に移動する。一方、スライド突起161が段部170を超えてスライドガイド部171からストッパー係止部172に移動し、度当り面181に当接して、ストッパー係止部172に係止される(図13(c)参照)。これらに伴って、操作パネル121が使用位置に移動する。この際、スライド突起161をストッパー係止部172が係止して、操作パネル121を使用姿勢で保持する。そのため、ボタン群123を押下した際の押圧力等によって、操作パネル121が収納側に押し戻されることがない。
【0060】
次に、図14および図15を参照して、押戻し動作について説明する。押戻し動作では、操作パネル121が使用位置に位置した状態(図14(a)参照)から、まず、操作パネル121の使用姿勢の保持を解除する解除動作を行う。具体的には、ユーザーが操作パネル121を把持し、これを上動する。これによって、各回動軸151が各トラック孔152にガイドされて上方に移動する。一方、操作パネル121が上方に移動すると、これに伴って、各ストッパー部材153が基端側から上方に移動し、各スライド突起161の上面が各支点突起145の支点当接部194に当接する。操作パネル121が更に上方移動すると、各支点当接部194を支点として、各ストッパー部材153がシーソー様に回動する。これに伴って、各スライド突起161の先端部が各ストッパー係止部172から下方に離脱し、操作パネル121の使用姿勢の保持が解除される(図14(b)参照)。
【0061】
その後、ユーザーが操作パネル121を押すと、各回動軸151が各トラック孔152にガイドされて、各トラック孔152上を進行し、一方、各スライド突起161が各スライドガイド部171にガイドされ、各ストッパー部材153が前進していく((図14(c)および図15(d)参照)。ユーザーによる押し込みが進むと、各回動軸151がトラック孔152の上端部に到達すると共に、スライド突起161がスライドガイド部171の後端部に到達する。これに伴って、操作パネル121が収納位置に移動する(図15(e)参照)。
【0062】
以上の構成によれば、操作パネル121を上動させるだけで、使用位置におけるパネル体の保持状態を簡単に解除することができる。また、この解除動作は、上動(平行移動)であって、傾動動作ではないため、解除動作を意識して行うことができる。
【0063】
また、幅方向に離間した一対のストッパーガイド143と、これに対応する一対のストッパー部材153とを有することにより、操作パネル121を幅方向の離間した2箇所で受けることができ、操作パネル121を使用位置に確実且つ安定に保持することができる。この場合、一対のストッパー部材153により操作パネル121が背面側から支持されるため、操作パネル121の剛性が補強され、使用時に加わる力により操作パネル121が撓むことがない。これにより、操作パネル121の使用感が損なわれることがない。
【0064】
さらに、一対のストッパー部材153は、中間連結部材156を存して一体に形成されていることにより、操作パネル121を使用位置に確実且つ安定に保持することができると共に、操作パネル121における収納位置と使用位置との間の傾動動作を円滑に行うことができる。
【0065】
またさらに、段部170を含むスライドガイド部171とストッパー係止部172との相互の移行部分が、面取り形状に形成されているため、ストッパー部材153の係止動作と解除動作を円滑に行うことができると共に、ストッパー部材153の磨耗を抑制することができる。
【0066】
さらに、ストッパー係止部172が上記度当り面181を有することで、度当り面181により、操作パネル121から受ける力によって、ストッパー部材153を位置規制面182に押圧する分力を生じさせるため、操作パネル121に力が加わると、ストッパー係止部172に係止されたストッパー部材153は、スライドガイド部171とは逆側に移動しようとする。このため、操作パネル121に力が加わっても、ストッパー部材153がストッパー係止部172からスライドガイド部171側に離脱することがなく、操作パネル121を使用位置に確実に保持することができる。
【0067】
また、ストッパーガイド143を、プリンターユニット2の装置フレーム64に設けることにより、操作パネル121を使用位置に強固に保持することができると共に、ストッパーガイド143とストッパー部材153とを高い精度で係合させることができ、操作パネル121の傾動動作を円滑に行うことができる。
【0068】
さらに、装置フレーム64は、樹脂で構成され、ストッパーガイド143を、装置フレーム64に一体に形成することにより、ストッパーガイド143を簡単且つ精度良く形成することができ、装置コストを抑制することができる。
【0069】
またさらに、回動軸151を、操作パネル121に設け、トラック孔152を、装置フレーム64に設けることにより、操作パネル121を精度良く且つ強固に支持することができ、操作パネル121の傾動動作を円滑に行うことができる。
【0070】
また、支点突起145を、装置フレーム64に設けられた突起部で構成することにより、支点突起145を簡単且つ強固に形成することができる。
【0071】
さらに、操作パネル121を収納位置に位置規制するクリック穴192を設けることで、収納位置におけるパネル体を安定に保持することができる。
【0072】
なお、本実施形態においては、ストッパー部材153およびストッパーガイド143を一対配設する構成であったが、これらを1個のみ配設する構成であっても良い。かかる場合、操作パネル121の中央にこれらを配設することが好ましい。
【0073】
また、本実施形態においては、回動軸151を操作パネル121側に設け、トラック孔152を、装置フレーム64側に設ける構成であったが、逆に、回動軸151を装置フレーム64側に設け、トラック孔152を操作パネル121側に設ける構成であっても良い。
【0074】
さらに、本実施形態においては、ストッパーガイド143を装置フレーム64と一体に形成する構成であったが、装置フレーム64とは別体のストッパーガイド143を用いるものであっても良い。
【符号の説明】
【0075】
2:プリンターユニット、 61:搬送部、 62:印刷部、 64:装置フレーム、 65:装置ハウジング、 110:開口部、 121:操作パネル、 122:チルト機構、 141:スライド支持部、 143:ストッパーガイド、 145:支点突起、 151:回動軸、 152:トラック孔、 153:ストッパー部材、 156:中間連結部材、 164:被度当り面、 170:段部、 171:スライドガイド部、 172:ストッパー係止部、 181:度当り面、 182:位置規制面、 192:クリック穴
【技術分野】
【0001】
本願発明は、装置本体に対しパネル体を、収納位置と前方に迫り出した使用位置との間で移動させるパネル体の傾動機構およびこれを備えた画像記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のパネル体の傾動機構として、プリンターの上面に設けた表示パネルを、手前に設けたヒンジを中心に、プリンターの上面に沿う閉じ位置(収納位置)と、閉じ位置から斜めに起立させた開き位置(使用位置)との間で回動させる表示パネルの回動機構が知られている(特許文献1参照)。
この回動機構は、基端部を表示パネルの背面中央に回動自在に連結されたスタンドと、プリンターの上面に凹設したパネル収納凹部に設けられ、スタンドの先端部が係止される複数の保持溝を有する保持部と、パネル収納凹部の両サイドに設けられ、保持部と間隙を存して対峙する一対の庇壁と、を備えている。スタンドは、ばね性を有し、基端側で表示パネルの付勢力付与部によりその回動端が位置規制されている。また、スタンドの先端部には、上側から保持溝に係止され且つ下側から庇壁に係合する摺動係合部が設けられている。
表示パネルを閉じ位置から引き起こしてゆくと、スタンドの摺動係合部が保持部と庇壁との間に入り込む。続いて、任意の位置で表示パネルの引き起こしを停止させると、摺動係合部が保持溝に係止され、表示パネルが所望の角度に保持される(開き位置)。この状態から、さらに表示パネルを引き起こすと、摺動係合部が庇壁の端部に達したところで、スタンドの回動が基部側で規制され、さらなる引き起こしによりスタンドが撓み、摺動係合部が庇壁から外れて、庇壁の上側に跳ね上げられる(係止解除)。この状態で、こんどは表示パネルを押し倒してゆくと、摺動係合部が庇壁の上面を滑るようにしてスタンドが回動し、表示パネルが閉じ位置に達する。このように、表示パネルの開き方向の回動動作により、スタンドの保持部に対する係止状態が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−163951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の回動機構(傾動機構)では、解除レバー等を必要とすることなく、表示パネル(パネル体)の保持状態を解除することができるが、表示パネルを所望の角度に引き起す保持のための動作と、保持解除のための動作とが連続する開き動作となるため、表示パネルを大きく引き起こして保持するときに、保持解除となる操作ミスが頻発する問題があった。もっとも、スタンドのばね性を強くすれば、保持解除となる直前を感覚的に把握することができる。しかし、このようにすると、保持解除動作に大きな力を要し、保持解除の操作性が悪化する問題が生ずる。
【0005】
本発明は、パネル体の保持解除動作を簡単且つ誤りなく行うことができるパネル体の傾動機構およびこれを備えた画像記録装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のパネル体の傾動機構は、上下方向に延在する支持ガイド部と支持ガイド部にスライド自在に且つ回動自在に係合する回動軸とを有し、装置本体に対しパネル体を、収納位置と収納位置から前方に迫り出した使用位置との間で傾動自在に支持するスライド支持部と、基端部をパネル体に回動自在に連結され、パネル体を背面側から使用位置に保持するストッパー部材と、パネル体の傾動に伴うストッパー部材の移動をカイドするスライドガイド部、および段部を存してスライドガイド部に連なり、パネル体が使用位置に傾動した状態でストッパー部材が係止されるストッパー係止部を有するストッパーガイドと、ストッパー部材を、ストッパー係止部に係止されるように回動付勢する付勢手段と、使用位置に移動したパネル体を支持ガイド部に沿って上動させたときに、ストッパー部材をストッパー係止部からスライドガイド部側に回動させる支点部材と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、パネル体を収納位置から使用位置に傾動させてゆくと、ストッパー部材がスライドガイド部に案内されて移動してゆく。傾動がすすみパネル体が使用位置に達すると、付勢手段に回動付勢されているストッパー部材が、スライドガイド部からストッパー係止部に入り込む。この状態で、パネル体に収納する方向の力が加わっても、ストッパー部材を介してストッパー係止部によりパネル体が支持(保持)され、使用位置におけるパネル体の姿勢が強固に維持される。一方、この状態から、パネル体を支持ガイド部に沿って上動させると、支点部材により、ストッパー部材がシーソー様に回動してストッパー係止部から離脱する。続いて、パネル体を収納位置に傾動させてゆくと、ストッパー部材はスライドガイド部上をスライドし、やがてパネル体は収納位置に達する。このように、パネル体を上動させるだけで、使用位置におけるパネル体の保持状態を簡単に解除することができる。また、この解除動作は、上動(平行移動)であって、傾動動作ではないため、解除動作を意識して行うことができる。
【0008】
この場合、パネル体の幅方向に離間してストッパーガイドが一対設けられ、一対のストッパーガイドに対応して、ストッパー部材が一対設けられていることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、パネル体を幅方向の離間した2箇所で受けることができ、パネル体を使用位置に確実且つ安定に保持することができる。この場合、一対のストッパー部材によりパネル体が背面側から支持されるため、パネル体の剛性が補強され、使用時に加わる力によりパネル体が撓むことがない。これにより、パネル体の使用感が損なわれることがない。
【0010】
この場合、一対のストッパー部材は、中間連結部を存して一体に形成されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、パネル体を使用位置に確実且つ安定に保持することができると共に、パネル体における収納位置と使用位置との間の傾動動作を円滑に行うことができる。
【0012】
また、段部を含むスライドガイド部とストッパー係止部との相互の移行部分が、面取り形状に形成されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、ストッパー部材の係止動作と解除動作を円滑に行うことができると共に、ストッパー部材の磨耗を抑制することができる。
【0014】
さらに、ストッパー係止部は、ストッパー部材の係止端が当接する度当り面と、付勢手段に抗してストッパー部材を位置規制する位置規制面と、を有し、度当り面は、ストッパー部材を介してパネル体から受ける力に、ストッパー部材を位置規制面に押圧する方向の分力を生じさせる傾斜面で構成されていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、度当り面により、パネル体から受ける力によって、ストッパー部材を位置規制面に押圧する分力を生じさせる。すなわち、パネル体に力が加わると、ストッパー係止部に係止されたストッパー部材は、スライドガイド部とは逆側に移動しようとする。このため、パネル体に力が加わっても、ストッパー部材がストッパー係止部からスライドガイド部側に離脱することがなく、パネル体を使用位置に確実に保持することができる。
【0016】
一方、ストッパーガイドは、装置本体の装置フレームに設けられていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、パネル体を使用位置に強固に保持することができると共に、ストッパーガイドとストッパー部材とを高い精度で係合させることができ、パネル体の傾動動作を円滑に行うことができる。
【0018】
この場合、装置フレームは、樹脂で構成され、ストッパーガイドは、装置フレームに一体に形成されていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、ストッパーガイドを簡単且つ精度良く形成することができ、装置コストを抑制することができる。
【0020】
また、回動軸は、パネル体に設けられ、支持ガイド部は、装置フレームに設けられていることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、パネル体を精度良く且つ強固に支持することができ、パネル体の傾動動作を円滑に行うことができる。
【0022】
同様に、支点部材は、装置フレームに設けられた突起部で構成されていることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、支点部材を簡単且つ強固に形成することができる。
【0024】
また、装置フレームに設けられ、パネル体を収納位置に位置規制する収納規制部を、更に備えることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、収納位置におけるパネル体を安定に保持することができる。
【0026】
さらに、パネル体が、装置本体の操作パネルであることが好ましい。
【0027】
この構成によれば、使用位置における操作パネルを安定に保持することができるため、移動式の操作パネルであってもその操作性を損なうことがない。
【0028】
本発明の画像記録装置は、上記したパネル体の傾動機構と、記録媒体に画像の記録を行う記録部をハウジングで覆うと共に、ハウジングの1の面に形成した開口部にパネル体を設けた装置本体と、を備えたことを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、使用位置にパネル体(操作パネル)を傾動させることにより、パネル体の操作を違和感なく行うことができ、且つ収容位置にパネル体を傾動させることにより、装置本体の大型化が抑制される。これにより、小型で操作性の良い画像記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態に係る複合機を示した外観斜視図である。
【図2】スキャナーユニットを開放状態とした際の複合機を示した斜視図である。
【図3】複合機を示した側面視断面図である。
【図4】スキャナーユニットの内部構造を示した斜視図である。
【図5】プリンターユニットの内部構造を示した側面視断面図である。
【図6】装置フレームを示した斜視図である。
【図7】操作パネルを使用位置に傾動した際の複合機を示した斜視図である。
【図8】収納時の操作部を示した裏面斜視図である。
【図9】使用時の操作部を示した裏面斜視図である。
【図10】使用時における操作部の構造を示した側面模式図である。
【図11】ストッパーフレームを示した斜視図である。
【図12】(a)は、フロントフレーム部を示した斜視図である。(b)は、フロントフレーム部を示した側面図である。
【図13】収納位置から使用位置に傾動させる引出し動作を示した遷移図である。
【図14】使用位置から収納位置に傾動させる押戻し動作を示した遷移図((a)〜(c))である。
【図15】使用位置から収納位置に傾動させる押戻し動作を示した遷移図((d)、(e))である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態に係るパネル体の傾動機構を適用した複合機1について説明する。図1は、複合機1を示した外観斜視図である。図1に示すように、複合機1は、プリンターユニット(画像記録装置)2と、プリンターユニット2の上部に配設されたアッパーユニットであるスキャナーユニット3と、を一体に備えている。なお、以下、図1においての前後方向をX軸方向とし、左右方向をY軸方向として説明する。
【0032】
図2は、スキャナーユニット3を開放状態とした複合機1を示した斜視図である。図1および図2に示すように、スキャナーユニット3は、ヒンジ部4を介してプリンターユニット2に回動自在に支持されており、プリンターユニット2の上部を開閉自在に覆っている。すなわち、スキャナーユニット3を回動方向に引き上げることで、プリンターユニット2の上面開口部10を露出させ、当該上面開口部10を介して、プリンターユニット2の内部が露出させる(開放状態:図2参照)。一方、スキャナーユニット3を回動方向に引き降ろしプリンターユニット2上に載置することで、スキャナーユニット3によって上面開口部10を閉塞する(閉塞状態:図1参照)。このように、スキャナーユニット3を開放することで、インクカートリッジ84の交換や紙詰まりの解消等が可能な構成となっている。
【0033】
図3は、複合機1を示した側面視断面図である。図2および図3に示すように、スキャナーユニット3は、筐体であるアッパーフレーム11と、アッパーフレーム11に収容された画像読取部12(図4参照)と、アッパーフレーム11の上部に回動自在に支持された上蓋13と、を備えている。
【0034】
図4は、スキャナーユニット3の内部構造を示した斜視図である。図3および図4に示すように、アッパーフレーム11は、画像読取部12を収容する箱型の下ケース16と、下ケース16の天面を覆う上ケース17と、を備えている。上ケース17には、ガラス製の原稿載置板(原稿台)21が広く配設されており、読取面を下にした読取媒体をこれに載置する。一方、下ケース16は、上面を開放した浅い箱状に形成されている。下ケース16の前部底面には、後述のセンサーキャリッジ32の移動スペースとなる許容凹部23が凹設され、後部底面には、一端が後述のセンサーユニット31に接続されたケーブル(図示省略)を収容する収容凹部25が凹設されている。
【0035】
図4に示すように、画像読取部12は、ラインセンサー方式のセンサーユニット31と、センサーユニット31を搭載したセンサーキャリッジ32と、Y軸方向に延在し、センサーキャリッジ32をスライド自在に支持するガイド軸33と、センサーキャリッジ32をガイド軸33に沿って移動する自走式のセンサー移動機構34と、を備えている。センサーユニット31は、X軸方向に延在したCCD(Charge Coupled Device)ラインセンサーであるイメージセンサー(センサー部)41を有し、モーター駆動のセンサー移動機構34により、ガイド軸33に沿ってY軸方向に往復動する。これにより、原稿載置板21上の読取部材(原稿)の画像を読み取るようになっている。
【0036】
一方、図2に示すように、プリンターユニット2は、枚葉の記録媒体(印刷用紙や単票紙)を送り経路Rに沿って送る搬送部61と、送り経路Rの上方に配設され、記録媒体にインクジェット方式で印刷処理を行う印刷部(記録部)62と、前面に配設されたパネル形式の操作部63と、搬送部61、印刷部62および操作部63を搭載した装置フレーム64と、これらを覆う装置ハウジング(ハウジング)65と、を備えている。また、図示省略するが、後面下部には、USBポートおよび電源ポートが配設されている。すなわち、複合機1は、USBポートを介してコンピューター等に接続可能に構成されている。なお、請求項にいう装置本体は、操作部63を除く、搬送部61、印刷部62、装置フレーム64および装置ハウジング65により、構成されている。
【0037】
図5は、プリンターユニット2の内部構造を示した側面視断面図である。図2および図5に示すように、印刷部62は、装置フレーム64に支持されると共にY軸方向に幅一杯に延在する板金製のガイドフレーム71と、ガイドフレーム71に往復動自在に支持されたキャリッジユニット72と、キャリッジユニット72をガイドフレーム71に沿って往復動させるキャリッジ移動機構73(図2参照)と、を備えている。そして、このキャリッジユニット72に、インクジェットヘッド83が搭載されている。
【0038】
ガイドフレーム71は、断面「C」字状に形成されており、その上下でキャリッジユニット72の係合スライダー部81aが係合する。これにより、キャリッジユニット72は、ガイドフレーム71に掛け止めされるようにして片持ちで且つ延在方向(Y軸方向)に往復動自在に、すなわちスライド自在に支持されている。キャリッジ移動機構73は、ガイドフレーム71に沿って延在するタイミングベルト76と、タイミングベルト76を架け渡した主動プーリ(図示省略)および従動プーリ78と、タイミングベルト76とキャリッジユニット72(キャリッジ81)とを連結する連結固定部(図示省略)と、主動プーリを駆動するキャリッジモーター(図示省略)と、を備えている。キャリッジモーターが正逆回転すると、タイミングベルト76を介してキャリッジユニット72がY軸方向(左右方向)に往復動する。この往復動に伴って、キャリッジユニット72のインクジェットヘッド83が吐出駆動することにより、いわゆる主走査が行われる。
【0039】
図5に示すように、キャリッジユニット72は、係合スライダー部81aを介してガイドフレーム71に往復動自在に支持された箱状のキャリッジ81と、キャリッジ81の下面に一体に組み込まれたインクジェットヘッド83と、キャリッジ81に着脱自在に収納された4個のインクカートリッジ84と、を備えている。インクジェットヘッド83は、4色のインク滴を吐出する4連のノズル列(図示省略)を有しており、4色のインクを貯留する4個のインクカートリッジ84をキャリッジ81に装着することで、インクジェットヘッド83に上側から直接接続される。インクジェットヘッド83の4つのノズル列は、相互に並行に且つX軸方向に延在し、送られる記録媒体に対し所定のペーパーギャップを存して下向きに配設されている。
【0040】
搬送部61は、記録媒体を右揃えでセットする可動式の用紙トレイ91と、用紙トレイ91から記録媒体を1枚ずつ分離して送り出す分離ローラー92と、分離ローラー92の下流側に位置し、記録媒体を送り経路Rに沿って印刷部62に送り込む給紙ローラー93と、給紙ローラー93の下流側に位置し、インクジェットヘッド83に対面する媒体規制部材(プラテンに相当する)95と、媒体規制部材95の下流側に位置する鋸歯状のガイドローラー97と、ガイドローラー97の下流側に位置し、排出口100(図2参照)から記録媒体を送り出す排紙ローラー96と、を備えている。
【0041】
給紙ローラー93は、下側の給紙駆動ローラー93aと上側の給紙従動ローラー93bとから成るニップローラーで構成され、同様に排紙ローラー96は、下側の排紙駆動ローラー96aと上側の排紙従動ローラー96bとから成るニップローラーで構成されている。また、ガイドローラー97および排紙従動ローラー96bは、装置フレーム64とは独立のローラーフレーム113に支持されて、ローラーアッセンブリー99を構成している。そして、給紙ローラー93は、記録媒体の送り(副走査)を制御するメインローラーとして機能し、排紙ローラー96は、媒体規制部材95の上側に位置する記録媒体に張力(tension)を付与するテンションローラーとして機能する。
【0042】
分離ローラー92により、用紙トレイ91から送り込まれた記録媒体は、給紙ローラー93により、媒体規制部材95上を排紙ローラー96に向かってX軸方向に間欠送りされる(副走査)。この間欠送りに同期して、キャリッジユニット72がX軸方向に往復動しながらインクを選択的に吐出して(主走査)、所望の印刷が行われる。一方、媒体規制部材95を越えてガイドローラー97に達した記録媒体の先端は、ガイドローラー97により上反り状態を矯正されるようにして、排紙ローラー96に送り込まれる。このようにして、印刷が完了した記録媒体は、排紙ローラー96により、排出口100から前方に送り出される。
【0043】
図6は、装置フレーム64を示した斜視図である。図6に示すように、装置フレーム64は、プリンターユニット2の各部を支持するフレームであり、一体成形された樹脂で構成されている。具体的には、装置フレーム64は、ベースフレーム部64aと、ベースフレーム部64aに立設され、搬送部61の各構成部材およびガイドフレーム71を両側で支持する左右一対のサイドフレーム部64bと、ベースフレーム部64aの前部において、スキャナーユニット3の前部の支持を補強すると共に操作部63を支持する左右一対のフロントフレーム部64cと、ベースフレーム部64aの後部において、ヒンジ部4を介してプリンターユニット2を開閉自在に支持する左右一対のリアフレーム部64dと、を備えている。
【0044】
一対のフロントフレーム部64cは、スキャナーユニット3の前部を支持した装置ハウジング65の上プレートを下側から受けると共に、操作部63を両持ちで支持する。そして、一対のフロントフレーム部64cには、操作部63を構成する操作パネル121(後述する)が、傾動自在に支持されている。
【0045】
次に図1、図7ないし図15を参照して、操作部63について詳細に説明する。図7は、操作パネル121を使用位置に傾動した際の複合機1を示した斜視図である。図8は、収納時の操作部63を示した裏面斜視図である。図9は、使用時の操作部63を示した裏面斜視図である。図1、図7ないし図9に示すように、操作部63は、装置ハウジング65の前面に形成した開口部110に配設されており、操作パネル(パネル体)121と、操作パネル121を、装置ハウジング65と面一となる収納位置(図1参照)と、収納位置から前方に迫り出すように傾動した使用位置(図7参照)との間で傾動自在に支持するチルト機構(傾動機構)122と、を備えている。ユーザーが、操作パネル121を把持し収納位置から引き出すと、操作パネル121がチルト機構122にガイドされて、使用位置に傾動する。使用位置では、チルト機構122により、操作パネル121の使用姿勢が維持される。一方、操作パネル121を使用位置から使用姿勢を解除しつつ押し戻すと、操作パネル121がチルト機構122にガイドされて、収納位置に傾動する。
【0046】
図1および図7に示すように、操作パネル121は、表面に、起動ボタン、リセットボタンおよび選択ボタン等のボタン群123と、設定情報等を表示する液晶表示部124と、を配したパネル体で構成されており、プリンターユニット2のみならず、スキャナーユニット3も操作可能に構成されている。なお、液晶表示部124は、必ずしも必要としない。
【0047】
図10は、使用時における操作部63の構造を示した側面模式図である。図8ないし図10に示すように、チルト機構122は、上記の両フロントフレーム部64cに一体に形成した部材と、操作パネル121に一体に形成され、或いは取り付けられた部材で構成されている。すなわち、チルト機構122は、操作パネル121を、その上部において両持ちで且つ傾動自在に支持するスライド支持部141と、基端部を操作パネル121に回動自在に連結され、操作パネル121を背面側から使用位置に保持するストッパーフレーム142と、両フロントフレーム部64cに形成され、ストッパーフレーム142がガイド・係止される一対のストッパーガイド143と、ストッパーフレーム142を、その基端部で上方に回動付勢する付勢バネ(付勢手段)144と、一対のフロントフレーム部64cに形成され、ストッパーフレーム142に上側から接触してシーソー様に回動させる一対の支点突起(支点部材)145と、操作パネル121の収納時にクリック感を出すクリック部146と、を備えている。
【0048】
スライド支持部141は、操作パネル121の傾動支部となる部分であり、操作パネル121の上部から左右に突出して取り付けられた一対の回動軸151と、両フロントフレーム部64cに形成され、一対の回動軸151をそれぞれスライド自在且つ回転自在に支持する一対のトラック孔(支持ガイド部)152と、を備えている。各トラック孔152は、若干前下がりに傾いて上下方向に延在する長孔で形成されている。すなわち、各トラック孔152は、複合機1の上後方から下前方に各回動軸151を回転自在且つスライド自在にガイドする。これにより、操作パネル121は、収納位置における起立姿勢と、前方の使用位置における傾斜姿勢をとることとなる。
【0049】
図11は、ストッパーフレーム142を示した斜視図である。図11に示すように、ストッパーフレーム142は、操作パネル121の幅方向に離間し、各ストッパーガイド143に対応して係合する左右一対のストッパー部材153と、一対のストッパー部材153を連結する中間連結部材(中間連結部)156と、を有し、一体に形成されている。一対のストッパー部材153および中間連結部材156の基端部には、幅方向に並列した複数の回動連結部154が形成されている。各回動連結部154は、軸部154aを有し、当該軸部154aを、操作パネル121の背面に形成された「C」字状の各係合部121a(図8参照)に係合させることで、ストッパーフレーム142が操作パネル121に回動自在に連結される。また、一対のストッパー部材153および中間連結部材156には、縦横に延在する複数の補強リブ155が形成されている。
【0050】
各ストッパー部材153には、その側端面に突出し、ストッパーガイド143に係合するスライド突起161と、その先端部において下方に突出した抜止め突起162と、が形成されている。各スライド突起161の先端部には、上面側に形成され且つスライド突起161の長手方向に延在すると共に、後述の位置規制面182に当接する被規制面163と、スライド突起161の先端面で且つ被規制面163に対し鋭角を成す傾斜面であり、後述の度当り面181に当接する被度当り面(係止端)164と、を有している。被規制面163は、上側(位置規制面182側)で第1に突き当たるよう、他の部分から突出して形成されている。また、スライド突起161の後端部下面側には、被規制面163に対し並行に延在し、後述の下ガイド面185が摺接する被ガイド面165が形成されている。そして、スライド突起161は、ストッパーガイド143に対しスライド自在に係合する一方、抜止め突起162は、操作パネル121が最大傾動姿勢に傾動した状態で後述の規制突起173に当接する。
【0051】
図10に示すように、付勢バネ144は、ストッパーフレーム142を、その基端部において、上方、すなわち、後述のストッパーガイド143の位置規制面182側に常時回動付勢している。具体的には、幅方向両端に配設された2つの回動連結部154に配設した2つのねじりバネ158で構成されており、一端を操作パネル121に、他端をストッパーフレーム142に係止されている。
【0052】
図12(a)は、フロントフレーム部64cを示した斜視図である。図12(b)は、フロントフレーム部64cを示した側面図である。図12に示すように、各ストッパーガイド143は、各フロントフレーム部64cの内側に突出して一体に形成されている。各ストッパーガイド143は、若干前下がり傾いて前後方向に延在し、スライド突起161と係合するスライドガイド部171と、上方への段部170を存してスライドガイド部171に連なると共に、操作パネル121が使用位置に移動した際にスライド突起161を係止するストッパー係止部172と、スライドガイド部171およびストッパー係止部172の下方に配設され、最大傾動状態において抜止め突起162が突き当たる規制突起173と、を備えている。スライドガイド部171により、各スライド突起161を介して、各ストッパー部材153をガイドすると共に、操作パネル121の使用時に、ストッパー係止部172により、各スライド突起161を介して、各ストッパー部材153を係止する。
【0053】
ストッパー係止部172は、スライド突起161の被度当り面164が当接する度当り面181と、スライド突起161の被規制面163が当接し、付勢バネ144に抗してスライド突起161(ストッパー部材153)を位置規制する位置規制面182と、を有している。度当り面181は、ストッパー部材153を介して操作パネル121から受ける力(スライド突起161の先端方向への力)に対し、ストッパー部材153を位置規制面182側に押圧する方向の分力を生じさせる傾斜面で構成されている。すなわち、度当り面181は、位置規制面182に対し鋭角を成している。操作パネル121が使用位置に位置した際、スライド突起161の被度当り面164および被規制面163が、ストッパー係止部172の度当り面181および位置規制面182に当接することで、ストッパー部材153を介して、操作パネル121の使用姿勢(傾動姿勢)が維持される。すなわち、ストッパー部材153およびストッパー係止部172により、操作パネル121の使用姿勢を保持する。なお、被度当り面164および被規制面163は、度当り面181および位置規制面182に倣う角度に形成されている。
【0054】
スライドガイド部171は、後端部に位置し、スライド突起161の被度当り面164が当接する傾斜面である度当り面183と、スライド突起161の被規制面163を当接させて上面をガイドする上ガイド面184と、スライド突起161の被ガイド面165を当接させて下面をガイドする下ガイド面185と、を有している。スライドガイド部171の度当り面183および上ガイド面184は、ストッパー係止部172の度当り面181および位置規制面182に倣う角度で形成されている。
【0055】
また、段部170を含むスライドガイド部171とストッパー係止部172との相互の移行部分は、面取り形状に形成されている。すなわち、スライド突起161が、スライドガイド部171とストッパー係止部172との間を円滑に移動するように形成されている。
【0056】
図10に示すように、クリック部146は、操作パネル121の左右端から後方に延在し、それぞれ一対のクリック突起191aを有するクリック板191と、一対のフロントフレーム部64cに形成され、一対のクリック突起191aが軽くクリック係合するクリック穴(位置規制部)192と、クリック穴192からクリック突起191aの移動軌跡に倣って延在して形成され、クリック突起191aが摺接する摺接溝193と、を備えている。クリック突起191aが、クリック穴192に落ち込むように嵌合することで、クリック感を奏すると共に操作パネル121を収納位置に位置規制している。なお、クリック穴192の位置規制を越えて、操作パネル121が押される場合には、スライド突起161がスライドガイド部171の度当り面183に当接して、操作パネル121が位置規制される。
【0057】
図10および図12に示すように、各支点突起145は、各フロントフレーム部64cの内側に突出した突起部で構成されており、操作パネル121とストッパーガイド143との間で且つスライド突起161の上側に形成されている。各支点突起145は、スライド突起161側(下側)に突出すると共に、スライド突起161が下側から当接する支点当接部194を有している。すなわち、スライド支持部141にガイドさせて、操作パネル121が上方に移動させると、これに伴って、ストッパー部材153が基端側から上動するが、この際、スライド突起161の前後中間位置が支点当接部194に下側から当接する。そして、さらにストッパー部材153の基端側が上動すると、スライド突起161(ストッパー部材153)を、支点当接部194を支点にシーソー様(梃子状)に回動させる。詳細は後述するが、この回動によって、各スライド突起161の先端部が下方に移動し、各ストッパー係止部172から外れ、解除される。
【0058】
ここで図13ないし図15を参照して傾動動作について説明する。図13は、収納位置から使用位置に傾動させる引出し動作を示した遷移図である。図14および図15は、使用位置から収納位置に傾動させる押戻し動作を示した遷移図である。まず、図13を参照して、引出し動作について説明する。図13に示すように、操作パネル121が収納位置に位置する際には、各回動軸151が各トラック孔152の上端位置に位置し、各スライド突起161が各スライドガイド部171の後端部に位置している(図13(a)参照)。この状態から、ユーザーが操作パネル121を把持し引き出し始めると、各回動軸151がトラック孔152にガイドされて、下前方に移動する。これに伴って、操作パネル121の上部が下前方に移動する。加えて、各スライド突起161が各スライドガイド部171にガイドされて、各ストッパー部材153が前方に移動する。これに伴って、操作パネル121が背面から押され、各回動軸151を中心に回動する(図13(b)参照)。
【0059】
ユーザーによる引き出しが進むと、各回動軸151が各トラック孔152の下端部に移動する。一方、スライド突起161が段部170を超えてスライドガイド部171からストッパー係止部172に移動し、度当り面181に当接して、ストッパー係止部172に係止される(図13(c)参照)。これらに伴って、操作パネル121が使用位置に移動する。この際、スライド突起161をストッパー係止部172が係止して、操作パネル121を使用姿勢で保持する。そのため、ボタン群123を押下した際の押圧力等によって、操作パネル121が収納側に押し戻されることがない。
【0060】
次に、図14および図15を参照して、押戻し動作について説明する。押戻し動作では、操作パネル121が使用位置に位置した状態(図14(a)参照)から、まず、操作パネル121の使用姿勢の保持を解除する解除動作を行う。具体的には、ユーザーが操作パネル121を把持し、これを上動する。これによって、各回動軸151が各トラック孔152にガイドされて上方に移動する。一方、操作パネル121が上方に移動すると、これに伴って、各ストッパー部材153が基端側から上方に移動し、各スライド突起161の上面が各支点突起145の支点当接部194に当接する。操作パネル121が更に上方移動すると、各支点当接部194を支点として、各ストッパー部材153がシーソー様に回動する。これに伴って、各スライド突起161の先端部が各ストッパー係止部172から下方に離脱し、操作パネル121の使用姿勢の保持が解除される(図14(b)参照)。
【0061】
その後、ユーザーが操作パネル121を押すと、各回動軸151が各トラック孔152にガイドされて、各トラック孔152上を進行し、一方、各スライド突起161が各スライドガイド部171にガイドされ、各ストッパー部材153が前進していく((図14(c)および図15(d)参照)。ユーザーによる押し込みが進むと、各回動軸151がトラック孔152の上端部に到達すると共に、スライド突起161がスライドガイド部171の後端部に到達する。これに伴って、操作パネル121が収納位置に移動する(図15(e)参照)。
【0062】
以上の構成によれば、操作パネル121を上動させるだけで、使用位置におけるパネル体の保持状態を簡単に解除することができる。また、この解除動作は、上動(平行移動)であって、傾動動作ではないため、解除動作を意識して行うことができる。
【0063】
また、幅方向に離間した一対のストッパーガイド143と、これに対応する一対のストッパー部材153とを有することにより、操作パネル121を幅方向の離間した2箇所で受けることができ、操作パネル121を使用位置に確実且つ安定に保持することができる。この場合、一対のストッパー部材153により操作パネル121が背面側から支持されるため、操作パネル121の剛性が補強され、使用時に加わる力により操作パネル121が撓むことがない。これにより、操作パネル121の使用感が損なわれることがない。
【0064】
さらに、一対のストッパー部材153は、中間連結部材156を存して一体に形成されていることにより、操作パネル121を使用位置に確実且つ安定に保持することができると共に、操作パネル121における収納位置と使用位置との間の傾動動作を円滑に行うことができる。
【0065】
またさらに、段部170を含むスライドガイド部171とストッパー係止部172との相互の移行部分が、面取り形状に形成されているため、ストッパー部材153の係止動作と解除動作を円滑に行うことができると共に、ストッパー部材153の磨耗を抑制することができる。
【0066】
さらに、ストッパー係止部172が上記度当り面181を有することで、度当り面181により、操作パネル121から受ける力によって、ストッパー部材153を位置規制面182に押圧する分力を生じさせるため、操作パネル121に力が加わると、ストッパー係止部172に係止されたストッパー部材153は、スライドガイド部171とは逆側に移動しようとする。このため、操作パネル121に力が加わっても、ストッパー部材153がストッパー係止部172からスライドガイド部171側に離脱することがなく、操作パネル121を使用位置に確実に保持することができる。
【0067】
また、ストッパーガイド143を、プリンターユニット2の装置フレーム64に設けることにより、操作パネル121を使用位置に強固に保持することができると共に、ストッパーガイド143とストッパー部材153とを高い精度で係合させることができ、操作パネル121の傾動動作を円滑に行うことができる。
【0068】
さらに、装置フレーム64は、樹脂で構成され、ストッパーガイド143を、装置フレーム64に一体に形成することにより、ストッパーガイド143を簡単且つ精度良く形成することができ、装置コストを抑制することができる。
【0069】
またさらに、回動軸151を、操作パネル121に設け、トラック孔152を、装置フレーム64に設けることにより、操作パネル121を精度良く且つ強固に支持することができ、操作パネル121の傾動動作を円滑に行うことができる。
【0070】
また、支点突起145を、装置フレーム64に設けられた突起部で構成することにより、支点突起145を簡単且つ強固に形成することができる。
【0071】
さらに、操作パネル121を収納位置に位置規制するクリック穴192を設けることで、収納位置におけるパネル体を安定に保持することができる。
【0072】
なお、本実施形態においては、ストッパー部材153およびストッパーガイド143を一対配設する構成であったが、これらを1個のみ配設する構成であっても良い。かかる場合、操作パネル121の中央にこれらを配設することが好ましい。
【0073】
また、本実施形態においては、回動軸151を操作パネル121側に設け、トラック孔152を、装置フレーム64側に設ける構成であったが、逆に、回動軸151を装置フレーム64側に設け、トラック孔152を操作パネル121側に設ける構成であっても良い。
【0074】
さらに、本実施形態においては、ストッパーガイド143を装置フレーム64と一体に形成する構成であったが、装置フレーム64とは別体のストッパーガイド143を用いるものであっても良い。
【符号の説明】
【0075】
2:プリンターユニット、 61:搬送部、 62:印刷部、 64:装置フレーム、 65:装置ハウジング、 110:開口部、 121:操作パネル、 122:チルト機構、 141:スライド支持部、 143:ストッパーガイド、 145:支点突起、 151:回動軸、 152:トラック孔、 153:ストッパー部材、 156:中間連結部材、 164:被度当り面、 170:段部、 171:スライドガイド部、 172:ストッパー係止部、 181:度当り面、 182:位置規制面、 192:クリック穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延在する支持ガイド部と当該支持ガイド部にスライド自在に且つ回動自在に係合する回動軸とを有し、装置本体に対しパネル体を、収納位置と当該収納位置から前方に迫り出した使用位置との間で傾動自在に支持するスライド支持部と、
基端部を前記パネル体に回動自在に連結され、前記パネル体を背面側から前記使用位置に保持するストッパー部材と、
前記パネル体の前記傾動に伴う前記ストッパー部材の移動をガイドするスライドガイド部、および段部を存して前記スライドガイド部に連なり、前記パネル体が前記使用位置に傾動した状態で前記ストッパー部材が係止されるストッパー係止部を有するストッパーガイドと、
前記ストッパー部材を、前記ストッパー係止部に係止されるように回動付勢する付勢手段と、
前記使用位置に傾動した前記パネル体を前記支持ガイド部に沿って上動させたときに、前記ストッパー部材を前記ストッパー係止部から前記スライドガイド部側に回動させる支点部材と、を備えたことを特徴とするパネル体の傾動機構。
【請求項2】
前記パネル体の幅方向に離間して前記ストッパーガイドが一対設けられ、
前記一対のストッパーガイドに対応して、前記ストッパー部材が一対設けられていることを特徴とする請求項1に記載のパネル体の傾動機構。
【請求項3】
前記一対のストッパー部材は、中間連結部を存して一体に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のパネル体の傾動機構。
【請求項4】
前記段部を含む前記スライドガイド部と前記ストッパー係止部との相互の移行部分が、面取り形状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のパネル体の傾動機構。
【請求項5】
前記ストッパー係止部は、前記ストッパー部材の係止端が当接する度当り面と、前記付勢手段に抗して前記ストッパー部材を位置規制する位置規制面と、を有し、
前記度当り面は、前記ストッパー部材を介して前記パネル体から受ける力に、前記ストッパー部材を前記位置規制面に押圧する方向の分力を生じさせる傾斜面で構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のパネル体の傾動機構。
【請求項6】
前記ストッパーガイドは、前記装置本体の装置フレームに設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のパネル体の傾動機構。
【請求項7】
前記装置フレームは、樹脂で構成され、
前記ストッパーガイドは、前記装置フレームに一体に形成されていることを特徴とする請求項6に記載のパネル体の傾動機構。
【請求項8】
前記回動軸は、前記パネル体に設けられ、
前記支持ガイド部は、前記装置フレームに設けられていることを特徴とする請求項6または7に記載のパネル体の傾動機構。
【請求項9】
前記支点部材は、前記装置フレームに設けられた突起部で構成されていることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載のパネル体の傾動機構。
【請求項10】
前記装置フレームに設けられ、前記パネル体を前記収納位置に位置規制する収納規制部を、更に備えたことを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載のパネル体の傾動機構。
【請求項11】
前記パネル体が、前記装置本体の操作パネルであることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載のパネル体の傾動機構。
【請求項12】
請求項11に記載のパネル体の傾動機構と、
記録媒体に画像の記録を行う記録部をハウジングで覆うと共に、前記ハウジングの1の面に形成した開口部にパネル体を設けた装置本体と、を備えたことを特徴とする画像記録装置。
【請求項1】
上下方向に延在する支持ガイド部と当該支持ガイド部にスライド自在に且つ回動自在に係合する回動軸とを有し、装置本体に対しパネル体を、収納位置と当該収納位置から前方に迫り出した使用位置との間で傾動自在に支持するスライド支持部と、
基端部を前記パネル体に回動自在に連結され、前記パネル体を背面側から前記使用位置に保持するストッパー部材と、
前記パネル体の前記傾動に伴う前記ストッパー部材の移動をガイドするスライドガイド部、および段部を存して前記スライドガイド部に連なり、前記パネル体が前記使用位置に傾動した状態で前記ストッパー部材が係止されるストッパー係止部を有するストッパーガイドと、
前記ストッパー部材を、前記ストッパー係止部に係止されるように回動付勢する付勢手段と、
前記使用位置に傾動した前記パネル体を前記支持ガイド部に沿って上動させたときに、前記ストッパー部材を前記ストッパー係止部から前記スライドガイド部側に回動させる支点部材と、を備えたことを特徴とするパネル体の傾動機構。
【請求項2】
前記パネル体の幅方向に離間して前記ストッパーガイドが一対設けられ、
前記一対のストッパーガイドに対応して、前記ストッパー部材が一対設けられていることを特徴とする請求項1に記載のパネル体の傾動機構。
【請求項3】
前記一対のストッパー部材は、中間連結部を存して一体に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のパネル体の傾動機構。
【請求項4】
前記段部を含む前記スライドガイド部と前記ストッパー係止部との相互の移行部分が、面取り形状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のパネル体の傾動機構。
【請求項5】
前記ストッパー係止部は、前記ストッパー部材の係止端が当接する度当り面と、前記付勢手段に抗して前記ストッパー部材を位置規制する位置規制面と、を有し、
前記度当り面は、前記ストッパー部材を介して前記パネル体から受ける力に、前記ストッパー部材を前記位置規制面に押圧する方向の分力を生じさせる傾斜面で構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のパネル体の傾動機構。
【請求項6】
前記ストッパーガイドは、前記装置本体の装置フレームに設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のパネル体の傾動機構。
【請求項7】
前記装置フレームは、樹脂で構成され、
前記ストッパーガイドは、前記装置フレームに一体に形成されていることを特徴とする請求項6に記載のパネル体の傾動機構。
【請求項8】
前記回動軸は、前記パネル体に設けられ、
前記支持ガイド部は、前記装置フレームに設けられていることを特徴とする請求項6または7に記載のパネル体の傾動機構。
【請求項9】
前記支点部材は、前記装置フレームに設けられた突起部で構成されていることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載のパネル体の傾動機構。
【請求項10】
前記装置フレームに設けられ、前記パネル体を前記収納位置に位置規制する収納規制部を、更に備えたことを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載のパネル体の傾動機構。
【請求項11】
前記パネル体が、前記装置本体の操作パネルであることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載のパネル体の傾動機構。
【請求項12】
請求項11に記載のパネル体の傾動機構と、
記録媒体に画像の記録を行う記録部をハウジングで覆うと共に、前記ハウジングの1の面に形成した開口部にパネル体を設けた装置本体と、を備えたことを特徴とする画像記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−106459(P2012−106459A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258785(P2010−258785)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]