パーキンソン病に関連する症状の治療のための化合物
本発明は、該化合物が、アミロイドβペプチド(Aβ)に特異的なエピトープに抗体に結合能を有する、パーキンソン病の運動症状を治療、予防及び/又は緩和のするためのペプチドを含む化合物に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーキンソン病に関連する症状を予防、緩和及び治療するための方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)及びパーキンソン病(PD)は、ヒトにおいて痴呆及び運動障害を引き起こす最もよくある原因である。ADは、アミロイド前駆タンパク質(APP)から得られるアミロイドβタンパク質(Aβ斑と呼ばれるものを形成する)の蓄積により特徴づけられるのに対し、PD患者はαシヌクレイン(α-Syn、αSyn;レビー小体と呼ばれるものを形成する)の病理的な蓄積が起こる。これらの両分子は、これらの神経変性疾患の主な病因であると考えられている。これらの疾患AD及びPDは、神経及びシナプスの接続の変性、特異的神経伝達物質の欠乏、及び折りたたみミスのタンパクの異常な蓄積に関連し、ここでそれらは、非病原性タンパク質が通常の中枢神経機能において重要な役割を果たしている。
【0003】
近年、運動障害に関連するが臨床症状がAD、血管性認知症又は突発性パーキンソン病とは異なる新規な痴呆の型が臨床的に定義づけられた。この新規な疾患は、レビー小体型認知症又は痴呆を伴うパーキンソン病(DLB/PDD)と定義されている。DLB/PDDは、全認知症例の25%にのぼり、高齢者における認知症に2番目に最も顕著な形態であると考えられている。この疾患は、多量のアミロイド堆積を伴うレビー小体病変の広範な形成により特徴づけられる。広くレビー小体が見られることにより、DLB/PDDは他のいずれの型の認知症並びに他の運動障害からも区別される。DLB/PDDにおける神経系の評価については、顕著な注意力、実行機能、記憶並びに行動及び運動の変化において異常が見られる。
【0004】
現在αSyn及びAβは、神経系において、区別でき、収斂性の病理効果があると考えられている。シヌクレインは、認知機能よりも運動機能により深刻に影響を与えると考えられているのに対し、アミロイドβペプチドは逆の効果があると述べられている。加えて、αSYN及びAβは、神経変性経路において協同的に作用し合うことにより、より直接的に相互作用することができる考えられている。近年、前臨床疾患モデルにおいて、Aβ、Tau並びにαSynを含む、異なる病原分子が相互に毒性を増強する効果を示すことが示されており、異なる神経変性性の病態におけるAβの重要な機能を示唆している。近年のDLB/PDDの遺伝子組換え動物モデルにおいて、遺伝子組み換えマウスモデルにおけるhaSYN及びhAPPの両分子の同時発現により、コリン性ニューロンの喪失及びシナプス小胞の減少、広いアミロイド斑及びhaSYN-免疫応答性神経内線維封入体(immunoreactive intraneuronal fibrillar inclusions)の形成を伴う認知及び運動変化を起こすことが示された。これらの特徴は全てDLB/PDD症候群においても見られる。
【0005】
現在のパーキンソン病症状の治療は、該疾患に苦しむ患者に、ドパミン作用薬を投与することによっている。ドパミン作用薬は、これらの症状は脳からドパミンを奪うことにより起こると考えられているため、パーキンソン病の症状を緩和すると信じられている。それゆえ、脳内ドパミンの欠乏は、患者に、ドパミンアゴニスト又はドパミン前駆体(例えばレボドパ)のようなドパミン作用薬を投与することにより補われうる。パーキンソン病に確立された治療法はなく、ここでそれは症状が悪化することを意味し、疾患の進行に従い治療剤の日々の用量を増加させる必要があることを意味する。さらに、慢性使用によるレボドパの用量の増加は、例えば、効果の消滅及び不随意運動(ジスキネジア)といった運動合併症を引き起こす。
【0006】
運動機能障害の症状は、レボドパを、その効果を改善する他の化合物と組み合わせることにより特に改善される。
【0007】
ドパミン作用薬を投与することの1つの大きな不利益は、これらの薬剤は、通常の間隔で投与されなければならないことである。さらに、これらの薬剤は、患者からパーキンソン病の症状の原因(いわゆるa-Syn斑)を取り除くことなく、ドパミン作用薬が増加するだけであることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、a-Syn堆積の量を減少することにより、パーキンソン病の症状を持続的に治療する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、パーキンソン病の運動症状を治療及び/又は緩和するためのペプチドを含む化合物に関し、ここで、該ペプチドはアミロイドβペプチド(Aβ)のエピトープに特異的な抗体に結合能を有する。
【0010】
驚いたことに、アミロイドβペプチドの抗体を誘導することのできる化合物は、このように、例えばアルツハイマー病のようなβアミロイドーシスに用いられるが、パーキンソン病、特にパーキンソンの運動症状を緩和することにも用いることができることがわかった。該化合物を投与することにより形成される抗体は、α-Syn堆積の量を驚くほど減少させる。
【0011】
本明細書中「運動症状」とは、該疾患における患者の運動行動だけでなく自律機能に影響を与えるような、パーキンソン病治療における医薬品の臨床研究におけるEMEAガイドライン(CPMP/EWP/563/95 Rev.1)に記載されているパーキンソン病の症状をいう。これらの症状は、以下に限られないが、静止時振戦、動作緩慢、硬直、姿勢の不安定、前屈姿勢、ジストニア、倦怠感、細かい動きの機敏さ及び運動協調性の障害、粗大運動協調性の障害、動きの欠如(腕の振りの減少)、静座不能、会話障害、筋肉の制御の欠如による声の柔らかさの欠如又は不明瞭な発語、顔の表情の欠如、又は「マスキング(masking)」、小字症、嚥下困難、性機能障害、涎等を含む。
【0012】
本明細書中、用語「エピトープ」は、特定の抗体分子によって認識される抗原の免疫原性領域を言う。抗原は1つ以上のエピトープを有し、それぞれが、特定のエピトープを認識する抗体を結合することができる。
【0013】
用語「アミロイドβペプチドのエピトープに特異的結合能を有するペプチド」とは、ホ乳類にアミロイドβペプチド又はその断片を投与することにより生産されるアミロイドβペプチド特異的抗体に、該ペプチドが結合することをいう。該結合能を有する該ペプチドは、ホ乳類においてアミロイドβペプチド特異的抗体形成を誘導する。後者の抗体は、結果的に本発明化合物並びにアミロイドβペプチドに結合する。
【0014】
本発明の好ましい態様としては、アミロイドβペプチドの該エピトープは、DAEFRH、EFRHDSGY、pEFRHDSGY、EVHHQKL、HQKLVF及びHQKLVFFAEDからなる群から選択される。
【0015】
本発明化合物は前述の天然由来のアミロイドβペプチドのエピトープに向けた/特異的な抗体に結合できることが特に好ましい。結果的に本発明の化合物は該アミノ酸配列の1つを含みうる。
【0016】
本発明の他の態様としては、好ましくはアミノ酸配列DAEFRH、EFRHDSGY、pEFRHDSGY、EVHHQKL、HQKLVF及びHQKLVFFAEDを含まないが、しかし、アミロイドβ特異的抗体に結合することである。
【0017】
そのような抗体誘導性ペプチドの同定には、ファージライブラリー及びペプチドライブラリーが用いられ得る。もちろん、コンビナトリアルケミストリーの手法によっても同定することができる。これらの方法はすべて、アミロイドβペプチド特異的抗体にペプチドを接触させるステップが関与する。該抗体に結合するペプチドのプールは、各ペプチドのアミノ酸配列が知られていない場合、単離及び配列を特定できる。
【0018】
以下には、ホ乳類においてアミロイドβ抗体形成を誘導できるペプチドをリスト化した。これらのペプチドは、またパーキンソン病の症状も減ずることができる。
【0019】
本発明の好ましい態様としては、ペプチドがアミノ酸配列
X1X2X3X4X5X6X7 (式I)
(ここで、
X1は、G又はヒドロキシ基又は負に荷電したアミノ酸、好ましくは、グリシン(G)、グルタミン酸(E)、チロシン(Y)、セリン(S)又はアスパラギン酸(D)、
X2は、疎水性のアミノ酸又は正に荷電したアミノ酸、好ましくはアスパラギン(N)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、バリン(V)、リジン(K)、トリプトファン(W)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)又はアラニン(A)、
X3は、負に荷電したアミノ酸、好ましくはアスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)、
X4は、芳香族アミノ酸又は疎水性のアミノ酸又はロイシン(L)、好ましくはチロシン(Y)、フェニルアラニン(F)又はロイシン(L)、
X5は、ヒスチジン(H)、リジン(K)、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)又はアルギニン(R)、好ましくはヒスチジン(H)、フェニルアラニン(F)又はアルギニン(R)、及び
X6は、存在しない又はセリン(S)、スレオニン(T)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アルギニン(R)、イソロイシン(I)、リジン(K)、チロシン(Y)、又はグリシン(G)、好ましくは、スレオニン(T)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、アルギニン(R)、イソロイシン(I)又はグリシン(G)、
X7は、存在しない又はいかなるアミノ酸でもよく、好ましくは、プロリン(P)、チロシン(Y)、スレオニン(T)、グルタミン(Q)、アラニン(A)、ヒスチジン(H)又はセリン(S)であり、
好ましくは、EIDYHR、ELDYHR、EVDYHR、DIDYHR、DLDYHR、DVDYHR、DI-DYRR、DLDYRR、DVDYRR、DKELRI、DWELRI、YREFFI、YREFRI、YAEFRG、EAEFRG、DYEFRG、ELEFRG、DRELRI、DKELKI、DRELKI、GREFRN、EYEFRG、DWEFRDA、SWEFRT、DKELR、SFEFRG、DAEFRWP、DNEFRSP、GSEFRDY、GAEFRFT、SAEFRTQ、SAEFRAT、SWEFRNP、SWEFRLY、SWELRQA、SVEFRYH、SYEFRHH、SQEFRTP、SSEFRVS、DWEFRD、DAELRY、DWELRQ、SLEFRF、GPEFRW、GKEFRT、AYEFRH、DKE(Nle)R、DKE(Nva)R又はDKE(Cha)Rである。)
を含むペプチドである。
【0020】
本発明のさらなる態様としては、該ペプチドが、アミノ酸配列
X1RX2DX3(X4)n(X5)m(X6)o (式II)
(ここで
X1は、イソロイシン(I)又はバリン(V)、
X2は、トリプトファン(W)又はチロシン(Y)、
X3は、スレオニン(T)、バリン(V)、アラニン(A)、メチオニン(M)、グルタミン(Q)又はグリシン(G)、
X4は、プロリン(P)、アラニン(A)、チロシン(Y)、セリン(S)、システイン(C)又はグリシン(G)、
X5は、プロリン(P)、ロイシン(L)、グリシン(G)又はシステイン(C)、
X6は、システイン(C)であり、
n、m及びoは独立して、0又は1であり、
好ましくは、IRWDTP(C)、VRWDVYP(C)、IRYDAPL(C)、IRYDMAG(C)、IRWDTSL(C)、IRWDQP(C)、IRWDG(C)又はIRWDGG(C)である。)
を含むペプチドである。
本発明の態様としては、該ペプチドが、アミノ酸配列
EX1WHX2X3(X4)n(X5)m (式III)
(ここで、
X1は、バリン(V)、アルギニン(R)又はロイシン(L)、
X2は、アルギニン(R)又はグルタミン酸(E)、
X3は、アラニン(A)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、ロイシン(L)、チロシン(Y)又はグリシン(G)、
X4は、プロリン(P)、ヒスチジン(H)、フェニルアラニン(F)又はグルタミン(Q)又はシステイン、
X5は、システイン(C)であり、
n及びmは、独立して、0又は1であり、
好ましくは、EVWHRHQ(C)、ERWHEKH(C)、EVWHRLQ(C)、ELWHRYP(C)、ELWHRAF(C)、ELWHRA(C)、EVWHRG(C)、EVWHRH(C)及びERWHEK(C)、好ましくは、EVWHRHQ(C)、ERWHEKH(C)、EVWHRLQ(C)、ELWHRYP(C)又はELWHRAF(C)である。)
を含むペプチドである。
【0021】
本発明の特に好ましい態様としては、ペプチドは、アミノ酸配列QDFRHY(C)、SEFKHG(C)、TSFRHG(C)、TSVFRH(C)、TPFRHT(C)、SQFRHY(C)、LMFRHN(C)、SAFRHH(C)、LPFRHG(C)、SHFRHG(C)、ILFRHG(C)、QFKHDL(C)、NWFPHP(C)、EEFKYS(C)、NELRHST(C)、GEMRHQP(C)、DTYFPRS(C)、VELRHSR(C)、YSMRHDA(C)、AANYFPR(C)、SPNQFRH(C)、SSSFFPR(C)、EDWFFWH(C)、SAGSFRH(C)、QVMRHHA(C)、SEFSHSS(C)、QPNLFYH(C)、ELFKHHL(C)、TLHEFRH(C)、ATFRHSP(C)、APMYFPH(C)、TYFSHSL(C)、HEPLFSH(C)、SLMRHSS(C)、EFLRHTL(C)、ATPLFRH(C)、QELKRYY(C)、THTDFRH(C)、LHIPFRH(C)、NELFKHF(C)、SQYFPRP(C)、DEHPFRH(C)、MLPFRHG(C)、SAMRHSL(C)、TPLMFWH(C)、LQFKHST(C)、ATFRHST(C)、TGLMFKH(C)、AEFSHWH(C)、QSEFKHW(C)、AEFMHSV(C)、ADHDFRH(C)、DGLLFKH(C)、IGFRHDS(C)、SNSEFRR(C)、SELRHST(C)、THMEFRR(C)、EELRHSV(C)、QLFKHSP(C)、YEFRHAQ(C)、SNFRHSV(C)、APIQFRH(C)、AYFPHTS(C)、NSSELRH(C)、TEFRHKA(C)、TSTEMWH(C)、SQSYFKH(C)、(C)SEFKH、SEFKH(C)、(C)HEFRH又はHEFRH(C)を含むことである。
【0022】
本発明の他の好ましい態様としては、ペプチドがアミノ酸配列
(X1)mGX2X3X4FX5X6(X7)n (式IV)
(ここで、
X1は、セリン(S)、アラニン(A)又はシステイン(C)、
X2は、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、グルタミン(Q)又はメチオニン(M)、
X3は、イソロイシン(I)、チロシン(Y)、メチオニン(M)又はロイシン(L)、
X4は、ロイシン(L)、アルギニン(R)、グルタミン(Q)、トリプトファン(W)、バリン(V)、ヒスチジン(H)、チロシン(Y)、イソロイシン(I)、リジン(K)、メチオニン(M)又はフェニルアラニン(F)、
X5は、アラニン(A)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)、アスパラギン(N)、アルギニン(R)、グルタミン酸(E)、イソロイシン(I)、グルタミン(Q)、アスパラギン酸(D)、プロリン(P)又はトリプトファン(W)、グリシン(G)、
X6は、いかなるアミノ酸残基でもよく、
X7は、システイン(C)であり、
m及びnは、独立して、0又は1であり、
好ましくは、SGEYVFH(C)、SGQLKFP(C)、SGQIWFR(C)、SGEIHFN(C)、GQIWFIS(C)、GQIIFQS(C)、GQIRFDH(C)、GEMWFAL(C)、GELQFPP(C)、GELWFP(C)、GEMQFFI(C)、GELYFRA(C)、GEIRFAL(C)、GMIVFPH(C)、GEIWFEG(C)、GDLKFPL(C)、GQILFPV(C)、GELFFPK(C)、GQIMFPR(C)、GSLFFWP(C)、GEILFGM(C)、GQLKFPF(C)、GTIFFRD(C)、GQIKFAQ(C)、GTLIFHH(C)、GEIRFGS(C)、GQIQFPL(C)、GEIKFDH(C)、GEIQFGA(C)、GELFFEK(C)、GEIRFEL(C)、GEIYFER(C)、SGEIYFER(C)、AGEIYFER(C)又は(C)GEIYFERである。)
を含むペプチドである。
【0023】
本発明のさらに好ましい態様としては、ペプチドがアミノ酸配列
(X1)mHX2X3X4X5FX6(X7)n (式V)
(ここで、
X1は、セリン(S)、スレオニン(T)又はシステイン(C)、
X2は、グルタミン(Q)、スレオニン(T)又はメチオニン(M)、
X3は、リジン(K)又はアルギニン(R)、
X4は、ロイシン(L)、メチオニン(M)、
X5は、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)又はイソロイシン(I)、
X6は、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、アラニン(A)又はシステイン(C)、
X7は、システイン(C)であり、
m及びnは、独立して、0又は1であり、
好ましくは、SHTRLYF(C)、HMRLFFN(C)、SHQRLWF(C)、HQKMIFA(C)、HMRMYFE(C)、THQRLWF(C)又はHQKMIF(C)である。)
を含むペプチドである。
【0024】
本発明の好ましい態様としては、ペプチドがアミノ酸配列AIPLFVM(C)、KLPLFVM(C)、QLPLFVL(C)又はNDAKIVF(C)を含むことである。
【0025】
本発明の化合物は、好ましくは、ポリペプチド/ペプチドであり、4ないし30アミノ酸残基、好ましくは、5ないし25アミノ酸残基、より好ましくは、5ないし20アミノ酸残基である。
また、本発明の化合物は、4ないし30アミノ酸残基のポリペプチドの部分であってもよい。
【0026】
本発明は、さらに以下の図及び実施例に説明するが、それらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本スクリーニングプロセスに用いるためのライブラリー4の個々のペプチド構成を示す。
【図2】図2は、DAEFRHのミモトープを用いた阻害アッセイを示す。
【図3】図3は、DAEFRH以外のミモトープを用いた他の阻害アッセイを示す。
【図4】図4及び5は、本発明のミモトープペプチドを用いた阻害アッセイの結果を示す。
【図5】図4及び5は、本発明のミモトープペプチドを用いた阻害アッセイの結果を示す。
【図6】図6ないし9は、それぞれミモトープペプチド4011-4018、4019-4025、4031-4038及び4061-4064を用いた阻害アッセイの結果を示す。
【図7】図6ないし9は、それぞれミモトープペプチド4011-4018、4019-4025、4031-4038及び4061-4064を用いた阻害アッセイの結果を示す。
【図8】図6ないし9は、それぞれミモトープペプチド4011-4018、4019-4025、4031-4038及び4061-4064を用いた阻害アッセイの結果を示す。
【図9】図6ないし9は、それぞれミモトープペプチド4011-4018、4019-4025、4031-4038及び4061-4064を用いた阻害アッセイの結果を示す。
【図10】図10はモノクローナル抗体MV-001の特異的ペプチド及び遺伝子組換えタンパク質への結合を示す;
【図11】図11はモノクローナル抗体MV-003の特異的ペプチド及び遺伝子組換えタンパク質への結合を示す;
【図12】図12はモノクローナル抗体MV-004の特異的ペプチド及び遺伝子組換えタンパク質への結合を示す;
【図13】図13は、β-アミロイド及びN-末端を切断した及び/又は翻訳後修飾されたβ-アミロイド断片のミモトープとの典型的な結合アッセイを示す;
【図14】図14は、β-アミロイド及びN-末端を切断した及び/又は翻訳後修飾されたβ-アミロイド断片のミモトープとの典型的な結合アッセイを示す;
【図15】図15は、ミモトープのワクチン接種によって生じた免疫反応のインビボにおける特徴の例を示す(注入ペプチド/無関係なペプチド);
【図16】図16は、アミロイドβ断片及びsAPPαに対するミモトープのワクチン接種により生じた免疫反応のインビボにおける特徴の例を示す;
【図17】図17は、全長Aβに対するミモトープのワクチン接種により生じた免疫反応のインビボにおける特徴の例を示す。
【図18】図18は、アミロイド斑により占められた面積を示す。水酸化アルミニウムでアジュバント化したミモトープワクチンとともにTg2576を皮下に1ヶ月ごとに6回注入した。コントロールのマウスはPBS-アラムのみを投与した。アミロイド斑により占められた面積は、コントロール群に対して示した。グループ1:コントロール群;グループ2:p4381を投与;グループ3:p4390を投与;グループ4:p4715を投与。
【図19】図19は、アミロイド斑により占められた面積を示す。水酸化アルミニウムでアジュバント化したAFFITOPEワクチンとともにTg2576を皮下に1ヶ月ごとに6回注入した。コントロールのマウスはPBS-アラムのみを投与した。アミロイド斑により占められた面積は、コントロール群に対して示した。グループ1:コントロール群;グループ2:p4395を投与。
【図20】図20は、モノクローナル抗体MV-002の特異的ペプチド及び遺伝子組換えタンパク質への結合を示す。
【図21】図21は、β-アミロイド及びN-末端を切断した及び/又は翻訳後修飾されたβ-アミロイド断片のミモトープとの典型的な結合アッセイを示す。
【図22】図22は、β-アミロイド及びN-末端を切断した及び/又は翻訳後修飾されたβ-アミロイド断片のミモトープとの典型的な結合アッセイを示す。
【図23】図23は、ミモトープのワクチン接種によって生じた免疫反応のインビボにおける特徴の例を示す(注入ペプチド/無関係なペプチド)。
【図24】図24は、アミロイドβ断片及びsAPPαに対するミモトープのワクチン接種により生じた免疫反応のインビボにおける特徴の例を示す。
【図25】図25は、全長Aβ40/42に対するミモトープのワクチン接種により生じた免疫反応のインビボにおける特徴の例を示す。
【図26】図26は、アミロイド斑により占められた面積を示す。水酸化アルミニウムでアジュバント化したミモトープワクチンとともにTg2576を皮下に1ヶ月ごとに6回注入した。コントロールのマウスはPBS-アラムのみを投与した。アミロイド斑により占められた面積は、コントロール群に対して示した。グループ1:コントロール群;グループ2:p4675を投与。
【図27】図27は、αシヌクレイン陽性封入体を示す;27Aは、コントロール処置動物;27Bは、ADミモトープ処置動物;A及びBは、αシヌクレインを染色した皮質断片を示す。陽性染色は、ピラミッド状又は非ピラミッド状神経細胞を含む。矢印は、A及びBにおける2つの典型的な例を示す。27Cは皮質及び海馬における封入体の数を示す(皮質と示した)。
【図28】図28は、神経密度を示す。図は、NeuN染色した皮質断片を示す。陽性染色は、ピラミッド状及び非ピラミッド状神経を示す。28Aは、コントロール処置動物;28Bは、ADミモトープ処置動物をそれぞれ示す。C及びDは、皮質及び海馬におけるNeuN陽性神経の数を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明において、用語「ミモトープ」は、エピトープの形態学上の等価性を有するコンホメーションを持つ分子である模倣体を言う。ミモトープは、抗体において、望ましい抗原の免疫特異的結合である抗原結合領域と同一の部位に結合する。ミモトープは、宿主において、抗原の模倣体として反応し免疫反応を示す。またミモトープは、エピトープ及び該エピトープに結合する抗体の関与するインビトロ阻害アッセイ(例えば、ELISAによる阻害アッセイ)においてエピトープの模倣体として競合基質として作用する。しかし、本発明のミモトープは、インビトロ阻害アッセイにおいて、エピトープの模倣体であるので、必ずしも阻害又は競合しなくてもよいが、ホ乳類に投与した場合、特異的免疫反応を誘導できるものである。本発明の化合物は、該化合物は、天然のアミロイドβペプチドから誘導されたアミノ酸配列であるので、自己反応性T細胞の形成を妨げるのに有利な、そのようなミモトープ(上にリストしたものも含む)を含む。
【0029】
本発明のミモトープは、単離されたペプチド又は他のペプチド又はポリペプチドの一部としてのいずれかとして、当該分野においてよく知られた化学合成法により合成して生産しうる。あるいは、ペプチドミモトープは、ペプチドミモトープを産生する微生物中でも生産され得、必要であればその後単離され、さらに精製される。ペプチドミモトープは、例えばバクテリア、酵母又は菌類、例えば哺乳類又は昆虫細胞の真核細胞、又は遺伝子組換えウイルスベクター、例えばアデノウイルス、ポックスウイルス、ヘルペスウイルス、セムリキ森林ウイルス、バキュロウイルス、バクテリオファージ、シンドビスウイルス又はセンダイウイルスにおいても生産しうる。ペプチドミモトープを生産するのに適切なバクテリアには、大腸菌、枯草菌又は、例えばペプチドミモトープを発現するペプチドなど、他のあらゆるバクテリアが含まれる。適切な酵母の型には、サッカロマイセス・セレヴィシエ、シゾサッカロミセス・ポンベ、カンジダ、メタノール資化酵母又はペプチドを発現できる他のあらゆる酵母が含まれる。対応する方法は当業者に知られている。また遺伝子組換えにより生産されたペプチドを単離及び精製する方法も当該分野においてよく知られており、それには例えば、ゲル濾過、アフィニティクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等が含まれる。
【0030】
ペプチドミモトープの単離を促進するため、アフィニティクロマトグラフィーによる単離が可能な異種のポリペプチドペプチドに、ペプチドミモトープが翻訳により融合できるような融合ポリペプチドが作製される。典型的な異種のポリペプチドは、His-Tag(例えば、His6; 6つのヒスチジン残基)、GST-Tag(グルタチオン-S-トランスフェラーゼ)等がある。融合ポリペプチドは、ミモトープの精製を促進するだけでなく、精製の間、ミモトープポリペプチドを分解から保護する。精製後、異種のポリペプチドを除去したい場合、融合ポリペプチドは、ペプチドミモトープと異種のポリペプチドの接合は開裂部位を含んでいてもよい。開裂部位は、当該部位のアミノ酸配列(例えば、プロテアーゼ)に、酵素特異的に開裂されるアミノ酸配列からなる。
【0031】
また、本発明のミモトープは、それにより該部位にシステイン残基が結合できるように、N及び/又はC末端又はその付近で修飾されていてもよい。好ましい態様としては、末端部位に位置する(ペプチドのN及びC末端に位置する)システイン残基が、ジスルフィド結合によりペプチドを環化するために用いられることである。
【0032】
また、本発明のミモトープは、特に免疫アッセイ及びキットといった様々なアッセイ及びキットに用いられ得る。それゆえ、ミモトープは他のペプチド又はポリペプチドの一部であることが特に好ましく、特に免疫アッセイにおいてレポーターとして用いられる酵素であることである。そのようなレポーター酵素は、例えば、アルカリホスファターゼ又は西洋ワサビペルオキシダーゼを含む。
【0033】
本発明のミモトープは、好ましくはアミノ酸配列がAβ又はAβ断片のアミノ酸配列が変化している抗原性ポリペプチドである。この観点から、1つ以上の天然由来のアミノ酸残基のアミノ酸置換体だけでなく、1つ以上の非天然のアミノ酸(すなわち、20の「典型」アミノ酸でない)、又はそのような完全に非天然のアミノ酸から集められたものであるものを含みうる。さらに、Aβ1-40/42、AβpE3-40/42、Aβ3-40/42、Aβ11-40/42、AβpE11-40/42及びAβ14-40/42(及び、アミノ酸第2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12及び13位においてN-末端を切断した他の形態のAβ)の抗体を誘導し、結合する独創的な抗原は、D-又はL-アミノ酸又はDL-アミノ酸の組み合わせを集めたものであり及び、任意に、さらに修飾、閉環反応又は誘導体化により変更されていてもよい。適切な抗体-誘導抗原は、市販のペプチドライブラリーから入手可能である。好ましくは、これらのペプチドは少なくとも7アミノ酸であり、好ましい長さは16までであり、好ましくは、14又は20アミノ酸残基である(例えば、5ないし16アミノ酸残基)。しかし本発明によると、長いペプチドも、よく抗体-誘導抗原として用いられる。さらに本発明のミモトープも、また本発明のミモトープもポリペプチドの一部をなし得、従ってN-及び/又はC末端に少なくとも1つのさらなるアミノ酸残基を含み得る。
【0034】
α-シヌクレインミモトープ(すなわち、抗体-誘導抗原)の生産には、もちろんファージライブラリー、ペプチドライブラリーも適切であり、例えば、最も種々の構造をとる部分はコンビナトリアルケミストリーの手法によって生産され、又はハイスループットスクリーニング技術により得られる(Display: A Laboratory Manual by Carlos F. Barbas (Editor), et al.; Willats WG Phage display: practicalities and prospects. Plant Mol. Biol. 2002 Dec.; 50(6):837-54)。
【0035】
さらに本発明には、核酸(「アプタマー」)に基づく抗-Aβ1-40/42-、-AβpE3-40/42-、-Aβ3-40/42-、-Aβ11-40/42-、AβpE11-40/42-、及びAβ14-40/42-抗体-誘導抗原が用いられ得、これらも種々の(オリゴヌクレオチド)ライブラリー(例えば、2-180核酸部分)により得られる(例えば、Burgstaller et al., Curr. Opin. Drug Discov. Dev. 5(5) (2002), 690-700; Famulok et al., Acc. Chem. Res. 33 (2000), 591-599; Mayer et al., PNAS 98 (2001), 4961-4965、等がある)。核酸に基づく抗体-誘導抗原においては、核酸骨格は、例えば、ホスホジエステル又はホスホロチオエート化合物により、又は本発明においては塩基としては、主としてU、T、A、C、G、H及びmCが用いられうるが、その組み合わせ又は化学種(例えば、PNA)によって提供される。本発明において好ましいヌクレオチドの2’-残基は、H、OH、F、Cl、NH2、O-メチル、O-エチル、O-プロピル又はO-ブチルが用いられ得、ここで核酸は、また異なって修飾されていてもよく、すなわち、オリゴヌクレオチド合成には通常用いられるように、例えば保護基によって修飾されていてもよい。それゆえ、アプタマーベースの抗体-誘導抗原は、また本発明の範囲に含まれる好ましい抗体-誘導抗原である。
【0036】
本発明の好ましい態様としては、化合物は医薬的に許容される担体と結合していることであり、好ましくはKLH(キーホールリンペットヘモシアニン)、破傷風トキソイド、アルブミン-結合タンパク質、ウシ血清アルブミン、デンドリマー(MAP; Biol. Chem. 358: 581)、ペプチドリンカー(又は隣接領域)、並びに、Singh et al. Nat. Biotech. 17 (1999), 1075-1081 (特にその文献の表1)、及びO'Hagan et al., Nature Reviews, Drug Discovery 2 (9) (2003), 727-735(特にその中に記載されている内因性免疫賦活物質及び送達システム)に記載されているアジュバント物質、及び他の物質又はそれらの混合物である。この文脈において結合化学(例えば、ヘテロ二官能性化合物、例えばGMBS、及び「Bioconjugate Techniques」, Greg T. Hermansonに記載されているその他も当然に含み、それらを介して)は、当該分野における熟練者に知られている反応から選択され得る。さらに、ワクチン組成物はアジュバントとともに製剤化され得、好ましくは、低溶解性アルミニウム組成物、特に水酸化アルミニウムである。また、もちろん、MF59リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-12、GM-CSF)、サポニン(例えば、QS21)、MDP誘導体、CpGオリゴヌクレオチド、LPS、MPL、ポリホスファゼン、乳剤(例えば、フロイント(Freund's)、SAF)、リポソーム、ビロソーム、免疫刺激複合体、コクリエート、PLG微粒子、ポロキサマー粒子、ウイルス様粒子、易熱性エンテロトキシン(LT)、コレラ毒素(CT)、変異毒素(mutant toxins)(例えば、LTK63、及びLTR72)、微小粒子及び/又は重合リポソームのようなアジュバントも用いられ得る。
【0037】
本発明の化合物は、好ましくは、NHS-ポリ(エチレンオキシド)(PEO)(例えばNHS-PEO4-マレイミド)からなる群から選択されるリンカーを介して担体又はアジュバントに結合する。
【0038】
本発明の化合物(ミモトープ)及び医薬的に許容される担体を含むワクチンは、例えば、皮内、静注、腹腔内、筋肉内、鼻腔内、経口、皮下等のあらゆる適切な投与様式、及びあらゆる適切な送達装置(O'Hagan et al., Nature Reviews, Drug Discovery 2 (9), (2003), 727-735)により投与されうる。本発明の化合物は、好ましくは、静脈内、皮下、皮内、又は筋肉内投与(例えば「Handbook of Pharmaceutical Manufacturing Formulations」, Sarfaraz Niazi, CRC Press Inc, 2004参照)として製剤化される。
【0039】
本発明の薬剤(ワクチン)は、0.1ngないし10mg、好ましくは、10ngないし1mg、特に100ngないし100μg、又はあるいは、例えば100fmolないし10μmol、好ましくは、10pmolないし1μmol、特に100pmolないし100nmolで本発明の化合物を含んでいてもよい。また、典型的には、ワクチンは、例えば緩衝剤、安定剤等の補助物質を含んでいてもよい。
【0040】
本発明の好ましいパーキンソン病による運動症状は、シヌクレイノパチー、特にパーキンソン病の症状であり、該疾患に罹患している患者の運動性及び非運動性の行動を言う。「運動症状」は、静止時振戦、動作緩慢、硬直、姿勢の不安定、前屈姿勢、ジストニア、倦怠感、細かい動きの機敏さ及び運動協調性の障害、粗大運動協調性の障害、動きの欠如(腕の振りの減少)、静座不能、会話障害、筋肉の制御の欠如による声の柔らかさの欠如又は不明瞭な発語、顔の表情の欠如、又は「マスキング(masking)」、小字症、嚥下困難、性機能障害、及び涎からなる群から選択される。
【0041】
本発明の他の態様としては、パーキンソン病の運動症状の治療、予防及び/又は緩和のための薬剤の製造における本発明の化合物の使用に関する。
【0042】
本発明のさらなる他の態様としては、パーキンソン病の運動症状の治療、予防及び/又は緩和の方法に関する。
【実施例1】
【0043】
実施例1:N末端フリー(N末端がフリーのアスパラギン酸)のAβ42誘導ペプチド種を検出するためのモノクローナル抗体(mAb)の生産。
マウスに、6残基ペプチドDAEFRH(天然N-末端Aβ42配列)が結合したタンパク質ウシ血清アルブミンBSA(ハプテン-担体効果を用いるため)をCFA(初回の注射)及びIFA(ブースター注射)中に懸濁させ、ワクチン接種した。DAEFRHペプチド特異的抗体産生ハイブリドーマをELISA(DAEFRHペプチドコーティングしたELISAプレート)により検出した。ペプチドSEVKMDAEFRH(APP由来の、Aβ42由来の配列DAEFRHを含む、天然のN末端延長配列)を陰性コントロールペプチドとして用いた:N末端アスパラギン酸フリーのAβ42由来ペプチドとフリーのアスパラギン酸の存在しないAPP由来ペプチドDAEFRHを区別しない延長ペプチドを認識するハイブリドーマは、除かれる。
【実施例2】
【0044】
実施例2:阻害アッセイによるミモトープの同定
3.1. ライブラリー
ペプチドライブラリーは、国際公開第2004/062556号パンフレットに記載されている(以下を参照)。
3.2. 阻害アッセイ
図2及び3は、5ライブラリー(国際公開第2004/062556号パンフレットに記載されている)に含まれ、そこから得たミモトープペプチドにより行った阻害アッセイの結果を示す。ミモトープペプチドは、モノクローナル抗体により認識され原エピトープと競合する。原エピトープ及びミモトープペプチドは、(必要であれば)タンパク質の担体と結合するためにさらにC末端において追加のCを含む。
以下のペプチドを用いた:
【0045】
生産:
ELISAプレート(Nunc Maxisorp)を0.1μg/mlペプチド-BSA(100μl/ウエル、12時間、4℃)の濃度の原ペプチドエピトープ DAEFRH(C末端はCにより延長されウシ血清アルブミンBSAと結合している)でコーティングした。1%(200μl/ウエル、12時間、4℃)のPBS/BSAでブロックした後、プレートを3回PBS/Tweenで洗浄した。続いてビオチン化モノクローナル抗体(1:2000, 50μl/ウエル)及びペプチド(50μl/ウエル)を50、5、0.5、0.05、0.005、及び0.0005μg/mlの濃度で加え、20分間、37℃で放置した。プレートはPBS/Tweenで3回洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)ラベルしたストレプトアビジン(100μl/ウエル, 30分、室温)で培養した。プレートは5回PBS/Tweenで洗浄し、ABTS+H2O2(0.1% w/v, 10ないし45分)で培養し、クエン酸で反応を停止させ、光度計により測定した(波長405nm)。
【0046】
予想通り、図2に見られるように、ペプチド1737 DAEFRHは、BSA-結合、プレート結合ペプチド DAEFRHと競合し、それゆえモノクローナル抗体の認識を阻害する。さらに、ペプチド3003は、原エピトープのモノクローナル抗体の結合を阻害できないことが示されている。対照的に、ペプチド3001、3002、3004、3005、3006、及び3007(異なる程度においてであるが)エピトープによる認識を阻害する。ペプチド3004は高濃度で阻害する(50μg/ml)だけであるのに対し、3001、3006、及び3007は、IC50が0.5μg/ml以下の強い阻害剤である。ペプチド3002及び3005は、IC50は0.5μg/mlよりも大きい「中程度(intermediate)」の阻害剤である。
【0047】
予想通り、図3に見られるように、ペプチド1737DAEFRHは、追加的に行った独立の試験においても、有効にBSA-結合、プレート結合ペプチドDAEFRHとクローナル抗体認識において競合した。さらに、ペプチド3010及び3011は試験した濃度では阻害しなかったが、ペプチド3008及び3009は、IC50が5μg/mlより小さい(比較的)弱い阻害作用を示した。
【0048】
表1は、(前述した)ライブラリーから得たミモトープの阻害能を簡潔にまとめる:
【表1】
【実施例3】
【0049】
実施例3:本発明における追加のミモトープによるスクリーニングによる阻害アッセイ
阻害アッセイ
図4及び5は、国際公開第2004/062556号パンフレットに記載されている5ライブラリーに含まれ、そこから得られたミモトープペプチドを用いて行った阻害アッセイの結果を示す。ミモトープペプチドは、モノクローナル抗体の認識において原エピトープと競合した。原エピトープ及びC末端(7位)に追加のCを含むミモトープペプチドは(必要であれば)タンパク質担体と結合させた。
以下のペプチドを用いた:
【0050】
方法:
ELISAプレート(Nunc Maxisorp)を0.1μg/mlペプチド-BSA(100μl/ウエル、12時間、4℃)の濃度の原ペプチドエピトープ DAEFRH(C末端はCにより延長されウシ血清アルブミンBSAと結合している)でコーティングした。1%(200μl/ウエル、12時間、4℃)のPBS/BSAでブロックした後、プレートを3回PBS/Tweenで洗浄した。続いてビオチン化モノクローナル抗体(1:2000, 50μl/ウエル)及びペプチド(50μl/ウエル)を50、5、0.5、0.05、0.005、及び0.0005μg/mlの濃度で加え、20分間、37℃で放置した。プレートはPBS/Tweenで3回洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)ラベルしたストレプトアビジン(100μl/ウエル, 30分、室温)で培養した。プレートは5回PBS/Tweenで洗浄し、ABTS+H2O2(0.1% w/v, 10ないし45分)で培養し、クエン酸で反応を停止させ、光度計により測定した(波長405nm)。
【0051】
予想通り、図4に見られるように、ペプチド1737 DAEFRHはBSA-結合、プレート結合ペプチド DAEFRHと競合し、それゆえモノクローナル抗体の認識を阻害する。さらに、ペプチド4004は、原エピトープのモノクローナル抗体の結合を阻害できないことが示されている。対照的に、ペプチド4002及び4003は、(異なる程度においてであるが)エピトープによる認識を阻害する。ペプチド4003は高濃度で阻害する(10μg/ml)だけであるのに対し、4002は、IC50が0.4μg/ml以下の強い阻害剤である。
【0052】
予想通り、図5に見られるように、ペプチド1737 DAEFRHは、追加的に行った独立の試験においても、有効にBSA-結合、プレート結合ペプチド DAEFRHとクローナル抗体認識において競合した。さらに、ペプチド1234は試験した濃度では阻害しなかったが、ペプチド1235、1236、1237、1238、1239及び1241は、(異なる程度においてであるが)IC50が0.5μg/mlより小さい強い阻害剤であったのに対し、ペプチド1236及び1237は5μg/mlより大きい弱い阻害作用を示した。ペプチド1239はIC50が0.5μg/mlより大きい中程度の阻害剤である。
【0053】
表2は、(前述した)ライブラリーから得たミモトープの阻害能を簡潔にまとめる:
【表2】
【0054】
図4及び5に示すとおり、様々な6残基ペプチド(ここ及び前述したように)に加え、5残基ペプチド(いわゆるペプチド1238 DKELR)及び7残基ペプチド(いわゆるペプチド1241 DWEFRDA)が、アルツハイマー病のワクチンにおいてミモトープベースのエピトープとして用いられうる。
【実施例4】
【0055】
実施例4:本発明及び国際公開第2006/005707号パンフレットに開示されたライブラリーのミモトープの阻害アッセイ
ライブラリー:
ミモトープは国際公開第2006/005707号パンフレットに記載されている通りに得られた。
【0056】
さらに、以下の5残基ペプチド(非天然アミノ酸)を阻害アッセイに用いた:
(s:強い阻害;m:中程度の阻害;-:阻害しない)
【0057】
方法:
ELISAプレート(Nunc Maxisorp)を0.1μg/mlペプチド-BSA(100μl/ウエル、12時間、4℃)の濃度の原ペプチドエピトープ DAEFRH(C末端はCにより延長されウシ血清アルブミンBSAと結合している)でコーティングした。1%(200μl/ウエル、12時間、4℃)のPBS/BSAでブロックした後、プレートを3回PBS/Tweenで洗浄した。続いてビオチン化モノクローナル抗体(1:2000, 50μl/ウエル)及びペプチド(50μl/ウエル)を50、5、0.5、0.05、0.005、及び0.0005μg/mlの濃度で加え、20分間、37℃で放置した。プレートはPBS/Tweenで3回洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)ラベルしたストレプトアビジン(100μl/ウエル, 30分、室温)で培養した。プレートは5回PBS/Tweenで洗浄し、ABTS+H2O2(0.1% w/v, 10ないし45分)で培養し、クエン酸で反応を停止させ、光度計により測定した(波長405nm)。
【0058】
予想通り、図6(ペプチド4011-4018を示す)に見られるように、ペプチド1737 DAEFRHはBSA-結合、プレート結合ペプチドDAEFRHと競合し、それゆえモノクローナル抗体の認識を阻害する。さらに、ペプチド4012 DNEFRSP、4013 GSEFRDY及び4014 GAEFRFTは、原エピトープのモノクローナル抗体の結合を緩やかに阻害する(moderately inhibit)ことが示されている。対照的に、ペプチド4011 DAEFRWP、4015 SAEFRTQ、4016 SAEFRAT、4017 SWEFRNP及び4018 SWEFRLYは、(異なる程度においてであるが)エピトープによる認識を強く阻害する。
【0059】
予想通り、図7(ペプチド 4019-4025を示す)に見られるように、ペプチド1737 DAEFRHは、追加的に行った独立の試験においても、有効にBSA-結合、プレート結合ペプチド DAEFRHとクローナル抗体認識において競合した。さらに、ペプチド4019 SWFRNPは試験した濃度では阻害しなかったが、ペプチド4020 SWELRQA、4021 SVEFRYH、4022 SYEFRHH、4023 SQEFRTP、4024 SSERFVS及び4025 DWEFRDは(to a different extent)エピトープ認識を阻害した。ペプチド4021、4022、4023、4024及び4025はIC50が0.5μg/mlの強い阻害剤であったのに対し、ペプチド4020はIC50が0.5μg/mlよりも大きい中程度の阻害剤であった。
【0060】
予想通り、図8(ペプチド 4031-4038を示す)に見られるように、ペプチド1737 DAEFRHは、第3の独立の試験においても、有効にBSA結合、プレート結合ペプチド DAEFRHとクローナル抗体認識において競合した。さらに、ペプチド4037 VPTSALA及び4038 ATYAYWNは試験した濃度では阻害しなかったが、ペプチド4031 DAELRY、4032 DWELRQ、4033 SLEFRF、4034 GPEFRW、4035 GKEFRT及び4036 AYEFRHは(異なる程度においてであるが) エピトープ認識を阻害した。ペプチド4031、4032、4033、4034及び4035は、IC50が0.5μg/mlより小さい比較的強い阻害剤であったのに対し、ペプチド4036はIC50が0.5μg/mlより大きい(比較的)弱い阻害剤であった。
【0061】
以下の表は、ADミモトープにより引き起こされた免疫反応の例を示す。下表にリストした全てのペプチドは、全長Aβ及び/又はその断片に対して特異的免疫反応を示した。
【0062】
【実施例5】
【0063】
実施例5:5残基ペプチドによる阻害アッセイ:非天然アミノ酸
以前、5残基ペプチド 1238 DKELRがミモトープベースのアルツハイマー病のワクチン(国際出願第PCT/EP04/00162号明細書)のエピトープとして用いられ得ることが示されている。以下では、5残基アミノ酸の原エピトープを非天然アミノ酸に置き換えた:Lを非天然アミノ酸tBuGly、Nle、Nva又はChaに置き換えた。
【0064】
予想通り、図9(ペプチド 4031-4038を示す)に見られるように、ペプチド1737 DAEFRHは、第4の独立の試験においても、有効にBSA-結合、プレート結合ペプチド DAEFRHとモノクローナル抗体認識において競合した。さらにペプチド4061 DKE(tBuGly)Rは、試験した濃度では阻害剤しなかった。興味深いことに、ペプチド4062 DKE(Nle)R、4063 DKE((Nva)R、及び4064 DKE(Cha)Rは(異なる程度においてであるが)、エピトープ認識を阻害した。ペプチド 4062、4063及び4064は、IC50が0.5μg/mlより大きい比較的弱い阻害剤であった。
【実施例6】
【0065】
実施例6: β-アミロイド及びN-末端を切断した及び/又は翻訳後修飾されたβ-アミロイド断片を特異的に検出するモノクローナル抗体の生産。
方法
以下の試験では、ヒトAβ由来のアミノ酸配列を検出するが、全長ヒトAPPには結合しない抗体を、ミモトープの同定には用いた。検出された配列は、EFRHDS(=Aβの原エピトープのアミノ酸3-8位)、p(E)FRHDS(=Aβの原エピトープの修飾型アミノ酸3-8位)、EVHHQK(=Aβの原エピトープのアミノ酸11-16位)を含む。抗体は、モノクローナルであってもポリクローナル抗体であっても、又はそれらの誘導体の抗体の一部であってもよいが、抗体分子は、特異的に上述のエピトープ(ヒトAβ由来)の少なくとも1つを認識し、全長ヒトAPPに結合しないことが必要である。
ミモトープは、同定され、さらにそのモノクローナル抗体及びペプチドライブラリーによって特徴づけた。
【0066】
実施例6a:モノクローナル抗体MV-001の生産
Alz-5の融合試験から誘導されたモノクローナル抗体:C57/Bl6マウスを、KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)に結合した原AβエピトープDAEFRHDSGYC及びアジュバントとしてのアラム(水酸化アルミニウム)を用いて繰り返し免疫化した:p4371ペプチド特異的、抗体産生ハイブリドーマをELISA(p1253-及びp4371-ペプチドコートしたELISAプレート)によって検出した。ヒトAβ40/42(遺伝子組換えタンパク質)をポジティブ・コントロール・ペプチドとして用いた:それらは、ペプチド及び全長Aβの両方に特異的に結合するため、ELISAに固定された遺伝子組換えタンパク質を認識するハイブリドーマが含まれる。p1454(ヒトAβ33-40)は、ネガティブコントロールペプチドとして用いた。さらにハイブリドーマをp4373に対して試験した。さらなる抗体産生には、p4373とは結合しない又は限定的な結合しないハイブリドーマをさらなる抗体産生には用いた。
【0067】
ハイブリドーマクローンMV-001(内部名824; IgG1)を、それぞれp1253、p4371、p4373、p1454及びAβの特異的検出のために精製し分析した。MV-001はELISAにおいてエピトープp1253並びにp4371及び全長Aβタンパク質(遺伝子組換えタンパク質; Bachem AGより入手, Bubendorf, Switzerland)を認識した。しかし、ELISAにおいてp1454を検出しなかった。さらに、ELISAにおいて、Aβ3-10のピログルタミン酸バージョンであるペプチドp4374を検出しなかった (原エピトープよりも30倍弱い抗体力価であった)。
【0068】
実施例6b: モノクローナル抗体MV-003の産生
Alz-16の融合試験から誘導されたモノクローナル抗体:BalbCマウスを、KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)に結合した原Aβエピトープp(E)FRHDSC (p4373)及びアジュバントとしてのアラム(水酸化アルミニウム)を用いて繰り返し免疫化した。p4373ペプチド特異的抗体産生ハイブリドーマをELISA(p4373-ペプチドコートしたELISAプレート)によって検出した。p1253、p1454及びヒトAβ40/42(遺伝子組換えタンパク質)をネガティブ・コントロール・ペプチドとして用いた。さらにハイブリドーマをp4371に対して試験した。2つの異なるシヌクレイン・タンパク質を区別しないため、ELISAプレートに固定された遺伝子組換えタンパク質を認識するハイブリドーマは含まれない。さらなる抗体産生には、ピログルタミン酸特異性を保証するため、p4371とは結合しない又は限定的な結合しかしないハイブリドーマを用いた。
【0069】
ハイブリドーマクローンMV-003(内部名D129; IgG1)を、それぞれp1253、p4371、p4373、p1454及びAβの特異的検出のために精製し分析した。MV-003はELISAにおいて注入エピトープp4373を認識した。しかし、ELISAにおいてp1454、p1253又は全長Aβタンパク質(遺伝子組換えタンパク質; Bachem AGより入手, Bubendorf, Switzerland)は検出しなかった。さらに、MV-003抗体は、Aβ3-10の通常バージョンであるp4371を検出しなかった(原エピトープよりも15倍抗体力価が低かった)。
【0070】
実施例6c:モノクローナル抗体 MV-004の生産
Alz-15の融合試験から誘導されたモノクローナル抗体:BalbCマウスを、KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)に結合したAβエピトープEVHHQKC (p4372)及びアジュバントとしてのアラム(水酸化アルミニウム)を用いて繰り返し免疫化した:p4372ペプチド特異的抗体産生ハイブリドーマをELISA(p4372-ペプチドコートしたELISAプレート)によって検出した。P4376、p4378、p1454及びAβ40/42をネガティブ・コントロール・ペプチドとして用いた。さらなる抗体産生には、切断型Aβの11位におけるN末端フリーの特異性を保証するため、p4371とは結合しない又は限定的な結合しかしないハイブリドーマを用いた。
【0071】
ハイブリドーマクローンMV-004(内部名B204; IgG1)を、それぞれp4372、p4376、p4378、p1454、及びAβの特異的検出のために精製し分析した。MV-004はELISAにおいて注入ペプチド(p4372)を認識した。しかし、p1454、p4376及びp4378並びにAβタンパク質(遺伝子組換えタンパク質; Bachem AGより入手, Bubendorf, Switzerland)を検出しなかった。p4376、p4378を検出しなかったことは、切断Aβにおいて11位がフリーのN末端における特異性を示している。
【0072】
実施例6d:β-アミロイド及びN-末端を切断した及び/又は翻訳後修飾されたβ-アミロイド断片を特異的に検出するモノクローナル抗体の産生-モノクローナル抗体MV-002
【0073】
方法
本発明のミモトープの同定のために用いた抗体は、Aβから得られたアミノ酸配列を検出するが、全長ヒトAPPは結合しない。検出された配列は、EVHHQKLVFFAED(=Aβの原エピトープアミノ酸配列11-24)及びp(E)VHHQKLVF(p4374=N-末端においてピログルタミン酸修飾されたAβの原エピトープアミノ酸配列11-19)を含む。抗体は、モノクローナル又はポリクローナル抗体製剤、又はそれらのいかなる抗体の部分であってもよいが唯一の必要条件としては、上述したエピトープ(ヒト由来のAβ)の少なくとも1つの抗体分子を特異的に認識するが、全長ヒトAPPには結合しないことである。
【0074】
ミモトープは、同定され、さらにそのモノクローナル抗体及びペプチドライブラリーによって特徴づけた。
Alz-9の融合試験から誘導されたモノクローナル抗体:C57/Bl6マウスを、KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)に結合した原AβエピトープHQKLVFC及びアジュバントとしてのアラム(水酸化アルミニウム)を用いて繰り返し免疫化した:p4377ペプチド特異的、抗体産生ハイブリドーマをELISA(p4377-ペプチドコートしたELISAプレート)によって検出した。ヒトAβ40/42(遺伝子組換えタンパク質)をポジティブ・コントロール・ペプチドとして用いた:ペプチド全長α-シヌクレインの両方に特異的に結合するため、ELISAに固定された遺伝子組換えタンパク質を認識するハイブリドーマが含まれる。p1454(ヒトAβ33-40)は、ネガティブコントロールペプチドとして用いた。さらにハイブリドーマはp4374、p1323及びsAPPαを試験した。2つの異なるシヌクレイン・タンパク質を区別しないため、ELISAプレートに固定された遺伝子組換えタンパク質を認識するハイブリドーマは含まれない。sAPPαも確かめた。さらなる抗体産生には、p4374、及びp1323のみと結合し、sPPαとは結合しないハイブリドーマを用いた。
【0075】
ハイブリドーマクローンMV-002(内部名A115; IgG2b)を、それぞれp1323、p4374、p4377、p1454、Aβ及びsAPPαの特異的検出のために精製し分析した。MV-002はELISAにおいてエピトープp1323並びにp4377及び全長Aβタンパク質(遺伝子組換えタンパク質; Bachem AGより入手, Bubendorf, Switzerland)を認識した。しかし、ELISAにおいてp1454は検出しなかった。さらに、MV-002抗体は、sAPPαを検出しなかったが、Aβ11-19においてピログルタミン酸バージョンであるペプチドp4374に特異的に結合した。
【実施例7】
【0076】
実施例7:ファージ提示法、インビトロでの結合性及び阻害性(ELISA)
この実施例において用いたファージディスプレーライブラリーは、Ph.D. 7: New England BioLabs E8102L(直線7量体ライブラリー)、及びPh.D. 12: New England BioLabs E8111L(直線12量体ライブラリー)である。ファージ提示法は、製造者のプロトコール(www.neb.com)に従い行った。
2又は3の連続のピックアップにより、1つのファージクローンを選択し、及びファージ上清を、ピックアップ過程において用いた抗体でコーティングしたプレートで、ELISAにかけた。このELISAにおいて陽性であったファージクローン(標的には強いシグナルを示したが、非特異的コントロールにはシグナルを示さなかったもの)の配列を決定した。DNA配列から、ペプチド配列を推定した。ペプチドを合成し、及びELISAにより結合性及び阻害性により特徴づけた。いくつかのペプチドには追加のアミノ酸がC末端に結合している。加えて、スクリーニングにおいて同定したミモトープの結合配列情報から、いくつかの新規なミモトープを作製し、ミモトープのワクチン化のためのコンセンサス配列の同定のサポートとして用いた。
【0077】
1. インビトロにおける結合アッセイ(ELISA)
ファージ提示法並びにそれらのC末端延長変異体から誘導されたペプチドをBSAに結合し、ELISAプレート(それぞれの図に示す通り1μM)に結合させ、続いて、同定されたペプチドの結合能の分析のためのスクリーニングプロセスに用いたモノクローナル抗体中で培養した。
2. インビトロにおける結合阻害アッセイ(ELISA)
スクリーニングプロセスにおいて用いたモノクローナル抗体とともに、ファージディスプレーから得られた量の異なるペプチド(それぞれ図に示す通り、濃度範囲5μgないし0.03μg(段階希釈))を培養した。その後、結合する抗体の量を減少させるペプチドを、このアッセイにおいて阻害することであるとする。
【実施例8】
【0078】
実施例8: インビボにおけるミモトープの試験:免疫原性及び交差反応性の分析
1. インビボにおけるミモトープの試験
阻害並びに非阻害性ペプチドをKLHに結合させ、適切なアジュバント(水酸化アルミニウム)とともにマウス(野生型C57/Bl6マウス;脇腹への皮下注射)に注入した。動物は、隔週の間隔で3-6回ワクチン接種し、血清も隔週で採取した。各血清について、注入ペプチド並びに無関係なペプチドの抗体力価を決定した。さらに、ELISAプレートに固定した遺伝子組換えヒトAβタンパク質及び原ペプチドについて、それぞれに対する抗体力価を決定した。一般に血清は、ウシ血清アルブミン及び遺伝子組換え全長タンパク質に反応させて抗ペプチド反応により分析される。抗体力価は、抗マウスIgG特異的抗体を用いて決定した。結果の詳細は図15、16及び17に及び図23、24及び25にそれぞれ示す。
【0079】
2. MV-001、MV-003及びMV-004から得られた結果
2.1.N-末端切断型及び修飾型Aβ特異的モノクローナル抗体の同定:
図10は、Alz-5試験において得られた、全長Aβ及びE3において切断されたAβ断片から得られた特異的なモノクローナル抗体MV-001(内部名D129; IgG124)の特徴を示す。
図11は、Alz-16試験において得られた、切断されたAβ断片及びp(E)3において修飾されたAβ断片に特異的なモノクローナル抗体MV-003(内部名D129; IgG1の特徴を示す。
図12は、Alz-15試験において得られた、E11において切断されたAβ断片に特異的なモノクローナル抗体MV-004(内部名B204; IgG1)の特徴を示す。
【0080】
2.2. AβのN末端切断型及び修飾型を標的とした特異的mABによるスクリーニング:
2.2.1. ファージディスプレーライブラリーPh.D.7
2.2.1.1. p4373に対するモノクローナル抗体のスクリーニング
PhD7及びPhD12ファージディスプレーライブラリーをスクリーニングし、このスクリーニングにより、8配列が同定された:表1-Aは、ペプチドの同定及び原エピトープと比較したそれらの結合能の概略を示す。
【0081】
2.2.1.2. p4372を標的としたモノクローナル抗体のスクリーニング
PhD7ファージディスプレーライブラリーをスクリーニングし、このスクリーニングにより、9配列が同定された:表1-Bは、ペプチドの同定及び原エピトープと比較したそれらの結合能の概略を示す。
【0082】
2.2.1.3. モノクローナル抗体を用いたp4371を標的としたスクリーニング
PhD7及びPhD12ファージディスプレーライブラリーをスクリーニングし、このスクリーニングにより、71配列が同定された:表1-Cは、ペプチドの同定及び原エピトープと比較したそれらの結合能の概略を示す。
【0083】
【表3−A】
表3Aの凡例:結合能は以下の結合コードで表した: 1:Xは、親抗体の希釈因子を示す
【0084】
【0085】
【表3−B】
表3Bの凡例:結合能は以下の結合コードで表した: 1:Xは、親抗体の希釈因子を示す
【0086】
【0087】
【表3−C】
【表3−D】
【表3−E】
表3C-Eの凡例:結合能は以下の結合コードで表した: 1:Xは、親抗体の希釈因子を示す
【0088】
【0089】
2.3.インビトロにおける、Aβに対するモノクローナル抗体のファージディスプレーライブラリーによるスクリーニングによって同定されたミモトープの特徴:
図13及び14は、インビトロにおける結合及び阻害アッセイによる代表例を示す。得られたデータは、それぞれ表1及び2に概説する。
MV-003ミモトープ:インビトロにおける競合阻害試験において、8配列のうち6配列がp(E)3-7Aβ特異的抗体の結合を阻害した。残りの2配列はインビトロにおける競合阻害試験において、モノクローナル抗体の結合を阻害しなかったが、なお、親抗体に対する結合能は保っていた(表2A)。
【0090】
MV-004ミモトープ:インビトロにおける競合阻害試験において、9配列すべてが、E11におけるN末端切断型モノクローナル抗体の結合を阻害した(表2B)。
MV-001ミモトープ:インビトロにおける競合阻害試験において、71配列のうち27配列がE3におけるN末端切断型モノクローナル抗体の結合を阻害した。残りの44配列はインビトロにおける競合阻害試験において、モノクローナル抗体の結合を阻害しなかったが、なお、親抗体に対する結合能は保っていた(表2C)。
【0091】
【表4−A】
表4Aの説明:阻害能は以下の配列によってコードされている:
弱い阻害は、AB結合を低下させるのに、原エピトープよりも多くのペプチドが必要であることを意味する;強い阻害は、AB結合を低下させるのに、原エピトープと近い量のペプチドが必要であることを意味する。原ペプチドを標準としてミモトープと比較した。アッセイにおいて用いた10μgのペプチドによるODを、原ペプチドと比較して競合阻害能を計算するのに用いた。
【0092】
【表4−B】
表4Bの説明:阻害能は以下の配列によってコードされている:
弱い阻害は、AB結合を低下させるのに、原エピトープよりも多くのペプチドが必要であることを意味する;強い阻害は、AB結合を低下させるのに、原エピトープと近い量のペプチドが必要であることを意味する。原ペプチドを標準としてミモトープと比較した。アッセイにおいて用いた10μgのペプチドによるODを、原ペプチドと比較して競合阻害能を計算するのに用いた。
【0093】
【0094】
【表4−C】
表4Cの説明:阻害能は以下の配列によってコードされている:
弱い阻害は、AB結合を低下させるのに、原エピトープよりも多くのペプチドが必要であることを意味する;強い阻害は、AB結合を低下させるのに、原エピトープと近い量のペプチドが必要であることを意味する。原ペプチドを標準としてミモトープと比較した。アッセイにおいて用いた10μgのペプチドによるODを、原ペプチドと比較して競合阻害能を計算するのに用いた。
【0095】
【0096】
【表5】
【0097】
2.4. インビボにおける、N末端切断型及び修飾型アミロイドβに対するモノクローナル抗体のファージディスプレーライブラリーにおけるスクリーニングによって同定されたミモトープの特徴:
雌C57/Bl6マウス各群5-6匹を、KLHに結合させたペプチド30μgで皮下注射により免疫化した。コントロール群には原エピトープ-KLH結合体を投与した。アジュバントとしてはアラムを用いた(全て1mg/マウス)。投与したペプチドは、全て、モノクローナル抗体に特異的に結合することができたが、いくつかのペプチドは、その親抗体の原エピトープへの結合をインビトロで阻害しなかった(インビトロ結合阻害アッセイ)。インビトロのELISAアッセイによる抗体力価の決定は、単独のマウスの血清又は集めた血清(図5参照)により、それぞれのワクチン接種2週間経過後に行った(図15及び16をそれぞれ参照)。抗体力価は、全ての図においてOD半値(OD max/2)として計算した。ELISAプレートのウェルは、ミモトープ-BSA結合体及び無関係なペプチド-BSA結合体(ネガティブコントロール)によりコーティングした。ポジティブコントロールは、親抗体をミモトープ-BSA結合体と反応させて行った。検出は、抗マウスIgGで行った。さらに、遺伝子組換えタンパク質をELISAプレートに固定し、血清を反応させた。図15-17は、インビボにおけるミモトープの特徴付けに用いられたアッセイの代表例を示す。
【0098】
図15は、インビボにおけるミモトープのワクチン接種により誘導された免疫反応を、注入ペプチド及び関係のない配列を含む無関係なペプチドに対する免疫反応を分析することによって特徴付けた例である。示した3つのペプチド(原エピトープ及びミモトープ)は全て、注入ペプチドに対して免疫反応を誘導したが、無関係な配列(p1454)に対する非特異的免疫反応は誘導しなかった。
【0099】
MV-003ミモトープの例として、原エピトープp4373及びミモトープp4395、p4396、p4397、及びp4399を図15Aに示す。全てのワクチンがそれぞれのミモトープに対して同様の免疫反応を示した。原エピトープp4373ワクチン処置又はp4395、p4396、p4397又はp4399ワクチン処置した動物は、無関係なペプチドp1454に対してはいずれも免疫反応を示さなかった(11倍-25倍注入ペプチドよりも低い)。
【0100】
MV-004ミモトープの例として、原エピトープp4372及びミモトープp4417、p4418、p4419、及びp4420を図15Bに示す。全てのワクチンがそれぞれのミモトープに対して同様の免疫反応を示した。原エピトープp4372ワクチン処置又はp4417、p4418、p4419、及びp4420ワクチン処置した動物は、無関係なペプチドp1454に対してはいずれも免疫反応を示さなかった(20-80倍注入ペプチドよりも低い)。
【0101】
MV-001ミモトープの例として、原エピトープp4371及びミモトープp4381、p4382、及びp4390を図15Cに示す。全てのワクチンがそれぞれのミモトープに対して同様の免疫反応を示した。原エピトープp4371ワクチン処置又はp4381、p4382、及びp4390ワクチン処置した動物は、無関係なペプチドp1454に対してはいずれも免疫反応を示さなかった(>10倍注入ペプチドよりも低い)。
【0102】
図16は、親抗体の原エピトープ並びにAβの切断型以外の種に対するミモトープワクチン接種により引き起こされた免疫反応の特徴である。
【0103】
MV-003ミモトープの例として、原エピトープp4373及びミモトープp4395、p4396、p4397、及びp4399を図16Aに示す。原エピトープp4373に対しては4つのうち3つのミモトープワクチンが免疫反応を示した。類似の現象が、非修飾型p4371に対する交差反応性の分析から検出された。原エピトープp4373ワクチン及び4つのうち2つのミモトープワクチンが、p4371に対するのと同様の抗体力価を示した。驚いたことに、p4373に選択的に結合するMV-003により選択したミモトープも、非修飾型の原エピトープに対して免疫応答性交差反応を示した。
【0104】
MV-004ミモトープの例として、原エピトープp4372及びミモトープp4417、p4418、p4419、及びp4420を図16Bに示す。4つのうち3つのミモトープワクチンは原エピトープp4372に対して検出可能な免疫反応を示した。
【0105】
MV-001ミモトープの例として、原エピトープp4371及びミモトープp4381、p4382、及びp4390を図16Cに示す。全てのミモトープワクチンは原エピトープp4371に対して検出可能な免疫反応を示した。類似の現象がピログルタミン酸修飾型p4373に対して交差反応性の分析から検出された。原エピトープp4371ワクチン及び全てのミモトープワクチンがp4373に対して相当な抗体力価を示した。驚いたことに、p4371に特異的に結合するMV-001により選択したミモトープは、原エピトープ誘導性免疫反応又は親抗体よりも修飾型原エピトープに対して交差反応を誘導した。それゆえこれらのミモトープは、驚くべきことに広い免疫反応を必ずしも導くのではなく、Aβのより広い標的として用いられる。
【0106】
図17は、全長Aβに対するミモトープワクチン接種により示された免疫反応のインビボでの特徴の例を示す。驚いたことに、MV-001及びMV-003を用いて選択したミモトープは、切断型又は修飾型の短いエピトープを用いた抗体との交差反応を示しただけでなく、全長、非修飾型のAβ並びに原配列と同等の、さらにp4371/p4373よりも効果的に交差反応性を示した。MV-002原エピトープ並びに同定されたミモトープについては、フリーであるN末端非修飾型Aβ11-40/42に対しては、抗体の特異性の移転によっても、そのような交差反応は見られなかった。それゆえ、本発明のミモトープは、AD患者の脳において見られる天然のAβペプチドの広いスペクトルの標的としての最適なワクチンの候補を構成する。そのような形態にはAβ1-40/42に限らず、Aβ3-40/42、Aβ(pE)3-40/42のようなN末端切断型、及び非修飾型Aβ11-40/42が含まれる。
【0107】
表6及び7は、MV-001及びMV-003により得られたミモトープを用いた全長Aβに対するミモトープワクチンにより示された免疫反応の例を示す。
【表6】
【0108】
表6に示した全てのペプチドは、全長及び/又は切断型及び修飾型Aβ又はその断片に対して特異的免疫反応を示した。
【0109】
【表7】
表7に示した全てのペプチドは、全長及び/又は切断型及び修飾型Aβ又はその断片に対して特異的免疫反応を示した。
【0110】
3. MV-002の結果
3.1. N-末端を切断型、及び修飾型Aβ特異的モノクローナル抗体の同定:
図21は、Alz-9試験において得られた、E11及びH14において切断されたAβ断片及びE11及びH14において修飾されたAβ断片に特異的なモノクローナル抗体MV-002(内部名A115; IgG2b)の特徴を示す。
【0111】
3.2. AβのN末端切断型及び修飾型を標的とした特異的mABによるスクリーニング:
【0112】
3.2.1. ファージディスプレーライブラリーPh.D.7
3.2.1.1. p1323に対するモノクローナル抗体のスクリーニング
PhD7ファージディスプレーライブラリーをスクリーニングし、このスクリーニングにより、47配列が同定された:表1は、ペプチドの同定及び原エピトープと比較したそれらの結合能の概略を示す。
【0113】
【表8】
【表9】
表8,9の凡例:結合能は以下の結合コードで表した: 1:Xは、親抗体の希釈因子を示す。Ac-はアセチル化アミノ酸を示す。
【0114】
【0115】
3.3. インビトロにおける、AβのN末端切断型及び修飾型に対するモノクローナル抗体とともに反応させ、ファージディスプレーライブラリーによるスクリーニングによって同定されたミモトープの特徴:
図21及び22は、インビトロにおける結合及び阻害アッセイによる代表例を示す。得られたデータは、それぞれ表1及び2に概説する。
MV-002ミモトープ:インビトロにおける競合阻害試験において、47配列のうち11配列がモノクローナル抗体MV-002の結合を阻害した。残りの36配列はインビトロにおける競合阻害試験において、特異的モノクローナル抗体の結合を阻害しなかったが、なお、親抗体に対する結合能は保っていた(表2)。親抗体にインビトロで結合するための原エピトープにおいて競合することは、図23-25に記載したとおり、インビボで免疫反応の交差反応性を有することが必要条件ではないということである。それゆえ、脳からのアミロイドペプチドのクリアランスを導くことのできる、インビボで免疫反応を誘導するペプチドを検出するためには、阻害だけでなく非阻害性ペプチドも用いられる(データは図23-25参照)。
【0116】
【表10】
表10の説明:阻害能は以下の配列によってコードされている:
弱い阻害は、AB結合を低下させるのに、原エピトープよりも多くのペプチドが必要であることを意味する;強い阻害は、AB結合を低下させるのに、原エピトープと近い量のペプチドが必要であることを意味する。原ペプチドを標準としてミモトープと比較した。アッセイにおいて用いた5μgのペプチドによるODを、原ペプチドと比較して競合阻害能を計算するのに用いた。
【0117】
【0118】
3.4. インビボにおける、アミロイドβに対するモノクローナル抗体のファージディスプレーライブラリーにおけるスクリーニングによって同定されたミモトープの特徴:
雌C57/Bl6マウス各群5-6匹を、KLHに結合させたペプチド30μgで皮下注射により免疫化した。コントロール群には原エピトープ-KLH結合体を投与した。アジュバントとしてはアラムを用いた(全て1mg/マウス)。投与したペプチドは、全て、モノクローナル抗体に特異的に結合することができたが、いくつかのペプチドは、その親抗体の原エピトープへの結合をインビトロで阻害しなかった(インビトロ結合阻害アッセイ)。インビトロのELISAアッセイによる抗体力価の決定は、単独のマウスの血清又は集めた血清により、それぞれのワクチン接種2週間経過後に行った(図25及び26をそれぞれ参照)。抗体力価は、全ての図においてOD半値(OD 最大/2)として計算した。ELISAプレートのウェルは、ミモトープ-BSA結合体及び無関係なペプチド-BSA結合体(ネガティブコントロール)によりコーティングした。ポジティブコントロールは、親抗体をミモトープ-BSA結合体と反応させて行った。検出は、抗マウスIgGで行った。さらに、遺伝子組換えタンパク質をELISAプレートに固定し、血清を反応させた。図23、24及び25は、インビボにおけるミモトープの特徴付けに用いられたアッセイの代表例を示す。示した結果は、p4670、p4675、p4680及びp4681のようなインビトロでの阻害アッセイにおいて活性なペプチドから得られたもの、及びインビトロで結合能を有しないペプチドp4403から得られたものをそれぞれ示す。
【0119】
図23は、インビボにおけるミモトープのワクチン接種により誘導された免疫反応を、注入ペプチド及び関係のない配列を含む無関係なペプチドに対する免疫反応を分析することによって特徴付けた例である。エピトープp4377、ポジティブコントロールペプチド、及びミモトープp4670、p4675、p4680、p4681及びp4403は注入ペプチドに対して免疫反応を誘導したが、無関係な配列(p1454)に対する非特異的免疫反応は誘導しなかった。
【0120】
図24は、親抗体(p4377)並びにAβ切断種から得られたペプチド(p1323及びp4374)及びsAPPα、それぞれの原エピトープに対する、ミモトープのワクチン接種により引き起こされた免疫反応のインビボでの特徴の例を示す。
【0121】
p4377及びミモトープp4670、p4675、p4680、p4681及びp4403は、原エピトープp4377に対して検出可能な免疫反応を引き起こした。同様の現象が、p4374の修正された形態として、交差反応性を分析していると検出される。興味深いことに、原エピトープ及びミモトープワクチンは、原エピトープの修飾型であるp4374に対して関連する抗体力価を示した。驚いたことにミモトープはp1323に対して、より効果的な免疫反応を生じさせることができるが、それを必要としないようであり、これは原Aβ断片より広い免疫反応を示す可能性があることを示している。さらに、sAPPαに対しては検出されなかった。
【0122】
図25は、全長Aβに対するミモトープワクチン接種により引き起こされた免疫反応の特徴である。驚いたことにMV-002を用いて選択されたミモトープは、抗体を作るための切断又は修飾型の短いエピトープだけでなく、全長。Aβの非修飾体、並びに原配列又はさらにはp4377まで交差反応性を引き起こした。
【0123】
興味深いことに、競合性だけでなく非競合性ペプチドも原Aβ配列を含む、ペプチドと特異的に相互作用する、同様の免疫反応を誘導することができることがわかった。それゆえ、本発明のミモトープは、AD患者の脳内において見られる天然由来のAβの広いスペクトルを標的とした最適な、新規なワクチンの候補を構成する。その形態には、Aβ1-40/42、及びN-末端を切断した形態Aβ3-40/42、Aβ(pE)3-40/42、非修飾型Aβ11-40/42、修飾型Aβp(E)11-40/42及びAβ14-40/42に限られないが、これらが含まれる。重要なことは、本発明のミモトープもまたAPPから切り出されたsAPPαにおけるネオエピトープに対して交差反応を誘導しなかったため、通常のsAPPαシグナルを妨害しない(詳細は図24を参照)。
【0124】
【表11】
【0125】
表12は、MV-002由来のミモトープを用いた全長Aβに対するミモトープワクチン接種により引き起こされた免疫反応のさらなる例を示す。表4にリスト化したペプチドは全て、全長及び/又は切断型及び修飾型Aβ又はそれらの断片に対して特異的免疫反応を示した。
【表12】
【実施例9】
【0126】
実施例9:
遺伝子組み換え動物におけるインビボにおける、AD様病変を減少させるためのミモトープの有効性
Tg2576 ADマウスモデルを、ミモトープワクチンの前臨床での有効性を試験するために用いた。この遺伝子組み換え体は、ハムスタープリオンタンパク質(PrP)プロモーターによる制御のもと、タンパク質の過剰発現を生じる、アミノ酸670/671位においてスウェーデン型二重変異を有するヒトAPPを発現する。これは、現在AD研究において最も広く用いられている方法の1つである。Tg2576モデルは、疾患特異的である、アミロイド斑蓄積及び星状細胞増加を含む、AD病理の様々な特徴を有している。現在ある全ての他のADモデル系と同様、ADの全ての主要な神経病理学的特徴を反映しているわけではない。
【0127】
ミモトープ処置により脳内Aβ蓄積を予防することができるかを評価するため、ペプチド-KLH複合体をアラム(アジュバント:水酸化アルミニウム)に吸着させた、又はPBSをアラム(PBS又はコントロールと呼ぶ)に吸着させたものを単独でTg2576マウスに毎月皮下注射を行い、投与した。最後の免疫化の8週間後、動物を安楽死させ、脳を収穫しAβ沈着(AD様病変)を分析した。マウスは深い麻酔のもとで安楽死させた。続いて、脳を単離し、4%PFA中で固定し、エタノールで段階的に脱水し、キシレン中で培養しパラフィン包埋した。パラフィン包埋した脳は、7μMにおいて切断ミクロトームを用いてスライスし、スライドガラスに乗せた。
【0128】
Tg2576動物においてAD様病変であるかを評価する方法としては、動物の脳内においてアミロイド沈着により占有された相対領域を分析した。この分析は、自動化された面積認識プログラムを用いて行った。斑であるかを特定するため、スライス断片を(Aβ40/42特異的)モノクローナル抗体(mAb) 3A5で染色した。ミモトープ処置動物をコントロール動物と比較した。動物はすべて13.5-14ヶ月で安楽死させた。この分析のため、大脳皮質及び海馬をカバーしている3スライド/動物を選択し、ミラックスシステム(Mirax-system)(ツァイス(Zeiss))を用いて文書で記録した。アミロイド斑により占められた面積の計算には、得られた画像を調べ、我々は各スライドにつき、4つまでの個別のセクションを分析し、
不自然で異常な染色強度を有する部分を排除した。
【0129】
MV002のミモトープについては、3つの例示的な候補について面積の分析をした:分析は、ペプチド-KLH複合体ワクチンを用いて、以下の繰り返しのワクチン接種により行われた。コントロール群の平均占有率は0.35%であったのに対し、ミモトープ処置動物がそれぞれ0.11%、0.14%及び0.22%であった。これはミモトープ処置群のグループ2が67%、グループ3が60%、グループ4が36%の減少を生じたことと対応する(図18参照)。
【0130】
MV002のミモトープについては、1つの例示的な候補について面積の分析をした:分析は、ペプチド-KLH複合体ワクチンを用いて、以下の繰り返しのワクチン接種により行われた。コントロール群の平均占有率は0.35%であったのに対し、ミモトープ処置動物が0.24%であった。これはミモトープ処置群のグループ2が31%の減少を生じたことと対応する。
【0131】
類似の図がMV003誘導性ミモトープの群において検出される。ここではp4395の例について示す。MV001誘導性ミモトープについて示すが、ペプチド複合体ワクチン接種によるアミロイドプラークにより占められた領域の分析を行った。コントロール群は、平均の占有率が0.35%であったのに対し、ミモトープ処置動物はそれぞれ0.21%であった。これは、グループ2におけるミモトープ処置における減少が38%であったのに対応する(図19参照)。
【0132】
それゆえ、このデータのセットは、ミモトープワクチン処置が遺伝子組み換え動物におけるAD様病変において有益であることを明らかに示している。
【実施例10】
【0133】
遺伝子組み換え動物におけるインビボにおける、PD様疾患を減少させるためのミモトープの有効性(概念の証明のための分析)
【0134】
mThy1-wtヒトα-syn (TASD61株)と交配させた二重遺伝子組み換えマウスモデル(mThy1-APP751 (TASD41株))を、PD様疾患を減少させるかのADミモトープワクチンの前臨床効果の研究に用いた。このモデルは、AD及びPDのさまざまな病態をアミロイド斑堆積及び星状細胞増加症並びにシヌクレイン凝集及び細胞死を含んでいる。
【0135】
ミモトープ処置によりPD様疾患を緩和することができるかを評価するため、ペプチド-KLH複合体をアラム(アジュバント:水酸化アルミニウム)に吸着させた、又はPBSをアラム(PBS又はコントロールと呼ぶ)に吸着させたものを単独でTg2576マウスに毎月皮下注射を行い、6回投与した。最後の免疫化後、動物を安楽死させ、脳を収穫しAβ沈着(AD様病変)を分析した。マウスは深い麻酔のもとで安楽死させた。続いて、脳を単離し、固定し、40μMにおいて切断ビブラトームを用いてスライスし、スライスは-20℃において凍結防止剤中で保存した。スライスは、抗αシヌクレイン及びNeuN(神経マーカー)抗体とともに免疫化し、レーザー共焦点顕微鏡でイメージングした。デジタルイメージをイメージクワント(
ImageQuant)プログラムを用いてαシヌクレイン凝集の数を評価した。結果は、本発明のミモトープの一連の実施例のデータに示す。
【0136】
ADミモトープによるワクチン化が、PD関連病態を減少させるかを分析するため、前頭皮質及び海馬におけるαシヌクレインの神経封入体の出現を分析した(レビー小体様封入体)。脳内においてAPP及びαシヌクレインを過剰発現する動物は、PDを思い起こす病態変化を起こす。αシヌクレイン陽性神経封入体は、図27に神経細胞体の斑点として示す。封入体の定量的分析から、二重遺伝子組み換えマウスに対するADミモトープワクチン接種により、新皮質及び海馬における神経細胞体におけるαシヌクレインの蓄積レベルは、有意に減少したことを明らかにした。これは、皮質において32.7%減少させ (p=0.0001)、この領域においてADミモトープワクチン接種がPD様病態に有益であることを示している。
【0137】
遺伝子組み換え動物のPD様病変のアッセイの第2の方法として、NeuN染色により、処置動物の皮質及び海馬における神経の数を分析した。
【0138】
この動物モデルにおいては、前頭皮質並びに海馬において、加齢に伴い神経の進行性の喪失が起こった。前頭皮質及び海馬における神経密度の定量は、非遺伝子組み換えコントロール動物と比べ、二重遺伝子組み換えPBA処置マウスにおいて、わずかに減少した。このわずかな減少は、本試験における神経株の神経変性を示す。
【0139】
興味深いことに、ADミモトープを処置したマウスは、コントロールと比較して、NeuN陽性の神経となった(図28)。二重組換Tg動物は、海馬において、27%(p=0.044)増の統計的に有意な増加を担体処置コントロールに対して、それぞれ示した。皮質においては、二重組換Tg動物で、ADミモトープ処置により、28.4%(p=0.0053)増が見られた。相対的な増加が、担体処置動物に対して見られたことは、うまく処置された動物においては、神経変性を減少させることを示唆する。
【0140】
まとめると、このデータのセットは、PD様症状へのADミモトープワクチン処置が遺伝子組み換え動物において有益であることを明らかに示している。
【図1−A】
【図1−B】
【図1−C】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーキンソン病に関連する症状を予防、緩和及び治療するための方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)及びパーキンソン病(PD)は、ヒトにおいて痴呆及び運動障害を引き起こす最もよくある原因である。ADは、アミロイド前駆タンパク質(APP)から得られるアミロイドβタンパク質(Aβ斑と呼ばれるものを形成する)の蓄積により特徴づけられるのに対し、PD患者はαシヌクレイン(α-Syn、αSyn;レビー小体と呼ばれるものを形成する)の病理的な蓄積が起こる。これらの両分子は、これらの神経変性疾患の主な病因であると考えられている。これらの疾患AD及びPDは、神経及びシナプスの接続の変性、特異的神経伝達物質の欠乏、及び折りたたみミスのタンパクの異常な蓄積に関連し、ここでそれらは、非病原性タンパク質が通常の中枢神経機能において重要な役割を果たしている。
【0003】
近年、運動障害に関連するが臨床症状がAD、血管性認知症又は突発性パーキンソン病とは異なる新規な痴呆の型が臨床的に定義づけられた。この新規な疾患は、レビー小体型認知症又は痴呆を伴うパーキンソン病(DLB/PDD)と定義されている。DLB/PDDは、全認知症例の25%にのぼり、高齢者における認知症に2番目に最も顕著な形態であると考えられている。この疾患は、多量のアミロイド堆積を伴うレビー小体病変の広範な形成により特徴づけられる。広くレビー小体が見られることにより、DLB/PDDは他のいずれの型の認知症並びに他の運動障害からも区別される。DLB/PDDにおける神経系の評価については、顕著な注意力、実行機能、記憶並びに行動及び運動の変化において異常が見られる。
【0004】
現在αSyn及びAβは、神経系において、区別でき、収斂性の病理効果があると考えられている。シヌクレインは、認知機能よりも運動機能により深刻に影響を与えると考えられているのに対し、アミロイドβペプチドは逆の効果があると述べられている。加えて、αSYN及びAβは、神経変性経路において協同的に作用し合うことにより、より直接的に相互作用することができる考えられている。近年、前臨床疾患モデルにおいて、Aβ、Tau並びにαSynを含む、異なる病原分子が相互に毒性を増強する効果を示すことが示されており、異なる神経変性性の病態におけるAβの重要な機能を示唆している。近年のDLB/PDDの遺伝子組換え動物モデルにおいて、遺伝子組み換えマウスモデルにおけるhaSYN及びhAPPの両分子の同時発現により、コリン性ニューロンの喪失及びシナプス小胞の減少、広いアミロイド斑及びhaSYN-免疫応答性神経内線維封入体(immunoreactive intraneuronal fibrillar inclusions)の形成を伴う認知及び運動変化を起こすことが示された。これらの特徴は全てDLB/PDD症候群においても見られる。
【0005】
現在のパーキンソン病症状の治療は、該疾患に苦しむ患者に、ドパミン作用薬を投与することによっている。ドパミン作用薬は、これらの症状は脳からドパミンを奪うことにより起こると考えられているため、パーキンソン病の症状を緩和すると信じられている。それゆえ、脳内ドパミンの欠乏は、患者に、ドパミンアゴニスト又はドパミン前駆体(例えばレボドパ)のようなドパミン作用薬を投与することにより補われうる。パーキンソン病に確立された治療法はなく、ここでそれは症状が悪化することを意味し、疾患の進行に従い治療剤の日々の用量を増加させる必要があることを意味する。さらに、慢性使用によるレボドパの用量の増加は、例えば、効果の消滅及び不随意運動(ジスキネジア)といった運動合併症を引き起こす。
【0006】
運動機能障害の症状は、レボドパを、その効果を改善する他の化合物と組み合わせることにより特に改善される。
【0007】
ドパミン作用薬を投与することの1つの大きな不利益は、これらの薬剤は、通常の間隔で投与されなければならないことである。さらに、これらの薬剤は、患者からパーキンソン病の症状の原因(いわゆるa-Syn斑)を取り除くことなく、ドパミン作用薬が増加するだけであることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、a-Syn堆積の量を減少することにより、パーキンソン病の症状を持続的に治療する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、パーキンソン病の運動症状を治療及び/又は緩和するためのペプチドを含む化合物に関し、ここで、該ペプチドはアミロイドβペプチド(Aβ)のエピトープに特異的な抗体に結合能を有する。
【0010】
驚いたことに、アミロイドβペプチドの抗体を誘導することのできる化合物は、このように、例えばアルツハイマー病のようなβアミロイドーシスに用いられるが、パーキンソン病、特にパーキンソンの運動症状を緩和することにも用いることができることがわかった。該化合物を投与することにより形成される抗体は、α-Syn堆積の量を驚くほど減少させる。
【0011】
本明細書中「運動症状」とは、該疾患における患者の運動行動だけでなく自律機能に影響を与えるような、パーキンソン病治療における医薬品の臨床研究におけるEMEAガイドライン(CPMP/EWP/563/95 Rev.1)に記載されているパーキンソン病の症状をいう。これらの症状は、以下に限られないが、静止時振戦、動作緩慢、硬直、姿勢の不安定、前屈姿勢、ジストニア、倦怠感、細かい動きの機敏さ及び運動協調性の障害、粗大運動協調性の障害、動きの欠如(腕の振りの減少)、静座不能、会話障害、筋肉の制御の欠如による声の柔らかさの欠如又は不明瞭な発語、顔の表情の欠如、又は「マスキング(masking)」、小字症、嚥下困難、性機能障害、涎等を含む。
【0012】
本明細書中、用語「エピトープ」は、特定の抗体分子によって認識される抗原の免疫原性領域を言う。抗原は1つ以上のエピトープを有し、それぞれが、特定のエピトープを認識する抗体を結合することができる。
【0013】
用語「アミロイドβペプチドのエピトープに特異的結合能を有するペプチド」とは、ホ乳類にアミロイドβペプチド又はその断片を投与することにより生産されるアミロイドβペプチド特異的抗体に、該ペプチドが結合することをいう。該結合能を有する該ペプチドは、ホ乳類においてアミロイドβペプチド特異的抗体形成を誘導する。後者の抗体は、結果的に本発明化合物並びにアミロイドβペプチドに結合する。
【0014】
本発明の好ましい態様としては、アミロイドβペプチドの該エピトープは、DAEFRH、EFRHDSGY、pEFRHDSGY、EVHHQKL、HQKLVF及びHQKLVFFAEDからなる群から選択される。
【0015】
本発明化合物は前述の天然由来のアミロイドβペプチドのエピトープに向けた/特異的な抗体に結合できることが特に好ましい。結果的に本発明の化合物は該アミノ酸配列の1つを含みうる。
【0016】
本発明の他の態様としては、好ましくはアミノ酸配列DAEFRH、EFRHDSGY、pEFRHDSGY、EVHHQKL、HQKLVF及びHQKLVFFAEDを含まないが、しかし、アミロイドβ特異的抗体に結合することである。
【0017】
そのような抗体誘導性ペプチドの同定には、ファージライブラリー及びペプチドライブラリーが用いられ得る。もちろん、コンビナトリアルケミストリーの手法によっても同定することができる。これらの方法はすべて、アミロイドβペプチド特異的抗体にペプチドを接触させるステップが関与する。該抗体に結合するペプチドのプールは、各ペプチドのアミノ酸配列が知られていない場合、単離及び配列を特定できる。
【0018】
以下には、ホ乳類においてアミロイドβ抗体形成を誘導できるペプチドをリスト化した。これらのペプチドは、またパーキンソン病の症状も減ずることができる。
【0019】
本発明の好ましい態様としては、ペプチドがアミノ酸配列
X1X2X3X4X5X6X7 (式I)
(ここで、
X1は、G又はヒドロキシ基又は負に荷電したアミノ酸、好ましくは、グリシン(G)、グルタミン酸(E)、チロシン(Y)、セリン(S)又はアスパラギン酸(D)、
X2は、疎水性のアミノ酸又は正に荷電したアミノ酸、好ましくはアスパラギン(N)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、バリン(V)、リジン(K)、トリプトファン(W)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)又はアラニン(A)、
X3は、負に荷電したアミノ酸、好ましくはアスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)、
X4は、芳香族アミノ酸又は疎水性のアミノ酸又はロイシン(L)、好ましくはチロシン(Y)、フェニルアラニン(F)又はロイシン(L)、
X5は、ヒスチジン(H)、リジン(K)、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)又はアルギニン(R)、好ましくはヒスチジン(H)、フェニルアラニン(F)又はアルギニン(R)、及び
X6は、存在しない又はセリン(S)、スレオニン(T)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アルギニン(R)、イソロイシン(I)、リジン(K)、チロシン(Y)、又はグリシン(G)、好ましくは、スレオニン(T)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、アルギニン(R)、イソロイシン(I)又はグリシン(G)、
X7は、存在しない又はいかなるアミノ酸でもよく、好ましくは、プロリン(P)、チロシン(Y)、スレオニン(T)、グルタミン(Q)、アラニン(A)、ヒスチジン(H)又はセリン(S)であり、
好ましくは、EIDYHR、ELDYHR、EVDYHR、DIDYHR、DLDYHR、DVDYHR、DI-DYRR、DLDYRR、DVDYRR、DKELRI、DWELRI、YREFFI、YREFRI、YAEFRG、EAEFRG、DYEFRG、ELEFRG、DRELRI、DKELKI、DRELKI、GREFRN、EYEFRG、DWEFRDA、SWEFRT、DKELR、SFEFRG、DAEFRWP、DNEFRSP、GSEFRDY、GAEFRFT、SAEFRTQ、SAEFRAT、SWEFRNP、SWEFRLY、SWELRQA、SVEFRYH、SYEFRHH、SQEFRTP、SSEFRVS、DWEFRD、DAELRY、DWELRQ、SLEFRF、GPEFRW、GKEFRT、AYEFRH、DKE(Nle)R、DKE(Nva)R又はDKE(Cha)Rである。)
を含むペプチドである。
【0020】
本発明のさらなる態様としては、該ペプチドが、アミノ酸配列
X1RX2DX3(X4)n(X5)m(X6)o (式II)
(ここで
X1は、イソロイシン(I)又はバリン(V)、
X2は、トリプトファン(W)又はチロシン(Y)、
X3は、スレオニン(T)、バリン(V)、アラニン(A)、メチオニン(M)、グルタミン(Q)又はグリシン(G)、
X4は、プロリン(P)、アラニン(A)、チロシン(Y)、セリン(S)、システイン(C)又はグリシン(G)、
X5は、プロリン(P)、ロイシン(L)、グリシン(G)又はシステイン(C)、
X6は、システイン(C)であり、
n、m及びoは独立して、0又は1であり、
好ましくは、IRWDTP(C)、VRWDVYP(C)、IRYDAPL(C)、IRYDMAG(C)、IRWDTSL(C)、IRWDQP(C)、IRWDG(C)又はIRWDGG(C)である。)
を含むペプチドである。
本発明の態様としては、該ペプチドが、アミノ酸配列
EX1WHX2X3(X4)n(X5)m (式III)
(ここで、
X1は、バリン(V)、アルギニン(R)又はロイシン(L)、
X2は、アルギニン(R)又はグルタミン酸(E)、
X3は、アラニン(A)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、ロイシン(L)、チロシン(Y)又はグリシン(G)、
X4は、プロリン(P)、ヒスチジン(H)、フェニルアラニン(F)又はグルタミン(Q)又はシステイン、
X5は、システイン(C)であり、
n及びmは、独立して、0又は1であり、
好ましくは、EVWHRHQ(C)、ERWHEKH(C)、EVWHRLQ(C)、ELWHRYP(C)、ELWHRAF(C)、ELWHRA(C)、EVWHRG(C)、EVWHRH(C)及びERWHEK(C)、好ましくは、EVWHRHQ(C)、ERWHEKH(C)、EVWHRLQ(C)、ELWHRYP(C)又はELWHRAF(C)である。)
を含むペプチドである。
【0021】
本発明の特に好ましい態様としては、ペプチドは、アミノ酸配列QDFRHY(C)、SEFKHG(C)、TSFRHG(C)、TSVFRH(C)、TPFRHT(C)、SQFRHY(C)、LMFRHN(C)、SAFRHH(C)、LPFRHG(C)、SHFRHG(C)、ILFRHG(C)、QFKHDL(C)、NWFPHP(C)、EEFKYS(C)、NELRHST(C)、GEMRHQP(C)、DTYFPRS(C)、VELRHSR(C)、YSMRHDA(C)、AANYFPR(C)、SPNQFRH(C)、SSSFFPR(C)、EDWFFWH(C)、SAGSFRH(C)、QVMRHHA(C)、SEFSHSS(C)、QPNLFYH(C)、ELFKHHL(C)、TLHEFRH(C)、ATFRHSP(C)、APMYFPH(C)、TYFSHSL(C)、HEPLFSH(C)、SLMRHSS(C)、EFLRHTL(C)、ATPLFRH(C)、QELKRYY(C)、THTDFRH(C)、LHIPFRH(C)、NELFKHF(C)、SQYFPRP(C)、DEHPFRH(C)、MLPFRHG(C)、SAMRHSL(C)、TPLMFWH(C)、LQFKHST(C)、ATFRHST(C)、TGLMFKH(C)、AEFSHWH(C)、QSEFKHW(C)、AEFMHSV(C)、ADHDFRH(C)、DGLLFKH(C)、IGFRHDS(C)、SNSEFRR(C)、SELRHST(C)、THMEFRR(C)、EELRHSV(C)、QLFKHSP(C)、YEFRHAQ(C)、SNFRHSV(C)、APIQFRH(C)、AYFPHTS(C)、NSSELRH(C)、TEFRHKA(C)、TSTEMWH(C)、SQSYFKH(C)、(C)SEFKH、SEFKH(C)、(C)HEFRH又はHEFRH(C)を含むことである。
【0022】
本発明の他の好ましい態様としては、ペプチドがアミノ酸配列
(X1)mGX2X3X4FX5X6(X7)n (式IV)
(ここで、
X1は、セリン(S)、アラニン(A)又はシステイン(C)、
X2は、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、グルタミン(Q)又はメチオニン(M)、
X3は、イソロイシン(I)、チロシン(Y)、メチオニン(M)又はロイシン(L)、
X4は、ロイシン(L)、アルギニン(R)、グルタミン(Q)、トリプトファン(W)、バリン(V)、ヒスチジン(H)、チロシン(Y)、イソロイシン(I)、リジン(K)、メチオニン(M)又はフェニルアラニン(F)、
X5は、アラニン(A)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)、アスパラギン(N)、アルギニン(R)、グルタミン酸(E)、イソロイシン(I)、グルタミン(Q)、アスパラギン酸(D)、プロリン(P)又はトリプトファン(W)、グリシン(G)、
X6は、いかなるアミノ酸残基でもよく、
X7は、システイン(C)であり、
m及びnは、独立して、0又は1であり、
好ましくは、SGEYVFH(C)、SGQLKFP(C)、SGQIWFR(C)、SGEIHFN(C)、GQIWFIS(C)、GQIIFQS(C)、GQIRFDH(C)、GEMWFAL(C)、GELQFPP(C)、GELWFP(C)、GEMQFFI(C)、GELYFRA(C)、GEIRFAL(C)、GMIVFPH(C)、GEIWFEG(C)、GDLKFPL(C)、GQILFPV(C)、GELFFPK(C)、GQIMFPR(C)、GSLFFWP(C)、GEILFGM(C)、GQLKFPF(C)、GTIFFRD(C)、GQIKFAQ(C)、GTLIFHH(C)、GEIRFGS(C)、GQIQFPL(C)、GEIKFDH(C)、GEIQFGA(C)、GELFFEK(C)、GEIRFEL(C)、GEIYFER(C)、SGEIYFER(C)、AGEIYFER(C)又は(C)GEIYFERである。)
を含むペプチドである。
【0023】
本発明のさらに好ましい態様としては、ペプチドがアミノ酸配列
(X1)mHX2X3X4X5FX6(X7)n (式V)
(ここで、
X1は、セリン(S)、スレオニン(T)又はシステイン(C)、
X2は、グルタミン(Q)、スレオニン(T)又はメチオニン(M)、
X3は、リジン(K)又はアルギニン(R)、
X4は、ロイシン(L)、メチオニン(M)、
X5は、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)又はイソロイシン(I)、
X6は、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、アラニン(A)又はシステイン(C)、
X7は、システイン(C)であり、
m及びnは、独立して、0又は1であり、
好ましくは、SHTRLYF(C)、HMRLFFN(C)、SHQRLWF(C)、HQKMIFA(C)、HMRMYFE(C)、THQRLWF(C)又はHQKMIF(C)である。)
を含むペプチドである。
【0024】
本発明の好ましい態様としては、ペプチドがアミノ酸配列AIPLFVM(C)、KLPLFVM(C)、QLPLFVL(C)又はNDAKIVF(C)を含むことである。
【0025】
本発明の化合物は、好ましくは、ポリペプチド/ペプチドであり、4ないし30アミノ酸残基、好ましくは、5ないし25アミノ酸残基、より好ましくは、5ないし20アミノ酸残基である。
また、本発明の化合物は、4ないし30アミノ酸残基のポリペプチドの部分であってもよい。
【0026】
本発明は、さらに以下の図及び実施例に説明するが、それらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本スクリーニングプロセスに用いるためのライブラリー4の個々のペプチド構成を示す。
【図2】図2は、DAEFRHのミモトープを用いた阻害アッセイを示す。
【図3】図3は、DAEFRH以外のミモトープを用いた他の阻害アッセイを示す。
【図4】図4及び5は、本発明のミモトープペプチドを用いた阻害アッセイの結果を示す。
【図5】図4及び5は、本発明のミモトープペプチドを用いた阻害アッセイの結果を示す。
【図6】図6ないし9は、それぞれミモトープペプチド4011-4018、4019-4025、4031-4038及び4061-4064を用いた阻害アッセイの結果を示す。
【図7】図6ないし9は、それぞれミモトープペプチド4011-4018、4019-4025、4031-4038及び4061-4064を用いた阻害アッセイの結果を示す。
【図8】図6ないし9は、それぞれミモトープペプチド4011-4018、4019-4025、4031-4038及び4061-4064を用いた阻害アッセイの結果を示す。
【図9】図6ないし9は、それぞれミモトープペプチド4011-4018、4019-4025、4031-4038及び4061-4064を用いた阻害アッセイの結果を示す。
【図10】図10はモノクローナル抗体MV-001の特異的ペプチド及び遺伝子組換えタンパク質への結合を示す;
【図11】図11はモノクローナル抗体MV-003の特異的ペプチド及び遺伝子組換えタンパク質への結合を示す;
【図12】図12はモノクローナル抗体MV-004の特異的ペプチド及び遺伝子組換えタンパク質への結合を示す;
【図13】図13は、β-アミロイド及びN-末端を切断した及び/又は翻訳後修飾されたβ-アミロイド断片のミモトープとの典型的な結合アッセイを示す;
【図14】図14は、β-アミロイド及びN-末端を切断した及び/又は翻訳後修飾されたβ-アミロイド断片のミモトープとの典型的な結合アッセイを示す;
【図15】図15は、ミモトープのワクチン接種によって生じた免疫反応のインビボにおける特徴の例を示す(注入ペプチド/無関係なペプチド);
【図16】図16は、アミロイドβ断片及びsAPPαに対するミモトープのワクチン接種により生じた免疫反応のインビボにおける特徴の例を示す;
【図17】図17は、全長Aβに対するミモトープのワクチン接種により生じた免疫反応のインビボにおける特徴の例を示す。
【図18】図18は、アミロイド斑により占められた面積を示す。水酸化アルミニウムでアジュバント化したミモトープワクチンとともにTg2576を皮下に1ヶ月ごとに6回注入した。コントロールのマウスはPBS-アラムのみを投与した。アミロイド斑により占められた面積は、コントロール群に対して示した。グループ1:コントロール群;グループ2:p4381を投与;グループ3:p4390を投与;グループ4:p4715を投与。
【図19】図19は、アミロイド斑により占められた面積を示す。水酸化アルミニウムでアジュバント化したAFFITOPEワクチンとともにTg2576を皮下に1ヶ月ごとに6回注入した。コントロールのマウスはPBS-アラムのみを投与した。アミロイド斑により占められた面積は、コントロール群に対して示した。グループ1:コントロール群;グループ2:p4395を投与。
【図20】図20は、モノクローナル抗体MV-002の特異的ペプチド及び遺伝子組換えタンパク質への結合を示す。
【図21】図21は、β-アミロイド及びN-末端を切断した及び/又は翻訳後修飾されたβ-アミロイド断片のミモトープとの典型的な結合アッセイを示す。
【図22】図22は、β-アミロイド及びN-末端を切断した及び/又は翻訳後修飾されたβ-アミロイド断片のミモトープとの典型的な結合アッセイを示す。
【図23】図23は、ミモトープのワクチン接種によって生じた免疫反応のインビボにおける特徴の例を示す(注入ペプチド/無関係なペプチド)。
【図24】図24は、アミロイドβ断片及びsAPPαに対するミモトープのワクチン接種により生じた免疫反応のインビボにおける特徴の例を示す。
【図25】図25は、全長Aβ40/42に対するミモトープのワクチン接種により生じた免疫反応のインビボにおける特徴の例を示す。
【図26】図26は、アミロイド斑により占められた面積を示す。水酸化アルミニウムでアジュバント化したミモトープワクチンとともにTg2576を皮下に1ヶ月ごとに6回注入した。コントロールのマウスはPBS-アラムのみを投与した。アミロイド斑により占められた面積は、コントロール群に対して示した。グループ1:コントロール群;グループ2:p4675を投与。
【図27】図27は、αシヌクレイン陽性封入体を示す;27Aは、コントロール処置動物;27Bは、ADミモトープ処置動物;A及びBは、αシヌクレインを染色した皮質断片を示す。陽性染色は、ピラミッド状又は非ピラミッド状神経細胞を含む。矢印は、A及びBにおける2つの典型的な例を示す。27Cは皮質及び海馬における封入体の数を示す(皮質と示した)。
【図28】図28は、神経密度を示す。図は、NeuN染色した皮質断片を示す。陽性染色は、ピラミッド状及び非ピラミッド状神経を示す。28Aは、コントロール処置動物;28Bは、ADミモトープ処置動物をそれぞれ示す。C及びDは、皮質及び海馬におけるNeuN陽性神経の数を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明において、用語「ミモトープ」は、エピトープの形態学上の等価性を有するコンホメーションを持つ分子である模倣体を言う。ミモトープは、抗体において、望ましい抗原の免疫特異的結合である抗原結合領域と同一の部位に結合する。ミモトープは、宿主において、抗原の模倣体として反応し免疫反応を示す。またミモトープは、エピトープ及び該エピトープに結合する抗体の関与するインビトロ阻害アッセイ(例えば、ELISAによる阻害アッセイ)においてエピトープの模倣体として競合基質として作用する。しかし、本発明のミモトープは、インビトロ阻害アッセイにおいて、エピトープの模倣体であるので、必ずしも阻害又は競合しなくてもよいが、ホ乳類に投与した場合、特異的免疫反応を誘導できるものである。本発明の化合物は、該化合物は、天然のアミロイドβペプチドから誘導されたアミノ酸配列であるので、自己反応性T細胞の形成を妨げるのに有利な、そのようなミモトープ(上にリストしたものも含む)を含む。
【0029】
本発明のミモトープは、単離されたペプチド又は他のペプチド又はポリペプチドの一部としてのいずれかとして、当該分野においてよく知られた化学合成法により合成して生産しうる。あるいは、ペプチドミモトープは、ペプチドミモトープを産生する微生物中でも生産され得、必要であればその後単離され、さらに精製される。ペプチドミモトープは、例えばバクテリア、酵母又は菌類、例えば哺乳類又は昆虫細胞の真核細胞、又は遺伝子組換えウイルスベクター、例えばアデノウイルス、ポックスウイルス、ヘルペスウイルス、セムリキ森林ウイルス、バキュロウイルス、バクテリオファージ、シンドビスウイルス又はセンダイウイルスにおいても生産しうる。ペプチドミモトープを生産するのに適切なバクテリアには、大腸菌、枯草菌又は、例えばペプチドミモトープを発現するペプチドなど、他のあらゆるバクテリアが含まれる。適切な酵母の型には、サッカロマイセス・セレヴィシエ、シゾサッカロミセス・ポンベ、カンジダ、メタノール資化酵母又はペプチドを発現できる他のあらゆる酵母が含まれる。対応する方法は当業者に知られている。また遺伝子組換えにより生産されたペプチドを単離及び精製する方法も当該分野においてよく知られており、それには例えば、ゲル濾過、アフィニティクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等が含まれる。
【0030】
ペプチドミモトープの単離を促進するため、アフィニティクロマトグラフィーによる単離が可能な異種のポリペプチドペプチドに、ペプチドミモトープが翻訳により融合できるような融合ポリペプチドが作製される。典型的な異種のポリペプチドは、His-Tag(例えば、His6; 6つのヒスチジン残基)、GST-Tag(グルタチオン-S-トランスフェラーゼ)等がある。融合ポリペプチドは、ミモトープの精製を促進するだけでなく、精製の間、ミモトープポリペプチドを分解から保護する。精製後、異種のポリペプチドを除去したい場合、融合ポリペプチドは、ペプチドミモトープと異種のポリペプチドの接合は開裂部位を含んでいてもよい。開裂部位は、当該部位のアミノ酸配列(例えば、プロテアーゼ)に、酵素特異的に開裂されるアミノ酸配列からなる。
【0031】
また、本発明のミモトープは、それにより該部位にシステイン残基が結合できるように、N及び/又はC末端又はその付近で修飾されていてもよい。好ましい態様としては、末端部位に位置する(ペプチドのN及びC末端に位置する)システイン残基が、ジスルフィド結合によりペプチドを環化するために用いられることである。
【0032】
また、本発明のミモトープは、特に免疫アッセイ及びキットといった様々なアッセイ及びキットに用いられ得る。それゆえ、ミモトープは他のペプチド又はポリペプチドの一部であることが特に好ましく、特に免疫アッセイにおいてレポーターとして用いられる酵素であることである。そのようなレポーター酵素は、例えば、アルカリホスファターゼ又は西洋ワサビペルオキシダーゼを含む。
【0033】
本発明のミモトープは、好ましくはアミノ酸配列がAβ又はAβ断片のアミノ酸配列が変化している抗原性ポリペプチドである。この観点から、1つ以上の天然由来のアミノ酸残基のアミノ酸置換体だけでなく、1つ以上の非天然のアミノ酸(すなわち、20の「典型」アミノ酸でない)、又はそのような完全に非天然のアミノ酸から集められたものであるものを含みうる。さらに、Aβ1-40/42、AβpE3-40/42、Aβ3-40/42、Aβ11-40/42、AβpE11-40/42及びAβ14-40/42(及び、アミノ酸第2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12及び13位においてN-末端を切断した他の形態のAβ)の抗体を誘導し、結合する独創的な抗原は、D-又はL-アミノ酸又はDL-アミノ酸の組み合わせを集めたものであり及び、任意に、さらに修飾、閉環反応又は誘導体化により変更されていてもよい。適切な抗体-誘導抗原は、市販のペプチドライブラリーから入手可能である。好ましくは、これらのペプチドは少なくとも7アミノ酸であり、好ましい長さは16までであり、好ましくは、14又は20アミノ酸残基である(例えば、5ないし16アミノ酸残基)。しかし本発明によると、長いペプチドも、よく抗体-誘導抗原として用いられる。さらに本発明のミモトープも、また本発明のミモトープもポリペプチドの一部をなし得、従ってN-及び/又はC末端に少なくとも1つのさらなるアミノ酸残基を含み得る。
【0034】
α-シヌクレインミモトープ(すなわち、抗体-誘導抗原)の生産には、もちろんファージライブラリー、ペプチドライブラリーも適切であり、例えば、最も種々の構造をとる部分はコンビナトリアルケミストリーの手法によって生産され、又はハイスループットスクリーニング技術により得られる(Display: A Laboratory Manual by Carlos F. Barbas (Editor), et al.; Willats WG Phage display: practicalities and prospects. Plant Mol. Biol. 2002 Dec.; 50(6):837-54)。
【0035】
さらに本発明には、核酸(「アプタマー」)に基づく抗-Aβ1-40/42-、-AβpE3-40/42-、-Aβ3-40/42-、-Aβ11-40/42-、AβpE11-40/42-、及びAβ14-40/42-抗体-誘導抗原が用いられ得、これらも種々の(オリゴヌクレオチド)ライブラリー(例えば、2-180核酸部分)により得られる(例えば、Burgstaller et al., Curr. Opin. Drug Discov. Dev. 5(5) (2002), 690-700; Famulok et al., Acc. Chem. Res. 33 (2000), 591-599; Mayer et al., PNAS 98 (2001), 4961-4965、等がある)。核酸に基づく抗体-誘導抗原においては、核酸骨格は、例えば、ホスホジエステル又はホスホロチオエート化合物により、又は本発明においては塩基としては、主としてU、T、A、C、G、H及びmCが用いられうるが、その組み合わせ又は化学種(例えば、PNA)によって提供される。本発明において好ましいヌクレオチドの2’-残基は、H、OH、F、Cl、NH2、O-メチル、O-エチル、O-プロピル又はO-ブチルが用いられ得、ここで核酸は、また異なって修飾されていてもよく、すなわち、オリゴヌクレオチド合成には通常用いられるように、例えば保護基によって修飾されていてもよい。それゆえ、アプタマーベースの抗体-誘導抗原は、また本発明の範囲に含まれる好ましい抗体-誘導抗原である。
【0036】
本発明の好ましい態様としては、化合物は医薬的に許容される担体と結合していることであり、好ましくはKLH(キーホールリンペットヘモシアニン)、破傷風トキソイド、アルブミン-結合タンパク質、ウシ血清アルブミン、デンドリマー(MAP; Biol. Chem. 358: 581)、ペプチドリンカー(又は隣接領域)、並びに、Singh et al. Nat. Biotech. 17 (1999), 1075-1081 (特にその文献の表1)、及びO'Hagan et al., Nature Reviews, Drug Discovery 2 (9) (2003), 727-735(特にその中に記載されている内因性免疫賦活物質及び送達システム)に記載されているアジュバント物質、及び他の物質又はそれらの混合物である。この文脈において結合化学(例えば、ヘテロ二官能性化合物、例えばGMBS、及び「Bioconjugate Techniques」, Greg T. Hermansonに記載されているその他も当然に含み、それらを介して)は、当該分野における熟練者に知られている反応から選択され得る。さらに、ワクチン組成物はアジュバントとともに製剤化され得、好ましくは、低溶解性アルミニウム組成物、特に水酸化アルミニウムである。また、もちろん、MF59リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-12、GM-CSF)、サポニン(例えば、QS21)、MDP誘導体、CpGオリゴヌクレオチド、LPS、MPL、ポリホスファゼン、乳剤(例えば、フロイント(Freund's)、SAF)、リポソーム、ビロソーム、免疫刺激複合体、コクリエート、PLG微粒子、ポロキサマー粒子、ウイルス様粒子、易熱性エンテロトキシン(LT)、コレラ毒素(CT)、変異毒素(mutant toxins)(例えば、LTK63、及びLTR72)、微小粒子及び/又は重合リポソームのようなアジュバントも用いられ得る。
【0037】
本発明の化合物は、好ましくは、NHS-ポリ(エチレンオキシド)(PEO)(例えばNHS-PEO4-マレイミド)からなる群から選択されるリンカーを介して担体又はアジュバントに結合する。
【0038】
本発明の化合物(ミモトープ)及び医薬的に許容される担体を含むワクチンは、例えば、皮内、静注、腹腔内、筋肉内、鼻腔内、経口、皮下等のあらゆる適切な投与様式、及びあらゆる適切な送達装置(O'Hagan et al., Nature Reviews, Drug Discovery 2 (9), (2003), 727-735)により投与されうる。本発明の化合物は、好ましくは、静脈内、皮下、皮内、又は筋肉内投与(例えば「Handbook of Pharmaceutical Manufacturing Formulations」, Sarfaraz Niazi, CRC Press Inc, 2004参照)として製剤化される。
【0039】
本発明の薬剤(ワクチン)は、0.1ngないし10mg、好ましくは、10ngないし1mg、特に100ngないし100μg、又はあるいは、例えば100fmolないし10μmol、好ましくは、10pmolないし1μmol、特に100pmolないし100nmolで本発明の化合物を含んでいてもよい。また、典型的には、ワクチンは、例えば緩衝剤、安定剤等の補助物質を含んでいてもよい。
【0040】
本発明の好ましいパーキンソン病による運動症状は、シヌクレイノパチー、特にパーキンソン病の症状であり、該疾患に罹患している患者の運動性及び非運動性の行動を言う。「運動症状」は、静止時振戦、動作緩慢、硬直、姿勢の不安定、前屈姿勢、ジストニア、倦怠感、細かい動きの機敏さ及び運動協調性の障害、粗大運動協調性の障害、動きの欠如(腕の振りの減少)、静座不能、会話障害、筋肉の制御の欠如による声の柔らかさの欠如又は不明瞭な発語、顔の表情の欠如、又は「マスキング(masking)」、小字症、嚥下困難、性機能障害、及び涎からなる群から選択される。
【0041】
本発明の他の態様としては、パーキンソン病の運動症状の治療、予防及び/又は緩和のための薬剤の製造における本発明の化合物の使用に関する。
【0042】
本発明のさらなる他の態様としては、パーキンソン病の運動症状の治療、予防及び/又は緩和の方法に関する。
【実施例1】
【0043】
実施例1:N末端フリー(N末端がフリーのアスパラギン酸)のAβ42誘導ペプチド種を検出するためのモノクローナル抗体(mAb)の生産。
マウスに、6残基ペプチドDAEFRH(天然N-末端Aβ42配列)が結合したタンパク質ウシ血清アルブミンBSA(ハプテン-担体効果を用いるため)をCFA(初回の注射)及びIFA(ブースター注射)中に懸濁させ、ワクチン接種した。DAEFRHペプチド特異的抗体産生ハイブリドーマをELISA(DAEFRHペプチドコーティングしたELISAプレート)により検出した。ペプチドSEVKMDAEFRH(APP由来の、Aβ42由来の配列DAEFRHを含む、天然のN末端延長配列)を陰性コントロールペプチドとして用いた:N末端アスパラギン酸フリーのAβ42由来ペプチドとフリーのアスパラギン酸の存在しないAPP由来ペプチドDAEFRHを区別しない延長ペプチドを認識するハイブリドーマは、除かれる。
【実施例2】
【0044】
実施例2:阻害アッセイによるミモトープの同定
3.1. ライブラリー
ペプチドライブラリーは、国際公開第2004/062556号パンフレットに記載されている(以下を参照)。
3.2. 阻害アッセイ
図2及び3は、5ライブラリー(国際公開第2004/062556号パンフレットに記載されている)に含まれ、そこから得たミモトープペプチドにより行った阻害アッセイの結果を示す。ミモトープペプチドは、モノクローナル抗体により認識され原エピトープと競合する。原エピトープ及びミモトープペプチドは、(必要であれば)タンパク質の担体と結合するためにさらにC末端において追加のCを含む。
以下のペプチドを用いた:
【0045】
生産:
ELISAプレート(Nunc Maxisorp)を0.1μg/mlペプチド-BSA(100μl/ウエル、12時間、4℃)の濃度の原ペプチドエピトープ DAEFRH(C末端はCにより延長されウシ血清アルブミンBSAと結合している)でコーティングした。1%(200μl/ウエル、12時間、4℃)のPBS/BSAでブロックした後、プレートを3回PBS/Tweenで洗浄した。続いてビオチン化モノクローナル抗体(1:2000, 50μl/ウエル)及びペプチド(50μl/ウエル)を50、5、0.5、0.05、0.005、及び0.0005μg/mlの濃度で加え、20分間、37℃で放置した。プレートはPBS/Tweenで3回洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)ラベルしたストレプトアビジン(100μl/ウエル, 30分、室温)で培養した。プレートは5回PBS/Tweenで洗浄し、ABTS+H2O2(0.1% w/v, 10ないし45分)で培養し、クエン酸で反応を停止させ、光度計により測定した(波長405nm)。
【0046】
予想通り、図2に見られるように、ペプチド1737 DAEFRHは、BSA-結合、プレート結合ペプチド DAEFRHと競合し、それゆえモノクローナル抗体の認識を阻害する。さらに、ペプチド3003は、原エピトープのモノクローナル抗体の結合を阻害できないことが示されている。対照的に、ペプチド3001、3002、3004、3005、3006、及び3007(異なる程度においてであるが)エピトープによる認識を阻害する。ペプチド3004は高濃度で阻害する(50μg/ml)だけであるのに対し、3001、3006、及び3007は、IC50が0.5μg/ml以下の強い阻害剤である。ペプチド3002及び3005は、IC50は0.5μg/mlよりも大きい「中程度(intermediate)」の阻害剤である。
【0047】
予想通り、図3に見られるように、ペプチド1737DAEFRHは、追加的に行った独立の試験においても、有効にBSA-結合、プレート結合ペプチドDAEFRHとクローナル抗体認識において競合した。さらに、ペプチド3010及び3011は試験した濃度では阻害しなかったが、ペプチド3008及び3009は、IC50が5μg/mlより小さい(比較的)弱い阻害作用を示した。
【0048】
表1は、(前述した)ライブラリーから得たミモトープの阻害能を簡潔にまとめる:
【表1】
【実施例3】
【0049】
実施例3:本発明における追加のミモトープによるスクリーニングによる阻害アッセイ
阻害アッセイ
図4及び5は、国際公開第2004/062556号パンフレットに記載されている5ライブラリーに含まれ、そこから得られたミモトープペプチドを用いて行った阻害アッセイの結果を示す。ミモトープペプチドは、モノクローナル抗体の認識において原エピトープと競合した。原エピトープ及びC末端(7位)に追加のCを含むミモトープペプチドは(必要であれば)タンパク質担体と結合させた。
以下のペプチドを用いた:
【0050】
方法:
ELISAプレート(Nunc Maxisorp)を0.1μg/mlペプチド-BSA(100μl/ウエル、12時間、4℃)の濃度の原ペプチドエピトープ DAEFRH(C末端はCにより延長されウシ血清アルブミンBSAと結合している)でコーティングした。1%(200μl/ウエル、12時間、4℃)のPBS/BSAでブロックした後、プレートを3回PBS/Tweenで洗浄した。続いてビオチン化モノクローナル抗体(1:2000, 50μl/ウエル)及びペプチド(50μl/ウエル)を50、5、0.5、0.05、0.005、及び0.0005μg/mlの濃度で加え、20分間、37℃で放置した。プレートはPBS/Tweenで3回洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)ラベルしたストレプトアビジン(100μl/ウエル, 30分、室温)で培養した。プレートは5回PBS/Tweenで洗浄し、ABTS+H2O2(0.1% w/v, 10ないし45分)で培養し、クエン酸で反応を停止させ、光度計により測定した(波長405nm)。
【0051】
予想通り、図4に見られるように、ペプチド1737 DAEFRHはBSA-結合、プレート結合ペプチド DAEFRHと競合し、それゆえモノクローナル抗体の認識を阻害する。さらに、ペプチド4004は、原エピトープのモノクローナル抗体の結合を阻害できないことが示されている。対照的に、ペプチド4002及び4003は、(異なる程度においてであるが)エピトープによる認識を阻害する。ペプチド4003は高濃度で阻害する(10μg/ml)だけであるのに対し、4002は、IC50が0.4μg/ml以下の強い阻害剤である。
【0052】
予想通り、図5に見られるように、ペプチド1737 DAEFRHは、追加的に行った独立の試験においても、有効にBSA-結合、プレート結合ペプチド DAEFRHとクローナル抗体認識において競合した。さらに、ペプチド1234は試験した濃度では阻害しなかったが、ペプチド1235、1236、1237、1238、1239及び1241は、(異なる程度においてであるが)IC50が0.5μg/mlより小さい強い阻害剤であったのに対し、ペプチド1236及び1237は5μg/mlより大きい弱い阻害作用を示した。ペプチド1239はIC50が0.5μg/mlより大きい中程度の阻害剤である。
【0053】
表2は、(前述した)ライブラリーから得たミモトープの阻害能を簡潔にまとめる:
【表2】
【0054】
図4及び5に示すとおり、様々な6残基ペプチド(ここ及び前述したように)に加え、5残基ペプチド(いわゆるペプチド1238 DKELR)及び7残基ペプチド(いわゆるペプチド1241 DWEFRDA)が、アルツハイマー病のワクチンにおいてミモトープベースのエピトープとして用いられうる。
【実施例4】
【0055】
実施例4:本発明及び国際公開第2006/005707号パンフレットに開示されたライブラリーのミモトープの阻害アッセイ
ライブラリー:
ミモトープは国際公開第2006/005707号パンフレットに記載されている通りに得られた。
【0056】
さらに、以下の5残基ペプチド(非天然アミノ酸)を阻害アッセイに用いた:
(s:強い阻害;m:中程度の阻害;-:阻害しない)
【0057】
方法:
ELISAプレート(Nunc Maxisorp)を0.1μg/mlペプチド-BSA(100μl/ウエル、12時間、4℃)の濃度の原ペプチドエピトープ DAEFRH(C末端はCにより延長されウシ血清アルブミンBSAと結合している)でコーティングした。1%(200μl/ウエル、12時間、4℃)のPBS/BSAでブロックした後、プレートを3回PBS/Tweenで洗浄した。続いてビオチン化モノクローナル抗体(1:2000, 50μl/ウエル)及びペプチド(50μl/ウエル)を50、5、0.5、0.05、0.005、及び0.0005μg/mlの濃度で加え、20分間、37℃で放置した。プレートはPBS/Tweenで3回洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)ラベルしたストレプトアビジン(100μl/ウエル, 30分、室温)で培養した。プレートは5回PBS/Tweenで洗浄し、ABTS+H2O2(0.1% w/v, 10ないし45分)で培養し、クエン酸で反応を停止させ、光度計により測定した(波長405nm)。
【0058】
予想通り、図6(ペプチド4011-4018を示す)に見られるように、ペプチド1737 DAEFRHはBSA-結合、プレート結合ペプチドDAEFRHと競合し、それゆえモノクローナル抗体の認識を阻害する。さらに、ペプチド4012 DNEFRSP、4013 GSEFRDY及び4014 GAEFRFTは、原エピトープのモノクローナル抗体の結合を緩やかに阻害する(moderately inhibit)ことが示されている。対照的に、ペプチド4011 DAEFRWP、4015 SAEFRTQ、4016 SAEFRAT、4017 SWEFRNP及び4018 SWEFRLYは、(異なる程度においてであるが)エピトープによる認識を強く阻害する。
【0059】
予想通り、図7(ペプチド 4019-4025を示す)に見られるように、ペプチド1737 DAEFRHは、追加的に行った独立の試験においても、有効にBSA-結合、プレート結合ペプチド DAEFRHとクローナル抗体認識において競合した。さらに、ペプチド4019 SWFRNPは試験した濃度では阻害しなかったが、ペプチド4020 SWELRQA、4021 SVEFRYH、4022 SYEFRHH、4023 SQEFRTP、4024 SSERFVS及び4025 DWEFRDは(to a different extent)エピトープ認識を阻害した。ペプチド4021、4022、4023、4024及び4025はIC50が0.5μg/mlの強い阻害剤であったのに対し、ペプチド4020はIC50が0.5μg/mlよりも大きい中程度の阻害剤であった。
【0060】
予想通り、図8(ペプチド 4031-4038を示す)に見られるように、ペプチド1737 DAEFRHは、第3の独立の試験においても、有効にBSA結合、プレート結合ペプチド DAEFRHとクローナル抗体認識において競合した。さらに、ペプチド4037 VPTSALA及び4038 ATYAYWNは試験した濃度では阻害しなかったが、ペプチド4031 DAELRY、4032 DWELRQ、4033 SLEFRF、4034 GPEFRW、4035 GKEFRT及び4036 AYEFRHは(異なる程度においてであるが) エピトープ認識を阻害した。ペプチド4031、4032、4033、4034及び4035は、IC50が0.5μg/mlより小さい比較的強い阻害剤であったのに対し、ペプチド4036はIC50が0.5μg/mlより大きい(比較的)弱い阻害剤であった。
【0061】
以下の表は、ADミモトープにより引き起こされた免疫反応の例を示す。下表にリストした全てのペプチドは、全長Aβ及び/又はその断片に対して特異的免疫反応を示した。
【0062】
【実施例5】
【0063】
実施例5:5残基ペプチドによる阻害アッセイ:非天然アミノ酸
以前、5残基ペプチド 1238 DKELRがミモトープベースのアルツハイマー病のワクチン(国際出願第PCT/EP04/00162号明細書)のエピトープとして用いられ得ることが示されている。以下では、5残基アミノ酸の原エピトープを非天然アミノ酸に置き換えた:Lを非天然アミノ酸tBuGly、Nle、Nva又はChaに置き換えた。
【0064】
予想通り、図9(ペプチド 4031-4038を示す)に見られるように、ペプチド1737 DAEFRHは、第4の独立の試験においても、有効にBSA-結合、プレート結合ペプチド DAEFRHとモノクローナル抗体認識において競合した。さらにペプチド4061 DKE(tBuGly)Rは、試験した濃度では阻害剤しなかった。興味深いことに、ペプチド4062 DKE(Nle)R、4063 DKE((Nva)R、及び4064 DKE(Cha)Rは(異なる程度においてであるが)、エピトープ認識を阻害した。ペプチド 4062、4063及び4064は、IC50が0.5μg/mlより大きい比較的弱い阻害剤であった。
【実施例6】
【0065】
実施例6: β-アミロイド及びN-末端を切断した及び/又は翻訳後修飾されたβ-アミロイド断片を特異的に検出するモノクローナル抗体の生産。
方法
以下の試験では、ヒトAβ由来のアミノ酸配列を検出するが、全長ヒトAPPには結合しない抗体を、ミモトープの同定には用いた。検出された配列は、EFRHDS(=Aβの原エピトープのアミノ酸3-8位)、p(E)FRHDS(=Aβの原エピトープの修飾型アミノ酸3-8位)、EVHHQK(=Aβの原エピトープのアミノ酸11-16位)を含む。抗体は、モノクローナルであってもポリクローナル抗体であっても、又はそれらの誘導体の抗体の一部であってもよいが、抗体分子は、特異的に上述のエピトープ(ヒトAβ由来)の少なくとも1つを認識し、全長ヒトAPPに結合しないことが必要である。
ミモトープは、同定され、さらにそのモノクローナル抗体及びペプチドライブラリーによって特徴づけた。
【0066】
実施例6a:モノクローナル抗体MV-001の生産
Alz-5の融合試験から誘導されたモノクローナル抗体:C57/Bl6マウスを、KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)に結合した原AβエピトープDAEFRHDSGYC及びアジュバントとしてのアラム(水酸化アルミニウム)を用いて繰り返し免疫化した:p4371ペプチド特異的、抗体産生ハイブリドーマをELISA(p1253-及びp4371-ペプチドコートしたELISAプレート)によって検出した。ヒトAβ40/42(遺伝子組換えタンパク質)をポジティブ・コントロール・ペプチドとして用いた:それらは、ペプチド及び全長Aβの両方に特異的に結合するため、ELISAに固定された遺伝子組換えタンパク質を認識するハイブリドーマが含まれる。p1454(ヒトAβ33-40)は、ネガティブコントロールペプチドとして用いた。さらにハイブリドーマをp4373に対して試験した。さらなる抗体産生には、p4373とは結合しない又は限定的な結合しないハイブリドーマをさらなる抗体産生には用いた。
【0067】
ハイブリドーマクローンMV-001(内部名824; IgG1)を、それぞれp1253、p4371、p4373、p1454及びAβの特異的検出のために精製し分析した。MV-001はELISAにおいてエピトープp1253並びにp4371及び全長Aβタンパク質(遺伝子組換えタンパク質; Bachem AGより入手, Bubendorf, Switzerland)を認識した。しかし、ELISAにおいてp1454を検出しなかった。さらに、ELISAにおいて、Aβ3-10のピログルタミン酸バージョンであるペプチドp4374を検出しなかった (原エピトープよりも30倍弱い抗体力価であった)。
【0068】
実施例6b: モノクローナル抗体MV-003の産生
Alz-16の融合試験から誘導されたモノクローナル抗体:BalbCマウスを、KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)に結合した原Aβエピトープp(E)FRHDSC (p4373)及びアジュバントとしてのアラム(水酸化アルミニウム)を用いて繰り返し免疫化した。p4373ペプチド特異的抗体産生ハイブリドーマをELISA(p4373-ペプチドコートしたELISAプレート)によって検出した。p1253、p1454及びヒトAβ40/42(遺伝子組換えタンパク質)をネガティブ・コントロール・ペプチドとして用いた。さらにハイブリドーマをp4371に対して試験した。2つの異なるシヌクレイン・タンパク質を区別しないため、ELISAプレートに固定された遺伝子組換えタンパク質を認識するハイブリドーマは含まれない。さらなる抗体産生には、ピログルタミン酸特異性を保証するため、p4371とは結合しない又は限定的な結合しかしないハイブリドーマを用いた。
【0069】
ハイブリドーマクローンMV-003(内部名D129; IgG1)を、それぞれp1253、p4371、p4373、p1454及びAβの特異的検出のために精製し分析した。MV-003はELISAにおいて注入エピトープp4373を認識した。しかし、ELISAにおいてp1454、p1253又は全長Aβタンパク質(遺伝子組換えタンパク質; Bachem AGより入手, Bubendorf, Switzerland)は検出しなかった。さらに、MV-003抗体は、Aβ3-10の通常バージョンであるp4371を検出しなかった(原エピトープよりも15倍抗体力価が低かった)。
【0070】
実施例6c:モノクローナル抗体 MV-004の生産
Alz-15の融合試験から誘導されたモノクローナル抗体:BalbCマウスを、KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)に結合したAβエピトープEVHHQKC (p4372)及びアジュバントとしてのアラム(水酸化アルミニウム)を用いて繰り返し免疫化した:p4372ペプチド特異的抗体産生ハイブリドーマをELISA(p4372-ペプチドコートしたELISAプレート)によって検出した。P4376、p4378、p1454及びAβ40/42をネガティブ・コントロール・ペプチドとして用いた。さらなる抗体産生には、切断型Aβの11位におけるN末端フリーの特異性を保証するため、p4371とは結合しない又は限定的な結合しかしないハイブリドーマを用いた。
【0071】
ハイブリドーマクローンMV-004(内部名B204; IgG1)を、それぞれp4372、p4376、p4378、p1454、及びAβの特異的検出のために精製し分析した。MV-004はELISAにおいて注入ペプチド(p4372)を認識した。しかし、p1454、p4376及びp4378並びにAβタンパク質(遺伝子組換えタンパク質; Bachem AGより入手, Bubendorf, Switzerland)を検出しなかった。p4376、p4378を検出しなかったことは、切断Aβにおいて11位がフリーのN末端における特異性を示している。
【0072】
実施例6d:β-アミロイド及びN-末端を切断した及び/又は翻訳後修飾されたβ-アミロイド断片を特異的に検出するモノクローナル抗体の産生-モノクローナル抗体MV-002
【0073】
方法
本発明のミモトープの同定のために用いた抗体は、Aβから得られたアミノ酸配列を検出するが、全長ヒトAPPは結合しない。検出された配列は、EVHHQKLVFFAED(=Aβの原エピトープアミノ酸配列11-24)及びp(E)VHHQKLVF(p4374=N-末端においてピログルタミン酸修飾されたAβの原エピトープアミノ酸配列11-19)を含む。抗体は、モノクローナル又はポリクローナル抗体製剤、又はそれらのいかなる抗体の部分であってもよいが唯一の必要条件としては、上述したエピトープ(ヒト由来のAβ)の少なくとも1つの抗体分子を特異的に認識するが、全長ヒトAPPには結合しないことである。
【0074】
ミモトープは、同定され、さらにそのモノクローナル抗体及びペプチドライブラリーによって特徴づけた。
Alz-9の融合試験から誘導されたモノクローナル抗体:C57/Bl6マウスを、KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)に結合した原AβエピトープHQKLVFC及びアジュバントとしてのアラム(水酸化アルミニウム)を用いて繰り返し免疫化した:p4377ペプチド特異的、抗体産生ハイブリドーマをELISA(p4377-ペプチドコートしたELISAプレート)によって検出した。ヒトAβ40/42(遺伝子組換えタンパク質)をポジティブ・コントロール・ペプチドとして用いた:ペプチド全長α-シヌクレインの両方に特異的に結合するため、ELISAに固定された遺伝子組換えタンパク質を認識するハイブリドーマが含まれる。p1454(ヒトAβ33-40)は、ネガティブコントロールペプチドとして用いた。さらにハイブリドーマはp4374、p1323及びsAPPαを試験した。2つの異なるシヌクレイン・タンパク質を区別しないため、ELISAプレートに固定された遺伝子組換えタンパク質を認識するハイブリドーマは含まれない。sAPPαも確かめた。さらなる抗体産生には、p4374、及びp1323のみと結合し、sPPαとは結合しないハイブリドーマを用いた。
【0075】
ハイブリドーマクローンMV-002(内部名A115; IgG2b)を、それぞれp1323、p4374、p4377、p1454、Aβ及びsAPPαの特異的検出のために精製し分析した。MV-002はELISAにおいてエピトープp1323並びにp4377及び全長Aβタンパク質(遺伝子組換えタンパク質; Bachem AGより入手, Bubendorf, Switzerland)を認識した。しかし、ELISAにおいてp1454は検出しなかった。さらに、MV-002抗体は、sAPPαを検出しなかったが、Aβ11-19においてピログルタミン酸バージョンであるペプチドp4374に特異的に結合した。
【実施例7】
【0076】
実施例7:ファージ提示法、インビトロでの結合性及び阻害性(ELISA)
この実施例において用いたファージディスプレーライブラリーは、Ph.D. 7: New England BioLabs E8102L(直線7量体ライブラリー)、及びPh.D. 12: New England BioLabs E8111L(直線12量体ライブラリー)である。ファージ提示法は、製造者のプロトコール(www.neb.com)に従い行った。
2又は3の連続のピックアップにより、1つのファージクローンを選択し、及びファージ上清を、ピックアップ過程において用いた抗体でコーティングしたプレートで、ELISAにかけた。このELISAにおいて陽性であったファージクローン(標的には強いシグナルを示したが、非特異的コントロールにはシグナルを示さなかったもの)の配列を決定した。DNA配列から、ペプチド配列を推定した。ペプチドを合成し、及びELISAにより結合性及び阻害性により特徴づけた。いくつかのペプチドには追加のアミノ酸がC末端に結合している。加えて、スクリーニングにおいて同定したミモトープの結合配列情報から、いくつかの新規なミモトープを作製し、ミモトープのワクチン化のためのコンセンサス配列の同定のサポートとして用いた。
【0077】
1. インビトロにおける結合アッセイ(ELISA)
ファージ提示法並びにそれらのC末端延長変異体から誘導されたペプチドをBSAに結合し、ELISAプレート(それぞれの図に示す通り1μM)に結合させ、続いて、同定されたペプチドの結合能の分析のためのスクリーニングプロセスに用いたモノクローナル抗体中で培養した。
2. インビトロにおける結合阻害アッセイ(ELISA)
スクリーニングプロセスにおいて用いたモノクローナル抗体とともに、ファージディスプレーから得られた量の異なるペプチド(それぞれ図に示す通り、濃度範囲5μgないし0.03μg(段階希釈))を培養した。その後、結合する抗体の量を減少させるペプチドを、このアッセイにおいて阻害することであるとする。
【実施例8】
【0078】
実施例8: インビボにおけるミモトープの試験:免疫原性及び交差反応性の分析
1. インビボにおけるミモトープの試験
阻害並びに非阻害性ペプチドをKLHに結合させ、適切なアジュバント(水酸化アルミニウム)とともにマウス(野生型C57/Bl6マウス;脇腹への皮下注射)に注入した。動物は、隔週の間隔で3-6回ワクチン接種し、血清も隔週で採取した。各血清について、注入ペプチド並びに無関係なペプチドの抗体力価を決定した。さらに、ELISAプレートに固定した遺伝子組換えヒトAβタンパク質及び原ペプチドについて、それぞれに対する抗体力価を決定した。一般に血清は、ウシ血清アルブミン及び遺伝子組換え全長タンパク質に反応させて抗ペプチド反応により分析される。抗体力価は、抗マウスIgG特異的抗体を用いて決定した。結果の詳細は図15、16及び17に及び図23、24及び25にそれぞれ示す。
【0079】
2. MV-001、MV-003及びMV-004から得られた結果
2.1.N-末端切断型及び修飾型Aβ特異的モノクローナル抗体の同定:
図10は、Alz-5試験において得られた、全長Aβ及びE3において切断されたAβ断片から得られた特異的なモノクローナル抗体MV-001(内部名D129; IgG124)の特徴を示す。
図11は、Alz-16試験において得られた、切断されたAβ断片及びp(E)3において修飾されたAβ断片に特異的なモノクローナル抗体MV-003(内部名D129; IgG1の特徴を示す。
図12は、Alz-15試験において得られた、E11において切断されたAβ断片に特異的なモノクローナル抗体MV-004(内部名B204; IgG1)の特徴を示す。
【0080】
2.2. AβのN末端切断型及び修飾型を標的とした特異的mABによるスクリーニング:
2.2.1. ファージディスプレーライブラリーPh.D.7
2.2.1.1. p4373に対するモノクローナル抗体のスクリーニング
PhD7及びPhD12ファージディスプレーライブラリーをスクリーニングし、このスクリーニングにより、8配列が同定された:表1-Aは、ペプチドの同定及び原エピトープと比較したそれらの結合能の概略を示す。
【0081】
2.2.1.2. p4372を標的としたモノクローナル抗体のスクリーニング
PhD7ファージディスプレーライブラリーをスクリーニングし、このスクリーニングにより、9配列が同定された:表1-Bは、ペプチドの同定及び原エピトープと比較したそれらの結合能の概略を示す。
【0082】
2.2.1.3. モノクローナル抗体を用いたp4371を標的としたスクリーニング
PhD7及びPhD12ファージディスプレーライブラリーをスクリーニングし、このスクリーニングにより、71配列が同定された:表1-Cは、ペプチドの同定及び原エピトープと比較したそれらの結合能の概略を示す。
【0083】
【表3−A】
表3Aの凡例:結合能は以下の結合コードで表した: 1:Xは、親抗体の希釈因子を示す
【0084】
【0085】
【表3−B】
表3Bの凡例:結合能は以下の結合コードで表した: 1:Xは、親抗体の希釈因子を示す
【0086】
【0087】
【表3−C】
【表3−D】
【表3−E】
表3C-Eの凡例:結合能は以下の結合コードで表した: 1:Xは、親抗体の希釈因子を示す
【0088】
【0089】
2.3.インビトロにおける、Aβに対するモノクローナル抗体のファージディスプレーライブラリーによるスクリーニングによって同定されたミモトープの特徴:
図13及び14は、インビトロにおける結合及び阻害アッセイによる代表例を示す。得られたデータは、それぞれ表1及び2に概説する。
MV-003ミモトープ:インビトロにおける競合阻害試験において、8配列のうち6配列がp(E)3-7Aβ特異的抗体の結合を阻害した。残りの2配列はインビトロにおける競合阻害試験において、モノクローナル抗体の結合を阻害しなかったが、なお、親抗体に対する結合能は保っていた(表2A)。
【0090】
MV-004ミモトープ:インビトロにおける競合阻害試験において、9配列すべてが、E11におけるN末端切断型モノクローナル抗体の結合を阻害した(表2B)。
MV-001ミモトープ:インビトロにおける競合阻害試験において、71配列のうち27配列がE3におけるN末端切断型モノクローナル抗体の結合を阻害した。残りの44配列はインビトロにおける競合阻害試験において、モノクローナル抗体の結合を阻害しなかったが、なお、親抗体に対する結合能は保っていた(表2C)。
【0091】
【表4−A】
表4Aの説明:阻害能は以下の配列によってコードされている:
弱い阻害は、AB結合を低下させるのに、原エピトープよりも多くのペプチドが必要であることを意味する;強い阻害は、AB結合を低下させるのに、原エピトープと近い量のペプチドが必要であることを意味する。原ペプチドを標準としてミモトープと比較した。アッセイにおいて用いた10μgのペプチドによるODを、原ペプチドと比較して競合阻害能を計算するのに用いた。
【0092】
【表4−B】
表4Bの説明:阻害能は以下の配列によってコードされている:
弱い阻害は、AB結合を低下させるのに、原エピトープよりも多くのペプチドが必要であることを意味する;強い阻害は、AB結合を低下させるのに、原エピトープと近い量のペプチドが必要であることを意味する。原ペプチドを標準としてミモトープと比較した。アッセイにおいて用いた10μgのペプチドによるODを、原ペプチドと比較して競合阻害能を計算するのに用いた。
【0093】
【0094】
【表4−C】
表4Cの説明:阻害能は以下の配列によってコードされている:
弱い阻害は、AB結合を低下させるのに、原エピトープよりも多くのペプチドが必要であることを意味する;強い阻害は、AB結合を低下させるのに、原エピトープと近い量のペプチドが必要であることを意味する。原ペプチドを標準としてミモトープと比較した。アッセイにおいて用いた10μgのペプチドによるODを、原ペプチドと比較して競合阻害能を計算するのに用いた。
【0095】
【0096】
【表5】
【0097】
2.4. インビボにおける、N末端切断型及び修飾型アミロイドβに対するモノクローナル抗体のファージディスプレーライブラリーにおけるスクリーニングによって同定されたミモトープの特徴:
雌C57/Bl6マウス各群5-6匹を、KLHに結合させたペプチド30μgで皮下注射により免疫化した。コントロール群には原エピトープ-KLH結合体を投与した。アジュバントとしてはアラムを用いた(全て1mg/マウス)。投与したペプチドは、全て、モノクローナル抗体に特異的に結合することができたが、いくつかのペプチドは、その親抗体の原エピトープへの結合をインビトロで阻害しなかった(インビトロ結合阻害アッセイ)。インビトロのELISAアッセイによる抗体力価の決定は、単独のマウスの血清又は集めた血清(図5参照)により、それぞれのワクチン接種2週間経過後に行った(図15及び16をそれぞれ参照)。抗体力価は、全ての図においてOD半値(OD max/2)として計算した。ELISAプレートのウェルは、ミモトープ-BSA結合体及び無関係なペプチド-BSA結合体(ネガティブコントロール)によりコーティングした。ポジティブコントロールは、親抗体をミモトープ-BSA結合体と反応させて行った。検出は、抗マウスIgGで行った。さらに、遺伝子組換えタンパク質をELISAプレートに固定し、血清を反応させた。図15-17は、インビボにおけるミモトープの特徴付けに用いられたアッセイの代表例を示す。
【0098】
図15は、インビボにおけるミモトープのワクチン接種により誘導された免疫反応を、注入ペプチド及び関係のない配列を含む無関係なペプチドに対する免疫反応を分析することによって特徴付けた例である。示した3つのペプチド(原エピトープ及びミモトープ)は全て、注入ペプチドに対して免疫反応を誘導したが、無関係な配列(p1454)に対する非特異的免疫反応は誘導しなかった。
【0099】
MV-003ミモトープの例として、原エピトープp4373及びミモトープp4395、p4396、p4397、及びp4399を図15Aに示す。全てのワクチンがそれぞれのミモトープに対して同様の免疫反応を示した。原エピトープp4373ワクチン処置又はp4395、p4396、p4397又はp4399ワクチン処置した動物は、無関係なペプチドp1454に対してはいずれも免疫反応を示さなかった(11倍-25倍注入ペプチドよりも低い)。
【0100】
MV-004ミモトープの例として、原エピトープp4372及びミモトープp4417、p4418、p4419、及びp4420を図15Bに示す。全てのワクチンがそれぞれのミモトープに対して同様の免疫反応を示した。原エピトープp4372ワクチン処置又はp4417、p4418、p4419、及びp4420ワクチン処置した動物は、無関係なペプチドp1454に対してはいずれも免疫反応を示さなかった(20-80倍注入ペプチドよりも低い)。
【0101】
MV-001ミモトープの例として、原エピトープp4371及びミモトープp4381、p4382、及びp4390を図15Cに示す。全てのワクチンがそれぞれのミモトープに対して同様の免疫反応を示した。原エピトープp4371ワクチン処置又はp4381、p4382、及びp4390ワクチン処置した動物は、無関係なペプチドp1454に対してはいずれも免疫反応を示さなかった(>10倍注入ペプチドよりも低い)。
【0102】
図16は、親抗体の原エピトープ並びにAβの切断型以外の種に対するミモトープワクチン接種により引き起こされた免疫反応の特徴である。
【0103】
MV-003ミモトープの例として、原エピトープp4373及びミモトープp4395、p4396、p4397、及びp4399を図16Aに示す。原エピトープp4373に対しては4つのうち3つのミモトープワクチンが免疫反応を示した。類似の現象が、非修飾型p4371に対する交差反応性の分析から検出された。原エピトープp4373ワクチン及び4つのうち2つのミモトープワクチンが、p4371に対するのと同様の抗体力価を示した。驚いたことに、p4373に選択的に結合するMV-003により選択したミモトープも、非修飾型の原エピトープに対して免疫応答性交差反応を示した。
【0104】
MV-004ミモトープの例として、原エピトープp4372及びミモトープp4417、p4418、p4419、及びp4420を図16Bに示す。4つのうち3つのミモトープワクチンは原エピトープp4372に対して検出可能な免疫反応を示した。
【0105】
MV-001ミモトープの例として、原エピトープp4371及びミモトープp4381、p4382、及びp4390を図16Cに示す。全てのミモトープワクチンは原エピトープp4371に対して検出可能な免疫反応を示した。類似の現象がピログルタミン酸修飾型p4373に対して交差反応性の分析から検出された。原エピトープp4371ワクチン及び全てのミモトープワクチンがp4373に対して相当な抗体力価を示した。驚いたことに、p4371に特異的に結合するMV-001により選択したミモトープは、原エピトープ誘導性免疫反応又は親抗体よりも修飾型原エピトープに対して交差反応を誘導した。それゆえこれらのミモトープは、驚くべきことに広い免疫反応を必ずしも導くのではなく、Aβのより広い標的として用いられる。
【0106】
図17は、全長Aβに対するミモトープワクチン接種により示された免疫反応のインビボでの特徴の例を示す。驚いたことに、MV-001及びMV-003を用いて選択したミモトープは、切断型又は修飾型の短いエピトープを用いた抗体との交差反応を示しただけでなく、全長、非修飾型のAβ並びに原配列と同等の、さらにp4371/p4373よりも効果的に交差反応性を示した。MV-002原エピトープ並びに同定されたミモトープについては、フリーであるN末端非修飾型Aβ11-40/42に対しては、抗体の特異性の移転によっても、そのような交差反応は見られなかった。それゆえ、本発明のミモトープは、AD患者の脳において見られる天然のAβペプチドの広いスペクトルの標的としての最適なワクチンの候補を構成する。そのような形態にはAβ1-40/42に限らず、Aβ3-40/42、Aβ(pE)3-40/42のようなN末端切断型、及び非修飾型Aβ11-40/42が含まれる。
【0107】
表6及び7は、MV-001及びMV-003により得られたミモトープを用いた全長Aβに対するミモトープワクチンにより示された免疫反応の例を示す。
【表6】
【0108】
表6に示した全てのペプチドは、全長及び/又は切断型及び修飾型Aβ又はその断片に対して特異的免疫反応を示した。
【0109】
【表7】
表7に示した全てのペプチドは、全長及び/又は切断型及び修飾型Aβ又はその断片に対して特異的免疫反応を示した。
【0110】
3. MV-002の結果
3.1. N-末端を切断型、及び修飾型Aβ特異的モノクローナル抗体の同定:
図21は、Alz-9試験において得られた、E11及びH14において切断されたAβ断片及びE11及びH14において修飾されたAβ断片に特異的なモノクローナル抗体MV-002(内部名A115; IgG2b)の特徴を示す。
【0111】
3.2. AβのN末端切断型及び修飾型を標的とした特異的mABによるスクリーニング:
【0112】
3.2.1. ファージディスプレーライブラリーPh.D.7
3.2.1.1. p1323に対するモノクローナル抗体のスクリーニング
PhD7ファージディスプレーライブラリーをスクリーニングし、このスクリーニングにより、47配列が同定された:表1は、ペプチドの同定及び原エピトープと比較したそれらの結合能の概略を示す。
【0113】
【表8】
【表9】
表8,9の凡例:結合能は以下の結合コードで表した: 1:Xは、親抗体の希釈因子を示す。Ac-はアセチル化アミノ酸を示す。
【0114】
【0115】
3.3. インビトロにおける、AβのN末端切断型及び修飾型に対するモノクローナル抗体とともに反応させ、ファージディスプレーライブラリーによるスクリーニングによって同定されたミモトープの特徴:
図21及び22は、インビトロにおける結合及び阻害アッセイによる代表例を示す。得られたデータは、それぞれ表1及び2に概説する。
MV-002ミモトープ:インビトロにおける競合阻害試験において、47配列のうち11配列がモノクローナル抗体MV-002の結合を阻害した。残りの36配列はインビトロにおける競合阻害試験において、特異的モノクローナル抗体の結合を阻害しなかったが、なお、親抗体に対する結合能は保っていた(表2)。親抗体にインビトロで結合するための原エピトープにおいて競合することは、図23-25に記載したとおり、インビボで免疫反応の交差反応性を有することが必要条件ではないということである。それゆえ、脳からのアミロイドペプチドのクリアランスを導くことのできる、インビボで免疫反応を誘導するペプチドを検出するためには、阻害だけでなく非阻害性ペプチドも用いられる(データは図23-25参照)。
【0116】
【表10】
表10の説明:阻害能は以下の配列によってコードされている:
弱い阻害は、AB結合を低下させるのに、原エピトープよりも多くのペプチドが必要であることを意味する;強い阻害は、AB結合を低下させるのに、原エピトープと近い量のペプチドが必要であることを意味する。原ペプチドを標準としてミモトープと比較した。アッセイにおいて用いた5μgのペプチドによるODを、原ペプチドと比較して競合阻害能を計算するのに用いた。
【0117】
【0118】
3.4. インビボにおける、アミロイドβに対するモノクローナル抗体のファージディスプレーライブラリーにおけるスクリーニングによって同定されたミモトープの特徴:
雌C57/Bl6マウス各群5-6匹を、KLHに結合させたペプチド30μgで皮下注射により免疫化した。コントロール群には原エピトープ-KLH結合体を投与した。アジュバントとしてはアラムを用いた(全て1mg/マウス)。投与したペプチドは、全て、モノクローナル抗体に特異的に結合することができたが、いくつかのペプチドは、その親抗体の原エピトープへの結合をインビトロで阻害しなかった(インビトロ結合阻害アッセイ)。インビトロのELISAアッセイによる抗体力価の決定は、単独のマウスの血清又は集めた血清により、それぞれのワクチン接種2週間経過後に行った(図25及び26をそれぞれ参照)。抗体力価は、全ての図においてOD半値(OD 最大/2)として計算した。ELISAプレートのウェルは、ミモトープ-BSA結合体及び無関係なペプチド-BSA結合体(ネガティブコントロール)によりコーティングした。ポジティブコントロールは、親抗体をミモトープ-BSA結合体と反応させて行った。検出は、抗マウスIgGで行った。さらに、遺伝子組換えタンパク質をELISAプレートに固定し、血清を反応させた。図23、24及び25は、インビボにおけるミモトープの特徴付けに用いられたアッセイの代表例を示す。示した結果は、p4670、p4675、p4680及びp4681のようなインビトロでの阻害アッセイにおいて活性なペプチドから得られたもの、及びインビトロで結合能を有しないペプチドp4403から得られたものをそれぞれ示す。
【0119】
図23は、インビボにおけるミモトープのワクチン接種により誘導された免疫反応を、注入ペプチド及び関係のない配列を含む無関係なペプチドに対する免疫反応を分析することによって特徴付けた例である。エピトープp4377、ポジティブコントロールペプチド、及びミモトープp4670、p4675、p4680、p4681及びp4403は注入ペプチドに対して免疫反応を誘導したが、無関係な配列(p1454)に対する非特異的免疫反応は誘導しなかった。
【0120】
図24は、親抗体(p4377)並びにAβ切断種から得られたペプチド(p1323及びp4374)及びsAPPα、それぞれの原エピトープに対する、ミモトープのワクチン接種により引き起こされた免疫反応のインビボでの特徴の例を示す。
【0121】
p4377及びミモトープp4670、p4675、p4680、p4681及びp4403は、原エピトープp4377に対して検出可能な免疫反応を引き起こした。同様の現象が、p4374の修正された形態として、交差反応性を分析していると検出される。興味深いことに、原エピトープ及びミモトープワクチンは、原エピトープの修飾型であるp4374に対して関連する抗体力価を示した。驚いたことにミモトープはp1323に対して、より効果的な免疫反応を生じさせることができるが、それを必要としないようであり、これは原Aβ断片より広い免疫反応を示す可能性があることを示している。さらに、sAPPαに対しては検出されなかった。
【0122】
図25は、全長Aβに対するミモトープワクチン接種により引き起こされた免疫反応の特徴である。驚いたことにMV-002を用いて選択されたミモトープは、抗体を作るための切断又は修飾型の短いエピトープだけでなく、全長。Aβの非修飾体、並びに原配列又はさらにはp4377まで交差反応性を引き起こした。
【0123】
興味深いことに、競合性だけでなく非競合性ペプチドも原Aβ配列を含む、ペプチドと特異的に相互作用する、同様の免疫反応を誘導することができることがわかった。それゆえ、本発明のミモトープは、AD患者の脳内において見られる天然由来のAβの広いスペクトルを標的とした最適な、新規なワクチンの候補を構成する。その形態には、Aβ1-40/42、及びN-末端を切断した形態Aβ3-40/42、Aβ(pE)3-40/42、非修飾型Aβ11-40/42、修飾型Aβp(E)11-40/42及びAβ14-40/42に限られないが、これらが含まれる。重要なことは、本発明のミモトープもまたAPPから切り出されたsAPPαにおけるネオエピトープに対して交差反応を誘導しなかったため、通常のsAPPαシグナルを妨害しない(詳細は図24を参照)。
【0124】
【表11】
【0125】
表12は、MV-002由来のミモトープを用いた全長Aβに対するミモトープワクチン接種により引き起こされた免疫反応のさらなる例を示す。表4にリスト化したペプチドは全て、全長及び/又は切断型及び修飾型Aβ又はそれらの断片に対して特異的免疫反応を示した。
【表12】
【実施例9】
【0126】
実施例9:
遺伝子組み換え動物におけるインビボにおける、AD様病変を減少させるためのミモトープの有効性
Tg2576 ADマウスモデルを、ミモトープワクチンの前臨床での有効性を試験するために用いた。この遺伝子組み換え体は、ハムスタープリオンタンパク質(PrP)プロモーターによる制御のもと、タンパク質の過剰発現を生じる、アミノ酸670/671位においてスウェーデン型二重変異を有するヒトAPPを発現する。これは、現在AD研究において最も広く用いられている方法の1つである。Tg2576モデルは、疾患特異的である、アミロイド斑蓄積及び星状細胞増加を含む、AD病理の様々な特徴を有している。現在ある全ての他のADモデル系と同様、ADの全ての主要な神経病理学的特徴を反映しているわけではない。
【0127】
ミモトープ処置により脳内Aβ蓄積を予防することができるかを評価するため、ペプチド-KLH複合体をアラム(アジュバント:水酸化アルミニウム)に吸着させた、又はPBSをアラム(PBS又はコントロールと呼ぶ)に吸着させたものを単独でTg2576マウスに毎月皮下注射を行い、投与した。最後の免疫化の8週間後、動物を安楽死させ、脳を収穫しAβ沈着(AD様病変)を分析した。マウスは深い麻酔のもとで安楽死させた。続いて、脳を単離し、4%PFA中で固定し、エタノールで段階的に脱水し、キシレン中で培養しパラフィン包埋した。パラフィン包埋した脳は、7μMにおいて切断ミクロトームを用いてスライスし、スライドガラスに乗せた。
【0128】
Tg2576動物においてAD様病変であるかを評価する方法としては、動物の脳内においてアミロイド沈着により占有された相対領域を分析した。この分析は、自動化された面積認識プログラムを用いて行った。斑であるかを特定するため、スライス断片を(Aβ40/42特異的)モノクローナル抗体(mAb) 3A5で染色した。ミモトープ処置動物をコントロール動物と比較した。動物はすべて13.5-14ヶ月で安楽死させた。この分析のため、大脳皮質及び海馬をカバーしている3スライド/動物を選択し、ミラックスシステム(Mirax-system)(ツァイス(Zeiss))を用いて文書で記録した。アミロイド斑により占められた面積の計算には、得られた画像を調べ、我々は各スライドにつき、4つまでの個別のセクションを分析し、
不自然で異常な染色強度を有する部分を排除した。
【0129】
MV002のミモトープについては、3つの例示的な候補について面積の分析をした:分析は、ペプチド-KLH複合体ワクチンを用いて、以下の繰り返しのワクチン接種により行われた。コントロール群の平均占有率は0.35%であったのに対し、ミモトープ処置動物がそれぞれ0.11%、0.14%及び0.22%であった。これはミモトープ処置群のグループ2が67%、グループ3が60%、グループ4が36%の減少を生じたことと対応する(図18参照)。
【0130】
MV002のミモトープについては、1つの例示的な候補について面積の分析をした:分析は、ペプチド-KLH複合体ワクチンを用いて、以下の繰り返しのワクチン接種により行われた。コントロール群の平均占有率は0.35%であったのに対し、ミモトープ処置動物が0.24%であった。これはミモトープ処置群のグループ2が31%の減少を生じたことと対応する。
【0131】
類似の図がMV003誘導性ミモトープの群において検出される。ここではp4395の例について示す。MV001誘導性ミモトープについて示すが、ペプチド複合体ワクチン接種によるアミロイドプラークにより占められた領域の分析を行った。コントロール群は、平均の占有率が0.35%であったのに対し、ミモトープ処置動物はそれぞれ0.21%であった。これは、グループ2におけるミモトープ処置における減少が38%であったのに対応する(図19参照)。
【0132】
それゆえ、このデータのセットは、ミモトープワクチン処置が遺伝子組み換え動物におけるAD様病変において有益であることを明らかに示している。
【実施例10】
【0133】
遺伝子組み換え動物におけるインビボにおける、PD様疾患を減少させるためのミモトープの有効性(概念の証明のための分析)
【0134】
mThy1-wtヒトα-syn (TASD61株)と交配させた二重遺伝子組み換えマウスモデル(mThy1-APP751 (TASD41株))を、PD様疾患を減少させるかのADミモトープワクチンの前臨床効果の研究に用いた。このモデルは、AD及びPDのさまざまな病態をアミロイド斑堆積及び星状細胞増加症並びにシヌクレイン凝集及び細胞死を含んでいる。
【0135】
ミモトープ処置によりPD様疾患を緩和することができるかを評価するため、ペプチド-KLH複合体をアラム(アジュバント:水酸化アルミニウム)に吸着させた、又はPBSをアラム(PBS又はコントロールと呼ぶ)に吸着させたものを単独でTg2576マウスに毎月皮下注射を行い、6回投与した。最後の免疫化後、動物を安楽死させ、脳を収穫しAβ沈着(AD様病変)を分析した。マウスは深い麻酔のもとで安楽死させた。続いて、脳を単離し、固定し、40μMにおいて切断ビブラトームを用いてスライスし、スライスは-20℃において凍結防止剤中で保存した。スライスは、抗αシヌクレイン及びNeuN(神経マーカー)抗体とともに免疫化し、レーザー共焦点顕微鏡でイメージングした。デジタルイメージをイメージクワント(
ImageQuant)プログラムを用いてαシヌクレイン凝集の数を評価した。結果は、本発明のミモトープの一連の実施例のデータに示す。
【0136】
ADミモトープによるワクチン化が、PD関連病態を減少させるかを分析するため、前頭皮質及び海馬におけるαシヌクレインの神経封入体の出現を分析した(レビー小体様封入体)。脳内においてAPP及びαシヌクレインを過剰発現する動物は、PDを思い起こす病態変化を起こす。αシヌクレイン陽性神経封入体は、図27に神経細胞体の斑点として示す。封入体の定量的分析から、二重遺伝子組み換えマウスに対するADミモトープワクチン接種により、新皮質及び海馬における神経細胞体におけるαシヌクレインの蓄積レベルは、有意に減少したことを明らかにした。これは、皮質において32.7%減少させ (p=0.0001)、この領域においてADミモトープワクチン接種がPD様病態に有益であることを示している。
【0137】
遺伝子組み換え動物のPD様病変のアッセイの第2の方法として、NeuN染色により、処置動物の皮質及び海馬における神経の数を分析した。
【0138】
この動物モデルにおいては、前頭皮質並びに海馬において、加齢に伴い神経の進行性の喪失が起こった。前頭皮質及び海馬における神経密度の定量は、非遺伝子組み換えコントロール動物と比べ、二重遺伝子組み換えPBA処置マウスにおいて、わずかに減少した。このわずかな減少は、本試験における神経株の神経変性を示す。
【0139】
興味深いことに、ADミモトープを処置したマウスは、コントロールと比較して、NeuN陽性の神経となった(図28)。二重組換Tg動物は、海馬において、27%(p=0.044)増の統計的に有意な増加を担体処置コントロールに対して、それぞれ示した。皮質においては、二重組換Tg動物で、ADミモトープ処置により、28.4%(p=0.0053)増が見られた。相対的な増加が、担体処置動物に対して見られたことは、うまく処置された動物においては、神経変性を減少させることを示唆する。
【0140】
まとめると、このデータのセットは、PD様症状へのADミモトープワクチン処置が遺伝子組み換え動物において有益であることを明らかに示している。
【図1−A】
【図1−B】
【図1−C】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
該ペプチドが、アミロイドβペプチド(Aβ)のエピトープに特異的な抗体に結合能を有する、パーキンソン病の運動症状を治療、予防及び/又は緩和のするためのペプチドを含む化合物。
【請求項2】
アミロイドβペプチド(Aβ)の該エピトープが、DAEFRH、EFRHDSGY、pEFRHDSGY、EVHHQKL、HQKLVF及びHQKLVFFAEDからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
該ペプチドが、アミノ酸配列DAEFRH、EFRHDSGY、pEFRHDSGY、EVHHQKL、HQKLVF及びHQKLVFFAEDを含まないことを特徴とする請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
該ペプチドが、アミノ酸配列
X1X2X3X4X5X6X7 (式I)
(ここで、
X1は、G、又はヒドロキシ基を有する又は負に荷電したアミノ酸、好ましくはグリシン(G)、グルタミン酸(E)、チロシン(Y)、セリン(S)又はアスパラギン酸(D)、
X2は、疎水性のアミノ酸又は正に荷電したアミノ酸、好ましくは、アスパラギン(N)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、バリン(V)、リジン(K)、トリプトファン(W)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)又はアラニン(A)、
X3は、負に荷電したアミノ酸、好ましくは、アスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)、
X4は、芳香族アミノ酸又は疎水性のアミノ酸又はロイシン(L)、好ましくは、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)又はロイシン(L)、
X5は、ヒスチジン(H)、リジン(K)、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)又はアルギニン(R)、好ましくは、ヒスチジン(H)、フェニルアラニン(F)又はアルギニン(R)、及び
X6は、存在しない又はセリン(S)、スレオニン(T)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アルギニン(R)、イソロイシン(I)、リジン(K)、チロシン(Y)、又はグリシン(G)、好ましくは、スレオニン(T)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、アルギニン(R)、イソロイシン(I)又はグリシン(G)であり、
X7は、存在しない又はいかなるアミノ酸であってもよく、好ましくは、プロリン(P)、チロシン(Y)、スレオニン(T)、グルタミン(Q)、アラニン(A)、ヒスチジン(H)又はセリン(S)であり、
好ましくは、EIDYHR、ELDYHR、EVDYHR、DIDYHR、DLDYHR、DVDYHR、DIDYRR、DLDYRR、DVDYRR、DKELRI、DWELRI、YREFFI、YREFRI、YAEFRG、EAEFRG、DYEFRG、ELEFRG、DRELRI、DKELKI、DRELKI、GREFRN、EYEFRG、DWEFRDA、SWEFRT、DKELR、SFEFRG、DAEFRWP、DNEFRSP、GSEFRDY、GAEFRFT、SAEFRTQ、SAEFRAT、SWEFRNP、SWEFRLY、SWELRQA、SVEFRYH、SYEFRHH、SQEFRTP、SSEFRVS、DWEFRD、DAELRY、DWELRQ、SLEFRF、GPEFRW、GKEFRT、AYEFRH、DKE(Nle)R、DKE(Nva)R又はDKE(Cha)Rである。)
を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
該ペプチドが、アミノ酸配列
X1RX2DX3(X4)n(X5)m(X6)o (式II)
(ここで、
X1は、イソロイシン(I)又はバリン(V)、
X2は、トリプトファン(W)又はチロシン(Y)、
X3は、スレオニン(T)、バリン(V)、アラニン(A)、メチオニン(M)、グルタミン(Q)又はグリシン(G)、
X4は、プロリン(P)、アラニン(A)、チロシン(Y)、セリン(S)、システイン(C)又はグリシン(G)、
X5は、プロリン(P)、ロイシン(L)、グリシン(G)又はシステイン(C)、
X6は、システイン(C)であり、
n、m及びoは、独立して0又は1であり、
好ましくは、IRWDTP(C)、VRWDVYP(C)、IRYDAPL(C)、IRYDMAG(C)、IRWDTSL(C)、IRWDQP(C)、IRWDG(C)又はIRWDGG(C)である。)
を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
該ペプチドが、アミノ酸配列
EX1WHX2X3(X4)n(X5)m (式III)
(ここで、
X1は、バリン(V)、アルギニン(R)又はロイシン(L)、
X2は、アルギニン(R)又はグルタミン酸(E)、
X3は、アラニン(A)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、ロイシン(L)、チロシン(Y)又はグリシン(G)、
X4は、プロリン(P)、ヒスチジン(H)、フェニルアラニン(F)又はグルタミン(Q)又はシステイン、
X5は、システイン(C)であり、
n及びmは、独立して0又は1であり、
好ましくは、EVWHRHQ(C)、ERWHEKH(C)、EVWHRLQ(C)、ELWHRYP(C)、ELWHRAF(C)、ELWHRA(C)、EVWHRG(C)、EVWHRH(C)及びERWHEK(C)、好ましくは、EVWHRHQ(C)、ERWHEKH(C)、EVWHRLQ(C)、ELWHRYP(C)又はELWHRAF(C)である。)
を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
該ペプチドが、アミノ酸配列QDFRHY(C)、SEFKHG(C)、TSFRHG(C)、TSVFRH(C)、TPFRHT(C)、SQFRHY(C)、LMFRHN(C)、SAFRHH(C)、LPFRHG(C)、SHFRHG(C)、ILFRHG(C)、QFKHDL(C)、NWFPHP(C)、EEFKYS(C)、NELRHST(C)、GEMRHQP(C)、DTYFPRS(C)、VELRHSR(C)、YSMRHDA(C)、AANYFPR(C)、SPNQFRH(C)、SSSFFPR(C)、EDWFFWH(C)、SAGSFRH(C)、QVMRHHA(C)、SEFSHSS(C)、QPNLFYH(C)、ELFKHHL(C)、TLHEFRH(C)、ATFRHSP(C)、APMYFPH(C)、TYFSHSL(C)、HEPLFSH(C)、SLMRHSS(C)、EFLRHTL(C)、ATPLFRH(C)、QELKRYY(C)、THTDFRH(C)、LHIPFRH(C)、NELFKHF(C)、SQYFPRP(C)、DEHPFRH(C)、MLPFRHG(C)、SAMRHSL(C)、TPLMFWH(C)、LQFKHST(C)、ATFRHST(C)、TGLMFKH(C)、AEFSHWH(C)、QSEFKHW(C)、AEFMHSV(C)、ADHDFRH(C)、DGLLFKH(C)、IGFRHDS(C)、SNSEFRR(C)、SELRHST(C)、THMEFRR(C)、EELRHSV(C)、QLFKHSP(C)、YEFRHAQ(C)、SNFRHSV(C)、APIQFRH(C)、AYFPHTS(C)、NSSELRH(C)、TEFRHKA(C)、TSTEMWH(C)、SQSYFKH(C)、(C)SEFKH、SEFKH(C)、(C)HEFRH又はHEFRH(C)を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
該ペプチドが、アミノ酸配列
(X1)mGX2X3X4FX5X6(X7)n (式IV)
(ここで、
X1は、セリン(S)、アラニン(A)又はシステイン(C)、
X2は、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、グルタミン(Q)又はメチオニン(M)、
X3は、イソロイシン(I)、チロシン(Y)、メチオニン(M)又はロイシン(L)、
X4は、ロイシン(L)、アルギニン(R)、グルタミン(Q)、トリプトファン(W)、バリン(V)、ヒスチジン(H)、チロシン(Y)、イソロイシン(I)、リジン(K)、メチオニン(M)又はフェニルアラニン(F)、
X5は、アラニン(A)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)、アスパラギン(N)、アルギニン(R)、グルタミン酸(E)、イソロイシン(I)、グルタミン(Q)、アスパラギン酸(D)、プロリン(P)、トリプトファン(W)、又はグリシン(G)、
X6は、いかなるアミノ酸残基であってもよく、
X7はシステイン(C)、
m及びnは、独立して0又は1であり、
好ましくは、SGEYVFH(C)、SGQLKFP(C)、SGQIWFR(C)、SGEIHFN(C)、GQIWFIS(C)、GQIIFQS(C)、GQIRFDH(C)、GEMWFAL(C)、GELQFPP(C)、GELWFP(C)、GEMQFFI(C)、GELYFRA(C)、GEIRFAL(C)、GMIVFPH(C)、GEIWFEG(C)、GDLKFPL(C)、GQILFPV(C)、GELFFPK(C)、GQIMFPR(C)、GSLFFWP(C)、GEILFGM(C)、GQLKFPF(C)、GTIFFRD(C)、GQIKFAQ(C)、GTLIFHH(C)、GEIRFGS(C)、GQIQFPL(C)、GEIKFDH(C)、GEIQFGA(C)、GELFFEK(C)、GEIRFEL(C)、GEIYFER(C)、SGEIYFER(C)、AGEIYFER(C)又は(C)GEIYFERである。)
を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
該ペプチドが、アミノ酸配列
(X1)mHX2X3X4X5FX6(X7)n (式V)
(ここで、
X1は、セリン(S)、スレオニン(T)又はシステイン(C)、
X2は、グルタミン(Q)、スレオニン(T)又はメチオニン(M)、
X3は、リジン(K)又はアルギニン(R)、
X4は、ロイシン(L)、又はメチオニン(M)、
X5は、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)又はイソロイシン(I)、
X6は、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、アラニン(A)又はシステイン(C)、
X7は、システイン(C)であり、
n及びmは、独立して0又は1であり、
好ましくは、SHTRLYF(C)、HMRLFFN(C)、SHQRLWF(C)、HQKMIFA(C)、HMRMYFE(C)、THQRLWF(C)又はHQKMIF(C)である。)
を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
該ペプチドが、アミノ酸配列AIPLFVM(C)、KLPLFVM(C)、QLPLFVL(C)又はNDAKIVF(C)を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
化合物がポリペプチドであり、4ないし30残基のアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
化合物が医薬的に許容され、好ましくはKLH(キーホールリンペットヘモシアニン)である担体に結合していることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
化合物が、皮下、皮内又は筋肉内投与用に製剤化されていることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
化合物が、好ましくは水酸化アルミニウムであるアジュバントとともに製剤されていることにより特徴づけられる請求項1ないし13のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
化合物が薬剤中に、0.1ngないし10mg、好ましくは10ngないし1mg、特に100ngないし10μg含まれることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
パーキンソン病の運動症状が、静止時振戦、動作緩慢、硬直、姿勢の不安定、前屈姿勢、ジストニア、倦怠感、細かい動きの機敏さ及び運動協調性の障害、粗大運動協調性の障害、動きの欠如(腕の振りの減少)、静座不能、会話障害、顔の表情の欠如、小字症、嚥下困難、性機能障害及び涎からなる群から選択されることを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
パーキンソン病の運動症状を治療、予防及び/又は緩和するための薬剤の製造のための、請求項1ないし12のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項1】
該ペプチドが、アミロイドβペプチド(Aβ)のエピトープに特異的な抗体に結合能を有する、パーキンソン病の運動症状を治療、予防及び/又は緩和のするためのペプチドを含む化合物。
【請求項2】
アミロイドβペプチド(Aβ)の該エピトープが、DAEFRH、EFRHDSGY、pEFRHDSGY、EVHHQKL、HQKLVF及びHQKLVFFAEDからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
該ペプチドが、アミノ酸配列DAEFRH、EFRHDSGY、pEFRHDSGY、EVHHQKL、HQKLVF及びHQKLVFFAEDを含まないことを特徴とする請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
該ペプチドが、アミノ酸配列
X1X2X3X4X5X6X7 (式I)
(ここで、
X1は、G、又はヒドロキシ基を有する又は負に荷電したアミノ酸、好ましくはグリシン(G)、グルタミン酸(E)、チロシン(Y)、セリン(S)又はアスパラギン酸(D)、
X2は、疎水性のアミノ酸又は正に荷電したアミノ酸、好ましくは、アスパラギン(N)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、バリン(V)、リジン(K)、トリプトファン(W)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)又はアラニン(A)、
X3は、負に荷電したアミノ酸、好ましくは、アスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)、
X4は、芳香族アミノ酸又は疎水性のアミノ酸又はロイシン(L)、好ましくは、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)又はロイシン(L)、
X5は、ヒスチジン(H)、リジン(K)、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)又はアルギニン(R)、好ましくは、ヒスチジン(H)、フェニルアラニン(F)又はアルギニン(R)、及び
X6は、存在しない又はセリン(S)、スレオニン(T)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アルギニン(R)、イソロイシン(I)、リジン(K)、チロシン(Y)、又はグリシン(G)、好ましくは、スレオニン(T)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、アルギニン(R)、イソロイシン(I)又はグリシン(G)であり、
X7は、存在しない又はいかなるアミノ酸であってもよく、好ましくは、プロリン(P)、チロシン(Y)、スレオニン(T)、グルタミン(Q)、アラニン(A)、ヒスチジン(H)又はセリン(S)であり、
好ましくは、EIDYHR、ELDYHR、EVDYHR、DIDYHR、DLDYHR、DVDYHR、DIDYRR、DLDYRR、DVDYRR、DKELRI、DWELRI、YREFFI、YREFRI、YAEFRG、EAEFRG、DYEFRG、ELEFRG、DRELRI、DKELKI、DRELKI、GREFRN、EYEFRG、DWEFRDA、SWEFRT、DKELR、SFEFRG、DAEFRWP、DNEFRSP、GSEFRDY、GAEFRFT、SAEFRTQ、SAEFRAT、SWEFRNP、SWEFRLY、SWELRQA、SVEFRYH、SYEFRHH、SQEFRTP、SSEFRVS、DWEFRD、DAELRY、DWELRQ、SLEFRF、GPEFRW、GKEFRT、AYEFRH、DKE(Nle)R、DKE(Nva)R又はDKE(Cha)Rである。)
を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
該ペプチドが、アミノ酸配列
X1RX2DX3(X4)n(X5)m(X6)o (式II)
(ここで、
X1は、イソロイシン(I)又はバリン(V)、
X2は、トリプトファン(W)又はチロシン(Y)、
X3は、スレオニン(T)、バリン(V)、アラニン(A)、メチオニン(M)、グルタミン(Q)又はグリシン(G)、
X4は、プロリン(P)、アラニン(A)、チロシン(Y)、セリン(S)、システイン(C)又はグリシン(G)、
X5は、プロリン(P)、ロイシン(L)、グリシン(G)又はシステイン(C)、
X6は、システイン(C)であり、
n、m及びoは、独立して0又は1であり、
好ましくは、IRWDTP(C)、VRWDVYP(C)、IRYDAPL(C)、IRYDMAG(C)、IRWDTSL(C)、IRWDQP(C)、IRWDG(C)又はIRWDGG(C)である。)
を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
該ペプチドが、アミノ酸配列
EX1WHX2X3(X4)n(X5)m (式III)
(ここで、
X1は、バリン(V)、アルギニン(R)又はロイシン(L)、
X2は、アルギニン(R)又はグルタミン酸(E)、
X3は、アラニン(A)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、ロイシン(L)、チロシン(Y)又はグリシン(G)、
X4は、プロリン(P)、ヒスチジン(H)、フェニルアラニン(F)又はグルタミン(Q)又はシステイン、
X5は、システイン(C)であり、
n及びmは、独立して0又は1であり、
好ましくは、EVWHRHQ(C)、ERWHEKH(C)、EVWHRLQ(C)、ELWHRYP(C)、ELWHRAF(C)、ELWHRA(C)、EVWHRG(C)、EVWHRH(C)及びERWHEK(C)、好ましくは、EVWHRHQ(C)、ERWHEKH(C)、EVWHRLQ(C)、ELWHRYP(C)又はELWHRAF(C)である。)
を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
該ペプチドが、アミノ酸配列QDFRHY(C)、SEFKHG(C)、TSFRHG(C)、TSVFRH(C)、TPFRHT(C)、SQFRHY(C)、LMFRHN(C)、SAFRHH(C)、LPFRHG(C)、SHFRHG(C)、ILFRHG(C)、QFKHDL(C)、NWFPHP(C)、EEFKYS(C)、NELRHST(C)、GEMRHQP(C)、DTYFPRS(C)、VELRHSR(C)、YSMRHDA(C)、AANYFPR(C)、SPNQFRH(C)、SSSFFPR(C)、EDWFFWH(C)、SAGSFRH(C)、QVMRHHA(C)、SEFSHSS(C)、QPNLFYH(C)、ELFKHHL(C)、TLHEFRH(C)、ATFRHSP(C)、APMYFPH(C)、TYFSHSL(C)、HEPLFSH(C)、SLMRHSS(C)、EFLRHTL(C)、ATPLFRH(C)、QELKRYY(C)、THTDFRH(C)、LHIPFRH(C)、NELFKHF(C)、SQYFPRP(C)、DEHPFRH(C)、MLPFRHG(C)、SAMRHSL(C)、TPLMFWH(C)、LQFKHST(C)、ATFRHST(C)、TGLMFKH(C)、AEFSHWH(C)、QSEFKHW(C)、AEFMHSV(C)、ADHDFRH(C)、DGLLFKH(C)、IGFRHDS(C)、SNSEFRR(C)、SELRHST(C)、THMEFRR(C)、EELRHSV(C)、QLFKHSP(C)、YEFRHAQ(C)、SNFRHSV(C)、APIQFRH(C)、AYFPHTS(C)、NSSELRH(C)、TEFRHKA(C)、TSTEMWH(C)、SQSYFKH(C)、(C)SEFKH、SEFKH(C)、(C)HEFRH又はHEFRH(C)を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
該ペプチドが、アミノ酸配列
(X1)mGX2X3X4FX5X6(X7)n (式IV)
(ここで、
X1は、セリン(S)、アラニン(A)又はシステイン(C)、
X2は、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、グルタミン(Q)又はメチオニン(M)、
X3は、イソロイシン(I)、チロシン(Y)、メチオニン(M)又はロイシン(L)、
X4は、ロイシン(L)、アルギニン(R)、グルタミン(Q)、トリプトファン(W)、バリン(V)、ヒスチジン(H)、チロシン(Y)、イソロイシン(I)、リジン(K)、メチオニン(M)又はフェニルアラニン(F)、
X5は、アラニン(A)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)、アスパラギン(N)、アルギニン(R)、グルタミン酸(E)、イソロイシン(I)、グルタミン(Q)、アスパラギン酸(D)、プロリン(P)、トリプトファン(W)、又はグリシン(G)、
X6は、いかなるアミノ酸残基であってもよく、
X7はシステイン(C)、
m及びnは、独立して0又は1であり、
好ましくは、SGEYVFH(C)、SGQLKFP(C)、SGQIWFR(C)、SGEIHFN(C)、GQIWFIS(C)、GQIIFQS(C)、GQIRFDH(C)、GEMWFAL(C)、GELQFPP(C)、GELWFP(C)、GEMQFFI(C)、GELYFRA(C)、GEIRFAL(C)、GMIVFPH(C)、GEIWFEG(C)、GDLKFPL(C)、GQILFPV(C)、GELFFPK(C)、GQIMFPR(C)、GSLFFWP(C)、GEILFGM(C)、GQLKFPF(C)、GTIFFRD(C)、GQIKFAQ(C)、GTLIFHH(C)、GEIRFGS(C)、GQIQFPL(C)、GEIKFDH(C)、GEIQFGA(C)、GELFFEK(C)、GEIRFEL(C)、GEIYFER(C)、SGEIYFER(C)、AGEIYFER(C)又は(C)GEIYFERである。)
を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
該ペプチドが、アミノ酸配列
(X1)mHX2X3X4X5FX6(X7)n (式V)
(ここで、
X1は、セリン(S)、スレオニン(T)又はシステイン(C)、
X2は、グルタミン(Q)、スレオニン(T)又はメチオニン(M)、
X3は、リジン(K)又はアルギニン(R)、
X4は、ロイシン(L)、又はメチオニン(M)、
X5は、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)又はイソロイシン(I)、
X6は、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、アラニン(A)又はシステイン(C)、
X7は、システイン(C)であり、
n及びmは、独立して0又は1であり、
好ましくは、SHTRLYF(C)、HMRLFFN(C)、SHQRLWF(C)、HQKMIFA(C)、HMRMYFE(C)、THQRLWF(C)又はHQKMIF(C)である。)
を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
該ペプチドが、アミノ酸配列AIPLFVM(C)、KLPLFVM(C)、QLPLFVL(C)又はNDAKIVF(C)を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
化合物がポリペプチドであり、4ないし30残基のアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
化合物が医薬的に許容され、好ましくはKLH(キーホールリンペットヘモシアニン)である担体に結合していることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
化合物が、皮下、皮内又は筋肉内投与用に製剤化されていることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
化合物が、好ましくは水酸化アルミニウムであるアジュバントとともに製剤されていることにより特徴づけられる請求項1ないし13のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
化合物が薬剤中に、0.1ngないし10mg、好ましくは10ngないし1mg、特に100ngないし10μg含まれることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
パーキンソン病の運動症状が、静止時振戦、動作緩慢、硬直、姿勢の不安定、前屈姿勢、ジストニア、倦怠感、細かい動きの機敏さ及び運動協調性の障害、粗大運動協調性の障害、動きの欠如(腕の振りの減少)、静座不能、会話障害、顔の表情の欠如、小字症、嚥下困難、性機能障害及び涎からなる群から選択されることを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
パーキンソン病の運動症状を治療、予防及び/又は緩和するための薬剤の製造のための、請求項1ないし12のいずれかに記載の化合物の使用。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13−A】
【図13−B】
【図13−C】
【図14−A】
【図14−B】
【図14−C】
【図15−A】
【図15−B】
【図15−C】
【図16−A】
【図16−B】
【図16−C】
【図17−A】
【図17−B】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
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【図26】
【図27−A】
【図27−B】
【図27−C】
【図28−A】
【図28−B】
【図28−C】
【図28−D】
【図3】
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【図14−C】
【図15−A】
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【図15−C】
【図16−A】
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【図17−A】
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【図18】
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【図23】
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【図25】
【図26】
【図27−A】
【図27−B】
【図27−C】
【図28−A】
【図28−B】
【図28−C】
【図28−D】
【公表番号】特表2011−522842(P2011−522842A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512782(P2011−512782)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/AT2009/000237
【国際公開番号】WO2009/149487
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(506083604)アフィリス・アクチェンゲゼルシャフト (12)
【氏名又は名称原語表記】AFFIRIS AG
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/AT2009/000237
【国際公開番号】WO2009/149487
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(506083604)アフィリス・アクチェンゲゼルシャフト (12)
【氏名又は名称原語表記】AFFIRIS AG
【Fターム(参考)】
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