説明

パルプ処理装置を用いるバイオマス系燃料の製造方法

バイオマス系ペレットを製造するプラントの確立のためのコストを削減するための方法であり、前記方法が:既存のパルプ処理プラントを同定し;前記パルプ処理プラントへの出入り及び前記パルプ処理プラントの変更を行う許可を得て;前記パルプ処理プラントをバイオマス系ペレットの製造するプラントへ変更することを含む。パルプ処理プラントをバイオマス系ペレット製造プラントへ変換する方法であり:ペレットミルを前記パルプ処理プラント内に設置し;パルプ蒸解装置からアウトプットをリルートして前記アウトプットが前記ペレットミルに入り;及び不要な装置をバイパスさせる。バイオマス系ペレットを製造するための方法であり、前記方法は:パルプ蒸解装置を介してバイオマス系フィードストックからリグニンを遊離させ;及び前記バイオマス系フィードストック及び前記遊離されたリグニンをペレットかして前記バイオマス系ペレットを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年2月13日出願の米国仮特許出願番号61/152556に基づく出願日及び優先権の効果を主張するものである。当該出願の内容の全ては参照されて本明細書の一部となる。本発明は、パルプ処理装置でバイオマス系燃料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の開示は、エネルギ源の処理、より具体的にはパルプ処理装置で製造するバイオマス系燃料に関する。
【0003】
種々のタイプのバイオマスが、濃縮燃料を製造するために使用され得る。バイオマスは、木材、木材系バイオマス、又は例えば限定されるものではないが、さとうきびバイオマス、わら、スイッチグラス又は他の農業材料などの他のバイオマスが挙げられ、ここでバイオマスは他の処理工程の副産物であるか又は直接又は間接的に燃料を製造する目的で成長させた原材料(フィードストック)であってもよい。
【0004】
用語「ペレット」及び「ブリケット」とは通常バイオマスの断片、処理バイオマス、石炭又は他のいくつかの又は全ての組み合わせを意味し、これらは圧縮されて種々のサイズの濃縮燃料に成型されて製造される。例えば、サイズ1”から3”以上の長さ寸法の範囲の鉋屑やチップなどの種々のサイズのフィードストックが処理されペレット化され得る。材料は乾燥され好ましい断面積のサイズ及び種々の長さのダイを通して押し出される。ダイを有する床置き装置又はプレスが調製されたフィードストックを受け入れ、好ましい長さのペレットサイズで前記装置又はプレスの出口から押し出され、排出される(例えば切断又はトリミングされて)。用語「ホワイトペレット」とは、適切なサイズの及びペレット化された木材で、前記ペレット化装置又はプレスへ導入される前にチップ化及び研磨の処理を受けただけの適切なサイズの及びペレット化された木材の使用を意味する。ホワイトペレットは、住居暖房、地域暖房及び/又は工業用電力製造(石炭火力発電工場を含む)において使用され得る。
【0005】
ホワイトペレットの工業的使用は、ホワイトペレットの本来の性質である水への感受性、低硬度及び低耐久性により限定され、これにより前記ペレットを処理の間に摩損したり及び/又は湿気吸収の結果としてホコリの生成につながる。これらの性質は、単独で又は組み合わされて、ペレットを急激に崩壊させる恐れがある。かかる制限のために、ホワイトペレットは特別の貯蔵及び取扱い設備を必要とし、ほこりが蓄積することで爆発の危険を防止する必要がある。従って、1%から100%の濃度で、石炭火力発電プラントでホワイトペレットを使用することは、前記プラント操作手順及び設備費用の適合性を共に考慮しなければならない。例えば石炭は通常戸外で貯蔵しそれを取り扱うことができる。
【0006】
用語「ブラックペレット」とは、バイオマスをペレット化装置又はプレスに導入する前に前記バイオマスフォードストックを処理することで、リグニンを結合及び/又はコーティングさせたペレットを意味する。水蒸気爆砕は、バイオマスの細胞構造からリグニンを除くための手段として濃縮燃料製造において使用されることができる。それにより、リグニンを前記バイオマスの繊維部分に混合することができる。かつペレット化装置又はプレスで圧縮される際に耐水性又は水抵抗性内部バインダを形成すると同時に耐水性又は水抵抗性表面コーティングをも形成し、できたペレット及びブリケットの耐久性を増強する。その結果、ペレット及びブリケットは、改良された摩損性を持ち、かつ石炭の戸外貯蔵と同様に戸外に貯蔵することができるようになる。石炭と同様の物理的性質を持つことでペレットの導入を通常の石炭プラントの手順を用いることができるようになり、その結果設備費用及び運転費用の点でホワイトペレットを用いる場合に比べて節約できることとなる。
【0007】
濃縮バイオマス系燃料を製造し及び処理するプラントを提供することとは、エネルギ産業にとっていくつかの困難に遭遇する。これらの困難には、土地の購入・整備、政府の地域制限及び他の規制、回りの地域との調整、設備設計及び建設、複雑な設備の設計及び建設、新規装置及び他の資源の購入などのひとつ又はそれ以上が含まれる。従って、濃縮バイオマス燃料の製造および処理に伴う該困難を避ける方法を持つことは望ましいことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の開示は、エネルギ資源の処理に関し、より具体的にはバイオマス系燃料のパルプ処理装置で製造する方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ひとつの実施態様において、バイオマス系ペレットの製造方法は、バイオマス系フィードストックからパルプ蒸解装置を介してリグニンを遊離させることを含む。前記方法は、前記バイオマス系フィーストックと前記遊離リグニンとをペレット化してバイオマス系ペレットを形成することを含む。
【0010】
ひとつの実施態様において、パルプ処理プラントをバイオマス系ペレット製造プラントへ変換するための方法は、前記パルプ処理プラントにペレットミルを設置することを含む。前記方法は、パルプ蒸解装置からのアウトプットをリルートすることを含み、前記アウトプットを前記ペレットミリに導入して不要な装置をバイパスさせる。
【0011】
ひとつの実施態様において、バイオマス系ペレット製造プラントを確立するコストを抑制する方法は、既存のパルプ処理プラントを見出し、許可を得て前記パルプ処理プラントを変換し、前記パルプ処理プラントをバイオマス系ペレット製造のためのプラントへ変換することを含む。
【0012】
本発明の開示の特徴及び利点は、当業者により明確であろう。当業者は、いくつかの変更・変法を、本発明の本質、範囲の中で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の実施態様及び利点のより完全な理解には、以下の詳細な説明を添付の図面とともに参照することで得られる。図中、類似の符号・番号は類似の構成を示す。
【図1】図1は、本発明のひとつの実施態様による、バイオマス系ペレット製造プラントを確立するためのコストを低減する方法を示すブロックダイヤグラムである。
【図2】図2は、パルプ処理プラントを、本発明のひとつの実施態様によるバイオマス系ペレット製造プラントへ変換する方法を示すブロックダイヤグラムを示す。
【図3】図3は、本発明のひとつの実施態様による変換されたパルプ処理プラントを示すブロックダイヤグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の開示は、エネルギ資源の処理に関し、特にバイオマス系燃料を、パルプ処理装置を用いて製造する方法に関する。この開示の目的のために、バイオマス系ペレットは、限定されないが、断片、全ての形状、サイズの欠片又はブリケットを含む分割物などが挙げられる。バイオマス系ペレット及びナイオマス系材料には、少なくとも部分的に又はなんら限定されずに、木材、木質バイオマス又は他の全てのバイオマス、例えば竹、さとうきび、バガス、わら、スイッチグラス、殻やさや、又は他の農業材料などが挙げられる。ここでバイオマスは、他の処理の副産物であってもよく、又はバイオマスは燃料製造の目的で成長させたフィードストックであってもよい。
【0015】
本発明の開示のひとつの実施態様において、既存のパルプ製造、製紙及び/又はセルロース系エタノール装置などが、開発されたバイオマス系又は他の処理製品を製造するために使用され得る。これらは容易に、バイオマス系ペレットを達成するために濃縮化され得る。例えば、このタイプのペレットは「高密度」、又は「ブラック」ペレットと呼ばれている。本発明開示のひとつの実施態様において、既存技術、例えばパルプ及び製紙産業で木材を処理するために広く使用されている装置が、バイオマス系フィードストック中に存在するリグニンを遊離させるための適用することができる。既存のパルプ処理プラントは、いくつかの又は全ての装置を何ら変更することなく、及びペレット化装置を追加するだけで、蒸解バイオマス系ペレットを、新規な蒸解装置を建造することなく製造することができる。従来のパルプ処理プラントのパルプ蒸解技術の変換は、それが化学的処理であり、パルプ処理において典型的なものであるように適合化されることが可能であり、変換されたパルプ処理において必ずしも必要であるものではない。既存の装置が蒸解装置へ変換され、バイオマス系ペレットの製造するために濃縮処理と組み合わされる。
【0016】
図1を参照して、ひとつの実施態様において、バイオマス系ペレット製造を確立するために伴うコストは、既存パルプ処理プラント100を見出すことにより減少され得る。この見出すことは、いくつかのパルプ処理プラントをサーチして、それらのいくつかが財政的に困窮している及び/又は財政的援助を必要としているかどうかを決定することを含む。いくつかの実施態様において、既存のパルプ処理プラントは製紙ミル、独立パルプ処理設備又は他の全てのパルプ処理資源であり得る。
【0017】
既存のパルプ処理プラント100が見出されたなら、許可105を得て前記パルプ処理プラントに出入りして前記パルプ処理プラントをバイオマス系ペレット製造プラントへ変換する。この許可105は、契約、資産購入、合併、吸収、貸借契約、又は全ての他の出入り及び変更許可(すでに入手した資産の利用意図の変更など)を通じて得られる。
【0018】
既存パルプ処理プラントが見出され100、許可105が得られたならば、バイオマス系ペレットの製造のため変更され得る110。この変更110は、以下図に詳細に参照される。
【0019】
ひとつの実施態様において、パルプ処理プラント100を見出す前、後又はその間に、既存のバイオマス系フィードストックの資源115を見出すことにより、コストを減少させることができる。バイオマス系フィードストックの資源のいくつかの例は、近くの森林、草原、又は全てのいくつかの他の再生可能なバイオマス系フィードストック資源が挙げられる。既存のバイオマス系フィードストック115が見出されると、許可120をとって、バイオマス系ペレットのためのバイオマス系フィードストックに出入りして使用することができる。この許可120は、契約、資産購入、合併、吸収、貸借契約、又は全ての他の出入り及び変更許可(すでに入手した資産の利用意図の変更など)を通じて得られる。既存のバイオマス系フィードストックがパルププラントから離れている場合には、許可125を得る追加の工程により、前記バイオマス系フィードストックを既存の資源からパルプ処理プラントへ輸送する。この許可は、前記バイオマス系フィードストックに出入りし使用するための許可を得るステップに加えて又はそれに代えるか、いずれであってもよい。例えばこの許可は商品購入契約を含み、例えば契約条項における量的要件及び期間的要件である。
【0020】
図2を参照して、ひとつの例示的実施態様において、パルプ処理プラントは、バイオマス系ペレット製造のために変更され得る。かかる変更は200である既存のパルプ蒸解装置200をバイオマス系ペレットの製造に使用するための変更を含む。またパルプ処理プラント中のペレットミル205を設置すること、前記パルプ蒸解装置からのアウトプット210をリルートすることを含み、これにより前記アウトプットは前記ペレットミルに導入され及び/又はパルプ処理プラントで使用しないコンポーネントを215に導入してバイパスさせる。
【0021】
既存のパルプ蒸解装置の変換200は、化学処理及び/又はリグニン遊離のために使用するいくつかの又は全ての装置の除去を含むことができる。ペレットミル205の設置は、リース、購入、又は他の図3で参照される以下に記載のタイプのペレットミルを得ること、及びこれが、バイオマス系ペレット製造のために使用される前記装置の他の装置とともに使用するため、パルプ処理プラントの適した位置へ運ばれて設置されることを保証することを含む。パルプ蒸解装置からアウトプットをリルートすること210は、装置の物理的変更を必要としない。そしてコンベアを移動するだけか又は装置の複雑な移動を含む。ひとつの例では、パルプ蒸解装置からアウトプットをリルートすること210は、中間装置例えばブロータンクをリルート及び/又はバイパスすること含む。不使用コンポーネントをバイパスすること215は、パルプ処理プラントでは使用されるがバイオマス系ペレット製造には不要なコンポーネントのバイパスを含む。バイパスされた装置が不要な場合、本方法はさらに、前記バイパス装置を除去すること220及び/又は売却すること225を含む。
【0022】
図3を参照して、変更されたパルプ処理プラント300が本発明の開示の実施態様により記載されている。バイオマス系フィードストックは変更されたパルプ処理プラント300近くの位置から集められ得る。例えば、バイオマス系フィードストックは、変更されたパルプ処理プラント300に隣接する森林から集められた木材であり得る。又は、バイオマス系フィードストックは、離れた場所から変更されたパルプ処理プラントへ運ばれることもできる。例えば、バイオマス系フィードストックは他の地域で育った竹であり得るし、そのまま又はある程度前処理されてパルプ処理プラント300へ運ばれてきてもよい。他のいくつかのバイオマス系フィードストック資源はまた適切である。バイオマス系フィードストックの資源及び状態により、パルプ蒸解装置325へ導入される前に既存及び装置305で追加の処理をされてもよい。既存装置305は、全ての数及び種類の製紙及び/又はセルロース系アルコール製造装置であってよい。例えば、限定されるものではないが、既存装置305には、ひとつ又はそれ以上の貯蔵ヤード310、皮むき装置315、チップ化装置320、パルプ蒸解装置325及びブロータンク330などが挙げられる。これらは全てのコンベヤ装置又は他の材料移動装置と共に組み合わされていてもよいし、組み合わされていなくてもよい。具体的なバイオマス系フィードストックにより、ひとつ又はそれ以上の既存装置305のユニットが変更又は除去されてもよい。
【0023】
変更されたパルプ処理プラント300へ輸送する上で、バイオマス系フィードストックは貯蔵ヤード310で使用に先立ってしばらく貯蔵されてよい。貯蔵ヤード310の位置は、望ましくは、バイオマス系フィードストックのひとつ又はそれ以上を受け入れ、貯蔵及び処理のために特定の装置とともに配置される。ひとつの実施態様において、貯蔵ヤード310は木材貯蔵ヤードであり、木材系材料に適切である。
【0024】
バイオマス系フィードストックのタイプに依存して、それは皮むき装置315を通すこともできる。これはバイオマス系材料をさらなる処理を行うように構成される装置であり得る。例えば木材の表面から皮をむいて除去する処理である。
【0025】
バイオマス系フィードストックは、水シャワー360を通してもよい。又は他の装置であって、未処理のバイオマス系フィードストックを用いる際にバイオマス系フィードストックから汚れや他の不純物を洗浄する装置に通してもよい。水シャワー360は既存の装置305であってよく、又はバイオマス系フィードストック系ペレット製造のために使用するために既存装置305に加えて設けてもよい。ひとつに実施態様において、水シャワー360は、変更又は除去可能であり、これは具体的な応用に依存する。
【0026】
バイオマス系フィードストックのサイズがパルプ蒸解装置325で使用する場合に望ましい大きさよりも大きい場合、パルプ蒸解装置325へ導入する前にチップ化装置320に通すこともできる。チップ化装置320はバイオマス系材料をより小さい部分に減少させるように構成された装置及び/又は機械であればよい。
【0027】
バイオマス系フィードストックは乾燥機365を通してもよい。望ましい場合、パルプ蒸解装置325で使用するために適したレベルの湿度にまで減少させるためである。例えば乾燥装置365は湿度0%〜15重量%を得るために使用され得る。乾燥装置365は、ロータリードライヤ、スチームドライヤ、スーパー加熱蒸気ドライヤ、低温ドライヤ又は全ての他の湿度調整可能なドライヤが含まれる。
【0028】
既存のパルプ処理プラントは通常パルプ蒸解装置325をかなりの量の化学及び/又は酵素と共に(「調製液」といわれる)調製工程で使用することができる。この調製工程は、リグニン及び/又は糖を繊維から遊離して希釈スラリ中で分離を維持するために使用され得る。このリグニン及び繊維は通常処理プラント中の分離容器に移され再度混合されることはない。変更されたパルプ処理プラント300のひとつの実施態様において、化合物及び/又は酵素はバイオマス系フィードストックに、化合的処理(図示されていない)において、バイオマス系スラリをパルプ蒸解装置325において使用するために添加されてもよい。他の実施態様では、化合物及び酵素は省略されてもよい。
【0029】
バイオマス系フィードストック(又はスラリ)はパルプ蒸解装置325へ、開口部を通じて導入され得る。パルプ蒸解装置325は、全ての容器を含み、バイオマス系フィードストック(又はスラリ)を受け入れ及び望ましい圧力、望ましい温度で処理を行えるものであればよい。パルプ蒸解装置325はひとつ又はそれ以上の容器で、バッチ式で実施する、マルチバッチ式で実施する、半連続式で実施する又は連続式で実施するように構成される容器を含む。他の既存パルプ蒸解装置325の例は、限定されるものではないが、マソナイトガン(MasoniteGuns)、標準Kraft蒸解装置、標準亜硫酸蒸解装置、化学熱機械パルプ化装置、熱機械パルプ化装置、砕木パルプ化装置及び圧力砕木パルプ化装置などが挙げられる。
【0030】
操作がバッチ式の場合には、バイオマス系フィードストック(又はスラリ)の供給が止められて、前記パルプ蒸解装置325が閉じられる。連続式の場合には、バイオマス系フィードストック供給は連続する。既定の温度と圧力で、パルプ蒸解装置325は既定時間、バイオマス系フィードストック(又はスラリ)を処理又は調製し、蒸気及び化学的添加剤及び/又は水を使用するか使用せずに、バイオマス系フィードストックから蒸解によりリグニンを遊離させる。調製が好ましく終了した場合、パルプ蒸解装置325は解放され、中身は隣接するブロータンク330へ移され、バイオマス系材料を取り出す。パルプ蒸解装置325から蒸解を介したバイオマス系フィードストック及び遊離のリグニンが前記ブロータンクへ移される。調製されたバイオマス系材料は、バッチ式でも連続式でもブロータンクに移される。ブロータンク330は、いかなる容器でもよく、バイオマス系材料を受け入れ、処理し、又は調製できるものであればよい。バイオマス系材料はパルプ蒸解装置325からの調製液及び/又は蒸気とともにスラリ状態であってもよい。
【0031】
既存のパルプ処理プラントは、蒸解繊維に対するかかるパルプ化技術を用いるようには設計されていないが、種々の条件下でパルプ化技術を使用するように設計されることができる。例えばパルプ化技術は150psi(ポンド/平方インチ)以下の圧力、化学的添加剤、ひとつ又はそれ以上の調製工程及び約50%乾燥固体を含む希釈スラリを含むことができる。
【0032】
従来の高密度ペレット製造方法は、他方で、通常高温度及び圧力及びパルプ蒸解装置325よりも小さい容器を含むものである。操作圧力はひとつの実施では150psiを超える。例えばマソナイトガンが適用される場合、操作圧力は1000psi又はそれ以上に達する。従ってある場合には、変更されたパルプ処理プラント300は従来の高密度ペレット製造方法に見出されるよりも長い調製時間を適用されてよい。
【0033】
蒸解方法は、通常の操作圧力で使用され、調製中のバイオマス系繊維を大気中条件で再処理するために柔軟にするために使用され得る。従って低圧力で、又はマソナイトガンの場合には相当な高圧で、蒸解される。ひとつの実施態様において、蒸解は圧力約225psi〜375psiの範囲で達成され、及び/又は85〜92%の乾燥固体を製造することができ、一方ペレット処理のために繊維にリグニンを保持している。原料に蒸気処理することは前記材料を予備的に軟化させ得る。ひとつの実施態様は、化合物を蒸気処理と共に用いて原料繊維を調製に先立ってさらに軟化させるか軟化を促進させることができる。かかる化合物には、亜硫酸ナトリウム、カセイソーダ、又は他のすべての適切な化合物であって、この開示の利点を持つ技術の当業者には理解できる化合物が含まれる。他の実施態様において、リグニンを補助的に追加すること及び/又はリグニン遊離化処理から蒸解処理を省略することも含まれる。
【0034】
調製されたバイオマス系材料はブロータンク330から乾燥装置370を通過し、望ましい場合、水分をペレット化装置340の使用に適するように減少させることができる。例えば、乾燥装置370は0重量%〜15重量%の水分含量を得るために使用され得る。乾燥装置370には、ロータリードライヤ、スチームドライヤ、スーパー加熱蒸気ドライヤ、又は水分を調節可能であればいかなる装置も含まれる。
【0035】
調製されたバイオマス系材料は、直接又はひとつ又はそれ以上のブロータンク330及び乾燥装置370を介してパルプ蒸解装置325装置からペレット化装置340へ輸送され得る。そこでは、ひとつ又はそれ以上のペレットミル345、ペレット冷却装置350及びペレット貯蔵装置355を含む。調製されたバイオマス系材料は、ペレットミル345で処理され、バイオマス系ペレットを成型する。ペレットミル345は、前記調製されたバイオマス系材料を押し出し又は他の圧縮処理にてバイオマス系ペレット製造に適する全ての装置である。ペレットミル345から出た後、バイオマス系ペレットはペレット冷却装置350に冷却のために、通過するか、導入される。ペレット冷却装置350は、バイオマス系ペレットを冷却するすべての装置であってよく、限定されるものではないが、空気循環又は水冷が挙げられる。ひとつの実施態様において、ペレット冷却装置350は必要なく、バイオマス系ペレットは貯蔵の間に冷却される。バイオマス系ペレットはその後、ペレット貯蔵装置355で貯蔵される。高密度バイオマス系ペレットは湿気及び摩損に抵抗性があり、ペレット貯蔵装置355は、例えば屋内貯蔵、屋外貯蔵又は被覆なし貯蔵などで貯蔵され得る。さらにバイオマス系ペレットは通常の石炭取り扱い装置で使用され得る。該装置にはレールカー、コンベア、貯蔵、及び他の処理施設が含まれることから、石炭と共にバイオマス系ペレットを用いて火力発電するための設備投資の必要性を非常に削減することができる。
【0036】
既存装置305に加えて、通常既存のパルプ処理プラントは、既存プラント335の残余装置を含む。これは、バイオマス系ペレット製造及び処理には必要ない装置を含むものである。既存プラント335の残余は、ペレット製造装置340を設置するための必要性に応じて除去されてもよく、又は残されてもよい。
【0037】
当該技術の当業者には、本発明の開示の利点、全ての変更、適合及び変法が、既存のパルプ処理プラントを変更するために適用され得るものであることは理解されるであろう。例えば「蒸気」は、水蒸気のみを意味するものではなく、上で示された応用において使用可能な他の蒸気をも含まれる。
【0038】
従って、ここで開示された本発明は、バイオマス系燃料を製造するためのコストを大きく低減し、大規模バイオマス製造及び処理を開始して、バイオマス系フィードストックを発電装置、例えばコジェネレーション、ボイラ及び他のタイプの発電プラントなどの発電のために使用するための潜在可能性を提供する。本発明による既存のパルプ処理プラントを変換することは、新規の高圧蒸解装置を建設することに比べて非常な経済性を提供する。本発明の開示による方法は、既存のパルプ及びフィードストック製造サイトにも適用可能であり、種々の木材、パルプ及び製紙に関与する全ての地方が、バイオマス系燃料を製造し、処理し及び輸送することに関する産業を興すために使用することができる。他の技術的利点は当業者であれば本発明の明細書、特許請求の範囲及び図面に基づいて明らかであろう。
【0039】
従って、本発明の開示は、本発明の本来の目的及び利益を達成するために十分適合されるものである。上で開示された具体的な実施態様は例示目的であり、本発明の開示に基づいて、当業者は、種々の方法で変更され実施され得る。さらに、ここで示された構成又は設計内容は、以下特許請求の範囲に記載される他、何らを限定するものではない。従って、上で開示された具体的に説明された実施態様は本発明の本質及び範囲内で変更、修正及びその他の変法を行うことができるものである。さらに、特許請求の範囲で使用される用語は、特に言及されない限り又は特許権者により明瞭に規定されない限り、明瞭な、通常の意味を持つ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス系ペレットを製造するための方法であり、前記方法は:
パルプ蒸解装置を介してバイオマス系フィードストックからリグニンを遊離させ;及び
前記バイオマス系フィードストック及び前記遊離されたリグニンをペレット化して前記バイオマス系ペレットを製造する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であり、蒸解せずに前記リグニン遊離及び前記ペレット化する、方法。
【請求項3】
請求項1に記載のバイオマス系ペレット製造の方法であり、さらに補助リグニンを添加する、方法。
【請求項4】
請求項1に記載のバイオマス系ペレット製造の方法であり、化合物を添加することを含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載のバイオマス系ペレットを製造の方法であり、前記化合物が、亜硫酸ナトリウム、カセイソーダ及びそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載のバイオマス系ペレットを製造の方法であり、前記パルプ蒸解装置が、バイオマス系ペレットの製造において使用するために変更される、方法。
【請求項7】
請求項6に記載のバイオマス系ペレットを製造の方法であり:
化学的処理操作を通じて前記パルプ蒸解装置の容器にバイオマス系スラリを導入し;
前記パルプ蒸解装置へのバイオマス系スラリ供給を止めて前記パルプ蒸解装置内にて既定に温度で既定の時間前記バイオマス系スラリを調製し;
調製されたバイオマス系材料を製造し;
前記調製されたバイオマス系材料を前記パルプ蒸解装置から取り出し;
前記調製されたバイオマス系材料を前記パルプ蒸解装置からペレットミルに輸送し;及び
前記調製されたバイオマス系材料をペレット化してバイオマス系ペレットを製造する、方法。
【請求項8】
請求項6に記載のバイオマス系ペレットを製造する方法であり、
化学処理操作を通じて前記パルプ蒸解装置の容器内にバイオマス系スラリを連続的に導入し;
既定の期間で既定の温度前記バイオマス系スラリを前記パルプ蒸解装置内で調製し;
調製されたバイオマス系材料を製造し;
前記調製されたバイオマス系材料を前記パルプ蒸解装置から連続的に取り出し;
前記調製されたバイオマス系材料を前記パルプ蒸解装置からペレットミルへ輸送し;及び
前記調製されたバイオマス系材料をペレット化してバイオマス系ペレットを製造する、方法。
【請求項9】
パルプ処理プラントをバイオマス系ペレット製造プラントへ変換する方法であり:
ペレットミルを前記パルプ処理プラント内に設置し;パルプ蒸解装置からアウトプットをリルートして前記アウトプットが前記ペレットミルに入り;及び
不要な装置をバイパスさせる、方法。
【請求項10】
請求項9に記載のパルプ処理プラントをバイオマス系ペレット製造プラントへ変換する方法であり、前記バイパスさせる装置を除去する、方法。
【請求項11】
請求項9に記載のパルプ処理プラントをバイオマス系ペレット製造プラントへ変換する方法であり、前記バイオマス系ペレットの製造のための前記パルプ蒸解装置を変更することを含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載のパルプ処理プラントをバイオマス系ペレット製造プラントへ変換する方法であり、前記パルプ蒸解装置を変更することが、リグニン除去のために使用される装置を除去することを含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載のパルプ処理プラントをバイオマス系ペレット製造プラントへ変換する方法であり、前記パルプ蒸解装置を変更することが、化学処理のために使用される装置を除去することを含む、方法。
【請求項14】
バイオマス系ペレットを製造するプラントの確立のためのコストを削減するための方法であり、前記方法が:
既存のパルプ処理プラントを同定し;
前記パルプ処理プラントへの出入り及び前記パルプ処理プラントの変更を行う許可を得て;及び
前記パルプ処理プラントをバイオマス系ペレットの製造するプラントへ変更することを含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載のバイオマス系ペレットを製造するプラントの確立のためのコストを削減するための方法であり:
前記パル応処理プラントの近くに既存のバイオマス系フィードストック資源を同定し;及び
前記バイオマス系フィードストックにバイオマス系ペレット製造のために出入りし、前記バイオマス系フィードストックを使用する許可を得ることを含む、方法。
【請求項16】
請求項14に記載のバイオマス系ペレットを製造するプラントの確立のためのコストを削減するための方法であり:
既存のバイオマス系フィードストック資源を同定し;及び
前記バイオマス系フィードストックを既存の資源から前記パルプ処理プラントへ輸送する許可を得ることを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−518060(P2012−518060A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550234(P2011−550234)
【出願日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/023929
【国際公開番号】WO2010/093812
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(511144550)ジルカ バイオマス フュールズ エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】