パネル型入力装置を備えた電子機器
【課題】パネル型入力装置の座標検出機能に筆圧検出機能を付加した多機能性を有するとともに、高さ方向寸法の増加及び画像透過性の低下を防止しつつ安価に作製できる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器10は、パネル型入力装置12と、パネル型入力装置12のパネル押圧部位(すなわち導電膜同士の接触点P)の位置(すなわち二次元座標C)を検出する座標検出部14と、パネル型入力装置12のパネル押圧部位(接触点P)の押圧力(すなわち導電膜同士の接触圧力F)を検出する圧力検出部16とを備える。圧力検出部16は、パネル型入力装置12の第1導電膜と第2導電膜とが互いに導通接触したときの、接触点Pを通る回路の電気抵抗(すなわち第1及び第2導電膜の内部抵抗)Rの変化に基づいて、接触点Pにおける第1及び第2導電膜の間の接触圧力Fを検出する。
【解決手段】電子機器10は、パネル型入力装置12と、パネル型入力装置12のパネル押圧部位(すなわち導電膜同士の接触点P)の位置(すなわち二次元座標C)を検出する座標検出部14と、パネル型入力装置12のパネル押圧部位(接触点P)の押圧力(すなわち導電膜同士の接触圧力F)を検出する圧力検出部16とを備える。圧力検出部16は、パネル型入力装置12の第1導電膜と第2導電膜とが互いに導通接触したときの、接触点Pを通る回路の電気抵抗(すなわち第1及び第2導電膜の内部抵抗)Rの変化に基づいて、接触点Pにおける第1及び第2導電膜の間の接触圧力Fを検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル型入力装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
パネル型入力装置は、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、現金自動預払機(ATM)等の、表示部を備えた電子機器において、パネル表面の所望位置をオペレータがペンや指で押圧することにより、表示部における二次元座標データを指示する入力装置として知られている。特に、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマパネル)、CRT(ブラウン管)等の表示部の画面に重ねて設置可能な、それ自体透明な構造を有するパネル型入力装置は、タッチパネルの呼称で広く利用されている。
【0003】
パネル型入力装置の一形態である抵抗膜式タッチパネルは、透明な基板とその一表面に設けられる透明な導電膜とを各々に有する一対の透明な電極板を、導電膜同士が導通接触可能に対向かつ離間する相対配置で、互いに組み合わせて構成される。従来の抵抗膜式タッチパネルは、一般に、タッチ操作側(上側)の電極板の基板が可撓性を有する樹脂フィルムから形成され、表示画面側(下側)の電極板の基板がガラス板や樹脂板から形成される。導電膜は通常、酸化インジウム錫(ITO)等の金属酸化物を用いて、真空蒸着法やスパッタリング法等の薄膜形成技術により、各基板の表面に形成される。また近年、抵抗膜式タッチパネルの電極板の導電膜を、導電性ポリマーを用いて形成することが提案されている(特許文献1及び2参照)。導電性ポリマーからなる導電膜は、ITO皮膜に比べて、耐衝撃性、筆記耐久性等に優れるとともに、塗布等の簡便な方法により形成できる利点を有する。
【0004】
パネル型入力装置を備えた電子機器では、表示画面上の二次元座標データの入力に加えて、パネル押圧部位に印加する圧力(筆圧とも称する)に応じた入力処理を実行できるものが知られている。筆圧検出可能なパネル型入力装置としては、専用のスタイラスペンを用いた電磁誘導式タッチパネルが一般的であるが、例えば特許文献3に開示されるように、抵抗膜式タッチパネルを備えた電子機器において筆圧検出機能を有する構成も提案されている。特許文献3に開示される電子機器は、上下両側の電極板が可撓性フィルム基板を有する抵抗膜式タッチパネルの下に、いずれも抵抗膜付の上側フィルムと下側ガラスとを有するパネルスイッチを配置した構成を有する。タッチパネルの所望位置を押圧すると、通常の座標検出に加えて、押圧力に応じてパネルスイッチの上下の抵抗膜同士が接触したり接触しなかったりすることで、押圧力が所定荷重を超えているか否かを検出できる。
【0005】
【特許文献1】特開2005−182737号公報
【特許文献2】特開2005−146259号公報
【特許文献3】特開平11−312047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3に記載される電子機器は、比較的安価な抵抗膜式タッチパネルに筆圧検出用のパネルスイッチを組み合わせたものであるから、電磁誘導式タッチパネルを使用する構成に比べて、低コストで作製できる利点を有する。しかし、タッチパネルにパネルスイッチを積み重ねて構成されるので、高さ方向寸法が増加したり、画像の透過性が低下したりすることが懸念される。
【0007】
本発明の目的は、パネル型入力装置を備えた電子機器において、パネル型入力装置の座標検出機能に筆圧検出機能を付加した多機能性を有するとともに、高さ方向寸法の増加及び画像透過性の低下を防止しつつ安価に作製できる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、第1基板及び第1基板の一表面に設けられる第1導電膜を有する第1電極板と、第2基板及び第2基板の一表面に設けられる第2導電膜を有する第2電極板とを、第1及び第2導電膜が互いに導通接触可能に対向かつ離間する相対配置で組み合わせてなるパネル型入力装置と、パネル型入力装置の第1導電膜と第2導電膜とが互いに導通接触したときの、接触点の座標を検出する座標検出部とを具備する電子機器において、パネル型入力装置の第1導電膜と第2導電膜とが互いに導通接触したときの、接触点を通る回路の電気抵抗の変化に基づいて、接触点における第1導電膜と第2導電膜との間の接触圧力を検出する圧力検出部を具備することを特徴とする電子機器を提供する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子機器において、パネル型入力装置は、第1導電膜が酸化インジウム錫を用いて形成され、第2導電膜が導電性ポリマーを用いて形成される、電子機器を提供する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電子機器において、パネル型入力装置は、第1基板がガラス板を用いて形成され、第2基板が可撓性樹脂フィルムを用いて形成される、電子機器を提供する。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子機器において、パネル型入力装置は、第1電極板及び第2電極板がいずれも透明である、電子機器を提供する。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子機器において、圧力検出部は、電気抵抗の変化に従って変化するパネル型入力装置の出力電圧が、予め定めた基準電圧に達するまでに要した時間に基づいて、接触圧力を検出する、電子機器を提供する。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子機器において、圧力検出部は、電気抵抗の変化に従って変化するパネル型入力装置の出力電圧の、予め定めた時間間隔における変化率に基づいて、接触圧力を検出する、電子機器を提供する。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子機器において、座標検出部が座標を検出するときと、圧力検出部が接触圧力を検出するときとで、パネル型入力装置の第1電極板の電位と第2電極板の電位とを逆転させるスイッチ部をさらに具備する、電子機器を提供する。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子機器において、パネル型入力装置によって入力された情報を表示する表示部と、座標検出部が検出した座標及び圧力検出部が検出した接触圧力に基づき、表示部の表示動作を制御する制御部とをさらに具備し、制御部は、表示される線の太さが接触圧力に応じて変わるように表示部を制御する、電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る電子機器は、比較的安価な抵抗膜式のパネル型入力装置を用いて、本来の座標検出機能に筆圧検出機能を付加したから、筆圧検出機能付きの電磁誘導式タッチパネルに比べて、低コストで作製できる。しかも、パネル型入力装置に別のパネルスイッチ等を重ね合わせる必要が無いから、電子機器の高さ方向の寸法増加を抑制できる。さらに、パネル型入力装置を透明なタッチパネルとして構成した場合には、やはり別のパネルスイッチ等を重ね合わせる必要が無いから、表示部の画像の透過性が低下する危惧は排除される。このように、本発明に係る電子機器は、パネル型入力装置の座標検出機能に筆圧検出機能を付加した多機能性を有するとともに、高さ方向寸法の増加及び画像透過性の低下を防止しつつ安価に作製できるものである。
【0017】
パネル型入力装置の第1導電膜を酸化インジウム錫から形成し、第2導電膜を導電性ポリマーから形成することで、第1及び第2導電膜の相互接触時の内部抵抗が、接触点の接触圧力の大きさに依存して有意な変化を示すようになり、圧力検出部による接触圧力の安定検出が可能になる。また、第1及び第2電極板の材料や物性を適宜選択することにより、パネル型入力装置をそれ自体透明なタッチパネルとして使用できる。
【0018】
圧力検出部が、パネル型入力装置の出力電圧が所定基準電圧に達するまでに要した時間や、出力電圧の所定時間間隔における変化率に基づいて、接触圧力を検出するようにすれば、接触圧力を容易に特定できる。
【0019】
座標検出時と接触圧力検出時とでパネル型入力装置の第1及び第2電極板の電位を逆転させるようにすれば、一層確実で安定した座標検出及び接触圧力検出を実行できる。
【0020】
制御部が、表示部に表示される線の太さを接触圧力に応じて変えるようにすれば、絵や文字等の手書き入力機能が著しく向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図面を参照すると、図1は、本発明に係る電子機器10の基本構成を示すブロック図、図2は、本発明の一実施形態による電子機器10に組み込まれるパネル型入力装置12の主要構成要素を非入力時と入力時とで示す概略断面図、図3は、パネル型入力装置12の主要構成要素を個別に示す概略平面図である。
【0022】
電子機器10は、パネル型入力装置12と、パネル型入力装置12のパネル押圧部位(すなわち導電膜同士の接触点P)の位置(すなわち二次元座標C)を検出する座標検出部14と、パネル型入力装置12のパネル押圧部位(接触点P)の押圧力(すなわち導電膜同士の接触圧力F)を検出する圧力検出部16とを備える(図1)。
【0023】
パネル型入力装置12は、第1基板18及び第1基板18の一表面18aに設けられる第1導電膜20を有する第1電極板22と、第2基板24及び第2基板24の一表面24aに設けられる第2導電膜26を有する第2電極板28とを備える(図2(a))。第1電極板22の第1基板18及び第1導電膜20と第2電極板28の第2基板24及び第2導電膜26とは、それぞれ、平面視で互いに略同一の矩形輪郭を有する。
【0024】
第1電極板22の第1導電膜20上には、その矩形輪郭の一対の対向辺に沿って、第1導電膜20に電気的に接続される正負一対の短冊状の第1電極(すなわち第1平行電極対)30が、例えばスクリーン印刷法により直接に積層してパターン形成される(図3(a))。同様に、第2電極板28の第2導電膜26上には、その矩形輪郭の、第1平行電極対30とは位置が異なる一対の対向辺に沿って、第2導電膜26に電気的に接続される正負一対の短冊状の第2電極(すなわち第2平行電極対)32が、例えばスクリーン印刷法により直接に積層してパターン形成される(図3(b))。第1平行電極対30及び第2平行電極対32は、図示しない引き回し線及びコネクタ部を介して、座標検出部14及び圧力検出部16、並びに図示しない制御部に接続される。
【0025】
第1電極板22と第2電極板28とは、第1及び第2導電膜20、26が互いに導通接触可能に対向かつ離間する相対配置で組み合わされ、第1及び第2基板18、24の外周縁に沿って枠状に設けられる電気絶縁性の接着剤層34により、互いに重ね合わせた状態で固定される(図2(a))。このとき、第1及び第2導電膜20、26は、互いの輪郭が実質的に整合する位置に配置され、第1及び第2導電膜20、26に接続される第1及び第2平行電極対30、32は、互いに90度異なる位置に配置される。第1及び第2電極板22、28の間の隙間は、接着剤層34の厚みにより確保される。また、第1電極板22の第1導電膜20には、電気絶縁性の複数のドットスペーサ36が、適当な分散配置で設けられる。
【0026】
パネル型入力装置12は、制御部(図示せず)の制御下で、第1電極板22の第1導電膜20及び第2電極板28の第2導電膜26に対し、交互に、それぞれの第1及び第2平行電極対30、32の間に所定電圧が印加されることにより作動する。その状態で、例えば第2電極板28の第2基板24の外面所望位置をペンや指等で押圧すると、押圧部位で両導電膜20、26が互いに導通接触し、電圧を印加していない側の導電膜20、26において押圧部位(接触点P)の位置に対応した分圧V(図1)が出力される。座標検出部14は、両導電膜20、26にこのようにして交互に生じる分圧Vを測定することにより、接触点Pの2次元座標Cを検出する。なお、第1電極板22の第1導電膜20に設けられるドットスペーサ36は、第2電極板28が押圧力下で変形したときに、押圧部位における両導電膜20、26同士の局所的接触を許容するとともに、接触点Pの輪郭を明確にするように作用する。こうした構成は、抵抗膜型タッチパネルにおいて従来知られたものである。
【0027】
本発明の特徴的構成として、圧力検出部16は、パネル型入力装置12の第1導電膜20と第2導電膜26とが互いに導通接触したときの、接触点Pを通る回路の電気抵抗(すなわち第1及び第2導電膜20、26の内部抵抗)Rの変化に基づいて、接触点Pにおける第1及び第2導電膜20、26の間の接触圧力Fを検出する。例えば、内部抵抗Rに対応するパネル型入力装置12の出力電圧(例えば前述した分圧V)と、接触圧力Fとの関係性を予め定めてテーブル化し、図示しないメモリに格納しておけば、圧力検出部16はメモリのテーブルを参照することで、パネル型入力装置12の出力電圧から接触圧力Fを特定することができる。
【0028】
圧力検出部16による接触圧力Fの安定検出を可能にするために、第1導電膜20と第2導電膜26とは、相互接触時の内部抵抗Rが、接触点Pの接触圧力Fの大きさに依存して有意な変化を示すような材料を用いて形成される。ここで、第1及び第2導電膜20、26の双方を、従来の抵抗膜式タッチパネルで多用されている酸化インジウム錫(ITO)から形成した場合、接触圧力Fの大きさに関わらず内部抵抗は殆ど変化せず、僅かな押圧力でも接触点Pの座標Cを安定して検出することができる。これに対し、第1導電膜20を、ITO等の無機導電性組成物を用いて形成し、第2導電膜26を、ITOとは物性の異なる材料(例えば導電性ポリマー等の有機導電性組成物)を用いて形成した場合には、第1及び第2導電膜20、26の相互接触時の内部抵抗Rが、接触点Pの接触圧力Fの大きさに依存して有意な変化を示すようになる。具体的な材料及びその特性については後述する。
【0029】
上記構成を有する電子機器10は、比較的安価な抵抗膜式のパネル型入力装置12を用いて、本来の座標検出機能に筆圧検出機能を付加したから、筆圧検出機能付きの電磁誘導式タッチパネルに比べて、低コストで作製できる利点を有する。しかも、パネル型入力装置12に別のパネルスイッチ等を重ね合わせる必要が無いから、電子機器10の高さ方向の寸法増加を抑制できる。さらに、パネル型入力装置12を透明なタッチパネルとして構成した場合には、やはり別のパネルスイッチ等を重ね合わせる必要が無いから、表示部(図示せず)の画像の透過性が低下する危惧は排除される。このように、電子機器10は、パネル型入力装置12の座標検出機能に筆圧検出機能を付加した多機能性を有するとともに、高さ方向寸法の増加及び画像透過性の低下を防止しつつ安価に作製できるものである。
【0030】
電子機器10のパネル型入力装置12は、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマパネル)、CRT(ブラウン管)等の表示部の画面に重ねて設置可能な、それ自体透明な構造を有するタッチパネルとして構成できる。或いは、パネル型入力装置12を、ポインティングデバイスとして知られている不透明ないし半透明な構造とすることもできる。
【0031】
パネル型入力装置12を透明なタッチパネルとして構成する場合、例えば、第1電極板22を、表示部の画面に隣接配置される下側電極板とし、その第1基板18を透明なガラス板や樹脂板又は樹脂フィルムから形成できる。また、第2電極板28を、オペレータによって押圧操作される上側電極板とし、その第2基板24を可撓性に富む透明樹脂フィルムから形成できる。第1及び第2基板18、24の好適な樹脂材料としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート等を挙げることができる。
【0032】
また、第1電極板22の第1導電膜20は、ITO等の無機導電性組成物から形成でき、例えば真空蒸着法やスパッタリング法によって第1基板18の表面18aに被着できる。他方、第2電極板28の第2導電膜26は、導電性ポリマー等の有機導電性組成物から形成でき、例えば塗布法や印刷法によって第2基板24の表面24aに被着できる。タッチパネルに要求される筆記耐久性等を考慮すれば、上側電極板となる第2電極板28の第2導電膜26を、導電性ポリマーから形成することが有利である。或いは、第1導電膜20を導電性ポリマー等の有機導電性組成物から形成するとともに、第2導電膜26をITO等の無機導電性組成物から形成することもできる。
【0033】
一実施形態として、第1電極板22の第1導電膜20をITOから形成し、第2電極板28の第2導電膜26を導電性ポリマーから形成したパネル型入力装置12における、第1及び第2導電膜20、26の相互接触時の内部抵抗Rと接触圧力Fとの関係を、図4(a)に示す。また比較例として、第1及び第2導電膜20、26の双方をITOから形成したパネル型入力装置12における、第1及び第2導電膜20、26の相互接触時の内部抵抗Rと接触圧力Fとの関係を、図4(b)に示す。
【0034】
図4に明示されるように、第1及び第2導電膜20、26をそれぞれITO及び導電性ポリマーから形成した場合は、接触圧力Fがごく小さい範囲では内部抵抗Rが接触圧力Fの増加に伴って減少し、接触圧力Fがある程度大きい範囲で内部抵抗Rが一定値に安定する。これに対し、第1及び第2導電膜20、26の双方をITOから形成した場合は、接触圧力Fの大きさに関わらず内部抵抗Rが一定値に安定する。本発明に係る電子機器10は、パネル型入力装置12の第1導電膜20と第2導電膜26とを互いに物性の異なる材料(例えばITOと導電性ポリマー)から形成したときの、相互接触時の内部抵抗Rと接触圧力Fとの図示のような特徴的関係を利用して、圧力検出部16による筆圧検出を可能にしている。
【0035】
パネル型入力装置12の第1又は第2導電膜20、26に好適に使用できる有機導電性組成物は、例えば既述の特許文献1及び2に記載される導電性ポリマーである。特に、パネル型入力装置12をタッチパネルとして構成する場合は、透明性に優れたポリチオフェン系ポリマーを使用することが好ましい。パネル型入力装置12で使用できる他の導電性ポリマーとして、ポリアニリン、ポリビロール、ポリエチレンジオキシチオフェン等が挙げられる。
【0036】
導電性ポリマーからなる第1又は第2導電膜20、26の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.1〜1μmである。厚みが0.01μm未満であると、導電膜20、26の抵抗が不安定になることがあり、厚みが10μmを超えると、基板18、24との密着性が低下することがある。また、導電性ポリマーからなる第1又は第2導電膜20、26の表面抵抗率(例えばJISK6911に準拠)は、特に限定されないが、例えば5000Ω/□(ohm/square)以下、好ましくは3000Ω/□以下、さらに好ましくは1500Ω/□以下である。表面抵抗率が、5000Ω/□を超えると、入力時の応答性が低下することがある。なお、ITOからなる第1又は第2導電膜20、26も、同様の物性を有することが望ましい。また、導電性ポリマーからなる第1又は第2導電膜20、26の形成方法は、特に限定されないが、例えば、スピンコート法、ローラコート法、バーコート法、ディップコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、ニーダーコート法等の塗布法や、スクリーン印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、平版印刷法等の印刷法を採用できる。
【0037】
次に、圧力検出部16による接触圧力Fの検出方法を、幾つかの例を挙げて説明する。
例えば、図5に示すように、第1電極板22の第1導電膜20をITOから形成し、第2電極板28の第2導電膜26を導電性ポリマーから形成したパネル型入力装置12における出力電圧(分圧V)は、前述した内部抵抗Rと接触圧力Fとの関係に従い、押圧開始直後の立ち上がり波形がパネル押圧力に依存して異なる形態を示す。つまり、パネル押圧力が大きいほど、出力電圧Vが短時間で安定する。
【0038】
この特性を利用して、圧力検出部16は、例えば図6に示すように、パネル型入力装置12の出力電圧Vが予め定めた基準電圧V0に達するまでに要した時間T=T0に基づいて、パネル押圧力、すなわち第1及び第2導電膜20、26の接触点P(図2)の接触圧力Fを検出することができる。この場合、例えばパネル型入力装置12で押圧部位の座標検出の前(或いは座標検出とは別)にON検出に用いられる出力電圧Vの閾値を、基準電圧V0として用いることができる。
【0039】
さらに具体的には、圧力検出部16は、パネル押圧開始直後に出力電圧Vが予め定めた初期電圧Viに達したときに時間Tの計測を開始し(T=Ti)、出力電圧Vが基準電圧(閾値)V0に達したときに時間Tの計測を終了して(T=T0)、経過時間ΔT=T0−Tiの長さに応じて接触圧力Fを特定する。このとき、例としてメモリ(図示せず)のテーブルに、(1)ΔT>t1・・・ONせず(接触圧力Fが小さすぎる)、(2)t1>ΔT>t2・・・接触圧力F=低と特定してON処理、(3)t2>ΔT>t3・・・接触圧力F=中と特定してON処理、(4)t3>ΔT・・・接触圧力F=大と特定してON処理、といった複数段階での関係性を記述しておく。圧力検出部16は、算出したΔTをメモリに一時的に記憶するとともに、メモリのテーブルを参照して、ΔTに基づき接触圧力Fを検出する。そして制御部(図示せず)が、検出された接触圧力Fに応じた制御信号を出力する。
【0040】
或いは圧力検出部16は、図7に示すように、パネル型入力装置12の出力電圧Vの、予め定めた時間間隔における変化率ΔVに基づいて、パネル押圧力、すなわち第1及び第2導電膜20、26の接触点P(図2)の接触圧力Fを検出することができる。この場合、例えばパネル型入力装置12で押圧部位の座標を検出する際に用いられる出力電圧Vの既定値V1(例えば図6における時刻T0から所定時間経過した時刻T1における値)を、変化率ΔVを求めるために使用できる。
【0041】
さらに具体的には、圧力検出部16は、出力電圧Vが前述した基準電圧V0に達した直後の時刻T2における出力電圧Vの値V2を測定し、出力電圧Vの変化率ΔV=V2/V1の大きさに応じて接触圧力Fを特定する。このとき、例としてメモリ(図示せず)のテーブルに、(1)ΔV<v1≪1・・・接触圧力F=低と特定してON処理、(2)v1<ΔV<v2<1・・・接触圧力F=中と特定してON処理、(3)v2<ΔV≒1・・・接触圧力F=大と特定してON処理、といった複数段階での関係性を記述しておく。圧力検出部16は、算出したΔVをメモリに一時的に記憶するとともに、メモリのテーブルを参照して、ΔVに基づき接触圧力Fを検出する。そして制御部(図示せず)が、検出された接触圧力Fに応じた制御信号を出力する。
【0042】
パネル型入力装置12において、第1電極板22の第1導電膜20をITOから形成し、第2電極板28の第2導電膜26を導電性ポリマーから形成した場合、第1及び第2導電膜20、26の相互接触時の内部抵抗Rと接触圧力Fとの相関性は、第1及び第2導電膜20、26の電位によって異なるものとなる。例えば図8に示すように、第1導電膜20を接地電位として、第2導電膜26を負の電位とした場合の相関性Aは、第2導電膜26を正の電位とした場合の相関性Bに比べて、内部抵抗Rが接触圧力Fの大きさに依存して顕著な変化を示す。換言すれば、圧力検出部16が内部抵抗Rの変化に基づいて接触圧力Fを検出する際には、第2導電膜26を負の電位とすることが望ましく、座標検出部14が出力電圧V(内部抵抗R)に基づいて座標Cを検出する際には、第2導電膜26を正の電位とすることが望ましい。
【0043】
図9は、図8の特性を利用した本発明の一実施形態による電子機器40の構成をブロック図で示す。電子機器40は、前述した電子機器10と同じ基本構成を有するので、対応する構成要素には共通の符号を付してその説明を省略する。
【0044】
電子機器40は、座標検出部14が接触点Pの座標Cを検出するときと、圧力検出部16が接触点Pの接触圧力Fを検出するときとで、パネル型入力装置12の第1電極板22の電位と第2電極板28の電位とを逆転させるスイッチ部42と、スイッチ部42に第1及び第2電極板22、28の電位逆転を指令する制御部44とをさらに備える。この構成では、例えば圧力検出部16が図6及び図7に示す接触圧力検出方法を実行する際に、接地電位にある第1電極板22(第1導電膜20)に対し、出力電圧Vが座標検出用の既定値V1に達するまでは、制御部44の制御下でスイッチ部42が第2電極板28(第2導電膜26)を負の電位にしてパネル型入力装置12を駆動する。それにより、圧力検出部16が接触点Pの接触圧力Fを安定して検出できる。そして、出力電圧Vが既定値V1に達した後は、制御部44の制御下でスイッチ部42が第2電極板28(第2導電膜26)を正の電位にしてパネル型入力装置12を駆動する。それにより、座標検出部14が接触点Pの座標Cを安定して検出できる。
【0045】
図9に示すように、座標検出部14、圧力検出部16及び制御部44はそれぞれ、マイクロプロセッサ等の処理部46の一機能として実現できる。また、スイッチ部42は、IC等の無接点スイッチから構成できる。また、パネル型入力装置12の出力電圧Vは、ノイズフィルタ(図示せず)を介して座標検出部14及び圧力検出部16に入力できる。また、制御部44に対する信号の入出力は、A/D変換器を介して行うことができる。なお図9には、圧力検出部16が接触圧力検出時に参照するテーブルを予め格納したり、出力電圧Vに関連する測定データ(ΔT、ΔV等)を一時的に記憶したりするメモリ48が示されている。
【0046】
制御部44は、座標検出部14及び圧力検出部16の検出結果に基づいて、インタフェースドライバ50に制御信号を出力できる。インタフェースドライバ50は、パネル型入力装置12によって入力された情報を表示する表示部52等の、外部機器を駆動できる。或いは電子機器40は、表示部52を予め内蔵することもできる。そして制御部44は、座標検出部14が検出した座標C及び圧力検出部16が検出した接触圧力Fに基づき、例えば、表示部52の画面に表示される線の太さが接触圧力Fに応じて変わるように、表示部52の表示動作を制御することができる。このような構成を有する電子機器40は、絵や文字等の手書き入力機能を著しく向上させたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る電子機器の基本構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1の電子機器に組み込まれるパネル型入力装置の主要部を、厚み方向に拡大して模式図的に示す断面図で、(a)非入力時、及び(b)入力時の状態を示す。
【図3】(a)及び(b)はそれぞれ、図2のパネル型入力装置の主要構成要素の概略平面図である。
【図4】(a)本発明の一実施形態によるパネル型入力装置、及び(b)比較例によるパネル型入力装置における、電極板の内部抵抗と接触圧力との関係を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態によるパネル型入力装置における、出力電圧の立ち上がり波形を、異なる押圧力について示す図である。
【図6】本発明に係る電子機器が実行する筆圧検出方法の一例を説明する図である。
【図7】本発明に係る電子機器が実行する筆圧検出方法の他の例を説明する図である。
【図8】本発明の一実施形態によるパネル型入力装置における、電極板の内部抵抗と接触圧力との関係を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態による電子機器の構成を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
10、40 電子機器
12 パネル型入力装置
14 座標検出部
16 圧力検出部
18 第1基板
20 第1導電膜
22 第1電極板
24 第2基板
26 第2導電膜
28 第2電極板
42 スイッチ部
44 制御部
52 表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル型入力装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
パネル型入力装置は、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、現金自動預払機(ATM)等の、表示部を備えた電子機器において、パネル表面の所望位置をオペレータがペンや指で押圧することにより、表示部における二次元座標データを指示する入力装置として知られている。特に、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマパネル)、CRT(ブラウン管)等の表示部の画面に重ねて設置可能な、それ自体透明な構造を有するパネル型入力装置は、タッチパネルの呼称で広く利用されている。
【0003】
パネル型入力装置の一形態である抵抗膜式タッチパネルは、透明な基板とその一表面に設けられる透明な導電膜とを各々に有する一対の透明な電極板を、導電膜同士が導通接触可能に対向かつ離間する相対配置で、互いに組み合わせて構成される。従来の抵抗膜式タッチパネルは、一般に、タッチ操作側(上側)の電極板の基板が可撓性を有する樹脂フィルムから形成され、表示画面側(下側)の電極板の基板がガラス板や樹脂板から形成される。導電膜は通常、酸化インジウム錫(ITO)等の金属酸化物を用いて、真空蒸着法やスパッタリング法等の薄膜形成技術により、各基板の表面に形成される。また近年、抵抗膜式タッチパネルの電極板の導電膜を、導電性ポリマーを用いて形成することが提案されている(特許文献1及び2参照)。導電性ポリマーからなる導電膜は、ITO皮膜に比べて、耐衝撃性、筆記耐久性等に優れるとともに、塗布等の簡便な方法により形成できる利点を有する。
【0004】
パネル型入力装置を備えた電子機器では、表示画面上の二次元座標データの入力に加えて、パネル押圧部位に印加する圧力(筆圧とも称する)に応じた入力処理を実行できるものが知られている。筆圧検出可能なパネル型入力装置としては、専用のスタイラスペンを用いた電磁誘導式タッチパネルが一般的であるが、例えば特許文献3に開示されるように、抵抗膜式タッチパネルを備えた電子機器において筆圧検出機能を有する構成も提案されている。特許文献3に開示される電子機器は、上下両側の電極板が可撓性フィルム基板を有する抵抗膜式タッチパネルの下に、いずれも抵抗膜付の上側フィルムと下側ガラスとを有するパネルスイッチを配置した構成を有する。タッチパネルの所望位置を押圧すると、通常の座標検出に加えて、押圧力に応じてパネルスイッチの上下の抵抗膜同士が接触したり接触しなかったりすることで、押圧力が所定荷重を超えているか否かを検出できる。
【0005】
【特許文献1】特開2005−182737号公報
【特許文献2】特開2005−146259号公報
【特許文献3】特開平11−312047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3に記載される電子機器は、比較的安価な抵抗膜式タッチパネルに筆圧検出用のパネルスイッチを組み合わせたものであるから、電磁誘導式タッチパネルを使用する構成に比べて、低コストで作製できる利点を有する。しかし、タッチパネルにパネルスイッチを積み重ねて構成されるので、高さ方向寸法が増加したり、画像の透過性が低下したりすることが懸念される。
【0007】
本発明の目的は、パネル型入力装置を備えた電子機器において、パネル型入力装置の座標検出機能に筆圧検出機能を付加した多機能性を有するとともに、高さ方向寸法の増加及び画像透過性の低下を防止しつつ安価に作製できる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、第1基板及び第1基板の一表面に設けられる第1導電膜を有する第1電極板と、第2基板及び第2基板の一表面に設けられる第2導電膜を有する第2電極板とを、第1及び第2導電膜が互いに導通接触可能に対向かつ離間する相対配置で組み合わせてなるパネル型入力装置と、パネル型入力装置の第1導電膜と第2導電膜とが互いに導通接触したときの、接触点の座標を検出する座標検出部とを具備する電子機器において、パネル型入力装置の第1導電膜と第2導電膜とが互いに導通接触したときの、接触点を通る回路の電気抵抗の変化に基づいて、接触点における第1導電膜と第2導電膜との間の接触圧力を検出する圧力検出部を具備することを特徴とする電子機器を提供する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子機器において、パネル型入力装置は、第1導電膜が酸化インジウム錫を用いて形成され、第2導電膜が導電性ポリマーを用いて形成される、電子機器を提供する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電子機器において、パネル型入力装置は、第1基板がガラス板を用いて形成され、第2基板が可撓性樹脂フィルムを用いて形成される、電子機器を提供する。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子機器において、パネル型入力装置は、第1電極板及び第2電極板がいずれも透明である、電子機器を提供する。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子機器において、圧力検出部は、電気抵抗の変化に従って変化するパネル型入力装置の出力電圧が、予め定めた基準電圧に達するまでに要した時間に基づいて、接触圧力を検出する、電子機器を提供する。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子機器において、圧力検出部は、電気抵抗の変化に従って変化するパネル型入力装置の出力電圧の、予め定めた時間間隔における変化率に基づいて、接触圧力を検出する、電子機器を提供する。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子機器において、座標検出部が座標を検出するときと、圧力検出部が接触圧力を検出するときとで、パネル型入力装置の第1電極板の電位と第2電極板の電位とを逆転させるスイッチ部をさらに具備する、電子機器を提供する。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子機器において、パネル型入力装置によって入力された情報を表示する表示部と、座標検出部が検出した座標及び圧力検出部が検出した接触圧力に基づき、表示部の表示動作を制御する制御部とをさらに具備し、制御部は、表示される線の太さが接触圧力に応じて変わるように表示部を制御する、電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る電子機器は、比較的安価な抵抗膜式のパネル型入力装置を用いて、本来の座標検出機能に筆圧検出機能を付加したから、筆圧検出機能付きの電磁誘導式タッチパネルに比べて、低コストで作製できる。しかも、パネル型入力装置に別のパネルスイッチ等を重ね合わせる必要が無いから、電子機器の高さ方向の寸法増加を抑制できる。さらに、パネル型入力装置を透明なタッチパネルとして構成した場合には、やはり別のパネルスイッチ等を重ね合わせる必要が無いから、表示部の画像の透過性が低下する危惧は排除される。このように、本発明に係る電子機器は、パネル型入力装置の座標検出機能に筆圧検出機能を付加した多機能性を有するとともに、高さ方向寸法の増加及び画像透過性の低下を防止しつつ安価に作製できるものである。
【0017】
パネル型入力装置の第1導電膜を酸化インジウム錫から形成し、第2導電膜を導電性ポリマーから形成することで、第1及び第2導電膜の相互接触時の内部抵抗が、接触点の接触圧力の大きさに依存して有意な変化を示すようになり、圧力検出部による接触圧力の安定検出が可能になる。また、第1及び第2電極板の材料や物性を適宜選択することにより、パネル型入力装置をそれ自体透明なタッチパネルとして使用できる。
【0018】
圧力検出部が、パネル型入力装置の出力電圧が所定基準電圧に達するまでに要した時間や、出力電圧の所定時間間隔における変化率に基づいて、接触圧力を検出するようにすれば、接触圧力を容易に特定できる。
【0019】
座標検出時と接触圧力検出時とでパネル型入力装置の第1及び第2電極板の電位を逆転させるようにすれば、一層確実で安定した座標検出及び接触圧力検出を実行できる。
【0020】
制御部が、表示部に表示される線の太さを接触圧力に応じて変えるようにすれば、絵や文字等の手書き入力機能が著しく向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図面を参照すると、図1は、本発明に係る電子機器10の基本構成を示すブロック図、図2は、本発明の一実施形態による電子機器10に組み込まれるパネル型入力装置12の主要構成要素を非入力時と入力時とで示す概略断面図、図3は、パネル型入力装置12の主要構成要素を個別に示す概略平面図である。
【0022】
電子機器10は、パネル型入力装置12と、パネル型入力装置12のパネル押圧部位(すなわち導電膜同士の接触点P)の位置(すなわち二次元座標C)を検出する座標検出部14と、パネル型入力装置12のパネル押圧部位(接触点P)の押圧力(すなわち導電膜同士の接触圧力F)を検出する圧力検出部16とを備える(図1)。
【0023】
パネル型入力装置12は、第1基板18及び第1基板18の一表面18aに設けられる第1導電膜20を有する第1電極板22と、第2基板24及び第2基板24の一表面24aに設けられる第2導電膜26を有する第2電極板28とを備える(図2(a))。第1電極板22の第1基板18及び第1導電膜20と第2電極板28の第2基板24及び第2導電膜26とは、それぞれ、平面視で互いに略同一の矩形輪郭を有する。
【0024】
第1電極板22の第1導電膜20上には、その矩形輪郭の一対の対向辺に沿って、第1導電膜20に電気的に接続される正負一対の短冊状の第1電極(すなわち第1平行電極対)30が、例えばスクリーン印刷法により直接に積層してパターン形成される(図3(a))。同様に、第2電極板28の第2導電膜26上には、その矩形輪郭の、第1平行電極対30とは位置が異なる一対の対向辺に沿って、第2導電膜26に電気的に接続される正負一対の短冊状の第2電極(すなわち第2平行電極対)32が、例えばスクリーン印刷法により直接に積層してパターン形成される(図3(b))。第1平行電極対30及び第2平行電極対32は、図示しない引き回し線及びコネクタ部を介して、座標検出部14及び圧力検出部16、並びに図示しない制御部に接続される。
【0025】
第1電極板22と第2電極板28とは、第1及び第2導電膜20、26が互いに導通接触可能に対向かつ離間する相対配置で組み合わされ、第1及び第2基板18、24の外周縁に沿って枠状に設けられる電気絶縁性の接着剤層34により、互いに重ね合わせた状態で固定される(図2(a))。このとき、第1及び第2導電膜20、26は、互いの輪郭が実質的に整合する位置に配置され、第1及び第2導電膜20、26に接続される第1及び第2平行電極対30、32は、互いに90度異なる位置に配置される。第1及び第2電極板22、28の間の隙間は、接着剤層34の厚みにより確保される。また、第1電極板22の第1導電膜20には、電気絶縁性の複数のドットスペーサ36が、適当な分散配置で設けられる。
【0026】
パネル型入力装置12は、制御部(図示せず)の制御下で、第1電極板22の第1導電膜20及び第2電極板28の第2導電膜26に対し、交互に、それぞれの第1及び第2平行電極対30、32の間に所定電圧が印加されることにより作動する。その状態で、例えば第2電極板28の第2基板24の外面所望位置をペンや指等で押圧すると、押圧部位で両導電膜20、26が互いに導通接触し、電圧を印加していない側の導電膜20、26において押圧部位(接触点P)の位置に対応した分圧V(図1)が出力される。座標検出部14は、両導電膜20、26にこのようにして交互に生じる分圧Vを測定することにより、接触点Pの2次元座標Cを検出する。なお、第1電極板22の第1導電膜20に設けられるドットスペーサ36は、第2電極板28が押圧力下で変形したときに、押圧部位における両導電膜20、26同士の局所的接触を許容するとともに、接触点Pの輪郭を明確にするように作用する。こうした構成は、抵抗膜型タッチパネルにおいて従来知られたものである。
【0027】
本発明の特徴的構成として、圧力検出部16は、パネル型入力装置12の第1導電膜20と第2導電膜26とが互いに導通接触したときの、接触点Pを通る回路の電気抵抗(すなわち第1及び第2導電膜20、26の内部抵抗)Rの変化に基づいて、接触点Pにおける第1及び第2導電膜20、26の間の接触圧力Fを検出する。例えば、内部抵抗Rに対応するパネル型入力装置12の出力電圧(例えば前述した分圧V)と、接触圧力Fとの関係性を予め定めてテーブル化し、図示しないメモリに格納しておけば、圧力検出部16はメモリのテーブルを参照することで、パネル型入力装置12の出力電圧から接触圧力Fを特定することができる。
【0028】
圧力検出部16による接触圧力Fの安定検出を可能にするために、第1導電膜20と第2導電膜26とは、相互接触時の内部抵抗Rが、接触点Pの接触圧力Fの大きさに依存して有意な変化を示すような材料を用いて形成される。ここで、第1及び第2導電膜20、26の双方を、従来の抵抗膜式タッチパネルで多用されている酸化インジウム錫(ITO)から形成した場合、接触圧力Fの大きさに関わらず内部抵抗は殆ど変化せず、僅かな押圧力でも接触点Pの座標Cを安定して検出することができる。これに対し、第1導電膜20を、ITO等の無機導電性組成物を用いて形成し、第2導電膜26を、ITOとは物性の異なる材料(例えば導電性ポリマー等の有機導電性組成物)を用いて形成した場合には、第1及び第2導電膜20、26の相互接触時の内部抵抗Rが、接触点Pの接触圧力Fの大きさに依存して有意な変化を示すようになる。具体的な材料及びその特性については後述する。
【0029】
上記構成を有する電子機器10は、比較的安価な抵抗膜式のパネル型入力装置12を用いて、本来の座標検出機能に筆圧検出機能を付加したから、筆圧検出機能付きの電磁誘導式タッチパネルに比べて、低コストで作製できる利点を有する。しかも、パネル型入力装置12に別のパネルスイッチ等を重ね合わせる必要が無いから、電子機器10の高さ方向の寸法増加を抑制できる。さらに、パネル型入力装置12を透明なタッチパネルとして構成した場合には、やはり別のパネルスイッチ等を重ね合わせる必要が無いから、表示部(図示せず)の画像の透過性が低下する危惧は排除される。このように、電子機器10は、パネル型入力装置12の座標検出機能に筆圧検出機能を付加した多機能性を有するとともに、高さ方向寸法の増加及び画像透過性の低下を防止しつつ安価に作製できるものである。
【0030】
電子機器10のパネル型入力装置12は、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマパネル)、CRT(ブラウン管)等の表示部の画面に重ねて設置可能な、それ自体透明な構造を有するタッチパネルとして構成できる。或いは、パネル型入力装置12を、ポインティングデバイスとして知られている不透明ないし半透明な構造とすることもできる。
【0031】
パネル型入力装置12を透明なタッチパネルとして構成する場合、例えば、第1電極板22を、表示部の画面に隣接配置される下側電極板とし、その第1基板18を透明なガラス板や樹脂板又は樹脂フィルムから形成できる。また、第2電極板28を、オペレータによって押圧操作される上側電極板とし、その第2基板24を可撓性に富む透明樹脂フィルムから形成できる。第1及び第2基板18、24の好適な樹脂材料としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート等を挙げることができる。
【0032】
また、第1電極板22の第1導電膜20は、ITO等の無機導電性組成物から形成でき、例えば真空蒸着法やスパッタリング法によって第1基板18の表面18aに被着できる。他方、第2電極板28の第2導電膜26は、導電性ポリマー等の有機導電性組成物から形成でき、例えば塗布法や印刷法によって第2基板24の表面24aに被着できる。タッチパネルに要求される筆記耐久性等を考慮すれば、上側電極板となる第2電極板28の第2導電膜26を、導電性ポリマーから形成することが有利である。或いは、第1導電膜20を導電性ポリマー等の有機導電性組成物から形成するとともに、第2導電膜26をITO等の無機導電性組成物から形成することもできる。
【0033】
一実施形態として、第1電極板22の第1導電膜20をITOから形成し、第2電極板28の第2導電膜26を導電性ポリマーから形成したパネル型入力装置12における、第1及び第2導電膜20、26の相互接触時の内部抵抗Rと接触圧力Fとの関係を、図4(a)に示す。また比較例として、第1及び第2導電膜20、26の双方をITOから形成したパネル型入力装置12における、第1及び第2導電膜20、26の相互接触時の内部抵抗Rと接触圧力Fとの関係を、図4(b)に示す。
【0034】
図4に明示されるように、第1及び第2導電膜20、26をそれぞれITO及び導電性ポリマーから形成した場合は、接触圧力Fがごく小さい範囲では内部抵抗Rが接触圧力Fの増加に伴って減少し、接触圧力Fがある程度大きい範囲で内部抵抗Rが一定値に安定する。これに対し、第1及び第2導電膜20、26の双方をITOから形成した場合は、接触圧力Fの大きさに関わらず内部抵抗Rが一定値に安定する。本発明に係る電子機器10は、パネル型入力装置12の第1導電膜20と第2導電膜26とを互いに物性の異なる材料(例えばITOと導電性ポリマー)から形成したときの、相互接触時の内部抵抗Rと接触圧力Fとの図示のような特徴的関係を利用して、圧力検出部16による筆圧検出を可能にしている。
【0035】
パネル型入力装置12の第1又は第2導電膜20、26に好適に使用できる有機導電性組成物は、例えば既述の特許文献1及び2に記載される導電性ポリマーである。特に、パネル型入力装置12をタッチパネルとして構成する場合は、透明性に優れたポリチオフェン系ポリマーを使用することが好ましい。パネル型入力装置12で使用できる他の導電性ポリマーとして、ポリアニリン、ポリビロール、ポリエチレンジオキシチオフェン等が挙げられる。
【0036】
導電性ポリマーからなる第1又は第2導電膜20、26の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.1〜1μmである。厚みが0.01μm未満であると、導電膜20、26の抵抗が不安定になることがあり、厚みが10μmを超えると、基板18、24との密着性が低下することがある。また、導電性ポリマーからなる第1又は第2導電膜20、26の表面抵抗率(例えばJISK6911に準拠)は、特に限定されないが、例えば5000Ω/□(ohm/square)以下、好ましくは3000Ω/□以下、さらに好ましくは1500Ω/□以下である。表面抵抗率が、5000Ω/□を超えると、入力時の応答性が低下することがある。なお、ITOからなる第1又は第2導電膜20、26も、同様の物性を有することが望ましい。また、導電性ポリマーからなる第1又は第2導電膜20、26の形成方法は、特に限定されないが、例えば、スピンコート法、ローラコート法、バーコート法、ディップコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、ニーダーコート法等の塗布法や、スクリーン印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、平版印刷法等の印刷法を採用できる。
【0037】
次に、圧力検出部16による接触圧力Fの検出方法を、幾つかの例を挙げて説明する。
例えば、図5に示すように、第1電極板22の第1導電膜20をITOから形成し、第2電極板28の第2導電膜26を導電性ポリマーから形成したパネル型入力装置12における出力電圧(分圧V)は、前述した内部抵抗Rと接触圧力Fとの関係に従い、押圧開始直後の立ち上がり波形がパネル押圧力に依存して異なる形態を示す。つまり、パネル押圧力が大きいほど、出力電圧Vが短時間で安定する。
【0038】
この特性を利用して、圧力検出部16は、例えば図6に示すように、パネル型入力装置12の出力電圧Vが予め定めた基準電圧V0に達するまでに要した時間T=T0に基づいて、パネル押圧力、すなわち第1及び第2導電膜20、26の接触点P(図2)の接触圧力Fを検出することができる。この場合、例えばパネル型入力装置12で押圧部位の座標検出の前(或いは座標検出とは別)にON検出に用いられる出力電圧Vの閾値を、基準電圧V0として用いることができる。
【0039】
さらに具体的には、圧力検出部16は、パネル押圧開始直後に出力電圧Vが予め定めた初期電圧Viに達したときに時間Tの計測を開始し(T=Ti)、出力電圧Vが基準電圧(閾値)V0に達したときに時間Tの計測を終了して(T=T0)、経過時間ΔT=T0−Tiの長さに応じて接触圧力Fを特定する。このとき、例としてメモリ(図示せず)のテーブルに、(1)ΔT>t1・・・ONせず(接触圧力Fが小さすぎる)、(2)t1>ΔT>t2・・・接触圧力F=低と特定してON処理、(3)t2>ΔT>t3・・・接触圧力F=中と特定してON処理、(4)t3>ΔT・・・接触圧力F=大と特定してON処理、といった複数段階での関係性を記述しておく。圧力検出部16は、算出したΔTをメモリに一時的に記憶するとともに、メモリのテーブルを参照して、ΔTに基づき接触圧力Fを検出する。そして制御部(図示せず)が、検出された接触圧力Fに応じた制御信号を出力する。
【0040】
或いは圧力検出部16は、図7に示すように、パネル型入力装置12の出力電圧Vの、予め定めた時間間隔における変化率ΔVに基づいて、パネル押圧力、すなわち第1及び第2導電膜20、26の接触点P(図2)の接触圧力Fを検出することができる。この場合、例えばパネル型入力装置12で押圧部位の座標を検出する際に用いられる出力電圧Vの既定値V1(例えば図6における時刻T0から所定時間経過した時刻T1における値)を、変化率ΔVを求めるために使用できる。
【0041】
さらに具体的には、圧力検出部16は、出力電圧Vが前述した基準電圧V0に達した直後の時刻T2における出力電圧Vの値V2を測定し、出力電圧Vの変化率ΔV=V2/V1の大きさに応じて接触圧力Fを特定する。このとき、例としてメモリ(図示せず)のテーブルに、(1)ΔV<v1≪1・・・接触圧力F=低と特定してON処理、(2)v1<ΔV<v2<1・・・接触圧力F=中と特定してON処理、(3)v2<ΔV≒1・・・接触圧力F=大と特定してON処理、といった複数段階での関係性を記述しておく。圧力検出部16は、算出したΔVをメモリに一時的に記憶するとともに、メモリのテーブルを参照して、ΔVに基づき接触圧力Fを検出する。そして制御部(図示せず)が、検出された接触圧力Fに応じた制御信号を出力する。
【0042】
パネル型入力装置12において、第1電極板22の第1導電膜20をITOから形成し、第2電極板28の第2導電膜26を導電性ポリマーから形成した場合、第1及び第2導電膜20、26の相互接触時の内部抵抗Rと接触圧力Fとの相関性は、第1及び第2導電膜20、26の電位によって異なるものとなる。例えば図8に示すように、第1導電膜20を接地電位として、第2導電膜26を負の電位とした場合の相関性Aは、第2導電膜26を正の電位とした場合の相関性Bに比べて、内部抵抗Rが接触圧力Fの大きさに依存して顕著な変化を示す。換言すれば、圧力検出部16が内部抵抗Rの変化に基づいて接触圧力Fを検出する際には、第2導電膜26を負の電位とすることが望ましく、座標検出部14が出力電圧V(内部抵抗R)に基づいて座標Cを検出する際には、第2導電膜26を正の電位とすることが望ましい。
【0043】
図9は、図8の特性を利用した本発明の一実施形態による電子機器40の構成をブロック図で示す。電子機器40は、前述した電子機器10と同じ基本構成を有するので、対応する構成要素には共通の符号を付してその説明を省略する。
【0044】
電子機器40は、座標検出部14が接触点Pの座標Cを検出するときと、圧力検出部16が接触点Pの接触圧力Fを検出するときとで、パネル型入力装置12の第1電極板22の電位と第2電極板28の電位とを逆転させるスイッチ部42と、スイッチ部42に第1及び第2電極板22、28の電位逆転を指令する制御部44とをさらに備える。この構成では、例えば圧力検出部16が図6及び図7に示す接触圧力検出方法を実行する際に、接地電位にある第1電極板22(第1導電膜20)に対し、出力電圧Vが座標検出用の既定値V1に達するまでは、制御部44の制御下でスイッチ部42が第2電極板28(第2導電膜26)を負の電位にしてパネル型入力装置12を駆動する。それにより、圧力検出部16が接触点Pの接触圧力Fを安定して検出できる。そして、出力電圧Vが既定値V1に達した後は、制御部44の制御下でスイッチ部42が第2電極板28(第2導電膜26)を正の電位にしてパネル型入力装置12を駆動する。それにより、座標検出部14が接触点Pの座標Cを安定して検出できる。
【0045】
図9に示すように、座標検出部14、圧力検出部16及び制御部44はそれぞれ、マイクロプロセッサ等の処理部46の一機能として実現できる。また、スイッチ部42は、IC等の無接点スイッチから構成できる。また、パネル型入力装置12の出力電圧Vは、ノイズフィルタ(図示せず)を介して座標検出部14及び圧力検出部16に入力できる。また、制御部44に対する信号の入出力は、A/D変換器を介して行うことができる。なお図9には、圧力検出部16が接触圧力検出時に参照するテーブルを予め格納したり、出力電圧Vに関連する測定データ(ΔT、ΔV等)を一時的に記憶したりするメモリ48が示されている。
【0046】
制御部44は、座標検出部14及び圧力検出部16の検出結果に基づいて、インタフェースドライバ50に制御信号を出力できる。インタフェースドライバ50は、パネル型入力装置12によって入力された情報を表示する表示部52等の、外部機器を駆動できる。或いは電子機器40は、表示部52を予め内蔵することもできる。そして制御部44は、座標検出部14が検出した座標C及び圧力検出部16が検出した接触圧力Fに基づき、例えば、表示部52の画面に表示される線の太さが接触圧力Fに応じて変わるように、表示部52の表示動作を制御することができる。このような構成を有する電子機器40は、絵や文字等の手書き入力機能を著しく向上させたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る電子機器の基本構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1の電子機器に組み込まれるパネル型入力装置の主要部を、厚み方向に拡大して模式図的に示す断面図で、(a)非入力時、及び(b)入力時の状態を示す。
【図3】(a)及び(b)はそれぞれ、図2のパネル型入力装置の主要構成要素の概略平面図である。
【図4】(a)本発明の一実施形態によるパネル型入力装置、及び(b)比較例によるパネル型入力装置における、電極板の内部抵抗と接触圧力との関係を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態によるパネル型入力装置における、出力電圧の立ち上がり波形を、異なる押圧力について示す図である。
【図6】本発明に係る電子機器が実行する筆圧検出方法の一例を説明する図である。
【図7】本発明に係る電子機器が実行する筆圧検出方法の他の例を説明する図である。
【図8】本発明の一実施形態によるパネル型入力装置における、電極板の内部抵抗と接触圧力との関係を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態による電子機器の構成を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
10、40 電子機器
12 パネル型入力装置
14 座標検出部
16 圧力検出部
18 第1基板
20 第1導電膜
22 第1電極板
24 第2基板
26 第2導電膜
28 第2電極板
42 スイッチ部
44 制御部
52 表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板及び該第1基板の一表面に設けられる第1導電膜を有する第1電極板と、第2基板及び該第2基板の一表面に設けられる第2導電膜を有する第2電極板とを、該第1及び第2導電膜が互いに導通接触可能に対向かつ離間する相対配置で組み合わせてなるパネル型入力装置と、該パネル型入力装置の該第1導電膜と該第2導電膜とが互いに導通接触したときの、接触点の座標を検出する座標検出部とを具備する電子機器において、
前記パネル型入力装置の前記第1導電膜と前記第2導電膜とが互いに導通接触したときの、前記接触点を通る回路の電気抵抗の変化に基づいて、該接触点における該第1導電膜と該第2導電膜との間の接触圧力を検出する圧力検出部を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記パネル型入力装置は、前記第1導電膜が酸化インジウム錫を用いて形成され、前記第2導電膜が導電性ポリマーを用いて形成される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記パネル型入力装置は、前記第1基板がガラス板を用いて形成され、前記第2基板が可撓性樹脂フィルムを用いて形成される、請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記パネル型入力装置は、前記第1電極板及び前記第2電極板がいずれも透明である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記圧力検出部は、前記電気抵抗の変化に従って変化する前記パネル型入力装置の出力電圧が、予め定めた基準電圧に達するまでに要した時間に基づいて、前記接触圧力を検出する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記圧力検出部は、前記電気抵抗の変化に従って変化する前記パネル型入力装置の出力電圧の、予め定めた時間間隔における変化率に基づいて、前記接触圧力を検出する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記座標検出部が前記座標を検出するときと、前記圧力検出部が前記接触圧力を検出するときとで、前記パネル型入力装置の前記第1電極板の電位と前記第2電極板の電位とを逆転させるスイッチ部をさらに具備する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記パネル型入力装置によって入力された情報を表示する表示部と、前記座標検出部が検出した前記座標及び前記圧力検出部が検出した前記接触圧力に基づき、該表示部の表示動作を制御する制御部とをさらに具備し、該制御部は、表示される線の太さが該接触圧力に応じて変わるように該表示部を制御する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項1】
第1基板及び該第1基板の一表面に設けられる第1導電膜を有する第1電極板と、第2基板及び該第2基板の一表面に設けられる第2導電膜を有する第2電極板とを、該第1及び第2導電膜が互いに導通接触可能に対向かつ離間する相対配置で組み合わせてなるパネル型入力装置と、該パネル型入力装置の該第1導電膜と該第2導電膜とが互いに導通接触したときの、接触点の座標を検出する座標検出部とを具備する電子機器において、
前記パネル型入力装置の前記第1導電膜と前記第2導電膜とが互いに導通接触したときの、前記接触点を通る回路の電気抵抗の変化に基づいて、該接触点における該第1導電膜と該第2導電膜との間の接触圧力を検出する圧力検出部を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記パネル型入力装置は、前記第1導電膜が酸化インジウム錫を用いて形成され、前記第2導電膜が導電性ポリマーを用いて形成される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記パネル型入力装置は、前記第1基板がガラス板を用いて形成され、前記第2基板が可撓性樹脂フィルムを用いて形成される、請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記パネル型入力装置は、前記第1電極板及び前記第2電極板がいずれも透明である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記圧力検出部は、前記電気抵抗の変化に従って変化する前記パネル型入力装置の出力電圧が、予め定めた基準電圧に達するまでに要した時間に基づいて、前記接触圧力を検出する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記圧力検出部は、前記電気抵抗の変化に従って変化する前記パネル型入力装置の出力電圧の、予め定めた時間間隔における変化率に基づいて、前記接触圧力を検出する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記座標検出部が前記座標を検出するときと、前記圧力検出部が前記接触圧力を検出するときとで、前記パネル型入力装置の前記第1電極板の電位と前記第2電極板の電位とを逆転させるスイッチ部をさらに具備する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記パネル型入力装置によって入力された情報を表示する表示部と、前記座標検出部が検出した前記座標及び前記圧力検出部が検出した前記接触圧力に基づき、該表示部の表示動作を制御する制御部とをさらに具備し、該制御部は、表示される線の太さが該接触圧力に応じて変わるように該表示部を制御する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2009−123158(P2009−123158A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299288(P2007−299288)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】
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