説明

パルス通電加圧焼結用のダイセット及びパルス通電加圧焼結システム

【課題】高速で連続的に行える通電加圧焼結システムを提供する。
【解決手段】焼結すべき粉末材料に所望の加圧力及び所望の直流パルス電流を付与して焼結し、焼結体とするパルス通電加圧焼結機用のダイセットである。ダイセット3は、第1の位置と前記第1の位置から隔てた第2の位置との間で移動可能な可動台30と、前記可動台に対して電気的に絶縁して上下方向に移動可能に配置されかつ上下に貫通する穴を有する焼結型33と、前記可動台に対して略垂直に固定されていて前記焼結型の移動を案内する案内部材31と、前記焼結型の穴に移動可能に配置された下パンチ部材34と、前記案内部材に案内されて可動台に関して移動可能に配置されてた支持部材32と、前記支持部材に電気的に絶縁して取り付けられていて、前記焼結型の穴内に挿入可能になっている上パンチ部材と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はパルス通電加圧焼結機用のダイセット及びそのようなダイセットと焼結機の組合せ並びにパルス通電加圧焼結システムに関し、詳しくは、焼結型内への粉末の充填位置と通電加圧焼結機による粉末材料の焼結位置との間で往復動作させることにより、自動的かつ連続的に、しかも高速で製造するのに適したパルス通電加圧焼結機用のダイセット、ダイセットとパルス通電加圧焼結機との組合せ並びにパルス通電加圧焼結システムに関する。
【0002】
【従来技術】
例えば本出願人により提案された放電プラズマ焼結、放電焼結或いはプラズマ活性化焼結を含む、パルス電流を利用して焼結を行うパルス通電加圧焼結法により焼結時間を大幅に短縮する事が可能になってきた。このため、1回の焼結に必要な時間すなわち昇温時間、保持時間及び降温時間を含む全工程焼結時間が、従来の大気圧下、真空下、或いは不活性ガス雰囲気下で行われる通電焼結法に比較して遙かに短くなり、焼結型への粉体の充填、焼結装置内への焼結型の供給或いはそこからの焼結型の取り出し、更には焼結型からの焼結品の抜き取り等の付属の準備作業に必要な作業時間に比較しても従来よりも遙かに短くなってきた(刊行物1及び2参照)。
このため、パルス通電加圧焼結法により金属及び/又は非金属の、単一又は複合粉末材料を焼結して緻密で高密度の焼結体或いは多孔質の焼結体を製造する工程も短時間になり、このような焼結体をつくる工程の自動化を図る意義及びそれによる利点も増大してきた。
【0003】
しかしながら、常圧焼結法、ホットプレス法或いはHIP法のような今までの通電焼結法では全行程焼結時間としては1時間以上一昼夜の時間を要していたので、焼結の自動化によりかかる焼結体を自動的に量産するという技術は十分に開発されておらず、本出願人を含む共同出願人による出願に係る下記公開特許公報(特許文献1参照)に示される発明によりアルミニュウム合金粉末を焼結して焼結体を自動的かつ連続的に、高速で製造することが可能になったが、アルミニュウム以外の材料の粉末材料の焼結にも適用可能で、装置の構造及び動作の簡素化及び生産の効率化を図れる焼結システムについてはまだ市場では提供されておらず、そのような焼結システムの開発が要望されている。
【0004】
【刊行物1】カタログ「住石放電プラズマ焼結機”DR.SINTER”MODEL SPS−3.20MK−II/MK−IV」(カタログNo.S025−00020211A
【刊行物2】カタログ「住石放電プラズマ焼結機”DR.SINTER”MODEL SPS−1020・1030・1050・1080」(カタログNo.S024−00020211A
【特許文献1】特開2001−329302号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の主目的は、自動的にかつ高速で連続的に、しかも効率良く粉末材料を焼結するのに適した、パルス通電加圧焼結機用のダイセットを提供することである。
本発明の他の目的は、粉末材料の焼結を自動的にかつ高速で連続的に、しかも効率良くできるようにしたパルス通電加圧焼結機とダイセットの組合せを提供することである。
本発明の別の目的は、前記のようなダイセットを備えていて、粉末材料の焼結体を自動的にかつ高速で連続的に、しかも効率良く製造可能な通電加圧焼結システムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願の発明は、焼結すべき粉末材料に所望の加圧力及び所望の直流パルス電流を付与して焼結し、焼結体とするパルス通電加圧焼結機用のダイセットにおいて、第1の位置と前記第1の位置から隔てた第2の位置との間で移動可能な可動台と、前記可動台に対して電気的に絶縁して上下方向に移動可能に配置されかつ上下に貫通する穴を有する焼結型と、前記可動台に対して略垂直に固定されていて前記焼結型の移動を案内する案内部材と、前記焼結型の穴に移動可能に配置された下パンチ部材と、前記案内部材に案内されて可動台に関して移動可能に配置されてた支持部材と、前記支持部材に電気的に絶縁して取り付けられていて、前記焼結型の穴内に挿入可能になっている上パンチ部材と、を備えて構成されている。
本願の他の発明は、互いに相対移動可能な上部及び下部通電加圧部材を有していて、焼結すべき粉末材料に所望の加圧力及び所望の直流パルス電流を前記通電加圧部材を介して付与して焼結し、焼結体とするパルス通電加圧焼結機用のダイセットにおいて、前記焼結位置に配置された台と、前記台に対して電気的に絶縁して上下方向に移動可能に配置されかつ上下に貫通する穴を有する焼結型と、前記台に対して略垂直に固定されていて前記焼結型の移動を案内する案内部材と、前記焼結型の穴に移動可能に配置された下パンチ部材と、前記案内部材に案内されて台に関して移動可能に配置されてた支持部材と、前記支持部材に電気的に絶縁して取り付けられていて、前記焼結型の穴内に挿入可能になっている上パンチ部材と、を備え、焼結完了後の焼結体を前記パルス通電加圧焼結機の下部通電加圧部材により前記下パンチを前記焼結型に関して押し上げて前記焼結型の外に出すように構成されている。
本発明の発明によるダイセットによれば、上、下パンチと焼結型との位置決めを焼結位置で正確に行うことがで、焼結型内へのパンチの挿入を行っても焼結型の破損を発生させることがなく、パルス通電加圧焼結機に使用した場合、焼結を早いサイクルタイムで動作可能であり、生産効率を向上でき、また、再現性の向上及び信頼性の向上を図ることがで、更に高速で精密な焼結を行うことを可能にできる。
本願の別の発明は、焼結すべき粉末材料に所望の加圧力及び所望の直流パルス電流を付与して焼結し、焼結体とするパルス通電加圧焼結機と、前記粉末材料が入れられる焼結型を有するダイセットとの組合せにおいて、前記パルス通電加圧焼結機が、少なくとも一方が他方に関して相対的に上下運動可能な上部、下部一対の通電加圧部材と、前記通電加圧部材に接続されて所望のパルス電流を前記通電加圧部材に供給する電源装置と、前記少なくとも一方の通電加圧部材を上下動させる加圧装置とを備え、前記ダイセットが、第1の位置と前記第1の位置から隔てた第2の位置との間で移動可能な可動台と、前記可動台に対して電気的に絶縁して上下方向に移動可能に配置されかつ上下に貫通する穴を有する焼結型と、前記可動台に対して略垂直に固定されていて前記焼結型の移動を案内する案内部材と、前記焼結型の穴に移動可能に配置された下パンチ部材と、前記案内部材に案内されて可動台に関して移動可能に配置されてた支持部材と、前記支持部材に電気的に絶縁して取り付けられていて、前記焼結型の穴内に挿入可能になっている上パンチ部材とを備えて構成されている。
本願の更に別の発明は、焼結すべき粉末材料に所望の加圧力及び所望の直流パルス電流を付与して焼結し、焼結体とするパルス通電加圧焼結機と、前記粉末材料が入れられる焼結型を有するダイセットとの組合せにおいて、前記パルス通電加圧焼結機が、少なくとも一方が他方に関して相対的に上下運動可能な上部、下部一対の通電加圧部材と、前記通電加圧部材に接続されて所望のパルス電流を前記通電加圧部材に供給する電源装置と、前記少なくとも一方の通電加圧部材を上下動させる加圧装置とを備え、前記ダイセットが、前記焼結位置に配置された台と、前記台に対して電気的に絶縁して上下方向に移動可能に配置されかつ上下に貫通する穴を有する焼結型と、前記台に対して略垂直に固定されていて前記焼結型の移動を案内する案内部材と、前記焼結型の穴に移動可能に配置された下パンチ部材と、前記案内部材に案内されて台に関して移動可能に配置されてた支持部材と、前記支持部材に電気的に絶縁して取り付けられていて、前記焼結型の穴内に挿入可能になっている上パンチ部材と、を備え、焼結完了後の焼結体を前記パルス通電加圧焼結機の下部通電加圧部材により前記下パンチを前記焼結型に関して押し上げて前記焼結型の外に出すように構成されている。
上記本願の発明によるはダイセットとパルス通電加圧焼結機との組合せによれば、ダイセットを使用することにより、上、下パンチと焼結型との位置決めを焼結位置で正確に行うことがで、焼結型内へのパンチの挿入を行っても焼結型の破損を発生させることがなく、パルス通電加圧焼結機による焼結を早いサイクルタイムで動作可能であり、生産効率を向上でき、また、再現性の向上及び信頼性の向上を図ることがで、更に高速で精密な焼結を行うことを可能にできる。
【0007】
本願の別の発明は、焼結すべき粉末材料に所望の加圧力及び所望の直流パルス電流を付与して焼結し、焼結体とするパルス通電加圧焼結システムにおいて、少なくとも一方が他方に関して相対的に上下運動可能な上部、下部一対の通電加圧部材、前記通電加圧部材に接続されて所望のパルス電流を前記通電加圧部材に供給する電源装置及び前記少なくとも一方の通電加圧部材を上下動させる加圧装置を備えたパルス通電加圧焼結機と、前記粉末材料が充填される焼結型を有していて、前記焼結機による焼結位置となる第1の位置と前記第1の位置から所望の距離隔てられた第2の位置との区間で直線往復移動可能な少なくとも1台のダイセットと、前記ダイセットが前記第2の位置にあるとき前記焼結型内に粉末材料を充填できる充填装置及び焼結体を取り出し可能な取り出し装置とを備え、前記ダイセットが、第1の位置と前記第1の位置から隔てた第2の位置との間で移動可能な可動台と、前記可動台に対して電気的に絶縁して上下方向に移動可能に配置されかつ上下に貫通する穴を有する焼結型と、前記可動台に対して略垂直に固定されていて前記焼結型の移動を案内する案内部材と、前記焼結型の穴に移動可能に配置された下パンチ部材と、前記案内部材に案内されて可動台に関して移動可能に配置されてた支持部材と、前記支持部材に電気的に絶縁して取り付けられていて、前記焼結型の穴内に挿入可能になっている上パンチ部材と、を備えて構成されている。
本願の更に別の発明は、焼結すべき粉末材料に所望の加圧力及び所望の直流パルス電流を付与して焼結し、焼結体とするパルス通電加圧焼結システムにおいて、少なくとも一方が他方に関して相対的に上下運動可能な上部、下部一対の通電加圧部材、前記通電加圧部材に接続されて所望のパルス電流を前記通電加圧部材に供給する電源装置及び前記少なくとも一方の通電加圧部材を上下動させる加圧装置を備えたパルス通電加圧焼結機と、前記粉末材料が充填される焼結型を有していて、前記焼結機による焼結位置において焼結型と上下パンチ部材との相対移動により焼結型内への粉末材料の充填と焼結体の除去を前記焼結位置で可能にするダイセットと、前記ダイセットの前記焼結型内に粉末材料を充填できる充填装置とを備え、前記ダイセットが、前記焼結位置に配置された台と、前記台に対して電気的に絶縁して上下方向に移動可能に配置されかつ上下に貫通する穴を有する焼結型と、前記台に対して略垂直に固定されていて前記焼結型の移動を案内する案内部材と、前記焼結型の穴に移動可能に配置された下パンチ部材と、前記案内部材に案内されて台に関して移動可能に配置されてた支持部材と、前記支持部材に電気的に絶縁して取り付けられていて、前記焼結型の穴内に挿入可能になっている上パンチ部材と、を備え、焼結完了後の焼結体を前記下部通電加圧部材により前記下パンチを前記焼結型に関して押し上げて前記焼結型の外に出すように構成されている。
上記本願の発明によるはダイセットとパルス通電加圧焼結機との組合せによれば、ダイセットを使用することにより、上、下パンチと焼結型との位置決めを焼結位置で正確に行うことがで、焼結型内へのパンチの挿入を行っても焼結型の破損を発生させることがなく、パルス通電加圧焼結システムによる焼結を早いサイクルタイムで動作可能であり、生産効率を向上でき、また、再現性の向上及び信頼性の向上を図ることがで、更に高速で精密な焼結を行うことを可能にできる。
【0008】
【実施例】
以下図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1及び図2において、本実施形態によるダイセットを備えるパルス通電加圧焼結システム1の全体が概略的に示されている。このパルス通電加圧焼結システム(以下単に焼結システム)1は、大きく分けて、放電プラズマ焼結、放電焼結或いはプラズマ活性化焼結を含む、パルス電流を利用して焼結を行うパルス通電加圧焼結機(以下単に焼結機)2と、焼結機2の中心位置すなわち焼結位置Aのを通して水平方向(図1で左右両側)に所定の距離直線状に伸びる支持装置10と、その支持装置10上に移動可能に配置されたダイセット3と、ダイセットを支持装置3上で往復移動させる駆動機構4と、焼結位置から所定の距離L1隔てられた充填/取り出し位置Bから更に焼結位置側に所望の距離L2隔てられた位置に配置されていてガイドレールの伸長方向すなわち中心線X−Xに沿う方向に略直角の方向に移動する台車装置5と、台車装置5上に配置されていて焼結型内に粉末材料を充填する粉末充填装置6と、一部(取り出し機構)が台車装置5上に配置された製品取り出し装置7とを備え、それらは、図1及び図2に示されるように配置されている。なお、焼結機の反対側(図1で右側)にも前記ダイセット、駆動機構、台車装置、粉末充填装置、製品取り出し装置等を配置して2台のダイセットを用いて焼結を行うようにしてもよい。
【0009】
図1及び図2において、支持装置10は長方形に組み立てられたフレーム11と、そのフレーム上に固定された一対のガイドレール12とを備えている。ガイドレール12は線X−Xに沿う方向に伸びている。
図2及び図3において、焼結機2は、台20に互いに隔ててかつ直立状態で固定された複数(この実施例では4個)の支柱21と、台20の上部において支柱21に上下動可能に案内された可動テーブル22と、焼結機の中心位置(図3で線A−A上)において可動テーブル22に固定された下部通電加圧部材23と、支柱21の上端に固定された上支持板24と、上支持板24に下部通電加圧部材23に対向して配置固定された上部通電加圧部材25と、台20の中心部に設けられていて可動テーブル22を上下動させるアクチュエータ26とを備えている。下部通電加圧部材23は可動テーブル22の上方に向かって所望の長さ突出しており、上部通電加圧部材25は上支持板24から下方に向かって所望の長さ突出している。下及び上部通電加圧部材には、図示しないが中には冷却通路が形成され、その冷却通路に水等の冷却流体を通してそれらの通電加圧部材を冷却するようにしている。両通電加圧部材は、例えばステンレス鋼で作られている。下部通電加圧部材23は公知の方法で可動テーブル22及びアクチュエータ26に対して電気的に絶縁され、また上部通電加圧部材25は上支持板24に対して公知の方法で電気的に絶縁されている。下部及び上部通電加圧部材23及び25は、それぞれ別個の導体27(27a、27b)を介して電源装置28に接続され、その電源装置から焼結電流である直流パルス電流が供給されるようになっている。アクチュエータは油圧シリンダのような流体圧シリンダで良いが、サーボモータ駆動装置のような他の装置でもよい。
上記焼結機は、後述する構成を有するダイセット3が焼結位置に到着すると、アクチュエータ26が動作してダイセット3の後述する下パンチ部材及び上パンチ部材を上部通電加圧部材25との間で挟んで加圧し、電源装置28より両通電加圧部材、下及び上パンチ部材並びに焼結型を介して焼結型内に充填された粉末材料に所望の量の焼結電流(直流パルス電流)を流し、粉末材料を焼結する。
【0010】
焼結機2は、更に、焼結を行う空間で真空又は不活性ガス雰囲気のチャンバを画成するハウジング29を備えている。ハウジング29は、4本の支柱21によって画成される領域の内側において四周を囲む側壁291と、側壁291によっての下縁に密閉状態で接続された底壁292と、側壁291の上縁に密閉状態で接続された上壁293とをそなえ、それらの壁によって焼結チャンバSCを画成している。底壁292は台30の複数(この例では4個)の直立フレーム201によって支持されている。下部通電加圧部材23は底壁292に形成された穴を貫通して焼結チャンバ内にハウジング29の下側から上側に伸びている。底壁には下部通電加圧部材と底壁との間の隙間を密閉する公知の構造のシール装置が設けられている。また、上部通電加圧部材25は上壁293に形成された穴を貫通して焼結チャンバ内に伸びている。上壁には上部通電加圧部材と上壁との間の隙間を密閉する公知の構造のシール装置が設けられている。側壁の一側面(図1において左側の側面)にはダイセット3が焼結チャンバSC内に出入りできる大きさの出入り口294が形成され、その出入り口が形成さえた側には公知の構造のゲート弁(図示せず)が配置されている。ゲート弁はダイセットが焼結チャンバ内に出入りするとき(必要に応じて焼結チャンバの外に出ているとき)出入り口294を閉じて焼結チャンバ内を周囲から密閉するようになっている。焼結チャンバ内は、公知の構造及び機能を有する真空排気装置及び(又は)不活性ガス供給装置(何れも図示せず)に公知の方法で接続され、真空チャンバ内を真空雰囲気又は不活性ガス雰囲気にできるようになっている。側壁、底壁及び上壁は二重構造にして内部に水等の冷却流体を循環させ、ハウジングを冷却するようにしてもよい。
【0011】
図1、図4及び図5において、ダイセット3は、板状(本実施形態では平面が矩形の板状)の可動台30と、可動台30に直立状態で取り付けられた複数(本実施形態では直径方向に隔てて2本)の案内部材としてのガイドロッド31と、可動台30の上方に配置されていてガイドロッド31に上下方向に移動可能に案内された板状(本実施形態では平面が矩形の板状)の昇降台としての支持部材32と、可動台30と支持部材32との間に配置されていて、ガイドロッド31に上下方向に移動可能に案内された焼結型33と、焼結型33の上下方向に貫通する穴331内に装着された下パンチ部材34と、支持部材32に焼結型33の穴331と整合させて取り付けられた上パンチ部材35とを備えている。焼結型33は本実施形態では円環状になっていて、外周部にフランジ部332が形成されている。フランジ部332には複数(この実施形態では直径方向反対側の2箇所)の上下に貫通する貫通穴333が形成され、その貫通穴333内にガイドロッド31が受けられている。ガイドロッドと貫通穴333の内周面との間には絶縁部材が配置され、それらを電気的に絶縁している。焼結型33の下部(フランジ部332より下側部分)は可動台30に形成された穴301内に緩く受けられ、焼結型の外周面と可動台の穴301の内周面との間に隙間gが形成されるようになっている。焼結型33はフランジ部332が可動台30上に載るようになっている。焼結型33と可動台30のと間で電気的に絶縁するために、フランジ部332の下面と可動台の上面との間(フランジ部の下面又は(及び)可動台33の上面のフランジ部が載置される部分)には絶縁部材が配置されている。可動台30の穴301の内周面に絶縁部材を配置してもよい。焼結型の貫通穴331の下部内周面には半径方向内側に突出する環状の突部334が形成されている。この突部334は、下パンチ部材34の上端外周に形成された環状突部341と係合して下パンチ部材が貫通穴から抜け落ちるのを防止している。上パンチ部材35と昇降台すなわち支持部材32とは絶縁部材を介して公知の方法、例えば上パンチ部材と支持部材との接触面間及び固定用の止め具と上パンチとの接触面間に絶縁部材を配置する等して、電気的に絶縁されている。上記の絶縁部材としては焼結型が高温に加熱されるため、非導電性のセラミック、或いは冷却構造を有する金属板と樹脂製絶縁材料との組合せ等の高温に耐える材料を使用する。
【0012】
ダイセット3は、更に、昇降台すなわち支持部材32を上下動させるアクチュエータ36及び焼結型33を上下動させるアクチュエータ37がそれぞれ複数個(本実施形態ではそれぞれ4個)備え、それらは、図3に示されるように可動台30の下面に取りつけられている。アクチュエータ36は本実施形態ではエアシリンダのような流体圧シリンダであり、そのシリンダ本体361が可動台に直立した状態で公知の方法で固定され、そのピストンロッド362の先端(図3において上端)は支持部材32に固定されている。アクチュエータ37も本実施形態ではエアシリンダのような流体圧シリンダであり、そのシリンダ本体371が可動台30に直立した状態でかつ前述の絶縁部材と同様の絶縁部材により可動台と電気的に絶縁して公知の方法で固定され、そのピストンロッド372の先端(図4において上端)は焼結型33のフランジ部332に固定されている。焼結型33、下パンチ部材34及び上パンチ部材35はアルミニュウム合金粉末のように低い融点を有する金属或いは軽金属の粉末材料を焼結する場合には、例えばダイス鋼などの鉄系の合金で作られ得るが、例えばタングステン合金粉末材料のような高い融点を有する材料を焼結する場合には、グラファイト或いは導電性を有するセラミックス(例えば二硼化チタン(TiB)、シリコンカーバイド(SiC))で作っても良い。上パンチ部材35の下端部は支持部材32の下面から下方に向かって突出し、焼結型33の穴331内にぴったりと入り得る寸法になっている。下パンチ部材34の下端面は可動台30の下面より下方に突出していて、後述するように、焼結機2の下部通電加圧部材23の上端面と接触できるようになっている。また、上パンチ部材35の上端面は支持部材32の上面より上方に突出していて焼結機の上部通電加圧部材25の下端面と接触可能になっている。なお、下部及び上部通電加圧部材内には、図示しないが、冷却流体を流す冷却通路が形成され、冷却可能になっている。
【0013】
図1において、駆動機構4は、台車装置5の固定台50上に設けられたブラケット40に回動可能に取りつけられた流体圧シリンダ41で構成されている。流体圧シリンダ41のシリンダ本体411の略中央部がブラケット40回動可能に取りつけられ。ピストンロッド412の先端はダイセット3のベースプレート30の下部分301に取りつけられた接続部材43に連結されている。
ダイセット3は、この流体圧シリンダ41の動作により、その中心がガイドレール上を焼結位置Aと充填/取り出し位置Bとの間で往復移動されるようになっている。
なお、上記実施例ではダイセットのガイドロッドが2本の場合について説明したが、4本でもよい。また第1及び第2のアクチュエータも4個の場合について説明したが、ダイセットの大きさ、形状に応じて1個ないし3個にしてもよい。
【0014】
図1、図2、及び図6において、台車装置5は、中心が充填/取り出し位置B(図1に図示以下同じ)から焼結位置Aとは反対側に距離L2隔てられた位置Cに配置されいて、固定台50と、固定台50上で線X−Xに直角の方向(線Y−Yに沿った方向)に往復移動可能に設けられた可動台51と、可動台51を移動させる台車駆動機構52とを備えている。
固定台50は、台板501と、台板501に複数(この実施形態では4個)の支柱502により取りつけられた台フレーム503と、台フレーム503に取りつけられていて、線Y−Y方向に伸びる一対のガイドレール504とを備えている。可動台51は矩形の台板511で構成されていて、その下面にはガイドレール504上で転動するローラ(図示せず)が公知の方法で取りつけられている。これにより可動台51は固定台のガイドレールを移動可能になっている。台車駆動機構52は、台フレーム503の中心位置に一対の軸受521により回転可能に支持されたねじ軸522と、台フレームに固定されていてねじ軸522を回転する電動サーボモータ523と、可動台の下面に取りつけられていて、ねじ軸522の外周に形成された雄ねじと螺合する雌ねじが形成された雌ねじ部材(図示せず)とを備えている。
可動台51は、台車駆動機構のねじ軸522が電動サーボモータ523により正方向及び逆方向に回転されることにより、ガイドレール上で正方向(図6で上方向)及び逆方向(図6で下方向)に移動する。可動台51は常時は、図6及び図7に示されるように、台フレーム503の基端位置(同図において台車駆動機構のサーボモータ523から最も離れた位置)にある。
なお、可動台51の上に載るものが後述する粉末充填装置のみの場合には、上記のような可動の構造にせず、固定の構造でも良い。
【0015】
図1、図2、図6及び図7において、粉末充填装置6はこの実施形態では可動台51上に取りつけられて示されている。
粉末充填装置6は、可動台51上の位置E(図6において可動台51の上端)に線X−Xと平行に固定された長い取り付け台の上のガイドレール61に公知の方法で線X−Xと平行な方向(図6において左右方向)に往復移動可能に支持されたスライダ62と、スライダ62を移動させるアクチュエータ63と、スライダ62の先端(図1及び図6で右端)に取りつけられていて中で粉末材料を収容可能になっており、下端部から所定量の粉末材料を焼結型本体内に放出できる小型の可動ホッパ64と、可動ホッパ64の開閉弁(図示せず)を開閉動作させるアクチュエータ65とを備えている。アクチュエータ63及び65は、この実施形態ではエアシリンダのような流体圧シリンダであるが、電動モータ式などの他の機構を用いてもよい。可動ホッパ及び開閉弁は公知の構造のもので良いので説明は省略する。なお、焼結すべき粉末材料がアルミニュウム合金粉末の場合には可動ホッパ自体にヒーターを内蔵させて可動ホッパ内に入れられた粉末材料を昇温及び保温しておくようにしてもよい。また、粉末材料の充填時に所定量を充填するためには、粉末材料を所定量が入る計量容器内に一端入れた後その計量容器内の粉末材料を焼結型内に充填しても、或いは計量器で計量しながら充填してもよい。粉末材料をは可動台51が基端位置にある時、可動ホッパ64の中心が線X−X上に位置するようになっている。粉末充填装置6は、更に、可動ホッパが休止位置にある時にその可動ホッパ内に粉末材料を供給する固定の供給ホッパ67を備えていてもよい。粉末材料がアルミニュウム合金等で所定の温度に保温する必要がある場合にはこの供給ホッパにもヒーターを設けて保温してもよい。
上記粉末充填装置6は、ダイセット3が充填/取り出し位置Bに停止していてダイセットが粉末材料の充填工程にあるとき、スライダ62がアクチュエータ63の動作により図1において左側に移動されることによって、図7に示されるように、可動ホッパ64が充填/取り出し位置Bに到着している焼結型34の直上に移動し、アクチュエータ65が動作して開閉弁(図示せず)を開いて所定量の粉末材料を焼結型33の穴331内に充填する。
なお、可動台51上には、粉末充填装置と並列に、焼結型の穴内を回転するブラシ等で清掃(ブラッシング)する焼結型清掃装置及び上パンチ部材の下端面をブラシ等で清掃(ブラッシング)する清掃装置を配置してもよい。
【0016】
製品取り出し装置7は、この実施例では、可動台50上に粉末充填装置6に隣接して配置された取り出し機構70と、充填/取り出し位置Bの位置においてダイセット3の下方に配置されたエアシリンダのような流体圧作動式のノックアウトシリンダ78と、を備えている。ノックアウトシリンダ78は焼結が完了した後ダイセットが位置Bにくると動作してピストンロッド781により下パンチ部材34及び焼結品を焼結型に関して相対的に上方に押し上げ、焼結品を焼結型の外に押し出す。取り出し機構70は、粉末充填装置6に隣接して位置F(図7において)配置されていて、粉末充填装置のガイドレール61と平行に取り付け台上に配設されたガイドレール71と、ガイドレール71上に公知の方法で往復移動可能に支持されたスライダ72と、スライダ72を往復移動させるアクチュエータ73と、スライダ72の先端(図6において右端)に取り付けられたチャック74とを備えている。このチャック74は公知の構造及び機能を有していて、一対の把持爪で焼結型の外に押し出された焼結品を把持して取り出すようになっている。
【0017】
次に図1ないし図8を参照して上記実施例の焼結システムの動作について説明する。
焼結型33内に粉末材料を充填するとき、ダイセット3は駆動機構4により中心O−Oが充填/取り出し位置Bに移動され、支持部材32は図8[A]に示されるように、最上位置に押し上げられ、また焼結型33は最下位置にあってフランジ部332が可動台30の上に載った状態になっている。この状態のとき、焼結型の上端面と上パンチ部材35の下端面との間は大きく離れている。この状態で、粉末供給装置6が動作して可動ホッパ64が焼結型33の直上で上パンチ部材32の直下の位置まで移動し、可動ホッパ64から所定量の粉末材料Pを焼結型内に充填する。
焼結型33内への粉末材料の充填が完了すると、アクチュエータ36が動作し、図8[B]に示されるように、昇降台すなわち支持部材32を所定距離降下させ、上パンチ部材35の下端が焼結型33の穴331内に僅かに入った状態で停止する。この状態でダイセット3の高さH(下パンチ部材34の下端面から上パンチ部材35の上端面のまでの高さ)は、待機中の焼結機2の下部通電加圧部材23の上端と上部通電加圧部材25の下端面との間の距離より小さくなり、ダイセット3が焼結機にセット可能になる。そこで、駆動機構4が動作してダイセット3を焼結位置Aに移動する。この時上部パンチ36の上端面は焼結機の上部通電加圧部材25の下端面より僅かに低い位置になる。
【0018】
ダイセット3が焼結位置Aに到着すると、焼結機2が動作し、図8[C]に示されるように、加圧装置26により下部通電加圧部材23を上昇させて下パンチ部材34、粉末材料P及び上パンチ部材35全体を、上パンチ部材の上端面が上部通電加圧部材25の下端面に接するまで上昇させると共に、ダイセット3のアクチュエータ37が動作して焼結型33を図8[C]に示されるように上昇させる。このときアクチュエータ36は無加圧状態で可動状態で動作がフリーになっており、上記上パンチ部材及びそれが取り付けられている支持部材32は下パンチ部材の上昇により押し上げられる。加圧装置すなわちアクチュエータ26が焼結条件に基づいた加圧力で下パンチ部材34を上部通電加圧部材25に向かって押すと、上部パンチの上端面が上部通電加圧部材25の下面に接触して焼結型内の粉末材料を上部パンチと下部パンチとで加圧すると共に両通電加圧部材及び両パンチ部材を介して粉末材料Pに予めプログラムに設定された電流条件範囲内の所定の量の焼結電流(直流パルス電流)を流して焼結を行う。
焼結が完了した後、プログラム設定に従い、アクチュエータ26による加圧を解放停止して下部通電加圧部材23を下降させると共に、ダイセット3のアクチュエータ36及び37を動作させて支持部材32及び上パンチ部材35並びに焼結型を図8[B]に示される状態に移動させる。ダイセット3がこの状態になった後駆動機構4が動作してダイセットを充填/取り出し位置Bに移動させる。
【0019】
ダイセット3が充填/取り出し位置Bに到着すると、まず、アクチュエータ36が動作して支持部材32を図8[D]に示されるように最上位置に上昇させる。次にノックアウトシリンダ78が動作してダイセットの下パンチ部材34をしたから押し上げる。この時アクチュエータ37は焼結型が下パンチ部材と共に移動しないように動作がロック状態(機械的又は流体的に)になっている。これにより焼結品Mは図8[D]に示されるように、下パンチ部材34に押されて焼結型33の上側に僅か出る。この状態で取り出し機構70のスライダ72が移動してチャック74をダイセット内に移動させ、チャックにより焼結品M取り出す。取り出し機構によりダイセットから取り出された焼結品は位置Bにおいてチャック76の下方に配置されたコンベア75上に載せられ、そのコンベアにより所定の位置に送られる。
以下同じ動作を繰り返し粉末材料を焼結して焼結品を製造する。
なお、粉末材料の種類によっては真空雰囲気或いは不活性ガス雰囲気下で焼結を行う必要がある場合がある。その場合には、ダイセット3が焼結機内にセットされて焼結が開始される前に、ハウジング29内の焼結チャンバSC内を外気から密閉し、図示しない真空排気装置により真空雰囲気(例えば6MPa(4.5×10−2Torr以下))にするか或いは一旦排気した後図示しない不活性ガス供給装置から不活性ガスを供給して不活性ガス雰囲気にする。
【0020】
図9において本発明のダイセットを組み込んだ焼結機2aの実施形態が示されている。この実施形態において、ダイセットの構造及び機能は、ダイセットが焼結位置Aと充填/取り出し位置Bとの間で移動出来ず常時焼結機の焼結チャンバSC内に配置されている点を除いて、前記実施例のものと同じである。したがって、それらの詳細な説明は省略する。
この実施形態のダイセット組み込み式焼結機2aではダイセットが定位置に固定されているため、ダイセット3用の支持装置10aは焼結チャンバSC内に配置され、ハウジング29の底板上に載せられて支えられるか或いは台20の直立フレーム201の上端上に載せるようにして支持され得る。
上記焼結機において、焼結完了後に焼結品を焼結型の外部に押し出すために下パンチ部材を上昇させる必要があるが、本実施形態ではノックアウトシリンダが存在しないので下部通電加圧部材23をアクチュエータ26で押し上げ、その下部通電加圧部材により下パンチ部材34を押し上げるようにする。また、本実施形態では下部通電加圧部材の必要移動距離を大きくする必要が生じるが、この場合にはアクチュエータのストロークを大きくすればよい。
また焼結型内への粉末材料の充填並びに焼結品の取り出しは、前記実施形態の粉末充填装置6及び製品取り出し装置7を使用して行うことができるが、ダイセットが位置Bまで移動することがないので、焼結機中心位置Aとそれらの装置が載せられている台車装置5の中心の位置との関係は、前記実施形態の位置Bと位置Cとの関係に等しくすればよい。
なお、特に後者の実施形態では常時ダイセットが焼結チャンバ内に設置されているためアクチュエータ等の作動装置の動作が高温により支障を来す場合が考えられるが、このような場合にはアクチュエータをそれぞれ水冷式のカバーで被うようにすればよい。また、焼結完了後に焼結型を冷却する必要が生じるが、その場合には、冷却水などを内部に通して冷却可能な構造を有する冷却ブロックを焼結型の外周面(焼結型の外周が円弧状面を有する場合にはそのその円弧状面と合う円弧状面を有する冷却ブロック、外周が平坦面を有する場合には平坦面を有する冷却ブロック)に接触させて冷却するようにすればよい。更にまた、アルミニュウム合金の場合のように、低い融点を有する粉末材料を焼結する場合に焼結型を保温したい場合には焼結型にヒーターを内蔵させてもよい。
【0021】
前記実施形態では1回の焼結動作で1個の焼結体を成形する例について説明したが、図10R>0に示されるように、焼結型33bに複数(例えば、焼結型の中心を中心とする円周上に円周方向に等間隔に隔てて複数個(図では3個の例を示す))の貫通穴331bを形成し、上部パンチもその焼結型の貫通穴の数に対応した数とすることにより(下部パンチは全ての貫通穴の下端を塞げる大きさのもの1個でよい)、1回の焼結動作で複数個の焼結体をつくるようにしてもよい。また、焼結型内に粉末材料をスペーサを間に介在させることによって2層以上多段に充填して一度に複数層の粉末材料を焼結して複数の焼結体をつくってもよい。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば次のような効果を奏することが可能である。
(イ)アルミニュウム或いはその合金のような低い融点を有する金属材料或いは非金属材料の焼結だけでなく、タングステン合金等の高い融点を有する金属或いは非金属材料の焼結を高速で連続的に行うことができる。
(ロ)絶縁構造を有するダイセット方式により、上、下パンチと焼結型との位置決めを焼結位置で正確に行うことができる。
(ハ)絶縁構造を有するダイセット方式により、焼結型内へのパンチの挿入を行っても焼結型の破損を発生させることがない。
(ニ)絶縁構造を有するダイセット方式により、早いサイクルタイムで動作可能であり、生産効率を向上できる。
(ホ)絶縁構造を有するダイセット方式により、再現性の向上及び信頼性の向上を図ることができる。
(ヘ)高速で精密な焼結を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるダイセット式のパルス通電加圧焼結システムの一実施形態の全体の側面図である。
【図2】図1のパルス通電加圧焼結システムの全体の平面図である。
【図3】図1のパルス通電加圧焼結システムに使用されているパルス通電加圧焼結機とダイセットとの組合せを示す側面図である。
【図4】図1のパルス通電加圧焼結システムに使用されているダイセットの側面図であって、図5の線Q−Qに沿って見た断面図である。
【図5】図5のダイセットの平断面図であって、線R−Rに沿って見た図である。
【図6】図1のパルス通電加圧焼結システムに使用されている台車装置、粉末充填装置、製品取り出し装置を示す平面図である。
【図7】図6の台車装置、粉末充填装置、製品取り出し装置を示す図であって、図6の線S−Sに沿って見た図で、一部を省略して示す図である。
【図8】粉末充填、焼結機内へのダイセットの移動、焼結及び焼結品取り出し状態を説明するダイセットの側面図である。
【図9】本発明の他の実施形態であるダイセット組み込み式パルス通電加圧焼結機の側面図である。
【図10】焼結型の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 パルス通電加圧焼結システム
2 パルス通電加圧焼結機
23 下部通電加圧部材 25 上部通電加圧部材
3 ダイセット
30 ベーステーブル 31 ガイドロッド
32 支持部材 33 焼結型
34 下パンチ部材 35 上パンチ部材
36、37 アクチュエータ
4 駆動機構 5 台車装置
6 粉末充填装置 7 製品取り出し装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結すべき粉末材料に所望の加圧力及び所望の直流パルス電流を付与して焼結し、焼結体とするパルス通電加圧焼結機用のダイセットにおいて、
第1の位置と前記第1の位置から隔てた第2の位置との間で移動可能な可動台と、
前記可動台に対して電気的に絶縁して上下方向に移動可能に配置されかつ上下に貫通する穴を有する焼結型と、
前記可動台に対して略垂直に固定されていて前記焼結型の移動を案内する案内部材と、
前記焼結型の穴に移動可能に配置された下パンチ部材と、
前記案内部材に案内されて可動台に関して移動可能に配置されてた支持部材と、
前記支持部材に電気的に絶縁して取り付けられていて、前記焼結型の穴内に挿入可能になっている上パンチ部材と、を備えるパルス通電加圧焼結機用のダイセット。
【請求項2】
互いに相対移動可能な上部及び下部通電加圧部材を有していて、焼結すべき粉末材料に所望の加圧力及び所望の直流パルス電流を前記通電加圧部材を介して付与して焼結し、焼結体とするパルス通電加圧焼結機用のダイセットにおいて、
前記焼結位置に配置された台と、
前記台に対して電気的に絶縁して上下方向に移動可能に配置されかつ上下に貫通する穴を有する焼結型と、
前記台に対して略垂直に固定されていて前記焼結型の移動を案内する案内部材と、
前記焼結型の穴に移動可能に配置された下パンチ部材と、
前記案内部材に案内されて台に関して移動可能に配置されてた支持部材と、
前記支持部材に電気的に絶縁して取り付けられていて、前記焼結型の穴内に挿入可能になっている上パンチ部材と、を備え、
焼結完了後の焼結体を前記パルス通電加圧焼結機の下部通電加圧部材により前記下パンチを前記焼結型に関して押し上げて前記焼結型の外に出すダイセット。
【請求項3】
焼結すべき粉末材料に所望の加圧力及び所望の直流パルス電流を付与して焼結し、焼結体とするパルス通電加圧焼結機と、前記粉末材料が入れられる焼結型を有するダイセットとの組合せにおいて、
前記パルス通電加圧焼結機が、少なくとも一方が他方に関して相対的に上下運動可能な上部、下部一対の通電加圧部材と、前記通電加圧部材に接続されて所望のパルス電流を前記通電加圧部材に供給する電源装置と、前記少なくとも一方の通電加圧部材を上下動させる加圧装置とを備え、
前記ダイセットが、第1の位置と前記第1の位置から隔てた第2の位置との間で移動可能な可動台と、前記可動台に対して電気的に絶縁して上下方向に移動可能に配置されかつ上下に貫通する穴を有する焼結型と、前記可動台に対して略垂直に固定されていて前記焼結型の移動を案内する案内部材と、前記焼結型の穴に移動可能に配置された下パンチ部材と、前記案内部材に案内されて可動台に関して移動可能に配置されてた支持部材と、前記支持部材に電気的に絶縁して取り付けられていて、前記焼結型の穴内に挿入可能になっている上パンチ部材とを備える、
パルス通電加圧焼結機とダイセットとの組合せ。
【請求項4】
焼結すべき粉末材料に所望の加圧力及び所望の直流パルス電流を付与して焼結し、焼結体とするパルス通電加圧焼結機と、前記粉末材料が入れられる焼結型を有するダイセットとの組合せにおいて、
前記パルス通電加圧焼結機が、少なくとも一方が他方に関して相対的に上下運動可能な上部、下部一対の通電加圧部材と、前記通電加圧部材に接続されて所望のパルス電流を前記通電加圧部材に供給する電源装置と、前記少なくとも一方の通電加圧部材を上下動させる加圧装置とを備え、
前記ダイセットが、前記焼結位置に配置された台と、前記台に対して電気的に絶縁して上下方向に移動可能に配置されかつ上下に貫通する穴を有する焼結型と、前記台に対して略垂直に固定されていて前記焼結型の移動を案内する案内部材と、前記焼結型の穴に移動可能に配置された下パンチ部材と、前記案内部材に案内されて台に関して移動可能に配置されてた支持部材と、前記支持部材に電気的に絶縁して取り付けられていて、前記焼結型の穴内に挿入可能になっている上パンチ部材と、を備え、
焼結完了後の焼結体を前記パルス通電加圧焼結機の下部通電加圧部材により前記下パンチを前記焼結型に関して押し上げて前記焼結型の外に出すパルス通電加圧焼結機とダイセットとの組合せ。
【請求項5】
請求項3又は4の記載のパルス通電加圧焼結機とダイセットとの組合せにおいて、前記パルス通電加圧焼結機が、真空雰囲気又は不活性ガス雰囲気に制御可能な焼結チャンバを画成するハウジングを備える組合せ。
【請求項6】
焼結すべき粉末材料に所望の加圧力及び所望の直流パルス電流を付与して焼結し、焼結体とするパルス通電加圧焼結システムにおいて、
少なくとも一方が他方に関して相対的に上下運動可能な上部、下部一対の通電加圧部材、前記通電加圧部材に接続されて所望のパルス電流を前記通電加圧部材に供給する電源装置及び前記少なくとも一方の通電加圧部材を上下動させる加圧装置を備えたパルス通電加圧焼結機と、
前記粉末材料が充填される焼結型を有していて、前記焼結機による焼結位置となる第1の位置と前記第1の位置から所望の距離隔てられた第2の位置との区間で直線往復移動可能な少なくとも1台のダイセットと、
前記ダイセットが前記第2の位置にあるとき前記焼結型内に粉末材料を充填できる充填装置及び焼結体を取り出し可能な取り出し装置とを備え、
前記ダイセットが、
第1の位置と前記第1の位置から隔てた第2の位置との間で移動可能な可動台と、
前記可動台に対して電気的に絶縁して上下方向に移動可能に配置されかつ上下に貫通する穴を有する焼結型と、
前記可動台に対して略垂直に固定されていて前記焼結型の移動を案内する案内部材と、
前記焼結型の穴に移動可能に配置された下パンチ部材と、
前記案内部材に案内されて可動台に関して移動可能に配置されてた支持部材と、
前記支持部材に電気的に絶縁して取り付けられていて、前記焼結型の穴内に挿入可能になっている上パンチ部材と、を備えるダイセット式パルス通電加圧焼結システム。
【請求項7】
焼結すべき粉末材料に所望の加圧力及び所望の直流パルス電流を付与して焼結し、焼結体とするパルス通電加圧焼結システムにおいて、
少なくとも一方が他方に関して相対的に上下運動可能な上部、下部一対の通電加圧部材、前記通電加圧部材に接続されて所望のパルス電流を前記通電加圧部材に供給する電源装置及び前記少なくとも一方の通電加圧部材を上下動させる加圧装置を備えたパルス通電加圧焼結機と、
前記粉末材料が充填される焼結型を有していて、前記焼結機による焼結位置において焼結型と上下パンチ部材との相対移動により焼結型内への粉末材料の充填と焼結体の除去を前記焼結位置で可能にするダイセットと、
前記ダイセットの前記焼結型内に粉末材料を充填できる充填装置とを備え、
前記ダイセットが、
前記焼結位置に配置された台と、
前記台に対して電気的に絶縁して上下方向に移動可能に配置されかつ上下に貫通する穴を有する焼結型と、
前記台に対して略垂直に固定されていて前記焼結型の移動を案内する案内部材と、
前記焼結型の穴に移動可能に配置された下パンチ部材と、
前記案内部材に案内されて台に関して移動可能に配置されてた支持部材と、
前記支持部材に電気的に絶縁して取り付けられていて、前記焼結型の穴内に挿入可能になっている上パンチ部材と、を備え、
焼結完了後の焼結体を前記下部通電加圧部材により前記下パンチを前記焼結型に関して押し上げて前記焼結型の外に出すダイセット式通電加圧焼結システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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