説明

ヒトFPPSのX線構造およびFPPS結合化合物を選択するための使用

本発明は、結晶性ヒトファルネシル二リン酸合成酵素(FPPS)、遊離FPPSの三次元構造ならびに基質、例えばIPP(イソペンテニル二リン酸)とのおよび/または阻害剤、例えばZometa(登録商標)またはAredia(登録商標)との複合体のFPPSの三次元構造に関する。さらに、ヒトFPPSの結晶を製造するための方法を記載する。本発明にしたがって、結晶は未知の構造のFPPSホモログ、変異体、リガンドとの複合体、FPPS結晶形および類似する分子の構造を決定するために使用できる。本発明はさらに例えばX線スクリーニングによる新規FPPSリガンドを選択するため、およびFPPSに対する阻害剤を設計および/または同定するためのFPPS結晶の使用に関する。さらに、本発明は新規治療剤に合成され得るFPPSへの新規低分子量の結合剤を選択および/または同定するためのNMR法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本発明は、結晶性ヒトファルネシル二リン酸合成酵素(FPPS)、遊離FPPSの三次元構造ならびにリガンド、例えばIPP(イソペンテニル二リン酸)とのおよび/または阻害剤、例えばZometa(登録商標)またはAredia(登録商標)との複合体のFPPSの三次元構造に関する。さらに、ヒトFPPSの結晶を製造するための方法を記載する。本発明にしたがって、結晶は未知の構造のFPPSホモログ、変異体、リガンドとの複合体、FPPS結晶形および類似する分子の構造を決定するために使用できる。本発明はさらに例えばX線スクリーニングによる新規FPPSリガンドを選択するため、およびFPPSに対する阻害剤を設計および/または同定するためのFPPS結晶の使用に関する。さらに、本発明は新規治療剤に作り上げられ得るFPPSへの新規低分子量の結合剤を選択および/または同定するためのNMR法に関する。
【背景技術】
【0002】
メバロン酸/イソプレン経路のホモ二量体酵素であるファルネシル二リン酸合成酵素(FPPS、E.C.2.5.1.10)は、ステロイド、ユビキノン、ドリコール、ヘムa、およびプレニル化タンパク質の生合成のための前駆体であるファルネシル二リン酸(FPP)の二段階合成を触媒する。FPPS反応はMg2+依存であり、ホモアリル二リン酸、イソペンテニル二リン酸(IPP)とアリル二リン酸、ジメチルアリル二リン酸(DMAPP)またはゲラニル二リン酸(GPP)間の“頭尾”縮合を含む。該反応はアリル型カルボニウムの形成を介して進行し、そしてアリル基質からピロリン酸(PPi)の共放出を有する基質の次の高級同族体の形成に至る。
【0003】
初期の生化学試験は、FPPSが二価の金属イオン(Mg2+またはMn2+)を必要とするアリル基質の結合で明瞭なアリルおよびホモアリル結合部位を有することを示した。反応は最初にアリル基質が酵素に結合することを有する定序メカニズムで起こる。さらに、IPPおよびDMAPPの縮合により形成されるE−GPP−PPi複合体は、FPPを製造するためにピロリン酸の解離およびGPPの転移、次にIPPとの第2の縮合反応をするために構造変化しなければならない。
【0004】
鳥類のFPPSの結晶解析はFPPSの折りたたみを示し、そしてアリル基質結合についての情報を提供した。しかし、IPP結合部位の位置および触媒サイクルをなす分子メカニズムはこれまでにしっかりと確立してはいない。最近、IPPおよび基質類似体またはビスホスホネートと複合した大腸菌FPPSの構造が発表された(Hosfield et al., 2004, J Biol Chem, 279: 8526-8529)。大腸菌FPPSの小さいサイズおよび低配列同一性のため、これらの結果がヒトFPPSにどこまで利用できるかはっきりしない。
【0005】
FPPSは最近、窒素含有ビスホスホネート剤、例えばAredia(登録商標)(パミドロネート、CGP023339A)およびZometa(登録商標)(ゾレドロネート、CGP042446)の分子標的であることが示された。ビスホスホネートが破骨細胞による骨吸収を阻害する薬剤の非常に有効な種類であることは既知であり、したがって異常に増加した骨代謝回転、例えば骨粗鬆症、パジェット病、高カルシウム血症および骨転移が関与する状態の処置のために使用されている。したがって、現在FPPSは重要な薬剤標的として認識されている。新規FPPS阻害剤は、上昇したコレステロール濃度の処置のために、骨疾患の処置だけでなく腫瘍学的にも治療的有効性を有し、抗感染薬として治療的有効性を有することが予期される。その医薬的関連性にもかかわらず、ヒトFPPSの構造情報はまだ欠乏している。阻害剤結合の構造モデルは利用できる鳥類のFPPSの結晶学的情報に大きく依存している。
【0006】
構造に基づく方法、in silico法ならびにハイスループットスクリーニング技術を使用してヒトFPPSの阻害剤を選択および最適化し得るために、ヒトFPPSの三次元構造を決定することが必要である。本発明によって、この要求は結晶性ヒトファルネシル二リン酸合成酵素(FPPS)の提供により満たされる。
【発明の開示】
【0007】
本発明は、構造試験のための組み換えヒトFPPSの製造ならびにこの酵素の先頭を行く発見ならびに最初のX線分析を記載する。
【0008】
本発明にしたがって、得られた結果が鳥類のFPPSで得られた以前の結果との相違があることを見いだした。したがって、本明細書で提供される結晶構造データは、この重要な薬剤標的の新規阻害剤の開発への新規構造情報を構成する。
【0009】
本発明にしたがって、例えば大腸菌において発現され得るヒトFPPS(hFPPS)が均一に精製され、結晶化することができる。次いで、結晶の三次元構造をX線結晶学により決定できる。非リガンド結合状態の、およびリガンド、例えば基質、阻害剤および/または金属イオンと複合した両方のhFPPSの結晶を得ることができる。特定の態様において、hFPPSの結晶はパミドロネート/Mn2+、ゾレドロネート/Mg2+およびイソペンテニル二リン酸/ゾレドロネート/Mg2+との複合体である。
【0010】
特定の態様において、結晶性hFPPSは開構造で、他の特定の態様において閉構造で存在する。開構造から閉構造への変化は主に、最後の130カルボキシ末端残基の剛体運動に付随する、活性部位を裏打ちする(lining)1つのループの大きな変化を含み、これは酵素の活性部位における2つの保存されたDDXXDモチーフをお互いに近づける。
【0011】
本発明にしたがって、さらに窒素含有ビスホスホネート阻害剤はアリル基質部位に結合し、三核金属中心を介して保存されたDDXXD配列モチーフ両方と相互作用することを見いだした。
【0012】
本発明は、特に少なくとも10μm、または、好ましくは少なくとも50μm、または、好ましくは少なくとも100μmの辺の長さを有する単結晶形、特に大きな単結晶形である結晶性ヒトFPPSに関する。
【0013】
本発明の結晶は、好ましくは空間群P42に属する。開構造である本発明の結晶(本明細書に結晶形IIとしても記載されている)は、好ましくはa=b=111ű20Å、c=77ű20Å、またはより好ましくは、a=b=111ű10Åおよびc=77ű10Åの格子定数を有する。
【0014】
閉構造である本発明の結晶(本明細書に結晶形Iとしても記載されている)は、好ましくはa=b=112ű20Åおよびc=66ű20Å、ならびにより好ましくは、a=b=112ű10Åおよびc=66ű10Åの格子定数を有する。
【0015】
本明細書に記載の精製方法の手段により、特に10Å、より好ましくは5Å、さらにより好ましくは3Å、およびもっとも好ましくは2.6ÅのX線結晶学の解像度が達成できるこのような高純度の結晶を提供することを可能にする。
【0016】
さらに、hFPPS/リガンド複合体の構造決定はhFPPS結合部位を同定および決定でき、そしてそこからhFPPSリガンド、特に阻害剤を決定できる。
【0017】
本明細書で使用される“ヒトFPPS”なる用語は、ファルネシル二リン酸合成酵素活性(FPPS, E.C. 2.5.1.10)を有する全てのヒト酵素に関する。特定の態様において、ヒトFPPSはGenbank登録BC010004に合うアミノ酸配列、またはその配列の機能的フラグメントによりコードされている。好ましい態様において、最適アラインメントで行うとき、この配列の機能的フラグメントはGenbank登録BC010004のヒトFPPSの対応するフラグメント配列と少なくとも80%の同一性、より好ましくは90%、そしてさらにより好ましくは95%の同一性を共有する。比較領域を決定するための配列の最適アラインメントはSmith and Waterman J. Theor. Biol., 91 (2) pgs. 370-380 (1981)の局部的相同アルゴリズムにより、Needleman and Wunsch, J. Miol. Biol., 48(3) pgs. 443-453 (1972)の相同アラインメントアルゴリズムにより、Pearson and Lipman, PNAS, USA, 85(5) pgs. 2444-2448 (1988)の方法を介するのと同様の探索により、これらのアルゴリズムのコンピュータ化インプリメンテーションにより(GAP, BESTFIT, FASTA and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0, Genetic Computer Group, 575, Science Drive, Madison, Wisconsin)または検査により実施され得る。
【0018】
様々な方法により生成される最適アラインメント(すなわち、比較領域にわたってもっとも高い同一性比率を得られる)は、同一性比率を測定するために選択される。
【0019】
本発明で使用する、ヒトFPPS変異体は、最適アラインメントで行うときGenbank登録BC010004のヒトFPPSの対応するフラグメント配列と少なくとも90%の同一性、より好ましくは95%、さらにより好ましくは99%の同一性を共有するヒトFPPSのアミノ酸配列を有するヒトFPPSである。好ましくは、hFPPSの変異体はヒトFPPSの単一の変異体、より好ましくは、不完全なまたは非機能的変異体である。本発明の特定の態様において、ヒトFPPS変異体は下記に定義のとおりの結合ポケットの1つまたはそれ以上のアミノ酸において変異を有するヒトFPPSである。
【0020】
本明細書で使用される“リガンド”なる用語は、ヒトFPPSの1個またはそれ以上の特定の部位に、好ましくはヒトFPPSの結合ポケットに、もっとも好ましくはヒトFPPSの3個の特定の結合部位の1個に結合する分子または分子の群を意味する。本発明のリガンドは好ましくは低分子量分子である。
【0021】
本明細書で使用される“低分子量化合物”なる用語は、好ましくは一般に分子量約1000ダルトン未満、より好ましくは約600ダルトン未満を有する有機化合物を意味する。もっとも好ましくは、該低分子量化合物またはリガンドはヒトFPPS活性を阻害する。
【0022】
本明細書で使用される“結合ポケット”なる用語は、その形および物理化学的特徴の結果として、好都合には他の化学物質または化合物と関連して、ヒトFPPSの領域を意味する。好ましくは、それは発明により同定される下記の3個の結合部位からなる結合ポケットを意味する:
【0023】
1)少なくとも下記のアミノ酸Gly56、Lys57、Arg60、Gln96、Arg113、Thr201、Tyr204、Phe239、Gln240およびAsp243が配置されている(lined by)、ホモアリル基質(IPP)の結合部位、
2)アリル基質(DMAPPまたはGPP)およびビスホスホネートベース阻害剤の結合部位。この結合部位はDDXXDモチーフ両方を含む三核金属中心が特徴である;それは少なくとも下記のアミノ酸:Phe99、Leu100、Asp103、Asp107、Arg112、Thr167、Gln171、Lys200、Thr201、Tyr204、Glu240、Asp243およびLys257、ならびに特に下記のアミノ酸:Leu100、Asp103、Asp107、Arg112、Gln171、Lys200、Thr201、Tyr204、Glu240、Asp243およびLys257が配置されている;
3)以下“新規結合部位”と記載し、少なくとも下記のアミノ酸:Tyr10、Lys57、Asn59、Arg60、Thr63、Ser205、Phe206、Phe239、Gln242、Leu246、Leu344、Lys347およびIle348が配置されている本発明において同定された新規結合部位。
【0024】
本明細書で使用されるとき、残基の番号付けはSwissProt登録P14324と同意である。
【0025】
特に、IPP/ゾレドロネート/Mg2+/hFPPS複合体の構造決定により、ホモアリル基質結合部位、すなわちIPP結合部位の位置が達成され、IPP認識に関与する保存された残基が特定された。さらに、ビスホスホネート阻害剤ゾレドロネートは三核金属中心を介してアリル基質部位に結合することを見いだした。
【0026】
本発明にしたがって、新規リガンド、特にヒトFPPSに対する新規阻害剤を選択および/または設計するために結合ポケットに関する情報を使用することが好ましく、それによってここでリガンドは、好ましくはTyr10、Gly56、Lys57、Asn59、Arg60、Thr63、Gln96、Phe99、Leu100、Asp103、Asp107、Arg112、Arg113、Thr167、Gln171、Lys200、Thr201、Tyr204、Ser205、Phe206、Phe239、Gln240、Gln242、Asp243、Leu246、Lys257、Leu344、Lys347およびIle348からなる群から選択される結合ポケットの1つまたはそれ以上のアミノ酸と相互作用する。より具体的に、それはTyr10、Gly56、Lys57、Asn59、Arg60、Thr63、Gln96、Leu100、Asp103、Asp107、Arg112、Arg113、Gln171、Lys200、Thr201、Tyr204、Ser205、Phe206、Phe239、Gln240、Gln242、Asp243、Leu246、Lys257、Leu344、Lys347およびIle348からなる群から選択される結合ポケットの1つまたはそれ以上のアミノ酸と相互作用する。より好ましくは、本発明において同定されるヒトFPPSの新規結合部位に関する情報を使用することが好ましく、該新規結合部位は少なくとも下記のアミノ酸Tyr10、Lys57、Asn59、Arg60、Thr63、Ser205、Phe206、Phe239、Gln242、Leu246、Leu344、Lys347、Ile348含む。したがって、本発明の目的は、新規リガンド、とりわけTyr10、Lys57、Asn59、Arg60、Thr63、Ser205、Phe206、Phe239、Gln242、Leu246、Leu344、Lys347およびIle348からなる群の中から選択される新規結合部位を含む1つまたはそれ以上のアミノ酸と相互作用する非ビスホスホネートリガンドの設計および/または同定のための手段を提供することである。
【0027】
他の特定の態様において、本発明のhFPPS結晶はFPPSモノマーあたり3個の金属陽イオン、特にMg2+または/およびMn2+を含む。
【0028】
本発明はさらに
(i)組み換えヒトFPPSを大腸菌で発現させ(ここで該組み換えヒトFPPSはアミノ酸断片6から353を含む)、
(ii)発現したヒトFPPSを精製し、そして
(iii)精製ヒトFPPSを結晶化する
段階を含む、結晶性ヒトFPPS生成物の製造法に関する。
【0029】
好ましくは、組み換え発現はGenbank登録BC010004のものと合う配列からのアミノ酸残基6から353をコードするプラスミドを使用することにより達成する。
【0030】
特定の態様において、段階(ii)の精製は陰イオン交換カラムおよびサイズ排除クロマトグラフィーを介する精製を含む。
【0031】
他の態様において、段階(iii)の結晶化は蒸気拡散、自由界面拡散、微小透析または油のもとでのマイクロバッチによる結晶化を含む。
【0032】
より好ましくは、ヒトFPPSを製造するための方法は明細書の下記の精製法1にしたがって行う。
【0033】
本発明はまた上記方法により得られる結晶性ヒトFPPSに関する。
【0034】
したがって本発明は、図14、図15、図16、図17および/または図18で示される構造座標のすべての部分または選択された部分により定義されるヒトFPPSの結晶構造、およびその類似する構造を提供する。
【0035】
“選択された部分”は図14、15、16、17および/または18で示される少なくとも10個のアミノ酸、および好ましくは少なくとも20個のアミノ酸の構造座標を意味する。好ましい態様において、選択された部分は上記定義のとおりの結合ポケットの3個の結合部位の少なくとも1個を形成するアミノ酸の構造座標に対応する。
【0036】
“類似する構造”は図14、図15、図16、図17および/または図18で示される構造座標と比較するとき、本実施例において行われる結晶構造のX線の解像度の範囲内、好ましくは10Å、より好ましくは5Å、さらにより好ましくは3Åおよびもっとも好ましくは2.6ÅのX線結晶学の解像度の範囲内で変化を有する構造座標を有するヒトFPPSの構造を意味する。
【0037】
ヒトFPPSが2つの構造、すなわち閉構造ならびに開構造で存在することを見いだした。
【0038】
実際、構造の微調整中に、驚くべきことに、ヒト酵素が、鳥類のFPPSと比較して異なる構造状態であることを見いだし、それを閉環状態と呼ぶ(図1)。2つの構造状態間の構造の重なりで、最後の130個のカルボキシ末端残基のみがヘリックスH、I、Jならびにα−1、α−2およびα−3の剛体移動での、構造スイッチにより影響されることを見いだした(図3)。この構造変化はヘリックスHをヘリックスDに近づけ、それによって2個のDDXXDモチーフ間の距離を短くし、活性部位を閉じる。開構造において、Asp103とAsp243のOδ2原子間は12Åであり、閉状態においてこの距離は10Åに減少する。この剛体移動は、閉状態の活性部位上を締め付けるようにふたとして働くH−Iループの大きな変化に付随する(図9)。H−Iループの先端のGly256のCα原子の位置は6.7Å移動する。酵素活性部位を裏打ちし、基質の結合に関連するいくつかの保存された残基はまた、構造スイッチ、特にPhe239、Gln240、Leu100、Lys257およびLys266により影響される。さらに、いくつかの構造成分が閉構造においてより秩序正しくなる。これは、開状態においてあまり明確でない電子密度および高いBファクターを有するH−Iループ、ならびに開状態において無秩序であるが閉状態において結合した基質と相互作用するFPPSの最後の3個のカルボキシ末端残基、Arg351、Arg352およびLys353について当てはまる。しかし二量体の中間面は構造スイッチにより影響されない。2つのFPPSサブユニットは固定されているままであり、二量体の2つ折りの軸を中心とする堅い核を構成している、ヘリックスA、B、DおよびEを介して相互作用する。
【0039】
さらにヒトFPPSの構造を研究するため、特にFPPS/リガンド相互作用についての興味のある情報を得るために、リガンド分子または/および阻害剤分子と複合したヒトFPPSを含む結晶を製造できる。
【0040】
本発明により提供されるhFPPS結晶および結晶構造データ、各々は特にhFPPSの結合部位の同定ならびに新規FPPSリガンドの選択、設計、同定および/または提供のために使用できる。
【0041】
特に結晶構造データから始め、リガンド分子は容易にコンピュータ利用モデリングプログラムを使用して得ることができる。この目的のため、例えば、最初にFPPSおよび結合部位、各々の三次元表現を結晶構造データ、三次元表現、例えば電子密度図、ワイヤーフレームモデル、鶏羽軸モデル、球および棒モデル、空間充填モデル、骨格モデル、リボンモデル、スネークモデル、矢印および円柱モデル、分子表面モデルまたはそれらの組合せの手段により生成する。適当なリガンドはそれらの三次元構造の手段により選択し、それによって、該構造はFPPSの相互作用部位に相補的であるべきである。この目的のため、例えば、FPPSの三次元表現および可能なリガンド化合物の三次元表現を製造し、次いでそれを可能な化合物の三次元表現がFPPSの三次元表現の結合ポケットに合うかどうかを所望によりコンピュータを利用して試験する。この手順は特に合理的な薬剤設計に対して適当である。
【0042】
本発明の1つの態様において、コンピュータベースの方法は
a)ヒトFPPSの構造座標にしたがってヒトFPPSの三次元表現を提供し、
b)候補化合物の三次元表現を提供し、
c)三次元表現がヒトFPPSの結合ポケットに相補的である候補化合物を選択し、そして、
d)所望により溶解性、親和性、特異性および/または有効性のような物理学的特徴を最大化するために段階c)で選択される該化合物を修飾する
段階を含む、ヒトFPPSに結合できるリガンドの選択、設計および/または同定のための方法を提供する。
【0043】
リガンドは、化合物データベースまたはライブラリーをスクリーニングし、ヒトFPPSの結合ポケットの結合部位に合う操作を行うためコンピュータ手段を使用して、選択できる。図14、図15、図16、図17および/または図18で示される表の構造座標のすべてまたは一部の本発明で提供される結合ポケットの三次元構造は、様々な結合プログラムと一緒に使用できる。
【0044】
ヒトFPPSの化合物の可能な阻害剤または結合効果は、その実際の合成を行う前に、コンピュータモデリング技術の使用により試験することにより分析し得る。得られる化学物質の理論構造がそれとヒトFPPS間の相互作用および結合が不十分であることを示すとき、化合物の合成および試験の必要性が回避される。しかし、コンピュータモデリングが強い相互作用を示したとき、次いで分子を合成し、ヒトFPPSへの結合する能力を試験し得る。したがって、効力のない化合物の高価で、時間のかかる合成を避け得る。
【0045】
ヒトFPPSの阻害剤または他の結合化合物は、化合物のヒトFPPSの個々の結合部位と結合する能力をスクリーニングし、選択する一連の段階の手段により、コンピュータ的に評価および設計され得る。したがって、当業者は化合物のヒトFPPSと結合する能力をスクリーニングするためにいくつかの方法の1つを使用し得る。この工程は、例えばすべてまたは一部の構造座標に基づくコンピュータスクリーン上の結合部位の目視検査により始め得る。次いで、選択された化合物をヒトFPPSのポケット結合部位内に様々な配置で置くか、または“ドッキング”し得る。ドッキングはソフトウェア、例えばQuantaおよびSYBYL、次いで標準分子力学力場に関するエネルギー最小化および分子動力学、例えばCHARMMおよびAMBERを使用して成し遂げ得る。特殊コンピュータプログラムが興味のある化合物を選択するために使用され得る。これらのプログラムは、例えばOxford University, Oxford, UKから入手できるGRID;Molecular Simulations, Burlington, MAから入手できるMCSSまたはCATALYST;Scripps Research Institute, La Jolla, CAから入手できるAUTODOCK;University of California, San Francisco, CAから入手できるDOCKおよびUniversity College of London, UKから入手できるXSITEを含む。
【0046】
好ましい態様において、ヒトFPPSの閉構造の構造座標は上記コンピュータベースの方法で使用し得る。
【0047】
好ましくは、該化合物はTyr10、Gly56、Lys57、Asn59、Arg60、Thr63、Gln96、Phe99、Leu100、Asp103、Asp107、Arg112、Arg113、Thr167、Gln171、Lys200、Thr201、Tyr204、Ser205、Phe206、Phe239、Gln240、Gln242、Asp243、Leu246、Lys257、Leu344、Lys347およびIle348からなる群から選択される結合ポケットの1つまたはそれ以上のアミノ酸と相互作用するものの中から選択される。より具体的に、それはTyr10、Gly56、Lys57、Asn59、Arg60、Thr63、Gln96、Leu100、Asp103、Asp107、Arg112、Arg113、Gln171、Lys200、Thr201、Tyr204、Ser205、Phe206、Phe239、Gln240、Gln242、Asp243、Leu246、Lys257、Leu344、Lys347およびIle348からなる群から選択される結合ポケットの1つまたはそれ以上のアミノ酸と相互作用する。
【0048】
別の好ましい態様において、該化合物は新規結合部位に合うリガンドの中から選択される。好ましくは、該化合物はTyr10、Lys57、Asn59、Arg60、Thr63、Ser205、Phe206、Phe239、Gln242、Leu246、Leu344、Lys347およびIle348からなる群から選択される1つまたはそれ以上のアミノ酸と相互作用するものの中から選択される。
【0049】
別の好ましい態様において、物理学的特徴、例えば溶解性、親和性、特異性および/または有効性を最大化するために、段階c)で選択される該化合物を修飾することによるリガンドを設計する方法を提供する。
【0050】
設計された化合物は結合ポケットの1つまたはそれ以上のアミノ酸と物理学的に相互作用できるはずである。この結合は、例えば共有結合もしくは非共有結合またはファンデルワールス力、疎水性または静電相互作用のような化学的結合であり得る。第2に、該化合物は、ヒトFPPS、好ましくはヒトFPPSの結合ポケットと結合できる構造を取ることができなければならない。必ずしも化合物のすべての部分がヒトFPPSとの結合に関与するわけではないが、それでもこれらの結合しない部分は分子の全体的な構造に影響し得る。このような構造必要条件は、結合部位のすべてまたは一部と結合する化学物質の全体的な三次元構造および配置を含む。
【0051】
図14、15、16、17および/または18で示される構造座標はとりわけ好ましくはコンピュータ可読データを有するデータ記憶媒体を含むコンピュータ可読記憶媒体に保存される。コンピュータ可読記憶媒体はコンピュータシステムの一部であり得る。
【0052】
本発明はさらに
a.候補化合物とヒトFPPSを共結晶化またはインキュベートし、
b.X線またはNMR法により候補化合物と相互作用するヒトFPPSのアミノ酸を決定し、
c.段階bの結果に基づいて、Tyr10、Gly56、Lys57、Asn59、Arg60、Thr63、Gln96、Phe99、Leu100、Asp103、Asp107、Arg112、Arg113、Thr167、Gln171、Lys200、Thr201、Tyr204、Ser205、Phe206、Phe239、Gln240、Gln242、Asp243、Leu246、Lys257、Leu344、Lys347およびIle348からなる群、特にTyr10、Gly56、Lys57、Asn59、Arg60、Thr63、Gln96、Leu100、Asp103、Asp107、Arg112、Arg113、Gln171、Lys200、Thr201、Tyr204、Ser205、Phe206、Phe239、Gln240、Gln242、Asp243、Leu246、Lys257、Leu344、Lys347およびIle348からなる群の中から選択される結合ポケットの1つまたはそれ以上のアミノ酸と相互作用する化合物を選択する
ことを含む、ヒトFPPSに結合できるリガンドを選択するための方法に関する。
【0053】
段階b)を行うため、リガンドの結合部位のマッピングは、通常、候補化合物と共にまたは無しでNMRスペクトルの記録すること、そしてリガンド結合により影響されるタンパク質の共鳴を同定することにより行う。これは、分析する前のタンパク質共鳴の割り当て、または既知の結合部位とリガンドとの結合により起こる化学シフト変化のパターンとの比較が必要である。あるいは、該リガンドと既知の結合部位を使用する競合的実験が同等の情報を生じ得る。
【0054】
したがって、本発明はまたFPPSへの改良された結合剤、特に低分子量結合剤を選択するためのNMR法に関する。この方法は、好ましくは間接的方法において選択される共鳴の割り当てに基づく。特に、1つのリガンド、例えばパミドロネートの他のリガンド、例えばゾレドロネートへの置換により化学シフト変化を受ける共鳴は、第2のリガンドの位置に非常に近接して位置し得る。したがって、これらの化学シフト変化はリガンド結合部位を示す。このアプローチは常磁性の金属イオン、例えばMn2+の反磁性の金属イオン、例えばMg2+での置換による常磁性緩和の増大によりさらに助けられ得る。このような常磁性緩和の増大の影響を受けない残基は常磁性中心から2nm離れており、一方このような常磁性緩和の増大の影響を受ける残基は金属イオンから1.0から1.5nmの距離である。
【0055】
好ましい態様において、段階a)の前に、該候補化合物は上記本発明のコンピュータベースの方法にしたがって選択される。
【0056】
別の特定の態様において、本発明の方法はさらに
d.物理学的特徴、例えば溶解性、親和性、特異性および/または有効性を最大化するために段階c)で得られる化合物の類似体を設計し、
e.ヒトFPPSに結合できる新規化合物を選択するために対応する類似体で上記の方法の段階a.からc.を繰り返す
段階を含む。
【0057】
本発明はさらに、フラグメント関連アプローチを使用して、ヒトFPPSの新規リガンドを設計するための方法を提供する。各結合部位に結合する化合物がまず選択される。
【0058】
次いで、設計される新規化合物が2つの結合部位内に納まるように、リガンドを空間的な配置に基づいて一緒に結合させる。
【0059】
本発明はヒトFPPSへのリガンドを設計する方法であって、該方法が
a)ヒトFPPSの第1の結合部位の1つまたはそれ以上のアミノ酸に結合する第1のリガンドを提供し、
b)ヒトFPPSの第2の結合部位の1つまたはそれ以上のアミノ酸に結合する第2のリガンドを提供し、
c)ヒトFPPSの第1のおよび第2の結合部位に結合するリガンドを設計するために、該第1のリガンドと該第2のリガンドを連結する
段階を含む方法。
【0060】
特定の態様において、該方法は第3の結合部位の1つまたはそれ以上の残基に結合するリガンドを提供し、そして第1の、第2のおよび第3の結合部位に結合するリガンドを形成するために段階c)で得られるリガンドに該第3のリガンドを連結する段階を含む。
【0061】
好ましくは、段階a)での第1のリガンドがヒトFPPSの新規結合部位内に納まるリガンドの中から選択される。好ましくは、該第1のリガンドがTyr10、Lys57、Asn59、Arg60、Thr63、Ser205、Phe206、Phe239、Gln242、Leu246、Leu344、Lys347およびIle348からなる群の中から選択される1つまたはそれ以上のアミノ酸と相互作用するリガンドの中から選択される。
【0062】
適当な連結基の選択は、有機化学の分野において既知の結合角および結合長の情報の原則に基づきお互いにおよびヒトFPPSへのリガンドの空間的な配置を維持することにより作られる。
【0063】
より好ましくは、段階b)での第2のリガンドはホモアリル基質(IPP)の結合部位および/またはアリル基質(DMAPPまたはGPP)の結合部位内に納まるリガンドの中から選択される。例えば、段階b)での第2のリガンドがGly56、Lys57、Arg60、Gln96、Arg113、Thr201、Tyr204、Phe239、Gln240およびAsp243および/またはPhe99、Leu100、Asp103、Asp107、Arg112、Thr167、Gln171、Lys200、Thr201、Tyr204、Glu240、Asp243およびLys257、特にLeu100、Asp103、Asp107、Arg112、Gln171、Lys200、Thr201、Tyr204、Glu240、Asp243およびLys257からなる群の中から選択される1つまたはそれ以上のアミノ酸と相互作用するリガンドの中から選択される。
【0064】
最後に、本発明はまた、本明細書で得られる情報を使用して得られるヒトFPPSに対するリガンドに関する。これらのリガンドは好ましくは、ヒトFPPSの阻害剤である。このようなリガンドは、好ましくは医薬組成物、特に腫瘍誘発高カルシウム血症、骨のパジェット病、溶骨型転移、閉経後骨粗鬆症、低コレステロール血症および/または軟組織癌の処置および/または予防するための医薬組成物に使用される。
【0065】
図の説明
図1:ヒトFPPSホモ二量体(閉構造)の全体的な構造
図2:ヒトFPPSの活性部位断面内、未知の内因性リガンドの存在を示す残りの電子密度(3σトレース)。電子密度は部分的にリン酸基と解釈され、球および棒表示(立体図)において示された。
図3:ヒトFPPSの閉状態(マゼンタ色のCαトレース)および開状態(シアンブルー色のCαトレース)の重ね合わせ。最初の150アミノ−末端残基(rmsd=0.34Å)を使用して、2つの構造を重ね合わせた。重ね合わせは最後の130C末端残基のみが実は構造スイッチ、顕著にH−IループおよびH、α−1、α−2、α−3、IおよびJヘリックスにより影響されることを示し、一方、最初の220残基はrmsd0.44Åのみを示す。
図4:ヒトFPPS(マゼンタ色のCαトレース)の開状態(シアンブルー色のCαトレース)の上に閉構造を重ね合わせたクローズアップ図。HヘリックスおよびH−Iループの大きな変化が、顕著に残基F239、Q240、D243、D247、G256、K257およびK266の位置に影響することを示す。
図5:Mn2+およびパミドロネートとのヒトFPPS複合体のクローズアップ図。極性電位/静電相互作用は薄い黒色の線で示される。パミドロネートは透明なファンデルワールス力表面を有する球および棒表示で示される。三核Mn2+中心は配位結合している水分子(小さいシアンブルー色の球)と一緒にすみれ色の球として示される。
図6:3つのMg2+イオンの配位圏(2つの異なる配置)。シアンブルー色の球は明確な水分子を示す。Zometa(ゾレドロネート)のヒドロキシル基を含む極性相互作用は波線で示される。
図7:Mg2+およびZometa(ゾレドロネート)とのヒトFPPS複合体のクローズアップ図。極性電位/静電相互作用は薄い黒色の線で示される。Zometa(ゾレドロネート)は透明なファンデルワールス力表面を有する球および棒表示で示される。三核Mn2+中心は配位結合している水分子(小さいシアンブルー色の球)と一緒にすみれ色の球として示される。
【0066】
図8:リガンド、Zometa(ゾレドロネート)およびイソペンテニル二リン酸を結合している電子密度(σ−加重、(Fo−Fc、φcalc)結合、電子密度図、4.0σ輪郭を除く)。緑色の球はMg2+陽イオンの位置を示し、シアンブルー色の球はマグネシウムイオンの配位圏に属する水分子の位置を示す。
図9:イソペンテニル二リン酸(IPP)およびヒトFPPSにおけるその結合部位との結合相互作用のクローズアップ図。可能な水素結合はオングストロームの長さを示す薄い黒色の線により示される。IPPはそのファンデルワールス力表面と一緒に球および棒表示で示される。Zometa(ゾレドロネート)は球および棒で示される。シアンブルー色の球は水分子を示し、緑色の球はマグネシウムイオンを示し、そしてマゼンタ色の球は暫定的にナトリウムイオンの残りの密度の位置であるとみなす。
図10:FPPSホモ二量体(80kDa):非リガンド結合FPPS(FPPS二量体濃度:60μM;黒いスペクトル)およびパミドロネート/Mg2+と複合体化したFPPS(FPPS二量体濃度:60μM、パミドロネート濃度:270μM、Mg2+濃度:900μM;青色のスペクトル)の15N,H−TROSY NMRスペクトル。
図11:パミドロネート/Mg2+と複合体化したFPPS(FPPS二量体濃度:60μM、パミドロネート濃度:270μM、Mg2+濃度:900μM;青いスペクトル)およびゾレドロネート/Mg2+と複合体化したFPPS(FPPS二量体濃度:60μM、ゾレドロネート濃度:270μM、Mg2+濃度:900μM;赤いスペクトル)の15N,H−TROSY NMRスペクトル。パミドロネートをZometa(ゾレドロネート)により置き換えることにより摂動したいくつかの共鳴は赤い円である。7.5から8.0ppmの“ランダムコイル領域”を示すさらなるピークは分解したFPPSに由来する。
図12:ゾレドロネート/Mg2+と複合体化したFPPS(FPPS二量体濃度:60μM、ゾレドロネート濃度:270μM、Mg2+濃度:900μM;赤いスペクトル)およびIPPの添加後(400μM;緑色のスペクトル)の15N,H−TROSY NMRスペクトル。IPP添加により摂動したいくつかの共鳴は緑色の円である。7.5から8.0ppmの“ランダムコイル領域”を示すさらなるピークは分解したFPPSに由来する。
図13:ゾレドロネート/Mg2+と複合体化したFPPS(FPPS二量体濃度:60μM、ゾレドロネート濃度:270μM、Mg2+濃度:800μM;黒いスペクトル)およびゾレドロネート/Mn2+へ複合体化したFPPS(FPPS二量体濃度:60μM、ゾレドロネート濃度:270μM、Mn2+濃度:400μM;オレンジ色のスペクトル)の800MHzの15N,H−TROSY NMRスペクトル。
【0067】
図14:閉形の非リガンド結合のhFPPSのX線構造座標。
図15:開形の非リガンド結合のhFPPSのX線構造座標。
図16:パミドロネートおよびMn2+との複合体のhFPPSのX線構造座標。
図17:ゾレドロネート、IPPおよびMg2+との複合体のhFPPSのX線構造座標。
図18:ゾレドロネートおよびMg2+との複合体のhFPPSのX線構造座標。
図19:Zn2+およびイバンドロネートとのヒトFPPS複合体のクローズアップ図。あり得る極性/静電相互作用は薄い黒い線により示される。イバンドロネートは球および棒表示で示される。三級窒素の反転から創作するイバンドロネートの2つの別の構造をモデル化し、精密化した。三核Zn2+中心は配位結合している水分子(小さいシアンブルー色の球)と一緒に灰色の球として示される。
図20:イバンドロネートおよびZn2+との複合体のhFPPSのX線構造座標。
【実施例】
【0068】
1.クローニングおよび大腸菌発現
ヒトファルネシル二リン酸合成酵素をコードするプラスミドはI.M.A.G.E cDNAクローンライブラリー(クローン MGC:15352、IMAGE:4132071)由来であった。その配列はGenbank登録BC010004のものと合っていた。アミノ酸フラグメント6から351をコードするDNAはオリゴヌクレオチドMG1053(5'-ctggaagttctgttccaggggccaaattcagatgtttatgcccaagaa-3')およびMG1054(5'-gtcgacgtaggcctttgaattcactttctccgcttgtagattttg-3')を使用してPCRによりクローニングした。次いでPCRフラグメントをGeiser et al. (Bio Techniques 31 (2001) 88-92)の方法にしたがってプラスミドpXI341に結合させた。得られるプラスミドはpXI478と呼ばれ、ヒトFPPS(ヘキサヒスチジンタグ、次いでN末端でPreScissionプロテアーゼ開裂を有するアミノ酸残基6から351)に対応する。
大腸菌BL21(DE3)Tuner細胞(Novagen)をpXI478プラスミドで形質転換し、発酵を開始させるまで液体窒素中で保存した。
【0069】
2.発酵
2.1 バッチ1
組み換え大腸菌を25mg/lのカナマイシンを含む5リットルTBmod培地中ISF−100発酵槽で、まず37℃で1mMのIPTGによりOD600nm=3.7まで培養し、次いでさらに4時間28℃でpH=7.0、pO=97−98%で培養した。回収した細胞(68gの生重量)は、SDS−PAGE分析(予想分子量40kDaでクマシー染色ゲルの顕著なバンド)により示されるとおり高レベルで、約50%が可溶形のFPPSを発現した。
【0070】
ヒトFPPS(残基6から353)の高レベル発現(>50mg/l)を大腸菌において成し遂げることができる。約10から50%のタンパク質は可溶形で製造された。精製された酵素の同一性および完全性はN末端シークエンシングおよび質量分析により立証された。天然条件下のエレクトロスプレイイオン化質量分析でヒトFPPSが80kDaのホモ二量体であることを確認した。タンパク質は十分に機能し、十分に可溶性であり(>20mg/ml)、安定であり、そして期待される酵素活性を示した。
【0071】
2.2 バッチ2
組み換え大腸菌をISF−100発酵槽中で25mg/lのカナマイシンを含む5.5リットルの自動誘導培地ZYP−5052中で培養し、14時間28℃でpH=7.1でpO2=100−89%で自動誘導および培養した。飢餓細胞(114gの生重量)は高レベルでFPPSを発現したが、約10%だけが可溶形であった。
【0072】
3.精製
3.1 精製法1:バッチ1
68gの大腸菌湿細胞ペレット(バッチ1)を560mlのバッファーA(各5mMのDTT、ベンズアミジンHClおよびEDTAを含む50mMのTris、pH8.0)中で懸濁し、Avestin C−50マイクロフルイダイザーに2回通すことにより溶解させ、30分間15,000rpmでSLA1500 rotor(Sorvall)中で遠心した。得られた上清をバッファーAで平衡にしたQ−Sepharose HPのXK26/10カラムに充填した。カラムをバッファーA(15カラム用量;750ml)中のNaClの0から1Mの勾配により溶出した後、該カラムを基準値がゼロに戻るまでバッファーAで洗浄した。10mlの画分を回収し、ピークを溜め、4−20%のNovex Tris−グリシンSDS−PAGEを使用して分析した。勾配の最初の方に溶出する鋭いピークがFPPSであることをLC−MSにより確認した。分析的RP−HPLCに基づいて、このピークは193mgのFPPSを含んだ。964単位のPreScissionプロテアーゼを直接加え、混合物を一晩4℃でインキュベーションした。LC−MSでN−末端Hisタグの完全除去を確認した。消化画分を約10mlへ限外濾過し、25mMのTris pH8.0、2mMのDTTおよび25mMのNaClで平衡にされたSuperdex 75のXK26/60カラムを使用してサイズ排除クロマトグラフィーにより濃縮した。(RP−HPLCにより)168mgのタンパク質を含む単一ピークを40mlの全量中に溶出した。
【0073】
3.2 精製法2:バッチ2
114gの大腸菌の湿細胞ペレット(バッチ2)を940mlのバッファーA(50mMのTris pH8.0、5mMのDTT、5mMのEDTA)中に溶解し、34,000gで遠心分離した。上清を滅菌濾過し、次いでバッファーAで平衡にしたQ−Sepharose HP陰イオン交換カラムに充填した。溶出を8カラム用量にわたって0から1.0MのNaCl勾配により実施した。FPPSが勾配の最初の方の約100−150mMのNaClで溶出した。該画分をSDS−PAGEにより分析し、溜め、グリセロール、硫化アンモニウムおよび塩化ナトリウムを各々最終濃度10%(w/v)、1.5Mおよび1.0Mの濃度まで加えた。サンプルを次いで50mMのTris pH8.0、10%(w/v)のグリセロール、5mMのDTT、1.0MのNaCl、1.5Mの硫化アンモニウムで平衡にしたPhenyl Sepharose HPカラムに充填し、8カラム用量にわたって0.0MのNaClおよび0.0Mの硫化アンモニウムまでの逆塩勾配により溶出した。FPPSは勾配の最後の方で溶出した。画分をSDS−PAGEにより分析し、溜め、25mMのTris pH8.0、2.0mMのDTT、25mMのNaClでSuperdex 75サイズ排除クロマトグラフィーに充填した。該画分をSDS−PAGE分析にしたがって溜め、限外濾過により濃縮し、20mMのリン酸ナトリウム pH7.2、0.3MのNaCl、10mMのイミダゾール(バッファーB)に対して透析した。サンプルを次いでバッファーBで平衡にした金属キレート化カラム(HiTrap 5ml)に充填し、10mMから1.0M勾配のイミダゾールにより溶出した。154単位のPreScissionプロテアーゼを加え、反応混合物を一晩50mMのTris pH7.0、150mMのNaCl、1mMのEDTAおよび1mMのDTTに対して透析した。透析バッファーを次いでバッファーBに変え、サンプルをその後金属キレート化カラムに充填した。流入物を回収し、限外濾過により約4mlに濃縮し、バッファーC(10mMのTris pH7.4、25mMのNaCl、5mMのTCEP)で平衡にしたSuperdex 200 サイズ排除カラムに充填した(4つ実施)。主要なピークに対応する画分を溜め、限外濾過により16mg/mlへ濃縮し、アリコートし、−80℃で保存した。
【0074】
4.分析
精製したタンパク質は、N末端に処理したPreScissionプロテアーゼ開裂部位から付加的なグリシンおよびプロリン残基を有するアスパラギン6からリシン353のヒトFPPS配列に対応する、全350個のアミノ酸残基を有した。それは理論分子量40,141Daを有した。残基は変異されていなかった。LC−ESMS分析は予測される質量を示す。エドマン分解によるN末端シーケンシングは予測されるアミノ酸配列と一致した。
【0075】
5.結晶化
結晶化は蒸気拡散法により行った。静滴(sitting drop)(Corning 96 ウェルプレート中)および懸滴(hanging drop)技術(Linbro 24 ウェルプレート中)両方を使用した。この試験で使用した結晶は、pH5.3で他は同様の実験条件下で成長させたパミドロネート/Mn2+複合体を除いて、19℃で1.2Mのリン酸Na/K、pH4.7、25%(v/v)のグリセロールから成長させた。
【0076】
ヒトFPPSの大きな単結晶は、様々な高塩条件下(1.0Mのクエン酸アンモニウムまたは1.2Mから1.8Mのリン酸Na/Kまたはリン酸アンモニウム)でpH4.0から5.6(図3−1)で得ることができる。結晶はもろく、したがって好ましくは冷凍結晶学に直接適当な条件下(1.2Mのリン酸Na/K、pH4.7から5.6で、25%(v/v)のグリセロール)で成長させる。2つの結晶形は両方とも非対称単位あたり1つのFPPSサブユニットを有する空間群P42であることを観察できる。開構造の非リガンド結合のヒトFPPSの結晶はおおよその格子定数a=b=111Å、c=77Å(結晶形II)を有し、一方、閉構造に対応するものは格子定数約a=b=112Å、c=66Å(結晶形I)を示す。後記の同形物結晶はパミドロネート、ゾレドロネート/IPP、および5mMのMgClまたはMnClの存在下で同様の実験条件下で得ることができる。
【0077】
開構造の非リガンド結合の酵素の結晶は精製法2にしたがって単離されるヒトFPPSで得られた。すべての他の結晶はバッチ1(精製法1)で製造した。両方の酵素バッチで、タンパク質貯蔵溶液は25mMのTris−HCl、pH8.0、25mMのNaCl、2mMのDTT中の16mg/mlのヒトFPPS(6−353)であった。アポ結晶を当量の結晶化溶液およびタンパク質貯蔵溶液の混合により製造した。パミドロネート、ゾレドロネートおよびIPPの複合体を5mMのMgClまたはMnClの存在下で減少したタンパク質濃度(4.2mg/ml)で共結晶化により製造した。パミドロネート(50mM)およびゾレドロネート(10mM)の貯蔵溶液を普通の水で2.5mMおよび0.5mM各々の最終濃度に酵素を加え製造した。IPPを70%のメタノール、30%の10mMの水酸化アンモニウム中の1mg/mlの溶液としてSigmaから購入し、タンパク質(基質の3倍モル過剰)に対して1:50に希釈した。
【0078】
5b.イバンドロネートとのFPPS複合体の結晶化
イバンドロネートとのFPPS複合体の結晶を静滴技術の蒸気拡散により19℃で0.1Mの酢酸亜鉛、0.1Mの酢酸Na、12%のPEG 4000、pH4.4により成長させた。タンパク質貯蔵溶液は10mMのTris、pH7.4、25mMのNaCl、5mMのMgClおよび1.0mMのイバンドロネート中の13.8mg/mlのヒトFPPS(6−353)であった。
【0079】
6.X線データ収集
X線データをMARCCD 165mm 検出器およびシンクロトロン放射(Swiss Light Source、ビームラインXS06A)を使用し95Kで収集した。結晶は冷凍ループ中に置き、冷窒素流中で直接急速冷凍した。回折データはHKLプログラム一組のバージョン1.96.6(Otwinowski and Minor、1997)またはXDS/XSCALE(Kabsch、1993)で処理および概算した1.0°振動像として記録した。すべての結晶は非対称単位あたり1つのFPPS単量体を有する空間群P42であった。結晶データおよびデータ収集統計値は表1で示される。
【0080】
5つの完全なデータセットをSwiss Light Sourceで開構造(2.3Å)および閉構造(2.4Å)のアポ酵素、ならびにパミドロネート/MnCl(2.6Å)およびゾレドロネート/MgCl(2.2Å)との二元複合体ならびにIPPおよびゾレドロネート/MgCl(2.6Å)との三元複合体に対して収集した(図14、15、16、17および18の表を参照)。
【0081】
6b.X線データ収集:イバンドロネートとのFPPS複合体
X線データをMARCCD 225mm 検出器およびシンクロトロン放射(Swiss Light Source、ビームラインPX−II)を使用し100Kで収集した。1つの単結晶は冷凍ループ中に置き、冷窒素流中で直接急速冷凍した。回折データはXDS/XSCALE(Kabsch、1993)で処理および概算した1.0°振動像として記録した。結晶は非対称単位あたり1つのFPPS単量体を有する空間群P42であった。結晶データおよびデータ収集統計値は表1bで示される。
【0082】
7.構造決定
非リガンド結合のヒトFPPSの構造を最初に15.0から3.5Åの解像度のおよび探索モデルとして2.6Å構造の鳥類のFPPS(PDB登録1FPS)のデータを使用し、プログラムAMoRe(Navaza, Acta Crystallogr. Sect A 50 (1994) 157-163)で分子置換することにより決定した。ヒトのおよび鳥類のFPPSは69%(241/345)配列同一性である。閉形および開形両方に関して、はっきりとした分子置換解釈を見いだした。閉形に関して、69.5%の相関係数および0.311のRファクターを得た。開形に関して、51.0%の相関係数および0.410のRファクターを得た。次いで、両方の構造をねじれ角力学およびエネルギー最小化のいくつかのサイクルを使用してCNX v2002.02で精密化し(Bruenger et al., Acta Crystallogr. Sect. D; Biol. Crystallogr. 54 (1998) 905-921)、プログラムOでモデル再構築段階により散在させた(Jones et al., Acta Crystallogr. Sect A, 47 (1991) 110-119)。精密化中、protein_rep.param force field(Engh and Huber, Acta Crystallogr. Sect A, 47 (1991) 392-400)を使用した;マスク法に基づく大量の溶媒補正、および最初の異方性Bファクター補正を適用した。抑制異方性原子Bファクターを精密化した。精密化標的は振幅を使用する最大可能性標的であった。σカットオフは構造ファクター振幅に適用しなかった。クロス確認は10%の反射を含む試験セットを使用して精密化中に使用した。水分子をCNX script water_pick.inpで同定し、異なるピーク高(3.0σより大きい)、水素結合および距離基準に基づいて選択した。65Åより大きい温度因子を有する水を拒絶した。
【0083】
パミドロネートおよびゾレドロネートとの二元複合体ならびにIPPおよびゾレドロネートとの三元複合体の構造は最初にアポ構造の剛体精密化を使用し、次いで上記定義のとおりの同じ手順を使用し完全に精密化し決定した。
【0084】
すべての結晶学的モデルに対する最後の精密化統計値を表2に示す。
【0085】
8.hFPPSの全体的な三次元構造
鳥類のFPPSのような、ヒトFPPSは2つの同じ活性部位を有するホモ二量体である。結晶において、2つのサブユニットは結晶学的に2回対称である。各サブユニットは10個が核ヘリックス束を形成する13個のαヘリックスからなる1つのドメインとして折りたたまれている。以下、我々は鳥類のFPPSに対して最初に提案された名称を採用し(Tarshis et al.,1994, Biochemistry; 33:10871-10877)、それによって、核束の10個のヘリックスをAからJと名付け、ヘリックスHからIを当てはめた3個の短いヘリックスをα−1からα−3と名付ける。10個の核ヘリックスを束ねることで、3層構造、ヘリックスAおよびBで第1の層を形成し、ヘリックスC、D、EおよびJで第2の層を形成し、ヘリックスF、G、HおよびIで第3の層を形成することが記載されている(上記Tarshis et al)。ヘリックスGは、2つのねじれ、高度に保存されているLys200−Thr201配列で起こる第1のねじれ、Pro209の周りの第2のねじれを示す。
【0086】
2個の保存されているDDXXDモチーフはヘリックスDおよびHのC末端に位置する。2個のヘリックスは、ヘリックスC、F、GおよびJと一緒にとても深い壁および大きなFPPS活性部位を形成する。ヘリックスBおよびC(“B−Cループ”)、DおよびE(“D−Eループ”)ならびにHおよびI(“H−Iループ”)を接続している3個の顕著なループは酵素活性部位の入口に並んでいる。これらの3個のループは保存されているグリシン、リシンおよびアルギニン残基:B−Cループ/Cヘリックス中のGly56、Lys57およびArg60、D−Eループ中のArg112、Arg113およびGly114、H−Iループ中のGly256、Lys257およびLys266を隠す。他の高度に保存されている残基はFPPS活性部位の周りのプレニル合成酵素クラスターの中に位置する。
【0087】
二量体の中間面は主に、すべての他のαヘリックスにほぼ直交する(図1)、最初の2つのN末端αヘリックス(AおよびB)により提供される、さらなるサブユニット相互作用を有するヘリックスDおよびEからなる。
【0088】
9.hFPPSの閉構造(“アポ閉形”)
精製法1にしたがって製造されるヒトFPPS結晶は、すべて結晶形I(閉構造)の典型であった。構造の精密化中に、ヒト酵素は鳥類のFPPSと比較して、異なる構造状態であることが明らかとなり、それを閉状態と呼ぶ(図1)。さらに、酵素活性部位内において、残存する異なる電子密度が部分的にリン酸基を含むと解釈される内因性リガンドに対応することを観察した(図2)。このリガンドの電子密度は約150−200Daのリン酸化(または硫酸化)化合物と一致した。この発見は、分子量200Daを有する思いがけないリガンドの存在を示す、非変性状態下で行われる“非リガンド結合”のFPPSの質量分析により確認した(Bitsch et al., Anal. Biochem. 373 (2000) 231-241)。
【0089】
3つの保存されている塩基性側鎖はリガンド:B−Cループ/C−ヘリックスのLys57およびArg60ならびにD−EループのArg113と相互作用した。その後、同じ残存する電子密度がまたパミドロネートまたはゾレドロネートとの二元複合体の結晶中に存在し、このリガンドはゾレドロネートとIPPとの三元複合体のIPPに置換されることを発見した。構造の重ね合わせは、残存する異なる電子密度がほぼIPPの二リン酸基の大きさでありその結合部位を占めることを示した。
【0090】
10.開構造のhFPPS(“アポ開形”)
真にリガンド結合していないヒトFPPSの三次元構造を決定するために、酵素の第2のバッチを製造し、さらなるクロマトグラフおよび透析段階を使用して徹底的に精製した。得られた結晶は非対称単位あたり再び一つのFPPSサブユニットを有する同じ正方空間群であるが、c軸の長さにおいて10Åの増加を示した(結晶形II)(開構造)。構造を探索モデルとして鳥類のFPPSを再び使用して分子置換により決定した。
【0091】
X線分析は上記内因性リガンドが新規精製プロトコールによりうまく取り除かれることを確認した。それにもかかわらず、結晶化母液由来の明確なリン酸イオンが、以前はリガンドの推定されているリン酸基により占有されていた部位を占める。より重要なことに、鳥類のFPPSで当初に観察されたのと同様に、酵素が開構造を採用することを見いだした。ヒトFPPSの開構造および閉構造をすべてのCα原子を使用して重ね合わせるとき、1.7Åの根平均二乗変位を得る。しかし、まず150のN末端Cα原子のみを使用して2つの構造を重ね合わせるとき、2つの構造状態間の構造の差が示された。
【0092】
11.パミドロネートおよびMn2+とのhFPPS複合体
11a.金属結合部位
FPPSにより触媒される酵素反応はMg2+またはMn2+のいずれかの存在が必要である。金属部位の数および位置を決定するために、ヒトFPPSをMnClおよびパミドロネートの存在下で結晶化した。X線試験において、Mn2+イオン(23個の電子)はMg2+(10個の電子)よりも強いシグナルを与え、したがって金属結合部位の明確な同定を中程度の解像度でさえ可能にする。hFPPS/パミドロネート/MnClデータははっきりとFPPS活性部位の空洞内に3個のMn2+陽イオンが存在することを立証した。3個の金属イオンは阻害剤のビスホスホネート単位および2つの保存されているDDXXD配列モチーフからの3個のアスパラギン酸側鎖:Asp103、Asp107およびAsp243により配位結合されている。3.3Åだけ離れて位置する2個のMn2+イオンは架橋リガンドとして作用するAsp103のカルボキシレート基および両方の金属イオンが配位結合しているAsp107のOδ2を有する第1のDDXXDモチーフ(ヘリックスD)に結合している。第3のMn2+イオンはAsp243のOδ2を介して第2のDDXXDモチーフ(ヘリックスH)に結合しており、他の2個の金属部位から各々4.9Åおよび6.2Å離れている。すべてのカルボキシレート酸素原子は、Asp107のOδ2を除いて共通して観察されるsyn配置を有する金属中心と配位結合しており、これをsynおよびanti配位構造両方で使用する。
【0093】
11b.hFPPSへのパミドロネートの結合
さらに、X線分析はN含有ビスホスホネート阻害剤、例えばパミドロネートがFPPSのアリル基質部位に結合し、そして以前のモデルと逆に、三核金属中心を介してDDXXDモチーフ両方と相互作用することを立証する。パミドロネートの側鎖アミノ基は明確な電子密度を有しておらず、この置換基が酵素活性部位と強い相互作用を作らないかまたは複合体において1つ以上の配置を有することを示す。それにもかかわらず、Tyr204のフェノールヒドロキシル部分はパミドロネート一級アミノ基と水素結合相互作用を形成するために適当な位置である(図5)。加えて、3つの塩基性側鎖:Lys200、Arg112およびLys257がパミドロネートのビスホスホネート単位との直接塩橋相互作用に関与する。注意する点は、Lys257は可動性のH−Iループの一部である。したがって、パミドロネート結合はDDXXDモチーフとH−IループのLys257両方での相互作用によりFPPSの閉構造を安定にする。さらに、この複合体において、IPP結合部位は“アポ”FPPSの閉形においてすでに観察されたリガンドにより占有される。この内因性リガンドの存在がさらに酵素の閉状態を安定にする。
【0094】
12.ゾレドロネートおよびMg2+とのhFPPS複合体
パミドロネートに対してゾレドロネートの高い阻害剤有効性の分子基盤を解明するために、ゾレドロネートとのFPPS複合体をMgClの存在下で共結晶化し、構造を2.20Å解像度で決定した。酵素は再び上記リガンドにより占有されるIPP結合部位を有する閉構造を採用することが見いだされた。パミドロネート複合体においてマンガンイオンの位置と合う3つのMg2+部位を観察した。さらに、より良い解像度のhFPPS/ゾレドロネート/MgClデータは3個のマグネシウムイオンの配位圏の詳細を示し、これらすべてはほぼ8面体配列の6個の配位リガンドを有した。さらに、電子密度は、イミダゾリウム環を含むゾレドロネート原子すべてに関して明確であった。プロトン化環窒素はヘリックスGの第1のねじれに位置する2つの保存されているアミノ酸残基であるLys200の主鎖のカルボニル酸素とThr201の側鎖のヒドロキシルの水素結合距離以内である。ビスホスホネート炭素原子のヒドロキシル置換基はGln240のOε1への水介在H結合、ならびにAsp243のOδ2への直接極性接触を作るが、後者の相互作用の配置は良い水素結合のためにはあまり有望ではないように見える。
【0095】
パミドロネートと比較して、ゾレドロネートの高い結合親和性はイミダゾール環の増加した剛性およびバルキネスおよび上記の極性相互作用に基づいているようである。さらに、窒素含有ビスホスホネートが酵素反応中に形成されると推定されているカルボカチオン中間体を模倣している遷移状態類似体として作用することが提案されている。したがって、ゾレドロネートの増加した有効性はまた、そのsp混成イミダゾリウム環がパミドロネートの一級アンモニウム基よりも良好な遷移状態模倣物であり、酵素活性部位の後方により位置するという事実に基づいている。
【0096】
13.IPP、ゾレドロネートおよびMg2+とのhFPPS複合体
良質の完全回折データセット(Rmerge=0.072)をMg2+、IPPおよびゾレドロネートとのhFPPSの三元複合体について2.6Åまで回収した。良い密度差が基質および阻害剤両方に対して観察された(図15)。このデータは内因性リガンドによりあらかじめ占有されたポケットへのIPP結合部位の配置を十分に確認し、IPP結合相互作用の詳細を明らかにした。いくつかの保存されている塩基性残基(Lys57、Arg60およびArg113)がIPP基質への直接相互作用を作り、3つの他の残基(Arg112、Lys257およびArg351)がIPPの二リン酸単位の5.0Å以内にそれらの正電荷基を有する。注意する点は、これらの残基のいくつかは(Phe239、Gln240、Lys257およびArg351)、FPPSの構造スイッチによる影響を受ける二次的構造要素(Hヘリックス、H−IループおよびC末端尾部)の一部である。それゆえ、IPP結合は酵素の閉形の安定性に寄与している。IPPの炭化水素部分は保存されているPhe239とゾレドロネートのイミダゾール環を結合している(図16)。ゾレドロネート/Mg2+三核クラスターの結合は上記リガンドを有する以前の構造と比較してIPP三元複合体内で変化していない。イミダゾリウム環の置換窒素原子が遷移状態のアリルカルボカチオンを模倣しているため、IPPの観察される結合はFPPS縮合反応の確立している立体化学と一致する:IPP二重結合のsi面はアリル基質のC1’炭素原子との縮合反応と均衡のとれた状態にある。IPPのC4原子とゾレドロネートのイミダゾリウム環の置換窒素との観察される距離は3.8Åである。
【0097】
14.鳥類のFPPSとの比較
ヒトおよび鳥類のFPPSの結晶学的データの比較は、ヒトおよび鳥類のFPPSが69%配列同一性であることを示す。期待どおり、両方の酵素は同じ三次元の折りたたみを示す。また、サブユニットの二量体の中間面および相対的配置が保存されている。しかし、構造比較は、鳥類のFPPSが開構造のみにで観察されることを示した。ヒトFPPSの開形は公開されている鳥類の構造と重ね合わせることができ、334の構造的に同等のCα原子に対して約0.95Åの根平均二乗変位を有する。鳥類のFPPSのH−Iループの構造はヒト酵素で観察される構造と異なる。また、鳥類のFPPSのカルボキシ末端残基は、酵素活性部位から離れて位置する異なる構造をとる。
【0098】
アリル基質を有する複合体の鳥類のFPPSでの結晶学的試験が、2つのみのマグネシウム結合部位が存在することを示し、二リン酸分子がヘリックスDに位置する第1のDDXXDモチーフと相互作用することを示した(Tarshis, Proc. Natl. Acad. Sci USA, 93 (1996) 15018-15023)。これらの結果に基づいて、イソペンテニル二リン酸がヘリックスHのC末端の最後に位置する第2のDDXXDモチーフに結合するであろうことが提案された。際立った対照として、我々の結果はパミドロネートおよびゾレドロネートが3個の二価の陽イオンと一緒にDDXXDモチーフに結合すること、IPPがB−C、D−EおよびH−Jループが配置されている塩基性部位中に結合していることを示す。
【0099】
ここに存在するヒトFPPSのX線分析はこの重要な薬剤標的の開構造および閉構造両方の三次元構造を最初に提供し、FPPSの基質、例えばIPPならびにFPPSの阻害剤、例えば窒素含有ビスホスホネートクラスの2つの重要な市販薬剤であるパミドロネートおよびゾレドロネートの結合部位を示す。新規データは、IPPとビスホスホネート結合の以前の概念を明確にし、そして正し、ならびに金属中心の数および位置を明らかにする。
【0100】
FPPSの構造転換は最後の130カルボキシ末端残基の剛体運動、動的(無秩序な)立体配座の状態から閉形の秩序な、明確な立体配座への同時変化を有するH−Iループおよび最後3個のカルボキシ末端残基の変化を含む。第1の基質(DMAPPまたはGPP)が結合するまでIPP結合部位は形成しないため、このような構造スイッチは秩序立てられた反応メカニズムを指示する。また、酵素反応中に製造されるカルボニウムは閉じた酵素活性部位内で溶媒から保護される。基質結合に含まれる保存された塩基性残基が可動性ループ中に見いだされた。
【0101】
鳥類のFPPS結晶構造に基づいて、IPP結合はN末端DDXXDモチーフを含むと考えられ、これは結合がMg依存ではないという観察と一致しなかった。ここで提示する構造は、IPPの二リン酸基が2つのDDXXDモチーフのいずれかと相互作用しないことを示し、なぜIPP結合がMg2+を必要としないかの説明となる。
【0102】
我々のデータはパミドロネートおよびゾレドロネートがピロリン酸アリル類似体として作用することを示し、アレドロネート、他の窒素含有ビスホスホネート化合物によるFPPS阻害がIPPではなくアリル基質に対して拮抗的であるという観察に完全に一致する。さらに、ゾレドロネートとのFPPS複合体の三次元構造は有効な構造活性データをうまく説明する。
【0103】
表1 X線データ収集統計値
【表1】

【0104】
表1b:データ収集統計値:イバンドロネートとのFPPS複合体:
【表2】

【0105】
表2 精密化統計値
【表3】


【表4】

【0106】
表2b:イバンドロネートとのFPPS複合体の精密化統計値
【表5】

【0107】
15.NMR分光学
上記X線結晶学的結果はNMR分光学により完成させ、確認した。FPPSはその高分子量80kDaのためNMR分析に対して難題を示す。事実、15N−標識(非重水素化)FPPSでの15N,H−HSQCまたはTROSYスペクトルは本質的に非常に幅広のため説明できない。重水素化により、しかし、15N,H−TROSYスペクトルは適当な質であり個々の共鳴の分析を可能とする。
【0108】
15N,H−TROSYスペクトルはタンパク質の識別スペクトルとして見なすことができる。特異的ピークパターンをもたらす化学シフトはタンパク質構造ならびにリガンド結合により影響される。タンパク質の重要な構造変化を引き起こさずにリガンドが結合するとき、いくつかの共鳴のみが化学シフト、すなわちリガンドの直接近辺における化学シフトを変化させる。しかし、リガンド結合が大きな構造変化を起こすとき、多くのタンパク質の共鳴が化学シフト変化を起こし、識別TROSYスペクトルは有意な差を表す。
【0109】
リガンドの結合部位のマッピングは通常リガンドあり、およびなしでのNMRスペクトルを記録し、リガンド結合により影響されるこれらの共鳴を同定することで行う。これは分析前にタンパク質共鳴の割り当てを必要とする。共鳴の割り当ては小さいタンパク質に対しては容易であるが、FPPSに対しては挑戦である。本発明にしたがって、選択される共鳴は、既知の結合部位を有する既知のリガンドによるそれらの摂動に基づいて、および(反磁性の)Mg2+の(常磁性の)Mn2+との置換により影響される常磁性緩和の増大を利用することにより間接的な方法で得られた。この手段でそれぞれの結合部位に対するプローブを同定することができる。
【0110】
パミドロネートおよびMg2+の添加により、15N,H−TROSYスペクトルは有意に変化する。事実、ほとんどすべての非重複共鳴は化学シフト変化する(図10)。これは強く、パミドロネートの結合のFPPS内で生じる大きな構造変化を示唆する。これはX線結晶学により観察されるアポFPPSの開構造とパミドロネート結合FPPSの閉構造の変化に対応する。パミドロネートなしのMg2+だけの添加はFPPSのほんのわずかな化学シフト変化しか起こさず、ビスホスホネートの非存在下においてFPPSへのMg2+の結合が弱く、著しい構造変化をもたらさないことを示す。
【0111】
ゾレドロネートはパミドロネートよりFPPSにより強く結合し、したがってそれはビスホスホネート結合ポケットからパミドロネートを除くはずである。当モル濃度のゾレドロネートをパミドロネート/Mg2+との複合体のFPPSのサンプルに添加した。さらに、より小さいが、化学シフト変化を観察した(図11)。これらの化学シフト変化はパミドロネートがゾレドロネートにより置換されるためである。リガンドを交換すると、すでに閉状態であるためFPPS構造は著しく変化しない。したがって、少しの化学シフト変化は直接に異なるビスホスホネート側鎖による部分的な摂動による:ゾレドロネートによるパミドロネート置換における化学シフト変化をする共鳴はゾレドロネート側鎖にとても近い位置である。したがって図11において丸で囲むこれらの変化する共鳴は、ゾレドロネート側鎖結合部位のための標識である。
【0112】
IPPはゾレドロネート結合部位の外側に結合するFPPS基質であり、ゾレドロネートの存在下でさえFPPSに結合する。IPP結合部位の近くの共鳴はFPPS/ゾレドロネート/Mg2+サンプルへのIPPの添加によりマッピングされた。再び、いくつかの共鳴のみが化学シフトを変化させ、FPPSの大きな構造変化の欠如と一致する。再び、これらの共鳴はIPP結合部位近くの残基に属し、IPP結合部位内に結合するプローブのための標識として使用することができる(図12)。
【0113】
Mg2+結合部位から個々の共鳴の距離は(反磁性の)Mg2+の(常磁性の)Mn2+による置換により探求することができる。スピン標識のような常磁性の金属は近くの核に距離依存緩和増大効果を発揮する。したがってMn2+による影響を受けないいくつかの残基は常磁性中心から少なくとも2nm離れており、一方Mn2+による影響を強く受ける残基は金属イオンから1.0−1.5nmの距離内である。図13はMg2+またはMn2+によりライゲートされているときのFPPS/ゾレドロネートの15N,H−TROSY NMRスペクトルを示す。
【0114】
NMR試験で、X線結晶学により観察される“開”構造から“閉”構造変化に対応する大きな立体配座の転換がFPPSへのビスホスホネート結合後に起こることを確認した。さらに、共鳴がゾレドロネート側鎖結合部位およびIPP結合部位に特異的である共鳴が同定された。X線構造が解析できないときでさえフラグメントに対して結合部位のマッピングができるため、これはフラグメントベースリガンド設計による非ビスホスホネートFPPS阻害剤の発見のための有用な情報である。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】ヒトFPPSホモ二量体(閉構造)の全体的な構造
【図2】ヒトFPPSの活性部位断面内、未知の内因性リガンドの存在を示す残りの電子密度(3σトレース)。電子密度は部分的にリン酸基と解釈され、球および棒表示(立体図)において示された。
【図3】ヒトFPPSの閉状態(マゼンタ色のCαトレース)および開状態(シアンブルー色のCαトレース)の重ね合わせ。最初の150アミノ−末端残基(rmsd=0.34Å)を使用して、2つの構造を重ね合わせた。重ね合わせは最後の130C末端残基のみが実は構造スイッチ、顕著にH−IループおよびH、α−1、α−2、α−3、IおよびJヘリックスにより影響されることを示し、一方、最初の220残基はrmsd0.44Åのみを示す。
【図4】ヒトFPPS(マゼンタ色のCαトレース)の開状態(シアンブルー色のCαトレース)の上に閉構造を重ね合わせたクローズアップ図。HヘリックスおよびH−Iループの大きな変化が、顕著に残基F239、Q240、D243、D247、G256、K257およびK266の位置に影響することを示す。
【図5】Mn2+およびパミドロネートとのヒトFPPS複合体のクローズアップ図。極性電位/静電相互作用は薄い黒色の線で示される。パミドロネートは透明なファンデルワールス力表面を有する球および棒表示で示される。三核Mn2+中心は配位結合している水分子(小さいシアンブルー色の球)と一緒にすみれ色の球として示される。
【図6】3つのMg2+イオンの配位圏(2つの異なる配置)。シアンブルー色の球は明確な水分子を示す。Zometa(ゾレドロネート)のヒドロキシル基を含む極性相互作用は波線で示される。
【図7】Mg2+およびZometa(ゾレドロネート)とのヒトFPPS複合体のクローズアップ図。極性電位/静電相互作用は薄い黒色の線で示される。Zometa(ゾレドロネート)は透明なファンデルワールス力表面を有する球および棒表示で示される。三核Mn2+中心は配位結合している水分子(小さいシアンブルー色の球)と一緒にすみれ色の球として示される。
【図8】リガンド、Zometa(ゾレドロネート)およびイソペンテニル二リン酸を結合している電子密度(σ−加重、(Fo−Fc、φcalc)結合、電子密度図、4.0σ輪郭を除く)。緑色の球はMg2+陽イオンの位置を示し、シアンブルー色の球はマグネシウムイオンの配位圏に属する水分子の位置を示す。
【図9】イソペンテニル二リン酸(IPP)およびヒトFPPSにおけるその結合部位との結合相互作用のクローズアップ図。可能な水素結合はオングストロームの長さを示す薄い黒色の線により示される。IPPはそのファンデルワールス力表面と一緒に球および棒表示で示される。Zometa(ゾレドロネート)は球および棒で示される。シアンブルー色の球は水分子を示し、緑色の球はマグネシウムイオンを示し、そしてマゼンタ色の球は暫定的にナトリウムイオンの残りの密度の位置であるとみなす。
【図10】FPPSホモ二量体(80kDa):非リガンド結合FPPS(FPPS二量体濃度:60μM;黒いスペクトル)およびパミドロネート/Mg2+と複合体化したFPPS(FPPS二量体濃度:60μM、パミドロネート濃度:270μM、Mg2+濃度:900μM;青色のスペクトル)の15N,H−TROSY NMRスペクトル。
【図11】パミドロネート/Mg2+と複合体化したFPPS(FPPS二量体濃度:60μM、パミドロネート濃度:270μM、Mg2+濃度:900μM;青いスペクトル)およびゾレドロネート/Mg2+と複合体化したFPPS(FPPS二量体濃度:60μM、ゾレドロネート濃度:270μM、Mg2+濃度:900μM;赤いスペクトル)の15N,H−TROSY NMRスペクトル。パミドロネートをZometa(ゾレドロネート)により置き換えることにより摂動したいくつかの共鳴は赤い円である。7.5から8.0ppmの“ランダムコイル領域”を示すさらなるピークは分解したFPPSに由来する。
【図12】ゾレドロネート/Mg2+と複合体化したFPPS(FPPS二量体濃度:60μM、ゾレドロネート濃度:270μM、Mg2+濃度:900μM;赤いスペクトル)およびIPPの添加後(400μM;緑色のスペクトル)の15N,H−TROSY NMRスペクトル。IPP添加により摂動したいくつかの共鳴は緑色の円である。7.5から8.0ppmの“ランダムコイル領域”を示すさらなるピークは分解したFPPSに由来する。
【図13】ゾレドロネート/Mg2+と複合体化したFPPS(FPPS二量体濃度:60μM、ゾレドロネート濃度:270μM、Mg2+濃度:800μM;黒いスペクトル)およびゾレドロネート/Mn2+へ複合体化したFPPS(FPPS二量体濃度:60μM、ゾレドロネート濃度:270μM、Mn2+濃度:400μM;オレンジ色のスペクトル)の800MHzの15N,H−TROSY NMRスペクトル。
【図14】閉形の非リガンド結合のhFPPSのX線構造座標。
【図15】開形の非リガンド結合のhFPPSのX線構造座標。
【図16】パミドロネートおよびMn2+との複合体のhFPPSのX線構造座標。
【図17】ゾレドロネート、IPPおよびMg2+との複合体のhFPPSのX線構造座標。
【図18】ゾレドロネートおよびMg2+との複合体のhFPPSのX線構造座標。
【図19】Zn2+およびイバンドロネートとのヒトFPPS複合体のクローズアップ図。あり得る極性/静電相互作用は薄い黒い線により示される。イバンドロネートは球および棒表示で示される。三級窒素の反転から創作するイバンドロネートの2つの別の構造をモデル化し、精密化した。三核Zn2+中心は配位結合している水分子(小さいシアンブルー色の球)と一緒に灰色の球として示される。
【図20】イバンドロネートおよびZn2+との複合体のhFPPSのX線構造座標。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性ヒトファルネシル二リン酸合成酵素(FPPS)およびその変異体。
【請求項2】
閉構造である請求項1に記載の結晶性ヒトFPPS。
【請求項3】
a=b=112ű20Å、c=66ű20Å、または、より好ましくは、a=b=112ű10Åおよびc=66ű10Åの単位格子定数を含む、請求項2に記載の結晶性ヒトFPPS。
【請求項4】
開構造である請求項1に記載の結晶性ヒトFPPS。
【請求項5】
a=b=111ű20Å、c=77ű20Å、または、より好ましくは、a=b=111ű10Åおよびc=77ű10Åの単位格子定数を含む、請求項4に記載の結晶性ヒトFPPS。
【請求項6】
リガンドとの複合体の請求項1から5のいずれかに記載の結晶性ヒトFPPS。
【請求項7】
リガンドがイソペンテニル二リン酸(IPP)および/またはゾレドロネートまたはパミドロネートから選択される請求項6に記載の結晶性ヒトFPPS。
【請求項8】
下記三次元構造:
a)図14で示される構造座標のすべての部分または選択された部分により定義される閉構造の三次元構造、
b)図15で示される構造座標のすべての部分または選択された部分により定義される開構造の三次元構造、
c)図16、17もしくは18で示される構造座標のすべての部分または選択された部分により定義される三次元構造、または
d)a)、b)もしくはc)に類似する構造
の1つを有する請求項1から7のいずれかに記載の結晶性ヒトFPPS。
【請求項9】
(i)組み換えヒトFPPSを大腸菌で発現させ(ここで該組み換えヒトFPPSはアミノ酸断片6から353に対応する)、
(ii)発現したヒトFPPSを精製し、
(iii)精製ヒトFPPSを結晶化する
段階を含む、結晶性ヒトFPPS生成物の製造法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法によって得られる結晶性ヒトFPPS。
【請求項11】
ヒトFPPSの結晶構造データの作成のための、請求項1から8および10のいずれかに記載の結晶性ヒトFPPSの使用。
【請求項12】
ヒトFPPSリガンド複合体の結晶構造データの作成のための、請求項6から7のいずれかに記載のリガンドとの結晶性ヒトFPPS複合体の使用。
【請求項13】
それぞれの結合部位を決定するための請求項11または12に記載の使用。
【請求項14】
図14、図15、図16、図17および/または図18で示される構造座標のすべての部分または選択された部分により定義されるヒトFPPSの結晶構造。
【請求項15】
ヒトFPPS単独またはリガンドとの複合体の結晶構造。
【請求項16】
FPPSリガンドの設計、選択、同定および/または製造するための、請求項1−10のいずれかに記載の結晶性ヒトFPPSおよび/または請求項14または15のいずれかに記載の結晶構造の使用。
【請求項17】
コンピュータ利用モデリングプログラムをリガンド分子の選択および/または設計するために使用する請求項16に記載の使用。
【請求項18】
リガンドがヒトFPPSの結合ポケットに相補的である三次元構造を有する請求項16または17に記載の使用。
【請求項19】
Tyr10、Gly56、Lys57、Asn59、Arg60、Thr63、Gln96、Phe99、Leu100、Asp103、Asp107、Arg112、Arg113、Thr167、Gln171、Lys200、Thr201、Tyr204、Ser205、Phe206、Phe239、Gln240、Gln242、Asp243、Leu246、Lys257、Leu344、Lys347、Ile348からなる群から選択される結合ポケットの1つまたはそれ以上のアミノ酸と相互作用するようにリガンドが選択され、および/または設計される、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
Tyr10、Lys57、Asn59、Arg60、Thr63、Ser205、Phe206、Phe239、Gln242、Leu246、Leu344、Lys347およびIle348からなる群から選択される1つまたはそれ以上のアミノ酸と相互作用するようにリガンドが選択され、および/または設計される、請求項18に記載の使用。
【請求項21】
図14、図15、図16、図17および/または図18で示される構造座標のすべての部分または選択された部分を提供することを含むヒトFPPSの結晶構造の三次元表現を得、そして結晶構造の三次元表現を構築するために該構造座標を使用する方法。
【請求項22】
a)請求項21に記載のヒトFPPSの三次元表現を提供し、
b)候補化合物の三次元表現を提供し、
c)三次元表現がヒトFPPSの結合ポケットに相補的である候補化合物を選択し、そして、
d)所望により溶解性、親和性、特異性および/または有効性のような物理学的特徴を最大化するために段階c)で選択される該化合物を修飾する
段階を含む、ヒトFPPSに結合できるリガンドの選択、設計および/または同定するためのコンピュータベースの方法。
【請求項23】
Tyr10、Gly56、Lys57、Asn59、Arg60、Thr63、Gln96、Phe99、Leu100、Asp103、Asp107、Arg112、Arg113、Thr167、Gln171、Lys200、Thr201、Tyr204、Ser205、Phe206、Phe239、Gln240、Gln242、Asp243、Leu246、Lys257、Leu344、Lys347、Ile348からなる群から選択される結合ポケットの1つまたはそれ以上のアミノ酸と相互作用する中から該化合物が選択される、請求項22に記載のコンピュータベースの方法。
【請求項24】
Tyr10、Lys57、Asn59、Arg60、Thr63、Ser205、Phe206、Phe239、Gln242、Leu246、Leu344、Lys347およびIle348からなる群から選択される1つまたはそれ以上のアミノ酸と相互作用する中から該化合物が選択される、請求項22に記載のコンピュータベースの方法。
【請求項25】
図14、図15、図16、図17および/または図18で示される構造座標のすべての部分または選択された部分を提供することを含むタンパク質の結晶構造を決定し、そして該タンパク質に関する結晶構造を提供するために、分子置換するために該構造座標を使用する方法。
【請求項26】
データ記憶媒体とコンピュータ可読データを含むコンピュータ可読記憶媒体であって、該データは図14、図15、図16、図17および/または図18で示される構造座標のすべての部分または選択された部分を含む媒体。
【請求項27】
a.候補化合物とヒトFPPSを共結晶化またはインキュベートし、
b.X線またはNMR法により候補化合物と相互作用するヒトFPPSのアミノ酸を決定し、
c.段階bの結果に基づいて、Tyr10、Gly56、Lys57、Asn59、Arg60、Thr63、Gln96、Phe99、Leu100、Asp103、Asp107、Arg112、Arg113、Thr167、Gln171、Lys200、Thr201、Tyr204、Ser205、Phe206、Phe239、Gln240、Gln242、Asp243、Leu246、Lys257、Leu344、Lys347、Ile348からなる群の中から選択される結合ポケットの1つまたはそれ以上のアミノ酸と相互作用する化合物を選択する
ことを含む、ヒトFPPSに結合できるリガンドを選択するための方法。
【請求項28】
該候補化合物が請求項22または24に記載の方法により同定されるものの中から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
さらに
d.物理学的特徴、例えば溶解性、親和性、特異性および/または有効性を最大化するために段階c)で得られる化合物の類似体を設計し、
e.ヒトFPPSに結合できる新規化合物を選択するために対応する類似体で請求項27に記載の段階a.からc.を繰り返す
段階を含む、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
ヒトFPPSへのリガンドを設計する方法であって、該方法が
a)ヒトFPPSの第1の結合部位の1つまたはそれ以上のアミノ酸に結合する第1のリガンドを提供し、
b)ヒトFPPSの第2の結合部位の少なくとも1つまたはそれ以上のアミノ酸に結合する第2のリガンドを提供し、そして
c)ヒトFPPSの第1のおよび第2の結合部位に結合するリガンドを設計するために、該第1のリガンドと該第2のリガンドを連結する
段階を含む方法。
【請求項31】
さらにヒトFPPSの第3の結合部位の1つまたはそれ以上のアミノ酸に結合するリガンドを提供し、そして第1の、第2のおよび第3の結合部位に結合するリガンドを形成するために段階c)で得られるリガンドに該第3のリガンドを連結する段階を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
段階a)での該第1のリガンドがTyr10、Lys57、Asn59、Arg60、Thr63、Ser205、Phe206、Phe239、Gln242、Leu246、Leu344、Lys347およびIle348からなる群の中から選択される1つまたはそれ以上のアミノ酸と相互作用するリガンドの中から選択される、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
段階b)での第2のリガンドがGly56、Lys57、Arg60、Gln96、Arg113、Thr201、Tyr204、Phe239、Gln240およびAsp243からなる群の中から選択される1つまたはそれ以上のアミノ酸および/またはPhe99、Leu100、Asp103、Asp107、Arg112、Thr167、Gln171、Lys200、Thr201、Tyr204、Glu240、Asp243およびLys257からなる群の中から選択される1つまたはそれ以上のアミノ酸と相互作用するリガンドの中から選択される、請求項30から32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
請求項1−8のいずれかに記載の結晶性ヒトFPPS、請求項14または15に記載のヒトFPPSの結晶構造データを使用し、および/または請求項16に記載の方法の使用により得られる、ヒトFPPSに対するリガンド。
【請求項35】
FPPSのリガンドまたは阻害剤である請求項34に記載のリガンド。
【請求項36】
請求項34または35に記載のリガンドを含む医薬組成物。
【請求項37】
腫瘍誘発高カルシウム血症、骨のパジェット病、溶骨型転移、閉経後骨粗鬆症、低コレステロール血症および/または軟組織癌を処置および/または予防するための請求項36に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14−1】
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【図14−2】
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【図14−3】
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【図14−4】
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【図14−5】
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【図15−1】
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【図19】
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【図20−1】
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【図20−2】
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【図20−5】
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【公表番号】特表2008−526185(P2008−526185A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548832(P2007−548832)
【出願日】平成18年1月2日(2006.1.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000002
【国際公開番号】WO2006/072561
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】