パネル梱包箱
【課題】液晶表示パネルなどのパネルを複数枚積み重ねて収容するパネル梱包箱であって、そのパネル梱包箱を上下逆さにしてもパネルの梱包・取り出しが可能な構造とすることで、複数枚のパネルの反転を一括して行うことが可能なパネル梱包箱を提供すること。
【解決手段】矩形状のパネル収容面を有した上箱部材と矩形状のパネル収容面を有した下箱部材とから成り、上箱部材と下箱部材のいずれかのパネル収容面に複数枚の四角形状を有するパネルが積み重ねられて収容されるパネル梱包箱であって、上箱部材には、収容されるパネルの四隅角部を囲むように配置される平面視でL字形状を有する4つの角部側壁が立設され、下箱部材には、収容されるパネルの四辺を部分的に囲むように配置される平面視で長方形状を有する4つの辺部側壁が立設され、上箱部材に設けられた角部側壁と下箱部材に設けられた辺部側壁とが上下に隙間無く嵌合されるようにした。
【解決手段】矩形状のパネル収容面を有した上箱部材と矩形状のパネル収容面を有した下箱部材とから成り、上箱部材と下箱部材のいずれかのパネル収容面に複数枚の四角形状を有するパネルが積み重ねられて収容されるパネル梱包箱であって、上箱部材には、収容されるパネルの四隅角部を囲むように配置される平面視でL字形状を有する4つの角部側壁が立設され、下箱部材には、収容されるパネルの四辺を部分的に囲むように配置される平面視で長方形状を有する4つの辺部側壁が立設され、上箱部材に設けられた角部側壁と下箱部材に設けられた辺部側壁とが上下に隙間無く嵌合されるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルなどのパネルを複数枚積層して収容するパネル梱包箱に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータやテレビなどの家電製品の表示部として、液晶表示パネルが広く用いられている。液晶表示パネルは、一般には図9に示されるように薄膜トランジスタ(TFT)アレイ基板20とカラーフィルタ(CF)基板30とからなる一対の基板が所定の間隔を置いて平行に対向配置され、両基板20,30間に液晶40が充填された構成をなしている。TFTアレイ基板20には複数の画素電極21がマトリクス状に形成され、CF基板30にはほぼ全面に共通電極31が形成されており、これら電極21,31間に印加する電圧を変化させることで、液晶40を配向制御することができるようになっている。
【0003】
このような液晶表示パネル10を製造装置間において移送する際には、例えば下記特許文献1に開示されているようなパネル梱包箱が用いられている(図10参照)。図示されるようにパネル梱包箱100の内部には、複数枚の液晶表示パネル10が積み重ねられて収容されており、液晶表示パネル10同士の間には液晶表示パネル10に傷が付かないように緩衝材として樹脂製の合紙51が介在されている。パネル梱包箱100は、矩形状のパネル収容面101aを有した本体部101と蓋体102とから構成されている。
【0004】
通常、このようなパネル梱包箱100では、液晶表示パネル10はCF基板30が図11(a)に示されるように上側になるように収容されており、液晶表示パネル10の点灯検査ではCF基板30が上側のままパネル梱包箱100から液晶表示パネル10を一枚ずつ取り出して検査台に載せて点灯検査が行われている。
【0005】
また、TFTアレイ基板20に形成された電気配線に断線等がある場合は、TFTアレイ基板20が上側になった液晶表示パネル10に上方からレーザ光を照射する修正装置によって修正が行われる。このような場合は、パネル梱包箱100からCF基板30が上側になった液晶表示パネル10を取り出した後、図11(b)に示されるように液晶表示パネル10を反転させてTFTアレイ基板20が上側になるようにして修正装置の台に載せる必要がある。このような液晶表示パネル10の反転は、作業者によって手作業で行われるか、修正装置等が備えるパネル反転装置で行われている。
【0006】
【特許文献1】特開2007−84124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、液晶表示パネル10単体での反転ではパネル枚数分の反転作業が必要であることから時間がかかり、また、反転の際に液晶表示パネル10が他の部材に接触して傷が付いたり割れたりする場合があった。
【0008】
そこで、本発明が解決する課題は、液晶表示パネルなどのパネルを複数枚積み重ねて収容するパネル梱包箱であって、そのパネル梱包箱を上下逆さにしてもパネルの梱包・取り出しが可能な構造とすることで、複数枚のパネルの反転を一括して行うことが可能なパネル梱包箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明は、矩形状のパネル収容面を有した上箱部材と矩形状のパネル収容面を有した下箱部材とから成り、前記上箱部材と前記下箱部材のいずれかのパネル収容面に複数枚の四角形状を有するパネルが積み重ねられて収容されるパネル梱包箱であって、前記上箱部材には、収容される前記パネルの四隅角部を囲むように配置される平面視でL字形状を有する4つの角部側壁が立設され、前記下箱部材には、収容される前記パネルの四辺を部分的に囲むように配置される平面視で長方形状を有する4つの辺部側壁が立設され、前記上箱部材に設けられた前記角部側壁と前記下箱部材に設けられた前記辺部側壁とが上下に隙間無く嵌合されることを要旨とするものである。
【0010】
このような構成を有するパネル梱包箱によれば、上箱部材には、収容されるパネルの四隅角部を囲むように配置される平面視でL字形状を有する4つの角部側壁が立設されているので、持ち運びする際に上箱部材のパネル収容面に積み重ねられたパネルが横滑りして箱からはみ出してしまうことが角部側壁によって防止されている。
【0011】
また、下箱部材には、収容されるパネルの四辺を部分的に囲むように配置される平面視で長方形状を有する4つの辺部側壁が立設されているので、持ち運びする際に下箱部材のパネル収容面に積み重ねられたパネルが横滑りして箱からはみ出してしまうことが辺部側壁によって防止されている。したがって、上箱部材と下箱部材のいずれにおいても、パネルの横すべりを防止しつつ積み重ねて収容することができるようになっている。
【0012】
更に、上箱部材に設けられた角部側壁と下箱部材に設けられた辺部側壁とが上下に隙間無く嵌合されるようになっているので、上箱部材と下箱部材が嵌合されたパネル梱包箱を、上下逆さに反転するだけで、収容された複数枚のパネル全てを一括して反転することが可能である。
【0013】
また、上記課題を解決するため別の本発明は、矩形状のパネル収容面を有した上箱部材と矩形状のパネル収容面を有した下箱部材とから成り、前記上箱部材と前記下箱部材のいずれかのパネル収容面に複数枚の四角形状を有するパネルが積み重ねられて収容されるパネル梱包箱であって、前記上箱部材には、収容される前記パネルの対角する二隅角部とそれら角部に繋がる前記パネルの二辺部のそれぞれ半分とを囲むように配置される平面視でL字形状を有する2つのL字型側壁が立設され、前記下箱部材には、収容される前記パネルの対角する二隅角部とそれら角部に繋がる前記パネルの二辺部のそれぞれ半分とを囲むように配置される平面視でL字形状を有する2つのL字側壁が立設され、前記上箱部材に設けられた前記L字型側壁と前記下箱部材に設けられたL字側壁とが上下に隙間無く嵌合されると共に、前記上箱部材と前記下箱部材が同一形状を有していること要旨とするものである。
【0014】
このような構成を有するパネル梱包箱によれば、上箱部材には、収容されるパネルの対角する二隅角部とそれら角部に繋がるパネルの二辺部のそれぞれ半分とを囲むように配置される平面視でL字形状を有する2つのL字型側壁が立設されているので、持ち運びする際に上箱部材のパネル収容面に積み重ねられたパネルが横滑りして箱からはみ出してしまうことがL字型側壁によって防止されている。
【0015】
また、下箱部材には、収容されるパネルの対角する二隅角部とそれら角部に繋がるパネルの二辺部のそれぞれ半分とを囲むように配置される平面視でL字形状を有する2つのL字側壁が立設されているので、持ち運びする際に下箱部材のパネル収容面に積み重ねられたパネルが横滑りして箱からはみ出してしまうことがL字型側壁によって防止されている。したがって、上箱部材と下箱部材のいずれにおいても、パネルの横すべりを防止しつつ積み重ねて収容することができるようになっている。
【0016】
更に、上箱部材に設けられたL字型側壁と下箱部材に設けられたL字側壁とが上下に隙間無く嵌合されるようになっているので、上箱部材と下箱部材が嵌合されたパネル梱包箱を、上下に逆さに反転するだけで、収容された複数枚のパネル全てを一括して反転することが可能である。また、上箱部材と下箱部材が同一形状を有している構成なので、箱部材の製作に用いられる金型等の種類を削減することができ、パネル梱包箱の製作や管理にかかるコスト等を抑えることが可能である。
【0017】
このような本発明に係るパネル梱包箱の具体的な使用態様としては、例えば、上述した液晶表示パネルを複数枚積み重ねて収容するパネル梱包箱として用いる場合では、通常は、下箱部材にCF基板が上側になっている液晶表示パネルを複数枚積み重ねて収容しておき、点灯検査などではCF基板が上側のまま液晶表示パネルを取り出して検査することができる。
【0018】
そして、修正装置などで修正するときのようにTFTアレイ基板が上側になるようにしたい場合は、CF基板が上側の複数枚の液晶表示パネルを収容した下箱部材に上箱部材を装着して嵌合させたパネル梱包箱を箱ごと上下逆さに反転することで、複数枚の液晶表示パネル全てをTFTアレイ基板が上側になるように一括して反転させることができる。これにより今度は上箱部材にTFTアレイ基板が上側の複数枚の液晶表示パネルが収容された状態にされる。そして、下箱部材が外された上箱部材からTFTアレイ基板が上側になった液晶表示パネルをそのまま取り出して修正が行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
上記構成を有する本発明に係るパネル梱包箱によれば、パネル梱包箱を上下逆さにしてもパネルの梱包と取り出しが可能な構造になっている。したがって、パネル梱包箱ごと反転させることで、収容された複数枚のパネル全てを一括で反転させることができる。これにより、従来、修正装置などの各種装置に備えられていたパネル反転装置を削減することや、作業者が手作業で行っていた液晶表示パネルを反転する回数を例えば20回から1回へと減らすことができる。
【0020】
つまり、予め、パネル梱包箱を反転させることで、例えば20枚の液晶表示パネルを毎回反転させる工程を省略することが可能であり、パネル反転装置の省略化、作業者が手作業で行っていた反転の際の怪我防止、更には液晶表示パネルの割れ等の防止に貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明に係るパネル梱包箱の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。先ず、本発明に係るパネル梱包箱の第1の実施形態について説明する。図1は第1の実施形態に係るパネル梱包箱の分解斜視図、図2は図1の上箱部材と下箱部材を上下逆さに配置した状態を示した図である。
【0022】
また、図3は下箱部材にCF基板が上側の液晶表示パネルを積み重ねて収容した状態を示した外観斜視図、図4は上箱部材にTFTアレイ基板が上側の液晶表示パネルを積み重ねて収容した状態を示した外観斜視図である。
【0023】
更に、図5(a)は下箱部材が下側、上箱部材が上側で両箱部材を嵌合させて閉じた状態のパネル梱包箱の外観斜視図、図5(b)は上箱部材が下側、下箱部材が上側で両箱部材を嵌合させて閉じた状態のパネル梱包箱の外観斜視図である。図6(a)は図5(a)の断面図、図6(b)は図5(b)の断面図である。
【0024】
図1に示されるようにパネル梱包箱1は、上箱部材2と下箱部材3を備えている。下箱部材3は発泡樹脂などの樹脂材料から成形されたもので、液晶表示パネル10が収容される矩形状のパネル収容面3aを有した底板3bが設けられており、底板3bにはパネル収容面3aの両短辺と両長辺の中央部を含むように部分的に囲む平面視で長方形状を有する短辺部側壁3c,3cと長辺部側壁3d,3dが立設されている。
【0025】
また、短辺部側壁3cと長辺部側壁3dは、図6(a)の断面図に示されるように、合紙51が介在されて積み重ねられた液晶表示パネル10複数枚分の厚さを超える高さを有している。この場合、短辺部側壁3c,3cと長辺部側壁3d,3dが設けられていないパネル収容面3aの四隅角部には、平面視でL字形状に切り欠かれた切欠部3e,3e,3e,3eが形成されている。
【0026】
上箱部材2は発泡樹脂などの樹脂材料から成形されたもので、液晶表示パネル10が収容される矩形状のパネル収容面2aを有した底板2bが設けられており、底板2bにはパネル収容面2aの四隅角部を囲む平面視でL字形状を有する角部側壁2c,2c,2c,2cが立設されている。この場合、角部側壁2cの高さは下箱部材3に立設された短辺部側壁3cと長辺部側壁3dと同じ高さを有している。そして、上箱部材2の角部側壁2c,2c,2c,2cは、図5に示されるように下箱部材3の四隅角部の切欠部3e,3e,3e、3eに挿入されて、短辺側壁3cと長辺側壁3dとが隙間無く嵌合されるようになっている。
【0027】
また、角部側壁2c,2c,2c,2cが設けられていないパネル収容面2aの両短辺部と両長辺部、つまり各角部側壁2c間には、平面視で長方形状に切り欠かれた切欠部2d,2d,2d,2dが形成されており、この切欠部2d,2d,2d,2dには、図5に示されるように下箱部材5の短辺部側壁3c,3cと長辺側壁3d,3dが挿入されて隙間無く嵌合されるようになっている。
【0028】
尚、図5および図6に示されるように上箱部材2と下箱部材3が上下に嵌合した状態では、上箱部材2に設けられた角部側壁2c,2c,2c,2cの内壁面と下箱部材3に設けられた短辺部側壁3c,3cおよび長辺部側壁3d,3dの内壁面は面が一致するように形成されており、液晶表示パネル10を収容した状態でパネル梱包箱1を反転した際に、パネル梱包箱1の側壁の内壁面に液晶表示パネル10の辺部が片当たりして割れないように、液晶表示パネル10の辺部全体がパネル梱包箱1の側壁の内壁面に均一に当接するようになっている。
【0029】
このような上箱部材2と下箱部材3からなるパネル梱包箱1を用いることで、通常は、図3に示されるように下箱部材3を下側にしてCF基板30が上側の液晶表示パネル10を複数枚積み重ねて収容しておき、点灯検査などではCF基板30が上側のまま液晶表示パネル10を取り出して検査することができる。
【0030】
そして、TFTアレイ基板20に形成された配線に断線等がある場合に、TFTアレイ基板20が上側になった液晶表示パネル10に上方からレーザ光を照射する修正装置などで修正するときのようにTFTアレイ基板10が上側になるようにしたい場合は、図3の状態から図5(a)に示されるように下箱部材3に上箱部材2を上方から装着して、図5(b)に示されるようにパネル梱包箱1を箱ごと上下逆さに反転する。このようなパネル梱包箱1の反転は、作業者が手作業で、もしくは、パネル梱包箱1を上下に把持する治具等を用いて行うことができる。
【0031】
これにより、図4に示されるように複数枚の液晶表示パネル10全てをTFTアレイ基板20が上側になるように一括して反転させることができる。そして、図示されるように下側の上箱部材2から下箱部材3を上方に外すことで、TFTアレイ基板20が上側になった液晶表示パネル10を上箱部材2から取り出して修正が行うことができる。
【0032】
このようにパネル梱包箱1を上下2分割の上箱部材2と下箱部材3とにより構成し、上下逆さにしても液晶表示パネル10の梱包・取り出し可能な構造とすることで、必要に応じて複数枚の液晶表示パネル10を一括して反転させることが可能である。
【0033】
これにより従来のようにパネル梱包箱100から一枚ずつ液晶表示パネル10を取り出して液晶表示パネル10単体で反転させた場合に比べて、反転にかかる時間を短縮することができる上に、液晶表示パネル10に傷や割れが発生してしまうおそれがなくなる。
【0034】
したがって、上述したパネル梱包箱1を採用することで複数枚の液晶表示パネル10の反転がパネル梱包箱1単位での反転によって可能となるため、従来、修正装置などの各種装置に備えられていたパネル反転装置を削減することや、作業者が手作業で行っていた液晶表示パネル10を反転する回数を例えば20回から1回へと減らすことができる。
【0035】
以上説明したパネル梱包箱1によれば、上箱部材2には、収容される液晶表示パネル10の四隅角部を囲むように配置される平面視でL字形状を有する4つの角部側壁2c,2c,2c,2cが立設されているので、図4に示されるように持ち運びする際に上箱部材2のパネル収容面2aに積み重ねられた液晶表示パネル10が横滑りして箱からはみ出してしまうことが角部側壁2c,2c,2c,2cによって防止されている。
【0036】
また、下箱部材3には、収容される液晶表示パネル10の四辺を部分的に囲むように配置される平面視で長方形状を有する4つの辺部側壁3c,3c,3d,3dが立設されているので、図3に示されるように持ち運びする際に下箱部材3のパネル収容面3aに積み重ねられた液晶表示パネル10が横滑りして箱からはみ出してしまうことが辺部側壁3c,3c,3d,3dによって防止されている。したがって、上箱部材2と下箱部材3のいずれにおいても、液晶表示パネル10の横すべりを防止しつつ積み重ねて収容することができるようになっている。
【0037】
更に、上箱部材2に設けられた角部側壁2c,2c,2c,2cと下箱部材3に設けられた辺部側壁3c,3c,3d,3dとが上下に隙間無く嵌合されるようになっているので、上箱部材2と下箱部材3が嵌合されたパネル梱包箱1を、上下に逆さに反転するだけで、収容された複数枚の液晶表示パネル10全てを一括して反転することが可能である。
【0038】
次に、本発明に係るパネル梱包箱の第2の実施形態について説明する。図7は第2の実施形態に係るパネル梱包箱の分解斜視図、図8は上箱部材と下箱部材を嵌合させて閉じた状態のパネル梱包箱の外観斜視図である。
【0039】
図示されるようにパネル梱包箱5は、同一形状を有した上箱部材6と下箱部材7を備えている。下箱部材7は発泡樹脂などの樹脂材料から成形されたもので、液晶表示パネル10が収容される矩形状のパネル収容面7aを有した底板7bが設けられており、底板7bにはパネル収容面7aの対角する二隅角部とそれら角部に繋がるパネル収容面7aの二辺部のそれぞれ半分とを囲む平面視でL字形状を有する2つのL字型側壁7c,7cが立設されている。
【0040】
また、L字型側壁7c,7cは、図6(a)の断面図に示される場合と同様に、合紙51が介在されて積み重ねられた液晶表示パネル10複数枚分の厚さを超える高さを有している。この場合、L字側壁7c,7cが設けられていないパネル収容面7aの対角する二隅角部には、平面視でL字形状に切り欠かれた切欠部7d,7dが形成されている。
【0041】
上箱部材6は発泡樹脂などの樹脂材料から成形されたもので、液晶表示パネル10が収容される矩形状のパネル収容面6aを有した底板6bが設けられており、底板6bにはパネル収容面6aの対角する二隅角部とそれら角部に繋がるパネル収容面6aの二辺部のそれぞれ半分とを囲む平面視でL字形状を有する2つのL字型側壁6c,6cが立設されている。この場合、L字型側壁6cの高さは下箱部材7に立設されたL字型側壁7cと同じ高さを有している。そして、上箱部材6のL字型側壁6c,6cは、図8に示されるように下箱部材7の切欠部7d,7dに挿入されて、L字型側壁7c,7cと隙間無く嵌合されるようになっている。
【0042】
また、L字型側壁6c,6cが設けられていないパネル収容面6aの対角する二隅角部には、平面視で長方形状に切り欠かれた切欠部6d,6dが形成されており、この切欠部6d,6dには、図8に示されるように下箱部材7のL字型側壁7c,7cが挿入されて隙間無く嵌合されるようになっている。
【0043】
尚、図8に示されるように上箱部材6と下箱部材7が上下に嵌合した状態では、上箱部材6に設けられたL字型側壁6c,6cの内壁面と下箱部材7に設けられたL字型側壁7c,7cの内壁面は面が一致するように形成されており、液晶表示パネル10を収容した状態でパネル梱包箱5を反転した際に、パネル梱包箱5の側壁の内壁面に液晶表示パネル10の辺部が片当たりして割れないように、液晶表示パネル10の辺部全体がパネル梱包箱5の側壁の内壁面に均一に当接するようになっている。
【0044】
以上説明したパネル梱包箱5によれば、上箱部材6には、収容される液晶表示パネル10の対角する二隅角部とそれら角部に繋がる液晶表示パネル0の二辺部のそれぞれ半分とを囲むように配置される平面視でL字形状を有する2つのL字型側壁6c,6cが立設されているので、持ち運びする際に上箱部材6のパネル収容面6aに積み重ねられた液晶表示パネル10が横滑りして箱からはみ出してしまうことがL字型側壁6c,6cによって防止されている。
【0045】
また、下箱部材7には、収容される液晶表示パネル10の対角する二隅角部とそれら角部に繋がる液晶表示パネル10の二辺部のそれぞれ半分とを囲むように配置される平面視でL字形状を有する2つのL字側壁7c,7cが立設されているので、持ち運びする際に下箱部材7のパネル収容面7aに積み重ねられた液晶表示パネル10が横滑りして箱からはみ出してしまうことがL字型側壁7c,7cによって防止されている。したがって、上箱部材6と下箱部材7のいずれにおいても、液晶表示パネル10の横すべりを防止しつつ積み重ねて収容することができるようになっている。
【0046】
更に、上箱部材6に設けられたL字型側壁6c,6cと下箱部材7に設けられたL字側壁7c,7cとが上下に隙間無く嵌合されるようになっているので、上箱部材6と下箱部材7が嵌合されたパネル梱包箱5を、上下に逆さに反転するだけで、収容された複数枚の液晶表示パネル10全てを一括して反転することが可能である。また、上箱部材6と下箱部材7が同一形状を有している構成なので、箱部材6,7の製作に用いられる金型等の種類を削減することができ、パネル梱包箱5の製作や管理にかかるコスト等を抑えることが可能である。
【0047】
以上、本発明に係るパネル梱包箱の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、本発明のパネル梱包箱に収容されるパネルには、上述した液晶表示パネルなどの表示パネルの他に、絶縁性の透明基板など種々なるパネル状のものが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るパネル梱包箱の概略構成を示した分解斜視図である。
【図2】図1のパネル梱包箱を上下逆さにして示した分解斜視図である。
【図3】図1の下箱部材にCF基板が上側の液晶表示パネルを積み重ねて収容した状態を示した外観斜視図である。
【図4】図2の上箱部材にTFTアレイ基板が上側の液晶表示パネルを積み重ねて収容した状態を示した外観斜視図である。
【図5】(a)は下箱部材が下側、上箱部材が上側で両箱部材を上下に嵌合させて閉じた状態を示したパネル梱包箱の外観斜視図、(b)は上箱部材が下側、下箱部材が上側で両箱部材を上下に嵌合させて閉じた状態を示したパネル梱包箱の外観斜視図である。
【図6】(a)は図5(a)のパネル梱包箱の断面を示した図、(b)は図5(b)のパネル梱包箱の断面を示した図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るパネル梱包箱の概略構成を示した分解斜視図である。
【図8】図7の下箱部材と上箱部材を上下に嵌合させて閉じた状態を示したパネル梱包箱の外観斜視図である。
【図9】液晶表示パネルの概略構成を示した断面図である。
【図10】従来用いられてきたパネル梱包箱の概略構成を示した断面図である。
【図11】(a)は図9の液晶表示パネルのCF基板が上側になった状態を示した外観斜視図、(b)は図9の液晶表示パネルのTFTアレイ基板が上側になった状態を示した外観斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1 パネル梱包箱
2 上箱部材
2a パネル収容面
2b 底板
2c 角部側壁
2d 切欠部
3 下箱部材
3a パネル収容面
3b 底板
3c 短辺部側壁
3d 長辺部側壁
3e 切欠部
5 パネル梱包箱
6 上箱部材
6a パネル収容面
6b 底板
6c L字型側壁
6d 切欠部
7 下箱部材
7a パネル収容面
7b 底板
7c L字型側壁
7d 切欠部
10 液晶表示パネル
20 TFTアレイ基板
30 CF基板
51 合紙
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルなどのパネルを複数枚積層して収容するパネル梱包箱に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータやテレビなどの家電製品の表示部として、液晶表示パネルが広く用いられている。液晶表示パネルは、一般には図9に示されるように薄膜トランジスタ(TFT)アレイ基板20とカラーフィルタ(CF)基板30とからなる一対の基板が所定の間隔を置いて平行に対向配置され、両基板20,30間に液晶40が充填された構成をなしている。TFTアレイ基板20には複数の画素電極21がマトリクス状に形成され、CF基板30にはほぼ全面に共通電極31が形成されており、これら電極21,31間に印加する電圧を変化させることで、液晶40を配向制御することができるようになっている。
【0003】
このような液晶表示パネル10を製造装置間において移送する際には、例えば下記特許文献1に開示されているようなパネル梱包箱が用いられている(図10参照)。図示されるようにパネル梱包箱100の内部には、複数枚の液晶表示パネル10が積み重ねられて収容されており、液晶表示パネル10同士の間には液晶表示パネル10に傷が付かないように緩衝材として樹脂製の合紙51が介在されている。パネル梱包箱100は、矩形状のパネル収容面101aを有した本体部101と蓋体102とから構成されている。
【0004】
通常、このようなパネル梱包箱100では、液晶表示パネル10はCF基板30が図11(a)に示されるように上側になるように収容されており、液晶表示パネル10の点灯検査ではCF基板30が上側のままパネル梱包箱100から液晶表示パネル10を一枚ずつ取り出して検査台に載せて点灯検査が行われている。
【0005】
また、TFTアレイ基板20に形成された電気配線に断線等がある場合は、TFTアレイ基板20が上側になった液晶表示パネル10に上方からレーザ光を照射する修正装置によって修正が行われる。このような場合は、パネル梱包箱100からCF基板30が上側になった液晶表示パネル10を取り出した後、図11(b)に示されるように液晶表示パネル10を反転させてTFTアレイ基板20が上側になるようにして修正装置の台に載せる必要がある。このような液晶表示パネル10の反転は、作業者によって手作業で行われるか、修正装置等が備えるパネル反転装置で行われている。
【0006】
【特許文献1】特開2007−84124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、液晶表示パネル10単体での反転ではパネル枚数分の反転作業が必要であることから時間がかかり、また、反転の際に液晶表示パネル10が他の部材に接触して傷が付いたり割れたりする場合があった。
【0008】
そこで、本発明が解決する課題は、液晶表示パネルなどのパネルを複数枚積み重ねて収容するパネル梱包箱であって、そのパネル梱包箱を上下逆さにしてもパネルの梱包・取り出しが可能な構造とすることで、複数枚のパネルの反転を一括して行うことが可能なパネル梱包箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明は、矩形状のパネル収容面を有した上箱部材と矩形状のパネル収容面を有した下箱部材とから成り、前記上箱部材と前記下箱部材のいずれかのパネル収容面に複数枚の四角形状を有するパネルが積み重ねられて収容されるパネル梱包箱であって、前記上箱部材には、収容される前記パネルの四隅角部を囲むように配置される平面視でL字形状を有する4つの角部側壁が立設され、前記下箱部材には、収容される前記パネルの四辺を部分的に囲むように配置される平面視で長方形状を有する4つの辺部側壁が立設され、前記上箱部材に設けられた前記角部側壁と前記下箱部材に設けられた前記辺部側壁とが上下に隙間無く嵌合されることを要旨とするものである。
【0010】
このような構成を有するパネル梱包箱によれば、上箱部材には、収容されるパネルの四隅角部を囲むように配置される平面視でL字形状を有する4つの角部側壁が立設されているので、持ち運びする際に上箱部材のパネル収容面に積み重ねられたパネルが横滑りして箱からはみ出してしまうことが角部側壁によって防止されている。
【0011】
また、下箱部材には、収容されるパネルの四辺を部分的に囲むように配置される平面視で長方形状を有する4つの辺部側壁が立設されているので、持ち運びする際に下箱部材のパネル収容面に積み重ねられたパネルが横滑りして箱からはみ出してしまうことが辺部側壁によって防止されている。したがって、上箱部材と下箱部材のいずれにおいても、パネルの横すべりを防止しつつ積み重ねて収容することができるようになっている。
【0012】
更に、上箱部材に設けられた角部側壁と下箱部材に設けられた辺部側壁とが上下に隙間無く嵌合されるようになっているので、上箱部材と下箱部材が嵌合されたパネル梱包箱を、上下逆さに反転するだけで、収容された複数枚のパネル全てを一括して反転することが可能である。
【0013】
また、上記課題を解決するため別の本発明は、矩形状のパネル収容面を有した上箱部材と矩形状のパネル収容面を有した下箱部材とから成り、前記上箱部材と前記下箱部材のいずれかのパネル収容面に複数枚の四角形状を有するパネルが積み重ねられて収容されるパネル梱包箱であって、前記上箱部材には、収容される前記パネルの対角する二隅角部とそれら角部に繋がる前記パネルの二辺部のそれぞれ半分とを囲むように配置される平面視でL字形状を有する2つのL字型側壁が立設され、前記下箱部材には、収容される前記パネルの対角する二隅角部とそれら角部に繋がる前記パネルの二辺部のそれぞれ半分とを囲むように配置される平面視でL字形状を有する2つのL字側壁が立設され、前記上箱部材に設けられた前記L字型側壁と前記下箱部材に設けられたL字側壁とが上下に隙間無く嵌合されると共に、前記上箱部材と前記下箱部材が同一形状を有していること要旨とするものである。
【0014】
このような構成を有するパネル梱包箱によれば、上箱部材には、収容されるパネルの対角する二隅角部とそれら角部に繋がるパネルの二辺部のそれぞれ半分とを囲むように配置される平面視でL字形状を有する2つのL字型側壁が立設されているので、持ち運びする際に上箱部材のパネル収容面に積み重ねられたパネルが横滑りして箱からはみ出してしまうことがL字型側壁によって防止されている。
【0015】
また、下箱部材には、収容されるパネルの対角する二隅角部とそれら角部に繋がるパネルの二辺部のそれぞれ半分とを囲むように配置される平面視でL字形状を有する2つのL字側壁が立設されているので、持ち運びする際に下箱部材のパネル収容面に積み重ねられたパネルが横滑りして箱からはみ出してしまうことがL字型側壁によって防止されている。したがって、上箱部材と下箱部材のいずれにおいても、パネルの横すべりを防止しつつ積み重ねて収容することができるようになっている。
【0016】
更に、上箱部材に設けられたL字型側壁と下箱部材に設けられたL字側壁とが上下に隙間無く嵌合されるようになっているので、上箱部材と下箱部材が嵌合されたパネル梱包箱を、上下に逆さに反転するだけで、収容された複数枚のパネル全てを一括して反転することが可能である。また、上箱部材と下箱部材が同一形状を有している構成なので、箱部材の製作に用いられる金型等の種類を削減することができ、パネル梱包箱の製作や管理にかかるコスト等を抑えることが可能である。
【0017】
このような本発明に係るパネル梱包箱の具体的な使用態様としては、例えば、上述した液晶表示パネルを複数枚積み重ねて収容するパネル梱包箱として用いる場合では、通常は、下箱部材にCF基板が上側になっている液晶表示パネルを複数枚積み重ねて収容しておき、点灯検査などではCF基板が上側のまま液晶表示パネルを取り出して検査することができる。
【0018】
そして、修正装置などで修正するときのようにTFTアレイ基板が上側になるようにしたい場合は、CF基板が上側の複数枚の液晶表示パネルを収容した下箱部材に上箱部材を装着して嵌合させたパネル梱包箱を箱ごと上下逆さに反転することで、複数枚の液晶表示パネル全てをTFTアレイ基板が上側になるように一括して反転させることができる。これにより今度は上箱部材にTFTアレイ基板が上側の複数枚の液晶表示パネルが収容された状態にされる。そして、下箱部材が外された上箱部材からTFTアレイ基板が上側になった液晶表示パネルをそのまま取り出して修正が行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
上記構成を有する本発明に係るパネル梱包箱によれば、パネル梱包箱を上下逆さにしてもパネルの梱包と取り出しが可能な構造になっている。したがって、パネル梱包箱ごと反転させることで、収容された複数枚のパネル全てを一括で反転させることができる。これにより、従来、修正装置などの各種装置に備えられていたパネル反転装置を削減することや、作業者が手作業で行っていた液晶表示パネルを反転する回数を例えば20回から1回へと減らすことができる。
【0020】
つまり、予め、パネル梱包箱を反転させることで、例えば20枚の液晶表示パネルを毎回反転させる工程を省略することが可能であり、パネル反転装置の省略化、作業者が手作業で行っていた反転の際の怪我防止、更には液晶表示パネルの割れ等の防止に貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明に係るパネル梱包箱の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。先ず、本発明に係るパネル梱包箱の第1の実施形態について説明する。図1は第1の実施形態に係るパネル梱包箱の分解斜視図、図2は図1の上箱部材と下箱部材を上下逆さに配置した状態を示した図である。
【0022】
また、図3は下箱部材にCF基板が上側の液晶表示パネルを積み重ねて収容した状態を示した外観斜視図、図4は上箱部材にTFTアレイ基板が上側の液晶表示パネルを積み重ねて収容した状態を示した外観斜視図である。
【0023】
更に、図5(a)は下箱部材が下側、上箱部材が上側で両箱部材を嵌合させて閉じた状態のパネル梱包箱の外観斜視図、図5(b)は上箱部材が下側、下箱部材が上側で両箱部材を嵌合させて閉じた状態のパネル梱包箱の外観斜視図である。図6(a)は図5(a)の断面図、図6(b)は図5(b)の断面図である。
【0024】
図1に示されるようにパネル梱包箱1は、上箱部材2と下箱部材3を備えている。下箱部材3は発泡樹脂などの樹脂材料から成形されたもので、液晶表示パネル10が収容される矩形状のパネル収容面3aを有した底板3bが設けられており、底板3bにはパネル収容面3aの両短辺と両長辺の中央部を含むように部分的に囲む平面視で長方形状を有する短辺部側壁3c,3cと長辺部側壁3d,3dが立設されている。
【0025】
また、短辺部側壁3cと長辺部側壁3dは、図6(a)の断面図に示されるように、合紙51が介在されて積み重ねられた液晶表示パネル10複数枚分の厚さを超える高さを有している。この場合、短辺部側壁3c,3cと長辺部側壁3d,3dが設けられていないパネル収容面3aの四隅角部には、平面視でL字形状に切り欠かれた切欠部3e,3e,3e,3eが形成されている。
【0026】
上箱部材2は発泡樹脂などの樹脂材料から成形されたもので、液晶表示パネル10が収容される矩形状のパネル収容面2aを有した底板2bが設けられており、底板2bにはパネル収容面2aの四隅角部を囲む平面視でL字形状を有する角部側壁2c,2c,2c,2cが立設されている。この場合、角部側壁2cの高さは下箱部材3に立設された短辺部側壁3cと長辺部側壁3dと同じ高さを有している。そして、上箱部材2の角部側壁2c,2c,2c,2cは、図5に示されるように下箱部材3の四隅角部の切欠部3e,3e,3e、3eに挿入されて、短辺側壁3cと長辺側壁3dとが隙間無く嵌合されるようになっている。
【0027】
また、角部側壁2c,2c,2c,2cが設けられていないパネル収容面2aの両短辺部と両長辺部、つまり各角部側壁2c間には、平面視で長方形状に切り欠かれた切欠部2d,2d,2d,2dが形成されており、この切欠部2d,2d,2d,2dには、図5に示されるように下箱部材5の短辺部側壁3c,3cと長辺側壁3d,3dが挿入されて隙間無く嵌合されるようになっている。
【0028】
尚、図5および図6に示されるように上箱部材2と下箱部材3が上下に嵌合した状態では、上箱部材2に設けられた角部側壁2c,2c,2c,2cの内壁面と下箱部材3に設けられた短辺部側壁3c,3cおよび長辺部側壁3d,3dの内壁面は面が一致するように形成されており、液晶表示パネル10を収容した状態でパネル梱包箱1を反転した際に、パネル梱包箱1の側壁の内壁面に液晶表示パネル10の辺部が片当たりして割れないように、液晶表示パネル10の辺部全体がパネル梱包箱1の側壁の内壁面に均一に当接するようになっている。
【0029】
このような上箱部材2と下箱部材3からなるパネル梱包箱1を用いることで、通常は、図3に示されるように下箱部材3を下側にしてCF基板30が上側の液晶表示パネル10を複数枚積み重ねて収容しておき、点灯検査などではCF基板30が上側のまま液晶表示パネル10を取り出して検査することができる。
【0030】
そして、TFTアレイ基板20に形成された配線に断線等がある場合に、TFTアレイ基板20が上側になった液晶表示パネル10に上方からレーザ光を照射する修正装置などで修正するときのようにTFTアレイ基板10が上側になるようにしたい場合は、図3の状態から図5(a)に示されるように下箱部材3に上箱部材2を上方から装着して、図5(b)に示されるようにパネル梱包箱1を箱ごと上下逆さに反転する。このようなパネル梱包箱1の反転は、作業者が手作業で、もしくは、パネル梱包箱1を上下に把持する治具等を用いて行うことができる。
【0031】
これにより、図4に示されるように複数枚の液晶表示パネル10全てをTFTアレイ基板20が上側になるように一括して反転させることができる。そして、図示されるように下側の上箱部材2から下箱部材3を上方に外すことで、TFTアレイ基板20が上側になった液晶表示パネル10を上箱部材2から取り出して修正が行うことができる。
【0032】
このようにパネル梱包箱1を上下2分割の上箱部材2と下箱部材3とにより構成し、上下逆さにしても液晶表示パネル10の梱包・取り出し可能な構造とすることで、必要に応じて複数枚の液晶表示パネル10を一括して反転させることが可能である。
【0033】
これにより従来のようにパネル梱包箱100から一枚ずつ液晶表示パネル10を取り出して液晶表示パネル10単体で反転させた場合に比べて、反転にかかる時間を短縮することができる上に、液晶表示パネル10に傷や割れが発生してしまうおそれがなくなる。
【0034】
したがって、上述したパネル梱包箱1を採用することで複数枚の液晶表示パネル10の反転がパネル梱包箱1単位での反転によって可能となるため、従来、修正装置などの各種装置に備えられていたパネル反転装置を削減することや、作業者が手作業で行っていた液晶表示パネル10を反転する回数を例えば20回から1回へと減らすことができる。
【0035】
以上説明したパネル梱包箱1によれば、上箱部材2には、収容される液晶表示パネル10の四隅角部を囲むように配置される平面視でL字形状を有する4つの角部側壁2c,2c,2c,2cが立設されているので、図4に示されるように持ち運びする際に上箱部材2のパネル収容面2aに積み重ねられた液晶表示パネル10が横滑りして箱からはみ出してしまうことが角部側壁2c,2c,2c,2cによって防止されている。
【0036】
また、下箱部材3には、収容される液晶表示パネル10の四辺を部分的に囲むように配置される平面視で長方形状を有する4つの辺部側壁3c,3c,3d,3dが立設されているので、図3に示されるように持ち運びする際に下箱部材3のパネル収容面3aに積み重ねられた液晶表示パネル10が横滑りして箱からはみ出してしまうことが辺部側壁3c,3c,3d,3dによって防止されている。したがって、上箱部材2と下箱部材3のいずれにおいても、液晶表示パネル10の横すべりを防止しつつ積み重ねて収容することができるようになっている。
【0037】
更に、上箱部材2に設けられた角部側壁2c,2c,2c,2cと下箱部材3に設けられた辺部側壁3c,3c,3d,3dとが上下に隙間無く嵌合されるようになっているので、上箱部材2と下箱部材3が嵌合されたパネル梱包箱1を、上下に逆さに反転するだけで、収容された複数枚の液晶表示パネル10全てを一括して反転することが可能である。
【0038】
次に、本発明に係るパネル梱包箱の第2の実施形態について説明する。図7は第2の実施形態に係るパネル梱包箱の分解斜視図、図8は上箱部材と下箱部材を嵌合させて閉じた状態のパネル梱包箱の外観斜視図である。
【0039】
図示されるようにパネル梱包箱5は、同一形状を有した上箱部材6と下箱部材7を備えている。下箱部材7は発泡樹脂などの樹脂材料から成形されたもので、液晶表示パネル10が収容される矩形状のパネル収容面7aを有した底板7bが設けられており、底板7bにはパネル収容面7aの対角する二隅角部とそれら角部に繋がるパネル収容面7aの二辺部のそれぞれ半分とを囲む平面視でL字形状を有する2つのL字型側壁7c,7cが立設されている。
【0040】
また、L字型側壁7c,7cは、図6(a)の断面図に示される場合と同様に、合紙51が介在されて積み重ねられた液晶表示パネル10複数枚分の厚さを超える高さを有している。この場合、L字側壁7c,7cが設けられていないパネル収容面7aの対角する二隅角部には、平面視でL字形状に切り欠かれた切欠部7d,7dが形成されている。
【0041】
上箱部材6は発泡樹脂などの樹脂材料から成形されたもので、液晶表示パネル10が収容される矩形状のパネル収容面6aを有した底板6bが設けられており、底板6bにはパネル収容面6aの対角する二隅角部とそれら角部に繋がるパネル収容面6aの二辺部のそれぞれ半分とを囲む平面視でL字形状を有する2つのL字型側壁6c,6cが立設されている。この場合、L字型側壁6cの高さは下箱部材7に立設されたL字型側壁7cと同じ高さを有している。そして、上箱部材6のL字型側壁6c,6cは、図8に示されるように下箱部材7の切欠部7d,7dに挿入されて、L字型側壁7c,7cと隙間無く嵌合されるようになっている。
【0042】
また、L字型側壁6c,6cが設けられていないパネル収容面6aの対角する二隅角部には、平面視で長方形状に切り欠かれた切欠部6d,6dが形成されており、この切欠部6d,6dには、図8に示されるように下箱部材7のL字型側壁7c,7cが挿入されて隙間無く嵌合されるようになっている。
【0043】
尚、図8に示されるように上箱部材6と下箱部材7が上下に嵌合した状態では、上箱部材6に設けられたL字型側壁6c,6cの内壁面と下箱部材7に設けられたL字型側壁7c,7cの内壁面は面が一致するように形成されており、液晶表示パネル10を収容した状態でパネル梱包箱5を反転した際に、パネル梱包箱5の側壁の内壁面に液晶表示パネル10の辺部が片当たりして割れないように、液晶表示パネル10の辺部全体がパネル梱包箱5の側壁の内壁面に均一に当接するようになっている。
【0044】
以上説明したパネル梱包箱5によれば、上箱部材6には、収容される液晶表示パネル10の対角する二隅角部とそれら角部に繋がる液晶表示パネル0の二辺部のそれぞれ半分とを囲むように配置される平面視でL字形状を有する2つのL字型側壁6c,6cが立設されているので、持ち運びする際に上箱部材6のパネル収容面6aに積み重ねられた液晶表示パネル10が横滑りして箱からはみ出してしまうことがL字型側壁6c,6cによって防止されている。
【0045】
また、下箱部材7には、収容される液晶表示パネル10の対角する二隅角部とそれら角部に繋がる液晶表示パネル10の二辺部のそれぞれ半分とを囲むように配置される平面視でL字形状を有する2つのL字側壁7c,7cが立設されているので、持ち運びする際に下箱部材7のパネル収容面7aに積み重ねられた液晶表示パネル10が横滑りして箱からはみ出してしまうことがL字型側壁7c,7cによって防止されている。したがって、上箱部材6と下箱部材7のいずれにおいても、液晶表示パネル10の横すべりを防止しつつ積み重ねて収容することができるようになっている。
【0046】
更に、上箱部材6に設けられたL字型側壁6c,6cと下箱部材7に設けられたL字側壁7c,7cとが上下に隙間無く嵌合されるようになっているので、上箱部材6と下箱部材7が嵌合されたパネル梱包箱5を、上下に逆さに反転するだけで、収容された複数枚の液晶表示パネル10全てを一括して反転することが可能である。また、上箱部材6と下箱部材7が同一形状を有している構成なので、箱部材6,7の製作に用いられる金型等の種類を削減することができ、パネル梱包箱5の製作や管理にかかるコスト等を抑えることが可能である。
【0047】
以上、本発明に係るパネル梱包箱の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、本発明のパネル梱包箱に収容されるパネルには、上述した液晶表示パネルなどの表示パネルの他に、絶縁性の透明基板など種々なるパネル状のものが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るパネル梱包箱の概略構成を示した分解斜視図である。
【図2】図1のパネル梱包箱を上下逆さにして示した分解斜視図である。
【図3】図1の下箱部材にCF基板が上側の液晶表示パネルを積み重ねて収容した状態を示した外観斜視図である。
【図4】図2の上箱部材にTFTアレイ基板が上側の液晶表示パネルを積み重ねて収容した状態を示した外観斜視図である。
【図5】(a)は下箱部材が下側、上箱部材が上側で両箱部材を上下に嵌合させて閉じた状態を示したパネル梱包箱の外観斜視図、(b)は上箱部材が下側、下箱部材が上側で両箱部材を上下に嵌合させて閉じた状態を示したパネル梱包箱の外観斜視図である。
【図6】(a)は図5(a)のパネル梱包箱の断面を示した図、(b)は図5(b)のパネル梱包箱の断面を示した図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るパネル梱包箱の概略構成を示した分解斜視図である。
【図8】図7の下箱部材と上箱部材を上下に嵌合させて閉じた状態を示したパネル梱包箱の外観斜視図である。
【図9】液晶表示パネルの概略構成を示した断面図である。
【図10】従来用いられてきたパネル梱包箱の概略構成を示した断面図である。
【図11】(a)は図9の液晶表示パネルのCF基板が上側になった状態を示した外観斜視図、(b)は図9の液晶表示パネルのTFTアレイ基板が上側になった状態を示した外観斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1 パネル梱包箱
2 上箱部材
2a パネル収容面
2b 底板
2c 角部側壁
2d 切欠部
3 下箱部材
3a パネル収容面
3b 底板
3c 短辺部側壁
3d 長辺部側壁
3e 切欠部
5 パネル梱包箱
6 上箱部材
6a パネル収容面
6b 底板
6c L字型側壁
6d 切欠部
7 下箱部材
7a パネル収容面
7b 底板
7c L字型側壁
7d 切欠部
10 液晶表示パネル
20 TFTアレイ基板
30 CF基板
51 合紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状のパネル収容面を有した上箱部材と矩形状のパネル収容面を有した下箱部材とから成り、前記上箱部材と前記下箱部材のいずれかのパネル収容面に複数枚の四角形状を有するパネルが積み重ねられて収容されるパネル梱包箱であって、前記上箱部材には、収容される前記パネルの四隅角部を囲むように配置される平面視でL字形状を有する4つの角部側壁が立設され、前記下箱部材には、収容される前記パネルの四辺を部分的に囲むように配置される平面視で長方形状を有する4つの辺部側壁が立設され、前記上箱部材に設けられた前記角部側壁と前記下箱部材に設けられた前記辺部側壁とが上下に隙間無く嵌合されることを特徴とするパネル梱包箱。
【請求項2】
矩形状のパネル収容面を有した上箱部材と矩形状のパネル収容面を有した下箱部材とから成り、前記上箱部材と前記下箱部材のいずれかのパネル収容面に複数枚の四角形状を有するパネルが積み重ねられて収容されるパネル梱包箱であって、前記上箱部材には、収容される前記パネルの対角する二隅角部とそれら角部に繋がる前記パネルの二辺部のそれぞれ半分とを囲むように配置される平面視でL字形状を有する2つのL字型側壁が立設され、前記下箱部材には、収容される前記パネルの対角する二隅角部とそれら角部に繋がる前記パネルの二辺部のそれぞれ半分とを囲むように配置される平面視でL字形状を有する2つのL字側壁が立設され、前記上箱部材に設けられた前記L字型側壁と前記下箱部材に設けられたL字側壁とが上下に隙間無く嵌合されると共に、前記上箱部材と前記下箱部材が同一形状を有していることを特徴とするパネル梱包箱。
【請求項1】
矩形状のパネル収容面を有した上箱部材と矩形状のパネル収容面を有した下箱部材とから成り、前記上箱部材と前記下箱部材のいずれかのパネル収容面に複数枚の四角形状を有するパネルが積み重ねられて収容されるパネル梱包箱であって、前記上箱部材には、収容される前記パネルの四隅角部を囲むように配置される平面視でL字形状を有する4つの角部側壁が立設され、前記下箱部材には、収容される前記パネルの四辺を部分的に囲むように配置される平面視で長方形状を有する4つの辺部側壁が立設され、前記上箱部材に設けられた前記角部側壁と前記下箱部材に設けられた前記辺部側壁とが上下に隙間無く嵌合されることを特徴とするパネル梱包箱。
【請求項2】
矩形状のパネル収容面を有した上箱部材と矩形状のパネル収容面を有した下箱部材とから成り、前記上箱部材と前記下箱部材のいずれかのパネル収容面に複数枚の四角形状を有するパネルが積み重ねられて収容されるパネル梱包箱であって、前記上箱部材には、収容される前記パネルの対角する二隅角部とそれら角部に繋がる前記パネルの二辺部のそれぞれ半分とを囲むように配置される平面視でL字形状を有する2つのL字型側壁が立設され、前記下箱部材には、収容される前記パネルの対角する二隅角部とそれら角部に繋がる前記パネルの二辺部のそれぞれ半分とを囲むように配置される平面視でL字形状を有する2つのL字側壁が立設され、前記上箱部材に設けられた前記L字型側壁と前記下箱部材に設けられたL字側壁とが上下に隙間無く嵌合されると共に、前記上箱部材と前記下箱部材が同一形状を有していることを特徴とするパネル梱包箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−143606(P2010−143606A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322033(P2008−322033)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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