説明

パラメータ保存装置およびパラメータ保存方法

【課題】パラメータ保存装置にノイズなどが混入して、内部の各手段が誤動作などした場合、異常なパラメータを保存させないパラメータ保存装置およびパラメータ保存方法を提供すること。
【解決手段】プロセス制御に用いられるパラメータを取得処理し、この取得処理されたパラメータが所定範囲に入っているか否かをチェック処理した後、このチェック処理されたパラメータをパラメータ保存手段へ保存処理するパラメータ保存装置100において、取得処理が実行されたことおよびチェック処理が実行されたことを記憶する実行情報記憶手段110と、実行情報記憶手段110の記憶情報に応じて保存処理を行わせるか否かを決定する保存決定手段120と、を備えたことを特徴とするもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラメータ保存装置およびパラメータ保存方法に関し、特に、異常なパラメータの処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化学プラントなどにおいて、流量制御などのプロセス制御を行うために流量計などが設置される。例えば、超音波流量計は、プロセス制御量の一つである被測定流体の流量を伝搬時間差法によって測定する場合、流量補正係数をパラメータとして保存しておいて、これを用いて流量を演算する。
【0003】
超音波流量計は、プロセス制御に用いられるパラメータの一つである流量補正係数を保存できるため、超音波流量計を例として、このようなパラメータ保存装置について図6を用いて説明する。
【0004】
図6において、パラメータ保存装置10は、取得処理手段20、チェック処理手段30、保存処理手段40、パラメータ保存手段50、プロセス制御量演算手段60およびプロセス制御量出力手段70を備えている。
【0005】
プロセス制御量演算手段60は、測定管、超音波発信体および超音波受信体を備えたセンサ80から入力された超音波受信信号に基づいて伝搬時間差を演算する。そして、プロセス制御量演算手段60は、保存されている流量補正係数などのパラメータをパラメータ保存手段50から読み込み、これらのパラメータと伝搬時間差を用いて被測定流体の流量(プロセス制御量)を演算する。プロセス制御量出力手段70は、演算された流量値をプロセス制御量演算手段60から受け取って、流量値に対応した出力(例えば、4〜20mAの電流信号)を、プロセス制御を行うホスト装置またはコントローラ(いずれも図示しない)などに出力する。
【0006】
一方、取得処理手段20は、パラメータ設定装置90から入力されたパラメータを取得し、チェック処理手段30は、取得されたパラメータが所定範囲に入っているか否かをチェックする。チェック処理は、取得されたパラメータが所定範囲外であれば、パラメータに所定範囲の上限値または下限値を設定する。そして、保存処理手段40は、チェックされたパラメータをパラメータ保存手段50へ保存する。
【0007】
この保存処理は、例えば、プロセス制御開始前に各パラメータに初期値を保存、または被測定流体の状態に応じて初期値を変更保存する場合に行われる。
【0008】
なお、非特許文献1には、設定されたパラメータを保存できる電磁流量計について記載されている。
【0009】
【非特許文献1】吉川修、外5名、「新電磁流量計ADMAG AXFシリーズ」、横河技報、横河電機株式会社、2004年1月20日、Vol.48 No.1(2004) p.19−24
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、図6において、パラメータ保存装置10にノイズなどが混入すると、各手段が誤動作したり、CPUなどのプロセッサがプログラムに従って各手段を実行している場合にはプログラムが暴走することがある。このような誤動作またはプログラムの暴走によって、各手段は正常に実行されないことがある。
【0011】
具体的には、例えば、ノイズの混入によって、取得処理手段20およびチェック処理手段30が実行されないで、いきなり保存処理手段40が実行されることがある。この場合、取得処理手段20およびチェック処理手段30は実行されていないため、保存処理手段40がチェック処理手段30から受け取るパラメータは、ユーザーにとって保存することを予定していない異常なパラメータである可能性がある。例えば、異常なパラメータは、チェック処理で用いられる所定範囲外の過大または過小な値となる。
【0012】
このため、保存処理手段40は、この異常なパラメータをパラメータ保存手段50へ保存する。そして、プロセス制御量演算手段60は、この異常なパラメータを用いて流量を演算するため、異常な流量値(過大または過小な値)を演算する。これによって、異常な流量値を受け取ったホスト装置またはコントローラは、異常なプロセス制御を行うことがある。
【0013】
本発明の目的は、パラメータ保存装置にノイズなどが混入して、内部の各手段が誤動作などした場合、異常なパラメータを保存させないパラメータ保存装置およびパラメータ保存方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するために、請求項1の発明は、
プロセス制御に用いられるパラメータを取得処理し、この取得処理されたパラメータが所定範囲に入っているか否かをチェック処理した後、このチェック処理されたパラメータをパラメータ保存手段へ保存処理するパラメータ保存装置において、
前記取得処理が実行されたことおよび前記チェック処理が実行されたことを記憶する実行情報記憶手段と、
この実行情報記憶手段の記憶情報に応じて前記保存処理を行わせるか否かを決定する保存決定手段と、
を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記実行情報記憶手段は、予め第1初期値が記憶された第1記憶手段と予め第2初期値が記憶された第2記憶手段とを有し、
前記第1記憶手段は、前記取得処理が実行された場合に第1所定値を記憶し、
前記第2記憶手段は、前記チェック処理が実行された場合に第2所定値を記憶し、
前記保存決定手段は、前記第1記憶手段の記憶値と前記第1所定値とが不一致または前記第2記憶手段の記憶値と前記第2所定値とが不一致の場合に前記保存処理を行わせない、
ことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記実行情報記憶手段は、予め初期値が記憶された1つの共通記憶値を有し、
前記共通記憶値は、前記取得処理が実行された場合には前記共通記憶値に対して行われる所定演算の演算値を記憶し、前記チェック処理が実行された場合には前記共通記憶値に対して行われる前記所定演算の演算値を記憶し、
前記保存決定手段は、前記共通記憶値と判定値とが不一致の場合に前記保存処理を行わせない、
ことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、
前記保存決定手段による決定結果に応じて警報を出力する警報出力手段を備えたことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、
前記実行情報記憶手段の記憶情報を保存する履歴保存手段と、この履歴保存手段の保存情報を出力する履歴出力手段と、
を備えたことを特徴とする。
請求項6の発明は、
プロセス制御に用いられるパラメータを取得処理し、この取得処理されたパラメータが所定範囲に入っているか否かをチェック処理した後、このチェック処理されたパラメータをパラメータ保存手段へ保存処理するパラメータ保存方法において、
前記取得処理が実行されたことおよび前記チェック処理が実行されたことを記憶するステップと、
この記憶された情報に応じて前記保存処理を行わせるか否かを決定するステップと、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、パラメータ保存装置にノイズなどが混入して、内部の各手段が誤動作などした場合、各手段における処理が実行されていなければパラメータの保存を行わせないことによって、異常なパラメータを保存させないパラメータ保存装置およびパラメータ保存方法を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[第1の実施例]
本発明の実施形態の一例を図1を用いて説明する。図1は、パラメータ保存装置100の構成図であり、図6と同一のものは同一符号を付し説明を省略する。
【0017】
図1において、プロセス制御に用いられるパラメータを保存できる超音波流量計を例として、パラメータ保存装置100を説明する。
【0018】
パラメータ保存装置100は、パラメータ設定装置90から入力されたパラメータを取得する取得処理手段20、取得処理手段20によって取得されたパラメータが所定範囲に入っているか否かをチェックするチェック処理手段30、チェック処理手段30によってチェックされたパラメータをパラメータ保存手段50へ保存する保存処理手段40、センサ80から入力された超音波受信信号とパラメータ保存手段50から読み込んだパラメータとに基づいて被測定流体の流量を演算するプロセス制御量演算手段60、プロセス制御量演算手段60によって演算された流量値に対応した出力(例えば、4〜20mAの電流信号、通信データ信号)をホスト装置などに出力するプロセス制御量出力手段70を備えている。
【0019】
また、パラメータ保存装置100は、上述した各手段のほかに、取得処理とチェック処理とが実行されたことを記憶する第1記憶手段110aと第2記憶手段110bとを有する実行情報記憶手段110、実行情報記憶手段110の記憶情報を受け取ってこの情報に応じて保存処理を行わせるか否かを決定する保存決定手段120、保存処理を行わせない場合に保存決定手段120が警報を出力させる警報出力手段130、実行情報記憶手段110の記憶情報を受け取って履歴として保存する履歴保存手段140、履歴保存手段140の保存情報を受け取って出力する履歴出力手段150および実行情報記憶手段110のほか各手段の動作を制御する制御手段160を備えている。
【0020】
なお、超音波流量計に必要とされるプロセス制御に用いられるパラメータとして、流量演算用の流量補正係数、測定管の内径および流量のゼロ点調整値などのほか、流量値をプロセス制御量出力手段70の出力(例えば、4〜20mAの電流信号)にレンジ化するための流量スパンなどが挙げられる。
【0021】
つぎに、図1のパラメータ保存装置100内部の各手段の動作について図2のフローチャート図を用いて説明する。
【0022】
図2において、まず、制御手段160は、第1記憶手段110aに予め第1初期値(例えば、データ「X」)を、第2記憶手段110bに予め第2初期値(例えば、データ「Y」)を記憶させる(ステップS10)。ここで、第1初期値と第2初期値とは同一のデータであってもよい。なお、ステップS10から始まる経路は、以下において「正常経路の場合(1)」と記載する。
【0023】
その後、取得処理手段20は、パラメータ設定装置90から入力されたパラメータを取得する(取得処理)(ステップS20)。なお、パラメータ設定装置90は、パラメータ保存装置100の外部に設置され有線または無線でパラメータを送信する通信装置のほか、パラメータ保存装置100の内部に設置された非接触式パラメータ設定装置(表示手段も併せ持つ装置)であってもよい。
【0024】
その後、制御手段160は、取得処理手段20によって取得処理が実行されたことを検出して、取得処理が実行されたことを表す第1所定値(例えば、データ「A」)を第1記憶手段110aに記憶させる(ステップS30)。
【0025】
チェック処理手段30は、取得処理が実行された(ステップS20)後、取得されたパラメータが所定範囲に入っているか否かをチェックする(チェック処理)(ステップS40)。
【0026】
チェック処理は、例えば、取得されたパラメータとしての流量補正係数が所定範囲に入っているか否かをチェックして、所定範囲外であれば流量補正係数に所定範囲の上限値または下限値を設定する。これは、流量補正係数に上限値を超える過大な値または下限値未満の過小な値が設定されることによって、プロセス制御量演算手段60によって演算される流量値が異常な値(過大または過小な値)になることを防ぐためである。なお、ステップS40から始まる経路は、以下において「異常経路1の場合(2)」と記載する。
【0027】
その後、制御手段160は、チェック処理手段30によってチェック処理が実行されたことを検出して、チェック処理が実行されたことを表す第2所定値(例えば、データ「B」)を第2記憶手段110bに記憶させる(ステップS50)。なお、第1所定値と第2所定値とは同一のデータであってもよい。
【0028】
なお、図3(a)は、第1記憶手段110aおよび第2記憶手段110bの記憶値を示す表である。ここで、正常経路の場合(1)における第1記憶手段110aおよび第2記憶手段110bの記憶値について図3(a)を用いて説明する。
【0029】
図3(a)の正常経路の場合(1)に示すように、図2のステップS30およびステップS50によって、第1記憶手段110aはデータ「A」(第1所定値)を、第2記憶手段110bはデータ「B」(第2所定値)を記憶している。
【0030】
図2に戻り、保存決定手段120は、第1記憶手段110aおよび第2記憶手段110bの記憶値を受け取って、第1記憶手段110aの記憶値と第1所定値(データ「A」(保存決定手段120に保存済み))とが一致し、かつ第2記憶手段110bの記憶値と第2所定値(データ「B」(保存決定手段120に保存済み))とが一致すれば、パラメータの保存処理を行わせることを決定する(ステップS60の「はい」およびステップS70の「はい」)。なお、ステップS60から始まる経路は、以下において「異常経路2の場合(3)」と記載する。
【0031】
そして、保存処理手段40は、保存決定手段120の決定結果に従って、チェック処理手段30によってチェックされたパラメータをパラメータ保存手段50へ保存する(保存処理)(ステップS80)。パラメータ保存手段50は、EEPROMなどの書き換え可能な不揮発性のメモリを用いることが好ましい。
【0032】
なお、正常経路の場合(1)では、図3(a)の正常経路の場合(1)に示したように、第1記憶手段110aの記憶値は第1所定値(データ「A」)、第2記憶手段110bの記憶値は第2所定値(データ「B」)である。このため、ステップS60の「はい」およびステップS70の「はい」が成立して保存処理が行われる(ステップS80)。
【0033】
一方、保存決定手段120は、第1記憶手段110aの記憶値と第1所定値(データ「A」)とが不一致または第2記憶手段110bの記憶値と第2所定値(データ「B」)とが不一致であれば、パラメータの保存処理を行わせないことを決定する(ステップS60の「いいえ」またはステップS70の「いいえ」)。
【0034】
このため、保存処理手段40は、保存決定手段120の決定結果に従って、保存処理(ステップS80)を行わない。また、保存決定手段120は、この決定結果に応じて、パラメータ設定装置90から入力されたパラメータが保存されなかったことを表す情報を警報出力手段130に送り、警報出力手段130は、受け取った情報に従って警報を出力する(ステップS90)。
【0035】
警報出力手段130は、パラメータが保存さなかったことを、ブザーとして音またはランプとして光(点灯)を発したり、表示手段として表示したり、送信手段として通信データをホスト装置などに送信することもできる。
【0036】
ステップS80またはステップS90の処理が行われた後、制御手段160は、第1記憶手段110aおよび第2記憶手段110bの記憶情報を履歴保存手段140に保存させる(ステップS100)。履歴保存手段140は、EEPROMなどの書き換え可能な不揮発性のメモリを用いることが好ましい。
【0037】
その後、制御手段160は、履歴保存手段140の保存情報を履歴出力手段150に送り、履歴出力手段150は、受け取った保存情報を出力する(ステップS110)。履歴出力手段150は、表示手段として保存情報を表示したり、送信手段として通信データをホスト装置などに送信することもできる。
【0038】
なお、ステップS100およびステップS110の処理は、第1記憶手段110aおよび第2記憶手段110bへの記憶が完了するステップS50以降であってステップS120の前において行われてもよい。
【0039】
その後、制御手段160は、第1記憶手段110aに第1初期値(データ「X」)を、第2記憶手段110bに第2初期値(データ「Y」)を記憶させる(ステップS120)。
【0040】
そして、以後、パラメータ保存装置100は、パラメータ設定装置90から入力されるパラメータに従って、ステップS10からの処理を繰り返し行う。なお、警報出力(ステップS90)、履歴保存手段140への保存(ステップS100)および保存情報の出力(ステップS110)は、必要に応じて実行できる。
【0041】
続けて、パラメータ保存装置100にノイズなどが混入した場合、パラメータ保存装置100の動作について説明する。
【0042】
図2において、パラメータ保存装置100にノイズなどが混入した場合、各手段の誤動作またはプログラムの暴走などによって、取得処理(ステップS20)などが実行されないで、いきなりチェック処理(ステップS40)から実行されることがある(異常経路1の場合(2)を指す)。
【0043】
このとき、ステップS30は実行されていないため、第1記憶手段110aは、第1所定値(データ「A」)を記憶しておらず、第1初期値(データ「X」)を記憶している(なお、第1初期値の記憶は、ステップS120で実行されている)。一方、第2記憶手段110bは、ステップS50において第2所定値を(データ「B」)を記憶する。
【0044】
このため、ステップS50が実行された後の段階において、図3(a)の異常経路1の場合(2)に示すように、第1記憶手段110aの記憶値はデータ「X」(第1初期値)、第2記憶手段110bの記憶値はデータ「B」(第2所定値)である。
【0045】
図2に戻り、第1記憶手段110aの記憶値(データ「X」)と第1所定値(データ「A」)とが不一致なので(ステップS60の「いいえ」)、パラメータの保存処理は行われず、警報出力手段130が警報を出力する(ステップS90)。
【0046】
また、パラメータ保存装置100にノイズなどが混入した場合、図2のステップS60から実行されることがある(異常経路2の場合(3)を指す)。
【0047】
このとき、ステップS30は実行されていないため、第1記憶手段110aは、第1所定値(データ「A」)を記憶しておらず、第1初期値(データ「X」)を記憶している。また、ステップS50も実行されていないため、第2記憶手段110bは、第2所定値(データ「B」)を記憶しておらず、第2初期値(データ「Y」)を記憶している(なお、第2初期値の記憶は、ステップS120で実行されている)。
【0048】
このため、ステップS60が実行される前の段階において、図3(a)の異常経路2の場合(3)に示すように、第1記憶手段110aの記憶値はデータ「X」(第1初期値)、第2記憶手段110bの記憶値はデータ「Y」(第2初期値)である。
【0049】
図2に戻り、第1記憶手段110aの記憶値(データ「X」)と第1所定値(データ「A」)とが不一致なので(ステップS60の「いいえ」)、パラメータの保存処理は行われず、警報出力手段130が警報を出力する(ステップS90)。
【0050】
なお、上述したパラメータ保存装置100にノイズなどが混入した場合の動作は、ステップS60とステップS70の処理の順番を入れ替えても、同様の動作(保存処理を行わず、警報を出力する)を行うことができる。
【0051】
ここで、パラメータ保存装置100が、上述した正常経路の場合(1)、異常経路1の場合(2)、異常経路2の場合(3)の順番で実行した場合、履歴保存手段140は、順番に、データ「A」「B」「X」「B」「X」「Y」(図3(a)参照)を履歴として保存する。
【0052】
なお、上述した図2の動作(ステップ)によって、パラメータ保存方法が実現できる。
【0053】
本発明によれば、パラメータ保存装置100にノイズなどが混入して、内部の各手段が誤動作などした場合、取得処理またはチェック処理が実行されていなければパラメータの保存を行わせないことによって、異常なパラメータを保存させないパラメータ保存装置100およびパラメータ保存方法を実現できる。
【0054】
また、図2において、取得処理から保存処理の間に必要に応じて新たな処理が追加された場合、追加された新たな処理が実行されたことを記憶する記憶手段を、実行情報記憶手段110内に第3、第4記憶手段として追加することによって、処理の追加に対応可能なパラメータ保存装置100およびパラメータ保存方法を実現できる。
【0055】
また、警報出力手段130によって、ユーザーは、パラメータ設定装置90から入力されたパラメータが保存されなかったことを知って、再度パラメータ設定装置90からパラメータを設定することができる。
【0056】
また、履歴保存手段140および履歴出力手段150によって、ユーザーは、現在および過去を含めたパラメータ保存装置100の各手段の処理状況の履歴(履歴保存手段140の保存情報)を知って、パラメータ保存装置100をメンテナンス、管理することができる。
【0057】
例えば、ユーザーは、履歴データに第1または第2初期値(データ「X」または「Y」)が多く含まれていれば、図2に示した異常経路1または異常経路2の経路で実行されたことが多いと知ることができる。この場合、パラメータ保存装置100の劣化、故障またはパラメータ保存装置100の設置場所近辺にノイズ発生源があると考えられるため、ユーザーは、パラメータ保存装置100の交換あるいはノイズ発生源の除去などをして、パラメータ保存装置100をメンテナンスすることができる。
【0058】
[第2の実施例]
本発明の実施形態の他の例を図4を用いて説明する。図4は、パラメータ保存装置200の構成図であり、図1と同一のものは同一符号を付し説明を省略し、第1の実施例との相違点を中心に説明する。
【0059】
パラメータ保存装置200は、取得処理とチェック処理とが実行されたことを記憶する1つの共通記憶値210aを有する実行情報記憶手段210、共通記憶値210aに対して所定演算を行う共通記憶値演算手段220、共通記憶値210aを受け取ってこの値に応じて保存処理を行わせるか否かを決定する保存決定手段230、共通記憶値210aを受け取って履歴として保存する履歴保存手段240および実行情報記憶手段210のほか各手段の動作を制御する制御手段250などを備えている。
【0060】
つぎに、図4のパラメータ保存装置200内部の各手段の動作について図5のフローチャート図を用いて説明する。
【0061】
図5において、まず、制御手段250は、共通記憶値210aに予め初期値(例えば、「0」(ゼロ))を記憶させる(ステップS200)。なお、ステップS200から始まる経路は、以下において「正常経路の場合(10)」と記載する。
【0062】
その後、取得処理手段20は、パラメータ設定装置90から入力されたパラメータを取得する(取得処理)(ステップS210)。
【0063】
その後、制御手段250は、取得処理手段20によって取得処理が実行されたことを検出して、共通記憶値演算手段220につぎの所定演算を実行させる。共通記憶値演算手段220は、共通記憶値210aの値(初期値「0」)を受け取り、例えばこの値に「1」を加算演算(所定演算)して、演算値(取得処理が実行されたことを表す値「1」)を共通記憶値210aに記憶させる(ステップS220)。
【0064】
チェック処理手段30は、取得処理が実行された(ステップS210)後、取得されたパラメータが所定範囲に入っているか否かをチェックする(チェック処理)(ステップS230)。なお、ステップS230から始まる経路は、以下において「異常経路11の場合(11)」と記載する。
【0065】
その後、制御手段250は、チェック処理手段30によってチェック処理が実行されたことを検出して、共通記憶値演算手段220につぎの所定演算を実行させる。共通記憶値演算手段220は、共通記憶値210aの値(値「1」)を受け取り、例えばこの値に「1」を加算演算して、演算値(取得処理およびチェック処理が実行されたことを表す値「2」)を共通記憶値210aに記憶させる(ステップS240)。
【0066】
なお、図3(b)は、共通記憶値210aの記憶値を示す表である。ここで、正常経路の場合(10)における共通記憶値210aの記憶値について図3(b)を用いて説明する。
【0067】
図3(b)の正常経路の場合(10)に示すように、図5のステップS220およびステップS240によって、共通記憶値210aは「2」を記憶している。
【0068】
図5に戻り、保存決定手段230は、共通記憶値210aを受け取って、共通記憶値210aと判定値(取得処理およびチェック処理が実行されたことを表す判定値「2」)とが一致すれば、パラメータの保存処理を行わせることを決定する(ステップS250の「はい」)。なお、ステップS250から始まる経路は、以下において「異常経路12の場合(12)」と記載する。
【0069】
そして、保存処理手段40は、保存決定手段230の決定結果に従って、チェック処理手段30によってチェックされたパラメータをパラメータ保存手段50へ保存する(保存処理)(ステップS260)。
【0070】
なお、正常経路の場合(10)では、図3(b)の正常経路の場合(10)に示したように共通記憶値210aの値は「2」であり、判定値も「2」であるため、ステップS250の「はい」が成立して保存処理が行われる(ステップS260)。
【0071】
一方、保存決定手段230は、、共通記憶値210aと判定値「2」とが不一致であれば、パラメータの保存処理を行わせないことを決定する(ステップS250の「いいえ」)。
【0072】
このため、保存処理手段40は、保存決定手段230の決定結果に従って、保存処理(ステップS260)を行わない。また、保存決定手段230は、この決定結果に応じて、パラメータ設定装置90から入力されたパラメータが保存されなかったことを表す情報を警報出力手段130に送り、警報出力手段130は、受け取った情報に従って警報を出力する(ステップS270)。
【0073】
ステップS260またはステップS270の処理が行われた後、制御手段250は、共通記憶値210aの記憶情報を履歴保存手段240に保存させる(ステップS280)。
【0074】
その後、制御手段250は、履歴保存手段240の保存情報を履歴出力手段150に送り、履歴出力手段150は、受け取った保存情報を出力する(ステップS290)。
【0075】
なお、ステップS280およびステップS290の処理は、共通記憶値210aへの記憶が完了するステップS240以降であってステップS300の前において行われてもよい。
【0076】
その後、制御手段250は、共通記憶値210aに初期値(「0」)を記憶させる(ステップS300)。
【0077】
そして、以後、パラメータ保存装置200は、パラメータ設定装置90から入力されるパラメータに従って、ステップS200からの処理を繰り返し行う。なお、警報出力(ステップS270)、履歴保存手段240への保存(ステップS280)および保存情報の出力(ステップS290)は、必要に応じて実行できる。
【0078】
続けて、パラメータ保存装置200にノイズなどが混入した場合、パラメータ保存装置200の動作について説明する。
【0079】
図5において、パラメータ保存装置200にノイズなどが混入した場合、取得処理(ステップS210)などが実行されないで、いきなりチェック処理(ステップS230)から実行されることがある(異常経路11の場合(11)を指す)。
【0080】
ステップS220の所定演算は実行されず、ステップS240の所定演算は実行されることによって、図3(b)の異常経路11の場合(11)に示すように、共通記憶値210aは「1」を記憶する。
【0081】
図5に戻り、共通記憶値210aの値は「1」であり、判定値は「2」であるため、両者は不一致なので(ステップS250の「いいえ」)、パラメータの保存処理は行われず、警報出力手段130が警報を出力する(ステップS270)。
【0082】
また、パラメータ保存装置200にノイズなどが混入した場合、図5のステップS250から実行されることがある(異常経路12の場合(12)を指す)。
【0083】
このとき、ステップS220およびステップS240の所定演算は実行されないため、、図3(b)の異常経路12の場合(12)に示すように、共通記憶値210aは、「0」(初期値)を記憶している(なお、初期値の記憶は、ステップS300で実行されている)。
【0084】
図5に戻り、共通記憶値210aの値は初期値「0」であり、判定値は「2」であるため、両者は不一致なので(ステップS250の「いいえ」)、パラメータの保存処理は行われず、警報出力手段130が警報を出力する(ステップS270)。
【0085】
ここで、パラメータ保存装置200が、上述した正常経路の場合(10)、異常経路11の場合(11)、異常経路12の場合(12)の順番で実行した場合、履歴保存手段240は、順番に、データ「2」「1」「0」(図3(b)参照)を履歴として保存する。
【0086】
なお、共通記憶値演算手段220で行われる所定演算は、加算演算に限られず、例えば1を減算演算してもよい。このとき、ステップS250が実行される段階では、共通記憶値210aは、正常経路の場合(10)の場合に値「−2」、異常経路11の場合(11)に値「−1」、異常経路12の場合(12)に値「0」を記憶している。なお、この場合、判定値は「2」とすればよい。
【0087】
本発明によれば、第1の実施例に加えて、実行情報記憶手段210の記憶領域として、1つの共通記憶値210aを設ければよく、記憶領域を少なく(節約)することができる。
【0088】
なお、取得処理手段20、チェック処理手段30、保存処理手段40、保存決定手段120、230、制御手段160、250および共通記憶値演算手段220は、CPUなどのプロセッサによって実現してもよく、回路(ロジック回路など)によって実現してもよい。
【0089】
また、パラメータ保存装置100、200は、超音波流量計を例として説明したが、フィールド機器全般(圧力計、温度計、操作機器など)に利用することもできる。
【0090】
また、パラメータ保存装置100、200は、プロセス制御に用いれるパラメータを保存しておく必要のあるフィールド機器管理装置などにも利用することもできる。
【0091】
なお、本発明は、前述の実施例に限定されることなく、その本質を逸脱しない範囲で、さらに多くの変更および変形を含む。また、前述した各部の組み合わせ以外の組み合わせを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明を適用したパラメータ保存装置の構成図の例である。
【図2】図1のパラメータ保存装置の各手段の動作を表すフローチャート図の例である。
【図3】図3(a)は、第1記憶手段および第2記憶手段の記憶値を示す表の例である。図3(b)は、共通記憶値の記憶値を示す表の例である。
【図4】本発明を適用したパラメータ保存装置の構成図の他の例である。
【図5】図4のパラメータ保存装置の各手段の動作を表すフローチャート図の例である。
【図6】背景技術におけるパラメータ保存装置の構成図の例である。
【符号の説明】
【0093】
100、200 パラメータ保存装置
20 取得処理手段
30 チェック処理手段
40 保存処理手段
50 パラメータ保存手段
110、210 実行情報記憶手段
110a 第1記憶手段
110b 第2記憶手段
120、230 保存決定手段
130 警報出力手段
140、240 履歴保存手段
150 履歴出力手段
160、250 制御手段
210a 共通記憶値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス制御に用いられるパラメータを取得処理し、この取得処理されたパラメータが所定範囲に入っているか否かをチェック処理した後、このチェック処理されたパラメータをパラメータ保存手段へ保存処理するパラメータ保存装置において、
前記取得処理が実行されたことおよび前記チェック処理が実行されたことを記憶する実行情報記憶手段と、
この実行情報記憶手段の記憶情報に応じて前記保存処理を行わせるか否かを決定する保存決定手段と、
を備えたことを特徴とするパラメータ保存装置。
【請求項2】
前記実行情報記憶手段は、予め第1初期値が記憶された第1記憶手段と予め第2初期値が記憶された第2記憶手段とを有し、
前記第1記憶手段は、前記取得処理が実行された場合に第1所定値を記憶し、
前記第2記憶手段は、前記チェック処理が実行された場合に第2所定値を記憶し、
前記保存決定手段は、前記第1記憶手段の記憶値と前記第1所定値とが不一致または前記第2記憶手段の記憶値と前記第2所定値とが不一致の場合に前記保存処理を行わせない、
ことを特徴とする請求項1に記載のパラメータ保存装置。
【請求項3】
前記実行情報記憶手段は、予め初期値が記憶された1つの共通記憶値を有し、
前記共通記憶値は、前記取得処理が実行された場合には前記共通記憶値に対して行われる所定演算の演算値を記憶し、前記チェック処理が実行された場合には前記共通記憶値に対して行われる前記所定演算の演算値を記憶し、
前記保存決定手段は、前記共通記憶値と判定値とが不一致の場合に前記保存処理を行わせない、
ことを特徴とする請求項1に記載のパラメータ保存装置。
【請求項4】
前記保存決定手段による決定結果に応じて警報を出力する警報出力手段を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のパラメータ保存装置。
【請求項5】
前記実行情報記憶手段の記憶情報を保存する履歴保存手段と、この履歴保存手段の保存情報を出力する履歴出力手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のパラメータ保存装置。
【請求項6】
プロセス制御に用いられるパラメータを取得処理し、この取得処理されたパラメータが所定範囲に入っているか否かをチェック処理した後、このチェック処理されたパラメータをパラメータ保存手段へ保存処理するパラメータ保存方法において、
前記取得処理が実行されたことおよび前記チェック処理が実行されたことを記憶するステップと、
この記憶された情報に応じて前記保存処理を行わせるか否かを決定するステップと、
を備えたことを特徴とするパラメータ保存方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−217427(P2009−217427A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−59068(P2008−59068)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】