説明

パラメータ設定システム及びパラメータ設定プログラム

【課題】GUIを用いて各種システムや装置用のパラメータの値を設定する場合に、或るパラメータの値が変更されたことに基づき、他の関連したパラメータの値を再設定する若しくは再確認する必要が生じることがあるが、ユーザが確認を忘れてしまうことがあった。
【解決手段】パラメータ同士の関連をパラメータ関連規定部にて規定しておく。入力コントロールに新たに又は変更された値が入力されると前記パラメータ関連規定部を参照し、該入力された値のパラメータと関連のあるパラメータを関連パラメータとして特定し、モニタ上における該関連パラメータに関する表示を強調表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々のシステムや装置、ソフトウェア等において使用されるパラメータの値を入力して設定するためのシステム、すなわちパラメータ設定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、各種の装置やシステムを操作したり、こういった対象となるシステム等に命令を与えたりするためのパラメータの値を設定するためには、テキストボックス、プルダウンリスト、スピンボタン、ラジオボタン、チェックボックスなどのグラフィカルユーザインタフェース(Graphical User Interface; GUI)が用いられることが多い。GUIは旧来のキャラクタユーザインタフェース(Character User Interface; CUI)に比較して視認性や操作性に優れており、直感的操作が可能であるため、広く一般に普及している。
【0003】
通常、パラメータの値には入力制限が設定されている。入力制限とは値の入力可能範囲や書式に関する規定であり、例えば0〜255の整数のみの入力を許可するという規定や、-500〜500の数値範囲において5の倍数のみの入力を許可するといった規定がある。また、null値を許可しないといった禁止規定が含まれることもある。
このため、パラメータ設定システムを構築する際には、GUIを介してユーザがパラメータの値を入力する時に入力制限の範囲内でパラメータの値を入力させる、逆に言えば入力制限に違反するパラメータの値の入力を許可しない仕組みを設けることが、操作性を高める上で重要となる。
【0004】
パラメータの値を設定するためのGUIパーツ(本明細書では、こういったGUIパーツのことを「入力コントロール」と称する)のうち、プルダウンリストやスピンボタン、スライダ等では、入力制限に適合した値のみを入力させることができる。他方、基本的にはユーザが任意の文字や数字を入力することができる入力コントロールであるテキストボックスの場合、入力された値が入力制限を満たしているか否かの判定を行う処理が必要となる。この判定は通常、入力コントロールのフォーカスが外れたタイミングや、入力完了を意味する確定ボタンが押されたタイミング等で行われ、入力制限に違反している場合には、メッセージを表示したりビープ音を鳴らしたりすることで、違反していることがユーザに向けて報知される。
【0005】
特許文献1には、ユーザが適切なパラメータを入力できるよう補助するためのコマンド入力方法が記載されている。この方法によれば、指定パラメータに誤った値が指定されると、パラメータエラーを警告するウィンドウが表示され、そのウィンドウにおいてパラメータとして指定可能な範囲や指定し得るパラメータが表示される。従って、ユーザは誤ったパラメータを入力したことを認識できるとともに、正しいパラメータを簡単且つ正確に入力することができる。
【0006】
【特許文献1】特開平9−54671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来のパラメータ設定システムではパラメータの値が入力制限を満たしているか否かが判定され、入力制限に違反している場合には警告やエラーが表示される。しかし、これには以下のような課題がある。
【0008】
パラメータの設定画面において或るパラメータ(例えばパラメータAとする)の値が変更されると、この変更に合わせて他のパラメータ(例えばパラメータBとする)の値も変更するのが望ましいことがある。
しかし、パラメータBの入力コントロールに何らかの数字が記入されている状態でパラメータAが変更されたとしても、パラメータBの入力コントロールに既に記入されている値がその入力制限に違反していない場合には警告表示や確認を促すメッセージが表示されないため、ユーザがパラメータBの値の変更を行うことなく、パラメータの値が不適切なまま処理が進められてしまう虞があった。
【0009】
また、GUIを用いてパラメータの値を設定させるシステムにおいては、表示スペースを節約したり操作性を向上したりすること等を目的として、入力コントロールをパラメータの数だけ配置しておく代わりに、入力コントロールにソースとして関連づけられるパラメータを適宜に変更することにより、モニタ上に配置される入力コントロールの数を少なくすることが行われている。
しかし、入力コントロールに関連づけられたパラメータが変更されたことに基づき、それまでにその入力コントロールに記入されていた値が保持されたり予め定められたデフォルトの値が新たに設定されたりしたとしても、その値が入力制限に違反していない限りは、警告表示や確認を促すメッセージが表示されない。よって、ユーザがパラメータの設定を行うことなく処理が進められてしまう虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために成された本発明に係るパラメータ設定システムは、
所定のシステムに使用されるパラメータの値をGUIを用いて入力するためのパラメータ設定システムであって、
a)パラメータ同士の関連規定が保存されたパラメータ関連規定部と、
b)パラメータの値を入力するための入力コントロールをモニタ上に表示する入力コントロール表示手段と、
c)モニタ上のいずれかの入力コントロールに新たに又は変更された値が入力されたことに基づき前記パラメータ関連規定部を参照し、該入力された値のパラメータと関連のあるパラメータを関連パラメータとして特定し、モニタ上における該関連パラメータの入力コントロールの強調表示を行う関連パラメータ強調表示手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るパラメータ設定システムは、
所定のシステムに使用されるパラメータの値をGUIを用いて入力するためのパラメータ設定システムであって、
a)パラメータ同士の関連規定が保存されたパラメータ関連規定部と、
b)パラメータの値を入力するための入力コントロールをモニタ上に表示する入力コントロール表示手段と、
d)ソース変更命令を受けたことに基づき、モニタ上に表示されている入力コントロールのうち、予め定められた入力コントロールに対応するパラメータを変更するソース変更手段と、
e)該ソース変更手段によってパラメータが変更された入力コントロールの強調表示を行う変更パラメータ強調表示手段と、
を備えることを特徴とすることもできる。
【0012】
更に、本発明に係るパラメータ設定プログラムは、パラメータ同士の関連規定が保存されたパラメータ関連規定部を参照可能なコンピュータを所定のシステムに使用されるパラメータの値をGUIを用いて入力するためのパラメータ設定システムとして動作させるためのプログラムであって、前記コンピュータを、
b)パラメータの値を入力するための入力コントロールをモニタ上に表示する入力コントロール表示手段と、
c)モニタ上のいずれかの入力コントロールに新たに又は変更された値が入力されたことに基づき前記パラメータ関連規定部を参照し、該入力された値のパラメータと関連のあるパラメータを関連パラメータとして特定し、モニタ上における該関連パラメータの入力コントロールの強調表示を行う関連パラメータ強調表示手段と、
して動作させることを特徴としている。
【0013】
また、本発明に係るパラメータ設定プログラムは、パラメータ同士の関連規定が保存されたパラメータ関連規定部を備えるコンピュータを所定のシステムに使用されるパラメータの値をGUIを用いて入力するためのパラメータ設定システムとして動作させるためのプログラムであって、前記コンピュータを、
b)パラメータの値を入力するための入力コントロールをモニタ上に表示する入力コントロール表示手段と、
d)ソース変更命令を受けたことに基づき、モニタ上に表示されている入力コントロールのうち、予め定められた入力コントロールに対応するパラメータを変更するソース変更手段と、
e)該ソース変更手段によってパラメータが変更された入力コントロールの強調表示を行う変更パラメータ強調表示手段と、
して動作させることを特徴とすることもできる。
【0014】
なお、本発明においていう「パラメータ」はパラメータの種類という意味であり、「パラメータの値」はそのパラメータに関して設定される値のことを意味するものとする。このパラメータの値は数値に限定されることはなく、文字列等であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るパラメータ設定システムによれば、あるパラメータの値が変更されたときに、そのパラメータと関連のある他のパラメータに関する表示がモニタ上で強調表示される。従って、従来であれば見過ごしてしまう可能性のあったパラメータの値にユーザの注意を向けることが可能となる。よってユーザは各種のパラメータをミス無く確実に、そして一度の操作で設定することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係るパラメータ設定システムの実施例について、図面を参照しつつ説明を行う。
【0017】
図1に本発明の一実施例に係るパラメータ設定システム1のハードウェア構成を示す。中央演算処理装置であるCPU10にメモリ12、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等から成るモニタ14、キーボードやマウスなどを含む入力部16、ハードディスクやフラッシュメモリ等から成る記憶部20が接続されている。記憶部20には、パラメータ設定プログラム21、パラメータ関連規定部22、パラメータ値制限規定部23、オペレーティングシステム(OS)24等が記憶されている。
【0018】
図1に描かれているように、パラメータ設定プログラム21には、入力コントロール表示手段25、関連パラメータ強調表示手段26、ソース変更手段27、及び変更パラメータ強調表示手段28、パラメータ違反警告手段29が含まれている。これらはいずれもCPU10がパラメータ設定プログラム21を実行することによってソフトウェア的に具現化される構成である。
【0019】
また、本実施例に係るパラメータ設定システム1にはネットワークケーブルNWが備えられており、LAN(Local Area Network)などのネットワークを介して所定のシステムや装置(非図示)と接続されている。そして、パラメータ設定システム1によって設定されたパラメータの値は、それらのシステムや装置に対して送信される。
【0020】
パラメータ関連規定部22には、本実施例のパラメータ設定システム1で用いるパラメータ同士の関連が規定されている。
【0021】
パラメータ値制限規定部23には、パラメータの値の入力制限規定が保存されている。入力値制限規定とは、パラメータの値に関する入力制限の規定である。例えばパラメータの値が数値の場合には、数値範囲、値の書式等である。パラメータの値が文字列の場合には、入力可能な文字列を指定しておくこともできる。
【0022】
以下、ユーザが本実施例に係るパラメータ設定システム1を用いてパラメータの値の設定を行う際の、本実施例に係るパラメータ設定システム1の動作(すなわち、パラメータ設定プログラム21の動作)の例について説明する。
【0023】
ユーザが入力部16を適宜に操作することによって、パラメータ設定画面の表示要求を入力すると、入力コントロール表示手段25はパラメータの値を入力するための入力コントロール等をモニタ14上に表示する。図2はこのようなパラメータ設定画面の一例であり、ここではガスクロマトグラフ質量分析計に関するパラメータの値を設定するものとする。ただし、図2にはパラメータ設定画面の一部しか描いていない。
【0024】
図2のパラメータ設定画面では、3つのパラメータ、すなわち、試料気化室温度、キャリアガス圧力、全流量のそれぞれに関する値を入力するための入力コントロール31、32、33が表示されている。これらの入力コントロール31、32、33はいずれも、数値を直接入力することによりパラメータの値を指定することができるテキストボックスである。いま、試料気化室温度に関する入力コントロール31にはパラメータ値100(℃)、キャリアガス圧力に関する入力コントロール32にはパラメータ値10.0(kPa)、全流量に関する入力コントロール33にはパラメータ値0.7(ml/分)がそれぞれ入力されている。
【0025】
ここで、ユーザが入力部16を操作することによってキャリアガス圧力に関する入力コントロール32のパラメータの値を10.0から20.0に変更した場合を考える。この入力が行われたことに基づき、関連パラメータ強調表示手段26はパラメータ関連規定部22を参照する。いま、パラメータ関連規定部22には、キャリアガス圧力のパラメータおよび全流量のパラメータには関連がある旨が記載されているものとする。関連パラメータ強調表示手段26はパラメータ関連規定部22を参照した結果、キャリアガス圧力のパラメータと関連のあるパラメータである全流量に関するパラメータを関連パラメータとして特定し、この関連パラメータを強調表示する。この例では図2の下段に示すように、全流量に関する入力コントロール33の背景色を変更する。
【0026】
関連パラメータ強調表示手段26が行う関連パラメータに関する入力コントロールの強調表示の方法は特に限定されるものではないが、例えば以下のようなものが考えられる。
・入力コントロールの背景色を変える(図2の下段)
・入力コントロールに記入されたパラメータの値(図2の例では「0.7」)の色や文字の表示形態を変える
・関連パラメータに関する入力コントロールに付されたラベル(図2の例では「全流量:」という文字列)の色や表示形態を変える
【0027】
関連パラメータ強調表示手段26が関連パラメータに関する入力コントロールを強調表示するタイミングは特に問わない。入力コントロールへの値の入力が完了した時点としてもよいし(例えば値が入力された後にカーソルのフォーカスが外れたタイミングや、値が入力された後に確定ボタンや入力部16より確定を指示する入力が行われたタイミング)、入力コントロールへ最初の値が入力された時点とすることもできる。
【0028】
以上のように、関連パラメータ強調表示手段26によって関連パラメータに関する表示が強調表示されることにより、ユーザは、値の変更を行ったり新規に値を入力したりしたパラメータのみならず、そのパラメータに関連したパラメータにも注目することができるようになる。
【0029】
次に、パラメータ違反警告手段29の動作について説明する。パラメータ違反警告手段29は、予め定められたタイミングでパラメータ値制限規定部23を参照する。パラメータ値制限規定部23には各パラメータの値の入力制限規定が記憶されている。入力制限規定にはパラメータの値として入力を受け付ける範囲、書式などが含まれる。また、選択可能なパラメータの値である数字や文字列が指定されていても良い。
パラメータ違反警告手段29は、モニタ上の入力コントロールに記入されているパラメータの値が入力制限規定に違反していることを検知すると、モニタ上のその入力コントロールに関する表示を警告表示する。
【0030】
パラメータ違反警告手段29が警告表示の対象とする入力コントロールは、モニタ上に表示されている全ての入力コントロールとすることもできるし、新たに値が入力されたり変更されたりした入力コントロールとすることもできる。ただし、これも特に限定されるものではない。
【0031】
パラメータ違反警告手段29による警告表示の方法は、上述した関連パラメータ強調表示手段26が行う強調表示の方法と同様に、任意の方法を採用することができるが、例として、
・入力コントロールの背景色を変える
・入力コントロールに記入されたパラメータの値の色や文字の表示形態を変える
・関連パラメータに関する入力コントロールに付されたラベルの色や表示形態を変える
・入力可能な値の規定に違反している旨をモニタ上の所定の場所に表示する
といった方法を採ることができる。
【0032】
また、パラメータ違反警告手段29が入力コントロールの警告表示を行うタイミングは、入力コントロールへの値の入力が完了した時点としてもよいし(例えば値が入力された後にカーソルのフォーカスが外れたタイミングや、値が入力された後に確定ボタンや入力部16より確定を指示する入力が行われたタイミング)、入力コントロールへ最初の値が入力された時点とすることもできる。
【0033】
図3に、パラメータ違反警告手段29の動作を模式的に示す。いま、パラメータ値制限規定部23には、キャリアガス圧力のパラメータの値が0〜50の範囲でなければならない旨が規定されているものとする。このとき、ユーザが入力部16を操作したことにより、キャリアガス圧力に関する入力コントロール32のパラメータの値が10.0から100.0に変更されたものとする。パラメータ違反警告手段29は、この100.00という値がパラメータ値制限規定部23において規定されている入力制限規定(0〜50の範囲)に違反していることを検知し、キャリアガス圧力に関する入力コントロール32の背景色を変化させる。
【0034】
図3に示す例では、キャリアガス圧力に関する入力コントロール32の値が変更されたことに基づき、パラメータ違反警告手段29によってキャリアガス圧力に関する入力コントロール32の背景色が変更されているだけでなく、関連パラメータ強調表示手段26によって全流量に関する入力コントロール33の背景色も変更されている。このように、パラメータ違反警告手段29は、関連パラメータ強調表示手段26と並行して動作を行うようにすることができる。
従って、ユーザが関連パラメータ強調表示手段26による入力コントロールの強調表示と、パラメータ違反警告手段29による入力コントロールの警告表示とを区別できるように、関連パラメータ強調表示手段26の強調表示とパラメータ違反警告表示29の警告表示とは異なるように設定しておくことが好ましい。
【0035】
次に、本実施例のパラメータ設定システム1における、変更パラメータ強調表示手段28の動作について、図4を参照しつつ説明する。図4は、入力コントロール表示手段25によりモニタ14上に表示されるパラメータ設定画面の例である。
図4に示すパラメータ設定画面には、制御モードに関する入力コントロール34、最大値に関する入力コントロール35、最小値に関する入力コントロール36が表示されている。このうち、制御モードに関する入力コントロール34は、複数のパラメータの値から一つの値を選択することが可能なコンボボックスである。そして、制御モードに関するパラメータの値としてパラメータ値制限規定部23に「試験力」、「加速度」、「電圧」、「変位」が規定されているものとする。図4の上段の例では、制御モードに関する入力コントロール34において「試験力」というパラメータの値が選択されている。
本実施例のパラメータ設定システム1では、制御モードに関するパラメータの値が変更されると、これに伴ってソース変更命令が入力されるように予め設定されている。本実施例では、パラメータ値制限規定部23に、ソース変更命令が入力された際に、パラメータを変更する入力コントロールと、その入力コントロールに新たに関連づけられるパラメータの種類とが規定されているものとする。
【0036】
ここで、ユーザが入力部16を操作することにより、制御モードに関するパラメータの値を「試験力」から「変位」に変更したものとする(図4の下段)。この入力、即ちソース変更命令を受けたソース変更手段27はパラメータ値制限規定部23を参照することにより、試験力の最大値に関する入力コントロール35に対応するパラメータを変位の最大値に関するパラメータに変更する。また、ソース変更手段27は入力コントロール35の付近に表示する単位を「kN」から「mm」に変更する。同様に、ソース変更手段27は試験力の最小値に関する入力コントロール36に対応するパラメータを変位の最小値に関するパラメータに変更し、入力コントロール36の付近に表示する単位を「kN」から「mm」に変更する。
【0037】
そして、変更パラメータ強調表示手段28は、図4の下段に示すように、ソース変更手段27によってパラメータが変更された入力コントロールである、変位の最大値に関する入力コントロール35、及び変位の最小値に関する入力コントロール35の背景色を変化させ、強調表示を行う。これによって、変位の最小値及び最大値として設定されている値が適切か否かを確認するようにユーザに注意を促すことができる。
なお、変更パラメータ強調表示手段28が行う強調表示の方法は、特に限定されるものではなく、関連パラメータ強調表示手段26と同様の強調方法を用いることができる。ただし、変更パラメータ強調表示手段28による強調表示は、関連パラメータ強調表示手段26による強調表示、及びパラメータ違反警告手段29による警告表示とは異なるように設定しておくことが好ましい。
【0038】
図4に示す例では、制御モードに関するパラメータの値が「試験力」から「変位」に変更された後も、最大値及び最小値のパラメータとして入力されている値(20及び-20)がクリアされることなく保持されている。このような場合、パラメータ違反警告手段29が変更パラメータ強調表示手段28と並行して、若しくは変更パラメータ強調表示手段28に先んじて動作し、変位の最大値に関する入力コントロール35および変位の最小値に関する入力コントロール36のそれぞれに入力されているパラメータの値が、パラメータ値制限規定部23において規定されている入力制限規定に違反しているか否かを判定し、違反している場合には対象となる入力コントロールの警告表示を行うことが望ましい。
【0039】
以上、具体的に説明したように、本発明に係るパラメータ設定システム1によれば、各種の装置やシステム等において用いられるパラメータをGUIを用いて設定する際に、従来であれば適切な設定をし損なう可能性があったパラメータの値を確認するように、ユーザに注意を促すことが可能となる。
【0040】
なお、上記の説明は例に過ぎないことは明らかであり、本発明の精神内において適宜に変更や修正等を行っても構わない。以下に変形例を挙げる。
【0041】
(変形例1)
図5は、ガスクロマトグラフ質量分析計の制御を行うための制御ソフトウェアにおいて、検出器電圧の値を設定するためのパラメータ設定画面の例である。この例では、検出器電圧に関するパラメータの値として「チューニング結果からの相対値」および「絶対値」が表示されており、ラジオボタン(入力コントロールの一種)によっていずれかの値を選択することが可能となっている。
また、本発明のパラメータ設定システムのパラメータ値制限規定部において、「チューニング結果からの相対値」の入力可能値範囲が-2.5〜2.5、「絶対値」の入力可能値範囲が0.5〜3.0である旨が規定されているものとする。
【0042】
さらに、この制御ソフトウェアでは、「チューニング結果からの相対値」及び「絶対値」という両パラメータの値に対応する電圧値のデフォルト値が保持されている。ユーザが入力部16を操作することによりラジオボタンの何れかが選択された際には、電圧値の入力コントロール37にそのデフォルト値が入力される。ここでは、「チューニング結果からの相対値」のデフォルト値が1.5(kV)、「絶対値」のデフォルト値が2.0(kV)に設定されているものとする。つまり、検出器電圧に関するパラメータの値として「チューニング結果からの相対値」から「絶対値」が選択された際、電圧値の入力コントロール37には、「2.0」が入力される。この2.0という値はパラメータ値制限規定部23において規定されている「絶対値」の入力可能値範囲である0.5〜3.0内に収まっているため、従来であれば、パラメータ設定画面では何の注意表示も行われない。従って、ユーザが、電圧値が変更(1.5→2.0)されたことに気づかないおそれがあった。そして、分析を実行した後に電圧値の設定が誤っていたことに気づき、分析を再度実行しなければならないという問題が生じることもあった。
【0043】
一方、本発明に係るパラメータ設定システムをこのような制御ソフトウェアに適用する場合、パラメータ関連規定部に、検出器電圧に関するパラメータと電圧値に関するパラメータとに関連がある旨を規定しておく。これにより、ユーザが入力部を操作することによってラジオボタンの何れかを選択したことに基づき、関連パラメータ強調表示手段が電圧値の入力コントロール37の強調表示を行う(図5の下段)。よって、電圧値が適切か否かを確認するようにユーザに注意を促すことが可能となる。
【0044】
(変形例2)
図6は、文書作成ソフトウェア等におけるページ設定ウィンドウの一部である。図6に示す例では、上、下、左、右のそれぞれの余白についてスピンボタン(入力コントロールの一種)によって設定することができる。また、印刷の向きとして縦又は横のいずれかを選択することができる。ここでは、各余白についての値、および印刷の向きがパラメータの値となる。
従来、印刷の向きを変更すると、新たに指定された印刷の向きに応じて余白の各値が自動的に、つまりデフォルト値に設定される。もしくは、印刷の向きを変更したとしても余白の各値は変更されない。いずれにせよ、印刷の向きを変更したときに、余白に関する入力コントロールに注意を促す強調表示は行われないため、ユーザが余白値に注目せず、不適切な値のまま処理を進めてしまうことがあった。つまり、印刷を実行した後に余白の値が不適切であったことに気づき、余白値の再設定を行って再印刷を行わねばならないことがあった。
【0045】
本発明に係るパラメータ設定システムをこのようなソフトウェアに適用する場合、パラメータ関連規定部に、印刷の向きのパラメータと、上、下、左、右のそれぞれの余白に関するパラメータとに関連がある旨を規定しておく。そして、ユーザが入力部を操作することによって印刷の向きを変更したことに基づき、関連パラメータ強調表示手段がそれぞれの余白に関する入力コントロールの強調表示を行う(図6の下段)。これにより、余白値が適切かどうか、ユーザに確認を促すことができる。
【0046】
このように、本発明に係るパラメータ設定システムは、新たなシステムや制御装置として利用することができるだけでなく、パラメータを設定するための既存のシステムや制御装置、ソフトウェアなどに適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のパラメータ設定システムの一実施例のハードウェア構成を示す図。
【図2】パラメータ設定画面の表示例。
【図3】パラメータ違反警告手段の動作を模式的に示した図。
【図4】変更パラメータ強調表示手段の動作を模式的に示した図。
【図5】本発明に係るパラメータ設定システムをガスクロマトグラフ質量分析計の制御ソフトウェアに適用した場合の画面例。
【図6】本発明に係るパラメータ設定システムを文書のページ設定に適用した場合の画面例。
【符号の説明】
【0048】
1…パラメータ設定システム
10…CPU
12…メモリ
14…モニタ
16…入力部
20…記憶部
21…パラメータ設定プログラム
22…パラメータ関連規定部
23…パラメータ値制限規定部
24…OS
25…入力コントロール表示手段
26…関連パラメータ強調表示手段
27…ソース変更手段
28…変更パラメータ強調表示手段
29…パラメータ違反警告手段
31…入力コントロール
32…入力コントロール
33…入力コントロール
34…入力コントロール
35…入力コントロール
36…入力コントロール
37…入力コントロール
NW…ネットワークケーブル




【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のシステムに使用されるパラメータの値をGUIを用いて入力するためのパラメータ設定システムであって、
a)パラメータ同士の関連規定が保存されたパラメータ関連規定部と、
b)パラメータの値を入力するための入力コントロールをモニタ上に表示する入力コントロール表示手段と、
c)モニタ上のいずれかの入力コントロールに新たに又は変更された値が入力されたことに基づき前記パラメータ関連規定部を参照し、該入力された値のパラメータと関連のあるパラメータを関連パラメータとして特定し、モニタ上における該関連パラメータの入力コントロールの強調表示を行う関連パラメータ強調表示手段と、
を備えることを特徴とするパラメータ設定システム。
【請求項2】
所定のシステムに使用されるパラメータの値をGUIを用いて入力するためのパラメータ設定システムであって、
a)パラメータ同士の関連規定が保存されたパラメータ関連規定部と、
b)パラメータの値を入力するための入力コントロールをモニタ上に表示する入力コントロール表示手段と、
d)ソース変更命令を受けたことに基づき、モニタ上に表示されている入力コントロールのうち、予め定められた入力コントロールに対応するパラメータを変更するソース変更手段と、
e)該ソース変更手段によってパラメータが変更された入力コントロールの強調表示を行う変更パラメータ強調表示手段と、
を備えることを特徴とするパラメータ設定システム。
【請求項3】
所定のシステムに使用されるパラメータの値をGUIを用いて入力するためのパラメータ設定システムであって、
a)パラメータ同士の関連規定が保存されたパラメータ関連規定部と、
b)パラメータの値を入力するための入力コントロールをモニタ上に表示する入力コントロール表示手段と、
c)モニタ上のいずれかの入力コントロールに新たに又は変更された値が入力されたことに基づき前記パラメータ関連規定部を参照し、該入力された値のパラメータと関連のあるパラメータを関連パラメータとして特定し、モニタ上における該関連パラメータの入力コントロールの強調表示を行う関連パラメータ強調表示手段と、
d)ソース変更命令を受けたことに基づき、モニタ上に表示されている入力コントロールのうち、予め定められた入力コントロールに対応するパラメータを変更するソース変更手段と、
e)該ソース変更手段によってパラメータが変更された入力コントロールの強調表示を行う変更パラメータ強調表示手段と、
を備えることを特徴とするパラメータ設定システム。
【請求項4】
f)各パラメータの値の入力制限規定が記憶されたパラメータ値制限規定部と、
g)予め定められたタイミングで前記パラメータ値制限規定部を参照し、モニタ上の入力コントロールに記入されているパラメータの値が入力制限規定に違反している場合には、モニタ上における該入力コントロールの警告表示を行うパラメータ違反警告手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパラメータ設定システム。
【請求項5】
パラメータ同士の関連規定が保存されたパラメータ関連規定部を参照可能なコンピュータを、所定のシステムに使用されるパラメータの値をGUIを用いて入力するためのパラメータ設定システムとして動作させるためのプログラムであって、前記コンピュータを、
b)パラメータの値を入力するための入力コントロールをモニタ上に表示する入力コントロール表示手段と、
c)モニタ上のいずれかの入力コントロールに新たに又は変更された値が入力されたことに基づき前記パラメータ関連規定部を参照し、該入力された値のパラメータと関連のあるパラメータを関連パラメータとして特定し、モニタ上における該関連パラメータの入力コントロールの強調表示を行う関連パラメータ強調表示手段と、
して動作させることを特徴とするパラメータ設定プログラム。
【請求項6】
パラメータ同士の関連規定が保存されたパラメータ関連規定部を参照可能なコンピュータを、所定のシステムに使用されるパラメータの値をGUIを用いて入力するためのパラメータ設定システムとして動作させるためのプログラムであって、前記コンピュータを、
b)パラメータの値を入力するための入力コントロールをモニタ上に表示する入力コントロール表示手段と、
d)ソース変更命令を受けたことに基づき、モニタ上に表示されている入力コントロールのうち、予め定められた入力コントロールに対応するパラメータを変更するソース変更手段と、
e)該ソース変更手段によってパラメータが変更された入力コントロールの強調表示を行う変更パラメータ強調表示手段と、
して動作させることを特徴とするパラメータ設定プログラム。
【請求項7】
更に、各パラメータの値の入力制限規定が記憶されたパラメータ値制限規定部を参照可能な前記コンピュータを、
g)予め定められたタイミングで前記パラメータ値制限規定部を参照し、モニタ上の入力コントロールに記入されているパラメータの値が入力制限規定に違反している場合には、モニタ上における該入力コントロールの警告表示を行うパラメータ違反警告手段と、
して動作させることを特徴とする請求項5又は6に記載のパラメータ設定プログラム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−86837(P2009−86837A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253428(P2007−253428)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】