説明

ヒドロキシプロピルメチルセルロース硬カプセルおよび製造方法

メトキシの含有率27.0〜30.0%(w/w)およびヒドロキシプロポキシの含有率4.0〜7.5%(w/w)および20℃における2重量%溶液として3.5〜6.0cPsの粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースのフィルム形成物質を含む硬質ヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルの製造のための組成物、浸漬組成物、浸漬被覆法に従う硬質ヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルの製造のための方法ならびに硬カプセルシェル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下”HPMC”とも)硬カプセルの製造のための水性組成物、HPMC硬カプセルを製造する方法およびそれにより得られる硬カプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
カプセルは、通常は1種類以上の特定の物質を充填したシェルで構成される周知の剤形である。シェルは、フィルム形成ポリマー(複数種類の場合もある)、例えばゼラチン、修飾されたデンプン、修飾されたセルロース等を含む軟質、あるいは本発明におけるような硬質の安定なシェルであってよい。
【0003】
硬カプセルは一般に浸漬成形法を用いることにより製造される。この方法では、フィルムを形成する組成物の中にピン金型を浸漬する。フィルム形成ポリマーをピン上でゲル化させることにより、フィルムが形成され、続いてこれをピン上で乾燥させるとカプセルシェルが得られる。次いでシェルをピンからはがし、望まれる長さに切る。このようにして、カプセルのキャップと本体が得られ、後でこれに物質を充填して結合することができ、そうして充填されたカプセルが得られる。
【0004】
この型の浸漬成形法を用いる場合、ひとたびピンが浸漬槽から引き上げられたら、浸漬組成物が確実にピンの表面に付着して迅速にゲル化する必要がある。これは、カプセルを製造するために望ましいシェルまたはフィルムの分布が得られるように、ピンの表面上で組成物が流れるのを回避する。
【0005】
フィルム形成ポリマーとしてゼラチンを用いる場合、浸漬組成物は冷却によりゲル化する。メチルセルロースおよびゲル化剤の混合物は、同じゲル化のふるまいを示す。これらの型のフィルム形成ポリマーは共に、硬ゼラチンカプセルを製造するための一般的な装置で加工されてよい。
【0006】
U.S.Pat.No.2,526,683は、浸漬被覆法によるメチルセルロース医薬カプセルの製造のための方法を開示している。この方法は、40℃〜85℃に予熱されたカプセル形成ピンのゲル化が始まる温度未満の温度に維持されたメチルセルロース組成物中への浸漬、ピンの引き出しおよびゲル化温度を越える温度のオーブン中へのピンの配置およびフィルムの乾燥で構成される。熱いピンを組成物中に浸漬すると、組成物はピンの表面でゲル化し、ピンを引き出すと、一定の厚さを持つゲル化した液体のフィルムがピン上で形成される。次いで通常はピンを直立した位置まで180°回転させ、オーブン中に置いて乾燥させるのが一般的である。この技法は慣例的に”熱ゲル化”と呼ばれる。次いで乾燥したカプセルをはがし、望みの大きさに切り、本体とキャップを組み合わせる。しかし、メチルセルロースは37℃未満では水に不溶性である。
【0007】
U.S.Pat.No.3,493,407は、水性溶媒中におけるいくつかのヒドロキシアルキルメチルセルロースエーテル類の非熱ゲル化浸漬成形組成物の使用を開示している。カプセルが決まった形状をとるために、ピンを0.5時間より長く回転させておかなければならない。
【0008】
U.S.Pat.No.3,617,588はセルロースエーテルのゲル化のための誘導加熱器の使用を開示している。
U.S.Pat.No.4,001,211は、メチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合に基づいた、改良された熱ゲル化組成物を開示している。
【0009】
上記の組成物および方法は、速度、溶解特性、および全般的な質の両方に関して硬カプセルの高性能製造を得ることを可能にしなかった。同様に、HPMCとゲル化剤の併用により製造されたカプセルは、それらが陽イオンおよびpHに影響されやすいため、目視の質および溶解特性が非常に劣っている。
【0010】
特に欠点がないこと、目視の外見、充填装置上での高い性能、優れた溶解特性およびエネルギー消費の制限に関してさらに優れた質を持つ組成物の研究が今もなお続けられている。添加剤は可能な限り避けるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】U.S.Pat.No.2,526,683
【特許文献2】U.S.Pat.No.3,493,407
【特許文献3】U.S.Pat.No.3,617,588
【特許文献4】U.S.Pat.No.4,001,211
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、特に、高い質:例えば標準化された寸法、(硬ゼラチンカプセルと同様の)高い透明性、ならびに優れた溶解性および機械的性能を持つHPMCカプセルの製造のための新しい組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このおよび他の目的は本発明の第1観点により達成され、これは硬カプセルの製造のための水性組成物であり、ここで組成物は、水性溶媒中で、水性組成物の総重量に基づいて15〜25重量%の、メトキシの含有率27.0〜30.0%(w/w)、ヒドロキシプロポキシの含有率4.0〜7.5%(w/w)および20℃における水中の2重量%溶液として3.5〜6.0cPsの粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。
【0014】
本発明において、HPMCメトキシおよびヒドロキシプロピルの含有量はUSP30-NF25に従って表わされる。
本発明において、20℃における水中のHPMCの2重量%溶液の粘度は、セルロース誘導体に関するUSP30−NF25の方法に従って測定される。
【0015】
水性組成物は、水性組成物の総重量に基づいて17〜23重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むのが好ましい。
適切なヒドロキシプロピルメチルセルロースは商業的に入手可能である。例えば適切な型は、HPMC2906型に関してUSP30−NF25の中で説明されている要求を満たす全てのものである。
【0016】
適切な水性組成物は、同じ型だが異なる粘度グレードのHPMC類を混合することにより得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好ましい態様において、本発明の水性組成物中のHPMCは、20℃における水中の2%w/w溶液として4.0〜5.0cPsの粘度を有するHPMCである。
水中のHPMC溶液の粘度は、例えばUSP中で開示されているような一般的な技法により、ウベローデ型の粘度計を用いることにより測定することができる。
【0018】
本発明の1態様において、本発明の水性組成物は、総重量に基づいて0重量%および5重量%の間の、好ましくは0重量%および2重量%の間の、硬カプセルの製造に一般的に用いられる追加の非動物由来のフィルム形成ポリマーの水性組成物を含んでいてよい。本発明のHPMC水性組成物は、本明細書に開示するHPMCの他にフィルム形成ポリマーを含まないのが好ましい。非動物由来フィルム形成ポリマーは、例えばポリビニルアルコール、植物由来または細菌由来フィルム形成ポリマーである。典型的な植物由来フィルム形成ポリマーは、デンプン、デンプン誘導体、セルロース、本明細書で定めるHPMC以外のセルロース誘導体およびそれらの混合物である。典型的な細菌由来フィルム形成ポリマーはエキソ多糖類である。典型的なエキソ多糖類はキサンタン(xanthan)、アセタン(acetan)、ゲラン(gellan)、ウェラン(welan)、ラムサン(rhamsan)、フルセレラン(furcelleran)、スクシノグリカン(succinoglycan)、スクレログリカン(scleroglycan)、シゾフィラン(schizophyllan)、タマリンドガム(tamarind gum)、カードラン(curdlan)、プルラン(pullulan)、デキストラン(dextran)およびそれらの混合物である。
【0019】
好ましい態様において、本発明のHPMC水性組成物は水性組成物の総重量に基づいて0重量%および1重量%の間の、好ましくは0重量%の硬カプセルの製造に一般的に用いられる動物由来物質を含む。典型的な動物由来物質はゼラチンである。
【0020】
好ましい態様において、本発明の水性組成物は水性組成物の総重量に基づいて0重量%および1重量%の間未満の、好ましくは0重量%のゲル化系を含む。”ゲル化系”により、1種類以上の陽イオンおよび/または1種類以上のゲル化剤を意味する。典型的な陽イオンは、K、Na、Li、NH、Ca++、Mg++およびそれらの混合物である。典型的なゲル化剤(複数種類の場合もある)は、親水コロイド、例えばアルギン酸塩、寒天ガム、グアーガム(guar gum)、イナゴマメガム(キャロブ)(locust bean gum (carob))、カラギーナン(carrageenans)、タラガム(tara gum)、アラビアガム(gum arabic)、ガティガム(ghatti gum)、カヤグランディフォリアガム(khaya grandifolia gum)、トラガカントガム(tragacanth gum)、カラヤガム(karaya gum)、ペクチン(pectin)、アラビアン(アラバン)(arabian (araban))、キサンタン、ゲランガム(gellan gum)、コンニャクマンナン(konjac mannan)、ガラクトマンナン(galactomannan)、フノラン(funoran)、およびそれらの混合物である。通常、ゲル化剤は場合により陽イオンおよび他の成分、例えば金属イオン封鎖剤と組み合わせて用いることができる。
【0021】
本明細書で開示されるHPMC水性組成物はゲル化系無しで強靭かつ物理的に安定なゲルを生産するのに適しているので、本発明のHPMCカプセルの溶解特性は、一般的にゲル化系、特に陽イオンに伴う欠点に影響されない。
【0022】
自然の、すなわち組成物に色素または類似の成分を添加していない状態において、本発明の水性組成物から得られるHPMC硬カプセルは優れた明瞭性および透明性を示す。650nmの紫外線により測定したカプセル本体の(その二重のシェル層を通した)透過率はおよそ80%で、ゼラチン硬カプセルと同等である。
【0023】
着色されたカプセルを得るために、最低でも1種類の不活性、非毒性の医薬品グレードまたは食品グレードの色素、例えば二酸化チタンを水性組成物に混合することができる。一般に、0.001〜1.0重量%の色素を水性組成物に含めることができる。重量は組成物の総重量で割って表わされる。
【0024】
場合により、適切な可塑剤、例えばグリセリンまたはプロピレングリコールを水溶液に含めることができる。過度の軟らかさを避けるため、可塑剤の含有量は少なくなければならず、例えば組成物の総重量で割って0重量%および2重量%の間、より好ましくは0重量%および1重量%の間でなければならない。
【0025】
本発明の水性組成物はHPMCおよび他の任意の成分を1種類以上の水性溶媒、好ましくは水に分散させることにより製造することができる。水性溶媒は室温より上の温度、好ましくは60℃より上、より好ましくは70℃より上であることができる。最適温度は技術者が決定することができる。好ましい態様において、脱泡の後に分散液を室温未満、好ましくは15℃未満に冷却し、HPMCの可溶化を達成する。
【0026】
水性組成物のゲル化温度は、組成物を徐々に加熱して粘度を測定することにより決定してもよい。粘度が急に増加し始める温度がゲル化温度であると考えられる。例として、水中約19%w/wの濃度で、HPMC2906型のUSPの定義を満たす本発明のあらゆるHPMCはおおよそ30℃および40℃の間のゲル化温度を有する。追加の例として、水中15〜25%w/wの間の濃度で、ヒドロキシプロポキシの含有率が約6%であるHPMCのUSPの定義を満たす本発明のHPMCは、おおよそ30℃および40℃の間のゲル化温度を有する。どのようにしてゲル化温度を容易に測定できるかの例を実施例で示す。
【0027】
本発明の水性組成物は、HPMC硬カプセルの製造のための浸漬成形法における浸漬組成物として用いることができる。
本発明の水性組成物は最適な溶解特性を示す優れたHPMC硬カプセルの製造を可能にすることを述べた。溶解のプロフィールは、療法においてカプセルに含まれる物質の完全かつ再現性のある放出を得るために重要な点である。
【0028】
さらに、本発明の水性組成物は、その本体およびキャップを一度はめ込み式に結合すれば適切に密封することのできる優れたHPMC硬カプセルの製造を可能にすることを述べた。これにより、本明細書に開示する新規HPMC硬カプセルは、吸入のための粉末を充填した剤形同様に液体を充填した経口剤形の製造、または二重盲検試験の状況において用いるための不正に中をいじれない医薬剤形の製造のための特に優れておりかつ費用効率の高い解決策となる。
【0029】
第2観点において、本発明は方法が以下の工程を含むことを特徴とする、浸漬被覆法に従うヒドロキシプロピルメチルセルロース硬カプセルの製造のための方法に関する:
(a)メトキシの含有率27.0〜30.0%(w/w)、ヒドロキシプロポキシの含有率4.0〜7.5%(w/w)および20℃における水中の2重量%溶液として3.5〜6.0cPsの粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースの水性組成物を用意する、ここで、水性組成物中のヒドロキシプロピルメチルセルロースの濃度は、水性組成物がゲル化する温度の10℃〜1.0℃下の温度で測定される水性組成物の粘度が1000〜3000cPs、好ましくは1200〜2500cPs、より好ましくは1600〜2000cPsとなるように選択される、
(b)それらが水性組成物の中に浸漬される際に55〜95℃であるように浸漬ピンを予熱する、
(c)それがゲル化する温度の10℃〜1.0℃下の温度で維持された水性組成物の中に予熱した浸漬ピンを浸漬する、
(d)水性組成物から浸漬ピンを引き出し、浸漬ピン上にフィルムを得る、ならびに
(e)水性組成物のゲル化温度より上の温度で浸漬ピン上のフィルムを乾燥させ、ピン上に成形されたカプセルシェルを得る。
【0030】
工程(a)および(b)はどの順序で実施することもできる。それに対し、工程(c)〜(e)は示した順序で、かつ工程(a)および(b)の後に実施されるべきである。
工程(a)において、本発明の水性組成物を用いることができる。HPMC濃度の最適化の調整は、上記で示した粘度の範囲に沿うように実施することができる。
【0031】
工程(b)において、予熱されたピンの温度範囲は55〜95℃で、これはこれがピンを浸漬する際のピンの温度であることを意味する。この温度は好ましくは60〜90℃、より好ましくは60〜85℃、もっと好ましくは65〜85℃、さらにもっと好ましくは70〜80℃である。その温度は望まれるカプセルサイズに従って選択されるのが好ましい。”カプセルサイズに従って”により、ピンの寸法がより小さければ、温度はより高いことを意味する。例えば、HPMC2906型(USP分類)に関しておよび水性組成物について上記に定めたHPMCの重量範囲内で、カプセルサイズ00(一般的に大型のカプセルサイズと考えられる)に関してピンの温度は70および80の間であるのが好ましく、カプセルサイズ1(一般的に中型のカプセルサイズと考えられる)に関してピンの温度は80および90の間であるのが好ましく、ならびにカプセルサイズ4(一般的に小型のカプセルサイズと考えられる)に関してピンの温度は85および95の間であるのが好ましい。
【0032】
工程(c)において、浸漬組成物はそのゲル化温度の10℃〜1.0℃、好ましくは6℃〜2.0℃下の温度で維持される。例えば、もし浸漬組成物が約36.0℃のゲル化温度を有する場合、それは例えば約34.0℃の温度で維持することができる。
【0033】
浸漬組成物から引き出した後、ピンは一般的なカプセル成形法に従って”先端が下を向いた”浸漬位置から”先端が上を向いた”乾燥位置に回転させることができる。この工程において、ピンは工程(c)の浸漬位置に関して約180°水平軸の回りを回転する。
【0034】
工程(e)における乾燥では、目的はピン上のカプセルシェル中の水の含有率を減少させることである。一般に、成形されたカプセルシェル中の水の含有率は、成形されたカプセルシェルの総重量に基づいておおよそ80重量%からおおよそ7重量%に減少する。本発明のカプセルシェル中の水の含有率の指標を後記に示す。
【0035】
工程(e)はこの目的に関して一般に知られているいずれかの技法に従って、例えばピンを一般的なオーブンの中に十分な時間の間、一般に30〜60分間配置することにより実施することができる。
【0036】
好ましい態様において、工程(e)は、表題”カプセルの形成”を有する、および出願番号US60/863,040を有する2006年10月26日に本出願人により提出された同時係属中の特許出願中に開示されているようにして実施される。その好ましい態様によると、フィルムを温度および相対湿度の特別な組み合わせの下に置くと優秀な結果が得られることが分かった。
【0037】
従って、工程(e)は工程(e1)を含むのが好ましく、この工程において浸漬ピンと成形されたカプセルシェルはRH20〜90%において温度50〜90℃、好ましくはRH20〜70%においてTが55〜85℃、より好ましくはRH20〜60%においてTが60〜85℃の下に置かれる。
【0038】
一般に、工程(e1)の期間は90〜480秒間、好ましくは120〜300秒間、より好ましくは120〜240秒間である。
工程(e1)の後に工程(e2)が続くのが好ましく、この工程においてピンはRH20〜90%において温度30〜60℃、好ましくはRH20〜70%においてTが35〜55℃、より好ましくはRH20〜60%においてTが35〜50℃の下に置かれる。
【0039】
一般に、工程(e2)の期間は30〜60分間である。
工程(e1)および(e2)は両方共オーブン中で実施することができる。使用されるオーブンは連続的な加工を可能にするトンネルであるのが好ましい。
【0040】
用語”相対湿度”はここで、所与の温度における実際の水蒸気圧の、同じ温度において空気が飽和した場合に生じるであろう蒸気圧に対する比の意味で用いられる。技術者に知られる湿度測定器具に関する多くの技法があり、その全てが実質的に同じRHの測定をもたらすであろう。
【0041】
本明細書において、別途示さない限り、”カプセル”により、本体およびキャップと呼ばれる2個の軸を同じくするはめ込み式に結合される部分で構成される硬カプセルを意味する。通常、キャップおよび本体は側壁、開放端および閉鎖端を有する。それらの部分のそれぞれの側壁の長さは一般にカプセルの直径よりも大きい。従って、本発明のHPMC硬カプセルは硬カプセルの一般的な定義から構造的に逸脱しない。”カプセル”は空のおよび充填されたカプセルの両方を指す。
【0042】
前記の成形されたカプセルシェルは、一般に本体およびキャップの両方を指し、成形ピンの形状に依存する。従って、工程(e)の後、浸漬ピン上の乾燥したカプセルシェルは一般的な工程に従って加工することができる。これは、一般に工程(e)の後に、カプセルシェル(本体およびキャップ)はピンからはがされることを意味する。この工程の後に、はがしたシェルの望む長さへの切断が続くことができる。
【0043】
一般に、硬カプセル浸漬成形製造法はピンからカプセルシェルをはがしやすくするためにピンを潤滑する追加の工程を含む。潤滑は通常ピンの表面に離型剤を塗布することにより成し遂げられる。
【0044】
本発明において、HPMCカプセルに一般的に用いられるあらゆる離型剤および潤滑装置を用いることができる。
はがして切断した後、完全なカプセルを得るために本体およびキャップを組み合わせてよい。それらの側壁が部分的に重なってカプセルが得られるように、カプセルのキャップおよび本体をはめ込み式に結合して一緒にするのが好ましい。
【0045】
”部分的に重なる”は、キャップおよび本体をはめ込み式に結合した際にそのキャップの側壁にその本体の側壁全体が納まるように、キャップおよび本体の側壁が実質的に同じ長さを有する態様も含む。この態様は、例えば二重盲検試験の状況で用いるための不正に中をいじれないカプセルの製造に特に都合がよい。
【0046】
1態様において、浸漬ピンはその上で形成されるキャップおよび本体にプレロックする手段をもたらすように設計される。適切なピンの設計およびプレロックする手段は、例えばEP110500B1に、特に2段目の27〜31行および例えば図34に開示されている。もしキャップおよび本体にプレロックする手段が備わっているなら、はがした後得られた本体およびキャップはまずプレロックされたカプセルを得るために結合される。次いでこのプレロックされたカプセルを再度開き、充填してその最終的な位置まで組み合わせる。
【0047】
一度充填されたら、カプセルは硬カプセルの分野で結合を永久的なものにするために一般的に用いられるいずれかの解決策を用いることにより、不正に中をいじれなくすることができる。帯締めまたは密封が適切な技法である。密封は硬質シェルカプセルの分野でよく知られる技法である。現在この目的のために様々な代わりの技法が用いられている。適切な方法は、例えばUS4,539,060およびUS4,656,066に開示されている。現在、多くの改良された密封法を利用することができる。
【0048】
ある既知の密封法によると、カプセルを(i)密封液と接触させ、(ii)過剰な密封液を表面から除き、(iii)カプセルを乾燥させて硬化を引き起こし密封を永遠のものにする。
【0049】
本発明で得られたHPMCカプセルに関して、アルコール/水混合物、例えばエタノール/水混合物を密封液として用いることができる。
得られた優れた密封の質は、本発明の密封カプセルを、特に物質の液体の形での投与に用いるための漏れの無い剤形の製造に特に適したものにする。”密封の質”により、密封の目視の質および/または接着強度のいずれかを意味する。
【0050】
上記の水性組成物および方法は、一般的なゼラチンカプセルに匹敵する速度で溶解するHPMC硬カプセルの製造に特に適している。そのカプセルは、工業スケールでゼラチンカプセルに匹敵する加工速度で製造することができる。それらは特に極度に乾燥した雰囲気下において脆さがより少ないため、それらの機械的特性は一般的なゼラチンカプセルのそれよりも優れている。それらの目視の外観はゼラチンカプセルのそれに類似している。
【0051】
第3観点において、本発明はメトキシの含有率27.0〜30.0%(w/w)、ヒドロキシプロポキシの含有率4.0〜7.5%(w/w)および20℃における水中の2重量%溶液として3.5〜6.0cPsの粘度を有するHPMCを含むHPMC硬カプセルシェルに関し、ここでメトキシおよびヒドロキシプロポキシの含有率はUSP30−NF25に従って表わされ、ここで粘度はセルロース誘導体に関するUSPの方法に従って測定される。
【0052】
好ましい態様において、カプセルシェルは上記に開示される水性組成物および/または方法により得ることができる。
好ましい態様において、カプセルシェルはシェルの重量に基づいて70および99重量%の間、好ましくは80および99重量%の間の量のHPMCを含む。他のフィルム形成ポリマーが存在しない場合、HPMCはシェルの重量に基づいて好ましくは92および99重量%の間、より好ましくは93および98重量%の間、さらにもっと好ましくは94および97重量%の間である。
【0053】
好ましい態様において、カプセルシェルはシェルの重量に基づいて0重量%および25重量%の間、好ましくは0重量%および10重量%の間の上記に定めたような追加の非動物由来フィルム形成ポリマーを含む。
【0054】
好ましい態様において、カプセルシェルはシェルの重量に基づいて1〜8重量%の間、好ましくは7および2重量%の間、より好ましくは6および3重量%の間の水を含む。
好ましい態様において、カプセルシェルはシェルの重量に基づいて0および10重量%の間、好ましくは0.001および5重量%の間、より好ましくは0.01および3重量%の間の上記で論じた色素のような1種類以上の色素を含む。
【0055】
好ましい態様において、カプセルシェルはシェルの重量に基づいて0および5重量%の間、好ましくは0.001および3重量%の間、より好ましくは0.01および2重量%の間の1種類以上の染料を含む。
【0056】
好ましい態様において、カプセルシェルはシェルの重量に基づいて0および10重量%の間、好ましくは0.001および5重量%の間、より好ましくは0.01および3重量%の間の上記で論じた可塑剤のような1種類以上の可塑剤を含む。
【0057】
好ましい態様において、カプセルシェルはシェルの重量に基づいて0および2重量%の間、好ましくは0.001および1重量%の間、より好ましくは0.01および0.5重量%の間の1種類以上の抗菌剤を含む。
【0058】
好ましい態様において、カプセルシェルはシェルの重量に基づいて0および2重量%の間、好ましくは0.001および1重量%の間、より好ましくは0.01および0.5重量%の間の1種類以上の香味料を含む。
【0059】
好ましい態様において、本明細書に開示するHPMC硬カプセルシェルは不正に中をいじれない医薬剤形の製造のために用いることができる。この目的のためには、もしカプセルシェルがEP110500B1に開示されているようなものであれば特に都合がよい。この好ましい態様において、HPMC硬カプセルシェルは軸を同じくするキャップおよび本体を含み、キャップおよび本体のそれぞれは一般に円筒形の側壁、開放端および閉鎖端部分を有し、この部分のそれぞれの側壁は実質的にカプセルシェルの直径よりも大きく、キャップおよび本体ははめ込み式の関係での結合に適応しており、ここでキャップおよび本体をはめ込み式の関係で完全に結合した場合、本体の露出する唯一の部分は閉鎖端部分であり、ここで閉鎖端部分は、つかみにくい形状でありそれによりキャップおよび本体の分離を妨げる外側表面を有し、ここでキャップおよび本体をはめ込み式の関係で完全に結合すると、キャップの内側側壁は本体の外側の側壁と実質的に完全に重なり合う。言い換えれば、キャップおよび本体をはめ込み式の関係で完全に結合すると、キャップの側壁に本体の側壁全体が納まる。このようにして、使用においては本体の閉鎖端のみが露出し、つかんでキャップの中から本体を引き出すための最小限の表面を与え、それによりカプセルシェルの分離を妨げる。
【0060】
本体およびキャップのいずれかの閉鎖端部分は、例えば一般に半球形、ピラミッド形、円錐形または平坦な形状を有していてよい。
さらに安全にするために、本体およびキャップはさらに、1個以上の円周状に延びたうねおよび/または溝を含む相互に組み合う手段を含んでいるのが好ましい。従って、カプセルシェルは状況に応じて、キャップおよび本体の片方の側壁が(i)キャップの側壁の内側表面から半径方向に内側に、または(ii)本体の側壁の外側表面から半径方向に外側に、のいずれかで延びる1個以上の円周状に延びたうねを含む組み合う手段を有するようなものであってよい。
【0061】
あるいは、またはさらに、キャップおよび本体のもう片方の側壁は状況に応じて(i)本体の外側表面から半径方向に内側に、または(ii)キャップの内側表面から半径方向に外側に、のいずれかで延び、それぞれのうねとかみ合う1個以上の円周状に延びた溝を有している。
【0062】
カプセルシェルはさらに、結合する際にカプセルの中から空気が逃げられるようにするためのガス抜き手段を含んでおり、ここで、そのまたはそれぞれの円周状に延びたうねは、分節同士の間の空間がキャップおよび本体を結合する際にカプセルの中から空気が逃げられるようにするためのガス抜きとして機能するような2個以上の分節を含んでいるのが好ましい。
【0063】
キャップおよび本体の片方の側壁は状況に応じて(i)キャップの側壁の内側表面から半径方向に内側に、または(ii)本体の側壁の外側表面から半径方向に外側に、のいずれかで延びる1対の直径の反対側の一部分を構成する刻み目を有しているのが好ましく;キャップおよび本体を結合する際にカプセルの中から空気が逃げられるように本体がキャップに入ることができるように、刻み目の直径に沿った間隔は(i)の場合は本体の開放端の外側の直径より小さく、(ii)の場合はキャップの開放端の内側の直径より大きい。
【0064】
貯蔵および/または輸送の目的のためには、カプセルシェルが、充填および最終的な結合の前の安定した予め決められた相対位置で部分的に結合したキャップおよび本体をプレロックするための手段も含んでいてよいのが好ましい。この態様は、本発明の方法の工程[l−1]を含むことが望まれる際に特に都合がよい。
【0065】
本体は、それらをキャップの中にはめ込み式に入れる際に接触するのを避けるために、その開放端の部分で直径が減少しているのが好ましい。
あるいは、またはさらに、不正に中をいじられることへのさらなる抵抗として、キャップはその開放端の部分で直径が減少しており、それによりそれらおよび本体の閉鎖端部分に隣接する本体の側壁の部分との間でかみ合わせの向上が生じる。
【0066】
第4観点において、本発明は上記に定めたカプセルシェルおよびその中に充填される1種類以上の物質を含むHPMC硬カプセルに関する。
特に吸湿性の成分を含む医薬、ビタミンまたは栄養物、植物の粉末抽出物等を含む全ての種類の適切な化合物は本発明のカプセルに充填されてよい。
【0067】
薬剤のための剤形として用いられる場合、本発明のカプセルは一般に、例えば場合により1種類以上の医薬的に許容できる賦形剤と混合された0.001g〜2.0gの有効成分を含む。
【0068】
1態様において、場合により密封された本明細書に開示するHPMC硬カプセルは、乾燥粉末の吸入(一般に頭文字をとったDPIでも知られる)の状況で使用することができる。この態様において、一般的なHPMCカプセルに対する本明細書に開示するカプセルの優位性は、例えば以下の点を根拠とすることができる:
・カプセルは色/透明度が向上しており、
・例えばカプセルの製造過程で必要な離型剤の量が減少していることにより、キャップおよび本体の側壁の内側表面のべたつきが減少しており、
・カプセルの密封の質が向上している。
【0069】
上記に開示されたカプセルの態様の全ては、浸漬成形技術を利用する一般的なカプセル製造機械上で生産することができる。技術者はUS4,893,721中にゼラチンカプセルのための浸漬成形法についての追加の背景情報を見つけることができる。
【0070】
第5観点において、本発明は液体または固体の形での物質、特に医薬物質の対象への投与における使用のための上記に定めたようなヒドロキシプロピルメチルセルロース硬カプセルシェルおよびカプセルに関する。
【0071】
第6観点において、本発明は液体または固体の形での医薬物質の対象への投与に適した医薬剤形の製造のための上記に定めたようなヒドロキシプロピルメチルセルロース硬カプセルシェルおよびカプセルの使用に関する。
【0072】
”固体の形”により粉末の形を意味するのが好ましく、物質(複数種類の場合もある)の投与は乾燥粉末吸入器の使用を伴ってよいのが好ましい。
”対象”によりヒトまたは動物の対象、より好ましくはヒトの対象を意味するのが好ましい。
【0073】
上記の組成物を提供するために好ましい条件は、上記で考察した本発明の他の対象、例えば方法およびカプセルにも当てはまる。
本発明の範囲は下記の実施例を参照することでよりよく理解することができ、その目的は本発明の利点を説明することである。別途記載しない限り、全ての部および百分率は重量による。組成物の粘度はブルックフィールド粘度計により測定された。
【実施例】
【0074】
実施例1:ヒドロキシプロピルメチルセルロース硬カプセルの製造のための水性組成物
2%の濃度(w/w)で粘度が4.4cPsであるHPMC2906型(メトキシの含有率28.7%、ヒドロキシプロポキシの含有率5.4%)を18.8%含む組成物5kgを以下のように製造した:
HPMCの粉末を75℃で撹拌している熱水の中に分散させる。泡の形成が観察される。粉末が完全に分散した後、分散液の脱泡のため非常に穏やかに撹拌しながら75℃に保つ。次いでHPMCを溶解させるため、分散液を穏やかに撹拌しながら10℃まで冷却する。組成物を10℃で30分間以上保った後、カプセルの製造に用いる用意のできた浸漬組成物が得られる。
【0075】
HPMC組成物のゲル化温度は、組成物を徐々に加熱して粘度を測定することにより決定された。判明したゲル化温度は34℃であった。
【0076】
実施例2:硬カプセルの製造
実施例1で製造された組成物を硬カプセル製造のパイロット装置の浸漬皿の中に注ぐ。サイズ0の浸漬ピンを75℃で予熱し、一方で浸漬組成物は32℃で維持する。この温度では、浸漬組成物の粘度は2000cPsである。サイズ0のカプセルは一般的な浸漬法により製造されるが、予熱されたピンを用いる。浸漬の後、カプセルをオーブン中で60℃および40%RHの熱気を用いて3分間、次いで40℃および40%RHの熱気を用いて乾燥させる。
【0077】
得られたカプセルは高品質である:良質かつ標準化された寸法(頂点部の壁の厚さが140μmを越える)、高い透明性(硬ゼラチンカプセルと同様の)、優秀な溶解性および機械的性能。
【0078】
実施例3:ピンに最適な予熱温度
実施例2を再度行ったが、75℃の代わりに60℃で予熱した浸漬ピンを用いた。ピンサイズ0は中〜大型の寸法であると考えられていることを特筆する。
【0079】
浸漬後のピン上でのゲル化は、商業的に許容し得るカプセルを得るために最適ではなかった。乾燥の間に溶液が部分的にピンから流れ落ち、それにより頂点部の壁の厚さが50μm未満になった。
【0080】
結論:ピンの予熱温度として60℃は、サイズ0のカプセルの製造のためには75℃よりも好ましくなかった。
【0081】
実施例4:実施例2のカプセルの応力条件下での機械的特性
実施例2のカプセルの機械的特性は、以下のような応力条件下で試験した:
重さ100gのステンレス鋼の円筒を8cmの高さから空のカプセルの上に1つずつ落とした。破損したカプセルの百分率を下記に報告する。
【0082】
結果:
【0083】
【表1】

【0084】
RH=相対湿度
結論:実施例2のカプセルは極端に低い相対湿度においてさえ少しも脆さを見せない。
【0085】
実施例5:実施例2のカプセルのインビトロ溶解性能
実施例2のカプセルを、アセトアミノフェンカプセルの溶解に関するUSPのモノグラフの方法に従って試験した。
【0086】
結果:
【0087】
【表2】

【0088】
実施例6:ゲル化温度の決定
HPMC2906型の水中18.8%w/w溶液を、実施例1に記載したようにして製造した。粘度はブルックフィールドDV−II型粘度計を用いて、段階的に(それぞれの段階で10分間平衡させる)計測セルの温度を増大させることにより異なる温度で測定する。結果は下記のグラフで報告する。ゲル化温度がおおよそ34℃であるとすぐに理解することができる。
【0089】
【化1】

【0090】
比較例1:HPMC2910型を用いたカプセルの製造
実施例1および2におけるようにして、2%で粘度3cPsのHPMC2910型を26.3%含む組成物5kgを製造した。ゲル化温度は47℃であることが分かり、一方で浸漬組成物は45℃で維持される。上記の実施例2におけるものと同じ加工条件の下で(45℃における浸漬組成物の粘度は2000cPs)、サイズ0のカプセルを製造した。
【0091】
結果:許容し得る寸法が得られた(頂点部の壁の厚さが140μmを越える)。しかし、ほとんど全てのカプセルが浸漬ピンからそれらをはがす間に破損したため、脆すぎるカプセルが得られた。
【0092】
比較例2:HPMC2910型を用いたカプセルの製造
実施例1および2におけるようにして、2%で粘度6cPsのHPMC2910型を17.9%含む組成物5kgを製造した。ゲル化温度は50℃であることが分かり、一方で浸漬組成物は48℃で維持される。上記の実施例2におけるものと同じ加工条件の下で(48℃における浸漬組成物の粘度は2000cPs)、サイズ0のカプセルを製造した。
【0093】
結果:許容し得ない寸法が得られた(不十分なゲル化のふるまい、ピン上の組成物は部分的に流れ落ち、頂点部の壁の厚さは80μm未満)。従って、他のHPMC類、例えばHPMC2910型の使用に対するHPMC2906型の使用における優位性が見られた。
【0094】
比較例3:粘度が低すぎる浸漬溶液を用いたカプセルの製造
実施例2を再度行ったが、32℃で測定した粘度が900cPsである浸漬溶液を用いた。この粘度の減少は組成物に水を添加することにより得られた。
【0095】
浸漬後のピン上におけるゲル化は十分ではなく、乾燥の間に溶液が流れ落ち、それにより頂点部の壁の厚さが50μm未満となり、これは許容するには小さすぎた。結果:浸漬溶液に関して900cPsの粘度は小さすぎて許容し得るゲル化能力および頂点部の壁の厚さを持たない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メトキシの含有率27.0〜30.0%(w/w)、ヒドロキシプロポキシの含有率4.0〜7.5%(w/w)および20℃における水中の2重量%溶液として3.5〜6.0cPsの粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を、水性溶媒中で水性組成物の総重量に基づいて15〜25重量%含むことを特徴とする、硬カプセルの製造のための水性組成物。
【請求項2】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースが20℃における水中の2重量%溶液として4.0〜5.0cPsの粘度を有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
水性組成物の総重量に基づいて17〜23重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
水性溶媒が水であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
以下の工程を含むことを特徴とする、浸漬被覆法に従うヒドロキシプロピルメチルセルロース硬カプセルの製造のための方法:
(a)メトキシの含有率27.0〜30.0%(w/w)、ヒドロキシプロポキシの含有率4.0〜7.5%(w/w)および20℃における水中の2重量%溶液として3.5〜6.0cPsの粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースの水性組成物を用意する、ここで、水性組成物中のヒドロキシプロピルメチルセルロースの濃度は、水性組成物がゲル化する温度の10℃〜1.0℃下の温度で測定される水性組成物の粘度が1000〜3000cPsとなるように選択される、
(b)それらが水性組成物の中に浸漬される際に55〜95℃であるように浸漬ピンを予熱する、
(c)それがゲル化する温度の10℃〜1.0℃下の温度で維持された水性組成物の中に予熱した浸漬ピンを浸漬する、
(d)水性組成物から浸漬ピンを引き出し、浸漬ピン上にフィルムを得る、ならびに
(e)水性組成物のゲル化温度より上の温度で浸漬ピン上のフィルムを乾燥させ、ピン上に成形されたカプセルシェルを得る。
【請求項6】
工程(a)の水性組成物が請求項1〜5のいずれか1項に定めた水性組成物であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
予熱したピンの温度が60〜90℃であることを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
工程(b)の水性組成物がそのゲル化温度の4℃〜1.0℃下の温度で維持されることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程(e)が下記の工程を含むことを特徴とする、請求項5〜8のいずれか1項に記載の方法:
(e1)ピンを温度50〜90℃および相対湿度20〜90%の下に置く。
【請求項10】
温度が55〜85℃であり相対湿度が20〜70%、好ましくは60〜85℃であり相対湿度が20〜60%であることを特徴とする、請求項9の方法。
【請求項11】
工程(e1)の期間が90〜480秒間であることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
工程(e1)の下流に下記の工程を含むことを特徴とする、請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法:
(e2)ピンを温度30〜60℃および相対湿度20〜90%の下に置く。
【請求項13】
工程(e2)の期間が30および60分間の間である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
メトキシの含有率27.0〜30.0%(w/w)、ヒドロキシプロポキシの含有率4.0〜7.5%(w/w)および20℃における水中の2重量%溶液として3.5〜6.0cPsの粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むことを特徴とする、ヒドロキシプロピルメチルセルロース硬カプセルシェル。
【請求項15】
シェルの重量に基づいて70重量%および99重量%の間の量のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むことを特徴とする、請求項14に記載のカプセルシェル。
【請求項16】
請求項5〜13のいずれか1項に定めた方法により得られるカプセルシェル。
【請求項17】
請求項14〜16のいずれか1項に定めたカプセルシェルを含むヒドロキシプロピルメチルセルロース硬カプセル。

【公表番号】特表2011−500871(P2011−500871A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533976(P2009−533976)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【国際出願番号】PCT/IB2007/003160
【国際公開番号】WO2008/050209
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】