説明

ヒドロキシケト化合物のエナンチオ選択的酵素的還元の方法

一般式I:
【化7】


[式中,R1はC1−C6アルキルであり,R2は,−Cl,−CN,−OH,−HまたはC1−C6アルキルである]
のヒドロキシケトンをエナンチオ選択的に酵素的に還元して,一般式II:
【化8】


[式中,RおよびRは,式Iにおけるものと同じ意味を有する]
のキラルジオールとする方法において,ヒドロキシケトンは,補因子としてNADHまたはNADPHの存在下でオキシドレダクターゼで還元され,ここで,
a) ヒドロキシケトンは反応中に50g/l以上の濃度で提供され;
b) 形成された酸化された補因子NADまたはNADPは,一般式RCHOH(式中,R,Rは,独立して,水素,分枝鎖または非分枝鎖のC−C−アルキルを表し,Cの合計は3以上である)の2級アルコールの酸化により連続的に再生され,および
c) ヒドロキシケトンの還元と2級アルコールの酸化とは同じオキシドレダクターゼにより触媒される,
ことを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,一般式I:
【化5】

[式中,RはC−Cアルキルであり,Rは,−Cl,−CN,−OH,−HまたはC−Cアルキルである]
のヒドロキシケトンをエナンチオ選択的に酵素的に還元して,一般式II:
【化6】

[式中,RおよびRは,式Iにおけるものと同じ意味を有する]
のキラルジオールとする方法であって,ここで,ヒドロキシケトンは,補因子の存在下でオキシドレダクターゼにより還元される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般式IIのキラルジオールは,医薬製品の製造,特にHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の製造における重要な中間体である。このようなキラルジオールは,例えば,(3R,5S)−6−クロロ−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチル,(3R,5R)−6−シアノ−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチルまたは(5S,3R)−3,5,6−トリヒドロキシ−ヘキサン酸tert−ブチルである。
【0003】
この種のジオールは,特に,対応する式Iのヒドロキシケトン,例えば(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチル,(5S)−6−クロロ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルまたは(5S)−5,6−ジヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルのエナンチオ選択的還元により製造される。この反応を行うにあたっては,化学的に触媒される還元は,一方では厳しい反応条件のために副生成物が生じ,他方では,不十分なエナンチオマーおよびジアスレオマー過剰しか得られないという欠点を有し,非常に大きな努力があって初めて技術的に実用可能となる。
【0004】
この理由のため,相当長い間,上述のヒドロキシケトンのエナンチオ選択的還元を行うことができる生物触媒プロセスの開発に努力が払われてきた。生物触媒プロセスは,通常は穏和な条件下で行われ,このことにより,いずれにせよ幾分不安定である5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸エステル誘導体をさらなる副生成物を形成することなく還元することが可能であると予測されてきた。しかし,これまでのところ,効率的な様式で,単離された酵素を用いて,上述の5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸エステル誘導体の酵素的還元を実現しうる適当な生物触媒を見いだすことはできていない。
【0005】
例えば,米国特許6,001,615および国際公開WO01/85975A1は,Beauvaria,Pichia,Candida,KluyveromycesおよびTorulaspora属の種々の酵母を用いて,それぞれ(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルおよび(5S)−5,6−ジヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルを還元することを記載する。しかし,変換は野生型株の全細胞を用いた場合にのみ生じ,したがって,5%をはるかに下回る非常に低い濃度でしか実施することができない。これまでのところ,変換を担う酵素およびDNA配列は同定することができていない。
【0006】
さらに,構造的に類似する化合物の微生物変換がEP0569998B1に記載されている。ここでは,Acinetobacter calcoaceticus ATCC33305からのNADH依存性酵素を精製することが可能であり,これを単離された状態で補酵素再生用にグルコースデヒドロゲナーゼと一緒に用いることができることが記載される。このプロセスにおいては,基質を1%の濃度で使用して,わずかに10のNADHの"総ターンオーバー数"が達成されている。工業的に適用しうるプロセスはまだ存在しない。
【0007】
米国特許6,645,746B1においては,Candida magnoliaeのアミノ酸配列が開示されており,これをNADPHとともに用いて,(5S)−6−クロロ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルを還元して(3R,5S)−6−クロロ−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチルを得ることができる。この明細書においては,酵素は好ましくはBacillus megateriumのグルコースデヒドロゲナーゼとともに発現させた状態で使用し,グルコースデヒドロゲナーゼおよび補基質としてグルコースを用いて補因子NADPHの再生を行う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は,一般式IIのエナンチオマー的に純粋なジオールを,高収率でかつ高いエナンチオマー純度で,副生成物なしに経済的に製造することを可能とする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にしたがえば,この目的は,補因子としてのNADHまたはNADPHの存在下でオキシドレダクターゼを還元する上記の方法により達成され,この方法は,
a) ヒドロキシケトンを反応中に50g/l以上の濃度で提供し,
b) 形成された酸化された補因子NADまたはNADPは,一般式RCHOH(式中,R,Rは,独立して,水素,分枝鎖または非分枝鎖のC−C−アルキルを表し,Cの合計は3以上である)の2級アルコールの酸化により連続的に再生され,および
c) ヒドロキシケトンの還元と2級アルコールの酸化とは同じオキシドレダクターゼにより触媒される,
ことを特徴とする。
【0010】
本発明の方法の好ましい態様は,オキシドレダクターゼが,
a) アミノ酸の少なくとも50%が配列番号1,配列番号8,配列番号11または配列番号14のアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を含むか,
b) 配列番号2,配列番号3,配列番号9,配列番号10,配列番号12,配列番号13または配列番号15の核酸配列によりコードされるか,または
c) ストリンジェントな条件下で,配列番号2,配列番号3,配列番号9,配列番号10,配列番号12,配列番号13または配列番号15にハイブリダイズする核酸配列によりコードされる,
ことを特徴とする。
【0011】
本発明にしたがえば,上述の目的は,最初に記載された方法において,オキシドレダクターゼが,
a) アミノ酸の少なくとも50%が配列番号1,配列番号8,配列番号11または配列番号14のアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を含むか,
b) 配列番号2,配列番号3,配列番号9,配列番号10,配列番号12,配列番号13または配列番号15の核酸配列によりコードされるか,または
c) ストリンジェントな条件下で,配列番号2,配列番号3,配列番号9,配列番号10,配列番号12,配列番号13または配列番号15にハイブリダイズする核酸配列によりコードされる,
ことによっても達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明においては,配列番号1,配列番号8および配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドがオキシドレダクターゼ活性を示し,これを用いて(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルを還元して,99%を超えるジアステレオマー過剰で(3R,5R)−6−シアノ−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチルを得ることができることが見いだされた。一般式Iの他のヒドロキシケトンも,配列番号1,配列番号8および配列番号11のアミノ酸配列を用いて,同じ方法により還元することができる。
【0013】
さらに,上述のオキシドレダクターゼは,2級アルコールを還元することにより,還元の間に形成される酸化された補因子を再生しうるという利点を有する。すなわち,前記オキシドレダクターゼの特に経済的な利点は,従来技術の方法(US6,645,746BおよびEP0569998B)とは対照的に,補因子の再生にさらに別の酵素を必要としない点にもある。
【0014】
配列番号2のDNA配列は,配列番号1を含むポリペプチドをコードし,例えば,生物Rubrobacter xylanophilus DSM9941のゲノムから得ることができる。さらに,配列番号3のDNA配列を用いて,配列番号1のポリペプチドをEscherichiaにおいて発現させることができることが見いだされた。
【0015】
配列番号9のDNA配列は,配列番号8を含むポリペプチドをコードし,例えば,生物Geobacillus thermodenitrificans DSM465のゲノムから得ることができる。さらに,配列番号10のDNA配列を用いて,配列番号8のポリペプチドをEscherichiaで発現させることができることが見いだされた。
【0016】
配列番号12のDNA配列は,配列番号11を含むポリペプチドをコードし,例えば,生物Chloroflexus aurantiacus DSM635のゲノムから得ることができる。
【0017】
配列番号15のDNA配列は,配列番号14を含むポリペプチドをコードし,例えば,生物Candida magnoliae CBS6396から得ることができる。
【0018】
すなわち,本発明はまた,配列番号1,配列番号8,配列番号11または配列番号14のアミノ酸配列を含むポリペプチドを用いて,または配列番号1,配列番号8,配列番号11または配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも50%同一のアミノ酸配列を含むポリペプチド,すなわち,配列番号1,配列番号8,配列番号11または配列番号14の少なくとも1つのアミノ酸の置換,挿入,欠失または付加により誘導しうるポリペプチドを用いて,または配列番号2,配列番号9,配列番号12または配列番号15の核酸配列によりコードされるか,または配列番号2,配列番号9,配列番号12または配列番号15にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされるポリペプチドを用いて,一般式Iのヒドロキシケトンを還元して,一般式IIのジオールとする方法に関する。
【0019】
例えば配列番号2にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列とは,配列番号2をDNAプローブとして用いて,コロニーハイブリダイゼーション法,プラークハイブリダイゼーション法,サザンハイブリダイゼーション法またはこれらと同等の方法により同定することができるポリヌクレオチドであると理解される。
【0020】
この目的のためには,フィルター上に固定化されたポリヌクレオチドを,0.7−1MNaCl溶液中で60℃で,例えば配列番号2とハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーションは,例えば,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Second Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)または同様の刊行物に記載されるようにして実施する。次に,フィルターを0.1から2倍のSSC溶液で65℃で洗浄し,ここで,1倍のSSC溶液とは,150mMのNaClおよび15mMのクエン酸ナトリウムから構成される混合物であることが理解される。
【0021】
本発明にしたがう方法においては,配列番号1,配列番号8,配列番号11または配列番号14の配列を含むポリペプチド,および前記ポリペプチドからそれぞれ誘導されるポリペプチドは,完全に精製された状態で用いてもよく,部分的に精製された状態で用いてもよく,あるいは,配列番号1,配列番号8,配列番号11または配列番号14のポリペプチドを含有する細胞として用いてもよい。用いられる細胞は,天然の状態で提供してもよく,または透過性にしたもしくは溶解した状態で提供してもよい。好ましくは,配列番号1,配列番号8,配列番号11または配列番号14の配列を含むポリペプチド,およびこれらからそれぞれ得られる誘導体を,適当な宿主生物,例えば,Escherichia coliで過剰発現させ,組換えポリペプチドを用いて一般式Iのヒドロキシケトンを還元する。
【0022】
配列番号1,配列番号8,配列番号11または配列番号14のオキシドレダクターゼまたはこれらの誘導体は,反応させるべき式Iの化合物1kgあたり5.000−10MioUで用いる(上限なし)。本明細書においては,酵素ユニットの1Uは,1分間に1μmolの式Iのヒドロキシケトンを反応させるために必要な酵素の量に対応する。
【0023】
本発明にしたがう酵素的還元は,穏和な条件下で進行するため,しばしば不安定であるヒドロキシケトンの分解,およびそれに伴う望ましくない副生成物の形成を大きく回避することができる。本発明にしたがう方法は,高い耐用年数をもち,かつ通常は生成するキラルジオールの99%を超えるジアステレオマー純度を有する。
【0024】
本発明の好ましい態様は,この方法において用いられる補因子が補基質により連続的に還元されることを特徴とする。好ましくは,NAD(P)Hを補因子として用い,還元において形成されたNAD(P)は補基質の作用により再びNAD(P)Hに還元される。
【0025】
好ましくは,2級アルコール,例えば,2−プロパノール,2−ブタノール,2−ペンタノール,3−ペンタノール,4−メチル−2−ペンタノール,2−ヘプタノール,2−オクタノールまたはシクロヘキサノールを補基質として用いる。特に好ましい態様にしたがえば,2−プロパノールを補酵素再生に用いる。再生用の補基質の量は,総容量に対して5−95容量%の範囲内でありうる。
【0026】
補酵素の再生は,例えば,配列番号1,配列番号8,配列番号11または配列番号14を含むポリペプチドにより同様にして行う。
【0027】
本発明にしたがう方法においては,一般式Iのヒドロキシケトンは,好ましくは総容量に基づいて,5−50重量%(50g/l−500g/l)で,好ましくは8−40重量%,特に好ましくは10−25重量%の量で用いる。
【0028】
特に好ましい態様は,一般式(I)のヒドロキシケトンとして,(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチル,(5S)−6−クロロ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルまたは(5S)−5,6−ジヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルを用いることを特徴とする。
【0029】
好ましくは,本発明にしたがう方法は,水性有機2相系で実施する。
【0030】
酵素的還元が進行する反応混合物中の水性部分は,好ましくは緩衝液,例えば,pH5−10,好ましくはpH6−9のリン酸カリウム,tris/HClまたはトリエタノールアミン緩衝液を含む。さらに,緩衝液は,酵素を安定化または活性化させるイオン,例えば,亜鉛イオンまたはマグネシウムイオンを含むことができる。
【0031】
本発明にしたがう方法を実施する間,温度は約10℃から70℃,好ましくは20℃から45℃の範囲であることが適当である。
【0032】
本発明にしたがう方法のさらに別の好ましい態様においては,酵素的変換は,水と混和性ではないか,または限定された程度でしか水と混和性ではない有機溶媒の存在下で実施する。前記溶媒は,例えば,対称性のまたは非対称性のジ(C−C)アルキルエーテル,直鎖または分枝鎖のアルカンまたはシクロアルカン,または水不溶性2級アルコールであり,これは同時に補基質である。好ましい有機溶媒は,ジエチルエーテル,3級ブチルメチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,ジブチルエーテル,酢酸ブチル,ヘプタン,ヘキサン,2−オクタノール,2−ヘプタノール,4−メチル−2−ペンタノールおよびシクロヘキサノールである。最後に挙げた2級アルコールの場合には,溶媒は,同時に補因子再生用の補基質としても作用することができる。
【0033】
それぞれ水不溶性の溶媒および補基質を用いる場合には,反応バッチは水性相および有機相から構成される。ヒドロキシケトンは,その溶解度にしたがって,有機相と水性相との間に分配される。一般に,有機相は,総反応容量に基づいて5−95%,好ましくは10−90%の割合である。2液相は,好ましくは機械的に混合し,このことによりこれらの間に大きな表面積が生ずる。また,この態様においては,酵素的還元において形成されるNADは,例えば,上述したもの等の補基質を用いて,再び還元してNADHとすることができる。
【0034】
水性相における補因子,特にNADHまたはNADPHのそれぞれの濃度は,一般に0.001mM−10mMの範囲,特に0.01mM−1mMの範囲内である。
【0035】
本発明にしたがう方法においては,オキシドレダクターゼ/デヒドロゲナーゼの安定剤を用いてもよい。適当な安定剤は,例えば,グリセロール,ソルビトール,1,4−DL−ジチオスレイトール(DTT)またはジメチルスルホキシド(DMSO)である。
【0036】
本発明にしたがう方法は,例えば,ガラスまたは金属製の密封反応容器中で行うことができる。この目的のためには,成分を別々に反応容器に入れ,窒素または空気の雰囲気下で撹拌する。
【0037】
本発明の別の可能な態様にしたがえば,反応の平衡を反応生成物(一般式IIのジオール)側にシフトさせるために,酸化された補基質(例えばアセトン)を連続的に除去してもよく,および/または,補基質(例えば2−プロパノール)を新たに連続的に加えてもよい。
【0038】
さらに別の態様においては,配列番号1,配列番号8,配列番号11または配列番号14にしたがうオキシドレダクターゼ,および/または補基質の添加は,プロセスの経過中に徐々に行ってもよい。
【0039】
還元が完了した後,反応混合物を処理する。この目的のためには,任意に水性相を有機相から分離し,生成物を含む有機相を濾過する。任意に,水性層を抽出し,さらに有機相と同様に処理してもよい。次に,有機相から溶媒を蒸発させ,一般式IIのジオールを粗生成物として得る。次に粗生成物をさらに精製してもよく,または次の生成物の合成に直接使用してもよい。
【実施例】
【0040】
以下に,実施例により本発明をさらに説明する。
【0041】
実施例1
Rubrobacter xylanophilus DSM9941からのオキシドレダクターゼのクローニング
A)Rubrobacter xylanophilus DSM9941の培養
Rubrobacter xylanophilus DSM9941の細胞は,以下の培地で50℃で(pH7.2),細菌用振盪器で140rpmで培養した:0.1%酵母エキス,0.1%トリプトン,0.004%CaSO・2HO,0.02%MgCl・6HO,0.01%ニトリロ三酢酸,100mlのリン酸バッファ[5.44g/lのKHPO,43g/lのNaHPO・12HO],500μl/lの0.01Mクエン酸Fe,500μl/lの微量元素[500μl/lのHSO,2.28g/lのMnSO・HO,500mg/lのZnSO・7HO,500mgのHBO,25mg/lのCuSO・5HO,25mg/lのNaMoO・2HO,45mg/lのCoCl・6HO]。培養第6日に,遠心分離により細胞を培養液から分離し,−80℃で保存した。
【0042】
B)選択的オキシドレダクターゼをコードする遺伝子の増幅
ゲノムDNAは,”Molecular Cloning”,Manniatis&Sambrookに記載される方法にしたがって抽出した。得られた核酸をテンプレートとして用いて,NCBIデータベースで46106817の番号で公表されている遺伝子配列に基づいて作成した特異的プライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行った。これを行うためには,次に発現ベクター中にクローニングするために,それぞれエンドヌクレアーゼNdeIおよびHindIIIまたはSphIの制限部位をもつ5’末端位置のプライマー(配列番号4,配列番号5,配列番号7)を用意した。増幅は,PCR緩衝液[10mMのtris−HCl,(pH8.0);50mMのKCl;10mMのMgSO;1mMのdNTPMix;20pMolのプライマーおよび2.5UのPlatinum Pfx DNAポリメラーゼ(Invitrogen)]中で,500ngのゲノムDNAおよび以下の温度サイクルを用いて実施した。
サイクル1: 94°C,2分間
サイクル2x30: 94°C,15秒間
54°C,30秒間
68°C,60秒間
サイクル3: 68°C,7分間
4°C,∞
【0043】
得られた約750bpのサイズを有するPCR産物を1%アガロースゲルで精製した後,それぞれエンドヌクレアーゼNdeIおよびHindIIIまたはSphIおよびHindIIIを用いて制限酵素消化し,同じエンドヌクレアーゼで処理したpET21aベクター(Novagen)またはpQE70ベクター(Qiagen)の主鎖にそれぞれライゲーションした。2μlのライゲーションバッチをE.coli Top10F’細胞(Invitrogen)にトランスフォームした後,アンピシリン耐性コロニーのプラスミドDNAを,それぞれエンドヌクレアーゼNdeIおよびHindIIIまたはSphIおよびHindIIIを用いる制限分析により,750bpのサイズを有する挿入物の存在について調べた。フラグメントについて陽性のクローンからのプラスミド調製物を配列分析し,次にそれぞれEscherichia coli BL21 Star(Invitrogen)およびE.coli RB791(genetic stock,Yale)にトランスフォームした。
【0044】
実施例2
配列番号1のポリペプチドのEscherichia coli細胞における効率的な発現
配列番号1のポリペプチドのEscherichia coli細胞における効率的な発現を得るために,発現ベクターへのクローニング用に,配列番号3のコーディングDNAをPCR反応においてテンプレートとして用いた。
【0045】
このDNA配列は,最初の160塩基対の領域において,これまでに知られているDNA配列(配列番号2)と51塩基相違した。この変更は保存的であり,アミノ酸配列は変化しない。
【0046】
増幅は,PCRバッファ[10mMのtris−HCl,(pH8.0);50mMのKCl;10mMのMgSO;1mMのdNTPMix;20pMolのプライマー(配列番号6,配列番号5)および2,5UのPlatinum Pfx DNAポリメラーゼ(Invitrogen)]中で,50ngの配列番号3のDNAをテンプレートとして用い,以下の温度サイクルで実施した。
サイクル1: 94°C,2分間
サイクル2x30: 94°C,40秒間
56°C,30秒間
68°C,60秒間
サイクル3: 68°C,7分間
4°C,∞
【0047】
得られた約750bpのサイズを有するPCR産物を1%アガロースゲルで精製した後,エンドヌクレアーゼNheIおよびHindIIIを用いて,同じエンドヌクレアーゼで処理したpET21aベクター(Novagen)の主鎖にライゲーションした。2μlのライゲーションバッチをE.coli Top10F’細胞(Invitrogen)にトランスフォームした後,アンピシリン耐性コロニーのプラスミドDNAを,エンドヌクレアーゼNheIおよびHindIIIを用いる制限分析により750bpのサイズを有する挿入物の存在について調べた。フラグメントが陽性であるクローンからのプラスミド調製物を配列分析し,次にEscherichia coli BL21Star(Invitrogen)にトランスフォームした。
【0048】
実施例3
Rubrobacter xylanophilus DSM9941からのオキシドレダクターゼの調製
発現コンストラクトでトランスフォームしたEscherichia coli BL21Star株(Invitrogen,Karlsruhe,Germany)およびRB791株(E.coli genetic stock,Yale,USA)をそれぞれ,アンピシリン(50μg/ml)を加えた培地(1%トリプトン,0.5%酵母エキス,1%NaCl)中で550nmの光学密度が0.5に達するまで培養した。イソプロピルチオガラクトシド(IPTG)を0.1mMの濃度で加えることにより,組換え蛋白質の発現を誘導した。25℃および220rpmで誘導した16時間後,細胞を回収し,−20℃で凍結した。
【0049】
酵素を回収するためには,30gの細胞を150mlのトリエタノールアミンバッファ(100mM,pH=7,2mMMgCl,10%グリセロール)に懸濁し,高圧ホモジナイザーにより破壊した。次に,酵素溶液を150mlのグリセロールと混合し,−20℃で保存した。
【0050】
このようにして得られた酵素溶液を,(3R,5R)−6−シアノ−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチルの合成に用いた。
【0051】
得られた酵素溶液は,希釈した状態で,対応する酵素測定にも用いた。すなわち,活性試験は以下のものから構成された:870μlの100mM TEA緩衝液,pH7.0,160μgのNAD(P)H,10μlの希釈細胞溶解物。100μlの100mMの基質溶液(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルを反応混合物に加えることにより反応を開始した。
【0052】
実施例4
オキシドレダクターゼ(配列番号1)を用いる(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルの(3R,5R)−6−シアノ−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチルへの変換
(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルを変換して(3R,5R)−6−シアノ−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチルとするために,900μlの緩衝液(100mM TEA,pH=7,1mM MgCl),100μlの2−プロパノール,10μlの(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチル粗生成物(エナンチオマー純度>99%),0.1mgのNADおよび100μlの酵素懸濁液(実施例3を参照)の混合物を,エッペンドルフ反応容器中で室温で,連続的に混合しながら24時間インキュベーションした。24時間後,用いた(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルの96%が(3R,5R)−6−シアノ−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチルに還元された。ジアステレオマー過剰は>99%であった。
【0053】
変換ならびにジアステレオマー過剰の判定は,キラルガスクロマトグラフィーにより行った。この目的のためには,キラル分離カラムCP−Chirasil−DEX CB(Varian Chrompack,Darmstadt,Germany)および炎イオン化検出器を備えたガスクロマトグラフィーGC−17A(Shimadzu)を用い,キャリアガスとしてヘリウムを用いた。
【0054】
6−シアノ−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチルの分離は,0.72barで,50℃で10分間,5℃/分で昇温,200℃で10分間で行った。保持時間は次のとおりであった:(R−BCH)4.4分間;(R,R−BCH)47.1分間および(R,S−BCH)48.2分間。
【0055】
実施例5
オキシドレダクターゼ(配列番号1)を用いる(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルから(3R,5R)−6−シアノ−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチルの合成
(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルをさらに変換して(3R,5R)−6−シアノ−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチルとするために,550μlのバッファ(100mM TEA,pH=7,1mM MgCl),150μlの2−プロパノール,200μlの(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチル粗生成物(エナンチオマー純度>99%),0.1mgのNADおよび200μlの酵素懸濁液(実施例3を参照)の混合物を,エッペンドルフ反応容器中でインキュベーションした。反応の過程では,窒素を導入することにより,形成されたアセトン/2−プロパノール混合物を繰り返し蒸発させ,新たな2−プロパノールおよび50μlの酵素を加えた。24時間間隔で2−3回繰り返した後,用いた(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルの>90%が還元されて(3R,5R)−6−シアノ−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチルとなった。ジアステレオマー過剰量>99%であった。
【0056】
実施例6
オキシドレダクターゼ(配列番号1)を用いる(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルから(3R,5R)−6−シアノ−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチルの合成
(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルをさらに変換して(3R,5R)−6−シアノ−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチルとするために,6.7mlのバッファ(100mM TEA,pH=9),1,7mlの2−プロパノール,2mlの(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチル粗生成物(エナンチオマー純度>99%),1.0mgのNADおよび150mgのオキシドレダクターゼ(配列番号1)を含む凍結細胞E.coliBL21Star(実施例3を参照)の混合物を反応容器中で45℃でインキュベーションした。24時間後,用いた(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルの>90%が(3R,5R)−6−シアノ−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチルに還元された。ジアステレオマー過剰は>99%であった。
【0057】
実施例7
オキシドレダクターゼ(配列番号8)を用いる(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルから(3R,5R)−6−シアノ−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチルの合成
(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルをさらに変換して(3R,5R)−6−シアノ−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチルとするために,5.0mlのバッファ(100mM TEA,pH=7.5),2.0mlの2−プロパノール,4.0mlの(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチル粗生成物(エナンチオマー純度>99%),1.0mgのNADandおよび,配列番号8のオキシドレダクターゼ(実施例2および3に対応)を含む250mgの凍結細胞E.coli RB791の混合物を,反応容器中で40℃でインキュベーションした。24時間後,用いた(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルの>90%が(3R,5R)−6−シアノ−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチルに還元された。ジアステレオマー過剰は>99%であった。
【0058】
実施例8
オキシドレダクターゼ(配列番号11)を用いる(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルから(3R,5R)−6−シアノ−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチルの合成
(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルを変換して(3R,5R)−6−シアノ−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチルとするために,350μlのバッファ(100mMリン酸カリウム,pH=7),150μlの2−プロパノール,50μlの(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチル粗生成物(エナンチオマー純度>99%),0.025mgのNADおよび15μlの酵素懸濁液(配列番号11)(実施例3を参照)の混合物を,エッペンドルフ反応容器中で室温で,連続的に混合しながら48時間インキュベーションした。48時間後,用いた(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルの>80%が(3R,5R)−6−シアノ−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチルに還元された。ジアステレオマー過剰は>99%であった。
【0059】
配列のリスト
配列番号1

1 mlegkvavit gagsgigrat alrfaregar vvvaelderr
41 geevvreile sggeavfvrt dvsefeqvea averaveeyg
81 tldvmfnnag ighyaplleh dpehydrvvr vnqygvyygi
121 laagrkmael enpgviinta svyaflaspg vigyhaskga
161 vkmmtqaaal elaphgirvv aiapggvdtp iiqgykdmgl
201 gerlargqmr rrlqtpeqia gavvllatee adaingsvvm
241 tddgyaefk
【0060】
配列番号2

1 atgctcgaggggaaggtcgcggtcatcacgggggccggca
41 gcggcataggccgggccaccgcgctcaggttcgcccgcga
81 aggggcccgggtggtcgtggcggagctcgacgagcggagg
121 ggggaggaggtcgtccgggagatcctcgagtccggcgggg
161 aggccgtcttcgtgaggacggacgtctcggagttcgagca
201 ggttgaggccgccgtcgagcgcgccgtcgaggagtacggg
241 acgctggacgtcatgttcaacaacgccggcatcgggcact
281 acgcccccctgctggagcacgacccggagcactacgaccg
321 ggtggtccgggtgaaccagtacggcgtctactacgggata
361 ctcgccgccggcaggaagatggccgagctggagaaccccg
401 gcgtgatcatcaacaccgcctcggtctacgctttcctggc
441 ctcccccggtgtgatcggctatcacgcttccaagggggcg
481 gtgaagatgatgacccaggccgcagccctggagctcgccc
521 cccacggcatacgggtcgtcgccatcgccccgggcggggt
561 ggacaccccgatcatccagggctacaaggacatgggcctc
601 ggtgagcggctggcccgcggccagatgcgtcgcaggctcc
641 agacccccgagcagatcgccggcgccgtcgtcctgctcgc
681 caccgaggaggcagacgccataaacggctcggtggtgatg
721 accgacgacggctacgcggagttcaagtaa
【0061】
配列番号3

1 atgctggaag gtaaagtggc agtcatcacc ggtgcaggca
41 gcggcattgg gcgtgccact gcgctgcgtt ttgcgcgtga
81 aggcgctcgc gtcgttgtgg ccgagctgga tgaacgtcgc
121 ggtgaggaag ttgtacgtga gattctggaa tctggcgggg
161 gggaggccgt cttcgtgagg acggacgtct cggagttcga
201 gcaggttgag gccgccgtcg agcgcgccgt cgaggagtac
241 gggacgctgg acgtcatgtt caacaacgcc ggcatcgggc
281 actacgcccc cctgctggag cacgacccgg agcactacga
321 ccgggtggtc cgggtgaacc agtacggcgt ctactacggg
361 atactcgccg ccggcaggaa gatggccgag ctggagaacc
401 ccggcgtgat catcaacacc gcctcggtct acgctttcct
441 ggcctccccc ggtgtgatcg gctatcacgc ttccaagggg
481 gcggtgaaga tgatgaccca ggccgcagcc ctggagctcg
521 ccccccacgg catacgggtc gtcgccatcg ccccgggcgg
561 ggtggacacc ccgatcatcc agggctacaa ggacatgggc
601 ctcggtgagc ggctggcccg cggccagatg cgtcgcaggc
641 tccagacccc cgagcagatc gccggcgccg tcgtcctgct
681 cgccaccgag gaggcagacg ccataaacgg ctcggtggtg
721 atgaccgacg acggctacgc ggagttcaag taa
【0062】
配列番号4

GGGAATTCCATATGATGCTCGAGGGGAAGGTCG
【0063】
配列番号5

CCCAAGCTTATTACTTGAACTCCGCGTAGCCGTC
【0064】
配列番号6

CCTAGCTAGCATGCTGGAAGGTAAAGTGGC
【0065】
配列番号7

CACATGCATGCGAATGCTCGAGGGGAAGGTC
【0066】
配列番号8
Geobacillus thermodenitrificans DSM465 蛋白質配列 カルボニルレダクターゼ
1 mrlkgkaaiv tggasgigra tairfaeega kvavsdinee ggeetvrlir ekggeaifvq
61 tdvadskqvs rlvqtavdaf gglhilfnna gighsevrst dlseeewdrv invnlkgvfl
121 gikyavpvmk qcgggaivnt ssllgikgkk yesaynaska gvilltknaa leygkfnirv
181 naiapgvidt niitpwkqde rkwpiiskan algrigtpee vanavlflas deasfitgat
241 lsvdgggltf
【0067】
配列番号9
Geobacillus thermodenitrificans DSM465 核酸配列 カルボニルレダクターゼ
1 atgaggctaa aaggaaaagc ggcgattgtc accggcggcg cgagcggcat cggccgggcg
61 acggcgattc gctttgcgga agaaggcgcc aaagtggcgg tgagcgacat caatgaggaa
121 ggaggggaag aaacggtccg cctgattcgg gaaaaaggag gggaggcgat ttttgtccaa
181 acggacgtag ccgattccaa gcaagtgagc cgccttgtcc aaacggcggt tgatgccttt
241 ggcggcctac atattctctt taacaatgcc ggcatcggcc attcggaagt gcggagcacc
301 gacttgtctg aagaagagtg ggaccgggtc atcaacgtta atttgaaagg agtgttcctt
361 ggcatcaaat acgcggtgcc cgtgatgaag caatgcggtg gcggggccat tgtcaacaca
421 tcgagcctgc ttggaatcaa agggaaaaag tacgaatcgg cctacaacgc ctcgaaggcc
481 ggggtgattt tgttgacgaa aaatgcagca ttggaatatg ggaagtttaa cattcgcgtc
541 aatgccattg caccgggggt cattgatacg aacatcatca cgccgtggaa acaagatgag
601 cgcaaatggc cgatcatttc gaaagcgaac gccctcggcc gcatcgggac gccagaggaa
661 gtggcgaacg cggtgttgtt tttggcgtcc gatgaagcgt cgtttatcac cggcgcgaca
721 ttgtcggtcg acggcggcgg gctgacgttt tag
【0068】
配列番号10
Geobacillus thermodenitrificans DSM465 核酸配列 合成遺伝子
1 atgcgcctga aagggaaagc ggcaattgtg acgggtggcg ccagcggcat cgggcgcgcg
61 actgcgatcc gttttgcaga agagggtgcg aaagttgccg ttagcgacat taacgaggaa
121 ggcggtgagg aaaccgttcg cctgatccgt gaaaaaggcg gtgaggcaat cttcgtgcag
181 acggatgtgg ccgactcaaa acaggtatct cgtctggttc agaccgcggt cgacgcgttt
241 ggtggcctgc acatcctgtt caataacgcc ggcattggcc atagcgaagt gcgtagtact
301 gatctgagcg aggaagagtg ggatcgcgtg attaacgtga acctgaaagg tgtgtttctg
361 ggtattaagt atgcagtccc tgttatgaaa cagtgtggcg gtggtgcgat tgtgaatacc
421 tctagtctgt tgggaatcaa agggaaaaag tatgaatcgg cctacaacgc atcgaaagcc
481 ggcgtcatcc tgctgaccaa aaatgcggcc ctggagtatg gcaagttcaa tattcgtgtc
541 aacgcgatcg ctccaggcgt tatcgatacc aacatcatta caccgtggaa gcaagatgaa
601 cgcaagtggc cgattatctc caaagctaat gcgctgggcc gtatcggtac gccggaagaa
661 gtggctaatg cggttctgtt tctggcaagc gacgaagcga gctttattac gggtgcaacc
721 ctctccgtag atgggggcgg gttaaccttc taa
【0069】
配列番号11
Chloroflexus auratiacus DSMZ635 蛋白質配列 カルボニルレダクターゼ
1 meppfigkva lvtgaaagig rasalafare gakvvvadvn veggeetial cralntdamf
61 vrcdvsqrde verlialavd tfgridfahn nagiegvqam ladypeevwd rvieinlkgv
121 wlcmkyeirh mlkqgggaiv ntssvaglag srgvsayvas khgivgitka aaleyarngi
181 rvnaicpgti htamidrftq gdpqllaqfa egepigrlgs peevanaviw lcsdkasfvt
241 gatlavdggr la
【0070】
配列番号12
Chloroflexus auratiacus DSMZ635 核酸配列 カルボニルレダクターゼ
1 atggagccac ctttcattgg gaaggttgcg ctggtcaccg gcgcagcagc cggtattggt
61 cgtgcttcag cactggcgtt tgcccgtgag ggtgccaagg ttgtcgttgc tgatgtgaat
121 gtcgagggcg gggaagagac gattgcgctg tgtcgggctt tgaataccga tgcaatgttc
181 gtgcgttgtg atgtttcgca acgcgatgaa gtggagcgat taattgctct ggcagttgac
241 acgttcggtc ggatcgactt tgcgcacaac aacgccggga ttgaaggcgt gcaggcaatg
301 ctggccgatt atcccgaaga ggtctgggat cgggtgatcg agatcaacct caaaggggtc
361 tggttgtgta tgaagtacga aatccggcac atgctcaagc agggtggcgg tgcgattgtg
421 aatacctcat cggtcgccgg tctggccgga tcacgtggcg tttcggcgta tgtagccagc
481 aagcacggta ttgttggtat taccaaagcg gcagcccttg agtatgcgcg taacggtatt
541 cgtgtcaacg caatctgtcc aggtacgatt catactgcga tgatcgaccg ctttacccag
601 ggtgatcccc aactgcttgc ccagttcgct gagggtgaac cgattggtcg gctcggctcg
661 cctgaagagg tcgccaatgc ggtgatctgg ctctgctcag ataaggcttc gtttgtgacc
721 ggagcgacac tggcggttga tggtggccgc ctggcgtaa
【0071】
配列番号13
Chloroflexus auratiacus DSMZ635 核酸配列 合成遺伝子
1 atggagcccc catttatcgg gaaagttgcg ttagttacgg gggcagcggc agggatcggc
61 agggcgagtg ccctggcgtt tgctagagaa ggggccaagg tcgttgtggc agacgttaac
121 gtagagggtg gcgaagagac aattgcttta tgcagagctc tcaacactga tgccatgttc
181 gtccgctgtg atgtgtcaca gcgagacgaa gtcgaaaggc taatcgccct agcggtagac
241 acattcggcc gtattgactt tgctcataat aacgcgggca tagagggagt acaagcaatg
301 ttggctgact atcctgagga agtatgggat cgagtaattg aaatcaatct caagggggtt
361 tggctgtgta tgaagtacga aataaggcac atgctcaagc aaggtggcgg agcgatcgta
421 aacactagct ctgtcgccgg tctagcagga tctcgggggg tttccgcata cgtcgcctcg
481 aaacacggca ttgtagggat taccaaagct gcagcccttg agtatgcccg aaatggaata
541 agagtgaatg ctatctgccc aggcacaata catactgcaa tgatagatcg gtttacgcag
601 ggtgatccgc aacttttggc gcagttcgcc gaaggtgagc ctataggtcg ccttggtagc
661 ccggaagagg tcgctaatgc ggtgatttgg ttgtgttcag acaaagcaag tttcgtgacg
721 ggagctaccc tggcagtgga tggaggacgt ttagct
【0072】
配列番号14
Candida magnoliae CBS6396 蛋白質配列 カルボニルレダクターゼ

1 msatsnalit gasrgmgeat aiklalegys vtlasrgieq lnaikeklpi vkkgqqhyvw
61 qldlsdieaa stfkgaplpa ssydvffsna gvvdfapfad qsetaqkdlf tvnllspval
121 tktivkaiad kpretpahii ftssivgirg vpnvavysat kgaidsfars larefgpkni
181 hvncvnpgtt rtemtkgvdl aafgdvpikg wievdaiada vlflikskni tgqslvvdng
241 fgv
【0073】
配列番号15
Candida magnoliae CBS6396 核酸配列 合成遺伝子

1 atgtctgcta cttcgaacgc tcttatcact ggtgccagcc gcggaatggg cgaggccaca
61 gctattaagc ttgcccttga ggggtacagc gtcacccttg catcacgcgg tattgagcag
121 ctcaatgcca tcaaggaaaa actacccatc gtgaagaagg gccagcagca ctacgtttgg
181 cagctcgatc ttagtgacat cgaggcggct tccaccttca agggggctcc tctgcctgcc
241 agcagctacg acgtgttctt cagcaacgcc ggtgtggtgg actttgctcc gttcgcagac
301 caaagcgaga ctgcgcaaaa ggacctgttc acggttaacc tgctgtcgcc tgttgcgttg
361 accaagacca ttgttaaggc catcgccgac aagccccgcg agacgcctgc tcacattatc
421 ttcacctcgt ccattgtcgg aattcgcggt gttcccaacg tggcggtcta cagcgccacc
481 aagggcgcga ttgacagctt tgcgcgctcg cttgctcgtg agttcggtcc caagaacatc
541 cacgttaact gcgtgaaccc gggcacgacg cgcaccgaga tgacaaaggg cgttgatctc
601 gcggctttcg gcgatgttcc tatcaagggc tggatcgagg tcgatgcgat tgccgacgct
661 gtgctgtttt tgatcaagtc caagaacatc actggccagt cgctcgttgt tgacaacgga
721 ttcggtgttt aa


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化1】

[式中,RはC−Cアルキルであり,Rは,−Cl,−CN,−OH,−HまたはC−Cアルキルである]
のヒドロキシケトンをエナンチオ選択的に酵素的に還元して,一般式II:
【化2】

[式中,RおよびRは,式Iにおけるものと同じ意味を有する]
のキラルジオールとする方法であって,ヒドロキシケトンは,補因子としてのNADHまたはNADPHの存在下でオキシドレダクターゼにより還元され,ここで,
a) ヒドロキシケトンは反応中に50g/l以上の濃度で提供され;
b) 形成された酸化された補因子NADまたはNADPは,一般式RCHOH(式中,R,Rは,独立して,水素,分枝鎖または非分枝鎖のC−C−アルキルを表し,Cの合計は3以上である)の2級アルコールの酸化により連続的に再生され;および
c) ヒドロキシケトンの還元と2級アルコールの酸化とは同じオキシドレダクターゼにより触媒される,
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
オキシドレダクターゼは,
a) アミノ酸の少なくとも50%が,配列番号1,配列番号8,配列番号11または配列番号14のアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を含むか,
b) 配列番号2,配列番号3,配列番号9,配列番号10,配列番号12,配列番号13または配列番号15の核酸配列によりコードされるか,または
c) ストリンジェントな条件下で,配列番号2,配列番号3,配列番号9,配列番号10,配列番号12,配列番号13または配列番号15にハイブリダイズする核酸配列によりコードされる,
請求項1記載の方法。
【請求項3】
一般式I:
【化3】

[式中,RはC−Cアルキルであり,Rは,−Cl,−CN,−OH,−HまたはC−Cアルキルである]
のヒドロキシケトンをエナンチオ選択的に酵素的に還元して,一般式II:
【化4】

[式中,RおよびRは,式Iにおけるものと同じ意味を有する]
のキラルジオールとする方法であって,ヒドロキシケトンは,補因子の存在下でオキシドレダクターゼにより還元され,ここで,オキシドレダクターゼは,
a) アミノ酸の少なくとも50%が配列番号1,配列番号8,配列番号11または配列番号14のアミノ酸配列のアミノ酸と同一であるアミノ酸配列を含むか,
b) 配列番号2,配列番号3,配列番号9,配列番号10,配列番号12,配列番号13または配列番号15の核酸配列によりコードされるか,または
c) ストリンジェントな条件下で,配列番号2,配列番号3,配列番号9,配列番号10,配列番号12,配列番号13または配列番号15にハイブリダイズする核酸配列によりコードされる,
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
補因子は補基質により連続的に還元される,請求項3記載の方法。
【請求項5】
NAD(P)Hが補因子として用いられる,請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
2−プロパノール,2−ブタノール,2−ペンタノール,4−メチル−2−ペンタノール,2−ヘプタノールまたは2−オクタノールが,それぞれ補基質または2級アルコールとして用いられる,請求項1−5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ヒドロキシケトンは,総反応容量に基づいて,5−50重量%,好ましくは8−40重量%,特に10−25重量%の量で用いられる,請求項1−6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
(5R)−6−シアノ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチル,(5S)−6−クロロ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルまたは(5S)−5,6−ジヒドロキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチルが一般式(I)のヒドロキシケトンとして用いられる,請求項1−7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
TTN(総ターンオーバー数=還元されたヒドロキシケトンのmol/用いた補因子のmol)が10以上である,請求項1−8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
水性有機2相系で行われる,請求項1−9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
さらに,ジエチルエーテル,3級ブチルメチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,ジブチルエーテル,酢酸エチル,酢酸ブチル,ヘプタン,ヘキサンまたはシクロヘキサン等の有機溶媒を用いる,請求項1−10のいずれかに記載の方法。


【公表番号】特表2009−519722(P2009−519722A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546207(P2008−546207)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/EP2006/012037
【国際公開番号】WO2007/073875
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(506371316)アイイーピー ゲーエムベーハー (7)
【Fターム(参考)】