説明

パルス式エーロゾル発生法

エーロゾル発生器は、毛細管作用のみを通じて毛細管通路40に液体香料物質を繰返し供給し、かつ液体香料物質が少なくとも部分的に揮発して毛細管通路40の出口45から押し出されるように毛細管通路40を加熱することにより、エーロゾル化香料物質を定期的に形成する。芯20は、毛細管作用によって毛細管通路40の入口に液体香料物質を給送する。そのようなエーロゾル化香料物質を発生させるための装置及び方法、並びに加熱する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0001】
【特許文献1】米国特許第6、640、050号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
提供するものは、入口及び出口を有する毛細管通路と、毛細管作用のみを通じて毛細管通路の入口に液体香料物質を供給するように作動可能な液体供給部と、毛細管通路の出口から液体香料物質が押し出されて液体香料物質のエーロゾルを形成するように、毛細管通路に沿って配置された加熱器にわたって電圧を印加して毛細管通路において液体香料物質を少なくとも部分的に揮発させるのに十分な温度まで毛細管通路における液体香料物質を加熱するようになった電源とを含むエーロゾル化液体香料物質を発生させるための空気清浄器である。
【0003】
更に提供するものは、入口及び出口を有する毛細管通路内に毛細管作用のみを通じて液体香料物質を吸引する段階と、毛細管通路の出口から香料物質が押し出されて香料物質のエーロゾルを形成するように、毛細管通路に沿って配置された加熱器にわたって電圧を周期的に印加し、液体香料物質を少なくとも部分的に揮発させるのに十分な温度まで毛細管通路における液体香料物質を加熱する段階とを含むエーロゾル化香料物質をパルス式に発生させる方法である。
【0004】
別の実施形態では、液体のエーロゾルを生成する方法を提供する。本方法は、液体供給部から毛細管通路の区画内に毛細管作用を通じて液体を吸引することによってその区画に沿って液体を配置する段階と、電力サイクル中に毛細管作用を通じた液体の吸引が中断され、かつ各電力サイクルの終了時に区画に沿って配置された液体が加熱された区画から排出されるように、区画に沿って配置された実質的に全ての液体を揮発させるのに各電力サイクルの熱が十分であるような熱を区画の少なくとも一部分に沿って電力サイクルに従って繰返し印加する段階と、電力サイクルと電力サイクルの間に毛細管作用を通じた液体の吸引を再開して区画を補充するように電力サイクルを時間的に十分に離間させる段階とを含む。
【0005】
更に別の実施形態では、エーロゾル化液体材料を発生させるエーロゾル発生器を提供する。エーロゾル発生器は、入口、出口、及び加熱されるように作動可能であって入口と出口の間の通路に沿った区画を有する毛細管通路と、毛細管作用を通じて毛細管通路の区画内に吸引されるように毛細管通路の入口に液体材料を供給する液体供給部と、毛細管通路の区画の少なくとも一部分に沿って電力サイクルに従って熱を繰返し印加し、加熱された区画に配置された液体材料を揮発させ、そのために電力サイクル中に毛細管作用を通じた液体の吸引が中断され、かつ各電力サイクルの終了時に区画に沿って配置された液体が加熱された区画から排出されるように作動可能な電源とを含み、電力サイクルは、電力サイクルと電力サイクルの間に毛細管作用を通じた液体の吸引を再開して区画を補充するように時間的に十分に離間している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】空気清浄器の例示的実施形態を表す図である。
【図2】例示的制御回路の概略図である。
【図3A】空気清浄器の別の例示的実施形態を示す図である。
【図3B】空気清浄器に使用される毛細管通路の例示的実施形態を示す図である。
【図3C】空気清浄器に使用される毛細管通路の例示的実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
提供するものは、外気と混ぜられるエーロゾル化香料物質を発生させるための空気清浄器である。空気清浄器は、入口及び出口を有する毛細管通路と、毛細管作用のみを通じて毛細管通路の入口に液体香料物質を供給するように作動可能な液体供給部と、毛細管通路の出口から香料物質が押し出され、外気と混合してエーロゾルを形成するように、毛細管通路における液体香料物質を少なくとも部分的に揮発させるのに十分な温度まで毛細管通路における液体香料物質を加熱するために毛細管通路に沿って配置された加熱器にわたって電圧を印加するようになった電源とを含む。
【0008】
好ましくは、毛細管通路は、0.01から10mm、好ましくは、0.05から1mm、より好ましくは、0.05から0.4mm、より好ましくは、約0.05mmの内径を有する。代替的に、毛細管通路は、好ましくは、8x10-5から80mm2、好ましくは、0.002から0.8mm2、より好ましくは、0.002から0.05mm2、より好ましくは、約0.002mm2の内部断面積を有する。毛細管通路は、任意的に、毛細管通路の出口に減少した直径又は狭いオリフィスを有することができる。例えば、内径が約0.15mmの毛細管通路に対して、出口における狭いオリフィスは、約0.05mmの内径を有することができる。
【0009】
いかなる特定理論にも制限されることは望まないが、毛細管通路の出口で減少した直径(狭いオリフィス)は、液体及び/又は揮発香料物質を毛細管通路出口の外に追い出す駆動力を提供する液体香料物質の加熱及び少なくとも部分的な揮発によって毛細管通路中に生成された高い圧力の結果として、毛細管通路における液体香料物質の粗い液滴がより小さい液滴に分解される流体剪断機構によってエーロゾルを生成するものと考えられている。すなわち、液体香料物質は、液体香料物質の加熱が、毛細管通路の出口の外に液体香料物質を追い出す圧力を毛細管通路中にもたらすので、毛細管通路の直径の減少した出口を通過することによってエーロゾル化することができる。
【0010】
しかし、殆どの用途では、毛細管通路は、好ましくは、狭窄先端がない「直線チューブ」構成を含む。
毛細管通路は、約10から40mm、例えば、約25mmの長さを有することができる。毛細管通路は、好ましくは、チューブの長さに沿って直流又は交流通路のために取り付けられた電気リードを通じて加熱器として機能する例えば304ステンレス鋼のようなステンレス鋼毛細管の内部である。すなわち、ステンレス鋼チューブは、抵抗加熱によって加熱される。ステンレス鋼チューブは、好ましくは、断面が円形である。チューブは、様々なゲージの皮下注射針とすることができる。例えば、32ゲージの針は、0.11mmの内径、26ゲージの針は、0.26mmの内径を有する。
しかし、毛細管は、抵抗加熱され、一方で毛細管通路が受ける作動温度において必要な構造的一体性を保持し、かつ液体香料物質と十分に非反応性であるあらゆる導電材料とすることができる。そのような材料は、以下に限定されるものではないが、ステンレス鋼、INCONEL、金属複合物、又は他の金属及び合金を含む。
【0011】
付加的な実施形態では、毛細管通路は、例えばガラスチューブのような非金属チューブの内部とすることができる。そのような実施形態では、加熱器、すなわち、例えば、ステンレス鋼、NICHROME、又は白金ワイヤのような抵抗加熱が可能な導電性金属は、ガラスチューブに沿って配置される。ガラスチューブに沿って配置された加熱器が加熱されると、毛細管通路における液体香料物質は、毛細管通路において液体香料物質を少なくとも部分的に揮発させるのに十分な温度まで加熱される。電気リードは、加熱器を電源に接続することができる。
【0012】
電圧を印加する電源は、電圧供給源と2つの電気リードを含むことができる。電圧供給源は、直流バッテリとすることができる。しかし、交流の使用も有効とすることができると考えられる。毛細管通路がステンレス鋼チューブの内部である用途の場合には、電気リードは、好ましくは、チューブを抵抗加熱する電力を供給するためにチューブに沿って離間した位置に取り付けられる。
電源は、好ましくは、電気リードを通じて毛細管加熱器に電力のパルスを送出する。選択された電圧は、各パルスにおいて毛細管通路を加熱するのに使用されることになるエネルギの量を決める。電圧供給源から毛細管通路に移送されるエネルギは、オームの法則によって支配される。
V(電圧)=I(電流)・R(抵抗) (1)
電力=V・I=V2/R (2)
【0013】
好ましくは、液体供給部は、通気される。液体供給部は、毛細管作用のみによって液体香料物質を液体供給部から毛細管通路の入口まで送出する芯を含むことができる。好ましくは、芯材料は、多数の孔隙を含有し、これらの孔隙は、毛細管通路として作用し、これは、液体香料物質をそれらの中に、次に、毛細管通路の入口の中に吸引させる。
【0014】
芯は、様々な材料で作ることができるが、多孔性プラスチック芯が好ましい。多孔性プラスチック芯の例は、超高分子量高密度ポリエチレン(HDPE)で構成された芯である。そのような芯は、一般的に、粒子形態のHDPEの配合物で作られ、配合物は、芯のターゲット孔隙特性を満足するように開発される。好ましくは、ポリマーの溶解度パラメータは、液体香料物質のそれとは大幅に異なり、これは、芯の孔隙サイズ及び空隙率の変化をもたらす可能性がある芯の膨潤又は他の変化を防止する。
【0015】
液体香料物質は、エーロゾル化香料物質を発生させるために毛細管通路に送出することができるあらゆる適切な液体香料物質とすることができる。例えば、液体香料物質は、市販の空気清浄器に使用するのに適するあらゆる市販の液体香料物質とすることができる。液体香料物質は、好ましくは、水性ベース、例えば、メタノールのようなアルコールベース、又はプロピレングリコールベースである。
例えば、毛細管通路の内径及び/又は毛細管通路を形成する材料の伝熱特性のような空気清浄器のパラメータの操作は、加熱器温度と質量平均粒子径を制御するように選択することができる。更に、液体香料物質の選択は、加熱器温度とエーロゾル化材料の質量平均粒子径に影響を与える可能性がある。
【0016】
更に提供するものは、毛細管作用のみを通じて毛細管通路の入口内に液体香料物質を吸引する段階と、毛細管通路の出口から香料物質が押し出されるように液体香料物質を少なくとも部分的に揮発させるのに十分な温度まで毛細管通路における液体香料物質を加熱するために、毛細管通路に沿って配置された加熱器にわたって電圧を周期的に印加する段階とを含むエーロゾル化香料物質を発生させる方法である。
毛細管通路に沿って配置された加熱器にわたって電圧が印加され、かつ毛細管通路の出口から香料物質が押し出された後に、毛細管通路は、冷えて、毛細管作用のみを通じて再度補充される。毛細管通路の補充時間は、毛細管通路の長さ及び直径、並びに芯及び液体香料物質の特性の関数である。例えば、長さが25mmで内径が0.15mmの毛細管通路の場合、補充を10秒未満で行うことができる。すなわち、毛細管通路が冷えてより多くの液体香料物質を吸引した後に、毛細管通路の出口から香料物質が押し出されるように液体香料物質を少なくとも部分的に揮発させるのに十分な温度まで毛細管通路における液体香料物質を加熱するために、加熱器は、毛細管通路に沿って配置された加熱器にわたって電圧を周期的に印加することを達成する制御回路によって再度作動される。従って、エーロゾル化香料物質の繰返しパルス式発生の方法は、香料物質をエーロゾル化する段階、毛細管通路を冷却する段階、補充を繰り返す段階、及びエーロゾル化する段階を含む。
【0017】
エーロゾル化香料物質の繰返しパルス式発生の頻度は、毛細管通路補充時間によって制限される。すなわち、毛細管通路の長さ及び直径と液体香料物質とに応じて、エーロゾル化香料物質は、2から100秒ごとほど頻繁に、場合によっては少なくとも1分に一度に、又は例えば1時間に少なくとも一度又は1日に少なくとも一度のようなより低い頻度で発生させることができる。毛細管作用のみによって毛細管通路を実質的に補充するために、毛細管通路内に含有される実質的に全ての液体香料物質は、毛細管通路から押し出され、従って、実質的に乾燥した毛細管通路をもたらす。
【0018】
空気清浄器は、電源にバッテリを用いて小規模のデバイスで実施することができる。代替的に、電源は、ACコンセントのような交流(AC)供給源とし、空気清浄器は、必要に応じて、ACを加熱器に供給される直流に変換する変換器を含むことができる。空気清浄器は、毛細管通路を先導する毛細管の後に液体香料物質が少なくとも部分的に揮発するように、時限式加熱サイクルで電源から加熱器まで電力を送出可能な制御回路によって作動させることができる。すなわち、制御回路は、香料物質を揮発させるために加熱器にわたる電圧の印加を制御する。特に、制御回路は、香料物質を揮発させるために加熱器にわたる電圧印加の頻度を制御することができる。制御回路は、香料物質の繰返しパルス式エーロゾル化の頻度を自動的に制御することができる。代替的に、エーロゾル化香料物質の繰返しパルス式発生の頻度は、制御回路で事前設定又は手動設定することができ、制御回路は、事前設定又は手動で選択された頻度に従ってエーロゾル化香料物質の発生を制御する。必要に応じて、制御回路/電源は、1次及び/又は2次セル、好ましくは1次セル、超コンデンサを含むコンデンサ、電荷ポンプ、及びその組合せを含むことができる。超コンデンサを使用すると、バッテリ寿命が延び、及び/又はより少ない又はより小さいバッテリの使用を可能にすることができる。
【0019】
図1は、空気清浄器の例示的実施形態を表している。液体供給部10は、液体香料物質を芯20に供給し、芯20は、好ましくはステンレス鋼でありかつ出口45を有する毛細管40の入口に液体香料物質を供給する。毛細管40に取り付けられているのは、毛細管40に電圧を供給するための電気リード50である。電気リード50は、毛細管40に供給される電力を調節する制御回路60に接続される。毛細管40への電力のパルス式送出により、揮発化液体香料物質は、毛細管40の出口45から周期的に押し出されてエーロゾルを形成する。
【0020】
図2は、毛細管(図2の「毛細管」)のための加熱器と電気リード(「Cap1ry+」及び「Cap1ry−」)とを含む例示的制御回路の回路図である。これらの電気リードは、電気リードを通じてパルス電力によって液体香料物質が加熱されるステンレス鋼毛細管に沿って離間した位置に取り付けることができる。AAセルのような1つ又はそれよりも多くのバッテリによって制御回路に電力供給することができるが、図2の制御回路は、1つのバッテリBによって電力供給されている。制御回路は、好ましくは、マスター電源スイッチSW1、並びにMicrochip製のPIC12F675のようなマイクロコントローラU1を含む。図2に示すマイクロコントローラU1は、利用されない出力端子2、3、5、7を有し、それらは、制御回路の複雑さに応じて利用することができる。空気清浄器の加熱器に電圧を印加するタイミングは、好ましくは、マイクロコントローラの内部クロックによって設定される。調節可能なタイミングの場合、エーロゾルを送出する時間間隔を設定するために1回又はそれよりも多くの回数だけプッシュボタンスイッチを押すことができる。設定時間間隔のような情報を表示する表示LEDも、マイクロコントローラによって制御することができる。マイクロコントローラの制御の下で毛細管加熱器に対する電力を切り換えるために、例えば、Si4876のような電界効果トランジスタQ1が使用される。バッテリによってエネルギを直接加熱器に送出することができるが、図2の制御回路は、エネルギパルスとして毛細管加熱器にエネルギを供給し、すなわち、毛細管通路における液体香料物質をエーロゾル化するのに十分なエネルギのパルスを加熱器に放出する超コンデンサC1を含む電源を有する。マイクロコントローラU1は、超コンデンサC1が補充するのに必要な時間よりも持続時間が短いタイミングサイクルに対して予めプログラムされるか又は手動設定される。図2に示す制御回路の追加要素は、コンデンサC2、及びレジスタR1、R2、R3、R4を含む。
【0021】
好ましい実施形態では、毛細管通路は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている本出願人所有の米国特許第6、640、050号に記載されているように、毛細管通路の出口端において制御された温度プロフィールを有するように設計される。そのような実施形態(図3A)では、入口及び出口電極50は、低い電気抵抗値を有し、銅、銀、金、及びアルミニウムなどで作ることができる。毛細管出口45と出口電極50の間に直列に接続した抵抗線70は、毛細管40の10%から30%に等しい電気抵抗値を有する(図3B)。2つの電極50間に十分な電圧が印加されると、毛細管40及び抵抗線70は、電極50に対して温度が上昇する。毛細管40及び抵抗線70の電気抵抗値の適切な比率を用いて、毛細管40の温度が長さに沿って直線的に上昇し、出口45において最大となり、加熱される毛細管の制御された温度プロフィールを提供することになる。
【0022】
空気清浄器設計の別の考慮点は、圧力降下である。毛細管40内の流体が揮発すると圧力が生じる。その圧力は、毛細管40内の流体の一部を液体供給部10に向けて押し戻す可能性があり、全体出力を低下させる。好ましい実施形態では、加熱区画の前の毛細管40の入口端47に狭窄部80を有することが好ましい(図3B)。狭窄部80は、毛細管40の断面積を75%まで(例えば、25〜75%)低減するように形成される。任意的に、狭窄部は、液体供給部10と毛細管40の間に配置された個別のオリフィス85とすることができる(図3C)。
空気清浄器からの出力は、毛細管の数、毛細管内部寸法、及び作動の頻度に依存する。潜在的な実施形態は、共通の液体供給部又は個別の液体供給部(異なる芳香剤を有する)から流体を吸引する平行ないくつかの毛細管を有することができるであろう。制御回路は、各毛細管を連続作動してほぼ連続したエーロゾル出力を生成することができると考えられる。
【0023】
空気清浄器に対して、粒子サイズができるだけ小さいエーロゾルを生成することが望ましい。ストークスの法則は、空気又は水のような流体中の小球の沈降速度を予測する。ストークスの法則の式は、w=2(ρp−pf)gr2/9μであり、ここで、wは沈降速度、ρは密度(添え字p及びfは、粒子及び流体をそれぞれ表す)、gは重力による加速度、rは粒子の半径、及びμは、流体の動粘性である。以下の表は、1〜50ミクロンの一連の粒子サイズの空気中の沈降速度を示している。
【0024】
(表)

【0025】
生成されるエーロゾル粒子サイズは、好ましくは、5ミクロンよりも小さく、より好ましくは、1〜3ミクロンである。この結果、粒子沈降速度が0.07cm/secよりも小さくなり、エーロゾルを空気中に長期間「漂流させ」、それによって環境内の分布と芳香剤の蒸発を強化する。加圧エーロゾル缶を使用する空気清浄器は、典型的に20ミクロンよりも大きなエーロゾル粒子サイズを有し、従って、エアフレッシュ効果の持続時間(漂流時間)が大幅に短くなることになる。
【0026】
上述の実施形態の更に別の説明として、かつ図3Cを参照して、電極50の間の毛細管40の領域が毛細管40に沿って加熱部分90(加熱区画)を形成することは認められるものとする。好ましくは、加熱区画は、毛細管40の出口45(先端又は放出端)の近くで終端する。電力サイクルの開始時に、毛細管40に沿ったこの加熱部分90は、液体供給部10から毛細管作用を通じて供給された液体で既に充填されている。そのような毛細管の給送は、芯20又は毛細管40の延長部、又は両方の組合せを通じたものとすることができる。電力サイクル中に、液体が加熱区画90に吸引されるいかなる傾向も加熱区画90内に既にある液体の揮発によって中断され、好ましくは、毛細管40の加熱部分に沿って十分なエネルギが印加され、電力サイクルの終了により加熱区画90に沿って液体が完全に放出される。必要なエネルギは、毛細管40の加熱区画90に沿って収容された液体の容積及び従って質量、及びその質量の潜熱に容積/質量の比熱を加えたものを知り、変動及び損失に適応するように約25%マージンを追加することによって容易に解明される。そのような作動は、毛細管作用を通じた加熱区画90への給送を電力サイクルの完了後に再開することができ、かつ妨げられないように、液体が完全に放出され、かつ毛細管40の加熱区画90に沿ったどの位置にも残らないことを保証する。電力サイクル(液体のエーロゾル化)と電力サイクルの間の時間は、液体供給部10から液体を吸引して加熱区画90を補充する毛細管作用に必要な時間よりも長い時間だけ離間させて時間設定される。
【0027】
有利な態様では、このシステムは、機械式ポンプ装置の複雑さなしに加熱毛細管エーロゾル発生を達成する。半連続作動は、共通の液体供給部又は個別の液体供給部からのいくつかの毛細管通路を作動させ、反復シーケンスで毛細管通路を次々に作動させるようにコントローラをプログラムすることによって達成することができ、毛細管通路のタイミング及び数は、毛細管液体供給作動が所定の毛細管通路に対する電力サイクルと電力サイクルの間に完了に到達するのに十分なものである。
【0028】
開示したシステムは、芳香剤(空気清浄剤など)、防虫剤、殺虫剤、燻蒸剤、潤滑剤、及び害虫及び雑草防除剤などの放出に容易に適応させることができる。屋内の用途を含む静止空気では、本明細書に説明したエーロゾル化システムは、既存の噴霧器に対して開示した噴霧器で達成される小さな粒子サイズのために、エーロゾル粒子の強化された残存時間(漂流時間)、及び少ない液体材料でより多くの噴煙を生成するシステムの機能という理由で特に有利である。
様々な実施形態を説明したが、当業者に明らかなように、変形及び修正に訴えることができることは理解されるものとする。そのような変形及び修正は、本明細書に添付の特許請求の範囲の視野及び範囲であると見なすものとする。
【符号の説明】
【0029】
10 液体供給部
20 芯
40 毛細管
50 電気リード
60 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エーロゾル化された液体香料物質を発生させるための空気清浄器であって、
入口と出口とを有する毛細管通路と、
毛細管作用のみを通じて前記毛細管通路の前記入口に液体香料物質を供給するように作動可能な液体供給部と、
前記液体香料物質が前記毛細管通路の前記出口から押し出されてエーロゾル化された液体香料物質を形成するように、該毛細管通路に沿って配置された加熱器にわたって電圧を印加し、該毛細管通路における液体香料物質を少なくとも部分的に揮発させるのに十分な温度まで該毛細管通路における液体香料物質を加熱するようになった電源と、
を含むことを特徴とする空気清浄器。
【請求項2】
前記液体供給部は、前記毛細管通路の前記入口に前記液体香料物質を送出する芯を含むことを特徴とする請求項1に記載の空気清浄器。
【請求項3】
前記芯は、多孔性プラスチック芯を含むことを特徴とする請求項2に記載の空気清浄器。
【請求項4】
前記毛細管通路は、該毛細管通路の前記出口において減少した直径を有することを特徴とする請求項1に記載の空気清浄器。
【請求項5】
前記毛細管通路は、前記出口において直径が約0.05mmの狭いオリフィスを有することを特徴とする請求項4に記載の空気清浄器。
【請求項6】
前記毛細管通路は、約0.05から0.4mmの内径と約10から40mmの長さを有することを特徴とする請求項5に記載の空気清浄器。
【請求項7】
前記電源は、前記加熱器にエネルギパルスを供給する超コンデンサを含むことを特徴とする請求項1に記載の空気清浄器。
【請求項8】
前記毛細管通路は、ステンレス鋼チューブの内部又は非金属チューブの内部を含むことを特徴とする請求項1に記載の空気清浄器。
【請求項9】
前記液体香料物質が、前記毛細管通路の毛細管充填後に少なくとも部分的に揮発するように、前記電源から前記加熱器まで時限式加熱サイクルで電力を送出するように作動可能な制御回路を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の空気清浄器。
【請求項10】
前記液体供給部と前記毛細管通路の加熱区画との間の流体通路が、該毛細管通路の断面積よりも断面積の小さい狭窄部を収容することを特徴とする請求項1に記載の空気清浄器。
【請求項11】
前記狭窄部は、前記毛細管通路の前記断面積の25%〜75%であることを特徴とする請求項10に記載の空気清浄器。
【請求項12】
エーロゾル化された香料物質をパルス式に発生させる方法であって、
入口と出口とを有する毛細管通路内に毛細管作用のみを通じて液体香料物質を吸引する段階と、
液体香料物質が、前記毛細管通路の前記出口から押し出されてエーロゾル化された香料物質を形成するように、該毛細管通路に沿って配置された加熱器にわたって電圧を周期的に印加し、該香料物質を少なくとも部分的に揮発させるのに十分な温度まで該毛細管通路における該液体香料物質を加熱する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
バッテリ又は代替エネルギ源から電圧を周期的に印加する段階、又は超コンデンサから電圧を周期的に印加する段階を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記液体香料物質を液体供給部から芯内に吸引する段階と、
前記液体香料物質を前記芯から前記毛細管通路の前記入口内に吸引する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記液体香料物質を加熱する段階は、該液体香料物質を前記毛細管通路の前記出口で狭いオリフィスから追い出す圧力を該毛細管通路に生成することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
エーロゾル化された香料物質を繰返しパルス式に発生させる方法であって、
a)請求項10に記載の方法に従ってエーロゾル化された香料物質を発生させる段階、
b)毛細管通路を冷却する段階、及び
c)段階a)及びb)を繰り返す段階、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記毛細管通路を10秒未満で冷却する段階を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
2から100秒毎にエーロゾル化された香料を発生させる段階を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1時間に一度エーロゾル化された香料物質を発生させる段階を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
超コンデンサから電圧を周期的に印加する段階を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項21】
液体のエーロゾルを生成する方法であって、
毛細管作用を通じて液体を液体供給部から毛細管通路の区画内に吸引することにより、液体を該区画に沿って配置する段階と、
電力サイクル中に毛細管作用を通じた前記液体の吸引が中断され、かつ各電力サイクルの終了時に前記区画に沿って配置された該液体が加熱された区画から排出されるように、該区画に沿って配置された実質的に全ての該液体を揮発させるのに各電力サイクルの熱が十分であるような熱を該区画の少なくとも一部分に沿って該電力サイクルに従って繰返し印加する段階と、
毛細管作用を通じた前記吸引液体が電力サイクルと電力サイクルの間に再開されて前記区画を補充するように十分に時間的に該電力サイクルを離間させる段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
前記電力サイクルは、前記区画の補充の前に該区画の冷却を可能にするために時間的に離間されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記揮発液体は、外気内に放出されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記外気は、建物の部屋におけるものであることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記毛細管区画は、毛細管作用を通じた前記補充が行われる前は乾燥していることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記印加された熱は、前記区画に沿って配置された前記液体の材料の質量の潜熱に該液体の該質量の比熱を加えた合計よりも大きいことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記加熱された区画は、長さが10から40mmであることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
エーロゾル化された液体材料を発生させるエーロゾル発生器であって、
入口と、出口と、該入口及び出口の間の通路に沿って加熱されるように作動可能な区画とを有する毛細管通路と、
毛細管作用を通じて前記毛細管通路の前記区画内に吸引される液体材料を該毛細管通路の前記入口に供給する液体供給部と、
前記毛細管通路の前記区画の少なくとも一部分に沿って電力サイクルに従って熱を繰返し印加し、該加熱された区画に配置された前記液体材料を揮発させ、そのために該電力サイクル中に毛細管作用を通じた該液体の吸引が中断され、かつ各電力サイクルの終了時に該区画に沿って該配置された液体が該加熱された区画から排出されるように作動可能な電源と、
を含み、
前記電力サイクルは、電力サイクルと電力サイクルの間に毛細管作用を通じた液体の吸引を再開して前記区画を補充するように時間的に十分に離間している、
ことを特徴とするエーロゾル発生器。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【公表番号】特表2010−537689(P2010−537689A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522471(P2010−522471)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【国際出願番号】PCT/IB2008/003020
【国際公開番号】WO2009/027834
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(596060424)フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム (222)
【Fターム(参考)】