説明

ヒドロキシメチル化ポリエステルポリオールを用いて製造されたポリウレタンカーペット裏地

ポリウレタンカーペット裏地がポリウレタン形成組成物を用いて製造され、このポリウレタン形成組成物は、ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールを含む。この調合は、重要な特性、例えば縁反り、タフトバインド、粘度および良好な硬化速度などを維持しながら、毎年再生可能な資源から誘導されるポリオールによる従来のポリオールの有意義な置き換えを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2004年10月25日に出願された米国仮特許出願第60/622219号の恩典を主張するものである。
【0002】
本発明は、ポリウレタン裏地を有するタフテッドカーペットまたは織物カーペット、およびそのようなカーペットを製造する方法に関係する。
【背景技術】
【0003】
タフテッドカーペットは、一次裏地を通じて繊維束をタフティング(tufting)し、それらをプレコートで一次裏地に確保することにより製造される。また、タフテッドカーペットは、付加的な層、例えばラミミネート層、二次裏地層およびフォーム層なども有している場合がある。織物カーペットは、繊維束が一次裏地を通じて織り込まれる点を除き、同様な仕方で製造されることが多い。
【0004】
プレコートは、繊維束を一次裏地にしっかりと固定し、繊維ロック特性、例えば良好なピリングおよびファジング抵抗性、良好なタフトバインド(tuftbind)、ならびに良好な縁解れ抵抗性(edge ravel)などをもたらす。これに加え、プレコートは、通常、カーペットの他の望ましい属性、例えば寸法安定性、難燃性、抗菌/抗真菌活性および液体バリヤー機能性などを助長することが求められる。
【0005】
タフテッドカーペットまたは織物カーペットは、いわゆる「二次裏地」にラミネートされることが多く、この二次裏地は、様々な特徴、例えば改善された寸法安定性などをもたらし、及び/又はグルーダウン(glue-down)取り付けからカーペットを容易に取り外すことを可能にする剥離用裏地として作用する。ラミネート層は、通常、この二次裏地をカーペットに接着するために使用される。
【0006】
上述のプレコート及び/又はラミネート層としてポリウレタンを使用することができる。ポリウレタンプレコートシステムは、例えばJenkinesらに付与された米国特許第4,296,159号およびMobleyらに付与された米国特許第4,696,849号に記載されている。このタイプのポリウレタンプレコートシステムは、ラミネート層としても有用である。これらの特許に記載されているポリウレタンはポリイソシアナートおよびポリオール化合物から形成される。カーペットのプレコートを含めたポリウレタンの適用分野において最も広く使用されているポリオール化合物は、主に石油をベースとした原料から誘導されるポリエーテルまたはポリエステルポリオールである。従来の石油をベースとしたポリオールのすべてまたは一部を再生可能な原料に基づく代替的なポリオールで置き換えることが望ましい。従来用いられているポリオールの価格は原油価格によって変動しがちであり、その原油価格は、減少する確定埋蔵量、増大する世界的需要および不明確な地政学的風潮によりますます不安定になっている。更に、多くの国々は、国内に石油埋蔵量を保有していないものの、大きな農産業を有しており、これらの農産業は、それらのポリオールが技術的および経済的の両観点からうまく折り合いがつけば、代替的なポリオールを製造するための植物油原料をもたらすことができよう。
【0007】
ほとんどの植物油は、イソシアナート反応性官能基を持たない脂肪酸トリグリセリドの混合物である。従って、必要とされる官能基を導入すべく、これらのトリグリセリドを修飾する必要がある。この修飾は、通常、ポリオール化合物とトリグリセリド自体、またはトリグリセリドから得られる脂肪酸もしくは脂肪酸エステルのいずれかとの間でエステル交換反応を実施することにより果たされる。この反応は、一個または二個の脂肪酸エステル基および一つまたはそれ以上の遊離ヒドロキシル基を有する化合物を創出する。ヒドロキシル官能性を高めるため、これらのトリグリセリドまたは対応する脂肪酸に湿った空気を「吹き込み(blown)」、または湿った空気と反応させ、それらを結合させることができる。
【0008】
ほとんどのポリウレタン適用分野において、これらの植物油をベースとしたポリオールが従来の石油をベースとした生成物に対する手軽な(drop-in)代替品となることはめったにない。これには数多くの理由が存在する。一つの問題は、オイルをベースとしたこれらのポリオールにおける官能性(ヒドロキシル基の個数/分子)を調節するのが難しかったことである。多くの植物油をベースとしたポリオールは、ゼロ個または一個のイソシアナート反応性基を有するかなりの割合の分子を含んでいる。これらの分子は、ポリイソシアナートと全く反応しないか、またはポリマーの分子量および架橋密度を低減させる連鎖停止剤として作用するかのいずれかである。別の問題は、植物油をベースとしたポリオールのヒドロキシル基が、従来のポリエーテルおよびポリエステルポリオールのヒドロキシル基の場合とは異なる仕方で配列される傾向を有することである。従来のポリオールは、ほとんどが、鎖末端に配置されたヒドロキシル基を有している。上で説明されているような植物油をベースとしたポリオールは、通常、狭い間隔で配列されたヒドロキシル基および遊離炭化水素尾部を有しており、この炭化水素尾部は、一方の端部がイソシアナート反応性ではない。これが、ポリウレタンの鎖状構造における意味深長な相違をもたらす。
【0009】
更に別の問題は、植物油をベースとしたポリオールがかなり様々な構造を有する分子の混合物であることである。これは、従来のポリオールを用いて製造されるポリウレタンに比べ、その後のポリウレタンの構造に尚も更なる相違をもたらす。これらの構造的多様性は、得られるポリウレタンの特性が予測できないという事態をもたらし得る。これに加え、植物油に含まれている脂肪酸は、中でもとりわけ植物油のタイプが異なっている場合には、更には単一タイプのオイルのロット内においてさえ、不飽和部位及び/又は官能基(ヒドロキシル基など)の鎖長、個数および位置の観点から見て様々に異なっている。この多様性は、更に一層、これらのポリオールの性能を予測できない事態をもたらす。
【0010】
特定の植物油をベースとしたポリオールを用いてカーペット用のプレコートを製造することが示唆されている。例えば、US公開特許出願出願第2002/0121328号、第2002/0119321号および第2002/0090488号は、エステル交換された特定の「吹込」植物油がタフテッドカーペット用プレコートシステムのポリオールコンポーネントとして使用されることを示唆している。しかし、商業的に受け入れ可能なカーペットを製造することにおけるこれらのポリオールの適切性は、比較的少量で使用される場合を除き、立証されていない。カーペット用プレコートに対する要望は、そのようなプレコート調合物の場合には、できるだけ安価でありながら、(商業的に実行可能なライン速度を得るため)迅速に硬化し、作業可能な粘度を有し、良好なタフトバインディング強度を提供し、寸法的に安定したカーペット製品をもたらさなければならないため、多くの他のタイプのポリウレタンシステムに比べて特に高い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、少なくとも幾分かの従来のポリオール材料を植物油または動物性脂肪をベースとしたポリオールで置き換えながら、許容可能な一組の性能特性をもたらす、タフテッドカーペットまたは織物カーペット用のポリウレタンプレコート及び/又はラミネート調合物を創出することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一つの態様においては、本発明は実質的に細胞構造のない(noncellular)ポリウレタンカーペット裏地を有するカーペットであり、ここで、前述のポリウレタンは、ポリイソシアナートコンポーネントとイソシアナート反応性材料の混合物を含有するポリオールコンポーネントとの反応生成物であり、また、前述のイソシアナート反応性材料混合物のうち、場合によってアルコキシル化された一つまたはそれ以上のヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、重量で25%から90%までを構成している。
【0013】
第二の態様においては、本発明はカーペットであり、そのカーペットは:(I)一次裏地;(II)一次裏地を通じてタフティングまたは織り込みされた糸であって、これにより、結果としてもたらされるカーペットの下側に糸の束が創出される、糸;および(III)カーペットの下側に適用されるポリウレタンであって、これにより、上述の糸の束が一次裏地に付着される、ポリウレタン;を含み、ここで、前述のポリウレタンは、ポリイソシアナートコンポーネントとイソシアナート反応性材料の混合物を含有するポリオール化合物との反応生成物であり、また、前述のイソシアナート反応性材料混合物のうち、場合によってアルコキシル化された一つまたはそれ以上のヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、重量で25%から90%までを構成している。
【0014】
本発明はある方法であり、その方法は:(I)ポリウレタン形成組成物をカーペットの下側に適用するステップであって、前述のカーペットが一次裏地およびカーペットの下側に糸の束を形成すべく一次裏地を通じてタフティングまたは織り込みされた糸を有する、ポリウレタン形成組成物の適用ステップ;および(II)ポリウレタン形成組成物を硬化させてポリウレタンコーティングを形成するステップであって、このポリウレタンコーティングが前述の糸の束を一次裏地に付着させる、ポリウレタン形成組成物の硬化ステップ;を含み、ここで、前述のポリウレタン形成組成物がポリイソシアナートコンポーネントとイソシアナート反応性材料の混合物を含有するポリオールコンポーネントとを含み、また、前述のイソシアナート反応性材料混合物のうち、場合によってアルコキシル化された一つまたはそれ以上の脂肪酸アミドポリオールが重量で25%から90%までを構成している。
【0015】
また、本発明はカーペットであり、そのカーペットは一次裏地および二次裏地を含み、前述の二次裏地はポリウレタンラミネート層により一次裏地に直接的または間接的に付着されており、ここで、前述のポリウレタンラミネート層は、ポリイソシアナートコンポーネントとイソシアナート反応性材料の混合物を含有するポリオールコンポーネントとの反応生成物であり、また、前述のイソシアナート反応性材料混合物のうち、場合によってアルコキシル化された一つまたはそれ以上のヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、重量で25%から90%までを構成している。
【0016】
また、本発明は、二次裏地をカーペットに付着させるための方法であり、その方法は:ポリウレタン形成組成物を二次裏地またはカーペットに適用するステップ;ポリウレタン形成組成物が二次裏地とカーペットとの中間に位置するような仕方でカーペットを二次裏地に接合するステップ;およびポリウレタン形成組成物を硬化させるステップ;を含み、ここで、前述のポリウレタン形成組成物はポリイソシアナートコンポーネントとイソシアナート反応性材料の混合物を含有するポリオールコンポーネントとを含み、また、前述のイソシアナート反応性材料混合物のうち、場合によってアルコキシル化された一つまたはそれ以上の脂肪酸アミドポリオールが、重量で25%から90%までを構成している。
【発明の効果】
【0017】
驚くべきことに、本発明により、再生可能な資源、例えば植物油または動物性脂肪などから誘導されるかなりな割合のポリオールを用いて、商業的に適用するのに必要な性能基準を満たすカーペットを製作できることが判明した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本カーペットは、カーペット面をもたらすべく対面繊維(facing fiber)がそこを通じてタフティングまたは織り込みされる多数の開口を定めた一次裏地を含んでいる。この一次裏地は、一般的に、織りスクリムまたは不織スクリムの形態を成しており、あらゆる通常の材料、例えばジュート、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリアクリラート、コットン、ウール、または他の材料などでできていてよい。また、前述の対面繊維もあらゆる通常の材料であってよく、例えばウール、コットン、ナイロン、ポリエステル、アクリル繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン、これらのうちのいずれか二つまたはそれ以上のブレンドなどであってよい。これらの一次裏地および対面繊維は、本ポリウレタンプレコートの適用条件下および硬化条件下において、本カーペットが劣質化または変形することがないように、安定していなければならない。対面繊維は、典型的には、繊維束の形態を成しており、これらの繊維束が、カーペット面および反対側の裏面をもたらすべく、一次裏地を通じてタフティングまたは織り込みされる。
【0019】
ポリウレタン形成組成物をカーペットの下側に適用して、上述の繊維束を湿らせ、一次裏地にそれらの繊維束を付着させる。この操作は、カーペットの下側にポリウレタン形成組成物のたまりを創出し、その組成物を前述の裏面に機械的に拡散することにより都合よく果たされる。泡立てることによりコーティング重量を制御しやすくできるため、適用する前にその組成物を泡立たせるのが都合がよいことが多い。ドクターブレード法はポリウレタン形成組成物を繊維束内および繊維束間に機械的に押しやり、一次裏地と接触させ、これにより、これらの繊維と一次裏地との間の結合状態を改善することから、ポリウレタン形成組成物を拡散させるためにドクターブレードまたは同様な器具を使用することが好適である。適用および拡散後、ポリウレタンポリマーを形成すべく、本ポリウレタン形成組成物を硬化させることができる。この硬化は、室温(〜22℃)で行われてもよいが、一般的には、熱を加えて硬化を促進させることが望ましい。適切な硬化温度は、100℃から200℃まで、例えば110℃から150℃までなどである。硬化温度は、本調合物が硬化して、4分間またはそれ未満で、好適には2.5分間またはそれ未満で、より好適には2分間またはそれ未満で不粘着状態になるような温度である。
【0020】
上述の拡散および硬化プロセスは、本組成物が適用前に泡立てられた場合には、本組成物が界面活性剤または他の気泡安定剤を含有している場合を除き、一般的に、本ポリウレタン形成組成物中に閉じこめられた気体を除去するであろう。通常、本プレコートは細胞構造のないことが好適である。
【0021】
機械的応力はしばしばその後の寸法不安定性をもたらすため、ポリウレタンプレコートの適用および硬化中にカーペットに及ぼされる機械的な応力を最小化すべく注意を払うべきである。本カーペットは、好適には、プレコーティングプロセス中に、横糸(クロスマシン)方向または縦糸(マシン)方向のいずれの方向においても2%を超えて伸ばされず、より好適には0.75%を超えて伸ばされない。本カーペットは、ポリウレタン形成組成物を適用する前に若干加熱されてよい。本カーペットは、残留湿気がポリウレタン形成組成物のポリイソシアナートコンポーネントと反応してガスを発生させ得るため、好適には乾燥している。ガスの発生は、プレコート内またはプレコートとカーペットとの界面における細胞構造の形成をもたらし、そのような細胞構造の形成は一般的に望ましくない。
【0022】
本ポリウレタン形成組成物はポリイソシアナートコンポーネントおよびポリオールコンポーネントを含む。ポリイソシアナートコンポーネントは少なくとも一つの有機ポリイソシアナートを含み、その有機ポリイソシアナートは、芳香族、脂環式、または脂肪族のイソシアナートであってよい。適切なポリイソシアナートの例は、m−フェニレンジイソシアナート、トリレン−2,4−ジイソシアナート、トリレン−2,6−ジイソシアナート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアナート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアナート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアナート、ヘキサヒドロトリレンジイソシアナート、ナフチレン−1,5−ジイソシアナート、メトキシフェニル−2,4−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、4,4’−ビフェニレンジイソシアナート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアナート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアナート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアナート、ポリメチレンポリフェニルイソシアナート(PMDI)、トリレン−2,4,6−トリイソシアナートおよび4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアナートを含む。好適には、このポリイソシアナートは、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアナート、PMDI、トリレン−2,4−ジイソシアナート、トリレン−2,6−ジイソシアナートまたは前述のものの混合物である。ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアナートおよび前述のものの混合物は一般的にMDIと呼ばれており、これらすべてを使用することができる。トリレン−2,4−ジイソシアナート、トリレン−2,6−ジイソシアナートおよび前述のものの混合物は一般的にTDIと呼ばれており、これらすべてを使用することができる。平均で約1.8個から約2.5個までのイソシアナート基/分子を有するポリイソシアナート化合物またはポリイソシアナート化合物の混合物が好適であり、特に平均で約1.9個から約2.3個までのイソシアナート基/分子を有するものが好適である。化学量論的に過剰な前述のいずれかのポリイソシアナートをイソシアナート反応性化合物、例えば以下で述べられている化合物などと反応させることにより生成されたプレポリマーも同様に使用することができる。
【0023】
本ポリオールコンポーネントはイソシアナート反応性化合物の混合物を含む。合計重量のうち25%から90%まで、例えば25%から75%まで、30%から60%まで、または30%から50%までなどのイソシアナート反応性化合物は、一つまたはそれ以上のヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールである。
【0024】
上述の一つまたは複数のヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールは、一分子当たり、平均で、結合された少なくとも1.8個、好適には少なくとも2.0個のヒドロキシル基、第一級アミン基および第二級アミン基を有している。ヒドロキシル基が好適である。このヒドロキシメチル基含有ポリエステルポリオールは、一分子当たり、平均で、結合された3個までのヒドロキシル基、第一級アミン基および第二級アミン基を有していてよいが、好適には約2.5個を超えないそのような基を有しており、更に一層好適には約2.25個を超えないそのような基を有している。また、このヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールは、少なくとも400、例えば少なくとも約600、少なくとも約650、少なくとも約700、または少なくとも約725などから、約15,000まで、例えば約6000まで、約3500まで、約1700まで、約1300まで、または約1000までなどの当量を有している。当量は、ヒドロキシル基、第一級アミン基および第二級アミン基の結合個数で割り算されたその分子の数平均分子量に等しい。
【0025】
このタイプのヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールは、WO第04/096882号およびWO第04/096883号で詳しく説明されている。このヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールは、都合よくは、12個から26個までの炭素原子を有するヒドロキシメチル基含有脂肪酸、またはそのようなヒドロキシメチル化脂肪酸のエステルを、平均で少なくとも2.0個のヒドロキシル基、第一級アミン基及び/又は第二級アミン基/分子を有するポリオール、ヒドロキシルアミンまたはポリアミン開始剤化合物と反応させることにより調製される。開始材料の割合および反応条件は、結果としてもたらされるヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、開始剤化合物中におけるそれぞれのヒドロキシル基、第一級アミン基および第二級アミン基に対するヒドロキシメチル基含有脂肪酸またはその脂肪酸のエステルから誘導される少なくとも平均で1.3個の反復単位を含み、且つ、そのヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが少なくとも400から約15,000までの当量を有するように選択される。
【0026】
本ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールは、有利には、以下の平均構造:
[H−X](z-p)−R−[X−Z]p (I)
[式中、Rはz個のヒドロキシル基及び/又は第一級アミン基もしくは第二級アミン基を有する開始剤化合物の残基であって、ここで、zは少なくとも2であり;各Xは、独立して、−O−、−NH−または−NR’−であって、ここで、R’は不活性的に置換されたアルキル、アリール、シクロアルキルまたはアラルキル基であり、pは、一つのヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオール分子当たりの[X−Z]基の平均個数を表す1からzまでの数字であり、Zは、一分子当たりのA基の平均個数がzの≧1.3倍であることを条件とし、且つ、それぞれのAが、少なくとも幾つかのA基がA1、A2またはA3であることを前提としてA1、A2、A3、A4およびA5からなるグループから独立して選択されることを条件とし、一つもしくはそれ以上のA基を含有する直鎖または分枝鎖である]を有する化合物の混合物である。A1は:
【化16】

[式中、Bは、H、または別のA基のカルボニル炭素原子への共有結合であり;mは3より大きい数字であり、nはゼロより大きいか、またはゼロに等しく、m+nは8から22まで、特には11から19までである]である。A2は:
【化17】

[式中、Bは前と同じであり、vは3より大きい数字であり、rおよびsは、それぞれ、v+r+sが6から20まで、特には10から18までであることを条件として、ゼロより大きいか、またはゼロに等しい]である。A3は:
【化18】

[式中、B、v、各rおよびsは前に定義されている通りであり、tはゼロより大きいか、またはゼロに等しく、v、r、sおよびtの合計は5から18まで、特には10から18までである]である。A4は
【化19】

[式中、wは10−24である]であり、A5は
【化20】

[式中、R’は、少なくとも一つの環状エーテル基および場合によって一つもしくはそれ以上のヒドロキシル基または他のエーテル基で置換されている直鎖状または分枝鎖状のアルキル基である]である。この環状エーテル基は、飽和していてもよいし、不飽和であってもよく、また、他の不活性な置換基を含んでいてもよい。これらのヒドロキシル基は、アルキル鎖上もしくは環状エーテル基上にあってよく、またはこれらの両方にあってもよい。このアルキル基は、第二の末端−C(O)−基または−C(O)O−基を含んでいてよく、この末端基を通じてアルキル基が別の開始剤分子に結合していてよい。A5基は、一般的には、ラクトール、ラクトン、飽和もしくは不飽和の環状エーテルまたはダイマーであり、それらはヒドロキシルメチル基含有脂肪酸またはエステルの製造中に不純物として形成される。A5基は12個から50個までの炭素原子を含んでいてよい。
【0027】
式Iにおいて、nは好適には2から8までであり、より好適には2から6までであり、更に一層好適には2から5までであり、特には約3から5までである。各Xは好適には−O−である。一つのヒドロキシメチル化ポリエステルポリオール分子当たりのA基の合計平均個数は、好適にはzの値の少なくとも1.5倍であり、例えばzの値の約1.5倍から約10倍まで、zの値の約2倍から約10倍まで、またはzの値の約2倍から約5倍までなどである。
【0028】
Aは好適にはA1、A1およびA2の混合物、A1およびA4の混合物、A1、A2およびA4の混合物、A1、A2およびA3の混合物、またはA1、A2、A3およびA4の混合物であり、それぞれのケースにおいて、場合によりある量のA5を含む。A1およびA2の混合物は、好適には10:90から95:5までのモル比でA1およびA2基を含み、特には60:40から90:10までのモル比でA1およびA2基を含む。A1およびA4の混合物は、好適には99.9:0.1から70:30までのモル比でA1およびA4基を含み、特には99.9:0.1から85:15までのモル比でA1およびA4基を含む。A1、A2およびA4の混合物は、好適には、約10モルパーセントから95モルパーセントまでのA1基、5パーセントから90パーセントまでのA2基、および約30パーセントまでのA4基を含む。A1、A2およびA4の一層好適な混合物は、約25−70モル%のA1基、15−40%のA2基、および30%までのA4基を含む。A1、A2およびA3の混合物は、好適には約30−80モル%のA1基、10−60%のA2基、および0.1%から10%までのA3基を含む。A1、A2、A3およびA4基の混合物は、好適には、20モルパーセントから50モルパーセントまでのA1、1パーセントから約65パーセントまでのA2、0.1パーセントから約10パーセントまでのA3、および30パーセントまでのA4基を含む。本発明の特に好適なポリエステルポリオールは、約20−50%のA1基、20−50%のA2基、0.5%から4%までのA3基および15−30%のA4基の混合物を含む。すべてのケースにおいて、A5基は、有利には、すべてのA基のうちの0−7%、特には0−5%を構成する。
【0029】
A基の好適な混合物は、都合よくは、平均で約0.8個から約1.5個までの−CH2OH及び/又は−CH2OB基/A基を含み、例えば約0.9個から約1.3個までの−CH2OH及び/又は−CH2OB基/A基、または約0.95個から約1.2個までなどの−CH2OH及び/又は−CH2OB基/A基を含む。A基のこのような割合は、(1)主に開始剤の官能性により本ポリエステルポリオールの官能性が決まることを可能にし、且つ、(2)あまり密度高く分岐していないポリエステルポリオールを形成する傾向を有する。
【0030】
「不活性的に置換された」基は、イソシアナート基と反応せず、また、ヒドロキシメチル基含有ポリエステルポリオールの調製中に生じる副反応における別な仕方での関与もしない基である。このような不活性置換基の例は、アリール、シクロアルキル、シリル、ハロゲン(特にフッ素、塩素または臭素)、ニトロ、エーテル、エステルなどを含む。
【0031】
本ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールは、一般的に、幾分かの未反応開始剤化合物を含み、また、未反応のヒドロキシメチル化脂肪酸(またはエステル)を含んでよい。開始剤化合物は、しばしば、脂肪酸(またはエステル)と単官能的または二官能的にのみ反応し、結果として生じるポリエステルポリオールは、開始剤化合物の残基に直接的に結合された遊離ヒドロキシル基またはアミノ基を含むことが多い。
【0032】
本ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールは、望ましい場合には、それらのヒドロキシメチル基のうちの一つまたはそれ以上にポリエーテル鎖を導入するため、アルコキシル化されてよい。また、本ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールは、それらのヒドロキシル基を第一級アミン基または第二級アミン基で置換するため、アンモニアまたは第一級アミンと反応させ、続いて水素化することにより、アミノ化されてもよい。第一級アミン基または第二級アミン基は、本ポリエステルポリオールをジイソシアナートでキャッピングし、その後、水との反応を通じてアミノ基を導入することができるようにそれらの末端イソシアナート基を変換することによって導入することもできる。
【0033】
本ポリオールコンポーネントは、ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールに加え、他のイソシアナート反応性材料を含む。これらの他の材料は、すべてのイソシアナート反応性材料(上で説明されているヒドロキシメチル化ポリエステルポリオール材料を含む)の合計重量のうち10%から80%までを構成していてよい。これらの他のイソシアナート反応性材料は、一分子当たり、平均で、2個から6個までのイソシアナート反応性基を有する材料、特には2個から3個までのイソシアナート反応性基を有する材料を含む。これらのイソシアナート反応性基は、好適には第一級または第二級ヒドロキシル基であるが、アミノ基または他のイソシアナート反応性基であってもよい。
【0034】
これらの付加的なイソシアナート反応性材料は、好適には、少なくとも400のヒドロキシル当量、特には約500から約1500までのヒドロキシル当量、好適には800から1200までのヒドロキシル当量を有する、少なくとも一つの高い当量のポリオールを含む。このポリオールは、好適には2から3までの見掛け(nominal)官能性を有しており、1.8から3.0までの範囲の実質(actual)官能性を有している。「見掛け」官能性は、出発物質の組成に基づき本ポリオールに存在しているものと期待される官能基の個数である。実質官能性は、時として、それよりも多少低く、特に平均官能性を若干低減させる幾分かの末端不飽和を含む傾向を有するポリエーテルポリオールの場合には、それよりも多少低い。
【0035】
この付加的な高い当量のポリオールはポリエーテルポリオールであってよく、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフランもしくはブチレンオキシドのポリマー、またはこれらのうちの二つもしくはそれ以上の混合物などであってよい。特に適切なポリエーテルポリオールは、プロピレンオキシドのポリマー、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのランダムコポリマー、特に重量で約15%までのランダムに重合されたエチレンオキシドを含有するプロピレンオキシドとエチレンオキシドとのランダムコポリマー、およびプロピレンオキシドまたはプロピレンオキシド−エチレンオキシドランダムコポリマーのオキシエチレンキャップド(capped)ポリマーを含む。これらのポリオールは、都合よくは、対応するアルキレンオキシドを、開始材料、例えば二つもしくはそれ以上のヒドロキシル基及び/又は第一級アミン基もしくは第二級アミン基を含有する低分子量化合物などに加えることにより調製される。
【0036】
ポリエステルポリオール、例えばポリカプロラクトンおよびブタンジオール/アジパートポリエステルなども付加的な高い当量のポリオールとして使用することができる。
【0037】
この付加的な高い当量のポリオールは、一般的に、イソシアナート反応性材料の合計重量のうち約10%から約80%までを構成する。好適には、付加的な高い当量のポリオールは、イソシアナート反応性材料のうち、重量で約30−65%を構成し、特には、重量で約40−65%を構成するであろう。
【0038】
好適には、本ポリオール組成物中には鎖延長剤も存在する。本発明の目的上、鎖延長剤は、上で検討されているヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールおよび付加的な高い当量のポリオール以外の材料であって、二個のイソシアナート反応性基/分子を有し、一つのイソシアナート反応性基当たり約30から150までの当量を有する材料である。二個のヒドロキシル基を有する鎖延長剤が好適である。適切な鎖延長剤の例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、ジエチルトルエンジアミン、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−プロパンジオール、アミン末端ポリエーテル、例えばJeffamine D−400(Huntsman Chemical Companyから入手可能)など、アミノエチルピペラジン、2−メチルピペラジン、1,5−ジアミノ−3−メチル−ペンタン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、および前述のものの混合物などを含む。アミン鎖延長剤は、ブロックされてよく、封入(encapsulated)されてよく、または別な仕方で反応性を低くされてよい。鎖延長剤は、有利には、すべてのイソシアナート反応性材料を合わせた重量のうち約20%までを構成し、特には約15%までを構成する。
【0039】
また、本ポリオール組成物に架橋剤を含めることも本発明の範囲内である。架橋剤は、本発明の目的上、三個またはそれ以上のイソシアナート反応性基を有し、且つ、一つのイソシアナート反応性基当たり150またはそれ以下の当量を有する化合物である。しかし、架橋剤の使用は、それらの使用が縁反りを増大させる傾向があるため、一般的には推奨されない。それ故、架橋剤は、最も好適には除外され、または少量で使用される。これらのイソシアナート反応性基はヒドロキシル基、第一級アミン基または第二級アミン基であってよい。
【0040】
好適には、これらの反応性成分(即ち、ポリイソシアナートおよびイソシアナート反応性化合物)は、集合的にそれらの反応性基が、一分子当たり、平均で約1.8個から約2.5個までの反応性基を有し、特には約1.8個から約2.3個までの反応性基を有するように選択される。この若干低い平均官能性は、高々僅かに架橋されるにすぎないポリウレタンをもたらし、低い縁反り値により実証されるように、本カーペットにおける寸法安定性を促進する。
【0041】
バランスのとれた全体的な官能性、例えば米国特許第4,696,849号に記載されているような全体的な官能性が得られるようにこれらの反応性コンポーネントおよびポリイソシアナート指数(index)を選択することが最も好適である。本イソシアナート反応性コンポーネントに対する特に好適な平均実質官能性は1.97から2.03までである。特に好適なイソシアナート指数は85から約125までである。
【0042】
本ポリウレタン形成組成物は、好適には、全体的なコストを低減し、且つ、難燃性および他の物理的特性を改善し得る充填剤を含む。充填剤は、有利には、本ポリウレタン形成組成物の合計重量のうち約20パーセントから約80パーセントまで、例えば30パーセントから70パーセントまで、50パーセントから65パーセントまで、または55パーセントから60パーセントまでなどを構成する。適切な充填剤は、タルク、雲母、モンモリロナイト、大理石、粉砕ガラス花崗岩、粉砕ガラス、カルシウムカルボナート、アルミニウム三水和物、炭素、アラミド、シリカ、シリカ−アルミナ、ジルコニア、タルク、ベントナイト、アンチモントリオキシド、カオリン、石炭ベースのフライアッシュおよびホウ素ニトリドを含む。
【0043】
また、本ポリウレタン形成組成物は、好適には、ポリイソシアナートとイソシアナート反応性材料との反応を促進させる一つまたはそれ以上の触媒も含む。適切な触媒は第三級アミン、有機金属化合物または前述のものの混合物を含む。これらの触媒の特定の例は、ジ−n−ブチルスズビス(メルカプト酢酸イソオクチルエステル)、ジメチルスズジラウラート、ジブチルスズジラウラート、ジブチルスズジアセタート、ジブチルスズスルフィド、第一スズオクトアート、鉛オクトアート、第二鉄アセチルアセトナート、ビスマスカルボキシラート、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、前述のものと同様な化合物および前述のものの混合物を含む。アミンブロックド(amine-blocked)スズ(IV)触媒、例えば米国特許第5,491,174号に記載されているものなどを使用することができる。有利には、硬化する前に本ポリウレタン組成物をカーペット裏地上に分配し、且つ、拡散させることができる、充分なオープンタイム(open time)を提供しながら、不粘着状態への比較的急速な硬化を得ることができるようなある量の触媒が使用される。有機金属触媒が使用される場合には、そのような硬化は、重量で、100部の本ポリウレタン形成組成物当たり約0.01部から約0.5部までの触媒を使用することにより得ることができる。第三級アミン触媒が使用される場合には、その触媒は、好適には、重量で、100部の本ポリウレタン形成組成物当たり約0.01部から約3部までの第三級アミン触媒を使用することにより、適切な硬化を提供する。アミン型触媒と有機金属触媒を組み合わせて使用することもできる。
【0044】
他の添加剤も使用されてよく、そのような添加剤は、難燃剤、顔料、帯電防止剤、強化用繊維、酸化防止剤、保存剤および酸捕捉剤などを含む。通常は、発泡剤を含めないことが好適である。好適には、種々のコンポーネントを乾燥させ、残留水分が取り除かれる。本ポリウレタン形成組成物は、好適には、ポリイソシアナートとのガス発生反応を回避するため、重量で0.1%未満の水分を含む。細胞構造のないコーティングを提供するため、界面活性剤および気泡安定剤を排除するか、またはそれらの存在を最小化することが好適である。これらの材料を排除することにより、本調合物がコーティング重量を調節するために泡立てられることが許容され、その後、本調合物を硬化させる前に、それらの閉じ込められたガスを逃がすことが可能になる。
【0045】
本ポリウレタン組成物は、都合よくは、すべてのイソシアナート反応性材料を含むブレンドポリオールコンポーネントおよびポリイソシアナートコンポーネントで形成される。充填剤は、典型的には、ポリオールコンポーネント中にブレンドされる。触媒は、ポリオールコンポーネントもしくはポリイソシアナートコンポーネントのどちらに加えられてもよく(好適にはポリオールコンポーネント)、または一つもしくはそれ以上の別個の流れ(streams)として加えられてもよい。使用されるポリイソシアナートの量は、都合よくは、あるイソシアナート指数をもたらすのに充分な量、即ち、約95から約140まで、好適には約85から125まで、特には約100から115までの反応混合物中におけるNCO基とイソシアナート反応性基との比の100倍の量である。
【0046】
都合のよいコーティング重量は、約20オンス/平方ヤードから45オンス/平方ヤードまで(0.68−1.53kg/m2)であり、特には一平方ヤード当たり約25−35オンス(0.85−1.19kg/m2)である。このようなコーティング重量でプレコーティングされたカーペットは、ASTM D1335により測定したときに、有利には少なくとも10lb(44.5N)のタフトバインドを呈し、より好適には少なくとも13lb(58N)のタフトバインドを呈し、更に一層好適には少なくとも15lb(67N)のタフトバインドを呈する。コーティング重量に正規化すると、このタフトバインドは、25−35オンス/平方ヤード(0.85−1.19kg/m2)の範囲におけるコーティング重量の場合、有利には少なくとも0.40lb/オンス/平方ヤード(5.38m-2)であり、好適には少なくとも0.48lb/オンス/平方ヤード(6.46m-2)であり、より好適には少なくとも約0.52lb/オンス/平方ヤード(7m-2)である。湿潤(wet)タフトバインド値は、有利には少なくとも5.5lb(24N)であり、より好適には少なくとも8.8lb(39N)であり、更に一層好適には少なくとも11lb(49N)である。コーティング重量(25−35オンス/平方ヤード(0.85−1.19kg/m2)の範囲におけるコーティング重量に対して)に規格化すると、少なくとも0.26lb/オンス/平方ヤード(3.5m-2)の湿潤タフトバインド、例えば少なくとも0.35lb/オンス/平方ヤード(4.71m-2)または少なくとも0.40lb/オンス/平方ヤード(5.38m-2)などの湿潤タフトバインドが望ましい。湿潤タフトバインドは、カーペットサンプルを室温の水道水に20分間浸漬した後、ASTM D1335により測定される。
【0047】
プレコーティングされた本カーペットは、マシン方向およびクロスマシン方向のそれぞれにおいて、望ましくは2.54cmを超えない縁反りを有し、好適には1.8cmを超えない縁反りを有し、より好適には1.3cmを超えない縁反りを有し、更に一層好適には0.8cmを超えない縁反りを有する。
【0048】
また、プレコーティングされた本カーペットは、有利なことに、優れたピリングおよびファジング抵抗性、ならびに高い縁解れ抵抗性(例えば、以下で説明されている試験で、>78Nより大きい縁解れ抵抗性、特には98Nより大きい縁解れ抵抗性または108Nより大きい縁解れ抵抗性など)も呈示する。コーティングされた本カーペットは、好適には、133Nまたはそれ以下の「ハンドパンチ(hand punch)」(以下で説明されている柔軟性の測度)を呈示する。また、プレコーティングされた本カーペットは、有利なことに、良好な難燃性、抗菌/抗真菌活性、低量の24時間全揮発性有機コンポーネント(TVOC)、英国流出物通過(spill passage)試験(United Kingdom Health Care Specifications Method E)により測定したときの良好な液体バリヤー機能性、ならびに裏地の層間剥離およびジッパリングに対する優れたキャスターチェアー抵抗性(Feingerate Baumberg Roller Chair Testing Device,ASTM D6962により測定)も呈示する。
【0049】
本発明のカーペットは、上で述べられているコンポーネントに加え、種々のコンポーネントを含んでいてよい。これらのコンポーネントの例は、二次裏地、付着されたフォームクッション、二次不織布、剥離層、一つまたはそれ以上の水分バリヤー層などを含む。本明細書で開述されているプレコート調合物は、これらのいずれかの付加的なコンポーネントを本カーペット構造物に付着するために使用されてよい。例えば、二次裏地は、硬化ステップに先立って、プレコート層に置かれてよい。次いで、その後に行われるプレコート層の硬化ステップにより、二次裏地がカーペットに結合されるであろう。プレコートを初めに二次裏地に適用し、その後、タフテッドまたはカーペットをそのプレコーティングされた二次裏地と接触させ、続いて、硬化ステップを果たすことも可能である。しかし、この後者の方法は、しばしば、繊維束内および繊維束周りへのプレコートの良好な浸透を許さず、その結果、時としてタフトバインドおよび他の特性が損なわれることがある。
【0050】
プレコーティングステップおよび硬化ステップと二次裏地及び/又は他のコンポーネントを本構造物に付着させるステップとを別個にすることが好適である。従って、一つの好適なプロセスにおいては、本発明のプレコート調合物は、カーペットの裏側にコーティングされ、その調合物がタフティングまたは織り込みされた繊維束を通じて浸透し、且つ、それらの繊維束間に浸透するように拡散され、硬化される。次いで、このポリウレタン調合物が二次裏地または他のコンポーネントを付着させるためのラミネーション層として使用することが望まれている場合には、この後、本調合物の付加的な層が(プレコート層の上に、または他のコンポーネント上に)適用され、本カーペットと二次裏地または他のコンポーネントとが一体に成され、そのポリウレタンが硬化される。
【0051】
本発明のカーペット裏地は、住宅用および商業用カーペット産業に特別な適用可能性を有しており、更には、レクリエーション用のカーペット使用(carpeting)、例えばボート、自動車、テラス、合成タフトなどでのカーペット使用においても格別な適用可能性を有している。一つの好適な実施は、本発明のプレコート調合物をフットボール競技場、サッカー競技場などのための人工または合成タフト用のスクレープダウンユニタリーコーティング(scrape-down unitary coatings)として使用することである。
【0052】
以下の実施例が、好適な実施形態における本発明の実施を例証するであろう。すべての部数およびパーセンテージは、別な具合に指示されていない限り、重量に基づくものである。また、別な具合に述べられていない限り、ここで表されているすべての分子量は重量平均分子量である。
【実施例】
【0053】
これらの実施例では、以下の材料が使用される:
ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールA(HMPP A)は、2048.6g(6.23モル)のヒドロキシメチル化ダイズ油および467.2g(1.168モル)の二官能性で分子量が400のポリ(エチレンオキシド)を反応させることにより調製される。HMPP Aは、71.28のOH数および約2.4の官能性を有している。
【0054】
ダイズ油ポリオールAは、スクロースおよびグリセリンのブレンドでエステル交換された、130−OH−数の官能性吹込ダイズ油ポリオールであり、Urethane Soy Systems CorporationからSoyOyl(商標) GC5Nとして販売されている。
【0055】
ポリエーテルポリオールAは、分子量が2000の見掛け上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)である。ポリエーテルポリオールAは、Dow ChemicalからVoranol(登録商標)9120Aポリオールとして商業的に入手することができる。
【0056】
ポリエーテルポリオールBは、12パーセントのエチレンオキシドでエンドキャップされた(end-capped)、分子量が2000の見掛け上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)であり、Dow ChemicalからVoranol(登録商標)9287Aポリオールとして商業的に入手することができる。
【0057】
カルシウムカルボナートAは、70重量パーセントが325メッシュのスクリーンを通過するようにして粉砕された採石(quarried)カルシウムカルボナートである。カルシウムカルボナートAは、Georgia Marble CompanyからGeorgia Marble D70として商業的に入手することができる。
【0058】
ポリイソシアナートAは、2.3の官能性の32%−NCO高分子MDIとMDIプレポリマー(181 I.E.)との50/50のブレンドである。2,4’−MDIは、高分子MDIの合計重量のうち14%を構成する。MDIプレポリマーは、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよび2.6重量パーセントの2,4’−異性体を含有する純粋なMDIから生成される。ポリイソシアナートAは、Dow ChemicalからIsonate(登録商標)7594Aイソシアナートとして商業的に入手することができる。
【0059】
触媒Aは、ポリエーテルポリオールB中における10%のジブチルスズジイソオクチルメルカプトアセタート遅延作用触媒(OSI SpecialtiesからFomrez(商標) UL6として商業的に入手することができる)のブレンドである。
【0060】
触媒Bは、ポリエーテルポリオールB中における20%のジブチルスズジラウラート(Air Products and Chemicals, Inc.から入手可能なDabco(商標) T12)のブレンドである。
【0061】
(実施例1および比較サンプルA)
ポリオールブレンドが以下のコンポーネントから調製される:

【表1】

【0062】
それぞれのケースにおいて、ポリオール、鎖延長剤および充填剤が、約49℃において、直径2.54cmのCowelsブレードを用いてブレンドされる。次いで、化合されたこのポリオールブレンドが25℃に冷却される。この温度において、実施例1の化合ポリオールブレンドは、23,800cpsのBrookfield粘度(#6のスピンドル、20rpm)を有する。比較サンプルAの粘度は9,900cpsである。
【0063】
305部の化合ポリオールブレンドがポリイソシアナートおよび触媒と混合される。この混合物を、Certificateスタイル2485(J&J Industries, Inc.)と呼ばれるタフテッドカーペットの裏側に直ちに被覆する。コーティングナイフを用いて、この混合物を拡散し、繊維束内に入り込ませる。次いで、このコーティングされたカーペットを、オーブン内において、130℃で6分間加熱する。
【0064】
プレコーティングされたこのカーペットをASTM D1335条件の下で一日間コンディショニングし、コーティング重量、手触り(hand)、タフトバインド、湿潤タフトバインド、縁解れおよび縁反りについて試験する。タフトバインドはASTM D1335により測定される。湿潤タフトバインドは、最初に、サンプルを室温の水道水中に20分間浸漬した後、ASTM D1335により測定される。
【0065】
縁反りは、最初に、三つの2”×6”(5cm×15cm)のカーペットサンプルを室温の水中に30秒間浸すことにより測定される。過剰な水分を、振り払って、サンプルから取り除き、それらのサンプルを表向きにして平らな表面に載せる。2”×2”(5cm×5cm)の部分を露出させたまま、サンプル上にパネルが設置される。30分後、平らな表面からカーペットサンプルの外側の露出された縁の裏面までの距離が測定される。三つの測定値の平均値が縁反りとして報告される。
【0066】
ハンドパンチは、据え付け中にカーペットを隅に押し入れる動作をシミュレーションする試験により測定される。カーペットの9”×12”(21.6cm×30.5cm)のサンプルが、相対湿度50%および温度25℃において、二時間コンディショニングされる。このカーペットを表向きにして、内径が5.5”(14cm)の中空の円筒上に載せる。Instron 4465引張試験機は、1kNの圧縮/伸展ロードセルおよび2.25”(5.7cm)の外径を有する圧縮用底部(compression foot)を備えている。次いで、この圧縮用底部が、12インチ/分(30cm/分)の速度でカーペット内に0.65インチ(1.65cm)押し入れられる。0.5インチ(1.27cm)屈折させた段階での力が報告される。毎回カーペットを反転させて、この試験が更に三回繰り返される。「手触り」はこれら四つの測定値の平均値である。
【0067】
縁解れは、〜21℃の温度および〜50%の相対湿度で24時間コンディショニングされたサンプルで測定される。二つの完全な列が引き抜かれるまで、タフト列(tuft rows)がサンプルから引っ張られる。結果的に生じる、部分的に引っ張られた列が別な具合にカーペットに付着されている状態で残し、第三の列が約1−1/2インチから2インチまで(4−5cm)だけ引き抜かれる。このサンプルが、100lb(45kg)の引張セルを備えたInstron 4465引張試験機の下方ジョーに設置され、部分的に引っ張られたタフト列の自由端が上方ジョーに取り付けられる。この後、これらのジョーが、10インチ(25.4cm)/分の速度で離れる方向に引っ張られる。三回の重複サンプルでその力が測定され、平均値が縁解れ抵抗性として報告される。
【0068】
結果は表2で与えられている通りである。

【表2】

【0069】
本発明により作られたプレコートは、再生可能な材料からのポリオールを比較的高いレベルで含み、且つ、比較的高レベルの充填剤を有しているにもかかわらず、吹込ダイズ油ポリオールを含有しているプレコートに比べ、有意に高いタフトバインド値および縁解れ値を示している。縁反り値は実施例1の方が少し高いが、商業的に受け入れ可能である。2.0近くにヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールの官能性を低減することにより、見られている縁反りの量が低減するものと期待される。
【0070】
(実施例2および比較サンプルB)
プレコート実施例2および比較サンプルBは、表3に記載されている通りの調合物を用いて、実施例1で説明されているのと同じ一般的な仕方で調製され、試験される。このケースにおいては、これらの調合物は、各ポリマーが、再生可能な資源から作られた約19%のポリオールを含み、それぞれが約56%の充填剤を含有するように調節されている。試験結果は表4に記載されている通りである。

【表3】

【表4】

【0071】
実施例2は、比較サンプルBに比べ、有意に優れた手触りおよびタフトバインドを示している。縁反り値は比較的高いが、受け入れ可能であり、これより低い官能性のヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールを使用することにより、縁反り値が低減するものと期待される。
【0072】
前述の説明から、本発明の新規な概念の精神および範囲から逸脱することなく、数多くの変形および変更を果たし得ることが認識されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に細胞構造のないポリウレタンカーペット裏地を有するカーペットであって、ここで、該ポリウレタンが、ポリイソシアナートコンポーネントとイソシアナート反応性材料の混合物を含有するポリオールコンポーネントとの反応生成物であり、前記イソシアナート反応性材料混合物のうち、場合によってアルコキシル化された一つまたはそれ以上のヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが重量で約25−90%を構成している、カーペット。
【請求項2】
カーペットであって当該カーペットが:(I)一次裏地;(II)前記一次裏地を通じてタフティングまたは織り込みされた糸であって、これにより、結果としてもたらされる該カーペットの下側に糸の束を創出する、糸;および(III)該カーペットの下側に適用されたポリウレタンであって、これにより、上記糸の束を該一次裏地に付着させているポリウレタン;を含み、ここで、該ポリウレタンが、ポリイソシアナートコンポーネントとイソシアナート反応性材料の混合物を含有するポリオールコンポーネントとの反応生成物であり、前記イソシアナート反応性材料混合物のうち、場合によってアルコキシル化された一つまたはそれ以上のヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが重量で約25−90%を構成している、カーペット。
【請求項3】
アルコキシル化する前の段階で、一つまたは複数の上記ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、以下の平均構造:
[H−X](z-p)−R−[X−Z]p (I)
[式中、Rはz個のヒドロキシル基及び/又は第一級アミン基もしくは第二級アミン基を有する開始剤化合物の残基であって、ここで、zは少なくとも2であり;各Xは、独立して、−O−、−NH−または−NR’−であって、ここで、R’は不活性的に置換されたアルキル、アリール、シクロアルキルまたはアラルキル基であり、pは、一つのヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオール分子当たりの[X−Z]基の平均個数を表す1からzまでの数字であり、Zは、一分子当たりのA基の平均個数がzの≧1.3倍であることを条件とし、且つ、それぞれのAが、少なくとも幾つかのA基がA1、A2またはA3であることを前提としてA1、A2、A3、A4およびA5からなるグループから独立して選択されることを条件とし、一つもしくはそれ以上のA基を含有する直鎖または分枝鎖であり、ここで、A1は:
【化1】

[式中、Bは、H、または別のA基のカルボニル炭素原子への共有結合であり;mは3より大きい数字であり、nはゼロより大きいか、またはゼロに等しく、m+nは8から22までである]であり、A2は:
【化2】

[式中、Bは前記説明の通りであり、vは3より大きい数字であり、rおよびsは、それぞれ、v+r+sが6から20までであることを条件として、ゼロより大きいか、またはゼロに等しい]であり、A3は:
【化3】

[式中、B、v、各rおよびsは前記定義の通りであり、tはゼロより大きいか、またはゼロに等しく、v、r、sおよびtの合計は5から18までである]であり、A4は
【化4】

[式中、wは10−24である]であり、A5は
【化5】

[式中、R’は、少なくとも一つの環状エーテル基および場合によって一つもしくはそれ以上のヒドロキシル基または他のエーテル基で置換されている直鎖状または分枝鎖状のアルキル基である]である]
を有している、請求項2に記載のカーペット。
【請求項4】
上記ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールがアルコキシル化されていない、請求項3に記載のカーペット。
【請求項5】
上記Rがポリエーテル基である、請求項4に記載のカーペット。
【請求項6】
場合によってアルコキシル化された上記ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、平均で2.0個から約2.5個までのヒドロキシル基/分子を有している、請求項2−5のいずれかに記載のカーペット。
【請求項7】
場合によってアルコキシル化された上記ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、400から約1300までの平均当量を有している、請求項2から5のいずれかに記載のカーペット。
【請求項8】
場合によってアルコキシル化された一つまたは複数の上記ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、前記イソシアナート反応性材料のうち、重量で約25−60%を構成している、請求項2に記載のカーペット。
【請求項9】
場合によってアルコキシル化された一つまたは複数の上記ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、前記イソシアナート反応性材料のうち、重量で約30−55%を構成している、請求項8に記載のカーペット。
【請求項10】
上記イソシアナート反応性材料が付加的な高い当量のポリオールを含む、請求項2に記載のカーペット。
【請求項11】
上記高い当量のポリオールがポリエーテルポリオールである、請求項10に記載のカーペット。
【請求項12】
上記イソシアナート反応性材料が鎖延長剤を含む、請求項2に記載のカーペット。
【請求項13】
上記ポリイソシアナートコンポーネントおよび上記イソシアナート反応性コンポーネントが、それぞれ、界面活性剤または気泡安定剤を含んでいない、請求項2に記載のカーペット。
【請求項14】
更に二次裏地を含む、請求項2に記載のカーペット。
【請求項15】
上記二次裏地がポリウレタンにより該カーペットに付着されている、請求項14に記載のカーペット。
【請求項16】
上記二次裏地を該カーペットに付着させている前記ポリウレタンが、ポリイソシアナートコンポーネントとイソシアナート反応性材料の混合物を含有するポリオールコンポーネントとの反応生成物であり、前記イソシアナート反応性材料混合物のうち、場合によってアルコキシル化された一つまたはそれ以上のヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが重量で約5−70%を構成している、請求項15に記載のカーペット。
【請求項17】
(I)ポリウレタン形成組成物をカーペットの下側に適用するステップであって、前記カーペットが一次裏地と該カーペットの下側に糸の束を形成すべく前記一次裏地を通じてタフティングまたは織り込みされた糸を有する、ポリウレタン形成組成物の適用ステップ;および(II)前記ポリウレタン形成組成物を硬化させてポリウレタンコーティングを形成するステップであって、該ポリウレタンコーティングが前記糸の束を該一次裏地に付着させる、ポリウレタン形成組成物の硬化ステップ;を含み、ここで、前記ポリウレタン形成組成物がポリイソシアナートコンポーネントとイソシアナート反応性材料の混合物を含有するポリオールコンポーネントとを含み、前記イソシアナート反応性材料混合物のうち、場合によってアルコキシル化された一つまたはそれ以上のヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが重量で約25−90%を構成する、方法。
【請求項18】
アルコキシル化する前の段階で、一つまたは複数の上記ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、以下の平均構造:
[H−X](z-p)−R−[X−Z]p (I)
[式中、Rはz個のヒドロキシル基及び/又は第一級アミン基もしくは第二級アミン基を有する開始剤化合物の残基であって、ここで、zは少なくとも2であり;各Xは、独立して、−O−、−NH−または−NR’−であって、ここで、R’は不活性的に置換されたアルキル、アリール、シクロアルキルまたはアラルキル基であり、pは、一つのヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオール分子当たりの[X−Z]基の平均個数を表す1からzまでの数字であり、Zは、一分子当たりのA基の平均個数がzの≧1.3倍であることを条件とし、且つ、それぞれのAが、少なくとも幾つかのA基がA1、A2またはA3であることを前提としてA1、A2、A3、A4およびA5からなるグループから独立して選択されることを条件とし、一つもしくはそれ以上のA基を含有する直鎖または分枝鎖であり、ここで、A1は:
【化6】

[式中、Bは、H、または別のA基のカルボニル炭素原子への共有結合であり;mは3より大きい数字であり、nはゼロより大きいか、またはゼロに等しく、m+nは8から22までである]であり、A2は:
【化7】

[式中、Bは前記説明の通りであり、vは3より大きい数字であり、rおよびsは、それぞれ、v+r+sが6から20までであることを条件として、ゼロより大きいか、またはゼロに等しい]であり、A3は:
【化8】

[式中、B、v、各rおよびsは前記定義の通りであり、tはゼロより大きいか、またはゼロに等しく、v、r、sおよびtの合計は5から18までである]であり、A4は
【化9】

[式中、wは10−24である]であり、A5は
【化10】

[式中、R’は、少なくとも一つの環状エーテル基および場合によって一つもしくはそれ以上のヒドロキシル基または他のエーテル基で置換されている直鎖状または分枝鎖状のアルキル基である]である]
を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
上記ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールがアルコキシル化されない、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
上記Rがポリエーテル基である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
場合によってアルコキシル化された上記ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、平均で2.0個から約2.5個までのヒドロキシル基/分子を有する、請求項17−20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
場合によってアルコキシル化された上記ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、400から約1300までの平均当量を有する、請求項17−20のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
上記イソシアナート反応性材料が高い当量のポリオールを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
上記高い当量のポリオールがポリエーテルポリオールである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
上記ポリイソシアナートコンポーネントおよび上記イソシアナート反応性コンポーネントが、それぞれ、界面活性剤または気泡安定剤を含まない、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
更に二次裏地を該カーペットに付着させるステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
上記二次裏地が、該カーペットと該二次裏地との間にポリウレタン形成組成物の層を適用し、前記ポリウレタンを硬化させることにより、該カーペットに付着される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
該カーペットと該二次裏地との間に適用される上記ポリウレタン組成物が、ポリイソシアナートコンポーネントおよびイソシアナート反応性材料の混合物を含有するポリオールコンポーネントを含み、前記イソシアナート反応性材料混合物のうち、場合によってアルコキシル化された一つまたはそれ以上のヒドロキシメチル含有ポリオールが重量で約5−70%を構成する、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
カーペットであって、当該カーペットが、一次裏地およびポリウレタンラミネート層で該一次裏地に直接的または間接的に付着されている二次裏地を含み、ここで、前記ポリウレタンラミネート層がポリイソシアナートコンポーネントとイソシアナート反応性材料の混合物を含有するポリオールコンポーネントとの反応生成物であり、前記イソシアナート反応性材料混合物のうち、場合によってアルコキシル化された一つまたはそれ以上のヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが重量で約25−90%を構成している、カーペット。
【請求項30】
アルコキシル化する前の段階で、一つまたは複数の上記ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、以下の平均構造:
[H−X](z-p)−R−[X−Z]p (I)
[式中、Rはz個のヒドロキシル基及び/又は第一級アミン基もしくは第二級アミン基を有する開始剤化合物の残基であって、ここで、zは少なくとも2であり;各Xは、独立して、−O−、−NH−または−NR’−であって、ここで、R’は不活性的に置換されたアルキル、アリール、シクロアルキルまたはアラルキル基であり、pは、一つのヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオール分子当たりの[X−Z]基の平均個数を表す1からzまでの数字であり、Zは、一分子当たりのA基の平均個数がzの≧1.3倍であることを条件とし、且つ、それぞれのAが、少なくとも幾つかのA基がA1、A2またはA3であることを前提としてA1、A2、A3、A4およびA5からなるグループから独立して選択されることを条件とし、一つもしくはそれ以上のA基を含有する直鎖または分枝鎖であり、ここで、A1は:
【化11】

[式中、Bは、H、または別のA基のカルボニル炭素原子への共有結合であり;mは3より大きい数字であり、nはゼロより大きいか、またはゼロに等しく、m+nは8から22までである]であり、A2は:
【化12】

[式中、Bは前記説明の通りであり、vは3より大きい数字であり、rおよびsは、それぞれ、v+r+sが6から20までであることを条件として、ゼロより大きいか、またはゼロに等しい]であり、A3は:
【化13】

[式中、B、v、各rおよびsは前記定義の通りであり、tはゼロより大きいか、またはゼロに等しく、v、r、sおよびtの合計は5から18までである]であり、A4は
【化14】

[式中、wは10−24である]であり、A5は
【化15】

[式中、R’は、少なくとも一つの環状エーテル基および場合によって一つもしくはそれ以上のヒドロキシル基または他のエーテル基で置換されている直鎖状または分枝鎖状のアルキル基である]である]
を有している、請求項27に記載のカーペット。
【請求項31】
上記ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールがアルコキシル化されていない、請求項30に記載のカーペット。
【請求項32】
上記Rがポリエーテル基である、請求項31に記載のカーペット。
【請求項33】
場合によってアルコキシル化された上記ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、平均で2.0個から約2.5個までのヒドロキシル基/分子を有している、請求項29−32のいずれかに記載のカーペット。
【請求項34】
場合によってアルコキシル化された上記ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、400から約1300までの平均当量を有している、請求項29−32のいずれかに記載のカーペット。
【請求項35】
場合によってアルコキシル化された一つまたは複数の上記ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、前記イソシアナート反応性材料のうち、重量で約25−60%を構成している、請求項27に記載のカーペット。
【請求項36】
場合によってアルコキシル化された一つまたは複数の上記ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、前記イソシアナート反応性材料のうち、重量で約30−55%を構成している、請求項35に記載のカーペット。
【請求項37】
上記イソシアナート反応性材料が付加的な高い当量のポリオールを含む、請求項27に記載のカーペット。
【請求項38】
上記高い当量のポリオールがポリエーテルポリオールである、請求項37に記載のカーペット。
【請求項39】
上記イソシアナート反応性材料が鎖延長剤を含む、請求項27に記載のカーペット。
【請求項40】
上記ポリイソシアナートコンポーネントおよび上記イソシアナート反応性コンポーネントが、それぞれ、界面活性剤または気泡安定剤を含んでいない、請求項27に記載のカーペット。
【請求項41】
二次裏地をカーペットに付着するための方法であって、当該方法が:ポリウレタン形成組成物を該二次裏地または該カーペットに適用するステップ;前記ポリウレタン形成組成物が該二次裏地と該カーペットとの中間に介在するような仕方で該カーペットを該二次裏地に接合するステップ;および該ポリウレタン形成組成物を硬化させるステップ;を含み、ここで、前記ポリウレタン形成組成物がポリイソシアナートコンポーネントおよびイソシアナート反応性材料の混合物を含有するポリオールコンポーネントを含み、前記イソシアナート反応性材料混合物のうち、場合によってアルコキシル化された一つまたはそれ以上の脂肪酸アミドポリオールが重量で約25−90%を構成する、方法。

【公表番号】特表2008−517667(P2008−517667A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538139(P2007−538139)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/038216
【国際公開番号】WO2006/047432
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】