説明

パンの焼き色を抑える焼成方法及びパンの焼き色を抑える焼成用治具

【課題】パンを焼成する通常のオーブン温度の設定を変えることなく、焼成条件の異なる他のパンと同時に、焼き色を抑えた白い食パンの焼成ができる焼成用治具を提供する。
【解決手段】オーブン内にパン生地を入れた食型を置きパンを焼成製造するに当たり、食型の周側面及び底面への伝熱を抑制する容器4に、パン生地を入れた食型を収容してオーブンに入れ焼成する。前記容器4は上面が開放され、側壁はパン生地を入れる食型とほぼ同じ高さとし、かつ、食型を収容できるもので、容器により、パン生地を入れた食型の周側面及び底面への伝熱を抑制しパンの焼き色を抑える焼成用治具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーブン等のパン焼成機でパンを焼成して販売する店舗等において、パン類を焼成する通常のオーブン温度の設定を変えることなく、焼成温度の低い焼き色を抑えたパンの焼成ができるようにしたパンの焼き色を抑える焼成方法と、パンの焼き色を抑える焼成用治具に関するもので、特に食型にパン生地を入れて焼成する食パンの周側面及び底面の焼き色を抑え白い食パンの焼成製造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オーブン等のパン焼成機でパン類を焼成製造して顧客に提供する店舗において、一つのオーブンで異なる焼成条件のパン類を焼成する場合、焼成条件の同じパンごとに焼成温度と焼成時間の設定をして焼成している。
そして、一般的に焼き色を抑える製品は低温で長時間焼成する必要があるため、他の焼成条件の異なるパン類と同時に焼くことができなかった。そこで、これらの焼成条件が異なる各種のパンを同時に焼くことができるように、上部に熱遮蔽板を、又、保護シートを天板上に置き、その上にパン生地を載置して焼成することにより、上部と下部からの伝熱を抑制し、通常の焼成温度で焼くパン類と若干伝熱する熱量を抑制して低い温度で焼くパン類とを同時に焼成する焼成方法(特許文献1参照)が提案されている。
また、伝熱する熱量の調整を天板の枚数を変える方法や天板の材質、構造を変える方法が(特許文献2参照)が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特許第3196739号公報
【特許文献2】特許第2729669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1及び2は、いずれもオーブンの内部に伝熱を抑制するための工夫をしたもので、伝熱が抑制される空間を作り、そこに焼成物を挿入して焼成するものであった。それ故、焼成温度の低い食型に入れたパン生地を焼成する場所及び広さが限定され作業効率が悪く、また、上方又は下方からの伝熱を防止できても、側面からの伝熱を抑制する手段が設けられていないため、パン生地を入れた食型の側面に加わる熱量を抑えることができないという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みて、オーブン内にパン生地を入れた食型への伝熱を抑制する装置を設けて低温で焼成する空間をオーブン内に作るのではなく、パン生地を入れた食型自体を囲い、オーブンの設定温度を変えることなく食型の周側面及び底面に作用する伝熱を抑制して焼き色を抑え、上面(焼成時)は従来の食パンと同様の濃い焼き色で、周側面及び底面はその焼き色よりも薄く抑えて白に近い焼き色にしたいわゆる白い食パンが焼成できるパンの焼き色を抑える焼成方法と、これに使用するパンの焼き色を抑える焼成用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1のパンの焼き色を抑える焼成方法は、オーブン内にパン生地を入れた食型を置きパンを焼成製造するに当たり、食型の周側面及び底面への伝熱を抑制する容器に、パン生地を入れた食型を収容してオーブンに入れ焼成することを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、食型の周側面及び底面への伝熱を抑制する容器内に、食型の側面及び底面との間に空隙を設けて、パン生地を入れた食型を収納することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3のパンの焼き色を抑える焼成用治具は、上面は開放され、側壁はパン生地を入れる食型とほぼ同じ高さとし、かつ、食型を収容できる容器で、食型の周側面及び底面への伝熱を抑制可能としたことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4のパンの焼き色を抑える焼成用治具は、上面は開放され、側壁はパン生地を入れる食型とほぼ同じ高さとし、内部に複数の隔壁を設けて複数の槽を形成した複数の食型を収容できる容器で、複数の食型の周側面及び底面への伝熱を抑制可能としたことを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3又は4において、食型が上面が開口した直方体で開口を蓋で開閉できる食パン用の食型としたものである。
【0011】
請求項6の発明は、請求項3又は4において、前記容器は、少なくともその底面に焼成時の伝熱を抑制する間隙を形成するための、1又は複数の突状部を設けたものである。
【0012】
請求項7の発明は、請求項4又は6において、前記隔壁は、内部に空気が流通する空間と、上面に1又は複数の開口を有する角筒状としたものである。
【0013】
請求項8の発明は、請求項4、6又は7のいずれかにおいて、前記隔壁の端部と容器との間に、複数の食型を結合する連結部材を挿入できる間隙を設け、複数の食型を結合した連結部材を前記間隙に嵌合して、複数の食型を隔壁で区切られた各槽に収容可能としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、オーブン内にパン生地を入れた食型を置きパンを焼成製造するに当たり、食型の周側面及び底面への伝熱を抑制する容器に、パン生地を入れた食型を収容してオーブンに入れ焼成製造するので、パン生地に加わる熱量が抑制され、オーブン内は通常の焼成温度に設定されていても、通常より低い温度で焼成するのと同等の効果があり、食型の内部の食パンの周側面と底面に加わる熱量が減少し焼き色が抑えられ、周側面と底面が濃い焼き色となることがなく白く焼きあげることができる。
【0015】
本発明によれば、食型の周側面及び底面への伝熱を抑制する容器と、該容器内に収容する食型の側面と底面との間に空隙が設けてあるので、伝熱の抑制効果が大きく、また、空隙の大きさにより伝熱する熱量を調整でき、焼成温度を変えることなく焼き色の調整ができる。
【0016】
本発明によれば、上面が開放され、側壁はパン生地を入れる食型とほぼ同じ高さとし、食型を収容できる容器としたので、この容器内に食型を入れることにより食型の周側面と底面を囲うことができ、オーブン内が通常の焼成温度に設定され焼成条件の異なる他のパンと同時に焼成しても、食型の周側面及び底面への伝熱が該容器で抑制され、該食型の内部の食パンの周側面と底面に作用する熱量が抑えられ、パンの周側面と底面の焼き色を抑えたパンが製造できる。
【0017】
本発明によれば、上面は開放され、側壁はパン生地を入れる食型とほぼ同じ高さとし、内部に複数の隔壁を設けて複数の槽を形成した複数の食型を収容できる容器としたので、複数の食型が各槽に収容され各食型の周側面と底面が囲われ伝熱が抑制され、中に入れたパン生地に作用する熱量が制限され、その周側面及び底面の焼き色が抑えられ同時に複数の白いパンが焼成できる。
【0018】
本発明によれば、上面が開口した直方体で開口を蓋で開閉できる食パン用の食型としたので、周側面と底面の焼き色を抑えた直方体の食パンを焼成することができる。
【0019】
本発明によれば、前記容器は、少なくともその底面に焼成時の伝熱を抑制する空隙を形成するための、1又は複数の突状部を設けたので、容器と食型の底面との間に突状部の高さの空隙を形成でき、食型の底面に作用する熱量を抑制できる。また、その突状部の高さを変えることにより、伝熱する熱量を調整でき、パンの焼き色を調整することができる。
【0020】
本発明によれば、前記隔壁は、内部に空気が流通する空間と、上面に1又は複数の開口を有する角筒状としたので、容器に収容した複数の食型の対向する内面側にも加熱空気が作用し熱量が加えられる。それ故、複数の食型に入れたそれぞれのパン生地の周側面を均一な焼き色で、かつ、その焼き色を抑えて焼成することができる。
【0021】
本発明によれば、前記隔壁の端部と容器との間に、複数の食型を結合する連結部材を挿入できる間隙を設け、複数の食型を結合した連結部材を前記間隙に嵌合して複数の食型を隔壁で区切られた各槽に収容可能としたので、連結部材で結合した複数の食型を容器内に収容でき、各槽に収容された各食型により複数のパン生地を同時に焼成でき、また、複数の食型の焼成用治具への出し入れが便利である。
【0022】
本発明によれば、店舗で焼成条件の異なるパンを同時にオーブンで焼成する場合に、通常のオーブンの設定温度を変えることなく、食型を容器に収容して一緒に焼成することができ、焼成条件の異なるパンごとに焼成温度と時間の設定を切り替えて焼成するロスをなくすことができるので、便利であり生産性の低下を防止でき経済的である。また、焼成した食パンは、周側面及び底面の焼き色が抑えられ白く焼き上げられるから、底面を上にして店舗のケース等に置くことにより、白い食パンとして需要者に判別させて提供でき、需要者の嗜好を喚起できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下本発明のパンの焼き色を抑える焼成方法及びパンの焼き色を抑える焼成用治具ついて図面を参照して説明する。
図1は本発明のパンの焼き色を抑える焼成用治具の平面図、図2は同断面図、図3は同斜視図、図4は食型を収容した状態の断面図、図5は食型と食型の開口を開閉する蓋を示す斜視図である。
また、図6は本発明の食パンの焼成用治具の別の実施形態を示す平面図、図7は同断面図、図8は同斜視図、図9は連結した一対の食型を示す斜視図、図10は食型を入れた焼成用治具(容器)を示す斜視図、図11は同断面図である。
さらに、図12は本発明により焼成した白い食パンの斜視図である。
【0024】
まず、本発明におけるパンの焼き色を抑える焼成方法は、オーブン内にパン生地を入れた食型Aを入れる際に、食型A自体を食型Aの周側面及び底面への伝熱を抑制することができる容器1又は4の中に収容し、その後オーブンの中に入れて焼成を開始する。これにより、オーブンの上下のヒーターから熱が伝導、輻射、対流により食型に熱伝達されするが、容器1又は4が伝熱を抑制しているので食型に作用する熱量が抑えられる。その結果、オーブンの設定温度より低い温度で焼成されることになり、焼き色の薄い白い食パンを焼成することができ、かつ、1つのオーブンの中で同時に焼成条件の異なるパン類を焼成することができる。
また、食型Aを容器1又は4の中に収容するに際し、食型Aの側面及び底面と、伝熱を抑制する容器1又は4との間に、空隙を設けて収容することにより、伝熱を抑制する効果が大きくなり、空隙の広さにより伝熱する熱量が変化するので、予めオーブンの設定温度と焼き色を抑えた白い食パンを焼成する温度とを勘案して空隙の幅を決定した容器1又は4とすることにより、所望の焼き色の食パンを効率よく焼成製造することができる。
【0025】
そして、本発明におけるパンの焼き色を抑える焼成用治具について、1つの食型を収容する焼成用治具を図1ないし図5に基づいて説明する。
Aは、従来使用されている食パンPの生地を入れて焼成する蓋付きの食型で、A’は上面開口を覆う蓋である。蓋は食型の側壁上端にスライドして開閉可能に備えられている。蓋はスライド式に限るものでなく、被せるようにしたものでもよい。
1は、金属製の容器からなる焼成用治具で、上面は開口され、側面はパン生地を入れる前記蓋付き食型Aとほぼ同じ高さとし、かつ、食型を収容できる大きさとする。金属製の容器(焼成用治具)1は、例えば角形の槽状で、側壁は食型Aとほぼ同じ高さで、かつ、食型Aの周りに空隙ができるようにして収容できる大きさとし、金属製の容器1と食型Aの側面及び底面で2重となり、オーブンの上下のヒーターから伝熱される熱量を抑制する。それ故、オーブンの設定温度より低い温度で焼成したと同じように食型に入れたパン生地が焼成されることになる。
金属製の容器1は、食型Aとの間にスペーサーにより、又は位置決め用の突状部を金属製の容器に設けることにより、食型Aの側面と容器1の側面との間に所定の空隙を設け、側方から作用する熱が内部の食型に伝わる熱量を調整することができる。
【0026】
パン生地を入れた食型Aは前記金属製の容器1に収容され、オーブン内の床面又は天板上に載せられ上下から加熱される。オーブンの下からの加熱に対しては、食型の底面に作用する熱量が多くなるので、金属製の容器1の底面に焼成時の伝熱を抑制する空隙を形成するための突状部3が設けられている。前記突状部3は、金属製の容器1と食型Aの底面との間に僅かの空隙を形成できる高さとし、食型内の食パンの底面の焼き色を抑えるようにする。
実施形態では、突状部3として、複数の丸いディンプルが所定間隔に配列されている。実施形態では、複数の突状部を設ける場合を説明したが、これに限られるものではなく、金属製の容器1の底面に1又は複数の凹状部を設けて、容器1とオーブン内の床面又は天板との間に空隙を設けるようにしてもよい。また、金属製の容器1の底面に突状部を設けた場合を示したが、これに限られるものではなく、金属製の容器1の側壁の内側下端近くに突状部を設け、この突状部で収容する食型を受け止め、容器1の底面と食型の底面との間に空隙ができるようにすることも自由である。
【0027】
本発明の焼成用治具1の槽2に食型Aを収容してオーブンに入れて焼成すると、食型Aの内部に入れた食パン生地の周側面及び底面は、焼成用治具1と食型Aの側面が重なって伝熱する熱量が抑制され焼き色が抑えられた白に近い薄い茶色に焼成でき、上面は蓋だけであるから一重であるために、焼き色が濃い茶色に焼成される。したがって、図12に示すように、食パンPの底面(イ)と側面(ロ)は焼き色が薄く白色となり、上面(ハ)は従来通り焼き色が濃く茶色となる。
【0028】
図6ないし図11は、本発明の食パンの焼成用治具の別の実施形態で、2個の食型を収容できる場合を説明する。
4は金属製の容器からなる角形の槽状とした焼成用治具で、側壁をパン生地を入れる蓋付き食型Aとほぼ同じ高さとし、中央に内部を2つに区分する金属製の隔壁5を設け、両側に食型Aを収容する槽6を有する。この両側の槽6内に食型Aを収容し、金属製の容器4と食型Aの底面と側面で2重として、外部から焼成する際の伝熱を抑制して、焼き色を抑えるようにする。
また、この金属製の容器4にも前記と同様に、その底面に接触面積を少なくして焼成時の伝熱を抑制する空隙を形成するための複数の突状部3が設けられている。実施形態では、突状部3として、複数の丸いディンプルが所定間隔に配列されている。
【0029】
前記隔壁5は、内部に空気が流通する空間5aと、上面に1又は複数の開口5bを有する断面コ字型でその両側の下端をL型に折り曲げ形成した取付部5cを底面に固着し、角筒状に形成されている。隔壁5の高さは食型とほぼ同じか、それより高くするのが好ましく、また隔壁の内部空間5aには食型Aの側面を焼成するのに必要な加熱された空気を流通させ、隔壁5の側面と食型Aの側面が重合して伝熱を抑制して内部の食パンの焼き色を抑えて焼成する。隔壁の長さは食型の長さとほぼ同じとしてあるが、これに限られるものではない。
前記隔壁5には2つの食型Aを連結する金属製連結部材7を挿入できる間隙8が設けられている。実施形態では、連結部材である環状帯7を挿入するために隔壁5の両端と金属製の容器4の内周面との間に間隙8が形成されている。
金属製の容器4には、角筒状とした隔壁5を設けたので、焼成時に両側に収容する食型内の食パンの底面(イ)と、外側の側面(ロ)だけでなく、隔壁に面する食パンの側面(ロ)の焼成も抑制できる。上面(ハ)は従来通り焼き色が濃く茶色となる。したがって、一つの治具で二本の白い食パンの焼成ができる。
【0030】
7は金属製の連結部材で、一対の食型Aを結合するもので、図に示す連結部材7は、所定の間隔をおいて並設する一対の食型Aの外周の回りに固定する細幅の金属製環状帯で、食型Aにはめて溶接で固定されている。
前記環状帯7で結合した一対の食型Aは、前記容器内4に環状帯7を容器4と隔壁5の端部との間隙8に嵌合して収容できるので、一対の食型の金属製の容器への位置決めと、出し入れが便利であり、しかも、環状帯7の厚みで、容器4の内周面と食型Aとの間の空隙がほぼ同じになるので、食パンの側面の焼き色を均一にできる。尚、隔壁5に食型を結合する連結部材を挿入できる間隙を設けて、該間隙に連結部材を嵌合できるようにすることもできる。
【0031】
上記実施形態では2個の食型を収容できる場合を説明したが、複数の食型を収容できるように角形の槽状とした金属製容器の内部を複数の隔壁で等間隔に区切り複数の槽を設け、また、該複数の槽に収納する食型として、複数の食型を等間隔に配して、その食型の外周の回りを金属製環状帯で固定し複数の食型を連結し、前記複数の槽を設けた金属製容器に一度に複数の食型を収容して焼成できるようにしてもよい。
【0032】
本発明のパンの焼き色を抑える焼成用治具によれば、蓋付き食型Aを隔壁5の両側の槽6に収容してオーブンで焼成することにより、食型Aに入れたパン生地の底面と周側面は、焼成用治具4と食型Aの2つの槽の側面で伝熱が抑制されることになり、上面は蓋だけであるから一重であり、従って、図12に示すように、食パンPの底面と側面は焼き色が薄く白く焼成された二本の食パンを焼成製造できる。上面は濃い焼き色となる。
【0033】
而して、パンを製造販売する店舗で同一のオーブン内で同時に焼き色を抑えた白い食パンと他のパン類を焼成する場合に、本発明のパンの焼き色を抑える焼成用治具を用いれば、食パン生地を食型に入れて前記焼成用治具に収容し、通常のオーブン温度の設定を変えることなく、他の焼成温度の異なるパンとともにオーブン内に入れて一緒に焼成することができ、温度設定を変える切り替えロスをなくすことができるので効率的に焼成作業ができ便利である。また、オーブン内のどの位置に入れて焼成してもよく、焼成温度を低くしたオーブン内の特定の場所で焼成しなければならないという制約がない。さらに、複数の焼き色を抑えた白い食パンを同時に効率よく焼成できる。そして、焼成した食パンは、底面と側面が白であるから、底面を上にして店舗のケースに置くことにより、白い食パンとして顧客に判別させて提供でき、顧客の嗜好を喚起できる。
【0034】
以上本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態のものに何等限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施しうることは勿論である。上記実施形態では、食パンの場合で説明したが、これに限られるものでなく、白い他のパン等の焼成にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のパンの焼き色を抑える焼成用治具の平面図である。
【図2】同断面図である。
【図3】同斜視図である。
【図4】食型を焼成用治具に入れた状態の断面図である。
【図5】食型と、蓋を示す斜視図である。
【図6】本発明のパンの焼き色を抑える焼成用治具の別の実施形態を示す平面図である。
【図7】同断面図である。
【図8】同斜視図である。
【図9】連結した一対の食型を示す斜視図である。
【図10】食型を入れた焼成用治具を示す斜視図である。
【図11】同断面図である。
【図12】白い食パンの斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
1 焼成用治具(容器)
2 槽
3 突状部
4 焼成用治具(容器)
5 隔壁
A 食型
P 食パン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーブン内にパン生地を入れた食型を置きパンを焼成製造するに当たり、食型の周側面及び底面への伝熱を抑制する容器に、パン生地を入れた食型を収容してオーブンに入れ焼成することを特徴とするパンの焼き色を抑える焼成方法。
【請求項2】
食型の周側面及び底面への伝熱を抑制する容器内に、食型の側面及び底面との間に空隙を設けて、パン生地を入れた食型を収納することを特徴とする請求項1記載のパンの焼き色を抑える焼成方法。
【請求項3】
上面は開放され、側壁はパン生地を入れる食型とほぼ同じ高さとし、かつ、食型を収容できる容器で、食型の周側面及び底面への伝熱を抑制可能としたことを特徴とするパンの焼き色を抑える焼成用治具。
【請求項4】
上面は開放され、側壁はパン生地を入れる食型とほぼ同じ高さとし、内部に複数の隔壁を設けて複数の槽を形成した複数の食型を収容できる容器で、複数の食型の周側面及び底面への伝熱を抑制可能としたことを特徴とするパンの焼き色を抑える焼成用治具。
【請求項5】
前記食型は、上面が開口した直方体で開口を蓋で開閉できる食パン用の食型である請求項3又は4に記載のパンの焼き色を抑える焼成用治具。
【請求項6】
前記容器は、少なくともその底面に焼成時の伝熱を抑制する空隙を形成するための、1又は複数の突状部を設けた請求項3又は4に記載のパンの焼き色を抑える焼成用治具。
【請求項7】
前記隔壁は、内部に空気が流通する空間と、上面に1又は複数の開口を有する角筒状としたものである請求項4又は6に記載のパンの焼き色を抑える焼成用治具。
【請求項8】
前記隔壁の端部と容器との間に、複数の食型を結合する連結部材を挿入できる間隙を設け、複数の食型を結合した連結部材を前記間隙に嵌合して、複数の食型を隔壁で区切られた各槽に収容可能とした請求項4、6又は7のいずれかに記載のパンの焼き色を抑える焼成用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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