説明

ヒトまたは動物の身体用のサンプリングおよび試験デバイス

生体サンプル中の1つまたは複数の生物学的実体の有無を示すように構成されたデバイス(1)が提供される。デバイスは、ヒトまたは動物の身体の一部に調整可能に合わすことのできる可撓性の材料を含み、少なくとも一部が吸収性であり、身体から直接生体サンプルを受け取るように構成されるサンプリング部(11)と、サンプリング部に流体係合し、1つまたは複数の試験ゾーン(14)を備える試験部(12)とを備える。サンプリング部および試験部は、サンプリング部によって受け取られたサンプルの少なくとも一部を、1つまたは複数の試験ゾーンに接触するように試験部に送ることができるように構成され、各試験ゾーンは、サンプル中の1つまたは複数の生物学的実体の有無を示すように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、内容が参照により本明細書に組み込まれている、2010年1月28日に出願したオーストラリア仮出願第2010900329号、2010年2月11日に出願したオーストラリア仮出願第2010900557号、および2010年5月18日に出願したオーストラリア仮出願第2010902158号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、ヒトまたは動物の身体内の生物学的実体の有無を判定するデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
免疫クロマトグラフィは、生体サンプル内の抗原(通常は生体タンパク質)の有無を試験するのに使用される確立した試験方法である。サンプルは、横流試験デバイス(lateral flow test device)に供給され、特定の抗原に特有の標識化された可溶性の抗体を含む標識保持物質中を毛管作用によって流れる。その抗原がサンプル中に存在する場合、抗原−抗体(標識化された)複合体が形成され、引き続き毛管作用によってデバイス内を試験部位まで浸透し、試験部位に付着している第2の抗体に捕捉される。これによって、試験部位において捕捉された抗原−抗体(標識化された)複合体の密度が高くなり、サンプル中に抗原が存在することを示す可視マーク(通常は線)が試験部位上に得られる。
【0004】
横流試験(lateral flow test)を実施する前に、試験サンプルを取得しなければならない。これは、特に流体サンプルが鼻汁を含み、たとえば体腔に異物を挿入してサンプルを取得する必要がある場合に侵襲的なプロセスであることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願第1582598号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
鼻汁(たとえば、粘液)を取得するには、通常「鼻孔吸引」が実施され、細いプラスチック製チューブを鼻に通し、鼻の内部から鼻汁を吸引する。あるいは、鼻を介して鼻咽頭に「Qチップ」すなわち「綿棒」を挿入して鼻汁の小さいサンプルとともに引き抜く。これらの方法は、現在、試験用の鼻汁をサンプリングする際に広く実施されているが、鼻咽頭粘膜が外傷を受け、場合によっては鼻の最上部を形成する篩板が損傷して脳から分離することを含め、危険性がないわけではない。また、これらの試験方法の精度は、質の高いサンプルの獲得、したがってサンプルを取得する人の技能に依存する度合いが高い。その結果、これらの方法は、訓練を受けた医療従事者によって実施され、関連するデバイスは必ずしも大衆向けに市販されてはいない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に含まれている文献、行為、材料、デバイス、論文などについての記載は、これらの事項のいずれかまたはすべてが、本出願の各請求の優先日よりも前に存在していたために先行技術の基礎の一部を形成するかあるいは本発明に関連する分野において一般的な知見であったとみなされるものではない。
【0008】
本明細書全体にわたって、用語「備える(comprise)」または「comprises」もしくは「comprising」のようなその変化形は、述べられた要素、整数(integer)、もしくはステップ、または一群の要素、整数、もしくはステップが含まれるが、他の要素、整数、もしくはステップ、または一群の要素、整数、もしくはステップは除外されないことを意味するものと理解される。
【0009】
第1の態様によれば、本発明は、
ヒトまたは動物の身体の一部に調整可能に合わすことのできる可撓性の材料を含み、身体から直接生体サンプルを受け取るサンプリング部と、
サンプリング部に流体係合し(fluid engagement)、1つまたは複数の試験ゾーンを備える試験部と、を備え、サンプリング部および試験部が、サンプリング部によって受け取られたサンプルの少なくとも一部を、1つまたは複数の試験ゾーンに接触するように試験部に送ることができるように構成され、各試験ゾーンが、サンプル中の1つまたは複数の生物学的実体の有無を示すように構成されるデバイスを提供する。
第2の態様によれば、本発明は、ヒトまたは動物の身体の一部に調整可能に合わすことのできる可撓性の材料を含み、身体から直接生体サンプルを受け取るサンプリング部と、サンプリング部に流体係合し、1つまたは複数の試験ゾーンを備える試験部と、を備え、サンプリング部および試験部が、サンプリング部によって受け取られたサンプルの少なくとも一部を、1つまたは複数の試験ゾーンに接触するように試験部に送ることができるように構成され、各試験ゾーンが、サンプル中の1つまたは複数の生物学的実体の有無を示すように構成されるデバイスを使用してヒトまたは動物の身体内の生物学的実体の有無を判定する方法であって、
サンプリング部の可撓性材料をヒトまたは動物の身体の一部に合わせるステップと、
サンプリング部に生体サンプルを付着させるステップと、
1つまたは複数の試験ゾーンでの、サンプル中の1つまたは複数の生物学的実体の有無に対する反応を観察するステップと、
を含む方法を提供する。
【0010】
このデバイスおよび方法は、抗原のような1つまたは複数の特定の生物学的実体の有無を検出することができる。抗原は、A型インフルエンザ(H1N1ウイルス亜型を含む)、B型インフルエンザ、呼吸器系発疹ウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、コクサッキーウイルス、HIVウイルス、および/またはエンテロウイルスを含むがそれらに限らない一般的な呼吸器系ウイルスに存在してもよい。デバイスは、細菌、菌類、原虫、寄生蠕虫、マイコプラズマ、およびプリオンに存在する特定の生体抗原を検出してもよい。デバイスは、免疫グロブリン、ホルモン分子、炎症性タンパク質、または悪性タンパク質を含むがそれらに限らない、ヒトまたは動物の身体によって産生される特定のタンパク質を検出することもできる。デバイスは、複数の異なる試験ゾーンを備え、したがって、抗原のような様々な生物学的実体の有無を同時に試験することができる。
【0011】
このデバイスおよび方法は、横流免疫クロマトグラフィまたはその他の技術の既存の原理を使用して1つまたは複数の生物学的実体を識別するのを可能にすることができる。しかし、サンプリング部と試験部を単一のデバイス内で組み合わせることによって、デバイスは、このプロセスを実施する簡素で低コストの手段を実現することができる。サンプルを受け取る前にサンプリング部と試験部との間に流体係合が存在し、したがって、サンプルが付着すると、ユーザがサンプリング部と試験部を流体係合させるステップを実施する必要がなくなるように、サンプリング部と試験部をデバイス内で組み合わせてもよい。たとえば、ユーザは試験部を保持してサンプル部に流体係合させる必要はなくなる。試験部を保持してサンプル部に流体係合させる必要がある場合には試験手順が複雑になるか、あるいは試験手順が悪影響を受ける。本明細書では、サンプリング部と試験部が「流体係合する」ことの参照は、流体が制御可能に移動することができるこの2つの部分間の経路の存在を示すものである。たとえば試験の前に経路を遮断する解放タブのような取外し可能な遮断部材を設けてもよいと考えられる。しかし、そのような取外し可能な遮断部材を所定の位置に配置する場合でも、やはりサンプリング部と試験部は流体係合しているとみなすことができる。
【0012】
このデバイスおよび方法は、ヒトまたは動物の身体の一部に調整可能に合わせることが可能であり、少なくとも部分的に吸収性であってもよい、可撓性の材料を設けて身体から直接生体サンプルを受け取ることによって、サンプルを取得して試験する非侵襲的で快適で直感的で好都合な手段を実現することができる。サンプルをサンプリング部に付着させるのに別個の収集器具が必要とされない程度に、サンプリング部、または少なくともその吸収性部分を身体から直接サンプルを受け取るように構成してもよい。したがって、綿球などを使用してサンプルを収集する必要はない。ただし、この場合でも、ユーザがデバイスと一緒に別個の収集器具を使用することを選択するのであれば、必ずしも別個の収集器具が使用できなくなるわけではない。したがって、このデバイスおよび方法は、侵襲的なサンプリングに代わる安全で迅速で満足いくサンプリングを実現することができる。このデバイスおよび方法は、ヒトまたは動物内に生物学的実体が存在するかどうかをより早くかつより頻繁に試験するのを可能にすることができる。このデバイスおよび方法は、典型的な「鼻をかむこと」を含むがそれに限らない方法によってサンプリング部上に直接配置された生物学的実体に関して試験するのに使用されてもよい。このデバイスおよび方法は、複数の生物学的実体を一度に試験するのを可能にし、たとえば複数の生物を診断できる可能性を高めるか、あるいは単一の生物に様々な抗原が存在するかどうかを試験するのに使用されるときに診断感度を高めることもできる。
【0013】
生体サンプルは流体サンプルであってもよく、あるいは溶液、たとえば緩衝液のような液体の付着時に流体に転換される実質的に固体のサンプルであってもよい。この液体は、生体サンプルの担体として働いてもよい。この液体をサンプリング部に付着させて生体サンプルの流動性を高めることができる。これを実施すれば、サンプルが最初固体であるか流体であるかにかかわらず、試験部内の試験ゾーンへのサンプルの毛管移動を容易にするかあるいは改善することができる。液体は、サンプルを受け取る前にサンプリング部に付着させても、あるいはサンプルを受け取った後にサンプリング部に付着させてもよい。
【0014】
液体は様々な手段によってサンプリング部に付着させることができる。たとえば、液体は、ピペットなどの点滴器を使用して付着させてもよく、あるいは液体を含む圧搾可能なボトルから液滴を付着させてもよい。あるいは、液体をデバイスと一体的であってもよいリザーバ(reservoir)に供給してもよい。このリザーバは、液体を含み、破壊可能であり、かつ/あるいは液体を放出することができるように取外し可能な部分を有する密封されたリザーバであってもよい。たとえば、リザーバは、液体を含むカプセル、バブル、またはブリスタ、あるいは少なくとも1枚の薄い壁を有し、破壊または破裂して液体を放出することのできる容器の形をとってもよい。リザーバは、リザーバの破壊または破裂をより容易にする脆弱部を有してもよく、これは、放出された液体がデバイスの適切な部分に分散されるような所定の位置であってもよい。リザーバを破壊または破裂させるように作動可能であり、たとえば鋭いポイントを備えてもよい部材が設けられてもよい。リザーバはデバイスのサンプリング部に隣接するように設けられることが好ましい。しかし、リザーバは、デバイスの様々な異なる位置に設けられてもよい。
【0015】
サンプリング部の可撓性の材料は、身体の各部の様々な異なる形状に合わせるように自由にまたは繰り返し曲げられるかあるいは折り畳めるほど柔軟であってもよい。可撓性の材料は、外観および/または機能面で実質的に損傷を受けずに繰り返し曲げられるかあるいは折り畳むことが可能である。
【0016】
可撓性の材料は、鼻汁(たとえば、粘液)サンプルをサンプリング部に直接供給するのを可能にするように身体の鼻孔領域に合わせることが可能であってもよい。デバイスは、鼻をかむ行為を介してデバイスに直接供給される鼻汁サンプルを試験する手段を提供することができる。サンプリング部の可撓性の材料は、化粧紙またはハンカチとして働いてもよい。これに加えてあるいはこの代わりに、可撓性の材料は、身体の一部をこの可撓性の材料で拭くかあるいは可撓性の材料を軽く叩くように当てることによってサンプルを取得するのを可能にする拭取り繊維として働いてもよい。可撓性の材料は、身体の一部を拭くプロセス、身体の一部に軽く叩くように当てるプロセス、および/または鼻をかむプロセスの間の実質的な怪我または苦痛を防止するような柔らかい材料であってもよい。
【0017】
可撓性の材料は、鼻汁サンプルを試験するのに使用される際、たとえば鼻翼または鼻翼溝に隣接する接触部分から鼻の先端を横切って曲がるほど柔軟であってもよい。可撓性の材料は、糞便サンプルを試験するのに使用される際、たとえば臀裂に合った形状に曲がるほど柔軟であってもよい。しかし、一般に、可撓性の材料は、脚、腕、足、手、顔、頭、背中、胴、および/または生殖器などの一部のような身体の湾曲部または傾斜部に合わせられる材料であってよい。可撓性の材料は、1つまたは複数の、様々な異なる種類のサンプルを試験用に身体から直接受け取るように構成されてもよい。サンプルには、たとえば血液、血清、血漿、唾液、痰、尿、眼液、涙、精液、膣排泄物、鼻汁および鼻漏、耳排泄物、汗、粘液、糞便、および/または羊膜液、髄液、膿瘍液、創傷液、もしくは羊水を含めてもよい。
【0018】
一実施形態では、デバイスは特に、鼻、鼻咽喉、口腔、咽頭、および中咽頭の分泌物のような呼吸器系から得られるサンプルを試験するように構成されてもよい。このような分泌物には、鼻汁、咳またはくしゃみによる鼻漏、唾液、ならびに咽頭液および/または口腔咽頭液を含めてもよい。
【0019】
可撓性の材料は、サンプルの一部をサンプリング部から試験部に送る横流媒体(たとえば、毛管膜)として働くことのできる少なくとも部分的に吸収性の材料であってもよい。可撓性の材料は、1つまたは複数の材料層および/または詰め物層を含むかあるいはそのような層から成ってもよい。
【0020】
可撓性の材料は、たとえば紙材料を含んでもよく、かつ/あるいは吸収性パッドの形であってもよい。紙材料は、ティッシュまたは軽量紙または中量紙などであってよく、この紙は天然紙であっても合成紙であってもよい。可撓性の材料は、たとえば不織レーヨン織物または不織ガラス繊維織物を含んでもよい。可撓性の材料は、ポリマー材料、ならびに/あるいは木材パルプ、セルロース織物もしくはセルロース不織布、またはニトロセルロース織物のような繊維材料を含んでもよい。
【0021】
可撓性の材料は、たとえば布材料、たとえば織物材料または不織布材料を含んでもよい。布材料は、たとえば綿、羊毛、ポリエステル、またはアクリルを含んでもよい。
【0022】
この材料は、適切な身体部分に合わせられるほど柔軟であり、かつ試験中の身体に不快感を生じさせずに身体の一部を拭く機能、身体の一部に軽く叩くように当てる機能、または鼻をかむ機能を実行するほど柔らかい材料が選択されてもよい。材料の選択は、可撓性と軟性と強度と横流媒体として機能する能力との兼ね合わせであってよい。
【0023】
サンプリング部および試験部は、デバイスの試験層の全部または一部を形成してもよい。サンプリング部と試験部は、一体であっても、あるいは互いに固定された2つ以上の別個の部分であってもよい。試験部は、たとえば、サンプリング部の可撓性の材料と同様または同一の可撓性の材料を含んでもよい。サンプリング部および試験部は、同じ材料を含んでも、異なる材料を含んでもよい。たとえば、試験部は、サンプリングプロセスの間、身体に接触する必要がないので、サンプリング部よりも硬いかあるいは剛性が高い材料を含んでもよい。サンプリング部または試験部の一方の側のみを目標側、すなわち身体に接触してサンプルを受け取る側として指定または構成されてもよい。目標側は、身体に接触しサンプルが付着する適切な位置を示すマークを備えてもよい。デバイスを使用して試験を実施し、かつ/あるいは試験結果を解釈するための指示も、サンプリング部または試験層の他の領域上に設け、たとえば印刷してもよい。
【0024】
デバイスは、カバー層を備えてもよい。カバー層は、試験層の一方の側、たとえば試験層の目標側に貼り付けられ、かつこの側の上を延びてもよい。試験層のこの側においてサンプリング部の領域が露出されるようにカバー膜に穴を設けてもよい。したがって、サンプルは、カバー層の穴を通してサンプリング部によって受け取られてもよい。カバー層は、試験層の試験部の一方の側の全部または一部に貼り付けられ、かつこの側の全部または一部上を延びてもよい。
【0025】
一実施形態では、試験層の平面において、サンプリング部を試験層の内側領域に設けてもよく、試験部をサンプリング部の外側に設けてもよい。カバー層が設けられるときは、カバー層の平面において、上記の穴を、サンプリング部の少なくとも一部に揃うようにカバー層の内側領域に配置してもよい。
【0026】
カバー層およびカバー層の穴は、サンプルがデバイスのサンプリング部および/またはサンプリング部の目標領域に直接付着するように案内部として働いてもよい。さらに、カバー層は、サンプルおよび/または他の流体もしくは環境物質が試験部に直接付着するのを防止する障壁として働いてもよく、サンプルおよび/または他の流体もしくは環境物質は、1つまたは複数の試験ゾーンに接触して試験結果に悪影響を及ぼすおそれがある。サンプルがサンプリング部の目標領域に確実に付着するように、特にデバイスが鼻をかむことによって鼻サンプルを取得するのに使用されるときには、指位置案内部を設けてもよい。この構成は、ユーザが、たとえば指が案内部に配置されるようにデバイスを鼻に対して正しい位置に配置するような構成であってもよい。
【0027】
カバー層は、流体抵抗性を有する材料を含んでもよい。たとえば、カバー層はプラスチック材料を含んでもよい。カバー層は、サンプリング部の可撓性の材料がサンプリングプロセス中に身体に接触するのに適切な形状に湾曲または変形されるのを妨げないように可撓性の材料(たとえば、可撓性の膜)であってもよい。カバー層の全部または一部は、サンプルと1つまたは複数の試験ゾーンとの反応をカバー層を通して観察することができるように半透明または透明であってもよい。この代わりにあるいはこれに加えて、カバー層は、1つまたは複数の試験ゾーンに揃うように配置された1つまたは複数の窓を備えてよく、それによって、カバー層の窓を通してサンプルと試験ゾーンとの反応を観察することができる。デバイスを使用して試験を実施し、かつ/あるいは試験結果を解釈するための指示を、カバー層上に設け、たとえば印刷してもよい。
【0028】
デバイスは、裏打ち層を備えてもよい。裏打ち層は、試験層の一方の側に貼り付けられ、かつこの側の上を延びてもよい。カバー膜は、試験層の、目標側の反対側に設けられてもよい。裏打ち層は、サンプリング部によって受け取られるサンプルがサンプリング部から、たとえば手またはその他の表面上に漏れないようにし、その代わりに試験層の試験部の方に向けられるようにすることができる。
【0029】
裏打ち層は、流体抵抗性を有する材料を備えてもよい。たとえば、裏打ち層はプラスチック材料を含んでもよい。裏打ち層は、サンプリング部の可撓性の材料がサンプリングプロセス中に身体に接触するのに適切な形状に湾曲または変形されるのを妨げないように可撓性の材料(たとえば、可撓性の膜)であってもよい。裏打ち層は、試験を実施する人によってデバイスを容易に握れるように滑り抵抗材料、たとえばゴム材料であってもよい。さらに、滑り抵抗材料は、1つまたは複数の試験ゾーンの反応が観察される間、デバイスが表面(たとえば、テーブル面または卓上)に固定されるのを可能にしてもよい。裏打ち層の全部または一部は、サンプルと1つまたは複数の試験ゾーンとの反応を裏打ち層を通して観察できるように半透明または透明であってもよい。この代わりにあるいはこれに加えて、裏打ち層は、1つまたは複数の試験ゾーンに揃うように配置された1つまたは複数の窓を備えてよく、それによって、裏打ち層の窓を通してサンプルと試験ゾーンとの反応を観察することができる。デバイスを使用して試験を実施し、かつ/あるいは試験結果を解釈するための指示を、裏打ち層上に設け、たとえば印刷してもよい。
【0030】
デバイスは、流体が試験層の外側縁部を通ってユーザの手または床などの上に流れるのを防止するように吸収性の材料を含んでもよい。この吸収性の材料は、デバイスの周囲に配置された吸収性の材料のストリップであってよい。吸収性の材料は、カバー層、試験層、および裏打ち層のうちの1つまたは複数の層の外側領域と一体であるかあるいは外側領域に連結されてもよい。あるいは、吸収性の材料は、デバイスの独立の部材として設けられてもよい。たとえば、吸収性の材料を含むさらなる層を設けてもよい。このさらなる層は、カバー層、試験層、および裏打ち層のうちの1つまたは複数の層の外側縁部を越えて延びてもよい。吸収性の材料は、試験層よりも吸収性が高く、たとえばより高い保水能力を有してもよい。
【0031】
カバー層は、試験層の外側縁部まで延び、外側縁部に揃ってもよい。あるいは、カバー層は、試験層の縁部への途中までしか延びなくてもよい。後者の構成では、試験層の外側領域、たとえば外側ストリップは、カバー層の外側縁部を越えて露出されてもよい。試験層の外側領域は、流体が試験層の外側縁部を通って流れるのを防止するように前述の吸収性の材料を含んでもよい。
【0032】
デバイスは、実質的に平坦であってもよい。デバイスは、布状のデバイスであってもよい。すなわち、デバイス全体が、患者または試験を実施するその他の人によって容易に取り扱われ操作される実質的に平坦で柔軟な部材であってもよい。試験層、カバー層、および/または裏打ち層はそれぞれ、単一の材料層のみを含んでもよく、あるいは複数の材料層を含んでもよい。
【0033】
デバイスは、サンプリング部にサンプルを付着させた後で、サンプルを含むサンプリング部が見えなくなるように折り畳み可能であってもよい。このことは、サンプルが見苦しいとみなされるときに望ましい。サンプルが見える間、ユーザは、試験結果を分析するためにデバイスを別の人、たとえば臨床医に渡すのをためらうことがある。デバイスは、たとえば裏打ち層のみが見えるように折り畳まれてもよい。デバイスは、所望の効果を実現するように半分に折り畳み可能であってもあるいは他の方法で折り畳み可能であってもよい。デバイスは、折り畳みに適切な位置を示す1つまたは複数の折り畳み線を備えてもよい。
【0034】
上記の説明に従って、生体サンプルの流動性を高める、緩衝液のような液体をリザーバ内に設ける場合、リザーバは、デバイスが折り畳まれたときに液体を放出するように構成されてもよい。たとえば、リザーバは、デバイスが折り畳まれる間または折り畳まれた後に破裂または破壊するように構成されてもよい。デバイスを折り畳むプロセスだけで液体を放出させるのに十分であってもよい。あるいは、ユーザが折畳み後に、ユーザがたとえば指を使用してリザーバに力を加えることのような、ユーザのさらなる介入によって液体の放出が実現されてもよい。あるいは、折畳みプロセスとユーザがリザーバにさらなる力を加えることとの組合せによって液体の放出が実現されてもよい。リザーバは、デバイスの折畳み線を横切るように配置されてもあるいは折畳み線に隣接するように配置されてもよい。したがって、デバイスが折り畳まれると、ユーザは、リザーバが折り畳まれたデバイスの縁部に配置されたときにリザーバをより容易に操作することができる。リザーバは、デバイスの折畳み時に折り畳まれてもよい。これによって、ユーザは、折り畳まれたリザーバの両側を互いに押し付けて、リザーバに液体を放出させるのを可能にすることができる。
【0035】
あるいは、デバイスは実質的に事前に折り畳まれてもよい。たとえば、デバイスは概ね蝶形をとってもよい。この範囲において、デバイスは、サンプリング部を少なくとも部分的に形成する2つの可撓性ウイングと、2つのウイングの間に配置された中央ハウジング(スパイン)と、を含んでもよい。ウイングは、ハウジングの周りで相対的に回動可能であるかあるいは相対的にたわんでもよい。
【0036】
一般に、デバイスが蝶形をとるかどうかにかかわらず、ハウジングがデバイス内に設けられ、デバイスの1つまたは複数の構成部材を少なくとも部分的に囲みかつ/あるいは保護するように構成されてもよい。たとえば、ハウジングは、デバイスの試験部、液体リザーバ、および/または本明細書において説明するその他の部材を少なくとも部分的に囲んでよい。ハウジングは、実質的に剛性を有してもよく、試験部、液体リザーバ、および/または本明細書において含まれるその他の部材が損傷する可能性を無くすかあるいは低くすることができる。ハウジングが試験部を備えるとき、ハウジングは、試験結果を観察するのを可能にするように1つまたは複数の開口部または透明部分を含んでもよい。
【0037】
デバイスは、1つまたは複数の横流試験ストリップ、たとえばすでに市販されている従来の横流ストリップを備えてもよい。試験ストリップは、たとえば、カイデルコーポレーション(Quidel Corporation)によって製造されているクイックビュー(Quickvue)(登録商標)A型インフルエンザおよびB型インフルエンザ試験ストリップ、またはインバネス・メディカル・イノベーションズ・インク(Inverness Medical Innovations, Inc.)によって製造されているバイナックスNOW(BinaxNOW)(登録商標)A型インフルエンザおよびB型インフルエンザ試験ストリップであってもよい。各試験ストリップは、デバイスのそれぞれの試験部を提供してもよい。各試験ストリップは、サンプリング部と流体係合するようにデバイスに組み込まれてもよい。デバイスは、基本的に、1つまたは複数の従来の横流試験ストリップに送ることのできるサンプルを好都合で快適な方法で付着させることができるような1つまたは複数の従来の横流試験ストリップ用のアダプタを有してもよい。一実施形態では、デバイスは、実施すべき所望の試験に応じてユーザまたは製造業者によって選択された1つまたは複数の横試験ストリップをデバイスに挿入するのを可能にするように構成されてもよい。
【0038】
一実施形態では、リザーバから液体を放出するアクチュエータ機構を設けてもよい。アクチュエータ機構は、たとえば、アクチュエータ機構の作動時に、貫通部材がリザーバを破裂させることができるような貫通部材を備えるかあるいは貫通部材と相互作用してもよい。アクチュエータ機構は、サンプリング部および/または試験部に対して移動可能、たとえば滑り可能または回動可能である作動部材を備えてもよい。作動部材は、さらなる機能または代替機能を有してもよい。たとえば、アクチュエータ部材は、たとえば流体をリザーバから放出させる前に、サンプルを広げるように構成されてもよい。別の例として、アクチュエータ部材は、以下の説明に従ってLEDを作動させるように構成されてもよい。
【0039】
第3の態様によれば、本発明は、
身体から直接生体サンプルを受け取るためのサンプリング部と、
サンプリング部と流体係合し、1つまたは複数の試験ゾーンを備える試験部と、
液体を含む密封されたリザーバと、
を備え、サンプリング部および試験部が、サンプリング部によって受け取られたサンプルの少なくとも一部を、1つまたは複数の試験ゾーンに接触するように試験部に送ることができるように構成され、各試験ゾーンが、サンプル中の1つまたは複数の生物学的実体の有無を示すように構成され、
デバイスが折畳み可能であり、密封されたリザーバが、折畳みの後または間に、生体サンプルの流動性を高めるようにリザーバから液体を放出可能であるデバイスを提供する。
【0040】
第3の態様によるデバイスは、本発明の第1および第2の態様に関して説明したデバイスの任意の1つまたは複数の特徴を有してもよい。たとえば、デバイスのリザーバは、カプセル、バブル、またはブリスタであってもよく、液体は、折畳み時にリザーバに力が加えられ、かつ/あるいは折畳みの後または間にユーザによってさらなる力が加えられることによってリザーバから放出される。別の例として、サンプリング部は、ヒトまたは動物の身体から直接生体サンプルを受け取るようにヒトまたは動物の身体の一部に調整可能に合わせることができる可撓性の材料を含んでもよい。それにもかかわらず、この第3の態様のサンプリング部は、可撓性を低くすることができ、サンプリング部に滴下されるか、あるいは点滴器などの器具または綿棒などのデバイスを使用してサンプリング部に付着させた生体サンプルを受け取ることができる。
【0041】
前述の態様のいずれでも、デバイスは、デバイスを折畳み構成に維持する1つまたは複数の固定デバイスを備えてもよい。固定デバイスは、取外し可能であっても取外し不能であってもよい。固定デバイスは、面ファスナ(hook and loop fastener)、(ヴェルクロウ(Velcro)(登録商標))、クリップ、接着剤などを備えてもよい。固定デバイスは、たとえば本発明のデバイスの縁部および/または角部に設けられてもよい。固定デバイスは、カバー層、試験層、および裏打ち層のうちの任意の1つまたは複数の層上に設けられてもよい。デバイスがたとえば正方形または矩形である場合、固定デバイスをデバイスの2つの角部に設けるかあるいはこれらの角部に隣接するように設けてもよく、デバイスを2つに折り畳んだときに、固定デバイス同士が協働して互いに固定し合うように、相補的な固定デバイスをデバイスの2つの角部に設けるかあるいはこれらの角部に隣接するように設けてもよい。しかし、固定デバイスが、互いに固定し合う固定デバイスではなく、たとえば接着剤である場合、固定デバイスは、デバイスの別の部分、たとえばデバイスのカバー層、試験層、および裏打ち層のうちの1つまたは複数の層に直接固定されてもよい。
【0042】
デバイスは、試験結果の観察時に折り畳まれた構成に維持されてもよい。観察は、たとえば裏打ち層またはハウジングの1つまたは複数の半透明部分または透明部分、あるいは裏打ち層またはハウジングに設けられた1つまたは複数の窓を通して行うことができる。
【0043】
デバイスのサンプリング部は、サンプルを受け取る身体に合わせられるように構成され、最小表面積が約5cmまたは10cmまたは20cmまたは30cmまたは40cmまたは50cmまたは100cmであってよく、最小直径あるいは長さおよび/または幅が約2cmまたは3cmまたは4cmまたは5cmまたは6cmまたは7cmまたは10cmであってもよい。
【0044】
たとえば布状デバイスとして構成されたときのデバイスは、一方の側の最小表面積が100cmまたは150cmまたは200cmであってよく、一方の側の最小直径あるいは長さおよび/または幅が約10cmまたは15cmまたは20cmであってもよい。
【0045】
デバイスの試験部は、横流免疫クロマトグラフィの既存の原理を使用して1つまたは複数の生物学的実体が存在するかどうかを試験できるように抗原または抗体を備えてよい。
【0046】
1つまたは複数の標識保持領域、たとえば光可視分子(light visible molecules)に結合された特定の抗体を含む色付き標識保持領域を試験部に設けてもよい。標識保持領域は、試験部の縁部の所またはこの縁部に隣接して、すなわち、試験部とサンプル部との間の境界に配置されてもよい。サンプル部によって受け取られたサンプルは、毛管作用によってサンプル部内を通って試験部に流入し、標識保持領域と混合され、抗原−抗体(標識化された)複合体を形成してもよい。
【0047】
1つまたは複数の試験ゾーンは、試験部とサンプル部との間の境界から間隔を置いて配置されてもよい。したがって、サンプルは試験ゾーンに達する前に標識保持領域に接触することができる。試験ゾーンは、抗体または抗原を含浸させた試験部のストライプ(線)、十字、正方形、またはその他の形状の領域を含んでもよい。サンプル中に存在する生体抗原、ならびに標識保持領域および試験ゾーンにおける抗体または抗原に応じて、サンプルは1つまたは複数の試験ゾーンにおいて結合され、試験ゾーンにおいて色を変化させることができる。したがって、色の変化は、A型インフルエンザまたはB型インフルエンザなどであるがそれらに限らないサンプル中の特定の生物学的実体の有無を示すものであってもよい。
【0048】
サンプル中の複数の異なる種類の生物学的実体の有無を試験できるように複数の試験ゾーンを設けてもよい。任意の数の異なる試験ゾーン、たとえば最大10個の試験ゾーンを設けてもよい。サンプリング部が試験層の内側領域に配置され、試験部がサンプリング部の外側に配置されるとき、試験ゾーンをサンプル部に対し放射状に分散させてもよく、それによって、サンプルが、サンプル部から放射状に広がることができ、各試験ゾーンに独立に接触することができる。この例では、標識保持領域を、試験部の、サンプル部を囲む領域を横切るように設けてもよい。
【0049】
しかし、デバイスは免疫クロマトグラフィの原理を使用してもよいが、試験の代替手段をデバイスに組み込んでもよいと考えられる。
【0050】
デバイスは、試験をたとえば1分未満または10分未満または30分未満または1時間未満で実施するのを可能にする高速診断試験デバイスを有してもよい。デバイスは使い捨てであり、すなわち1回しか使用できないように構成されてもよい。デバイスは、使用される前に滅菌包装されてもよい。デバイスは、1つまたは複数の生物学的実体の有無に関して完全に非侵襲的に試験する手段を提供することができる。デバイスは、ヒトの医療分野だけでなく獣医学分野の試験に使用されてもよい。
【0051】
いずれの態様でも、デバイスは、生物学的実体が存在することを示すときに、生物学的実体および/または試験デバイスに固有のコードまたは識別子を表示するように構成されてもよい。
【0052】
第4の態様によれば、身体から直接生体サンプルを受け取るためのサンプリング部と、
サンプリング部と流体係合し、1つまたは複数の試験ゾーンを備える試験部と、を備え、
サンプリング部および試験部が、サンプリング部によって受け取られたサンプルの少なくとも一部を、1つまたは複数の試験ゾーンに接触するように試験部に送ることができるように構成され、各試験ゾーンが、サンプル中の1つまたは複数の生物学的実体の有無を示すように構成され、
デバイスが、生物学的実体が存在することを示すときに、生物学的実体および/または試験デバイスに固有のコードまたは識別子を表示するように構成されるデバイスを提供する。
【0053】
第4の態様のデバイスは、サンプル中の生物学的実体に関する陽性試験を検証するために使用されてもよい。
【0054】
第5の態様によれば、生体サンプル中の生物学的実体に関する陽性試験を検証する方法であって、
試験デバイスを使用して生物学的実体が存在するかどうかを試験し、生体サンプル中に生物学的実体が存在すると判定したときに、試験デバイスが、生物学的実体および/または試験デバイスに固有のコードまたは識別子を表示するステップと、
コードまたは識別子を公共医療施設(health service)に提出するステップと、
を含む方法が提供される。
【0055】
第5の態様の方法において使用されるデバイスは、前述の態様のいずれかによるデバイスであってもよい。
【0056】
前述の態様のいずれかのデバイスでは、デバイスの各試験ゾーンは、それぞれの「+」または「−」のような陽性または陰性の試験結果を示す(すなわち、サンプル中の特定の生物学的実体の有無を示す)インジケータ、たとえば記号を表示してもよい。しかし、上記の説明に応じて、試験ゾーンは、上記のことに加えてあるいは上記のことの代わりに、陽性試験結果を示す固有のコードまたは識別子を表示してもよい。コードまたは識別子(以下では「コード」と呼ばれる)は、サンプル中の存在する生物学的実体に固有であり、かつ/あるいは試験を実施するためのデバイスに固有であってもよい。このコードは英数字であってもよい。通常、コードは、ユーザには見えないが、試験部の、抗体または抗原を含浸させた領域のような、コードを規定する要素が、試験中の特定の生物学的実体に接触したときには見えるようになってよい。
【0057】
コードまたは識別子が取得されるかあるいは試験デバイスによって「見えるようにされる」と、コードまたは識別子は、公共医療施設のような第三者に提出されてもよい。公共医療施設は、薬局、診療所、病院、国民医療施設などであってよい。コードは、ウェブサイトインターフェース、電話、eメール、「SMS」などによって施設に提出されてもよい。コードは、提出されると、施設によってコードのデータベースと照らし合わせて検査され、コードが有効なコードであるかどうかが判定され、かつ/あるいはコードに関連する生物学的実体が判定される。あるいは、コードは、コードの有効性および/またはコードに関連する生物学的実体を判定するために施設によって直接復号することのできる記述的要素を含んでもよい。たとえば、コンピュータデータベースおよび/またはプロセッサを使用して、コードの処理を自動化してもよい。
【0058】
コードを医療施設に提出することによって、多くの結果を実現することができる。たとえば、コードは、国民健康統計を記録するのを可能にし、たとえばインフルエンザの虚偽の事例を記録するのを防止することができる。コードは、たとえばオンライン薬局のような自動化手段によって適切な薬品を正確にかつ適切に投与するのを可能にすることができる。これは特に病気が世界的に流行しているときに有利となりうる。コードは、薬品が合法的に要求されるようにすることができる。
【0059】
陽性の試験結果が取得されたときにコードを自動的に見えるようにすることができるが、この代わりに、たとえばデバイスの、コードを表示することのできる部分を取り外し、たとえば剥離することによってコードが見えるようにしてもよい。取り外される部分は、たとえばデバイスのカバー層または裏打ち層のタブであってもよい。この代わりにあるいはこれに加えて、デバイスは、LCDまたはLEDスクリーンのようなデジタル出力手段を介してコードを表示するデジタル読取り装置を備えてもよい。
【0060】
デバイスは、そのカバー層および/または裏打ち層上に印刷された広告を保持してもよく、たとえば、この広告は、ユーザがデバイスを使用して陽性反応を示すことがある任意の病気の治療法に関するものであってよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、デバイスは、試験結果の可読性および鮮明さを向上させるように構成された光源を備えてもよい。この光源は、1つまたは複数の試験ゾーンにおける陽性および/または陰性の試験結果のインジケータ(たとえば、線または十字など)を向上させるのに適した厳密な周波数で動作するように構成されてもよい。光源は、たとえば1つまたは複数の発光ダイオード(LED)を備えてもよい。
【0062】
光源は、内容が参照により本明細書に組み込まれている特許文献1に記載された蛍光の原理に従って拡張機能を実現することができる。したがって、本発明によるデバイスでは、標識保持ゾーンに持続的な蛍光構造を設けてもよく、この配置は、たとえば1つまたは複数の量子ドットであってもよい蛍光構造を、標識保持ゾーンの所で試験中の生物学的実体(目標アナライト)に結合することができ、標識化された複合体の一部として試験ゾーンに保持することができるような構成であってもよい。光源は、この蛍光構造に蛍光を生じさせるのに適した光の波長を放出し、構造が試験ゾーンに存在するときに構造に蛍光を発しさせ、抗原とは異なる波長で蛍光を放出させるように構成されてもよい。実際上、サンプル中に目標アナライトが存在するとき、試験ゾーンにおけるインジケータが蛍光を発することができ、目視する(たとえば、蛍光が可視波長範囲である場合)か、それとも電子読取り装置のようなさらなるデバイスを使用するかにかかわらず、インジケータを読み取るのが容易になる。電子読取り装置は、1つまたは複数のフォトダイオードあるいはその他の光電デバイスを含んでもよい。この蛍光は、1つまたは複数の試験ゾーンにおけるインジケータを観察するユーザの能力または電子読取り装置の感度によって決定されるデバイスの有効感度を実質的に高くすることができる。
【0063】
しかし、本発明の1つまたは複数の態様によれば、光源は、試験部の1つまたは複数の試験ゾーンを後方から照明するように構成されてもよい。したがって、光源は、試験ゾーンに対するユーザの視線も電子読取り装置に送られる蛍光の経路も遮ることはない。試験ゾーンを後方から照明するのを可能にするために、試験部は部分的または全体的に透明であってもあるいは半透明であってもよい。
【0064】
光源は、上述のように任意にデバイスに構成されてもよい1つまたは複数のリザーバからの液体の放出も行う作動機構によって作動可能であってもよい。したがって、この照明手段は、少なくともユーザが1つまたは複数のリザーバに保持されている液体を放出するまでオフのままであってもよい。これに加えてあるいはこの代わりに、光源は、液体を検知したときに自動的に作動可能であってもよい。たとえば、光源は、液体サンプル(たとえば、血液または尿)がサンプリング部または試験部に付着するかあるいは送られたときかつ/あるいはデバイスのサンプリング部または試験部に含まれてよいリザーバからの液体を検知したときに自動的に作動可能であってもよい。光源を作動させるために、デバイスは、サンプリング部および/または試験部の吸収性部分の互いに間隔を置いて配置された点に連結された電子回路を備えてもよく、したがって、吸収性部分を通過する液体が電子回路を完成する。
【0065】
試験部を照明して試験結果の可読性を高めるこの手法は、前述の態様のうちのいずれか1つによるデバイス、たとえば、生体サンプル中の1つまたは複数の生物学的実体の有無を試験するように構成されたデバイスであって、ヒトまたは動物の身体の一部に調整可能に合わせることができ、身体から直接生体サンプルを受け取るサンプリング部と、サンプリング部と流体係合し、1つまたは複数の試験ゾーンを備える試験部と、を備えるデバイスに関して実施されてもよい。
【0066】
しかし、後述の本発明の第6の態様によれば、この手法は、たとえば同じ可撓性を有するサンプリング部を備えなくてもよい他の試験デバイスと組み合わされてもよい。この手法は、たとえば従来の妊娠試験キットまたはウイルス試験キットに適用されてもよい。
【0067】
第6の態様によれば、本発明は、生体サンプル中の1つまたは複数の生物学的実体の有無を試験するように構成されたデバイスであって、
生体サンプル中の生物学的実体に蛍光構造を結合するように構成された標識化物質を含む標識保持ゾーン、および
サンプル中の1つまたは複数の生物学的実体の有無を示すように構成された試験ゾーンを備える少なくとも部分的に透明または半透明の媒体と、
光源と、
を備え、
試験ゾーンが、媒体の第1の表面において読取り可能であり、光源が、試験ゾーンを後方から照明するように、媒体の、第1の表面と実質的に反対側の第2の表面に隣接するように配置されるデバイスを提供する。
【0068】
媒体は、平面構造であってもよい。媒体は、横流媒体であってもよい。たとえば、媒体は材料のシートまたはストリップであってもよい。媒体は、たとえば横流試験ストリップであってよい。
【0069】
一例としてのみ、各実施形態について添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1の実施形態によるデバイスの試験層の平面図である。
【図2】図1の試験層を備える、本発明の第1の実施形態によるデバイスの分解図である。
【図3】本発明の第2の実施形態によるデバイスの正面平面図である。
【図4】図3のデバイスの背面平面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態によるデバイスの分解図である。
【図6】本発明の第4の実施形態によるデバイスの分解図である。
【図7a】図6のデバイスを使用したステップを示す図である。
【図7b】図6のデバイスを使用したステップを示す図である。
【図7c】図6のデバイスを使用したステップを示す図である。
【図7d】図6のデバイスを使用したステップを示す図である。
【図8】本発明の第5の実施形態によるデバイスの概略的な斜視図である。
【図9a】図8のデバイスの側面図である。
【図9b】図9aとは反対側の、図8のデバイスの側面図である。
【図9c】図8のデバイスの端面図である。
【図10】図8のデバイスの分解図である。
【図11a】図8のデバイスのスパインの底面図である。
【図11b】図8のデバイスのスパインの上面図である。
【図12】図8のデバイスのスパインの部分断面図である。
【図13a】スライダがある作動位置にある図8のデバイスの斜視断面図である。
【図13b】スライダが別の作動位置にある図8のデバイスの斜視断面図である。
【図13c】スライダがさらに別の作動位置にある図8のデバイスの斜視断面図である。
【図14】図8のデバイスに使用される試験ストリップの概略平面図である。
【図15】本発明の第6の実施形態によるデバイスの分解図である。
【図16】図15のデバイスに使用される試験ストリップおよびLEDの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
本発明の第1の実施形態によるデバイス10の試験層1が図1に示されている。試験層1は、柔らかく吸収性の詰め物材料で形成された実質的に正方形で柔軟なシートである。試験層1は、2つの部分、すなわち試験層10の中央領域に設けられたサンプリング部11とサンプリング部11の外側に設けられた試験部12とに分割されている。この実施形態では、試験部12はサンプリング部11と一体に形成される。サンプリング部11は、十分に大きい表面積を有し、十分に柔軟であり、人の鼻を覆って延び、人が、標準的な鼻かみ技術を使用してサンプリング部11に鼻汁を付着させるのを可能にする。
【0072】
試験部12は、試験部12とサンプリング部11との間の境界を形成し、特定の抗原に特有の可溶性で標識化された抗体を含む標識保持物質を含浸させた試験部のストリップで形成された標識保持ゾーン13を備える。試験部12は、各々が標識保持ゾーンの外側に設けられ標識保持ゾーンから間隔を置いて配置された4つの試験ゾーン14をさらに備える。各試験ゾーンは、抗体または抗原を含浸させた試験部の表面上の線である短く細い試験線15を備える。
【0073】
デバイス1の使用時には、サンプリング部11に鼻汁サンプルを付着させた後、点滴器を使用して緩衝液を鼻汁サンプル上に滴下し、サンプルの流動性を高める。サンプルは、毛管作用によって付着点から試験層1を介して外側に広がる。サンプルは、サンプリング部11と試験部12との間の境界と交差した後、サンプル中に存在する抗原の種類に応じて、標識保持ゾーン13の所の標識化された抗体と結合して抗原−抗体(標識化された)複合体を形成することができる。この複合体は、試験部内を連続的に移動した後、試験ゾーン14に接触し、1つまたは複数の試験線15に沿って色を変化させることができる。したがって、この色の変化は、サンプル中に特定の生体抗原が存在することを示すことができる。4つの異なる試験ゾーン14を設けることによって、この実施形態では、少なくとも4つの異なる生体抗原の有無を検出することができる。
【0074】
図2を参照すると、デバイス10は、試験層1に加えてカバー層2および裏打ち層3を備える。カバー層2は、試験層1の前側に貼り付けられた流体抵抗性を有するプラスチック材料の透明で柔軟な膜である。カバー層2は、試験層1の外側縁部まで延びるが、カバー層2の中心には、試験層1のサンプリング部11に揃えられた穴21が設けられている。したがって、カバー層2の穴21を通してサンプリング部11によって流体サンプルを受け取ることができる。カバー層2およびその穴21は、流体サンプルをどこに付着させるべきかを示す案内部として働くように配置され、カバー層は、流体サンプルおよび/または他の流体もしくは環境物質が試験部12に直接付着し、試験結果に悪影響を与えるのを防止する障壁として働くようにも配置される。さらに、カバー層2は、流体サンプルが試験層1の正面を通って漏れるのを防止することができる。カバー層2が透明であるので、試験ゾーン14における反応を、カバー層を通して観察することができる。
【0075】
裏打ち層3は、試験層1の背面に貼り付けられ、試験層1の外側縁部まで延びている。裏打ち層3は、デバイスの背部を通って、たとえば手またはその他の表面上への流体の漏れを防止する、可撓性、つまり流体抵抗性を有する材料を含む。裏打ち層3の材料は、ユーザがデバイスを掴むのを容易にし、かつ1つまたは複数の試験ゾーン14の反応を観察しつつ、デバイスを表面(たとえば、テーブル面または卓上)に固定するのを容易にするように滑り抵抗性を有する材料であることが好ましい。
【0076】
本発明の第2の実施形態によるデバイス101が図3および図4に示されている。デバイス101は、第1の実施形態のデバイス10と同様である。しかし、デバイス101のカバー層2’は試験層1’の縁部まで延びていない。その代わりに、カバー層2’は、試験層1’の縁部に至らず、試験層1’の前面の外側領域は露出されたままである。この実施形態では、試験層1’の露出された外側領域は材料16の吸収性ストリップである。吸収性ストリップ16は、試験層1’の残りの部分とは異なる材料で形成される。特に、吸収性ストリップ16の材料は、試験層1’の残りの部分よりも吸収性が高い。したがって、吸収性ストリップ16は流体が試験層1’の縁部からユーザの手または床などにこぼれるのを防止することができる。
【0077】
さらに、デバイス101は、2つの固定デバイス、特に試験層1’の2つの隣接する角部に近接して配置された接着剤パッド17を備える。接着剤パッド17は、デバイス101を半分に折り畳んだときに、試験層1’の他の2つの角部に近接した位置にくっつくように配置されている。ユーザがデバイスを半分に折り畳むことができるように、カバー層2’の中央に沿って点線の折畳み線22が印刷されている。代替実施形態では、折畳みを助けるためにデバイス101の1つまたは複数の層に切込みまたは溝が設けられてもよい。デバイス101は、サンプリング部11にサンプルが付着した後で、もはやサンプルが見えなくなるように折り畳まれるように配置されている。その代わり、裏打ち層3’だけは折畳み後にその全体が見える。このため、図4を参照するとわかるように、この実施形態では、デバイス101を使用した試験結果の観察を裏打ち層3’を通して行うことができる。特に、裏打ち層3’は、試験ゾーンの反応を観察することができる窓31を備える。特に、裏打ち層3’は、各組2つの4組の2つの窓31を備え、各組の2つの窓は、試験中のサンプルに様々な抗原が存在するかどうかについての、各試験ゾーンにおける陽性または陰性の表示を観察するのを可能にする。この実施形態では、試験中の様々な種類のウイルスを示すマークが裏打ち層3’に印刷されている。結果の解釈に関する簡単な指示23および案内ならびに/あるいは解説書、ハンドブック、および/または関連するウェブサイトを示す指示のような他のマークを裏打ち層3’上に設けることもできる。
【0078】
第3の実施形態によるデバイス102が図5に示されている。この実施形態では、試験層が2つの別個の層、すなわち、カバー層2’’の中央穴21の下方に位置するように配置された実質的に円形のパッドであるサンプリング層1aと、穴21とサンプリング層1aの両方の下方に位置するように配置された実質的に円形の中央部18を有し、また中央部18から放射状に突き出る4本のアーム19を有する試験ストリップ層1bとで形成されている。サンプリング層1aは、試験ストリップ層1bの中央部18と一緒に、カバー層2’’の穴21を通して患者からサンプルを受け取るための、デバイス102のサンプリング部の少なくとも一部を形成し、試験ストリップ層1bのアーム19はデバイス102の試験部の少なくとも一部を形成する。
【0079】
試験ストリップ層1bの中央部18と各アーム19との間の遷移部の所に、実質的に、上記の前述の実施形態に関して説明したように構成された標識保持ゾーンが設けられている。試験層1bは、各々が中央部18から延びるアーム19のうちの1本に設けられた複数の試験ゾーン14をさらに備える。試験ゾーン14はまた、実質的に、前述の実施形態に関して説明したように構成されている。この実施形態において4つの異なる試験ゾーン14を設けることによって、少なくとも4つの異なる生物学的実体の有無を検出することができる。
【0080】
デバイス102は、この実施形態では実質的に円形で薄形の低いカプセル4の形をとる密閉された緩衝液のリザーバも備える。カプセル4は、サンプリング層1aおよび試験ストリップ層1bの中央部の下方に設けられている。裏打ち層3’’も試験層の下側に設けられているが、カプセル4を位置させることができる実質的に円形の中央窓32を有する。カプセル4は、デバイスの中央折畳み線22をはさんで設けられている。
【0081】
第4の実施形態によるデバイス103が図6に示されている。デバイスは、図5のデバイスと実質的に同じである。しかし、試験ストリップ層1b’は事実上半分に切断されている。この点に関し、試験ストリップ層1b’は、実質的に半円形の中央部18’を備え、2本のアーム19’のみを備え、2つの異なる生物学的実体の有無を判定するのを可能にする。中央部18’およびアーム19’は、デバイスの折畳み線22の一方の側のみに設けられている。したがって、デバイスを後述のように使用するときに、中央部はデバイスの折畳みに干渉せず、裏打ち層の半分のみに関する試験結果の観察を行うことが必要である。
【0082】
図7a〜図7dを参照すると、図5または図6のデバイスを使用する方法が示されている(ただし、図7a〜図7dには図6のデバイス103のみが表されている)。各デバイス102、103は、人がデバイス102、103上で鼻をかみカバー層2’’の穴21を介してサンプリング部に鼻汁を付着させることができるように構成されている(図7a)。デバイス102、103は概ね第2の実施形態に関して上記に説明したように線22に沿って半分に折り畳むことができ、したがって、裏打ち層3’’およびカプセル4のみが見える(図7b)。デバイスを折り畳むときには、カプセル4も折り畳まれ、折り畳まれたデバイスの縁部に配置される。ユーザ(たとえば、試験を受けている人)は次に、カプセル4を強く押すことができ、カプセル4が裏打ち層3’’の穴32を通して露出され、これによりカプセル4が破裂する(図7c)。カプセル4を破裂させることによって、カプセル4から緩衝液が放出され、サンプリング部に広がり、付着している鼻汁サンプルと混合し、流体サンプル溶液が得られる。次に、概ね第2の実施形態に関して記載されたように、サンプル溶液をサンプリング部から標識保持ゾーンを通ってアーム19の試験ゾーン14まで流体移送し、裏打ち層3’’の窓31を通して見える試験測定値を表示させる(図7d参照)。デバイス102、103に一体型のカプセル4を設けることによって、デバイス102、103はより使いやすくなる。デバイス102、103は、さらなる溶液を導入したり、さらなる装置を使用したりする必要なしに試験を実施するのを可能にする。
【0083】
第3および第4の実施形態の各デバイス102、103は、そのカバー層2’’および裏打ち層3’’上に指示23を保持している。この指示は、デバイスの適切な位置に配置されており、したがって、実施されるときには見えるようになる。さらに、デバイスは、広告24を保持しており、この広告は、ユーザがデバイスを使用して陽性反応を示すことがある任意の病気の治療法に関するものであってよい。
【0084】
様々な実施形態では、陽性試験結果に「+」、陰性試験結果に「−」のようなインジケータを見えるようにすることによって試験ゾーンにおいて試験結果を示すことができる。これに加えてあるいはこの代わりに、試験結果が陽性の場合、固有のコードまたは識別子(不図示)を見えるようにしてもよい。
【0085】
図8〜図14を参照して、本発明の第5の実施形態によるデバイス200について説明する。デバイス200は、実質的に平坦であって可撓性のサンプリング部材によって形成される2つのウイング201、202と、細長い中央本体によって形成されるスパイン203とを備え、ウイング201、202がスパイン203から延び、スパイン203の周りを相対的に回動可能であるデバイスに含まれるので全体として蝶形をとるとみなされてもよい。ウイング201、202は、人の鼻204の周りでたわむのに十分に大きい表面積を有し、十分に柔軟であり、人が、鼻かみ技術を使用して2つのウイング201、202間の領域に鼻汁サンプルを付着させるのを可能にする。デバイス200を鼻204に対して所定の位置に配置するにはどうしたらよいかを示す、ウイング201、202が開構成にあるデバイス200の簡略図が図8に示されている。たとえばデバイスを使用する前またはサンプルを受け取った後の、ウイング201、202が閉位置にある、デバイス200のより詳細な図が図9a〜図9cに示されている。これらの図を見るとわかるように、各ウイング201、202の外側にそれぞれのフィンガロケータが設けられている。各フィンガロケータは、指または親指の先端207を受け入れるための穴206を有するパッド205を含む。ユーザは、親指または人差し指(またはその他の指)の先端207を各ロケータの穴206に入れることによって、鼻をかむためにデバイスを鼻204に接触させるときに全体的に正しく位置させ、したがって、鼻汁サンプルがデバイス200の目標位置で受け取られる。このデバイス200は鼻汁を取得して試験するように構成されるが、代替実施形態では、デバイスは、血液、血清、血漿、唾液、痰、尿、眼液、涙、精液、膣排泄物、耳排泄物、汗、粘液、糞便、および/または羊膜液、髄液、膿瘍液、創傷液、もしくは羊水のような他の生体サンプルを取得して試験するように構成されてもよい。
【0086】
図10は、デバイス200の様々な構成部材をより詳しく見えるようにしたデバイス200の分解図である。2つのウイング201、202は、防水裏打ち層208と第1および第2の内側層209、210から形成されている。裏打ち層208は、プラスチック、たとえばポリエステルのシートで形成されてもよい。裏打ち層208は、中央折畳み領域211の所で3本の折畳み線212に沿って折り畳まれ、領域211が、折り畳まれたときに、スパイン203の上板213と本体214との間に挟まれるように構成されている(たとえば、図9cを参照されたい)。第1および第2の内側層209、210は、裏打ち層208の内面に折畳み領域211のそれぞれの側の所で取り付けられている。第1の内側層209と裏打ち層208との間に、吸収性サンプルパッド215が設けられている。サンプルパッド215は、横流媒体(毛管膜)を形成し、実質的に可撓性および吸収性を有する。この実施形態では、サンプルパッド215は、実質的にv字形の部分216と、v字形部分216の一方の端部から延びる舌部217とを備える。サンプルパッド215は、v字形部分216の頂点の所に、この実施形態では実質的に卵形の目標部218を備える。
【0087】
第1の内側層209は、目標部218よりもわずかに小さく、かつ目標部218の真上に配置される穴219を含む。この配置では、デバイス200がフィンガロケータを適切に使用することによってユーザの鼻に対して正しく配置されると、ユーザがウイング201、202の間に鼻汁サンプルを付着させたときに、鼻汁サンプルが穴219を通過して目標部218に接触することができる。特に、ユーザがウイング201、202を一緒に閉じることによってウイング202の第2の内側層210にしかサンプルを付着させなかった場合でも、サンプルは目標部218に接触することができる。サンプルが付着した直後に目標部218にのみ接触し、内側層209、210の下方のデバイスのその他の部材には接触しないように、内側層209、210を実質的に流体抵抗性を有する材料で形成してもよい。第1および第2の内側層209、210および裏打ち層208をサンプルパッド215と組み合わせて、可撓性のサンプリング部を形成するものとみなしてもよく、したがって、サンプルパッド215はサンプリング部の吸収性部分を形成する。
【0088】
第1および第2の横流試験ストリップ220、221がサンプルパッド215と流体係合するように裏打ち層208に取り付けられている。デバイスは、サンプルパッド215の目標部218に付着すると、サンプルを毛管作用によって目標部218からv字形部分216の第1のアーム216aを介してデバイス200の先端部200aに隣接する各横流試験ストリップ220、221の第1の端部まで送ることができるように構成されている。この実施形態では、横流試験ストリップ220、221は従来型の試験ストリップである。ただし、免疫クロマトグラフィなどの原理を適用する他の試験ストリップまたは試験手段をこの実施形態または代替実施形態において利用してもよい。第1および第2の試験ストリップ220、221をデバイス200の試験部を形成するものとみなしてもよい。
【0089】
図14を参照すると、各試験ストリップ220、221は、ストリップの長さに沿って順に配置され、サンプル受入れゾーン220a、標識保持ゾーン220b、試験ゾーン220c、およびシンク220dを含むいくつかのゾーンを含んでよい。ゾーンは、防水基板上に配置された化学的に処理されたニトロセルロースのような化学的に処理された材料を含んでよい。この設計では、流体サンプルが、サンプルパッド215から送られるときに、毛管作用の下でサンプル受入れ部220aを通って、目標アナライトを標識化する物質を含む標識保持ゾーン220bに流入し、試験ゾーン220cに流入して、ここで標識化された目標アナライトまたはアナライトおよび標識化物質が形成する複合体に特異的に結合することのできる固定化された化合物を含む試験領域またはストライプ220eに接触する。サンプル中に標識化されたアナライトが存在するため、一般に、ストライプ220eの色を視覚的に検出可能である。
【0090】
試験ゾーン220には、試験ストライプ220eに加えて、試験手順が実施されたことを示す制御ストライプ220fを設けてもよい。制御ストライプ220fは、試験ストライプ220eの下流側に配置されてもよく、標識化物質に結合して標識化物質を保持するように動作可能である。制御ストライプ220fの色が見えるため、流体サンプルが試験ゾーン220cを流れることによって標識化物質が存在することがわかる。目標アナライトがサンプル中に存在しないとき、試験ストライプ220eの色は見えず、制御ストライプ220fに標識が蓄積することによって、サンプルが試験ゾーン220cを流れたことがわかる。次いで、シンク(吸収性)ゾーン220dが余分なサンプルを捕捉することができる。この実施形態では、サンプルパッド215は、各ストリップ220、221のサンプル受入れゾーン220aに直接連結される。しかし、他の実施形態では、サンプル受入れゾーン220aを省略してもよく、サンプルパッド218を標識保持ゾーンに直接、流体連結(fluidly connect)するように構成してもよい。
【0091】
試験ストリップ220、221は、その伸長方向が折畳み線212に実質的に平行に設定されるように配置され、したがって、裏打ち層208が折畳み線212に沿って折り畳まれたときにスパイン203の細長い本体(elongate body)によって各ストリップを密閉することができる。試験ストリップ220、221をスパイン203内に密閉することによって、サンプリング部と比べて剛性および/または脆性が高いストリップが破壊されるのを防止することができる。折畳み領域212がスパイン203によって密閉されるときにユーザがストリップ220、221の制御線220eおよび捕捉線220fを見ることができるように、裏打ち層208に窓222が設けられ、各試験ストリップに1組ずつ、2つの窓223が上板213に設けられている。この実施形態では、2つの試験ストリップ220、221は、サンプル中のA型インフルエンザウイルスおよびB型インフルエンザウイルスが存在するかどうかを試験するように構成されている。しかし、本実施形態およびその他の実施形態では、これらのウイルスのうちの一方のみが存在するかどうかを試験するか、あるいはさらなる生物学的実体またはこれに代わる生物学的実体について試験することも可能である。デバイス200は、1つの試験ストリップのみを含むように修正されても、2つよりも多くの試験ストリップを含むように修正されてもよい。
【0092】
第1および第2の試験ストリップ220、221は互いにずらした構成に配置されている。特に、第2の試験ストリップ221と比べて、第1の試験ストリップ220は、第2の試験ストリップ221よりもサンプル部215の近くに配置され、デバイス200の先端部200aの所で裏打ち層208の縁部よりも内側に配置されている。この特定の構成は、目標部218と第1の試験ストリップ220との間の流体係合経路(fluid engagement paths)と目標部218と第2の試験ストリップ221との間の流体係合経路の長さが実質的に同じになるような構成である。したがって、試験時には、サンプルは、2つのストリップ220、221の対応する位置に実質的に同時に到着すると考えられ、そのため、2つの試験ストリップ220、221によって示される試験の結果を最初に実質的に同時に表示することができる。第1のアーム216aと第1の試験ストリップ220との間のさらなる隙間を埋めるために、サンプルパッド215の内側に延びる突起224が設けられている。
【0093】
サンプルを目標部218から試験ストリップ220、221に送るのを助けるために、液体、たとえば緩衝液がデバイス200内に設けられている。最初に、この液体は第1のリザーバ内に密封される。図11aを参照すると、たとえば、第1のリザーバは、ブリスタ部材225とスパイン203の本体214の底壁226のくぼみ227との間に形成される。ブリスタ部材225は、たとえばアクラー(登録商標)/ポリプロピレン積層体で形成されてもよく、本体の底壁226に接着剤によって取り付けられてもよい。第1のリザーバは、デバイス200の第2のリザーバの下方に液体を保持するように配置され、デバイス200を使用する前には第2のリザーバには液体が入っていない。たとえば、図10および図11aを参照すると、第2のリザーバは、本体214の上側の実質的に矩形の谷部228と谷部228の頂部を密封する箔部材229とから形成されている。
【0094】
本体214の底壁226では、第1のリザーバと第2のリザーバとの間に直接開口部230が設けられている。開口部230は最初、貫通可能な膜231によって密封される。貫通可能な膜231および開口部230は、膜231が貫通されると、液体が第1のリザーバから第2のリザーバに流入することができるように設計されている。サンプルパッド215の舌部217は、第2のリザーバの谷部228内に延びるように構成されている。したがって、液体が第2のリザーバに流入するとき、舌部217によってある期間にわたって液体を吸収することができ、液体はサンプルパッド215の第2のアーム216bに沿って目標部218まで移動して、付着しているサンプルと組み合わされる。組み合わされたサンプルと流体は次いで、サンプルパッド215の第1のアーム216aに沿って試験ストリップ220、221まで移動する。
【0095】
膜231を貫通するために、作動機構が設けられている。この作動部材は、サンプルが付着しかつウイング201、202が閉じられた後で作動されるものである。作動機構は、スパイン203の伸長方向に沿って滑り可能なスライダ232と、貫通可能な膜231に隣接する位置で穴230を越えて突き出る貫通部材233と、を含む。スライダ232は、スパイン203の一部を囲むように構成された本体部234と、本体部234の内面から延びる可撓性の内側フランジ235と、を有する。内側フランジ235は、スパイン203の底壁226に押し付けられるようにフランジ235によって偏らされる突起236をフランジ235の遠位端に有する。スパイン203は、スライダ232を移動制御するための軌道を形成するものとみなされてよい。
【0096】
次に、作動機構の動作について図12および図13a〜図13cを参照してより詳しく説明する。図12および図13aを参照すると、使用前には、スライダ232はデバイス200の後端200bに隣接するように位置しており、突起236が、スライダ232がスパイン203に対して自由に移動するのを妨げるように本体214の底壁226の第1のくぼみ237内に配置されている。しかし、ユーザがスライダ232をスパイン203の伸長方向に押し、すなわち、矢印A1によって示されているようにデバイスの先端部200aに向かう方向へ押すことによって、突起をくぼみ237から押し出すことができ、それによって、スライダは第1のリザーバのブリスタ部材225の方へ移動することができる。しかし、突起236とくぼみ237との間の係合面の構成は、スライダ232が方向A1とは逆方向に移動するのを防止するような構成である。
【0097】
図13bを参照すると、スライダ232がブリスタ部材225に達すると、突起236がブリスタ部材225に押し付けられ、ブリスタ部材225が貫通部材233に押し付けられ、貫通部材233の鋭い端部238が貫通可能な膜231に押し付けられ、膜231を破壊する。貫通部材233は、第1のリザーバの後端に向かって配置され、したがって、突起236とブリスタ部材225とが接触したほぼ直後に作動する。スライダ232が引き続き同じ方向A1に移動するにつれて、突起236は事実上ブリスタ部材225をくぼみ227の底部の方へ反転させ、液体を第1のリザーバから開口部230を介して第2のリザーバの谷部228に流入させる(この反転は図13bには表されていない)。膜が破壊されると、ブリスタ部材225を横切る突起236の移動に対向することによって液体が開口部230の方へ移動するのを妨げられ、反転したブリスタ部材225とくぼみ227の底部との間に密封が生じることのないように、くぼみ227の底面に1つまたは複数の流路239が設けられている。流路239によって、溶液は確実に、突起および反転したブリスタ部材225の下方から開口部230の方へ移動することができる。
【0098】
図13cを参照すると、スライダ232は、ブリスタ部材225の上方を通過すると、デバイス200の先端部200aに隣接する休止位置をとるように配置される。スライダ232をこの位置に維持し、スパイン203に対して自由に移動するのを妨げるために、突起236が、第2のくぼみ240内に位置するように配置され、スライダ200の先端部が、スパイン203の先端部の所で停止部材241に当接するように配置され、それによって、スライダ232がスパイン203から外れるのが防止される。突起236とくぼみ240との間の係合面の構成は、スライダ232がデバイス200の後端200bに戻されるのを防止するような構成である。したがって、スライダ232がデバイスの先端部200aに維持されるので、ユーザにデバイス200が使用済みであることをただちに明らかにすることができ、デバイス200の再使用が試みられる可能性が低くなる。
【0099】
次に、図15および図16を参照して、本発明の第6の実施形態によるデバイス300について説明する。前述の実施形態のデバイス200と同様に、デバイス300は、上板301および本体302から形成されたスパインと、一対のウイング(不図示)の裏打ち層304上に配置されたサンプルパッド303と、2つの横流試験ストリップ305、306と、液体、たとえば緩衝液の放出を作動させてサンプルパッド303から試験ストリップ305、306へのサンプルの流れを助けるスライダ307と、を有する。概して、デバイス300の構成および動作原理は、試験ストリップ305、306の試験ゾーン305cでの試験結果の可読性を向上させる機構が設けられていることを除いて、デバイス200の構成および動作原理と実質的に同一である。特に、可読性を向上させるために、この実施形態では、蛍光材料が、各試験ストリップ305、306の標識保持ゾーン305bに設けられ、かつ蛍光材料が各試験ストリップ305、306の試験ゾーン305cに設けられたときに蛍光材料を照明する1つまたは複数のLED308(発光ダイオード)が設けられている。この配置は、たとえば1つまたは複数の量子ドットであってもよい蛍光材料を試験ストリップ305の標識保持ゾーン305bの所で試験中の生物学的実体(目標アナライト)に結合し、試験ゾーン305cの試験ストライプ305eおよび/または制御ストライプ305fの所に標識化された複合体の一部として保持することができるような構成である。LEDは、量子ドットの蛍光を生じさせるのに適した光、たとえば青色光から紫外線光の波長を放出するように構成されている。量子ドットによって生成される蛍光は、任意に可視周波数を有し、したがって、サンプル中に特定の生物学的実体が存在するときに試験ストライプ305eおよび制御ストライプ305fの所に改善されたより見やすい線を表示することができる。それにもかかわらず、代替実施形態では、蛍光は裸眼で見えても見えなくてもよく、電子読取り装置を使用して蛍光の有無を検知してもよい。たとえば、電子読取り装置をデバイスと一体化してもよく、試験結果を電子的に表示してもよい。
【0100】
この実施形態では、LED308が試験ストリップ305、306を後方から照明するように位置している。この点に関し、LED308は、試験ストリップ305、306の、試験ゾーン305cのストライプ305e、305fの反対側に配置されている。試験ストリップ305の1つに対するLED308の位置は図16に概略的に表されている。試験ストリップ305は、防水基板305g上に取り付けられた、サンプル受入れゾーン305a、標識保持ゾーン305b、試験ゾーン305c、およびシンク305dを含む。LED308は、試験ストリップの、基板305gを有する側に配置され、それによって、LEDからの光305hが基板、特に基板の試験ゾーン305cの下方に直接入射する。基板および試験ゾーンは、少なくとも部分的に半透明であり、したがって、LEDからの光305hは、試験ゾーンのストライプ305e、305fに入射し、ストライプ305e、305fの所に配置された蛍光構造に蛍光を生じさせる。蛍光305iは、ユーザの目305jによって観察することができる。
【0101】
このバックライト手法では、LED308およびそれに伴う電子構成要素が試験ゾーン305cに対するユーザの視界を遮ることはなく、かつLEDおよび電子構成要素をスパイン301に配置するのを可能にする。この実施形態では、4つのLED308が回路基板309の一方の側に、LEDスイッチ310を形成する導電レバー要素とともに取り付けられている。回路基板309の反対側の、回路基板の長穴(slot)312の真下に電池311が配置され、長穴312が、スイッチ310が電池311に接触して、LED308を照明するエネルギーを供給する電気回路を完成するためのアクセス開口部を形成している。スイッチ310は、電池311に接触しないように弾性的に偏らされている。しかし、デバイス300は、実質的に前述の実施形態に関して説明したように、スライダ307が、スパインに沿って移動してリザーバ内の液体の放出を作動させた後、休止位置に達し、スライダ307の内面上の突起313がスパインの上板301の長穴314を貫通して延びてスイッチ310に押し付けられて電子回路を完成するように構成されている。
【0102】
当業者には、広義に記載された本発明の範囲から逸脱せずに、特定の実施形態に示されているように本発明に多数の変形および/または修正を施せることが理解されよう。したがって、本実施形態はあらゆる点で例示的なものとみなされるべきであり、制限的なものとみなされるべきではない。
【符号の説明】
【0103】
1、1’ 試験層
1b 試験ストリップ層
2、2’’ カバー層
3、3’、208、304 裏打ち層
4 カプセル
10、101、102、103、200、300 デバイス
11 サンプリング部
12 試験部
13 標識保持ゾーン
14 試験ゾーン
15 試験線
16 吸収性ストリップ
17 接着剤パッド
18 中央部
19、19’ アーム
21 穴
22 折畳み線
23 指示
24 広告
31 窓
32 窓
201、202 ウイング
203 スパイン
204 鼻
205 パッド
206 穴
207 指
209 第1の内側層
210 第2の内側層
211 中央折畳み領域
215 サンプルパッド
216 v字形部分
216b 第1のアーム
217、218 舌部
219 穴
220、221 試験ストリップ
220a サンプル受入れ部
220b、305b 標識保持ゾーン
220c、305c 試験ゾーン
220d シンク
220e、305e 試験ストライプ
220f、305f 制御ストライプ
223 窓
224 突起
225 ブリスタ部材
226 底壁
228 谷部
229 箔部材
230 開口部
231 貫通可能な膜
232、307 スライダ
234 本体部
235 内側フランジ
236、313 突起
237 くぼみ
239 流路
240 くぼみ
241 停止部材
301 上板
302 本体
303 サンプルパッド
305、306 試験ストリップ
305g 防水性基板
305h 光
305i 蛍光
308 LED
309 回路基板
310 LEDスイッチ
311 電池
312、314 長穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは動物の身体の一部に調整可能に合わすことのできる可撓性の材料を含み、少なくとも一部が吸収性であり、前記身体から直接生体サンプルを受け取るように構成されるサンプリング部と、
前記サンプリング部に流体係合し、1つまたは複数の試験ゾーンを備える試験部と、
を備え、
前記サンプリング部および試験部は、前記サンプリング部によって受け取られたサンプルの少なくとも一部を、1つまたは複数の前記試験ゾーンに接触するように前記試験部に送ることができるように構成され、各試験ゾーンは、前記サンプル中の1つまたは複数の生物学的実体の有無を示すように構成されるデバイス。
【請求項2】
前記生体サンプルは、血液、血清、血漿、唾液、痰、尿、眼液、涙、精液、膣排泄物、鼻汁および鼻漏、耳排泄物、汗、粘液、糞便、ならびに羊膜液、髄液、膿瘍液、創傷液、および羊水のうちの任意の1つまたは複数を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記サンプリング部の少なくとも一部は、鼻汁サンプルを前記サンプリング部に直接供給するのを可能にするように前記身体の鼻孔領域に合わせることが可能である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記サンプリング部の少なくとも一部は、前記鼻の鼻翼または鼻翼溝に隣接する部分に接触し、前記鼻の先端を横切って延びるように合わせることができる、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記サンプリング部の少なくとも一部は、糞便サンプルを前記サンプリング部に直接供給するのを可能にするように臀裂に合わせることができる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記デバイスは、少なくともその一部が、実質的に平坦で柔軟なデバイスである、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記サンプリング部は1つまたは複数の可撓性シート部材を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
試験層を備え、前記サンプリング部および試験部は前記試験層内に含まれる、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記試験層に貼り付けられたカバー層をさらに備え、前記カバー層が、開口部を通って前記生体サンプルを前記試験層の前記サンプリング部の目標領域に送ることができる前記開口部を規定する、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記カバー層は、前記生体サンプルが前記試験部および/または前記サンプリング部の前記目標領域以外の領域に直接付着するのを防止する障壁として働く、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記試験層に貼り付けられた裏打ち層をさらに備える、請求項8から10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記裏打ち層は流体抵抗性を有する、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記カバー層および/または裏打ち層は、半透明または透明であるか、あるいは1つまたは複数の前記試験ゾーンでの前記サンプル中の1つまたは複数の生物学的実体の有無に対する反応の観察を可能にする1つまたは複数の窓を備える、請求項9から12のいずれか一項にデバイス。
【請求項14】
前記デバイスは折畳み可能であり、それによって、前記サンプルが前記サンプリング部に付着した後、前記サンプルを前記試験デバイスによって密閉することができる、請求項1から13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記デバイスを折畳み構成に維持する1つまたは複数の固定デバイスをさらに備える、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
密封されたリザーバをさらに備え、前記リザーバが、付着した生体サンプルの流動性を高めるために前記リザーバから放出可能な液体を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記リザーバは、前記デバイスの折畳み時に自動的に前記液体を放出するように構成される、請求項14または15に従属するときの請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記リザーバは、ユーザが前記デバイスを折り畳んだ後で前記リザーバに前記液体を放出させることができるように構成される、請求項14または15に従属する請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
試験層および裏打ち層を備え、前記サンプリング部および試験部は前記試験層内に含まれ、前記裏打ち層は前記試験層に貼り付けられ、前記裏打ち層は、前記デバイスが折り畳まれると前記デバイスの外側に配置されるように構成され、前記裏打ち層は、前記リザーバを操作するのを可能にし、ユーザが前記リザーバに前記液体を放出させるのを可能にする、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記リザーバは、前記液体を放出するように破壊または破裂させることができる、請求項16から19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
ハウジングを備える、請求項1から20のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記試験部はその少なくとも一部が前記ハウジングに密閉される、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記デバイスは密封されたリザーバを備え、前記リザーバが、付着した生体サンプルの流動性を高めるために前記リザーバから放出可能な液体を含み、前記リザーバは、その少なくとも一部が前記ハウジングに密閉される、請求項21または22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記ハウジングは、前記リザーバを破壊または破裂させて前記液体を放出させるように動作可能な作動機構を備える、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記試験部は、前記生体サンプル中の生物学的実体に蛍光構造を結合するように構成された標識化物質を含む標識保持ゾーンを備え、前記デバイスは、前記蛍光構造に蛍光を生じさせるのに適した波長の光を放出するように動作可能な1つまたは複数の光源をさらに備える、請求項1から24のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項26】
前記1つまたは複数の光源は、前記試験ゾーンを後方から照明するように構成される、請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記作動機構は、1つまたは複数の前記光源に照明を実行させるようにも動作可能である、請求項24に従属するときの請求項25または26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記デバイスは、生物学的実体が存在することを示すときに、前記生物学的実体および/または前記デバイスに固有のコードまたは識別子を表示するように構成される、請求項1から27のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項29】
請求項1から28のいずれか一項に記載のデバイスを使用してヒトまたは動物の身体内の生物学的実体の有無を判定する方法であって、
前記サンプリング部の前記可撓性の材料をヒトまたは動物の身体の一部に合わせるステップと、
前記サンプリング部に生体サンプルを付着させるステップと、
1つまたは複数の前記試験ゾーンでの、前記サンプル中の1つまたは複数の生物学的実体の有無についての表示を観察するステップとを含む方法。
【請求項30】
身体から直接生体サンプルを受け取るためのサンプリング部と、
前記サンプリング部と流体係合し、1つまたは複数の試験ゾーンを備える試験部と、
液体を含む密封された層と、
を備え、前記サンプリング部および試験部は、前記サンプリング部によって受け取られたサンプルの少なくとも一部を、1つまたは複数の前記試験ゾーンに接触するように前記試験部に送ることができるように構成され、各試験ゾーンは、前記サンプル中の1つまたは複数の生物学的実体の有無を示すように構成され、
前記デバイスは、折畳み可能であり、前記密封されたリザーバは、折畳みの後または間に、前記生体サンプルの流動性を高めるように前記リザーバから前記液体を放出できるように構成されるデバイス。
【請求項31】
身体から直接生体サンプルを受け取るためのサンプリング部と、
前記サンプリング部と流体係合し、1つまたは複数の試験ゾーンを備える試験部とを備え、
前記サンプリング部および試験部は、前記サンプリング部によって受け取られたサンプルの少なくとも一部を、1つまたは複数の前記試験ゾーンに接触するように前記試験部に送ることができるように構成され、各試験ゾーンは、前記サンプル中の1つまたは複数の生物学的実体の有無を示すように構成され、
前記デバイスは、生物学的実体が存在することを示すときに、前記生物学的実体および/または前記試験デバイスに固有のコードまたは識別子を表示するように構成されるデバイス。
【請求項32】
生体サンプル中の生物学的実体に関する陽性試験を検証する方法であって、
試験デバイスを使用して前記生物学的実体が存在するかどうかを試験し、前記生体サンプル中に前記生物学的実体が存在すると判定したときに、前記試験デバイスが、前記生物学的実体および/または前記試験デバイスに固有のコードまたは識別子を表示するステップと、
前記コードまたは識別子を公共医療施設に提出するステップと、
を含む方法。
【請求項33】
生体サンプル中の1つまたは複数の生物学的実体の有無を試験するように構成されたデバイスであって、
前記生体サンプル中の生物学的実体に蛍光構造を結合するように構成された標識化物質を含む標識保持ゾーン、および
前記サンプル中の1つまたは複数の生物学的実体の有無を示すように構成された試験ゾーンを備える少なくとも部分的に透明または半透明の媒体と、
光源と、
を備え、前記試験ゾーンは、前記媒体の第1の表面において見ることができ、前記光源は、前記試験ゾーンを後方から照明するように、前記媒体の、前記第1の表面と実質的に反対側に配置されるデバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate

【図7c】
image rotate

【図7d】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9a】
image rotate

【図9b】
image rotate

【図9c】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11a】
image rotate

【図11b】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13a−13c】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公表番号】特表2013−518259(P2013−518259A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550267(P2012−550267)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際出願番号】PCT/AU2011/000085
【国際公開番号】WO2011/091473
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(512197412)レスピィリオ・ピーティーワイ・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】