説明

ヒト凝固因子VII変異型

【課題】凝固活性を有するヒト凝固因子VIIa変異型ならびにこのような変異型をコードする核酸構築物、ベクターおよび核酸を含んでなりかつそれを発現する宿主細胞、医薬組成物、使用および治療法を提供する。
【解決手段】特定なアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、特定なアミノ酸配列の少なくとも位置157におけるLysに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されており、ただし変異型がFVII(Ala157)ではない、因子VIIポリペプチド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝固活性を有するヒト凝固因子VIIa変異型ならびにこのような変異型をコードする核酸構築物、ベクターおよび核酸を含んでなりかつそれを発現する宿主細胞、医薬組成物、使用および治療法に関する。
【背景技術】
【0002】
血液凝固は、究極的にフィブリン凝固を発生させる種々の血液成分 (または因子) の複雑な相互作用から成るプロセスである。一般に、血液成分は凝固「カスケード」と呼ぶプロセスに参加し、アクチベーター (それ自体活性化された凝固因子である) の作用によりタンパク質分解酵素に変換される。このような変換を行った凝固因子一般に「活性因子」と呼び、そして凝固因子の名称への文字「a」に付加により表示される (例えば、ヒト因子VIIa)。
【0003】
止血プロセスの開始は、血管壁に対する外傷の結果暴露される組織因子とヒト因子VIIaとの間の複合体の形成により仲介される。次いで、この複合体は因子IXおよびXをそれらの活性形態に変換する。因子Xaは組織因子支持細胞上で制限された量のプロトロンビンをトロンビンに変換する。トロンビンは血小板および因子Vおよび因子IIIを因子Vaおよび因子VIIIaに活性化し、それ以上のプロセスにおける両方のコファクターはトロンビンの完全な破裂に導く。このプロセスは因子Xaおよび因子IXa (因子VIIIaとの複合体中の) の発生を含み、活性化された血小板上で起こる。トロンビンは最終的にフィブリノゲンをフィブリンに変換し、フィブリン凝固を形成する。近年において、因子VIIおよび組織因子は血液凝固の主要なイニシエーターであることが見出された。
【0004】
因子VIIは血液中を一本鎖チモーゲンとして循環する微量の血漿糖タンパク質である。チモーゲンは触媒的に不活性である。一本鎖因子VIIをin vitroにおいて因子Xa、因子XIIa、因子IXa、因子VIIaまたはトロンビンにより二本鎖因子VIIaに変換することができる。止血作用に関係するいくつかの他の血漿タンパク質と同様に、タンパク質のアミノ末端に密接してクラスターする、多数のグルタミン酸残基のγ−カルボキシル化のために必要とされる活性のためにビタミンKに因子VIIは依存する。これらのγ−カルボキシル化グルタミン酸は、因子VIIとリン脂質との金属イオン誘導相互作用のために要求される。チモーゲン因子VIIの活性化二本鎖分子への変換は、内部のArg162−Ile163ペプチド結合の切断により起こる。組織因子、リン脂質およびカルシウムイオンの存在において、二本鎖因子VIIaは制限されたタンパク質分解により因子Xまたは因子IXを急速に活性化する。
【0005】
被検体における凝固カスケードを改良することはしばしば望ましい。いくつかの原因を有する出血性障害、例えば、凝固因子 (例えば、血友病AおよびBまたは凝固因子IXまたはVII) または凝固因子インヒビターを制御するために、因子VIIaは使用されてきている。また、正常に機能する血液凝固カスケードを有する (凝固因子障害または凝固因子のいずれかに対するインヒビターをもたない) 被検体における過度の出血の発生を防除するために、因子VIIaは使用されてきている。このような出血は、例えば、不十分な血小板機能、血小板減少症またはフォン・ウィルブランド病により引き起こされる。出血は、また、外科手術および他の形態の損傷と関連して主要な問題である。
【0006】
欧州特許No. 200,421 (ZymoGenetics)は、ヒト因子VIIをコードするヌクレオチド配列および哺乳動物細胞における因子VIIの組換え発現に関する。
Dickinson et al. (Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1996) 93、14379−14384) は、Lys 157、Val 158、Glu 296、Met 298、Asp 334、Ser 336またはLys 337がAlaにより個々に置換されている、因子VII変異型に関する。
【0007】
Iwanaga et al. (Thrombo. Haemost. (supplement August 1999)、466、abstract 1474) は、残基316〜320が欠失されているか、あるいは残基311〜322がトリプシンからの対応する残基で置換されている、FVIIa) に関する。
しかしながら、凝固活性を有する因子VIIaの変異型、比較的低い投与量で投与することができる高い活性を有する変異型、および望ましくない副作用、例えば、慣用治療に関連する、それぞれ、凝固系の系統的活性化および出血を生成しない変異型がなお必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、凝固活性を有する凝固因子VIIaポリペプチドを提供する。
第1の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、配列番号1の少なくとも位置157におけるLysに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されており、ただし変異型がFVII (Ala 157) ではない、因子VIIポリペプチドを提供する。
【0009】
第2の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、配列番号1の少なくとも位置337におけるLysに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されており、ただし変異型はFVII (Ala 337) ではない、因子VIIポリペプチドを提供する。
第3の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、配列番号1の少なくとも位置334におけるAspに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されており、ただし変異型はFVII (Ala 334) ではない、因子VIIポリペプチドを提供する。
【0010】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、配列番号1の少なくとも位置336におけるSerに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されており、ただし変異型はFVII (Ala 336) ではない、因子VIIポリペプチドを提供する。
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、配列番号1の少なくとも位置158におけるValに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されており、ただし変異型はFVII (Ala 158) ではない、因子VIIポリペプチドを提供する。
【0011】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、配列番号1の少なくとも位置296におけるGluに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されており、ただし変異型はFVII (Ala 296) ではない、因子VIIポリペプチドを提供する。
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、配列番号1の少なくとも位置298におけるMetに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されており、ただし変異型はFVII (Ala 298) ではない、因子VIIポリペプチドを提供する。
【0012】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の位置157におけるLys、位置337におけるLys、位置334におけるAsp、位置336におけるSer、位置158におけるVal、位置296におけるGluおよび位置298におけるMetから成る群から独立して選択される1つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されており、ただし変異型がFVII (Ala 157)、FVII (Ala 334)、FVII (Ala 336)、FVII (Ala 337)、FVII (Ala 158)、FVII (Ala 296) またはFVII (Ala 298) ではない、配列番号1の配列を有する因子VIIポリペプチド。
【0013】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の位置157におけるLys、位置337におけるLys、位置334におけるAsp、位置336におけるSer、位置158におけるVal、位置296におけるGluおよび位置298におけるMetから成る群から独立して選択される2つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1の配列を有する因子VIIポリペプチドを提供する。
【0014】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の位置157におけるLys、位置337におけるLys、位置334におけるAsp、位置336におけるSer、位置158におけるVal、位置296におけるGluおよび位置298におけるMetから成る群から独立して選択される3つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1の配列を有する因子VIIポリペプチドを提供する。
【0015】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の位置157におけるLys、位置337におけるLys、位置334におけるAsp、位置336におけるSer、位置158におけるVal、位置296におけるGluおよび位置298におけるMetから成る群から独立して選択される4つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1の配列を有する因子VIIポリペプチドを提供する。
【0016】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の位置157におけるLys、位置337におけるLys、位置334におけるAsp、位置336におけるSer、位置158におけるVal、位置296におけるGluおよび位置298におけるMetから成る群から独立して選択される5つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1の配列を有する因子VIIポリペプチドを提供する。
【0017】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の位置157におけるLys、位置337におけるLys、位置334におけるAsp、位置336におけるSer、位置158におけるVal、位置296におけるGluおよび位置298におけるMetから成る群から独立して選択される6つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1の配列を有する因子VIIポリペプチドを提供する。
【0018】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の位置157におけるLys、位置337におけるLys、位置334におけるAsp、位置336におけるSer、位置158におけるVal、位置296におけるGluおよび位置298におけるMetから成るアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1の配列を有する因子VIIポリペプチドを提供する。
【0019】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の位置157におけるLys残基および位置337におけるLys残基および位置334におけるAsp残基および位置336におけるSer残基および位置158におけるVal残基および位置296におけるGlu残基および位置298におけるMet残基の1または2以上が核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されておりかつ、必要に応じて、プロテアーゼドメイン中の残りの位置における1または2以上の追加のアミノ酸残基が核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されており、ただし変異型がFVII (Ala 157)、FVII (Ala 334)、FVII (Ala 336)、FVII (Ala 337)、FVII (Ala 158)、FVII (Ala 296) またはFVII (Ala 298) ではない、凝固因子VII変異型を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1−1】図1-1は、自然ヒト凝固因子VIIの完全なアミノ酸配列 (配列番号1) を示す。
【図1−2】図1-2は、自然ヒト凝固因子VIIの完全なアミノ酸配列 (配列番号1) を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
用語「FVII (Ala 157) 」は、本明細書において使用するとき、配列番号1の位置157におけるLysがアラニンにより置換されている、配列番号1の配列を有する凝固因子VII変異型を意味する。この用語は、例えば、配列番号1の位置における2つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、凝固因子VII変異型を包含しない。
用語「FVII (Ala 337) 」は、本明細書において使用するとき、配列番号1の位置337におけるLysがアラニンにより置換されている、配列番号1の配列を有する凝固因子VII変異型を意味する。この用語は、例えば、配列番号1の位置における2つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、凝固因子VII変異型を包含しない。
【0022】
用語「FVII (Ala 334) 」は、本明細書において使用するとき、配列番号1の位置334におけるAspがアラニンにより置換されている、配列番号1の配列を有する凝固因子VII変異型を意味する。この用語は、例えば、配列番号1の位置における2つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、凝固因子VII変異型を包含しない。
用語「FVII (Ala 336) 」は、本明細書において使用するとき、配列番号1の位置336におけるSerがアラニンにより置換されている、配列番号1の配列を有する凝固因子VII変異型を意味する。この用語は、例えば、配列番号1の位置における2つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、凝固因子VII変異型を包含しない。
【0023】
用語「FVII (Ala 158) 」は、本明細書において使用するとき、配列番号1の位置158におけるValがアラニンにより置換されている、配列番号1の配列を有する凝固因子VII変異型を意味する。この用語は、例えば、配列番号1の位置における2つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、凝固因子VII変異型を包含しない。
用語「FVII (Ala 296) 」は、本明細書において使用するとき、配列番号1の位置296におけるGluがアラニンにより置換されている、配列番号1の配列を有する凝固因子VII変異型を意味する。この用語は、例えば、配列番号1の位置における2つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、凝固因子VII変異型を包含しない。
【0024】
用語「FVII (Ala 298) 」は、本明細書において使用するとき、配列番号1の位置298におけるMetがアラニンにより置換されている、配列番号1の配列を有する凝固因子VII変異型を意味する。この用語は、例えば、配列番号1の位置における2つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、凝固因子VII変異型を包含しない。
【0025】
それ以上の面において、本発明は、本発明の因子VIIポリペプチドをコードする核酸構築物に関する。
それ以上の面において、本発明は、因子VII変異型をコードするヌクレオチド配列をコードする核酸構築物を提供する。
それ以上の面において、本発明は、FVIIa変異型をコードする核酸構築物対応する組換えベクターを提供する。
それ以上の面において、本発明は、核酸構築物または他のベクターを含んでなる組換え宿主細胞を提供する。
それ以上の面において、本発明は、核酸構築物を含有しかつそれを発現するトランスジェニック動物を提供する。
【0026】
それ以上の面において、本発明は、核酸構築物を含有しかつそれを発現するトランスジェニック植物を提供する。
それ以上の面において、本発明は、核酸構築物の発現を可能とする条件下に適当な増殖培地中で核酸構築物を含んでなる細胞を培養し、生ずるポリペプチドを培地から回収することを含んでなる、本発明の因子VIIポリペプチドを産生する方法に関する。
【0027】
それ以上の面において、本発明は、核酸構築物の発現を可能とする条件下に適当な増殖培地中で核酸構築物を含んでなる細胞を培養し、生ずるポリペプチドを培地から回収することを含んでなる、本発明の因子VII変異型を産生する方法に関する。
それ以上の面において、本発明は、トランスジェニック動物により産生されたミルクからポリペプチドを回収する、因子VIIポリペプチドを産生する方法に関する。
【0028】
それ以上の面において、本発明は、トランスジェニック動物により産生されたミルクからポリペプチドを回収する、因子VII変異型を産生する方法に関する。
それ以上の面において、本発明は、核酸構築物を含んでなるトランスジェニック植物の細胞を培養し、生ずる植物からポリペプチドを回収することを含んでなる、本発明の因子VIIポリペプチドを産生する方法に関する。
それ以上の面において、本発明は、トランスジェニック植物の細胞を培養し、生ずる植物から変異型を回収することを含んでなる、本発明の因子VII変異型を産生する方法。
【0029】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の少なくとも位置157におけるLysに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物に関する。
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の少なくとも位置337におけるLysに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物に関する。
【0030】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の少なくとも位置334におけるAspに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物に関する。
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の少なくとも位置336におけるSerに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物に関する。
【0031】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の少なくとも位置158におけるValに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物に関する。
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の少なくとも位置296におけるGluに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物に関する。
【0032】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の少なくとも位置298におけるMetに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物に関する。
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の位置157におけるLys残基および位置337におけるLys残基および位置334におけるAsp残基および位置336におけるSer残基および位置158におけるVal残基および位置296におけるGlu残基および位置298におけるMet残基の1または2以上が核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されている、凝固因子VII変異型と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる、医薬組成物を提供する。
【0033】
それ以上の面において、本発明は、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する薬剤を製造するための、配列番号1の少なくとも位置157におけるLysに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型の使用に関する。
それ以上の面において、本発明は、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する薬剤を製造するための、配列番号1の少なくとも位置337におけるLysに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型の使用に関する。
【0034】
それ以上の面において、本発明は、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する薬剤を製造するための、配列番号1の少なくとも位置334におけるAspに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型の使用に関する。
それ以上の面において、本発明は、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する薬剤を製造するための、配列番号1の少なくとも位置336におけるSerに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型の使用に関する。
【0035】
それ以上の面において、本発明は、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する薬剤を製造するための、配列番号1の少なくとも位置158におけるValに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型の使用に関する。
それ以上の面において、本発明は、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する薬剤を製造するための、配列番号1の少なくとも位置296におけるGluに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型の使用に関する。
【0036】
それ以上の面において、本発明は、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する薬剤を製造するための、配列番号1の少なくとも位置298におけるMetに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型の使用に関する。
【0037】
それ以上の面において、本発明は、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する薬剤を製造するための、配列番号1の位置157におけるLys残基および位置337におけるLys残基および位置334におけるAsp残基および位置336におけるSer残基および位置158におけるVal残基および位置296におけるGlu残基および位置298におけるMet残基の1または2以上が核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されている、凝固因子VII変異型の使用を提供する。
【0038】
それ以上の面において、本発明は、治療を必要とする患者に、治療的または予防的に有効量の配列番号1の少なくとも位置157におけるLysに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型を投与することを含んでなる、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する方法に関する。
それ以上の面において、本発明は、治療を必要とする患者に、治療的または予防的に有効量の配列番号1の少なくとも位置337におけるLysに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型を投与することを含んでなる、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する方法に関する。
【0039】
それ以上の面において、本発明は、治療を必要とする患者に、治療的または予防的に有効量の配列番号1の少なくとも位置334におけるAspに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型を投与することを含んでなる、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する方法に関する。
それ以上の面において、本発明は、治療を必要とする患者に、治療的または予防的に有効量の配列番号1の少なくとも位置336におけるSerに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型を投与することを含んでなる、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する方法に関する。
【0040】
それ以上の面において、本発明は、治療を必要とする患者に、治療的または予防的に有効量の配列番号1の少なくとも位置158におけるValに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型を投与することを含んでなる、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する方法に関する。
それ以上の面において、本発明は、治療を必要とする患者に、治療的または予防的に有効量の配列番号1の少なくとも位置296におけるGluに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型を投与することを含んでなる、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する方法に関する。
【0041】
それ以上の面において、本発明は、治療を必要とする患者に、治療的または予防的に有効量の配列番号1の少なくとも位置298におけるMetに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型を投与することを含んでなる、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する方法に関する。
【0042】
それ以上の面において、治療を必要とする患者に、治療的または予防的に有効量の配列番号1の位置157におけるLys残基および位置337におけるLys残基および位置334におけるAsp残基および位置336におけるSer残基および位置158におけるVal残基および位置296におけるGlu残基および位置298におけるMet残基の1または2以上が核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されている、凝固因子VII変異型を投与することを含んでなる、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する方法を提供する。
【0043】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の位置157におけるLys残基および位置337におけるLys残基および位置334におけるAsp残基および位置336におけるSer残基および位置158におけるVal残基および位置296におけるGlu残基および位置298におけるMet残基の1または2以上が核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されておりかつ、必要に応じて、プロテアーゼドメイン中の残りの位置における1または2以上の追加のアミノ酸残基が核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されており、ただし変異型がFVII (Ala 157)、FVII (Ala 334)、FVII (Ala 336)、FVII (Ala 337)、FVII (Ala 158)、FVII (Ala 296) またはFVII (Ala 298) ではない、凝固因子VII変異型と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる、医薬組成物を提供する。
【0044】
それ以上の面において、本発明は、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する薬剤を製造するための、配列番号1の位置157におけるLys残基および位置337におけるLys残基および位置334におけるAsp残基および位置336におけるSer残基および位置158におけるVal残基および位置296におけるGlu残基および位置298におけるMet残基の1または2以上が核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されておりかつ、必要に応じて、プロテアーゼドメイン中の残りの位置における1または2以上の追加のアミノ酸残基が核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されており、ただし変異型がFVII (Ala 157)、FVII (Ala 334)、FVII (Ala 336)、FVII (Ala 337)、FVII (Ala 158)、FVII (Ala 296) またはFVII (Ala 298) ではない、凝固因子VII変異型の使用を提供する。
【0045】
それ以上の面において、治療を必要とする患者に、治療的または予防的に有効量の配列番号1の位置157におけるLys残基および位置337におけるLys残基および位置334におけるAsp残基および位置336におけるSer残基および位置158におけるVal残基および位置296におけるGlu残基および位置298におけるMet残基の1または2以上が核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されておりかつ、必要に応じて、プロテアーゼドメイン中の残りの位置における1または2以上の追加のアミノ酸残基が核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されており、ただし変異型がFVII (Ala 157)、FVII (Ala 334)、FVII (Ala 336)、FVII (Ala 337)、FVII (Ala 158)、FVII (Ala 296) またはFVII (Ala 298) ではない、凝固因子VII変異型を投与することを含んでなる、出血性障害を治療または予防しまたは正常の止血作用系を増強する方法を提供する。
【0046】
本発明の1つの態様において、因子VIIポリペプチドは、配列番号1の位置157におけるLysに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、ポリペプチドである。
それ以上の面において、因子VIIポリペプチドは、配列番号1の位置337におけるLysに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、ポリペプチドである。
それ以上の面において、因子VIIポリペプチドは、配列番号1の位置334におけるAspに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、ポリペプチドである。
【0047】
それ以上の面において、因子VIIポリペプチドは、配列番号1の位置336におけるSerに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、ポリペプチドである。
それ以上の面において、因子VIIポリペプチドは、配列番号1の位置158におけるValに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、ポリペプチドである。
それ以上の面において、因子VIIポリペプチドは、配列番号1の位置296におけるGluに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、ポリペプチドである。
【0048】
それ以上の面において、因子VIIポリペプチドは、配列番号1の位置298におけるMetに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、ポリペプチドである。
それ以上の面において、因子VIIポリペプチドは、プロテアーゼドメイン中の残りの位置における少なくとも1つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、ポリペプチドである。
本発明のそれ以上の態様において、因子VIIポリペプチドは、プロテアーゼドメイン中の残りの位置における最大20のアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、ポリペプチドである。
【0049】
本発明のそれ以上の態様において、因子VIIポリペプチドは、配列番号1の159〜170から選択される位置に対応する少なくとも1つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、ポリペプチドである。
本発明のそれ以上の態様において、因子VIIポリペプチドは、配列番号1の290〜312から選択される位置に対応する少なくとも1つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、ポリペプチドである。
本発明のそれ以上の態様において、因子VIIポリペプチドは、配列番号1の330〜339から選択される位置に対応する少なくとも1つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、ポリペプチドである。
【0050】
本発明のそれ以上の態様において、因子VIIポリペプチドは、配列番号1の位置157における前記LysがGly、Val、Ser、Thr、Asn、Gln、Asp、およびGluから成る群から選択されるアミノ酸により置換されている、ポリペプチドである。
本発明のそれ以上の態様において、因子VIIポリペプチドは、配列番号1の位置337における前記LysがAla、Gly、Val、Ser、Thr、Asn、Gln、Asp、およびGluから成る群から選択されるアミノ酸により置換されている、ポリペプチドである。
本発明のそれ以上の態様において、因子VIIポリペプチドは、配列番号1の位置334における前記AspがGly、およびGluから成る群から選択されるアミノ酸により置換されている、ポリペプチドである。
【0051】
本発明のそれ以上の態様において、因子VIIポリペプチドは、配列番号1の位置336における前記SerがGly、およびGluから成る群から選択されるアミノ酸により置換されている、ポリペプチドである。
本発明のそれ以上の態様において、因子VIIポリペプチドは、配列番号1の位置158における前記ValがSer、Thr、Asn、Gln、Asp、およびGluから成る群から選択されるアミノ酸により置換されている、ポリペプチドである。
本発明のそれ以上の態様において、因子VIIポリペプチドは、配列番号1の位置296における前記GluがArg、Lys、およびGluから成る群から選択されるアミノ酸により置換されている、ポリペプチドである。
【0052】
本発明のそれ以上の態様において、因子VIIポリペプチドは、配列番号1の位置298における前記MetがLys、Arg、Gln、およびGluから成る群から選択されるアミノ酸により置換されている、ポリペプチドである。
本発明のそれ以上の態様において、因子VIIポリペプチドは、アミノ酸が核酸構築物によりコードことができる異なるアミノ酸により置換されている、ポリペプチドである。
本発明のそれ以上の態様において、因子VIIポリペプチドは、前記因子VIIポリペプチドがヒト因子VIIである、ポリペプチドである。
【0053】
本発明のそれ以上の態様において、因子VIIポリペプチドは、前記因子VIIポリペプチドがヒト因子VIIaである、ポリペプチドである。
本発明のそれ以上の態様において、因子VIIポリペプチドは、 [E296V]−FVII、[M298Q]−FVII、および [S336G]−FVIIから成る群から独立して選択される因子VIIポリペプチドである、ポリペプチドである。
本発明のそれ以上の態様において、因子VIIポリペプチドは、 [V158T/M298K]−FVII、[E296V/M298Q]−FVII、[V158D/E296V]−FVII、[V158D/M298Q]−FVII、および [V158D/M298K]−FVIIから成る群から独立して選択される因子VIIポリペプチドである、ポリペプチドである。
【0054】
本発明のそれ以上の態様において、因子VIIポリペプチドは、 [V158D/E296V]−FVIIである、ポリペプチドである。
本発明のそれ以上の態様において、因子VIIポリペプチドは、 [V158D/E296V/M298Q/K337A]−FVIIである、ポリペプチドである。
【0055】
本発明のそれ以上の態様において、因子VII変異型は、配列番号1の位置157におけるLys残基および位置337におけるLys残基および位置334におけるAsp残基および位置336におけるSer残基および位置158におけるVal残基および位置296におけるGlu残基および位置298におけるMet残基の1または2以上が核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されておりかつ、必要に応じて、プロテアーゼドメイン中の残りの位置における1または2以上の追加のアミノ酸残基が核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されており、ただし変異型がFVII (Ala 157)、FVII (Ala 334)、FVII (Ala 336)、FVII (Ala 337)、FVII (Ala 158)、FVII (Ala 296) またはFVII (Ala 298) ではない、変異型である。
【0056】
1つの態様において、因子VII変異型は、因子VII変異型は、配列番号1の位置157におけるLys残基および位置337におけるLys残基および位置334におけるAsp残基および位置336におけるSer残基および位置158におけるVal残基および位置296におけるGlu残基および位置298におけるMet残基の1または2以上が核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されており、ただし変異型がFVII (Ala 157)、FVII (Ala 334)、FVII (Ala 336)、FVII (Ala 337)、FVII (Ala 158)、FVII (Ala 296) またはFVII (Ala 298) ではない、変異型である。
【0057】
それ以上の態様において、配列番号1の位置157におけるLys残基および位置337におけるLys残基の1または2以上は核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されている。
それ以上の態様において、配列番号1の位置157におけるLys残基および位置158におけるVal残基および位置296におけるGlu残基の1または2以上は核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されている。
それ以上の態様において、配列番号1の位置157におけるLys残基と、位置158におけるVal残基および位置296におけるGlu残基および位置298におけるMet残基の1または2以上は核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されている。
【0058】
それ以上の態様において、配列番号1の位置157におけるLys残基および位置334におけるAsp残基および位置336におけるSer残基の1または2以上は核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されている。
それ以上の態様において、配列番号1の位置157におけるLys残基と、位置334におけるAsp残基および位置336におけるSer残基の1または2以上は核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されている。
それ以上の態様において、配列番号1の位置337におけるLys残基および位置158におけるVal残基および位置296におけるGlu残基および位置298におけるMet残基の1または2以上は核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されている。
【0059】
それ以上の態様において、配列番号1の位置337におけるLys残基と、位置158におけるVal残基および位置296におけるGlu残基および位置298におけるMet残基の1または2以上は核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されている。
それ以上の態様において、配列番号1の位置337におけるLys残基および位置334におけるAsp残基および位置336におけるSer残基の1または2以上は核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されている。
【0060】
それ以上の態様において、配列番号1の位置337におけるLys残基と、位置334におけるAsp残基および位置336におけるSer残基の1または2以上は核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されている。
それ以上の態様において、配列番号1の位置158におけるVal残基と、位置296におけるGlu残基および位置298におけるMet残基の1または2以上と、位置334におけるAspおよび位置336におけるSerの1または2以上は核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されている。
【0061】
それ以上の態様において、配列番号1の位置157におけるLys残基は核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されている。
それ以上の態様において、配列番号1の位置337におけるLys残基は核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されている。
それ以上の態様において、配列番号1の位置158におけるVal残基および位置296におけるGlu残基および位置298におけるMet残基の1または2以上は核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されている。
【0062】
それ以上の態様において、配列番号1の位置334におけるAsp残基および位置336におけるSer残基の1または2以上は核酸構築物によりコードすることができる他のアミノ酸残基により置換されている。
それ以上の態様において、位置157におけるLys残基はGly、Val、Ser、Thr、Asn、Gln、AspまたはGluにより置換されており、および/または位置337におけるLys残基はGly、Val、Ser、Thr、Asn、Gln、AspまたはGluにより置換されており、および/または位置158におけるVal残基はSer、Thr、Asn、Gln、AspまたはGluにより置換されており、および/または位置296におけるGlu残基はArg、LysまたはValはにより置換されており、および/または位置298におけるMet残基はArg、Lys、GlnまたはAsnにより置換されており、および/または位置334におけるAsp残基はGluにより置換されており、および/または位置336におけるSer残基はGluにより置換されている。
【0063】
それ以上の態様において、位置157におけるLys残基または位置337におけるLys残基または位置334におけるAsp残基または位置336におけるSer残基は置換されている唯一のアミノ酸残基である。
それ以上の態様において、位置158におけるVal残基または位置296におけるGlu残基または位置298におけるMet残基は置換されている唯一のアミノ酸残基である。
【0064】
それ以上の態様において、本発明による変異型の活性と、配列番号1に示す自然因子VIIポリペプチドの活性との間の比は、本明細書において定義する「in vitro加水分解アッセイ」において試験したとき、少なくとも約1.25である。他の態様において、比は少なくとも約2.0である;他の態様において、少なくとも約4.0である。
それ以上の態様において、プロテアーゼドメイン中の位置312におけるGln残基は置換されていない。
それ以上の態様において、組換え宿主細胞は哺乳動物由来である。他の態様において、細胞はCHO細胞、BHK細胞またはHEK細胞から成る群から選択される。
【0065】
それ以上の態様において、プロテアーゼドメイン中の残留位置 (位置153〜406) における最大20の追加のアミノ酸残基が置換されている。1つの態様において、最大10のアミノ酸残基が置換されている;他の態様において、最大5つのアミノ酸残基が置換されている。
それ以上の態様において、位置157、337、158、298、334、または336は置換されている唯一のアミノ酸残基である。
【0066】
それ以上の態様において、位置157および位置337におけるLys残基の一方または両方は中性アミノ酸残基により置換されているか、あるいは残基の1つは負に帯電したアミノ酸残基により置換されているか、あるいは1つのLys残基は中性アミノ酸残基により置換されておりかつ1つのLys残基は負に帯電したアミノ酸残基により置換されている。
それ以上の態様において、位置334におけるAsp残基および位置336におけるSer残基の一方または両方は水素結合を形成するおよび/または塩架橋を形成することができるアミノ酸残基により置換されているか、あるいは残基の一方または両方は小さいアミノ酸残基により置換されている。
【0067】
それ以上の態様において、位置157におけるLys残基および/または位置337におけるLys残基は置換されている唯一のアミノ酸残基である。1つの態様において、位置157におけるLys残基は置換されている。他の態様において、位置337におけるLys残基は置換されている。
それ以上の態様において、位置158におけるVal残基および/または位置298におけるMet残基は置換されている。
それ以上の態様において、位置334におけるAsp残基および/または位置336におけるSer残基は置換されている。
【0068】
それ以上の態様において、位置157におけるLys残基はVal、Leu、Ile、Met、Phe、Trp、Pro、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Glu、Arg、His、Asp、およびGlnのリストから選択されるアミノ酸残基により置換されている。他の態様において、位置157におけるLys残基はGly、Val、Ser、Thr、Asn、Gln、Asp、およびGluから成る群から選択されるアミノ酸残基により置換されている。
それ以上の態様において、位置337におけるLys残基はVal、Leu、Ile、Met、Phe、Trp、Pro、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Glu、Arg、His、Asp、およびGlnのリストから選択されるアミノ酸残基により置換されている。他の態様において、位置337におけるLys残基はGly、Val、Ser、Thr、Asn、Gln、AspまたはGluから成る群から選択されるアミノ酸残基により置換されている。
【0069】
それ以上の態様において、位置158におけるVal残基はLeu、Ile、Met、Phe、Trp、Pro、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Glu、Arg、His、AspおよびGlnのリストから選択されるアミノ酸残基により置換されている。それ以上の態様において、位置158におけるVal残基はSer、Thr、Asn、Gln、AspおよびGluから成る群から選択されるアミノ酸残基により置換されている。
それ以上の態様において、位置296におけるGlu残基はVal、Leu、Ile、Met、Phe、Trp、Pro、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Lys、Arg、His、AspまたはGlnのリストから選択されるアミノ酸残基により置換されている。それ以上の態様において、残基はArg、LysまたはValにより置換されている。
【0070】
それ以上の態様において、位置298におけるMet残基はVal、Leu、Ile、Phe、Trp、Pro、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Lys、Arg、His、Glu、AspまたはGlnのリストから選択されるアミノ酸残基により置換されている。それ以上の態様において、残基はLys、Arg、GlnまたはAsnにより置換されている。
それ以上の態様において、位置334におけるAsp残基はGlyおよびGluにより置換されている。
それ以上の態様において、位置336におけるSer残基はGlyおよびGluにより置換されている。
【0071】
それ以上の態様において、本発明による変異型の活性と、配列番号1に示す自然因子VIIポリペプチドの活性との間の比は、本明細書 (実施例11) において定義する「in vitro加水分解アッセイ」において試験したとき、少なくとも約1.25である。他の態様において、比は少なくとも約2.0である;なお他の態様において、少なくとも約4.0である。
【0072】
それ以上の態様において、因子VII変異型は、位置157、158、296、298、334、336または337における既に述べたアミノ酸置換およびプロテアーゼドメイン中のどこかの任意のアミノ酸置換に加えて、また、N末端のGlaドメイン (残基1〜37) において置換された、いくつかのアミノ酸残基を有する。1つの態様において、因子VIIの位置10および32 (配列番号1参照) におけるアミノ酸残基の1または2以上は、核酸構築物によりコードことができる他のアミノ酸残基により置換されている。1つの態様において、位置10におけるアミノ酸残基ProはGln、His、Gln、AsnまたはLysにより置換されている;および/または位置32におけるアミノ酸残基LysはGlu、GlnまたはAsnにより置換されている。
【0073】
本明細書において、アミノ酸は、IUPAC−IUBコミッション・オン・バイオケミカル・ノメンクレイチュアー (Commission on Biochemical Nomenclature) (CBN) により承認された、略号 (表1に示されている) を使用して表示される。名称または下記の略号により表される異性体を有するアミノ酸およびその他は、特記しない限り、自然においてL−型である。さらに、ペプチドのアミノ酸配列の左右の末端は、特記しない限り、それぞれN末端およびC末端である。
【0074】
【表1】

【0075】
アミノ酸残基Lys 157、Val 158、Glu 296、Met 298、Asp 334、Ser 336またはLys 337の少なくとも1つ (および必要に応じて1または2以上の追加の残基) が他のアミノ酸により置換されている因子VIIaは凝固活性を有することが今回発見された。
プロテアーゼドメインのアミノ末端の挿入に影響を与え、これによりIle 153の末端アミノ基とAsp 343の側鎖との間の塩架橋に依存する因子VIIaの凝固活性コンフォメーションの形成に影響を与えると考えられる領域に、残基は位置する。置換は静電的反発を除去し、水素結合を付加するか、あるいはそうでなければアミノ末端の挿入を促進する。
【0076】
自然FVIIaに比較して記載する因子VIIa変異型の固有の活性は高いために、作用部位において機能的に適切な濃度を得るためにより少ない投与量が適切であることが予測され、こうして、出血性エピソードを有するか、あるいは正常の止血作用系の増強を必要とする被検体により少ない投与量の投与を可能とするであろう。
【0077】
簡単に前述したように、位置157におけるLys残基および位置337におけるLys残基および位置158におけるVal残基および位置296におけるGlu残基および位置298におけるMet残基および位置334におけるAsp残基および位置336におけるSer残基の1または2以上を置換することによって、因子VIIaは通常組織因子により誘導しなくてはならないより高い活性のコンフォメーションを自発的に獲得するであろうことを、本発明者らは仮定する。このような因子VIIa変異型は、前凝固活性が組織因子に対して独立である状況 (血小板上の因子Xaの発生) において、例えば、高い投与量のNovoSevenTMを投与するとき、療法的に有用である、固有の活性を示す。
【0078】
プロテアーゼドメイン中の追加のアミノ酸残基の置換は、位置157におけるLys残基および位置337におけるLys残基および位置158におけるVal残基および位置296におけるGlu残基および位置298におけるMet残基および位置334におけるAsp残基および位置336におけるSer残基の1または2以上の置換により得られた効果に加えて、分子の活性コンフォメーションの形成を促進することができる。しかしながら、前述の突然変異をこれらの7つの残基の近傍において(順次にまたは三次元的に) 実施するとき、大部分の顕著な効果は見られる。
【0079】
因子VIIのGlaドメイン (残基1〜37) 中のわずかのアミノ酸残基置換は、膜リン脂質、例えば、組織因子支持細胞または血小板の膜リン脂質に対して実質的に高いアフィニティーを有するタンパク質を提供することができる。こうして、因子VII変異型は、位置157、158、296、298、334、336または337における既に述べたアミノ酸置換およびプロテアーゼドメイン中のどこかの任意のアミノ酸置換に加えて、また、N末端のGlaドメインにおいて置換された、いくつかのアミノ酸残基を有し、これにより自然因子VIIに比較して増加した活性ならびに膜リン脂質に対して増加したアフィニティーを有するタンパク質が得られる。
【0080】
好ましくは、因子VIIの位置10および32 (配列番号1参照) におけるアミノ酸残基は、核酸構築物によりコードことができる他のアミノ酸残基により置換することができる。前述の位置の中に組込むために好ましいアミノ酸残基の例は、次の通りである:位置10におけるアミノ酸残基ProはGln、His、Gln、AsnまたはLysにより置換されている;および/または位置32におけるアミノ酸残基LysはGlu、GlnまたはAsnにより置換されている。
【0081】
異なるリン脂質アフィニティーおよびビタミンK依存性血漿タンパク質の配列に基づいて、Glaドメイン中の他の残基を置換のために考慮することもできる。
本発明の関係において、アミノ酸の3文字指示を慣用の意味において使用することができる。特記しない限り、本明細書に記載するアミノ酸はL−アミノ酸である。
用語「N末端のGLA−ドメイン」は、FVIIのアミノ酸配列1〜37を意味する。
用語「プロテアーゼドメイン」は、FVIIのアミノ酸配列153〜406 (FVIIaの重鎖)を意味する。
【0082】
3文字指示「GLA」は、4−カルボキシグルタミン酸 (γ−カルボキシグルタメート) を意味する。
用語「中性アミノ酸残基」(pH 5〜8) は、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Met、Phe、Trp、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Glnのリストから選択されるアミノ酸を含んでなることを意図する。
用語「小さいアミノ酸」は、Gly、GluおよびAlaから選択されるアミノ酸を含んでなることを意図する。
【0083】
用語「負に帯電したアミノ酸」(pH 6〜8) は、AspおよびGluから選択されるアミノ酸を含んでなることを意図する。
用語「因子VIIポリペプチド」は、本明細書において使用するとき、自然ヒト因子VIIのアミノ酸配列1〜406 (配列番号1) を含んでなるタンパク質またはそれらの変異型を意味する。これはヒト因子VII、ヒト因子VIIaおよびそれらの変異型を包含するが、これらに限定されない。
【0084】
用語「因子VII」は、本明細書において使用するとき、不活性一本鎖チモーゲン因子VII分子ならびに活性化二本鎖因子VII分子 (因子VIIa) を含んでなることを意図する。これは自然ヒト因子VIIまたは因子VIIaのアミノ酸配列1〜406を有するタンパク質を包含する。また、それはわずかに修飾されたアミノ酸配列、例えば、N末端アミノ酸の欠失または付加を包含する修飾されたN末端を有するタンパク質を包含する。ただし、それらのタンパク質は因子VIIaの活性を実質的に保持しなくてはならない。用語「因子VIIa」または「FVIIa」は、本明細書において使用するとき、活性化された (因子VIIa) から成る産物を意味する。上記定義の範囲内の「因子VIIa」または「FVIIa」は、また、個々に存在し、発生することがある天然のアレレ変異型を包含する。また、グリコシル化または他の翻訳後の変更の程度および位置は、選択した宿主細胞および宿主細胞環境の特質に依存する変化することがある。
【0085】
用語「変異型」は、本明細書において使用するとき、親タンパク質の1または2以上のアミノ酸が他のアミノ酸により置換されているおよび/または親タンパク質の1または2以上のアミノ酸が欠失されているおよび/または1または2以上のアミノ酸がタンパク質の中に挿入されているおよび/または1または2以上のアミノ酸が親タンパク質に付加されている、配列番号1の配列を有する因子VIIを表示することを意図する。このような付加は、親タンパク質のN末端またはC末端または両方で起こることができる。この定義の範囲内の用語「変異型」は、その活性化された二本鎖分子の形成でFVII活性を有する。1つの態様において、変異型は配列番号1の配列と65%同一である。1つの態様において、変異型は配列番号1の配列と80%同一である。他の態様において、変異型は配列番号1の配列と90%同一である。それ以上の態様において、変異型は配列番号1の配列と95%同一である。
【0086】
本明細書において使用するとき、用語「核酸構築物」は、cDNA、ゲノムDNA、合成DNA、半合成DNA、RNA由来または混合由来の任意の核酸分子を意味することを意図する。用語「構築物」は、一本鎖または二本鎖であることができ、かつ問題のポリペプチドをコードする完全にまたは部分的に天然に存在するヌクレオチド配列に基づくことができる核酸セグメントを指示することを意図する。構築物は必要に応じて他の核酸セグメントを含有することができる。同様な方法において、用語「核酸構築物によりコードすることができるアミノ酸」は、上に定義した核酸構築物によりコードすることができるアミノ酸残基、例えば、、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Phe、Trp、Pro、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Gln、Lys、Arg、His、AspおよびGlnを包含する。
【0087】
用語「異なるアミノ酸」は、本明細書において使用するとき、その位置における天然に存在するアミノ酸と異なるアミノ酸を意味する。これは核酸構築物によりコードことができるアミノ酸を包含するが、これらに限定されない。好ましくは、異なるアミノ酸は天然のL−型であり、核酸構築物によりコードことができる。特定の例はL−システイン (Cys) である。
本発明の関係において、用語「治療」は、出血を抑制または最小にする目的で、例えば、外科手術示におけるような期待される出血の予防、および例えば、外傷におけるように既に起こった出血調節の両方を包含することを意図する。こうして、因子VIIa変異型の予防的投与は用語「治療」の中に包含される。
【0088】
用語「活性」は、本明細書において使用するとき、因子VIIポリペプチドまたはその変異型がその基質因子Xを活性因子Xaに変換するそれらの能力を意味する。因子VIIポリペプチドの活性は、「in vitroタンパク質分解アッセイ」により測定することができる。また、用語「固有の活性」は、組織因子の非存在下に活性化された血小板表面上でトロンビンを発生させる能力を包含する。
用語「正常の止血作用系の増強」は、トロンビンを発生させる能力の増強を意味する。
【0089】
本明細書において使用するとき、用語「出血性障害」は、出血における発現される細胞または分子由来の先天性、後天性または誘導された欠陥を反映する。例は凝固因子の欠乏症 (例えば、血友病AおよびBまたは凝固因子XIまたはVIIの欠乏症)、凝固因子のインヒビター、血小板機能の欠乏、血小板減少症またはフォン・ウィルブランド病である。
【0090】
用語「出血性エピソード」は、外科手術および他の形態の組織損傷の両方に関連する主要な問題である、コントロールされないおよび過剰の出血を包含することを意味する。コントロールされないおよび過剰の出血は、正常の凝固系を有する被検体および凝固または出血性障害を有する被検体において起こることがある。凝固因子の欠乏症 (血友病AおよびB、凝固因子XIまたはVIIの欠乏症) または凝固因子のインヒビターは、出血性障害の原因であることがある。また、過剰の出血は正常に機能する血液凝固カスケード (凝固因子欠乏症または凝固因子に対するインヒビターをもたない) 被検体において起こり、そして血小板機能の欠乏、血小板減少症またはフォン・ウィルブランド病により引き起こされることがある。
【0091】
このような場合において、出血は血友病により引き起こされる出血にたとえることができる。なぜなら、止血系は、血友病におけるように、主要な出血を引き起こす異常な必須の凝固性「化合物」 (例えば、血小板またはフォン・ウィルブランド因子のタンパク質) を欠如するか、あるいは有するからである。外科手術または非常に大きい外傷に関連して広範な組織損傷を経験する被検体において、正常の止血メカニズムは即時の止血の要求により圧倒されることがあり、被検体は正常の止血メカニズムにかかわらず出血を発生することがある。また、出血が脳、耳内側領域および眼のような器官において起こるとき、満足すべき止血を達成することは問題であり、外科的止血の可能性を制限する。
【0092】
種々の器官 (肝臓、肺、腫瘍組織、胃腸管) からの生検材料を採取するとき、ならびに腹腔鏡検査の外科手術において、同一の問題が起こることがある。これらの状況のすべてに共通して、外科技術 (縫合糸、クリップ、およびその他) により止血することは困難であり、これは出血が拡散する場合でもある (出血性胃炎およびおびただしい子宮出血)。また、急性およびおびただしい出血は、欠陥性止血が与えられた療法により誘導された凝固防止治療を受けている被検体において起こることがある。このような被検体は、抗凝固作用を急速に中和しなくてはならない場合、外科的関与を必要とすることがある。局在化前立腺癌を有する被検体について、根治的恥骨前立腺切除が普通に実施される。
【0093】
手術は有意な、時には大量の血液喪失によりしばしば複雑となる。前立腺切除間のかなりの血液喪失は主として複雑な解剖学的状況に関係し、このような状況において、外科的止血のために容易にアクセスできない、種々の密に血管化した部位が存在し、大きい領域からの拡散性出血を生ずることがある。不満足な止血の場合において問題を引き起こすことがある他の状況は、血栓塞栓症を防止するために抗凝固療法を止血メカニズムが正常である被検体に施すときである。このような治療は、ヘパリン、他の形態のプロテオグリカン、ワルファリンまたは他の形態のビタミンK−アンタゴニストならびにアスピリンおよび他の血小板凝固インヒビターを含むことができる。
【0094】
本発明の1つの態様において、出血は血友病に関係付けられる。他の態様において、出血は後天性インヒビターを有する血友病に関係付けられる。他の態様において、出血は血小板減少症に関係付けられる。他の態様において、出血はフォン・ウィルブランド病に関係付けられる。他の態様において、出血は重症の組織損傷に関係付けられる。他の態様において、出血は重症の外傷に関係付けられる。他の態様において、出血は外科手術に関係付けられる。
【0095】
他の態様において、出血は腹腔鏡検査的外科手術に関係付けられる。他の態様において、出血は出血性胃炎に関係付けられる。他の態様において、出血はおびただしい子宮出血に関係付けられる。他の態様において、出血は機械的止血について制限された可能性を有する器官において起こる。他の態様において、出血は脳、耳の内側領域または眼において起こる。他の態様において、出血は生検材料を採取するプロセスに関係付けられる。他の態様において、出血は抗凝固治療に関係付けられる。
【0096】
用語「被検体」は、本明細書において使用するとき、任意の動物、特に哺乳動物、例えば、ヒトを意味することを意図し、適当ならば、用語「患者」と互換的に使用することができる。
本明細書において使用するとき、用語「適当な増殖培地」は、栄養素と、細胞の増殖および本発明の因子VIIをコードする核酸配列の発現のために要求される他の成分を含有する培地を意味する。
【0097】
因子VII変異型の調製
本明細書に記載する因子VII変異型は、組換え核酸技術により調製することができる。一般に、所望のタンパク質をコードするように、クローニングされた野生型因子VII核酸配列を修飾する。次いで、修飾された配列を発現ベクターの中に挿入し、これを引き続いて宿主細胞の中に形質転換またはトランスフェクトする。高等真核細胞、特に培養した哺乳動物細胞は宿主細胞として好ましい。ヒト因子VIIのための完全なヌクレオチドおよびアミノ酸配列は知られている (米国特許第4,784,950号参照、ここで組換えヒト因子VIIのクローニングおよび発現が記載されている)。ウシ因子VII配列は、Takeya et al., J. Biol. Chem. 263:14868−14872 (1988))。
【0098】
アミノ酸配列の変更は種々の技術により達成することができる。核酸配列の修飾は部位特異的突然変異誘発であることができる。部位特異的突然変異誘発の技術はこの分野においてよく知られており、そして、例えば、下記の文献に記載されている:ZollerおよびSmith (DNA 3:479−488、1984) または “Splicing by extension overlap,” Horton et al., Gene 77、1989、pp. 61−68。こうして、因子VIIのヌクレオチドおよびアミノ酸配列を使用して、1または2以上の選択した変更を導入することができる。同様に、特異的プライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応によりDNA構築物を製造する手順は、この分野においてよく知られている (下記の文献を参照のこと、PCR Protocols, 1990, Academic Press, 米国カリフォルニア州サンディエゴ)。
【0099】
本発明の因子VII変異型をコードする核酸構築物は、適当にはゲノムまたはcDNA由来であり、例えば、ゲノムまたはcDNAライブラリーを調製し、標準技術に従い合成オリゴヌクレオチドプローブを使用するハイブリダイゼーションにより、ポリペプチドのすべてまたは一部分をコードするDNA配列についてスクリーニングすることによって得ることができる (下記の文献を参照のこと、Sambrook et al., Molecular Cloning:A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989)。
【0100】
また、因子VII変異型をコードする核酸構築物は、確立された標準的方法、例えば、BeaucageおよびCaruthers, Tetrahedron Letters 22 (1981), 1859−1869に記載されている方法、またはMatthes et al., EMBO Journal 3 (1984), 801−805に記載されている方法により合成的に調製することができる。ホスホロアミダイト法によれば、オリゴヌクレオチドは、例えば、自動的DNA合成装置により合成し、精製し、アニールし、結合し、適当なベクター中でクローニングする。
さらに、核酸構築物は、標準技術に従い、合成、ゲノムまたはcDNA由来 (適当ならば) のフラグメントを結合することによって調製された混合合成およびゲノム由来、混合合成およびcDNA由来または混合ゲノムおよびcDNA由来であることができ、フラグメントは全核酸構築物の種々の部分に対応する。
【0101】
核酸構築物は好ましくはDNA構築物である。
本発明に従い因子VII変異型を調製するとき使用するDNA配列は、典型的には、適切な翻訳後のプロセシング (例えば、グルタミン酸残基のγ−カルボキシル化) および宿主細胞からの選択を可能とするために、因子VIIのアミノ末端におけるプレプロポリペプチドをコードするであろう。プレプロポリペプチドは、因子VIIまたは他のビタミンK依存的血漿タンパク質、例えば、因子IX、因子X、プロトロンビン、プロテインCまたはプロテインSのそれであることができる。当業者は理解するように、追加の修飾を因子VII変異型アミノ酸配列において行うことができ、ここでそれらの修飾はタンパク質が凝固因子として作用するタンパク質の能力を有意に障害しない。例えば、一般的に米国特許第5,288,629号に記載されているように、因子VII変異型を活性化切断部位において修飾して、チモーゲン因子VIIがその活性化された二本鎖型に変換されるのを阻害することもできる。
【0102】
因子VIIa変異型を発現させるとき使用する発現ベクターは、クローニングされた遺伝子またはcDNA天然に存在する転写を指令することができるプロモーターを含んでなるであろう。培養した哺乳動物細胞において使用するために好ましいプロモーターは、ウイルスのプロモーターおよび細胞のプロモーターを包含する。ウイルスのプロモーターは、SV40プロモーター (Subramaniet al., Mol. Cell. Biol. 1:854−864, 1981) およびCMVプロモーター (Boshart et al., Cell 41:521−530, 1985) を包含する。
【0103】
特に好ましいウイルスのプロモーターは、アデノウイルス2からの主要な後期プロモーターである (KaufmanおよびSharp, Mol. Cell. Biol. 2:1304−1319, 1982)。細胞のプロモーターは、マウスカッパ遺伝子プロモーター (Bergman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:7041−7045, 1983) およびマウスVHプロモーター (Loh et al., Cell 33:85−93, 1983) を包含する。特に好ましい細胞のプロモーターは、マウスメタロチオネイン−1プロモーター (Palmiter et al., Science 222:809−814, 1983) を包含する。また、発現ベクターは、因子VII配列それ自体についてプロモーターから下流および挿入部位から上流に位置する1組のRNAスプライス部位を含有することができる。好ましいRNAスプライス部位は、アデノウイルスおよび/または免疫グロブリン遺伝子から得ることができる。
【0104】
また、発現ベクターは挿入部位から下流に位置するポリアデニル化シグナルを含有する。特に好ましいポリアデニル化シグナルは、SV40からの初期または後期のポリアデニル化シグナル (KaufmanおよびSharp、前掲)、アデノウイルス5 Elb由来からのポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン遺伝子ターミネーター (DeNoto et al., Nucl. Acids Res. 9:3719−3730, 1981) またはヒト因子VIIまたはウシ因子VII遺伝子からのポリアデニル化シグナルを包含する。また、発現ベクターは、プロモーターとRNAスプライス部位との間に位置する、非コーディングウイルスリーダー配列、例えば、アデノウイルス2三部分リーダー;およびエンハンサー配列、例えば、SV40エンハンサーを包含する。
【0105】
クローニングされたDNA配列は、例えば、下記の方法により、培養した哺乳動物細胞の中に導入される:リン酸カルシウム仲介トランスフェクション (Wigler et al., Cell 14:725−732, 1978;CorsaroおよびPerson, Somatic Cell Genetics 7:603−616, 1981;GrahamおよびVan der Eb, Virology 52d:456−467, 1973) またはエレクトロポレーション (Neumann et al., EMBO J. 1:841−845, 1982)。外因的DNAを発現する細胞を同定し、選択するために、選択可能な表現型 (選択可能なマーカー) を与える遺伝子を一般に問題の遺伝子またはcDNAと一緒に細胞の中に導入する。
【0106】
好ましい選択可能なマーカーは、薬剤、例えば、ネオマイシン、ヒグロマイシン、およびメトトレキセートに対する耐性を与える遺伝子を包含する。選択可能なマーカーは、増幅可能である選択可能なマーカーであることができる。好ましい増幅可能である選択可能なマーカーは、ジヒドロ葉酸レダクターゼ (DHFR) 配列である。選択可能なマーカーは、下記の文献において概観されている:Thiily, Mammalian Cell Technology, Butterworth Publishers, マサチューセッツ州ストーンハム (引用することによって本明細書の一部とされる)。当業者は適当な選択可能なマーカーを容易に選択することができる。
【0107】
選択可能なマーカーは問題の遺伝子と同時に細胞の中に別々のプラスミド上に導入することができるか、あるいは同一プラスミド上に導入することができる。同一プラスミド上において、選択可能なマーカーおよび問題の遺伝子が異なるプロモーターまたは同一プロモーターの制御下にあることができる場合、後者の配置はジシストロン (dicistronic) メッセージを生成する。この型の構築物はこの分野において知られている (例えば、LevinsonおよびSimonsen、米国特許第4,713,339号)。また、「キャリヤーDNA」として知られている追加のDNAを細胞の中に導入される混合物に添加することが好都合であることがある。
【0108】
細胞がDNAを吸収した後、細胞を適当な培地中で、典型的には1〜2日間、増殖させて、問題の遺伝子の発現を開始する。細胞を培養するために使用する培地は、宿主細胞を増殖させるために適当な、任意の慣用の培地、例えば、適当な補助物質を含有する最小または複合培地であることができる。適当な培地は商業的供給会社から入手可能であるか、あるいは発表された調製法に従い調製することができる (例えば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション (American Type Culture Collection) のカタログ) 。
【0109】
培地はこの分野において知られている手順を使用して調製される (例えば、下記の文献を参照のこと:細菌および酵母の参考文献;Bennett, J. W. およびLaSure, L. 編者, More Gene Manipulations in Fungi, Academic Press, カリフォルニア州, 1991)。増殖培地は、一般に、炭素源、窒素原、必須アミノ酸、必須糖類、ビタミン、塩類、リン脂質、タンパク質および成長因子を含む。γ−カルボキシル化因子VII変異型を製造するために、培地はビタミンKを、好ましくは約0.1 mg/ml〜約5 mg/mlの濃度で含有するであろう。
【0110】
次いで薬剤選択を適用して、安定な方法で選択可能なマーカーを発現する細胞天然に存在する増殖について選択する。増幅可能な選択可能なマーカーでトランスフェクトされた細胞について、薬剤濃度を増加させてクローニングされた配列天然に存在する増加したコピー数について選択し、これにより発現レベルを増加させる。次いで、安定にトランスフェクトされた細胞のクローンを所望の因子VII変異型の発現についてスクリーニングする。
【0111】
好ましい哺乳動物細胞系統は、CHO (ATCC CCL 61)、COS−1 (ATCC CRL 1650)、ベイビーハムスター腎 (BHK) および293 (ATCC CRL 1573;Graham et al., J. Gen. Virol. 36:59−72, 1977) 細胞系統を包含する。好ましいBHK細胞系統は、tk- ts 13 BHK細胞系統 (WaechterおよびBaserga, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:1106−1110, 1982) (以後においてBHK 570細胞系統と呼ぶ) である。
【0112】
BHK 570細胞系統は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション (American Type Culture Collection) (米国マリイランド州20852、ロックビレパークローンドライブ12301)からATCC受け入れ番号CRL 10314で入手可能である。また、tk- ts 13 BHK細胞系統はATCCからATCC受け入れ番号CRL 1632で入手可能である。さらに、下記のものを包含する多数の他の細胞系統を使用することができる:Rat Hep I (ラットヘパトーム:ATCC CRL 1600)、Rat Hep II (ラットヘパトーム:ATCC CRL 1548)、TCMK (ATCC CCL 139)、ヒト肺 (ATCC HB 8065)、NCTC 1469 (ATCC CCL 9.1) およびDUKX細胞 (UrlaubおよびChasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216−4220, 1980)。
【0113】
トランスジェニック動物技術を使用して、本発明の因子VII変異型を製造ことができる。宿主雌哺乳動物の乳腺内で製造を産生することが好ましい。乳腺中の発現および引き続く問題のタンパク質のミルクの中への分泌は、他の源からのタンパク質の単離において直面する困難を克服する。ミルクは容易に収集され、大量に入手可能であり、生化学的に十分に特性決定される。さらに、主要なミルクタンパク質はミルクの中に高い濃度 (典型的には約1〜15 g/l) で存在する。
【0114】
商業的観点から、大きいミルク収量を有する種を宿主として使用することが明らかに好ましい。小さい動物、例えば、マウスおよびラットを使用することができる (そして原理的段階の証明において好ましい) が、家畜類を使用することがく、これらはブタ、ヤギ、ヒツジおよび畜牛を包含するが、これらに限定されない。ヒツジはこの種におけるトランスジェネシスの以前の歴史、ミルク収量、コストおよびヒツジのミルクを収集する装置の容易な入手可能性のような因子ために特に好ましく (例えば、宿主種の選択に影響を及ぼす因子の比較についてWO 88/00239を参照のこと)、酪農的使用のために交配された宿主動物の品種、例えば、East Frieslandヒツジを選択するか、あるいは後の日にトランスジェニック系統の飼育により酪農系統を導入することが望ましい。いずれの場合においても、既知の、すぐれた健康状態の動物を使用すべきである。
【0115】
乳腺中で発現させるために、ミルクタンパク質遺伝子からの転写プロモーターを使用する。ミルクタンパク質遺伝子は、カゼインをコードする遺伝子 (米国特許第5,304,489号参照)、β−ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミン、およびホエー酸性タンパク質を包含する。β−ラクトグロブリン (BLG) プロモーターは好ましい。ヒツジβ−ラクトグロブリン遺伝子の場合において、遺伝子の5′フランキング配列の少なくとも近位406 bpの領域を一般に使用するが、約5 kbpまでの、5′フランキング配列のより大きい部分、例えば、β−ラクトグロブリン遺伝子の5′フランキングプロモーターおよび非コーディング部分を含む約4.25 kbpのDNAセグメントは好ましい (Whitelaw et al., Biochem. J. 286:31−39 (1992)参照)。他種からのプロモーターDNAの同様なセグメントもまた適当である。
【0116】
また、β−ラクトグロブリン遺伝子の他の領域、ならびに発現すべき遺伝子のゲノム領域を構築物の中に組込むことができる。イントロンを欠如する構築物は、例えば、このようなDNA配列を含有するものと比較して、発現が低いことは一般にこの分野において受け入れられている (下記の文献を参照のこと:Brinster et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:836−840 (1988); Palmiter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:478−482 (1991); Whitelaw et al., Transgenic Res. 1:3−13 (1991); WO 89/01343; およびWO 91/02318、それらの各々は引用することによって本明細書の一部とされる)。
【0117】
これに関して、可能ならば、問題の通過またはポリペプチドをコードする遺伝子の天然イントロンのすべてまたはいくつかを含有するゲノム配列を使用することが一般に好く、こうして、例えば、β−ラクトグロブリン遺伝子からの、少なくともいくつかをさらに含めることは好ましい。1つのこのような領域は、ヒツジβ−ラクトグロブリン遺伝子の3′非コーディング領域からのイントロンスプライシングおよびRNAポリアデニル化を提供するDNAセグメントである。遺伝子の天然3′非コーディング領域を置換するとき、このヒツジβ−ラクトグロブリンセグメントは問題のタンパク質またはポリペプチドの発現レベルを増強しかつ安定化することができる。
【0118】
他の態様において、変異型因子VII配列の開始ATGを取り囲む領域は、ミルク特異的タンパク質遺伝子からの対応する配列で置換される。このような置換は、発現を増強する推定上の組織特異的開始環境を提供する。全体の変異型因子VIIプレプロおよび5′非コーディング配列を、例えば、BLG遺伝子のそれらで置換することは好都合であるが、より小さい領域を置換することができる。
【0119】
トランスジェニック動物における因子VII変異型の発現のために、変異型因子VIIをコードするDNAセグメントをその発現に要求される追加のDNAセグメントに作用可能に連鎖させて発現単位を生成する。このような追加のセグメントは、前述のプロモーター、ならびに転写停止およびmRNAのポリアデニル化を提供する配列を包含する。発現単位は、さらに、修飾された因子VIIをコードするセグメントに作用可能に連鎖された分泌シグナル配列をコードするDNAセグメントを包含するであろう。分泌シグナル配列は自然因子VII分泌シグナル配列であるか、あるいは他のタンパク質、例えば、ミルクタンパク質のそれであることができる (例えば、下記文献を参照のこと、von Heijne, Nucl. Acids Res. 14:4683−4690 (1986); およびMeade et al., 米国特許第4,873,316号。これらは引用することによって本明細書の一部とされる)。
【0120】
トランスジェニック動物において使用する発現単位の構築は、追加のDNAセグメントを含有するプラスミドまたはファージベクターの中に変異型因子VII配列を挿入することによって好都合に実施されるが、発現単位は本質的に任意の結合配列により構築することができる。ミルクタンパク質をコードするDNAセグメントを含有するベクターを準備し、ミルクタンパク質のコーディング配列を変異型因子VIIポリペプチドのそれで置換し、これによりミルクタンパク質遺伝子の発現制御配列を含む遺伝子融合物をつくることは特に好都合である。いずれの場合においても、プラスミドまたは他のベクター中の発現単位のクローニングは変異型因子VII配列の増幅を促進する。
【0121】
増幅は細菌 (例えば、大腸菌 (E. coli)) 宿主細胞中で好都合に実施され、こうしてベクターは典型的には複製起点および細菌宿主細胞中で機能的である選択可能なマーカーを含むであろう。次いで、発現単位を選択した宿主種の受精卵 (初期段階の胚を含む) の中に導入する。異種的DNAの導入は下記の経路を包含するいくつかの経路の1つにより達成することができる:マイクロインジェクション (例えば、米国特許第4,873,191号)、レトロウイルス感染 (Jaenisch, Science 240:1468−1474 (1988)) または胚幹 (ES) 細胞を使用する部位指定組込み (下記の文献において概観されている:Bradley et al., Bio/Technology 10:534−539 (1992))。
【0122】
次いで卵を偽妊娠雌の輸卵管または子宮の中に移植し、出産予定日まで発育させる。生殖細胞系統の中に導入されたDNAを支持する子孫は正常のメンデル方式でDNAを子孫に伝え、トランスジェニック群れの発生を可能とする。トランスジェニック動物を産生する一般的手順はこの分野において知られている (例えば、下記文献を参照のこと、Hogan et al., Manipulating the Mouse Embryo: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1986; Simons et al., Bio/Technology 6:179−183 (1988); Wall et al., Biol. Reprod. 32:645−651 (1985); Buhler et al., Bio/Technology 8:140−143 (1990); Ebert et al., Bio/Technology 9:835−838 (1991); Krimpenfort et al., Bio/Technology 9:844−847 (1991); Wall et al., J. Cellular Biochem. 49:113−120 (1992); 米国特許第4,873,191号; 米国特許第4,873,316号; WO 88/00239、WO 90/05188、WO 92/11757; およびGB 87/00458)。
【0123】
外来DNA配列を哺乳動物およびそれらの生殖細胞の中に導入する技術は本来マウスにおいて開発された (例えば、下記文献を参照のこと、Gordon et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:7380−7384 (1980); GordonおよびRuddle, Science 214:1244−1246 (1981); PalmiterおよびBrinster, Cell 41:343−345 (1985); Brinster et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:4438−4442 (1985); およびHogan et al. (ibid.))。これらの技術は引き続いてより大きい動物、例えば、家畜種とともに使用するように適合された (例えば、下記文献を参照のこと、WO 88/00239、WO 90/05188、およびWO 92/11757; およびSimons et al., Bio/Technology 6:179−183 (1988))。
【0124】
要約すると、トランスジェニックマウスまたは家畜類の発生において今日まで使用された最も効率よい経路において、確立された技術に従い数 百の問題のDNAの線状分子が受精卵の前核の1つの中に導入注入される。接合体の細胞質の中へのDNAの注入を使用することもできる。
【0125】
また、トランスジェニック植物における産生を使用することができる。発現を一般化するか、あるいは特定の器官、例えば、塊茎に向けることができる (下記の文献を参照のこと、Hiatt, Nature 344:469−479 (1990); Edelbaum et al., J. Interferon Res. 12:449−453 (1992); Sijmons Bio/Technology 8:217−221 (1990); およびEP 0 255 378)。
【0126】
本発明の因子VII変異型を細胞培養培地またはミルクから回収する。本発明の因子VII変異型はこの分野において知られている種々の手順により精製することができ、このような手順はクロマトグラフィー (例えば、イオン交換、アフィニティー、疎水性、クロマトフォーカシング、およびサイズ排除クロマトグラフィー)、電気泳動手順 (例えば、調製用等電点電気泳動 (IEF)、ディファレンシャル溶解度 (例えば、硫酸アンモニウム沈降)、または抽出 (例えば、下記文献を参照のこと、Protein Purification, J.-C. JansonおよびLars Ryden, 編者, VHC Publishers, New York, 1989) を包含するが、これらに限定されない。好ましくは、本発明の因子VII変異型は抗因子VII抗体カラム上のアフィニティークロマトグラフィーにより精製することができる。
【0127】
下記の文献に記載されているように、カルシウム依存的モノクローナル抗体を使用することは特に好ましい:Wakabayashi et al., J. Biol. Chem. 261:11097−11108 (1986) およびThim et al., Biochemistry 27:7785−7793 (1988)。追加の精製は慣用の化学的精製手段、例えば、高性能液体クロマトグラフィーにより達成することができる。他の精製法、例えば、クエン酸バリウム沈降はこの分野において知られており、そして本明細書に記載する新規な因子VII変異型の精製に適用することができる (例えば、下記文献を参照のこと、Scopes, R., Protein Purification, Springer-Verlag, N. Y., 1982)。
【0128】
療法的目的のために、本発明の因子VII変異型は実質的に純粋であることが好ましい。こうして、本発明の好ましい態様において、本発明の変異型因子VIIを少なくとも約90〜95%の均質性、好ましくは少なくとも約98%の均質性に精製する。純度は、例えば、ゲル電気泳動およびアミノ末端アミノ酸の配列決定によりアッセイすることができる。
【0129】
因子VII変異型を活性化部位において切断して、それを二本鎖の形態に変換する。活性化はこの分野において知られている手順、例えば、下記の文献に記載されている手順に従い実施することができる:Osterud, et al., Biochemistry 11:2853−2857 (1972); Thomas, 米国特許第4,458,591号; HednerおよびKisiel, J. Clin. Invest. 71:1836−1841 (1983); またはKiselおよびFujikawa, Behring Inst. Mitt. 73:29−42 (1983)。選択的に、下記の文献に記載されているように、因子VIIはそれをイオン交換クロマトグラフィーのカラム、例えば、Mono−QTM (Pharmaceutical fine Chemicals) またはその他に通過させることによって活性化することができる:Bjoem et al., Research Disclosure 269 September, pp. 554−565。次いで、生ずる因子VII変異型を後述するように処方し、投与することができる。
【0130】
アッセイ
本発明は、また、本発明に従い変異型因子VIIを選択する適当なアッセイを提供する。これらのアッセイは簡単な予備的in vitro試験として実施することができる。
こうして、本明細書中の実施例11において、本発明の変異型因子VIIの活性に対する簡単な試験 (題名「in vitro加水分解アッセイ」) を開示する。それに基づいて、特に重要である因子VII変異型は、本明細書において定義する「in vitro加水分解アッセイ」において試験したとき、変異型の活性と第1図に示す特質因子VIIの活性との間の比が1.0以上、例えば、少なくとも約1.25、好ましくは少なくとも約2.0、例えば、少なくとも約3.0またはさらにより好ましくは少なくとも約4.0である、このような変異型である。
【0131】
変異型の活性は、また、生理学的基質、例えば、因子X (in vitroタンパク質分解アッセイ、実施例12参照) を使用して、適当には100〜1000 nMの濃度において測定することができ、ここで適当な色素形成基質 (例えば、S−2765) を添加した後、発生した因子Xaを測定する。さらに、活性アッセイは生理学的温度において実施することができる。
【0132】
トロンビンを発生させる因子VIIa変異型の能力は、また、生理学的濃度 (血友病Aの症状をまねるとき、因子VIIIを含まない) のすべての関係する凝固因子およびインヒビターと、活性化された血小板とを含んでなるアッセイにおいて測定することができる (下記の文献に記載されている:Monroe et al. (1997) Br. J. Haematol. 99:542−547のp. 543、これは引用することによって本明細書の一部とされる)。
【0133】
投与および医薬組成物
本発明による因子VII変異型を使用して、いくつかの原因、、例えば、凝固因子欠乏症 (例えば、血友病AおよびB、凝固因子XIまたはVIIの欠乏症) または凝固因子のインヒビターを有する出血性障害をコントロールするために使用することができるか、あるいは正常に機能する血液凝固カスケード (凝固因子欠乏症または凝固因子に対するインヒビターをもたない) 被検体において起こる過剰の出血をコントロールするために使用することができる。出血は血小板機能の欠乏、血小板減少症またはフォン・ウィルブランド病により引き起こされることがある。
【0134】
また、繊維素溶解活性の増加が種々の刺激により誘導された被検体において出血は見られる。外科手術または非常に大きい外傷に関連して広範な組織損傷を経験する被検体において、止血メカニズムは即時の止血の要求により圧倒されることがあり、被検体は正常の止血メカニズムにかかわらず出血を発生することがある。また、出血が脳、耳内側領域および眼のような器官において起こるとき、満足すべき止血を達成することは問題であり、また、源の同定が困難であるとき、拡散性出血 (出血性胃炎およびおびただしい子宮出血) の場合において問題であることがある。種々の器官 (肝臓、肺、腫瘍組織、胃腸管) からの生検材料を採取するとき、ならびに腹腔鏡検査の外科手術において、同一の問題が起こることがある。
【0135】
これらの状況に共通して、外科技術 (縫合糸、クリップ、およびその他) により止血することは困難である。また、急性およびおびただしい出血は、欠陥性止血が与えられた療法により誘導された凝固防止治療を受けている被検体において起こることがある。このような被検体は、抗凝固作用を急速に中和しなくてはならない場合、外科的関与を必要とすることがある。不満足な止血の場合において問題を引き起こすことがある他の状況は、血栓塞栓症を防止するために抗凝固療法を止血メカニズムが正常である被検体に施すときである。このような治療は、ヘパリン、他の形態のプロテオグリカン、ワルファリンまたは他の形態のビタミンK−アンタゴニストならびにアスピリンおよび他の血小板凝固インヒビターを含むことができる。
【0136】
凝固カスケードの系統的活性化は汎発性脈管内凝固 (DIC) に導くことがある。しかしながら、高い投与量の組換え因子VIIaで治療された被検体において、血管壁の部位において暴露されたFVIIaとTFとの間の複合体形成により誘導される種類の局在化止血プロセスのために、このような合併症は見られなかった。こうして、また、正常の止血メカニズムに関連するこのような過剰の出血をコントロールするために、本発明による因子VII変異型を使用することができる。
【0137】
計画的関与と組み合わせた治療のために、本発明の因子VII変異型は典型的には関与を実施する約24時間前に、かつその後7日またはそれ以上の期間にわたって投与されるであろう。
因子VII変異型の投与量は70 kgの被検体について約0.05 mg〜500 mg/日、好ましくは約1 mg〜200 mg/日、より好ましくは約10 mg〜約175 mg/日の範囲であり、配合および維持の投与量は被検体の重量および症状の重症度に依存する。
【0138】
医薬組成物は、主として予防的および/または療法的治療のための非経口的投与に意図される。好ましくは、医薬組成物は、非経口的に、すなわち、静脈内、皮下、または筋肉内に投与されるか、あるいは連続的または脈動注入により投与することができる。非経口的投与のための組成物は、本発明の因子VII変異型を、薬学上許容される担体、好ましくは水性担体と組み合わせて、好ましくはその中に溶解させて含んでなる。種々の水性担体、例えば、水、緩衝化水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシンおよびその他を使用することができる。また、本発明の因子VII変異型は外傷部位へのデリバリーまたはターゲッティングのためのリポソーム調製物に処方することができる。
【0139】
リポソーム調製物は、例えば、米国特許第4,837,028号、米国特許第4,501,728号、および米国特許第4,975,282号に一般に記載されている。組成物は慣用のよく知られている滅菌技術により滅菌することができる。生ずる水溶液を使用するために包装するか、あるいは無菌的条件下に濾過し、凍結乾燥し、凍結乾燥した調製物を無菌の水溶液と組み合わせた後、投与することができる。組成物は、必要に応じて生理学的条件に近似させるために薬学上許容される助剤、例えば、pH調節剤および緩衝化剤、張度調節剤およびその他、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、およびその他を含有することができる。
【0140】
これらの処方物中の因子VII変異型の濃度は、約0.5重量%より小から、通常少なくとも約1重量%〜15または20重量%程度に高くまで広く変化することができ、主として流体体積、粘度、およびその他により、選択した特定の投与モードに従い選択されるであろう。
【0141】
こうして、静脈内注入のために典型的な医薬組成物は、250 mlの無菌のリンガー溶液および10 mgの因子VII変異型を含有するように調製することができる。非経口的に投与可能な医薬組成物を調製する実際的方法は既知であるか、あるいは当業者にとって明らかであり、そして、例えば、下記の文献にいっそう詳しく記載されている:Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第18版, Mack Publishing Company, ペンシルベニア州イーストン (1990)。
【0142】
本発明の因子VII変異型を含有する組成物は、予防的および/または療法的治療のために投与することができる。療法的適用において、組成物は前述したように既に疾患を患う被検体に、疾患およびその合併症を治療し、軽減し、または部分的に抑制ために十分な量で被検体に投与される。これを達成するために適切な量は、「治療的に有効な量」として定義される。当業者は理解するように、この目的に有効な量は、疾患または外傷の重症度ならびに被検体の重量および一般的状態に依存するであろう。しかしながら、一般に、70 kgの被検体について有効量は約0.05 mg〜約500 mgの変異型因子VII/日の範囲であり、約1.0 mg〜約200 mgの変異型因子VII/日がいっそう普通に使用される。
【0143】
本発明の物質は一般に重い疾患または外傷状態、すなわち、生命を脅かすまたは潜在的に生命を脅かす状況において使用できることを心に留めなくてはならない。このような場合において、外来性物質の最小化およびヒトにおいてヒト因子VII変異型の免疫原性の一般的欠如にかんがみて、治療医師は実質的に過剰のこれらの変異型因子VII組成物を投与することが可能であり、望ましいと感ずることがあるであろう。
【0144】
予防的適用において、疾患状態または外傷が推測されるか、あるいはそうでなければそれらの危険にある被検体に、本発明の因子VII変異型を含有する組成物を投与して、被検体自身の凝固能力を増強することができる。このような量は、「予防的に有効な量」として定義される。予防的適用において、正確な量は再び被検体の健康状態および重量に依存するが、投与量は、一般に、70 kgの被検体について約0.05 mg〜約500 mg/日の範囲であり、より普通に70 kgの被検体について約1.0 mg〜約200 mg/日である。
【0145】
組成物の単一または複数の投与を実施することができ、投与のレベルおよびパターンは治療医師により選択される。毎日の維持レベルを必要とする着装携行の被検体について、因子VII変異型は、例えば、携帯用ポンプシステムを使用する連続的注入により投与することができる。
【0146】
本発明の因子VII変異型の局所的デリバリー、例えば、局所的適用は、例えば、噴霧、潅流、二重バルーンカテーテル、ステント、脈管移植片またはステントの中に組込んで、バルーンカテーテルの被覆に使用するヒドロゲル、または十分に確立された方法により実施することができる。いずれの場合においても、医薬組成物は被検体を効果的に治療ために十分な量の因子VII変異型を提供する。
下記の実施例により本発明をさらに例示であるが、本発明を限定するものと解釈すべきでない。以上の説明および下記の実施例に開示されている特徴は、別々にかつ組み合わせて、本発明をその多様な形態で実現する材料である。
【実施例】
【0147】
下記の実施例において使用するアミノ酸置換についての用語は次の通りである。最初の文字は配列番号1のある位置に自然に存在するアミノ酸を表す。次の数は配列番号1中の位置を表す。第2の文字は天然アミノ酸を置換する異なるアミノ酸を表す。1つの例はM298Qであり、ここで配列番号1の位置298におけるメチオニンはグルタミンで置換されている。他の例、V158T/M298Qにおいて、同一因子VIIポリペプチドの中の配列番号1の位置158におけるバリンはトレオニンにより置換されており、そして配列番号1の位置298におけるメチオニンはグルタミンで置換されている。
【0148】
実施例1[V158T/M298Q]−FVII、[K157A]−FVII、[E296V]−FVII、[E296V/M298Q]−FVIIおよび [V158D/E296V]−FVII、[V158D/M298Q]−FVII、[V158D/M298K]−FVII、[V158D/E296V/M298Q]−FVII、[M298Q]−FVII、[S336G]−FVII、[K337A]−FVII、[V158D/E296V/M298Q/K337A]−FVIIをコードするDNA
問題のインサートを有するスーパーコイルド、二本鎖DNAベクターと所望の突然変異を含有する2つの合成プライマーを使用する位置指定突然変異誘発により、[V158T/M298Q]−FVII、[K157A]−FVII、[E296V]−FVII、[E296V/M298Q]−FVIIおよび [V158D/E296V]−FVII、[V158D/M298Q]−FVII、[V158D/M298K]−FVII、[V158D/E296V/M298Q]−FVII、[M298Q]−FVII、[V158D/E296V/M298Q/K337A]−FVII、[S336G]−FVII、および[K337A]−FVIIをコードするDNA構築物を調製した。
【0149】
下記のプライマーを使用した:
【表2】

【0150】
Pfu DNAポリメラーゼにより温度サイクリング間に、各々がベクターの反対の鎖に対して相補的である、オリゴヌクレオチドプライマーを拡張した。プライマーを組込むと、食い違いニックを含有する突然変異したプラスミドが発生した。温度サイクリング後に、メチル化およびヘミメチル化DNAに対して特異的であるDpnIで生成物を処理して、親DNA鋳型を消化し、突然変異を含有する合成されたDNAについて選択した。
特定のプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応によりDNA構築物を調製する手順は当業者によく知られている (下記の文献を参照のこと、PCR Protocols, 1990, Academic Press, 米国カリフォルニア州サンディエゴ)。
【0151】
実施例2[V158T/M298Q]−FVIIの調製
BHK細胞を本質的に以前に記載されているようにトラスフェクトして (Thim et al. (1988), Biochemistry 27:7785−7793; PerssonおよびNielsen (1996) FEBS Lett. 385:241−243) 変異型 [V158T/M298Q]−FVIIを発現させた。因子VII変異型を次のようにして精製した。
【0152】
5 mMのEDTA、0.1%のトリトンX−100および10 mMのTrisを添加し、pH 8.0に調節し、水の添加により導電性を10〜11 mS/cmに調節した、コンディショニングした培地をQ Sepharose Fast Flow (Pharmacia Biotech) の25 mlのカラム上に負荷した。10 mlのTris、50 mMのNaCl、0.1%のトリトンX−100、pH 8.0から10 mlのTris、50 mMのNaCl、25 mMのCaCl2、0.1%のトリトンX−100、pH 8.0にステッピングすることによって、タンパク質の溶離を達成した。[V158T/M298Q]−FVIIを含有する画分をプールし、CNBr活性化Sepharose 4B (Pharmacia Biotech) にカップリングしたモノクローナル抗体F1A2 (Novo Nordisk、デンマーク国バグスバード) を含有する25 mlのカラムに適用した。
【0153】
10 mMのCaCl2、100 mMのNaClおよび0.02%のトリトンX−100を含有する、50 mMのHepes、pH 7.5と、カラムを平衡化した。平衡化緩衝液および2 MのNaClを含有する平衡化緩衝液で洗浄した後、CaCl2の代わりに10 mMのEDTAを含有する平衡化緩衝液で結合した物質を溶離した。使用または貯蔵前に、EDTAよりも過剰のCaCl2を添加するか、あるいは[V158T/M298Q]−FVIIをCa2+含有緩衝液に移した。各工程の収量を因子VII ELISA測定により追跡し、精製したタンパク質をSD−PAGEにより分析した。
【0154】
実施例3[K157A]−FVIIの調製
BHK細胞を本質的に以前に記載されているようにトラスフェクトして (Thim et al. (1988), Biochemistry 27:7785−7793; PerssonおよびNielsen (1996) FEBS Lett. 385:241−243) 変異型 [K157A]−FVIIを発現させた。因子VII変異型を次のようにして精製した。
【0155】
5 mMのEDTA、0.1%のトリトンX−100および10 mMのTrisを添加し、pH 8.0に調節し、水の添加により導電性を10〜11 mS/cmに調節した、コンディショニングした培地をQ Sepharose Fast Flow (Pharmacia Biotech) の25 mlのカラム上に負荷した。10 mlのTris、50 mMのNaCl、0.1%のトリトンX−100、pH 8.0から10 mlのTris、50 mMのNaCl、25 mMのCaCl2、0.1%のトリトンX−100、pH 8.0にステッピングすることによって、タンパク質の溶離を達成した。[K157A]−FVIIを含有する画分をプールし、CNBr活性化Sepharose 4B (Pharmacia Biotech) にカップリングしたモノクローナル抗体F1A2 (Novo Nordisk、デンマーク国バグスバード) を含有する25 mlのカラムに適用した。
【0156】
10 mMのCaCl2、100 mMのNaClおよび0.02%のトリトンX−100を含有する、50 mMのHepes、pH 7.5と、カラムを平衡化した。平衡化緩衝液および2 MのNaClを含有する平衡化緩衝液で洗浄した後、CaCl2の代わりに10 mMのEDTAを含有する平衡化緩衝液で結合した物質を溶離した。使用または貯蔵前に、EDTAよりも過剰のCaCl2を添加するか、あるいは[K157A]−FVIIをCa2+含有緩衝液に移した。各工程の収量を因子VII ELISA測定により追跡し、精製したタンパク質をSD−PAGEにより分析した。
【0157】
実施例4[V158D/M298Q]−FVIIの調製
BHK細胞を本質的に以前に記載されているようにトラスフェクトして (Thim et al. (1988), Biochemistry 27:7785−7793; PerssonおよびNielsen (1996) FEBS Lett. 385:241−243) 変異型 [V158D/M298Q]−FVIIを発現させた。因子VII変異型を次のようにして精製した。
【0158】
5 mMのEDTA、0.1%のトリトンX−100および10 mMのTrisを添加し、pH 8.0に調節し、水の添加により導電性を10〜11 mS/cmに調節した、コンディショニングした培地をQ Sepharose Fast Flow (Pharmacia Biotech) の25 mlのカラム上に負荷した。10 mlのTris、50 mMのNaCl、0.1%のトリトンX−100、pH 8.0から10 mlのTris、50 mMのNaCl、25 mMのCaCl2、0.1%のトリトンX−100、pH 8.0にステッピングすることによって、タンパク質の溶離を達成した。
【0159】
[V158D/M298Q]−FVIIを含有する画分をプールし、CNBr活性化Sepharose 4B (Pharmacia Biotech) にカップリングしたモノクローナル抗体F1A2 (Novo Nordisk、デンマーク国バグスバード) を含有する25 mlのカラムに適用した。10 mMのCaCl2、100 mMのNaClおよび0.02%のトリトンX−100を含有する、50 mMのHepes、pH 7.5と、カラムを平衡化した。平衡化緩衝液および2 MのNaClを含有する平衡化緩衝液で洗浄した後、CaCl2の代わりに10 mMのEDTAを含有する平衡化緩衝液で結合した物質を溶離した。使用または貯蔵前に、EDTAよりも過剰のCaCl2を添加するか、あるいは[V158D/M298Q]−FVIIをCa2+含有緩衝液に移した。各工程の収量を因子VII ELISA測定により追跡し、精製したタンパク質をSD−PAGEにより分析した。
【0160】
実施例5[V158D/M298K]−FVIIの調製
BHK細胞を本質的に以前に記載されているようにトラスフェクトして (Thim et al. (1988), Biochemistry 27:7785−7793; PerssonおよびNielsen (1996) FEBS Lett. 385:241−243) 変異型 [V158D/M298K]−FVIIを発現させた。因子VII変異型を次のようにして精製した。
【0161】
5 mMのEDTA、0.1%のトリトンX−100および10 mMのTrisを添加し、pH 8.0に調節し、水の添加により導電性を10〜11 mS/cmに調節した、コンディショニングした培地をQ Sepharose Fast Flow (Pharmacia Biotech) の25 mlのカラム上に負荷した。10 mlのTris、50 mMのNaCl、0.1%のトリトンX−100、pH 8.0から10 mlのTris、50 mMのNaCl、25 mMのCaCl2、0.1%のトリトンX−100、pH 8.0にステッピングすることによって、タンパク質の溶離を達成した。
【0162】
[V158D/M298K]−FVIIを含有する画分をプールし、CNBr活性化Sepharose 4B (Pharmacia Biotech) にカップリングしたモノクローナル抗体F1A2 (Novo Nordisk、デンマーク国バグスバード) を含有する25 mlのカラムに適用した。10 mMのCaCl2、100 mMのNaClおよび0.02%のトリトンX−100を含有する、50 mMのHepes、pH 7.5と、カラムを平衡化した。平衡化緩衝液および2 MのNaClを含有する平衡化緩衝液で洗浄した後、CaCl2の代わりに10 mMのEDTAを含有する平衡化緩衝液で結合した物質を溶離した。使用または貯蔵前に、EDTAよりも過剰のCaCl2を添加するか、あるいは[V158D/M298K]−FVIIをCa2+含有緩衝液に移した。各工程の収量を因子VII ELISA測定により追跡し、精製したタンパク質をSD−PAGEにより分析した。
【0163】
実施例6[V158D/E296V/M298Q]−FVIIの調製
BHK細胞を本質的に以前に記載されているようにトラスフェクトして (Thim et al. (1988), Biochemistry 27:7785−7793; PerssonおよびNielsen (1996) FEBS Lett. 385:241−243) 変異型 [V158D/E296V/M298Q]−FVIIを発現させた。因子VII変異型を次のようにして精製した。
【0164】
5 mMのEDTA、0.1%のトリトンX−100および10 mMのTrisを添加し、pH 8.0に調節し、水の添加により導電性を10〜11 mS/cmに調節した、コンディショニングした培地をQ Sepharose Fast Flow (Pharmacia Biotech) の25 mlのカラム上に負荷した。10 mlのTris、50 mMのNaCl、0.1%のトリトンX−100、pH 8.0から10 mlのTris、50 mMのNaCl、25 mMのCaCl2、0.1%のトリトンX−100、pH 8.0にステッピングすることによって、タンパク質の溶離を達成した。
【0165】
[V158D/E296V/M298Q]−FVIIを含有する画分をプールし、CNBr活性化Sepharose 4B (Pharmacia Biotech) にカップリングしたモノクローナル抗体F1A2 (Novo Nordisk、デンマーク国バグスバード) を含有する25 mlのカラムに適用した。10 mMのCaCl2、100 mMのNaClおよび0.02%のトリトンX−100を含有する、50 mMのHepes、pH 7.5と、カラムを平衡化した。平衡化緩衝液および2 MのNaClを含有する平衡化緩衝液で洗浄した後、CaCl2の代わりに10 mMのEDTAを含有する平衡化緩衝液で結合した物質を溶離した。使用または貯蔵前に、EDTAよりも過剰のCaCl2を添加するか、あるいは[V158D/E296V/M298Q]−FVIIをCa2+含有緩衝液に移した。各工程の収量を因子VII ELISA測定により追跡し、精製したタンパク質をSD−PAGEにより分析した。
【0166】
実施例7 [M298Q]−FVIIの調製
BHK細胞を本質的に以前に記載されているようにトラスフェクトして (Thim et al. (1988), Biochemistry 27:7785−7793; PerssonおよびNielsen (1996) FEBS Lett. 385:241−243) 変異型 [M298Q]−FVIIを発現させた。因子VII変異型を次のようにして精製した。
【0167】
5 mMのEDTA、0.1%のトリトンX−100および10 mMのTrisを添加し、pH 8.0に調節し、水の添加により導電性を10〜11 mS/cmに調節した、コンディショニングした培地をQ Sepharose Fast Flow (Pharmacia Biotech) の25 mlのカラム上に負荷した。10 mlのTris、50 mMのNaCl、0.1%のトリトンX−100、pH 8.0から10 mlのTris、50 mMのNaCl、25 mMのCaCl2、0.1%のトリトンX−100、pH 8.0にステッピングすることによって、タンパク質の溶離を達成した。
【0168】
[M298Q]−FVIIを含有する画分をプールし、CNBr活性化Sepharose 4B (Pharmacia Biotech) にカップリングしたモノクローナル抗体F1A2 (Novo Nordisk、デンマーク国バグスバード) を含有する25 mlのカラムに適用した。10 mMのCaCl2、100 mMのNaClおよび0.02%のトリトンX−100を含有する、50 mMのHepes、pH 7.5と、カラムを平衡化した。平衡化緩衝液および2 MのNaClを含有する平衡化緩衝液で洗浄した後、CaCl2の代わりに10 mMのEDTAを含有する平衡化緩衝液で結合した物質を溶離した。使用または貯蔵前に、EDTAよりも過剰のCaCl2を添加するか、あるいは[M298Q]−FVIIをCa2+含有緩衝液に移した。各工程の収量を因子VII ELISA測定により追跡し、精製したタンパク質をSD−PAGEにより分析した。
【0169】
実施例8[S336G]−FVIIの調製
BHK細胞を本質的に以前に記載されているようにトラスフェクトして (Thim et al. (1988), Biochemistry 27:7785−7793; PerssonおよびNielsen (1996) FEBS Lett. 385:241−243) 変異型 [S336G]−FVIIを発現させた。因子VII変異型を次のようにして精製した。
【0170】
5 mMのEDTA、0.1%のトリトンX−100および10 mMのTrisを添加し、pH 8.0に調節し、水の添加により導電性を10〜11 mS/cmに調節した、コンディショニングした培地をQ Sepharose Fast Flow (Pharmacia Biotech) の25 mlのカラム上に負荷した。10 mlのTris、50 mMのNaCl、0.1%のトリトンX−100、pH 8.0から10 mlのTris、50 mMのNaCl、25 mMのCaCl2、0.1%のトリトンX−100、pH 8.0にステッピングすることによって、タンパク質の溶離を達成した。
【0171】
[S336G]−FVIIを含有する画分をプールし、CNBr活性化Sepharose 4B (Pharmacia Biotech) にカップリングしたモノクローナル抗体F1A2 (Novo Nordisk、デンマーク国バグスバード) を含有する25 mlのカラムに適用した。10 mMのCaCl2、100 mMのNaClおよび0.02%のトリトンX−100を含有する、50 mMのHepes、pH 7.5と、カラムを平衡化した。平衡化緩衝液および2 MのNaClを含有する平衡化緩衝液で洗浄した後、CaCl2の代わりに10 mMのEDTAを含有する平衡化緩衝液で結合した物質を溶離した。使用または貯蔵前に、EDTAよりも過剰のCaCl2を添加するか、あるいは[S336G]−FVIIをCa2+含有緩衝液に移した。各工程の収量を因子VII ELISA測定により追跡し、精製したタンパク質をSD−PAGEにより分析した。
【0172】
実施例9[K337A]−FVIIの調製
BHK細胞を本質的に以前に記載されているようにトラスフェクトして (Thim et al. (1988), Biochemistry 27:7785−7793; PerssonおよびNielsen (1996) FEBS Lett. 385:241−243) 変異型 [K337A]−FVIIを発現させた。因子VII変異型を次のようにして精製した。
【0173】
5 mMのEDTA、0.1%のトリトンX−100および10 mMのTrisを添加し、pH 8.0に調節し、水の添加により導電性を10〜11 mS/cmに調節した、コンディショニングした培地をQ Sepharose Fast Flow (Pharmacia Biotech) の25 mlのカラム上に負荷した。10 mlのTris、50 mMのNaCl、0.1%のトリトンX−100、pH 8.0から10 mlのTris、50 mMのNaCl、25 mMのCaCl2、0.1%のトリトンX−100、pH 8.0にステッピングすることによって、タンパク質の溶離を達成した。
【0174】
[K337A]−FVIIを含有する画分をプールし、CNBr活性化Sepharose 4B (Pharmacia Biotech) にカップリングしたモノクローナル抗体F1A2 (Novo Nordisk、デンマーク国バグスバード) を含有する25 mlのカラムに適用した。10 mMのCaCl2、100 mMのNaClおよび0.02%のトリトンX−100を含有する、50 mMのHepes、pH 7.5と、カラムを平衡化した。平衡化緩衝液および2 MのNaClを含有する平衡化緩衝液で洗浄した後、CaCl2の代わりに10 mMのEDTAを含有する平衡化緩衝液で結合した物質を溶離した。使用または貯蔵前に、EDTAよりも過剰のCaCl2を添加するか、あるいは[K337A]−FVIIをCa2+含有緩衝液に移した。各工程の収量を因子VII ELISA測定により追跡し、精製したタンパク質をSD−PAGEにより分析した。
【0175】
実施例10[V158D/E296V/M298Q/K337A]−FVIIの調製
BHK細胞を本質的に以前に記載されているようにトラスフェクトして (Thim et al. (1988), Biochemistry 27:7785−7793; PerssonおよびNielsen (1996) FEBS Lett. 385:241−243) 変異型 [V158D/E296V/M298Q/K337A]−FVIIを発現させた。因子VII変異型を次のようにして精製した。
【0176】
5 mMのEDTA、0.1%のトリトンX−100および10 mMのTrisを添加し、pH 8.0に調節し、水の添加により導電性を10〜11 mS/cmに調節した、コンディショニングした培地をQ Sepharose Fast Flow (Pharmacia Biotech) の25 mlのカラム上に負荷した。10 mlのTris、50 mMのNaCl、0.1%のトリトンX−100、pH 8.0から10 mlのTris、50 mMのNaCl、25 mMのCaCl2、0.1%のトリトンX−100、pH 8.0にステッピングすることによって、タンパク質の溶離を達成した。
【0177】
[V158D/E296V/M298Q/K337A]−FVIIを含有する画分をプールし、CNBr活性化Sepharose 4B (Pharmacia Biotech) にカップリングしたモノクローナル抗体F1A2 (Novo Nordisk、デンマーク国バグスバード) を含有する25 mlのカラムに適用した。10 mMのCaCl2、100 mMのNaClおよび0.02%のトリトンX−100を含有する、50 mMのHepes、pH 7.5と、カラムを平衡化した。平衡化緩衝液および2 MのNaClを含有する平衡化緩衝液で洗浄した後、CaCl2の代わりに10 mMのEDTAを含有する平衡化緩衝液で結合した物質を溶離した。使用または貯蔵前に、EDTAよりも過剰のCaCl2を添加するか、あるいは[V158D/E296V/M298Q/K337A]−FVIIをCa2+含有緩衝液に移した。各工程の収量を因子VII ELISA測定により追跡し、精製したタンパク質をSD−PAGEにより分析した。
【0178】
実施例11in vitro加水分解アッセイ
天然 (野生型) 因子VIIaおよび因子VIIa変異型 (両方を以後において「因子VIIa」と呼ぶ) を平行にアッセイして、それらの比活性を比較した。このアッセイはマイクロタイタープレート (MaxiSorp、デンマーク国ヌンク) 中で実施する。0.1 MのNaCl、5 mMのCaCl2および1 mg/mlのウシ血清アルブミンを含有する50 mMのHepes、pH 7.4中の因子VIIa (最終濃度100 nM) に、色素形成基質D−Ile−Pro−Arg−p−ニトロアニリド (S−2288、Chromogenix、スウェーデン国) (最終濃度1 mM) を添加する。
【0179】
405 nmにおける吸収をSpectraMaxTM 340プレートリーダー (Molecular Devices、米国) で連続的に測定する。20分のインキュベーション間に発生した吸収から、酵素を含有しないブランクウェルにおける吸収を減じ、変異型および野生型因子VIIaの活性間の比を計算する:
比 = (A405nm因子VIIa変異型)/ (A405nm因子VIIa野生型)
【0180】
実施例12in vitroタンパク質分解アッセイ
天然 (野生型) 因子VIIaおよび因子VIIa変異型 (両方を以後において「因子VIIa」と呼ぶ) を平行にアッセイして、それらの比活性を比較した。このアッセイはマイクロタイタープレート (MaxiSorp、デンマーク国ヌンク) 中で実施する。0.1 MのNaCl、5 mMのCaCl2および1 mg/mlのウシ血清アルブミンを含有する100 μlの50 mMのHepes、pH 7.4中の因子VIIa (10 nM) および因子X (0.8 μM) を15分間インキュベートする。
【0181】
次いで、0.1 MのNaCl、20 mMのEDTAおよび1 mg/mlのウシ血清アルブミンを含有する100 μlの50 mMのHepes、pH 7.4を添加することによって、因子Xの切断を停止させる。色素形成基質Z−D−Arg−Gly−Arg−p−ニトロアニリド (S−2765、Chromogenix、スウェーデン国) (最終濃度0.5 mM) を添加することによって、発生した因子Xの量を測定する。405 nmにおける吸収をSpectraMaxTM 340プレートリーダー (Molecular Devices、米国) で連続的に測定する。10分間に発生した吸収から、FVIIaを含有しないブランクウェルにおける吸収を減じ、変異型および野生型因子VIIaのタンパク質分解活性間の比を計算する:
比 = (A405nm因子VIIa変異型)/ (A405nm因子VIIa野生型)
【0182】
実施例13実施例11および12に記載するアッセイにおいて測定した因子VIIa変異型の相対的活性
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、配列番号1の少なくとも位置157におけるLysに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されており、ただし変異型がFVII (Ala 157) ではない、因子VIIポリペプチド。
【請求項2】
配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、配列番号1の少なくとも位置337におけるLysに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されており、ただし変異型はFVII (Ala 337) ではない、因子VIIポリペプチド。
【請求項3】
配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、配列番号1の少なくとも位置334におけるAspに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されており、ただし変異型はFVII (Ala 334) ではない、因子VIIポリペプチド。
【請求項4】
配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、配列番号1の少なくとも位置336におけるSerに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されており、ただし変異型はFVII (Ala 336) ではない、因子VIIポリペプチド。
【請求項5】
配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、配列番号1の少なくとも位置158におけるValに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されており、ただし変異型はFVII (Ala 158) ではない、因子VIIポリペプチド。
【請求項6】
配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、配列番号1の少なくとも位置296におけるGluに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されており、ただし変異型はFVII (Ala 296) ではない、因子VIIポリペプチド。
【請求項7】
配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、配列番号1の少なくとも位置298におけるMetに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されており、ただし変異型はFVII (Ala 298) ではない、因子VIIポリペプチド。
【請求項8】
配列番号1の位置157におけるLysに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、請求項2〜7のいずれかに記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項9】
配列番号1の位置337におけるLysに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、請求項1、3〜8のいずれかに記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項10】
配列番号1の位置334におけるLysに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、請求項1〜2、4〜9のいずれかに記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項11】
配列番号1の位置336におけるSerに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、請求項1〜3、5〜10のいずれかに記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項12】
配列番号1の位置158におけるValに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、請求項1〜4、6〜11のいずれかに記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項13】
配列番号1の位置296におけるGluに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、請求項1〜5、7〜12のいずれかに記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項14】
配列番号1の位置298におけるMetに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、請求項1〜6、8〜13のいずれかに記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項15】
プロテアーゼドメイン中の残りの位置における少なくとも1つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、請求項1〜14のいずれかに記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項16】
プロテアーゼドメイン中の残りの位置における最大20のアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、請求項15に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項17】
配列番号1の159〜170から選択される位置に対応する少なくとも1つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、請求項15〜16のいずれかに記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項18】
配列番号1の290〜312から選択される位置に対応する少なくとも1つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、請求項15〜17のいずれかに記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項19】
配列番号1の330〜339から選択される位置に対応する少なくとも1つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、請求項15〜18のいずれかに記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項20】
配列番号1の位置157におけるLys、位置337におけるLys、位置334におけるAsp、位置336におけるSer、位置158におけるVal、位置296におけるGluおよび位置298におけるMetから成る群から独立して選択される1つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されており、ただし変異型がFVII (Ala 157)、FVII (Ala 334)、FVII (Ala 336)、FVII (Ala 337)、FVII (Ala 158)、FVII (Ala 296) またはFVII (Ala 298) ではない、配列番号1の配列を有する因子VIIポリペプチド。
【請求項21】
配列番号1の位置157におけるLys、位置337におけるLys、位置334におけるAsp、位置336におけるSer、位置158におけるVal、位置296におけるGluおよび位置298におけるMetから成る群から独立して選択される2つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1の配列を有する因子VIIポリペプチド。
【請求項22】
配列番号1の位置157におけるLys、位置337におけるLys、位置334におけるAsp、位置336におけるSer、位置158におけるVal、位置296におけるGluおよび位置298におけるMetから成る群から独立して選択される3つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1の配列を有する因子VIIポリペプチド。
【請求項23】
配列番号1の位置157におけるLys、位置337におけるLys、位置334におけるAsp、位置336におけるSer、位置158におけるVal、位置296におけるGluおよび位置298におけるMetから成る群から独立して選択される4つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1の配列を有する因子VIIポリペプチド。
【請求項24】
配列番号1の位置157におけるLys、位置337におけるLys、位置334におけるAsp、位置336におけるSer、位置158におけるVal、位置296におけるGluおよび位置298におけるMetから成る群から独立して選択される5つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1の配列を有する因子VIIポリペプチド。
【請求項25】
配列番号1の位置157におけるLys、位置337におけるLys、位置334におけるAsp、位置336におけるSer、位置158におけるVal、位置296におけるGluおよび位置298におけるMetから成る群から独立して選択される6つのアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1の配列を有する因子VIIポリペプチド。
【請求項26】
配列番号1の位置157におけるLys、位置337におけるLys、位置334におけるAsp、位置336におけるSer、位置158におけるVal、位置296におけるGluおよび位置298におけるMetから成るアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1の配列を有する因子VIIポリペプチド。
【請求項27】
配列番号1の位置157における前記LysがGly、Val、Ser、Thr、Asn、Gln、Asp、およびGluから成る群から選択されるアミノ酸により置換されている、請求項1、8、20〜26に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項28】
配列番号1の位置337における前記LysがAla、Gly、Val、Ser、Thr、Asn、Gln、Asp、およびGluから成る群から選択されるアミノ酸により置換されている、請求項2、9、20〜26に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項29】
配列番号1の位置334における前記AspがGly、およびGluから成る群から選択されるアミノ酸により置換されている、請求項3、10、20〜26に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項30】
配列番号1の位置336における前記SerがGly、およびGluから成る群から選択されるアミノ酸により置換されている、請求項4、11、20〜26に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項31】
配列番号1の位置158における前記ValがSer、Thr、Asn、Gln、Asp、およびGluから成る群から選択されるアミノ酸により置換されている、請求項5、12、20〜26に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項32】
配列番号1の位置296における前記GluがArg、Lys、およびGluから成る群から選択されるアミノ酸により置換されている、請求項6、13、20〜26に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項33】
配列番号1の位置298における前記MetがLys、Arg、Gln、およびGluから成る群から選択されるアミノ酸により置換されている、請求項7、14、20〜26に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項34】
アミノ酸が核酸構築物によりコードことができる異なるアミノ酸により置換されている、請求項1〜26のいずれかに記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項35】
前記因子VIIポリペプチドがヒト因子VIIである、請求項1〜34のいずれかに記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項36】
前記因子VIIポリペプチドがヒト因子VIIaである、請求項1〜34のいずれかに記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項37】
[E296V]−FVII、[M298Q]−FVII、および [S336G]−FVIIから成る群から独立して選択される因子VIIポリペプチドである、請求項20に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項38】
[V158T/M298K]−FVII、[E296V/M298Q]−FVII、[V158D/E296V]−FVII、[V158D/M298Q]−FVII、および [V158D/M298K]−FVIIから成る群から独立して選択される因子VIIポリペプチドである、請求項21に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項39】
[V158D/E296V]−FVIIである、請求項22に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項40】
[V158D/E296V/M298Q/K337A]−FVIIである、請求項23に記載の因子VIIポリペプチド。
【請求項41】
請求項1〜40のいずれかに記載の因子VIIポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなる核酸構築物。
【請求項42】
ベクターである、請求項41に記載の核酸構築物。
【請求項43】
請求項41に記載の核酸構築物を含んでなる組換え宿主細胞。
【請求項44】
哺乳動物由来である、請求項43に記載の組換え宿主細胞。
【請求項45】
細胞がCHO細胞、BHK細胞またはHEKから成る群から選択される、請求項44に記載の組換え宿主細胞。
【請求項46】
請求項41に記載の核酸構築物を含有しかつそれを発現するトランスジェニック動物。
【請求項47】
請求項41に記載の核酸構築物を含有しかつそれを発現するトランスジェニック植物。
【請求項48】
核酸構築物の発現を可能とする条件下に適当な増殖培地中で請求項43〜45のいずれかに記載の細胞を培養し、生ずるポリペプチドを培地から回収することを含んでなる、請求項1〜40のいずれかに記載の因子VIIポリペプチドを産生する方法。
【請求項49】
請求項46に記載のトランスジェニック動物により産生されたミルクから変異型を回収する、請求項1〜40のいずれかに記載の因子VIIポリペプチドを産生する方法。
【請求項50】
請求項47に記載のトランスジェニック植物の細胞を培養し、生ずる植物から変異型を回収することを含んでなる、請求項1〜40のいずれかに記載の因子VIIポリペプチドを産生する方法。
【請求項51】
配列番号1の少なくとも位置157におけるLysに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物。
【請求項52】
配列番号1の少なくとも位置337におけるLysに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物。
【請求項53】
配列番号1の少なくとも位置334におけるAspに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物。
【請求項54】
配列番号1の少なくとも位置336におけるSerに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物。
【請求項55】
配列番号1の少なくとも位置158におけるValに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物。
【請求項56】
配列番号1の少なくとも位置296におけるGluに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物。
【請求項57】
配列番号1の少なくとも位置298におけるMetに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物。
【請求項58】
請求項1〜40のいずれかに記載の因子VIIポリペプチドと、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物。
【請求項59】
出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する薬剤を製造するための、配列番号1の少なくとも位置157におけるLysに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型の使用。
【請求項60】
出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する薬剤を製造するための、配列番号1の少なくとも位置337におけるLysに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型の使用。
【請求項61】
出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する薬剤を製造するための、配列番号1の少なくとも位置334におけるAspに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型の使用。
【請求項62】
出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する薬剤を製造するための、配列番号1の少なくとも位置336におけるSerに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型の使用。
【請求項63】
出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する薬剤を製造するための、配列番号1の少なくとも位置158におけるValに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型の使用。
【請求項64】
出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する薬剤を製造するための、配列番号1の少なくとも位置296におけるGluに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型の使用。
【請求項65】
出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する薬剤を製造するための、配列番号1の少なくとも位置298におけるMetに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型の使用。
【請求項66】
出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する薬剤を製造するための、請求項1〜40のいずれかに記載の因子VIIポリペプチドの使用。
【請求項67】
治療を必要とする患者に、治療的または予防的に有効量の配列番号1の少なくとも位置157におけるLysに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型を投与することを含んでなる、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する方法。
【請求項68】
治療を必要とする患者に、治療的または予防的に有効量の配列番号1の少なくとも位置337におけるLysに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型を投与することを含んでなる、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する方法。
【請求項69】
治療を必要とする患者に、治療的または予防的に有効量の配列番号1の少なくとも位置334におけるAspに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型を投与することを含んでなる、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する方法。
【請求項70】
治療を必要とする患者に、治療的または予防的に有効量の配列番号1の少なくとも位置336におけるSerに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型を投与することを含んでなる、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する方法。
【請求項71】
治療を必要とする患者に、治療的または予防的に有効量の配列番号1の少なくとも位置158におけるValに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型を投与することを含んでなる、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する方法。
【請求項72】
治療を必要とする患者に、治療的または予防的に有効量の配列番号1の少なくとも位置296におけるGluに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型を投与することを含んでなる、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する方法。
【請求項73】
治療を必要とする患者に、治療的または予防的に有効量の配列番号1の少なくとも位置298におけるMetに対応するアミノ酸が異なるアミノ酸により置換されている、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる因子VIIポリペプチドまたはその変異型を投与することを含んでなる、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する方法。
【請求項74】
治療を必要とする患者に、治療的または予防的に有効量の請求項1〜40のいずれかに記載の因子VIIポリペプチドを投与することを含んでなる、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血作用系を増強する方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【公開番号】特開2009−278980(P2009−278980A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−148765(P2009−148765)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【分割の表示】特願2002−527015(P2002−527015)の分割
【原出願日】平成13年9月13日(2001.9.13)
【出願人】(501497563)ノボ ノルディスク ヘルス ケア アクチェンゲゼルシャフト (58)
【Fターム(参考)】