パワーシート操作装置
【課題】操作性が良好で、運転席や助手席などのシートの配置位置に関係なく部品を共通化することが可能なパワーシートの操作装置を提供すること。
【解決手段】パワーシート3の操作スイッチが、パワーシート3の足元スペースの車両フロアFに配設されたフットスイッチ10からなるので、乗員はこのフットスイッチ10を足載せ状態などにより操作することで、パワーシート10の着座姿勢を調整することができる。これにより、操作性が良好となる上に、運転席や助手席などのシートの配置位置に関係なく部品を共通化することが可能である。
【解決手段】パワーシート3の操作スイッチが、パワーシート3の足元スペースの車両フロアFに配設されたフットスイッチ10からなるので、乗員はこのフットスイッチ10を足載せ状態などにより操作することで、パワーシート10の着座姿勢を調整することができる。これにより、操作性が良好となる上に、運転席や助手席などのシートの配置位置に関係なく部品を共通化することが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの車両の備えられるパワーシートの操作スイッチに関し、更に詳しくは、操作性が良好な操作スイッチを備えたパワーシート操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用シートとしては、着座姿勢を調整する手段として背凭れ部の傾斜移動のための駆動源や着座部の前後移動のための駆動源などを備えたパワーシートが用いられている。図15に示されるように、このようなパワーシート3の操作スイッチ40は、通常、着座部であるシートクッション3a側面に配置されており、乗員が手で操作するようになっている。例えば、背凭れ部としてのシートバック3bを傾斜移動させる際には、リクライニング用スイッチ40aを乗員が手で操作する一方、シートを前後移動させる際には、スライド用スイッチ40bを乗員が手で操作するようになっている。尚、本発明に関連する先行技術文献としては下記特許文献が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−298282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなパワーシート3の操作スイッチ40は、ドアトリム(ドアパネル2を車室内側から覆う樹脂製の部材)2aと、シートクッション3aとの間の狭い空間に配置されているため、リクライニング用スイッチ40aとスライド用スイッチ40bのどちらのスイッチに手が触れているか目視で確認することができないため、操作性が悪いという問題があった。
【0005】
また、操作スイッチ40は、ドアトリム2a側のシートクッション3a側面に配置された構成、つまり図15に示されるように運手席ではシートクッション3aの右側面に配置され、助手席ではシートクッション3aの左側面に配置された構成となっていることから、運転席と助手席とでは、リクライニング用スイッチ40aとスライド用スイッチ40bの形状や配置が異なり、操作スイッチ40を運手席用と助手席用とにそれぞれ専用に用意する必要があるため、部品点数が増加してしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本発明が解決する課題は、操作性が良好で、運転席や助手席などのシートの配置位置に関係なく部品を共通化することが可能なパワーシートの操作装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明は、車両に備えられたパワーシートの着座姿勢を調整するための駆動源を作動させる操作スイッチを備えたパワーシート操作装置であって、前記操作スイッチは、前記パワーシートの足元スペースの車両フロアに配設されたフットスイッチからなることを要旨とするものである。
【0008】
このような構成のパワーシート操作装置によれば、パワーシートの操作スイッチが、パワーシートの足元スペースの車両フロアに配設されたフットスイッチからなるので、乗員はこのフットスイッチを足で操作することで、パワーシートの着座姿勢を調整することができる。これにより、操作性が良好となる上に、運転席や助手席などのシートの配置位置に関係なく部品を共通化することが可能である。
【0009】
この場合、前記フットスイッチは、該フットスイッチへの乗員の足載せ状態を検出する構成にすると良い。このようなフットスイッチとしては、押圧式スイッチを複数配設したもの、ひずみゲージなどの荷重センサを複数配設したもの、静電容量センサなどの近接スイッチを複数配設したものなどが適用可能である。また、このようなフットスイッチへの足載せ状態としては、足のつま先を載せて踵を浮かせた状態、足の踵を載せてつま先を浮かせた状態、足全体を載せた状態、足全体を浮かせた状態などが例示され、このような種々なる足載せ状態をフットスイッチに検出させることで、例えば、パワーシートの背凭れ部をリクライニング動作させたり着座部をスライド動作させたりことが簡便に行うことができる。
【0010】
また、更に、シート調整開始スイッチを備え、該シート調整開始スイッチの押圧時のみ前記駆動源の作動を可能にした構成にすると良い。このような構成によればフットスイッチへの不用意な操作によって、パワーシートがリクライニング動作したりスライド動作したりすることが防止され、安全性が確保される。この場合、車両に備えられるイグニッションスイッチがオフ、オートマチックトランスミッションのシフトレバーがパーキング位置、シートベルトに取り付けられたタングプレートとパワーシートに固定されたバックルとの連結を検出するバックルスイッチがオフであるなどを、パワーシートに備えられる駆動源の作動を可能にする条件に加えた構成にしても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るパワーシート操作装置によれば、パワーシートの足元スペースの車両フロアに配設されたフットスイッチを乗員が足で操作することで、パワーシートの着座姿勢を調整することがきるので、操作性が良好である上に、運転席や助手席などのシートの配置位置に関係なく部品を共通化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るパワーシート操作装置の概略構成を示した側面図である。
【図2】図1のパワーシート操作装置の上面図である。
【図3】(a)は第1実施形態に係るフットスイッチの上面図、(b)は第2実施形態に係るフットスイッチの上面図、(c)は第3実施形態に係るフットスイッチの上面図である。
【図4】第1実施形態に係るフットスイッチのリクライニング操作(シートバック傾斜移動)のための手順を示した側面図である。
【図5】第1実施形態に係るフットスイッチのスライド操作(シートクッション前後移動)のための手順を示した側面図である。
【図6】第2実施形態に係るフットスイッチのリクライニング操作(シートバック傾斜移動)のための手順を示した側面図である。
【図7】第2実施形態に係るフットスイッチのスライド操作(シートクッション前移動)のための手順を示した側面図である。
【図8】第2実施形態に係るフットスイッチのスライド操作(シートクッション後移動)のための手順を示した側面図である。
【図9】第3実施形態に係るフットスイッチへの足載せ状態を説明するための図である。
【図10】第3実施形態に係るフットスイッチのリクライニング操作(シートバック傾斜移動)のための手順を示した側面図である。
【図11】第3実施形態に係るフットスイッチのスライド操作(シートクッション前後移動)のための手順を示した側面図である。
【図12】第3実施形態に係るフットスイッチのリフト操作(シートクッション上下移動)のための手順を示した側面図である。
【図13】パワーシート操作装置の操作手順を説明するためのフローチャート(その1)である。
【図14】パワーシート操作装置の操作手順を説明するためのフローチャート(その2)である。
【図15】従来用いられてきたパワーシートとその操作スイッチの概略構成を示した上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係るパワーシート操作装置の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1に示されるように、車両1に備えられるパワーシート3は、乗員の着座部となるシートクッション3aと、乗員の背凭れ部でありシートクッション3aに対して傾動可能なシートバック3bと、このシートバック3bの頂部に組み付けられて乗員の後頭部を受けるヘッドレスト3cを備えている。
【0015】
シートクッション3aは、図示しないスライド機構を介して車体のフロア(床部)Fに連結されている。このスライド機構は、シートクッション駆動源としてのスライドモータ5を備えており、このスライドモータ5が作動することで、シートクッション3aが前後にスライド移動することが可能になっている。
【0016】
また、シートバック3bは、下端部が図示しないリクライニング機構を介してシートクッション3aの後端部に連結されている。このリクライニング機構は、シートバック駆動源としてのリクライニングモータ6を備えており、このリクライニングモータ6が作動することで、シートバック3bがシートクッション3aに対して下端部を中心にして前後に傾斜移動することが可能になっている。
【0017】
これらスライドモータ5およびリクライニングモータ6は、シート制御装置7に接続されており、シート制御装置7からの信号によって作動(駆動)するようになっている。
【0018】
このようなパワーシート3のスライドモータ5およびリクライニングモータ6を作動させる操作スイッチとして、乗員の足によって操作されるフットスイッチ10が、パワーシート3の足元の車両フロアFに配設されている(図1および図2参照)。このフットスイッチ10は、シート制御装置7に接続されており、シート制御装置7に、スライドモータ5またはリクライニングモータ6を作動させるための操作信号を出力するようになっている。
【0019】
また、ドアトリム(ドアパネル2を車室内側から覆う樹脂製の部材)2aには、シート調整開始スイッチ20が設けられている。このシート調整開始スイッチ20は、シート制御装置7に接続されており、乗員によって押圧操作されると、その操作信号がシート制御装置6に受信されるようになっている。このシート調整開始スイッチ20は、押圧時のみオンが継続し得る自動復帰型スイッチであり、押圧操作している間、有効な操作信号をシート制御装置7に出力して、シート制御装置7によるスライドモータ5およびリクライニングモータ6の作動(駆動)を可能にする。
【0020】
図3は、フットスイッチ10の第1〜第3実施形態を示しており、(a)は第1実施形態に係るフットスイッチ10Aの上面図、(b)は第2実施形態に係るフットスイッチ10Bの上面図、(c)は第3実施形態に係るフットスイッチ10Cの上面図である。
【0021】
先ず、第1実施形態に係るフットスイッチ10Aおよびその操作方法について、図3(a)、図4および図5を用いて説明する。図3(a)に示されるように、フットスイッチ10A,10Aは、足(靴底)に相当する大きさを有しており、右足用と左足用に左右一対で設けられている。フットスイッチ10A,10Aには、前後に3個の押圧式スイッチからなるスイッチ11a,11b,11cが設けられている。これらスイッチ11a〜11cは、押圧時のみオンが継続し得る自動復帰型スイッチであり、押圧操作している間、有効な操作信号をシート制御装置7に出力する。
【0022】
この場合、スイッチ11aは、乗員の足30のつま先部30aに対応した位置に配設され、スイッチ11bは、足30の土踏まず部30bに対応した位置に配設され、スイッチ11cは、足30の踵部30cに対応した位置に配設されている。
【0023】
次に、このようなフットスイッチ10A(パワーシート操作装置)の操作方法について図13および図14のフローチャートを参照しつつ説明する。先ず、車両1に備えられるイグニッションスイッチがオフ、オートマチックトランスミッションのシフトレバーがパーキング位置、シートベルトに取り付けられたタングプレートとパワーシートに固定されたバックルとの連結を検出するバックルスイッチがオフであることなどが確認される(S1〜S3)。なお、これらの条件は例示であり、適宜変更可能である。そして、シート調整開始スイッチ20を押圧して(S4)、シート制御装置7によるモータ5,6の作動を可能にする(S5)。
【0024】
パワーシート3をリクライニング動作させる場合、シート調整開始スイッチ20を押圧した状態を維持したまま(S6,S7)、図4(a)に示されるように、スイッチ11aおよびスイッチ11bを、足30の踵部30cを浮かせた状態でつま先部30aおよび土踏まず部30bで同時に押圧する(S8)。シート制御装置7は、スイッチ11aおよびスイッチ11bからの操作信号を受信すると、リクライニングモータ6を作動させて、シートバック3bを前方へと傾斜移動させる(S9,S10)。また、同様にシート調整開始スイッチ20を押圧しながら(S6,S7)、図4(b)に示されるように、スイッチ11bおよびスイッチ11cを、足30のつま先部30aを浮かせた状態で土踏まず部30bおよび踵部30cで同時に押圧することで(S11)、シートバック3bを後方へと傾斜移動させることができる(S12,S13)。
【0025】
一方、パワーシート3をスライド動作させる場合には、シート調整開始スイッチ20を押圧して、シート制御装置7によるモータ5,6の作動を可能にした状態で(S6,S7)、図5(a)に示されるように、スイッチ11cを、つま先部30aで押圧する(S14)。シート制御装置7は、スイッチ11cからの操作信号を受信すると、スライドモータ5を作動させて、シートクッション3a前方へとスライド移動させる(S15,S16)。また、同様にシート調整開始スイッチ20を押圧しながら(S6,S7)、図5(b)に示されるように、スイッチ11cを、踵部30cで押圧することで(S17)、シートクッション3aを後方へとスライド移動させることができる(S18,S19)。
【0026】
このように足30を、パワーシート3のリクライニング動作に見立てたようにフットスイッチ10Aに載せたり、パワーシート3のスライド動作に見立てたようにフットスイッチ10A上で動かしたりすることで、簡便にパワーシート3の着座姿勢を調整することが可能である。
【0027】
次に、第2実施形態に係るフットスイッチ10Bおよびその操作方法について、図3(b)、図6〜図7を用いて説明する。図3(b)に示されるように、フットスイッチ10B,10Bは、足(靴底)に相当する大きさを有しており、右足用と左足用に左右一対で設けられている。フットスイッチ10B,10Bには、前後に2個の歪みゲージなどの荷重センサからなるスイッチ12a,12bが設けられている。これらスイッチ12a,12bは、押圧時の荷重を検出することで、押圧操作している間、有効な操作信号をシート制御装置7に出力する。
【0028】
この場合、スイッチ12aは、乗員の足30のつま先部30aに対応した位置に配設され、スイッチ12bは、足30の踵部30cに対応した位置に配設されている。
【0029】
次に、このようなフットスイッチ10B(パワーシート操作装置)の操作方法について図13および図14のフローチャートを参照しつつ説明する。上記第1実施形態と同様に、先ず、車両1に備えられるイグニッションスイッチがオフ、オートマチックトランスミッションのシフトレバーがパーキング位置、シートベルトに取り付けられたタングプレートとパワーシートに固定されたバックルとの連結を検出するバックルスイッチがオフであることなどが確認される(S1〜S3)。そして、シート調整開始スイッチ20を押圧して(S4)、シート制御装置7によるモータ5,6の作動を可能にする(S5)。
【0030】
パワーシート3をリクライニング動作させる場合、シート調整開始スイッチ20を押圧した状態を維持したまま(S6,S7)、図6(a)に示されるように、スイッチ12aを、つま先部30aで押圧する(S8)。シート制御装置7は、スイッチ12aからの操作信号を受信すると、リクライニングモータ6を作動させて、シートバック3bを前方へと傾斜移動させる(S9,S10)。また、同様にシート調整開始スイッチ20を押圧しながら(S6,S7)、図6(b)に示されるように、スイッチ12bを、踵部30cで押圧することで(S11)、シートバック3bを後方へと傾斜移動させることができる(S12,S13)。尚、シート制御装置7は、荷重センサからなるスイッチ12a,12bへの押圧時の荷重の大小に応じて、モータ5,6の作動速度を変化させるように制御する構成にしても良い。具体的には、スイッチ12a,12bを強く踏む(押圧する)と速くリクライニング動作させ、スイッチ12a,12bを弱く踏む(押圧する)とゆっくりリクライング動作させるように制御することで、パワーシート3のリクライニング調整の操作性を向上させることができる。
【0031】
一方、パワーシート3をスライド動作させる場合には、シート調整開始スイッチ20を押圧して、シート制御装置7によるモータ5,6の作動を可能にした状態で(S6,S7)、図7に示されるように、足30を、スイッチ12b側から前方へと移動させることで、先ず、つま先部30aがスイッチ12bを押圧し、次に足30全体でスイッチ12aおよびスイッチ12bを同時に押圧し、最後に踵部30cがスイッチ12aを押圧する(S14)。シート制御装置7は、スイッチ12aおよびスイッチ12bから順次出力される操作信号を受信すると、スライドモータ5を作動させて、シートクッション3aを前方へとスライド移動させる(S15,S16)。
【0032】
また、同様にシート調整開始スイッチ20を押圧しながら(S6,S7)、図8に示されるように、足30を、スイッチ12a側から後方へと移動させることで、先ず、踵部30cがスイッチ12aを押圧し、次に足30全体でスイッチ12aおよびスイッチ12bを同時に押圧し、最後につま先部30aがスイッチ12bを押圧することにより(S17)、シートクッション3aを後方へとスライド移動させることができる(S18,S19)。この場合も、シート制御装置7は、荷重センサからなるスイッチ12a,12bへの押圧時の荷重の大小に応じて、モータ5,6の作動速度を変化させるように制御する構成にしても良い。具体的には、スイッチ12a,12aを強く踏む(押圧する)と速くスライド動作させ、スイッチ12a,12bを弱く踏む(押圧する)とゆっくりスライド動作させるように制御することで、パワーシート3のスライド調整の操作性を向上させることができる。
【0033】
このように足30を、パワーシート3のリクライニング動作に見立てたようにフットスイッチ10Bに載せたり、パワーシート3のスライド動作に見立てたようにフットスイッチ10B上で動かしたりすることで、簡便にパワーシート3の着座姿勢を調整することが可能である。
【0034】
次に、第3実施形態に係るフットスイッチ10Cおよびその操作方法について、図3(c)、図9〜図11を用いて説明する。図3(c)に示されるように、フットスイッチ10C,10Cは、足(靴底)に相当する大きさを有しており、右足用と左足用に左右一対で設けられている。フットスイッチ10C,10Cには、前後に2個の静電容量式の近接スイッチからなるスイッチ13a,13bが設けられている。これらスイッチ13a,13bは、その検出領域内に電界を発生させて、スイッチ13a,13bと足30との間の距離に応じた操作信号を制御装置7に出力することが可能になっている。
【0035】
この場合、スイッチ13aは、乗員の足30のつま先部30aに対応した位置に配設され、スイッチ13bは、足30の踵部30cに対応した位置に配設されている。これらスイッチ13a,13bは、図9(a)に示されるように、足30が所定距離、例えば50mm以上離れた位置にある場合には第1操作信号を、図9(b)に示されるように、足30が所定距離、例えば50mm以内に位置する場合には第2操作信号を、図9(c)に示されるように、足30がスイッチ13a,13bに接している位置(直近の位置)にある場合には第3操作信号をシート制御装置7に出力するように構成されている。
【0036】
次に、このようなフットスイッチ10C(パワーシート操作装置)の操作方法について図13および図14のフローチャートを参照しつつ説明する。上記第1,2実施形態と同様に、先ず、車両1に備えられるイグニッションスイッチがオフ、オートマチックトランスミッションのシフトレバーがパーキング位置、シートベルトに取り付けられたタングプレートとパワーシートに固定されたバックルとの連結を検出するバックルスイッチがオフであることなどが確認される(S1〜S3)。そして、シート調整開始スイッチ20を押圧して(S4)、シート制御装置7によるモータ5,6の作動を可能にする(S5)。
【0037】
パワーシート3をリクライニング動作させる場合、シート調整開始スイッチ20を押圧した状態を維持したまま(S6,S7)、図10(a)に示されるように、スイッチ13aにつま先部30aを載せると共にスイッチ13b上で踵部30cを浮かせることで(S8)、スイッチ13aから第3操作信号およびスイッチ13bから第2操作信号をそれぞれ出力させる。シート制御装置7は、スイッチ13aからの第3操作信号およびスイッチ13bからの第2操作信号を受信すると、リクライニングモータ6を作動させて、シートバック3bを前方へと傾斜移動させる(S9,S10)。また、同様にシート調整開始スイッチ20を押圧しながら(S6,S7)、図10(b)に示されるように、スイッチ13a上でつま先部30aを浮かせると共にスイッチ13bに踵部30cを載せることで(S11)、シートバック3bを後方へと傾斜移動させることができる(S12,S13)。
【0038】
一方、パワーシート3をスライド動作させる場合には、シート調整開始スイッチ20を押圧して、シート制御装置7によるモータ5,6の作動を可能にした状態で(S6,S7)、図11(a)に示されるように、踵部30cをスイッチ13aに載せることで(S14)、スイッチ13aから第3操作信号およびスイッチ13bから第1操作信号を出力させる。シート制御装置7は、スイッチ13aからの第3操作信号およびスイッチ13bからの第1操作信号を受信すると、スライドモータ5を作動させて、シートクッション3aを前方へとスライド移動させる(S15,S16)。また、同様にシート調整開始スイッチ20を押圧しながら(S6,S7)、図11(b)に示されるように、つま先部30aをスイッチ13bに載せて(S17)、スイッチ13aから第1操作信号およびスイッチ13bから第3操作信号を出力させることで、シートクッション3aを後方へとスライド移動させることができる(S18,S19)。
【0039】
尚、図12は、パワーシート3が、シートクッション(座面)3aを上下に昇降させるためのリフトモータ8を有したリフト機構を備えている場合のフットスイッチ10Cへの操作の手順を示している。この場合も、先ず、シート調整開始スイッチ20を押圧して、シート制御装置7によるモータ5,6,8の作動を可能にしてから、図12(a)に示されるように、足30をスイッチ13a,13b上で浮かせて、スイッチ13a,13bから第1操作信号をそれぞれ出力させた後に、足30をスイッチ13a,13bに載せて、スイッチ13a,13bからそれぞれ第3操作信号を出力させる。シート制御装置7は、スイッチ13a,13bからの第3操作信号と第1操作信号を順に受信すると、リフトモータ8を作動させて、シートクッション(座面)3aを下降移動させる。また、同様にシート調整開始スイッチ20を押圧しながら、図12(b)に示されるように、足30をスイッチ13a,13bに載せて、スイッチ13a,13bから第3操作信号をそれぞれ出力させた後に、足30をスイッチ13a,13b上で浮かせて、スイッチ13a,13bから第1操作信号をそれぞれ出力させることで、シートクッション(座面)3aを上昇移動させることができる。
【0040】
このように足30を、パワーシート3のリクライニング動作やスライド動作に見立てたようにフットスイッチ10Cに載せたり、パワーシート3のリフト動作に見立てたようにフットスイッチ10C上で動かしたりすることで、簡便にパワーシート3の着座姿勢を調整することが可能である。
【0041】
以上説明した第1〜3実施形態において、シート調整開始スイッチ20の押圧を解消すれば(S20)調整は終了する。
【0042】
以上説明した本発明によれば、パワーシート3の操作スイッチが、パワーシート3の足元スペースの車両フロアFに配設されたフットスイッチ10からなるので、乗員はこのフットスイッチ10を足で操作することで、パワーシート3の着座姿勢を調整することができる。これにより、操作性が良好となる上に、運転席や助手席などのシートの配置位置に関係なく部品を共通化することが可能である。
【0043】
この場合、フットスイッチ10は、そのフットスイッチ10への乗員の足載せ状態を検出する構成にすると良い。このようなフットスイッチ10としては、押圧式スイッチ11a〜11cを配設したもの(フットスイッチ10A)、ひずみゲージなどの荷重センサ12a,12bを配設したもの(フットスイッチ10B)、静電容量センサなどの近接スイッチ13a,13bを配設したもの(フットスイッチ10C)などが適用可能である。また、このようなフットスイッチ10への足載せ状態としては、足30のつま先30aを載せて踵30cを浮かせた状態、足30の踵30cを載せてつま先30aを浮かせた状態、足30全体を載せた状態、足30全体を浮かせた状態などが例示され、このような種々なる足載せ状態をフットスイッチ10に検出させることで、パワーシート3のシートバック3bをリクライニング動作させたりシートクッション3aをスライド動作させたりことが簡便に行うことができる。
【0044】
また、更に、シート調整開始スイッチ20を備え、そのシート調整開始スイッチ20の押圧時のみパワーシート3の駆動源(5,6)の作動を可能にした構成になっているので、フットスイッチ10への不用意な操作によって、パワーシート3がリクライニング動作したりスライド動作したりすることが防止され、安全性が確保される。
【0045】
以上、本発明に係るパワーシート操作装置の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。
【0046】
例えば、上述した実施形態では、フットスイッチ10によって主にパワーシート3のリクライニング機構とスライド機構を操作する構成について説明したが、パワーシート3が、シートバック3bの内部に乗員の腰椎部を支持するランバーサポートを上下前後に移動(揺動)させるランバーサポート機構や、乗員の下腿部(ふくらはぎ)を下方側から支持するオットマンを収納展開移動させるオットマン機構を備えている場合には、これらの機構の動作をフットスイッチ10で操作するようにしても良く、上述した実施の形態には限定されない。
【0047】
この場合、パワーシート3のリクライニング機構およびスライド機構の操作と、ランバーサポート機構およびオットマン機構の操作を切り換えられる切換スイッチを、例えば、ドアトリムに設ければ、これら全ての機構を、フットスイッチ10一つで簡便に操作することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 車両
2 ドアパネル
2a ドアトリム
3 パワーシート
3a シートクッション
3b シートバック
3c ヘッドレスト
5 スライドモータ
6 リクライニングモータ
7 シート制御装置
8 リフトモータ
10 フットスイッチ
11a〜11c スイッチ(押圧式スイッチ)
12a,12b スイッチ(荷重センサ)
13a,13b スイッチ(近接スイッチ)
20 シート調整開始スイッチ
30 足
30a つま先部
30b 土踏まず部
30c 踵部
F 車両フロア
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの車両の備えられるパワーシートの操作スイッチに関し、更に詳しくは、操作性が良好な操作スイッチを備えたパワーシート操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用シートとしては、着座姿勢を調整する手段として背凭れ部の傾斜移動のための駆動源や着座部の前後移動のための駆動源などを備えたパワーシートが用いられている。図15に示されるように、このようなパワーシート3の操作スイッチ40は、通常、着座部であるシートクッション3a側面に配置されており、乗員が手で操作するようになっている。例えば、背凭れ部としてのシートバック3bを傾斜移動させる際には、リクライニング用スイッチ40aを乗員が手で操作する一方、シートを前後移動させる際には、スライド用スイッチ40bを乗員が手で操作するようになっている。尚、本発明に関連する先行技術文献としては下記特許文献が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−298282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなパワーシート3の操作スイッチ40は、ドアトリム(ドアパネル2を車室内側から覆う樹脂製の部材)2aと、シートクッション3aとの間の狭い空間に配置されているため、リクライニング用スイッチ40aとスライド用スイッチ40bのどちらのスイッチに手が触れているか目視で確認することができないため、操作性が悪いという問題があった。
【0005】
また、操作スイッチ40は、ドアトリム2a側のシートクッション3a側面に配置された構成、つまり図15に示されるように運手席ではシートクッション3aの右側面に配置され、助手席ではシートクッション3aの左側面に配置された構成となっていることから、運転席と助手席とでは、リクライニング用スイッチ40aとスライド用スイッチ40bの形状や配置が異なり、操作スイッチ40を運手席用と助手席用とにそれぞれ専用に用意する必要があるため、部品点数が増加してしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本発明が解決する課題は、操作性が良好で、運転席や助手席などのシートの配置位置に関係なく部品を共通化することが可能なパワーシートの操作装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明は、車両に備えられたパワーシートの着座姿勢を調整するための駆動源を作動させる操作スイッチを備えたパワーシート操作装置であって、前記操作スイッチは、前記パワーシートの足元スペースの車両フロアに配設されたフットスイッチからなることを要旨とするものである。
【0008】
このような構成のパワーシート操作装置によれば、パワーシートの操作スイッチが、パワーシートの足元スペースの車両フロアに配設されたフットスイッチからなるので、乗員はこのフットスイッチを足で操作することで、パワーシートの着座姿勢を調整することができる。これにより、操作性が良好となる上に、運転席や助手席などのシートの配置位置に関係なく部品を共通化することが可能である。
【0009】
この場合、前記フットスイッチは、該フットスイッチへの乗員の足載せ状態を検出する構成にすると良い。このようなフットスイッチとしては、押圧式スイッチを複数配設したもの、ひずみゲージなどの荷重センサを複数配設したもの、静電容量センサなどの近接スイッチを複数配設したものなどが適用可能である。また、このようなフットスイッチへの足載せ状態としては、足のつま先を載せて踵を浮かせた状態、足の踵を載せてつま先を浮かせた状態、足全体を載せた状態、足全体を浮かせた状態などが例示され、このような種々なる足載せ状態をフットスイッチに検出させることで、例えば、パワーシートの背凭れ部をリクライニング動作させたり着座部をスライド動作させたりことが簡便に行うことができる。
【0010】
また、更に、シート調整開始スイッチを備え、該シート調整開始スイッチの押圧時のみ前記駆動源の作動を可能にした構成にすると良い。このような構成によればフットスイッチへの不用意な操作によって、パワーシートがリクライニング動作したりスライド動作したりすることが防止され、安全性が確保される。この場合、車両に備えられるイグニッションスイッチがオフ、オートマチックトランスミッションのシフトレバーがパーキング位置、シートベルトに取り付けられたタングプレートとパワーシートに固定されたバックルとの連結を検出するバックルスイッチがオフであるなどを、パワーシートに備えられる駆動源の作動を可能にする条件に加えた構成にしても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るパワーシート操作装置によれば、パワーシートの足元スペースの車両フロアに配設されたフットスイッチを乗員が足で操作することで、パワーシートの着座姿勢を調整することがきるので、操作性が良好である上に、運転席や助手席などのシートの配置位置に関係なく部品を共通化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るパワーシート操作装置の概略構成を示した側面図である。
【図2】図1のパワーシート操作装置の上面図である。
【図3】(a)は第1実施形態に係るフットスイッチの上面図、(b)は第2実施形態に係るフットスイッチの上面図、(c)は第3実施形態に係るフットスイッチの上面図である。
【図4】第1実施形態に係るフットスイッチのリクライニング操作(シートバック傾斜移動)のための手順を示した側面図である。
【図5】第1実施形態に係るフットスイッチのスライド操作(シートクッション前後移動)のための手順を示した側面図である。
【図6】第2実施形態に係るフットスイッチのリクライニング操作(シートバック傾斜移動)のための手順を示した側面図である。
【図7】第2実施形態に係るフットスイッチのスライド操作(シートクッション前移動)のための手順を示した側面図である。
【図8】第2実施形態に係るフットスイッチのスライド操作(シートクッション後移動)のための手順を示した側面図である。
【図9】第3実施形態に係るフットスイッチへの足載せ状態を説明するための図である。
【図10】第3実施形態に係るフットスイッチのリクライニング操作(シートバック傾斜移動)のための手順を示した側面図である。
【図11】第3実施形態に係るフットスイッチのスライド操作(シートクッション前後移動)のための手順を示した側面図である。
【図12】第3実施形態に係るフットスイッチのリフト操作(シートクッション上下移動)のための手順を示した側面図である。
【図13】パワーシート操作装置の操作手順を説明するためのフローチャート(その1)である。
【図14】パワーシート操作装置の操作手順を説明するためのフローチャート(その2)である。
【図15】従来用いられてきたパワーシートとその操作スイッチの概略構成を示した上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係るパワーシート操作装置の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1に示されるように、車両1に備えられるパワーシート3は、乗員の着座部となるシートクッション3aと、乗員の背凭れ部でありシートクッション3aに対して傾動可能なシートバック3bと、このシートバック3bの頂部に組み付けられて乗員の後頭部を受けるヘッドレスト3cを備えている。
【0015】
シートクッション3aは、図示しないスライド機構を介して車体のフロア(床部)Fに連結されている。このスライド機構は、シートクッション駆動源としてのスライドモータ5を備えており、このスライドモータ5が作動することで、シートクッション3aが前後にスライド移動することが可能になっている。
【0016】
また、シートバック3bは、下端部が図示しないリクライニング機構を介してシートクッション3aの後端部に連結されている。このリクライニング機構は、シートバック駆動源としてのリクライニングモータ6を備えており、このリクライニングモータ6が作動することで、シートバック3bがシートクッション3aに対して下端部を中心にして前後に傾斜移動することが可能になっている。
【0017】
これらスライドモータ5およびリクライニングモータ6は、シート制御装置7に接続されており、シート制御装置7からの信号によって作動(駆動)するようになっている。
【0018】
このようなパワーシート3のスライドモータ5およびリクライニングモータ6を作動させる操作スイッチとして、乗員の足によって操作されるフットスイッチ10が、パワーシート3の足元の車両フロアFに配設されている(図1および図2参照)。このフットスイッチ10は、シート制御装置7に接続されており、シート制御装置7に、スライドモータ5またはリクライニングモータ6を作動させるための操作信号を出力するようになっている。
【0019】
また、ドアトリム(ドアパネル2を車室内側から覆う樹脂製の部材)2aには、シート調整開始スイッチ20が設けられている。このシート調整開始スイッチ20は、シート制御装置7に接続されており、乗員によって押圧操作されると、その操作信号がシート制御装置6に受信されるようになっている。このシート調整開始スイッチ20は、押圧時のみオンが継続し得る自動復帰型スイッチであり、押圧操作している間、有効な操作信号をシート制御装置7に出力して、シート制御装置7によるスライドモータ5およびリクライニングモータ6の作動(駆動)を可能にする。
【0020】
図3は、フットスイッチ10の第1〜第3実施形態を示しており、(a)は第1実施形態に係るフットスイッチ10Aの上面図、(b)は第2実施形態に係るフットスイッチ10Bの上面図、(c)は第3実施形態に係るフットスイッチ10Cの上面図である。
【0021】
先ず、第1実施形態に係るフットスイッチ10Aおよびその操作方法について、図3(a)、図4および図5を用いて説明する。図3(a)に示されるように、フットスイッチ10A,10Aは、足(靴底)に相当する大きさを有しており、右足用と左足用に左右一対で設けられている。フットスイッチ10A,10Aには、前後に3個の押圧式スイッチからなるスイッチ11a,11b,11cが設けられている。これらスイッチ11a〜11cは、押圧時のみオンが継続し得る自動復帰型スイッチであり、押圧操作している間、有効な操作信号をシート制御装置7に出力する。
【0022】
この場合、スイッチ11aは、乗員の足30のつま先部30aに対応した位置に配設され、スイッチ11bは、足30の土踏まず部30bに対応した位置に配設され、スイッチ11cは、足30の踵部30cに対応した位置に配設されている。
【0023】
次に、このようなフットスイッチ10A(パワーシート操作装置)の操作方法について図13および図14のフローチャートを参照しつつ説明する。先ず、車両1に備えられるイグニッションスイッチがオフ、オートマチックトランスミッションのシフトレバーがパーキング位置、シートベルトに取り付けられたタングプレートとパワーシートに固定されたバックルとの連結を検出するバックルスイッチがオフであることなどが確認される(S1〜S3)。なお、これらの条件は例示であり、適宜変更可能である。そして、シート調整開始スイッチ20を押圧して(S4)、シート制御装置7によるモータ5,6の作動を可能にする(S5)。
【0024】
パワーシート3をリクライニング動作させる場合、シート調整開始スイッチ20を押圧した状態を維持したまま(S6,S7)、図4(a)に示されるように、スイッチ11aおよびスイッチ11bを、足30の踵部30cを浮かせた状態でつま先部30aおよび土踏まず部30bで同時に押圧する(S8)。シート制御装置7は、スイッチ11aおよびスイッチ11bからの操作信号を受信すると、リクライニングモータ6を作動させて、シートバック3bを前方へと傾斜移動させる(S9,S10)。また、同様にシート調整開始スイッチ20を押圧しながら(S6,S7)、図4(b)に示されるように、スイッチ11bおよびスイッチ11cを、足30のつま先部30aを浮かせた状態で土踏まず部30bおよび踵部30cで同時に押圧することで(S11)、シートバック3bを後方へと傾斜移動させることができる(S12,S13)。
【0025】
一方、パワーシート3をスライド動作させる場合には、シート調整開始スイッチ20を押圧して、シート制御装置7によるモータ5,6の作動を可能にした状態で(S6,S7)、図5(a)に示されるように、スイッチ11cを、つま先部30aで押圧する(S14)。シート制御装置7は、スイッチ11cからの操作信号を受信すると、スライドモータ5を作動させて、シートクッション3a前方へとスライド移動させる(S15,S16)。また、同様にシート調整開始スイッチ20を押圧しながら(S6,S7)、図5(b)に示されるように、スイッチ11cを、踵部30cで押圧することで(S17)、シートクッション3aを後方へとスライド移動させることができる(S18,S19)。
【0026】
このように足30を、パワーシート3のリクライニング動作に見立てたようにフットスイッチ10Aに載せたり、パワーシート3のスライド動作に見立てたようにフットスイッチ10A上で動かしたりすることで、簡便にパワーシート3の着座姿勢を調整することが可能である。
【0027】
次に、第2実施形態に係るフットスイッチ10Bおよびその操作方法について、図3(b)、図6〜図7を用いて説明する。図3(b)に示されるように、フットスイッチ10B,10Bは、足(靴底)に相当する大きさを有しており、右足用と左足用に左右一対で設けられている。フットスイッチ10B,10Bには、前後に2個の歪みゲージなどの荷重センサからなるスイッチ12a,12bが設けられている。これらスイッチ12a,12bは、押圧時の荷重を検出することで、押圧操作している間、有効な操作信号をシート制御装置7に出力する。
【0028】
この場合、スイッチ12aは、乗員の足30のつま先部30aに対応した位置に配設され、スイッチ12bは、足30の踵部30cに対応した位置に配設されている。
【0029】
次に、このようなフットスイッチ10B(パワーシート操作装置)の操作方法について図13および図14のフローチャートを参照しつつ説明する。上記第1実施形態と同様に、先ず、車両1に備えられるイグニッションスイッチがオフ、オートマチックトランスミッションのシフトレバーがパーキング位置、シートベルトに取り付けられたタングプレートとパワーシートに固定されたバックルとの連結を検出するバックルスイッチがオフであることなどが確認される(S1〜S3)。そして、シート調整開始スイッチ20を押圧して(S4)、シート制御装置7によるモータ5,6の作動を可能にする(S5)。
【0030】
パワーシート3をリクライニング動作させる場合、シート調整開始スイッチ20を押圧した状態を維持したまま(S6,S7)、図6(a)に示されるように、スイッチ12aを、つま先部30aで押圧する(S8)。シート制御装置7は、スイッチ12aからの操作信号を受信すると、リクライニングモータ6を作動させて、シートバック3bを前方へと傾斜移動させる(S9,S10)。また、同様にシート調整開始スイッチ20を押圧しながら(S6,S7)、図6(b)に示されるように、スイッチ12bを、踵部30cで押圧することで(S11)、シートバック3bを後方へと傾斜移動させることができる(S12,S13)。尚、シート制御装置7は、荷重センサからなるスイッチ12a,12bへの押圧時の荷重の大小に応じて、モータ5,6の作動速度を変化させるように制御する構成にしても良い。具体的には、スイッチ12a,12bを強く踏む(押圧する)と速くリクライニング動作させ、スイッチ12a,12bを弱く踏む(押圧する)とゆっくりリクライング動作させるように制御することで、パワーシート3のリクライニング調整の操作性を向上させることができる。
【0031】
一方、パワーシート3をスライド動作させる場合には、シート調整開始スイッチ20を押圧して、シート制御装置7によるモータ5,6の作動を可能にした状態で(S6,S7)、図7に示されるように、足30を、スイッチ12b側から前方へと移動させることで、先ず、つま先部30aがスイッチ12bを押圧し、次に足30全体でスイッチ12aおよびスイッチ12bを同時に押圧し、最後に踵部30cがスイッチ12aを押圧する(S14)。シート制御装置7は、スイッチ12aおよびスイッチ12bから順次出力される操作信号を受信すると、スライドモータ5を作動させて、シートクッション3aを前方へとスライド移動させる(S15,S16)。
【0032】
また、同様にシート調整開始スイッチ20を押圧しながら(S6,S7)、図8に示されるように、足30を、スイッチ12a側から後方へと移動させることで、先ず、踵部30cがスイッチ12aを押圧し、次に足30全体でスイッチ12aおよびスイッチ12bを同時に押圧し、最後につま先部30aがスイッチ12bを押圧することにより(S17)、シートクッション3aを後方へとスライド移動させることができる(S18,S19)。この場合も、シート制御装置7は、荷重センサからなるスイッチ12a,12bへの押圧時の荷重の大小に応じて、モータ5,6の作動速度を変化させるように制御する構成にしても良い。具体的には、スイッチ12a,12aを強く踏む(押圧する)と速くスライド動作させ、スイッチ12a,12bを弱く踏む(押圧する)とゆっくりスライド動作させるように制御することで、パワーシート3のスライド調整の操作性を向上させることができる。
【0033】
このように足30を、パワーシート3のリクライニング動作に見立てたようにフットスイッチ10Bに載せたり、パワーシート3のスライド動作に見立てたようにフットスイッチ10B上で動かしたりすることで、簡便にパワーシート3の着座姿勢を調整することが可能である。
【0034】
次に、第3実施形態に係るフットスイッチ10Cおよびその操作方法について、図3(c)、図9〜図11を用いて説明する。図3(c)に示されるように、フットスイッチ10C,10Cは、足(靴底)に相当する大きさを有しており、右足用と左足用に左右一対で設けられている。フットスイッチ10C,10Cには、前後に2個の静電容量式の近接スイッチからなるスイッチ13a,13bが設けられている。これらスイッチ13a,13bは、その検出領域内に電界を発生させて、スイッチ13a,13bと足30との間の距離に応じた操作信号を制御装置7に出力することが可能になっている。
【0035】
この場合、スイッチ13aは、乗員の足30のつま先部30aに対応した位置に配設され、スイッチ13bは、足30の踵部30cに対応した位置に配設されている。これらスイッチ13a,13bは、図9(a)に示されるように、足30が所定距離、例えば50mm以上離れた位置にある場合には第1操作信号を、図9(b)に示されるように、足30が所定距離、例えば50mm以内に位置する場合には第2操作信号を、図9(c)に示されるように、足30がスイッチ13a,13bに接している位置(直近の位置)にある場合には第3操作信号をシート制御装置7に出力するように構成されている。
【0036】
次に、このようなフットスイッチ10C(パワーシート操作装置)の操作方法について図13および図14のフローチャートを参照しつつ説明する。上記第1,2実施形態と同様に、先ず、車両1に備えられるイグニッションスイッチがオフ、オートマチックトランスミッションのシフトレバーがパーキング位置、シートベルトに取り付けられたタングプレートとパワーシートに固定されたバックルとの連結を検出するバックルスイッチがオフであることなどが確認される(S1〜S3)。そして、シート調整開始スイッチ20を押圧して(S4)、シート制御装置7によるモータ5,6の作動を可能にする(S5)。
【0037】
パワーシート3をリクライニング動作させる場合、シート調整開始スイッチ20を押圧した状態を維持したまま(S6,S7)、図10(a)に示されるように、スイッチ13aにつま先部30aを載せると共にスイッチ13b上で踵部30cを浮かせることで(S8)、スイッチ13aから第3操作信号およびスイッチ13bから第2操作信号をそれぞれ出力させる。シート制御装置7は、スイッチ13aからの第3操作信号およびスイッチ13bからの第2操作信号を受信すると、リクライニングモータ6を作動させて、シートバック3bを前方へと傾斜移動させる(S9,S10)。また、同様にシート調整開始スイッチ20を押圧しながら(S6,S7)、図10(b)に示されるように、スイッチ13a上でつま先部30aを浮かせると共にスイッチ13bに踵部30cを載せることで(S11)、シートバック3bを後方へと傾斜移動させることができる(S12,S13)。
【0038】
一方、パワーシート3をスライド動作させる場合には、シート調整開始スイッチ20を押圧して、シート制御装置7によるモータ5,6の作動を可能にした状態で(S6,S7)、図11(a)に示されるように、踵部30cをスイッチ13aに載せることで(S14)、スイッチ13aから第3操作信号およびスイッチ13bから第1操作信号を出力させる。シート制御装置7は、スイッチ13aからの第3操作信号およびスイッチ13bからの第1操作信号を受信すると、スライドモータ5を作動させて、シートクッション3aを前方へとスライド移動させる(S15,S16)。また、同様にシート調整開始スイッチ20を押圧しながら(S6,S7)、図11(b)に示されるように、つま先部30aをスイッチ13bに載せて(S17)、スイッチ13aから第1操作信号およびスイッチ13bから第3操作信号を出力させることで、シートクッション3aを後方へとスライド移動させることができる(S18,S19)。
【0039】
尚、図12は、パワーシート3が、シートクッション(座面)3aを上下に昇降させるためのリフトモータ8を有したリフト機構を備えている場合のフットスイッチ10Cへの操作の手順を示している。この場合も、先ず、シート調整開始スイッチ20を押圧して、シート制御装置7によるモータ5,6,8の作動を可能にしてから、図12(a)に示されるように、足30をスイッチ13a,13b上で浮かせて、スイッチ13a,13bから第1操作信号をそれぞれ出力させた後に、足30をスイッチ13a,13bに載せて、スイッチ13a,13bからそれぞれ第3操作信号を出力させる。シート制御装置7は、スイッチ13a,13bからの第3操作信号と第1操作信号を順に受信すると、リフトモータ8を作動させて、シートクッション(座面)3aを下降移動させる。また、同様にシート調整開始スイッチ20を押圧しながら、図12(b)に示されるように、足30をスイッチ13a,13bに載せて、スイッチ13a,13bから第3操作信号をそれぞれ出力させた後に、足30をスイッチ13a,13b上で浮かせて、スイッチ13a,13bから第1操作信号をそれぞれ出力させることで、シートクッション(座面)3aを上昇移動させることができる。
【0040】
このように足30を、パワーシート3のリクライニング動作やスライド動作に見立てたようにフットスイッチ10Cに載せたり、パワーシート3のリフト動作に見立てたようにフットスイッチ10C上で動かしたりすることで、簡便にパワーシート3の着座姿勢を調整することが可能である。
【0041】
以上説明した第1〜3実施形態において、シート調整開始スイッチ20の押圧を解消すれば(S20)調整は終了する。
【0042】
以上説明した本発明によれば、パワーシート3の操作スイッチが、パワーシート3の足元スペースの車両フロアFに配設されたフットスイッチ10からなるので、乗員はこのフットスイッチ10を足で操作することで、パワーシート3の着座姿勢を調整することができる。これにより、操作性が良好となる上に、運転席や助手席などのシートの配置位置に関係なく部品を共通化することが可能である。
【0043】
この場合、フットスイッチ10は、そのフットスイッチ10への乗員の足載せ状態を検出する構成にすると良い。このようなフットスイッチ10としては、押圧式スイッチ11a〜11cを配設したもの(フットスイッチ10A)、ひずみゲージなどの荷重センサ12a,12bを配設したもの(フットスイッチ10B)、静電容量センサなどの近接スイッチ13a,13bを配設したもの(フットスイッチ10C)などが適用可能である。また、このようなフットスイッチ10への足載せ状態としては、足30のつま先30aを載せて踵30cを浮かせた状態、足30の踵30cを載せてつま先30aを浮かせた状態、足30全体を載せた状態、足30全体を浮かせた状態などが例示され、このような種々なる足載せ状態をフットスイッチ10に検出させることで、パワーシート3のシートバック3bをリクライニング動作させたりシートクッション3aをスライド動作させたりことが簡便に行うことができる。
【0044】
また、更に、シート調整開始スイッチ20を備え、そのシート調整開始スイッチ20の押圧時のみパワーシート3の駆動源(5,6)の作動を可能にした構成になっているので、フットスイッチ10への不用意な操作によって、パワーシート3がリクライニング動作したりスライド動作したりすることが防止され、安全性が確保される。
【0045】
以上、本発明に係るパワーシート操作装置の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。
【0046】
例えば、上述した実施形態では、フットスイッチ10によって主にパワーシート3のリクライニング機構とスライド機構を操作する構成について説明したが、パワーシート3が、シートバック3bの内部に乗員の腰椎部を支持するランバーサポートを上下前後に移動(揺動)させるランバーサポート機構や、乗員の下腿部(ふくらはぎ)を下方側から支持するオットマンを収納展開移動させるオットマン機構を備えている場合には、これらの機構の動作をフットスイッチ10で操作するようにしても良く、上述した実施の形態には限定されない。
【0047】
この場合、パワーシート3のリクライニング機構およびスライド機構の操作と、ランバーサポート機構およびオットマン機構の操作を切り換えられる切換スイッチを、例えば、ドアトリムに設ければ、これら全ての機構を、フットスイッチ10一つで簡便に操作することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 車両
2 ドアパネル
2a ドアトリム
3 パワーシート
3a シートクッション
3b シートバック
3c ヘッドレスト
5 スライドモータ
6 リクライニングモータ
7 シート制御装置
8 リフトモータ
10 フットスイッチ
11a〜11c スイッチ(押圧式スイッチ)
12a,12b スイッチ(荷重センサ)
13a,13b スイッチ(近接スイッチ)
20 シート調整開始スイッチ
30 足
30a つま先部
30b 土踏まず部
30c 踵部
F 車両フロア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えられたパワーシートの着座姿勢を調整するための駆動源を作動させる操作スイッチを備えたパワーシート操作装置であって、前記操作スイッチは、前記パワーシートの足元スペースの車両フロアに配設されたフットスイッチからなることを特徴とするパワーシート操作装置。
【請求項2】
前記フットスイッチは、該フットスイッチへの乗員の足載せ状態を検出することを特徴とする請求項1に記載のパワーシート操作装置。
【請求項3】
更に、シート調整開始スイッチを備え、該シート調整開始スイッチの押圧時のみ前記駆動源の作動を可能にしたことを特徴とする請求項1または2に記載のパワーシート操作装置。
【請求項1】
車両に備えられたパワーシートの着座姿勢を調整するための駆動源を作動させる操作スイッチを備えたパワーシート操作装置であって、前記操作スイッチは、前記パワーシートの足元スペースの車両フロアに配設されたフットスイッチからなることを特徴とするパワーシート操作装置。
【請求項2】
前記フットスイッチは、該フットスイッチへの乗員の足載せ状態を検出することを特徴とする請求項1に記載のパワーシート操作装置。
【請求項3】
更に、シート調整開始スイッチを備え、該シート調整開始スイッチの押圧時のみ前記駆動源の作動を可能にしたことを特徴とする請求項1または2に記載のパワーシート操作装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−136146(P2012−136146A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289762(P2010−289762)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
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