説明

ヒアルロン酸又はその薬学的に許容される塩を含む保存組成物及び関連する方法

本発明はカチオン性保存剤によって保存されるヒアルロン酸(HA)又はその薬学的に許容可能な塩の組成物、及び関連する方法を提供する。一実施形態では、前記薬学的に許容可能な塩はヒアルロン酸ナトリウムである。別の実施形態では、前記カチオン性保存剤は塩化ベンザルコニウム(BAK)を含む。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は一般的にヒアルロン酸(HA)又はその生理学的に許容される塩を含む保存組成物に関し、より具体的には塩化ベンザルコニウム(BAK)などのカチオン性保存剤とともに保存されたHA組成物に関する。
【0002】
〔背景技術〕
ヒアルロン酸(HA)は、硝子体液を含む種々の生理的流体に見出されるムコ多糖類である。その保水能力のため、HAは眼科用、耳用、鼻用の組成物などのヘルスケア用及び医薬用組成物に潤滑剤又は湿潤剤として好んで用いられる。
【0003】
個人に投薬される組成物内の微生物増殖に起因する感染の可能性を軽減するために、そのような組成物は典型的に抗菌性保存剤を含む。ひとつの特に有効な抗菌性保存剤は塩化ベンザルコニウム(BAK)である。しかしながら、HAとBAKのようなカチオン性保存剤は相溶性がなく、接合や沈殿を生じることが観察されており、それにより組成物の潤滑特性と保存特性の両方が低減される。一方、時々はそのような特性の喪失は一方又は両方の化合物の濃度を増大させることにより克服されるが、高濃度のBAKは角膜疾患を引き起こすと考えられている。
【0004】
同様な沈殿はBAKとラタノプロストの間でも指摘されている。アサダ(Asada)らの米国特許出願公開第20060069162号は、そのような沈殿を防止するいくつかの方法を開示している。これらは、界面活性剤の添加、特定の種類のBAK(すなわち[CCHN(CH)R]Cl、ここでRは炭素12個を有するアルキル基(BAK−C12))の使用、及び/又は非イオン性等張剤の添加を含む。しかしながら、そのような方法は、組成物に対して付加的な構成要素の包含を要し、複雑性、費用、及び有害な相互作用の可能性を増大させ、かつ/又は、ひとつの構成要素を精製されたより高価な種類に限定するために許容できない。
【0005】
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
この点で、従来技術で知られている欠点を蒙らない、HAを含む保存組成物に対する必要性が存在する。
【0006】
〔課題を解決するための手段〕
本発明はカチオン性保存剤によって保存されたヒアルロン酸(HA)又はその薬学的に許容可能な塩を含む組成物を提供する。一実施形態では、前記薬学的に許容可能な塩はヒアルロン酸ナトリウムである。別の実施形態では、カチオン性保存剤は塩化ベンザルコニウム(BAK)を含む。
【0007】
本発明の第一の態様は、保存ヒアルロン酸組成物を調製する方法を提供し、前記方法は:第一量の溶媒にカチオン性保存剤を溶解すること、ある量のヒアルロン酸(HA)又はその生理学的に許容される塩を第二量の溶媒に溶解すること、及び溶解されたヒアルロン酸(HA)又はその生理学的に許容される塩を、溶解されたカチオン性保存剤に加えることにより成り、この場合には、混合前に各成分が前記第一及び第二量の溶媒に溶解されるために、カチオン性保存剤とヒアルロン酸(HA)又はその生理学的に許容される塩の沈殿は実質的に防止される。
【0008】
本発明の第二の態様は、保存ヒアルロン酸組成物を調製する方法を提供し、前記方法は、第一量の溶媒にカチオン性保存剤を溶解すること、ある量のヒアルロン酸(HA)又はその生理学的に許容される塩を第二量の前記溶媒に溶解すること、ある量のアニオン性セルロース誘導体を第三量の前記溶媒に溶解すること、溶解されたヒアルロン酸(HA)又はその生理学的に許容される塩を、溶解されたカチオン性保存剤に加えること、並びに、溶解されたアニオン性セルロース誘導体を、溶解されたヒアルロン酸(HA)又はその生理学的に許容される塩、溶解されたカチオン性保存剤、及び溶解されたヒアルロン酸(HA)又はその生理学的に許容される塩と溶解されたカチオン性保存剤の混合物のうちの少なくとも一つに加えることを含み、この場合には、各成分が混合前に前記第一及び第二量の溶媒に溶解されるために、カチオン性保存剤とヒアルロン酸(HA)又はその生理学的に許容される塩の沈殿は実質的に防止される。
【0009】
本発明の第三の態様は、溶媒、ヒアルロン酸(HA)又はその生理学的に許容される塩、及び[CCHN(CH)R]Cl(ここでRは8個〜10個の間の炭素原子、又は14個〜18個の間の炭素原子のうちの少なくとも一方を有するアルキル基である)の式を有する塩化ベンザルコニウム(BAK)を含むカチオン性保存剤の有効量より成る水性保存組成物を提供し、この場合には前記組成物はカチオン性保存剤及びヒアルロン酸(HA)又はその生理学的に許容される塩の沈殿物を実質的に含まない。
【0010】
本発明の前記例示的な態様は、ここに記載された問題点と、当業者により発見され得る、議論されていない他の問題点を解決するために設計されている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述したように、本発明は、塩化ベンザルコニウム(BAK)のようなカチオン性保存剤によって保存されるヒアルロン酸(HA)組成物とその調製法を提供する。
【0012】
本明細書において使われる「comprising」(及びその文法的変化物)は、「having」又は「including」を包括する意味で用いられ、「consisting only of」の排他的な意味では使われない。本明細書で使用される「a」及び「the」は単数のほかに複数も包含すると理解される。
【0013】
参照により特許又は特許出願が本明細書に包含されるが、包含された文書と本開示の不一致が存在する場合には、本開示が優先される。
【0014】
驚くべきことに、HA及びBAKの別個の溶液を調製後にそれらを混合することにより、HAとBAKのようなカチオン性保存剤の接合及び/又は沈殿が防止又は最小化されることが見出された。
【0015】
より具体的には、HA及びBAKそれ自体の前希釈が、HA−BAKの接合及び沈殿が軽減された混合組成物を生じる一方、特定の比率の溶媒へのHA及びBAKの前希釈が、HA−BAKの接合及び沈殿のほとんど無い、又は全く無い混合組成物を生じる。一実施形態では、HA又はその薬学的に許容される塩を最終組成物に所望される総量の約1/3に等しい量の溶媒に溶解し、BAKのようなカチオン性保存剤を最終組成物に所望される量の約2/3に等しい量の溶媒に溶解する。つまり、BAKの溶解に使用される溶媒量はHAの溶解に使用される量の約2倍となる。
【0016】
例えば、300mLの本発明に準じたHA保存組成物を調製したい場合には、HA又はその薬学的に許容される塩(ヒアルロン酸ナトリウムのような)を約100mLの溶媒に溶解し、BAK及び/又は別のカチオン性保存剤を約200mLの溶媒に溶解できる。HA及びBAKがそれらの各々の量の溶媒に溶解された時点で、前記溶液が混合され、HA−BAKの接合又は沈殿のほとんど無い、又は全く無いBAK保存組成物を生成する。
【0017】
HA及びBAKを溶解するのに用いられる溶媒量の比率を約2:1と上述したが、この比率は単に好適な比率である。効果的な組成物は約1.8:1〜2.2:1の間の比率により調製できる。
【0018】
本発明に準じた組成物は、その投与に対する適合性を前提として何種類の溶媒を用いても調製できる。眼科用、鼻用、耳用の組成物のための溶媒は一般的には水性であり、水単独又は水と一つ以上の他の溶媒との混合物である。眼科用、鼻用、耳用の組成物のための好適な溶媒は、例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)、及びプロピレングリコールを含む。
【0019】
本発明の実施のためには、いずれの種類のBAK又はその組み合わせも用いることができる。通常BAKは[CCHN(CH)R]Cl(ここでRは炭素原子数8〜18の間のアルキル基)の化学式で定義される。
【0020】
カチオン性保存剤としてBAKが使用される場合には、本発明に準じた組成物は所望により約0.001%〜約0.02%の間のBAKを含むか、又は所望により約0.002%から約0.01%の間のBAKを含むか、又は所望により約0.003%〜約0.005%の間のBAKを含むか、又は所望により約0.005%のBAKを含む。そのような濃度のBAKは、市販品として入手可能なBAK溶液を希釈することにより得ることができ、いかなる濃度のBAK溶液も入手可能である。ほとんどの市販品として入手可能なBAK溶液は、約5%〜約50%のBAKを含む。特定の実施形態では前記BAK溶液は約10%〜約30%の間のBAKを含むか、又は所望により約15%〜約19%の間のBAKを含むか、又は所望により約17%のBAKを含む。より詳細なBAKに関する議論は、米国特許出願公開第20060069162号に見出すことができ、参照によりその全体が本願に包含される。
【0021】
同様に、本発明の実施にあたっては、どのような種類のHA又はその組み合わせを用いることができる。特定の実施形態では、前記HAは約500,000ダルトン〜約4,000,000ダルトン(8.303×10−19〜6.642×−18g)の間の分子量を有するか、又は所望により約1,000,000ダルトン〜約2,000,000ダルトン(1.661×10−18〜3.321×−18g)の間の分子量を有するか、又は所望により約1,200,000ダルトン〜約1,800,000ダルトン(1.993×10−18〜2.989×−18g)の間の分子量を有する。本発明の特定の実施形態は、約0.1%〜約0.5%の間のHAを含むか、又は所望により約0.2%〜約0.4%の間のHAを含むか、又は所望により約0.2%のHAを含む。より詳細なHAに関する議論は、米国特許出願公開第20060094643号;米国特許第3,396,081号;同第3,862,003号;同第4,141,973号;同第4,517,296号;同第4,851,521号;同第4,965,353号;同第5,202,431号;同第5,316,926号;同第6,090,596号;及び同第6,339,074号,に見出すことができ、参照によりその各々の全体が本願に包含される。
【0022】
HA及びBAKの溶液が混ぜ合わされた時点で、少量のHA−BAKの沈殿物又は組成物の清澄性に影響する他の薬剤物質を除去するため、組成物を所望により濾過することができる。特定の実施形態では、前記本発明の組成物は、濾過前に440nmにおいて約93%〜約98%の透過率を有し、濾過後に440nmにおいて約95%〜約100%の透過率を有する。本発明の実施には、薬学的組成物に使用するのに適する任意の濾過方法を使用することができる。
【0023】
単独又はBAKと組み合わせて使用できる代替的なカチオン性保存剤は、ポリ[ジメチルアミノ−w−ブテン−1,4−ジイル]クロライド、アルファ−[4−トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム]−ジクロライド(ポリクオタニウム(Polyquaternium)1(登録商標))、ポリ(オキシエチル(ジメチルイミニオ)エチレンジメチルイミニオ)エチレンジクロライド(WSCP(登録商標))、BAK以外のハロゲン化ベンザルコニウム、アレキシジン塩、アレキシジン−遊離塩基、クロルヘキシジン塩、ヘキセジチン、アルキルアミン類、アルキルイミン類、アルキルジアミン、アルキルトリアミン、オクテニジン(N,N’−(1,10−デカンジイルジ−1−(4H)−ピリジニル−4−イリデンビス−[1−オクタンアミン]二塩酸塩、塩化セチルピリジニウム、セチルピリジニウム塩、抗菌性ポリペプチド又は前記物質の混合物を含むが、これに限定されるものではない。
【0024】
本発明に準じた組成物は、眼科用、鼻用、及び耳用の組成物によく使用される付加的な構成要素を含むことができる。そのような付加的な構成要素は、例えば、セルロース誘導体、薬剤(例えば抗菌剤、抗真菌剤など)、及び緩衝液剤(例えば、リン酸緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤など)を含む。本発明に準じた組成物は、その組成物の投与法及び投与部位に応じて、他の構成要素を含むことができる。そのような構成要素のより詳細な議論は、米国特許出願公開第2007036829号に見出され、参照によりその全体が本願に包含される。
【0025】
眼科用、鼻用、及び耳用の組成物に有用な共通した種類の付加的構成要素は、アニオン性セルロース誘導体である。これらは、アルキル基が1〜3個の炭素原子を含むカルボキシアルキルセルロース及びヒドロキシアルキルセルロースと定義できる。特定の実施形態では、前記アニオン性セルロース誘導体は、カルボキシメチルエチルセルロース、エチルカルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース金属塩(カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩のような)及び前記物質の混合物よりなるグループから選択される。特定の実施形態では、前記アニオン性セルロース誘導体は、カルボキシメチルセルロース金属塩である。一つ以上のアニオン性セルロース誘導体が用いられる場合には、それらは、カチオン性保存剤を含む画分に溶解することができ、その後にHA又はその薬学的に許容される塩を含む画分と混合される。特定の実施形態では、用いられる前記アニオン性セルロース誘導体は、約70,000ダルトン〜約700,000ダルトン(1.162×10−19〜1.162×−18g)の分子量範囲を有する。
【0026】
代替法として、溶媒の第三の画分をCMC溶解のために単独で用いることができ、次いでそれを溶解したHA、溶解したカチオン性保存剤、又はHA(又はその薬学的に許容される塩)及びカチオン性保存剤の混合画分と混合する。そのような実施形態では、前記溶媒画分は所望により約1:1:1の比率であることができる。例えば、もし300mLの本発明に準じた組成物を調製する場合、それぞれ約100mLの溶媒を前記HA(又はその薬学的に許容される塩)、前記カチオン性保存剤、及び前記CMCの溶解に使用するであろう。
【0027】
本発明に準じた組成物の調製を以下の実施例を参照して記載する。
【実施例】
【0028】
実施例1−二つの部分により調製されるヒアルロン酸ナトリウム、BAK、CMC組成物
1.100mLの水に対して0.4%の濃度になる量のヒアルロン酸ナトリウムを溶解させる。
2.200mLの水に対して0.005%の濃度になる量のBAKを溶解させる。
3.溶解したBAKに、0.5%の濃度になる量のCMCを加えて溶解させる。
4.溶解したヒアルロン酸ナトリウム溶液を溶解したBAK−CMC溶液に加える。
【0029】
実施例1の方法により、0.133%のヒアルロン酸ナトリウム、0.0033%のBAK、及び0.33%のCMCを含む水性組成物300mLが生成された。
【0030】
実施例2−三つの部分により調製されるヒアルロン酸ナトリウム、BAK、CMC組成物
1.100mLの水に対して0.6%の濃度になる量のヒアルロン酸ナトリウムを溶解させる。
2.100mLの水に対して1.5%の濃度になる量のCMCを溶解させる。
3.100mLの水に対して0.015%の濃度になる量のBAKを溶解させる。
4.溶解したヒアルロン酸ナトリウム溶液を、溶解したBAK溶液に加える。
5.溶解したCMC溶液をヒアルロン酸ナトリウム−BAK混合溶液に加える。
6.ヒアルロン酸ナトリウム−BAK−CMC混合溶液を濾過する。
【0031】
実施例2の方法により、0.2%のヒアルロン酸ナトリウム、0.005%のBAK、及び0.5%のCMCを含む水性組成物300mLが生成された。濾過された溶液は約100%の透過率を有していた。
【0032】
本発明の種々の態様に関する前述の記述は、例示と記載のために提示されている。これは網羅的であること、又は本発明を開示された形状に綿密に限定することを意図して行われたものではなく、明らかに多くの改良と変更が可能である。当業者にとって明白である場合もあるそのような改良と変更は、添付された請求項に画定された発明の範囲内に包含されることが意図されている。
【0033】
〔実施態様〕
(1) ヒアルロン酸の保存組成物の調製法であって、
好適には塩化ベンザルコニウム(BAK)であるカチオン性保存剤を第一量の溶媒に溶解すること、
ある量のヒアルロン酸(HA)又はその生理学的に許容可能な塩を第二量の前記溶媒に溶解すること、及び、
前記溶解したカチオン性保存剤に前記溶解したHA又はその生理学的に許容可能な塩を加えること、を含み、
前記カチオン性保存剤と前記HA又はその生理学的に許容可能な塩の沈殿が、各成分を混合する前に前記第一及び第二量の溶媒にそれぞれを溶解することにより実質的に防止される、ヒアルロン酸の保存組成物の調製法。
(2) 前記BAKが、[CCHN(CH)R]Cl(ここでRは炭素原子数8〜18の間のアルキル基)の化学式を有する、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記BAKが、溶液の形態である、実施態様1又は2に記載の方法。
(4) 前記溶液が5%〜50%、好適には10%〜30%の濃度のBAKを含む、実施態様1〜3のいずれか一項に記載の方法。
(5) 前記HAは500,000ダルトン〜4,000,000ダルトン(8.303×10−19〜6.642×−18g)の間の分子量を、好適には1,000,000ダルトン〜2,000,000ダルトン(1.661×10−18〜3.321×−18g)の間の分子量を有する、実施態様1〜4のいずれか一項に記載の方法。
(6) 前記溶媒が、更にグリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)及びプロピレングリコールのうちの少なくとも一つを含む、実施態様1〜5のいずれか一項に記載の方法。
(7) 前記第一量の前記溶媒と前記第二量の前記溶媒の比が1.8:1〜2.2:1の間、好適には2:1である、実施態様1〜6のいずれか一項に記載の方法。
(8) 混合された前記HA又はその生理学的に許容可能な塩とカチオン性保存剤の溶液を濾過することを更に含む、実施態様1〜7のいずれか一項に記載の方法。
(9) 濾過前の前記HA又はその生理学的に許容可能な塩とカチオン性保存剤の溶液の440nmにおける透過率が93%〜98%の間である、実施態様1〜8のいずれか一項に記載の方法。
(10) 濾過後の混合された前記HA又はその生理学的に許容可能な塩とカチオン性保存剤の溶液の440nmにおける透過率が95%〜100%の間である、実施態様1〜9のいずれか一項に記載の方法。
(11) 前記組成物が、0.1%〜0.5%の濃度の沈殿していないHAを有する、実施態様1〜10のいずれか一項に記載の方法。
(12) 実施態様1〜11のいずれか一項に記載の方法に従って調製される組成物。
(13) 溶媒、
ヒアルロン酸(HA)又はその生理学的に許容可能な塩、及び、
[CCHN(CH)R]Cl(ここでRは8〜10及び14〜18の間の炭素原子のうち少なくとも一方を有するアルキル基)の式を有する塩化ベンザルコニウム(BAK)を含む、有効量のカチオン性保存剤、を含み、
前記カチオン性保存剤及び前記ヒアルロン酸(HA)又はその生理学的に許容可能な塩の沈殿を実質的に含まない、水性保存組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒアルロン酸の保存組成物の調製法であって、
好適には塩化ベンザルコニウム(BAK)であるカチオン性保存剤を第一量の溶媒に溶解すること、
ある量のヒアルロン酸(HA)又はその生理学的に許容可能な塩を第二量の前記溶媒に溶解すること、及び、
前記溶解したカチオン性保存剤に前記溶解したHA又はその生理学的に許容可能な塩を加えること、を含み、
前記カチオン性保存剤と前記HA又はその生理学的に許容可能な塩の沈殿が、各成分を混合する前に前記第一及び第二量の溶媒にそれぞれを溶解することにより実質的に防止される、ヒアルロン酸の保存組成物の調製法。
【請求項2】
前記BAKが、[CCHN(CH)R]Cl(ここでRは炭素原子数8〜18の間のアルキル基)の化学式を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記BAKが、溶液の形態である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶液が5%〜50%、好適には10%〜30%の濃度のBAKを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記HAは500,000ダルトン〜4,000,000ダルトン(8.303×10−19〜6.642×−18g)の間の分子量を、好適には1,000,000ダルトン〜2,000,000ダルトン(1.661×10−18〜3.321×−18g)の間の分子量を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記溶媒が、更にグリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)及びプロピレングリコールのうちの少なくとも一つを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第一量の前記溶媒と前記第二量の前記溶媒の比が1.8:1〜2.2:1の間、好適には2:1である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
混合された前記HA又はその生理学的に許容可能な塩とカチオン性保存剤の溶液を濾過することを更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
濾過前の前記HA又はその生理学的に許容可能な塩とカチオン性保存剤の溶液の440nmにおける透過率が93%〜98%の間である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
濾過後の混合された前記HA又はその生理学的に許容可能な塩とカチオン性保存剤の溶液の440nmにおける透過率が95%〜100%の間である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、0.1%〜0.5%の濃度の沈殿していないHAを有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法に従って調製される組成物。
【請求項13】
溶媒、
ヒアルロン酸(HA)又はその生理学的に許容可能な塩、及び、
[CCHN(CH)R]Cl(ここでRは8〜10及び14〜18の間の炭素原子のうち少なくとも一方を有するアルキル基)の式を有する塩化ベンザルコニウム(BAK)を含む、有効量のカチオン性保存剤、を含み、
前記カチオン性保存剤及び前記ヒアルロン酸(HA)又はその生理学的に許容可能な塩の沈殿を実質的に含まない、水性保存組成物。

【公表番号】特表2010−527363(P2010−527363A)
【公表日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508487(P2010−508487)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/062140
【国際公開番号】WO2008/144185
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(506105814)マクニール−ピーピーシー・インコーポレーテツド (69)
【Fターム(参考)】