説明

パーツフィーダの駆動装置

【課題】立体的な配置に適したパーツフィーダを提供すること。
【解決手段】振動源が取り付けられた板ばねの生成する振動を用いてパーツを搬送するパーツフィーダの駆動装置であり、互いに平行に配された複数の平板状ばね201の各一端は駆動装置の本体に固定され各他端は相互に固定された自由端をなし、平板状ばねが水平に配された一対の水平平行ばね200と、対向配置された一対の垂直部101とこれら垂直部の各一端間を繋ぐ水平部110とによりコ字状に形成され、垂直部の各他端が水平平行ばねの自由端にそれぞれ固定されたコ字状ばね100とを備える。そして、水平平行ばねおよびコ字状ばねに設けられた振動源102,202が発生する振動により、コ字状ばねの水平部に垂直面内での楕円運動を起こさせる。この構成を、上下反転させてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小寸法の粒状物体を振動させつつ連続的に搬送するパーツフィーダに係わり、とくにその振動による駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粒状物体、例えばチップ型電子部品、マイクロマシンの部品および薬剤カプセルなどを取り扱う際、これらをワークとして連続的に搬送するには超音波等の振動を利用したいわゆるパーツフィーダが用いられる。
【0003】
このパーツフィーダでは、振動子の振動に基づく垂直面内での楕円振動を駆動力としてワークに伝達し、所定方向に直進進行させることにより搬送を行なう。
【0004】
この駆動力を形成するために、駆動源として板ばねに圧電セラミック板を固定したものが用いられる(特許文献1参照)。この場合、圧電セラミック板を固定した板ばねは、床面に設置されたベース上に設けられており、搬送設備は床面に平面的に展開することになる。
【0005】
また、水平加振用電磁石および水平加振用電磁石を用いて楕円振動を起こす機構によるフィーダが提案されている(特許文献2参照)。すなわち、楕円振動の水平成分および垂直成分の2成分を各別に発生し、これら2成分の振幅と位相差とにより任意の楕円振動を生成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許3558584号明細書
【特許文献2】特開平11-180525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここにおいて、パーツフィーダの設置対象である機器の組立工場では、立体物を組み立てることが多く、その場合、部品を供給するパーツフィーダを、平面的に配置したのでは不具合であり、立体的に配置することが望ましい。
【0008】
しかしながら、従来のパーツフィーダは、平面的展開を前提にした構造であり、立体的に配置するに適した構成となっていない。
【0009】
本発明は上述の点を考慮してなされたもので、立体的な配置に適したパーツフィーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的達成のため、本発明では、
振動源が取り付けられた板ばねの生成する振動を用いてパーツを搬送するパーツフィーダの駆動装置において、
互いに平行に配された複数の平板状ばねにより構成され、前記平板状ばねの各一端は前記駆動装置の本体に固定され各他端は相互に固定された自由端をなし、前記平板状ばねが水平に配された一対の水平平行ばねと、
対向配置された一対の垂直部とこれら垂直部の各一端間を繋ぐ水平部とによりコ字状に形成され、前記垂直部の各他端が前記一対の水平平行ばねにおける前記自由端にそれぞれ固定されたコ字状ばねとをそなえ、
前記水平平行ばねおよび前記コ字状ばねに設けられた振動源が発生する振動により前記コ字状ばねの前記水平部に垂直面内での楕円運動を起こさせるパーツフィーダの駆動装置、
および
振動源が取り付けられた板ばねの生成する振動を用いてパーツを搬送するパーツフィーダの駆動装置において、
対向配置された一対の垂直部、および前記垂直部の各一端間を繋ぐ水平部によりコ字状に形成され、前記垂直部の各他端が前記一対の水平平行ばねにおける前記自由端にそれぞれ固定され前記水平部が前記駆動装置の本体に固定されたコ字状ばねと、
互いに平行に配された複数の平板状ばねにより構成され、前記平板状ばねの各一端は前記駆動装置の搬送路に連結され各他端は相互に固定された自由端をなし、前記平板状ばねが水平に配された一対の水平平行ばねとをそなえ、
前記水平平行ばねおよび前記コ字状ばねに設けられた振動源が発生する振動により前記搬送路に垂直面内での楕円運動を起こさせるパーツフィーダの駆動装置、
を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述のように、水平平行ばねにコ字状ばねを組み合わせた構造であるため、これら両者の組み合わせ方を選ぶことにより設置対象が限定されることなく水平な床面および垂直壁面を含む種々の場所に設置し得るパーツフィーダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例の構成を示す説明図であり、図1(a)は駆動源単体の構造を示す斜視図、図1(b)は駆動源を搬送路に組み付けた状態を示す斜視図。
【図2】本発明の他の実施例の構成を示す説明図であり、図1(a)は駆動源単体の構造を示す斜視図、図1(b)は駆動源を搬送路に組み付けた状態を示す斜視図。
【図3】本発明のさらに他の実施例の構成を示す斜視図。
【図4】本発明のなおも他の実施例の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0014】
図1(a),(b)は、本発明の第1の実施例の構成を示しており、垂直な壁面に取り付けるように構成されたもので、図1(a)は振動装置単体を示し、図1(b)は振動装置に搬送路を組み付けた状態を示している。
【0015】
この実施例では、中央にあるコ字状ばね100の両端を、壁面に固着された水平平行ばね200の自由端に固定した構成としている。コ字状ばね100は、細長い板ばねを、側面形状がコ字状をなすように2個所で直角に折り曲げて形成したものであり、水平部110の両端に垂直部101が配され、各垂直部101の表裏両面には圧電セラミック板102が接着等により固着されている。
【0016】
一方、水平平行ばね200は、コ字状ばね100の各端を支持するように1つのコ字状ばねにつき2個設けられる。水平平行ばね200は、水平平行ばね1つにつき2枚の同寸法の板ばね201により構成され、その表裏各面に超音波振動源としての圧電セラミック板202が接着されている。そして、水平平行ばね200は、水平平行ばね200の長手方向が水平方向になるような姿勢で各一端が垂直の壁面に固定され、自由端である各他端は相互間が結合ブロック203によって接着等により固定されている。
【0017】
また、2つの水平平行ばね200の間に配されるコ字状ばね110は、その各端部がそれぞれ水平平行ばね200の自由端に垂直部101が垂直になるように接着等により固定される。これにより、コ字状ばねの水平部110は水平に配される。
【0018】
全体的に見ると、この実施例では、コ字状ばね100の水平部110および水平平行ばね200の板ばね201が水平に、またコ字状ばね100の垂直部101が垂直に配される。そして、コ字状ばね100の水平部110が垂直部101を介して水平平行ばね200の自由端間を結んでおり、平面的に見ると、壁面に対してコ字状をなした状態で差し込まれて固定されている。図1(b)は、この実施例に搬送路300を組み付けた状態を示している。
【0019】
このように構成されたことにより、圧電セラミック板102,202に所定の電圧を印加すると、その屈伸運動によってコ字状ばね100では水平方向(水平部110の長手方向)に沿う振動(水平成分)が形成され、水平平行ばね200では垂直方向(コ字状ばね100で云えば垂直部101の長手方向)に沿う振動(垂直成分)が形成される。
【0020】
これら水平成分と垂直成分とを組み合わせると、壁面に向かい合う方向から見たときに楕円形状に見える合成振動「Me」、つまりコ字状ばね100を含む垂直面内での楕円運動が生成される。
【0021】
ここで、水平平行ばね200は、複数の板ばね201が自由端に配された結合ブロック203により規制されて平行配置されているため、板ばね201の1枚ずつに振動が生じても、水平平行ばね200の全体的運動としては、両板ばね201の屈伸運動が合成された垂直方向の振動となる。
【0022】
したがって、水平平行ばね200は、コ字状ばね100に対して垂直方向の振動を供給する。そしてコ字状ばね100は、水平平行ばね200から受け取った運動に自身が形成する振動を付加した振動、つまり垂直面内における楕円形状の合成振動「Me」を生成する。
【0023】
この楕円形状の振動「Me」は、図1の場合、壁面に向かって左、右何れかの向きに選択的に形成できる。そこで、ワークの搬送方向に応じて振動の向きを設定すればよい。そのために、圧電セラミック板102,202に与える電圧の大きさおよび位相を適宜選択する。
【実施例2】
【0024】
図2(a),(b)は、本発明の第2の実施例の構造を示したもので、この実施例は対向する2つの壁面間に取り付けるのに適した構造を持つものである。そのような設置条件に適するように、図2(a)に示すように、コ字状ばね100と水平平行ばね200とは一直線上に並ぶように配されている。
【0025】
すなわち、平面的に見てコ字状ばねの水平部110の長手方向と水平平行ばね200の長手方向とが一致するように、コ字状ばね100の端部を水平平行ばね200の自由端に固定する。これにより、側面から見たとき、コ字状ばね100を水平平行ばね200の間に挟んだクランク形状となる。図2(b)は、この実施例2に搬送路300を組み付けた状態を示している。
【0026】
そして、この実施例2に所定の電圧を与えることにより図1の実施例と同様に合成振動「Me」が形成される。
【実施例3】
【0027】
図3は、本発明の第3の実施例を示したもので、いわば第1の実施例(図1)と第2の実施例(図2)との中間的構成を持つものである。この実施例では、コ字状ばね100を支持する水平平行ばね200が、壁面およびコ字状ばね100に対して水平面内で角度θをなすように斜めに取り付けられている。
【0028】
この角度θが0度であると実施例1に該当し、90度であると実施例2に該当する。つまり、この角度θを任意に選ぶことにより、対象壁面が平面であっても対向面であっても対応できるし、任意のある角度、例えば直角をなす2つの面であっても対応することができる。
【実施例4】
【0029】
図4は、図2に示した実施例2を水平な床面に取付けるように変更した第4の実施例を示している。この実施例では、取付面が実施例2における垂直壁面と異なり、水平な床面である。
【0030】
そのために、実施例2の上下関係を反転した上で、実施例2における水平部110に相当する水平部材120を床面取付に用い、コ字状ばね100の各上端に水平平行ばね200の各一端を固定し、各他端を保持ブロック220に固定する。この保持ブロック220は、支持部材310を介して搬送路300(図示せず)を支持する。
【0031】
この構成により、支持部材310は、垂直面内での楕円運動Meを行ない、搬送路上のワークを搬送する。
【変形例】
【0032】
上記各実施例における振動源は、板ばねに圧電セラミック板を組み合わせたものを用いているが、他に静電式または電磁式の振動源を用いることもできる。
【符号の説明】
【0033】
100 コ字状ばね、101 垂直部、102 圧電セラミック板、
110 水平部、120 水平部材、200 水平平行ばね、201 板ばね、
202 圧電セラミック板、203 結合ブロック、300 搬送路、
310 支持部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動源が取り付けられた板ばねの生成する振動を用いてパーツを搬送するパーツフィーダの駆動装置において、
互いに平行に配された複数の平板状ばねにより構成され、前記平板状ばねの各一端は前記駆動装置の本体に固定され各他端は相互に固定された自由端をなし、前記平板状ばねが水平に配された一対の水平平行ばねと、
対向配置された一対の垂直部、およびこれら垂直部の各一端間を繋ぐ水平部によりコ字状に形成され、前記垂直部の各他端が前記一対の水平平行ばねにおける前記自由端にそれぞれ固定されたコ字状ばねとをそなえ、
前記水平平行ばねおよび前記コ字状ばねに設けられた振動源が発生する振動により前記コ字状ばねの前記水平部に垂直面内での楕円運動を起こさせるパーツフィーダの駆動装置。
【請求項2】
振動源が取り付けられた板ばねの生成する振動を用いてパーツを搬送するパーツフィーダの駆動装置において、
対向配置された一対の垂直部、および前記垂直部の各一端間を繋ぐ水平部によりコ字状に形成され、前記垂直部の各他端が前記一対の水平平行ばねにおける前記自由端にそれぞれ固定され前記水平部が前記駆動装置の本体に固定されたコ字状ばねと、
互いに平行に配された複数の平板状ばねにより構成され、前記平板状ばねの各一端は前記駆動装置の搬送路に連結され各他端は相互に固定された自由端をなし、前記平板状ばねが水平に配された一対の水平平行ばねとをそなえ、
前記水平平行ばねおよび前記コ字状ばねに設けられた振動源が発生する振動により前記搬送路に垂直面内での楕円運動を起こさせるパーツフィーダの駆動装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のパーツフィーダの駆動装置において、
前記水平平行ばねは、前記コ字状ばねに対して平面的に見て直角をなすように固定されたことを特徴とするパーツフィーダの駆動装置。
【請求項4】
請求項1または2記載のパーツフィーダの駆動装置において、
前記水平平行ばねは、前記コ字状ばねに対して平面的に見て直線をなすように固定されたことを特徴とするパーツフィーダの駆動装置。
【請求項5】
請求項1または2記載のパーツフィーダの駆動装置において、
前記水平平行ばねは、前記コ字状ばねに対して平面的に見て直角未満の任意角度をなすように斜めに固定されたことを特徴とするパーツフィーダの駆動装置。
【請求項6】
請求項1または2記載のパーツフィーダの駆動装置において、
前記圧電振動子は、前記ばねの端部寄りに固定されたことを特徴とするパーツフィーダの駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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