説明

パルス状電力により材料及び/または製品を再使用する方法およびシステム

パルス状電力により材料及び/または製品を再使用する方法およびシステム
本発明は、第一工程で、周囲液体ならびに再使用すべき材料及び/または製品を含む反応器中にある少なくとも2つの電極間に一連の放電を発生させ、該一連の放電が、放電のエネルギー、周波数、ならびに電極間の電圧及び切換時間により、反応器中で処理すべき材料及び/または製品を横切って伝搬する機械的衝撃波を生じさせる、材料及び/または製品を再使用するための方法であって、このようにして発生した機械的衝撃波により脆化する第一工程の後、製品及び/または材料が一連の放電に晒され、その際、エネルギー、該放電を発生する電極間の電圧、切換時間及び放電の周波数が、該放電が電磁界の効果により材料の選択的分解を行うように選択される、方法に関する。本発明は、該方法を実行するための装置にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス状電力により材料及び/または製品を再使用する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、様々な分野、すなわちエネルギー分野、鉱業分野、環境、核燃料の循環使用、炭化水素分野、化学分野、及び他の、化学物質及び分子成分及び複合材料の分離及び電気化学的再結合(recombination)による放出、分散、分解及び再使用が関与する全ての分野に応用するのが有利であるが、これらに限定するものではない。
【0003】
材料の粉砕は、材料を製造及び加工する多くの方法で重要な役割を果たしている。しかし、従来の方法には欠点があり、そのために新規な解決策が開発された。
【0004】
放電による材料の粉砕は、公知の方法であり、装置の効率が部品の摩耗により低下する機械的粉砕機を使用する従来の方法と比較して、多くの利点を有する。
【0005】
この意味における例は、特に、下記の様々な特許及び特許出願、すなわちJP 10-180133、WO 2008/017172、WO 2005/032722、US 4 540127、CA 2 555 476、EP 1 375 004に開示されている。
【0006】
従来、出力が非常に高い一連の電気的パルスを、周囲の液体媒体中に予め浸漬した製品及び材料に印加する。
【0007】
パルスが作用する際の周囲液体の抵抗ならびに材料の遷移状態により、浸漬された材料内及び該材料の粒子間にエネルギーを帯びた電気アーク通路が通り、2つの電極間に、及び該浸漬された材料を通過する単一または複数の電気アークが発生する。
【0008】
電気アークが該材料を通過することにより、不連続点(裂け目、混在物、割れ目)、粒子間接点における粒子の転位、及び特定化学的結合の破断とそれに続く元素及び分子の化学的再結合が起こり、周囲媒体との相平衡で新規な化合物が形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一目的は、特に処理時間及びエネルギーコストに関してさらに改良された、パルス状電力により材料及び/または製品を再使用する方法を提案することである。
【0010】
本発明の別の目的は、伝統的な方法による処理の後に通常見られる粒子径より大きい粒子径を有する分解できない(unitary)構成成分の分解及び放出を可能にし、それによって、材料及び/または製品を再使用するためのエネルギーコストを低減させることができる、パルス状電力により材料及び/または製品を再使用するための方法を提案することである。本発明のさらに別の目的は、過酷な、汚染を引き起こす乾式精錬または化学的処理を行わずに、製品及び/または材料の構成元素を、分解、粉末化、及び必要であれば、界面動電的(electrokinetic)及び電気化学的分離により、あるいはさらにこれらの元素の幾つかの化学的再結合により、放出できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
特に、本発明は、周囲液体ならびに再使用する材料及び/または製品を受け入れる反応器中にある少なくとも2つの電極間に一連の放電を発生させる、パルス状電力により材料及び/または製品を再使用するための方法であって、該一連の放電が、該放電のエネルギー、周波数の結果として、ならびに該電極間の電圧及び切換時間(switching time)により、反応器中で処理すべき材料及び/または製品全体にわたって伝搬する機械的衝撃波を発生させる方法を提案することである。
【0012】
必要であれば、補足として、発生する機械的衝撃波により弱体化させる第一工程の後、製品及び/または材料を一連の放電に晒し、その際、該放電が、電磁界効果により材料の選択的分解を行うように、エネルギー、放電を発生する電極間の電圧、切換時間及び放電周波数を選択する。
【0013】
特別な実施態様では、一連の放電が電気アークを発生し、その電気アークが、反応器中で処理すべき材料及び/または製品を通過するが、これは、放電の直接的効果と呼ばれる。この、反応器中を伝搬する機械的衝撃波は、必要であれば、電磁界効果(または特別な実施態様では電気アーク)を伴い、処理すべき材料及び/または製品の分解、分離、粉末化を行い、幾つかの構成成分または分子の化学的再結合を支援する。
【0014】
本明細書全体を通して、材料及び/または製品は、結晶または無定形固体を含むことができる全ての単相または多相材料もしくは物質(固体、液体、気体、蒸気、等)、単一または複数の構成成分、純粋の、または複合材料、例えば(限定しないが)鉱物、鉱石、特に工業的または人間の一つ以上の活動の廃物または副生成物、粉砕、分解(選択的または非選択的)、粉末化、破砕、その構成成分への分離、除染、付加価値増加を目的とする再使用の操作を必要とする全ての製品、炭素繊維または樹脂及び金属(チタン、鋼、合金)を基材とする複合材料を意味する。
【0015】
そのような方法には、運動する機械的部品(例えばボールミル型機械的粉砕機の場合)、ボール、ロッド、または他の摩耗部品(ボールミル、ロッドミル、コーンミル)を使用しないという利点がある。この方法の保守コストは、他の方法と比較して明らかに低い。
【0016】
この方法のもう一つの利点は、鉱石の処理に必要であることが多い、毒性が高い化学薬品及び無機試薬を使用しないことである。
【0017】
この方法の別の利点は、キャパシタの放電を引き起こす放電装置の切換時間のために、放出、分解、分離、粉末化が非常に短い時間で行われることにあり、そのキャパシタは、保存されたエネルギーを、処理及び/または再使用すべき製品を含む反応器に非常に短い時間(非常に高いパルス状電力)で戻すことができ、非常に低い全体的なエネルギー消費でこれを行うことができる。
【0018】
発生する機械的衝撃波により弱体化する第一工程の後、製品及び/または材料を一連の放電に晒し、その際、該放電が、電磁界(または特別な実施態様では電気アーク)を発生する放電効果により材料の選択的分解を行うように、放電のエネルギー、強度、放電を発生する電極間の電圧、時間及び周波数を選択するのが有利である。また、本発明は、材料の再使用を行うための、そのような方法を実行する装置も提案する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の他の特徴、目的及び利点は、添付の図面を参照しながら下記の説明を読むことにより明らかであるが、この説明は、本発明を例示するためにのみ記載するのであり、本発明を制限するものではない。
【図1】図1は、3段階多目的装置の図を示す。
【図2】図2は、衝撃波効果に基づく反応器の図を示す。
【図3】図3は、電磁界効果に基づく反応器の図を示す。
【図4】図4a及び4bは、円錐形ピンを有する種類の多点電極を示す。
【図5】図5a及び5bは、ピンが正方形断面を有する種類の多点電極を示す。
【図6】図6は、多目的装置の管理アセンブリーを示す。
【図7a】図7aは、火炎イオン化検出(GC-FID)に接続されたガスクロマトグラフィーによる定性分析を示す。
【図7b】図7bは、質量分光測定検出(GC-MS)に接続されたガスクロマトグラフィーによる分析を示す。表1は、処理した鉱石の化学組成を百分率またはmg/Kgで示す。
【図8】図8は、820放電後の鉱石の粒子径曲線を示す。表2は、鉱物の放出速度と、注入されたエネルギー及び断片(fragments)の粒子径の関係を示す。表3は、金及び銀の放出に関するボールミル法と多目的装置の比較を示す。表4は、処理した、または処理していないLCDスクリーンの試料における元素の濃度を示す。表5は、ダイヤモンド粒子の摩損性程度と粒子径の関係を示す。
【図9】図9は、ダイヤモンド粉末分解の粒子径曲線を示す。表6は、多目的法による歴青質砂からの炭化水素の抽出効率を示す。表7は、処理した、または処理していない廃水スラッジの比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
1.多目的装置の実施態様の例
1.1.段階及び反応器
図1に示す材料及び/または製品を再使用するための多目的システムは、幾つかの段階、ここでは3段階、の反応器を直列に含んでなる。
【0021】
この図の例では、各段階が2基の反応器を備え、これを図ではR(i,j)で表し、ここでi及びjは、1<i<3及び1<j<2になるような整数であるサイレントインデックスであり、反応器は3段階(i)で直列に配置されている。
−段階1:R(1,1)及びR(1,2)−機械的衝撃波効果。
−段階2:R(2,1)及びR(2,2)−電磁界または特別な実施態様では電気アーク効果。
−段階3:R(3,1)及びR(3,2)−乾燥。
【0022】
機械的衝撃波により処理する段階1は、再使用すべき材料及び/または製品を衝撃波により弱体化することができる。それによって弱体化された材料または製品は、続いて段階2で、分解及び粉末化される(電磁界効果または特別な実施態様では電気アーク)。段階3は乾燥段階である。
【0023】
段階1−衝撃波効果
段階1−衝撃波効果(間接的効果とも呼ぶことができる)による−は、並列の、交番サイクルで操作する2基の反応器を備える。反応器(R(1,1)で表す)が作動している時、他方(R(1,2))は、材料及び/または製品を装填または排出している。
【0024】
機械的衝撃波は、反応媒体(ニュートンまたは非ニュートン周囲液体)中に電気的エネルギーを急速に放出することにより作動する反応器中で発生する。
【0025】
図2に示すように、反応器R(1,1)及びR(1,2)(段階1)は、幾つかの電極対を備え、ここでは3対の3軸電極(E1,E'1)、(E2,E'2)、(E3,E'3)(図3)で示す。各対は、高電圧供給モジュールM1、M2、M3と関連し、一方で、対応する高電圧電気モジュールM1、M2、M3の正端子に接続された多点電極E1、E2、E3を備え、他の電極E'1、E'2、E'3は平らであり、接地(アース)されている。
【0026】
同じ対の2電極(E1,E'1)、(E2,E'2)、(E3,E'3)間の間隔は、放電を発生する閾間隔より小さくなるように選択する(閾間隔は、破壊電界及び陽極と陰極との間に印加される電圧によって異なる)。
【0027】
処理すべき、及び/または再使用すべき材料を含む周囲液体は、例えば水であり、水の相変化特性と電圧及びパルス持続時間の関係は公知である。無論、他の公知の、または抵抗測定可能なニュートンまたは非ニュートン周囲液体も使用できる。図2に下側レベルNB及び上側レベルNHを示してあるが、反応器中にある液体のレベルは、これらの間に止まる必要がある。反応器R(1,1)及びR(1,2)ならびに電極の形状、寸法は、意図する用途及び処理すべき材料及び/または製品に応じて選択する。
【0028】
凹状の球形底部を有する反応器を使用することにより、反応器の球形壁上の反射により、放電で発生する衝撃波の効果が増大する。
【0029】
供給モジュールM1、M2、M3は、充電部品(高性能キャパシタ及び/またはコイル、すなわちMarx発生器)中に電磁エネルギーを貯蔵し、次いでそのエネルギーを、非常に急速な切換装置 (例えば250ns〜900ns、好ましくは500nsを超える切換時間で放電) を通して放電回路に放出する。
【0030】
電極間の電圧は、数キロボルトのオーダーにある。
【0031】
各反応器に使用するエネルギーは、用途に応じて600ジュール〜50000ジュール、例えば600〜12000ジュールのオーダーにある。
【0032】
操作周波数は、用途に応じて0.5Hz〜80Hzであり、例えば特定の用途には1〜2Hzであり、他の用途では2〜80Hzである。
【0033】
2つの連続的する放電間のダウン時間は200ms〜1sである。
【0034】
電磁界(または所望により電気アーク)は、機械的衝撃波と平行して発生させるが、発生させる機械的衝撃波は、機械的圧縮による元素の選択的分解、破砕、分解、粉末化および分離の際に、該処理すべき材料及び/または製品に対して支配的な影響を及ぼす。これは、衝撃波の支配的な効果のために、間接的効果と呼ばれる。
【0035】
容器(反応器)中でパルスにより誘発される混合は、断片の均質化を引き起こし、断片の分離を容易にする。
【0036】
この機械的衝撃波OCMは、分離した電極を通る放電により発生する一連の高圧(圧縮)及び低圧(緩和)によるものであり、水性媒体中における電極の放電は、爆発及び高温プラズマを発生する。
【0037】
衝撃波により媒体に伝達される機械的エネルギーは、等式(1)により与えられる。
【数1】

【0038】
ここで、ρは、倍体の密度であり、uは、波頭の速度である。
【0039】
反応器中に供給される電力と放電電流の変化率との間には一つの関係がある(等式2)ので、衝撃波の強度は放電電流の変化率に比例する。
【数2】

【0040】
i(t)は、回路中の放電電流であり、s'は、電磁界(または特別な実施態様では電気アーク)及び衝撃波を発生する2つの電極間の距離である。
【0041】
衝撃波のエネルギーは、下記のように記載することができる。
【数3】

【0042】
式中、pは、媒体の密度であり、cは媒体中の波の速度であり、sは、発生するアーク通路の長さであり、pは、下記の関係(等式4)により与えられる、媒体中の高圧である。
【数4】

【0043】
(等式5)は、衝撃波により発生する高圧の最大値であり、tは、電気モジュールによって異なる時間定数である。
【数5】

【0044】
段階2−電磁界効果
この段階では、放電が電磁界を発生し、その電磁界が、再使用すべき材料及び/または製品の中を通過する。
【0045】
特別な実施態様では、放電により電気アークが発生し、次いでその電気アークは、再使用すべき材料及び/または製品の中を通過する。これは直接的効果と呼ばれる。
【0046】
反応器R(2,1)及びR(2,2)(段階2)は、それぞれこれを行うために3対の点/平面電極(図2)を含んでなる(反応器の幾何学的構造を変えることにより、例えば偶数の面を有し、一つの面が陽極として作用し、反対側の面が陰極として作用する多角形を使用することにより、電極の数を増加し、処理すべき材料及び/または製品全体にわたる放電の効果を増幅することもできる)。
【0047】
段階1と同じ様式で、電気エネルギーを供給モジュールM1、M2、M3中に貯蔵し、次いで、超急速切換装置により切換時間200ns〜900nsで放電回路に放出するが、この切換は、用途に応じて変えることができ、例えば切換時間を200ns〜500ns、または250ns〜900nsにすることができる。電極間の電圧は数キロボルトのオーダーにある。
【0048】
各放電装置に使用するエネルギーは、50ジュール〜1000ジュールのオーダーにあり、特定の用途では100〜1000ジュールのオーダーでよい。
【0049】
操作周波数は、用途に応じて1Hz〜50Hzであり、1Hz〜5Hzであってもよい。
【0050】
2つの連続的する放電間のダウン時間は1ms〜1sである。
【0051】
段階1及び段階2の放電装置(エネルギーを貯蔵しているキャパシタを急速に放電させるためのトリッピング装置)を、不活性ガス(例えば窒素)を満たした密封されたケースの中に設置することができるが、これには下記の2つの利点がある、すなわち
−絶縁破壊電圧を既存の湿度レベルから独立させる、及び
−発生するオゾンを簡単な様式で回収及び排出することができる。
【0052】
この第二段階は、電磁界(または所望により電気アーク−直接的効果)を通過させることにより、該材料及び/または製品の様々な構成元素を分離し、元素を選択的に分離することができるが、これは、ニュートンまたは非ニュートン媒体は、電磁界(または所望により電気アーク)を通過する際に、処理すべき材料及び/または製品より電気的抵抗がより高くなること、該材料及び/または製品の様々な構成元素の抵抗が異なること、及び共鳴の現象によるものである。
【0053】
この第二段階では、反応器中に、1N/cmを超える剛性及び、必要であれば、好適な粘性制動係数(damping coefficient)(好ましくは0.5〜2N.s/m)を有するエラストマー製の球が存在することにより、製品の処理及び再使用を改良することができる。これらのエラストマーが衝撃波効果を和げるが、これは電磁界効果(または所望により電気アーク効果)に有利であり、従って、効率が改善される。
【0054】
反応器中に行き渡る電磁界に関連する電磁波は、マイクロ波、UV放射線、等に対応することができる。
【0055】
特別な実施態様では、マイクロ波を発生させるための電磁界の周波数は、2GHz〜3GHzである。
【0056】
マイクロ波は、熱的効果により、処理または再使用すべき材料及び/または製品の膨脹、続いて収縮を引き起こすことにより、材料及び/または製品を弱体化させることもできる。材料及び/または製品は、十分な露出時間の後、分解し、崩壊する。
【0057】
別の特別な実施態様では、UV放射線を発生させるための電磁界の周波数は、800THz〜10PHzである。
【0058】
同じ物理的現象、すなわちUV放射線に関連する電磁波の熱的効果による該材料及び/または製品を構成する化学組成構造の膨脹及び収縮が起こり、該材料及び/または製品の選択的分解につながる。
【0059】
分極し得る媒体(水、等)及び再使用すべき
−不均質、
−均質、または
−電子的構造中で局所的に変性し得る
材料の場合、それらの電磁的構造を修正することにより、これらの材料を選択的に再使用することができる。
【0060】
事実、分極し得る媒体(水、等)中に浸漬された材料を含む反応器中に電磁パルスを、その媒体における電子の最大伝搬速度より大きい速度で送り込む場合、その媒体のエネルギー飽和現象が500ns未満の切換時間で起こる。媒体が飽和されると、材料はエネルギー溜(sink)として作用し、この過剰エネルギーを媒体から吸収する、すなわち
−材料の電子軌道が膨脹し、特定の結合が変形するか、または破断し易くなり、
−結晶構造中にある電子の伝搬速度の関数として、原子の結晶性構造的が膨脹し、材料の粒子が膨潤する。伝搬速度の差は、明らかに分解の現象を強調する。
【0061】
この段階で、材料は飽和し、媒体は脱飽和する、すなわち電磁パルスが陽極を経由して発生し、材料を通過し、陰極を経由して放出される。この現象は、膨脹−収縮の効果により反復され、処理または再使用すべき材料及び/または製品の分子構造の崩壊につながり、これが該材料及び/または製品の選択的分解を引き起こす。
【0062】
段階3−マイクロ波による乾燥
反応器R(3,1)及びR(3,2)は、それぞれマイクロ波発生器を備える。
【0063】
第三段階では、マイクロ波発生器から発生したマイクロ波による誘導熱により、材料及び/または製品を乾燥させる。
【0064】
これによって、経費がかかる従来の乾燥方法を行わずに、例えば分解した後の材料及び/または製品を構成する元素の分離が容易になる。
【0065】
上記の3段階は、どのような順序ででも使用することができる。
【0066】
例えば、乾燥段階を、電磁界効果(または所望により、電気アーク−直接的効果)による選択的分解の前に、例えば衝撃波効果(間接的効果)による弱体化の前または後に行い、内部にある水ポケットの蒸発により該材料及び/または製品を弱体化させ、これによって電磁界効果(所望により、電気アーク−直接的効果)による処理段階で選択的分解及び分離を容易に行うことができる。
【0067】
また、段階(i)の一つまたは二つを使用しなくてもよい。
【0068】
別の変形では、材料及び製品の再使用を可能にする現象を維持しながら、上記の3段階を連続方式に修正することができる。
【0069】
本方法(衝撃波効果(間接的効果)または電磁界効果(または所望により電気アーク−直接的効果))の効率は、電極及び反応器の幾何学的構造、発生する衝撃波系のエネルギー含有量及び経時的(chronological)プロファイルに関連する。
【0070】
下記のことが分かる。
−蒸気形態の気泡が液体媒体中で局所的に発生(膨脹)し、その後消失(内側に破裂)する。内側破裂相中に放出されるエネルギーは、膨脹相中で放出されるエネルギーよりも大きい。
−操作パラメータを調節することにより、再使用すべき材料または製品を、
−特定モードの材料または製品の可能な最大数を同時に励起させ、
−実質的に瞬間的な要請(solicitation(Dirac))に、時間的に限られた振動プロファイルで近付け、
−再使用すべき材料または製品中に、少なくとも3 10(kg/m.s)の音響的インピーダンスを与えることができる。
【0071】
本明細書では、再使用すべき材料及び/または製品の破壊力により、一方で、十分なせん断速度を得ること、及び他方、得られるBond指数を最適化する選択的分解を得ることが可能である。
【0072】
1.2.多電極及び多点電極
電極の選択は、意図する用途の種類及び処理すべき材料及び/または製品によって異なる。該材料及び/または製品を電磁界(または所望により電気アーク)に露出する場を拡大し、衝撃波の発生を増大させるために、幾つかの点/点、点/平面または多点/平面電極対を多目的装置中に使用し、これによって、選択的分解、分解及び分離を配置毎に変化させることができる。しかし、より優れた効率は多点/平面電極により得られる。
【0073】
図4a、4b、5a及び5bは、多点電極の二つの例を示す。
【0074】
図4a及び4bは多点円錐形MPを示し、図5a及び5bは、先端が正方形のピン(正方形ピンPC)を示す。
【0075】
これらの点自体は開口部Oにより分離され、衝撃波の戻り効果を和らげることができる。
【0076】
放電の際、各ピンは、電磁界効果(または所望により電気アーク)によりそれらの自己洗浄を行う4個の隣接する点と考えられる、すなわちそれらの点の近くに微小気泡の放射が観察される。
【0077】
この自己洗浄は、処理する材料及び/または製品を構成する元素の選択的分解及び分離の効率を改良することができる。
【0078】
例えば、機械的衝撃波(間接的効果)により弱体化する段階の場合、一対の多点及び平面電極(図4及び5)が反応器中に導入され、電極用支持体が例えば、衝撃波の戻り効果を和らげるための開口部により分離された68(あるいはそれ以上)の設置部(emplacement)を含む。各設置部の上には、4点(正方形の各先端に対して一つ)に対応する、先端が正方形の円錐形点またはピンが設置される。
【0079】
反応器には多面体形状が有利であるが、これは、各反応器中に数対の電極(例えば1〜15対)を導入できるためである。
【0080】
しかし、多面体反応器の代わりに、陽極が多点形状(図4a、4b及び5a、5b)を有し、陰極が平面である、凹状の球形底部を有する円筒形反応器を使用することもできる。
【0081】
1.3.管理システム
図6は、材料及び/または製品を再使用するための多目的システムの管理システムを示す。
【0082】
この装置は、様々なセンサーと交換する放電装置CM及び高電圧発生器ALに指令する制御装置CCを備えている。電磁界効果(または所望により電気アーク−直接的効果)の場合にはMarx発生器を使用し、衝撃波効果(間接的効果)の場合には開始電極を使用する。様々なセンサーは、例えば質量分析器SPM、クロマトグラフCH、圧力及び温度センサーCP及びCT、ならびにUV放射線センサーを備えている。
【0083】
このアセンブリーは、
−データの獲得、
−指令制御、
−基本的操作パラメータ、特に(下記に限定しない)
1.貯蔵するエネルギー、
2.印加する電圧、
3.放電時間、
4.放電周波数、
5.ピーク強度、
6.反応器中の滞留時間
の調節
を可能にする操作パラメータの獲得及び調整手段も備えている。
【0084】
再使用すべき材料及び/または製品の寸法を下げる効率は、サイズ低下理論方法(BOND指数、等)により測定される。
【0085】
・高電圧発生器の制御装置
供給モジュールのキャパシタCO中には、高電圧発生器ALにより、静電気エネルギーが確実に貯蔵される。この発生器ALは、多目的装置の管理装置(制御装置CC)の同じデジタル制御により遠くから指令される。この種の発生器により、電気回路中の第一放電を引き起こし、キャパシタCOの急速放電を開始する閾電圧を引き上げることができる。これによって、Paschenの法則により与えられる閾電圧及び高電圧発生器により与えられる閾電圧を比較することができる。
【0086】
・反応器のインピーダンスZの制御
反応器の端子における電圧及び回路を通過する放電電流に関する信号の記録及び解析により、二つの信号間の位相のずれ(dephasing)から充電(反応器)のインピーダンスZを決定することができるが、これは、問題とする電気回路の部品及び処理する材料及び/または製品の両方によって異なる。
【0087】
多目的方法を一定インピーダンスZで操作するには、該管理装置中に含まれる自動化された動力装置を使用することにより、反応器中の電極間距離を修正すれば十分である。
【0088】
・圧力、温度及びUVセンサー、クロマトグラフ及び質量分光器の自動性
多目的システムと関連付けられるのは、測定及び分析装置、すなわち圧力センサーCP、熱電対CT、UV放射線検出器(capUV)、クロマトグラフ分析計CH、質量分光器SPM、等である。これらの測定及び分析手段は、多目的システムの管理システムのデジタル制御CCにより、確実に制御される。
【0089】
1.4.UV放射線の検出、クロマトグラフィー及び質量分光法
UV放射線
放電装置(キャパシタを接続する)中で、及び反応器中に導入された電極間で引き起こされる電磁界(または所望により電気アーク)により放射されるUV放射線の信号を解析することにより、該多目的システムが作動しているか、及び特に高電圧キャパシタの放電が起きているか、否かを知ることができる。これらの問題とする信号は、該多目的システムの操作中に行き渡る電磁界により引き起こされる妨害を回避するために光ファイバーを経由して管理システムに伝達される。
【0090】
管理システムが、これらの情報を通して、キャパシタが放電していないことを検出した場合、管理システムは、全キャパシタの接地を指令し、キャパシタを放電させ、キャパシタを損傷する危険性を回避する。これによって、該多目的方法の維持及び保守コストを下げる。
【0091】
クロマトグラフィー/質量分光法
多目的システムにより材料及び/または製品を処理する際、化学反応によりガスが発生する(例えばHS)。
【0092】
試験を行う際にクロマトグラフ及び質量分光法でこれらのガスを分析することにより、処理する材料及び/または製品を構成する元素の選択的分解及び分離の進行状態に関する情報を得ることができる。
【0093】
多目的システムにより処理する際の材料及び/または製品の一部を、リアルタイムで、または放電を停止した後に、クロマトグラフィー及び質量分光法により分析することにより(図7a及び7b)、特に、放電を制限または停止することにより、反応器中に注入されるエネルギーを最適化するのに使用する情報を得ることができる。反応器の装填及び排出を自動化することもできる。図7a及び7bは、特定の炭素鎖に対応するピークを示す。
【0094】
図7aは、多目的システムにより処理した後の歴青質砂の定性分析を示し、特定数の炭素/炭素結合を有する炭化水素に対応するピークが観察される。
【0095】
図7bは、ガスクロマトグラフィーによる分析を質量分光測定による検出と組み合わせて示し、C20〜C40の化合物に対応するピークの存在が観察される。
【0096】
例えば、このシステムは、特定の製品に関して、粒子径曲線と、測定した気体放出速度、使用したエネルギー、発射(放電)回数及び発生したガスの関係を登録するデータベースを備えていることができる。
【0097】
他の測定
反応器内側の幾つかの点における圧力を測定することにより、処理または再使用すべき材料及び/または製品の機械的特性を考慮して、発生した衝撃波の効果を評価することができる。
【0098】
得られた製品は、レーザー粒度測定法により、または粒子径が低下する(数μm〜数mmで変化する)一群の篩上でさらに分析する。該材料及び/または製品を再使用する際に多目的装置がガス、例えば硫化水素HS、を発生する用途(例えば鉱石及び鉱物、歴青質砂及び頁岩、等)の場合、このガスの回収その濃度の測定により、材料及び/または製品の選択的分解状態に関する重要な情報を得ることができる。このガスの濃度が安定する傾向がある場合、これは、材料及び/または製品中に存在する元素硫黄の分離が、その最適値に達したという事実により説明される。
【0099】
2.多目的方法の具体的用途の例
下記の例は、説明のために記載するのであり、本発明を制限するものではない。
【0100】
2.1.鉱石(金属性、非金属性)及び工業的鉱物の処理
鉱石は、経済的、工業的または農業的活動に必要な金属、鉱物及び他の元素を経済的に回収可能な比率で含む岩石である。概略的に、鉱石は、鉱石の種類及び鉱床の種類に応じて様々な比率にある実際の鉱物及び無価値な脈石から構成されている。
【0101】
化学的な観点から、鉱石は、金属硫化物(パイライト、磁硫鉄鉱、カルコパイライト、スファレライト、モリブデナイト、ガレナ、等)、酸化物(マグネタイト、ルチル、等)、炭酸塩(スミソナイト、カラミン、等)、または他の化学的結合物から構成される。鉱石は、金属または天然の、もしくは必要とされる鉱物、例えば金、ダイヤモンド、エメラルド、工業的鉱物、藍晶石(disthene)、ガーネット、シリマナイト、ウォラストナイト、リン酸塩、等から構成されることもある。
【0102】
鉱石中に含まれる金属または鉱物を回収するには、市販できる濃縮物の製造まで、取り出される鉱石の種類に応じて一連の操作、すなわち一次及び二次破砕、選択的分解、浮選、機械的または化学的濃縮、シアン化物処理、ばい焼、等が必要である。
【0103】
提案する方法は、鉱石処理の第一工程(破砕、分解、構成成分の放出、製品の均質化及び分散)、ならびに一次処理の際に得られる製品を精製するための処理工程に適用できる。
【0104】
特に、鉱石及び鉱物は、機械的波(段階1)及び電磁界効果(または所望により電気アーク)(段階2)に連続的に晒す。
【0105】
使用するエネルギーは、段階2(直接的効果)では500ジュール〜1000ジュールであり、段階1(間接的効果)では5000ジュール〜10000ジュールである。
【0106】
操作周波数(パルス繰り返し周波数)は、段階1では1Hz〜2Hzで、段階2では1Hz〜20Hzである。
【0107】
2つの連続する放電間のダウン時間は1ms〜1sである。
【0108】
段階2では、材料を通して発生した電気パルスが、粒子の電気抵抗及び共鳴周波数の特性に応じて、粒子間接点及び粒子自体の内部でも粒子の転位を引き起こす。例として、質量が795gであり、化学組成を表1に示す鉱石に多目的装置を適用することにより、ダウン時間10msで、平均放電持続時間40〜50μsで、それぞれ200Jのエネルギーを鉱石に供給する820回の放電の後、図8の曲線を示す結果を得ることができるが、この曲線は、断片の大部分が粒子径80〜600μmを有することを示している。
【0109】
材料を通して発生した電気パルスは、粒子の電気抵抗及び共鳴周波数の特性に応じて、粒子間接点及び粒子自体の内部でも粒子の転位を引き起こす。この現象により、反応の最初の瞬間にほとんど全ての粒子が互いに放出される。
【0110】
従って、この方法により、200μmを超える粒子径で、非常に高い程度の放出(特定鉱物、例えばパイライト、亜鉛鉱石中のスファレライト、では70%を超える)が得られるのに対し、伝統的な技術でこの結果を得るには、100μmより遙かに小さい粒子径が必要である。
【0111】
例えば、鉱物の放出率は、[100μm、200μm]の間隔に位置する粒子径では80%に達することがある(表2)。パルスの際の、材料の非常に高い充電エネルギー及び周囲媒体の特別な状態(伝導相と抵抗相との間の移行、高エネルギー媒体との接触における遊離OH-及びH+イオンの発生、原子結合の「爆発的」及び瞬時の膨脹を引き起こす結晶中の外側原子層の励起)が、「弱い」結合(例えばMo−S、Fe−S、Cu−S、Pb−S、等)の破壊及び金属イオン及び硫化物イオンの周囲媒体中への排除につながり、その際、硫化物の場合には、これらがOH-イオンと再結合して金属水酸化物を与え、H+イオンと再結合して硫化水素を与える。
【0112】
試験の際にHSの強い放出及びパイライト及びスファレライト粒子の周囲で「排出」反応ハロー、あるいは同じ試験中に周囲媒体に無視できない百分率の銅の溶解さえも観察される。これらの界面動電化学反応には、鉱石中に存在する硫黄を排除し、汚染性の化学的試薬により濃縮する特別な工程を予め行わずに、再使用可能な金属の濃度を高める効果がある。
【0113】
特定の材料及び/または製品(特に特定の鉱石)を選択的に分解させる際に放出される硫化水素には毒性の危険性があり、安全性の理由から、反応器中または外側で化学的処理により(化学薬品の添加により)、HSを中和する。例として、硫化水素と石灰CaOの反応は、下記のように記載することができる。
CaO+HS=CaS+H
【0114】
多目的方法による選択的分解と従来の選択的機械的分解方法(例えばボールミル型の)を比較することにより、金及び銀及び他の構成成分(硫黄、シリカ、等)を基材とする鉱石を粉砕する場合、多目的方法は、3.4倍多くの金及び2.2倍多くの銀(表3参照)を放出できることが分かる。多目的方法で得られる結果の解析により、回収される液体中の硫黄濃度が高く、従って、鉱石から硫黄が排除されることが分かる。従来の方法では、これには追加の処理が必要である。
【0115】
従って、提案する処理には、二重の利点、すなわち
−一方で、通常必要な粒子径より大きい粒子径を有する鉱石の分割できない構成成分の分解及び放出を増大させ、これによって時間及びエネルギーを大幅に節約すること、及び
−他方、界面動電化学処理により、試薬及び他の汚染性処理を行うことなく、鉱石の濃縮を容易に行うこと
がある。
【0116】
2.2.モリブデン含有ガーネタイト(garnetite)の分解及び分離
モロッコ産モリブデン含有ガーネタイトに行った試験は、前に記載した硫化物鉱物に対する試験に密接に関連している。
【0117】
試験した鉱石は、1〜5%モリブデナイトを含む、極めて研磨性が高く、硬いガーネット含有スカルン、ならびにシェーライト(タングステン鉱石)及びカルコパイライトから構成されている。
【0118】
この岩石は、破砕が非常に困難であり、伝統的な方法により鉱石を粉砕し、100μmのオーダーの放出メッシュに到達するのが長く、非常に経費がかかる。
【0119】
その上、モリブデナイト(MoS)は、潤滑性を有し、薄いフレークの形態にあり、粉砕の際に破砕され、隙間を塞ぎ(caulked)、この金属の損失は、従来方法(機械的粉砕)による粉砕の際に20%近くになると推定される。
【0120】
多目的方法による処理は、ガーネタイトの分解及びその鉱石の再使用に効率的な解決策を与える。
【0121】
使用するエネルギーは、電磁界効果(または所望により電気アーク−直接的効果)(段階2)では50ジュール〜1000ジュールであり、衝撃波効果(間接的効果) (段階1)では1000ジュール〜50000ジュールである。操作周波数(パルス繰り返し周波数)は、段階1では1Hz〜2Hzであり、段階2では1Hz〜である。
【0122】
2つの連続する放電間のダウン時間は1ms〜1sである。
【0123】
例として、この種の鉱石に段階2(電磁界効果または所望により電気アーク−直接的効果)で行う試験では、300パルスの印加(1放電あたり400J)により、ガーネタイトを完全に分解し、粉末の粒子径を500μmのオーダーに下げることができる。300パルスで、製品の大部分が分解し、粒子径が200μmに低下する。モリブデナイト(MoS)の粒子は、そのガーネットのマトリックスから200μmで完全に放出される。従って、機械的効果の単純な観点からは、多目的方法「多目的システム」は、可動部品の摩耗無しに、隙間を塞ぐことなく、高い放出率で、伝統的な方法よりも優れた回収率で、ガーネタイトを粉砕及び微小化することができる。
【0124】
2.3.エコ−工業−複合材料
複合材料は、化学薬品を使用せずに非混和性複合材料を分解することができる該多目的装置にとって優れた候補である。複合材料の主要な2種類は、例えば
−ガラス繊維(GLARE、すなわちGLASS REinforced)、
−光起電力パネル、
−炭素繊維を含んでなる複合材料
であるが、ただし、これらに限定するものではない。
【0125】
補強コンクリートを除くほとんどの複合材料は、循環使用を困難にする熱硬化性重合体に結合した鉱物または合成繊維を基材とする。複合材料は、さらに、金属層(アルミニウムまたは他の金属の合金)の間に挟まれていることが多い。経費がかかり、汚染性が非常に高い酸への溶解を除いて、繊維の回収及び循環使用を可能にする技術は現在存在しない。
【0126】
この方法で使用する液体媒体は水であるが、他のどのようなニュートンまたは非ニュートン液体でも、その電気抵抗が既知であり、好適であるという条件下で、使用することができる。
【0127】
本願の範囲内で幾つかの例を挙げることができる。
a)ラミネート加工した風防ガラスにおける、2つのガラス層間に挿入されたアクリロブタジエンスチレン可塑性樹脂から製造されたフィルムの分離
【0128】
多目的システムの、ラミネート加工されたガラスへの応用は、この方法で使用する技術(直接的効果)による、2つのガラス層間に挿入された可塑性樹脂(アクリロブタジエンスチレン、すなわちABS)から製造されたフィルムの分離である。多目的システムから発生した電気パルスが、ラミネート加工されたガラスの分解を引き起こし、パルスの機械的効果(ガラス中での膨脹及び「爆発的」応力の発生)によりABSとガラスを分離させる。ガラスの分解に必要なパルスの数は少ないので、界面動電化学反応は、ABSの分子構造にあまり大きく作用しない。従って、ABSのシートは、特別な化学的処理を行わずに、ガラスから容易に分離する。
【0129】
材料を機械的波(段階1)及び電磁界(または所望により電気アーク)(段階2)に晒す。
【0130】
この用途では、この種の材料を再使用するのに、段階2で十分である。それぞれ500Jのエネルギーを有する300回の放電から、非常に効率的な結果(この種の材料を構成する元素の分解及び分離)が得られ、これらの放電の平均持続時間は数十μs(40〜50μs)のオーダーにあり、切換時間は250〜300nsであり、二つの連続する放電を分離するダウン時間は、好ましくは10〜100msであり、パルス繰り返し周波数は8〜40Hzである。ガラスの分解及び複合材料の異なった構成元素、すなわち可塑性樹脂及びフィルム、の分離が得られる。
【0131】
この方法は、すでに熱分解により処理した複合材料(ガラス、樹脂)の処理にも適用できる。多目的装置により処理した後、これらの材料の変色が観察され、黒色がベージュになり、液体(水)が黒色になるが、これは、炭素とガラス繊維の間の分離により説明される。
【0132】
b)光起電力パネルの分解及び様々な構成成分の分離
光起電力パネルは、複合材料の一部を形成しており、一般的に、強化ガラス、重合体、ケイ素、アルミニウム及びTedlar(ポリフッ化ビニル)から構成される。本方法により、この種の材料を分解させ、これらの材料の中を通過する電磁界(または所望により電気アーク)による選択的分離により、その様々な構成元素を容易に分離することができる。該選択的分離は、光起電力パネル中に存在する様々な成分の抵抗が異なることにより、説明される。
【0133】
回収される製品は、ガラス、ケイ素、アルミニウム、重合体(例えばEVA)及びTedlar(ポリフッ化ビニル)の粒子および断片である。
【0134】
該光起電力パネルを機械的波(段階1)及び電磁界(または所望により電気アーク)(段階2)の横断に晒す。
【0135】
使用するエネルギーは、電磁界効果(または所望により電気アーク−直接的効果)(段階2)では400ジュール〜1000ジュールであり、衝撃波効果(間接的効果) (段階1)では6000ジュール〜10000ジュールである。
【0136】
操作周波数(パルス繰り返し周波数)は、段階1では0.5Hz〜2Hzであり、段階2では1Hz〜20Hzである。
【0137】
放電の持続時間は、それぞれ数百μs(段階1で500〜800μs)及び数十μs(段階2で40〜60μs)のオーダーにある。
【0138】
2つの連続する放電間のダウン時間は1ms〜1sである。
【0139】
複合材料の分解及び様々な構成元素の分離は、これらの材料を通過する電磁界(または所望により電気アーク)による選択的分離により得られる。回収される製品は、ガラス、ケイ素、アルミニウム、重合体(例えばEVA)及びTedlar(ポリフッ化ビニル)の粒子および断片である。
【0140】
c)電子カード及び構成部品の分解及分離
「多目的方法」と呼ばれる多目的装置により、電子カードの様々な構成部品を分離することができる。上記と同じ様式、すなわち膨脹及びパルス状の「爆発的」応力による界面動電分解が導電性金属構成部品を合成繊維カードから分離する。セラミック複合構成部品を細かい粉末に分解させ、含まれる金属構成成分を物理的処理により回収する。
【0141】
これによって、再使用可能な構成成分、例えば銅、銀、金、希土類金属、等を回収することができる。
【0142】
廃棄される電気及び電子装置(ベークライト、単及び多層エポキシガラス、単及び多層エポキシガラス、銅の層から構成されるプリント回路、半導体及び集積回路)を、機械的波(段階1)及び電磁界(または所望により電気アーク)の横断(段階2)に晒す。
【0143】
使用するエネルギーは、電磁界効果(または所望により電気アーク−直接的効果)(段階2)では500ジュール〜1000ジュールであり、衝撃波効果(間接的効果) (段階1)では5000ジュール〜10000ジュールである。
【0144】
操作周波数(パルス繰り返し周波数)は、段階1では0.5Hz〜2Hzであり、段階2では1Hz〜20Hzである。
【0145】
この用途に関して、段階1には300ms30及び段階2には10msのダウン時間を選択する。
【0146】
構成成分は選択的分解及び分離により分離し、金属部品はプラスチック構成部品を完全に排除する。
【0147】
構成成分を分解、転位させ、粒子径500μmに分離する。
【0148】
d)樹脂により結合した炭素繊維から構成される工業的廃棄物の処理
炭素繊維、樹脂及び金属を含んでなる複合材料は、化学薬品を使用する必要無しに複合材料を分解することができる該多目的システムに対する優れた候補である。
【0149】
放電により発生する衝撃波の効果を増幅するための球形底部を備えた円筒形反応器中に2個の電極を導入し、第一電極は、正端子に接続された多点であり、第二は、平面であり、接地(アース)されており、その形状及び寸法は、処理すべき材料によって異なる。
【0150】
多目的システムによる工業的廃棄物の再使用では、上記の例と同等の様式、すなわち界面動電効果を伴う分解の動的効果、により、出発構成成分を数百の放電(1放電あたりのエネルギーは100ジュールを超える)により分離する。様々な構成成分の比導電率に応じて、300パルスから、樹脂を複合材料から分離することができる。この樹脂は、周囲液体媒体中に捕獲されたままになる。樹脂が複合材料から分離された後、炭素繊維を回収し、特別な化学的処理を行わずに、再使用する。電子顕微鏡により、これらの炭素繊維は、樹脂重合体を全く含まないことが分かる。炭素繊維は、カップ形状の断片により局所的に浸食されており、特定数のパルスを超えると、絡み合いの現象を示し、これは、処理した繊維の束の中における伸長及び膨脹の変化を反映している。従って、パルスの数及びこれらのパルスの電力を適切に校正し、樹脂を含まず、直接循環使用できる繊維を得ることが重要である。
【0151】
この用途には、放電のエネルギーは、段階2(必要であれば、直接的効果で)では100ジュール〜1000ジュール、衝撃波効果(間接的効果)による段階1では600ジュール〜12000ジュールであってもよい。その持続時間は、数ミリ秒間のオーダーにあり、その周波数は、段階1(間接的効果)では2Hz〜80Hzであり、段階2(必要であれば、直接的効果で)では1Hz〜5Hzである。
【0152】
e)熱硬化性樹脂重合体により結合した炭素繊維及びラミネート加工された金属/炭素繊維または鉱物繊維アセンブリーから製造されたベース構造中に挿入された金属固定リベット(例えばチタンまたはアルミニウム)の分離
炭素繊維、樹脂及び金属を含んでなる複合材料は、化学薬品を使用する必要無しに複合材料を分解することができる該多目的システムに対する優れた候補である。
【0153】
放電により発生する衝撃波の効果を増幅するための球形底部を備えた円筒形反応器中に2つの電極を導入し、第一電極は、正端子に接続された多点であり、第二は、平面であり、接地(アース)されており、その形状及び寸法は、処理すべき材料によって異なる。
【0154】
本発明により、該固定リベットまたは金属サンドイッチ構造を残りの材料から分離することができる。多目的システムの使用により、上記の例と同等の様式、すなわちリベット固定点をずらし、リベットを引き抜く界面動電効果を伴う分解の動的効果、により、固定リベットを数百の放電により分離する。
【0155】
炭素繊維を基材とする構造を本方法で処理することにより、炭素繊維を後で得ることができるが、そのサイズは放電の数によって異なる。
【0156】
この用途には、放電のエネルギーは、電磁界効果による段階2(または所望により電気アーク−直接的効果)では100ジュール〜1000ジュール、及び衝撃波効果(間接的効果)による段階1では600ジュール〜12000ジュールでよい。その持続時間は、数ミリ秒間のオーダーにあり、その周波数は、段階1(間接的効果)では2Hz〜80Hzであり、段階2では1Hz〜5Hzである。
【0157】
f)LCDスクリーンの再使用
液晶ディスプレイ(LCD)スクリーンの使用は、世界中で広がっている。LCDスクリーンは、コンピュータ及びテレビ用の平面モニターの主要部品である。業界は、LCDスクリーンの製造に必要な一元素、すなわちインジウム、の稀少性に直面している。インジウムを生産するための世界の資源は非常に限られており、調査により数年で枯渇することが分かっているので、LCDスクリーンを循環使用する際にインジウムを回収する必要がある。
【0158】
多目的方法を使用する試験により、インジウム及び他の元素、例えばスズ、金及び銀、の回収により、LCDスクリーンを再使用できることが分かった(表4参照)。
【0159】
インジウムInは、単独で、またはスズSnと結合して回収され、それらを分離できることが分かっている。インジウムを残りの部分からより効果的に回収及び分離するには、LCDスクリーンを10μm未満の粒子径に達するまで分解する必要がある。
【0160】
多目的方法では、分解する粒子のサイズに限界は無い。従って、LCDスクリーンを再使用し、重要な元素、特にインジウム、を回収できる可能性がある。
【0161】
2.4.ダイヤモンド粉末の分解及び粉砕
現在、研磨性のダイヤモンド粉末の粉砕は、特殊な粉砕機における摩滅により行われている。20ミクロンのオーダーにある粒子径を得るための粉砕の持続時間は、約20時間を超える。それでも、これらの従来方法では、ナノメートル寸法のダイヤモンドを十分な量で得ることはほとんど不可能である。
【0162】
多目的システムの使用により、処理するダイヤモンドの結晶に、膨脹及び「爆発性」のパルス状応力による界面動電分解を引き起こし、摩損性レベルが非常に高い断片に粉砕する。粒子の50%が50μm未満のサイズを有するまでの処理時間は数分間のオーダーにある。ダイヤモンドのチッピングによる研磨様式では、最終粒子径は、パルスの持続時間及び数によってのみ制限される。従って、この技術によりナノメートルサイズのダイヤモンド粉末を製造することは十分に可能である。
【0163】
ダイヤモンド粉末を機械的衝撃波(段階1)に晒し脆い粒子を破壊し、次いで電気アーク(段階2)の横断に晒し最も硬い粒子を分解させる。これによってダイヤモンド粒子が分解し、微小化される。
【0164】
幾つかの非常に細かいダイヤモンド粒子の浮選が観察されるが、これは、毛細管及び濡れ性の現象による。
【0165】
界面活性剤の添加により、これらのダイヤモンド粒子を反応器の底に移動させ、電気アーク及び衝撃波に、より効果的に露出し、それによって、ダイヤモンド粉末の分解及び粉砕を改良する。
【0166】
例として、段階1の反応器中でダイヤモンド粉末(直径400〜500μm)の予備処理に使用するエネルギーは、1放電あたり4000Jのオーダーにあり、50放電を印加した後、回収されたダイヤモンド粉末を段階2の反応器中に入れ、1パルスあたり200Jのエネルギーで1000パルスを作用させる。
【0167】
段階1及び2における操作周波数(パルス繰り返し周波数)は、それぞれ0.5Hz(段階1)及び2Hz(段階2)のオーダーにある。
【0168】
二つの連続する放電間のダウン時間は、段階1では500ms及び段階2では900msである(これによって、ダイヤモンドの細かい粒子を一つにまとめ、反応器の底に移動させ、ダイヤモンドの粒子に対する電気アークの作用及び衝撃波の機械的効果を改善する)。
【0169】
界面活性剤を周囲液体に加え、濡れ性及び毛細管の効果を増大させる。
【0170】
反応器内側にある水ジェット機構により、ダイヤモンド粒子と陰極の接触を制限し、不純物の処理を軽減する。
【0171】
陰極は、磁界により不純物処理を分離することができる強磁性特性を特徴とする。
【0172】
20μm未満の粒子径を目標とし、非常に急速に(約2分間で)到達する。
【0173】
ダイヤモンドの摩損性の程度は、分解が進行し、粒子径が低下するにつれて増加する(表5)。ダイヤモンドの摩損性程度の中間A/Rは、サイズ180μm〜300μmのダイヤモンドでは1.39のオーダーにあり、粒子径50μm〜70μmでは1.55に増加し、サイズ20μm〜50μmのダイヤモンドでは1.63に達する(表5参照)。
【0174】
図9は、多目的システムによるダイヤモンド粉末の分解の粒子径曲線を示し、曲線上の二つの正規曲線(gaussians)の存在は、二つの粒子径解析、すなわち一方は粒子径が180μm未満である粒子、他方は粒子径が180μmを超える粒子、を行っていることから説明される。
【0175】
2.5.歴青質砂及び頁岩からのビチューメンの回収
歴青質(またはアスファルト質)砂は、原油の半固体形態である粗製ビチューメン、砂、鉱物クレー及び水の混合物である。言い換えれば、水の層で被覆された砂の上にビチューメンの被膜が堆積したものである。ビチューメンの被膜が厚い程、その歴青質砂は良質である。歴青質砂を抽出し、変換した後、ビチューメンが得られるが、これは固体の、または緻密で濃厚で粘性の液体の形態にある炭化水素の混合物である。合成、または非従来型原油の重要な供給源を代表する歴青質砂の鉱床は、特にAlberta、Canada、及びVenezuelaのOrinoco Riverの入り江に見られる。歴青質砂及び頁岩の総埋蔵量は世界中のオイルの総埋蔵量を上回ると推定される。
【0176】
歴青質頁岩及び礫性質石灰石の堆積物も存在する。
【0177】
歴青質砂及び頁岩の処理は、複雑で非常に困難である。従来の処理方法では、ビチューメンを、その無価値な砂−頁岩脈石から分離することは不可能であり、硫黄の存在が、熱処理方法に対する深刻な欠点である。様々な溶剤は、ビチューメンの元になるホスト砂/頁岩の粉砕及びそこからのビチューメンの分離を困難にするので、使用できない。
【0178】
歴青質頁岩及び砂の処理に使用する多目的システムには、砂の様々な構成要素全体を分散させ、砂粒子と歴青質クレーを分離する効果がある。
【0179】
タンク中で放射される電気パルスが歴青質砂を通過し、界面動電による機械的効果(膨脹/収縮)が砂の粒子をビチューメンから分離する。ビチューメン自体は非常に細かい粒子に分解し、周囲媒体中に分散し、従って、砂質または頁岩質のマトリックスから容易に分離することができる。
【0180】
該歴青質砂及び頁岩を機械的波(段階1)及び電磁波(または所望により電気アーク)(段階2)の横断に晒す。この処理により、該歴青質砂及び頁岩を分解し、炭化水素を砂質−頁岩質マトリックスから完全に分離することができる。
【0181】
この方法によりAthabasca (Canada)の歴青質砂に行った試験により、非常に僅かな量のディーゼル油を加えるか、または本方法における一回目の通過の際に回収された残留物を反応器に二回目に通過させることにより、炭化水素及び砂の分離を90%及び98%に到達させることができた。表6は、多目的方法で様々な処理条件により得た結果をまとめて示す。炭化水素の歴青質砂からの抽出は、反応器中の含水量を下げることにより、改良される。この方法により歴青質砂を処理する際に放出されるガスの分析により、HSが存在せず、痕跡量のメタンが存在することが分かる。
【0182】
長い炭化水素鎖が分断され、液体及び固体物質に属する短鎖(C8〜C40、図7a及び7b)になり、揮発性の物質(ガス)も生じる。
【0183】
使用するエネルギーは、電磁界効果(または所望により電気アーク−直接的効果)(段階2)では50ジュール〜1000ジュールであり、衝撃波効果(間接的効果) (段階1)の場合には1000ジュール〜50000ジュールである。
【0184】
操作周波数(パルス繰り返し周波数)は、段階1では0.5Hz〜2Hzであり、段階2では1Hz〜20Hzである。
【0185】
放電の平均持続時間は、電磁界効果(または所望により電気アーク−直接的効果)では40〜60μsであるのに対し、衝撃波効果(間接的効果)では200〜800μsである。
【0186】
二つの連続する放電間のダウン時間は段階1では200ms、段階2では10msのオーダーにある。
【0187】
界面動電及び化学的効果
パルスの際の、材料の非常に高い充電エネルギー及び周囲媒体の特別な状態(伝導相と抵抗相との間の移行、高エネルギー媒体との接触における遊離OH-及びH+イオンの発生、長い炭化水素分子(C300〜C400)における外側原子層の励起)が、これらの長い分子内の「弱い」結合を破壊し、これらの分子を直鎖状、分岐鎖状または短鎖(C8〜C12、図7a、C20〜C40、図7b)のアルカンに変換する。
【0188】
従って、この処理には、二重の利点、すなわち
−一方で、通常得られる粒子径未満の粒子径にある頁岩及び歴青質砂の分割できない構成成分の分解及び放出を増大させ、これによって時間及びエネルギーを大幅に節約すること、
−他方、界面動電化学処理により、試薬及び他の汚染性処理を行うことなく、ビチューメンのクラッキングを容易に行うこと、及び
−処理した後の歴青質砂を流動化し、パイプ、ダクト、等で循環させることにより、それらの輸送を容易にすること
がある。
【0189】
2.6.重金属及び炭化水素で汚染された土壌及びスラッジ及び廃水スラッジの浄化
本方法は、重金属(ヒ素、鉛、カドミウム、クロム、銅、ニッケル、亜鉛及び水銀)及び炭化水素(C10〜C40、液体及び固体状態、芳香族炭化水素)により汚染された土壌及びスラッジの浄化に使用できる。
【0190】
このためには、重金属及び炭化水素により汚染された土壌及びスラッジを機械的波(段階1)及び電磁界(または所望により電気アーク)の横断(段階2)に晒す。これによって、選択的分解及び分離により、重金属及び炭化水素により汚染された土壌及びスラッジの様々な構成成分を分離することができる。
【0191】
次いで、炭化水素(C10〜C40、液体及び固体状態、芳香族炭化水素)及び重金属(ヒ素、鉛、カドミウム、クロム、銅、ニッケル、亜鉛及び水銀)を回収する。
【0192】
多目的方法は、廃水スラッジの処理にも好適である。試験を様々な種類のスラッジ(再循環及び濃縮された)に行い、その結果(表7参照)は、多目的方法により、懸濁液中の揮発性物質の濃度が下がり、廃水スラッジ中に存在する有機物質の生物分解に好適な可溶性COD(化学的酸素要求量)の濃度が増加することを示している。
【0193】
NH4及びオルトホスフェートP04-Pの濃度増加も観察され、これは廃水スラッジの処理を立証している。
【0194】
有機物質は、300放電による処理で10%、600放電による処理で20%低下する。
【0195】
この多目的方法により、該廃水スラッジ中に存在する窒素を放出させ、リン酸を形成し(水中に存在)、細菌を排除することができる。
【0196】
多目的方法により処理した後、廃水スラッジのデカンテーションにより、速度が増加する。
【0197】
使用するエネルギーは、電磁界効果(または所望により電気アーク−直接的効果)(段階2)では50ジュール〜1000ジュールであり、衝撃波効果(間接的効果) (段階1)の場合には1000ジュール〜50000ジュールである。
【0198】
操作周波数(パルス繰り返し周波数)は、段階1では0.5Hz〜2Hzで変化させ、段階2では1Hz〜20Hzで変化させる。
【0199】
二つの連続する放電間のダウン時間は段階2では10ms、段階1では300msのオーダーにある。
【0200】
放電の平均持続時間は、電磁界効果(または所望により電気アーク−直接的効果)では40〜60μsであるのに対し、衝撃波効果(間接的効果)では200〜800μsである。
2.7.核燃料棒中のウラニフェラス成分の再使用
【0201】
考えられるもう一つの用途は、核燃料棒中のウラニフェラス成分の再使用である。核燃料棒を構成するセラミック成分の弱体化及び分解は、製品を機械的波(段階1)及び電磁界(または所望により電気アーク)の横断(段階2)に晒した後に起こる。段階2における反応器の3つの電極の一つを、照射された棒で置き換えることができる。円筒形チャンバーの形状にある反応器は、多点電極で処理すべき照射された棒に適合しており、その際、各点またはピン(図4及び5)を照射された棒で置き換えることにより、粒子が液体媒体中に分散し易くなり、生成物の重力選別を行うことができる。多点電極により、非常に多数の照射された棒を多目的方法により同時に処理することができる。
【0202】
使用するエネルギーは、電磁界効果(または所望により電気アーク−直接的効果)(段階2)では500ジュール〜1000ジュールであり、衝撃波効果(間接的効果) (段階1)の場合には5000ジュール〜10000ジュールである。
【0203】
操作周波数(パルス繰り返し周波数)は、段階1では0.5Hz〜2Hzで変化させ、段階2では1Hz〜20Hzで変化させる。
【0204】
二つの連続する放電間のダウン時間は1ms〜1sである。
【0205】
放電の平均持続時間は、電磁界効果(または所望により電気アーク−直接的効果)では40〜60μsであるのに対し、衝撃波効果(間接的効果)では200〜800μsである。
【0206】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一工程で、周囲液体ならびに再使用すべき材料及び/または製品を受け入れる反応器中にある少なくとも2つの電極間に一連の放電を発生させ、前記一連の放電が、前記放電のエネルギー、周波数の結果、ならびに前記電極間の電圧及び切換時間により、前記反応器中で処理すべき前記材料及び/または製品全体にわたって伝搬する機械的衝撃波を生じさせて、前記処理すべき材料及び/または製品の弱体化を行う、材料及び/または製品をパルス状電力により再使用するための方法であって、第二工程で、放電が電磁界効果により前記材料の選択的分解を行うように放電のエネルギー、放電を発生する電極間の電圧、切換時間及び放電周波数が選択された一連の放電に前記製品及び/または材料を晒す、方法。
【請求項2】
前記第二工程の際、前記一連の放電の前記エネルギー、前記電極間の前記電圧、前記切換時間及び前記放電周波数は、前記放電が電気アーク効果により前記材料及び/または製品の選択的分解を行うように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記材料及び/または製品の乾燥及び弱体化が、マイクロ波の発生による熱誘導により行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記乾燥工程が、前記電磁界効果による選択的分解工程の最後に行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記乾燥工程が、前記材料または製品の弱体化工程であり、前記電磁界効果による前記選択的分解工程の前に行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記機械的衝撃波を発生する一連の放電のエネルギーが、600ジュール〜50000ジュールである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記機械的衝撃波を発生する一連の放電の操作周波数が、0.5Hz〜80Hz である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記電磁界効果により前記材料を選択的に分解する一連の放電の前記エネルギーが、50ジュール〜1000ジュールである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記電磁界効果により前記材料を選択的に分解する一連の放電の前記操作周波数が、段階2では1Hz〜20Hz である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記マイクロ波に関連する前記反応器中で発生する前記電磁界の前記周波数が2GHz〜3GHzで変化する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
UV放射線に関連する前記反応器中で発生する前記電磁界の前記周波数が800THz〜10PHzである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
2つの連続的する放電間のダウン時間が1ms〜1sである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記衝撃波を発生する一連の放電の切換時間が500nsを超える、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
電磁効果により材料を選択的に分解させる一連の放電の切換時間が500ns未満である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
周囲液体ならびに再使用すべき材料及び/または製品を受け入れる少なくとも一つの反応器、ならびに少なくとも2つの電極及び前記電極間に一連の放電を発生する指令を行うことができる供給手段を備え、前記供給手段及び前記供給手段の指令が、前記放電のエネルギー、周波数、ならびに前記電極間の電圧及び切換時間を調節することができ、前記一連の放電が前記反応器中で処理すべき前記材料及び/または製品全体にわたって伝搬する機械的衝撃波を発生する、パルス状電力により材料及び/または製品を再使用するためのシステムであって、前記システムが、少なくとも2段階の反応器を備え、一つの反応器が、前記放電により発生した機械的衝撃波により前記材料及び/または製品を弱体化するための反応器であり、少なくとも一つの他の反応器が、電磁界効果により前記材料及び/または製品を選択的に分解するための反応器である、システム。
【請求項16】
高周波数の電磁界効果により前記材料及び/または製品を選択的に分解する段階の反応器が、電気アーク効果により前記材料及び/または製品の選択的分解を行うものである、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記電磁界効果により前記材料及び/または製品を選択的に分解する段階の反応器が、1N/cmを超える剛性を有するエラストマー製の球を備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
少なくとも一つの反応器が、前記材料及び/または製品を乾燥させるためのマイクロ波を発生するモジュールを備える、請求項15〜17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
反応器が、少なくとも一対の、点/点形状または点/平面形状の電極を備える、請求項15〜18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
反応器が、多面体または球形底部を有する円筒形状を有する、請求項15〜19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記材料及び/または製品が、下記のリスト、すなわち
−鉱石及び/または鉱物、
−廃棄された電気及び電子装置、
−ダイヤモンド粉末、
−歴青質砂及び頁岩、
−重金属、例えばヒ素、鉛、カドミウム、クロム、銅、ニッケル、亜鉛、水銀、及び炭化水素、例えば芳香族炭化水素、C10〜C40型の液体及び固体状態にある炭化水素、により汚染された土壌及びスラッジ、
−ガラス、プラスチック及び樹脂、例えばアクリロブタジエンスチレン、から製造されたフィルム、及び炭素繊維を含んでなる複合材料の層から構成された複合材料、
−強化ガラス、重合体、ケイ素、アルミニウム及びTedlar(ポリフッ化ビニル)から構成された光起電力パネル、
−ガラス及び金属、例えばインジウム、スズ、金、から構成された液晶スクリーン
から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記材料及び/または製品が、下記のリスト、すなわち
−鉱石及び/または鉱物、
−廃棄された電気及び電子装置、
−ダイヤモンド粉末、
−歴青質砂及び頁岩、
−重金属、例えばヒ素、鉛、カドミウム、クロム、銅、ニッケル、亜鉛及び水銀、及び炭化水素、例えば芳香族炭化水素、C10〜C40型の液体及び固体状態にある炭化水素、により汚染された土壌及びスラッジ、
−ガラス、プラスチック及び樹脂、例えばアクリロブタジエンスチレン、から製造されたフィルム、及び炭素繊維を含む複合材料の層から構成された複合材料、
−強化ガラス、重合体、ケイ素、アルミニウム及びTedlar(ポリフッ化ビニル)から構成された光起電力パネル、
−ガラス及び金属、例えばインジウム、スズ、金、から構成された液晶スクリーン
から選択される、請求項15に記載のシステム。
【請求項23】
前記材料及び/または製品がダイヤモンド粉末である請求項15に記載の材料及び/または製品を再使用するためのシステムであって、前記反応器の内側に、ダイヤモンド粒子と前記陰極の接触を防止または制限し、不純物の処理を低減することができる水ジェット装置を備える、システム。
【請求項24】
前記材料及び/または製品がダイヤモンド粉末である請求項15に記載の材料及び/または製品を再使用するためのシステムであって、前記電極の前記陰極が、磁界により不純物の分離処理を可能にする強磁性を有する、システム。
【請求項25】
前記材料及び/または製品が、ヒ素、鉛、カドミウム、クロム、銅、ニッケル、亜鉛、水銀のような重金属、及び芳香族炭化水素、C10〜C40型の液体及び固体状態にある炭化水素のような炭化水素により汚染された土壌及びスラッジである、請求項15に記載の材料及び/または製品を再使用するためのシステムであって、前記重金属及び炭化水素により汚染された前記土壌及びスラッジをその場で処理することができる可動エネルギー貯蔵モジュールと関連付けられた一連の電極を備え、前記汚染された材料のその場における処理、及びヒ素、鉛、カドミウム、クロム、銅、ニッケル、亜鉛、水銀、炭化水素C10〜C40型及び芳香族炭化水素のような汚染物の抽出および回収からなる、システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2012−517891(P2012−517891A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549568(P2011−549568)
【出願日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051750
【国際公開番号】WO2010/092134
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(511197947)
【氏名又は名称原語表記】CAMILLE COMPAGNIE D’ASSISTANCE MINIERE ET INDUSTRIELLE
【Fターム(参考)】