パルスオキシメータ用プローブ
【課題】簡単な構成にして低コストに製造することができ、小形軽量にして、長時間の装着に際しても患者に対する負担を軽減し、再使用可能なプローブとして有効かつ経済的に利用することができるパルスオキシメータ用プローブを提供する。
【解決手段】発光素子と受光素子をそれぞれ対向するように取り付けた第1のハウジング12と第2のハウジング14とからなり、前記第1のハウジング12を指の爪部側に対し適合当接するよう構成すると共に、前記第2のハウジング14を前記第1のハウジング12に連続して指の爪先部を覆うよう屈曲(16)して指先の腹部に適合当接するよう構成し、前記第1のハウジング12の端部にプローブ用コネクタと接続するためのリード線を挿通配置した構成とする。
【解決手段】発光素子と受光素子をそれぞれ対向するように取り付けた第1のハウジング12と第2のハウジング14とからなり、前記第1のハウジング12を指の爪部側に対し適合当接するよう構成すると共に、前記第2のハウジング14を前記第1のハウジング12に連続して指の爪先部を覆うよう屈曲(16)して指先の腹部に適合当接するよう構成し、前記第1のハウジング12の端部にプローブ用コネクタと接続するためのリード線を挿通配置した構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の手指等に装着して、動脈血酸素飽和度を測定することができるパルスオキシメータ用プローブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、患者の動脈血酸素飽和度(SpO2 )を測定する場合において、一対の発光素子と受光素子とを生体組織の一部を介して対向配置し、前記生体組織を透過する光の強度を測定して動脈血酸素飽和度を測定するためのパルスオキシメータ用プローブが使用されている。
【0003】
従来におけるこの種のパルスオキシメータ用プローブとして、例えば発光素子と受光素子をそれぞれ対向するように取り付けたハウジングを、洗濯ばさみのように結合軸を支点として開閉するようにし、ばね(クリップ)によって前記発光素子と受光素子が相互に近接するように付勢した構成からなるものが知られている(特許文献1参照)。このプローブは、手の指に対して使用するものであり、被験者の指に前記ハウジングを挾持させて装着する。
【0004】
この種のプローブは、構造が簡単であり、被験者の生体組織への取り付けおよび取り外し容易である。しかしながら、相対する2つのハウジングが、結合軸を中心にして開閉動作するため、指のようにその厚みや大きさ等の寸法に個人差がある場合においては、1つのプローブであらゆる人に対応させることは困難であり、所定の厚みや大きさ以上の指には適正に装着することができず、測定部位からずれたり、あるいは外れたりし易くなる難点がある。また、前記ハウジングの開閉を行うためのばね力が規定されているため、プローブを長時間装着し続けると痛みを伴うことから、例えば一晩中の装着が必要な睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome )のスクリーニング検査には不都合である。
【0005】
また、前記のようなばね(クリップ)式のパルスオキシメータ用プローブとは異なり、受光素子を備えた第1のケーシング部と、発光素子を備えた第2のケーシング部とを、ほぼV字型に接続した構成からなり、少なくとも第1のケーシング部の内面に粘着部材を設けて、被験者の指または足の爪部分を前記第1のケーシング部と第2のケーシング部とで挟むように装着し、酸素飽和度を測定することができるプローブが提案されている(特許文献2参照)。このプローブは、被験者の測定部位に固定するために、前記ケーシング部の内面に粘着部材を設けることが不可欠である。
【0006】
しかしながら、このように構成されたプローブは、ほぼV字型に形成された第1のケーシング部と第2のケーシング部とが、多少の弾力性を有するように接続構成されているとしても、その厚みや大きさ等の寸法に個人差がある指等に対して、全て適正に固定できるようにするためには、前記粘着部材を設けることは不可欠である。このため、前記粘着部材にゴミ等が付着し、プローブを再利用する場合には、測定精度に影響を与えるばかりでなく、衛生管理面においても問題を生じる難点がある。
【0007】
さらに、前述したいずれの構成とも異なるプローブとして、粘着シート構造のディスポーザブル式プローブも提案されている(特許文献3参照)。しかし、このプローブは、例えば睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査を、自宅で行うような場合、被験者が一人でプローブを装着する必要が生じる。このような場合において、プローブの装着位置は自由である反面、適正な測定部位に装着するための知識やテクニックが必要であり、しかも一人では装着し難いという難点がある。
【0008】
前述したように、パルスオキシメータ用プローブは、測定部位に対する適正な装着に際して所要のテクニックが必要であり、患者自身でプローブを装着することが困難であり、しかも患者自身の装着では測定の品質が左右されることが多いことから、正確な酸素飽和度(SpO2 )を測定するためには、専門の技師や看護師の操作が必要である。また、長時間に亘るプローブの装着によって、測定部位の生体組織に対するに違和感が増大し、疼痛等のためプローブの装着を意識的にまたは無意識的に外してしまうことがある。そして、このようなプローブの長時間に亘る装着は、測定部位の局所的圧迫による圧迫痕や水泡の発生を伴うことから、頻繁にプローブの装着位置の変更が必要であり、測定を行う操作者の負担が多くなる難点がある。
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,685,464号明細書
【特許文献2】米国特許第5,776,059号明細書
【特許文献3】登録実用新案第2547840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前述した従来のパルスオキシメータ用プローブの問題点を解消すべく提案されたものであり、動脈血の酸素飽和度(SpO2 )を適正に測定するために、発光素子と受光素子をそれぞれ備えたプローブを、常に適正な測定部位に位置決めすることができるばかりでなく、粘着部材を設けることなくプローブ自体が患者の測定部位に対して適正に仮固定できる程度の機能を備え、患者自身により容易かつ確実に装着することができると共に、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査に好適に使用することができる、取扱いの簡便なパルスオキシメータ用プローブを提供するものである。
【0011】
従って、本発明の目的は、簡単な構成にして低コストに製造することができ、小形軽量にして、長時間の装着に際しても患者に対する負担を軽減し、再使用可能なプローブとして有効かつ経済的に利用することができるパルスオキシメータ用プローブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載のパルスオキシメータ用プローブは、発光素子と受光素子をそれぞれ対向するように取り付けた第1のハウジングと第2のハウジングとからなり、
前記第1のハウジングを指の爪部側に対し適合当接するよう構成すると共に、前記第2のハウジングを前記第1のハウジングに連続して指の爪先部を覆うよう屈曲して指先の腹部に適合当接するよう構成し、
前記第1のハウジングの端部にプローブ用コネクタと接続するためのリード線を挿通配置した構成からなることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項2に記載のパルスオキシメータ用プローブは、前記第1のハウジングの内面に、爪の生え際中央部への当接を避けるようにU字状のクッション部材を設け、このU字状のクッション部材の中央部分に発光素子用発光窓を設けたことを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項3に記載のパルスオキシメータ用プローブは、前記第1のハウジングの内面には発光窓を覆わない程度の孔を有するクッション部材を設け、前記クッション部材の孔部分に発光素子用発光窓を設けたことを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項4に記載のパルスオキシメータ用プローブは、前記第1のハウジングの爪部に沿う両側部に、爪の表面を全面的に覆うようにして外部からの光を遮断するための遮光カバー部をそれぞれ延設したことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項5に記載のパルスオキシメータ用プローブは、前記第1のハウジングと第2のハウジングとが接続される屈曲部の内面に、指先部より伸びた爪の先端を収容可能な凹部を設けたことを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項6に記載のパルスオキシメータ用プローブは、前記第2のハウジングの内面中央部に、受光素子を収納配置し、当該受光素子が指先の腹部に密着当接するように構成したことを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項7に記載のパルスオキシメータ用プローブは、前記第1のハウジングと第2のハウジングとが、指の先端部に対する当接圧力を、末梢の静脈拍動を抑える圧力(10mmHg)以上で、動脈拍動を抑えない程度の圧力(30〜35mmHg)以下の屈曲弾性力を有するように、可撓性樹脂材料により一体成形により構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1に記載のパルスオキシメータ用プローブによれば、動脈血の酸素飽和度(SpO2 )を適正に測定するために、発光素子と受光素子をそれぞれ備えたプローブを、常に適正な測定部位に位置決めすることができるばかりでなく、粘着部材を設けることなくプローブ自体が患者の測定部位に対して適正に仮固定できる程度の機能を備え、患者自身により容易かつ確実に装着することができると共に、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査に好適に使用することができる。特に、本発明のパルスオキシメータ用プローブによれば、簡単な構成にして低コストに製造することができ、小形軽量にして、長時間の装着に際しても患者に対する負担を軽減し、再使用可能なプローブとして有効かつ経済的に利用することができる。
【0020】
請求項2および3に記載のパルスオキシメータ用プローブによれば、プローブの装着に際して、指の痛みを感じる部分に対する緩衝効果を高めて、長時間に亘る装着を可能にして、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査に好適に使用することができる。
【0021】
請求項4に記載のパルスオキシメータ用プローブによれば、プローブの装着に際しての外部からの光を確実に遮断して、常に精度の高い動脈血の酸素飽和度の測定を行うことができる。
【0022】
請求項5に記載のパルスオキシメータ用プローブによれば、爪の伸びた患者に対しても、プローブの装着を適正かつ確実に行うことが可能であり、精度の高い動脈血の酸素飽和度の測定を行うことができる。
【0023】
請求項6に記載のパルスオキシメータ用プローブによれば、発光素子に対する受光素子の対向配置を適正に行うことができ、精度の高い動脈血の酸素飽和度の測定を行うことができる。
【0024】
そして、請求項7に記載のパルスオキシメータ用プローブによれば、第1のハウジングと第2のハウジングとについて、指の先端部に対する当接圧力を適正に設定し、粘着部材を設けることなくプローブ自体が患者の測定部位に対して適正に仮固定できる程度の機能を備え、患者自身により容易かつ確実に装着することができると共に、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査に好適に使用することができ、しかも精度の高い動脈血の酸素飽和度の測定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明に係るパルスオキシメータ用プローブの実施例につき、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
図1ないし図6は、本発明に係るパルスオキシメータ用プローブの一実施例を示すものであり、図1は概略斜視図、図2は平面図、図3は側面図、図4は底面図、図5は正面図、そして図6は背面図である。しかるに、図1ないし図6において、本実施例のパルスオキシメータ用プローブ10は、発光素子と受光素子をそれぞれ対向するように取り付けた第1のハウジング12と、第2のハウジング14とからなり、前記第1のハウジング12を指の爪部側に対し適合当接するよう構成すると共に、前記第2のハウジング14を前記第1のハウジング12に連続して指の爪先部を覆うよう屈曲部16において屈曲し、指先の腹部に適合当接するよう構成されている(特に、図3参照)。
【0027】
そこで、本実施例におけるパルスオキシメータ用プローブ10は、例えば前記第1のハウジング12と第2のハウジング14とについて、指の先端部に対する当接圧力が、末梢の静脈拍動を抑える圧力(10mmHg)以上で、動脈拍動を抑えない程度の圧力(30〜35mmHg)以下の屈曲弾性力を有するように、可撓性樹脂材料により一体成形により構成することができる。なお、屈曲部16を他の屈曲弾性力を有する可撓性材料とし、第1のハウジング12と第2のハウジング14を接続し、本実施例のパルスオキシメータ用プローブ10と同様な構成とすることも可能である。
【0028】
図7は、本実施例に係るパルスオキシメータ用プローブ10の側面断面図を示すものである。そこで、このパルスオキシメータ用プローブ10の第1のハウジング12においては、発光素子20が収納配置されると共に、例えば図8に示すように、指先部Fの爪の生え際中央部C〔図8の(b)参照〕への当接を避けるようにU字状のクッション部材22Aを設け〔図8の(a)参照〕、このU字状のクッション部材22Aの中央部分に発光素子用発光窓23を設けた構成からなる。なお、前記指先部Fの爪の生え際中央部Cは、皮膚が薄いために圧迫により痛みを発生し易い部位として知られている。従って、本発明に係るパルスオキシメータ用プローブ10の装着に際して、指の痛みを感じる部分に対する緩衝効果を高めて、長時間に亘る装着を可能にして、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査に好適に使用することができる。
【0029】
図9は、前述したパルスオキシメータ用プローブ10の発光素子20が収納配置される第1のハウジング12に設けるクッション部材22Aの別の実施例を示すものである。すなわち、本実施例のクッション部材22Bは、図9の(a)に示すように、前述した指先部Fの爪の生え際中央部C〔図8の(a)参照〕にクッション部材22Bが当接しても、指先部Fの爪の生え際中央部Cへクッション部材22Bより掛かる圧力分布が、全体とほぼ同等または他の部分よりも弱い圧力分布とするために、O字状のクッション部材22Bとして構成する。この場合、クッション部材22Bの中心部に形成された孔部は、発光素子用発光窓23として構成される。
【0030】
このように構成されるクッション部材22Bにおいて、爪の生え際中央部Cが当接するクッション部材部分については、(1) 指先部Fの長手方向両側部など他のクッション部材部分よりも柔らかいクッション部材を使用すること、(2) 指先部Fの長手方向両側部から指形状に合わせた円弧を描く凹形状とすること〔図9の(b)参照〕、(3) 前記 (1)と(2) を組み合わせること等により、爪の生え際中央部Cへ掛かる圧力を減少させることが可能である。なお、他のクッション部材部分よりも柔らかいクッション部材としては、あらゆる弾性部材および耐久性を向上させるため、フォーミングしたシート材(外皮構造)の内部に、スポンジ、空気、液体、ゲル剤などを封入することで、柔らかい弾力性とすることができるが、要はその他のクッション部材部分よりも柔らかい素材や物質を挿入すれば好適である。このように、クッション部材部分の弾力性(柔らかさ)の分布が異なるクッション部材22Bを使用したパルスオキシメータ用プローブ10を、被験者が装着することにより、第1のハウジング12が指形状に追従して、局所的な圧迫のない理想的な圧分布となるような装着が可能となる。
【0031】
従って、本発明に係るパルスオキシメータ用プローブ10は、その装着に際して指の痛みを感じる部分に対する緩衝効果を高め、長時間に亘る装着を可能にして、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査に好適に使用することができる。特に、本実施例においては、クッション部材22Bの形状をO字状としたが、中心部における発光素子用発光窓23を覆わない程度の孔部を有する形状であれば、長方形状、四角形状、輪形状などでも良く、例えば図9の(b)に示すような形状とすることによっても、前述した実施例のクッション部材22A、22Bを使用したパルスオキシメータ用プローブ10と同様の効果を奏することが可能である。
【0032】
また、前記第1のハウジング12において、その端部にプローブ用コネクタ(図示せず)と接続されるリード線24を案内挿通するためのリード線挿通部26が設けられている(図1ないし図4および図7、図8、図9参照)。さらに、前記第1のハウジング12の爪部に沿う両側部には、それぞれ爪の表面を全面的に覆うようにして外部からの光を遮断するための遮光カバー部28、28をそれぞれ延設する。このように構成することにより、本発明に係るパルスオキシメータ用プローブ10の装着に際して、外部からの光を確実に遮断して、常に精度の高い動脈血の酸素飽和度の測定を行うことができる。
【0033】
一方、前記第1のハウジング12と第2のハウジング14とが接続される屈曲部16の内面には、指先部Fより伸びた爪の先端を収容可能な凹部18を設けた構成からなる(図3および図7参照)。このように構成することにより、爪の伸びた患者に対しても、本発明に係るパルスオキシメータ用プローブ10の装着を、安全にして適正かつ確実に行うことができる。
【0034】
さらに、図7および図10に示すように、本実施例のパルスオキシメータ用プローブ10の第2のハウジング14においては、その内面中央部に、受光素子30を収納配置し、当該受光素子30が指先の腹部に密着当接するように構成する。このように構成することにより、発光素子20に対する受光素子30の対向配置を適正に行うことができ、精度の高い動脈血の酸素飽和度の測定を行うことができる。なお、この場合、前記受光素子30のリード線24bは、前記第2のハウジング14の内面から屈曲部16の内面側に設けたリード線案内溝19を介して第1のハウジング12の内面へ配設し、前記発光素子20のリード線24aと共に一体化し、プローブ用コネクタへ接続するための外部リード線24として前記プローブ10より導出するよう構成する(図6および図7参照)。
【0035】
前述した実施例のパルスオキシメータ用プローブ10において、前記第1のハウジング12の内面に設ける発光素子20およびクッション部22の表面と、前記第2のハウジング14の内面に設ける受光素子30の表面に対しては、適宜保護カバー(図示せず)により全体を被覆することによって、このパルスオキシメータ用プローブ10の再使用をより一層簡便なものとすることができる。
【0036】
図11の(a)、(b)、(c)は、本発明に係るパルスオキシメータ用プローブ10の指先部Fに対する装着操作を示すものである。まず、図11の(a)に示すように、本発明に係るパルスオキシメータ用プローブ10を患者の指先部Fに装着する。この場合、前記プローブ10は、第1のハウジング12と第2のハウジング14との間に設定された所要の屈曲弾性力によって、所定の測定部位に対して適正に仮固定することができる。次いで、図11の(b)に示すように、所定の測定部位に仮固定された前記プローブ10に対し、粘着テープTを巻着する。従って、このような粘着テープTの巻着操作は、前記プローブ10が所定の測定部位に対して適正に仮固定されているため、患者自身で容易かつ確実に行うことができる。このようにして、図11の(c)に示すように、前記プローブ10を粘着テープTによって、容易に指先部Fに装着固定することができる。なお、動脈血の酸素飽和度を簡便に測定する場合には、前述した粘着テープTによる固定を省略することもあり、このような場合においても、本発明に係るパルスオキシメータ用プローブ10は簡便にかつ適正に使用することができる。
【0037】
前述した実施例においては、発光素子を第1のハウジングに、受光素子を第2のハウジングに取り付けて、それぞれ対向させた構成からなるパルスオキシメータ用プローブについて説明したが、当然に発光素子を第2のハウジングに、受光素子を第1のハウジングに取り付けて、それぞれ対向させた構成とするパルスオキシメータ用プローブとしても、本発明と同様の効果を奏することが可能であることは勿論である。
【0038】
以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は前記実施例に限定されることなく、第1のハウジングおよび第2のハウジングの形状、構造、材質等について適宜設計変更することができるばかりでなく、その他本発明の精神を逸脱しない範囲内において、種々の設計変更を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係るパルスオキシメータ用プローブの一実施例の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すパルスオキシメータ用プローブの平面図である。
【図3】図1に示すパルスオキシメータ用プローブの側面図である。
【図4】図1に示すパルスオキシメータ用プローブの底面図である。
【図5】図1に示すパルスオキシメータ用プローブの正面図である。
【図6】図1に示すパルスオキシメータ用プローブの背面図である。
【図7】本発明に係るパルスオキシメータ用プローブの概略側面断面図である。
【図8】(a)は本発明に係るパルスオキシメータ用プローブの第1のハウジングの内面側にクッション部材を設けた実施例を示す概略説明図であり、(b)は第1のハウジングの内面が当接する指先部の状態説明図である。
【図9】(a)は本発明に係るパルスオキシメータ用プローブの第1のハウジングの内面側にクッション部材を設けた別の実施例を示す概略説明図であり、(b)はクッション部材の変形例を示す概略斜視図である。
【図10】本発明に係るパルスオキシメータ用プローブの第2のハウジングの内面側概略説明図である。
【図11】(a)〜(c)は本発明に係るパルスオキシメータ用プローブを指先部に装着し、次いで粘着テープを巻着し、そして指先部に固定する操作をそれぞれ示す説明図である。
【符号の説明】
【0040】
10 パルスオキシメータ用プローブ
12 第1のハウジング
14 第2のハウジング
16 屈曲部
18 凹部
19 リード線案内溝
20 発光素子
22A、22B クッション部材
23 発光素子用発光窓
24 (外部)リード線
24a 発光素子のリード線
24b 受光素子のリード線
26 リード線挿通部
28 遮光カバー部材
30 受光素子
F 指先部
C 爪の生え際中央部
T 粘着テープ
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の手指等に装着して、動脈血酸素飽和度を測定することができるパルスオキシメータ用プローブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、患者の動脈血酸素飽和度(SpO2 )を測定する場合において、一対の発光素子と受光素子とを生体組織の一部を介して対向配置し、前記生体組織を透過する光の強度を測定して動脈血酸素飽和度を測定するためのパルスオキシメータ用プローブが使用されている。
【0003】
従来におけるこの種のパルスオキシメータ用プローブとして、例えば発光素子と受光素子をそれぞれ対向するように取り付けたハウジングを、洗濯ばさみのように結合軸を支点として開閉するようにし、ばね(クリップ)によって前記発光素子と受光素子が相互に近接するように付勢した構成からなるものが知られている(特許文献1参照)。このプローブは、手の指に対して使用するものであり、被験者の指に前記ハウジングを挾持させて装着する。
【0004】
この種のプローブは、構造が簡単であり、被験者の生体組織への取り付けおよび取り外し容易である。しかしながら、相対する2つのハウジングが、結合軸を中心にして開閉動作するため、指のようにその厚みや大きさ等の寸法に個人差がある場合においては、1つのプローブであらゆる人に対応させることは困難であり、所定の厚みや大きさ以上の指には適正に装着することができず、測定部位からずれたり、あるいは外れたりし易くなる難点がある。また、前記ハウジングの開閉を行うためのばね力が規定されているため、プローブを長時間装着し続けると痛みを伴うことから、例えば一晩中の装着が必要な睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome )のスクリーニング検査には不都合である。
【0005】
また、前記のようなばね(クリップ)式のパルスオキシメータ用プローブとは異なり、受光素子を備えた第1のケーシング部と、発光素子を備えた第2のケーシング部とを、ほぼV字型に接続した構成からなり、少なくとも第1のケーシング部の内面に粘着部材を設けて、被験者の指または足の爪部分を前記第1のケーシング部と第2のケーシング部とで挟むように装着し、酸素飽和度を測定することができるプローブが提案されている(特許文献2参照)。このプローブは、被験者の測定部位に固定するために、前記ケーシング部の内面に粘着部材を設けることが不可欠である。
【0006】
しかしながら、このように構成されたプローブは、ほぼV字型に形成された第1のケーシング部と第2のケーシング部とが、多少の弾力性を有するように接続構成されているとしても、その厚みや大きさ等の寸法に個人差がある指等に対して、全て適正に固定できるようにするためには、前記粘着部材を設けることは不可欠である。このため、前記粘着部材にゴミ等が付着し、プローブを再利用する場合には、測定精度に影響を与えるばかりでなく、衛生管理面においても問題を生じる難点がある。
【0007】
さらに、前述したいずれの構成とも異なるプローブとして、粘着シート構造のディスポーザブル式プローブも提案されている(特許文献3参照)。しかし、このプローブは、例えば睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査を、自宅で行うような場合、被験者が一人でプローブを装着する必要が生じる。このような場合において、プローブの装着位置は自由である反面、適正な測定部位に装着するための知識やテクニックが必要であり、しかも一人では装着し難いという難点がある。
【0008】
前述したように、パルスオキシメータ用プローブは、測定部位に対する適正な装着に際して所要のテクニックが必要であり、患者自身でプローブを装着することが困難であり、しかも患者自身の装着では測定の品質が左右されることが多いことから、正確な酸素飽和度(SpO2 )を測定するためには、専門の技師や看護師の操作が必要である。また、長時間に亘るプローブの装着によって、測定部位の生体組織に対するに違和感が増大し、疼痛等のためプローブの装着を意識的にまたは無意識的に外してしまうことがある。そして、このようなプローブの長時間に亘る装着は、測定部位の局所的圧迫による圧迫痕や水泡の発生を伴うことから、頻繁にプローブの装着位置の変更が必要であり、測定を行う操作者の負担が多くなる難点がある。
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,685,464号明細書
【特許文献2】米国特許第5,776,059号明細書
【特許文献3】登録実用新案第2547840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前述した従来のパルスオキシメータ用プローブの問題点を解消すべく提案されたものであり、動脈血の酸素飽和度(SpO2 )を適正に測定するために、発光素子と受光素子をそれぞれ備えたプローブを、常に適正な測定部位に位置決めすることができるばかりでなく、粘着部材を設けることなくプローブ自体が患者の測定部位に対して適正に仮固定できる程度の機能を備え、患者自身により容易かつ確実に装着することができると共に、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査に好適に使用することができる、取扱いの簡便なパルスオキシメータ用プローブを提供するものである。
【0011】
従って、本発明の目的は、簡単な構成にして低コストに製造することができ、小形軽量にして、長時間の装着に際しても患者に対する負担を軽減し、再使用可能なプローブとして有効かつ経済的に利用することができるパルスオキシメータ用プローブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載のパルスオキシメータ用プローブは、発光素子と受光素子をそれぞれ対向するように取り付けた第1のハウジングと第2のハウジングとからなり、
前記第1のハウジングを指の爪部側に対し適合当接するよう構成すると共に、前記第2のハウジングを前記第1のハウジングに連続して指の爪先部を覆うよう屈曲して指先の腹部に適合当接するよう構成し、
前記第1のハウジングの端部にプローブ用コネクタと接続するためのリード線を挿通配置した構成からなることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項2に記載のパルスオキシメータ用プローブは、前記第1のハウジングの内面に、爪の生え際中央部への当接を避けるようにU字状のクッション部材を設け、このU字状のクッション部材の中央部分に発光素子用発光窓を設けたことを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項3に記載のパルスオキシメータ用プローブは、前記第1のハウジングの内面には発光窓を覆わない程度の孔を有するクッション部材を設け、前記クッション部材の孔部分に発光素子用発光窓を設けたことを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項4に記載のパルスオキシメータ用プローブは、前記第1のハウジングの爪部に沿う両側部に、爪の表面を全面的に覆うようにして外部からの光を遮断するための遮光カバー部をそれぞれ延設したことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項5に記載のパルスオキシメータ用プローブは、前記第1のハウジングと第2のハウジングとが接続される屈曲部の内面に、指先部より伸びた爪の先端を収容可能な凹部を設けたことを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項6に記載のパルスオキシメータ用プローブは、前記第2のハウジングの内面中央部に、受光素子を収納配置し、当該受光素子が指先の腹部に密着当接するように構成したことを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項7に記載のパルスオキシメータ用プローブは、前記第1のハウジングと第2のハウジングとが、指の先端部に対する当接圧力を、末梢の静脈拍動を抑える圧力(10mmHg)以上で、動脈拍動を抑えない程度の圧力(30〜35mmHg)以下の屈曲弾性力を有するように、可撓性樹脂材料により一体成形により構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1に記載のパルスオキシメータ用プローブによれば、動脈血の酸素飽和度(SpO2 )を適正に測定するために、発光素子と受光素子をそれぞれ備えたプローブを、常に適正な測定部位に位置決めすることができるばかりでなく、粘着部材を設けることなくプローブ自体が患者の測定部位に対して適正に仮固定できる程度の機能を備え、患者自身により容易かつ確実に装着することができると共に、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査に好適に使用することができる。特に、本発明のパルスオキシメータ用プローブによれば、簡単な構成にして低コストに製造することができ、小形軽量にして、長時間の装着に際しても患者に対する負担を軽減し、再使用可能なプローブとして有効かつ経済的に利用することができる。
【0020】
請求項2および3に記載のパルスオキシメータ用プローブによれば、プローブの装着に際して、指の痛みを感じる部分に対する緩衝効果を高めて、長時間に亘る装着を可能にして、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査に好適に使用することができる。
【0021】
請求項4に記載のパルスオキシメータ用プローブによれば、プローブの装着に際しての外部からの光を確実に遮断して、常に精度の高い動脈血の酸素飽和度の測定を行うことができる。
【0022】
請求項5に記載のパルスオキシメータ用プローブによれば、爪の伸びた患者に対しても、プローブの装着を適正かつ確実に行うことが可能であり、精度の高い動脈血の酸素飽和度の測定を行うことができる。
【0023】
請求項6に記載のパルスオキシメータ用プローブによれば、発光素子に対する受光素子の対向配置を適正に行うことができ、精度の高い動脈血の酸素飽和度の測定を行うことができる。
【0024】
そして、請求項7に記載のパルスオキシメータ用プローブによれば、第1のハウジングと第2のハウジングとについて、指の先端部に対する当接圧力を適正に設定し、粘着部材を設けることなくプローブ自体が患者の測定部位に対して適正に仮固定できる程度の機能を備え、患者自身により容易かつ確実に装着することができると共に、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査に好適に使用することができ、しかも精度の高い動脈血の酸素飽和度の測定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明に係るパルスオキシメータ用プローブの実施例につき、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
図1ないし図6は、本発明に係るパルスオキシメータ用プローブの一実施例を示すものであり、図1は概略斜視図、図2は平面図、図3は側面図、図4は底面図、図5は正面図、そして図6は背面図である。しかるに、図1ないし図6において、本実施例のパルスオキシメータ用プローブ10は、発光素子と受光素子をそれぞれ対向するように取り付けた第1のハウジング12と、第2のハウジング14とからなり、前記第1のハウジング12を指の爪部側に対し適合当接するよう構成すると共に、前記第2のハウジング14を前記第1のハウジング12に連続して指の爪先部を覆うよう屈曲部16において屈曲し、指先の腹部に適合当接するよう構成されている(特に、図3参照)。
【0027】
そこで、本実施例におけるパルスオキシメータ用プローブ10は、例えば前記第1のハウジング12と第2のハウジング14とについて、指の先端部に対する当接圧力が、末梢の静脈拍動を抑える圧力(10mmHg)以上で、動脈拍動を抑えない程度の圧力(30〜35mmHg)以下の屈曲弾性力を有するように、可撓性樹脂材料により一体成形により構成することができる。なお、屈曲部16を他の屈曲弾性力を有する可撓性材料とし、第1のハウジング12と第2のハウジング14を接続し、本実施例のパルスオキシメータ用プローブ10と同様な構成とすることも可能である。
【0028】
図7は、本実施例に係るパルスオキシメータ用プローブ10の側面断面図を示すものである。そこで、このパルスオキシメータ用プローブ10の第1のハウジング12においては、発光素子20が収納配置されると共に、例えば図8に示すように、指先部Fの爪の生え際中央部C〔図8の(b)参照〕への当接を避けるようにU字状のクッション部材22Aを設け〔図8の(a)参照〕、このU字状のクッション部材22Aの中央部分に発光素子用発光窓23を設けた構成からなる。なお、前記指先部Fの爪の生え際中央部Cは、皮膚が薄いために圧迫により痛みを発生し易い部位として知られている。従って、本発明に係るパルスオキシメータ用プローブ10の装着に際して、指の痛みを感じる部分に対する緩衝効果を高めて、長時間に亘る装着を可能にして、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査に好適に使用することができる。
【0029】
図9は、前述したパルスオキシメータ用プローブ10の発光素子20が収納配置される第1のハウジング12に設けるクッション部材22Aの別の実施例を示すものである。すなわち、本実施例のクッション部材22Bは、図9の(a)に示すように、前述した指先部Fの爪の生え際中央部C〔図8の(a)参照〕にクッション部材22Bが当接しても、指先部Fの爪の生え際中央部Cへクッション部材22Bより掛かる圧力分布が、全体とほぼ同等または他の部分よりも弱い圧力分布とするために、O字状のクッション部材22Bとして構成する。この場合、クッション部材22Bの中心部に形成された孔部は、発光素子用発光窓23として構成される。
【0030】
このように構成されるクッション部材22Bにおいて、爪の生え際中央部Cが当接するクッション部材部分については、(1) 指先部Fの長手方向両側部など他のクッション部材部分よりも柔らかいクッション部材を使用すること、(2) 指先部Fの長手方向両側部から指形状に合わせた円弧を描く凹形状とすること〔図9の(b)参照〕、(3) 前記 (1)と(2) を組み合わせること等により、爪の生え際中央部Cへ掛かる圧力を減少させることが可能である。なお、他のクッション部材部分よりも柔らかいクッション部材としては、あらゆる弾性部材および耐久性を向上させるため、フォーミングしたシート材(外皮構造)の内部に、スポンジ、空気、液体、ゲル剤などを封入することで、柔らかい弾力性とすることができるが、要はその他のクッション部材部分よりも柔らかい素材や物質を挿入すれば好適である。このように、クッション部材部分の弾力性(柔らかさ)の分布が異なるクッション部材22Bを使用したパルスオキシメータ用プローブ10を、被験者が装着することにより、第1のハウジング12が指形状に追従して、局所的な圧迫のない理想的な圧分布となるような装着が可能となる。
【0031】
従って、本発明に係るパルスオキシメータ用プローブ10は、その装着に際して指の痛みを感じる部分に対する緩衝効果を高め、長時間に亘る装着を可能にして、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査に好適に使用することができる。特に、本実施例においては、クッション部材22Bの形状をO字状としたが、中心部における発光素子用発光窓23を覆わない程度の孔部を有する形状であれば、長方形状、四角形状、輪形状などでも良く、例えば図9の(b)に示すような形状とすることによっても、前述した実施例のクッション部材22A、22Bを使用したパルスオキシメータ用プローブ10と同様の効果を奏することが可能である。
【0032】
また、前記第1のハウジング12において、その端部にプローブ用コネクタ(図示せず)と接続されるリード線24を案内挿通するためのリード線挿通部26が設けられている(図1ないし図4および図7、図8、図9参照)。さらに、前記第1のハウジング12の爪部に沿う両側部には、それぞれ爪の表面を全面的に覆うようにして外部からの光を遮断するための遮光カバー部28、28をそれぞれ延設する。このように構成することにより、本発明に係るパルスオキシメータ用プローブ10の装着に際して、外部からの光を確実に遮断して、常に精度の高い動脈血の酸素飽和度の測定を行うことができる。
【0033】
一方、前記第1のハウジング12と第2のハウジング14とが接続される屈曲部16の内面には、指先部Fより伸びた爪の先端を収容可能な凹部18を設けた構成からなる(図3および図7参照)。このように構成することにより、爪の伸びた患者に対しても、本発明に係るパルスオキシメータ用プローブ10の装着を、安全にして適正かつ確実に行うことができる。
【0034】
さらに、図7および図10に示すように、本実施例のパルスオキシメータ用プローブ10の第2のハウジング14においては、その内面中央部に、受光素子30を収納配置し、当該受光素子30が指先の腹部に密着当接するように構成する。このように構成することにより、発光素子20に対する受光素子30の対向配置を適正に行うことができ、精度の高い動脈血の酸素飽和度の測定を行うことができる。なお、この場合、前記受光素子30のリード線24bは、前記第2のハウジング14の内面から屈曲部16の内面側に設けたリード線案内溝19を介して第1のハウジング12の内面へ配設し、前記発光素子20のリード線24aと共に一体化し、プローブ用コネクタへ接続するための外部リード線24として前記プローブ10より導出するよう構成する(図6および図7参照)。
【0035】
前述した実施例のパルスオキシメータ用プローブ10において、前記第1のハウジング12の内面に設ける発光素子20およびクッション部22の表面と、前記第2のハウジング14の内面に設ける受光素子30の表面に対しては、適宜保護カバー(図示せず)により全体を被覆することによって、このパルスオキシメータ用プローブ10の再使用をより一層簡便なものとすることができる。
【0036】
図11の(a)、(b)、(c)は、本発明に係るパルスオキシメータ用プローブ10の指先部Fに対する装着操作を示すものである。まず、図11の(a)に示すように、本発明に係るパルスオキシメータ用プローブ10を患者の指先部Fに装着する。この場合、前記プローブ10は、第1のハウジング12と第2のハウジング14との間に設定された所要の屈曲弾性力によって、所定の測定部位に対して適正に仮固定することができる。次いで、図11の(b)に示すように、所定の測定部位に仮固定された前記プローブ10に対し、粘着テープTを巻着する。従って、このような粘着テープTの巻着操作は、前記プローブ10が所定の測定部位に対して適正に仮固定されているため、患者自身で容易かつ確実に行うことができる。このようにして、図11の(c)に示すように、前記プローブ10を粘着テープTによって、容易に指先部Fに装着固定することができる。なお、動脈血の酸素飽和度を簡便に測定する場合には、前述した粘着テープTによる固定を省略することもあり、このような場合においても、本発明に係るパルスオキシメータ用プローブ10は簡便にかつ適正に使用することができる。
【0037】
前述した実施例においては、発光素子を第1のハウジングに、受光素子を第2のハウジングに取り付けて、それぞれ対向させた構成からなるパルスオキシメータ用プローブについて説明したが、当然に発光素子を第2のハウジングに、受光素子を第1のハウジングに取り付けて、それぞれ対向させた構成とするパルスオキシメータ用プローブとしても、本発明と同様の効果を奏することが可能であることは勿論である。
【0038】
以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は前記実施例に限定されることなく、第1のハウジングおよび第2のハウジングの形状、構造、材質等について適宜設計変更することができるばかりでなく、その他本発明の精神を逸脱しない範囲内において、種々の設計変更を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係るパルスオキシメータ用プローブの一実施例の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すパルスオキシメータ用プローブの平面図である。
【図3】図1に示すパルスオキシメータ用プローブの側面図である。
【図4】図1に示すパルスオキシメータ用プローブの底面図である。
【図5】図1に示すパルスオキシメータ用プローブの正面図である。
【図6】図1に示すパルスオキシメータ用プローブの背面図である。
【図7】本発明に係るパルスオキシメータ用プローブの概略側面断面図である。
【図8】(a)は本発明に係るパルスオキシメータ用プローブの第1のハウジングの内面側にクッション部材を設けた実施例を示す概略説明図であり、(b)は第1のハウジングの内面が当接する指先部の状態説明図である。
【図9】(a)は本発明に係るパルスオキシメータ用プローブの第1のハウジングの内面側にクッション部材を設けた別の実施例を示す概略説明図であり、(b)はクッション部材の変形例を示す概略斜視図である。
【図10】本発明に係るパルスオキシメータ用プローブの第2のハウジングの内面側概略説明図である。
【図11】(a)〜(c)は本発明に係るパルスオキシメータ用プローブを指先部に装着し、次いで粘着テープを巻着し、そして指先部に固定する操作をそれぞれ示す説明図である。
【符号の説明】
【0040】
10 パルスオキシメータ用プローブ
12 第1のハウジング
14 第2のハウジング
16 屈曲部
18 凹部
19 リード線案内溝
20 発光素子
22A、22B クッション部材
23 発光素子用発光窓
24 (外部)リード線
24a 発光素子のリード線
24b 受光素子のリード線
26 リード線挿通部
28 遮光カバー部材
30 受光素子
F 指先部
C 爪の生え際中央部
T 粘着テープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と受光素子をそれぞれ対向するように取り付けた第1のハウジングと第2のハウジングとからなり、
前記第1のハウジングを指の爪部側に対し適合当接するよう構成すると共に、前記第2のハウジングを前記第1のハウジングに連続して指の爪先部を覆うよう屈曲して指先の腹部に適合当接するよう構成し、
前記第1のハウジングの端部にプローブ用コネクタと接続するためのリード線を挿通配置した構成からなることを特徴とするパルスオキシメータ用プローブ。
【請求項2】
前記第1のハウジングの内面には爪の生え際中央部への当接を避けるようにU字状のクッション部材を設け、このU字状のクッション部材の中央部分に発光素子用発光窓を設けたことを特徴とする請求項1記載のパルスオキシメータ用プローブ。
【請求項3】
前記第1のハウジングの内面には発光窓を覆わない程度の孔を有するクッション部材を設け、前記クッション部材の孔部分に発光素子用発光窓を設けたことを特徴とする請求項1記載のパルスオキシメータ用プローブ。
【請求項4】
前記第1のハウジングの爪部に沿う両側部には、爪の表面を全面的に覆うようにして外部からの光を遮断するための遮光カバーをそれぞれ延設したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のパルスオキシメータ用プローブ。
【請求項5】
前記第1のハウジングと第2のハウジングとが接続される屈曲部の内面には、指先部より伸びた爪の先端を収容可能な凹部を設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のパルスオキシメータ用プローブ。
【請求項6】
前記第2のハウジングの内面中央部には、受光素子を収納配置し、当該受光素子が指先の腹部に密着当接するように構成したことを特徴とする請求項1または5記載のパルスオキシメータ用プローブ。
【請求項7】
前記第1のハウジングと第2のハウジングとは、指の先端部に対する当接圧力を、末梢の静脈拍動を抑える圧力(10mmHg)以上で、動脈拍動を抑えない程度の圧力(30〜35mmHg)以下の屈曲弾性力を有するように、可撓性樹脂材料により一体成形により構成したことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のパルスオキシメータ用プローブ。
【請求項1】
発光素子と受光素子をそれぞれ対向するように取り付けた第1のハウジングと第2のハウジングとからなり、
前記第1のハウジングを指の爪部側に対し適合当接するよう構成すると共に、前記第2のハウジングを前記第1のハウジングに連続して指の爪先部を覆うよう屈曲して指先の腹部に適合当接するよう構成し、
前記第1のハウジングの端部にプローブ用コネクタと接続するためのリード線を挿通配置した構成からなることを特徴とするパルスオキシメータ用プローブ。
【請求項2】
前記第1のハウジングの内面には爪の生え際中央部への当接を避けるようにU字状のクッション部材を設け、このU字状のクッション部材の中央部分に発光素子用発光窓を設けたことを特徴とする請求項1記載のパルスオキシメータ用プローブ。
【請求項3】
前記第1のハウジングの内面には発光窓を覆わない程度の孔を有するクッション部材を設け、前記クッション部材の孔部分に発光素子用発光窓を設けたことを特徴とする請求項1記載のパルスオキシメータ用プローブ。
【請求項4】
前記第1のハウジングの爪部に沿う両側部には、爪の表面を全面的に覆うようにして外部からの光を遮断するための遮光カバーをそれぞれ延設したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のパルスオキシメータ用プローブ。
【請求項5】
前記第1のハウジングと第2のハウジングとが接続される屈曲部の内面には、指先部より伸びた爪の先端を収容可能な凹部を設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のパルスオキシメータ用プローブ。
【請求項6】
前記第2のハウジングの内面中央部には、受光素子を収納配置し、当該受光素子が指先の腹部に密着当接するように構成したことを特徴とする請求項1または5記載のパルスオキシメータ用プローブ。
【請求項7】
前記第1のハウジングと第2のハウジングとは、指の先端部に対する当接圧力を、末梢の静脈拍動を抑える圧力(10mmHg)以上で、動脈拍動を抑えない程度の圧力(30〜35mmHg)以下の屈曲弾性力を有するように、可撓性樹脂材料により一体成形により構成したことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のパルスオキシメータ用プローブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−54594(P2007−54594A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327006(P2005−327006)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
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